事務所通信2015年9月

事務所通信

2015年9月号 『電子書籍・音楽・広告の配信などに消費税が課税される!』

 皆さんは、amazonやkoboなどで電子書籍を購入されていますか?
 通常の書籍と比べて、電子書籍は安いと思いますが、実は消費税が課税されていなかったので安かったのです。
 ところが、来月から消費税が課税されるようになります。
 そこで、今回は、『電子書籍・音楽・広告の配信などに消費税が課税される!』について書きたいと思います。

1.消費税の課税の対象となる取引は?
 そもそも消費税の課税の対象となる取引は、原則として、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等と外国貨物の輸入です。
 ここで、「資産の譲渡等」とは、事業として有償で行われる資産の譲渡、資産の貸付け及び役務の提供をいいます。
①資産の譲渡
 「資産の譲渡」とは、売買等の契約により、資産の同一性を保持しつつ、他人に移転することをいいます。
②資産の貸付け
 「資産の貸付け」とは、資産に係る権利の設定など他の者に資産を使用させる一切の行為をいいます。
③役務の提供
 「役務の提供」とは、例えば、土木工事、修繕、運送、保管、印刷、広告、仲介、興行、宿泊、飲食、情報の提供、出演などのサービスを提供することをいいます。
 次に、「対価を得て」とは、資産の譲渡もしくは貸付けまたは役務の提供に対して反対給付を受けることをいいます。
 したがって、営利を目的としない親睦会の会費や寄附金などは、消費税の課税の対象とはなりません。
 また、有償で行われるのが条件ゆえ、無償で行われた資産の譲渡には、原則として消費税がかかりません。
 しかし、①個人事業者が自分の販売する商品などを家庭で使用したり消費した場合や②法人が自社の商品などをその役員に対して贈与した場合には、事業として対価を得て行われた資産の譲渡とみなされます。

2.平成27年年10月1日からの改正
 電気通信回線(インターネット等)を介して、国内の事業者・消費者に対して行われる電子書籍・広告の配信等のサービスの提供(「電気通信利用役務の提供」といいます。)については、これまで、国内の事務所等から行われるもののみ消費税が課税されていましたが、平成27年10月1日以後、国外から行われるものについても、消費税が課税されることとされました。
 この改正に伴い、国外事業者が行う「電気通信利用役務の提供」のうち、「事業者向け電気通信利用役務の提供」(例:「広告の配信」等)について、当該役務の提供を受けた国内事業者に申告納税義務を課す「リバースチャージ方式」が導入されます。
 なお、説明は省略しますが、上記の見直しのほか、所要の改正も行われています。

3.最後に
 海外企業には消費税が課税されていないため安いということを知っていた方は少なかったのではないでしょうか?
 改正により価格が上がるかもしれませんが、国内企業も海外企業と同じ土俵に立って勝負ができますので、価格だけでなく、サービスでも競ってほしいものですね。

2015年9月29日 國村 年

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