事務所通信
2018年6月号『農振除外とは?』
最近、相続や事業承継に関しては、自社株の相続税及び贈与税の納税猶予の特例が、ホットな話題になっているかと思います。
しかしながら、最近、相続税対策を考える上で、『農振除外』のことを知っておかないと、田を相続したものの、どうしようもないという状況になりかねないと感じています。
そこで今回は、『農振除外とは?』について、書きたいと思います。
1.農業振興地域制度とは?
農業の健全な発展と国土資源の合理的な利用を図るため、「農業振興地域の整備に関する法律」に基づく農業振興地域制度が設けられています。
市は、県が指定した農業振興地域(自然的・経済的・社会的諸条件を考慮して一体として農業の振興を図ることが相当であると認められる地域)を区域とした農業振興地域整備計画を定めることとされ、この計画には、農業生産の基盤整備に関する事項などを定めるほか、農用地等として利用すべき土地の区域(以下「農用地区域」という。)を定めることとされています。
2.農用地利用計画の変更(農振除外)とは?
農用地区域の農地は、原則として宅地、雑種地などへの農地転用ができない農地です。
ただし、許可要件を満たせば農用地区域から除外(農用地利用計画変更)できる場合があります(農地転用の許可要件等も満たす必要があります。農地転用については、市の農業委員会事務局などに問い合わせることになります。)。
「農業振興地域の整備に関する法律」等で農用地区域から除外できる要件等が定められていますので、除外できる見込みがあるかどうか、市の農林水産課などにお問い合わせください。
なお、除外の手続きは、県との協議、公告等の関係で申請(受付締切日)から除外通知までに、約3〜4か月かかります。
3.農業振興地域における農用地区域の農地の確認方法は?
農用地区域の農地かどうかの確認は、市の農林水産課などで確認できます。
4.農振除外申出受付の一時休止
2017年2月に我が香川県農業振興地域整備基本方針が変更されたことに伴い、高松市などでは、農業振興地域整備に関する法律が改正され、農業振興地域整備計画の全体見直しに着手しています。
全体見直しにおいては、素案決定後、県と協議を開始して全ての手続きが完了するまでのおおむね1年間は、農用地利用計画の変更申出(農用地区域からの除外・農用地区域への編入・用途区分の変更)に係る受付が一時休止になります。
例えば、我が高松市の場合、2019年6月受付分から全体見直し手続き完了まで(2020年3月末完了予定ですが、県との協議及び県の同意が必要なため、完了時期は未定です。)です。
5.最後に
農振除外のことを知っておかないと、例えば、相続税対策として賃貸アパートを建てようと思っても建てられない可能性があります。
早めに、調査や検討をしましょうね。
2018年6月28日 國村 年