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BLOG(税理士)

マイナンバーカードで申告等データを送信した場合にエラーとなる事象が解消!

国税庁は、事象解消のお知らせを出しました。

以下のとおりです。

【重要】マイナンバーカードで申告等データを送信した場合にエラーとなる事象が解消しました。
【令和7年1月11日追記】
下記の事象について令和7年1月11日(土)にメンテナンスを実施し、現在は解消しておりますので、お知らせします。
ご不便をおかけいたしましたことをお詫び申し上げます。

令和7年1月6日以降、e-Taxにマイナンバーカード(スマホ用電子証明書を含みます。)でログインを行い、申告等データを作成後、マイナンバーカードで電子署名を付与して送信した場合、 送信エラーとなる事象が発生しており、現在、復旧に向けた作業を進めております。
(※)事象の解消については、改めて、「お知らせ」に掲載し、ご案内いたします。

令和7年1月6日以降、マイナンバーカードで電子署名を付与して申告等データを送信された方は、以下の 「①受信通知(送信結果)の確認方法」の手順により 受信通知(送信結果)をご確認ください。 受信通知に送信エラーが表示されている場合は、申告等データを再送信してください。

なお、復旧までの間であっても、マイナンバーカードで申告等データを送信することは可能ですので、以下の「 ②ご利用ソフトごとの送信方法」をご確認いただき、申告等データを送信して いただくようお願いします。

上記の事象が発生していたようです。

我々税理士は、税理士用電子証明書を使って電子申告などをしていますが、期限直前に何らかの理由で使えなくなると、焦るでしょうね。

過去にも地方税のサーバーがパンクして、送信できなくなったことなどがありますが、便利になった反面、不便な面もありますね。

現在も、法定調書提出などで忙しい時期ですが、こういうことがないようにして欲しいですね。

マイナンバーカードで申告等データを送信した場合にエラーとなる事象が解消したことについて、あなたはどう思われましたか?


元税務署長が公用車私的利用などで名古屋国税局から懲戒処分!

NHKによると、愛知県内の税務署で署長を務めていた男性職員が、公用車を最寄り駅までの移動に私的に利用するなどしたとして、停職1か月の懲戒処分を受けたようです。

男性職員は、先日、依願退職しました。

処分を受けたのは、愛知県内の税務署で署長を務めていた60代の男性職員です。

名古屋国税局によると、2024年7月までの3か月の間に、4回にわたって署の公用車を最寄り駅までの移動や昼食のために使用したほか、勤務開始が遅れた際に電車が遅延したとするうその申請をしたり、フレックスタイム制を利用する際に申請書類を期限内に提出せずに利用したりしていたということです。

男性職員は、勤務時間の管理者である総務課長からこうした不正について複数回にわたり指摘があったにもかかわらず、聞き入れなかったということで、「署長だからこれくらいは許されるだろうと安易に考えていた」などと話しているということです。

国税庁は、男性職員を停職1か月の懲戒処分にしました。

男性職員は、先日、依願退職したということです。
 名古屋国税局は「幹部による非行行為が相次いで発生したことを極めて重く受け止めている。行動規範の徹底を図るよう注意喚起を行い、信頼確保に努めていく」などとコメントしています。

おそらく税務署長を1年やって退職するのでしょうから、しょうもないことで依願退職になるのはもったいないですね。

こういう人も、おそらく、税理士登録するのでしょう。

税務署にもフレックスタイム制があるんですね。

それにしても、新聞記事になるようなことをする税務署職員が多いです。

署長がこのレベルだと、資質や教育は期待できませんね。

元税務署長が公用車私的利用などで名古屋国税局から懲戒処分を受けたことについて、あなたはどう思われましたか?


大阪国税局が顧問先2社からの依頼で所得3億円超を隠す脱税指南の税理士を告発!

産経新聞によると、顧問税理士として契約を結んだ2社からの依頼で脱税を指南したとして、大阪国税局が法人税法違反や消費税法違反などの罪で、大阪市平野区の税理士(63)を大阪地検に告発していたことが、先日、関係者への取材で分かったようです。

計約3億円超の所得を隠し、脱税額は計約1億2,700万円に上ります。

大阪国税局は、顧問先の大阪府寝屋川市の会社と大阪市城東区の会社(清算中)の両前社長と法人としての両社も同罪で告発しました。

関係者によると、別の顧問先に架空の請求書を用意させ、架空の外注費を計上する手口で2019年から2022年の3年間、2社の法人税などを脱税しました。

隠した所得の一部を報酬として得ていたようです。

また、この税理士が顧問を務める大阪市東淀川区の会社の前社長と法人としての同社も計約1億2千万円を脱税したとする同罪で告発しました。

ただし、関与の度合いを考慮し、同社への告発では税理士を対象から見送ったとみられます。

脱税指南は税理士が一番やってはいけないことだと思いますし、やると税理士資格を失うことは本人も分かっていると思いますので、なぜやるのでしょうか?

こういう人がいると税理士業界の信頼が失われますし、あの税理士は認めてくれたのにとか言う先が増えて他の税理士が困ることが生じると推測されますので、こういう人はそもそも税理士をやるべきではないと思いますね。

大阪国税局が顧問先2社からの依頼で所得3億円超を隠す脱税指南の税理士を告発したことについて、あなたはどう思われましたか?


弁護士が法人税2,700万円の脱税疑いで東京地検特捜部が逮捕!

日本経済新聞によると、代表を務める弁護士事務所で法人税など計約2,700万円を脱税したとして、東京地検特捜部は、先日、弁護士(53)を法人税法違反(脱税)などの疑いで逮捕しました。

逮捕容疑は弁護士法人(東京都千代田区)の業務に関し、架空の業務委託費を計上するなどして2017年、2019年の2事業年度の所得計約1億1,100万円を隠し、法人税と地方法人税を免れた疑いです。

東京地検特捜部と東京国税局査察部は、同日、事務所など関係先を合同で家宅捜索しました。

関係者によると、弁護士は逮捕前の任意聴取に対し、容疑を否認したようです。

ホームページなどによると、この弁護士は2002年に弁護士登録、2009年に弁護士事務所を設立、2010年に弁護士法人化して代表に就きました。

弁護士法人は東京や大阪、名古屋に拠点を置き、クレジットカード会社や携帯キャリアなどから委託を受けた債権回収を主に手掛けています。

債権回収の弁護士は儲かるんですね。

もちろん、脱税は認められる行為ではありません。

そんなことはもちろん分かる弁護士の方だから、なおさら脱税ではなく節税をしてほしかったですね。

弁護士が法人税2,700万円の脱税疑いで東京地検特捜部が逮捕されたことについて、あなたはどう思われましたか?


税理士法人の元事務員が無資格で確定申告書を作成の疑い!

京都新聞によると、無資格で税務書類を作成したとして、京都府警捜査2課と福知山署は、先日、税理士法違反の疑いで、京都府福知山市の無職の男(41)を逮捕しました。

逮捕容疑は2023年10月~2024年2月、税理士資格がないにもかかわらず、法人1社と個人2人からの求めに応じて、法人税や所得税の確定申告書などの税務書類6通を作成した疑いです。

「法人税確定申告書の作成については、税理士法違反にあたると理解していなかった」と容疑の一部を否認しているようです。

京都府警によると、元事務員は2011年から2023年まで、京都府福知山市の税理士法人の事務員として勤務していました。

個人的に依頼を受けて1件10万~20万円ほどの報酬を得て、税務書類を作成していました。

最近、ニセ税理士が逮捕されるケースが増えてきていますね。

会計事務所経験者ならば、確定申告書を作成できる方が多いでしょうが、有償だろうと無償だろうと、税理士以外がやってはいけないことは、当然知っているのではないかと思います。

こういうケースは、頼んだ方も何か罰則等を課した方がよいのではないかと思います。

税理士法人の元事務員が無資格で確定申告書を作成の疑いで逮捕されたことについて、あなたはどう思われましたか?


弁護士が口座から約670万円不正出金の疑いで懲戒処分に向け調査開始!

熊本県民テレビによると、熊本県弁護士会に所属する弁護士が、依頼人への支払いなどに使う口座から約670万円を不正に出金した疑いがあることがわかったようです。

熊本県弁護士会は、懲戒処分に向けた綱紀委員会の調査が始まったことを明らかにしました。

懲戒処分の手続きが進められているのは、熊本県弁護士会に所属する弁護士(50)です。

熊本県弁護士会によると、弁護士は裁判の相手方から受け取った損害賠償金を依頼人に渡すために保管する口座と相手方に渡すために依頼人から預かった和解金を保管する口座の2つから、あわせて約670万円を不正に出金したとみています。

2023年度、熊本県弁護士会に「和解金が振り込まれない」という相談が寄せられたことで事態が発覚しました。

日弁連や熊本県弁護士会の規定では、預り金口座は所属の弁護士会に届け出るよう定められていますが、弁護士はいずれも届け出ていませんでした。

弁護士は損害賠償金については全額依頼人に返還したと説明しているということで、熊本県民テレビの取材に対し、「不正出金や私的流用はしていない」と話しています。

熊本県弁護士会では、2024年2月に2億円あまりを横領した罪で元弁護士が有罪判決を受けたほか、B型肝炎訴訟の弁護団の口座から約9,000万円の着服が判明するなど不祥事が相次いでいます。

■熊本県弁護士会
「大変最近続いておりまして、もう本当に遺憾としか言いようがない」

熊本県弁護士会は情報提供と被害の掘り起こしのために、臨時の相談窓口を設置しました。
■電話番号:096-312-3451
■午前10時~午後4時(平日のみ)
■9月18日(水)~9月27日(金)

弁護士も毎年、こういう方が何人か出てきますね。

預り金口座は所属の弁護士会に届け出るよう定められているというのは、知りませんでした。

熊本県は、工場の進出などで潤っているのかと思っていましたが、やはり、弁護士も人数が増えて、経営が厳しい方もたくさんいらっしゃるんでしょうね。

弁護士が口座から約670万円不正出金の疑いで懲戒処分に向け調査開始となったことについて、あなたはどう思われましたか?


依頼人から1億円以上を横領した容疑で広島地検が女性弁護士を追起訴!

産経新聞によると、広島地検は、先日、自分で使うために依頼人などからの預かり金計1億1,200万円を横領したとして、業務上横領罪で、広島弁護士会に所属する女性弁護士(48)を追起訴しました。

起訴状によると、2020年6月22日から2023年8月28日、広島県内の成年被後見人の男性と、70代男性から委任を受け、自身の名義の口座で保管していた預かり金計1億1,200万円を、民事事件の依頼人への立て替え金として送金し、横領したとしています。

女性弁護士は、先日、自動車購入やエステサロン代金などに充てる目的で計1,860万3,120円を着服したとして、同罪で起訴されていました。

毎年、こういう事件を起こす弁護士が出てきますね。

法律のことを一番知っている弁護士が、なぜこういう事件を起こすのか、心理が分かりません。

弁護士も人数がかなり増えているので、競争が厳しいのでしょうね。

だからと言って、横領が認められるわけではないので、本当にやめてほしいですね。

弁護士を信頼してお金を預けているわけでしょうから、こういうことがあると、誰を信じてよいかが分からなくなり、弁護士だけでなく、士業の信頼も失われてしまうことになりかねませんから。

依頼人から1億円以上を横領した容疑で広島地検が女性弁護士を追起訴したことについて、あなたはどう思われましたか?


1億4,000万円を脱税の疑いで大阪の工事業者と元税理士を告発!

日本経済新聞によると、架空の外注費用を計上して約1億4,000万円を脱税したとして、大阪国税局が大阪府摂津市の建築工事会社と同社の前社長(51)、元税理士(74)=2024年1月に廃業=を法人税法違反などの容疑で大阪地検に告発したことが、先日、関係者への取材で分かったようです。

重加算税を含め追徴課税は約1億9,000万円とみられ、既に修正申告済みだそうです。

関係者によると、建築工事会社は下請け先に工事を外注したように偽装するなどして、2021年9月期までの3年間に約3億8,900万円の所得を隠した疑いが持たれています。

隠した所得は、前社長の貯蓄や賃貸用マンションの購入費に充てられたようです。

元税理士については、大阪国税局は、前社長に脱税方法を指南し、受け取った報酬約9,400万円を過少に申告したとして所得税法違反などの疑いで告発したことも判明しました。

既に修正申告を済ませたようです。

脱税指南なんて、税理士がもっともやってはいけないことだと思いますので、驚きです。

建設工事会社前社長も、架空の経費計上はダメなのは常識的に分かると思いますし、報酬を9,400万円も支払っているので、分かってやっていたのでしょうか?

いつもこのような事件を目にするたびに思いますが、儲かっているのだから、費用を払ってでも毎月きちんと月次決算をして、節税対策も考えればよいと思いますが、なぜ安易に架空経費の計上に走ってしまうのでしょうか?

1億4,000万円を脱税の疑いで大阪の工事業者と元税理士を告発したことについて、あなたはどう思われましたか?


女子大学生に「パンツを見せてもらったらお金を渡す」と駅のホームで迫った疑いで国税局職員を逮捕!

関西テレビによると、19歳の女子大学生に駅のホームで「パンツを見せて」「10秒でも1秒でもダメですか?」などと卑わいな言葉をかけた疑いで国家公務員である大阪国税局の職員が逮捕されました。

迷惑防止条例違反の疑いで逮捕されたのは、大阪国税局の職員(35)です。

大阪国税局の職員は2024年2月28日、午後8時半ごろJR奈良駅のホームで電車から降りた19歳の女子大学生に「パンツを見せてもらったらお金を渡す」「10秒でも1秒でもダメですか?お願いします」「今急いでますか?」などと卑わいな言葉をかけた疑いが持たれています。

警察によると、女子大学生は「無理です」と拒絶し、ホームから階段を降りて逃げようとしましたが、大阪国税局の職員がしつこく後をつけてきたということです。

女子大学生が駅員に相談し、駅員が近くの交番に申告したことで事態が発覚しました。
警察は、防犯カメラの映像から大阪国税局の職員を特定しました。

大阪国税局の職員は当時、酒に酔った様子ではなく、大学生と面識はなかったということです。

調べに対し、大阪国税局の職員は「女性に『パンツを見せてくれたらお金を渡す』と言いましたが、その言葉をきっかけに私と遊んでくれると思ったからです」と話し、本当にパンツを見せてくれるとは思っておらず、『ナンパをするきかっけ』の言葉だったという趣旨の供述をしています。

大阪国税局の職員は帰宅途中に犯行に及んでいたとみられ、警察は余罪の有無についても捜査しています。

大阪国税局は、職員の逮捕を受けて「当局の職員が警察に逮捕されるという事態を招いたことは誠に遺憾であります。職員の容疑が事実であれば税務職員としてあるまじき行為であり、事実関係が確認され次第、組織として厳正に対処する所存です」とコメントしてます。

大阪国税局によると、逮捕された職員は、一般職員の国税実査官で、2021年7月から現在まで在籍しているということです。

国税局の職員も次ぎから次へと、色々な問題が出てきますね。

まともな教育とかは、されているのでしょうか?

事件が明るみになるたびに思いますが、税務調査とかがやりにくくなると思いますので、国税局も真剣に採用や教育に取り組んだ方が、国税局のためになるのではないかと思います。

退職者も多い一方、なかなか採用できず、採用難の結果モラルの低い方の採用が多くなるのかもしれませんが、将来的には税理士業界に入ってくる方が多いわけですから、まともな人を採用してほしいと感じますね。

女子大学生に「パンツを見せてもらったらお金を渡す」と駅のホームで迫った疑いで国税局職員が逮捕されたことについて、あなたはどう思われましたか?


風俗店で勤務もしていた国税職員が医療費控除で237万円不正で懲戒免職!

2024年07月12日(金)

朝日新聞によると、東京国税局は28日、不正に医療費控除を受けたり風俗店で働いたりする国家公務員法違反(信用失墜行為など)が確認されたとして、女性職員(40代)を懲戒免職処分にしたと発表しました。

発表によると、女性職員は2019年~2023年分の確定申告で、医療費控除の対象外の美容関連費用を計上していました。

2020年、2021年分については、架空の医療費を含む親族名義の確定申告書も提出して、計約237万円の所得税の還付を不正に受けていたようです。

また、2019年と2022年には、財務省共済組合にうその書類を提出し「住宅貸し付け」と「医療貸し付け」の名目で計1,680万円を借り入れていました。

さらに、2024年3月以降は、国税職員として働きながら、東京都内のソープランドでも約50日間勤務していたようです。

東京国税局は「公務員としてあるまじき行為。国民の信頼を損ない、誠に申し訳なく、深くおわびします」とコメントしています。

東京国税局は人数も多いのでしょうが、毎年のように何名か国税職員としてふさわしくないような方が出てきますね。

ベテランの方も含めて、きちんと教育などを行ってほしいですね。

住宅貸し付けとか医療貸し付けの名目でお金を借りて、美容整形に使っていたということでしょうから、結構な額を美容整形に使っていたんでしょうね。

風俗店で勤務もしていた国税職員が医療費控除で237万円不正で懲戒免職になったことについて、あなたはどう思われましたか?


業務中に官用車使って日本酒を購入していた名古屋国税局前首席監察官を調査!

朝日新聞によると、名古屋国税局で職員の非行を取り締まる監察部門のトップだった50代の男性職員が、官用車を私的に利用したり、出張中に有給休暇を取って観光し、不適切に手当を受給したりしていたことが、関係者への取材でわかったようです。

名古屋国税局内で調査の対象となっており、辞職する意向を示しているそうです。

関係者によると、男性職員は2023年7月に名古屋派遣首席国税庁監察官に就任しましたが、就任後に複数回、業務時間中に官用車を別の職員に運転させて、名古屋市内の酒店に日本酒を買いに行くなどしたそうです。

また、監察業務で使うシステムの使用状況を視察するとして5月中旬に九州に2泊3日で出張した際には、2日目に公務が終了したのに帰任せずに、3日目は有給休暇を取って現地で砂風呂に入ったり、観光地を訪れたりしていました。

2泊目の宿泊費と3日目の出張手当を受給した点について不適切だったと認めているようです。

男性職員は税務署長などを歴任した幹部職員でしたが、国税庁は2024年6月3日付で同国税局総務部付としました。

名古屋国税局は朝日新聞の取材に対し、「個別の人事については回答を差し控えたい」と回答しています。

国税局で監察官経験がある東京の税理士は「監察官は身内に服務規律の徹底を求め、非行を追及する嫌われ役だが、職員の模範となるべき立場だ。その監察官自身の不祥事など聞いたことがない。他人に厳しく、自分に甘い部分が出てしまったのではないか」と話しています。

税務署長経験者で、身内に服務規律の徹底を求める立場の人がこれですから、名古屋国税局がまともな組織とは思えないですね。

こういう組織が税務調査とかをしていいのでしょうか?

退職金も出るのでしょうし、税理士登録もするんでしょうね。

業務中に官用車使って日本酒を購入していた名古屋国税局前首席監察官を調査していることについて、あなたはどう思われましたか?


「超大手法律事務所」弁護士34人が8,700万円の詐欺被害か?

ダイヤモンド・オンラインによると、東京地検特捜部は、先日、税務顧問契約を結ぶ法律事務所の弁護士34人から約8,700万円をだまし取ったとして、東京の税理士を逮捕しました。

税理士が弁護士をだましたとされる異例の事件ですが、取材を進めたところ、被害に遭った法律事務所は国内有数の大手とみられ、さらに逮捕された税理士は有名作家の親族であることが明らかになりました。

東京地検特捜部は、先日、税理士(63)を詐欺容疑で逮捕しました。

税理士は2022年4月~11月、税務顧問契約を結んでいた法律事務所に所属する34人の弁護士から共済金の掛け金名目で約8,700万円をだまし取った疑いがあるそうです。

税理士が弁護士をだましたとされる異例の事件ですが、被害に遭ったのが少なくとも34人の弁護士が所属する法律事務所というから、それなりの大手の事務所ではないかと弁護士業界がざわつきました。

結論から言うと被害に遭ったのは「森・濱田松本法律事務所」(東京都千代田区)の弁護士たちとみられます。

この事件について、事情を知る人物が証言しています。

森・濱田松本といえば、「西村あさひ」「アンダーソン・毛利・友常」「長島・大野・常松」「TMI」と並ぶ五大事務所の一角で、週刊ダイヤモンド3月23日号の特集によれば、所属する弁護士数は754人で、西村あさひの832人に次ぐ2位です。

東大出身者がそのうち約半分を占めるという。スーパーエリートがだまされた背景には何があったのでしょうか?

前出事情通によれば、税理士は森・濱田松本の関連組織である「MHM税理士事務所」(千代田区)で顧問税理士の立場にありました。

その立場を利用して、多くの弁護士を信用させていたとみられます。

実際、MHM税理士事務所のウェブサイトのアーカイブを確認すると、2015年12月の時点で「所属税理士等」に「●●●● 顧問」としてこの税理士の名前が確認できます。

しかしながら、2023年1月の時点では名前が消えていました。

最後に顧問としての記載が確認できるのが2022年5月のアーカイブです。

この間、この税理士の名前が思わぬところで登場していました。

実は、東証スタンダードに上場する宝飾品大手「ナガホリ」(東京都台東区)の経営権を巡る騒動で、買い占め側の「リ・ジェネレーション」(東京都港区)が2022年4月14日に初めて提出した「大量保有報告書」には、ナガホリ株式115万株(6.87%)の取得資金4億2,500万円の原資が「合同会社STAND UP GROUP」(東京都港区、不動産業、以下SUG社)という会社から借入金であると記されています。

このSUG社の2人いる代表社員のうち1人がこの税理士です。

翌日の「変更報告書」でリ・ジェネ社の持ち株比率は9.96%に上昇し、取得金額合計も7億1,700万円となりましたが、引き続き原資全額がSUG社からの借り入れとなっています。

SUG社はナガホリ株に担保権を設定しておらず、実質的に無担保でリ・ジェネ社に融資していることになります。

ナガホリ側はリ・ジェネ社に対し、SUG社からの借入条件や同社の2人の代表社員などとの関係について質しています。

それに対し、リ・ジェネ社の回答は「借入条件等は守秘義務がある」(2022年4月22日付回答書)、この税理士などの代表2人についてはリ・ジェネ社代表と「ビジネス上の面識がある」(同年7月28日付回答書兼質問状兼要望書〈5〉)としながらも「貴社(ナガホリ)株式の共同取得に関する合意ないし指図等の類の事実は一切ございません」(同)などというものでした。

ナガホリとリ・ジェネ社の対立はいまも続いており、今年6月27日開催予定の定時株主総会に向けてリ・ジェネ社が出した剰余金処分に関する株主提案に対し、ナガホリ取締役会は反対を表明しています。

いずれにせよ、SUG社はリ・ジェネ社に気前良く7億円を超える融資を行っていた一方、税理士の懐具合に余裕はなかったとみられます。

この税理士は新宿区高田馬場で会計事務所を開業する傍ら、同じ所在地で医療コンサルティング会社を設立して代表を務めています。

ところが、医療コンサルティング会社には2016年以降、ノンバンクやファクタリング会社を譲受人とする「債権譲渡登記」がたびたび設定されてきました。

直近の登記は2024年5月です。

また、税理士の東京都小平市内の自宅の不動産登記を確認すると、土地は親族3人の共有となっており、そのうち税理士の持ち分には医療コンサルティング会社を債務者、ノンバンクを権利者とする年利10%の3億円の抵当権などが確認できます。

資金繰りに苦労していたことがうかがえます。

税理士の逮捕について、読売新聞は「弁護士からだまし取った金を自身の借金返済などに充てていたとみられる」と報じました。

なお、余談ですが、税理士の自宅の登記を確認すると、税理士が亡くなった作家から2002年に土地を相続したことがわかるようです。

どうやら、この作家の親族のようです。

税理士はMHM税理士事務所で数年間にわたって顧問を務め、「事務所の弁護士の給与計算をするほど信頼を得ていた」(前出事情通)ようです。

税理士の逮捕を受けて「日本税理士会連合会」は会長名で「正確な事実関係を把握しておりませんが、当該行為は、国民・納税者の皆様の税理士及び税理士制度に対する信頼を著しく損なうものであり、極めて遺憾であります」とのコメントを出しています。

ダイヤモンド・オンラインは、森・濱田松本法律事務所に対し、今回の件に関する質問を送付したようです。
<質問1>6月5日に税理士が詐欺容疑で東京地検特捜部に逮捕されました。被害者の弁護士34名が所属していたのは貴法人との情報がありますが、事実ですか?
<質問2>税理士がMHM税理士事務所の顧問税理士だった期間はいつからいつまでですか?
<質問3>その就任経緯と退任理由をご教示ください
<質問4>税理士は貴法人所属弁護士の給与計算をしていたとの情報がありますが、事実ですか?

これらの質問に対し、森・濱田松本法律事務所からは「お問い合わせの件につき、恐れ入りますが当事務所からの回答は控えさせて頂きます」との回答があったようです。

超大手の弁護士事務所の弁護士からだまし取るなんて、ある意味スゴい人ですね。

どういう経緯で契約を結ぶようになったのか分かりませんが、こういう大きな事務所と契約を結べる税理士はごく一部だと思いますが、あえてそれを失うリスクを冒してまでやることだったのでしょうか?

こういう事件が、税理士の信用失墜に繋がらなければいいなぁと思います。

「超大手法律事務所」弁護士34人が8,700万円の詐欺被害にあったことについて、あなたはどう思われましたか?


税理士資格失うも確定申告の書類作成などをした元税理士を逮捕!

NHKによると、50代の元税理士が業務を行う資格を失っているのに埼玉県内にある法人の確定申告の書類を作成したなどとして、税理士法違反の疑いで逮捕されました。

逮捕されたのは、住居不詳で元税理士(53)です。

警察によると、2023年5月から11月にかけて、税理士の業務を行う資格を失っているのに埼玉県内の3つの法人から依頼を受け法人税の確定申告の書類を作成したなどとして税理士法違反の疑いが持たれています。

元税理士は脱税をしたなどとして国から4年前に業務禁止処分を受けましたが、知人が経営する会計事務所で税務書類などを作り、1件当たり15万円ほどの報酬を受け取っていたということです。

調べに対し黙秘しているということです。

元税理士は2024年3月までの1年間に、顧客だった企業や個人などからおよそ4,000万円の報酬を受け取っていたとみられ、警察は詳しいいきさつを調べています。

先日もニセ税理士が逮捕されていましたが、最近は、厳しく対応しているんですね。

我が香川県でも、依頼者に話を聞いているというようなことを耳にしますが、どんどん取り締まって欲しいですね。

それにしても、1年間で4,000万円というのはかなりスゴいと思います。

逮捕されるリスクを抱えたままやらなくても、会計事務所で番頭さんとかで雇ってもらえば、それなりの報酬はもらえるのではないかと思いました。

税理士資格失うも確定申告の書類作成などをした元税理士が逮捕されたことについて、あなたはどう思われましたか?


知人税理士の名義を借りて確定申告の書類などを作成した疑いで“ニセ税理士”の男を逮捕!

TBSテレビによると、資格がないにもかかわらず、知人の税理士の名義を借りて確定申告の書類などを作成したとして、警視庁が54歳の男を逮捕しました。

税理士法違反の疑いで逮捕されたのは、会社役員(54)です。

会社役員は税理士資格がないのに知人の税理士から名義を借りて、法人税の確定申告書などあわせて6通を作成した疑いがもたれています。

警視庁によると、会社役員は30年以上前から税理士事務所などで勤務し、税理士業務の知識を習得していたとみられています。

警視庁は東京国税局から「会社役員がニセ税理士をやっている」との告発を受け、捜査を進めていました。

会社役員は「答えたくありません」と黙秘していますが、警視庁は会社役員が2019年からの3年間で300件ほどの報酬として、およそ1億3,000万円を得ていたとみて調べを進めています。

また、警視庁は会社役員に名義を貸し、報酬の2割を受け取っていた税理士の男性(55)を、書類送検しました。

名義貸しは税理士として絶対にやってはいけない行為だと思いますが、税理士の名義貸しでの摘発は、警視庁で初めてだそうです。

それにしても、3年間で、300件およそ1億3,000万円というのは、単純平均で年間4,000万円以上なので、無茶苦茶すごいですね。

何人で作業をやっていたのかも気にはなりますが。

これだけの営業力があれば、あえて逮捕されるリスクを冒さなくても、どこかの会計事務所に勤めれば、それなりの報酬をもらえるのではないかと考えます。

最近、ニセ税理士を厳しく取り締まっているようなことを耳にしますが、どんどん摘発してほしいですね。

申告等を頼んでいる企業なども困るでしょうから。

知人税理士の名義を借りて確定申告の書類などを作成した疑いで“ニセ税理士”の男が逮捕されたことについて、あなたはどう思われましたか?


生成AIによる【業務効率化】で税理士は【創造性】を求められる時代へ!

PR TIMESによると、株式会社ROBON(本社:東京都新宿区、代表取締役:荒木 岳夫、以下当社)は、2024年1月より税務AI相談チャットサービス『税務相談ロボット』を提供開始しました。
アナログな税務業界を革新すべく、デジタル化を牽引しています。
本プレスリリースでは、『税務相談ロボット』を導入し活用する佐々木みちよ税理士の事例を紹介しています。

■導入背景:情報収集、クライアントから質問対応 情報の信憑性に神経を使う
『税務相談ロボット』導入前は、セミナーや執筆内容の検討時、クライアントからの質問回答時に、インターネット検索にて国税庁が公表している情報を参考にしたり、最新の条文は有料サイトにて念入りに調べたりしていたそうです。

「頂いた質問の難易度が高いほど、正しい情報に辿りつくのに時間がかかりますし、回答文書を作る際は神経を使います。」『税務相談ロボット』を導入して感じられたことは、「まず収集しているデータが完全にパブリックな情報のみのため、信頼性が高く、今までにない新しい情報収集の方法だと感じました。回答には出典元とそのリンクも表示されます。リンクをタップすればすぐにその出典元に飛べるので、根拠が正しいか否かを明確に把握することができ、本当に便利です。」

『税務相談ロボット』を活用する中で、その効果が2つあると感じられたそうです。

「1つ目は、業務効率化により付加価値の高いコンサルティング業務に注力できるということ。2つ目は少し大きな話になるのですが、税理士自身や職員の働きがいの向上、ひいては事務所運営の安定化にも寄与すると感じたのです。」

■①基本文章を生成AIが作ってくれるからこそ、より有益なアドバイスの検討に注力できる
「昨今の人手不足は税理士業界も同様です。若手の候補者ほど大手に採用される傾向にあるため、特に中小の税理士事務所では慢性的な人手不足です。

クライアントからの質問に対する回答案を一次的に『税務相談ロボット』が自動生成してくれるだけで、業務効率化が図れます。

税理士や職員にとっては、その回答案がヒントになり、クライアントの実情に即した回答を考える力が引き出されます。

『税務相談ロボット』の活用により、税務のプロとしての付加価値の高いサービス提供に注力できるのです。

また生成AIの回答を得て終わりではなく、『税務相談ロボット』は国税庁の質疑応答事例や裁決事例といった周辺情報も提供してくれるので、税理士に新たな気づきや発想のきっかけを常に与えてくれます。

『税務相談ロボット』から得ることができる周辺情報を知れば知るほど、もっと勉強しようと向上心が掻き立てられます。」

■②税理士自身に自律的思考が求められるからこそ“働きがい改革”に繋がる
「自律的とは、ChatGPTによると「外部からの指示や制約に左右されず、自らの意思や判断に基づいて行動すること」を指します。最近、自律的思考と働きがいとの関係に言及する『AI時代の「自律性」』*という本を読みました。近年では働き方改革に加えて、働きがい改革も重要視されていますよね。働きがいは税理士法人に勤めている職員の方にとっても、税理士自身にとっても、非常に重要だと思います。この本では、職場にAIを導入したことによる、組織構成員の思考への影響に関する検証結果が示されていて、AIが提示する情報は職務上求められる気づきや新しい発想のきっかけとなり、さらに自律的思考を促すとしています。また、個人が自律性を保つことは心理的・身体的健全性に繋がり、働きがいに繋がっていくと指摘しています。まさしく、『税務相談ロボット』は働きがい改革の一端を担うツールになり得ると感じています。
さらに本には、AI導入が自律的思考を促進する副次的効果として、職場構成員の自信や労働意欲、また組織への帰属意識を引き出しているとも書かれています。税理士業界は税理士事務所、税理士法人の規模に関わらず転職が多い業界なので、職員の定着促進と円滑な事務所運営のためには、『税務相談ロボット』のようなAIツールの導入が必須ではないでしょうか。」

*河島茂生編著『AI時代の「自律性」-未来の礎となる概念を再構築する』(勁草書房・2019年)

■顧客の経営状態やミッションにあったコンサルティングができるか、AI時代の税理士のあるべき姿とは
「ただ、『税務相談ロボット』を活用する中で、今後の税理士はどうあるべきか考えるようになりました。
私の早稲田大学大学院時代の恩師である渡辺徹也教授は、『AIは一般的な情報提供には適しているのだから、そのようなAIを利用することで、クライアントごとにカスタマイズされたサービスを提供することこそが、これからの税理士等の存在意義ということになりそうである。やや誇張すれば、AIを上手く利用できる税理士等だけが、今後は生き残ることができるとさえいえるかもしれない。』**と述べていらっしゃいます。私も、まさにその通りだと思っています。生成AIを情報収集のツールとして効果的に使いこなすことが重要なのであって、生成AIが作成した文章をそのままクライアントに伝えるだけの税理士は、税理士としての価値や存在意義を自ら放棄しているのに等しいと思います。企業の経営理念や経営者の価値観は、税理士が最も良く理解しているはずです。ChatGPT自身、「ChatGPTは自律的ではない」、「一般的な情報提供や質問に答えることはできるが、経営戦略やビジネスの課題に対する深い理解や洞察を提供することはできない」と言っています。税理士にとって必要な資質が、まさにこの洞察力だと思います。会社の意思や価値観に沿った提案や情報提供ができるのが税理士であり、そうあるべきだと思います。税理士にとって自己研鑽は引き続き重要ですし、生成AIを情報収集のツールとして使いこなせる税理士が生き残れるのだと思います。」

**渡辺徹也「生成AIと課税-ロボット課税からAI利用へ-」フィナンシャル・レビュー(近日掲載予定)

■『税務相談ロボット』とは
『税務相談ロボット』は、税務に関する悩みを生成AIチャットに質問するだけで、出典元の明示とともに要約した文章を回答するサービスです。

質問できる対象税目は法人税、所得税、消費税、相続税、地方税(※1)で、法人企業の財務・経理担当者様や会計士・税理士の皆さまはもちろん、個人事業主や個人の皆さまにも活用いただける税目をカバーしています。

また、生成AIが学習しているデータは国税庁・その他省庁・地方自治体のオフィシャルなデータはもちろん、法令や通達・判例・裁決事例も学習しています。

税務に関する情報は日々アップデートされることが多く、最新の情報を追うことが難しいと言われていますが、『税務相談ロボット』にチャット質問するだけで、最新の情報を獲得することができます。

これらの情報収集を即座にできる『税務相談ロボット』は、税務の現場の生産性の大幅な向上に貢献します。

(※1)一部の地方税に関しては、次回以降のアップデートにて相談範囲に追加する予定です。

■ROBONについて
近い将来、「ビジネスのデジタル化」がホワイトカラーの主たる職務となります。

これまで、「ビジネスのデジタル化」を担ってきたのは、我々IT産業でした。

そしてIT産業は、労働集約的でヒトに依存したビジネスモデルによって、これに対応してきました。

経済産業省の調査によると、2019年をピークにIT産業への入職者が退職者を下回ると予測されています。

このため産業人口が減少し、従事者の平均年齢は2030年まで上昇の一途を辿ります。

この少ないエンジニアをIT産業だけでなく、デジタル・トランスフォーメーションを目指す全ての企業が奪い合うことになると考えられます。

ROBON(ロボン)は、このような時代に対応した新しいビジネスモデルを実現する為に設立しました。

社名は「全ての業務にロボットをオン(実装)する」ことに由来します。

また、「IT技術で全てのお客様の生産性を飛躍的に向上させる」ことを経営理念としています。

お客様の生産性を飛躍的に向上させる為のロボットを実装するターゲットは「専門家に依存した業務」です。

「専門家に依存した業務」は、ビジネスのスピード、コストのボトルネックになりやすいと言えます。

これをソフトウェアによって自動化し、フル・マネージドのサービスとして提供することでボトルネックを解消していきます。

ROBONのコーポレート・メッセージである「未来をいち早く今に取り込む会社」として、お客様から自社の働き方まで改革を目指しています。

個人的には、まだ試したわけではないのですが、近いうちにこういうのがスタンダードになっていくんでしょうね。

AIに任せられるものはAIに任せて、我々はコンサル的なところにシフトしていかないと、業界として生き残っていけないのだろうなぁと思いますね。

生成AIによる【業務効率化】で税理士は【創造性】を求められる時代になってきていることについて、あなたはどう思われましたか?


警察捜査初の司法取引で四国銀行から詐取疑いで税理士を逮捕!

日本経済新聞によると、兵庫県警が税理士らを逮捕した融資金詐取事件で、捜査に協力する見返りに刑事処分を免除・軽減する「司法取引」が適用されたことが、先日、関係者への取材で分かったようです。

司法取引の適用が明らかになったのは2018年の導入以降4例目です。

これまでの3件はいずれも東京地検特捜部による事件で、警察が捜査した事件では初めてとみられます。

警察が取り扱う事件は検察の独自捜査と比べ件数が多いそうです。

裁判所が捜査協力者の供述の信用性を慎重に判断する流れがあることなどを背景に司法取引の利用が増えないなか、制度の運用が広がる転換点となるかどうか注目されます。

対象となったのは四国銀行が被害者となった事件です。

兵庫県警は2023年11月、四国銀の支店担当者に虚偽の決算報告書を示して融資を申し込み、2020年10月〜2021年2月に4,000万円をだまし取ったとして自動車販売会社の元社長ら3人を詐欺容疑で逮捕しました。

さらに、2024年2月、同社が契約していた税理士法人の税理士ら2人も逮捕しました。

自動車販売会社には多額の負債があったとされ、融資を受けた後の2021年8月に破産手続きが始まりました。

捜査で焦点となったのは、融資を申し込んだ時点で会社の財務状況を元社長や税理士がどう認識していたかでした。

関係者によると、司法取引は税理士法人職員との間で合意しました。

収集された証拠は厳しい財務状況を元社長や税理士らが認識した上で、虚偽の決算書類などが作成された一連の経緯の立証に生かされたとみられます。

税理士法人職員は不起訴処分となりました。

司法取引は2024年6月で導入から6年となりますが、利用が進んでいません。

裁判所が司法取引に応じた捜査協力者の供述の信用性を慎重に判断するケースが目立つといった要因があります。

警察事件での初適用を巡り、検察内部では「組織犯罪では活用のメリットが大きく一定の意義がある」と前向きに受け止める声が多いようです。

日産自動車元会長、カルロス・ゴーン被告の報酬過少記載事件では、元秘書室長が司法取引に合意しました。

特捜部は元室長の証言を軸に、同被告との共謀があったとして元代表取締役、グレッグ・ケリー被告を起訴しました。

元室長は20回以上出廷しました。

ケリー元役員に対する東京地裁判決は元室長の証言について「有利な扱いを受けたいとの思いから検察官の意向に沿って供述する危険性をはらむ」と厳しく評価しました。

客観証拠のあった一部を除く大半を無罪と結論づけました。

3例目も同様の流れは続きました。

アパレル会社元代表取締役=有罪が確定=から不正の指示を受けた元社員が司法取引に合意しました。

東京地裁判決は元社員の証言について「客観的な裏付けを欠き、信用性の判断で相当慎重な姿勢で臨む必要がある」と指摘しました。

元社員は事情聴取に出向いたことが明るみに出ないよう、架空の用事を口実に外出していたそうです。

こうした組織的な犯罪で、上位者の不正を打ち明けた証人の負担が重いことも適用が広がらない一因とされています。

司法取引は本来、客観的な証拠が少ない密室のやりとりが多い組織犯罪や経済犯罪の捜査における「武器」になるとみられていました。

適用が広がれば捜査機関と協力した訴追が可能になり、組織の自浄作用が働くという期待もあったのです。

海外では企業の不正防止に活用する動きがあります。

アメリカ司法省は2022年に公表した指針で、企業側が贈収賄やカルテルに関わった社員に自発的に金銭的処罰をしたり、捜査に必要な情報を提供する体制を整えたりすれば企業側の罪を問わない姿勢を示しました。

日本での活用拡大について「慎重に事例を積み重ねる必要がある」(検察幹部)という見方はなお強いようです。

制度を機能させるためには司法取引で得られた供述を客観証拠で裏付ける緻密な捜査と、協力に応じた証人をどう保護するかが課題になるでしょう。

▼司法取引
2010年に発覚した大阪地検特捜部の証拠改ざん事件を契機とする刑事司法制度改革の一環として、2018年6月施行の改正刑事訴訟法に盛り込まれました。

「協議・合意制度」とも呼ばれます。
容疑者や被告に対し共犯者らに対する捜査協力と引き換えに、起訴の見送りや取り消し、軽い罪への訴因変更、求刑を軽くするといった対応を取れます。

末端の実行役を免責して首謀者らを処罰する狙いで、経済犯罪や組織犯罪などでの活用を想定しています。
刑訴法では、検察官と本人、弁護人の合意が必要と定めています。

3者が署名して合意文書を作成します。

嘘の証言で他人を巻き込む恐れもあることから、虚偽の供述や偽造の証拠を提出した場合は5年以下の懲役に処せられます。

2018年に起訴された三菱日立パワーシステムズ(現三菱パワー)元幹部らの外国公務員贈賄事件で、初めて適用されました。

司法取引が税理士法人の職員との間で行われ、税理士法人の税理士が逮捕されているというのがすごく気になりました。

自ら粉飾に加担することはありませんが、会計事務所として、クライアントとどう接していくべきかを考えさせられる1件でした。

警察捜査初の司法取引で四国銀行から詐取疑いで税理士が逮捕されたことについて、あなたはどう思われましたか?


「顧客を装ってもバレないと思った」札幌国税局元職員を逮捕!

2024年03月11日(月)

TBSによると、税理士の登録がないにもかかわらず、顧客の確定申告書の作成を代行したとして、札幌国税局の元職員の男が警視庁に逮捕されました。

逮捕されたのは、札幌国税局元職員(68)で、2023年1月ごろからの半年間に、税理士登録が抹消されているにもかかわらず、顧客3人の確定申告書10通を顧客を装って作成した疑いがもたれています。

札幌国税局元職員は2023年1月、別の顧客の確定申告で不正な処理をしたとして懲戒処分を受け、税理士登録を抹消されていました。

札幌国税局元職員は「顧客を装って作成してもバレないと思った」と容疑を認めていて、警視庁は同じ手口でおよそ30人から報酬として少なくとも100万円を得ていたとみています。

国税OBで、税理士登録を抹消されたにも関わらず、にせ税理士として業務をしていたわけですから、たちが悪いですね。

国税局は、職員にきちんと教育を行ってほしいですね。

にせ税理士に業務を依頼する方もどうなのかと思いますが。

最近、にせ税理士の取り締まりが厳しくなっているのでしょうか?

以前からにせ税理士と言われる方はそれなりにいるのではないかと思いますが、先日、風のうわさで、我が香川県でも調査が行われているということを耳にしました。

有償だろうと無償だろうと、税務は税理士の独占業務ですからね。

「顧客を装ってもバレないと思った」札幌国税局元職員が逮捕されたことについて、あなたはどう思われましたか?


神田財務副大臣の知人が自動車税など200万円を立て替えし返済求められても応じず!

読売新聞によると、340万円にも上る税金滞納を認めた神田憲次財務副大臣(60)が、先日、事実上更迭されました。

税理士でありながら固定資産税などを納めず、経営会社の保有不動産が4度も差し押さえられていた財務省ナンバー2の姿に、「辞任は当然だ」と有権者らから憤りの声が上がりました。

「国会に迷惑をかけることを避けたい」と、神田氏は、先日、財務省前で報道陣の取材に応じ、辞表を提出した理由をそう語りました。

神田氏は、固定資産税など計約340万円を滞納し、自身が経営する会社が保有する土地や建物が名古屋市に計4回差し押さえられた問題で批判を浴びていました。

神田氏は愛知学院大学大学院を修了後、1991年に税理士登録しました。

2012年12月の衆院選に愛知5区(名古屋市中村区など)から立候補し、初当選を果たしました。

神田氏と愛知学院大学大学院時代からの知り合いで、名古屋市内に事務所を構える税理士の男性(61)は読売新聞の取材に対し、この衆院選直前、今回の滞納問題とは別に、神田氏が滞納していた自動車税など約200万円を立て替えたと明かしたようです。

この男性の証言によると、神田氏は税理士になった後に「税金を滞納している」と男性に打ち明けたことがあり、「税理士なのに大丈夫か」と疑問に思ったそうです。

出馬の際、改めて滞納の有無を確認したところ、神田氏は自動車税などの未払いの納付書を複数枚示し、納付期限が約半年過ぎたものもあったようです。

神田氏が「払う金がない」と説明したため、男性が代わりに納付しましたが、当選後に返済を求めても神田氏は応じず、やがて連絡も取れなくなったそうです。

この男性は「ずさんさにあぜんとした。税金を滞納する人間が、税金を扱う財務省の副大臣というのはおかしい」とあきれたように話しました。

読売新聞はこの滞納について神田氏に書面で取材を申し込みましたが、2023年11月13日夕方までに回答はなかったようです。

選挙では、税理士として中小企業の支援に力を尽くしたとたびたびアピールしていた神田氏ですが、2019年11月発行の金融庁の広報誌に内閣府政務官(当時)として登場した際には、税理士になって3年目の頃の話を披露しています。

記事によると、神田氏は、資金繰りに窮して涙を流す企業の社長の姿を見て「助けてあげたい」と思い、個人的に資金を用立てて倒産を回避させたそうです。

一方で、政治資金の処理のずさんさも指摘されていました。

財務副大臣就任直後の2023年10月11日、自身が代表を務める資金管理団体が、政治資金収支報告書に派閥からの200万円の寄付を記載していなかったことが発覚しました。

取材に対し、「事務処理上のミス」とコメントしています。

選挙で支援してきた男性(79)は「人柄が良く、地域の声に耳を傾けていただけに残念でならない。税理士として税制に精通していたため、甘い考えがあったのかもしれない」と話しました。

河村たかし名古屋市長は、先日、報道陣に対し、「税金をいただく立場の財務副大臣が滞納していたのは恥ずかしく、(徴収する)市としてもとんでもない話。あとは国会議員を辞めるかどうかだ」と述べました。

税制を巡っては、「インボイス(適格請求書)制度」が2023年10月に始まったばかりです。

小規模事業者の税負担増や、事務作業の煩雑さが指摘されており、税を巡る国民の目は厳しくなっています。

東京都新宿区のラーメン店店長(24)はインボイス制度導入に伴い、対応の領収書が発行できるよう券売機の設定を変更するなどの作業に迫られました。

店長は、「インボイス制度への理解を呼びかける立場の財務副大臣が税金滞納をしていては、制度への信用も深まらないのではないか。辞任は当然だ」と憤っています。

2023年9月の内閣改造後、神田氏で3人目となる政務三役の辞任に、有権者の政治不信は募るばかりです。

岩手県盛岡市で酒小売業を営む50歳代の男性経営者は、「コロナ禍で売り上げが5割以上減少したが、在庫管理を徹底するなどして売り上げの回復に努めてきた。我々は生きるか死ぬかの世界で商売している。政治家も覚悟を持って仕事をすべきだ」と語っています。

税金を納めましょうという立場にある財務省の副大臣がこのような人だったことに驚きですが、同業者である税理士であることにとても驚きました。

同業者として恥ずかしい限りですし、こういったことで税理士の信頼が失われることを考えると腹立たしいです。

自民党も人材不足なのでしょうが、身元調査をきちんとした方が良いのではないでしょうか?

このような方が、衆議院議員選挙に出ること自体おかしいとは思いますが。

この方は、報道等によると、ダブルマスター(以前は大学院に2つ行くと税理士試験が5科目とも免除となり税理士試験を受けずに税理士になれる)で税理士になった方で、世の中の税理士の不祥事等で国税OBが多いことを考えると、税理士の登録制度や更新制度をゼロから検討しないといけない時代になっているのではないかと改めて感じた事件でした。

神田財務副大臣の知人が自動車税など200万円を立て替えし返済求められても応じていないことについて、あなたはどう思われましたか?


「キャリアアップ助成金」の代理申請で2,300万円を詐取した社労士を逮捕!

毎日新聞 によると、非正規労働者の待遇改善に取り組む事業者に支給される「キャリアアップ助成金」など国の補助金約2,300万円をだまし取ったとして、大阪府警は、先日、元社会保険労務士(39)を詐欺の疑いで逮捕しました。
元や社会保険労務士は事業者の代理で申請を繰り返して報酬を得ていたとされ、大阪府警は業者側の関与の有無も調べています。

キャリアアップ助成金は、事業者が非正規労働者を正社員にしたり、給与をアップしたりした場合、申請に基づいて国が補助する制度です。

逮捕容疑は、社会保険労務士だった2016年8月~2018年10月、大阪府内にある複数社の助成金申請を代行しましたが、非正規の従業員を正社員化したり、健康診断を受けさせたりしたとする虚偽の書類を作り、大阪労働局に提出してキャリアアップ助成金約1,700万円を詐取した疑いです。
また、人材育成制度を導入した事業者を支援する国の補助金「企業内人材育成推進助成金」(名称は当時)約600万円をだまし取った疑いが持たれています。
元社会保険労務士は「間違いない」と容疑を認めているそうです。

キャリアアップ助成金などを巡っては、社会保険労務士ら代理人による申請で不正受給が相次いでいることが、会計検査院の調査でも確認されています。
調査で見つかった不正受給額は総額で数千万円に上るという情報もあり、厚生労働省では不正があった場合の代理人の情報を労働局間で共有しているそうです。

要件が厳しかったり、書類の提出が多かったりすると、使える人や使う人が少なくなり、助成金などの意味があまりなくなりますし、かと言って、緩すぎると、こういった案件が出てくるので、なかなか制度設計として難しい話しのように思います。
もちろん、士業がこういった不正に加担することは決してダメだということは、言うまでもありませんが。
どれくらいやっているのか分かりませんが、補助金や助成金は、事後的に、効果の測定や不正がなかったかどうかのチェックが必要というのは間違いないでしょうね。

「キャリアアップ助成金」の代理申請で2,300万円を詐取した社労士が逮捕されたことについて、あなたはどう思われましたか?


社労士向けのクラウドサービスが重いサイバー被害で復旧遅れや顧問料減!

日本経済新聞によると、国内最大の社会保険労務士向けクラウドサービス「社労夢」が受けたサイバー攻撃の波紋が広がっているようです。
社労士が一時、顧問先の企業の社会保険料や給与を正確に計算できず、企業から顧問料の減額を迫られた例もあるそうです。

「全ての業務が進められなくなった」と、2,700以上の社労士事務所が利用する「社労夢」を手掛ける大阪のシステム会社、エムケイシステムがランサムウエア(身代金要求型ウイルス)の攻撃を受けた2023年6月、SNS(交流サイト)上で社労士の悲鳴が相次ぎました。

社労夢の利用事務所が管理する事業所は約57万です。
クラウド上で給与履歴や勤務表など顧問企業の従業員情報をまとめて見られるのが特徴で、給与の自動計算や社会保険の手続きをする機能も提供しています。
エムケイは幅広い手続きや契約に対応する仕組みをいち早く整え、首位に立ちました。

社労士が被った被害は多岐にわたります。
大阪市のある事務所は勤務時間や年齢情報が分からず、顧問企業の従業員の給与計算ができなくなりました。
数百人いる従業員の情報を1人ずつエクセルに入力して計算し、しのいだそうです。
別の事務所は6月の支払日に間に合わず、前月と同じ給料を支払い、後日調整する措置をとったようです。

6月は社労士にとって通常の給与に加え、賞与の支払い、労働保険料の申告や1年間の社会保険料の基本となる報酬を決定するための書類提出が重なる繁忙期です。
都内のある社労士は「体感の仕事量は通常の3〜4倍だ」と強調しています。
繁忙期のサイバー被害により、長時間残業を強いられる社労士は少なくなかったようです。

関係者によると、企業から顧問料の減額という事実上の賠償を求められた社労士事務所が複数あり、その一部は減額を受け入れたそうです。

エムケイは6月30日以降は一部のサービスを順次再開しましたが、ある社労士は7月に入っても「つながりにくかったり処理速度が遅かったりする不具合が残る」と指摘しています。
「サイバー攻撃を受けて立ち上がった臨時のシステムに入力したデータを本来のシステムに移す作業もスムーズとは言えない」といっています。

エムケイは、再発防止に向けて「外部の専門機関と連携して今後の情報セキュリティーの強化につとめる」としています。

社労夢では従業員の個人情報やマイナンバーも管理しています。
エムケイは、先日、「調査の結果、個人情報の漏洩は確認されなかった」と公表しましたが、サービスを利用していた三井金属や東急のグループ会社ではアルバイトや正社員の情報漏洩リスクを開示しました。

近年は1社のサイバー被害が芋づる式に広がるケースが目立ちます。
2021年7月にはロシア系ハッカー集団が、米IT(情報技術)企業カセヤが提供する法人向けソフトの脆弱性を突き、世界各国のソフトの利用企業を攻撃しました。
カセヤによると最大で約1,500社が影響を受けた可能性があります。

国内では2023年6月8日に約1,100社のLPガス事業者が利用するシステム「クラウドAZタワー」を提供するパーパス(静岡県富士市)がサイバー被害を受け、システムを全面停止しました。
利用する各事業者は、検針や請求などの業務で影響が出ました。

サイバー被害の法務に詳しい山岡裕明弁護士は「(クラウド経由でソフトを提供する)SaaS(サース)の普及でこうした大規模被害が今後は増える」と話しっています。
一般的にSaaS事業者は損害賠償などの責任を制限する条項を契約に入れており、「繰り返し注意喚起された脆弱性を長期間放置するなど悪意や重過失が認められなければ、賠償金額は一定にとどまる可能性が高い」と話しています。

一方、ソフト利用者とエンドユーザーとの間ではそうした契約がない場合もあり、一方的に賠償などを負うことになりかねません。
山岡氏は「ソフト提供業者と同じく責任を制限する契約条項を顧客と結んでおくことが望ましい」と指摘しています。

クラウドサービスは安全と思っている方も多いでしょうから、改めて、こういったリスクも考えないといけないですね。
我々も、会計ソフトや税務申告ソフトが使えないと仕事になりませんし。

社労士向けのクラウドサービスが重いサイバー被害で復旧遅れや顧問料減があったことについて、あなたはどう思われましたか?


成年後見人の立場を悪用して3人の口座から7,200万円を着服した弁護士を起訴!

2023年05月31日(水)

成年後見人の立場を悪用して7,200万円を着服した罪で、京都弁護士会の元弁護士の男が起訴されたようです。

罪を問われているのは、京都弁護士会の元弁護士(71)です。

元弁護士は7年前から2022年にかけて、成年後見人などで3人の口座の管理を任されていましたが、その立場を悪用したのです。

元弁護士は、合わせて7,200万円を着服した罪に問われています。

元弁護士が着服したとされる金は、どこへ行ったのでしょうか?
裁判では、検察側が以下のように指摘しています。
検察側:
着服した現金については経費の支払いや返済などにあてて、残金はカバンに入れて保管し遊興費に使った。

元弁護士は、起訴内容を認めています。

弁護士であった方がどういう意識で着服しているのかよく分かりませんが、管理している口座のお金は自分のものだと思っているのでしょうか?
弁護士の方でもこういうことを起こすわけですから、誰に頼めばいいんだろうか?となってしまうのではないでしょうか?
士業の信用の失墜につながりますので、本当にこういうことはやめてほしいですね。

成年後見人の立場を悪用して3人の口座から7,200万円を着服した弁護士が起訴されたことについて、どう思われましたか?


社労士の女性がコロナ雇調金不正で3,000万円詐取か?

読売新聞によると、国の雇用調整助成金(雇調金)約400万円をだまし取ったとして、警視庁は、先日、社会保険労務士の女性(52)(東京都品川区)、中古車販売業の男性(48)(埼玉県吉川市)の2人を詐欺容疑で逮捕しました。
警視庁は社労士の女が2020年から約10社に不正受給を指南し、約3,000万円を詐取したとみて調べています。

発表によると、2人はコロナ禍の2021年3~7月、男が営む中古車販売会社の従業員2人が半年間休業したとする虚偽の書類を国に提出し、雇調金約400万円を詐取した疑いです。
社労士の女は1回の申請につき手数料8万円と、受給額の2割を報酬として受け取っていたそうです。

雇調金は企業が従業員に支払う休業手当の一部を助成する制度で、コロナ禍を受け助成率や上限額が引き上げられています。

やはり、こういう方がいらっしゃいますね。
雇調金は雇用保険に入っていない企業等まで支給して、原資が枯渇していますので、どんどん調査して、不正分は取り戻してほしいですね。
同じ士業として、不正に手を染める士業の方が出てくるのは本当に残念です。

社労士の女性がコロナ雇調金不正で3,000万円詐取していたことについて、どう思われましたか?


Authense法律事務所が弁理士法人と税理士法人を傘下に!

2022年12月09日(金)

日本経済新聞によると、弁護士法人Authense法律事務所(東京都港区)は2023年1月、商標出願代理件数で国内トップの弁理士法人と、小型の税理士事務所をグループ傘下に取り込むそうです。
「Authense(オーセンス)」を共通ブランドに掲げ、法務、知的財産、税務などに関するサービスをワンストップで企業に提供します。

はつな弁理士法人(東京都千代田区、所属弁理士7人)、日本橋税務会計事務所(東京都中央区、所属税理士3人)とそれぞれ「グループ法人化契約」を結びました。
2023年にそれぞれ「Authense弁理士法人」「Authense税理士法人」に改称し、各代表者が弁護士法人が開くグループ会議に参加します。

はつな弁理士法人は2021年の商標出願代理件数が6,700件超で、国内の弁理士事務所で最多です。
代表の五味和泰弁理士は2016年に人工知能(AI)で顧客の商標登録作業を支援するスタートアップ、cotobox(東京都千代田区)を立ち上げ、現在は同法人と連携しています。

現行法では弁護士法人への出資は弁護士に、弁理士法人への出資は弁理士に限られるなどのルールがあるため、各法人は資本関係は持てません。
売り上げや利益も独立採算を継続しますが、同じブランド名を掲げるグループとして顧客企業に総合的な法律サービスを提供する体制を整えます。

Authense法律事務所は2005年、弁護士ドットコム創業者の元栄太一郎氏が弁護士として設立し、現在は弁護士66人を含む230人の規模です。
現在は社会保険労務士法人、コンサルティング会社などでオーセンスグループを形成しています。
弁理士法人と税理士法人が加わることで、グループ全体の規模が270人規模となります。

将来的には、こういった同じ名前を掲げるグループでワンストップでサービスを提供するのが主流になっていくんでしょうね。
お客さんからすると、業際のことはよく分からず、一つのところに頼んですべてやってくれるところが便利でしょうから。

Authense法律事務所が弁理士法人と税理士法人を傘下におさめることについて、どう思われましたか?


「殺すぞ」「アホか」と奈良税務署幹部が女性税理士に暴言、暴力!

毎日新聞によると、大阪国税局奈良税務署(奈良市登大路町)の副署長だった50代男性が2022年9月中旬、近畿税理士会奈良支部との懇親会で、女性税理士に「殺すぞ」などと暴言を繰り返し、背中や肩を平手でたたく暴力も振るっていたことが関係者への取材で判明したようです。

男性は泥酔状態だったとされ、「酒に酔っていて不適切な言動に及んだことを全く覚えていない」と話しているそうです。

男性は問題発覚後、大阪国税局総務部付に異動しました。
国税局は近く、男性を国家公務員法違反で処分する方針です。

関係者によると、懇親会は2022年9月12日夜に奈良市内で開催され、約20人が参加しました。
奈良税務署側は署長も出席していました。
男性は懇親会の開始から間もない午後6時ごろ、隣の女性税理士と確定申告の業務について会話していた最中にからみ始めたそうです。
相当量の日本酒を飲んでいたとされます。

男性は机をたたきながら、「しょーもないことを言ってくるな」「絶対に許さないからな」と発言したようです。
「殺すぞ」「アホとちがうか」と暴言を繰り返し、女性の背中や肩を平手で何度もたたいていたことも確認されました。
女性にけがはなかったようですが、精神的ショックを受けているそうです。

女性税理士は確定申告を巡り、税務署に税理士会側のさまざまな要望を伝える担当者の一人でした。
目撃情報などによると、男性は税理士会側の要望に不満を抱いていたとみられ、一方的に激高していました。

署長ら税務署側の出席者は別の席にいたため、一連の言動に気付いていなかったとされています。

女性は税理士会を通じて国税局に被害申告し、問題が発覚した模様です。

大阪国税局は毎日新聞の取材に対し、「事実関係を確認した上で厳正に処分する」としています。

あるまじき行為ですね。
お酒の場で、本音が出たんでしょうね。
懇親会だけではなく、意見交換の場もあると思うのですが、そこで話し合えばいいのではないかと思います。
内部の人間だけではない懇親会の場で、言ったことを覚えていないほど飲むのでしょうか?
こういう人でも、税務署をやめたあとは税理士登録できるんでしょうね。
制度を見直してほしいですね。

「殺すぞ」「アホか」と奈良税務署幹部が女性税理士に暴言、暴力を行ったことについて、どう思われましたか?


「判決」「裁決」「判例」の違いは?

ソリマチの税務ニュースによると、我々税理士に対する相談事や税務調査の際の折衝において拠り所とするものが「税法」です。
しかしながら、法律というものは「税法」に限らず、取り扱いを明示しているものではなく、基本的な考え方を示すにとどまっています。
これを補完するために「施行令」や「施行規則」というものも準備されておりますがこちらも法の保管という位置づけに過ぎません。

一方でこれらの法の下、行動をし、結論付けられた結果があります。
これらが「判決」「裁決」「判例」です。
いずれも具体的ケースにおいてどの様に法が解釈され適用されたかということが詳細に示されており、実務上大きな拠り所となります。
近年「裁決」の出たタワマン節税をはじめ、これらの具体事例が今後の税務判断に影響を与えるのです。

<判決>
「判決」は皆様も新聞やニュース、ドラマなどでも耳にしたことがあるのではないでしょうか?
こちらは「裁判所が下した判断の結果」を指します。
それゆえ、「東京地裁で認容」や「最高裁で棄却」などというように実際の裁判が行われた裁判所と合わせて結果が報じられます。
ちなみに、税金に関する争いに対してはいきなり裁判になることはありません。
まずは、「裁決」を経た上で不服が残る場合に訴訟を提起し裁判に移行します。
言い換えれば「判決」は数回に渡り争われた結果ですのでより強い拠り所となります。

<裁決>
一方、「裁決」は聞きなじみがない言葉かもしれません。
こちらは「裁判所」ではなく「審判所」という行政法上の法律関係の訴訟を扱う機関が下した判断です。
国税に関しては「国税不服審判所」という機関がこれを扱います。
納税者は税務署などが行った更正・決定などの課税処分等に不服があるときはその処分や変更を求めて不服申し立てを行うことができます。
その申し立てにつき審判所にて調査及び審理を行った上での判断の結果が「裁決」です。

<判例>
最後に、「判例」は、過去に最高裁判所が下した個別判断である「判決」をまとめたものになります。
「判決」はあくまで個別事案に対しての判断となるわけですが、「判例」として似ている「判決」をまとめることによって、より強い根拠をもたらすのです。

それぞれについての違いを認識していただくと、「判例」>「判決」>「裁決」の順により強い根拠を持つことがご理解いただけるでしょう。
これらが用いられる場面は、税務調査や課税リスクのある取引を行う際など限られているかと思います。
しかしながら、限られた場面であるからこそ、正しい理解の下で結論を導く拠り所として向き合っていきたいですね。

これまでお伝えしてきた拠り所ですが、「判決」も「裁決」も日々新しいものが出てきます。
これまでのものと類似する判断であれば拠り所をより強固なものにすることとなります。
一方、これまでの拠り所を大きく変える「判決」や「裁決」も出てきます。
私たちは常に最新の「判決」「裁決」を学んでいく必要があるわけです。

そもそも争いはないに越したことはないでしょう。
しかしながら、税務調査の場面等で理不尽な指摘を受ける可能性もあります。
税務署は法の専門家ではありません。
間違った指摘には根拠を持った反論が必要です。
争いになる前に、過去の「判決」「裁決」「判例」を正しく理解し、適切な対応を行わないといけません。

これらの違いを的確に答えられるかどうかが、税務調査に強い税理士であるかどうかを見抜く一つの問いかけかもしれません。

税理士としては、当然、何かの判断をしたり、税務調査での指摘に対して反論したりするときなどに、税法を確認したり、「判決」「裁決」「判例」を確認したりします。
納税者の方は、税務は黒か白かがはっきりしていると思っている方が多いのかもしれませんが、税法はバチっと規定しているものは少なく、意外と判断に困るものも多いのです。
そのときに、書籍などから入ることも多いのですが、最終的には、条文や「判決」「裁決」「判例」にあたるようには心掛けています。
反論として、「判決」「裁決」「判例」などを出すと、それであっさりと終わることもあります。
そこが、事務所としてもノウハウにもつながっていきますから。

「判決」「裁決」「判例」の違いは?について、どう思われましたか?


2億4,000万円超を横領した弁護士を逮捕!

テレビ熊本によると、遺産整理の代理人の立場を利用し預り金2,300万円余りを私的流用したとして、弁護士の男が業務上横領の疑いで逮捕されました。

被害総額は2億4,000万円を超えるとみられていて、警察は余罪があるとみて調べを進めています。

業務上横領の疑いで逮捕されたのは、住所不定本籍熊本市の弁護士(49)です。
警察によると、弁護士は、2021年11月、熊本県八代市の夫婦(60代)から依頼された遺産整理の代理人の立場を利用し、管理していた相続財産約2,370万円を横領した疑いです。

被害者夫婦は、2021年10月に亡くなった家族からの相続財産約5,000万円の整理を弁護士に依頼していました。

2022年2月に連絡がつかなくなり、警察に相談したことで事件が発覚しました。

先日、警察が福岡県福岡市内のホテルにいた弁護士を発見し逮捕しました、
調べに対し弁護士は容疑を認め「競馬や私事に使った」と供述しているということです。

熊本県弁護士会によると、この弁護士の私的流用による被害は、これまでに11件2億4,000万円を超えるとみられています。

警察は夫婦から受け取った残りの預り金についても横領したとみて調べを進めるほか、余罪があるとみて捜査を進める方針です。

毎年、このような弁護士が何名か出てきますね。
弁護士なのに、このようなことをするとどうなるか分からないのでしょうか?
弁護士は、お金を預かっていたり、弁護士の口座にいったんお金が入金されたりするのだと思いますが、自分のお金のような錯覚に陥るのでしょうか?

2億4,000万円超を横領した弁護士が逮捕されたことについて、どう思われましたか?


依頼人の高齢女性の遺産など約4億6千万円の横領や詐欺等の罪の元弁護士が起訴内容を一部否認!

東海テレビによると、依頼人の遺産など約4億6,000万円を横領したり詐取したなどの罪に問われている名古屋市の元弁護士の男は、先日の裁判で起訴内容を一部否認しました。

名古屋市瑞穂区の元弁護士(59)は、2022年3月までに代理人を務めていた会社の資産や、依頼人の高齢女性の遺産など計約4億6,000万円を横領したり、だまし取ったりしたなどの罪に問われています。

先日の裁判で、弁護側は会社の資産の横領などは認めたものの、高齢女性の遺産2億3,600万円の詐欺や横領については「債権が存在すると思い手続きしただけ」などと否認しました。

続く冒頭陳述で検察側は、高齢女性への詐欺について「『あなたの預貯金が暴力団に狙われている』とウソを言い現金をだまし取った」などと指摘しました。

なお、元弁護士は、2021年10月の初公判では認否を留保していました。

毎年、何名か横領した弁護士が出てきますが、毎回、こういったことがあると、誰を信じて良いのか分からないと感じてしまいましね。
弁護士も人数が増えて、競争が厳しいのでしょうが、横領等をしても良いということには決してなりません。
本当に、こういったことがないようにしてほしいですね。

依頼人の高齢女性の遺産など約4億6千万円の横領や詐欺等の罪の元弁護士が起訴内容を一部否認したことについて、どう思われましたか?


顧客のマイナンバーを元勤務先から持ち出した疑いで税理士らを逮捕!

毎日新聞によると、元勤務先の税理士事務所から顧客のマイナンバーを含む営業情報を不正に持ち出したとして、京都府警は、先日、京都市下京区の税理士事務所の代表の税理士(39)と同事務所アルバイト(33)を、不正競争防止法違反(営業秘密の領得)とマイナンバー法違反(個人番号の取得)の両容疑で逮捕しました。

京都府警は顧客を奪う目的だったとみています。

逮捕容疑は2020年6月下旬、共謀して2回にわたり、2人が当時勤務していた京都市中京区の税理士法人で、営業秘密に当たる顧客2社の財務情報や、その社員10人分のマイナンバーを含む給与情報などを、パソコンから外付けハードディスクにコピーして持ち出したとしています。
ともに容疑を認めているそうです。

京都府警によると、2人は直後の6月30日に税理士法人を退職し、その後現在の事務所を設立しました。

2020年10月ごろ、税理士法人で顧客の解約が相次いだため社内調査を実施したところ、顧客情報を管理していたパソコンから情報を持ち出した形跡が見つかり、2021年3月に京都府警に相談していました。

税理士は、税理士法人では課長職で、顧客情報が保存されているパソコンへのアクセス権限を持っていました。

京都府警によると、他にも9社の情報が持ち出された形跡があるようです。
今後、情報を営業活動に使用したのかも含め、調べを進めます。

多かれ少なかれ、税理士業界ではあることのように思いますが、逮捕されたというのは、初めて目にしました。
逮捕された税理士なども、おそらく逮捕されるとは思っていなかったでしょう。
税理士事務所の経営者は、職員の退職に伴い、顧客も持っていかれるのが悩みやリスクだと思いますが、逮捕の可能性があるということが公になったことは良いことかもしれませんね。
ただし、税理士事務所を選ぶのはお客さまですから、退職者を選ぶ場合があることは当然あります。
税理士事務所や税理士法人との契約とはゆえ、お客さまと普段接しているのは、所長などではなく職員のことが一般的には多いでしょうから、当然、そういうケースは出てくると思います。
そこを極力なくすように仕組みを作っていくのが、所長などの能力だとは思いますが。

顧客のマイナンバーを元勤務先から持ち出した疑いで税理士らが逮捕されたことについて、どう思われましたか?


資格なしに税務書類作成した会社役員を税理士法違反の疑いで逮捕!

NHKによると、税理士の資格がないのに委託を受けた会社の税務書類を作成したとして、札幌市の会社役員が税理士法違反の疑いで逮捕されようです。

逮捕されたのは、札幌市北区の会社役員(64)です。

警察の調べによると、会社役員は税理士の資格がないのに、2021年2月までのおよそ2年間にわたって札幌や旭川などの7社から委託を受け確定申告の書類を作成したとして税理士法違反の疑いが持たれています。

みずから代表を務める会社には、顧客からあわせて800万円以上の報酬が支払われていたということです。

会社役員は別の脱税事件でも、架空の経費を計上した確定申告の書類を提出したとして法人税法違反などの罪ですでに起訴されています。

警察は認否を明らかにしていませんが、無資格で書類の作成を繰り返していたとみて捜査するとともに、脱税の指南をしていなかったかどうかも調べることにしています。

いまだにこういう『にせ税理士』と言われる方がいらっしゃいますね。
頼む方も、なぜ税理士でない方に頼むのだろうかと思いますが、節税できるからということで一任していたものの、税務調査で架空経費が判明し、すべて『にせ税理士』に任せていたということで判明するんですかね。
税理士法に違反する『にせ税理士』に頼んだ経営者も何か罰するようにしないと、バレなければ得して、バレたら責任を押し付けるということになるのではないかと思います。

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国税OB側が所得隠しを「提案」と不服審判所認定したが国税OBは関与を否定!

産経新聞によると、大阪国税局OBの男性税理士(72)が代表を務める税理士法人が、顧問先の課税を不正に免れるため、所得隠しを提案していたと大阪国税不服審判所の裁決で認定されたことが、先日、関係者への取材で分かったようです。
所得隠し額は約1億3千万円で、大阪国税局の税務調査で発覚しました。
国税OB税理士は取材に対し、関与を否定したようですが、専門家は税理士法に抵触する可能性を指摘しています。

関係者の話や関係資料などによると、税務調査の対象は、大阪府内の太陽光発電会社側が2016年、神奈川県内で実施した太陽光発電パネル設置工事をめぐる会計処理です。
発電会社がグループ会社から発注を受ける形で工事が実施され、2016年6月までにグループ会社から工事代金として約4億6千万円が支払われました。

うち約1億3千万円が神奈川県の補助対象で、2016年8月に神奈川県から補助金を受け取った発電会社は、補助金と同額を発注元のグループ会社に送金しました。
しかしながら、グループ会社は送金額は工事代金の値引き分だとして、2016年12月期の収益に計上しませんでした。

これに対し、国税局は、2社間で値引きの事前合意は確認できず、補助金の収益計上を免れるために値引きを偽装した悪質な所得隠しと判断しました。
グループ会社に2019年4月、重加算税を含む約4千万円を追徴課税(更正処分)しました。
同社は処分を不服として国税不服審判所に審査請求しましたが、2020年6月の裁決で棄却されました。

裁決では、値引きの事前合意を装った会計処理が、税務顧問だった国税OB税理士側の提案だったとも認定しています。
事前合意があったと装うため発電会社本体の帳簿を作成し直した上で、当初の帳簿を国税局側に見せないことや、以前の書類やデータを破棄することも国税OB税理士本人らが指示したと指摘しました。

関係者によると、グループ会社を合併した発電会社は裁決後、国税OB税理士側に損害賠償を請求しました。
2021年4月ごろ、国税OB税理士側が別の業務上の不備と合わせ、解決金2,800万円を発電会社に支払うことで決着しました。

国税OB税理士は取材に対し、所得隠しの提案を「していない」と否定しています。
解決金の支払いは認めましたが、理由は「消費税の手続きで失敗したため」と説明しました。
発電会社側の担当者は「お答えできない」としています。

税理士法人のホームページによると、国税OB税理士は大阪国税局で約30年にわたり法人調査などを担当し、退職後の約20年前から税理士として活動しています。

税理士法では、税理士が脱税や所得隠しを指南するなどした場合、業務停止など懲戒処分の対象になると規定しています。
大阪学院大の八ツ尾順一教授(租税法)は「税理士側の行為が事実ならば安直な上に悪質で、法に抵触する可能性もある」としています。

「税務のプロ」である国税局OBの税理士が、経験や専門知識を悪用し、顧問先の不正に加担する事例は後を絶ちません。
悪質な不正に関与した国税OB税理士が逮捕されるケースも目立ちます。

顧問先の企業に脱税を指南したなどとして、大阪国税局OBの税理士が2013年3月、法人税法違反容疑で大阪地検に逮捕されました。
立件された脱税額は約2億7千万円にのぼり、情報漏洩えいの見返りに国税局職員に現金を渡していました。

2020年12月には、新型コロナウイルス禍で収入が減った事業者らを支援する国の持続化給付金をだまし取ったとして、大阪国税局OBの元税理士が詐欺容疑で大阪府警に逮捕されました。
40件以上の不正受給の指南に関与し、給付金の一部を報酬として受け取ったとされています。

国税庁によると、2016年度~2020年度、税理士法の規定で税理士らが業務の停止や禁止といった懲戒処分を受けたのは計193件です。
5年間で最多の2018年度には処分が51件にのぼりました。
処分の多くが、虚偽内容の税務書類を作成して脱税や所得隠しに関与したケースでした。

<国税不服審判所>
国税局や税務署から独立した国の機関で、東京・霞が関の本部のほか、全国に12支部と7支所があります。
納税者の正当な権利利益の救済を目的に、課税処分などに対する審査請求について、3人以上の国税審判官などの議決に基づいて裁決を行います。

最近、脱税指南などでニュースになる税理士は国税OBが多いですね。
脱税ほう助って、税理士が一番やってはいけないことだと思うのですが、元々、国側で税金を取る立場にあった国税OB税理士が脱税ほう助をするなんて、国税局や税務署ではどういった教育がなされているんでしょうね。
早く、国税で一定期間以上勤務した職員が、試験もなく税理士に登録できるという制度を見直さないといけない、少なくとも、職業倫理の試験ぐらいは課さないといけないのではないでしょうか?

国税OB側が所得隠しを「提案」と不服審判所認定したが国税OBは関与を否定していることについて、どう思われましたか?


コンサルが所得隠しを指南し国税OBが申告を担当していたが廃業で「懲戒処分逃れ」!

読売新聞によると、経営コンサルティング会社(千葉県市原市)と顧問先の約50社が東京国税局の税務調査を受け、昨年までの7年間に計約20億円の所得隠しを指摘されたことが関係者の話でわかったようです。
経営コンサルティング会社の元社長が、「赤字法人」を使った税逃れを指南していました。

経営コンサルティング会社の元社長が指南した所得隠しで、税務申告の手続きを担っていたのは、元社長が実質経営していた税理士法人(千葉県市原市)でした。
所属する税理士3人はいずれも東京国税局OBで、税務調査の開始後に税理士を廃業し、懲戒処分を免れていました。

税理士法は、税理士が不正に関与した場合、国税当局が調査し、財務省が業務停止などの懲戒処分を行うと定めています。
処分時には、官報などで氏名や不正の概要が公表されます。

しかしながら、対象は税理士に限られ、今回廃業した3人の調査や処分、氏名などの公表は行われていません。
制度上、再び税理士に復帰することが可能なため、こうした廃業は「懲戒逃れ」として以前から問題視されています。

国税庁税理士監理室によると、廃業によって税理士に対する調査ができなくなった場合でも、税理士に復帰すれば調査の再開が可能です。
ところが、廃業中に関係者への口止めや口裏合わせを行う悪質なケースもあり、復帰後の調査で不正の裏付けが取れず、懲戒処分に至らないこともあるそうです。

税理士法人の3人の中には税務署長経験者も含まれ、こうした実態を熟知していた可能性があります。
3人のうち1人は取材に対し「お話しできない」と答えたようです。

税理士制度に関する著書のある浪花健三税理士は「懲戒逃れの横行を許せば、税理士制度への信頼が揺らぐ。調査中の廃業を認めないなど、“逃げ得”を防ぐ必要がある」と話しています。

年に何度か税理士が脱税指南に関わっていたというニュースなどを目にしますが、国税OBが多い(ほとんど?)ように思います。
一時期、公認会計士などが税理士登録できないようにする動きがありました(結果的にはなりませんでした。)が、その時から言っていますが、公認会計士や弁護士の税理士登録を排除するよりは、国税OBの無試験での税理士登録を見直した方が良いのではないかと思っています。
廃業すれば処分されないというのも以前からおかしいと言われていたところですが、それも改正が必要だと思いますし、税理士登録の在り方や、税理士登録後の更新制度みたいなものも考える時期に来ているのではないかと思います。

コンサルが所得隠しを指南し国税OBが申告を担当していたが廃業で「懲戒処分逃れ」したことについて、どう思われましたか?


納税者の個人データ持ち出した上席国税調査官を懲戒処分!

読売新聞によると、熊本国税局は、先日、私的な目的で部内のシステムを使い、知人や同僚の個人情報を閲覧したとして、熊本県内の税務署に勤務する上席国税調査官の男性(50歳代)を停職3か月の懲戒処分にしました。
なお、男性は同日、辞職しました。

発表によると、2018年6月~2021年2月、知人や同僚ら延べ266人分の氏名や住所、生年月日を閲覧したり、納税者の申告内容のデータを持ち出したりしていました。
また、インターネットの投稿サイトに知人を中傷する書き込みをし、名誉き損罪で罰金10万円の略式命令を受けていたそうです。
熊本国税局に対し、「その時々の感情で行った行為で、反省している」と話したそうです。

熊本国税局は、「税務行政に携わる公務員としてあるまじき行為。誠に遺憾で、深くおわびする」としています。

国税局の職員も、毎年、おかしなことをする方が何名か出てきますね。
名前も出ませんし、おそらく何年かすれば税理士登録ができるんですよね。
この辺りは、税理士法を改正して、税理士登録できないようにしてほしいです。

納税者の個人データ持ち出した上席国税調査官が懲戒処分となったことについて、どう思われましたか?


三菱UFJ銀行本店に「ニセ税理士」が勤務!

週刊新潮 によると、三菱UFJ銀行本店で「ニセ税理士」が堂々と働いているそうです。
無資格の者が税理士業務に携わる「ニセ税理士事件」について時折警察当局が摘発して報道もされますが、日本を代表する大企業が深く関わったケースは、おそらく過去に類例がないのではないでしょうか?

西川美和監督の映画「ディア・ドクター」の主人公は、笑福亭鶴瓶が演じるニセ医者・伊野治です。
山間部の寒村にある村営診療所で働くただ一人の医者として村民から慕われていた伊野は、ある出来事をきっかけに失踪しました。
その後、彼が医師免許を持たないニセ医者だと判明するが、それでも伊野を悪く言う村民はほとんどいませんでした……。
そんなストーリーの映画が公開されたのは2009年です。
一方、令和の現実世界に“発覚”したニセモノ騒動の舞台は、世界第5位の総資産額を誇る三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)傘下の三菱UFJ銀行です。
なんとその本店で堂々と「ニセ税理士」が働いているというのですから、事実は小説より何とやら、です。

問題の人物はKPMG税理士法人から三菱UFJ銀行本店に出向している30代前半の男性社員、西田公介氏(仮名)です。
ちなみにKPMGは世界四大会計事務所(BIG4)の一角を占める多国籍企業です。

「18年12月頃に出向してきた西田さんは三菱UFJ銀行本店のソリューションプロダクツ部ソリューションフィナンシャルグループに所属しており、同部署の職員はもちろん、同グループの職員も、彼のことは税理士だと思っています」
そう語るのは三菱UFJ銀行関係者です。

「その彼が実は“ニセ税理士”だと気づいたのは先月のことです。ある日、たまたまKPMGの関係者と話す機会があり、西田さんの話題になった時、その関係者が“西田さんは税理士ではない”と言うのです。彼が社内外で配っていた名刺にははっきりと『税理士』とありますし、本人も税理士を名乗っていたので最初はそんなことはあるはずがないと、信じられずにいました。しかし……」

この関係者が半信半疑で日本税理士会連合会のHPにある税理士情報検索サイトに彼の名前を打ち込んでみたところ、「該当するデータはありませんでした」とのメッセージが。

「念のため、連合会には電話でも問い合わせましたが、“その名前の税理士の登録はない。彼の職場での行為は税理士法違反にあたる”と言われました。最初は銀行に告発しようと考えました。しかし、もし銀行も組織ぐるみで関与していたとしたら……。大きな組織ですし、隠蔽されてしまったり私自身が不利益を被る可能性もあります」(同)

そこで、「週刊新潮」に情報提供するに至ったわけだそうです。
週刊新潮も独自に日本税理士会連合会に問い合わせたようですが、やはり彼の名前での税理士登録はなかったそうです。

「税理士名簿に名前のない者は税理士業務を行うことはもちろん、税理士を名乗ることも許されません。税理士法第52条では税理士でない者の税理士業務が禁止されており、これに抵触する場合は2年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されます。また第53条では税理士でない者が税理士を名乗ることを禁止しており、これに反すると100万円以下の罰金を科されます」(日本税理士会連合会の担当者)

実際、無資格の者が税理士業務を行う「ニセ税理士事件」は過去に何度も摘発されており、悪質だとして逮捕されたケースもあります。

ちなみに税理士試験の科目には会計学科目と税法科目の2種類があり、会計学科目2科目、税法科目3科目の計5科目をパスすると合格となり、晴れて税理士になれます。
西田氏は一部の科目をすでにパスしている「科目合格者」ではあるようですが、
「科目を一部パスしていても税理士業務はできないし、税理士と名乗ることも許されません」(同)

一体なぜ日本を代表するメガバンクで「ニセ税理士」が働いているのでしょうか?
名刺に「税理士」と書かれていることについて西田氏本人に聞くと、
「僕はそれは分かんないです。上の……上の判断なので。僕は知らないです」

三菱UFJ銀行にも取材を申し込んだところ、文書で回答が寄せられようです。
「ご指摘を受けて調査したところ、名刺の肩書に税理士の表記があることが判明致しました。当行顧客又は第三者に対して税務アドバイス等の業務は提供しておらず、税理士法52条違反に当たるとの認識はございません」

事情を知るMUFG関係者によると、
「彼が税理士資格を有していないことは受け入れ時には分かっていたのですが、彼の前にKPMGから出向してきた人が全員税理士さんだったので、勘違いして、前任者の名刺の名前と連絡先だけを変えたものを作ってしまったようです」

KPMG税理士法人は、
「出向中の業務は税理士業務に該当しないことを確認しております」

揃って「税理士業務はしていない」と強調する両社ですが、しかし、彼の名刺には「税理士」と記載され、彼が銀行内外で「税理士」として振る舞っていたことは紛れもない事実です。
その彼が税理士業務に携わっていないとは、いかにも不自然な言い訳です。

先の三菱UFJ銀行関係者はこう話しています。
「彼は銀行内で税務の相談に乗るだけではなく、社外の人のいる席にも同席していたはずです」

そもそも、無資格者が税理士と名乗るだけでも税理士法違反になることは前述のとおりです。
「それは詐称であり、刑法上の問題に問われる可能性もあります」(税理士の浦野広明氏)

さらに奇妙な事実があるようです。
西田氏の知人によると、
「彼は17年頃にKPMGに入っているのですが、その前にも会計や税務を扱う会社で働いていました。その時にはすでに自分は税理士だと言っていましたよ」

そんな彼が三菱UFJ銀行に出向してきた際、“誤って”名刺に税理士と記載されるというのは驚くべき偶然と言う他ありませんが、あるいは、その裏に事の真相が隠れているのでしょうか?

「彼はどんな席などでも仕事を聞かれたら税理士と答えていました。だから彼の友人は皆、当然のように本物の税理士だと思い込んでいました」
西田氏の地元の知人男性はそう語っています。

「ただ、それが嘘だったとしても、“彼ならやりかねないな”としか思いません。彼の実家は会社を経営しているお金持ちで、小さい頃から欲しいものは何でも手に入る環境で育った。そのせいかワガママな性格で、自分の思い通りにするためなら平気で嘘をつくようなところがあるのです」

その私生活も決して褒められたものではなく、
「彼女がいるのに新しい女を探して乗り換え、さらに女を物色する、といったことを繰り返しており、女性を騙してトラブルになったことも。それでいて“子育て中の女性の活躍をサポートしたい”と語るなど、二面性を持っています」(同)

冒頭で触れた映画「ディア・ドクター」の予告編には、「人は誰もが何かになりすまして生きている」という言葉が出てくる。西田氏は自身のインスタグラムでセレブのような生活を自慢していたという。本誌が彼に取材した直後、そのインスタは非公開となったようです。

自分自身関係ないので詳しいことは分からないのですが、税理士の登録は、開業税理士、所属税理士、社員税理士(税理士法人のパートナー税理士のことです。)しかなく、企業に所属している場合、開業税理士として登録していたとしても、その企業の業務の一環として税理士業務はできないのではないでしょうか?
また、税理士は、2か所事務所禁止という厳しい決まりがあります。
そう考えると、税理士だとしても、企業に勤務している税理士が名刺に税理士ということを書くこと自体アウトな気がしますがどうなんでしょうね?
三菱UFJ銀行やKPMG税理士法人は、その辺りもきちんと説明してほしいですね。

三菱UFJ銀行本店に「ニセ税理士」が勤務していることについて、どう思われましたか?


顧客口座から4,000万円超を着服した行政書士に実刑判決!

産経新聞によると、財産を管理する女性の口座から現金4,635万円を引き出して着服したとして、業務上横領の罪に問われた行政書士(52)の判決公判が、先日、函館地方裁判所で開かれ、酒井孝之裁判官は懲役3年6月(求刑懲役5年)を言い渡しました。

判決理由で酒井裁判官は、「契約から2か月とたたないうちに着服し、事務所の運営経費や生活費、投資資金に充て、専門職の財産管理者としてあるまじき行為」と指摘しました。

判決によると、この行政書士は、2016年10月から約2年間、女性の口座から50回にわたって現金を引き出し、着服しました。

弁護士、司法書士、行政書士など、着服する士業が跡を絶ちませんね。
フロフェッショナルとしての自覚やプライドはないのでしょうか?
どの士業の業界も、人数の増加や法人数の減少などで厳しくなってきているのは分かるのですが、サービス内容や新しい仕事の創出などで仕事を取っていくべきで、決して横領などはしてはいけないのは言うまでもないと思いますが。

顧客口座から4,000万円超を着服した行政書士に実刑判決が言い渡されたことについて、どう思われましたか?


遺産2,400万円着服の弁護士を愛知県弁護士会が処分!

中日新聞によると、愛知県弁護士会は、先日、依頼人の遺産約2,400万円を着服したなどとして、愛知県弁護士会所属の弁護士(81)を業務停止1年6か月の懲戒処分にしたと発表しました。

愛知県弁護士会によると、この弁護士は高齢女性が2017年9月に亡くなると遺言執行者に就任し、遺言通りに遺産を分配する立場でしたが、1か月後に女性の預金口座を解約し、払戻金約2,400万円を、預り金を管理する口座でなく、通常業務で使う口座に送金し、全額を着服しました。

他の依頼者からの預り金の返済などに充てたそうです。
遺産を受けるはずだった団体の代表者と2021年1月に和解が成立し、頭金1,300万円は弁済したそうです。

他に、交通事故の損害賠償請求案件を受任したのに一方的に辞任し、書類も紛失したそうです。

愛知県弁護士会の井口浩治会長は「市民の信頼を大きく損なう行為で心よりおわびする」と謝罪しました。

弁護士も毎年何名か着服する人が出てきますよね。
おそらく、表沙汰になっているのは、氷山の一角なんでしょう。
残念ではありますが、倫理の研修も必要な時代になっているのではないかと思いますね。
職業的専門家として、プライドを持って欲しいです。

遺産2,400万円着服の弁護士を愛知県弁護士会が処分したことについて、どう思われましたか?


元弁護士が成年後見人の立場を悪用し2,100万円を横領!

読売新聞によると、成年後見人の立場を悪用し、現金2,100万円を着服したとして、京都地検は、先日、京都弁護士会の元弁護士(53)を業務上横領罪で在宅起訴したと発表しました。

起訴状では、元弁護士は2018年11月~2019年11月、成年後見人として保管していた預金口座から12回にわたって計2,100万円を着服した、としています。
京都地検は、認否を明らかにしていません。

成年後見人に選任した家庭裁判所が、業務の状況を確認したところ不正行為が疑われたことから、2020年5月に京都地検に刑事告発していました。

京都弁護士会によると、元弁護士は2020年7月に同会を退会したそうです。

毎年、何名かは、横領する弁護士が出てきますね。
社会的信頼のもとに、弁護士が成年後見人として選任されているんでしょうから、プライドを持って業務にあたって欲しいですね。
弁護士がこういった事件を起こすと、誰を信じて良いのか、誰を成年後見人として選任すべきかということになり、本人だけではなく、弁護士業界や、他の士業の業界にも悪影響を及ぼしてしまいます。
やはり、弁護士は人数が増えすぎて、食べていけない人がたくさん出てきているということなのでしょうか?

元弁護士が成年後見人の立場を悪用し2,100万円を横領していたことについて、どう思われましたか?


複数の税理士が関与した持続化給付金の不正受給疑惑で農林水産大臣が「JRAは厳正な対応を」と指示!

デイリースポーツによると、JRAの東西トレセン関係者が、新型コロナウイルスに関する持続化給付金を不正に受け取った疑いが浮上した問題で、先日、野上浩太郎農林水産大臣は「厳正な対応を」とJRAに調査を指示しました。
また、この件には複数の税理士が関わっているとみられ、仲介者を通じて熱心な勧誘が行われていたことが分かったようです。

野上農林水産大臣は、調教助手らによる持続化給付金の不正受給疑惑を受け、JRAに事実関係を把握するよう指示したと明らかにしました。
衆院予算委員会で「競馬への信頼を確保するため、不正受給があれば返還させるなど厳正な対応を取るよう指示した」と述べました。

委員会にはJRAの後藤正幸理事長も出席し、日本調教師会に調査を要請したと説明しました。
「必要な対応を取りたい」と語りました。

調教助手や厩務員を巡っては、レースの獲得賞金に応じて得られる報酬が新型コロナウイルスの影響で減少したとして、国の給付金を不正に申請し、受け取った疑いが浮上し、調教師会が返還を求めています。

他の記事によると、調教助手や厩務員は固定給をもらい、それに加えてレースの獲得賞金に応じた金額を受け取り、その部分を個人事業主として確定申告しているようです。
JRAのレースは無観客とかにはなったようですが、レース自体は減っておらず、収入が減ったのは、単にレースの成績が悪かっただけで、新型コロナウイルスの影響はまったくないということで、問題になっているわけです。
不正でかんぽを販売できなくなり、収入が減ったものの、新型コロナウイルスの影響はまったくないとされた郵便局の職員と同じですね。
熱心な勧誘をした税理士に言われるがまま持続化給付金を申請した方も多いのでしょうが、他人任せではなく、自分で納得したうえでやらないといけないですね。
こういうので稼いでいる税理士もどうかと思いますが、税理士の信頼性を損ねているわけですから、適性に処分してほしいですね。

複数の税理士が関与した持続化給付金の不正受給疑惑で農林水産大臣が「JRAは厳正な対応を」と指示したことについて、どう思われましたか?


沖縄のコロナ給付金詐欺で逮捕された税理士は「金に困って」勧誘?

沖縄タイムス社によると、沖縄県警特別捜査本部は、先日、国の持続化給付金100万円をだまし取ったとして、那覇市の税理士・行政書士の男(51)を詐欺容疑で逮捕しました。
共謀したとして、那覇市の会社役員の男性(54)、妻で自営業の女性(53)両容疑者(いずれも別の詐欺罪で起訴済み)を同容疑で再逮捕しました。
持続化給付金を巡る詐欺事件で現役税理士の逮捕は、全国初とみられます。

沖縄県内の詐欺事件での逮捕者は、この税理士が5人目です。
これまで逮捕された4人は、同容疑者の税理士事務所でうその内容で申請手続きを済ませており、同事務所を起点に不正受給が広がった可能性が高いようです。

逮捕容疑は2020年5月9日~19日に、県内在住の女性と共謀し、確定申告や売上台帳に虚偽の職業や売上金を記載して、女性名義の口座に給付金が振り込まれるよう申請し、100万円をだまし取った疑いがあります。
口座名義の女性は詐欺容疑で書類送検されました。

沖縄県警は捜査に支障があるとして逮捕した3人の認否を明らかにしていません。

先日、捜査本部は容疑者の自宅や那覇市久米の税理士事務所を家宅捜索し、那覇地検へ送検しました。

逮捕された税理士を知る人物によると、複数の知人や元顧客から借金を重ね、資金難に陥っていたそうです。
「お金に困っていて、そこに持続化給付金の話が舞い込んだ。手っ取り早く稼げると思ったんだろう」

2020年5月に持続化給付金制度が始まると、税務処理で面倒を見る飲食店関係者に電話し、申し込みを募ったそうです。
口コミで瞬く間に広がり、事務所前に列をなして手続きを待つ飲食業関係者が目撃されているようです。

ある飲食店オーナーは同容疑者から電話で誘われ、税理士事務所で手続きを済ませ、手数料として15万円を支払ったそうです。
その時、容疑者の隣にいた会社役員の容疑者から「従業員でも給付金申請ができる」と言われたが、思いとどまったそうです。

同容疑者は2009年に税理士事務所を開業し、2017年ごろに現在の那覇市久米の事務所に移り、同じ関西出身の会社役員と知り合ったようです。

手数料が億単位のようですし、行列ができていたくらいなので、かなりの数の法人や個人事業主の方がされているんでしょうね。
話しに乗った方もおかしいとは思わなかったんですかね。

沖縄のコロナ給付金詐欺で逮捕された税理士は「金に困って」勧誘していたことについて、どう思われましたか?


長野県松本市の弁護士が3,000万円の横領で長野県弁護士会が退会命令!

長野県弁護士会は、先日、同会所属の松本市の弁護士(34)が2018年、交通事故で重度の障害を負った県内の男性の成年後見人の立場を利用し、保険会社からの損害賠償金3千万円を横領したとして、退会命令の懲戒処分としたと発表しました。
松本市の弁護士は事実を隠すため、示談書や通帳の記載を偽装していたそうです。
男性側に謝罪し、全額を弁償したものの、私文書偽造・同行使容疑も含め犯罪行為に当たると判断しました。
長野県弁護士会は、刑事告発したかどうかは明らかにしていません。

長野県弁護士会によると、この弁護士は2016年9月から男性の代理人として交通事故の加害者側と示談交渉に当たり、2018年4月に保険会社から3千万円を預かり金口座に振り込ませました。
外国人で日本語での意思疎通が困難だった妻から委任を受け、2018年6月に男性の成年後見人に就任しました。
着手金や報酬金などの名目で2020年1月までに3回に分け、自らの業務用個人口座や法人口座に振り替えて横領しました。

長野県弁護士会は2020年5月、関係者からの告発を受け事実関係を調査しました。
この弁護士は事実を隠すため、男性を支援してきた社会福祉協議会や長野県弁護士会に対し、示談書や通帳を偽装して提出するなどしていたことが分かったようです。
裁判官や弁護士でつくる懲戒委員会が、先日、退会命令相当と議決しました。

退会命令は、除名に次いで重い懲戒処分です。
この弁護士は同会員ではなくなり、弁護士として活動できなくなります。
既に業務を停止し、担当事件は他の弁護士に引き継いだそうです。

中嶌知文会長は、先日、長野市の長野県弁護士会館で「重大な非行。被害者らに申し訳なく誠に遺憾」と謝罪しました。
今後、全会員対象の研修などで再発防止に取り組むとしました。

弁護士なので、私文書偽造がダメということは分かると思いますが、弁護士に限らず、こういうことがあると、成年後見人制度自体の意味がなくなってくるのではないかと思います。
人数が増えて、食えない士業が増えていることに起因していると思いますが、本当に、倫理教育や、担保提唱などをするようにしないと、今後も同じようなことが起こるでしょうね。

長野県松本市の弁護士が3,000万円の横領で長野県弁護士会が退会命令を出したことについて、どう思われましたか?


「誤った価値観」で遺言書を偽造した弁護士に有罪判決!

神戸新聞によると、法定相続人がいない故人の親族らと共謀して偽の遺言書を作成したとして、有印私文書偽造・同行使の罪に問われた兵庫県弁護士会所属の弁護士(43)の判決公判が、先日、神戸地裁でありました。
松井修裁判官は懲役2年、執行猶予4年(求刑懲役2年)を言い渡しました。

判決によると、弁護士は故人の親族ら2人と共謀して2020年1~2月、自筆証書遺言1通を偽造し大阪家裁に提出しました。
また、別の故人の親族2人と共謀して2020年4~6月、自筆証書遺言1通を偽造し同家裁に提出しました。

松井裁判官は、量刑理由で「自筆証書遺言の社会的信用を失墜させる悪質なもの」と指摘しました。
弁護士が依頼者に遺言の案を提示していたことなどから「主導的な立場だった」と述べました。

弁護士は被告人質問で、「(法定相続人がいない故人の)遺産が国に帰属するよりも、近しい人のものになるべきという誤った価値観を持っていた」と弁解しました。
経営する法律事務所の事務員に「おかしい」と指摘されたこともあったようですが、「手続きが進んでいたので思いとどまる勇気がなかった」と話していました。

兵庫県弁護士会は弁護士法に基づき、同会の独立組織に被告の懲戒請求をしており、今後処分されるそうです。

法定相続人がいない場合、遺産が国に帰属してしまうので、近しい人のものになるべきというのは分からなくもないですが、それは、当然、生前に対策をしておかないといけないことです。
当然、法律の専門家である弁護士の方だと分かることだと思いますが、なぜ、こういったことに走るんでしょうね。
弁護士が増えすぎて、なかなか食えない時代になっているのかもしれませんが、弁護士の資格を失ってしまうような行為をする理由が僕には理解できません。
弁護士だけではないでしょうが、こういった方々が増えてきているので、士業の方々も、残念ではありますが、毎年、きちんと倫理教育をしないといけない時代になっているのかもしれませんね。

「誤った価値観」で遺言書を偽造した弁護士に有罪判決があったことについて、どう思われましたか?


依頼者から預かった800万円を着服した元弁護士を横領罪で起訴!

産経新聞によると、依頼人から預かっていた現金800万円を着服したとして、大阪地検は、先日、業務上横領罪で大阪弁護士会所属の弁護士だった容疑者(38)を起訴しました。
大阪地検は認否を明らかにしていません。

起訴状などによると、元弁護士は兵庫県西宮市の70代女性から依頼を受けた訴訟関連手続きをめぐり、女性から供託金として預かっていた800万円を着服したとしています。

元弁護士は起訴内容とは別に、弁護士が任意加入する会派の口座から計約1,980万円を横領したとして2020年9月、大阪弁護士会から退会命令の懲戒処分を受け、弁護士としての活動はできない状態だそうです。

最近、弁護士の横領等も多いですね。
この前、たまたまネットで調べていると、香川県でも約180名もの弁護士がいらっしゃいますね。
数年前まで、公認会計士より少なかったと思いますが、知らない間に、香川県でも公認会計士の1.5倍くらいになっていますね。
弁護士の仕事が極端に増えているわけではないでしょうから、当然、人数が増えると食えない人が増えてくるのではないかと思います。
そうなると、こういったことが必然的に増えてくるんでしょうね。
あまり人数を増やし過ぎると、良くないんでしょうね。

依頼者から預かった800万円を着服した元弁護士が横領罪で起訴されたことについて、どう思われましたか?


行政書士が顧客の預金の着服を認める!

NHKによると、財産を管理していた顧客の口座から現金を引き出して着服したとして業務上横領の罪に問われている行政書士の男の初公判が函館地方裁判所で開かれ、男は起訴された内容を認めました。

函館市の行政書士(51)は、2018年4月から8月にかけて財産の管理を委任されていた70代の女性の銀行口座から合わせて270万円を引き出して着服したとして業務上横領の罪に問われています。

函館地方裁判所で先日開かれた初公判で、行政書士は「認めます」と述べ、起訴された内容を認めました。
このあと検察側は冒頭陳述で「クレジットカードの支払いが毎月100万円ほどあり、その支払いに困っていたことなどから被害者の口座から金を引き出して着服した」と指摘しました。

また、行政書士はこのほかにも女性の口座から3千数百万円を引き出し着服していたとして、2020年9月、業務上横領の疑いで追送検されていて、検察は2020年9月25日の裁判で今後、追起訴する方針を明らかにしました。

次回の裁判は2020年11月6日に行われます。

クレジットカードの支払いが毎月100万円ほどっていうのは、一体何に使っているんでしょうね。
こういう人がいるので、士業の信頼が失われていくのは残念ですね。
僕は公認会計士ですが、いわゆるCPE(継続的専門研修制度)の中で、毎年『職業倫理』を2単位以上取得しないといけないのですが、以前から『職業倫理』の研修受講義務化は必要ないのではないのかと思っていますが、残念ながら、こういう事件があると、毎年、すべての士業などの専門家に義務付ける必要もあるのではないかと思ってしまいますね。

行政書士が顧客の預金の着服を認めたことについて、どう思われましたか?


弁護士が遺言書を偽造!

NHKによると、相談者からの依頼で、亡くなった親族の遺言書を偽造するなどした罪に問われている兵庫県弁護士会の弁護士の裁判が神戸地方裁判所で始まり、弁護士は起訴された内容を認めたようです。

兵庫県弁護士会に所属する弁護士(43)は、依頼を受けた兵庫県洲本市の相談者など2組4人に、それぞれの亡くなった親族の遺産を相続させるなどの目的で遺言書を偽装し、2020年2月と6月に裁判所に提出したとして、有印私文書偽造などの罪に問われています。

神戸地方裁判所で開かれた先日の初公判で、弁護士は「間違いありません」と起訴された内容を認めました。

検察は冒頭陳述や証拠調べのなかで、「おととしごろから早く安定した収入を得たいなどとして、相談者に偽造を勧めるようになった。被告は『よほどのことがない限り筆跡鑑定は行われない。偽装とは分からない』などと話し、相談者は被告が作った案に従って遺言書を偽造した」と指摘しました。

一方、弁護側は「被告は報酬や相談料として1,800万円余りを得たが、すでに全額返還している。また、弁護士の資格を返上する手続を取っている」と述べました。

次回の裁判は10月30日に行われる予定です。

兵庫県弁護士会では、資格返上の手続きとは別に懲戒処分のための手続きを行っているということです。

安定した収入を得たいということで、法律の専門家である弁護士がこういうことをするということが信じられないですね。
バレるとどうかるかというのは、弁護士が一番分かっているような気がしますが。
一方で、相談者もおかしいなぁと思わないといけないと思います。
悲しいことですが、専門家ですら信用できない時代になっていますので、セカンドオピニオンも重要かもしれませんね。

弁護士が遺言書を偽造していたことについて、どう思われましたか?


「8億円脱税」認定の弁護士ら2人に逆転有罪判決!

毎日新聞によると、個人の不動産取引を会社による取引のように装い、脱税したとして所得税法違反に問われた弁護士(78)と元妻の公認会計士(69)の差し戻し審で、東京地裁は、先日、弁護士に懲役2年6月、罰金2億円(求刑・懲役3年6月、罰金2億5,000万円)、公認会計士に懲役1年6月(同・懲役2年)の逆転有罪判決を言い渡しました。
野原俊郎裁判長は「計画的かつ大がかりで手が込んだ犯行」と述べました。

両被告は2010年に東京地検特捜部に逮捕・起訴され、2014年に東京地裁で無罪とされました。
しかしながら、東京高裁が2016年、1審判決を破棄して審理を地裁に差し戻す判決を言い渡し、2017年に最高裁で確定しました。

公判では、被告の知人らが役員だった会社の不動産取引が争いになり、1審判決は「弁護士が取引の利益を受け取ったとはいえない」としていました。

これに対し今回の判決は、弁護士が返済予定のない金銭を会社から受け取っていたことなどを列挙し、実質的に弁護士の支配下にあり、取引の利益は弁護士に帰属すると認定しました。
公認会計士も弁護士と共謀関係にあったとしました。

判決によると、両被告は共謀して2004年と2005年分の弁護士の所得税計約8億1,067万円を脱税しました。

有罪になったくらいなので、かなり悪質だったんでしょうね。
弁護士と公認会計士が共謀して行うなんて、同業者として、非常に残念ですね。
脱税ではなく、節税に知恵を絞ってほしかったですね。

「8億円脱税」認定の弁護士ら2人に逆転有罪判決があったことについて、どう思われましたか?


弁護士が遺産4,200万円を着服した疑いで逮捕!

関西テレビによると、大阪弁護士会所属の弁護士の男が、遺産の相続で預かっていた現金約4,200 万円を着服した疑いで逮捕されたそうです。

警察は、男が着服した金を借金の返済にあてていたとみて調べています。

業務上横領の疑いで逮捕されたのは、大阪弁護士会所属の弁護士(74)です。

警察によると、この弁護士は、成年後見人として依頼を受けていた70代の男性が死亡したため、男性の妻から遺産相続に関する業務を依頼されました。

しかし、男性の妻に遺産の引き渡しをせず、2018年に男性の口座から現金約4,200万円を自分の口座に移して着服した疑いが持たれています。

警察の調べに対し、この弁護士は「全額使い切ってしまった」と容疑を認めています。

警察は、この弁護士が着服した金の一部を借金の返済にあてていたとみて調べています。

弁護士としてあるまじき行為ですね。
世の中で一番法律を分かっているはずの弁護士がこのようなことをするのは信じられないですね。
やはり、大金を目の前にするともらいたいという欲望が芽生えるのかもしれませんが、そこは、職業的専門家としてのモラルやプライドで抑えて欲しいですね。
自らの行為で自らの業界の信用を落とすという行為は、本当にやめて欲しいですね。
本当に誰を信用してよいのか、分からなくなってしまいます。

弁護士が遺産4,200万円を着服した疑いで逮捕されたことについて、どう思われましたか?


僧侶が「檀家を増やしたくて」無資格で税理士業務を請け負っていた!

岐阜県警は、先日、岐阜県本巣市の僧侶男性(71)を税理士法違反の疑いで岐阜地検に書類送検しました。

発表によると、男性は税理士でないのに、2018年3月1日頃から2019年3月11日頃までの間、グフ兼本巣市の事業主らの求めに応じ、8回にわたり、確定申告書作成などの税理士業務を行った疑いです。

男性は1回1万円から4万円で税理士業務を請け負っていたとみられ、「檀家(だんか)を増やしたくてやった」と供述しているそうです。

こういった『にせ税理士』に、僕らの業界は一定数仕事を奪われているんでしょうね。
会計事務所の勤務経験があると資格がなくても確定申告書の作成などは簡単にできるでしょうから、昔はあの人はもぐりの税理士をやっていたとか、あの税理士の父親はもぐりの税理士だったとか、顧問契約の引き合いがあって話を聞いていたら行政書士が決算・申告をやっていたとか色々と耳にしますので、国税庁にはもっと『にせ税理士』を取り締まってほしいですね。
有償か無償かを問わず、税理士業務は税理士でないとできませんので、依頼する方もその点は認識しておいてほしいですね。

僧侶が「檀家を増やしたくて」無資格で税理士業務を請け負っていたことについて、どう思われましたか?


5,000万円超の横領の疑いで行政書士を逮捕!

産経新聞によると、北海道警函館西署は、先日、財産を管理する女性の口座から引き出した70万円を着服したとして業務上横領の疑いで、函館市元町の行政書士(51)を逮捕しました。
女性の口座では他に約5,000万~6,000万円の使途不明金があり、同署は関連を調べています。

逮捕容疑は、平成30年7月までの約3か月間に、財産の管理を受託した女性(70)の貯金口座から150万円を引き出し、うち70万円を自分の口座に入れたとしています。
同署は認否を明らかにしていません。

同署によると、女性と行政書士が結んだ財産管理契約などの内容を不審に思った親族が女性の口座を確認したところ、使途不明金があり、同署に届け出ていました。

行政書士に限りませんが、年に何人かはこういった事件を起こす士業の方がいますね。
こういったことがあると、士業の業界の全体の信頼性を失うということを自覚して、業務にあたってほしいですね。
一般の方より信頼できるということで士業の方が選ばれているのでしょうから、そんなことも分からない方が士業をやっているということが残念でなりません。

5,000万円超の横領の疑いで行政書士が逮捕されたことについて、どう思われましたか?


税理士政治連盟訴訟で原告主張の「会員でない」を認める判決!

毎日新聞によると、税理士会に入っているだけで政治団体「栃木県税理士政治連盟(栃税政)」に加入させられ、憲法で保障された思想・信条の自由を侵害されたとして、栃木県宇都宮市の税理士が会員でないことの確認などを求めた訴訟で、宇都宮地裁(伊良原恵吾裁判長)は、先日、「原告は入会の意思を明らかにしたことはない」として、会員でないとする原告側の主張を認める判決を言い渡しました。

一方で、栃税政が原告を事実上の会員として扱ったとし、「思想・良心の自由を害すると言えないわけではない」と指摘しましたが、「強制や不利益を伴うとまでは言えず不法ではない」と慰謝料の請求は棄却しました。

訴えたのは、関東信越税理士会栃木県連に所属する税理士(65)です。

判決によると、栃税政は規約で「県連に所属する会員をもって組織する」と定めており、この税理士は入会の意思がないのに、税理士登録した1983年から会費の振込用紙の送付が止まった2014年まで事実上、会員として扱われました。

この税理士は、栃税政が政治献金していることを指摘し、「思想信条の合致しない政治家を支持させられた」と主張しました。

これに対し、栃税政側は訴訟の終盤で「会員であったことはない」と原告側の主張を一部認めた上で、政治的自由の侵害は否定していました。

僕は、政治などに興味がないので、公認会計士としても税理士としても政治連盟には入っていない(僕の場合は、会計士協会や税理士会は入会の意思を問われたりしています。)のですが、半強制的な税理士会もあるんですね。
他の業界では、半強制的なところがあるように聞きますが。
この判決により、税理士会のみならず、その他の業界でも入会が強制されないものになって欲しいですね。

税理士政治連盟訴訟で原告主張の「会員でない」を認める判決があったことについて、どう思われましたか?


顧客45人以上の無資格の『にせ税理士』を逮捕!

 税理士の資格がないのに顧客の依頼を受けて税務書類を作成したとして、大阪府内の無職の男が逮捕されました。

税理士法違反の疑いで逮捕されたのは、豊中市の男性(43)です。

警察によりますと男性は、税理士の資格がないのに2017年2月から2019年3月までの間に顧客4人の依頼を受け、確定申告に必要な税務書類28通を作成した疑いです。

税務署から追徴課税された顧客が、男性に相談したところ「僕は分かりません。これ以上力になれません」などと言われ、その後、連絡がつかなくなったということです。

男性は簿記2級の資格を持ち、顧客は45人以上いたということで、2007年以降の売り上げは約3,000万円に上るとみられています。

調べに対し男性は、容疑を認めているということです。

昔は会計事務所の元職員で『にせ税理士』をやっている方が多かったと聞いたことがありますし、これって『にせ税理士』ではないのだろうか?と思ったことが何度かありますが、どんどん取り締まってほしいですね。
税理士業務は、有償であれ、無償であれ、基本的に税理士しかできないことになっておりますので。

顧客45人以上の無資格の『にせ税理士』が逮捕されたことについて、どう思われましたか?


国税OBから「陣中見舞い」の現金を受け取った国税幹部4人を懲戒処分!

 国税OBの税理士から現金計12万円を受け取ったとして、東京国税局は、先日、幹部職員4人を戒告の懲戒処分にし、発表しました。
他に2人も、同じOBから計約1万2千円分の飲食接待を受けたとして厳重注意としました。
6人は現在、国税庁と東京・大阪・名古屋の各国税局の課長級以上だそうです。

発表によると、4人は東京国税局管内の税務署で署長や副署長、総務課長の立場にあった2014年2月から2017年2月、来署したOBから「確定申告の陣中見舞い」として、1回当たり現金2万円から3万円を受け取りました。
現金は菓子購入や懇親会などに使ったそうです。

国税OBはこの署で副署長を務め、都内の署長を最後に2012年に退職しました。
「確定申告が繁忙期で大変だと知っていたので、少しでも助けになればと渡した」と説明しているようです。
2016年と2017年に3万円ずつ受け取った当時の総務課長は、かつて国税OBと上下関係でした。

また、厳重注意を受けた2人は、国税局課長だった2018年3月と10月、この国税OBと居酒屋に2次会に行き、それぞれ1回あたり約3千円の飲食費を負担してもらったそうです。

いずれも、国税OBに便宜を図る行為などは確認されなかったとしています。
会見した東京国税局の中山隆介総務部長は、「庁舎内でOBから現金を受領したのは言語道断」と話し、陳謝しました。

国税局の職員もOBもモラルが低すぎますね。
そもそも利害の対立する関係にある国税局職員と税理士の間で、金銭のやり取りや、接待が行われるというのは、客観的に見ると、完全にアウトですよね。
意図があるかないかというのは、確認することはできませんし、第三者から見ると関係ないと思います。
やはり、国税局に勤めていた職員が税理士登録できるという制度をそろそろ見直す時代に来ているのではないかと思います。

国税OBから「陣中見舞い」の現金を受け取った国税幹部4人が懲戒処分となったことについて、どう思われましたか?


修繕費を水増し請求した元税理士を脱税容疑で告発!

 法人税など計約2,300万円を脱税したとして、大阪国税局が不動産会社(大阪府吹田市)など計5社と、各社の社長(70)を法人税法違反などの疑いで大阪地検に告発していたことが、先日、関係者への取材で明らかになったようです。
社長は税理士でしたが、2018年12月に廃業しているそうです。

関係者によると、社長は2013年10月~2017年4月に、所有するマンションや集合住宅の修繕費を取引先に水増し請求させるなどの手口で、法人所得計約1億2,000万円を隠したとされます。
取引先に請求額を振り込んだ後、水増し分の払い戻しを受けていたようです。
重加算税を含む追徴税額は計約3,100万円とされ、既に大半を納付しているようです。

税理士としてやってはいけないことをやっていますね。
こういう行為が、税理士の信頼性を引き下げることになりますので、本当にやめて欲しいですね。
利益が出ているのであれば、税理士として、脱税ではなく、良い節税対策をして欲しいと思います。

修繕費を水増し請求した元税理士が脱税容疑で告発されたことについて、どう思われましたか?


はれのひ元社長が銀行に「税理士がミス」と虚偽説明!

 振り袖の販売・レンタル業「はれのひ」(横浜市)=破産=が売上高を粉飾した決算書類で銀行から融資を受けたとされる事件で、詐欺容疑で神奈川県警に逮捕された同社元社長(55)が、平成28年に債務超過を報告した決算書について銀行から理由を問われた際、「税理士が仕訳ミスをしていた」などと虚偽の説明をしていたことが、先日、捜査関係者への取材で分かったようです。
 捜査関係者によると、同社は平成279月の決算で約4,800万円の売り上げを架空計上するなど、数期連続で資産超過状態を示す決算書を融資元の銀行などに提出していました。
 平成289月期の決算書では、前期の架空売り上げの修正などを余儀なくされたことから、金融機関からの借入金残高が約43,700万円に上るなど債務超過状態に陥っていました。
 元社長は、突如発生した巨額の赤字について、融資元の銀行に「今まで税理士が仕訳ミスをしていた部分を整理したら、この決算になった」と、架空計上の修正を隠した上で虚偽の説明をしていたそうです。
 県警捜査2課は、同社が平成27年の数年前から売上高を水増しするなど偽造した決算書を作成、銀行に示すなどして融資を受けていた可能性もあるとみて詳しい経緯を調べています。
 この事件は201818日の成人式当日、同社で晴れ着を購入するなどした新成人らが待機していた着付け会場に同社の社員らが現れなかったことなどから発覚し、同月26日には同社の破産手続き開始が決定しました。
 同日に会見した元社長は決算書の偽造など一切の疑惑を否定していましたが、逮捕後の県警の調べに対しては「私が粉飾を指示して融資を受けていたことに間違いない」とおおむね容疑を認めているようです。
 別の報道によると、毎年、税理士を変えていたようですね。
 この虚偽説明に対し、銀行はどう判断していたかをぜひ知りたいですね。
 僕自身、税理士で、受注の際はそれなりに気を付けているつもりですが、やはり、過去の顧問税理士などをできる限り確認して(ヒアリングすると過去の税理士に問題があるようなことをおっしゃるとは思いますが・・・)、何かおかしいなぁと思えば断るということを今後も徹底していきたいと改めて感じた1件でした。
 はれのひ元社長が銀行に「税理士がミス」と虚偽説明をしていたことについて、どう思われましたか?

経済産業省が税理士に対して補助金交付等の停止措置!

 経済産業省の補助金を原資として、独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下「中小機構」という。)が実施する「認定支援機関による早期経営改善計画策定支援事業」において、認定支援機関である熊本県の税理士は、当該事業の要件である支援先企業からの計画策定費の支払いを適正に受けていないにも関わらず領収書を発行するとともに、補助金額を申請する際に業務従事時間を過大に積算することにより、機構から補助金を不正に受給していた事実が認められたようです。
 これを受け、経済産業省は、この熊本県の税理士に対して補助金交付等停止措置を行ったようです。
 なお、この熊本県の税理士から中小機構に対して補助金の返還がなされているようです。
 また、中小機構から委託を受けて当該事業の申請受付事務を行う熊本県経営改善支援センター(熊本商工会議所)の職員による上記事実の調査の際の対応が不十分であったことから、熊本商工会議所より中小機構に対して委託費の一部返還及び再発防止策の報告を受けているようです。
 今後、国として、申請手続を見直す等、再発防止を講じていくようです。
 悪質な税理士ですね。
 同業者として、恥ずかしい限りです。
 日本税理士会連合会の神津会長も、『6月22日、認定支援機関による早期経営改善計画策定支援事業において、税理士が補助金の不正受給を行っていたことが発覚し、当該税理士に対して経済産業省から補助金交付等の停止措置がなされました。当該税理士の行為は、税理士及び税理士制度に対する社会的信用を著しく損ねるものであり、誠に遺憾であります。今後、本会では、再発防止の観点から、各税理士に対して法令遵守を強く要請するとともに、研修及び広報等を通じ適正な業務の遂行を指導していく所存です。』とのコメントを出されています。
 「認定支援機関による早期経営改善計画策定支援事業」については、とある税理士団体に属する税理士が結構申請を出しているという噂を聞いたことがあります。
 調べてみると、この税理士もこの税理士団体に属していますね。
 「認定支援機関による早期経営改善計画策定支援事業」を使うことは良いことだと思いますが、税理士としてそもそものところからの指導が必要なのではないかと思いました。
 経済産業省が税理士に対して補助金交付等の停止措置を行ったことについて、どう思われましたか?

国税庁ホームページのリニューアルの混乱を受け「国税庁URL変換器」を個人が開発!

 国税庁のWebサイトが2018331日にリニューアルされ、ほぼすべてのURLが変わりました。
URLのページはすべてトップページにリダイレクトされ、サイト内検索でも旧URLのページがヒットするため、「トップページの無限ループ」「目的のページにたどり着けない」と利用者が困惑しています。

国税庁は「検索エンジン側にURL更新のリクエストを出している」としており、「新しいページの検索結果が蓄積されるまでの間(一般的には2週間程度)は、トップページのメニューから利用してほしい」と呼び掛けていますが、解決までにはしばらく時間がかかりそうです。

このような状況を受け、エンジニアの「ぽち@pchw」さんが201843日、国税庁サイトの旧URLを新URLに変換するサービス「国税庁URL変換器」を個人で開発・公開しました。
ブックマークや検索エンジンなどから旧URLをコピーし、フォームにペーストしてチェックボタンを押すだけで、同じ内容を収めた新URLのリンクを表示するというものです。

普段はバックエンドエンジニアとしてTokyo Otaku Modeに勤めているぽち@pchwさんですが、国税庁サイトのリニューアルが話題になり、「これはひどい」などと批判を集める中、「愚痴を言うだけで終わるのではなく、エンジニアとして、何かしら別の手段で解決できれば」と、サービスの開発を思い立ったそうです。

開発に当たり、新サイトと旧サイトのURLを眺めていると、類似する部分を発見し、「サイトリニューアルで階層構造は変更されたが、URLの途中からは新旧サイトとも同じ構造になっている」と推測し、旧URLを新URLに「無理やり」変換する仕組みを開発したそうです。
開発にかかった時間は、なんと「5時間ほど」だそうです。

入力された旧URLは、サーバレスでコードを実行できる「AWS lambda」で受け取り、データベース(MongoDB Atlas)に保存してある新URLの一覧と曖昧にマッチングします。
クライアントサイドはすべて「AWS S3」に置いています。
JavaScriptライブラリのReact.jsで構築し、UIフレームワークはFoundationを利用しているそうです。

現在「約19,000個のURLにマッチングを取ってる」状態で、「もし旧URLを入力しても新URLが出てこないページがあれば、確認してルールを追加するので、サイト下部にある『お問い合わせ』から送って頂ければ」としています。

ぽち@pchwさんは、開発の経緯をつづったブログ記事も公開います。
「ハッカー」という言葉には、「雑だけどうまく役に立つものを作る」といった意味があるらしい、と紹介した上で、「自分は、これからも愚痴をこぼす前に自分の行動で何かを変えていきたいと思っています」などとづつっています。

僕自身、税理士という職業柄、今回の国税庁のホームページのリニューアルには大変迷惑を被っているのですが、個人の方が、これほど早くこのようなものを開発してくれて、非常に感謝していますし、すごく敬意を示したいと思います。
翌日くらいに、マネーフォワードのエンジニアが似たようなものを作って公表していますが、個人の方が作られたということは、素晴らしいことだと思います。
本当に、国税局が買い取ってもいいのではないかとも思いますね。

国税庁ホームページのリニューアルの混乱を受け「国税庁URL変換器」を個人が開発したことについて、どう思われましたか?


国税庁のホームページがリニューアルされ検索できない!

2018年04月03日(火)

国税庁は、電子政府指針等を踏まえ、ホームページの更なる利便性の向上を図るため、平成30年(2018年)3月31日(土)に国税庁ホームページのリニューアルを行いました。

<リニューアルの対象>
・国税庁ホームページ(www.nta.go.jpをドメインとするサイト)

なお、以下のサイトは、今回のリニューアルの対象ではありません。
・国税電子申告・納税システム(e-Tax)(www.e-tax.nta.go.jp)
・確定申告書等作成コーナー(www.keisan.nta.go.jp)
・財産評価基準書(路線価図・評価倍率表)(www.rosenka.nta.go.jp)
・公売情報(www.koubai.nta.go.jp)
・法人番号公表サイト(www.houjin-bangou.nta.go.jp)
・国税不服審判所(www.kfs.go.jp)

<ご留意いただきたい事項>
リニューアルに当たり、トップページのURL(https://www.nta.go.jp)に変更はありませんが、情報分類の整理を行ったことから、各ページの掲載場所やほぼ全てのページのURLが変更になっています。
リニューアル前の各ページをブックマークに登録されている方やリンク設定をされている方は、お手数をおかけいたしますが、ブックマークの再登録やリンク設定の変更をお願いいたします。

税理士という職業柄、ネットで検索して、国税庁のホームページで確認するということが非常に多いのですが、今回のリニューアルによって、検索してクリックしてもたどり着けなくなりました。
非常に不便です。
国税庁のホームページのトップページからはもともと検索しにくいんんですよね。
同じような方は世の中にたくさんいらっしゃると思いますから、どうにかして欲しいですね。

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神戸市へ有識者がタワマン適正管理へ「空室税」の検討を提案!

日本経済新聞によると、神戸市は、タワーマンションの空室所有者に新税を課す検討を始めるようです。

神戸市の有識者会議が、先日、空室が増えると適切な修繕がなされない恐れがあるとして、自治体が独自に課税する法定外税の創設を提案しました。

久元喜造市長は「事業者や市民の議論も注視し、検討を進めたい」と述べました。

有識者会議は神戸市長に提出した報告書で、タワマンに空室が増えると修繕や解体の際の合意形成が困難になり、修繕積立金の引き上げもできない恐れがあると指摘しました。

貴重な住宅ストックが活用されない可能性にも触れ、まずは都心のタワマンに限定して法定外税で負担を求めるのが適当としました。

税収の使途には、マンション管理の専門家派遣や防災・防犯の整備費用などを挙げました。

適正に管理されるマンションを増やすため、管理状況の届け出の義務化も提案しました。

神戸市は2021年に管理組合に届け出を任意で求める制度を設けましたが、実際の届け出は全体の2割にとどまっています。

災害対策として非常用電源や備蓄に対する補助金の創設を求めたほか、将来的な課題として、大規模マンションを新設する建築主への法定外税の創設やマンション建設の規制内容の見直しを検討するよう明記しました。

新税の導入には、神戸市議会での条例制定や国からの同意が必要となります。

神戸市は2020年にタワマンの林立を防ぐ条例を施行しました。

JR三ノ宮駅周辺で住宅の新築を禁じ、周辺の都心エリアでは1,000平方メートル以上の敷地の住宅容積率の上限を400%に制限しました。

郊外の駅周辺を再整備して、住宅地としての魅力向上に力を入れています。

久元市町はかねて「資産価値の劣化が起きればタワマンの中で空き家が増えて廃虚化する可能性が極めて高いのではないか」と指摘しています。

神戸市は人口が減少しており、タワマン建設抑制策で人口減がさらに進むとの見方もあります。

久元市町は「目の前の人口増をめざすのではなく、長い目でみて持続可能な都市として発展していきたい」と述べました。

タワーマンションは、相続税対策や投資目的で買っている人が多く人が住んでいない(ゴースト化している)とか外国人が買いあさっているとかいう話しを聞きますが、この提案は、それらを考えると、良い提案のように思いますね。

個人的には、神戸市はスゴく好きな場所なので、人口が減少しているのはとても残念ですが、我が関西学院大学の『王子キャンパス』や『空室税』で良い方向に向かうといいですね。

神戸市へ有識者がタワマン適正管理へ「空室税」の検討を提案したことについて、あなたはどう思われましたか?


修正申告を放置して確定申告情報の未処理が197件の町役場職員を懲戒処分!

京都新聞によると、滋賀県愛荘町は、先日、確定申告情報の必要な事務処理を怠ったとして、税務課だった40代男性職員を減給10分の1(1か月)の懲戒処分にしたと発表しました。

管理監督が不十分だったとして税務課で上司だった50代男性職員を、戒告としました。

愛荘町によると、40代職員は2022年度の個人町県民税で確定申告期間以外に行われた修正申告などの情報を放置し、入力事務を怠ったようです。

未処理は増額と減額で計197件に上り、課税遅れの影響が出ました。

愛荘町は「法令順守を徹底し、再発防止と信頼回復に取り組む」としています。

業務の進捗状況などを把握していないんですね。

それにしても、減給10分の1(1か月)の懲戒処分って軽すぎるように思いますね。

仕事をしていないわけですから。

人手不足で忙しすぎるのかもしれませんが、それならそれで上司に相談すれば良いのになぁと思いました。

どうやって、法令遵守をしていくのか、具体的に知りたいですね。

修正申告を放置して確定申告情報の未処理が197件の町役場職員を懲戒処分としたことについて、あなたはどう思われましたか?


市道として売却したのに市が所有権移転せず男性に45年課税し訴え無視し差し押さえも!

読売新聞によると、約45年前、当時の愛媛県川之江市(現愛媛県四国中央市)の道路拡幅工事で、市道に取り込まれた民有地の一部の手続きに不備があり、四国中央市の男性(74)に固定資産税が課せられ続けていることが分かったようです。

2024年6月、男性の自宅倉庫から当時の関係書類が見つかり、市は固定資産税の非課税範囲を示した地方税法に抵触している恐れもあるとみて、調査を始めました。

問題が発覚したのは、市道東金川1号線(総延長991メートル)のうち、東金川橋付近から南へ延びる約160メートルの部分です。

男性によると、男性の父親が1979年11月、山林の一部だった15.57平方メートルについて、当時の石津栄一川之江市長と土地売買契約を交わしました。

道路の山側部分の工事は、のり面をコンクリート擁壁にすることになり、工事完了後に市が用地面積を測量して価格を算出し、売買契約を確定させる約束だったそうです。

工事は1982年度に完了しました。

しかし、川之江市は土地所有権移転手続きを行わず、「今は予算がないので次年度で実施する」と用地測量や移転登記を延期していました。

男性は1987年12月、父親の死去に伴い土地所有者となりました。

川之江市建設課や税務課に「市道となった部分はもう民有地ではないから、工事前の面積で課税し続けるのはおかしい」と訴えました。

ところが、歴代の担当者は「今は測量調査の予算がない。来年度行う」「旧市時代の話で資料は残っておらず、工事が本当に行われたかどうかも疑問」と繰り返し、測量や課税額の修正に応じなかったそうです。

男性は2005年頃から固定資産税の支払いを拒否しました。

愛媛県内20市町でつくる「愛媛地方税滞納整理機構」からの納税催告にも応じなかったため、2008年10月には自家用車と電子オルガンを差し押さえられました。

2024年4月には納税催告書が届き、2019年度から5年間分として、延滞金を含めて計135万800円を請求すると記されていました。

男性が支払いを拒むと、2024年5月に普通預金口座の現金32円が差し押さえられました。

そんな中、男性が2024年6月に自宅倉庫を整理していたところ、当時の工事図面や工事請負契約書などが見つかったのです。

関係書類を見た四国中央市建設部の石田暁裕部長らは「男性の言い分は事実だった」と初めて認めました。

男性は「そもそも現地調査と公図との照合で簡単に判明すること。固定資産税額を修正したくないから、資料がないことを理由に動かなかったとしか思えない」と憤っているようです。

読売新聞の取材に対し、石田部長は「市道として取り込んだ民有地に課税するなど、本来あり得ない。男性には長年にわたり、大変なご迷惑と心労をおかけした」と謝罪しました。

「早急に測量を実施し、固定資産税額の修正を検討する。同時に、過去の担当者や市職員OBから放置した経緯を聞き取り、再発防止に努める」としています。

本当にひどい話しですね。

精神的苦痛・手間・時間・資金など、かなりの負担があったと思いますので、ご本人にきちんと賠償などするのは当たり前だと思いますが、過去の担当者(退職者も含む。)もきっちりと処分して欲しいですね。

市道として売却したのに市が所有権移転せず男性に45年課税し訴え無視し差し押さえもしていたことについて、あなたはどう思われましたか?


2024年度から1人年額1,000円を徴収する森林環境税がスタート!

日税ジャーナルによると、2024年度から1人年額1,000円が徴収される「森林環境税」がスタートしました。

森林環境税は、2018年5月に成立した森林経営管理法を踏まえ、パリ協定の枠組みの下における日本の温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止等を図るための森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から、2019年3月に「森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律」が成立し、「森林環境税」と「森林環境譲与税」が創設されたのです。

森林環境税は、2024年度から、個人住民税均等割の枠組みを用いて、国税として1人年額1,000円を市町村が賦課徴収するものです。

森林環境税は、国を通じて森林環境譲与税として全国すべての市町村と都道府県に配分され、森林整備やその促進のための取組みに活用されます。

なお、森林環境譲与税は、市町村による森林整備の財源として、2019年度から先行する形で国庫から交付金として配分が始まっており、市町村と都道府県に対して、私有林人工林面積、林業就業者数および人口による客観的な基準で按分して譲与されています。

森林環境譲与税の使途としては、市町村においては間伐などの「森林の整備に関する施策」と人材育成・担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発などの「森林の整備の促進に関する施策」に充てられ、都道府県においては「森林整備を実施する市町村の支援等に関する費用」に充てることとされています。

なお、障害者、未成年者、寡婦またはひとり親で前年の合計所得金額が135万円以下の人や生活保護法による生活扶助を受けている人など、非課税基準に該当する人は森林環境税が非課税となります。

よく分からない税金が取られますね。

きちんと説明をして、趣旨などが浸透してから徴収するようにして欲しいですね。

あと、使途が決まっているわけですから、何に使ったかをきちんと説明しないと住民の納得を得られないでしょうね。

2024年度から1人年額1,000円を徴収する森林環境税がスタートしたことについて、あなたはどう思われましたか?


保育料・国保・ふるさと納税のために「今すぐ住民税額を知りたい」を可能にするサービスが便利!

INTERNET Watchによると、3歳未満の保育料、国民健康保険など、住民税によって支払額が決まるものは多数あります。

サラリーマンは6月の給与明細と一緒に受け取る「住民税の決定通知書」、個人事業主は5月末ごろに郵送される「住民税 課税明細書」に詳細が記載されていますが、SNSを見ると「保育料がいくらになるか、住民税を早く知りたい」「ふるさと納税の結果を確認したい」など、住民税の明細を早く知りたい人がいるようです。

これから紹介する、各自治体が提供している「住民税額シミュレーション」を利用すれば、ご自身の源泉徴収票や確定申告書の内容をもとに、すぐに住民税を試算することができるのです。

長野県塩尻市の「住民税や所得が影響する制度等の一覧」というサイトを見ると、国民健康保険、医療費の自己負担限度額、保育料、市営住宅等の入居、結婚新生活支援事業など、自治体窓口のものが55項目、長野県・国関係のものを含めると70項目ほど住民税や所得が影響する制度が掲載されています。

中には介護用品券の支給、高齢者世帯タクシー利用料金助成事業など自治体独自のものと思われる項目もあり、自治体により差はあるが、住民税の影響を受ける制度は多数あるようです。

試しに同じ年収で、この記事の筆者が住民票を置く名古屋市、オフィスのある川崎市に札幌市を加えて、住民税と保育料を比較してみたようです。

まずは住民税ですが、条件は年収500万円、社会保険料60万円、配偶者控除、3歳未満1人、新生命保険10万円。

住民税は多くの自治体で大きな差はないですが、標準税率の札幌市、県民税が高い川崎市、市民税が安い名古屋市の比較なので、課税所得は同じ217万2,000円ですが、市民税・県民税に若干の差があるようです。

3歳未満の保育料は3都市とも市民税の所得割で決まります。

札幌市・川崎市の市民税所得割17万1,700円、名古屋市の市民税所得割16万5,200円の保育標準時間の保育料は以下のとおりです(※令和6年の保育料が公表前なので、住民税、保育料とも令和5年で計算)。
札幌市 :45,870円
川崎市 :41,200円
名古屋市:34,900円

この事例では名古屋市と札幌市で1万円以上の差となっています。

住民税の年額の差に比べ、月額1万円の差は大きいでしょう。

ただし、保育料の体系が札幌市は10段階、川崎市は25段階、名古屋市は16段階となっていて、課税所得によって順位は異なります。

住民税の計算はそこそこ面倒くさいです。

上記の住民税の計算は、3都市が公開している住民税額シミュレーションサイトを利用したのでサクッと算出することができたようです。

この記事の筆者が確認できた住民税額シミュレーションサイトは190の自治体が公開しているようです。

昨年調べたときは180自治体だったので、1年で10自治体増えています。

全国の自治体は、総務省のサイトによると1,718で、特別区(=東京23区)を加えると1,

741となります。

今回、数百の自治体のサイトを力技で調べ、この記事の筆者が確認できた住民税額シミュレーションを導入済みの自治体は190で、導入率は1,741分の190=10.9%となりました。

ぶっちゃけ自分の住む自治体に「住民税額シミュレーション」がない人の方が多いです。

特に青森県、秋田県、山梨県、徳島県、愛媛県、高知県、宮崎県、鹿児島県の8県は、県内に導入自治体が1つもありませんので、どうしますか?

実は、住民税の地域差はそれほど多くはないです。

一部を除き、都道府県内はどの市町村でも住民税は同じです。

例えば北海道で住民税額シミュレーションを導入しているのは札幌市のみですが、道内で住民税を納めている人は函館市でも夕張市でも美瑛町でも住民税に差はありません。

札幌市以外の道内178自治体に住む人は札幌市のシミュレーションサイトを利用させていただきましょう。

さらに言うと、全国47都道府県のうち、北海道、青森県、埼玉県、千葉県、東京都、新潟県、福井県、徳島県、香川県、沖縄県の10道府県は独自の増税を行っていないので、この10道府県にお住まいの人は札幌市でも千葉市でも東京都千代田区でも那覇市でも税額試算の結果は同じとなります。

県内に導入自治体のない青森県と徳島県の人は、税額が同じ10道府県に含まれるので、その中の導入自治体のサイトを利用させていただきましょう。

秋田県は「秋田県水と緑の森づくり税」として800円を県独自に増税しています。

秋田県と同額の県民税に800円の増税をしているのは滋賀県と兵庫県です。

秋田県の人は滋賀県、兵庫県のサイトで住民税の試算は可能です。

ただし、兵庫県の神戸市と豊岡市は市独自の増税を行っていますので、試算結果は両市の市民以外の人には当てはまりません。

愛媛県は森林環境税として700円を県独自に増税しています。

愛媛県と同額の県民税に700円を増税しているのは栃木県と群馬県です。

愛媛県の人は栃木県、群馬県のサイトの試算結果が参考になるはずです。

山梨県、高知県、宮崎県、鹿児島県の4県は500円を県独自に増税しています。

同額の県民税に500円を増税している県は16県と多いです。

富山県、石川県、長野県、愛知県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県の16県のうち、愛知県の名古屋市は市独自の減税を行っているので利用不可ですが、それ以外の自治体のシミュレーションサイトが利用できます。

念のためにお伝えすると、横浜市、名古屋市、兵庫県の神戸市と豊岡市は同じ県内であっても、市独自の増税・減税を行っていますので、他の自治体に住む人は試算結果が参考になりません。

また、神奈川県は全国で唯一、住民税の税率が他の46都道府県より0.025%高くなっています。

さらに横浜市は「横浜みどり税」として900円を市独自に増税しています。

自分が住む自治体に住民税額シミュレーションがない神奈川県民は、横浜市以外のサイトを利用させていただきましょう。

確認できた190自治体の住民税額シミュレーションサービスを提供しているのは4社です。

サンネット株式会社が92自治体、株式会社インテックが83自治体、株式会社茨城計算センターが10自治体、キステム株式会社が5自治体にサービス提供を行っています。

未導入の自治体の関係者は参考にしていただきたいですね。

僕自身は税理士として住民税の計算をすることがないので、非常に参考になる記事でした。

神奈川県だけ住民税の税率が他の46都道府県より0.025%高くなっているというのも初めて知りました。

住民の方はご存じなんでしょうか?

愛媛県は法人も住民税が香川県より高いので独自の税金を取っているのは知っていましたが、住民税も結構複雑ですね。

保育料・国保・ふるさと納税のために「今すぐ住民税額を知りたい」を可能にするサービスが便利ということについて、あなたはどう思われましたか?


85市町村の地価がバブル期を超える!

日本経済新聞によると、地価の回復が地方に広がっています。

国土交通省が2023年9月に公表した2023年の基準地価を市区町村別にみると、沖縄県などの85市町村で過去最高だったバブル期の1990年を上回りました。

新規の工場立地などに加え、子育て環境の整備などで住みやすさを実現した自治体が目立っており、まちづくりの〝通信簿〟にもなっているようです。

2023年の基準地価は、全用途の全国平均が前年比1.0%上昇と2年連続で上がりました。

投資資金の流入や再開発で三大都市圏が2.7%上がり、地方圏も0.3%上昇しました。

バブル期の地価上昇が三大都市圏に比べて緩やかだった影響もあり、1990年を上回った85市町村は大半が地方圏でした。

都道府県別で唯一バブル期を超えた沖縄県は、過半の24市町村が上回りました。

2003年に那覇市内でモノレールが開通し、訪日客が増えて観光関連産業の投資も拡大しています。

バブル期の5倍近くと全国で最も上がった沖縄県南部の八重瀬町は2006年の町村合併で誕生しました。

2000年代後半に国道が延伸され、那覇市までのアクセスが30分足らずと半減しました。

サトウキビ畑が広がっていた八重瀬町屋宜原地区には住宅が増え、人口は約2,000人と7倍になりました。

国道沿いには大型スーパーや飲食店が立ち並んでいます。

不動産鑑定士の仲本徹氏は「那覇市の不動産に手が届かなかった層が流れてきた」と説明しています。

若い世代が増え、合計特殊出生率も2.15と全国16位の高水準となっています。

八重瀬町は、2023年中に学童保育施設を2か所増設します。

地元住民は「歩道が広く、登下校時の事故の心配も少ない」と話しています。

バブル超えの市町村の多くが子育て支援や移住促進、工場誘致などで新たな土地需要を生んでいるようです。

地価がほぼ2倍になった宮城県利府町も、運動着の無料支給や、ベビー用品の無料レンタルなどが好評です。

利府町には仙台市とつながる駅や高速道路のインターチェンジがあります。

通勤・通学圏の仙台市内での不動産価格上昇もあり、「戸建て住宅を望む子連れ夫婦の転入が目立つ」(地元不動産会社)ようです。

インターチェンジ付近には物流施設も増えました。

利府町は土地整備事業を進めて、さらなる宅地需要に備えます。

熊谷大町長は「仙台市と日本三景の松島の中間にあるため通過される町だったが、選ばれる町に変貌した」と胸を張っています。

日本一面積が小さい富山県舟橋村も地価が41%上がりました。

2020年時点の人口は3,132人と1990年比で2.3倍に増加し、「奇跡の村」とも呼ばれるようになりました。

きっかけは、規制が厳しい市街化調整区域の指定が1988年に解除されて宅地開発が進んだことです。

以前から子育て支援に熱心だったうえ、隣接する富山市などに比べた割安感もあって、若い家族層が移り住むようになったのです。

舟橋村はさらなる移住促進に向けて、2019年から村営賃貸住宅を提供しており、将来の定住につなげるようです。

一方、2013年に始まった日銀の金融緩和を柱とした「アベノミクス」のもと、この10年間の全国の地価は平均45%上がり、市町村別でも4分の1の自治体が上昇しました。

特に中心都市である都道府県庁所在地の上昇率は平均65%に達しました。

再開発などが相次ぐ大阪や札幌、福岡、名古屋の4市は2倍以上となりました。

人口問題などに詳しい東北大学の吉田浩教授は「投資対象となる都市部とは異なり、地方圏の地価はそこに住みたいという人がいなければ上がらない」と強調しています。

「今後も育児環境や教育、空き家対策など総合的な住みやすさが地価に反映される流れが続くだろう」としています。

以前から、住みよい街に人が集まるようになり、そのために市町村も競い合うようになればいいなぁと思っています。

今、地価が上がっているところは、そういうところなんでしょうね。

世の中には色々なニーズがある方がいらっしゃるでしょうから、自治体の職員の方々には知恵を絞っていただいて、ふるさと納税の返礼品ではなく、サービスなどで競ってほしいですね。

競い合うと、当然、破綻するところも出てくることになるかと思いますが、自治体の職員の方々も、公務員は将来安泰と思わず、危機感を持って仕事に取り組んでいただきたいですね。

85市町村の地価がバブル期を超えたことについて、あなたはどう思われましたか?


岩手県北上市が国の基準を無視した固定資産税の算出ミスで還付総額8億円に!

朝日新聞によると、岩手県北上市が木造家屋の固定資産税を課税する際、独自のルールを適用し続け、補てんしたり追徴したりする必要が出た問題で、誤った課税は1994年度~2011年度の18年間に計1万7,553人に対して行われ、利息を含めた還付される総額は約8億1,400万円に上ることがわかったようです。
北上市が、先日の市議会全員協議会で明らかにしました。

木造家屋の固定資産税の課税は総務省が全国一律の基準を設けています。
自治体は資材や設備を調査して4つの区分に分け、経年で補正することになっています。

ところが、北上市は1991年の市町村合併前から基準を無視し、自動的に特定の区分にして課税額を算出していました。
その結果、課税額に誤りが生じていたのです。

北上市によると、還付の対象は個人1万6,987人、法人566です。
還付額は計約4億341万円で、利息相当額は計約4億1,081万円に上ります。
還付される最高額は612万700円で、平均は4万6,387円でした。

北上市は11月に市議会に提出する補正予算案に計上する予定です。
対象者には12月から通知を始め、2024年1月以降に支払いを行います。

八重樫浩文市長は「多大なるご迷惑をお掛けし、おわび申し上げたいと思います。もっと早くできなかったのかということは確かにあるが、限られた職員でギリギリの態勢で取り組んできた。幹部も含めた職員の意識をしっかりしたい」と述べました。

この問題への北上市の対応は時間がかかりました。
担当職員が不自然さに気づいても問題意識は共有されず、2016年には内部告発した北上市職員に対し幹部が「あなたがやってきたことでしょう」などと公益通報の取り下げを求めました。
北上市議会で何度も指摘されても、北上市は「裁量の範囲内」と突っぱね続けたのです。

しかし、北上市議会での追及が続き、北上市民からの問い合わせも増え、北上市は2021年12月に「考えを改めた」と表明し、差額を算定する精算を進めていました。

一連の問題を追及してきた高橋孝二市議は「職員の内部通報を隠ぺいしたうえ、これほど多額の誤りを生じさせた責任は重大。市民の信頼を回復するため、具体的な再発防止策を明示するべきだ」と訴えています。

一方、北上市はこの日、2021、2022年の保育料の算定でも誤りがあったと明らかにしました。
市民税のデータがシステムと正しく連携していなかったとして、園児17人に計約51万円を還付し、3人から計約23万円を追加徴収するそうです。

なぜ頑なに突っぱね続けたのでしょうか?
総務省が基準を設けているわけですから、基準を確認すれば分かると思いますし、おそらく前例を踏襲する方が多い市役所の仕事の中で、過去に気付いたり、内部告発をした方もおられるわけですから。
還付額より利息相当額の方が上回るということはかなり罪深いと思いますし、過去に関わった人たちで支払えということにもなりかねないのではないかと思います。
固定資産税は昔からミスが多いと言われますが、、市町村もきちんとルールを確認しなおすべきだと思いますし、現地調査もきちんと行うべきだと思いますし、ルールも分かりやすいものに見直す時期にきているのではないかと思いました。

岩手県北上市が国の基準を無視した固定資産税の算出ミスで還付総額8億円になっていることについて、あなたはどう思われましたか?


徳島県徳島市が確定申告書の課税処理間に合わず!

四国放送によると、徳島県徳島市は、2022年分の確定申告書約6,400件の処理が間に合わず、市民税や県民税の課税処理が遅れていると発表しました。

徳島県徳島市によると、遅れているのは3月15日の期限までに確定申告をした市民のうち、約6,400人分の市民税や県民税の課税処理です。

この影響で、税が給与から天引きされる「特別徴収」の人には、申告内容が反映されていない税額の通知書が5月に既に送付済みとなっています。

また、納付書で納付する「普通徴収」の人には、6月に発送される通知書や納付書の発送が遅れています。

徳島県徳島市では、2023年1月に税額を算出する新たなシステムを導入し、処理を進めていたところ、手作業になる操作が多く必要になってしまったことが処理が遅れた原因としています。

徳島県徳島市は、確定申告の内容を正しく反映させる処理を可能な限り早く進めるとしています。

事前に分からないものなんですかね?
どこのベンダーなのでしょうか?
ご本人、会社の経理の方などに迷惑がかかると思いますので、きちんと対応して欲しいですね。
マイナンバーの問題にしろ、ベンダーに原因があるのかもしれませんが、発注側にシステムのことが分かる人が少ないのかもしれませんね。
国として、システムエンジニアの方を育てていかないと、将来的に国際的競争に負けてしまうように思いますね。

徳島県徳島市が確定申告書の課税処理間に合わないことについて、あなたはどう思われましたか?


固定資産税の軽減措置は2022年度で終了へ!

共同通信によると、政府、与党は固定資産税の軽減措置を2022年度で終了する方針を固めたようです。

新型コロナウイルスによる景気悪化を受け、地価が上昇しても2021年度は2020年度の額に据え置き、2022年度は商業地に限り税額の上昇を本来の半分にしていました。

2023年度は通常に戻し、地方税収を回復させると、関係者が取材に明らかにしたようです。

軽減措置は当初、2021年度で終了する予定でした。

しかしながら、国土交通省や公明党などがコロナ禍で苦しむ事業者に配慮すべきだとして、延長を要望しました。

与党税調幹部は「再度の延長はさすがにない。地方税収に配慮する必要がある」と説明しています。

とうとう軽減措置はなくなるんですね。
個人的は、計算方法がよく分かりませんし、計算を間違っていた(けれど、時効で一部しか返してくれない)というニュースを時々目にしますし、償却資産税も計算方法に疑問を感じますので、そろそろ計算方法を見直す時期に来ているのではないかと思っています。

固定資産税の軽減措置は2022年度で終了することについて、どう思われましたか?


総務省の地方財政審議会は「資本金以外の基準を」という外形課税見直しを提言!

日本経済新聞によると、総務省の地方財政審議会は、先日、2023年度税制改正に向けた意見書で、企業が資本金の規模などに応じ納める外形標準課税の見直しを提言しました。
形式的な減資のような課税逃れとみられる動きが広がっており、資本金以外の基準の追加を求めました。

地方財政審議会は2023年度地方税制改正に関する意見書をまとめ、同日、寺田稔総務相に提出しました。
「実質的に大規模といえる法人が外形標準課税の対象法人に含まれない問題に対応する仕組みを検討することが適当」と言及しています。
制度設計の議論は2023年度以降に進める方針です。

制度設計で中小企業の負担に配慮する必要性にも触れ「小規模な企業への影響に配慮するとともに、必要以上に多くの法人に制度見直しの影響が及ばないよう」資本金1億円超の基準は維持します。

追加の基準は「法人による操作可能性が小さい基準とすること、課税実務上の確認が容易で法人・課税庁にとって執行面で過度な負担とならない基準とすることなどが必要」と明記しました。

外形標準課税は地方税の法人事業税の課税方式の一つで、2004年度に導入されました。
税収の安定を目的に変動の少ない資本金の額を制度の基準として課税しています。

企業規模が大きくても経営悪化を理由に1億円以下に減資する例が相次いでいます。
対象法人数が減り、税額も減少傾向にあります。
公平性や税収の安定性が損なわれることを懸念し、地財審の有識者会議が基準の見直しを検討していました。

個人的には、会社の規模を資本金で判断するのも時代的にどうかと思っていますが、コロナ禍などにより、業績が悪くなっているので、外形標準課税の負担感が重く感じるのだろうと思われます。
当初から、黒字でも赤字でも課税するということだとは思いますが、こういった状況は想定していなかったものと思われます。
おそらく利益が出だすと、外形標準課税の方が有利に働くのではないかと思いますので、異常な状況下においては、一定の要件を満たせば計算方法とか税率を変えるみたいにする方が現実的な対応としては良いのではないかと思います。
資本金以外のものも基準とするとしても、当然、それを避けようと色々と考えるでしょうから。

総務省の地方財政審議会は「資本金以外の基準を」という外形課税見直しを提言したことについて、どう思われましたか?


外形課税逃れ影響か資本金1億円超の企業はピークから1万社減!

東京新聞によると、資本金が1億円を超え、都道府県が課す外形標準課税の対象となった企業は2020年度に約2万社で、ピークの2006年度から約1万社減少したことが、先日分かったようです。

集計した総務省は、相当数の企業が課税を逃れる目的で1億円以下に減資した可能性があるとみています。

2020年度の税収は2017年度比で、1,500億円程度減少しています。

地方財政に打撃を与えており、詳しく分析したうえで、対策を検討する構えのようです。

ただし、対策を実施する場合でも、1億円超の基準を引き下げ、中小企業へ網を広げることは想定していないようです。

都道府県の一部は、「資本金以外の指標も使い、規模の大きな企業に幅広く課税すべきだ」と提案しています。

利益が出ていれば、それほど負担感はないと思いますが、コロナ禍で業績が悪化し、赤字になったりすると、赤字であっても多額の税額が発生する外形標準課税を避けようと思うのは、営利企業の経営者として当然かなぁと、個人的には思っています。
減資をして、外形標準課税の対象外とすることは禁止されているわけではないので、とやかく言われる問題ではないと思います。
それよりは、資本金1円でも会社を設立できる時代であり、会計上、差額の概念に過ぎない純資産の一項目である『資本金』にあまり意味はない(資金的裏付けや規模を表すものではない)と思っていますので、法人住民税のうち均等割りもそうなのですが、資本金や資本金等で税額が変わってくるというのもおかしいと思われるため、そこから改正しないといけないのではないかと思っています。
人数とか売上高とか面積とか、色々と基準は設けられるのではないかと思います。
たとえ、資本金以外で設けたとしても、該当するのを避けるという行為は避けられないのではないかとも思いますが。

外形課税逃れ影響か資本金1億円超の企業はピークから1万社減となっていることについて、どう思われましたか?


ふるさと納税で旅先で寄付し電子ギフトで即返礼!

日経MJによると、岡山県などの返礼品として受け取った電子ギフトを旅先の宿泊施設や飲食店などで利用できるふるさと納税の新しい形として「旅先納税」が一部地域で人気だそうです。
特産品を返礼品として受け取るこれまでのふるさと納税と異なり、出かけた先の宿や店ですぐに使える電子ギフトが返礼品なのです。
旅先に寄付し、旅をお得に楽しめます。
2022年10月11日から政府の全国旅行支援が一部で始まりましたが、応援的な消費への関心も相まって、各地に広まりそうです。

首都圏に住む50代男性は山梨県笛吹市のワイナリー巡りツアーに参加した際、旅先納税の存在を初めて知ったそうです。
「おもしろそう」。興味本位で1万円を寄付するとすぐに返礼品として3千円分の電子ギフトを受け取りました。
早速立ち寄った店で、ワインとクラフトジンを地元の店で購入しました。

返礼品を目的に幾つかの自治体に寄付をしてきたという男性は、返礼品が届くまでに1か月、場合によっては3か月かかるのが気になっていたそうです。
「通常のネット通販ではないのでそんなに早く到着しないと頭ではわかっているけれど…。旅先納税は、旅先で欲しいモノを選んだらその場で受け取れて新鮮だった。」

電子商品券の画面を見せ、スタンプを押してもらうと決済が完了します。
旅先納税が登場したのは2019年秋に、岡山県瀬戸内市で始まりました。
その後コロナが起きたためごく一部の地域だけに限られ、全国的にはほとんど知られずに3年間がたってしまいました。
旅行者の間で口コミで話題に上るようになったのは、最近になってからです。
ほかにも北海道伊達市や倶知安町などが採用し、年内にも20以上の自治体に広まる予定です。

寄付をしたらすぐに返礼品を受け取れます。
そのスピードを支えるのがテクノロジーです。
店や施設に表示されているQRコードをスマホで読み込み、会員登録します。
寄付額を選びクレジットカード払いで納税します。
使う際には電子ギフトの画面を見せ、スタンプを押してもらう仕組みです。

これすら面倒と感じる人も中にはいるかと思いますが、利用者の視点で使いやすさを追求したデザインになっています。
システムを手掛けるのはギフティです。
SNSでプレゼントするソーシャルギフトのパイオニアです。
その知見と技術が地域と人のつながり創出に生かされています。

総務省によると、2021年度のふるさと納税の総額は8,302億円と過去最高を更新しました。
めざましい伸びを見せる一方、納税額の多い自治体の顔ぶれをみると、相変わらず、人気の名産品を持っている市や町に偏っています。
旅先納税は、強い1次産品を持っていない地域にもチャンスとなりえます。瀬戸内市では「返礼品を希望される寄付者は関東圏内の方が5割だが、旅先納税は(マイクロツーリズムの広がりで)近隣の自治体に住んでいる方の利用が8割を占める」そうです。

飲食店や産地など応援を目的とした購買行動がコロナを機に定着しました。
旅は人とのつながりを強く感じます。
最初の動機は「お得に旅を楽しむ」でも、お世話になった地域を応援したい気持ちが芽生えてくるかもしれません。
ふるさと納税を一度も利用したことがない人は多く、それだけ可能性は大きいでしょう。

すごく良い取り組みですね。
ショッピングカタログで欲しいものを選ぶという感じになっているふるさと納税とは一線を画し、そこを訪れた方が、寄付をして、返礼品で買い物をしてくれれば、その地域の経済の活性化にもつながるでしょうし、自治体も寄付金で自治体の役に立つようなことにお金が使え、自治体の活性化などにつなげることもでき、通常のふるさと納税もやっているのであれば、訪問後そちらをやってくれる方もいらっしゃるでしょうし、ふるさと納税をしたことがない方が、これを機に他の自治体を含めふるさと納税をするようになれば、自治体にとっても良いでしょうから。

ふるさと納税で旅先で寄付し電子ギフトで即返礼というところがあることについて、どう思われましたか?


固定資産税の評価基準の解釈適用の誤りを指摘し原審に差戻し!

TabisLandによると、2022年9月8日、固定資産課税台帳に登録された土地の価格を巡って審査の申出を棄却する旨の審査決定をした固定資産評価審査委員会の委員に職務上の注意義務違反があったか否かの判断が争われた事件で、最高裁判所(山口厚裁判長)は、登録価格の決定に違法はないとした上で損害賠償請求を棄却した原審(大阪高裁2021年6月11日判決)の判決のうち、損害賠償請求に関する判決の内容を破棄するとともに、損害賠償請求に関する部分についての審理を更に尽くすよう控訴審に差戻しを命じる判決を言い渡しました。

この事件は、ゴルフ場の用に供されている一団の土地に係る固定資産税の納税義務者が、土地課税台帳に登録された各土地の価格を不服として自治体の固定資産評価審査委員会に審査の申出をしたところ、これを棄却する旨の審査決定を受けたことから、価格の適否に関する決定の判断に誤りがあるなどと主張して、自治体を相手に、納税義務者側が適正な時価と主張する価格を超える部分の取消しを求めるとともに、国家賠償法1条1項に基づき弁護士費用相当額等の損害賠償を求めたのが発端となりました。

これに対して、控訴審の大阪高裁が、登録価格の決定に違法はない旨の結論を示すとともに、固定資産評価審査委員会の委員に職務上の注意義務違反があったと認めることもできないと判示して請求を斥けたことから、さらに、その取消しを求めて納税義務者側が上告していたという事案です。

最高裁はまず、この原審の判断を是認できないと判示しました。
その理由として、各土地につき必要な土工事の程度を考慮することなく、丘陵コースの平均的造成費の額を用いて造成費を評定し得るとの見解に立脚した点において、評価基準の解釈適用を誤ったものということができると指摘した上で、そうした見解に立脚して評価基準の解釈適用を誤ったことについて、固定資産評価審査委員会の委員に職務上の注意義務違反が認められないとした控訴審の判断には、国家賠償法1条1項の解釈適用を誤った違法があるとも指摘しました。

その結果、控訴審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があることから、原審判決のうち、損害賠償請求に関する部分は破棄を免れないと判示した上で、さらに審理を尽くさせるため、控訴審に差し戻しました。

固定資産税の評価は、結構間違っていると言われますが、今回の差戻しは、納税者にとって良い方向ですね。
高裁は、『先例がない』ということで、しりぞけたようですが、お役所の方は、先例がないと仕事ができないということなのでしょうか?
今後、先例を作っていく自治体が増えることを期待したいと思います。
あとは、固定資産税の計算方法はよく分からないので、納税者側でも計算をチェックできるようなもっとシンプルなものにした方が良いのではないかと思っています。

固定資産税の評価基準の解釈適用の誤りを指摘し原審に差戻したことについて、どう思われましたか?


「LINEでふるさと納税」が開始!

Impress Watchによると、LINEは、「LINE」アプリでふるさと納税が可能になる「LINEでふるさと納税」を開始しました。
LINEがさとふると協業の基本合意書を締結し、サービスを提供します。

「LINEでふるさと納税」は、ふるさと納税の仕組みやサービスをより身近なものとして利用できるようにと考えられたサービスです。
LINEのユーザーが利用するだけでなく、各自治体も寄付金の活用報告を公式アカウント上で行なうといったことが可能です。

「LINEでふるさと納税」ではお礼品の検索やふるさと納税の寄付、寄付の履歴の確認、控除額のシミュレーションを利用可能です。
さとふるのWebサイトと連携して寄付金控除の証明書発行やワンストップ特例制度の電子申請も行うことができます。

8月末には、LINE公式アカウントのトーク機能で配送状況の通知機能や、ユーザーに応じたお礼品のおすすめサービスも開始される予定です。

さらに、今後は、オンラインとオフラインを融合し、訪問先で寄付の申し込みをすると、その場でアクティビティなどの「体験型ふるさと納税」を楽しめるサービスの機能拡張を検討中です。
地域とLINEユーザーのつながりを深めるとしています。

6月30日まではキャンペーンも実施されています。
期間中に「LINEでふるさと納税」で寄付をすると、寄付をした日や金額に応じて最大6%相当のPayPayギフトカードがもらえるという内容です。

LINEを使っている方は多いでしょうから、ふるさと納税の裾野を広げるにはいいかもしれませんね。
一方で、ふるさと納税が、寄附というよりは、ますますショッピングという感じになっていくのではないのかという懸念はありますね。

「LINEでふるさと納税」が開始になったことについて、どう思われましたか?


東京都税制調査会がユーチューバーなど念頭に「個人事業税見直し」を提言!

日本経済新聞によると、東京都税制調査会(会長・池上岳彦立教大教授)は、先日、2021年度答申をまとめました。
答申では、個人が事業で得た所得にかかる個人事業税でインターネットを使う新しい業種が考慮されていないとして、「早急に時代に即した見直しをすべきだ」と提言しました。
ユーチューバーやネットで単発の仕事を請け負うギグワーカーを念頭に置いたものです。

個人事業税は都道府県税の一つで、年間290万円を超える事業所得がある個人が納めることになっています。
税率は3~5%で、地方税法は課税対象として物品販売や畜産など70業種を定めています。

答申では「事業形態が著しく多様化しているが、2007年度以後、法定業種は見直されていない」と指摘しています。
事業税の対象と考えられるものでも「法定業種に該当せず課税されない業種がある」としました。

対象業種以外の人も所得税として事業所得に応じた納税はしていますが、所得税は国税のため自治体の収入にはなりません。
東京都税制調査会は、先日、答申を小池百合子知事に手渡しました。
地方税法を所管する総務省にも送付します。

個人事業税ってあまり取り上げられることがありませんが、業種によってかかったり、かからなかったりしますし、税率も業種によって異なるため、不平等な税金のように感じます。
個人事業税は、事業を展開するうえで行政サービスを利用していると考えられることから、行政経費の一部を負担するという趣旨だと思いますので、業種によって異なるのは疑問を感じますし、異なるとしても業種ごとに明確な数値を出せないと思いますし、事業で稼ぐと当然に所得が多くなり、住民税も多くなるため、所得に応じた負担はしているのではないかと思いますし、290万円という免税点がありますが、所得の多さと受けている行政サービスは必ずしも比例しないと思われるので、廃止するか、大多数の方が納得できるように根本的なところから見直す必要があるのではないかと考えます。

東京都税制調査会がユーチューバーなど念頭に「個人事業税見直し」を提言したことについて、どう思われましたか?


不動産の評価ミスによる過大課税の損害賠償請求を巡り最高裁判所が初判断!

不動産評価の誤りで固定資産税を納めすぎた場合、その損害賠償請求ができなくなる期間はいつから始まるのかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁判所第3小法廷(宇賀克也裁判長)は「毎年度の納税通知書が交付された時から始まる」との初判断を示しました。
判決は2020年3月24日で、裁判官4人全員一致の意見でした。

民法は不法行為から20年たつと賠償請求権がなくなる「除斥期間」を定めています。
今回の訴訟ではその起算点となる「不法行為の時」がいつなのかが争われていました。
不動産評価の誤りが発覚するケースは多くはありませんが、建築から長期間過ぎた後に評価ミスが明らかになった場合でも、不動産の所有者は払いすぎた税金の一部を取り戻せる可能性があります。

原告は1980年代に建築された建物を持つ東京都内の一般社団法人です。
建築当初の誤った不動産評価に基づき、固定資産税などを毎年過大に課されたとして、東京都に納めすぎた税金に相当する額の賠償を求めて2013年に提訴しました。
二審判決は建築当初に建物の価格の評価ミスをした時点から除斥期間が始まるとして、訴えを退けていました。

最高裁判所第3小法廷は判決で、「不動産評価を誤った時点では誰が損害を受けるかが不確定で、誤りは後から修正される可能性もある」と指摘しました。
誤りが修正されないまま所有者に納税通知書が交付された時点で初めて具体的な損害が発生するとして、各年度の納税通知書が所有者に交付された時点で除斥期間が始まると判断したのです。

その上で、原告の請求権の一部は提訴時点で除斥期間が経過していない可能性があるとして二審判決を破棄し、審理を東京高等裁判所に差し戻しました。

2020年3月24日はほぼ同じ争点の別訴訟の上告審判決もあり、最高裁判所第3小法廷は同様の判断を示して審理を大阪高等裁判所に差し戻した。

2020年3月24日は、これ以外にも『取引相場のない株式の評価』の判決もありましたし、歴史に残る日になりましたね。
固定資産税は、市町村などが勝手に計算して、納税者に伝え、納税者は疑いもなく納税するという賦課課税制度を取っていますので、『最初に間違ったとき』ではなく、『各年度の納税通知書が所有者に交付された時点』というのは、当然の結果だとは思いますが、長期間に渡り争っていただいてありがたいなぁと思います。
最高裁判所の判決は、国にやさしく、地方に厳しいという意見もあるようですが、良い判決だと思いました。

不動産の評価ミスによる過大課税の損害賠償請求を巡り最高裁判所が初判断を下したことについて、どう思われましたか?


3万人から税金取り過ぎの大阪市「20年たったら返さない」が覆る公算強まる!

行政が違法行為をしておいて「20年たったから賠償しないもんね」なんて、あなたは許せますか?
大阪市は、長年にわたり固定資産税を取り過ぎていたとして、約3万人に総額約16億円を返還すると先日発表しました。
ところが返還額が3倍前後に膨らむ可能性が出てきたのです。
「20年以上前に建てられた建物については賠償責任が及ばない」という大阪市の主張が、最高裁で覆される公算が強まったからです。
大阪市が敗訴した場合、返還額は40億円から50億円ほどに達すると原告側は試算しています。

事の発端は、今をさかのぼること42年前です。
1978年(昭和53年)、大阪市は市内のビルについて、国の規準とは別の独自の規準に基づいて評価額を決め、固定資産税を課税することにしました。
大阪市は地盤が軟弱なところが多く、ビルは多数の杭を使って建てることが多いため、算定方法を変えたといいます。
これによって税額は大きくなります。

この独自基準が国の基準と違うとは普通の市民にはわかりませんが、たまたまある建物の所有者が専門家にチェックを依頼して違法性に初めて気づきました。
そこで「税金の取り過ぎだ」と返還を求めましたが、大阪市の担当者は「独自規準は違法ではない。計算間違いがあっても返す必要はない」と、けんもほろろの応対だったといいます。

そこで所有者は6年前、大阪市に賠償を求めて裁判を起こしました。
最高裁まで争った結果、独自規準の違法性が認められて、2019年の暮れに大阪市の敗訴が確定し、所有者に292万円が支払われました。

これを受けて大阪市は、先日今後の対応を発表しました。
同様の規準で課税された建物が約6,000棟あるとして、約3万人の所有者を対象に固定資産税の取り過ぎ分を返還する方針を明らかにしました。
返還総額は約16億円に上ると試算しています。

ところが、同じように独自基準に基づく固定資産税を巡り大阪市を訴えた裁判はもう1件あるのです。
こちらは一審と二審で原告の訴えが退けられています。
それは、この建物が建てられて最初に固定資産税が算定されたのが20年以上前だったからです。
不法行為があってから20年をすぎると請求権がなくなる「除斥」という民法の規定に基づき、原告に請求権はなくなったという大阪市の主張が認められたのです。

これに対し原告は「固定資産税は完成時だけではなく毎年課税されるのだから、違法な規準に基づく不法な課税が毎年行われ続けてきた。だから除斥は適用されない」と主張し、最高裁に上告しました。

上告を受けて最高裁は、2020年2月25日、双方の主張を聞く弁論を開きました。
最高裁は、元の判決を見直さずに上告を退ける場合は弁論を開かず、いきなり判決や決定を出します。
逆に弁論を開く場合は、何らかの形で二審の判決を見直すのが通例です。

今回の場合は「除斥により請求権はなくなった」という大阪市の主張を認めた二審判決を見直し、「除斥は適用されない」という原告の訴えを認め、高裁に差し戻す公算が強いと原告側弁護士は見ています。

大阪市が先日発表した返還額の試算は、20年以上前に建てられた建物には除斥が適用されて賠償の対象にならないことを前提にしています。
もしも最終的に原告側が勝訴すれば、20年以上前の建物にも同様の返還を行わざるを得ません。
原告側の試算では、その総額は大阪市の試算の3倍前後、40億円から50億円に達するといいます。
さらに再算定や返還事務にあたる市の職員の業務負担も膨大なものになると見られます。

これほどの大問題を大阪市はどうしてこれまで放置してきたのでしょう?
除斥を盾に納税者に誠実に対応してこなかったツケが傷口を広げたと言えるのではないでしょうか?
大阪市課税課は「判決の前でもあり、今日の時点ではコメントはできない」と話しています。

注目の最高裁判決は2020年3月24日、最高裁判所で言い渡されます。

固定資産税は、市町村から通知がきて支払うもの(いわゆる賦課課税制度)ですから、納税者は通常、何ら疑うことなく、正しいものだろうと考えて納付すると思います。
完全に、ミスがあるということは市町村側のミスということですから、時効とかを主張すべきではないと個人的には思いますね。
僕自身、税理士もやっていますが、固定資産税については恥ずかしながら詳しくないですし、決定する市町村側も、それなりの知識が必要だと思いますし、現場もきちんと確認する必要があるのではないかと思います。
そのような中、数年で異動になるということは、そのたびに素人の方が入ってくるということだと思いますので、業務的になかなか厳しいのではないかと思います。
以前から、成功報酬で固定資産税の見直しをやっている税理士がいるように聞いていますが、市長村側も税理士も納税者も固定資産税に関する知識を高めていかないと、今回の大阪市のような事例はたくさん出てくるのではないかと思います。

3万人から税金取り過ぎの大阪市「20年たったら返さない」が覆る公算強まっていることについて、どう思われましたか?


ふるさと納税から除外された泉佐野市を再検討へ!

 総務省がふるさと納税の新制度から大阪府泉佐野市を除外したことをめぐり、国の第三者機関「国地方係争処理委員会(係争委)」(委員長・富越和厚元東京高裁長官)は、判断を再検討するよう総務相に勧告することを決めたようです。
係争委が自治体に対する国の政策判断の見直しを求めるのは初めてだそうです。

総務相は今後、勧告から30日以内に再検討の結果と理由を同市に伝えることになります。
除外の判断が覆らない場合、泉佐野市は高裁に提訴できます。

ふるさと納税の返礼品を巡っては、2019年6月、法律で、寄付額の3割以下の地場産品に限ると定められました。
これに先立ち、総務省は2018年秋、ギフト券などで多額の寄付を集める自治体に見直しを求めました。
泉佐野市は「閉店キャンペーン」を展開し、制度改正前の駆け込み需要の取り込みに走りました。

こうした振る舞いが総務省の態度を硬化させました。
総務省は新制度の対象を選定するに当たり、「2018年11月から19年3月までの寄付募集について、他自治体に多大な影響を与えていない」との条件を設定しました。
泉佐野市を含む4市町が制度の対象外となりました。

係争委では、この除外理由が妥当かどうかが最大の争点でしたが、富越委員長は会見で、新制度がスタートした後に不適切な取り組みをしたかどうかで判断すべきだと強調しました。
「泉佐野市の寄付集めの手法が是正を求めるべき状況にあったことは理解している」と述べつつも、「(新制度の根拠となる)改正地方税法の目的は、過去の行為を罰することではない」と指摘しました。

国地方係争処理委員会は、地方分権一括法に基づき、2000年4月に当時の総理府(現在の総務省)に設置されました。
地方自治体は、国の関与に不服がある場合に、審査を申し出ることができます。
申し出から90日以内に、5人の委員が結論を出します。
勧告が出れば、国は必要な措置を講じる義務があります。

国と地方の関係を対等にすることを目指す改革の一環として導入された仕組みですが、これまでは十分に機能していたとは言い難い状況です。
訴える資格がないなどとして、そもそも申し出を審査の対象とせず、自治体を門前払いすることが多かったようです。

それだけに今回、踏み込んだ決定を下したことに驚きが広がっているようです。
地方関係者は「さすがに総務省のやり方が強引すぎたということだろう。泉佐野市の除外について、心情的には多くの自治体が支持しているが、法律にはのっとらないといけない」と話しています。

ただし、新制度がスタートする直前の2019年4~5月の2か月間に泉佐野市が集めた寄付額は、185億2,150万円に上り、全国最多だった2018年度1年間の約4割にも相当する水準です。
通知に従った多くの自治体の間には不公平感も残るなか、総務省も安易に矛を収めることはできないでしょう。
両者の対立が収束するかは、依然として不透明です。

制度が存在し、税理士という職業柄、ふるさと納税をされている方の確定申告のお手伝いをさせていただくこともあり、僕もふるさと納税を数年前から毎年していますが、元々、制度の不備があると思っていますし、このBLOGでも何度も書いています。
よって、制度を0ベースで見直せば良いと思いますが、制度の不備を認めたくないのか、総務省が強引に進めたので、今回の問題に発展していると思います。
法人版のふるさと納税もあまり使われておらず、変えようとしているようですが、まずは、こちらを根本的なところから変えないといけないしょうね。
総務相がどういった答えを出すか楽しみですね。

ふるさと納税から除外された泉佐野市を再検討することについて、どう思われましたか?


「ふるさと納税バブル」で一番儲けたのは誰か?

 泉佐野市は「ふるさと納税閉店セール」を展開中ですが、結局、この制度では誰が最も得をしたのでしょうか?
東洋経済オンラインによると、先日、大阪府泉佐野市のふるさと納税制度による2018年度の寄付額がなんと約497億円に達する見通しと報道されました。
2017年度に全国でトップだったときの135億円に比べて約3.7倍となる、大きな金額です。
泉佐野市の一般会計予算は約517億円ですから、実に一般会計予算に匹敵する寄付金を集めたことになります。

ふるさと納税はワンストップ納税、控除条件の拡大などによって一気に拡大し、2018年度には4,000億円を超えたと推定されています。
総務省は泉佐野市の取り組みを好ましくない事例として位置づけ、異例の指導に入り、すでに「特別交付税減額」という措置を2019年3月に行いました。
泉佐野市への交付税額は昨年度比1億9,500万円減の6,200万円となっていますが、別途約497億円を集めたわけですから、痛くもかゆくもないでしょう。

ふるさと納税という仕組みは、当初から「納税者」「自治体」「返礼品納入業者」のいずれも「やったもの勝ち」でした。
高額納税者ほど得をし、ルールを逸脱した自治体のほうが得をし、大量の返礼品ニーズに対応できる納入業者のほうが得をします。
一方、返礼品率を常識の範囲に留める自治体、所得が低くふるさと納税を活用できない人、返礼品に採用されない業者が実質的に損をするという税制としては当初から歪んだ構造でした。

早期に改正を行う必要がありましたが、返礼品競争は過熱しすぎるほど過熱し、ようやく今回の規制となったわけです。

数年にわたり、国は「地方自治体に良識を求める」という極めて甘い運用をやり、制度改正を先送りにしつつ、法的拘束力もない指導のみで、数年間返礼品競争を実質的に放置したに等しく、大変残念なことでした。
全国各地の返礼品業者は、今後少なくとも返礼率の低下、個別自治体によってはふるさと納税額の大幅低下などによって少なからず影響を受けることになります。
また、自治体も、ふるさと納税の勝ち組自治体とされたところほど、歳入減少の影響を受けることになるでしょう。

まさに制度改正を迎える2019年は、ふるさと納税の「逆噴射」が地方を襲うと言えます。
その影響は誤った競争環境での勝ち組とされた自治体ほど大きくなるのは必至です。

6月からは国が3つの基準を設け新制度がスタートし、国の審査を経た自治体しか税制優遇の対象にしないことになります。
3つの基準とは、①寄付募集の適正な実施、②返礼品の調達費が寄付額の30%以下、③返礼品は地場産品に限定というもので、泉佐野市など「従来の返礼品競争の勝ち組たち」の認定は厳しいというのが多くの見方となっています。

ふるさと納税の大きな問題は、国と地方を併せた税収が拡大するのではなく、返礼品や自治体の人件費など含めて実際には税収総額は減少するということです。

今度は国が細かな審査を経て認定をするしない、といったようなやりとりが追加発生します。
さらに国と地方にさらに業務コストが上乗せされるため、ふるさと納税は国と地方を連結すれば、実際のところは返礼品調達で3割の経費、サイト運営や配送料といった外注費、国と地方などの業務管理にかるコストが増大し、結果としてその分公共サービスに回す財源が減少します。
約4,000億円のふるさと納税総額は、結局公共サービス以外に大きく使われていることを忘れてはいけません。

それではふるさと納税で最も儲けたのはどこか?といえば、サイト運営者やアマゾンと言えるでしょう。

雨後の筍のように乱立するふるさと納税サイトについては、テレビCMを見た方も多くいるのではないでしょうか?
東海テレビの調査によると、東海地方125自治体へのアンケート調査によると全体流通額の10%程度が運営費として支払われたとされます。
ということは、全国で約4,000億円のふるさと納税市場において、約400億円がサイト運営費として支払われたと推定できます。

さらに、最近では各社ともサイトで目立つような広告枠の販売に力を入れており、自治体はわざわざ広告枠を追加で購入して宣伝をしようとしています。
今後返礼品率が抑えられるため、ふるさと納税の主戦場は広告宣伝とも言われています。
このようにふるさと納税を獲得するために、また税金で広告枠をバンバン買うという、まったくよくわからない構造が発生しています。

このような中、ふるさと納税サイト老舗であり、返礼品数No.1とするふるさとチョイスを運営するトラストバンク社は2018年、東証1部上場企業であるチェンジという会社が48億円で買収しています。
全国の自治体との営業チャネルとサイト運営の収益性が評価された結果と言え、それだけ儲かるビジネスになっているということです。

さらに隠れた勝者はアメリカのアマゾンです。
同社のグループは、日本国内だけでも1兆円を優に超える売り上げを有しながら、納税金額は2017年にはたった11億円程度と事業規模に対してあまり日本に納税しないことで有名です。
そのような中、ふるさと納税サイトの各社は2018年末に寄付額の一定率をアマゾンギフトでプレゼントするキャンペーン競争を展開していました。
泉佐野市に至っては、独自に100億円分のアマゾンギフトをプレゼントするキャンペーンを展開して話題になりました。

あまり日本で納税しないアマゾンに、日本の税収からアマゾンに100億円を超える金額が流れるという冗談にもならないことが起きたわけです。
国と地方が争っているうちに、いちばん税金からまとまった収入を得たのがアマゾンであり、漁夫の利とは言ったものです。
もはや笑うしかありません。

真のふるさと納税の勝者は納税者でも、地方生産者でも、自治体でもなく、手数料で着実に儲かるサイト運営者であり、国内納税額より多額の収入を得たアマゾンだったと言えるでしょう。

前述のとおり、ふるさと納税はこれから国の審査で規制強化を行いつつ継続しようというわけですが、はたして、多額の行政コストをかけ、公共サービスに利用できる財源を国と地方で減らしてまでやり続けるだけの意味のある制度なのでしょうか?

そもそも、自治体は、税金を財源にして無料同然で配る返礼品で集めるような一過性のお金で経営することなどありえないはずです。
しっかり地元の農林水産業、観光産業などのリアル経済を成長させ、そうした経済に即して税収を稼ぎつつ、その範囲で自治体を持続可能な形で経営するというのがあるべき姿のはずです。
そのために必要な財源移譲、独自税制に関する自由を国に求めるべきです。

一方、国も意味不明で誤った予算獲得競争を煽るべきではありません。
もっと地方への財源移譲を推進して、自治体が一過性の投機的な資金集めではなく、地に足の着いた地域経済と財政に向けた適切な投資の視点を持てるよう、より大きな都市経営を意識した地方自治にインセンティブがあるよう制度改正と向き合うべきです。
今回のような、特別交付金減額などという懲罰的なやり方をしたり、逆に国の言うことを聞けば認定をするといったようなやり方は、ますます地方の自立性を失わせ、国まかせの財政運営になっていくでしょう。

誤った競争は誤った結果を生み出します。
今回の騒動が、ふるさと納税頼みではない、真の地方の経済財政のあり方を探る転機になることを期待します。

僕は『ふるさと納税』をしていますが、制度として認められているからであって、個人的には、制度として失敗だと思っています。
『ふるさと』とか『地域の活性化』などを考えるのであれば、寄附できる地方を過去に住民票があったところとかに限るべきだと思いますし、返礼品は不要だと思います。
この記事の中に出てくる『ふるさとチョイス』を僕も使っていますが、ここに限らず『ふるさと納税』関連のサイトを使ったことのある方は分かると思いますが、完全なショッピングサイトであり、市町村がどこかは問題ではなく、自分の欲しいものがあるかどうかで『ふるさと納税』先を選んでいる方が多いのではないかと思います。
それゆえ、『ふるさと納税』はゼロベースで見直したほうが良いと考えています。

「ふるさと納税バブル」で一番儲けたのは誰か?について、どう思われましたか?


愛知県碧南へきなん市がふるさと納税を勧誘した都内の税理士に謝礼10%!

10日(水)

 愛知県碧南市が8月末以降、東京都内の税理士に、碧南市へのふるさと納税を知人や顧客に勧めてくれれば、謝礼として寄付額の10%相当の現金を支払うと協力を依頼する文書計4,000通を送っていたことが、先日分かったようです。
総務省は、ふるさと納税の制度の趣旨に合わず「不適切」として文書の撤回を要請し、碧南市9月下旬の追加発送を取りやめました。

総務省の担当者は「寄付は自発的にするもの」と指摘し、「紹介者に謝礼を支払うという自治体は聞いたことがない」と話しています。

一方、碧南市の担当者は「ふるさと納税の手続きができるインターネット上の仲介サイトにも、手数料として寄付額の10%程度を支払っており、同じ感覚で試行的に企画した」と説明しています。
「違法性はない」として、既に送付した文書に絡んで紹介による寄付があれば、謝礼を支払うとしています。

これまで税理士側から問い合わせが約20件あったようですが、謝礼を支払った事例はないそうです。

碧南市や総務省によると、文書では「愛知県内のふるさと納税件数第一位」として、うなぎやしらすなど返礼品が百種類以上あり、寄付金を地元のベンチャー企業支援に活用している点をPRしています。

大都市圏に広める狙いで都内の税理士事務所に発送したところ、9月に文書を把握した総務省が愛知県を通じて碧南市に指摘しました。
碧南市は926日に追加で発送予定だった文書の廃棄を決めました。

自治体も『ふるさと納税』集めに必死ですね。
確かに、インターネット上の仲介サイトにも手数料を支払っているので、それと大差はないように思いますね。
ある意味、仲介サイトのほうが、ショッピングのような感じで寄付先を選ぶことになるので、『ふるさと納税』の理念に反するような気はしますが。
ちなみに、総務省は、以下の3つの意義があるとしています。

 ● 第一に、納税者が寄附先を選択する制度であり、選択するからこそ、その使われ方を考えるきっかけとなる制度であること。
それは、税に対する意識が高まり、納税の大切さを自分ごととしてとらえる貴重な機会になります。
 ● 第二に、生まれ故郷はもちろん、お世話になった地域に、これから応援したい地域へも力になれる制度であること。
それは、人を育て、自然を守る、地方の環境を育む支援になります。
 ● 第三に、自治体が国民に取組をアピールすることでふるさと納税を呼びかけ、自治体間の競争が進むこと。
それは、選んでもらうに相応しい、地域のあり方をあらためて考えるきっかけへとつながります。

3つの意義のためには、『3割ルール』を徹底するのではなく、根本的にところから変える必要があるのではないかと思いますね。

愛知県碧南市がふるさと納税を勧誘した都内の税理士に謝礼10%を支払うことについて、どう思われましたか?


ふるさと納税ルール変更に自治体が悲鳴!

 実質自己負担2,000円で全国各地の自治体から豪華な返礼品を受け取れる「ふるさと納税」は、返礼品競争に拍車がかかり、ブームが過熱していましたが、先日ついに総務省から「待った」がかかり、大きな曲がり角を迎えています。
しかしながら、そんな状況下でもまだ賢く利用できる術はないのでしょうか?

地方創生の一環として整備されてきた「ふるさと納税」ですが、規制強化の動きが加速しています。
全国各地の自治体からは、怒りや戸惑いの声が噴出しているようです。

2017年度、町税の税収25億円を大きく上回る72億円の寄付金を集めた佐賀県みやき町の末安伸之町長の訴えは切実です。
「ふるさと納税を通じた寄付によって給食費や医療費の無料化、新たな保育所の整備などを進めていたので、寄付が減れば町の財政を直撃します。せっかく地方が独自の取り組みで自立しようとしてきたのに、国はわかっていない」

野田聖子前総務大臣は、911日の記者会見で、一部自治体が高額な返礼品で多額の寄付を集めていることについて「制度そのものが否定される不幸な結果を招く」として、返礼品を寄付額の3割以下の地場産品に限定しました。
違反した自治体は制度から除外し、寄付しても税の優遇措置が受けられなくなるよう、来年の通常国会に地方税法改正案を提出して規制強化を目指す方針を打ち出しました。

2007年に創設されたふるさと納税は故郷や応援したい自治体に寄付すると返礼品がもらえるうえ、所得税・住民税の還付・控除が受けられて、実質的な自己負担は2,000円で済むことから、ブームと化してきた(還付・控除の上限額は所得などによって異なります。)。
一方、寄付金集めに走る一部の自治体は地場産品とは思えない高額返礼品を掲げて競うようになり、総務省は「3割ルール」「地場産品ルール」を守るよう20174月に通知しました。
しかしながら、それに従わない自治体が多かったことから、総務省は今回の大臣会見と同時に調査結果を公表しました。

そこでは、91日時点で「3割ルール」に違反している246自治体(全体の約14%)を実名で公表し、名指しされた自治体では混乱が相次いでいます。

佐賀牛のももスライス500g(寄付額1万円)や家電製品などを返礼品としてきた前出のみやき町もその一つです。

「肉の加工工場では設備投資や人員増をすでに進めている業者もいるのに、急すぎる見直しでは混乱を招くばかり。家電製品はすでに取り下げましたが、これはもともと、大手の家電量販店の進出で地元の電機店が困っているので、返礼品を出荷してもらえるよう手を差し伸べる試みだった。このままでは地元の店は潰れますよ!」(末安町長)

豚肉切り落とし5kg(寄付額1万円)などを用意する宮崎県都城市では、返礼品を供する約90の企業で構成される都城市ふるさと納税振興協議会から困惑の声が漏れています。

「急増する寄付者の期待に応えられるように、設備投資も人員も増やして量産体制をとっていますが、規制が厳しくなれば、連鎖倒産も避けられない。国の方針がコロコロ変わると困るのは、僕ら現場です」

個人的には、ふるさと納税をしていますが、遅かれ早かれ改正されると思っていましたし、特定の企業などの製品や商品を扱うのはどうなのかなぁと思っていました。
よって、みやき町長や宮崎県都城市の納税振興協議会のコメントは、どうなのかなぁ?と感じます。
一方で、『3割ルール』の中で、知恵を出し合って寄付金を集めればよいと思いますし、もう少し簡単に『ふるさと納税』が行える仕組みを作り、『ふるさと納税』をする人数を増やしていけば良いのではないかと思います。

ふるさと納税ルール変更に自治体が悲鳴をあげていることについて、どう思われましたか?


ふるさと納税「反抗自治体」を公表した総務省vs自治体の神経戦!

 このブログでも、先日書きましたが、国の方針に従おうとせず、見直す意向もないのはこの自治体ですと、総務省は20187月に、いまだ返礼品競争が横行しているふるさと納税をめぐって、(1)返礼割合が3割超、(2)地場産品ではない返礼品を送付している、(3)20188月までに見直す意向がないなどとして、大阪府泉佐野市や佐賀県みやき町など12の自治体名を公表しました。

20174月以降、総務省が自治体への通知や記者会見を通じて、高額な返礼品などの自粛を幾度となく要請しているにもかかわらず、反抗する自治体に対してとうとうしびれを切らした格好です。

名指しされた12の自治体は、さぞ戦々恐々としているかと思いきや、各担当者から懸念として聞こえてくるのは、意外にも自民党の総裁選の動向と東京都目黒区の取り組みについてだったようです。

一体どういうことでしょうか?
一つ目の自民党の総裁選について自治体が最も気をもんでいるのは、総裁選を経て政権が代わることによって、菅義偉官房長官が閣外に放り出されることだそうです。

菅氏はふるさと納税の“生みの親”であり、制度拡充に際して反対論を唱えた総務省の局長を退任に追い込むほど、思い入れが強いそうです。
過熱する返礼品競争を時に黙認するような姿勢を取り、自治体の強力な後ろ盾になっているわけです。

総務省は、ふるさと納税に関わる普通交付税措置や特別交付税を使って、名指しした自治体を実質的に締め上げることは制度上可能ですが、菅氏が閣僚として目を光らせている間は、手を出しにくいことを自治体はよく理解しているようです。

二つ目の目黒区の取り組みとは、20188月からふるさと納税の返礼品として、人気音楽グループ「EXILE」のTシャツやパーカなど関連グッズを用意すると発表したことです。

目黒区内に事務所やスタジオを構えており、紛れもない地場産品だと位置付けているわけですが、これは返礼品競争が過熱する中で、一番危惧していた事態ともいえます。

財政力の高い都市部の自治体が、企業の本社や事業所があることを理由に豊富な資金で魅力的な返礼品をかき集めれば、地方の自治体には当然ながら勝ち目はありません。

目黒区以外にも、これまでふるさと納税による税収減にじっと耐えてきた都市部の自治体が、次々に本格参入することになれば、地方にもっとお金(税源)を還流させるという趣旨で始まった制度が、逆回転しかねません。
菅氏に引導を渡された局長が、反対論を唱える中で最も危惧していたのも、まさに都市部の自治体の反撃による寄付金の「都心回帰」でした。
今後もし都心回帰の流れが加速したとき、名指しされた自治体が税収減で悲鳴を上げたところで、耳を傾けてくれる人たちは果たしているのでしょうか?

ふるさと納税については、このブログで何度も述べていますが、そろそろ根本的なところから見直す時期に来ていますね。
特定の政治家の影響を受ける制度というのもどうかと思いますね。
以前から気にはなっているのですが、返礼品に特定の企業のものを使うというのもどうなのかなぁと思っています。
本来は、その地域の名産などを使うべきであり、特定の企業のものを使うものではないかと思っています。

ふるさと納税「反抗自治体」を公表した総務省vs自治体の神経戦が行われていることについて、どう思われましたか?


ふるさと納税に関し「国に反逆」した12自治体を初公表!

 弁護士ドットコムによると、総務省は、先日、2017年度のふるさと納税の実績を発表しました。
 それによると、自治体が受け入れた額は3,653億円で過去最高で、2016年度(2,844億円)の約1.28倍に増加しました。
<自治体別>
 自治体別では、鹿児島産のうなぎや信州の桃、高級ビールなど地場産品以外の返礼品も大胆にそろえる大阪府泉佐野市が135億円で最も多い額を集めました。
 総務省によると、受け入れ額が多い自治体の2位から10位は、以下のとおりです。
 ・2位 宮崎県都農町(79億円)
 ・3位 宮崎県都城市(74億円)
 ・4位 佐賀県みやき町(72億円)
 ・5位 佐賀県上峰町(66億円)
 ・6位 和歌山県湯浅町(49億円)
 ・7位 佐賀県唐津市(43億円)
 ・8位 北海道根室市(39億円)
 ・9位 高知県奈半利町(39億円)
 ・10位 静岡県藤枝市(37億円)
<「通知に従う気なし」の自治体>
 一方、総務省は自治体に対する通知で、ふるさと納税をした人に対する返礼品について、原則として地場産品とすることや調達価格を3割以下におさえることを求めています。
 法的に従う義務はありませんが、通知への自治体側の対応状況(20186月時点)を総務省がまとめたところ、以下の自治体は「20188月までに見直す意向がない」ことがわかったようです。
 ・茨城県境町(21億円)
 ・岐阜県関市(14億円)
 ・静岡県小山町(27億円)
 ・滋賀県近江八幡市(17億円)
 ・大阪府泉佐野市(135億円)
 ・福岡県宗像市(15億円)
 ・福岡県上毛町(12億円)
 ・佐賀県唐津市(43億円)
 ・佐賀県嬉野市(26億円)
 ・佐賀県基山町(10億円)
 ・佐賀県みやき町(72億円)
 ・大分県佐伯市(13億円)
 あえて、通知に従わない自治体リストを明らかにするあたり、過剰な返礼品競争に歯止めをかけたい総務省が「引き締め」を狙っていることがうかがえます。
 総務省市町村税課によると、こうしたリストを公表するのは初めてだそうです。
 ちなみに、上記の従わない自治体リストは、2017年度のふるさと納税額が10億円以上の自治体に限っています。
 僕もそうですが、返礼品でふるさと納税先を選んでいる方が多いと思いますので、通知に従うと、ふるさと納税額が減り、従わないと、たくさん集まるといった状況になり、地方自治体としても頭を悩ますところだと思います。
 やはり、返礼割合の上限を決めておく、地元の品に限定する、ゆかりのある地方自治体のみにするなど、根本的なところから見直さないと、ふるさと納税に地方自治体が振り回されてしまうことになるのではないかと危惧します。
 ふるさと納税に関し「国に反逆」した12自治体を初公表したことについて、どう思われましたか?

ふるさと納税は返礼品抑制でも伸び3,000億円が視野に!

 ふるさと納税が返礼品の抑制が広がるなかでも増えているようです。
 日本経済新聞が全国814市区を調査したところ、6割が2017年度の寄付額が増えると見込んでいるようです。
 市区分だけでも2014億円と前年度より10%伸びており、都道府県や町村分を含めると3,000億円の大台を突破する勢いとなっています。
 自治体の歳入としては、ガソリン税に匹敵する規模で、主要な収入源になってきているようです。
 2017年度の自治体別の増額幅をみると、最も多かったのは1億円未満で全体の45%を占めます。
 5億円以上は3%にとどまっており、1億~5億円未満が11%でした。
 ふるさと納税が特定の自治体に集中するのではなく、利用の裾野が広がり多くの自治体で厚みを増している構図が浮かび上がります。

総務省によると、
2016年度の実績は2,844億円です。
 市区の合計額はふるさと納税全体の64%を占めていました。
 都道府県は1%で、町村は35%でした。
 市区と町村の伸び率はこれまでほぼ同じ水準で推移しており、2017年度は全国の総額で3,000億円の大台を超える見通しです。

総務省は、
20174月に資産性の高い返礼品などを自粛し、返礼割合も3割以下に抑えるよう各自治体に通知しました。
 20184月には返礼品の見直しの徹底を改めて求める追加の通知を出しています。
 通知後も高い返礼割合の自治体は残っていますが、集め方や使い道の工夫が広がっているようです。 北海道夕張市は、あらかじめ使途を明示しました。 インターネットで不特定多数の人から少額の寄付を募るクラウドファンディングの手法を採用し、少子化に悩んでいた地元の高校を救うプロジェクトなどが共感を呼び、寄付額が3,000万円増えました。 青森県弘前市は、重要文化財である弘前城の石垣修理や弘前公園の桜の管理といった街づくりに参加できる仕組みが人気を集め、前年度より16,000万円上積みしました。
 「高額」の返礼品だけでなく、幅広いアイデアが寄付を押し上げているようです。

一方で、
2016年度にトップ30だった市区のうち、6割が2017年度は減少すると見込んでいます。
 家電を返礼品から外した長野県伊那市(2016年度2位)は66億円減少し、パソコンの返礼品をやめた山形県米沢市(同5位)も17億円減りました。 ただし、全体では、2017年度も2016年度より10%伸びる見通しです。
 上位の減少分を幅広い自治体の増加分でカバーしている形になっています。 自治体の最大の歳入は、約4割を占める地方税です。
 2016年度は約39兆円でしたが、人口減時代を迎え今後の大幅な増収は見込みにくくなっています。
 3,000億円規模の歳入は自治体にとって、ガソリン税や自動車重量税の地方分と並ぶ規模になります。
 ふるさと納税が地方税の収入を上回る例も出ており、自治体の「財源」としての存在感は高まっています。 2016年度首位の宮崎県都城市を抑え、2017年度の見込み額でトップになったのは大阪府泉佐野市(同6位)でした。
 関東、関西を中心に約130億円を集め、2016年度より約95億円増えました。
 ふるさと納税の額は、同市の2016年度地方税収入の約6割にあたります。
 返礼品を大幅に増やして、1,000以上を用意しました。
 黒毛和牛などが人気で、3月までは宝飾品や自転車もそろえていました。
 返礼割合は2017年度で約4割と総務省が求める基準より高かったですが、2018年度は約3割まで下げる方針です。 一方、税収が「流出」している自治体からは不満の声も漏れます。
 東京23区では、2016年度だけで386億円が流出しています。
 世田谷区では、52億円も減りました。
 自治体によっては「既存事業や新規の事業計画に影響が出る可能性がある」と懸念するところもあるようです。 なお、この調査は、2月下旬から4月下旬に実施し、802の市区から回答を得ました。
 ふるさと納税とは、生まれ育った故郷や応援したい自治体に寄付できる制度です。
 納税者が税の使い道に関心を持ったり、寄付を受けた地域を活性化させたりする目的で2008年度に導入されました。
 寄付額から2,000円を差し引いた金額(上限あり)が所得税と個人住民税から控除されます。
 2015年度から控除上限額を2倍に引き上げ、確定申告せずに税額控除の手続きができる特例制度を導入して利用が広がりました。 本来の趣旨からはズレているんでしょうが、制度がありますし、税理士という職業柄か、ここ数年毎年ふるさと納税をしています。
 もちろん、僕自身もらえるものから寄附する先を選んでいますし、そのような方が多いのではないかと思われます。
 本来、返礼品目的の制度ではなく、東京の23区などは不利だと思いますので、根本的に制度を見直す時期には来ているのではないかと思っています。 ふるさと納税は返礼品抑制でも伸び3,000億円が視野に入ったことについて、どう思われましたか?

公示地価にダマされるな!

 国土交通省が20183月末に発表した201811日時点の公示地価は、商業・工業・住宅の全用途で0.7%のプラスでした。
 地価上昇は3年連続で、これはバブル崩壊の1992年以降で初めてのことだそうです。
 驚くのは、外資マネーが流入して再開発が活発な大都市圏だけではなく、地方圏平均でも商業地が0.5%とわずかながら、26年ぶりに上昇に転じたことです。
 新聞各紙も「地価上昇が全国的に波及、脱・資産デフレが進む」などと報じていますが、はたして本当なのでしょうか?
 ダイヤモンド・ザイによると、その背景に迫ると、不動産鑑定士がお客さんの自治体に忖度して公示地価が決まる実態が見えてきたようです。
 2018年の公示地価で、上昇率ベスト3を独占したのは、北海道倶知安(くっちゃん)町で、スキーリゾートが人気のニセコ地区は、商業地も住宅地もプラス30%を超えました。
 オーストラリア人を中心とする外国人観光客が押し寄せるニセコ地区は、スキー場に隣接する住宅地だけではなく、JR倶知安駅周辺の商業地にも地価上昇が波及しました。
 2017年の訪日客数は、2,869万人と過去最高を記録しました。
 地方圏の商業地の上昇を牽引しているのも、外国人観光客の増加で店舗やホテル需要が高まっている地方都市なのです。
 それらの恩恵を受けている4市(札幌市・仙台市・広島市・福岡市)だけを取り上げると、前年との平均変動率は7.9%ものプラスになります。
 しかしながら、ほとんどの地方都市はそんな活況とは無縁でしょう。
 人口流出・高齢化にあえぎ、住宅地は空き家が続出、駅前立地がシャッター通りと化している街も少なくありません。
 茨城県は、同じ関東でも13県とは違い、“地盤沈下”が激しくなっています。
 日立市に向かう国道6号沿いは閉鎖したドライブイン、飲食店、ガソリンスタンドなどが生い茂った草に覆われ、寂しい風景が続きます。
 散歩に出れば、月ごとに増える空き家、駅前は土日なのにシャッターを閉めている店舗、テナント募集の店舗が軒を連ねます。
 外国人観光客は、ほとんどいません。
 それでも、茨城県の地価変動率は住宅地、商業地ともに▲0.7%です。
 つくばエクスプレス沿線の再開発エリアが人気を集めていて、それが全体を押し上げているとしても、実感からするとマイナス幅が少ないように感じられます。
 茨城県以外に目を転じても、地方圏の商業地で、前出の上昇率の高い4市(7.9%)を除いた市区町村の変動率も▲0.4%とマイナス幅は小さくなっています。
 公示地価に詳しい不動産鑑定士が重い口を開いているようです。
 「実は、公示地価は大きく上げ下げできない事情がある。税金との絡みが公示地価にゆがみをもたらしています」
 公示地価は国が示す地価の指標です。
 国土交通省によると、売り急ぎや買い急ぎなどの特殊事情を除いた「正常な価格」(必ずしも実勢価格ではない)を表しています。
 公的な土地評価はほかにもあって、都道府県が毎年9月ごろに公表する基準地価、国税庁が毎年7月ごろに公表する相続税路線価、市区町村が3年に1回、4月ごろに公表する固定資産税評価額があります。
 土地が、『一物多価』と言われるところです。
 問題は、相続税路線価は公示地価の8割水準、固定資産税評価額は公示地価の7割水準に設定されていることです。
 相続税路線価はその名のとおり、相続税や贈与税の算出に用いられる評価額であり、固定資産税評価額は固定資産税や不動産取得税を決める基準となります。
 つまり、公示地価は、国や自治体の税収を決める基準の大元になっているのです。
 それゆえ、公示地価を実勢にあわせると、銀座の一等地のように公示地価の23倍でも売れるところは急激に相続税や固定資産税が上がってしまい、逆に、過疎化する地方のように、公示地価の8割水準の路線価でさえ売れないエリアは、税収が大きく落ち込んでしまうことになります。
 問題として大きいのが、後者でしょう。
 いまや、自治体の税収の40%強が固定資産税によるものなのです。
 地価下落は、自治体の財政悪化に直結するのです。
 不動産鑑定士の資格を持ち、複数の著書で「公示地価は実質的に破綻している」と主張する森田義男税理士が語っています。
 「自治体はできるなら公示地価は下げてほしくないと考えている。国交省もそれは認識している。調査にあたる鑑定士は、数字のごまかしはできないが、なるべく希望に沿う数字を出す。だから、結果的に地方の公示地価は“高示地価”になる。お上の意に沿わない鑑定評価をすると、翌年から仕事が来なくなる恐れがある。鑑定の世界にも、忖度が働くのです」
 森田氏によれば、特に地方の不動産鑑定士にとっておいしいのは、公示地価よりも固定資産税評価額の仕事だそうです。
 1地点当たりの報酬は54,000円(税別)で公示地価や路線価より低いですが、評価地点は全国で約44万地点に及びます。
 3年に1回、200億円以上の金額(税金)が、全国の不動産鑑定士に配分される計算になります。
 衰退が進む地方において、不動産鑑定士に、民間の仕事はそれほど多くはないでしょう。
 不動産鑑定士に限らず、「士業」の多くは官庁の強い影響下にあります。
 我が税理士は国税庁、司法書士なら法務省です。
 しかしながら、多くの士業は、官庁から直接仕事をもらうことはありません。
 ほとんどのお客さんが民間の人です。
 我が公認会計士や税理士はそうです。
 ところが、不動産鑑定士の世界は違い、お客さん=官庁なのです。
 森田氏のように不動産鑑定士の仕事に見切りをつけ、税理士として生計を立てているならいざしらず、“お客さん”には逆らえないでしょう。
 しかしながら、公示地価は我々が払う税金と密接に絡んできます。
 地価下落が進んでいる地方で、公示地価の8割水準の路線価でさえ売れない土地は珍しくありません。
 これは、相続税を払って不動産を維持しても割が合わなくなることを意味しています。
 おりしも、20183月末に厚生労働省が発表した将来推計人口によれば、2030年にはすべての都道府県で人口が減り始め、2045年には7割の市区町村で2015年に比べ人口が20%以上減る見通しです。
 秋田県では41.2%、青森県では37.0%も減るそうです。
 地方においては、一部の人気エリアを除き、これからも地価下落の大きな要因となる人口減少・高齢化が重くのしかかります。
 かくして、公示地価と実勢価格とのかい離は、ますます広がっていくでしょう。
 こういう実態があったのですね。
 職業柄、相続税の申告も年に何件かはやっていますので、路線価図は結構見るのですが、路線価の付いているエリアはどんどん減っています(つまり、評価するコストが削減されています。)。
 固定資産税評価額は、基本的にすべての土地や建屋に付きますので、それほど評価地点は減らせないでしょうね。
 税収を考慮したものではなく、実態に合ったものにしてもらいたいですね。
 公示地価について、どう思われましたか?

豊島区役所がペーパーレスによる課税・納税証明書の発行手続きの実験を開始!

2018年03月19日(月)

 三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社(本社東京都港区、、以下「MDIS」)と豊島区役所(本庁舎東京都豊島区)は、区民が「特別区民税・都民税(住民税)証明書」の交付を受ける際、“専用ペン“を使用してペーパーレスで申請する実証実験を201835日に開始したと発表しました。

実証実験の対象となる「特別区民税・都民税(住民税)証明書交付サービス」とは、区民が課税証明書・納税証明書を申請する際に利用するサービスで、証明する年度や必要な人の名前・住所・生年月日などを申請書に記載して申請します。
この申請手続きは、記入欄が多く記入箇所が分かりづらいことや、年間3万件以上申請のある申請書自体の管理負荷などの問題点があったようです。

今回使用するシステムは、MDISが開発・販売するペーパーレス受付システム「らくかけくん」で、プロジェクターで表示された様式イメージに専用ペンで入力する「プロジェクションマッピング技術」を活用しています。

区役所を訪れた利用者は、窓口に設置された専用記載台にて上方のプロジェクターから投影されたイメージを見て、専用ペンにて操作します。
投影イメージに直接記入することで、文字認識技術により手書き文字が瞬時に文字データへ変換されます。
実証実験では日本語と中国語の2か国語への対応を行います。
担当者は、窓口アプリで入力結果の確認や申込書の管理が可能です。

このシステムを用いることで、従来の紙の申請用紙やディスプレイモニターと比べプロジェクターで大きな文字で表示することができます。
また、キャラクターによるガイダンスが記入箇所に応じて表示されることから、利用者の利便性向上が期待できます。
一方、窓口担当者など職員にとっては、窓口での確認・問合せ対応の減少や、データ入力、申込書管理負荷の低減等、業務効率化が期待できます。
さらに、紙が不要となることで、書類保管倉庫のスペース削減も可能です。

MDISは今回の実証実験を評価し、「らくかけくん」のさらなる機能拡充と利便性向上を目指すとともに、自治体の申請窓口、小売店の各種申し込みカウンター、金融機関の店舗、ショッピングモールでのカード申し込みなど、様々な業界への拡販を検討していくようです。

役所での手続きは、無駄と思われるものや、分かりにくいものや、記入したりするのが面倒なものなどが、多々あると思います。
今後は、このようなものが出てきて、便利になることを切に願います。
まぁ、ここでもAIに取って代わられ、人がいらなくなるところもたくさん出てくるでしょうね。
手続きとは関係ありませんが、個人的には、市とかの発行する書類はA4より微妙に大きくて、職業柄コピーすると端が欠けて読めないことが頻繁にありますので、早く、書類のサイズをA4にしてほしいですね(笑)。

豊島区役所がペーパーレスによる課税・納税証明書の発行手続きの実験を開始したことについて、どう思われましたか?

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過大に消費税の還付受けた疑いで「ファーマライズ」に追徴課税!

NHKによると、全国で調剤薬局を展開する「ファーマライズ」が卸売り業者から医薬品を仕入れて別のグループ会社に販売する形を取り、消費税の計算上、仕入れの際の税額を多くすることで過大に消費税の還付を受けていたとして東京国税局から3億円余りを追徴課税されていたことが関係者への取材で分かりました。

追徴課税を受けたのは、全国でおよそ200店舗の調剤薬局を展開する東京都中野区に本社がある「ファーマライズ」です。

関係者によると、「ファーマライズ」は卸売り業者から医薬品を仕入れて別のグループ会社に販売する形を取り、消費税の計算上、仕入れにかかった税額を多くすることで還付される消費税があるとして税務申告をしていました。

しかし、一部の医薬品について、グループ会社が直接発注したり、「ファーマライズ」を経由せずに配送されたりしていて、東京国税局は「ファーマライズ」が仕入れていたとは言えず実際より多く消費税が還付されていたと判断したということです。

東京国税局は2023年5月までの3年間で過大に還付された消費税と過少申告加算税を含めて、3億3,000万円余りを追徴課税しました。

親会社の「ファーマライズホールディングス」は、「東京国税局との間で一部見解の相違はあるものの税務上はその見解に基づいて計算し連結損益計算書に反映を見込んでいる」としています。

きちんと証明できれば否認されることはないと思いますので、このケースで見解の相違があるのかどうかは個人的に疑問ですが、意図的にやっているのであれば悪質なように思います。

仕入れてもいないものを仕入れたことにして、決算時には在庫として計上して、期をまたいでからグループ会社に販売したことにすれば、消費税の支払いを実質的に先送り(もしくは還付)できますので。

過大に消費税の還付受けた疑いで「ファーマライズ」に追徴課税が行われたことについて、あなたはどう思われましたか?


消費税申告ミスで8億円追徴のエンビプロ子会社は「承服できず」不服申し立て!

朝日新聞によると、東証プライム上場企業「エンビプロ・ホールディングス」の子会社で、リサイクル資源会社「NEWSCON(ニュースコン)」(東京都中央区)が東京国税局の税務調査を受け、輸出免税取引をめぐる消費税の還付申告に誤りがあったとして、2023年までの3年間で約8億円の追徴課税(更正処分)を受けたことが関係者への取材でわかったようです。

エンビプロ社は「承服できず、国税不服審判所に不服申し立てをした」としています。

関係者によると、NEWSCONは主な輸出品である製鋼原料などのリサイクル資源に加え、中国で需要が高まった雑貨などを含めて、輸出免税の適用を受けるために申告していました。

しかしながら、東京国税局は、雑貨など約70億円分の商品については、実際の輸出元は同社ではなく仕入れ先の業者だったとして、輸出免税を認めず、2024年7月に追徴課税をしたようです。

事業者は、売上時に受け取った税額から、仕入れ時に支払った消費税額を差し引き、納税します。

輸出による売り上げは免税のため、仕入れ時の税額を還付申告できます。

輸出免税はなかなか難しいですね。

争って、白黒はっきりさせて欲しいですね。

今後どうなるかウォッチしていきたいと思います。

消費税申告ミスで8億円追徴のエンビプロ子会社は「承服できず」不服申し立てを行ったことについて、あなたはどう思われましたか?


渡航者の免税品不所持の消費税の課税漏れが3億円超!

時事通信によると、海外からの渡航者が購入した免税品を出国時に所持していない場合に、消費税が適切に課税されているかを会計検査院が調べたところ、成田、羽田両空港の税関で2022年度、計約3億3,900万円が課税漏れとなっていたことが、先日、分かったようです。

税関は、渡航者が日本国内で購入した免税品を出国時に所持せず、輸出も確認されない場合、国内で消費したと見なして消費税を課税します。

購入総額が1億円を超えるケースでは、渡航者の搭乗時に書面か口頭で課税を通知します。

会計検査院は2022~2023年度、税関が渡航者の購入額計約647億600万円について適切に課税されたかを調査しました。

両空港の税関で2022年度、9人が購入した高級腕時計など計約33億9,800万円分の消費税約3億3,900万円が課税漏れでした。

書面作成の時間が足りなかったことなどにより、渡航者の搭乗時刻までに通知が間に合わなかったようです。

税関を所管する財務省は、検査院の指摘を受けて課税通知に関する実施要領を改正するなどしました。

日本国民が外国人の消費税を負担しているのと同じだと思いますので、きっちりと取って欲しいですね。

そもそも免税品の消費税は、色々なところが確認を怠って追徴課税されたりしていますが、いったんは消費税を支払ってもらって、空港などで確認のうえ返すなど、見直した方が良いのではないかと思っています。

渡航者の免税品不所持の消費税の課税漏れが3億円超であることについて、あなたはどう思われましたか?


調剤薬局グループが架空取引で消費税16億円を不正還付か?

朝日新聞によると、全国で調剤薬局チェーンを展開する会社(兵庫県芦屋市)やグループ企業など約60社が国税当局の税務調査を受け、2022年から2023年の約1年間に消費税計約16億円の不正還付を受けたと指摘されたことがわかったようです。

薬局間での医薬品の架空取引を通じて、還付対象の消費税があるように装ったと判断されたとみられます。

追徴税額は、重加算税を含め計約23億円とみられます。

この会社は朝日新聞の取材に対し、「架空取引の認識ではなかった。見解の相違があったが、指摘を真摯(しんし)に受け止め、修正申告と追徴税額を含む納税を行った」と回答しました。

消費税は、モノやサービスを売った時に受け取る税額より仕入れ時に支払った税額が多い場合、その差額が還付されます。

関係者によると、この会社は近年、企業合併・買収の資金調達のためにグループ企業などとの間で医薬品の在庫を売買していたそうです。

大阪国税局など全国の国税当局が約60社について調べたところ、書類だけで実態のない取引が見つかり、それにより仕入れなどで支払ったとして差し引ける消費税が実際より多いように装って還付請求したと判断されたとみられます。

帝国データバンクなどによると、この会社は各地の調剤薬局チェーンを買収するなどして規模を拡大し、調剤薬局などを全国で計562店舗展開しています。

2023年5月期の連結売上高は2,233億円で、調剤薬局グループでは国内で大手とされています。

大手ドラッグストア「スギ薬局」を運営するスギホールディングスが2024年9月にこの会社を子会社化しています。

見解の相違があるのであれば、争えば良かったのではないかと思いますが、争わなかったんですね。

実態のない取引があるとされたということだと思いますので、よほど杜撰な処理をしていたんでしょうね。

過去に悪質な方法で還付申告をした会社等がたくさんあり、消費税の還付申告をすると税務調査が入る可能性が高いということを認識して、おかしなところがないことを確かめて還付申告をしないといけないということを知っておいた方がいいですね。

調剤薬局グループが架空取引で消費税16億円を不正還付していたことについて、あなたはどう思われましたか?


消費税2,400万円不正還付疑いで東京国税局が電子決済会社を告発!

共同通信によると、キャッシュレス端末の架空仕入れを計上し、消費税約2,400万円の不正還付を受けたとして、東京国税局が消費税法違反の疑いで電子決済システム関連会社(東京)と、前代表取締役(51)を東京地検に告発したことが、先日、関係者への取材で分かったようです。

関係者によると、電子決済システム関連会社は他社から仕入れたキャッシュレス端末を店舗などに卸しています。

告発容疑は、キャッシュレス端末の架空仕入れを計上して仕入れ時に多額の消費税を支払ったと虚偽申告し、2020年分の消費税について不正還付を受けた疑いです。

不正に得た資金は事業費に充てていたとみられます。

こういう人がいるから、真面目に申告している会社が消費税の還付申告をすると、税務調査に来たり、資料の提出を求められたりで、なかなか還付してもらえませんので、絶対にやめて欲しいですね。

払ってもいないのに還付してもらうなんて、国からだまし取っているということですからね。

消費税2,400万円不正還付疑いで東京国税局が電子決済会社を告発したことについて、あなたはどう思われましたか?


「買い子」が免税品大量購入で転売のダイコクドラッグに3億円を追徴!

朝日新聞によると、化粧品などの免税販売をめぐり、ドラッグストア「ダイコクドラッグ」をチェーン展開する運営会社2社が大阪国税局の税務調査を受け、2021年8月期までの2年間に過少申告加算税を含め消費税計約3億円を追徴課税されたことがわかったようです。

転売目的など、免税要件を満たさない外国人客への販売が約30億円分あったとみられます。

追徴課税されたのは「中央ダイコク」と「道頓堀ダイコク」(いずれも大阪市中央区)です。

2社とも修正申告をし、全額を納付したそうです。

関係者によると、日本に住む中国人らが転売業者に雇われ、「買い子」として2社の一部店舗で化粧品や日用品を大量購入するなどしたケースが多数見つかり、免税要件を満たさないと指摘されたそうです。

指摘を受けた期間は、コロナ禍の影響で訪日客が激減していた時期と重なります。

親会社の「ダイコク」は取材に「パスポートでの本人確認や在留期間の確認などが不十分だったと国税局から指摘を受けた。真摯に受け止め、適正な免税販売をする」としています。

以前は高松の商店街の中にあるダイコクドラッグで時々買い物していましたが、最近は、高松にもドラッグストアがたくさんできて、違うところで買っているので、『ダイコクドラッグ』という名前を聞いたり、見たりすることがほとんどなかったのですが、久しぶりに名前を目にするとこういうことだったんですね。

インバウンド向けの販売が多いことは分かっていましたが、会社を分けていることは初めて知りました。

株式会社四国ダイコクもありますが、本社は大阪市中央区です。

本来免税とならないものを免税とすると、国の消費税の税収が減るわけですから、課税当局には厳しく調査してもらい、適正に販売するようになってほしいと思います。

許可の取り消しとか、何年間かは許可しないとかも考えないといけないのかもしれませんね。

「買い子」が免税品大量購入で転売のダイコクドラッグに3億円を追徴したことについて、あなたはどう思われましたか?


「領収書や請求書を捨てればばれないと」などと個人事業者7,615人が消費税無申告!

読売新聞によると、消費税の申告義務がある個人事業者が申告しない事案が全国で横行しているようです。

2023年6月までの1年間の税務調査で、7,615人の無申告者が過去最高となる計198億円を追徴課税されました。

申告義務がないように装うために年間売上高をごまかしたり、故意に申告しなかったりするケースが目立つようです。

国税当局は積極的に調査に乗り出すなどして、警戒を強化しています。

福岡県内の女性ブリーダー(70歳代)は福岡国税局の税務調査を受け、2021年までの7年間で得た所得のうち約9,600万円を申告せず、消費税約1,000万円の納税を意図的に逃れていたとして、2022年に重加算税を含む計約5,300万円を追徴課税されました。

関係者によると、ブリーダーとしての年間売上金額が消費税の納税義務が生じる1,000万円を超えることが想定されましたが、申告がなかったため、同局は調査に着手しました。

女性は当初、「年間売上高は1,000万円以下で消費税の納税義務はない」と説明していました。

出品したペットオークションの運営会社が発行し、犬や猫の売買代金が記された書類などについては「捨てた」と話していました。

このため、同局は女性が出品していたペットオークションやペットショップを運営する会社に対し、女性との取引履歴を確認しました。

その結果、ブリーダー業の年間売上高が1,000万円を超えることを把握しました。

調査結果を基に女性をただしたところ、「納税義務があることを知っていた。売上金額を意図的に少なく申告した」と認め、期限後申告を行いました。

「領収書や請求書などの書類を捨てて、確定申告を行わなければ、税務署にばれないと思った」と、2023年、消費税の無申告などを指摘された長崎県在住の設備工事業の男性(60歳代)は、福岡国税局の税務調査に対し、こう語ったそうです。

関係者によると、2021年までの7年間で得た所得約5,200万円とともに、消費税約1,400万円を申告せず、納税を免れていました。

男性は売り上げや仕入れに関する領収書などの資料を破棄し、納税義務がないように装っていました。

同局の指摘を受け、重加算税を含む計約3,100万円を追徴課税されました。

国税庁によると、2023 年6月までの1年間の税務調査で確認された消費税の無申告者は、全国で7,615人に上りました。

指摘された個人事業者の業種は、ブリーダーのほか、建築業、運送業、飲食業など様々です。

追徴税額は前年度比約1.5倍で過去最高の198億円に膨らみ、1人当たりの平均額も過去最高だった前年度を上回る260万円でした。

追徴税額が増えた背景には、消費税は身近な税で、無申告が相次げば適切に納税する国民の不公平感を招きかねないため、国税当局が監視の目を光らせていることがあります。

2023年10月に始まった消費税のインボイス(適格請求書)制度導入を見据えて調査を強化したとみられ、それが影響した可能性もあります。

福岡国税局管内(福岡、佐賀、長崎各県)では、470人が消費税の無申告を指摘されました。

追徴税額の総額12億8,600万円と、1人当たりの平均額274万円はともに過去最高を更新しました。

同局の担当者は「引き続き適正に課税するため、厳格に対応していきたい」としています。

書類を破棄すればバレないと思っているのがスゴいですね。

どこかのサイトを使っていればサイト運営会社を調べればすぐに分かるでしょうし、反面調査もありますから。

名前が出るとそれまで築き上げてきた信用も一瞬にして失うでしょうし、重加算税を課されるとその後の税務調査の頻度も高くなるでしょうし、青色申告取り消しの可能性もありますから、何もいいことはないですよね。

「領収書や請求書を捨てればばれないと」などと個人事業者7,615人が消費税無申告だったことについて、あなたはどう思われましたか?


中国人爆買いの近鉄百貨店に8億円追徴!

産経新聞によると、消費税の免税要件を満たさない中国人客らに化粧品などを大量販売したとして、近鉄百貨店(本店・大阪市阿倍野区)は、先日、大阪国税局の税務調査を受け、令和4年2月期までの4年間で約7億円の申告漏れを指摘されたと明らかにしました。

過少申告加算税などを含む追徴税額は約8億円で、修正申告するとしています。
消費税法は、訪日外国人が土産物として国外に持ち出すことを前提に、1回50万円までの免税販売を認めています。

ただし、転売目的で不正購入された場合などは適用されず、阪急阪神百貨店(大阪)や大丸松坂屋百貨店(東京)などで、同様の指摘が相次いでいます。

近鉄百貨店によると、あべのハルカス本店などで、同一の外国人客が化粧品などを大量に購入するケースがあり、国税局は4年間に免税販売された一部の約75億円分が、転売目的などとみて追徴対象にしたそうです。

この期間に免税販売した約9割が中国からの訪日客で、うち7割がメークやスキンケア商品でした。

近鉄百貨店は「見解の相違はあったが指摘を受け入れた。今後は適正な処理に努める」としています。

最近、消費税の免税の指摘が増えていますが、購入した本人ではなく、販売した企業が消費税を負担することになるわけですから、適切に運用して欲しいですね。

それよりは、そもそも論として運用方法を変える必要があるのかもしれませんが。

株主とかはどう思われるんでしょうね。

利益が減るわけですから。

中国人爆買いの近鉄百貨店に8億円追徴課税が行われたことについて、あなたはどう思われましたか?


携帯買い取り店運営会社が約28億円の消費税申告漏れの指摘!

NHKによると、携帯電話の買い取り店を運営する東京の会社が、虚偽の客の名義を使って、大量のiPhoneの取り引きをしていたとして、およそ28億円の消費税の申告漏れを、東京国税局から指摘されていたことが関係者への取材で分かったようです。会社側はこれを不服として、審査を請求しました。申告漏れを指摘されたのは、東京都豊島区の携帯電話買い取り店の運営会社です。関係者によると、この会社は、令和3年までの2年間に、中国人などおよそ80人の客からおよそ60万台のiPhoneを買い取り、輸出業者に販売したと申告し、仕入れの際に支払った消費税額の控除を受けていました。しかしながら、客1人当たりの台数が不自然に多く、組織的な転売などが疑われるとして、東京国税局が取り引きの実態を調べたところ、一部の客は、「店にiPhoneを持ち込んではいない」などと話したということです。東京国税局は、この会社が虚偽の客の名義を使って大量のi Phoneを買い取っていたとみていて、適切な形で帳簿に取り引きを記載せず、税の控除は認められないとして、およそ28億円の消費税の申告漏れを指摘し、およそ32億円を追徴課税したということです。一方、会社側はこれを不服として国税不服審判所に審査請求したということです。どれくらいの規模の会社か分かりませんが、80人から60万台、約28億円というのは、すごい数・金額ですね。消費税に関しては、悪質な還付申告などが以前から結構あるようですので、課税当局も厳しいですから。不服を申し立てているということですから、今後どうなるのか楽しみにウォッチしていきたいですね。携帯買い取り店運営会社が約28億円の消費税申告漏れを指摘されたことについて、あなたはどう思われましたか?

委託事業の消費税の取り扱いを誤り課税対象約4,000万円を非課税に!

OHKによると、香川県は、社会福祉法人などに委託している障害者相談支援事業などの委託料について、誤って消費税を非課税にしていたと発表しました。

総額は6年分で約4,000万円に上っています。

香川県によると、誤って消費税を非課税としていたのは、香川県内11の社会福祉法人などに委託していた17の事業の委託料です。

障害者やその家族の悩みや相談を受け付ける事業などで、非課税としていた総額は、6年分で約4,210万円に上ります。

2023年10月4日付で委託事業が法律上の社会福祉事業には該当せず、国から課税対象であるとの通知が届き、判明しました。

非課税とされていたのは2002年度からで、香川県は修正が可能な過去5年分について事業を委託した法人に修正申告と納付を依頼し、課税対象分の消費税と延滞税相当額などを法人に支払うとしています。

また、高松市も同じように8つの事業で約1億2,00万円を非課税としていたほか、坂出市でも4つの事業で1,050万円が非課税となっていました。

県や市が事前に確認しないものなのでしょうか?

このようなものに税金が使われるのであれば、それでいいのだろうかとの疑問が湧きますね。

修正申告にかかる税理士報酬などはどうするのだろうか?とも思いますし。

委託事業の消費税の取り扱いを誤り課税対象約4,000万円を非課税にしていたことについて、あなたはどう思われましたか?


インボイス制度導入後は経理作業が「月12時間増」!

日本経済新聞によると、2023年10月に始まった消費税のインボイス(適格請求書)制度への対応を巡り、企業の現場で混乱が続いているようです。

民間調査によると月次決算で経理担当者1人当たりの作業が平均約12時間増えていることが分かったようです。

取引先から受け取った請求書がインボイスの要件を満たしているかどうか、目視で確認する作業の負担が増しています。

特に資金力に乏しい中小・零細事業者はデジタル化が遅れており、混乱は長期化する可能性が高いでしょう。

請求書管理ソフトを手がけるSansanが、2023年11月6〜8日、請求書業務を担当する経理担当者500人を対象に調べました。

インボイス制度対応に「課題を感じている」と答えた経理担当者の割合は70%を占めました。

課題の内容(複数回答)は「請求書業務の負荷が増えた」が最多の39.2%、「社内理解が不十分で混乱が生じた」が28.6%で続いています。

制度の理解不足などを背景に記載内容に不備がある請求書が多く出回っていることが背景にあるようです。

Sansanの調べによると、同社のソフト「Bill One」を使い、顧客企業が処理した請求書のうち、適格請求書の要件を満たさずに「要確認」と判定された項目で最も多かったのは「適用税率の記載漏れ」で4割を占めました。

不動産売買・開発を手がける日本ユニスト(大阪市)では、2023年10月に取引先から受け取った請求書のうち、1割程度で税率や税額の記載が漏れるなどの不備があったようです。

制度開始の1〜2か月前から新たな請求書の様式を取引先に周知しましたが、「不動産売買の業界はこれまで消費税を入れずに請求書を発行することが多く、対応が遅れている」(同社)とのことです。

Sansanによると受け取った請求書は経理や現場部門が「人力で対応している」との回答が計8割を占め、ソフト導入など「外部サービスで対応」は1割未満にとどまっています。

経理の作業時間が増加することは、企業側は当然分かっていたと思いますが、インボイス制度を作った側は考慮していたのでしょうか?

経理担当者でこれだけ増加しているということは、会計事務所はどれだけ増えているのでしょうか?

うちの事務所は基本的に記帳代行をやっていないので、それほど作業時間が増えるわけではありませんが、質問対応に結構時間は費やしています。

インボイス制度の導入により、もちろん、潤う事業者もいらっしゃるでしょうが、対応にかかるコストが増えますので、消費税の税収は増えるのかもしれませんが、法人税や地方税の税収は減るでしょうね。

一方、ますます、働き方改革や賃上げは厳しくなるのではないかとも思います。

インボイス制度導入後は経理作業が「月12時間増」となっていることについて、あなたはどう思われましたか?


インボイスで「消費税二重取り」の巧妙手口は財務省の試算以上の税収増の可能性!

週刊ポストによると、消費税のインボイス(適格請求書)制度導入について、「増税を目的としたものではない」と説明したのは鈴木俊一財務大臣です。

義兄の麻生太郎氏も財務大臣時代、インボイス登録が開始された日の会見でこう語っていました。

「複数税率で適正な課税をやっていくにはインボイス制度は必ず必要だ」

兄弟揃って白々しい嘘でした。

2023年10月に導入されたインボイス制度には、免税業者との取引によって、国(地方分を含む)に消費税率10%以上の税収が入ってくる「消費税二重取り」の仕組みがあります。

財務省はそれを国民にひた隠しにしたまま導入したのです。

「インボイス増税」(消費税二重取り)のカラクリは、図にすると簡単にわかります。

A社は税率10%の商品を1万円(消費税納税額は1,000円)でB社に売り、B社は1万1,000円(同100円)でC社に販売、C社は1万2,000円(同100円)で消費者に小売りする。

このケースでは本来、国(地方分を含む)に入る消費税収の合計は小売価格の10%の合計1,200円です。

B社が年間売り上げ1,000万円以下の免税業者の場合、従来は消費税分の100円はいわゆる「益税」となって納めなくていいから、税収合計は1,100円でした。

インボイス制度は、免税業者と取引する業者(C社)に、「益税」分を肩代わり納税させる制度と説明されています。

ところが、実態はもっとひどいのです。

B社が免税業者の場合、仕入れ控除を受けられないC社は、小売価格の10%の1,200円の消費税を丸ごと納めなければならないのです。

1つの商品でA社とC社が重複して消費税を納めることになります。

税理士の木村昇氏が、以下のように指摘しています。

「インボイス導入によって、C社は免税業者B社の益税分100円を肩代わり払いさせられるだけではなく、A社が納める消費税1,000円も控除できないからその分を二重払いしなければならないわけです。その結果、このケースでは小売価格1万2,000円の商品なのに消費税の納税額は合わせて2200円となり、税率約18%になってしまう。

インボイス導入から3年間は免税業者との取引は8割の仕入れ控除が認められるなどの経過措置(注:令和5年10月1日から令和8年9月30日までは仕入税額相当額の80%控除、令和8年10月1日から令和11年9月30日までは50%控除という6年間の経過措置が設けられている)がありますが、それでもC社の消費税納税額はB社の益税分を肩代わりするより多くなります」

これのどこが「適正な課税」で「増税ではない」などと言えるのでしょうか?

財務省のインボイス導入の狙いは、「免税業者」を取引から排除させ、売り上げ1,000万円以下でも消費税納税の義務がある課税業者(インボイス登録)を選択させることだと指摘されてきましたが、そうではないようです。

財務省にとっては、たとえ免税業者が課税登録しなくても、この「消費税二重取り」の仕組みがあれば消費税をどんどん二重取りできるから好都合なのです。

財務省はインボイス導入後は「益税」の減少で2,480億円の税収増になるとの試算を発表していますが、実際は、二重取りによってそれをはるかに上回る増収になる可能性が高いようです。

しかも、インボイス導入で税負担が増える事業者は、当然、損しないためにその分を小売価格に転嫁して値上げする。国が二重取りする消費税は最終的には全て消費者が負担させられるのです。

岸田文雄首相は「物価高騰対策」で所得税減税すると言いながら、財務省が仕組んだこの消費者を苦しめるカラクリに頬被りを決め込んでいます。

僕自身を含め、会計事務所は毎日のようにインボイスの質問等を受けていると思いますが、この計算については、少し前にクライアントの方から『税額が増えますが、インボイス制度はおかしくないですか?』と言われ、図に書いてみると、確かに税収が増えるんだなと思いました。

個人的には、免税事業者を排除するのがインボイス制度の目的だと思いますので、経過措置の最初の3年間は2%を負担するということで仕方なく泣く事業者もそれなりにいるのかもしれませんが、あとの3年間の5%や経過措置がなくなってからの10%の負担は厳しいでしょうから、当然に、免税事業者は取引から排除されていくと思っていますので、結果的には、益税が減るということになり、週刊ポストが書いているような二重取りはあほとんど起こらないのではないかと思っています。

それにしても、特例などで複雑になり、事業者に事務的・コスト的負担の多いインボイス制度は、シンプルなものにしてほしいなぁと思います。

軽減税率をなくしたり、免税事業者をなくしたり、簡易課税の基準を緩和するなどを考えてほしいなあと思いますね。

インボイスで「消費税二重取り」の巧妙手口は財務省の試算以上の税収増の可能性があることについて、あなたはどう思われましたか?


「フォートナイト」提供会社の子会社が消費税約30億円の申告漏れ!

NHKによると、世界的に人気のオンラインゲーム「フォートナイト」を提供するアメリカのゲーム会社「エピックゲームズ」の海外の子会社が、日本のユーザーからの課金収入をめぐって、東京国税局からおよそ30億円の消費税の申告漏れを指摘され、およそ35億円を追徴課税されていたことが、関係者への取材でわかったそうです。

申告漏れを指摘されたのは、世界で数億人のユーザーがいる人気オンラインゲーム「フォートナイト」を提供するアメリカのゲーム会社「エピックゲームズ」の、ルクセンブルクにある子会社です。

関係者によると、この子会社は、日本のユーザー向けに「フォートナイト」を配信していますが、ユーザーがゲーム内でのアイテムの購入などで課金したおよそ300億円について、本来は、日本の消費税の課税対象であり、申告納税の義務があるのに、これをしていなかったことが、東京国税局の税務調査で分かったようです。

東京国税局は、この子会社に対し、2020年までの3年間でおよそ30億円の消費税の申告漏れを指摘し、過少申告加算税を含め、およそ35億円を追徴課税しました。

関係者によると「エピックゲームズ」側は、すでに修正申告を済ませ、追徴課税分を全額納付しているそうです。

海外企業に対する追徴課税としては、過去最大規模とみられます。

海外からの配信などは課税されず、日本国内企業が不利ということで数年前に税制が改正されましたが、いまだに取れていないものも、ここ以外にもおそらくあるということでしょうね。

国税局には頑張ってもらって、取るべきものはきちんと取ってほしいですね。

「フォートナイト」提供会社の子会社が消費税約30億円の申告漏れを指摘されたことについて、あなたはどう思われましたか?


インボイスの税務調査は「大口・悪質」に限定と国税庁長官がコメント!

日本経済新聞によると、国税庁の住沢整長官は10月に始まるインボイス(適格請求書)制度の税務調査について、従来と変わらず大口で悪質な事例に限定して実施する意向を示しました。
「軽微な記載のミスを確認するための調査はこれまでしてきていない。記載事項(の不備)をあげつらうような調査はしない」と、日本経済新聞のインタビューに答えました。

住沢氏は税務調査に関して「制度の定着を図ることが当面重要な課題だ。柔軟かつ丁寧な対応をしていきたい」と述べました。

インボイスには税率ごとの消費税額や税務署から事業者ごとに割り振られる登録番号などの記載が必要になります。
住沢氏は仕入れ先から受け取ったインボイスに記載事項の不備があった場合でも、納品書や契約書など他の書類で必要事項を確認できれば、仕入れにかかった消費税額の差し引きを認める考えを明らかにしました。

仕入れ先から再度、必要事項を記載して修正したインボイスを受け取ることも選択肢になります。
「記載の漏れがあったときに、(別の方法で)きちんと確認できれば申告漏れだと指摘することはない」と強調しました。

政府は免税事業者が課税事業者に転換すると、納める税額が売り上げにかかる税額の2割で済む時限措置を設けています。
売上高5,000万円以下の「簡易課税事業者」にはインボイスがなくても支払った消費税額を控除できる仕組みもあります。
住沢氏は「インボイスが必要なケースは限られる」と説明しました。

国税庁によるとインボイス制度の申請件数は2023年8月末時点で388万件となりました。
そのうち300万いる課税事業者の申請件数は285万件で9割を超えます。
460万いる免税事業者の申請件数は103万件に達しました。
財務省は460万のうち新たに課税事業者になり得るのは160万と推計しています。

インボイスを必要としない一般消費者や、インボイスを受け取らなくても支払った消費税額を簡易に計算して差し引ける簡易課税事業者を取引先とする事業者が一定数いることを念頭に、住沢氏は「相当程度、登録申請は進んできていると見ることもできる」と訴えました。

登録を迷っている事業者に関しては制度開始後も説明会を継続するなど丁寧に対応する意向です。

免税事業者の中には、インボイスを発行できないことを理由に取引を止められたり、一方的に購入価格を下げられたりしかねないとの不安があります。
「中小事業者の不安に寄り添ってきめ細やかな対応をしていく」と言明しました。
税務署で相談を受けた場合は、公正取引委員会や中小企業庁など必要な窓口を紹介するなど関係省庁と連携します。

岸田文雄首相は、先日、事業者の不安軽減を目的に閣僚級会議の立ち上げを指示しました。
経済対策での支援を含めた必要な対応を取るそうです。
住沢氏は「新しい支援策が出てくればきちんと周知・広報していく」と話しました。

インボイス制度開始後も、免税事業者からの仕入れについても一定割合の税の差し引きを認めるなどの経過措置が用意されています。
日本税理士会連合会は「経過措置の延長や恒久化」などの検討を求めています。
住沢氏は「必要があれば与党の税制調査会などで検討することになる」と述べるにとどめました。

▼インボイス制度
「適格請求書等保存方式」の通称。2019年10月に消費税率を10%に引き上げた際に食料品などには8%の軽減税率を適用しました。
どの税率を適用したかを正確に把握して納税するために導入が決まりました。

モノやサービスの売り手は請求書に事業者の登録番号や税率ごとに区分した税額を記載することが求められます。
10月以降は売り手が課税事業者として登録しておらずインボイスを発行しないと買い手は仕入れにかかった消費税額の全額を控除できなくなる場合があります。

インボイスを発行する事業者として登録するかは任意ですが、登録すると納税義務が生じます。

ある意味想像はできていたことですが、国税庁長官が導入前にコメントする必要があるのでしょうか?
真面目にインボイスに対応するためにコスト等をかけている企業や個人事業主もたくさんおられるわけですから。
インボイス制度自体がグタグタになってしまうのではないかと思ってしまいます。
個人的には、消費税の計算は簡単にしないといけないと思いますので、インボイス導入に伴う特例は話しや処理を複雑にしますので、極力やめて欲しいと思います。

インボイスの税務調査は「大口・悪質」に限定と国税庁長官がコメントしたことについて、どう思われましたか?


農家が「減収避けられぬ」インボイス巡るJTの「通告」に公正取引委員会が注意!

朝日新聞によると、2023年10月に始まるインボイス(適格請求書)制度をめぐり、日本たばこ産業(JT)が葉タバコの生産農家に一方的に取引価格の引き下げを通告したとして、公正取引委員会から注意を受けていたことがわかったようです。
制度後に予想される消費税の負担増を農家側に転嫁しようとしたとみられます。
JTは引き下げ幅を小さくするなど修正しましたが、減収が避けられない農家側からは待遇の改善を求める声が上がっています。

JTはたばこ事業法に基づき、国内農家が生産した葉タバコを全量、買い取っています。
現在は買い取り価格に含まれる消費税分を自らの納税額から控除できますが、インボイス制度が始まると、農家側からインボイスを受け取らなければ控除できなくなり、負担が増します。
インボイスは商品の販売先に対し、適用した税率や税額を伝えるための請求書などを指します。

ただし、インボイスを発行できるのは消費税の納税義務のある「課税事業者」だけです。
現状、タバコ農家の多くは年間売り上げが1千万円以下で納税が免除された「免税事業者」です。
課税事業者にならなければ、インボイスを発行できません。

岩手県二戸市の葉タバコ農家が加入する二戸農民組合によると、JTは2022年末以降、岩手県たばこ耕作組合を通じて農家に「インボイス登録をしない免税農家には消費税額分を除いた税抜き価格で支払う」と価格引き下げを伝えました。

関係者によると、公正取引委員会はJTによる価格引き下げの通告が一方的だったことを問題視しました。
仕入れ先が免税事業者でも一定割合で税控除を認める経過措置が計6年は認められているのに、控除可能な部分も含めて大幅に価格の引き下げを求めた点も含めて独占禁止法上、問題につながるおそれがあると判断して注意に踏み切った模様です。

JTともあろう大きな会社にしてはお粗末な対応ですね。
世の中にはインボイス制度導入をきっかけに廃業などをするところも出てくるでしょうから、消費税分を値切ると廃業して仕入先などがなくなる可能性もありますので、慎重に協議のうえ取引価額を決定しないといけませんね。
個人的には、苦労なく課税売上高が1千万円を超えるような日本経済にしないといけないのではないかと思っていますが。

農家が「減収避けられぬ」インボイス巡るJTの「通告」に公正取引委員会が注意を受けたことについて、あなたはどう思われましたか?


インボイス導入で複雑ルールも背景に取引先への圧力懸念!

日本経済新聞によると、消費税の税率と税額を記した請求書などをやりとりするインボイス制度が2023年10月に始まるのを前に、取引先に不適切な圧力をかける企業などが出始めているようです。
個人や零細の事業者に一方的に取引価格の引き下げを迫るといった行為で、公正取引委員会が問題視しています。
一部の専門家は、制度やルールが複雑で企業が混乱しているとも指摘しています。
ルールを明快に周知できるかという課題も浮かんできます。

「独占禁止法違反につながる恐れがある」と、公正取引委員会は、2023年5月、インボイス導入を巡り、フリーランスなどに仕事を発注する事業者が、取引先に一方的な取引価格の引き下げを通告した5つの問題事例を公表しました。
公正取引委員会が各事業者に注意をしたそうです。

イラスト制作業者が関わった例では、業務委託先のイラストレーターに「インボイス導入後も免税事業者のままでいるなら、消費税相当額を取引価格から一律に引き下げる」などと一方的に通知したとされます。

インボイス制度は、国に納税されずに一部事業者の利益となっている「益税」解消などの狙いがあるとされています。
事業者は消費者や他の事業者から受け取った消費税から、仕入れ時などに他の事業者に支払った消費税分を差し引く「控除」をしたうえで納税しています。
しかしながら、売上高が1,000万円以下だと免税事業者とされ、受け取った消費税を納税せずに自らのものにできます。
これが益税と呼ばれています。

制度導入後は、登録事業者からの仕入れなどで支払った消費税分しか控除できなくなります。
免税事業者は消費税分を含んだ代金を受け取らなくなって、益税解消につながると見込まれています。

ただし、消費税の適正な納税が期待される一方、「個人や零細の事業者が不利益を押しつけられかねない」との指摘も出ていました。
今回の公正取引委員会による注意事例は、その懸念が現実になりつつある証左ともいえるでしょう。

インボイス制度を理由にして一方的に不利益な取引条件変更を迫るのは、独占禁止法が禁じる「優越的地位の乱用」や下請法違反にあたる恐れがあります。
公正取引委員会は事業者向けのQ&Aの公表などを通じて適切な対応を呼びかけてきましたが、問題事例を止められませんでした。

なぜ、取引先への不適切な圧力が起きるのでしょうか?
専門家には「インボイス対応に独禁法が適用されること自体があまり知られていない」との見方があります。
平山賢太郎弁護士は「そもそも『優越的地位』やその『乱用』の認定はいずれも難しい。適切な対応と不適切な乱用の線引きは、非常にわかりにくい」と指摘しています。

例えば、取引先に課税事業者への転換を要請するのは正当ですが、一方的に取引条件の変更を通知すると違法行為に問われるリスクが高まります。
転換を受け入れた相手との価格の見直し交渉では「十分な協議」が求められますが、どうすれば「十分」なのかの判断も難しいです。

大半の企業は、もっぱら税理士と相談しながら対応準備を進めています。
独占禁止法に詳しい弁護士の助言も受けるような、充実した準備ができる企業は少ないです。

新興や中小からの相談が多い緒方文彦弁護士は「新興や中小などの取引の発注元の事業者と、仕事を受けるフリーランス側の双方で制度やルールの理解が浸透していない」とみています。

仕事を発注する企業にとっては、免税事業者との取引条件を見直さなければ消費税分を余分に負担することになります。
一方で、適切な説明や協議を経なければ独禁法違反のリスクとなり、板挟みです。
長沢哲也弁護士は「(適切な手続きを進めるには)かなり複雑で作り込んだマニュアルが必要になる」と話しています。

結局「独禁法リスクを重くみて、負担増を自社で吸収すると判断する企業も出ている」(長沢弁護士)ようです。
インボイスの対応準備を進める、ある企業の担当者は「(制度の複雑さの)ツケが企業側にまわされているように感じる」と不満を漏らしています。

インボイス制度の導入まで約2かですが、対応準備が遅れている事業者も多いです。
制度開始後に戸惑いが広がる可能性もあります。

国税庁や公正取引委員会はこれまでも、特設のウェブサイトや専用の電話相談窓口などで制度の適切な運用についての周知を図ってきました。
しかしながら、事業者間のトラブルや混乱を避け、円滑に制度を導入するには、さらにわかりやすく対応の参考になる情報発信ができるかが問われます。

多数のフリーランスと取引する企業は、インボイス制度の導入にあたり、対応に苦慮しています。

ポーラ・オルビスホールディングス傘下のポーラ(東京都品川区)は、エステやカウンセリングを通じて化粧品などを販売する個人事業主2万5,000人と委託販売契約を結んでいます。
「課税事業者登録への協力を呼びかけている」(ポーラ)ようです。
同時に、オンライン説明会や動画配信、コールセンター設置など独自で手厚い対応も進めています。

仕事の発注者と働き手をマッチングする仲介サービスは、板挟みに悩む様子が垣間見えます。

約90万社の企業と働き手約560万人が登録する最大手のクラウドワークスは、2023年10月以降、働き手が課税登録をしているかどうか発注者側が確認できる仕組みにします。
クラウドワークスは、インボイス対応の方針について自社ブログで説明しています。
一方で、働き手を保護するため、発注者側に対しては従来どおり、働き手に消費税分を含んだ料金を支払うよう求める方針です。

ただし、働き手の個人事業主らからは「免税事業者のままだと選別されて、受注が減るのではないか」といった不安も出ているようです。
クラウドワークスは「制度開始後の状況によって、必要な対応をさらに検討していく」としています。

<インボイス制度とは>
消費税額を正確に計算するための制度。10%と8%税率のうち、どの税率の取引か把握するため売り手が請求書(インボイス)に税率ごとに税額を記します。
インボイスを発行できるのは税務署に登録した課税事業者のみです。
インボイスがないと買い手が消費税を納める際、仕入れにかかった消費税額を差し引けません。
フリーランスなどに多い免税事業者との取引が敬遠される懸念もあります。
ただし、制度導入後6年間は、免税事業者からの仕入れについて一定割合を差し引ける経過措置もあります。

10月にインボイス制度がスタートすると、色々と混乱するでしょうね。
個人的には、まだまだ国の周知が足りないのではないかと思いますし、特例などを設けることにより余計複雑になっているのではないかと思います。
インボイス制度導入に反対されている方もおられるようですが、登録するかどうか悩むくらいであれば、課税事業者となるよう頑張れば良いとおっしゃる方も多いですし、僕自身もそう思います。

インボイス導入で複雑ルールも背景に取引先への圧力懸念が強まっていることについて、あなたはどう思われましたか?


中身は水なのに「高級化粧品370億円分輸出」と申告し消費税を不正還付!

読売新聞によると、高級化粧品の架空取引を巡り、東京都内の卸売会社と輸出会社が東京国税局の税務調査を受け、計約44億円を追徴課税されていたことが関係者の話でわかったようです。
仕入れにかかる消費税を過大に計上したほか、輸出免税制度を悪用し、消費税の不正還付を受けようとしていました。

関係者によると、東京都新宿区の卸売会社は2021年11月までの2年間に、都内の会社から高級化粧品などを約370億円で仕入れ、輸出会社約10社に販売したと税務申告しました。
輸出会社は化粧品を香港に輸出したと申告していたようです。

東京国税局は税務調査の結果、実際に取引されていたのは化粧品ではなく、飲料水だったと判断しました。
卸売会社が約370億円とした仕入れは、実際には約30億円で、東京国税局は、仕入れにかかる消費税を過大計上していたなどとして、卸売会社に過少申告加算税を含む消費税約35億円を追徴課税しました。

輸出会社に対しては、商品を海外に輸出すると、仕入れ時に支払った消費税が還付される免税制度を悪用し、不正な還付申告をしたとして計約9億円を追徴課税しました。
東京国税局は、卸売会社が輸出会社に還付申告を促し、受け取った還付金を分配しようとしていたとみています。

卸売会社の代表は税務調査後、中国に出国して連絡がつかず、会社所在地のマンションも不在となっているようです。

事実だとすると、かなり悪質ですね。
取れないと日本として大損害ですので、どうにかして、税金を取って欲しいですね。

中身は水なのに「高級化粧品370億円分輸出」と申告し消費税を不正還付していたことについて、あなたはどう思われましたか?


ポイント交換は無償取引であるとの逆転判決!

TabisLandによると、企業間のポイント交換に応じて支払われた金員が消費税法上の役務の提供の対価に該当するか否かの判断が争われた事件で、大阪高裁(善本貞彦裁判長)は、共同で行う顧客に対する企業ポイントの交換サービスを実施して、他の法人から受領した金員は資産の譲渡等の対価に当たらず不課税取引に該当すると判断して一審の判決内容を否定し、カード運営事業者側の請求を認容する逆転判決を言い渡しました。

この事件は、会員に対して鉄道等の旅客運賃等及び商品購入代金等を決済するサービスや、商品購入代金等の決済手段としてカードを利用した際に企業ポイントを付与するサービスを提供する他、その企業ポイントと提携法人が付与する企業ポイントとを交換するなどのサービスを提供する交通系ICカードを発行する運営事業者が控訴していたものです。

控訴人は当初、提携ポイントを企業ポイントに交換した後に提携ポイントを付与した提携法人から支払われた金員を消費税の課税標準で課税資産の譲渡等の対価の額に算入した上で申告をした後、その金員は消費税の課税標準である課税資産の譲渡等の対価の額に算入されないなどとして更正の請求をしたところ、原処分庁から更正をすべき理由がない旨の通知処分を受けたため、その一部取消しを求めて提訴したという事案です。

しかしながら、一審の大阪地裁が、控訴人に支払われた金員は、提携法人に対してポイント交換がされた提携ポイントを保有していた双方の会員に、提携ポイント数を基に所定の割合によって算出した数の企業ポイントを付与し、その数の企業ポイントについて控訴人が実施するポイントサービスの対象に組み込むという役務の提供に対する反対給付であるというべきであるから、対価に該当すると判示して訴えを斥けたことから、判決内容を不服とした運営事業者側が更にその取消しを求めて控訴していたわけです。

控訴審は、提携ポイントを付与した提携法人から支払われた金員は、ポイント交換に係る提携ポイントを発行した者としてその利用に係る経済的負担を負うべき立場にある提携法人がポイント還元を行う控訴人のためにその原資を提供する行為に他ならないことから、ポイント交換は無償取引であると判断し、運営事業者側の請求を認容する逆転判決を言い渡しました。
国側が上告を断念したため、納税者勝訴で確定しました。

納税者の勝訴は嬉しいですね。
納得できなければ、争って、課税当局の考えを正してほしいですね。

ポイント交換は無償取引であるとの逆転判決があったことについて、あなたはどう思われましたか?


不適正な免税販売で大丸松坂屋に4億円超の追徴課税!

日本経済新聞によると、大丸松坂屋百貨店が消費税の免税販売を巡って東京国税局の税務調査を受け、2022年2月までの2年間で約3億9,000万円の申告漏れを指摘されたことが、先日、関係者への取材で分かったようです。
免税販売の要件を満たさない取引が複数あり、過少申告加算税を含めて約4億3,000万円を追徴課税されました。

消費税法は外国人観光客らが購入した土産品などに免税を認めています。
転売目的での購入はできません。

関係者によると、大丸心斎橋店(大阪府大阪市)などの一部店舗で、本人確認が不十分なまま化粧品を販売したり、購入者の誓約書など必要書類を保管していなかったりした事例が相次いで確認されました。
パスポートの人物とは異なる購入者が同じ商品を免税で数十万円分購入するなど、転売目的が疑われる事例もあったそうです。

日本経済新聞の取材に対し、大丸松坂屋百貨店は「今回の税務調査での指摘を踏まえ、今後より一層、適切な免税処理に努める」とコメントしました。

百貨店の免税販売を巡ってはそごう・西武、小田急百貨店、松屋の3社も要件を満たさない取引があったとして追徴課税を受けています。

百貨店は免税だと訪日客の売上が増えていいのかもしれませんが、不正に使われると、日本の税収が減るということを認識してほしいですね。
そもそも、それが分かっているところだけに、免税店の許可を与えるべきだと思いますが。
なぜ、海外では一般的だと思われるいったん消費税は支払って、あとから返すみたいなやり方にしなかったのでしょうか?

不適正な免税販売で大丸松坂屋に4億円超の追徴課税が行われたことについて、どう思われましたか?


給料を外注費と偽り消費税など5,500万円を脱税!

テレビ朝日によると、消費税などおよそ5,500万円を脱税したなどとして、神奈川県大和市の土木工事業の実質的経営者の男ら2人が在宅起訴されました。

土木工事業の実質的経営者(53)と役員(58)は、2019年8月までの3年間で消費税などおよそ5,500万円を脱税した罪などで在宅起訴されました。

横浜地検によると、実質的経営者らは消費税が控除されない従業員の給料について、消費税が控除される「外注費」と偽って計上し、確定申告をしていました。

横浜地検は2人の認否を明らかにしていません。

また、同じ手法で脱税したとして逮捕されていた別の代表(64)も起訴されました。

これも悪質なケースですね。
こういうのは、指南役がいるのでしょうか?
そもそも、給与か外注費かというのは判断がなかなか難しいところので、こういったところで脱税を図ると、税務調査があると、バレやすいのではなかと思います。
常々言っていますが、安易に脱税するのではなく、きちんと検討したうえで節税をしましょうということですね。

給料を外注費と偽り消費税など5,500万円を脱税していたことについて、どう思われましたか?


銀行送金をインボイスと連動し入出金の確認を大幅に短縮!

日本経済新聞によると、政府が2023年10月にインボイス(適格請求書)を導入するのに合わせ、全国銀行協会が企業間の決済を簡単にできるようにするようです。
多くの情報を載せられる送金システムの規格をデジタルインボイスに対応させ、企業が請求から決済までをデジタルで一括でできる仕組みを整えます。
三菱商事がアナログ取引削減のため顧客への普及を目指すなど、企業側の動きも広がっているようです。

政府は2023年10月にインボイス制度を導入します。
商品・サービスの売り手は税率などを記したインボイスの発行が求められます。
国が普及を推進するのが、請求書情報をデータ化したデジタルインボイスです。

全銀協は2023年春をめどに、デジタルインボイスの標準仕様に対応した送金規格をまとます。
通常よりも情報処理量が多い送金システム「全銀EDI(ZEDI)」での送金でこの規格を使います。
規格に対応した会計ソフトなどを使えば、企業が取引先からデジタルインボイスとして受け取った請求書データを送金情報に自動連携でき、送金は請求書とひも付けられます。

具体的には「どの請求書に対する支払いか」や請求書発行日、請求金額、連絡先などの情報が載せられます。
お金を受け取った企業は会計ソフトを使うと、この情報を自動で記録できるようになります。
企業の決済・会計業務を大幅に効率化できると期待されています。

恩恵が大きいのはお金の受け取り手です。
通常の送金で送る情報は「宛先」「金額」などわずかです。
商品・サービスを売ってお金を受け取った企業は「これは何のお金か」を手作業で確認して記帳しなければなりません。
送金側とメールなどでやりとりして照合する必要があることも多くなっています。
全銀協の調べでは、中小企業の半数以上が入金確認作業に月5時間以上を費やしています。
中小の素材メーカーや専門商社では電話や紙、ファクスなどアナログ取引の慣行も多く残っています。
三菱商事は請求や決済を効率化する製品を開発し、ZEDIに連携させる計画です。
決済のデジタル化を顧客や関係企業に普及させたい考えのようです。
三菱商事の担当者は2022年12月の全銀協の会合で「まずは鉄鋼業界への普及を図りたい」と話しました。

今回デジタルインボイスと連動するZEDIは、銀行間送金を担う全国銀行データ通信システム(全銀システム)を補完する送金網として2018年に稼働を始めました。

銀行界は企業の決済を効率化させる目的でZEDIを設けましたが、専用の会計ソフトが企業の間で普及しておらず、利用率が低迷していました。
普及に弾みをつけるため、全銀協はインボイスとZEDIの双方に対応する会計ソフトなどを開発する企業に助成金を交付する事業を募集し、NTTコミュニケーションズなど19事業者が応じました。

ZEDIは2024年12月に更改期限を迎えます。
更改後は、全銀協で初めて送金網にクラウドサービスを使う方針です。
NTTデータのクラウドを利用します。
クラウド化で運用コストを引き下げ、金融機関の負担を減らします。

送金に請求書などの情報を載せて決済事務を効率化する動きは世界の潮流です。
世界の銀行が出資し、1973年に設立された国際的な資金決済網であるスイフトは情報量の多い新たな送金規格への移行を進めています。
スイフトは200以上の国・地域で1万1,000社以上の金融機関が利用しており、国際送金の共通基盤となっています。
国境を越えた資金のやり取りが増えるなか、日本の国内でも決済のデジタル化は急務です。

早く、中小企業でも低コストで使えるようなデジタルインボイスが普及して、スタンダードなものになってほしいですね。
そうなると、事務処理がかなり減少すると思います。

銀行送金をインボイスと連動し入出金の確認を大幅に短縮することについて、どう思われましたか?


インボイス発行なしでもフリーランスと取引!

日本経済新聞によると、消費税の税率と税額を記した請求書をやりとりするインボイス制度の10月からの導入を控え、人材サービスのWaris(東京都千代田区)やマイナビなど7社・団体は、先日、インボイスを発行しないフリーランスと取引を続けると表明しました。
インボイスがないと税負担が増しますが、事業に欠かせないフリーランスとの協業を優先するようです。

フリーランスら1万人超が会員となっているプロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会(フリーランス協会、東京都中央区)が取引の維持や待遇の改善を呼びかけていました。
フリーランスが消費税の課税事業者に転換し、インボイスを発行できるようになる場合は2%以上の報酬の引き上げを促します。

現在、企業は消費税の納税で、取引先からの仕入れにかかった税額は控除できます。
しかしながら、10月以降は原則としてインボイスがなければ控除できなくなります。
よって、インボイスを発行しない事業者は取引を打ち切られる懸念がありました。

インボイスを発行するには自らが消費税の課税事業者となる必要があります。
フリーランスは売上高1,000万円以下の免税事業者が大半で、フリーランス協会が2021年に実施した調査では課税事業者への移行を選ぶ事業者は4割弱です。

中小企業庁が2022年に実施した免税事業者への調査では「課税事業者として登録する予定はない」との回答が3割でした。
取引先からインボイスの発行を求められている事業者の1割が「発注側から値下げや打ち切りを言われている」そうです。

こうした発注側の対応について、政府は「独占禁止法上の優越的地位の乱用にあたる可能性がある」と法令順守を呼びかけています。
下請け事業者の保護をめざす下請法に違反する可能性もあります。

フリーランスとの取引継続を表明したのはWarisなどのほか、IT(情報技術)系フリーランス仲介のPE-BANK(東京都港区)、キャリア開発のクオリティ・オブ・ライフ(東京都中央区)、コンサル会社のヒューマン・コネクト(東京都千代田区)、システム開発のビーブレイクシステムズ、民間団体TETAU(和歌山県上富田町)です。

協会はインボイスがないことを理由に報酬を引き下げないよう促します。

最近は、インボイスのことを聞かれることも多くなりました。
免税事業者の場合、なかなか難しい判断をしないといけないケースもあります。
10月からスタートしないのではないかと思っている方もそれなりにいるのではないかと感じていますが、個人的にはスタートすると思います。
軽減税率8%の財源の大きな部分を占めるのが、インボイス制度の導入によるものですから。

インボイス発行なしでもフリーランスと取引すると明言するところが現れたことについてどう思われましたか?


パワーストーンの仕入れを装い消費税7.5 億円の不正還付受けようとした疑いで刑事告発! 

TBS によると、パワーストーンの仕入れを装い、消費税の還付を不正に受けようとしたとして、コンサルティング会社の代表らが東京国税局に刑事告発されました。

消費税法違反の疑いで刑事告発されたのは、東京都内のコンサルティング会社の代表(36)と、雑貨販売会社などの代表ら6人です。

関係者によると、代表は6人にパワーストーンを仕入れたことにして、消費税およそ7億5,000 万円の還付を不正に受けさせようとした疑いがもたれています。

代表は「関係各所へは真摯に対応させて頂く」とコメントしています。

これも悪質な事案ですね。
脱税の指南をやってはいけないのは明白だと思いますが、やる会社の経営者も払ってもいない消費税が還付されるということをおかしいとは思わないのでしょうか?

パワーストーンの仕入れを装い消費税7.5 億円の不正還付受けようとした疑いで刑事告発されたことについて、どう思われましたか?


イオンリテールが免税不適正対応で追徴課税2億円超!

日本経済新聞によると 総合スーパーを展開するイオンリテール(千葉県千葉市)は東京国税局の税務調査で、消費税の免税販売を巡り保管が義務付けられている書類を破棄するなど不適正な対応があったとして、計2億3,600万円の追徴課税を受けたと発表しました。

既に納付を済ませたそうです。

税務調査は2021年8月~2022年2月に行われ、イオンリテールによると、同社の店舗で2020年度までの5年間にわたり必要書類を破棄していたほか、2019、2020年度にはパスポートなどによる本人確認をしないまま免税販売をしていたことが判明しました。

イオンリテールは「国税当局からの指摘を真摯に受け止め、適正な免税販売に努める」とコメントしています。

不正により日本の税収が減るわけですから、課税当局には厳正に対応していただき、今回のようにきちんとルールを守っていないとことからはきっちり取ってほしいですね。
こういうことがあると、取り消しとかはできないんですかね?

イオンリテールが免税不適正対応で追徴課税2億円超となったことについて、どう思われましたか?


不動産会社と国税局が賃料収入の解釈の対立によるマンション転売時の消費税控除は?

日本経済新聞によると、中古賃貸マンションを転売する際の消費税控除を認めず、課税処分をした国税当局の対応は不当だとして、不動産会社が処分取り消しを求めた訴訟の上告審弁論が、先日、最高裁第1小法廷(安浪亮介裁判長)で開かれました。

不動産会社は「エー・ディー・ワークス」(東京都)です。
マンションを購入して大規模修繕などして、投資家らに転売する事業を手掛けています。
2017年3月期までの3年間の売買に関する消費税の税務処理を巡って国税当局から計約5億3千万円の課税処分を受け、2018年に提訴しました。

訴訟では、消費税の「仕入れ税額控除」の適用の可否が争われました。
販売時に受け取った税額から購入時に支払った税額を控除して納税する仕組みです。

エー・ディー・ワークスは制度に基づいて税務申告しましたが、国税側は転売先が決まるまでの間、一部の住居から賃料収入を得ていた点を問題視し。控除を一部しか認めず申告漏れを指摘しました。

先日の上告審弁論で、エー・ディー・ワークス側は「マンションの購入は転売収入が目的で、賃料収入が目的ではなかった」と主張しました。
国側は「購入時点で賃料収入の発生は見込まれていた。課税処分は適法だ」と反論しました。

下級審では判断が割れました。

一審・東京地裁は2020年9月、エー・ディー・ワークスの取引の主眼は転売で賃料収入は「副産物」として、処分の取り消しを認めました。
二審・東京高裁は2021年7月、控除の対象にならないとしてエー・ディー・ワークスの逆転敗訴としました。

2020年4月に中古マンションの売買は仕入れ税額控除制度の対象から一律で除外され、今回の訴訟と同様の問題は生じないようになっています。

国税庁が解釈を途中で変えた案件だと思いますので、エー・ディー・ワークスには勝っていただいて、国税庁の勝手な解釈の変更を認めないでほしいですね。

不動産会社と国税局が賃料収入の解釈の対立によるマンション転売時の消費税控除について、どう思われましたか?


10月開始のインボイスショックで声優の「4人に1人が廃業」を検討!

ダイヤモンド・オンラインによると、声優は日本に1万人以上いますが、その約76%が年収300万円以下だそうです。
ほとんどの声優が免税事業者であり、受け取った消費税の納税は免除され益税となっています。

およそ4人に1人が廃業を検討という驚愕の事実が明らかになりました。
2022 年秋に声優やアニメ、漫画、演劇といったエンターテインメント業界4団体が、関係者たちにインボイスの影響について尋ねたアンケートの結果です。

エンタメ業界では、フリーランスや個人事業主として働く人が大半ですが、インボイス制度に対して悲観的であることがうかがえます。

例えば、声優は日本に1万人以上いますが、その約76%が年収300万円以下です。
ほとんどの声優が売上高1,000万円以下の免税事業者であり、受け取った消費税の納税は免除され益税となっています。
とはいえ、レッスンなどに多額の経費がかかり、生活は苦しいというのが実態です。

そうした中、インボイスの発行事業者(適格事業者)になれば消費税の納税義務が発生するだけでなく、事務作業の負担も増します。

何より、適格事業者にならなければ、発注元が仕入税額控除できないため仕事の依頼が来なくなったり、単価の引き下げを求められたりすることになります。

「経済的事情から事業の継続を諦めざるを得ない人が出てくる。多くの才能が集まらなくなり、クオリティーが落ちるだろう」(40代、俳優・声優)

「所属俳優でインボイス登録しない者は、消費税分のギャラを引くと言われた。実質年収1割減が確定した。登録してもしなくても収入が減り、負担が増える制度はおかしいと思う」(50代、声優・ナレーター・講師)

20代の大学生からは、「将来、私はアーティストとして活動するために勉強中です。でも、インボイス制度が導入されれば、今学んでいることが無駄になりかねません」という声も上がっています。

しかも、新型コロナウイルスの感染拡大により、特に声優や俳優、演劇の仕事はなくなり、そもそも低めだった収入がさらに大幅に減っています。
そのタイミングでの事実上の増税である“インボイスショック”に対し、悲鳴が上がるのも無理はないでしょう。

こうした憂き目に遭うのは、何もエンタメ業界だけではありません。
個人タクシーもインボイス制度の影響が大きい業界なのです。

というのも、個人タクシーの運転手は免税事業者がほとんどです。
そのため、適格事業者にならなければ、個人タクシーを利用した企業は仕入税額控除ができず、企業側の納税負担が増えてしまうのです。

それゆえ、企業から敬遠されまいとして多くの個人タクシー運転手は適格事業者となる見込みですが、消費税の納税負担があるだけでなく、インボイスを発行する機械の交換などの費用もかかるため、廃業を検討している人も少なくありません。

しかも、簡易課税制度を利用すれば売上消費税の50%を控除できますが、高額な自動車を購入した場合には簡易課税制度の方が多額になるケースも出てくるため、判断が難しいのです。

また、当面は経過措置もあり、適格事業者と免税事業者が混在することになりそうですが、社名表示灯(あんどん)や車体の色で区別する方向とはいうものの、利用者からすれば混乱を招くことになるでしょう。

インボイス導入により、業界によっては色々な問題が出てくるかと思います。
インボイス導入の目的のひとつが益税の排除なのですから、悲観ばかりせず、業界の構造を変えるチャンスとか、ご自身の商売について再度考える必要があるように思いますね。
個人的には、売上が1,000万円にいっていないから登録すると損をするからどうしようかと考えるより、1,000万円を超えるようになるにはどうすれば良いかを考える方がわくわくしますし、将来性があるのではないかと思います。

10月開始のインボイスショックで声優の「4人に1人が廃業」を検討していることについて、どう思われましたか?


インボイス制度でネットバンキングと連携し自治体が中小企業を支援!

日本経済新聞によると、消費税の軽減税率に対応し正確な税額を示すインボイス(適格請求書)制度が2023年10月1日に始まるのに合わせ、インボイスの作成や送受信を自動化するシステムを開発する動きが自治体から出てきました。
地域の中小企業などが対応を迫られる受発注業務のデジタル化を支え負担を軽減します。
岐阜県のシステムは最大約100社が実証に参加する見通しで、本格稼働すれば全国のモデルケースとなる可能性があります。

インボイス制度が始まると中小の事業者は受発注業務のデジタル化が不可欠となります。
現在、年間の課税売上高が1,000万円以下の企業は消費税の納付が免除されています。
制度開始後は、多くの企業は課税売上高などにかかわらず、消費税の適用税率や税額の明細を記したインボイス(請求書や納品書)を基に納税するのが原則となります。
中小企業にとってそのためのシステム投資は重荷です。

そこで岐阜県は県内の金融機関やシステム会社と協力し、企業間の受発注に使われる既存のEDI(電子受発注)システムを生かした「EDIデータ連携共通基盤システム」を開発します。
2023年度当初予算案に事業費を計上し実証実験を行う。岐阜県産業デジタル推進課の担当者によると、実証に参加する事業者は最大約100社に上る見通しで、本格稼働すれば「岐阜モデル」として注目されそうです。

特徴は金融機関のインターネットバンキングシステムを介してデジタルインボイスのやり取りができる点です。
利用企業は法人口座を持つ金融機関のネットバンキングシステムにログインすれば、岐阜県のEDIデータ連携共通基盤システムを利用できます。
全銀EDIシステム(ZEDI)を介しEDIの取引データと連携することで、自動振り込みやデジタルインボイスの自動作成・保存が可能になります。
ZEDIは全国銀行資金決済ネットワーク(東京都千代田区)が運用する企業間決済基盤です。

岐阜県のシステムはデジタルインボイスをやり取りできる国際規格「Peppol(ペポル)」に準拠し、2024年1月に義務化される電子帳簿保存法にも対応します。
岐阜県は中小企業への普及を促すとともに、自ら発注者として電子調達にこの仕組みを活用します。
金融機関にとっては取引データを生かした融資などの新サービスにつながる可能性があります。

インボイスのデジタル化を巡っては、会計システムを手掛ける約20社がペポル対応製品を近い時期に発表する見通しです。
ただし、製品は出そろっておらず、自治体は地元企業の支援が急務となっています。
岐阜県の情報化を推進する公益財団法人ソフトピアジャパン(岐阜県大垣市)の松島桂樹理事長は「方言が『標準語』になれる可能性がある」と全国で参考になるモデルにしたいと意気込みを語っています。

会計ソフトの会社などがデジタルインボイスのサービスを提供すると思っていたのですが、自治体でも提供するところが出てきたんですね。
税金の無駄づかいにならないよう、切磋琢磨して、事業者にとって使い勝手が良いものができることを期待しています。

インボイス制度でネットバンキングと連携し自治体が中小企業を支援することについて、どう思われましたか?


消費税免税の制度悪用を見抜けずAppleに130億円の追徴課税!

日本経済新聞によると、アメリカのアップルの日本法人、アップルジャパン(東京都港区)が東京国税局の税務調査を受け、約130億円の消費税を追徴課税されたことが、先日、関係者への取材で分かったようです。
過去数年間にiPhoneなどの販売で、消費税の免税制度の要件を満たさない取引を見抜けなかったケースが多数あったなどと指摘されたもようです。
客の申告に基づく日本独特の制度が悪用された形で「抜け穴」の解消が急務でしょう。

消費税で100億円を超える追徴税額は極めて異例です。
アップルジャパンは修正申告したとみられます。

消費税法は、来日6か月未満の非居住者が購入した土産物や日用品などの免税を認めています。
転売目的などは課税対象となり、不適切な購入を見抜けなかった免税店側が消費税分を負担しなければいけない場合があります。
インバウンド(訪日外国人)客の購買需要が増すなか、日本製品や高級品を巡る適切な免税販売の徹底が改め
アップルジャパンは、2022年6月に免税販売を自主的に中止しました。
日本経済新聞の取材に対し、「弊店では免税でのお買い物はご利用いただけません。ご不便をおかけすることをおわび致します」とコメントしました。

消費税の導入から33年経ちました。
国税当局が2022年6月までの1年間に実施した法人調査で、消費税は約2万4千件の申告漏れがあり、追徴税額は計869億円に上りました。
5年前から11%増え、過去最高となりました。

近年増えているとされるのが、インバウンド客への不適切な免税販売です。
2021年以降、大手百貨店3社が東京国税局から計1億円超を追徴課税されました。

政府は2012年以降、インバウンドを成長戦略の柱と位置付け、空港の発着枠や免税店を拡充してきました。
訪日客の購買意欲を示す免税売上高(日本百貨店協会)は2019年に3,400億円を超え、3年連続で過去最高を更新しました。
一部で不適切な免税販売が行われれば、本来は国の社会保障財源となるはずの消費税が納付されず「国の損失」となります。

海外では出国時に免税額を払い戻す制度が主流で、手続きが煩雑な半面、不適切な免税販売は起きにくくなっています。欧州連合(EU)は主に税関の確認を経て事業者が払い戻します。
出国時に税相当額を政府機関が還付する国もあります。

日本政府は2020年4月に、免税店が購入情報の電子データを国税庁や税関と共有する仕組みを導入しました。
国税当局は、一部業界で不正が疑われれば免税販売しないよう行政指導しました。
免税販売を適正化できるか実効性が問われています。

そもそも消費税率を上げたり、インボイス制度を導入して免税事業者を課税事業者にさせる前に、こういった取りっぱぐれをなくすことを考える方が先決なのではないかと思います。
いったんは消費税を支払ってもらって、税関で現物を確認のうえ、払い戻すのが現実的なのではないかと思います。
手続きが面倒な人からは消費税が取れ、また、転売目的のものを一定数は防げるでしょうから。

消費税免税の制度悪用を見抜けずAppleに130億円の追徴課税が行われたことについて、どう思われましたか?


絵画や骨董品で高額取引を装う消費税の不正還付申告を東京国税局が指摘!

朝日新聞によると、輸出の際に消費税が還付される制度を悪用したとして、東京都内の輸出会社が東京国税局の税務調査を受け、消費税約5,400万円の還付を不正に申告したと指摘されたようです。

重加算税を含めた追徴課税は約7,300万円です。

東京国税局は、複数の業者が組織ぐるみで絵画や骨董品などを高額で取引したように見せかけていたとみています。

関係者によると、追徴課税されたのは東京都台東区の輸出会社です。
輸出会社は、今回の追徴課税の取り消しを求めて国税不服審判所に審査請求しているようです。
東京国税局は取引自体が架空だったとみていますが、輸出会社は「適正な輸出手続きの過程で消費税の還付申告をしているので、還付を受けるのが相当だ」と主張しています。

消費税は国内で売買された商品にかかる税金のため、輸出品は免税となります。
そのため、国内で商品を仕入れて輸出した場合、仕入れの際に支払った消費税は国から還付される仕組みになっています。

関係者によると、輸出会社は2020年2月~2021年3月に、中国人画家の絵画の贋作や中国製のつぼ、陶器といった骨董品など計約30点を都内の古物販売業者から総額約6億円で仕入れ、ほぼ同額で香港の業者に輸出したとする申告書を税務署に提出しました。
「仕入れ時に支払った」として消費税約5,400万円の還付を受けようとしましたが、東京国税局は不審な申告だとして還付を保留し、実際に還付されることはなかったそうです。

どちらの主張が正しいのかはよく分かりませんが、不正還付なのであれば、きちんと対処して欲しいですね。
こういったことがあるので、普通に消費税の還付申告をしてもなかなか返してくれませんので、どうにかしてほしいですね。

絵画や骨董品で高額取引を装う消費税の不正還付申告を東京国税局が指摘したことについて、どう思われましたか?


訪日客の免税品の転売防止のために買い手から税を徴収!

日本経済新聞によると、政府は一部の訪日外国人による悪質な転売事例への対策も強めるようです。
政府・与党は訪日外国人に免税品を購入させて買い取り、消費税を免れる不正行為を防ぐための対策の検討に入いりました。

自国に持ち帰らず日本国内で転売した場合、買い取った業者側から消費税を徴収しやすくします。
2022年12月中にまとめる2023年度税制改正大綱に盛り込むことを目指すようです。

消費税法では、訪日客など日本に住まない人が一定の条件を満たす商品を買って自国に持ち帰る場合、消費税を免除する制度があります。

この制度を悪用し、国内を拠点とする業者から指示を受けた訪日外国人が免税で大量に購入した化粧品やブランド品を国内で転売し、消費税分などの利ざやを稼ぐケースが相次いでいました。

これまでは買い取った業者から徴収できるのは訪日客が特定できない場合に限っていました。
政府・与党は水際対策の緩和で訪日客が再び増えることも想定し、訪日客を特定できるかを問わず、業者側から徴収できるように制度を改めます。

日本が消費税を損しているわけですから、こういった改正は良いことだと思います。
こういうことをやる目的で日本に来て爆買いしているとしたら、訪日客が増えても喜ばしいことではないですね。

訪日客の免税品の転売防止のために買い手から税を徴収することについて、どう思われましたか?


東京地検が5,100万円の脱税疑いで不動産会社の役員を逮捕!

日本経済新聞によると、東京地検特捜部は、先日、約5,100万円を脱税したとして東京都中央区にある不動産会社の実質的経営者の会社役員(59)を法人税法違反などの疑いで逮捕しました。
東京国税局と合同で関係先を家宅捜索しました。
東京地検特捜部は、認否を明らかにしていません。

逮捕容疑は架空の業務委託費を計上するなどして約2億900万円の所得を隠し、2015年8月から2016年7月までの事業年度の法人税と地方法人税を免れた疑いです。

不動産会社のホームページなどによると、ビルやマンションの管理代行、売買などを手がけています。
不動産会社の実質的経営者の会社役員は大手の保険代理店の創業者に、消費税計約2,500万円の不正還付を指南したとして、2013年に消費税法違反などの罪で起訴され一、二審で執行猶予付きの有罪判決を受けていました。

脱税である架空の経費を計上するくらいなら、合法的な節税の方法はたくさんあると思いますが、なぜ脱税に走るんでしょうね。
決算の段階で利益が出過ぎていることに気づいて、慌てて架空の経費を入れるのでしょうか?
それならば、月次決算を行って、毎月の状況を確認しつつ、合法的な節税をすればよいと思いますが。

東京地検が5,100万円の脱税疑いで不動産会社の役員を逮捕したことについて、どう思われましたか?


小規模業者はインボイスなしでも税額控除を可能にすることを政府・与党が検討!

日本経済新聞によると、政府・与党は消費税の税率や税額を請求書に正確に記載・保存する「インボイス制度」を巡り、2023年10月の導入時に小規模な事業者向けの猶予措置を設ける調整に入ったようです。
仕入れ時にかかる消費税額の控除を、少額の取引ならインボイスがなくても受けられるようにします。
中小零細企業の事務負担を軽くし、制度を円滑に導入できる環境を整えます。

インボイス制度は「適格請求書等保存方式」の別称。取引した商品やサービスごとに消費税額と税率を記載した請求書をやりとりします。
軽減税率の導入で8%と10%に税率が分かれた消費税の正確な納税に欠かせない仕組みです。

2023年10月の導入が迫り、規模の小さい事業主の事務負担の軽減が課題となっています。
会計ソフトなどを活用していない場合、インボイスを1枚ずつ手作業で確認する必要があります。

政府・与党は会計システムの導入には一定の期間がかかるとみています。
このため数年間の時限措置として、一回の仕入れ額が少額な取引ではインボイスがなくても控除を受けられるようにします。

対象となる事業者の線引きと期間、取引額の上限は今後詰めます。
事業者は課税売上高で年1億円以下に絞る案があります。
少額取引の額は1万円未満とする方向で調整するようです。

財務省によると、課税売上高が5,000万円以下の事業者は2021年3月末時点で全国に114万あります。
1億円以下が基準となれば、100万を上回る事業者が対象となります。

現在はインボイスよりも簡素な請求書を使っています。
一回3万円未満の取引は請求書を保存しなくても仕入れ時の消費税の控除を受けられる特例があります。
この特例に似た措置を小規模事業者の少額取引に限って設けます。

消費税を納めない小規模な免税事業者はインボイスを発行できません。
控除を受けられなくなる買い手から敬遠されて取引を打ち切られる可能性がありました。
こうした心配が当面は和らぎます。

2022年10月末時点でインボイス発行の登録・申請を済ませたのは約168万社です。
日本商工会議所が2022年9月に公表した調査によると、4割の事業者は特段の準備をしていないようです。
日本税理士会連合会は2023年度税制改正に向けて「少なくとも中小企業者の実務を踏まえた柔軟な運用を行うべきだ」と要望していました。

政府は会計ソフトの導入などに使える補助金も用意しています。
手作業がいらないデジタルインボイスが広がれば、小規模事業者の事務負担を緩和できるとみています。

税額と税率を正確に記載したインボイスは、納税実務をデジタル化する基盤となります。
制度の導入は2016年に決まりました。
政府は移行時の負担軽減策を設けつつ、制度の普及を急ぎます。

結局、小規模事業者の少額取引のみが対象であれば、あまり意味をなさないのではないかと思います。
大企業と取引のあるところは、この制度を使えない大企業側は登録していないところとの取引は極力避けるでしょうし、1万円以上のものを売っているところは関係ないでしょうから。
中途半端に特例を作ると、余計面倒になるような気がしてなりません。

小規模業者はインボイスなしでも税額控除を可能にすることを政府・与党が検討していることについて、どう思われましたか?


中国人男女ら7人で77億円分の“爆買い”は消費税の免税対象外!

NHKによると、中国人の男女ら7人が大阪市内の百貨店などでいわゆる“爆買い”した高級ブランド品など77億円相当の商品について、必要な書類などがなく免税の対象にならないとして、大阪国税局が消費税およそ7億6,000万円を徴収する処分を出したことが、関係者への取材で分かったようです。
業者から頼まれた転売目的の疑いがあり、7人は大半を納付せず、すでに出国したということです。

関係者によると、中国人の男女ら7人はおととし以降、観光などの目的で日本を訪れ、大阪市内の百貨店などで高級ブランドの腕時計やバッグなど合わせて77億円相当を“爆買い”し、消費税の免除の手続きをとったということです。

しかしながら、7人は半年以上日本に滞在したうえ、免税に必要な、商品を海外に送ったことを証明する書類を持っていなかったことなどから、大阪国税局は免税の対象にならないとして、7人が納めなかった消費税、合わせておよそ7億6,000万円を徴収する処分を出したということです。

関係者によると、7人は転売目的の業者から資金を得て高級品を購入して渡し、報酬を得ていた疑いがあるということです。
また、大半を納付せず、すでに出国したということです。

大阪国税局は「免税品は、お土産などとして国外に持ち帰る目的で購入する人だけのものなので、転売目的やSNSなどで依頼を受けて購入することはできないことを周知徹底していきたい」としています。

今回、悪用されたとみられるのは、外国人観光客が商品を国外に持ち出して消費する場合などに、消費税が免税される制度です。

免税品は、外国人観光客などが税務署の許可を受けた免税店で購入することができ、家電製品やカバン、化粧品や食品など、日常の生活で使われるものが対象になっています。

免税手続きをした人が、出国時に免税品を所持していなかったり、出国までに輸出していなかったりすると、免税の対象にならないとして、消費税を徴収されます。

一方、免税品は、事業用や販売目的の場合は免税の対象になりません。

免税品をめぐっては、コロナ禍前には、インバウンドの増加を背景に、免税制度を悪用した不正な消費税の還付や、転売目的の購入が相次いでいて、水際対策が大幅に緩和される中、国税当局は警戒を強めています。

国税庁は、不正の防止などを目的に、おととし4月から、免税店が購入記録や客のパスポート情報を国税庁に送る仕組みを導入し、税関ともこの情報を共有して、対策強化を進めています。

日本百貨店協会によると、ことし1月から9月までの全国の88の百貨店の免税品の売り上げはおよそ615億3,900万円で、コロナ禍で落ち込んだ去年1年間をすでにおよそ156億円上回っています。

入国者数の段階的な引き上げとともに、ことし7月以降は1か月当たりの売り上げが去年の同じ時期と比べて倍以上に伸びていて、ことし9月の売り上げは去年の同じ時期のおよそ3倍になっています。

ことし9月は、免税品を購入した客はおよそ2万8,000人に上り、客1人当たりの平均では、およそ33万円相当の商品を購入しているということです。

人気の商品をみると、1位が化粧品、次いで高級ブランド品、食料品です。

免税手続きをした人を国や地域別でみると、最も多かったのは中国で、次いで、台湾、韓国でした。

日本百貨店協会は、「コロナ禍前と比べるとまだ低い水準ではあるものの、水際対策が大幅に緩和された先月以降、免税品の売上はさらに伸びていると感じる」としています。

爆買いは、百貨店などは売り上げが増加して喜ばしいのでしょうが、こういうことがあると、日本としては損をしていますので、どうにかして、取り返してほしいですし、今後、こういったことがないように仕組みを考えてほしいですね。

中国人男女ら7人で77億円分の“爆買い”は消費税の免税対象外であることについて、どう思われましたか?


東京国税局が全国初の「消費税不正還付対策本部」を設置!

テレビ朝日によると、東京国税局が輸出商品への免税制度などを悪用した消費税の不正還付を防ぐため、全国で初めて対策本部を設置しました。

東京国税局の重藤哲郎局長は「通常の調査事案に比べても非常に困難性が高い場合が多々あります。国税当局の様々な部署が一体となって総力を上げて取り組んでいく必要があると認識しています。」とコメントしています。

先日設置された消費税不正還付対策本部には、東京国税局や税務署の職員ら100人以上が参加しています。

不正に還付された消費税額は、2021年6月までの1年間で全国で34億円でした。

そのうち8億円は東京国税局管内で、全国で最も多くなっています。

対策本部に関係部署の職員らを一同に集めることで、効率的に調査を進める狙いがあります。

消費税の不正還付は以前からたくさんあると言われており、真面目に申告している会社でも、消費税の還付申告をすると、最近では、簡単には還付をしてくれません。
税務調査がはいったり、資料を色々と提出しないと、それほどの金額でなくても還付してくれないことが多いように感じます。
一方で、後日、e-Taxで資料を提出しておきますと言っているのに、定期異動で担当者が変わり、引継ぎがきちんと行われていなかったのか、『まだ提出していただいておりませんが、どうなっていますか?』と言われ、『1か月以上前にe-Taxで提出しましたけど。』と答えると、多額であってもすぐに還付されたケースもありましたが(笑)。
こういうのができて、消費税の不正還付が減り、真面目に申告している企業は極力早めに還付されるようになることを期待したいですね。

東京国税局が全国初の「消費税不正還付対策本部」を設置したことについて、どう思われましたか?


インボイス制度でサイトに本名ずらりという身バレ懸念を受け国税庁が見直し!

朝日新聞によると、消費税の「インボイス制度」に登録した個人事業主の名前などの公表方法について、国税庁が見直す方針を決めたことが同庁への取材でわかったようです。

国税庁のウェブサイトから名前の一覧を誰でもダウンロードできる状況になっていましたが、先日、一時的に停止しました。
個人事業主の中には本名を明かさずに仕事をしている人も多く、「身バレにつながる」と懸念する声があがっていました。

サイトでは、2022年8月末までに登録した約20万件の個人事業主の名前が登録番号などとともにファイルにまとめられ、一括でダウンロードできていました。

国税庁によると、ダウンロードを一時的に停止し、このファイルの中で公表する情報の中身を見直すそうです。

インボイスとは、請求書や領収書のことです。
通常、事業者は商品などの販売時に受け取った消費税額から、仕入れなどにかかった消費税額を差し引いて納税しています。
仕入先からインボイスをもらえなければ、消費税から差し引けずに納税額が増えるのです。
2023年10月から、仕入先の事業主から受け取ったインボイスの保存が必要となる「インボイス制度」がスタートします。

制度に登録していない事業主からの仕入れでは控除を受けられないため、取引を敬遠される可能性があり、国税庁は個人事業主にも積極的な登録を呼びかけてきました。
サイトでの氏名の公表は、登録状況を誰でも確認できるために行っています。

しかしながら、掲載が2021年11月に始まると、事業主の間で波紋が広がりました。

「名字は公表したくないが、仕事をもらっている弱い立場で断れない」と話すのは声優の岡本麻弥さんです。
「機動戦士ガンダム」シリーズなど数々の有名アニメに、旧姓であり芸名でもあるこの名前で出演してきました。

サイトで公表される情報は原則は本名だけで、住所や芸名などの「屋号」については任意となります。
ただし、取引先から求められて公表すると、サイト上に本名と芸名が並ぶことになってしまいます。
「自分の本名を誰かがネットで拡散したら」という同じ不安を多くの声優仲間が抱えていることを知り、「VOICTION(ボイクション)」という団体を立ち上げ、公表を含む制度の見直しを求めてきたのです。

少し前にできたM&Aの登録支援機関なども、登録後、M&A関連の業者からDMなどが結構来るのですが、今回のインボイス制度の件も、ある程度は想定できていたのではないかと思います。
法人の場合、いわゆる登記簿に役員の氏名や代表取締役などの住所が記載され、誰もが見ようと思えば見れるため、法人と個人事業主とで差をつける必要がないという考えもあるのかもしれませんが、個人事業主の開業届や、支払調書などの個人番号(個人事業主としての個人番号は存在せず、個人としての個人番号が使われる。)や、事業所得なのか雑所得なのかを含め、国税庁が色々と見直さないといけない時期にきているのではないかと感じた1件でした。

インボイス制度でサイトに本名ずらりという身バレ懸念を受け国税庁が見直しを行うことについて、どう思われましたか?


「インボイス制度」への対応で免税事業者と「取引しない」が約1割で半数は検討中!

2023年10月からインボイス制度(適格請求書等保存方式)が始まります。
東京商工リサーチによると、消費税の仕入額税が控除されるインボイス制度について、「知らない」は7.5%で、制度の認知は広がっています。
しかしながら、準備や対応は鈍く、まだ半数近く(46.7%)の企業が取引方針を決めていない実態もわかりました。
一方、税控除ができない免税事業者との取引については、「これまで通り」との回答は4割(41.2%)にとどまり、「取引しない」(9.8%)が約1割、「取引価格を引き下げる」も2%(2.1%)ありました。
今後、取引関係に変化をもたらす可能性も危惧されます。

なお、東京商工リサーチは2022年8月1日~9日に、インターネットによる「インボイス制度」についての企業向けアンケート調査を実施し、有効回答6,441社を集計・分析しました。
資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義しています。

課税売上高1,000万円以下のフリーランスなど小・零細規模の事業者は、消費税の申告・納税義務が免除されています。
制度開始後、消費税の申告・納税が必要となる課税事業者が、インボイス発行事業者になると、売上先は仕入税額を控除できます。
ところが、免税事業者のままだとインボイスを発行できず、売上先は仕入税額を控除できないため納税額が大きくなるのです。

これを避けたい事業者が、免税事業者との取引解消や値下を要求する懸念が問題となっています。
一方で、免税事業者が、課税事業者を選択すると消費税の納税義務が生じ、小規模事業者ほど板挟みに苦悩しています。

Q1.2023年10月に導入される「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」についてご存じですか?(択一回答)
インボイス制度を「知らない」と回答した企業は7.5%(6,441社中、483社)にとどまり、「よく知っている」19.5%(1,257社)、「大体知っている」49.0%(3,158社)、「少し知っている」23.9%(1,543社)を合わせた「知っている」は92.5%に達しました。
規模別では、「知らない」は、大企業が6.2%(988社中、62社)、中小企業が7.7%(5,453社中、421社)で、規模を問わずインボイス制度の認識は広がっています。

Q2.インボイス制度導入後、免税事業者との取引はどうする方針ですか?(択一回答)
インボイス制度の導入後、免税事業者との取引について、「これまで通り」が41.2%(5,292社中2,181社)と4割超を占めました。
一方で、「免税事業者とは取引しない」は9.8%(523社)、「取引価格を引き下げる」は2.1%(115社)と、1割強(11.9%)が取引中止や取引価格の引き下げ意向を示しています。
また、「検討中」は46.7%(2,473社)と、まだ半数近くは取引方針を迷い、免税事業者への悪影響が広がる可能性もあります。
規模別では、「免税事業者とは取引しない」は、大企業が6.4%(765社中、49社)、中小企業が10.4%(4,527社中、474社)で、中小企業が大企業を4ポイント上回りました。
また、「取引価格を引き下げる」は、大企業が1.4%(11社)、中小企業が2.3%(104社)で、取引継続は資金負担が生じることもあるだけに中小企業のシビアな回答が目立ちました。
一方、「これまで通り」は大企業が38.3%(293社)、中小企業が41.7%(1,888社)で中小企業が高くなっています。
「検討中」は大企業が53.8%(412社)、中小企業が45.5%(2,061社)と大企業では過半以上が検討中で、今後の方針決定で取引関係が大きく変わる可能性があります。

例えば、メーカーのA社が小売業のB社に11,000円(消費税1,000円)で納品し、B社が消費者に16,500円(消費税1,500円)で販売した場合、A社がインボイスを交付しB社が仕入税額控除を行うと1,500円から1,000円を引いた500円が納付税額となります。
しかしながら、A社が免税事業者だと、一定期間(6年間)の経過措置が設けられていますが、B社は控除できず、1,500円を納付しなければならないケースが出てきます。
そのためB社は、免税事業者との取引見直しを検討し、今回のアンケート調査では約1割の企業が取引を止めると回答しました。

免税事業者から課税事業者への移行を前に、個人事業から法人へシフトする動きも目立っています。
東京商工リサーチの調べでは、2021年の新たな「合同会社」の法人設立は36,934社で、5年前から1.6倍に急増しました。
設立手続きが簡単で、運用コストが安いメリットの合同会社を個人事業主が選択しているとみられます。

消費税の納税義務を免除されていた一部のフリーランスなどの免税事業者は、課税事業者に移行すると納税負担が増します。
一方、免税事業者のままでは取引解消のリスクが現実味を帯びてきます。
国は免税事業者との取引に配慮し、制度開始から6年間は仕入税額の一部控除が可能としました。
また、免税事業者との取引を、インボイス制度実施を契機に取引条件を見直すと、優越的地位の濫用として問題にもなりかねないと警鐘を鳴らしている。
ただし、企業は、基本的に取引先の選択を自由にでき、税負担が増す免税事業者との取引縮小の動きが加速する可能性は高いでしょう。
長引くコロナ禍で、小・零細事業者は経営不振が続くだけに、インボイス制度の導入で混乱が起きないように、事前の支援やフォローが重要になっています。

個人的に、知らないが7.5%というのは低すぎるのではないかと思いますが、かなり認知度は増してきているのは事実だと思います。
2021年10月1日から、インボイス制度の登録がスタートしていますが、1年ほど前に弊事務所のお客様にインボイス制度の説明をしたときには、ほとんどご存じの方はおられませんでしたが、最近では、取引先から説明を受けたりいているのか、お会いした方にインボイス制度の話しをすると、制度のことは知っている方が多いように思います。
継続的に多額の取引をしているところでなくても、飲食店、消耗品を買っているところなども、結局、インボイスの登録をしていないところだと、経理処理が煩雑になりますので、敬遠されていくのではないかと思っています。
免税事業者の方は、どうするかを早くから慎重に検討しましょう。

「インボイス制度」への対応で免税事業者と「取引しない」が約1割で半数は検討中であることについて、どう思われましたか?


消費税4,900万円を脱税した税理士だった社長は国税告発直前に税理士を廃業!

読売新聞によると、消費税約4,900万円を脱税したとして、東京国税局が衣料品卸売会社(東京都渋谷区)と、衣料品卸売会社社長で元税理士の男性(54)を消費税法違反の疑いで東京地検に告発していたことがわかったようです。

関係者によると、衣料品卸売会社は海外からカシミヤ製の衣料品を輸入し、百貨店の顧客向けに販売していました。
社長は、衣料品卸売会社に消費税の申告義務があることを知りながら、2020年8月までの3年間、消費税の確定申告を行わず、同期間の売り上げにかかる消費税計約4,900万円を免れた疑いです。

不正に得た資金は、社長の生活費や、衣料品の仕入れ費などに充てられていたようです。

取材に対し、社長は「国税局の指導に従って期限後申告を行い、納税も一部済ませた。今後は期限内に申告、納税をしていく」と文書で回答しました。

社長は衣料品卸売会社経営のほか、ビジネスコンサルタントとして企業向けの講演などをしていました。
税理士としても相続の相談や税務調査の立ち会いなどの業務を行っていましたが、告発直前の2022年3月13日に税理士を廃業しました。

これも、税理士としての処分を受ける前に廃業して処分を回避するという案件ですね。
税理士としては、当然、消費税の申告義務があることは分かっていたはずですから、あってはいけないことだと思います。
この社長は何冊か本も出されている方だと思いますが、同業者として恥ずかしいですね。
税理士であることを除いて考えても、こういう人に社長やビジネスコンサルタントがつとまるのだろうかと思ってしまいますが。

消費税4,900万円を脱税した税理士だった社長は国税告発直前に税理士を廃業したことについて、どう思われましたか?


消費税の過少申告で多額の追徴課税を受けた貴金属の買取・販売業者が破産!

東京商工リサーチによると、東京都台東区の貴金属の買取・販売会社が、先日、東京地裁から破産開始決定を受けたようです。

負債は債権者6名に対し、公租公課を中心に約24億9,700万円だそうです。

貴金属の買取店を出店し、一般顧客などを対象に金・銀・プラチナなどの貴金属の買取を手掛けていました。

買い取った貴金属の転売により収益を得ていましたが、2020年に消費税の過少申告が発覚し、過去3年間について東京国税局より過少申告加算税を含めて約24億円を追徴課税される事態が発生しました。

以降、追徴課税の負担がのしかかるなか、経営も限界に達し今回の措置となったようです。

記事からは意図的なのかどうか分かりませんが、きちんと申告しないと、追徴課税のみならず、会社の存続にもかかわるという一例ですね。
金額から推測すると、結構な金額の貴金属を扱っていたんでしょうね。
破産となると、税金を取りっぱぐれてしまうのではないか思いますが、どうなるんでしょうか?

消費税の過少申告で多額の追徴課税を受けた貴金属の買取・販売業者が破産したことについて、どう思われましたか?


外注費偽装で4,300万を円脱税した和歌山県の会社を告発!

産経WESTによると、従業員の人件費の一部を外注費と偽るなどし、約4,300万円を脱税したとして、大阪国税局が消費税法違反などの罪で、和歌山県岩出市の運送会社の元社長(65)と法人としての運送会社を和歌山地検に告発していたことが関係者への取材で分かったようです。

追徴税額は重加算税を含む約5,800万円で、すでに修正申告を済ませて大半を納付したようです。

関係者によると、運送会社は令和2年6月末までの3年間で、人件費の一部を、消費税の控除を受けることができる外注費に偽装して計上し、不正に消費税の還付を受けるなどし、約4,300万円を脱税したとされます。

消費税がかからない給与か消費税がかかる外注費かは、実務上判断が難しく、税務上、問題になることも多い論点だとは思いますが、偽装して、重加算税が課されているということは、悪質だったんでしょうね。
改めて、雇用か業務委託かは注意しないといけないなぁと思った1件でした。

2023年10月1日からインボイス制度が導入されますが、免税事業者である外注先がある場合、取引をどうするかなどの問題も出てきますので、早めに外注先のリストアップ、インボイス制度への対応策なども考えたほうが良いと思います。

外注費偽装で4,300万を円脱税した和歌山県の会社を告発したことについて、どう思われましたか?


「1,000万円の猫」と偽装し消費税の不正還付を受けようとした社長を逮捕!

日本経済新聞によると、東京地検特捜部は、先日、イベント用として数百万~1千万円の猫を仕入れたと装い、不正に消費税の還付を受けたとして、東京都中央区のペット関連会社の社長を(70)を消費税法違反などの疑いで逮捕しました。
東京地検特捜部と東京国税局は、同日、合同でペット関連会社の店舗を家宅捜索しました。

関係者によると、ペット関連会社の社長は実際には数十万円の猫を100匹ほどしか所有していなかったのに、数百匹分を総額20億円超で仕入れたと装っていたようです。
任意の事情聴取には、「多くは死んでしまった」と話したそうです。

消費税の還付制度では、物品の仕入れ先に払った消費税が売上時に受け取った消費税より多い際、差額分の還付が受けられます。
ペット関連会社は所有する猫と触れ合える「ふれあいねこ展」を全国で開催しており、仕入れに伴う消費税額がイベント収入などで受け取った分を上回ったとして、税務署に還付を申告していました。

逮捕容疑は、2018年1~9月に消費税と地方消費税計約9,100万円の還付を不正に受け、2018年10月~2019年9月に計約1億100万円の還付を不正に受けようとした疑いです。

事実だとすれば、かなり悪質ですね。
記事からすると、2018年1~9月分については消費税を還付を受けているようなので、国税局も還付する際の調査等が甘かったのではないかと思います。
これに味をしめて、2018年10月~2019年9月も不正還付申告をしたのではないかと思います。
こういう不正還付申告をする人が結構いるので、本当に消費税が還付になる会社などが還付申告をすると、税務調査が入ったりしてなかなか還付してもらえませんので、本当にやめて欲しいですよね。
架空経費で法人税等を脱税する行為はもちろん悪質だと思いますが、架空仕入れで消費税を不正還付を受けるという行為は、国などから不正にお金を搾取しているということですので、かなり悪質ということは理解してほしいですね。

「1,000万円の猫」と偽装し消費税の不正還付を受けようとした社長が逮捕されたことについて、どう思われましたか?


公明党議員秘書が国税に再三要望!

朝日新聞によると、公明党選対委員長の高木陽介衆院議員(61)=比例東京=の公設秘書が2020年12月から2021年2月にかけて、知人が顧問を務める会社の税務調査をめぐり、会社側の要望を電話で10回以上、国税庁に伝えていたことが関係者への取材でわかったようです。
秘書は、国税側と会社側との面会の場を設けたほか、同庁職員を議員会館に呼んで会社側の不満を伝えていました。

秘書は朝日新聞の取材に対し、会社側の要望を繰り返し国税庁に伝えた事実を認めたうえで、「納税者の意見を伝えただけで、圧力をかけたわけではない」と説明しました。
一方、個別の税務調査への介入ではないかとの指摘については「真摯(しんし)に受け止めたい」と答えたようです。

東京国税局の税務調査を受けたのは、サプリメント販売会社(東京都新宿区)です。

関係者によると、サプリメント販売会社は、仕入れ時に支払った消費税が売上時に受け取った消費税を上回った場合に差額が還付される制度を使い、還付を申請していました。
しかしながら、2020年8月に税務調査が始まり、申し立てていた消費税約1億円の還付手続きがストップし、サプリメント販売会社の顧問は還付されないことなどへの不満を知人の秘書に相談しました。

秘書は2020年12月下旬以降、調査中を理由に止まっていた消費税の還付を求めるサプリメント販売会社の要望を、国税庁に電話で繰り返し伝え、社長らと面会するよう求めました。
国税側は2020年12月24日に東京上野税務署(台東区)で社長らと面会しました。
しかしながら、社長らが対応に不満を持ったため、秘書は国税庁に「うちの顔を立てて下さい」と伝えました。
その後、2020年12月28日には東京国税局(中央区)で再度の面会が行われました。

その後も続いた税務調査の中で、国税側は2021年1月27日、社長らに調査結果の見通しを説明し、課税処分する可能性を示しました。

秘書は会社側からこの説明内容への不満を聞き、2021年1月28日、国税庁の課長補佐2人を議員会館に呼び、還付が行われていないといったサプリメント販売会社の不満を直接伝えました。
サプリメント販売会社側に不正の根拠を明確に示すことを求めたうえで、「気をつけてもらいたい」と述べたそうです。

税務調査の結果、東京国税局は2021年4月、サプリメント販売会社がサプリ原料の仕入れ額を過大に計上し、2019年10月までの1年間で約11億円の所得隠しをし、消費税の還付額も過大に申し立てたと認定しました。
重加算税を含む法人税と消費税計約7億円を追徴課税(更正処分)しました。
サプリメント販売会社はこれを不服とし、2021年7月に国税不服審判所に審査を請求した。

サプリメント販売会社は朝日新聞の取材に応じていないようです。
サプリメント販売会社の税理士は、「消費税還付がされず、資金繰りが厳しくなった窮状を訴えるため、代議士事務所に国税庁への働きかけを求め、動いてもらった、と社長から聞いている」と話しているようです。

国税庁は「個別の税務調査にはコメントしない。一般論として議員や議員秘書からの問い合わせに関わらず、国税庁としては、個々の事実関係に基づき、法令等に照らし適切に対応している」としています。

税務署の処分が正しいとすれば、悪質な企業なわけですから、税務調査が終わってから消費税を還付するという税務署の態度は正しいのではないかと思います。
たとえ不正をしていなくても、消費税の不正還付が過去から横行しているわけですから、消費税の還付申告をすれば、少額であっても、追加資料の提出を求められたり、税務調査に入って確認した後でないと最近は還付されないというのは周知の事実ですから。
あと、疑問に思うのは、この秘書のやっていることは税務代理のような気がしますので、税理士法違反なのではないかと思ってしまいますね。
当然、秘書のやっていることは議員にも責任があると思いますが。
国税庁の方は議員会館に行く必要はなかったように思いますが、圧力に屈することなく、最後まで毅然とした態度で臨まれたと思います。

公明党議員秘書が国税に再三要望していたことについて、どう思われましたか?


コロナ禍で国税が調査チームを作り消費税不正還付で9社で5億円を追徴!

朝日新聞によると、消費税の輸出免税制度を悪用して還付申告をしたとして、化粧品やマスクなどを扱う東海地方の貿易会社など9社が、名古屋国税局から消費税計約5億円の追徴課税を受けたことが分かったようです。

コロナ禍が企業活動にも影響を与えるなか、名古屋国税局は消費税の還付申告額が急増した業者に着目し、約100人態勢のチームで調査していました。

国税幹部は「消費税の不正還付は国から金をだまし取るようなもので、税金を納めない脱税よりも悪質と言える。コロナ禍でも厳正に調査する」と話しています。

調査を受けたのは、岐阜県瑞穂市の中国系の貿易会社7社と、不動産管理会社など2社です。

関係者によると、貿易会社などは主に、日本製のハンドクリームやマスクといった海外で人気がある化粧品・日用品を販売し、利益を上げていましたが、架空の仕入れを計上して、取引先に消費税を支払ったように仮装していました。
さらに売り上げについて、輸出や外国人旅行者向けの免税販売だったように見せかけ、税務署に消費税の還付申告をし、不正に還付を受けたとされます。

仕入れ先をごまかすため、大手ドラッグストアの白紙領収書を悪用したケースもあったそうです。

取材に対し、岐阜県瑞穂市の貿易会社の社長は「国税の指摘は納得できず、争っているところだ」、別の貿易会社(名古屋市中区)の社長は「消費税の還付について国税の指摘を受けた」と話しています。

事業者が国内で仕入れた商品を輸出すると、仕入れ時に消費税を支払う一方で、輸出先からは消費税を受け取れません。
そのため税務署に申告すると、仕入れでかかった消費税分が還付されます。
この仕組みを悪用して還付額を膨らませる事案が後を絶ちません。

国税庁によると、2020年6月までの3年間に、還付申告をめぐり意図的な不正があったとして130億円を追徴課税しました。
名古屋国税局の管内(愛知県、岐阜県、三重県、静岡県)では計33億円にのぼっています。
外国人旅行者に雑貨などを免税品として販売したように装う手口が目立つようです。

国税庁は2021年7月、不正還付に特化した「消費税専門官」を新設しました。
新宿や渋谷、浦和、静岡、名古屋中、神戸、福岡など全国の主要11税務署に配置しています。

消費税の不正還付は、納めないということでなく、それに加えて国からだまし取るということなので、事実だとすると、かなり悪質ですね。
消費税の不正還付はかなり前から横行しているようで、普通に消費税の還付申告をするとしたとしても、税務調査に来たり、追加で色々と書類を提出しないと、なかなか還付してもらえません。
こういった悪質な例が多いからであり、真面目に申告して還付となっている事業者は結構迷惑を被っているのではないでしょうか?
専門のチームを作ったのが遅いような気はしますが、作った以上、どんどん悪質なところを指摘して、追徴してほしいですね。

コロナ禍で国税が調査チームを作り消費税不正還付で9社で5億円を追徴したことについて、どう思われましたか?


東京都直営市場が消費税1億円の申告漏れ!

産経新聞によると、東京都直営の中央卸売市場の一つ「食肉市場」(東京都港区)が東京国税局の税務調査を受け、2018年度までの3年間で約1億600万円の消費税の申告漏れを指摘されたことが、先日、関係者への取材で分かったようです。
本来は消費税のかからない都債の償還(返済)について、課税対象と誤解して税務処理したのが原因でした。
追徴税額は過少申告加算税などを含め約1億2千万円で、東京都側はすでに修正申告したとしています。

消費税は、商品を販売した際などに受け取った「課税売り上げ」にかかる消費税額から、仕入れや外注などで支払った「課税仕入れ」にかかる消費税額を差し引いたものが納税額となります。
東京都の特別会計で収支を管理している食肉市場でも、食肉処理場の使用料などとして業者から消費税を徴収しており、他の経費などで支払った消費税分を差し引いて納税しています。

東京都や関係者によると、食肉市場では資金調達のために発行した都債の返済費として2016~2018年度、元本と利子を含め総額約22億円を充当しました。
このうち元本の返済分を課税仕入れとして計上していました。
これに対し国税局は、都債の返済はそもそも消費税のかからない「不課税取引」で、課税仕入れには計上できないと指摘しました。
課税仕入れ額が圧縮されたことで、1億円超の消費税が申告漏れとなりました。

東京都中央卸売市場財務課は「国税当局の手引きなどに基づき、課税仕入れになると認識して税務処理したが誤っていた。指摘に従って昨年5月に修正申告し、納税を済ませた。現在は認識を改め、適正に納付している」と話しています。

食肉市場は、豊洲市場など都内に11か所ある都中央卸売市場の一つです。
食肉の取扱量は1日当たり約315トン(2019年)で国内では最大規模です。

経営者の中にも、なぜ借入金の返済が経費にならないのかと思っている方がそれなりにいらっしゃるような気はしますが、借入金等の返済が課税仕入になるのであれば、当然、借り入れなどが課税売上になりますよね。
借り入れなどが課税売上にはならないと考えていると思いますので、借入金の返済が課税仕入にならないのは当たり前のような気はしますが、それなりの規模のところでも、そういった知識のところがあることに驚きでした。
東京都って顧問税理士がいないんですかね。

東京都直営市場が消費税1億円の申告漏れを指摘されたことについて、どう思われましたか?


3年分の税控除を過大申告し2,558万円脱税疑いで給食業者の代表取締役を逮捕!

沖縄タイムスによると、消費税と地方消費税約2,558万円を脱税したとして、那覇地検は、先日、消費税法違反と地方税法違反の疑いで、給食受託業(那覇市)の代表取締役(69)を逮捕したと発表しました。

「捜査に支障が生じる」として、認否を明らかにしていません。

那覇地検によると、代表取締役は業務全般を統括しており、2016年5月~2019年4月分の確定申告時、税控除額を過大に計上するなどして、納付税額を実際より少ない約210万円と申告し、約2,558万円の支払いを免れた疑いがあります。

那覇地検は、先日、沖縄国税事務所と合同で代表取締役の関係先を家宅捜索しました。

おそらく架空経費の計上ですが、そうであるならば、結構悪質ですよね。
消費税は、架空経費の計上で、還付申告するという悪質なものが世の中には結構あると耳にしますが、還付申告ではなく、消費税を納付していれば大丈夫と思っていたのでしょうか?
それほど、甘いものではないと思います。

3年分の税控除を過大申告し2,558万円脱税疑いで給食業者の代表取締役が逮捕されたことについて、どう思われましたか?


新型コロナウイルス感染症の影響があれば簡易課税・原則課税を変更できる!

2021/4/15に自分の確定申告を終え、今シーズンの確定申告業務が終わりました。
昨シーズンは、自分を除き、当初の期限である3/15に終えたのですが、今シーズンは、3/16以降に申告を終えた方がそれなりにいて、4/14にも2名電子申告をしました。

備忘録を兼ねて、今週は、今回の確定申告で感じた留意点をまとめたいと思います。

<所得税>
①事業的規模でなくても65万円控除ができる!
②役所を信じてはいけない!
<消費税>
③雑所得でも所得税の還付申告ができる!
④新型コロナウイルス感染症の影響があれば簡易課税・原則課税を変更できる!
<贈与税>
⑤すぐに贈与税の申告ができない!

すでに、『事業的規模でなくても65万円控除ができる!』、『役所を信じてはいけない!』、『雑所得でも所得税の還付申告ができる!』については書きましたので、4日目の本日は、『新型コロナウイルス影響があれば簡易課税・原則課税を変更できる!』です。

新型コロナウイルス感染症の影響で、急遽、多額の設備投資を行うことがあるでしょう。
簡易課税を選択している場合、課税期間を短縮したうえで原則課税に変更するという手もありますが、新型コロナウイルス感染症等の影響による被害を受けたことにより、簡易課税制度の適用を受ける(またはやめる)必要が生じた場合、税務署長の承認により、その被害を受けた課税期間から、その適用を受ける(またはやめる)ことができます。

書類としては、『災害等による消費税簡易課税制度選択(不適用)届出に係る特例承認申請書』を提出します。
発生した災害その他やむを得ない理由、被害の状況、被害を受けたことにより特例規定の適用を受けることが必要となった事情、災害等の生じた日及び災害等のやんだ日などの記入が必要です。
提出時期は、災害その他やむを得ない理由のやんだ日から2か月以内です。
ただし、災害等のやんだ日がその申請に係る課税期間等の末日の翌日(個人事業者の場合は、当該末日の翌日から1月を経過した日)以後に到来する場合には、その課税期間等に係る申告書の提出期限までとなります。

ちなみに、2通提出が必要で、税務署長が承認すると、1通は税務署長が押印して郵送されます。
(税務署の人に確認したところ、電子申告できますと言われたのですが…)僕の使っている申告ソフト(NTTデータ達人シリーズ)は、この申請書は電子申告に対応していないので、紙で提出しました。

新型コロナウイルス感染症の影響はまだまだ続くと思いますので、有効に使いたいですね。

新型コロナウイルス感染症の影響があれば簡易課税・原則課税を変更できることについて、どう思われましたか?


雑所得でも消費税の還付申告ができる!

2021/4/15に自分の確定申告を終え、今シーズンの確定申告業務が終わりました。
昨シーズンは、自分を除き、当初の期限である3/15に終えたのですが、今シーズンは、3/16以降に申告を終えた方がそれなりにいて、4/14にも2名電子申告をしました。

備忘録を兼ねて、今週は、今回の確定申告で感じた留意点をまとめたいと思います。
<所得税>
①事業的規模でなくても65万円控除ができる!
②役所を信じてはいけない!
<消費税>
③雑所得でも所得税の還付申告ができる!
④新型コロナウイルス感染症の影響があれば簡易課税・原則課税を変更できる!
<贈与税>
⑤すぐに贈与税の申告ができない!

すでに、『事業的規模でなくても65万円控除ができる!』、『役所を信じてはいけない!』については書きましたので、3日目の本日は、『雑所得でも所得税の還付申告ができる!』です。

これまで、公的年金等かそれ以外の2つの区分しかなかったのですが、副業をしている方が多いのか『業務』加わり、令和2年分からは以下の3つに区分されました。
●公的年金等
●業務
●その他

ここで、所得税法上、『事業』と『業務』の明確な定義はないのです(不動産所得を除きます。)が、最高裁の判決により、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められるものを『事業』とし、それ以外のものを「業務」として区分しているようです。
『事業』と『業務』の主なものに、(1)事業所得と雑所得、(2)不動産所得を生ずべき「事業」と「業務」の区分があります。

一方、消費税法上、『事業』とは、対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供が反復、継続、独立して行われることをいいます。

それゆえ、消費税の方が、『事業』の範囲が広いということになります。

よって、所得税法上、『事業(所得)』にあたらず『雑所得』であると考えているとしても、消費税法上、『事業』に該当すれば、所得税の確定申告書では『雑所得』で申告していたとしても、消費税の還付申告はできます。

ただし、税務署から電話がかかってきて理由を求められましたし、雑所得の場合、青色決算書などを提出しないため、税務署は収支などが分からないため、会計ソフトから出力することができる消費税の集計表を求められました。
理由の説明としては、上記の、所得税法上と消費税法上の『事業』の範囲が異なり、所得税法上は、●●という理由(ここはそれぞれ異なると思います。)で『事業』ではないと考えているものの、消費税法上は『事業』に当たるということを説明すれば大丈夫です。

雑所得でも消費税の還付申告ができることについて、どう思われましたか?


金1.7トンを密輸し10億円を脱税した韓国籍の男性らを逮捕!

金地金を密輸入して消費税など約1,800万円を脱税しようとしたとして、千葉県警は、先日、消費税法違反などの疑いで、韓国籍の無職の男性(34)ら2人を逮捕しました。

東京税関によると、2人は報酬目的だったと供述しているようです。
他に複数の韓国人が関与し、密輸入した金地金は計1.7トン、脱税額は10億円に上るということです。

逮捕容疑は、2020年6月4日、金地金30キロを香港から航空貨物で成田空港に無許可で持ち込み、消費税などを脱税しようとした疑いです。

金と比重が似たタングステン製の筒に入れて持ち込んでいたそうです。
筒は医療機器の部品と申告していました。

最近、金地金を利用した脱税が横行しているようですが、かなりの金額をやっている人がいるんですね。
消費税はインパクトが大きいので、昔から脱税とかが行われることが多いですね。
金地金の取引は課税取引ゆえ、消費税を支払っていない金地金を海外から持ってきて国内で仕入れたことにして仕入税額控除を取り、脱税するというスキームです。
おそらく、氷山の一角だと思いますので、どんどん摘発してほしいですね。

金1.7トンを密輸し10億円を脱税した韓国籍の男性らが逮捕されたことについて、どう思われましたか?


金地金買い取り業者など80法人・個人を消費税不正で40億円を追徴課税!

読売新聞によると、国税当局が、全国の免税店などを対象に消費税の不正申告の有無を調べる一斉税務調査を行い、約80の法人と個人に計約40億円を追徴課税したことが関係者の話で分かったようです。

うち約30億円は金地金買い取り業者2社への課税で、中国人などから金地金を買い取ったとする帳簿の記載に裏付けがないと判断されたようです。

2019年10月の消費増税で不正による利得額も増すため、調査を強化する必要があるとして、東京、大阪、福岡など7国税局が実施しました。

消費税の不正申告に特化した全国一斉調査は、初めてのようです。

関係者によると、最も多額の追徴を受けたのは、東京都台東区の金地金買い取り業者で、2019年8月期までの3年間について、過少申告加算税を含め約24億円を追徴課税(更正処分)されたようです。

3年間で24億円も取られるなんて、かなりの取引量がある中で、かなりの不正をしていたということでしょうね。
こういった悪質な業者からは、今回のような全国一斉調査をどんどんして、どんどん税金を取って、不正が減るように国税庁には頑張って欲しいですね。
ただし、以前、消費税の不正還付が横行して、数年前から、きちんと処理・申告をしていても、すぐには還付してくれない状況になっていますので、こういう悪質な業者がいっぱい出てくると、ますます還付が簡単にはしてもらえなくなるんでしょうね。

金地金買い取り業者など80法人・個人を消費税不正で40億円を追徴課税したことについて、どう思われましたか?


中古マンション転売の消費税の課税処分取り消し!

中古賃貸マンションの売買時の消費税の税務処理が争われた訴訟で、東京地裁(清水知恵子裁判長)は、先日、東京国税局の課税処分を取り消す国税局側敗訴の判決を言い渡しました。
法改正で現在は同じ問題は起こりませんが、過去の同種事案に波及し、不服申し立てなどにつながる可能性があります。

争っていたのは不動産会社「エー・ディー・ワークス」で、中古の賃貸マンションを購入した後、大規模修繕などで価値を高め、収益が見込める投資用不動産として販売する事業を行っています。
中古マンションの売買時にかかる消費税の税務処理をめぐって、約5億3千万円の課税処分を受け、取り消しを求めていました。

消費税には販売時に受け取った税から、仕入時に支払った税を差し引いて申告、納税する「仕入税額控除」の制度があります。
控除できる金額の計算には詳細なルールがありますが、今回は中古マンションの仕入れの目的が投資家への販売なのか、家賃収入を得る目的もあったのかが最大の争点となったのです。

エー・ディー・ワークスは販売目的の仕入れであり、仕入時の消費税を全額差し引くことができると主張しました。
一方、東京国税局は販売までの期間にマンション居住者から家賃を受け取っていると指摘し、「家賃収入も事業の目的の一つで、全額を差し引く処理はできない」としてエー・ディー・ワークスに申告漏れを指摘しました。

判決で清水裁判長は「仕入れの目的が不動産の売却にあることは明らか。賃料収入は不可避的に生じる副産物として位置づけられる」と指摘しました。
賃料収入が見込まれるからといって全額を差し引けないとする国税の判断は「相当性を欠く」と結論づけました。

同様の課税処分は全国で行われており、「判決が確定すれば、不服の申し立てなどが相次ぐ可能性もある」(国税OB)ようです。

親会社のADワークスグループは「主張の正当性が全面的に認められたものであり、妥当な判断であると考えている」とコメントしています。
一方、東京国税局は「国側の主張が認められなかったことは大変、残念。控訴するかどうか関係機関と判決文を検討中」としています。

この事件については、このBLOGでも何度か取り上げましたが、国税側がO.K.と言っていたものを急に変えて否認したというケースです。
当たり前の判決だと思いますが、こういう判決を機に、国税側のスタンスを改めて欲しいと思います。
場当たり的な対応ではなく、筋の通った、誰もが理解できるような税制にして欲しいと思います。
結局、こういう裁判関係の費用は税金で支払われていると思いますので。
個人的には、ここ数年流行っている商品でエー・ディー・ワークスさんとは付き合いがあるので、本当に良かったなぁと思います。

中古マンション転売の消費税の課税処分取り消しの判決が出たことについて、どう思われましたか?


キャッシュレス決済に係る決済手数料の消費税課否判断は?

 消費税率引上げと同時に、キャッシュレス・消費者還元事業が本格的にスタートしています。
事業者にあっては、これを機にキャッシュレス決済端末を実質無料で入手し、対応している場合もあることでしょう。

 キャッシュレス決済により商品の販売を行った場合、その販売代金は、お客様が利用した決済方法に係る決済会社に応じ、ある程度の時期にまとめて入金がされます。
その入金の際、ほとんどのケースにおいて決済手数料が差引かれることとなっていますが、この決済手数料に係る消費税について、改めて確認しておきましょう。

まずは、クレジットカード決済に係る決済手数料についてです。
これは、国税庁サイトで公表されている質疑応答事例集になります。
この事例は、加盟店が信販会社に対して商品代金という『金銭債権』を譲渡し、譲渡代金を受取っているケースです。
このような場合の決済手数料は、金銭債権の譲渡ということで、消費税は非課税として取扱われます。
決済手数料に係る消費税が非課税となるものとしては、他に、QUICPayやiDなどが該当します。
ただし、1点気をつけていただきたいのは、加盟店が信販会社と直接契約ではなく、決済代行会社を通しているケースです。
このような場合には、決済代行会社に対して『金銭債権』を譲渡しているわけではないので、決済代行会社に支払う決済手数料に係る消費税は課税として捉えられます。

また、この他に『金銭債権』を譲渡しないケースが存在します。
いわゆる“チャージ”方式のキャッシュレス決済手段を用いた場合の決済手数料です。
こちらも、消費税が“課税”になります。
代表的な決済手段ですと、Suicaなどの交通系電子マネー、LINE Pay、Alipay、WeChat Pay、d払いなどです。

以上をまとめると、以下のとおりです。

決済手数料に係る消費税が
『非課税』となる決済手段

決済手数料に係る消費税が
『課税』となる決済手段

・クレジットカード
・QUICPay
・iD
など(ただし、契約先が決済代行会社の場合には、課税)

・交通系電子マネー(Suicaなど)
・LINE Pay
・Alipay
・WeChat Pay
・d払い
・楽天Edy
・nanaco
・WAON
左の非課税となっている決済手段のうち、契約先が決済代行会社のケース
など

会計処理を行う上では、必ず契約書や入金に関する明細書をご覧いただき、消費税の課否判断を行いましょう。

なんちゃらPayとか、色々な決済手段が増えていますので、取り扱いには注意したいですね。
個人的には、なんちゃらPayも早く淘汰されて、数社に集約されて欲しいですね。
そうしないと、お店も大変だと思います。

キャッシュレス決済に係る決済手数料の消費税課否判断について、どう思われましたか?


マンション取引に関し東京地裁で消費税の注目判決!

 最近の話題の1つに消費税増税がありますが、我々、税の専門家の間で消費税の話題といえば、2018年6月にマスコミ報道のあった株式会社ムゲンエステートや株式会社エー・ディー・ワークスと課税当局との争いが挙げられるでしょう。

マンション販売事業者らが取得した居住用建物に係る消費税仕入税額控除の取扱いを巡っては、課税当局とムゲンエステート、エー・ディー・ワークスが現在東京地裁で係争中です。
争点は、入居者がいる中古賃貸マンションの建物や部屋を購入し、その後転売する取引の税務処理です。
消費税では、仕入れに際して支払った消費税を、売上時に受け取った消費税から控除して納める、いわゆる「仕入れ税額控除」をすることになります。
2019年10月1日からは、消費税率が引き上げられたことから、不動産会社によっては影響も大きく、関係者は裁判の行方を注視しています。
この地裁での争いが2019年6月25日に結審し、判決の言い渡しが10月11日に行われました。
同社並びに同様の問題を抱える同業者には厳しい内容となりました。

同裁判の争点は、中古賃貸マンションを転売目的で購入した場合の消費税還付申告について「すでに建物を仕入れた日には貸付と家賃の収受が前提で、賃借権負担付売買契約締結していた」場合、非課税所得である個人家賃収入と共同して要する課税仕入れとなるとし、全額還付とはならないことの是非を問うものでした。
従来は転売目的が明確であり、賃貸が一時的なものは全額が還付対象とされてきました。
しかしながら、近年同様のケースで、仕入れ税額控除の大部分を否認する更正処分が相次ぎましだ。

根拠となったのが平成24年1月19日付大阪国税不服審判所裁決で、「課税仕入れ等の用途区分(消費税法30条2項)の判定について、課税仕入れ等を行った日の状況により、当該課税仕入れ等の目的及び当該課税仕入れ等に対応する資産の譲渡等の内容を勘案して行う」とされました。
この裁決により、課税売上割合が95%未満の個別対応方式の場合、仕入れ税額控除が全額認められなくなり還付金額が激減するリスクが顕在化したのです。

一方、さいたま地裁平成25年6月26日付判決では、前記大阪国税不服審判所裁決を前提にしながらも、消費税法30条2項一号イに規定される「課税資産の譲渡等のみに要する課税仕入れ」の解釈について、マンション等の課税仕入れを大方容認するかのごとき「コスト」なる用語を使用されていました。
マンション等販売業社の間ではこの一点を頼みとする流れが発生しました(ただし、課税仕入れと同日に賃貸管理契約を締結しているため原告納税者側がこの裁判では敗訴しています)。
また一部の識者から指摘された、行政側の同様のケースで仕入れ税額控除全面容認を示す「国税庁内部文書」提出命令申し立ては裁判長により却下され、「国側から原告に対する反証も必要なし」との心証を示すなど原告には厳しい局面となっています。
この件はほぼ同内容で追徴税額5.4億円を争うエー・ディー・ワークス社が継続している裁判にも影響を与えると考えられますが、前記識者が関わっている事案だけに注目されています。

消費税の税収は、導入当初平成元年3.3兆円だったものが、令和元年予算では所得税収に匹敵する19.4兆円が予定されている。

2019年10月1日付で消費税率も8%から10%に引き上げられたのと同時に、2023年10月1日以降予定されている適格請求書保存方式(インボイス方式―登録ナンバーを得た事業者の請求書でなければ仕入れ税額控除できない)導入を睨み、経済合理性や効果を無視してでも消費税の課税方式の精緻化が進展しそうな状況です。

このBLOGでも以前書いていますが、国税局が従来の考え方を変えてきている案件ですが、現状では、理論的に考えれば、また、間違ったものがあれば直していくのが当然と考えれば、ムゲンエステートやエー・ディー・ワークスにこれ以上争っても勝ち目はないように思いますね。
ただし、国税局も、考え方を変えるときは、周知すべきなのではないかと思います。

マンション取引に関し東京地裁で消費税の注目判決があったことについて、どう思われましたか?


“イートイン脱税”に対し麻生財務大臣が「必要な対応とる」!

 10月1日に導入された消費税の軽減税率制度について、コンビニエンスストアなどの店内で飲食するにも関わらず、申告せずに85%の税率で購入する行為が行われていることについて、麻生太郎財務大臣は、先日の記者会見で、「業界団体などを通じ実態把握に努めないといけない」としたうえで、「周知、広報を含め、軽減税率制度の円滑な実施・定着にむけて必要な対応を講じたい」と述べました。

軽減税率制度は、酒類を除く飲食料品などの税率を8%に据え置く制度です。
低所得者対策として、税率10%への引き上げに合わせて導入されました。
レストランなど外食は軽減税率の対象外で、コンビニやスーパーなどで購入した食品も、イートインコーナーで飲食する場合は、外食扱いとなり10%の税率が適用されます。

ただし、店員が全ての客に店内飲食か持ち帰りかを聞く必要はなく、張り紙などで申告を促せばよいことになっています。
そのため、申告せずに8%の税率で購入したにも関わらず、店内飲食する行為が横行しており、インターネット上では“イートイン脱税”などと指摘されています。

これは、導入前から指摘されてきたことだと思います。
コンビニによっては、イートインコーナーに張り紙をしているようです。
代金を支払ったあとに、イートインコーナーで気付くこともあるのではないでしょうか?
このBLOGでも何度か書いていますが、もともと消費税が導入された趣旨が、簡単に計算できるということだったと思いますし、低所得者の保護が軽減税率の趣旨であれば、マイナンバーの普及を絡めたところで他にやり方はあったと思います。
本当に、軽減税率はすぐにでもやめて欲しいと思います。

“イートイン脱税”に対し麻生財務大臣が「必要な対応とる」!と発言したことについて、どう思われましたか?


輸出企業への還付が「大手優遇」との不公平感を指摘!

 輸出時に消費税が企業に払い戻される「輸出免税制度」が、大手輸出企業を優遇しているとして、税法の専門家が国を批判しているようです。
輸出先の海外では消費税を徴収できず、国内の仕入れ時に支払った税額分が「利息」付きで戻されるからです。
10月1日に税率が10%に上がれば、大手輸出企業への利息を含めた還付金額はさらに膨らみ、不公平感は大きくなるでしょう。

企業は仕入れ時に支払った消費税を商品価格に上乗せして消費者に負担してもらいますが、輸出すると消費税を受け取れないため、仕入れ時の消費税は戻ってくるのです。
2017年度の消費税の還付金額は約4兆1千億円で、消費税収の約2割の規模となっています。
財務省は「税額分を返しているだけ」と強調しています。
しかしながら、税務署から払い戻される還付金には、年率1.6%の「利息」に相当する還付加算金が上乗せされるのです。

税理士で元静岡大教授の湖東京至(ことうきょうじ)氏が2017年度の決算を基に大手企業への利息を除いた還付金額を推計したところ、トヨタ自動車は3,506億円、日産自動車は1,509億円、パナソニックは220億円だそうです。
輸出企業だけが対象になるうえ、加算金の高い利率も理由に、湖東氏は「輸出企業を優遇する補助金と言わざるを得ない」と語っています。

日本大学教授で税理士の阿部徳幸氏も、仕入れ先など下請け企業は大手企業の圧力で税額分を上乗せしにくい現状を挙げ「今回の増税で中小零細企業は負担を強いられる一方、大手輸出企業の還付金が増えるのはおかしい。制度自体を見直してほしい」と訴えています。

これに対し、財務省は、輸出免税制度は経済協力開発機構(OECD)のガイドラインに規定されているとした上で、「国際ルールに従っており、制度に問題はない」としています。

<消費税の還付>
企業が税務署に払いすぎた消費税が返金されること。消費税は消費者が負担する仕組みになっており、企業が仕入れ時に取引先に払った消費税は税務署に立て替えた形にすぎず、商品を売って消費者から回収しています。
セールなどで商品価格を下げ、立て替えた消費税のほうが高くなれば差額が還付されます。
特に、海外に商品を売った場合は消費税を受け取れず、立て替えた税額分は払い戻されるため、「輸出免税制度」とも呼ばれます。

制度上問題はないのでしょうが、心理上は疑問符が付きますね。
還付加算金は、現在の金利水準から考えてかなり高めの『金利』になっていますから、金額的な上限を設けるか、還付加算金(延滞税もそうですが)の計算方法の見直しが必要な時期になっているように思いますね。

輸出企業への還付が「大手優遇」との不公平感が指摘されていることについて、どう思われましたか?


大東建託の子会社がオーナーに増税分30億を円未払いか?

 不動産会社が賃貸用の物件をオーナーから借り上げる「サブリース契約」をめぐり、全国の不動産オーナー約3万人への支払いに消費増税分を上乗せしなかったとして、公正取引委員会は、先日、不動産管理会社の大東建託パートナーズ(東京)に消費税転嫁対策特別措置法違反(買いたたき)で勧告を出し、公表しました。
未払い分は推定で約30億円に上り、同法の施行以来、過去最高額だそうです。

発表によると、大東建託パートナーズは、駐車場や事務所用ビルを一括で借り上げて転貸するサブリース契約を個人や法人のオーナーと結び、その物件を利用者に貸し出して得た収入から管理費を差し引いた金額をオーナーに支払っていました。

しかしながら、消費税が5%から8%に上がった2014年4月以降、大東建託パートナーズは自ら受け取る管理費を増税に合わせて値上げする一方、オーナーへの支払額には本来必要な増税分を上乗せしていませんでした。
大東建託パートナーズが利用者から受け取る賃貸料は据え置きだったため、オーナーへの支払いは実質的に減額されたかたちになっていました。
公正取引委員会の調べに対し、大東建託パートナーズは「違反だと気づかなかった」と説明したようです。

サブリース契約をめぐっては、個人のオーナーを中心に「賃料を一方的に減額された」「契約解除をしたくてもできない」といった不動産会社とのトラブルが相次いで表面化しています。
ただし、借地借家法では借り主の不動産会社の権利が保護されるため、貸主側が守られにくくなっています。
このため公正取引委員会の担当者は、「オーナーのほとんどは個人事業者で、サブリース契約では往々にして弱い立場に立たされる。本件事案を契機に業界全体に良い影響を与えられることを期待する」と話しているようです。

また、公正取引委員会は、大東建託パートナーズの親会社である大東建託(東京)についても、自社が使用するために借りた事務所や駐車場の賃料に消費増税分を上乗せしていなかったとして、貸主約140人への上乗せ分約1,200万円を払うよう勧告しました。

大東建託は「公取委の処分を厳粛に受け止め、グループ全体で再発防止に取り組む」とコメントしています。

本当に、「違反だと気づかなかった」のでしょうか?
大東建託は節税をセールストークにしてアパート建設の営業をしていると思いますので、相続税だけではなく、消費税や所得税の知識を持って販売して欲しいですね。
それは、子会社である管理会社も同様だと思います。
あとは、消費税率が10%になる直前での公表は、良いタイミングで公正取引委員会は出してきたなぁと思いますね。
今回の増税は、こういったことがないようにして欲しいですね。

大東建託の子会社がオーナーに増税分30億を円未払いであることについて、どう思われましたか?


アニメ制作会社が3千万円の脱税容疑で告発!

 消費税約3千万円を脱税したとして、東京国税局がアニメ制作会社(東京都杉並区)と実質経営者(68)を消費税法違反の疑いで東京地検に告発したことがわかったようです。

関係者によると、アニメ制作会社は国内の会社からアニメの原画や動画づくりを受注し、中国や韓国の業者に下請けに出していましたが、国外からの仕入れに消費税がかからない仕組みを悪用していました。
下請け先が国内の会社であるように装って、仕入れにかかった消費税額を過大に計上し、その分を支払うべき消費税額から控除することで、2018年6月までの2年間に約3千万円を脱税した疑いがあります。

アニメ制作会社の担当者は、取材に対し、「本人は中国に行っている。会社として特にコメントはない」と話しているようです。

最近、国税局が公表した査察の概要を見ても、消費税の不正還付などに力を入れているようです。
還付でなくても、納付税額が少ないケースは、悪質さでいうと同等かと思います。
ここ数年、消費税については、還付の申告書を出すと、結構すぐに税務署から電話があって、税務調査となったり、消費税の集計表や請求書を追加で求められ、それらが終わらないと、還付になりません。
よほど、消費税の不正還付が多いということだと思います。
税務署は、最近は消費税については特に厳しいということは認識しておいてほしいですね。

アニメ制作会社が3千万円の脱税容疑で告発されたことについて、どう思われましたか?


平成30年度査察の概要(5/5)

 先日、国税庁が『平成30年度査察の概要』を公表しました。
査察制度は、悪質な脱税者に対して刑事責任を追及し、その一罰百戒の効果を通じて、適正・公平な課税の実現と申告納税制度の維持に資することを目的としています。
国税査察官は、近年における経済取引の広域化、国際化及びICT化等による脱税の手段・方法の複雑・巧妙化など、経済社会情勢の変化に的確に対応し、悪質な脱税者に対して厳正な調査を実施しています。

<査察調査の概要>
【平成30年度の取組】
○査察事案121件を告発
平成30年度は、免税店(輸出物品販売場)制度を悪用した消費税受還付事案、太陽光発電設備の取得を装った消費税 受還付事案、他人名義を使用したFX取引利益の無申告ほ脱事案、外国法人を利用した国際事案など、計121件を告発。
○重点事案を多数告発、特に消費税受還付事案は16件を告発(注)
消費税受還付事案16件、無申告ほ脱事案18件、国際事案20件を告発 。
消費税受還付事案は、国庫金の詐取ともいえ悪質性が高いが、過去5年間で最も多い16件を告発。うち、平成23年に創設された未遂犯も過去最多の8件を告発。
無申告ほ脱事案は、申告納税制度の根幹を揺るがすものであり、平成23年に創設された単純無申告ほ脱犯も含め、18件を告発。
(注)重点事案とは、消費税受還付事案、無申告ほ脱事案、国際事案及びその他社会的波及効果が高いと見込まれる事案をいう。
○脱税総額(告発分)は112億円
平成30年度の査察事案に係る脱税額(告発分)は112億円。
【平成30年度中の判決状況】
○122件の一審判決全てに有罪判決が言い渡され、7人に実刑判決
最も重い実刑判決は、査察事件単独に係るものでは懲役4年6月。

この中で、『重点事案への取組』として、以下のものが挙げられています。
(1)消費税受還付事案
(2)無申告ほ脱事案
(3)国際事案
(4)その他の社会的波及効果の高い事案
また、『不正資金の留保状況及び隠匿場所』と『査察事件の一審判決の状況』についても書かれています。

今週は、これらについて、順番に取り上げていきたいと思います。
最終日の今日は、『不正資金の留保状況及び隠匿場所』と『査察事件の一審判決の状況』についてです。

<不正資金の留保状況及び隠匿場所>
脱税によって得た不正資金の多くは、現金や預貯金として留保されていましたが、その他に、有価証券、居宅、暗号資産(仮想通貨)、金地金、ブランド品の取得費用、親族や特殊関係人への援助資金、ギャンブル等の遊興費などに充てられていた事例もみられました。
また、不正資金の一部が、海外の預金口座で留保されていたほか、海外における投資、コンドミニアムの取得費用、遊興費(カジノ)などに充てられていた事例もありました。
脱税によって得た不正資金の隠匿場所は様々でしたが、
○居宅階段下の収納庫に存在した金庫及びバッグ並びに脱衣所内の金庫の中(法人税法違反)
○居宅応接間の金庫及び居室内の衣装ケースの中(所得税法及び法人税法違反)
○居宅寝室のベッドの下(法人税法違反)
に現金を隠していた事例などがありました。

<査察事件の一審判決の状況>
平成30年度中に一審判決が言い渡された件数は122件であり、全てに有罪判決が出され、そのうち実刑判決が7人に出されました。
なお、実刑判決のうち最も重いものは、査察事件単独に係るものが懲役4年6月、他の犯罪と併合されたものが懲役7年でした。

<トピック11>悪質な脱税者に実刑判決
平成30年度においても、特に悪質な脱税者に対しては実刑判決が出されています。
【事例1】
L社は、美容関連製品の輸出販売を行うものですが、架空の国内仕入(課税取引)及び架空の輸出売上(免税取引)を計上する方法により、不正に多額の消費税の還付を受けていました。
同社の代表者Mは、消費税法及び地方税法違反の罪で、懲役4年6月の実刑判決を受けました。
【事例2】
N社は、繁華街に所在する多数のビルを管理し飲食店等のテナント賃貸を行うものですが、賃料収入の一部を除外するなどの方法により所得を隠し、多額の法人税を免れていました。
同社の代表者Oは、法人税法違反の罪で、懲役4年の実刑判決を受けました。
【事例3】
Pは、Qと共謀の上、暴力団に対して上納された資金からの収入を申告から除外し、多額の所得税を免れていました。
PとQは、所得税法違反の罪で、それぞれ懲役3年と懲役2年6月の実刑判決を受けました。

不正資金の留保状況及び隠匿場所と査察事件の一審判決の状況について、どう思われましたか?


平成30年度査察の概要(3/5)

 先日、国税庁が『平成30年度査察の概要』を公表しました。
査察制度は、悪質な脱税者に対して刑事責任を追及し、その一罰百戒の効果を通じて、適正・公平な課税の実現と申告納税制度の維持に資することを目的としています。
国税査察官は、近年における経済取引の広域化、国際化及びICT化等による脱税の手段・方法の複雑・巧妙化など、経済社会情勢の変化に的確に対応し、悪質な脱税者に対して厳正な調査を実施しています。

<査察調査の概要>
【平成30年度の取組】
○査察事案121件を告発
平成30年度は、免税店(輸出物品販売場)制度を悪用した消費税受還付事案、太陽光発電設備の取得を装った消費税 受還付事案、他人名義を使用したFX取引利益の無申告ほ脱事案、外国法人を利用した国際事案など、計121件を告発。
○重点事案を多数告発、特に消費税受還付事案は16件を告発(注)
消費税受還付事案16件、無申告ほ脱事案18件、国際事案20件を告発 。
消費税受還付事案は、国庫金の詐取ともいえ悪質性が高いが、過去5年間で最も多い16件を告発。うち、平成23年に創設された未遂犯も過去最多の8件を告発。
無申告ほ脱事案は、申告納税制度の根幹を揺るがすものであり、平成23年に創設された単純無申告ほ脱犯も含め、18件を告発。
(注)重点事案とは、消費税受還付事案、無申告ほ脱事案、国際事案及びその他社会的波及効果が高いと見込まれる事案をいう。
○脱税総額(告発分)は112億円
平成30年度の査察事案に係る脱税額(告発分)は112億円。
【平成30年度中の判決状況】
○122件の一審判決全てに有罪判決が言い渡され、7人に実刑判決
最も重い実刑判決は、査察事件単独に係るものでは懲役4年6月。

この中で、『重点事案への取組』として、以下のものが挙げられています。
(1)消費税受還付事案
(2)無申告ほ脱事案
(3)国際事案
(4)その他の社会的波及効果の高い事案
また、『不正資金の留保状況及び隠匿場所』と『査察事件の一審判決の状況』についても書かれています。

今週は、これらについて、順番に取り上げていきたいと思います。
3日目の今日は、『国際事案』についてです。

平成30年度においては、現下の経済社会情勢を踏まえて、特に、消費税受還付事案、無申告ほ脱事案、国際事案、市場が拡大する分野における事案などの社会的波及効果の高いと見込まれる事案を重点事案として積極的に取り組みました。
(3)国際事案
海外取引を利用した悪質・巧妙な事案や海外に不正資金を隠すなどの国際事案に積極的に取り組み、平成30年度は20件を告発しました。
国際事案では、租税条約等に基づく外国税務当局との情報交換制度を活用しました。

<トピック6>外国法人を利用した法人税・源泉所得税事案を告発
海外取引を利用した不正は、執行管轄権等の制約のため調査は困難を伴いますが、外国との間で締結した租税条約等に基づく情報交換制度を活用するなどして、海外取引を利用した不正を解明し、法人税及び源泉所得税事案を告発しました。
【事例】
F社は、香港法人の代表者に虚偽のインボイスを発行させ架空仕入を計上する方法により法人税を免れたほか、同不正により得た資金からF社の役員に対する簿外の役員報酬を国外で支給し、同報酬に係る源泉所得税を一切徴収せずに納付していませんでした。

<トピック7>中古自動車の輸出販売を装った消費税受還付の長期事案を告発
中古自動車の販売事業者による輸出販売を装った不正取引の解明に3年余りを要しましたが、検察当局の協力の下、当該不正取引を解明し、消費税の不正受還付事案を告発しました。
【事例】
G社は、中古自動車の仕入れに係る領収証及び虚偽の輸出許可通知書を作成し、架空の国内仕入(課税取引)及び架空の輸出売上(免税取引)を計上する方法により、内容虚偽の消費税の確定申告を行い、不正に消費税の還付を受けていたほか、受けようとしました(一部未遂)。

国際事案について、どう思われましたか?


平成30年度査察の概要(1/5)

 先日、国税庁が『平成30年度査察の概要』を公表しました。
査察制度は、悪質な脱税者に対して刑事責任を追及し、その一罰百戒の効果を通じて、適正・公平な課税の実現と申告納税制度の維持に資することを目的としています。
国税査察官は、近年における経済取引の広域化、国際化及びICT化等による脱税の手段・方法の複雑・巧妙化など、経済社会情勢の変化に的確に対応し、悪質な脱税者に対して厳正な調査を実施しています。

<査察調査の概要>
【平成30年度の取組】
○査察事案121件を告発
平成30年度は、免税店(輸出物品販売場)制度を悪用した消費税受還付事案、太陽光発電設備の取得を装った消費税 受還付事案、他人名義を使用したFX取引利益の無申告ほ脱事案、外国法人を利用した国際事案など、計121件を告発。
○重点事案を多数告発、特に消費税受還付事案は16件を告発(注)
消費税受還付事案16件、無申告ほ脱事案18件、国際事案20件を告発 。
消費税受還付事案は、国庫金の詐取ともいえ悪質性が高いが、過去5年間で最も多い16件を告発。うち、平成23年に創設された未遂犯も過去最多の8件を告発。
無申告ほ脱事案は、申告納税制度の根幹を揺るがすものであり、平成23年に創設された単純無申告ほ脱犯も含め、18件を告発。
(注)重点事案とは、消費税受還付事案、無申告ほ脱事案、国際事案及びその他社会的波及効果が高いと見込まれる事案をいう。
○脱税総額(告発分)は112億円
平成30年度の査察事案に係る脱税額(告発分)は112億円。
【平成30年度中の判決状況】
○122件の一審判決全てに有罪判決が言い渡され、7人に実刑判決
最も重い実刑判決は、査察事件単独に係るものでは懲役4年6月。

この中で、『重点事案への取組』として、以下のものが挙げられています。
(1)消費税受還付事案
(2)無申告ほ脱事案
(3)国際事案
(4)その他の社会的波及効果の高い事案
また、『不正資金の留保状況及び隠匿場所』と『査察事件の一審判決の状況』についても書かれています。

今週は、これらについて、順番に取り上げていきたいと思います。
初日の今日は、『消費税受還付事案』についてです。

平成30年度においては、現下の経済社会情勢を踏まえて、特に、消費税受還付事案、無申告ほ脱事案、国際事案、市場が拡大する分野における事案などの社会的波及効果の高いと見込まれる事案を重点事案として積極的に取り組みました。
(1)消費税受還付事案
消費税の輸出免税制度などを利用した消費税受還付事案は、いわば国庫金の詐取ともいえる悪質性の高い事案です。
平成30年度は16件と過去5年間で最も多くの告発を行いました。

<トピック1>免税店(輸出物品販売場)制度を悪用した不正受還付事案を告発
近年の訪日外国人旅行者(インバウンド)の増加や免税店(輸出物品販売場)の増加を背景に、免税店における輸出免税制度を悪用して不正に消費税の還付を受けようとした者を告発しました。
【事例】
A社は、高額な腕時計の仕入れを装い架空仕入(課税取引)を計上するとともに、その商品を輸出物品販売場の許可を受けた免税店で外国人旅行者に販売したように装い架空売上(免税取引)を計上する方法により、多額の消費税還付金額を記載した内容虚偽の消費税の確定申告を行い、不正に消費税の還付を受けようとしました。

<トピック2>太陽光発電施設の取得を装った不正受還付事案を告発
太陽光発電施設を運営し、発電した電気を再生可能エネルギー固定価格買取制度に基づき販売していた事業者による消費税の不正受還付事案を告発しました。
【事例】
B社は、太陽光発電施設を実際には取得していないにもかかわらず、これを取得したように装い架空仕入(課税取引)を計上する方法により、消費税の控除対象仕入税額を過大に計上した内容虚偽の消費税の確定申告を行い、不正に消費税の還付を受けていました。

<トピック3>過去最多・最高額の消費税不正受還付の「未遂犯」を告発
平成23年に創設された消費税不正受還付の未遂犯は、平成26年度に初めて告発し、平成30年度においては、過去から最も多い8件、不正還付(未遂)総額15億円余りを告発しました。
【事例】
C社は、取引事実がないにもかかわらず、高級腕時計を代表者から仕入れたとする虚偽の納品書を作成し架空仕入(課税取引)を計上するとともに、香港でのオークション販売を装い架空輸出売上(免税取引)を計上する方法により、多額の消費税還付金額を記載した内容虚偽の消費税の確定申告を行い、不正に消費税の還付を受けようとしました。
(参考)消費税の不正受還付に係る未遂処罰規定は、悪質性の高い消費税の不正受還付事案に厳正に対処するため、平成23年に創設されました。

消費税受還付事案について、どう思われましたか?


軽減税率で高所得層で2,880億円の恩恵と財務省が試算!

 財務省は、先日、201910月の消費税率引き上げ時に導入する軽減税率制度について、所得階層別の軽減度合いに関する試算をまとめました。
衆議院の財務金融委員会に提出しました。

2018年の家計調査をもとに階層別の消費支出額とシェアを計算しています。
そのうえで、軽減税率制度による減収額1.1兆円を各所得階層のシェアで割り、それぞれの階層ごとの減収額を算出しています。

最も所得が低い層(年収238万円未満)では計1,430億円が軽減されるのに対して、最も所得が高い層(年収738万円以上)では計2,880億円でした。
中位層(同355万円以上500万円未満)は計2,190億円が軽減される計算となりました。

試算を要求していた立憲民主党の川内博史衆院議員は「低所得層への恩恵が少ない」と批判しています。
これに対し、麻生太郎財務相は高所得層の方が消費額が多く、世帯当たりの人数も低所得層の3倍弱いるとしています。

国の出すデータも正しいのかどうか分かりませんが、元々、消費税の軽減税率は低所得層の方向けのものだったと思います。
日刊紙が消費税の軽減税率の対象になっているのがよく分かりませんが(マスコミ関係を味方につけるため?)、本当に、軽減税率って必要なのかと思いますね。
早く軽減税率をやめて、期限付きの商品券を与えるなどしてほしいですね。

軽減税率で高所得層で2,880億円の恩恵と財務省が試算していることについて、どう思われましたか?


中古マンションの消費税を巡る不動産業者vs国税局の争い!

 入居者がいるマンションを売買したときの税務申告をめぐり、不動産業者と国税当局が裁判で争っているようです。
売買の際にかかる消費税と、入居者からの家賃収入の関係について見解の相違が生じている形です。
消費税率引き上げも予定されるなか、不動産会社によっては影響も大きく、関係者は裁判の行方を注視しているようです。

争点となっているのは、入居者がいる中古賃貸マンションの建物や部屋を購入し、その後に転売する取引の税務申告です。
消費税は、仕入れ時に支払った税額を売上時に受け取った税額から控除して納めます(仕入税額控除)。
たとえば、不動産会社が建物を2億1,600万円(消費税額1,600万円)で購入し、3億2,400万円(同2,400万円)で転売したとすると、納税額は800万円となります。

「ムゲンエステート」(東京)と「エー・ディー・ワークス」(同)はこの考え方で税務申告しましたが、東京国税局は、両社が購入から転売までの間に入居者から家賃を得ていたことを問題視し、家賃には消費税がかからないため、「課税対象の仕入れ(建物の購入費)から、非課税の売り上げ(家賃収入)が生じている」として、控除を一部しか認めず、両社は申告漏れを指摘されました。
エー・ディー・ワークスによると、控除は3割程度しか認められなかったようです。

過少申告加算税などを含めた追徴課税(更正処分)は、ムゲンエステートが2015年12月期までの3年間で約6億3,900万円、エー・ディー・ワークスが2017年3月期までの3年間で約5億3,700万円で、両社とも不服申し立てをしました。

両社は課税取り消しを求めて東京地裁で国税局と係争中で、エー・ディー・ワークスは「仕入れの目的は建物の転売であって、家賃収入は副次的なものにすぎない」などと主張しています。
さらに国税庁が約20年前に作成した内部文書があり、同様の取引で仕入れ税額控除を全額認める解釈が記されているとして、この文書を証拠として提出する見込み。ムゲンエステートもこの文書の提出命令を国に出すよう裁判所に申し立てており、2018年12月の口頭弁論で裁判長は「もし文書が存在するなら、業者側の主張が独自の見解だとは言えなくなる」と述べ、任意提出するか、申し立てに反論するかを国に求めたそうです。

家賃収入が見込めるワンルームマンションなどの中古不動産は、投資先として富裕層を中心に人気があり、リノベーション(改修)などで資産価値を上げてから転売されるのが一般的で、入居者が多い物件のほうが高値がつくようです。

エー・ディー・ワークスの幹部は取材に対し、「20年以上、同じ考え方で申告していて、税務調査で問題にされたことはなかった。追徴課税に戸惑っている」と話しているようです。
国税局の指摘に従うと、消費税の負担は年2億円程度増え、税率が10%に引き上げられるとさらに大きくなる見込みだそうです。
エー・ディー・ワークスの経常利益は年約9億~16億円程度で、この幹部は「不動産を再生し、投資先として提供する社会的意義の高いビジネス。このモデルを見直すことになりかねない」と心配しています。
裁判を担当する弁護士によると、他に10社ほどから同様の課税をめぐって相談があるようです。

なお、仕入税額控除の仕組みは、消費税の申告納税義務がある事業者が対象で、一般の人には適用されません。

平成12年に国税庁消費税課が出している消費税審理事例検索システムに載っていた文章(『譲渡用住宅を一時期賃貸用に供する場合の仕入税額控除』)を見ると、ムゲンエステートやエー・ディー・ワークスの処理で問題ないと思いますが、なぜ解釈を変えたのでしょうか?
その辺を明確にしてほしいですね。

中古マンションの消費税を巡る不動産業者vs国税局の争いについて、どう思われましたか?


消費増税で政府がカード手数料の引き下げを要請?

 政府が平成3110月の消費税率引き上げにあわせ消費者にポイントを還元する景気対策で、クレジットカード会社に対し、小売りなどの加盟店から受け取る手数料を引き下げるよう要請する方向で調整に入ったことが、先日、分かったようです。
ポイント還元は、クレジットカードなど現金を使わないキャッシュレス決済をした買い物客が対象です。
政府は店側の負担を軽減してクレジットカードの導入を後押しし、消費者が幅広くポイント還元を受けられるようにします。

クレジットカードを導入した店は、カードの読み取り端末を設置し、売上高に応じた手数料をカード会社に支払っており、手数料は数%で店により異なります。

しかしながら、手数料は「倒産などのリスクに備えるため、小規模な店ほど高くなる」(大手カード会社幹部)傾向にあるそうです。
このため中小の店では手数料の重い負担を嫌って、クレジットカードの導入に二の足を踏むケースも多かったようです。

カード払いができる店が少なければポイント還元による景気対策の効果も薄れるため、政府は手数料引き下げを促し、クレジットカードの導入拡大を図ります。
カード会社に要請する引き下げ幅などは今後詰めるようです。

政府が検討する景気対策では、中小の小売店で消費者がクレジットカードや電子マネーといったキャッシュレス決済で商品を購入したときに、増税分の2%をポイントで還元します。

レストランでの食事などサービス業でのポイント還元も検討するそうです。
期間は数か月から1年程度を想定しており、ポイントを発行するカード会社などを通じて還元し、費用は国が補助します。

経済産業省によると、平成27年のキャッシュレス決済の比率は18%です。
政府は景気対策を生かして、この比率を引き上げたい考えのようです。

クレジットカード会社は、当然貸倒リスクを考慮して手数料率を決めていると思いますが、この設定に政府が口を出すのはどうかなぁと思います。
こういうことをするのであれば、軽減税率をやめて、マイナンバーを利用して所得を把握し、一定以下の所得の方に、期限付きで商品券、キャッシュレス決済の比率を高めたいのであればプリペイドカードなどで還元すれば良いのではないかと思います。
もちろん、転売などを防ぐ方法は考えないといけないとは思いますが、そうすれば、景気拡大にもつながると思いますし、キャッシュレス決済の比率が高まると思いますし、キャッシュレス決済に対応しようとするお店も増えるのではないかと思います。

消費増税で政府がカード手数料の引き下げを要請したことについて、どう思われましたか?


「軽減税率」導入の波紋を受け外食・小売りが苦悩!

 「週刊東洋経済」によると、6月中旬、ある大手外食チェーン本社の会議室に十数人の幹部が集まったようです。
 「レジの改修にいくらかかるのか」「現場のオペレーションをどのように変えたらいいのか」など、議題となっていたのは、201910月に導入される軽減税率制度の影響についてです。
 2019年秋に控える消費増税により、税率が8%から10%に引き上げられますが、それと同時に導入されるのが軽減税率です。
 20186月に閣議決定された「骨太の方針」にも明記された同制度は、生活必需品の消費税率を低く抑える低所得者対策という位置づけです。
 今回は生活必需品とされた飲食料品の税率を8%に据え置く反面、外食や酒類は10%に引き上げられます。
 軽減税率の実施まで1年余りとなり、いよいよ準備に動きだした外食・小売り各社ですが、聞こえてくるのは不安の声ばかりです。
 「食事のシーンによって分ける税制というのは無理があります。
 お客様対応の負担も増え、生産性は明らかに落ちる」と、外食の業界団体である日本フードサービス協会の髙岡慎一郎会長はそう不満を漏らしています。
 外食企業にとって問題なのは、店内飲食であれば税率10%、持ち帰りであれば8%というように、同じ商品に2つの税率が存在する点です。
 今回の税制改正では、外食に該当しない持ち帰りや宅配、出前などは軽減税率が適用されることになっています。
 ある牛丼チェーン関係者は、「軽減税率で(割安となる)持ち帰り販売の比率が高まれば、包材などの関連コスト増が想定される」と語っています。
 具体的な試算はこれからだそうですが、年間数千万〜数億円のコスト増になるおそれがあるようです。
 接客時の混乱を懸念する声も多いようです。
 別の外食チェーン幹部は「フードコートで(税率の低い)持ち帰り注文をした客が、テーブルに座って飲食することがありうる」と話しています。
 接客時に店内飲食か持ち帰りかを確認する必要が生じ、接客の手間が増えます。
 「クレームの原因にもなりそうだ。面倒な接客を嫌って、これまで以上に人手を集めることが難しくなる」(同)とも話しています。
 人手不足対策や現場の負担軽減の観点から導入が進む券売機についても、問題が指摘されています。
 現在、外食チェーンなどで使われる券売機は10円単位のものが主流で、1円玉や5円玉に対応できていないものが多くなっています。
 ただし、同じ本体価格で税率8%と10%に対応する場合、ほぼ確実に1円単位の金額が発生します。
 そのため、業界内からは「本体価格を持ち帰りと店内飲食で別々に設定して、税込み価格を統一する選択肢もある」(前出の牛丼チェーン関係者)という声も聞こえてくるようです。
 仮に持ち帰りの本体価格を306円、店内飲食を300円とした場合、税込み価格はいずれも330円となり、10円単位の券売機でも対応が可能というわけです。
 こうした価格設定は国税庁も容認しているようです。
 税制に詳しい東京財団政策研究所の森信茂樹研究主幹は「価格設定は本来店の自由であるべき」と前置きしたうえで、「税込み価格を同じにしても、不正は生じうる」と指摘しています。
 軽減税率を導入しているドイツでは、税率の低い持ち帰りの割合を店側が実際より過大に申告することで、納税額を抑える問題が発生しているようです。
 懸念を示すのは外食企業だけではありません。
 スーパーなどの小売り事業者は8%と10%の商品を分別できるよう受発注システムやレジの改修を進める必要があります。
 中でも不安視されるのが、イートインコーナーの扱いです。
 近年、スーパー各社は購入した弁当などを店内の客席で食べられる、イートインコーナー併設店の充実に力を入れています。
 イートインコーナーでの飲食については、今回の税制改正では外食と見なされ、10%の標準税率が適用されることになっています。
 ただし、国税庁によると、「イートインコーナーをご利用する場合、お申し出ください」などの掲示で済ませればよいということだそうです。
 「適用税率の判定時期は商品を売ったとき。客が申し出ない時点で軽減税率と判定されるので、気が変わって店内で食べても、税率は変わらない」(国税庁の担当者)とのことです。
 つまり、商品購入時に「イートインコーナーを利用する」と利用者自らが申し出ないかぎり、税率は8%のままとなるのです。
 小売り事業者で構成される日本チェーンストア協会の小濵裕正会長は、「申告によって不公平感が出るおそれがある。そもそもイートインコーナーは交流の場を提供する社会貢献の意味合いもある」と憤りを隠しません。
 現場の作業負担軽減を目的としたセルフレジの導入も増える中、「店内飲食するかを確認するため、対応するシステムを入れる必要が出てくると、大きなコスト増になりかねない」(スーパー関係者)ようです。
 ある外食企業首脳は「1,000円以上の高級弁当が税率8%で、300円台の牛丼は店内飲食だと10%。どこが低所得者対策なのか」と首をかしげているようです。
 いずれにせよ、外食・小売り各社に残された準備時間はそう多くはありません。
 個人的には、軽減税率には大反対です。
 そもそも、消費税は、計算を簡単に行うために一律の税率を用いるもののはずです。
 低所得者対策を行いたのであれば、色々な方のコストや手間の増すものではなく、マイナンバーの普及も兼ねて、所得を把握し、一定の所得以下の方に、期間限定でスーパーなどで使える金券を渡す方がいいのではないかと思っています。
 あとは、税理士という仕事をしていますが、消費税の申告のために、会社も個人事業主も手間やコストが増え、税理士も手間がかかりますが、おそらく申告の報酬は上がらないでしょう。
 また、税込み金額を同じにするのが主流になると、本来は10%のものなのに税率の低い8%の方で申告して脱税するような人がたくさん出てくるでしょうね。
 本当に、軽減税率は廃止にして欲しいですね。
 「軽減税率」導入の波紋を受け外食・小売りが苦悩していることについて、どう思われましたか?

「輸出免税」悪用して消費税1億4千万円を脱税!

 輸出する商品に消費税がかからない「輸出免税制度」を悪用して約14千万円を脱税したとして、大阪国税局が消費税法違反などの罪で、兵庫県尼崎市の輸出業者の社長(51)と法人を神戸地検に告発していたことが、先日、関係者への取材で分かったようです。
 すでに修正申告済みで、重加算税を含む追徴税額は約17千万円に上るとみられます。
 関係者によると、平成25年3月~平成282月に、自動車の中古バッテリーなどの国内売上分を帳簿上、輸出取引で売り上げたかのように装うなどして虚偽の確定申告書を提出しました。
 還付を受けた消費税を含め、計約14千万円を脱税したとされます。
 この会社は平成21年ごろから非鉄金属相場の下落により経営が悪化し、不正に得た金を事業資金に充てていたとみられ、現在は休業しているようです。
 消費税を悪用するケースは多いですね。
 以前、消費税の不正還付が多発したこともあり、最近は、消費税の還付申告をすると、すぐに税務署から電話がかかってきて、調査に行きますとか書類を提出してくださいと言われ、それが終わらないと還付してくれないようになってきていると思います。
 きちんと申告されている企業などからすると、いい迷惑ですね。
 軽減税率がどうこうと考えるより、インボイスのことを含め、そもそもの消費税の仕組みを根本的に考え直さないといけない時期になってきているのではないかと思います。
 輸出業者が「輸出免税」悪用して消費税14千万円を脱税していたことについて、どう思われましたか?

株式会社マイナビ及び株式会社マイナビ出版による消費税転嫁対策特別措置法違反!

 中小企業庁が、株式会社マイナビ及び株式会社マイナビ出版が支払う委託料等(原稿料、著作権使用料(印税)、広告販売手数料、講師料)に関して調査を行った結果、消費税転嫁対策特別措置法第3条第1号後段(買いたたき)の規定に違反する行為が認められたようです。
 当該調査結果を受け、先日、中小企業庁長官は、株式会社マイナビ及び株式会社マイナビ出版による違反行為に関して、同法第5条の規定に基づき、公正取引委員会に対して、適当な措置をとるよう請求しました。
<違反事実の概要>
(1) 株式会社マイナビ(以下「マイナビ」という。)は、就職・転職等の情報を提供する「マイナビ」と称するポータルサイト(以下「情報ポータルサイト」という。)を運営している。
 また、株式会社マイナビ出版(以下「マイナビ出版」という。)は、マイナビの出版部門を平成27101日に分社化して設立したものであり、マイナビから出版事業を承継し、雑誌・書籍等を発行している。
(2) マイナビ及びマイナビ出版は、自らが発行する雑誌・書籍の編集にあたり必要な原稿・イラスト作成等の業務(以下「原稿等作成業務」という。)や、当該雑誌等に掲載する広告の営業業務である広告販売促進業務について、個人事業者を中心に継続して委託している。そのほか、マイナビは、各部門が運営する情報ポータルサイトに関する原稿等作成業務や、自らが運営する就職イベント等の講師業務について、個人事業者を中心に継続して委託している。(両社の委託先を以下「本件委託先」という。)
(3) 上記(2)で記載した業務の委託料は、原稿等作成業務については業務内容ごとの「原稿単価」を消費税を含まない額(外税単価)又は消費税を含む額(内税単価)で定め、業務実績を乗じて算出した額を委託料(原稿料)として本件委託先に支払っている。
 また、著作権使用料が発生する場合は、著作権を有する事業者(以下「本件著作権者」という。)との間で出版契約書を締結し、「著作物ごとの利用単価」を消費税を含む額(内税単価)で定め、一定期間の実売部数を乗じて算出した額を著作権使用料として本件著作権者に支払っている。
 さらに、広告販売促進業務については「月額報酬単価等」を、講師業務については一回当たりの「講師単価」を、それぞれ消費税を含む額(内税単価)で定め、業務実績を乗じて算出した額を委託料(広告販売手数料、講師料)として本件委託先に支払っている。
 なお、講師業務はマイナビのみであり、講師料もマイナビのみ支払っている。
(4) マイナビ及びマイナビ出版は上記(3)で記載した消費税を含む額(内税単価)で定めた原稿単価等について平成2641日以後も消費税率引上げ分を上乗せせず、同年3月分までの原稿単価等と同額に定め、本件委託先及び本件著作権者に対し、上記(3)の方法で算出した額を当該業務の委託料及び著作権使用料として、マイナビは平成283月分まで、マイナビ出版は平成2912月分まで、支払っていた。
(5) 両社における当該行為は、消費税転嫁対策特別措置法第3条第1号後段(買いたたき)の規定に違反する行為であり、多数の本件委託先及び本件著作権者(マイナビ約960名、マイナビ出版約190)に対して当該行為が行われていた。
(6) なお、マイナビは平成264月1日以後に消費税率引上げ分を上乗せせず支払った上記(4)の委託料(原稿料、広告販売手数料、講師料)及び著作権使用料について、平成30228日までに、消費税率引上げ分に相当する額を上乗せした額に定め、平成264月1日に遡って当該引上げ分相当額を本件委託先及び本件著作権者に対して支払った。
 また、マイナビ出版は、平成279月以前の前身会社であるマイナビから継続して消費税率引上げ分を上乗せせず支払った上記(4)の委託料(原稿料、広告販売手数料)及び著作権使用料について、平成30329日までに、消費税率引上げ分に相当する額を上乗せした額に定め、平成27101日に遡って当該引上げ分相当額を本件委託先及び本件著作権者に対して支払った。
 最近、消費税転嫁対策特別措置法違反の話を目にしていなかったのですが、毎年、数件はあるみたいですね。
 ・平成26年 1113
 ・平成27年 1518
 ・平成28年 45
 ・平成29年 55
 ・平成30年 44社(6月末まで)
 我がうどん県高松市でも、平成2710月に㈱穴吹ハウジングサービスが勧告を受けていますね。
 株式会社マイナビ及び株式会社マイナビ出版による消費税転嫁対策特別措置法違反について、どう思われましたか?
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日本政策金融公庫が与信費用の増加で1,196億円の最終赤字!

日本経済新聞によると、日本政策金融公庫が3日発表した2024年4〜9月期決算は、最終損益が1,196億円の赤字(前年同期は69億円の黒字)でした。

信用保証協会から保険を引き受ける事業で、保険金の支払いに備えて積む保険契約準備金の戻し入れ額が減少したのです。

貸出先の業績悪化に伴う与信関係費用も増えました。

日本政策金融公庫は民間金融機関が信用保証協会による保証付き融資を実行する際、保証協会から保険を引き受ける業務を手掛けています。

保険引受収益は戻し入れ額の減少に伴い、26%減の1,858億円となりました。

保険引受費用は保険金の支払い増加に伴い23%増の1,868億円でした。

与信関係費用は35%増の1,734億円で、条件変更や債務不履行が高水準となったことが響きました。

日銀の利上げに伴い金融機関の貸出金利は上昇傾向にあります。

取引先の中小企業からは「借入金利の上昇はボディーブローのように今後効いてくると思われ、なかなか大きな設備投資を行う気にはなれない」(土木建築業)といった声が出ていると紹介しました。

新型コロナウイルス関連融資に関する状況も公表しました。

2021年3月末までの貸付先約70万件のうち、2024年9月末時点で元金返済中が52.3%を占め、完済などは15.8%にとどまりました。

返済が厳しく条件を変更したのは7.2%と、2024年3月末の6.9%から高まりました。

日本政策金融公庫が、民間金融機関が信用保証協会による保証付き融資を実行する際、保証協会から保険を引き受ける業務を手掛けているということは、初めて知りました。

コロナ融資の返済が始まり、返済できない事業者が増えていると思いますので、予想された結果だと思いますし、今後もしばらく赤字が続くのではないかと思います。

噂では、日本政策金融公庫も積極的に融資していると聞きますし、保証協会は保証付の短期融資(ころがしを想定)に舵を切ったとも聞きますし、今後どうなっていくのかウォッチしていきたいですね。

日本政策金融公庫が与信費用の増加で1,196億円の最終赤字となったことについて、あなたはどう思われましたか?


資生堂が借入金返済のため2年ぶりに社債を100億円発行!

日本経済新聞によると、資生堂が普通社債(SB)を約100億円発行するそうです。

発行は、約2年ぶりです。

利回りなどの条件決定は、2024年12月6日を予定しています。

起債するのは満期までの期間が5年の普通社債で、調達する資金は借入金の返済にあてます。

主幹事には、大和証券とみずほ証券を指名しました。

2025年2月に償還予定の社債の借り換えに充てます。

社債発行は2022年12月に200億円発行したESG(環境・社会・企業統治)債の一種「サステナビリティ・リンク・ボンド(SLB)」以来となります。

長期発行体格付けは、ムーディーズ・ジャパンから「A3」(シングルAマイナス相当)を取得しています。

ムーディーズ・ジャパンは、2024年9月には信用格付けの見通しを「安定的」から「ネガティブ」へと引き下げています。

資生堂は、有利子負債が自己資本の何倍に当たるかを示す純負債資本倍率(ネットDEレシオ)が2024年9月末時点で0.18倍で、2023年12月末時点の0.06倍から上がっています。

資生堂は、2024年12月期の連結純利益(国際会計基準)は、前期比72%減の60億円を見込んでいます。

先日、増益としていた従来予想を一転減益に下方修正しました。

免税品向けや中国の化粧品販売が落ち込んでいます。

収益改善に向け、2024年から2025年にかけて日本での人員削減や中国での不採算店舗の閉鎖など400億円規模のコスト削減に取り組んでいます。

2024年11月29日には、新たな構造改革の発表を予定しています。

追加のコスト削減や中国戦略の見直し、欧米などの収益性向上に努めます。

資生堂は、驚くほど業績が悪化していますね。

それゆえ、社債発行して、借入金返済しないといけない状況に陥っているのでしょう。

ブランド力のある日本を代表する企業だと思いますので、ぜひとも構造改革を成功させて欲しいですね。

資生堂が借入金返済のため2年ぶりに社債を100億円発行することについて、あなたはどう思われましたか?


銀行支店の統廃合で乗り換え需要が生じ金利が上昇で信用金庫の存在感も上昇!

神奈川新聞によると、コロナ禍から経済が再開し、神奈川県内で信用金庫が存在感を高めているようです。

相互扶助の協同組織として、営利法人である銀行と経営理念の違いが際立っています。

金利上昇下で資金調達の敷居が高まり始め、地域に根付いた「寄り添いやすさ」が中小企業の支持を集めています。

大手行が神奈川県東部に構えていた支店が統廃合され、地元企業は取引を打ち切りました。

乗り換え先が信用金庫です。

銀行はコスト削減で店舗縮小が時流です。

企業側は「身近に相談先があるのは心強い」ようです。

一方、信用金庫担当者は「銀行支店の統廃合で乗り換え需要が生じ金利が上昇で信用金庫の存在感も上昇! の真価が試されている」と気負っています。

東京商工リサーチ横浜支店が2024年8月に発表した神奈川県内企業8万2千社の主力取引銀行(メインバンク)調査によると、21.9%を占めた横浜銀行が調査開始の2013年から12年連続で首位です。

金融機関は一様に融資先を拡大し、20位まで前年と変動はありませんが、注目はシェア率の高下です。

横浜銀行を含む地方銀行と主要行が軒並み低下する一方、神奈川県内に本店を置く8信用金庫のうち7信用金庫は小幅ながら上昇しました。

信用金庫勢トップで5位の横浜信用金庫は8%台に浮上しました。

2024年3月末の法人融資先は前年同期より484先増えました。

神名圭営業統括部長は「事業者支援こそ当金庫の強み。顔の見える営業活動が結実している」と手応え十分です。

2年前に東京都大田区と鎌倉市大船に新設した法人営業所が、新規先を掘り起こしています。

香川県でも、対応の変化により、あまり良い話を聞かない金融機関もありますが、他県でも同じような状況なんですね。

当然、金融機関もコスト削減などをしていかないと、将来生き残れないとは思いますが、我々会計事務所もそうですが、顧客の相談先としては上位に浮かぶ存在なので、手数料のことばかりを考えるのではなく、顧客のことを考えないとどんどん顧客は減っていくでしょうね。

銀行支店の統廃合で乗り換え需要が生じ金利が上昇で信用金庫の存在感も上昇していることについて、あなたはどう思われましたか?


3メガバンクが手形・小切手の発行を終了へ!

日本経済新聞によると、3メガバンクは2025年度中にも紙の約束手形、小切手の発行を終了するそうです。

三井住友銀行は2025年9月に既存の当座預金口座を持つ顧客向けの手形・小切手帳の発行を取りやめ、他のメガバンクも終える予定です。

取引先の企業は電子決済や銀行振り込みへの移行が必要になり、明治期以来、根強く続いてきた紙を使った商慣習は転機を迎えます。

約束手形は企業間取引の代金決済方法の一つで、将来の代金支払いを約束する有価証券を指します。

受取人は指定された期日以降に金融機関に手形を取り立てに出し、現金に換金できます。

経済成長期には手元資金に余裕のない発注企業の資金繰りに役立ってきましたが、近年は入金の遅さなど紙媒体に依存した決済の弊害が目立ってきていたのです。

三井住友銀行は、先日、2025年9月に既存の顧客向けの手形・小切手帳の発行を終了する方針を公表しました。

既に新規の当座預金口座の開設者への発行は停止しており、2026年9月末を手形、小切手の決済期限としています。

2026年10月以降は手形、小切手を使った決済ができなくなります。

未使用の手形、小切手帳は希望者を対象に、買い戻しを実施します。

2025年10月から決済時の入金に1件660円の手数料を新たに設けて移行を促します。

三井住友銀行で紙の約束手形や小切手を利用する企業は、中小企業を中心に約5万社にのぼります。

2023年度は同行だけで約170万枚の決済実績があり、金融界全体では年2,500万枚規模の取引がありました。

三菱UFJ銀行とみずほ銀行も近く手形、小切手の発行を終える日程を公表します。

発行済みの手形、小切手の扱いなどを詰めていますが、既存の顧客向けの手形・小切手帳の発行終了は2025年度中にも実現する見通しです。

3メガバンクが足並みをそろえることで、地方銀行なども今後追随する可能性が高いでしょう。

手形の交換は信用金庫、信用組合などを含め1,000超の金融機関が参加しています。

3メガバンクは今後、手形や小切手を使ってきた企業に対して代替サービスへの移行を促します。

インターネットバンキングによる振り込みや、決めた期日に金融機関の間で代金を自動送金する「電子記録債権」など電子取引が中心となります。

電子記録債権は紙の手形のように第三者に譲渡したり、融資を受ける際の担保として利用したりできます。

紛失や盗難のリスクもないため、メガバンクは企業決済の効率性や安全性が高まるとみています。

電子記録債権の利用実績は2023年に約700万件と紙の手形・小切手に比べ少ないものの、利用件数は年率2割のペースで伸びています。

手形は期日まで代金の支払いが猶予されることから、企業の資金繰りの緩和に役立ってきました。

ただし、大企業を中心に決済の電子化が進み、近年は利用の減少傾向が目立っていました。

政府も2021年の成長戦略実行計画で、手形の利用廃止や電子化の促進を打ち出していました。

メガバンクが実際に手形や小切手の発行を終えることで、中小企業の金融取引でも紙から電子への移行が決定的になります。

ところが、企業間取引を電子化するには、買い手と売り手の双方が同時に対応する必要があります。

中小企業の資金繰りへの影響を抑えるには、下請けの代金を適切な条件で支払うなど大企業を頂点とするサプライチェーン(供給網)全体への働きかけも欠かせません。

海外ではシンガポールが2025年末までに企業間の小切手のやり取りを廃止する予定であるほか、米欧でも銀行振り込みや電子決済への移行が進んでいます。

世界的に電子決済への移行は不可逆的な流れで、手形や小切手の廃止がその流れを加速することになります。

▼約束手形

将来の支払いを約束する有価証券のこと。

支払期日を指定して手渡すことで買い手の企業にとって支払いまでの資金繰りに役立つほか、売り手にとっても手数料を支払って代金を先んじて受け取れる利点がありました。

明治時代の手形交換所以来の日本独特の商慣行で、経済成長期には企業の資金不足を補う役割を果たしました。

ただし、近年は銀行での振り込みなどの支払いが主流の欧米に比べ支払いまでの期間が長いといった弊害も目立ってきました。

「紙」でのやりとりが必要になるのも難点で、紛失などのリスクがあったのです。

デジタル化を進めたい政府の方針も背景に、全国銀行協会は手形や小切手の電子化に向けた対応を進めてきました。

支払期日を指定して支払う仕組みの代替として有力視されるのは電子記録債権と呼ぶ仕組みで、2008年施行の電子記録債権法で導入されました。

現金化や譲渡、担保としての利用などは従来の手形と同様に可能で、事務を効率化する利点は大きいとされます。

導入の広がりが課題となっており、紙の約束手形の廃止によって電子への移行が加速するかが焦点となるでしょう。

個人的には、手形・小切手の廃止には賛成です。

管理的な手間やコスト、盗難などのリスク、手形を発行しているからゆえ不渡りが生じることなどを考えると、廃止が望ましいでしょう。

廃止となると、でんさいにシフトすることになると思いますが、早く、でんさいが一般的になって欲しいと思います。

ただし、でんさいを資金化するときに相手先によっては資金化できないリスクは残ると思いますので、何らかの対策は必要になるかもしれませんね。

3メガバンクが手形・小切手の発行を終了することについて、あなたはどう思われましたか?


中小企業の資金繰り改善が狙いで約束手形の支払期日を60日以内に短縮へ!

YAHOO!ニュースによると、中小企業庁と公正取引委員会は、2024年11月から約束手形の支払い期日までの期間「手形サイト」を60日以内に短縮するよう各業界に要請しています。

長期の手形は、下請け企業の資金繰りを圧迫する要因となるため、手形サイト短縮で中小企業の経営改善につなげ、賃上げや設備投資を後押しする狙いです。

今後、60日を超える手形サイトは、行政指導の対象となります。

中小企業庁と公正取引委員会は、以前から手形サイトについて、繊維業では90日、その他の業種では120日を超える場合、下請法違反の可能性があると指導してきました。

両者が連名で、各産業の業界団体・金融機関・監督省庁等に対して出した要請の概要は、以下のとおりです。

①行政指導の対象
手形サイト等が60日を超える場合は「割引困難な手形」等にあたるとして行政指導の対象とする。

ファクタリング(事業者が保有する売掛債権などを、期日前に一定の手数料を差し引いて買い取るサービス)などの一括決済方式も含まれる。

②下請法対象外の取引
下請法対象外の取引においても手形サイト等を60日以内に短縮すること。

可能な限り現金での支払いを行う。

特に建設工事や大型機器の製造など、納期が長期にわたる取引における前払い比率や期中払い比率の向上を求めている。

③三者契約の徹底
一括決済方式の加入は下請事業者の自由意志によるものであること。

親事業者・下請事業者・金融機関の間の三者契約が必要であることが徹底されること。

④資金繰り支援
手形サイトの短縮に取り組む事業者に対しては、資金繰りの支援を丁寧に行い、事業者の状況に応じた柔軟な対応を行うこと。

手形サイトの期間短縮に対しては、サプライチェーン全体で資金繰りに及ぼす影響を考慮し、支援策を講じながら進めることが求められる。

事業承継にも当然関係しており、後継者は取引先の支払いサイト・回収サイトについて理解しておく必要がある。

場合によっては経営者の交替に合わせて支払いサイト・回収サイトの変更が必要になるケースも発生する可能性がある。

職業柄、手形をサイトなどを目にすることが多いですが、120日サイトって長すぎますよね。

例えば、月末締め、翌月末起算120日サイトだとすると、製品を売ったり、サービスを提供してから、現金化するまで、150日~180日、つまり、5か月から6か月かかるわけですから。

ある意味、短縮は当然のような気はしますが、行政指導をきちんとして、中小企業が資金繰りに困ることのないようにしてほしいですね。

中小企業の資金繰り改善が狙いで約束手形の支払期日を60日以内に短縮されることについて、あなたはどう思われましたか?


企業価値を担保にした融資をメガバンクが活用に向け準備!

日本経済新聞によると、企業の技術力や成長性といった事業価値を担保に融資できるようになる新法が成立し、メガバンクが活用を探ろうと準備を進めているようです。

不動産、生産設備を持たないスタートアップや、後継者難で事業譲渡を検討する中小企業が資金調達しやすくなりますが、事業の成長性を見極める銀行の目利き力が重要になってきます。

先日成立した「事業性融資推進法」は、担保の登記システム更改などを経て2年半以内に施行されます。

最大のポイントは、企業の持つ事業価値全体に担保権を設定できる「企業価値担保権」を新設したことです。

一般的に銀行が企業に融資する場合、返済されないリスクに備えて担保や保証をとります。

経営者個人の資産が対象の経営者保証を利用したり、企業が持つ不動産を担保にしたりすることが多くなっています。

在庫や売掛債権など「動産担保」と呼ぶものもあります。

これらは企業が傾いたときに企業活動に欠かせないオフィスや生産設備を失いかねず、企業再生の足を引っ張る要因になっていました。

スタートアップなど新興企業は担保として差し出せる手持ちの資産が少なく、融資を受けにくい課題がありました。

企業価値を担保にできるようになれば、資産を持たなくても成長が見込める事業モデルなどに融資しやすくなるのです。

ただし、担保は本来、融資先企業が立ちゆかなくなった際に債権を保全するためのものです。

企業の業績と直接連動しない不動産や経営者自身の財産であれば、価値が大きく目減りしないのです。

一方、企業価値は事業環境が悪くなれば減少、消失するリスクがあります。

そのため債権者である銀行が、中小企業などに日頃から目を配り、事業が傾き始めたら早期に経営支援や再建に取り組む意識が高まりやすくなります。

金融庁の有識者会議の委員を務めた長島・大野・常松法律事務所の井上聡弁護士は、「銀行など担保権者も融資先を支えようとするインセンティブが生まれるという点で画期的だ」と評価しています。

みずほフィナンシャルグループは、部門ごとにどのような活用が可能かアイデア会議を開きました。

受託者が担保権の管理や保全を行う担保権信託など、類似の手法をみずほ信託銀行が手がけています。

三井住友銀行は外部講師を招き、行内で勉強会を開催しました。

実務上の論点を洗い出すなど、準備を進めます。

導入には目利き力を高められるかという課題もあります。

「うちの行員が対応できるか未知数だ。まずはメガの動きをウオッチする」と、ある地方銀行の頭取はこう話しています。

地銀の多くが融資する際に使うのは、企業の貸借対照表や損益計算書、調査会社の評価を機械処理にかけ、評点を出して債務者区分する方法です。

企業価値担保権が導入されれば、企業のノウハウや技術力、将来性など財務諸表に表れない価値を行員が評価する必要があります。

特に、将来キャッシュフローの現在価値をはかるディスカウントキャッシュフロー法(DCF法)がよく使われますが、地銀などになじみは薄いです。

「営業の現場が案件を取ってきても審査部門が対応できるのかが心配だ」(金融庁)との声も漏れているようです。

金融庁は、担保や保証に依存せず事業そのものの成長性を見極めて貸し付ける「事業性融資」を金融機関に促してきました。

初めて文言として登場したのは2014年で、今からちょうど10年前のことです。

事業者との綿密な関係性によって得た情報をもとに貸し出す、リレーションシップバンキング(リレバン)の一環として推奨してきました。

地銀もこの動きに呼応して決算説明資料などで「事業性融資」という項目を導入しましたが、実態は「ほとんどが担保融資や保証協会付き融資だ」と金融庁幹部は明かしています。

新法の制定過程で、金融庁は、定期的に地銀や信金の幹部に企業価値担保権のコンセプトや活用策についてレクチャーを重ねてきました。

金融機関、事業者それぞれに対応する支援機関を民間に設け、助成金などで支援することも視野に入れているようです。

綿密な制度設計と銀行の本気度が試されます。

企業価値を担保にした融資はできるのでしょうか?

事業性融資もほとんどできていないでしょうから。

個人的には、バリュエーション業務(株価算定業務)をやっているので、いわゆるDCF法を使って計算を行うことがあるのですが、説明しても分かる方は少ないですし、恣意性の入る余地が多分にありますので、地銀や信金は経験がないとなかなか厳しいでしょうね。

企業価値を担保にした融資をメガバンクが活用に向け準備していることについて、あなたはどう思われましたか?


商工中金が2025年4月の民営化に向け財務省が株売却へ7月に入札を開始!

共同通信によると、財務省は、先日、中小企業への融資を担う政府系金融機関の商工中金を2025年4月にも民営化する見通しだと発表しました。

政府が保有する約46.5%の商工中金株を売却するための一般競争入札を2024年7月に開始し、2025年3月末までに売却手続きを終える予定です。

株式の売却先は中小企業のほか、中小企業関連の組合や団体に制限します。

財務省は売却額の見通しを明らかにしていませんが、証券会社の店頭扱いによる売買価格から単純計算すると、1,700億円を超える可能性があります。

商工中金を巡っては、民営化に向けた改正商工中金法が2023年6月に成立し、政府が保有する全株式について、2年以内に売却するよう定めています。

個人的には、民間の金融機関と同じレベルで競争させるべきだと思っていますので、商工中金の民営化はよいことだと思います。

そのうえで、金融機関は多すぎると思いますので、(金利ではなく)サービス等で競って、淘汰されたり、統合したりしていけばよいと考えています。

商工中金が2025年4月の民営化に向け財務省が株売却へ7月に入札を開始することについて、あなたはどう思われましたか?


保証料率の上乗せにより経営者保証を提供しないことを選択できる信用保証制度等を開始!

法人である中小企業者が、一定の要件を満たした場合に、保証料率の上乗せを条件に保証人による保証を提供しないことを選択できる信用保証制度等が創設され、2024年3月15日から取扱いを開始されました。

2022年12月23日、経済産業省は金融庁・財務省とも連携の下、①スタートアップ・創業、②民間金融機関による融資、③信用保証付融資、④中小企業のガバナンス、の4分野に重点的に取り組む「経営者保証改革プログラム」を策定しました。

同プログラムでは、「経営者保証に関するガイドライン」(以下「経営者保証ガイドライン」という。)が定める経営者保証を提供することなく資金調達を受ける場合の要件(①法人・個人の資産分離、②財務基盤の強化、③経営の透明性確保)を充たしていれば経営者保証を解除する現在の取組を徹底するとともに、経営者保証ガイドラインの要件のすべてを充足していない場合でも、経営者保証の機能を代替する手法を用いることで、経営者保証の解除を中小企業者が選択できる制度を創設することなどが明記されました。

こうした背景等を踏まえて、中小企業の4割が利用している信用保証制度において、経営者保証に依存しない融資慣行の確立を更に加速させ中小企業の事業の発展を後押しするため、以下の3つの制度を創設し、2024年3月15日から保証申込の受付を開始しました。

なお、本制度の利用に関しては、金融機関または最寄りの信用保証協会にお問い合わせください。

1.事業者選択型経営者保証非提供制度(横断的制度)の創設について
信用保証付融資において、一定の要件を備えた中小企業者が保証料率の上乗せを条件として経営者保証を提供しないことを選択できる制度です。

本制度を様々な信用保証付融資に適用することで、経営者保証を提供することなく融資を受けることができます。

●事業者選択型経営者保証非提供制度の概要●
<要件>
次の要件のいずれにも該当すること(*)
① 過去2年間(法人の設立日から2年経過していない場合は、その期間)において決算書等(*1)を申込金融機関の求めに応じて提出していること。
② 直近の決算において代表者(*2)への貸付金等(*3)がなく、かつ、代表者への役員報酬、賞与、配当等が社会通念上相当と認められる額を超えていないこと。
③ 直近の決算において債務超過でない(純資産の額がゼロ以上である)こと又は直近2期の決算において減価償却前経常利益が連続して赤字でないこと。
④ 上記①及び②については継続的に充足することを誓約する書面を提出していること。
⑤ 中小企業者が、保証料率の上乗せにより保証人の保証を提供しないことを希望していること(*4)。

(*)法人の設立後最初の決算が未了の者の場合にあっては①から③までに掲げるものを、法人の設立後最初の2期分の決算が未了の者にあっては③に掲げるものをそれぞれ除く。

<保証料率>
上記の③の要件の両方を満たす場合
→信用保証協会所定の保証料率に0.25%上乗せ
上記の③の要件のいずれか一方を満たす場合又は法人の設立後2事業年度の決算がない場合
→信用保証協会所定の保証料率に0.45%上乗せ
<保証人>
不要

<対象となる保証>
無担保保険(限度額8,000万円)に係る保証など。
<その他>
原則として、本制度を適用する個別の保証制度等の取扱いに準じる。
(*1) 原則、決算書とするが、必要に応じて試算表や資金繰り表等も含む。
(*2) 「代表者」には代表権を持つ者のほか、代表者に準ずる者も含む。
(*3) 「貸付金」以外の金銭債権(仮払金・未収入金等)も含み、少額のものや事業の実施に必要なものは除く。
(*4) 経営者保証を不要とすることができる既存の保証制度等については、本制度によらず、引き続き従前の取扱いが可能。

2.事業者選択型経営者保証非提供促進特別保証制度(国補助制度)について
前記1.の横断的制度の活用を一気に加速していくため、当初3年間(2027年3月末まで)の時限措置として、上乗せされる保証料率の一部を国が補助する信用保証制度を創設します。
●事業者選択型経営者保証非提供促進特別保証制度の概要●
<要件>
前記1.の事業者選択型経営者保証非提供制度(横断的制度)の要件と同じ。
<保証限度額>
8,000万円
セーフティネット保証(4号・5号)の場合は、別枠で8,000万円
<保証期間>
(1)一括返済の場合:1年以内
(2)分割返済の場合:10年以内(据置期間は1年以内)
<保証料率>
前記1.の事業者選択型経営者保証非提供制度(横断的制度)の保証料率と同じ。
<保証料補助>
保証申込日に応じて、次の補助率に相当する額を国が補助します。
・2024年3月15日~2025年3月31日の保証申込分
補助率 0.15%
・2025年4月1日~2026年3月31日の保証申込分
補助率 0.10%
・2026年4月1日~2027年3月31日保証申込分
補助率 0.05%
<保証人>
不要
<取扱期間>
2027年3月31日まで
3.プロパー融資借換特別保証制度について
経営者保証を求めない取組による信用収縮を防止し、民間金融機関における取組浸透を促すために、例外的に、既往のプロパー融資(*)(経営者保証あり)から信用保証付き融資(経営者保証なし)への借換を認める保証制度を時限的に創設します。
(*) 信用保証協会の保証を付さない融資のこと

●プロパー融資借換特別保証制度の概要●
<要件>
以下の全ての要件を充足する法人
① 資産超過であること
② EBITDA有利子負債倍率(*1)が15倍以内であること
③ 法人・個人の分離がなされていること
④ 申込日(*2)において返済緩和している借入金がないこと

(*1) EBITDA有利子負債倍率=(借入金・社債-現預金)÷(営業利益+減価償却費)
(*2) 危機関連保証又はSN保証4号(新型コロナ)の指定期間内の場合は、指定期間の始期の前日でも差し支えない。

<対象資金>
借換資金(プロパー融資のうち、経営者保証を提供している事業資金の借換えに限る。)
<保証限度額>
保証限度額:2億8,000万円(組合等4億8,000万円)
申込金融機関における保証限度額は、プロパー融資のうち、経営者保証を提供していない残高の範囲内。
<保証期間>
(1)一括返済の場合:1年以内
(2)分割返済の場合:10年以内(据置期間は1年以内)
<保証料率>
0.45%~1.90%
<保証人>
不要
<取扱期間>
2027年3月31日まで
<その他>
申込金融機関において、次のいずれかの要件を満たす必要があります。
(1)経営者保証を不要とし、かつ、保全のないプロパー融資を実行すること
(2)経営者保証を提供している既往のプロパー融資(本制度による返済部分を除く。)の全部又は一部について経営者保証を解除し、かつ、解除したプロパー融資については保全がないこと

<お問い合わせ先>
中小企業庁事業環境部 金融課 神崎
担当者:来島、青木、古川
電話:03-3501-1511(内線5271)
FAX:03-3501-6861

経営者保証を外す動きがどんどん加速していますね。

金融機関のスタンスは濃淡あると思いますが、思ったよりは簡単に外せるのではないかと思います。

我々公認会計士・税理士・社外CFOも腕の見せ所ですね。

保証料率の上乗せにより経営者保証を提供しないことを選択できる信用保証制度等を開始したことについて、あなたはどう思われましたか?


紙の手形・小切手サービスを大手銀行が廃止し発行停止も議論!

日本経済新聞によると、三井住友銀行やみずほ銀行が紙の約束手形、小切手のサービスを相次ぎ廃止するようです。

政府は2026年をめどに紙の手形・小切手の電子化を目指していますが、削減幅は2026年度の全廃に向けた全国銀行協会の当初計画の7割にとどまっています。

大手銀行が背中を押すことで、中小企業の業務負担を改善し生産性改善につなげる狙いがあるようです。

約束手形とは商取引における代金決済方法の一つで、将来の一定期日に代金を支払うことを約束した有価証券を指します。

受取人は指定された期日になったら金融機関に手形を取り立てに出し、現金に換金することができます。

手形による取引は、明治時代の手形交換所以来の商慣行です。

取引先への支払いが猶予されることから経済成長期には、手元資金に余裕のない発注企業の資金繰りに役立ってきました。

ただし、近年は入金の遅さなどの弊害が目立ってきました。

三井住友銀行が廃止するのは明細の一覧化のほか、「連続手形」と呼ぶ手形の用紙を1,000枚以上ひとまとめにして印刷したり、用紙に事前に支払い元の社名を印字しておいたりするサービスです。

廃止対象のサービスを利用する企業数は1,000社を超える規模になります。

みずほ銀行は企業がみずほ銀行に持ち込んだ取り立て手形の持ち込み日別、期日別の明細や入金予定を一覧にするサービスを2025年12月に廃止します。

三菱UFJ銀行もサービスの縮小を検討する方針です。

紙の約束手形、小切手を利用する企業にとっては手形の管理を自前でこなさなければならないなど利便性の低下につながります。

大手銀行が相次ぎ紙の手形サービスを縮小する背景には、2017年の未来投資会議で掲げた約束手形や小切手の電子化を目指す政府方針があります。

2021年の成長戦略実行計画でも5年後の手形の廃止や、小切手の全面的な電子化を目指す方針を盛りこみました。

全国銀行協会は2026年度末までに手形、小切手の交換枚数をゼロにする自主行動計画を定めました。

新規発行についてはすでに停止している銀行が多いようです。

三井住友銀行は2023年10月以降の新規の当座預金口座の開設者を対象に手形・小切手の発行を停止したほか、2027年4月以降を期日や振出日とする手形や小切手の取り立て受け付けを2023年末で止めました。

三菱UFJ銀行、みずほ銀行の両行も2023年9月に追随する方針を明かしました。

ただし、手形、小切手の利用縮小ペースは落ちてきています。

手形や小切手の電子化には支払い元、支払先が一体となった移行が必要となり、中小企業への周知は十分とはいえません。

手形や小切手での支払いの決済費用が値上げされても、なお他の決済手段に比べて高いと言い切れない事情もあります。

三井住友銀行は既存の当座預金の顧客向けに新規の発行に応じてきた手形・小切手の停止の議論を始める方針です。

三井住友銀行の手形・小切手類の利用件数は年数百万枚規模にのぼり、新規顧客向けに設けた当座預金の規定と従来の規定を統合することを検討しています。

三菱UFJ銀行とみずほ銀行も検討を進める意向を示しています。

政府は下請け企業への支払いに使う約束手形の運用をおよそ60年ぶりに改め、商品を納入し手形を発行してから決済までの期限を原則120日から60日以内に短縮する方針です。

電子化の恩恵を念頭に企業間決済の迅速化を後押しする狙いがあります。

大手銀行の新規顧客を対象にした手形、小切手の発行停止を受け、りそな銀行も2024年1月から新規顧客の発行停止に踏み切りました。

地方銀行でも群馬銀行や常陽銀行が当座預金口座の新規開設停止に踏み切るなど各行の動きが加速しています。

紙の手形がなくなっても、電子化された手形は残ります。

電子化された手形は電子記録債権と呼ばれ、全国銀行協会がやりとりを仲介する「でんさいネット」があります。

全国銀行協会は手形・小切手の電子化で年400億円近くのコスト削減効果があるとみています。

アメリカもかつては小切手主体でしたが、中小企業にも銀行振込やクレジットカードが浸透し始めているほか、中国でも手形の半分は電子化されているとされます。

労働力不足に悩む日本の中小企業にとって紙の手形の廃止は業務のデジタル化へ向けた好機になりそうです。

紙の手形や小切手は盗難や紛失のリスクもありますし、管理コストもかかりますので、早く電子化が当たり前になって欲しいですね。

紙の手形・小切手サービスを大手銀行が廃止し発行停止も議論していることについて、あなたはどう思われましたか?


世界最強のゴールドマン・サックスでも1年で撤退した日本の銀行業務の特殊さ!

Business Journalによると、アメリカのゴールドマン・サックス・グループ(GS)が日本での銀行業務から撤退するようです。

GSは2021年に日本で銀行免許を取得し、2023年4月からゴールドマン・サックス・バンクUSA東京支店を通じて主にトランザクション・バンキング業務を提供していましたが、すでに新規取引の受付を終了しています。

「世界最強の金融グループ」と呼ばれるGSは、なぜ開始から1年もたたないうちに日本での銀行業務からの撤退に追い込まれたのでしょうか?

GSは日本では、主にゴールドマン・サックス証券とゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントを通じて、投資銀行事業や資産運用事業を展開しました。

国内外の株式やデリバティブ、債券・為替商品をはじめとする投資関連サービス、M&Aアドバイザリー業務、社債発行をはじめとする企業の資金調達引受業務、自己勘定投資・運用などを行っています。

なかでもM&Aアドバイザリー業務では2023年まで7年連続で世界シェア1位であり、「世界最強」と呼ばれるゆえんともなっています。

「GSの強みはM&A業務などを通じて培った世界中の大企業との取引関係にあります。

M&Aや投資、提携などあらゆる面で顧客企業に有望な相手を見つけて引き合わせる力を持っているのです。

また、世界中に拠点を持ち、あらゆる金融サービスを手掛けているため、日本の銀行や証券会社と比較して圧倒的に幅の広い内容の提案を顧客企業に行うことができます。

商品開発からトレーディング、アナリスト、資産運用、営業まで多岐にわたる領域に高度なスキルの人材を揃え、さらに全部門がグローバルな規模で密に連携して日々の業務を展開しているのもGSの強力な武器」(外資系証券会社関係者)

GSは「投資銀行」とカテゴライズされることが多いですが、日本のメガバンクや地方銀行が手掛ける個人向け預金口座の運用や企業融資業務、決済業務など、日本で一般的に「銀行業務」と呼ばれるものは行っていませんでした。

2021年には日本で銀行免許を取得し、2023年からトランザクション・バンキング業務を始めるとして銀行業務に参入しました。

トランザクション・バンキング業務とは、口座管理、資金管理、送金、支払いなどを企業などから受託するものです。

GSはグローバルでシステムを構築しており、企業は24時間365日、世界160カ国、120の通貨での送金や資金管理などが可能となります。

「銀行業務から撤退といっても、GSは個人からの預金集めや企業融資をやっていたわけではなく、国内外への送金、資金管理を企業から受託しようとしていた。

ただし、日本の大手企業はこのあたりの業務はすでにメインバンクの大手銀行などに任せており、今さら外資系に乗り換える理由は少ない。

一方のGSもそれほどこの新事業に力を入れていた様子はうかがえず、『試しに少しやってみたものの芽が出なそうだ』ということで早々に撤退したということでは」(外資系証券会社関係者)

メガバンク関係者は言っています。
「GSは法人向けの投資銀行業務やトレーディングは強いが、この分野はそのときどきの市況に左右されて業績に波が生じる。一方、競合のモルガン・スタンレーが強い富裕層向けの資産管理業務は業績の振り幅が小さく安定的に利益を生むとされる。そのためGSも近年では資金管理の分野を強めようとしており、欧米では一定の成果が出ているようだ」

GSは2019年にアメリカのユナイテッド・キャピタル・ファイナンシャル・パートナーズの買収を発表し、個人富裕層向け資産管理事業に力を入れていましたが、当初見込んでいた成果を出せずに2023年に同事業を売却しています。

「日本に限っていえば、企業とメインバンクの関係は強固であり、それまでメインバンクにお願いしていた業務を簡単に『こっちのほうが便利なので外資に切り替えますね』とはならないし、事業会社にとって送金や決済は本業ではなく事務処理の一部なので、従来通りメインバンクに丸投げしたほうがラクという面もあるだろう。

こうした日本の特殊事情もGSの新規参入をはばんだのかもしれない」(メガバンク関係者)

世界的に強い企業でも、日本の商慣習などに勝てないということなんでしょうね。

日本でも、金融機関が多すぎると言われて久しいので、あまりおいしい業務ではないように思いますが。

一方、資産管理業務は、個人的には、ニーズはそれなりにあるのではないかと思っています。

世界最強のゴールドマン・サックスでも1年で撤退した日本の銀行業務の特殊さについて、あなたはどう思われましたか?


トモニHD社長は「公募増資で貸し出しニーズ応える」!

2024年03月12日(火)

日本経済新聞によると、徳島大正銀行と香川銀行を傘下に持つトモニホールディングス(HD)は、2023年末に公募増資などを通じて112億円を調達しました。

全国の地銀で公募増資を実施したのは5年ぶりとみられます。

その狙いや経営環境、事業の見通しなどについて中村武社長に聞いています。

――全般的な経営環境をどう見ていますか?
「最大の注目点はモノの価格が上がり、賃金が上がり、そして『金利のある世界』がまもなくやって来そうだということ。国内では20年、30年ぶりの出来事だ。金利が上がれば、金融機関にとっては貸出金利息の増加というプラス面と、与信コストの増加というマイナス面の綱引きが起こるだろう」

――足元の経営状況はどうですか?
「2023年4〜12月期の業績は、経常利益が同時期では過去最高だ。中身を見ても本業の利益が伸び、役務収益など非金利収入でも稼げるようになっている。経費節減の成果も出ている。貸し出し面では取引先のニーズに応え、役務取引でもビジネスコンサルティングやサステナビリティー(持続可能性)の分野で利益が出ている」

――2023年末に公募増資を実施した背景は?
「当社の自己資本比率はこれまで8%台で、全地銀の中でも下から数えた方が早かった。経営上の最大の弱点といえた。地域の中小企業向けの貸し出しが多く、リスクを取りながら事業を進めてきたのが大きい。利益の積み上げで9%台を目指したが、貸し出しで分母となるリスク資産が増え、思うように行かなかった」
「これからの経営環境を考えたとき、取引先の融資ニーズに積極的に応えるためにも財務基盤の強化は不可欠だ。貸し出しがあるからこそ取引先のニーズがわかり、コンサルティングにもつながる。今回の増資で自己資本比率は9%を超えた」

――公募増資を公表後、株式希薄化の懸念から株価は2割程度下がりました。
「株式市場が厳しい反応を示したことは真摯に受け止める。だが、より大事なのは、この資本を使って我々がどういうビジネスを展開するかをきちんと説明し、実際の利益につなげることだ。金融機関で低位のPBR(株価純資産倍率)を含め、中長期的に考えていきたい」

――新たな経営計画が走り始めて1年、進捗をどう捉えていますか?
「順調とみる。例えば法人コンサルティングの売り上げは2024年3月期の上半期だけで、2023年3月期の7割の水準に達した。今回の増資で財務基盤が整ったこともあり、施策をさらに加速していく」

――エリア戦略についてはどう考えていますか?
「地元の徳島・香川については、持続可能な地域経済にいかに貢献するかを重視している。一方、東京の経済規模は両県の16倍。新店舗は東京が中心になるだろう。香川・徳島の取引先と東京・大阪のビジネスをつなぎながら、皆で成長を目指したい。貸し出しは東京の伸びが大きくなるが、地元軽視ではない」

(聞き手は日本経済新聞社鈴木泰介氏)

新型コロナウイルス禍の影響が薄れる一方、ゼロゼロ(実質無利子・無担保)融資の返済や物価高など四国企業を取り巻く状況は厳しいです。

財務基盤を強化したトモニHDが、こうした地元企業の課題にどう対処するかに注目が集まります。
一方で、公募増資は株価の下落という副作用をもたらしました。

同社のPBRは0.3倍前後で、解散価値とされる1倍を大きく下回ります。

地域経済への貢献と自社の利益拡大を両立する展望を描けるか、日銀出身の中村社長の手腕の見せどころです。

個人的には、公募増資で株価が下がっていたので、PBRが異常に低いのは気にはなりますが、株を買ってみました。

社長が日銀出身ということは知りませんでしたが、どうなっていくか楽しみですね。

知名度のない東京の融資を増やすというのがよく分かりませんが、地域に貢献する銀行であってほしいと思います。

トモニHD社長は「公募増資で貸し出しニーズ応える」について、あなたはどう思われましたか?


2023年の香川県のメインバンクシェアは1位は百十四銀行、2位は香川銀行、3位は高松信用金庫!

OHKによると、民間の信用調査会社、帝国データバンク高松支店は2023年の香川県内にある企業のメインバンクのシェアランキングを発表しました。

1位は高松市の百十四銀行でした。

9位までは前年と順位は変わっていません。

上位20の金融機関のうちメインの社数が前年に比べて10社以上増えたのは、百十四銀行と観音寺信用金庫の2つの金融機関のみでした。

また、全国のメインバンク社数ランキングでは百十四銀行が前の年と順位は変わらず39位(8,556社)でした。

香川以外の四国3県にある地方銀行では、愛媛県の伊予銀行が22位(13,201社)、徳島県の阿波銀行が51位(7,328社)、高知県の四国銀行が57位(6,808社)でした。

20位までは下記のとおりです。

順位 金融機関名 社数 シェア 前年比 前年順位
1位 百十四銀行(高松市) 6,968 45.78% ▲ 0.44 1位
2位 香川銀行(高松市) 2,658 17.47% ▲ 0.42 2位
3位 高松信用金庫 1,314 8.63% ▲ 0.26 3位
4位 中国銀行(岡山) 1,175 7.72% ▲ 0.30 4位
5位 観音寺信用金庫 617 4.05% +0.06 5位
6位 四国銀行(高知) 386 2.54% ▲ 0.06 6位
7位 香川県農協 306 2.01% ▲ 0.10 7位
8位 伊予銀行(愛媛) 278 1.83% ▲ 0.05 8位
9位 香川県信組 164 1.08% +0.03 9位
10位 愛媛銀行(愛媛) 87 0.57% +0.01 12位
11位 三菱UFJ銀行 86 0.57% ▲ 0.03 10位
12位 阿波銀行(徳島) 83 0.55% ▲ 0.02 11位
13位 三井住友銀行 64 0.42% ±0.00 13位
14位 徳島大正銀行(徳島) 53 0.35% ▲ 0.02 15位
15位 西日本信漁連 52 0.34% ▲ 0.01 16位
15位 みずほ銀行 52 0.34% ▲ 0.04 14位
17位 ゆうちょ銀行 32 0.21% ▲ 0.01 17位
18位 商工中金 27 0.18% ▲ 0.02 18位
19位 高知銀行 (高知) 13 0.09% ±0.00 19位
20位 香川県信連 7 0.05% ±0.00 20位
20位 楽天銀行 7 0.05% +0.01 21位

【調査について】
・1企業に複数のメインがあるケースでは、各企業が最上位と認識している金融機関をメインバンクとして集計しています。
・帝国データバンクの企業概要データベースを基に分析しています。

個人的には、楽天銀行がメインバンクのところがそれなりにあるのが驚きでした。

あとは、都銀がメインバンクのところは少ない(メインバンクにする必要がない?)なぁと思いました。

いずれにしても、最後まで責任をもって助けてくれるところをメインバンクとしないといけないですね。

2023年の香川県のメインバンクシェアは1位は百十四銀行、2位は香川銀行、3位は高松信用金庫だったことについて、あなたはどう思われましたか?


経済産業省が経済対策に基づく新たな資金繰り支援策を行います!

経済産業省が、経済対策に基づく新たな資金繰り支援策を行います。

経済産業省は、2023年11月2日に閣議決定された「デフレ完全脱却のための総合経済対策」に基づき、以下2点の新たな資金繰り支援を行います。
●保証料上乗せにより経営者保証の提供を不要とする信用保証制度を創設するとともに、制度の活用促進のため、3年間の時限的な保証料負担軽減策を実施

●日本政策金融公庫等のコロナ資本性劣後ローンについて、黒字額が小さい事業者の金利負担軽減措置を講じる

<1.新たな信用保証制度を創設>
中小企業の4割が利用している信用保証制度で、依然として信用保証付融資の7割で経営者保証を徴求している現状を変えるため、保証料を上乗せすることで、経営者保証の提供を不要とする信用保証制度を創設することに加え、3年間の時限的な保証料負担軽減策を行います。

●保証料率の上乗せという経営者保証の機能を代替する手法を活用することから、経営者保証ガイドラインの3要件(①法人・個人の資産分離、②財務基盤の強化、③経営の透明性確保)よりも緩和した要件を設定。

●新制度の活用を促すため、新制度における「上乗せ保証料」について、3年の時限措置として軽減(2025年3月末までの保証申込分は0.15%、2025年4月から2026年3月までの保証申込分は0.10%、2026年4月から2027年3月までの保証申込分は0.05%に相当する保証料を国が補助)。

【対象要件 (一定の経営規律等、経済産業省令に規定)】

次の要件のいずれにも該当すること(※)

①過去2年間(法人の設立日から2年経過していない場合は、その期間)において貸借対照表、損益計算書等その他財産、損益又は資金繰りの状況を示す書類(※1)を当該金融機関の求めに応じて提出していること。

②直近の決算書において代表者への貸付金等(※2・3)がなく、かつ、代表者への役員報酬、賞与、配当等が社会通念上相当と認められる額を超えていないこと。

③直近の決算において債務超過ではない(純資産の額がゼロ以上である)こと又は直近2期の決算において減価償却前経常利益が連続して赤字ではないこと。

④上記①及び②については継続的に充足することを誓約する書面を提出していること。

⑤中小企業者が保証人の保証を提供しないことを希望していること(※4)。

(※)法人の設立後最初の決算が未了の者の場合にあっては①から③までに掲げるものを、法人の設立後最初の2期分の決算が未了の者にあっては③に掲げるものをそれぞれ除く。

【保証料率】

●通常の保証料率に、上記③の要件を両方とも満たしている場合は0.25%、どちらか一方のみを満たしている場合は0.45%の上乗せを行う(2期分の決算書がない場合は0.45%の上乗せ)。

●事業者負担軽減のため、時限措置として、上乗せした保証料の一部について軽減措置を実施。

(※1)原則、貸借対照表及び損益計算書とするが、必要に応じて試算表や資金繰り表等も含む。

(※2)「代表者」には代表権を持つ者のほか、代表者に準ずる者も含む。

(※3)「貸付金」以外の金銭債権(仮払金・未収入金等)も含み、少額のものや事業の実施に必要なものは除く。

(※4)経営者保証を不要とすることができる既存の保証制度等については、本制度によらず、引き続き従前の取扱いを可能とする。

本制度については、2024年3月15日より申込受付を開始し、それに先立ち2024年2月16日より、要件確認などの事前審査も開始します。

<2.日本政策金融公庫等のコロナ資本性劣後ローンの金利運用見直し>
コロナ資本性劣後ローンの黒字金利は、直近決算の黒字額から負担することになりますが、黒字額が小さい場合、金利負担により実態上赤字に転落する場合があります。

そのため、直近決算で黒字の事業者が翌年度に黒字金利を支払った場合に、直近決算において事実上の赤字に陥る場合には、直近決算期後1年間については赤字金利(0.5%)を適用するという運用見直しを2024年2月16日より行います。

最近、地銀の方何名かに聞いたところ、経営者保証を取らないようになっているとは言っていますが、一方で、貸さないところも出てくるでしょうから、保証料を上乗せするというのはニーズがあるでしょうね。

ただし、保証付の融資よりプロパー融資の方が借りやすくなるほど、保証協会が厳しくなっているとも耳にしますが。

経済産業省が経済対策に基づく新たな資金繰り支援策を行うことについて、あなたはどう思われましたか?


非上場株投信が日本でも可能に!

日本経済新聞によると、誰でも買える公募投資信託に非上場株を組み込めるようになるようです。

これまでは時価を算出しにくいため制限されてきましたが、ベンチャーキャピタル(VC)などが使う国際基準を使って公正に評価できるようにします。

身近な投信で投資できるようになれば個人の選択肢が広がり、上場予備軍の新興企業も大規模な資金調達が可能になります。

金融庁の金融審議会(首相の諮問機関)の方針を受け、運用業界の自主規制団体である投資信託協会が2024年2月15日に自主ルールを改正しました。

非上場株の組み入れの上限は、米国の制度を参考に、純資産総額の15%までです。

個人にとっては新規株式公開(IPO)前の成長段階で投資機会を得ることにつながります。

新たなしくみで、野村アセットマネジメントや三井住友DSアセットマネジメント、フィデリティ投信などが非上場株を組み入れた投信づくりを検討します。

株価指数に連動したパッシブ運用にとどまらない運用商品の多様化につながる可能性があります。

非上場株の投信への組み入れは法令で禁じられているわけではありません。

ただし、日本の公募投信は時価評価の規則が厳しく、発表頻度が少ない気配相場による算定を求めてきました。

このため、非上場株を投資対象にすることは事実上、できませんでした。

投資信託協会は非上場株を「公正価値」で評価するようにルールに明記しました。

公正価値評価は国際会計基準(IFRS)や米国会計基準が求める時価の算定手法で、純資産や割引キャッシュフロー、類似企業との比較などで価値を測定します。

欧米のVCはスタートアップに投資する上で公正価値を出しており、日本のVCにも広がってきています。

非上場株の解禁に伴い投資家保護の新たなルールも導入しました。

投信の販売会社に対して顧客に渡す目論見書で非上場株の流動性の低さなどリスクの説明を求めます。

運用会社には非上場株の発行企業の経営の健全性を確保し、財務諸表を基に企業の継続に重要な疑義を抱かせる内容がないか継続的な審査を義務づけます。

アメリカでは非上場株を組み入れた投信が普及しています。

アメリカの資産運用大手フィデリティ・インベスメンツやアメリカのティー・ロウ・プライスは2019年に上場した配車アプリ大手のアメリカのウーバー・テクノロジーズの株を非上場の段階から投信に組み入れていました。

ティー・ロウは上場前のアメリカのX(旧ツイッター)株も投信に組み入れており、プロの運用担当者が投資銘柄を選ぶアクティブ運用投信の好成績を支える一因になりました。

すでに、イギリスのフィデリティ・インターナショナルが運用するイギリス籍の投信において一部、日本の非上場株を組み入れており、その一つが18年に上場したネット印刷仲介サービスのラクスルでした。

運用会社が新たに日本籍の投信を設定する際も、投資対象はIPOが近い「レイター」段階が中心になる見通しです。

アメリカのCBインサイツによると、アメリカで企業価値が10億ドル(約1,500億円)以上の非上場企業を指す「ユニコーン」は、2023年10月19日時点で約650社あり世界で最も多い一方、日本は7社にとどまります。

小粒なまま上場して機関投資家に相手にされず、市場から資金調達できない悪循環に陥っていました。

非上場株を組み入れた投信を運営する上で、非上場株の売買を仲介する流通市場の整備が必要となります。

多くの投資家が売買に参加する公開市場と異なり、簡単には売却できない分、リスクは高いとされます。

非上場株の組み入れは純資産総額の最大15%で、残りは上場株が中心になります。

解約が相次げば非上場株の比率が15%を超える可能性があります。

例えば、非上場株のIPO時に既存株主が売却できない「ロックアップ期間」は換金を認めないなどの工夫が必要になるでしょう。

日本は1997年に未公開株を売買するグリーンシート市場を開設し、15%を上限に非上場株や私募債などの組み入れを認めていました。

ただし、2000年に流動性の低い不動産を追加する際にこの規定を撤回したことで、運用期限がなく毎月購入や解約ができる投信に非上場株を組み込む動きが広がりませんでした。

2.000兆円の家計金融資産をプロの目利きで非上場株に供給すれば、スタートアップが上場する前の段階でも大規模な資金調達をして企業価値を高めやすくなります。

個人マネーを活用して企業の成長力を高める「資産運用立国」の実現をめざします。

会社の資金調達方法が増えることはいいことですね。

そして、もっと非上場株式への投資が世間に認識されればいいなぁと思います。

こういったことがきっかけで、日本でもユニコーンがたくさん出てきて欲しいですね。

非上場株投信が日本でも可能になることについて、あなたはどう思われましたか?


地銀融資は「無保証」が過半で事業承継・起業に追い風!

日本経済新聞によると、地方銀行で経営者に個人的な債務保証を求めない無保証融資が急増しているようです。

金融庁によると、2023年4~9月の地銀99行の新規融資に占める無保証融資割合が、半年前(2022年10月~2023年3月)より14ポイント高い54%となりました。

メガバンクなど大手行9行は4ポイント高い76.5%でした。

2023年4月の金融庁の監督指針改正をきっかけに、個人保証に頼った融資慣行が大きく変わりつつあるようです。

経営者保証は、会社が返済不能になった場合に経営者個人が私財を差し出して借金を返済する契約のことです。

経営者の心理的なハードルが高く、事業承継や起業の妨げになっているとの指摘があります。

金融庁の調査によると、2023年4~9月は99地銀のうち96地銀で無保証融資の割合が半年前より上昇しました。

無保証融資比率の伸びが最も大きかったのが福井県が地盤の福邦銀行で、25%から74%へ49ポイント上昇しました。

次いで京都銀行が39ポイント、琉球銀行が38ポイント、長野県が地盤の八十二銀行が37ポイント、横浜銀行が35ポイント上昇しました。

福邦銀行は昨春から、経営者保証を求める案件を本部に申請し、申請後も必要かどうか一件一件精査するプロセスに変えました。

従来は、経営者保証を求めない場合に本部に申請をしていました。

担当者は「保証を求めない融資を進めるには従来以上に企業としっかりと向き合うことが必要。企業との関係性で良い効果が出てきている」と話しています。

京都銀行は「原則代表権を有する経営者1人を徴求する」としていた保証の取り扱いを「原則無保証にする」に変更しました。

支店長の権限で無保証融資を決裁できるようにしたのも伸びの要因です。

現場経験が浅い行員でも一定のレベルで企業に説明できるように、説明の助けとなる動画も作成しました。

新規融資に占める無保証融資比率は、東京スター銀行の96%が最も高くなっています。

次いで、地銀単独の融資(プロパー融資)で経営者保証を廃止した北国銀行が87%です。

あとは、中小企業向け融資を専門とする東日本銀行が81%と高くなっています。

地銀で無保証融資比率が軒並み上昇したのは、2023年4月の金融庁の監督指針改正で経営者保証を求める手続きが厳格になったことがあります。

経営者保証を求める場合は、保証契約の必要性などを企業に具体的に説明することを義務付けました。

説明した件数は金融庁にも報告が必要となり、安易に経営者保証を付ける慣行を是正する狙いです。

金融庁が経営者保証を付ける慣行の見直しを促すのは、事業承継や起業などによる経済の新陳代謝を促すためです。

経営者保証は経営の規律につながる一方、事業に失敗すると経営者は自宅不動産や私財を失い、生活や再挑戦が難しくなります。

それゆえ、事業承継などに二の足を踏む要因といわれてきました。

経営者保証が外れても、貸出金利などの貸し出し条件には「直接的な影響は及んでいない」(金融庁)との指摘があります。

もともと銀行が経営者保証を求めるのは、全国銀行協会などのガイドラインで示される法人と個人の分離などの要件を満たしていない場合に限られるはずでした。

ところが、要件を満たしていても「慣習で当たり前のように(経営者保証を)付けていた」(関東地区地銀)ケースが多かったようです。

こうした保証を外したからといって、金利引き上げは求めにくいようです。

今後の課題は、比較的リスクの高い先が対象となる信用保証付き融資での経営者保証の取り扱いです。

中小企業の4割が使う信用保証制度では、融資の7割で経営者保証が使われています。

銀行が信用保証付き融資を利用する場合に経営者保証を求めるかどうかは、あらかじめ信用保証協会が銀行に示している基準がベースで、付けざるを得ない面があります。

経済産業省は、中小企業などが経営者保証なしでも融資を受けられる信用保証制度を創設します。

3月から受け付けを開始し、通常よりも高い保証料を支払うことで経営者保証が不要になります。

制度開始から3年間は国の補助で保証料上乗せ分の負担を軽減する方針で、利用が進むかが焦点となります。

経営者保証がなくなるのは、借りる方からすれば良いことですね。

少し前に、とあるところで借入金の執筆の中で経営者保証は取らないようになってくるということを書いたのですが、僕が想像した以上に、経営者保証を取らない融資が増えていますね。

金融機関側からすれば、色々と思うところはあるようですが(笑)。

地銀融資は「無保証」が過半で事業承継・起業に追い風が吹いていることについて、あなたはどう思われましたか?


銀行界が新型融資の活用を拡大して新興企業の資金調達を支援!

時事ドットコムによると、銀行が、創業間もないスタートアップ(新興企業)の資金調達支援に乗り出しているようです。

新株予約権と融資などを組み合わせた「ベンチャーデット」と呼ばれる手法を活用しています。

ベンチャーキャピタル(VC)による出資に依存してきた新興企業の資金調達手段の多様化が期待されています。

ベンチャーデットは、銀行が企業から新株予約権を取得し、それを担保代わりに融資する手法です。

銀行側は株式の価値が高まるのを待って権利行使するケースが多く、VCへの新株発行よりも株式の価値の希薄化を避けられるほか、土地や建物など資産がなくても、多額の融資を受けやすい利点があります。

銀行側も、新興企業が株式を上場すれば、取得した株式を売却しリターンを得られます。

ベンチャーデットは、2023年に入ってみずほフィナンシャルグループや三井住友銀行、りそな銀行などの大手が本格参入しました。

静岡銀行など地域金融機関も強化し始めています。

早稲田大学の入山章栄教授は「経済の疲弊が進む地方では新産業創出が不可欠。地銀には力を入れてほしい」と期待しています。
2008年度に取り組みを始めた日本政策金融公庫の2022年度の融資実績は75億円と前年度の2倍に拡大しました。

創業間もない企業の審査は難しく、最近は金融機関からノウハウについての問い合わせが増加しています。

日本政策金融公庫の荻布靖新事業・スタートアップ支援総括課長は「競争優位性や販売体制など黒字化の道筋について丁寧で細かな分析が大事だ」と話していますす。
日本政策金融公庫などから融資を受けたIT企業、スカイディスク(福岡県福岡市)の内村安里最高経営責任者(CEO)は「資本政策的にも、株式の割合を抑えて大口資金を調達できるのが魅力」と語っています。

三菱総合研究所によると、ベンチャーデットの規模はアメリカで年間2兆円超(2020年時点)ですが、日本は推計で100億円程度にとどまっています。

全国各地で起業家育成事業を行うガイアックスの上田祐司社長は「これまで銀行が参入しないのに違和感があった」と語り、銀行による積極的な取り組みを求めました。

色々な資金調達方法が出てくるのは、良いことですね。

金融機関も投資信託やイデコなどの手数料で稼ぐのではなく、融資を受ける側の立場に立った独自のサービスで競って、稼いでほしいですね。

銀行界が新型融資の活用を拡大して新興企業の資金調達を支援し始めたことについて、あなたはどう思われましたか?


「経営者保証なし」が急増し新規融資の47%に!

日本経済新聞によると、金融庁は、先日、万が一の場合に経営者個人が私財を差し出して借金を返済する「経営者保証」に関する融資の実態調査の結果を公表しました。

2023年4〜9月の民間金融機関の新規融資に占める経営者保証に依存しない融資の割合は、2022年度に比べ13ポイント上昇し、47%となりました。

金融庁がメガバンクや地方銀行、信用金庫など計533機関の実態を調査しました。

2020年度から約3%ずつしか上昇していませんでしたが、金融庁が2023年4月に監督指針を改正したのを機に、比率が急上昇しました。

経営者保証に依存しない融資のうち、2023年4〜9月に新規に無保証で融資した件数は57万4,100件と、前年同期比で41%増加しました。

経営者保証を代替するコベナンツなどを活用した融資の件数は5.3倍に増えました。

既存融資で経営者保証を解除した件数も80%程度増加しました。

金融庁によると、業態別ではメガバンクなどの主要行が61%、地銀が55%、信金が37%、信組が22%と、すべての業態で22年度と比較して改善しているそうです。

個別の銀行の実態は、2024年1月末にも公表されます。

金融庁は2023年4月に金融機関向けの監督指針を改正し、経営者保証を求める場合は保証契約の必要性などを企業に具体的に説明することを義務付けました。

経営者保証を求める手続きを厳格にすることで、安易に経営者保証をつける融資を抑制する目的でした。

経営者保証は経営の規律づけに寄与する一方で、思い切った事業転換や再挑戦の妨げとなっていると指摘されてきました。

起業や事業承継をためらう一因にもなっているとされます。

2022年12月には経済産業省、金融庁、財務省が「経営者保証改革プログラム」を策定し、金融機関に対して安易に経営者保証をつける慣行の改善を要請していました。

経営者保証なしの方向性は良いことだと思います。

個人的には、思ったより、経営者保証なしの割合が高かったなぁと感じています。

まぁ、金融機関も融資できる先を探しているような状況だと思いますので、どこかの金融機関が経営者保証なしで来ると、ほかの金融機関も横並びで来ると思いますので、ますます加速していくでしょうね。

「経営者保証なし」が急増し新規融資の47%になっていることについて、あなたはどう思われましたか?


弥生の顧客にGMOあおぞら銀行がAI融資を導入!

日本経済新聞によると、インターネット専業のGMOあおぞらネット銀行は、人工知能(AI)を活用して最短即日で審査結果を通知する融資サービスを始めます。

弥生(東京都千代田区)の会計ソフトを利用する企業が対象で、財務諸表ではなく会計データを分析して与信判断します。

融資上限は3,000万円と従来よりも上がり、規模の大きい企業に取引を広げることを狙っているようです。

弥生の子会社、アルトア(東京都千代田区)が手掛けるAIを使った会計データ分析システムを利用します。

1年以上の会計データがあることが条件で、利用する会計データには取引の日付や売掛金・買掛金などの勘定科目、金額などが含まれます。

時系列での資産の推移やキャッシュフローなどを分析しやすくなります。

融資額は100万円〜3,000万円の範囲で、金利は0.5〜8.5%の固定金利です。

返済期間は最長3年です。

オンラインで申し込み、最短即日で審査が終わります。

財務諸表を使わないAI融資は住信SBIネット銀行なども運転資金を対象に手掛けていますが、GMOあおぞらの融資は運転資金にも設備資金にも使えることが特徴です。

GMOあおぞらはこれまで最大1,500万円の融資枠型のローンを手掛けていました。

創業間もないスタートアップが主な対象でしたが、融資額が小さく企業が成長すると対応できない場合もあったようです。

AI融資で売上高が数億円程度の企業まで対応できるようになります。

僕自身、弥生PAPのゴールド会員なので、こういう融資の形があることは、ありがたいですね。

返済期間が最長3年で、設備資金として借りる人がいるかどうかは疑問ですが。

結局は、返済ができれば良いと思いますので、事業計画を作ったり、色々な書類を出したりする手間が省けますから。

弥生の顧客にGMOあおぞら銀行がAI融資を導入することについて、あなたはどう思われましたか?


政府系コロナ融資の不良債権は6%の8,700億円!

日本経済新聞によると、政府系金融機関が中小企業に行った新型コロナウイルス対策融資で不良債権が拡大しているようです。

実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)などの不良債権が2022年度末に約8,700億円と全体の6%になったことが会計検査院の調べで分かりました。

回収不能額は既に697億円に上ります。

民間の融資分も含めれば不良債権は2兆円を超す可能性があり、スピード優先の副作用が出ています。

会計検査院は、先日、官庁や政府出資法人を調べた2022年度決算検査報告を岸田文雄首相に提出しました。

検査で税金の無駄遣いを指摘したり改善を求めたりしたのは344件、総額約580億円でした。

併せて日本政策金融公庫と商工組合中央金庫によるコロナ対策融資の検査結果を示しました。

同貸付は国が財政援助しており、焦げ付きは国民負担になる恐れがあります。

会計検査院は債務者の状況把握を適切に実施するよう求めました。

ゼロゼロ融資は、コロナ禍で需要が蒸発した中小企業の資金繰りを支えるため2020年3月に公庫や商工中金など政府系金融機関で取り扱いを始めました。

融資要請が殺到し2020年5月から民間金融機関でも受け付けるようになりました。

合計の利用件数は2022年9月末時点で約245万件、実行額は約43兆円にのぼります。

民間分も同様の傾向ならゼロゼロ融資全体の不良債権は単純計算で2兆円超になる可能性があります。

公庫と商工中金の2022年度末までの貸付実績は19兆4,365億円で5兆582億円が返済され、残高は14兆3,085億円でした。

回収不能額を減損処理する「償却」は697億円ありました。

「正常債権」は13兆5,064億円でした。

回収不能の恐れがある「リスク管理債権」が8,785億円、公庫が回収不能の可能性が高いとして償却した「部分直接償却」が1,246億円ありました。

リスク管理債権の額は2020年度末の3倍強になりました。

8,785億円の内訳は、返済が3か月以上遅延したなどの「要管理債権」が4,929億円、経営・財務が非常に悪化した「危険債権」が3,731億円でした。

経営破綻先の「破産更生債権」などが124億円でした。

ゼロゼロ融資はコロナ禍で中小企業の資金繰りを支え、倒産や失業者の急増に伴う社会不安の抑制に効果を発揮しました。

半面、大手銀幹部が「非常事態でほぼ目をつむって貸していた」と話す通り、スピードを重視した結果、すでに経営が行き詰まっていた企業を延命させたり審査が甘くなったりする副作用を生んだのです。

金融庁によると、銀行や信金など民間金融機関の融資に占める不良債権比率は2022年3月末時点で1.6%です。

民間を補完する役割の政府系金融機関の不良債権比率はおのずと高くなりがちです。

ゼロゼロ融資を利用した企業の倒産は増えています。

東京商工リサーチによると2020年7月から2023年9月までの累計の倒産(負債額1,000万円以上)件数は1,077件でした。

2023年4〜9月は333件で前年同期比44%増えました。

2023年5月から5か月連続で50件を超えるなどペースは速まっています。

旅館業を営んでいた猪の倉(三重県津市)は2023年9月、津地裁から破産手続きの開始決定を受けました。

コロナ禍の行動制限で来客数が大幅に落ち込み資金繰りが悪化しました。

ゼロゼロ融資を受けて事業継続を目指したものの、過去の設備投資による負担もかさみ、再建を断念しました。

背景にあるのがゼロゼロ融資の返済本格化です。

元本の返済猶予期間が終わる企業が続出し2023年7月には約5万社で返済が始まりました。

物価高や人手不足が経営の重荷になる中、ゼロゼロ融資の返済が重なって資金繰りに窮する企業が増えているのです。

帝国データバンクによると、実質破綻状態でありながら事業を続ける「ゾンビ企業」は2021年度末で約18.8万社と、コロナ禍前の2019年度から約3割増えました。

金融機関の融資姿勢にも問題はありました。

ゼロゼロ融資は自治体が最初の3年間は利子を企業に代わって払うのに加え、返済が焦げ付いても信用保証協会が肩代わりします。

金融機関はほぼリスクを負わずに貸し出しを伸ばすことができるため、地銀や信金は競い合うように利用を促したのです。

未曽有の危機に直面して審査が甘くなったのは海外も同じです。

アメリカでは2020年春に担保不要で保証料なしの「給与保護プログラム」など中小企業向けの緊急支援を実施しました。

アメリカ中小企業庁が2023年6月に公表した報告書によると、1.2兆ドル(約180兆円)の緊急支援のうち360億ドル分で不正が見つかったのです。

不正の9割弱はプログラム開始から当初9か月間で発生しました。

経済活動が急停止する未曽有のコロナ禍で、経済の底割れを防ぐためにゼロゼロ融資などの資金繰り支援は必須でした。

ただし、いつまでも延命的な支援は続けられません。

M&A(合併・買収)や事業譲渡で雇用を確保するなどして、再生の見込みがある企業に支援を集めるといった政策が求められます。

少し前から予想されていたことではありますが、表面化してきましたね。

今後、国がどうするのか分かりませんが、個人的には、追加の支援をしても延命するだけであり、根本的な解決につながらないと推測されるため、もう支援はいらないのではないかと思います。

当然、経営者や個人事業主が再起できるような手当は考える必要はあると思いますが。

金融機関が安易に融資して、国民が負担するというのもどうなんでしょうね。

政府系コロナ融資の不良債権は6%の8,700億円であることについて、あなたはどう思われましたか?


コロナ禍の迅速融資の副作用でコンプラ違反倒産が最多!

日本経済新聞によると、粉飾決算などコンプライアンス(法令順守)違反が発覚し、借り換え融資などを受けられずに倒産する企業が増えているようです。
民間調査会社によると、コンプラ違反関連の倒産は2023年1〜8月で228件と前年同期比39%増え、同期間で過去最多でした。
新型コロナウイルス禍の融資で金融機関が審査の質よりスピードを優先させた「副作用」が出ているとみられます。

帝国データバンクによると、要因別では粉飾決算、違法な営業活動などによる業法違反がそれぞれ50件で最多となっています。
補助金などの不正受給(19件)、私的流用による資金流出や横領などの不正(18件)が続きました。粉飾が発覚した業種では、卸売業が全体の30%を占め最多でした。
架空取引のほか、資金調達を目的にした取引の実態を伴わない不正な手形を使ったケースが多くなっています。

背景には実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済本格化があります。
2023年7月から2024年4月にかけて返済ピークを迎えるなか、「ゼロゼロ融資の返済開始後に資金を手当てできず、借り換えや追加融資を金融機関に求めた際に不正が発覚したケースが目立つ」(帝国データの内藤修・情報統括部課長)ようです。

産業用機械のトガシ技研(山形県鶴岡市)は2023年2月、民事再生法の適用を申請しました。
帝国データによると、2022年7月、架空取引による粉飾が発覚し債務超過に転落しました。
固定費削減などに取り組んできましたが、自力での再建を断念しました。

コロナ禍での資金繰り支援は融資実行のスピードが重視され、本来は審査で問題が疑われるような企業にも資金が回り、結果としてコンプラ違反企業の延命につながっていた可能性があります。
2020年3月に始まったゼロゼロ融資は2022年9月末時点で約245万件、実行額は約43兆円まで膨れ上がったのです。

ある都内の信用金庫関係者は「審査が緩んだ面は否めない」と振り返っています。
ゼロゼロ融資は各都道府県が最初の3年間は利子を企業に代わって払うのに加え、返済が焦げ付いても信用保証協会が肩代わりするのです。
金融機関の負うリスクは小さく、むしろ低金利にあえぐ信金や地銀は競い合うように貸し出しを積極化しました。

実際、コンプラ違反は融資を受ける企業だけでなく、貸し手側にもありました。
中日信用金庫(名古屋市)はゼロゼロ融資を実行しやすくするために取引先の業績を改ざんしていたことが発覚し、2022年9月に東海財務局から業務改善命令を受けました。
その後、中日信金は経営責任を明確にするため当時の理事長が辞任しました。

コンプラ違反企業の倒産が増えている状況について、東洋大学の野崎浩成教授は「銀行の審査機能、情報をきちんと分析する能力が十分に発揮されないまま、ある意味で銀行のモラルハザード、借り手のモラルハザード、両方が原因で増えた」と指摘しています。

コロナ禍の資金繰り支援は倒産抑制に寄与した半面、本来なら淘汰されるべき企業の延命にもつながりました(いわゆるゾンビ企業)。
日本も金利のある世界になれば、利払い負担が重くなり、こうした「ゾンビ企業」の淘汰は一段と加速する可能性があります。

「今後、金融機関は事業の成長を見極める事業性評価をきちんと実施していくことが重要だ。事業性に問題があれば、廃業や他社によるM&A(合併・買収)を含めた方向性を示していく必要がある」(東洋大の野崎氏)としています。

平時ではない有事の際には、細かいことよりスピードが重視されるのは当然か思いますが、平時の時から、金融機関はもっと事業の成長を見極める眼を養っておく必要があると思いますし、補助金などではないので返済しないといけないなど、借り入れに関す知識を持っておかないといけないと思いますし、財務の状況を把握しておかないといけないのではないかと改めて感じた記事でした。

コロナ禍の迅速融資の副作用でコンプラ違反倒産が最多となったことについて、あなたはどう思われましたか?


りそな銀行が金利6%でも需要見込みベンチャー融資に100億円!

日経ビジネスによると、スタートアップ向け融資に大手銀行が本腰を入れ始めたようです。
今秋には、りそな銀行がまず首都圏と関西の一部店舗での融資を開始し、合計100億円規模を貸し出す想定のようです。
りそなはこれまで銀行が避けてきた、貸し倒れリスクの高い「アーリー期」も融資対象とする異例の戦略をとります。

りそな銀行は2023年10月内をメドに、スタートアップ向けの融資を本格化します。
これまでも資金ニーズに応じて貸し出してはいましたが、まだ事業基盤の薄い企業のリスクと成長性をどう見極めるか、支店ごとに判断が難しい面もあります。
今後はまず関東と関西の一部店舗で、業界内で「ベンチャーデット」と呼ばれる手法を広めます。
1件当たり1億円前後を想定しており、第一段階として合計100億円規模を貸し出す方針です。

新株予約権を組み合わせた融資で、起業家や既存の投資家に配慮しながら、長期的な関係構築を狙います。
企業ごとの事情にもよりけりですが、金利は概ね年3~6%を想定しています。
既存の中小企業向け融資より高水準ではあるものの、「運転資金や人材獲得費用など幅広い資金ニーズを想定している」そうです(ベンチャー支援グループの小川悠介グループリーダー)。

りそなホールディングス(HD)の南昌宏社長は2023年5月の決算会見で、「(りそな自身の)資本面の蓄積が進み、本格的に活用するフェーズになってきた」と語っています。
りそな銀行は今から20年前の2003年に資本不足が表面化し公的資金を受け入れましたが、経営再建を進めこれを完済しました。
自己資本比率は2023年6月末時点で12.61%(国内基準)と、健全な水準を維持しています。
一般的な企業に比べるとリスクの高いスタートアップにも、融資を広げられる余裕が出てきたのです。

政府が「スタートアップ5カ年計画」を実行中という追い風もあり、新興企業の資金調達をどう支えるかが重要なテーマです。
三菱UFJ銀行のようなメガバンクから比較的大手の地方金融機関まで、この分野への融資拡大を進め始めました。
そうした新たな取引先がいずれ各地の有力企業や中堅・大企業に成長すれば、継続的な貸出先になり得ます。

りそな銀行が差別化を図るのは、対象とするスタートアップの成長ステージです。
比較的初期に分類される「アーリー」の段階でも、有望な事業内容なら融資できるようにします。

通常なら、アーリー期ではまだ貸し倒れリスクが高いので、銀行が取引するのは難しいでしょう。
土地や建物など、担保にできる資産をほぼ持っていないケースも多くなっています。
商品やサービスが対象市場に合致していると判断できるPMF(プロダクト・マーケット・フィット)という状態に達するまで、予想キャッシュフローから企業価値を割り出すことも難があります。
既存の上場企業と比較して価値を算定することも多いですが、まだ金額は揺らぐ段階です。
このため、スタートアップ向け融資に参入した多くの金融機関は、新規上場(IPO)や他社による買収などが視野に入るレイター期、もしくはその手前のミドル期を主な対象としています。

ただ、特にレイター期の有力なスタートアップに対しては融資競争が激しくなるでしょう。
金融機関にとってのブルーオーシャンを探すためにも、りそな銀行はあえてリスクがより高いアーリー期へ乗り出すことにしたのです。

具体的には、すでにエクイティ(資本)の調達ラウンドで概ね初回または2回目に相当する「シリーズA」を終えた企業を対象とします。
ベンチャーキャピタル(VC)が将来性を見込んで出資しており、創業初期に比べると事業計画や財務を書面で確認しやすい状況になっているはずです。
実際の売り上げを計上し始める時期でもあり、「本当にPMFを達成できるかは別途検証が必要となるが、お客さんに購入理由をヒアリングして潜在力を検討できる段階」(小川氏)とみています。

起業家がベンチャーデットを活用するのは、「保有株の希薄化を防ぎたい」という理由もあるようです。
例えば創業初期の時点で、創業者として自社の発行済み株式の80%を所有しているとします。
そこからエクイティ調達でシリーズA、B、Cと進み、第三者割当増資などで株式を割り当てていきます。
その時々の企業価値と発行株数にもよりけりですが、創業者の持ち分は70%や60%などと低下していきます。

これはVCにとっても同です。
各ラウンドで複数のVCが協調して出資するケースが一般的ですが、エクイティ調達を重ねて多数のVCが入るたびに、既存VCの持ち分は希薄化します。
このため、返済可能なら投資先スタートアップが融資も活用したほうが将来のリターンを狙えるのです。

資金を借りたいスタートアップの経営陣にとっては、融資条件となる新株予約権の内容について銀行とよく相談しておく必要があります。
銀行は借り手の返済能力について「正常先」や「要注意先」「破綻懸念先」などと債務者区分を設けていますが、スタートアップについても特別扱いはしないそうです。
赤字でも貸し出す銀行は増えつつありますが、取引開始時点から「要注意先」として警戒される可能性があります。
銀行は与信費用を計上したり既存企業より高い金利を設定したりしておきますが、もう1つのリスク管理手法が新株予約権です。

多くのベンチャーデットでは、スタートアップが融資を受けるのと併せて、新株予約権を銀行に発行します。
このとき企業価値の評価額が低ければ、銀行は転換可能な株式数をより多く設定しないとリスクに見合わないのです。
スタートアップ経営陣は、企業価値への期待や返済能力について十分に説明する必要があります。

スタートアップ側としてはせっかくエクイティでなく融資で調達する以上、株式の希薄化リスクを抑制するために、銀行がいつから新株予約権を行使できるのかよく確認しておくべきです。
りそな銀行のケースだと「IPO後の市場売却」を念頭に置いており、基本的に上場前の段階では権利行使しない予定だそうです。
創業者やVCがいつの時点で持ち株を放出する段取りなのかをよく考えながら、ベンチャーデットの条件を確かめねばなりません。

銀行が期限前の融資返済を迫ることが可能な「コベナンツ(財務制限条項)」も要チェックです。
現預金の最低残高を条件として設定されるケースも多く、借りた資金をすべて使い切るわけにはいきません。
そうしたことを考慮した上で、企業として資金を使えるペースを算出する必要があります。

銀行は融資の審査時だけでなく、実行後もスタートアップの財務状況と成長性を継続的に見ていきます。
特に「本当に事業成長に資する資金の使い方なのかどうか」(小川氏)については、エクイティ調達に比べてシビアに判断するようです。

一方、「銀行によっては組織内の稟議書が非常に多く、ベンチャーやスタートアップのスピード感に追いついていないところもある」ようです(国内の起業アドバイザー)。
ベンチャーデットの活用に当たっては、銀行もスタートアップもお互いに相手の実情をよく確かめておく必要があります。

りそな銀行がベンチャー融資に本腰を入れるということで、ノウハウはあるのだろうかと思いましたが、結局、VCが出資しているところに融資するということなんですね。
ベンチャー企業にとって、資金調達の幅が広がるのは良いことなんでしょうが、融資する側も今までにないような将来性を見極めた融資もしてくれたらなぁと思いました。

りそな銀行が金利6%でも需要見込みベンチャー融資に100億円を貸し出すことについて、あなたはどう思われましたか?


ビッグモーターの90億円の返済に銀行団は借り換え応じず8月18日までに返済!

中古車販売大手ビッグモーターが借入金90億円を取引先金融機関に返済したことが、先日、分かったようです。

ビッグモーターは借り換えを要請していましたが、銀行団が応じませんでした。
現預金を取り崩すなどして対応したとみられます。
2023年8月18日が返済期限でした。

ビッグモーターは直近で300億円以上の現預金があり、ただちに資金繰りが悪化するようなことにはならないと思われますが、自動車保険の不正請求問題を受けて、顧客離れが進んでおり、販売が大きく落ち込んでいます。

銀行団に融資のリスクが大きいと判断されていることから、今後は支援企業が必要になるとの見方が強まっています。

今回の騒動を受けて、ビッグモーターで車を売ったり、車を買ったり、車検をする人は激減するでしょうから、個人的には、このままでは破綻に向かうのではないかと思います。
報道では、デロイトのコンサルを受けているとのことですが、売却等のための資産査定をしているのではないかと思います。
大きな会社が買うのではないかと推測されますが、早く創業者を一掃することと、過去の悪事を明らかにすることが必要でしょうね。
それでないと、金融機関は支援しにくいでしょう。

ビッグモーターの90億円の返済に銀行団は借り換え応じず8月18日までに返済したことについて、あなたはどう思われましたか?


中小の資金繰り支援策を9月末まで半年延長!

日本経済新聞によると、政府は新型コロナウイルス対策として導入した中小企業の資金繰り支援策を9月末まで半年間延長するようです。
日本政策金融公庫の低利・無担保融資などが対象となります。
実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済期限を迎える企業に対して支援を続ける必要があると判断しました。

日本公庫の低利・無担保融資は、新型コロナの感染拡大を受けて2020年3月に始まりました。
コロナの影響で売上高が減少した中小企業に無担保で、通常より低い金利で資金を貸し出します。

政府は2022年9月のゼロゼロ融資の終了に合わせて、同月で終了予定だった低利・無担保融資の期限を2023年3月末まで延長することを決めていました。
その期限をさらに2023年9月末まで延長します。

ゼロゼロ融資の融資総額は2022年9月末時点で計43兆円にのぼり、2023年に返済開始の山場をむかえます。

政府は低利・無担保融資の期限を2023年9月末まで延長することで、ゼロゼロ融資からの借り換えを円滑にします。
エネルギーや食料を中心に物価高騰が続いていることも考慮しました。

コロナ対策向けの資本性劣後ローンや、物価高騰対策で導入されたセーフティネット貸付についても、2023年9月末まで期限を半年間延長します。

一時的な資金繰りに困っている事業者を支援することは良いことだと思いますが、ゾンビ企業をさらに増やしたり、延命させたりするような状況にはならないようにしてほしいですね。
5月以降どうなるかはよく分かりませんが、おそらく、コロナ前の状況には戻らないでしょうから、退場すべきところにはいったん退場していただいて、再出発していただいたほうが日本の将来のためにも良いと考えています。

中小の資金繰り支援策を9月末まで半年延長することについて、どう思われましたか?


商工中金は政府関与を段階縮小!

日本経済新聞によると、政府が今国会への提出を目指す商工組合中央金庫(商工中金)法の改正案の概要がわかったようです。
政府保有株は公布から2年以内に全株を売却する方針を明記しました。
将来的な政府関与の縮小に向けて、業務のあり方4年以内に再検討する規定も設けます。

政府は商工中金に46%出資しています。
法案では政府保有株を「できる限り速やか」に売却すると記しました。
代表取締役を選ぶ際の国の認可は4年以内に廃止し、届け出制とするようです。
災害時などの危機対応融資の業務は残します。
株式会社化する際に政府出資を振り替えた特別準備金も維持します。

法案の付則には、政府関与を縮小するための検討規定を盛り込みました。
公布から4年以内に事業の見直しを検討します。
政府株売却後のガバナンスや地域金融機関との連携の状況を踏まえます。
危機対応業務も「所要の措置を講ずる」と記しました。
将来的な同業務の責務の廃止を視野に入れています。

政府は全株を売却し、商工中金法を廃止した段階で「完全民営化」になると位置づけています。
法廃止の時期の明示は見送りました。
「法律を廃止するための措置を講ずることができると認めるとき」に廃止するとの表現にとどめたのです。

改正案は、経済産業省の有識者会議が先日まとめた報告書に沿った内容です。
公的な役割は残しつつ、業務範囲は全株を売却した段階で銀行法に近づけます。

再生企業への出資上限を引き上げて100%出資できるようにするほか、登録型人材派遣やIT(情報技術)システム販売といった業務が新たに可能になります。

政府系金融機関として、日本政策金融公庫もありますし、一時期不祥事続きだったので、ようやくかぁという感じですね。
検討に4年もかけていたら、時代の変化に追いつかないような気はしますが、良い方向に変わればいいですね。

商工中金は政府関与を段階縮小することについて、どう思われましたか?


経営者保証を不要とする創業時の新しい信用保証制度が2023年3月にスタート!

日前ジャーナルによると、経営者の個人保証(経営者保証)が起業・創業の阻害要因とならないように、経営者保証を不要とする創業時の新しい信用保証制度として創設された「スタートアップ創出促進保証制度」が2023年3月中にスタートするそうです。

スタートアップを含む起業家・創業者の育成は、日本経済のダイナミズムと成長を促し、社会的課題を解決する鍵と言えますが、失敗時のリスクが大きいために起業することをためらう起業関心層のうち、約8割が「借金や個人保証を抱えること」を懸念しています。

そこで、こうした懸念を取り除き、創業機運の醸成、起業・創業の促進につながるように、経営者保証を不要とする創業時の新しい信用保証制度としてスタートアップ創出促進保証制度が創設されたのです。

スタートアップ創出促進保証制度は2023年3月中に開始予定とされていますが、その利用が円滑にできるように、2月20日から信用保証協会と金融機関が連携して事前相談の受付を開始しています。

<スタートアップ創出促進保証制度>
【保証対象者】
・創業予定者(これから法人を設立し、事業を開始する具体的な計画がある者)
・分社化予定者(中小企業にあたる会社で事業を継続しつつ、新たに会社を設立する具体的な計画がある者)
・創業後5年未満の法人
・分社化後5年未満の法人
・創業後5年未満の法人成り企業

【保証限度額】    3,500万円

【保証期間】       10年以内

【据置期間】       1年以内(一定の条件を満たす場合には3年以内)

【金利】              金融機関所定

※2023年3月中に保証取扱いを開始予定(開始日の確定後、中小企業庁のホームページで公表。)。
※スタートアップ創出促進保証制度の利用に関する問い合わせは、金融機関または最寄りの信用保証協会まで。

個人的には、ゾンビ企業を増やすような施策よりは、スタートアップ企業を増やし、経済を活性化させるほうが良いと考えていますので、良いことだと思います。
どんどん起業していただいて、そのうちの何割かが、うまくいくことを期待しています。

経営者保証を不要とする創業時の新しい信用保証制度が2023年3月にスタートすることについて、どう思われましたか?


新興企業向け「経営者保証」不要の融資制度が2023年3月に開始!

日本経済新聞によると、経営者個人が会社の連帯保証人となる「経営者保証」を不要にできる制度の全容が、先日、判明しました。
2023年3月に経営者保証が不要になる新興企業向けの融資制度を始めるほか、民間の銀行と政府系金融機関に不必要な経営者保証を外すように求めます。
事業再生や新興企業の育成を妨げる一因となってきた融資慣行を、官民で見直します。

経済産業省、金融庁、財務省が「経営者保証改革プログラム」を、先日、公表しました。
民間銀行だけでなく、公的機関にも経営者保証を安易につける商慣習を見直すように求めます。
民間金融機関の業界団体や政府系金融機関、信用保証協会などに対して「個人保証に依存しない融資慣行の確立に向けた取り組みの促進について」と題した要請文を出しました。

銀行だけでなく、信用保証協会など公的機関も経営者保証を求める慣行がありました。
万が一、倒産すれば自宅や自家用車などを差し出す必要があり自己破産に陥るケースもあります。
金融機関にとっては安心して融資できる一方で、創業の意欲や事業承継を妨げる一因となっていました。

創業5年以内のスタートアップは経営者保証を不要にする新しい信用保証制度を始めます。
2023年3月に開始する予定です。
保証上限額は3,500万円で全額保証、無担保とします。
事業者は信用保証協会所定の保証料率に0.2%上乗せした保証料を負担します。

スタートアップの経営者保証をなくすと融資を回収できない「焦げ付き」が発生する懸念もあるため、損失を補塡するための費用として補正予算で約120億円を計上しました。
創業関連保証は年間約1万件の利用があり、原則的に経営者保証を求める慣行があります。
起業に関心がある人の約8割が起業をためらう原因に経営者保証をあげており、保証を不要にする制度をつくりスタートアップを支援します。

2023年4月からは、民間金融機関が安易に保証をとる慣行も是正します。
金融庁が監督指針を改正し経営者保証をつける場合にその必要性について説明義務を課すのです。
結果を記録し、2023年9月期実績から金融庁への報告が必要になります。

「金融機関から経営者保証に関する適切な説明がない」など相談を受け付ける専用窓口も金融庁に設置します。
問題があれば、金融機関に対して特別ヒアリングを行います。

2024年4月からは、創業5年を超えた事業者も経営者保証の解除を選択できる信用保証制度も始めます。法人から代表者への貸し付けがないことや決算書類を金融機関に定期的に提出しているなどの条件を満たし、経営状態に応じた上乗せ保証料を負担すれば解除できます。
中小企業信用保険法の改正案を2023年の通常国会に提出する見通しです。

中小・零細企業のなかには財務状況が悪かったり、法人と個人の資産が分離されていなかったりして経営者保証を求めざるを得ないケースもあります。
経営者保証解除の前提になる収益力改善やガバナンス強化への対応も求めていきます。

良い制度ですね。
やはり、経営者保証というのは、結構な心理的負担があるでしょうから。
保証料が0.2%の上乗せであれば、それほどの負担にはならず、また、個人ではなく会社負担ということになりますので。
ただし、悪用されないように、金融機関や保証協会に事業を見る眼を持ってほしいと思います。

新興企業向け「経営者保証」不要の融資制度が2023年3月に開始となることについて、どう思われましたか?


民間ゼロゼロ融資等の返済負担軽減のための保証制度(コロナ借換保証)が開始!

中小企業庁は、2022年10月28日に閣議決定された「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」を踏まえ、新型コロナウイルス感染症の影響の下で債務が増大した中小企業者の収益力改善等を支援するため、借換え需要に加え、新たな資金需要にも対応する信用保証制度(コロナ借換保証)を2023年1月10日から開始しました。

<コロナ借換保証について>
コロナの影響の長期化や物価高など、多くの中小企業が引き続き厳しい状況にある中、積み上がった債務の返済負担への対応はもちろん、事業再構築などの前向きな取組の促進など、個々の事業者の実態を踏まえた支援が重要です。

そのため、今後、コロナ融資の借換え保証制度を創設することで、返済負担軽減のみならず、新たな資金需要にも対応します。

そこで、一定の要件を満たした中小企業者が、金融機関との対話を通じて「経営行動計画書」を作成したうえで、金融機関による継続的な伴走支援を受けることを条件に、借入時の信用保証料を大幅に引き下げるコロナ借換保証を1月10日より開始します。

<制度概要>
保証限度額 1億円
保証期間 10年以内
据置期間 5年以内
金利 金融機関所定
保証料(事業者負担) 0.2%等(補助前は0.85%等)
要件 売上または利益率が5%以上減少 など
その他
・100%保証の融資は、100%保証での借換が可能
・経営行動計画書の作成
・金融機関の継続的な伴走支援

<手続イメージ>

安易に借り換えを認めるのも果たして日本のために良いのだろうかという気はしますが、金融機関の継続的な伴走支援できちんと返済できるようになればいいですね。
実効性のあるものになることを期待します。

民間ゼロゼロ融資等の返済負担軽減のための保証制度(コロナ借換保証)が開始したことについて、どう思われましたか?


中小企業庁は数値基準を導入し経営者保証ない融資を促す!

中小企業庁は「経営者保証」をつけない融資を金融機関に促す仕組みを導入するようです。
企業の稼ぐ力や有利子負債の返済能力など具体的な数値基準を設け、経営者保証がなくても融資できるかどうかの判断材料にします。
企業にとっても融資を受けられる条件が分かりやすくなります。
事業再生やスタートアップの成長を阻んでいた融資慣行の見直しが進みます。

経営者保証は個人保証とも呼ばれ、高度成長期に確立されました。
金融機関から受けた融資の返済が滞ったときに、会社が持っている資産と個人の財産を一体で支払う仕組みで、銀行には安心して融資できる面がありました。
一方で経営者は銀行からお金を借りて起業することをためらったり、事業を拡大する意欲を失ったりするとの指摘も多くなっています。

金融庁は2023年4月から金融機関に対し、経営者個人が信用保証を負う場合、具体的な理由を説明するよう義務付け、事実上制限することを決めました。
今回の中小企業庁の仕組みは、その一環となります。

中小企業庁は、先日の有識者会議で詳細を公表し、2022年4月から導入します。
現在のガイドラインには経営者保証をつけない融資を受けるための要件として、①法人・個人の分離②財務基盤の強化③経営の透明性確保の3つがあります。
新たにそれぞれに具体的なチェック項目を策定します。

例えば、財務基盤の強化では、「(有利子負債がキャッシュフローの何倍あるかを示す)EBITDA有利子負債倍率が15倍以内」「減価償却前の経常損益が2期連続赤字でない」といった目安を設けます。

経営の透明性確保については「経営者は日々、現預金の出入りを管理する。終業時に金庫やレジの現金と記帳残高を一致させるなど収支を確認する」といった趣旨の具体例を示します。

新たなルールは強制ではなく、金融機関が使うかどうかは任意となります。
ただし、これまでは経営者保証をつけるかどうかの交渉で金融機関ごとに基準が異なっていたり、基準がなかったりしました。
経営者はどのような点をどのくらい改善すれば、経営者保証をつけずに済むかわかりにくい状況でした。

経営者保証をつけない中小企業向け融資件数は全体の約3割にとどまっています。
金融庁は現状の経営者保証について「合理的な理由がなく不必要に経営者保証を付けている例が多い」と指摘しています。

今回、中小企業庁が数値基準などを導入することで、経営者保証を巡る金融機関と企業の交渉の透明性が増します。
銀行側は財務面だけでなく、アイデアを評価して融資するなどリスクを取る姿勢に転換できるかが今後の焦点となります。

中小企業庁は中小企業の収益力改善やガバナンス体制を整備するための実務指針案も示します。
金融機関や税理士、中小企業診断士向けで指針を活用してもらうように促します。

本来、金融機関は、事業性を評価して融資を行うべきでしょうから、経営者にとって良いことだと思います。
一方で、経営者保証は経営者の責任感を保つ一因となっているのも事実だと思いますので、悪用しようと経営者を防ぐ必要もあるんでしょうね。
事業承継のネックになったりもしますので、日本経済の発展のためにも経営者保証とか担保の提供は、本当になくしてほしいですね。

中小企業庁は数値基準を導入し経営者保証ない融資を促すことについて、どう思われましたか?


税理士支援を手がける日税グループが税理士を通じて債権買い取り!

日本経済新聞によると、税理士支援を手がける日税グループの日税経営情報センター(東京都新宿区)はフィンテック企業のTranzax(トランザックス、東京都港区)と提携し、企業の請求書などの売掛債権を買い取るサービスを始めました。
税理士の紹介を通じて企業に提供することで、買い取り手数料を0.1%からと業界最低水準に抑えています。

新サービスの「日税ファクタリング」は請求書のほか、注文書や補助金、助成金、診療報酬などを買い取り、企業の資金繰りを支援します。

買い取り手数料は請求書の場合で0.1~3%です。
請求書から買い取りを開始し、2022年11月末に注文書などの買い取りを始めます。

ファクタリングサービスの買い取り手数料は、一般的に請求書の場合で3~20%程度が多いようです。
中小企業の負担を抑えるため、日税グループは顧問税理士の紹介書を求めることで信用力を補い、手数料水準を低くしました。

日税グループが提供する税理士報酬の集金事務代行サービスは全国約4万の税理士事務所のうち約15,000を超える事務所が利用しています。
税理士のネットワークを活用し、全国の中小企業や個人事業主へ利用を呼びかけます。

弊事務所も、日税グループが提供している税理士報酬の集金事務代行サービスを利用していますが、ファクタリングサービスのことは、この記事で知りました。
ファクタリングのニーズがどこまであるのか分かりませんが、買い取り手数料が安いということは魅力的なのかもしれませんね。
顧問税理士の紹介書というものがどんなものか分かりませんが…。

税理士支援を手がける日税グループが税理士を通じて債権買い取りを行うことについて、どう思われましたか?


中小企業の融資保証を金融庁が11年ぶりに改正し起業を支援!

日本経済新聞によると、中小企業向け融資で経営者が個人で背負う「経営者保証」の慣行が見直されます。
金融庁が先日発表した監督指針改正案は金融機関に対し、経営者個人に信用保証を負ってもらう場合は具体的な理由を説明するよう義務付ける内容で、事実上、制限を加える規制です。
国が融資慣行にメスを入れるのは、スタートアップ企業が増えない危機感があるようです。

経営者保証の慣行は高度成長期に確立されました。
間接金融主体の日本は銀行がリスクをとり、起業や事業拡大する際の融資手段として定着しました。

金融庁が信用保証を規制するのは11年ぶりです。
2011年には監督指針を改正し、経営者以外の第三者に債務履行を求める「第三者保証」を原則禁止しました。

金融庁の監督指針改正案は、経営者個人が負う「経営者保証」を2023年4月から事実上制限する規制です。
2021年度の中小向け新規融資に占める経営者保証の割合は、民間金融機関全体で約7割に上ります。

改正案は金融機関に対し説明義務を課す内容となっています。
金融機関は理由を説明したことを記録し金融庁に報告しなければならず、経営者保証を求める手続きは煩雑になります。
金融庁はディスクロージャー誌などで取り組み方針を公表するよう要請します。

私財を隠していないか、経営の健全性を確保する意志があるか、不都合な情報を隠したりしないか?
経営者保証をつける場合、経営者保証を外す要件の「法人・個人の区分・分離」「財務基盤の強化」「適時適切な情報開示」の観点で、「どの部分が十分でないために保証契約が必要になるか」「どのような改善を図れば保証契約の変更・解除の可能性が高まるか」の具体的な説明を金融機関に求めます。

監督指針は行政処分につながる手続きを記載するルールブックです。
必要があればヒアリングや検査を実施し、手続きに違反があったり企業とトラブルが起きたりすれば行政処分の対象にします。
第三者保証を原則禁止したときと同じ規制の仕組みで、今回も経営者保証が姿を消す可能性があります。

これまで金融機関は債権保全重視の観点から、従来の慣行のまま保証を付けている例もあります。
金融庁の調査では、金融機関の7割超が新規融資で保証を取る場合に「常にガイドラインについて説明を行う方針」としています。
ただし、実際に金融機関から「ガイドラインの説明を受けた」と答えた事業者は3割程度にとどまっています。
自主的な取り組みを要請してきましたが、金融機関の姿勢に差があるなど現状を踏まえて規制に切り替えることにしたようです。

中小企業庁も、先日、中小企業政策審議会・金融小委員会を開き、経営者保証を解除できる新制度を導入する議論を本格的に始めました。
中小企業が信用保証協会に支払う保証料を上乗せすれば経営者保証を不要にできる仕組みで、財務書類を金融機関に提出したり、代表者が当該企業から貸し付けを受けていないことなどが条件となる方向です。

経営者保証は海外でも珍しくありません。
米連邦準備理事会(FRB)の2020年の報告書によると、アメリカも約6割に上りますが日本より少ないです。
日本の場合、財務内容が良好だったり、逆に弁済能力が不足していたり、「合理的な理由がなく不必要に経営者保証を付けている例が多い」(金融庁)ようです。

中小企業庁の小規模企業白書によると、日本の開業率(2020年)は5.1%で、フランスの12.1%、イギリスの11.9%、アメリカの9.2%と比べて低くなっています。
政府は、2022年6月に閣議決定した「新しい資本主義」実行計画で、成長のエンジンとなるスタートアップ支援を柱に創業資金を借りやすい制度をつくる方針を掲げていました。

新規先や挑戦する事業者に対して銀行側がリスクを取る姿勢に転換することが必須となります。
東洋大学の野崎浩成教授は「財務も大事だが、アイデアを評価して融資するなどこれまで以上に経営者を深く見ていくことが重要」と話しています。

融資の信用保証を巡っては、かつて限度額や保証期間の定めもない「包括根保証」もありました。
しかしながら、生活破綻や自殺の要因と社会的に批判も出ました。
2005年に民法を改正し、今では禁止されています。

事業承継の足かせの一つが、後継者の担保や経営者保証だと言われていますし、そもそも杓子定規に取る必要はあるのだろうかと疑問に思っていたので、制限が入ることは良いことだと思います。
ただし、金融機関にその企業等のビジネスの将来性を見る能力があるのか疑問はありますし、結局、保証料や金利が上がれば、融資を受けにくくなるのではないかと思います。
経営者側が、きちんとビジネスの説明ができ、将来の事業計画を作成できるようにならないといけなくなるのかもしれませんが。

中小企業の融資保証を金融庁が11年ぶりに改正し起業を支援することについて、どう思われましたか?


手形決済の支払いを3日に短縮し信用情報も瞬時に把握!

以前にこのBlogでも書きましたが、日本経済新聞によると、紙の手形や小切手を通じた企業間決済がようやく電子化に向かいます。
全国銀行協会は、2022年11月4日に電子交換所を稼働し、140年以上続いた対面でやりとりする手形交換所を順次、廃止します。
2023年1月からは債権の発生日から支払いまでの期間を最短7営業日から3営業日に短縮します。
また、不渡り情報は瞬時に共有します。
これにより、決済の利便性が増し、企業の経理がやりやすくなります。

銀行、信用金庫、信用組合など全国1,100の金融機関は2022年11月4日以降、原則すべての手形・小切手について、電子交換所上でデータを送受信します。
全国銀行協会によると、全国の手形交換所の廃止によって金融機関全体で年間約8億円のコストを削減できるそうです。
企業の手続き方法には大きな変更はありません。

当座預金に十分な残高がないなど手形・小切手で決済ができず信用力に影響する不渡り情報は、これまで各地の参加金融機関の間で共有してきました。
今後は電子交換所に参加する全ての金融機関が瞬時に把握できるようになります。
異なる地域の企業や顧客の信用不安に関する情報が共有されることで、決済の安全性が高まります。

電子決済に移行しやすくするため、全国銀行協会は2023年1月には手形に代わる決済手段「でんさい」の機能を改善します。
債権の発生日から支払いまでの期間を最短7営業日から3営業日まで短縮するほか、債権金額の下限も1万円から1円に引き下げます。

紙の手形や小切手は残るものの、大手行や地方銀行は手数料を相次ぎ引き上げ、電子決済への移行を促します。
横浜銀行は2022年12月から振り出し側が負担する手形帳や小切手帳の発行手数料を8,800円増の11,000円にします。
受け取り側が負担する代金取立手数料も、2022年11月以降、利用する手形交換所によって異なっていた手数料区分を多くの金融機関が一律にします。
こちらも一部の手数料は上がる方向です。

全国銀行協会の2021年調査によると、回答を得た885金融機関の約半数が発行手数料や取立手数料の見直しを実施・検討しているようです。
常陽銀行は中小企業のインターネットバンキングへの移行を促すため、契約料金と半年分の月間基本料金を2023年6月末までの期間限定で無料にしています。

手形や小切手の歴史は古いです。
手形交換所は1879年に大阪で誕生し、現在は全国107カ所に設置されています。
昭和初期に制定された手形法・小切手法に基づき、企業間の資金決済に使われるようになりました。
印紙税や保管にコストがかかり、2008年に施行した電子記録債権法によって電子手形を発行できるようになったこともあり、交換高は1990年の4,797兆円をピークに減少を続け、2021年度の118兆円まで40分の1に減りました。

政府は2026年度末に紙の手形・小切手もなくす計画です。
金融界も小切手を含めた紙の全面廃止へ年間約536万枚の削減に取り組んでいます。
印紙代や人件費の削減などで、紙から電子決済へ移行することによる利用者全体の効果は約732億円に上ると試算されています。

手形や小切手は管理の手間もかかりますし、紛失等のリスクもありますので、早くなくしてほしいですね。
銀行がインターネットバンキングの利用を促すのであれば、利用料などを大幅に引き下げないといけないかと思います。
個人だと無料で、法人だと有料というのもよく分からないですし。

手形決済の支払いを3日に短縮し信用情報も瞬時に把握できるようになることについて、どう思われましたか?


法人税を払いたくない社長は多いが「中小企業の節税」が招く“本末転倒”!

なぜ、小規模な事業は廃業に追い込まれやすいのでしょうか?
幻冬舎ゴールドオンラインの弊事務所も提携している株式会社SoLaboの代表取締役の田原広一さんの記事によると、突き詰めていくと、原因は「資金不足」ただ一つです。
小さな会社にとっての成長エンジンは、節税ではなく融資・投資です。
融資を受ける可能性が少しでもあるならば知っておきたい、節税にまつわるポイントを見ていきましょう。

自分で事業をしている方のなかには、「税金をなるべく払いたくない」という方も多いようです。

以前、(田原さんが)税理士事務所に勤務していた際も、節税のために「なるべく多くの経費を計上し、赤字申告したい」「なるべく利益を出したくない」という会社も少なくありませんでした。
しかし、赤字決算は融資を受ける際には大きなマイナス評価になるのです。

創業後、少しでも多くの融資を受けるならば、「売上・利益が上がっている」ことが条件となります。

もちろん黒字になれば、税金の支払額は多くなります。
特に法人税を払うことにアレルギーをもつ社長は多くいらっしゃいますが、利益が出た分、役員報酬で支払いを出したとしたら、法人税で支払うか、個人の所得税で支払うかの違いです。

しかも、税率から考えると、法人税で支払うより、所得税(住民税含む)+社会保険料(含む企業負担分)のほうが高くつくケースもあるのです。

また、決算が近づき、利益が出ていると、税金を払いたくないため、決算直前に生命保険を活用した節税策を実践する方もいます。
しかし、現在、法人で加入する保険は、支払保険料の全額を損金計上できる全損商品は少なく、支払い保険料の半分だけ損金計上できる半損商品が大半です。
節税額から見ると、費用対効果が見合わないケースも多いのです。

微々たる節税にせっせと励んだ結果、肝心の投資をしたいときに、利益が出ていないために借入ができず、事業が立ち行かなくなるような“本末転倒”の事態さえ招きかねません。

もちろん、「創業融資以降、融資を受けるつもりはいっさいない」と考えるならば、節税に励むのも一つのやり方ですが、もし融資を受ける可能性が少しでもあるのであれば、確定申告書や決算書を作成する際には注意が必要です。

私(田原さん)自身、創業時に融資のお手伝いをしたお客さまから、「今後も融資を受けていきたいのですが、決算上の数字について留意するポイントはありますか」といったご質問を受けることがあります。

その際は節税ではなく、あくまでも融資の観点から私でできるアドバイスをさせていただきますが、その観点から一つ注意点として、税理士との付き合い方があります。

税理士は税金のプロではありますが、融資に関して精通しているかというと個人差があります。
税理士が売上や利益アップより節税に注力した決算書を作成したがために、融資を受けにくくなるリスクもあるのです。

また、先の保険加入による節税策も、税理士の多くが特定の保険会社の代理店業も兼任しているため、手数料目当てだけではないとしても、将来の事業プランはさておき、目先の節税のために保険加入を勧めるようなケースもないとはいえません。

決算や会社の数字の見せ方については、税理士に一任するのではなく、長期スパンで事業をどうやっていくのか、融資の可能性も含めて、自身の考えを事前にしっかりと伝えておくことが肝心です。
さらに、税理士を選ぶ際には、融資のサポートの実績があるかどうかもチェックしておきましょう。

もちろん、私(田原さん)自身も節税対策が不要だとは思っておりません。
将来融資を受ける可能性があるのであれば、将来を見据えた計画を立てることが大切だと考えております。

ここで私(田原さん)の考えとして申し上げたいのは、小さな会社にとって成長エンジンは“投資”であるということです。

そもそも売上をはじめ、スケールが小さい中小企業や個人事業主が節税で得られるメリットは、大企業に比べて微々たるものです。

それよりも売上を伸ばすことに注力し、現預金を手厚くし、倒産リスクを抑えるとともに、ここぞと思ったときに人材や設備に投資していく。
これこそが、小さな会社にとっての成長、事業拡大につながるのです。

資金繰りも考慮し、多店舗展開したい、資金調達したいというときに、節税に目をとらわれると倒産リスクを高めることにもなりかねません。

借入で上手な資金繰りをしている経営者は、これぐらいは利益を出さなければ回らないという感覚をもっているものです。

目先の損得だけにとらわれることなく、融資を有利に運ぶためには「法人税=必要経費」という考え方で、税金をしっかり払うことこそが安定経営を目指す社長の務めと心得ましょう。

基本的には、僕自身は田原さんがおっしゃっていることと同じことを考えています。
このBLOGでも何度か述べていますが、過去には、節税が経営者の能力と考えている方が何名かいました。
節税も、本当の節税と単なる課税の繰り延べに過ぎないもの、お金がかかるものとかからないものとがあると思いますが、その当たりを理解せずに、ひとくくりで『節税』と思っている方が多いですよね。
今は、保険は節税商品としては売れませんし、個人的には売上高ではなく利益が増えることを考えないといけないと思っています(これについては、普段から費用を変動費と固定費とに分けて考えています。)。
ちなみに、先日、日本ではじめて明太子をつくった『ふくや』の川原社長のお話を聴く機会があったのですが、創業者は、納税額の予定額を決めてから逆算で売上高の予算などを決めていたそうです。

法人税を払いたくない社長は多いが「中小企業の節税」が招く“本末転倒”について、どう思われましたか?


全国の手形交換所の業務が2022年11月に終了で143年の歴史に幕!

TabisLandによると、東京商工リサーチが発表したレポートによると、文明開化の音が響く1879年(明治12年)、近代国家への道を歩み始めた日本で初の手形交換所が大阪に設立されました。
それから143年目の2022年11月2日、全国179か所の手形交換所が手形・小切手の交換業務を終了します。
現在の紙の手形、小切手は引き続き流通し、企業側に手続き変更などは必要ありません。
今後の手形交換業務は、全国銀行協会が運営する電子交換所が引き継ぎます。

これまで手形交換所を経由して搬送していた手形現物は、データ化して電子交換所に送信します。
これにより遠隔地への取立の時間短縮や災害時の輸送リスクも解消します。
政府は、2026年度までに紙の約束手形の廃止を打ち出し、“でんさい”やインターネットバンキングなど決済の電子化を急いでいます。
全銀協などによると、手形交換所は1879年に大阪手形交換所、1887年に東京手形交換所が設立されました。

その後、経済発展とともに手形の流通が活発になり、ピークの1990年の手形交換高は4,797兆2,906億円に達しました。
しかしながら、現金決済への移行や、手形の印紙税、保管、輸送などのコスト負担から手形離れが進みました。
2013年に電子記録債権“でんさい”も始まり、インターネットバンキングなどで決済の電子化が進みました。
この流れを受け2021年の手形交換高は、ピーク時の2.5%にとどまる122兆9,846億円にまで激減しました。

電子交換所でも不渡手形による銀行取引停止処分の措置は続いています。
これまで各手形交換所に参加する金融機関に通知されていた情報は、今後、電子交換所に参加する全国すべての金融機関で共有します。
全銀協によると、手形交換所の業務終了後は、これまでの不渡り情報は削除され、電子交換所に手形交換所の不渡り情報は引き継がれないそうです。

明治時代から続く商慣習が大きく変わります。
個人決済は電子マネーなどが急速に進行し、現金を使わず生活することも可能になりました。
一方、企業の決済は依然として紙の手形、小切手が残り、電子化が遅れています。
電子交換所の誕生は、紙の手形の廃止に向けた歴史的な転換の一歩になります。
ところが、運用をスムーズに進めるには、なかなか利用が進まない“でんさい”の認知と同時に、企業側のITリテラシーの向上も急務となります。

僕が会計業界で働き始めた頃は、結構、手形取引があり、決算時に実際に保管している手形を確認したり、手形のミミをチェックしたりしていましたが、期日現金が導入され、その後、でんさいも導入されましたので、最近は、あまり目にすることがなくなりましたね。
数日前に、いまだに使える場面はあるなぁと思いましたが。

全国の手形交換所の業務が2022年11月に終了で143年の歴史に幕を下ろすことについて、どう思われましたか?


住みながら自宅を売却し高齢者の老後資金を確保する需要が増加!

日本経済新聞によると、持ち家に住みながら売却できる「ハウス・リースバック」を利用する高齢者が増えているそうです。
老後資金などの調達法となり、希望すれば物件の再購入もできるためです。
不動産仲介を手掛けるAnd Doホールディングスは2022年6月期に物件取得数が初めて1,000件を超える可能性があるそうです。
ただし、相次ぐ企業参入でトラブルも散見されており、利用者に対する丁寧な説明は欠かせません。

ハウス・リースバックは、不動産会社が立地や築年数などを調べた上で顧客の持ち家を買い取ります。
顧客は資金調達に加え、不動産会社と賃貸借契約を結ぶことで住み続けることができます。
将来希望すれば、物件を再度購入することも可能なサービスです。

高齢化が進むなか、老後資金の確保や住宅ローンの返済のため、ハウス・リースバックに対する高齢者の需要は高まっています。
不動産業界で2013年にいち早くサービスを始めたのが「ハウスドゥ」ブランドで不動産仲介を手掛けるAnd Doホールディングスでした。

And Doホールディングスの安藤正弘社長は「高齢者は老後資金が必要になるなか、不動産を所有していても現金を持つ人は少ない」と知り、持ち家を使った資金提供の方法を模索しました。

調達法で多いのは持ち家を売却する形ですが、それでは一過性の資金は入っても住まいに困ります。
そこで、引っ越しすることなく、家賃を払って住みながら持ち家の売却で資金を得るサービスを始めました。

And Doホールディングスは全国で直営やフランチャイズチェーン(FC)により、約700のハウスドゥの店舗を持っています。
店に舞い込む依頼や営業担当者による営業活動で需要を掘り起こした結果、2022年3月の単月物件取得数は190件と過去最高を更新しました。
2022年6月期は993~1,060件と大台の1,000件を超える可能性もあるようです。
取得物件について「立地などを見て売却可能かも考慮する」(花谷清明執行役員)なか、2025年6月期には10年前の26倍の1,440件まで伸ばす計画です。

ただし、ハウス・リースバックを一段と浸透させるには課題もあります。
そのひとつが利用者に対する適切な説明です。
ニッチ市場ながら成長性が見込めるとして新規参入企業が増え、「当初の説明と話が違う」など不動産会社と顧客の間でトラブルも聞かれます。
And Doホールディングスの安藤社長は「繊細な事業のため慎重にやっていかないといけない」と話しています。
業界全体で克服すべき問題と言えるでしょう。

ハウス・リースバック以外では、高齢者が持ち家を担保に住み続けて資金を借りる「リバースモーゲージ」の活用も増えています。
日常生活のため生活資金などは必要ですが、住み慣れた家から引っ越しをせずに暮らしたい人は多いようです。
顧客に寄り添ったサービスや対応が求められていますね。

長生きすることは素晴らしいことだと思いますが、一方で、老後の資金が不安にもなってきますよね。
よって、ハウス・リースバックやリバースモーゲージが流行るのは当然のことだと思います。
老後の生活を心配しなくてもいいような日本になってほしいと思いますが。
悪質な業者にだまされたり、説明を聞いていなかったという案件が今後増えてくると推測されますが、自分で調べたり、お子さんに調べてもらったり、納得がいくまで質問したりなどして、失敗のないようにしてほしいですね。

住みながら自宅を売却し高齢者の老後資金を確保する需要が増加していることについて、どう思われましたか?


遠山元衆院議員の仲介で公庫が34支店で37億円超を融資!

読売新聞によると、日本政策金融公庫の融資を巡る貸金業法違反事件で、公庫全体の2割にあたる34支店が、元公明党衆院議員の遠山清彦元財務副大臣(52)(在宅起訴)側が仲介した企業や個人に対する融資業務を担当し、計37億円超を融資していたことがわかったようです。

東京地検特捜部は、融資の手続きが国会議員の紹介を想定したマニュアルに沿って進められていたことから、公庫内部で遠山元衆院議員らの議員案件について組織的な優遇が行われていたとみているようです。

起訴状では、遠山元衆院議員は公庫が行う新型コロナウイルス対策の特別融資などを巡り、2020年3月頃~2021年6月頃、企業や個人の融資希望を公庫に伝え、公庫の担当者を紹介するなど延べ111回の仲介を無登録で行ったとしています。

関係者によると、遠山元衆院議員側の仲介で、全国152の公庫支店のうち、東京都内の12支店など、東北から九州まで16都府県の計34支店が企業や個人事業主から申し込みを受けて審査などの融資業務にあたり、総額約37億2,000万円が融資されました。

事業者は飲食業や建設業、アパレル会社など幅広い業種にわたり、融資1件当たりの最高は3億5,000万円で、数百万円~3,000万円台が多いそうです。

公庫は、国会議員案件に対応するマニュアルを複数作成し、幹部の間で共有していました。

マニュアルには、議員から紹介された企業には支店幹部が応対し、審査結果を迅速に議員に伝えるなど「特別対応」の手順が記されているそうです。

コロナ禍で融資の申し込みが殺到する中、支店幹部が対応することで早期の融資が実現したケースもあったそうです。

東京地検特捜部は、遠山元衆院議員からの仲介で公庫から融資を受けた事業者から任意で事情聴取を実施しました。

複数の業者が「『融資はできない』と言われていたのに、追加融資を受けられた」などと、口利きの効果があったことを認める供述をしたようです。

公庫は読売新聞の取材に対し、「審査基準に沿って適正に対応しており、誰からの紹介であっても特別な取り扱いをすることはなく、審査結果や審査スピードが変わることはない」としています。

国会議員案件に対応するマニュアルを作って対応していること自体、特別な扱いをしているということだと思えますが、公庫のコメントはどうなんでしょうね。
国が100%出資する金融機関だからこそ、平等であってほしいですね。
そうしないと、存在意義がなくなってしまいますから。
そもそも国会議員の口利きビジネスも問題だと思いますので、こういった規制もしてほしいなぁと思います。

遠山元衆院議員の仲介で公庫が34支店で37億円超を融資していたことについて、どう思われましたか?


東証1部から最上位プライムに8割超である1,841社が移行!

時事通信によると、東京証券取引所は、先日、2022年4月4日の市場再編で発足する新市場の所属企業を発表しました。
最上位である「プライム市場」には、トヨタ自動車など現在の東証1部企業の8割超に当たる1,841社が移行します。
このうち、Zホールディングスなど296社は上場基準を満たしておらず、暫定的にプライムにとどまる「経過措置」の適用を受けます。

現在の東証1部など4市場をグローバル企業中心の「プライム」、中堅向け「スタンダード」、新興向け「グロース」の3市場に再編します。
各市場の特徴を明確にし、国内外から活発な投資を呼び込むのが狙いです。
日本の金融市場活性化へ、今後は上場する各企業の稼ぐ力が問われることになります。

東証の山道裕己社長はスピーチし、「企業の持続的成長を支え、国内外の投資家に支持される市場を提供したい」と強調しました。

スタンダードには1,477社が上場し、このうち344社が東証1部から移ります。
長野銀行はスタンダードを選択した理由について、「営業基盤を地元に置く金融機関として身の丈の選択を行った」と説明しました。

グロースには459社が入り、メルカリなどは将来のプライム入りを目指しています。

経過措置が16%も占め、要件を満たすまでの経過措置の期間も決まっていないようですから、中途半端な感が否めないですね。
国外からの活発な投資を呼び込みたいのならば、日本的な中途半端な感じではなく、ルールはルールとしてきちんと運用したほうが良いのではないかと思います。
結局は、東証一部にふさわしくない企業が、東証一部に上場していたということですから。
きちんと運用するほうが、プライムを目指すという企業が増え、プライムの価値が高まるでしょうね。
今後、東証が、経過措置をどう扱うかをウォッチしていきます。

東証1部から最上位プライムに8割超である1,841社が移行することについて、どう思われましたか?


日本政策金融公庫の融資を巡り公明党秘書に1,600万円の「謝礼」受領疑惑!

どこまで捜査の手は伸びるのでしょうか?
日刊ゲンダイによると、日本政策金融公庫の融資を巡り、遠山清彦・公明党元衆院議員の元秘書2人と、太田昌孝前衆院議員の元政策秘書が、違法な“口利き”をした謝礼として計約1,600万円の現金を貸金業登録のない2事業者から受け取っていた疑いがあることが分かったようです。
先日、読売新聞朝刊が報じました。
東京地検特捜部が、貸金業法違反容疑で捜査しているようです。

早速、永田町では「選挙直後に新事実が出てくるのは、何か意図があるのではないか」と噂になっているようです。

「選挙前に発覚していれば、自公にとって大打撃だったのは間違いありません。『特捜部は自公に気を使って、選挙が終わるのを待ったのだろう』とみる関係者は少なくありません」(永田町関係者)

この“口利き事件”が最初に表ざたになったのは2021年8月です。
これまでは、“口利き”には遠山、太田両氏の元秘書2人が関わったとされていましたが、遠山氏の別の元秘書1人にも関与の疑いがあることが分かったようです。

「捜査対象が拡大しているのは明らかです。特捜部は早期に遠山氏の外堀を埋めて関係者の逮捕に踏み切り“幕引き”を図るつもりなのではないか。囁かれているのは、国政への影響を避けるため、12月の臨時国会閉会後、年内に一気にケリをつけるというシナリオです。年を越せば通常国会が始まり、夏の参院選に影響する恐れもあります。そこまで長々と引っ張ることはしないでしょう」(同)

「事件のキーマンとして浮上しているのが、環境関連会社を営む70代男性です。再生可能エネルギー事業を巡る詐欺事件で、社長らが逮捕された太陽光発電関連会社『テクノシステム』で顧問を務めていた人物です。複数のメディアに『遠山をテクノ社社長に紹介したのは俺』『捜査の本丸は遠山じゃない』などと発言。政界人脈は相当なものです。ただ、特捜部は自公政権に気を使っているように見えます。このまま、捜査は広がらずに終わってしまうのではないか」(官邸事情通)

これまで、テクノ社社長が小池百合子都知事の資金管理団体に献金していたことが分かっています。
デイリー新潮は、テクノ社社長と麻生副総理、原田義昭元環境相がともに写る写真を掲載しています。
やはり、大物の逮捕はないでしょうか?

融資を受けられず困っている企業がある中で、口利きで融資を受けれるとしたら、由々しき問題ですよね。
この件が事実ならば、公明党の関係者はもちろんのこと、口利きに応じた日本政策金融金庫の関係者も処分されてしかるべきではないかと思います。

日本政策金融公庫の融資を巡り公明党秘書に1,600万円の「謝礼」受領疑惑があることについて、どう思われましたか?


劣後ローンが中小企業のピンチ救う命綱に!

読売新聞によると、コロナ禍で財務状況が悪化した中小企業などを支援するため、政府系金融機関が設けた「資本性劣後ローン」の融資制度を利用する動きが広がっているようです。
政府系金融機関が資金繰りを助けることで、民間金融機関が中小企業への融資をしやすくなる「呼び水効果」を狙っており、打撃を受けた中小企業の命綱となっています。

東京・赤坂や銀座などに店舗を構える中国料理レストラン「赤坂璃宮(りきゅう)」ですが、緊急事態宣言の解除を受け、客足は戻りつつありますが、先行きの不安は拭えないままです。
蓄積されたコロナ禍のダメージは大きいようです。

店舗を運営する「タン企画」(東京都)の岩渕彦彬会長(78)は「緊急事態宣言中には、売り上げがコロナ禍前の1割程度まで落ちた月もあった」と振り返っています。

2020年、コロナ禍に直面したタン企画はまず、従業員約40人の雇用も守るため、地元の城南信用金庫から融資を受けました。
ただし、借金の増加で財務状況は悪化し、信用力が重視される「フカヒレ」など高級食材の仕入れに支障が生じる恐れが生じたのです。

ここでピンチを救ったのが、劣後ローンです。
日本政策金融公庫と劣後ローンの融資交渉を始め、2021年1月に1億円を借り入れました。

借金が膨らんだ企業に対し、金融機関は貸し倒れリスクを警戒して、当然、追加融資には慎重になります。
大企業であれば新株を発行して自己資本を増強することも可能ですが、中小企業の場合は引受先を探すことが難しいでしょう。

現実的な選択肢となるのが、劣後ローンによる資金調達です。
劣後ローンは借金ながら、借入時には自己資本と見なすことが可能で、大企業の増資に似た効果を持つものです。
タン企画の場合も、劣後ローンにより資本が増強され、城南信金がタン企画への追加の融資を実行しました。

日本政策金公庫は劣後ローンの役割について「民間金融機関による融資の『呼び水』」(広報担当者)と説明しています。
タン企画のケースは、日本政策金融公庫が想定する典型例です。

政府系金融機関による新型コロナ対応の中小企業向け劣後ローン制度は、2020年8月に始まり、日本政策金融公庫のほか商工組合中央金庫(いわゆる商工中金)も担当しています。

限度額は10億円、期間は最大20年で、元本は融資の終了時に一括返済する仕組みです。
金利の支払いは最初の3年目までは年0.5%で、4年目以降は最終利益が黒字であれば引き上げ、赤字ならば据え置きとなります。
日本政策金融公庫の融資決定実績は、2021年8月末までに計3847先、計5,759億円となりました。

コロナ禍の長期化により、借金が膨らむ一方で、手持ち資金が細る企業が増え続けています。
今後も劣後ローンの利用は拡大しそうです。

財務省がまとめた2021年4~6月の法人企業統計によると、資本金1,000万円以上1億円未満の企業(金融・保険業を除く)の借入金総額は約184兆円です。
1年前より10.6%も増えていました。
東京商工リサーチが8月上旬に行った調査では、「過剰債務」と回答した中小企業は35.7%と大企業の16.7%を20ポイント近く上回りました。

経済活動の正常化が今後進むとしても、これまでに蓄積された過剰債務が原因で資金調達ができなければ、中小企業の経営再建はおぼつかなくなります。
東京商工リサーチの友田信男・情報本部長は「短期的な業績回復が見通せない中小企業にとって劣後ローンを利用する効果は大きい」と話しています。

<資本性劣後ローン>
企業が倒産した場合に返済する順位が低い借り入れで、借入金は株式発行で調達した自己資本と同等と見なすことが可能で、企業の財務改善につながります。
一方、金融機関にとっては通常より貸出金を回収できなくなる危険性が高い融資となるため、一般的に金利は高めに設定されます。

従来から資本性劣後ローンは存在し、弊事務所のクライアントも何社か利用していますが、コロナ禍で増えているようですね。
しかしながら、融資時に借入金ではなく資本としてみなしてくれるだけで、返済が必要な借入金ということには変わりませんので、その点は理解した上で借りていただきたいですね。

劣後ローンが中小企業のピンチ救う命綱になっていることについて、どう思われましたか?


孫社長を審議会に呼ぼう!

日本経済新聞によると、大量の投資マネーが未公開株に流入する世界の潮流から、日本は取り残されています。
政府は新規株式公開(IPO)の値付けの是正や特別買収目的会社(SPAC)の解禁によってお金を流そうと躍起ですが、解決策としては的外れにみえます。
規制緩和などを通じて、投資に値するスタートアップが日本に育つ環境をつくるのが先決でしょう。

ベンチャーエンタープライズセンターによると、2021年1~3月の日本のスタートアップ投資額は前年同期比18%増の456億円です。
時期は異なりますが、アメリカは4~6月に同2.3倍の704億ドル(7.7兆円)、欧州は3.8倍の306億ドルに達し、日本はケタが2つ小さい状況です。

世界で700社を超える企業価値10億ドル以上の未公開企業「ユニコーン」は、日本は現在6社しかありません。
スタートアップにお金を流す仕組みに問題があるとみて、政府は成長戦略に「IPOの価格決定プロセスの見直し」と「SPAC制度の検討」を盛り込んだのです。

証券会社がIPOに応募した個人顧客をもうけさせるために、公開価格を不当に低く設定しており、スタートアップが必要な資金を調達できていません。
アメリカでブームになったSPACを使えば正当な価格で上場し、十分な資金を調達できるはずだという理屈なのです。

この政府案は、実務を担う専門家たちから「市場の実態を理解していない無理筋の案」という批判が相次いでいるようです。
実際、公正取引委員会がIPO実施企業に今週送った調査票を見ると重箱の隅をつつくような技術的な質問が並び、ユニコーンが育つ環境整備につながるとはとても思えないそうです。

必要なのは、発想の転換なのです。
急成長する魅力的なスタートアップがあれば、必ずお金はついてくるはずです。
そんなスタートアップが見当たらないからお金が集まらないのです。

忘れがちなのですが、世界の未公開株投資で最大のお金の出し手は日本企業です。
ソフトバンクグループのビジョン・ファンド第2号は4~6月、47社に135億ドルを投じました。
しかしながら、1号ファンドにさかのぼっても同ファンドの投資先に日本企業は1社も入っていないのです。

政府は審議会に、孫正義会長兼社長を呼んで解決策を聞いたらどうなのでしょうか。
孫社長のことです、投資したくなるスタートアップを日本で育てるためのアイデアを、たくさん持っているに違いありません。

本当に的はずれな擬音をしているような気がします。
資金調達時の調達額を増やすことが目的ではなく、資金調達ができるような企業を増やすことが大事ですから。
数年前に、IPOではなく孫さんのところに買ってもらうことを目標としている経営者が増えているというような記事を目にしましたが、ユニコーンを目指してほしいですね。

孫社長を審議会に呼ぼうということについて、どう思われましたか?


ハローズが45億円を投じ香川県坂出市に物流センターを新設!

LNEWSによると、ハローズは、先日、資金調達及び株式売出しについて発表しました。

ハローズは、2020年12月25日に新中期経営計画「2125計画」(2022年2月期から2026年2月期まで)を公表しています。
この計画では、新四国物流センター新設による物流拠点網の拡大と効率的な物流体制等を展開し、「生産性の高い会社づくり」を行っていくとしています。

今回の一般募集及び第三者割当増資に係る手取概算額合計上限49億3,008万6,093円については、全額を設備投資資金に充当する予定です。

これらの資金は、店舗新設や物流施設の一部に充てられる予定です。
物流施設では、香川県坂出市に45億円を投じて「四国物流センター(仮称)」を新設する予定です。
着手は2021年8月、完了は2023年1月を予定しています。

広島県が本社のハローズは、我がうどん県(香川県)にもたくさん出店しており、24時間営業で、たまに行きますが、上場企業で設備投資資金を増資でまかなうというのは珍しいと思いますね。
JALやANAもアフターコロナを見据え増資などをしていますが、おそらく、ハローズもアフターコロナやニューノーマルを考えているんでしょうね。
こういう状況だからこそ、コロナで儲かっている企業は積極的設備投資で、雇用拡大など地域にも貢献してほしいと思います。

ハローズが45億円を投じ香川県坂出市に物流センターを新設することについて、どう思われましたか?


JALがコロナ後を見据えた投資のため1,600億円を公募増資!

日本経済新聞によると、日本航空(JAL)は、先日、公募増資などで最大約1,680億円を調達すると発表しました。
新型コロナウイルスで航空需要が急減し、2021年3月期は2012年の再上場後初の赤字となる見通しです。
エクイティファイナンス(新株発行を伴う資金調達)で財務を強化しつつ、効率の高い航空機の導入など、需要回復後を見据えた投資をするようです。

新型コロナで業績が悪化した大手企業が公募増資で資本増強するのは初めてです。
調達額はアサヒグループホールディングスに並んで2020年で最大規模となります。

公募増資は国内外で実施します。
国内が3分の2、海外3分の1となります。
最大で1億株を新たに発行しますが、現在の発行済み株式数(3億3,714万株)の3割にあたります。

調達額のうち1,000億円を投資に、残りの約680億円を有利子負債の返済に充てるようです。
二酸化炭素(CO2)の排出量が少なく、燃費のいいエアバス社の航空機購入に800億円を使い、今後需要拡大が見込める格安航空会社(LCC)事業への投融資に150億円を投じる計画です。

社債の償還や借入金の返済などで2020年度に300億円、2021~2022年度にそれぞれ500億円の資金が必要になります。
調達資金を返済資金の一部に充てます。

新型コロナによって国際線を中心に旅客数の減少は続いています。
2021年3月期の連結最終損益(国際会計基準)は2,400億~2,700億円の赤字(前期は534億円の黒字)になる見通しです。
航空など運輸業界では需要急減で巨額の赤字を計上する企業も多く、優先株や劣後ローンでの資本増強が相次いでいます。

日本航空(JAL)が資本増強で先手を打ちました。
新型コロナウイルスの影響に苦しむ航空業界の中でも相対的に財務は安定しています。
体力があるうちに手を打ち、コロナ後の成長につなげます。

同日記者会見した木藤祐一郎財務部長は「財務的な余力があるうちに調達をして、ポストコロナをけん引する航空会社になりたい」と話しました。
JALは4~9月期に1,612億円の最終赤字を計上しました。
9月末の自己資本比率は3月末に比べて約8ポイント低下し44%となりました。
ただし、ANAホールディングス(32%)や欧米の航空会社よりも高い水準を維持しています。
比較的良好な財務はJALは2010年に会社更生法の適用を申請し、2012年の再上場後から2019年3月期まで繰越欠損金の控除で税負担が少なかったことが大きいようです。
2021年3月末でも自己資本比率は4割を確保できる見通しです。

資本増強を急いだのは、この相対優位を生かすためです。
航空業界は航空機などの設備投資が売り上げに先行します。
新型コロナが収束しても、財務が悪化していると借入金の返済を優先しなければいけなくなります。
JALの有利子負債は半年間で2,237億円増加しました。
自己資本と比べたDEレシオは0.3ポイント悪化していました。
今回の公募増資で得た資金を先を見据えた投資と負債返済にも充て、コロナ後に備えます。
一方、ANAも劣後ローンで資本増強することを発表しています。

しかしながら、調達額は、11月6日の時価総額(6,213億円)の3割と巨額です。
木藤氏は「短期的には既存株主に影響があるかもしれないが、投資を通じて企業価値を上げたい」と理解を求めましたが、11月6日の東証の取引終了後の私設取引システム(PTS)の取引では株価が1割以上下落しました。

新型コロナという不測の事態とはいえ、調達に見合った企業価値の増加につなげられなければ、市場の不信感は高まります。
世界中で感染者数が再び増加するなか、需要減が長期化する懸念も出ています。
調達資金を使って、想定通りに復活への道筋を描けるかが今後、問われることになるでしょう。

動きが早かったなぁという感じはします。
しかしながら、会社更生法の申請により借入金を棒引きしてもらい、相対的に財務体質の良いJALが先にやるのは、モラルハザードはどうなのだろうか?という疑問は残ります。
個人的には、7割経済と言われているように、将来的にもそれほど需要は戻らないと思っていますので、リスキーだなとは感じていますが、今後どうなるかウォッチしていきたいですね。

JALがコロナ後を見据えた投資のため1,600億円を公募増資することについて、どう思われましたか?


大和ハウスが財務基盤の強化ため初の劣後ローンで1千億円調達!

大和ハウス工業は、先日、ハイブリッドローン(劣後特約付きローン)で1千億円を調達すると発表しました。
調達した資金は、コマーシャルペーパー(CP)や社債の償還のほか、物流倉庫などの設備投資に充てるようです。
一部を資本としてみなせる劣後ローンで資金調達するのは同社として初めてです。
不動産開発を積極的に進める一方で財務基盤を強化する狙いです。

大和ハウスは新型コロナウイルスの感染拡大による「巣ごもり消費」などで電子商取引(EC)の急増に対応し、物流施設の開発を積極化しています 。
劣後ローンを初めて活用する背景には、物流倉庫などの投資に伴う資金需要が旺盛な一方、財務内容の健全性も保つ狙いがあります。

ダイワハウスは2020年6月、2022年3月期までの中期経営計画で物流施設などの不動産開発投資を当初計画の3,500億円から6,500億円に増額しました。
一方、有利子負債が自己資本の何倍あるかを示すDEレシオを0.5倍程度とする目標も掲げています。
2020年3月期のDEレシオは土地取得などで0.6倍です。
今後、さらに外部からの資金調達が拡大すれば、目標を達成できない懸念がありました。

今回の劣後ローンでは格付投資情報センター(R&I)と日本格付研究所(JCR)が調達額の50%を資本と認定する予定で財務の健全性の向上につながります。

最近、劣後ローンで資金調達するケースが増えてきていますね。
劣後ローンは、貸借対照表上は負債になりますが、資金調達の際に、金融機関などが資本金とみなしてくれるというものです。
よって、この記事を見て、財務の健全性とか書いていたので、疑問に思ったので、ネットで調べてみると、カラクリがあるようですね。
最近、伊藤レポートなどで、『自己資本利益率』(いわゆるROE)が再び重視されるようになってきているようですが、こちらでは劣後ローンは負債として扱われるため分母に影響なく、一方で、『D/Eレシオ』では、一部が資本金として扱われるため、有利に働くようです。
いわゆる良いところ取りですね。
経営指標にこだわりだすと、経営指標目標を達成するがために本質からかけはなれたことをしたりするケースもありますので、注意が必要ですね。

大和ハウスが財務基盤の強化ため初の劣後ローンで1千億円調達することについて、どう思われましたか?


12兆円規模の企業の資本支援を政府が検討!

日本経済新聞によると、政府が企業向けに検討している資本支援策の枠組みが12兆円規模に達することがわかったようです。
日本政策投資銀行や官民ファンドなどが劣後ローンや株式を取得して。経営を支援したり事業再編を後押ししたりするものです。
新型コロナウイルス拡大の影響で財務基盤が悪化する企業に対し、安全網を広げます。

2020年度第2次補正予算案や財政投融資計画に盛り込むようです。

12兆円のうち約6兆円は政投銀や日本政策金融公庫など政府系金融機関による劣後ローンの活用を想定しています。
劣後ローンの資金調達は増資に近い効果を持ち、格付けの低下を防いだり金融機関の追加融資を受けやすくなったりすることが期待できます。
貸し手が経営に深く関与しないため、企業側も受け入れやすいのです。

残る6兆円は出資などの枠組みに活用します。
大企業・中堅向けには、すでに政投銀が設けている1千億円の出資枠を倍増するほか、産業革新投資機構(JIC)を通じて再編や成長投資に向けた資金を用意します。
中小企業向けには、地域経済活性化支援機構を通じて事業再生や地域ファンドの拡充をはかります。
債権買い取りファンドも整えます。

融資による支援策も強化します。
4月以降も融資需要が増えていることを踏まえ、政府の無利子融資制度などを拡充します。
民間金融機関と合わせて60兆円以上の資金繰り対策の規模を確保する方向で調整します。

政府が企業向けの資金対応を大幅に拡大するのは、コロナを巡る情勢が依然、不透明なことがあります。
現状では多くの日本企業の財務体質は比較的強固で破綻懸念があるわけではありません。
ただし、秋以降も景気悪化に歯止めがかからなければ、健全企業でも財務悪化のリスクがあり、雇用にも悪影響が出かねません。
「資本支援がすべて使われるとは思っていないが、早めに安全網を用意し、企業や市場を安心させる」(政府関係者)狙いがあるようです。

海外でも資本支援を拡充する動きが相次いでいます。
ドイツは大企業向けに1千億ユーロ(約11兆円)の優先株や普通株による出資基金を設立しました。
アメリカやフランスなども航空業界の支援に乗り出しています。

良い制度だとは思いますが、単なる延命や、詐欺的な行為が行われないようにして欲しいですね。
あとは、国が関わるとなると、中小企業が、株主や債権者への決算説明や、決算公告、招集通知、株主総会はどうするのだろうか?とは思います。

12兆円規模の企業の資本支援を政府が検討していることについて、どう思われましたか?


2020年4月から経営者個人保証の二重取り禁止の指針!

 全国銀行協会と日本商工会議所などは、中小企業の経営者が代替わりする際に金融機関が新旧トップから二重に個人保証を取ることを原則禁止するとの指針をまとめました。
経営者保証が負担となって後継ぎが見つからず、廃業に至るのを防ごうとする政府の方針に対応しました。
2020年4月から適用する。

今回の指針策定により、既に決定している商工中金による無保証融資の拡大や国の中小企業支援を含め、政府が2019年6月に決定した成長戦略などで打ち出した事業承継対策が出そろうことになりました。

指針は2014年から運用されている「経営者保証に関するガイドライン」の特則との位置付けで、二重保証の禁止に加え、後継者への保証契約も「慎重に判断すること」を金融機関に要請しました。
中小企業の側には、無保証でも融資が受けやすくなるよう財務基盤の強化や適切な情報開示を求めました。

指針に強制力はありませんが、金融庁が無保証融資の実績公表を金融機関に働き掛けるなど官民で順守を促すようです。
取りまとめを主導した小林信明弁護士は、「中小企業の活性化を図るという公共的な目的で制定した」と意義を強調しました。

そろそろ金融機関には、担保や個人保証を取るのをやめて欲しいですね。
事業の将来性を評価して、将来のキャッシュ・フローを担保に融資ができるようになって欲しいと思います。
そういうことができるようになると、銀行が最近言いたがるコンサルティングの能力が自然に高まるのではないでしょうか?

2020年4月から経営者個人保証の二重取り禁止の指針がまとめられたことについて、どう思われましたか?


スタートアップ企業が医師や教授にストックオプションを付与!

 スタートアップ企業が医師や大学教授ら社外の専門家に、株式を利用した報酬「ストックオプション」(新株予約権)を付与する動きが広がっているようです。
日本経済新聞社の調査では、未上場企業の9割がストックオプションを活用し、うち3割が社外の専門家に付与しているようです。
現金支出の負担を抑えながら、専門性を持つ社外人材の知を生かし、企業価値の向上につなげているようです。

ストックオプションを使えば、現金を常に用意しなくても高度な専門人材を生かせます。
病院向けIT(情報技術)のリンクウェル(東京都港区)は、外部の医師にストックオプションを発行し、新事業としての消費者向け商品を共同研究しています。
金子和真最高経営責任者(CEO)は、「病院に勤めていて社員になれなくても、製品開発に協力してもらえる」と話しています。

日本経済新聞社は、未上場企業の企業価値を調べた「2019年の「NEXTユニコーン調査」で、ストックオプションの施策についても聞いたところ、回答企業の89%となる154社が導入していたことがわかりました。

付与している相手は従業員83%、取締役72%に続いて社外の専門家が27%で、監査役の23%を上回っています。
付与の対象となる専門家の幅が広がっており、半導体メモリーのフローディア(東京都小平市)の場合、大手メーカー出身のエンジニアに付与しました。

イノベーションの創出には最新の技術を取り入れ、現場のニーズを踏まえることが欠かせません。
高度な専門性を持つ人材が年々重要になっており、獲得競争が激しくなっています。

スタートアップ企業は、10年前と比べれば資金を調達しやすくなったとはいえ、創業間もない赤字会社が高い給料を払って正社員を採用するのは依然として難しいでしょう。

大学教授などの安定した職に就く人にとっては、自らの研究成果や現場の経験を新たな技術や事業アイデアにつなげるうえで、転職まで踏み込む必要がありません。

スタートアップ企業が社外の人材とつながる利点は、知見を得られることだけではありません。
電動車椅子のWHILL(神奈川県横浜市)は「人脈が広がる」といっています。
そのことが新事業につながっていくきっかけになります。
ストックオプションが様々な企業のなかで知の交流を生み、イノベーションをけん引する要因となっています。

投資家側の変化が、こうした流れを後押しします。
ベンチャーキャピタルなどは、これまで、ストックオプションに伴う持ち株の希薄化を嫌がる傾向にありました。
上場時などの株売却によるもうけが減るからです。
プルータス・コンサルティング(東京都千代田区)によると、最近は「優秀な人材確保は企業価値の向上につながるとの理解が投資家に浸透しつつある」といっています。

増えていくのは望ましいことだとは思いますが、監査役を上回る水準というのは驚きました。
近年、ベンチャーキャピタルなどから資金を調達しやすくなってきているとはいえ、ベンチャーキャピタルからの出資を嫌がる経営者の方もいらっしゃるでしょうし、資金的には厳しいベンチャー企業が多いでしょう。
そのような中、ビジネスパートナーにストックオプションを付与することは、付与する側にも付与される側にもいいことなんでしょうね。
付与される側も、自分の貢献により、将来、お金になるかもしれないとなると、モチベーションが違うでしょうから。

スタートアップ企業が医師や教授にストックオプションを付与していることについて、どう思われましたか?


クールジャパン機構が株主企業6社に196億円を出資!

 東京新聞によると、政府と民間が資金を出して運営する官民ファンド「海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)」が出資した事業のうち、少なくとも7件が機構の株主企業6社に関連していたことが、取材で分かったようです。
公的資金が株主企業に還流された形で、クールジャパン機構の中立性が揺らぐ可能性があります。
クールジャパン機構の投資先を決める内部組織に、投資先企業の役員がいたことも判明したそうです。
識者は、公的投資の名目で私企業の利益を図る「利益相反」の疑いを指摘しています。

東京新聞は、クールジャパン機構が2014~2019年に公表した出資32件の内容を事業報告などから調べ、株主6社に関係する出資を計7件確認しました。
総額は196百億円で、出資全体の3割にあたるそうです。

株主の出資額の20倍超を支援した例もあるようです。
クールジャパン機構は、2014年9月、中国・寧波への商業施設出店事業に110億円の出資を決めました。
この事業は、クールジャパン機構に5億円を出資する株主の「エイチ・ツー・オー(H2O)リテイリング」(大阪市)が中心を担っています。

利益相反が疑われる出資は、マレーシアにある日系百貨店の改装事業への10億円です。
機構株主の三越伊勢丹ホールディングス(HD)の子会社が事業を請け負いました。
クールジャパン機構が出資を決めた2014年9月当時、投資先を選ぶ内部組織「海外需要開拓委員会」の委員長をHDの社外取締役が務めていました。

政府は官民ファンドに中立的な投資を求めています。
海外需要開拓支援機構法は海外需要開拓委員会の運営に関し「特別の利害関係を有する委員は議決に加わることができない」と定めています。

経済産業省クールジャパン政策課の三牧純一郎課長は、株主が関わる事業への出資7件を認めたうえで、決定に際しては政策的意義や収益性といった政府の支援基準を守っていると東京新聞に説明したようです。
「機構株主と出資先の企業が同じだからといって、ただちに問題があるとの認識はない」と語ったようです。

利益相反の指摘に対しては「出資者を含む利害関係者は支援決定の議論や議決から外れることになっている。マレーシアの案件も当該取締役は議論・議決の場にいなかった」と述べています。

官民ファンド問題を追及している立憲民主党の蓮舫参院議員は「5億円の出資で110億円の支援を受けるのは公金の還流だ」と投資の中立性に疑問を呈しました。

慶応大大学院の小幡績准教授(企業金融)は「官民一体という構造上、政府が機構の株主に一定の配慮をしなければならず、結果的に利益相反が生まれる。公金が使われる以上、国民に疑問を持たれる余地があってはならない」と語っています。

クールジャパン機構は日本文化の発信で成長が見込める企業に投資しています。
2019年9月現在、政府が756億円、民間23社が計107億円を出資しています。

<官民ファンド>
リスクが高く、民間だけでは資金を調達できませんが、成長が見込めそうな企業の株を買う機関です。
株の売却益や配当が出れば出資者に配るが、事業の失敗で資金を回収できないこともあります。
2012年発足の第2次安倍政権が成長戦略に掲げ、全14のうち10ファンドを新設しました。
クールジャパン機構は2013年11月に発足したものの、業績不振が指摘され、2018年度末の累積損失は179億円となっています。

農林水産省所管のA-FIVEもそうですが、国が主体となってファンドをやるとろくなことがないですね。
国民におかしいなと思われても、問題がないと思っているようですし、どんどん累積損失が膨らんでいくでしょうから、早くやめた方がいいですね。
数億円も出資できるのであれば、自社でやればいいのではないかと思います。

クールジャパン機構が株主企業6社に196億円を出資していたことについて、どう思われましたか?


ペッパーフードが新株予約権を発行して69億円調達を想定!

 「いきなり!ステーキ」はペッパーフードの連結売上高の8割強を占める主力事業ですが、既存店売上高は20か月連続で前年同月を下回っています。
ステーキ店「いきなり!ステーキ」を展開するペッパーフードサービスは、先日、行使価格修正条項付きの新株予約権を発行すると発表しました。
69億円の調達を想定していますが、金額が増減する可能性があります。
調達した資金は新規出店などで膨らんだ借入金の返済や広告宣伝費などに充てるそうです。

割当先はSMBC日興証券で、新株予約権のすべてを行使すると520万株になります。
2019年6月末時点の発行済み株式の24.74%にあたります。
払込日は2020年1月15日、当初の行使価格は1,332円で、この価格での調達額は69億円となります。
ただし、株価に応じて調達額は変化します。
2019年12月27日の終値は1,294円でしたが、発行価格の下限は666円で、上限はありません。

69億円を調達した場合、48億円を借入金の返済に充てるそうです。
2019年11月末の借入金の総額は87億円でした。
また、13億円をテレビコマーシャルなどの広告宣伝費に充てるようです。

また、みずほ銀行など金融機関から計41億円を2019年8~9月に借り入れたと発表しました。

いきなり!ステーキはペッパーの連結売上高の8割強を占める主力事業です。
ただし、既存店売上高は2018年4月から20か月連続で前年同月を下回っています。
2019年12月期の連結最終損益は25億円の赤字(前期は1億2,100万円の赤字)になる見通しです。

財務体質も悪化しており、2016年12月期に30%だった自己資本比率は、2019年1~9月期末時点で5%まで低下していました。

個人的には、どこかに買収されるのではないかと思っていましたが、とりあえずはSMBC日興証券への新株予約権の発行ということになりましたね。
これで足りるとは思いませんが、今後、どう立て直していくのか、ウォッチしていきたいと思います。

ペッパーフードが新株予約権を発行して69億円調達を想定していることについて、どう思われましたか?


農林水産省所管の官民ファンドA-FIVEが廃止へ!

 農水省は、先日、農水省所管の官民ファンド、農林漁業成長産業化支援機構(A-FIVE)を廃止すると発表しました。
2020年度末で新規投資業務を終了し、早期解散を目指すようです。
廃止の理由について、江藤拓農林水産大臣は閣議後会見で、「計画通りの累積損失を回収し、収益を確保することは困難と判断した」と述べました。

2020年度当初予算案では、関連予算の要求を取り下げ、今後、新たな予算要求はしない方針です。

後継組織について、江藤農林水産大臣は「今のところ考えていない」とする一方、「国が関与した出資が必要という声が上がった場合には、考えることもあるかもしれない」と述べました。

A-FIVEは2013年、官民共同で設立された投資組織です。
出資額は国が300億円、民間企業が19億円です。
投資が想定どおり進まず、累積赤字が2019年3月末時点で92億円に膨らんでいました。

既に交渉中の投資案件があることから、2020年度は投資決定を継続します。
2019年4月時点では、当初の事業期間が2032年度末までだったことを踏まえ、2026年度末まで投資決定する計画でした。
出資先から回収を完了するなど一定の条件が整った段階で解散します。

農林水産省は、累積赤字が膨らんだ原因について「6次産業化は投資対象として小規模な一方で、同機構がそれに見合った組織規模ではなく、投資実績に対して高コストだった」(産業連携課)と指摘しました。
地銀などと共同で出資するサブファンド方式も取り入れていましたが、「その仕組みもうまく機能しなかった」(同)。
専門家による原因の検証を始めるようです。

国が主体となってファンドをやるとろくなことがないですよね。
やはり、ファンドは事業の将来性の分かる方がいないとうまくいくはずはないと思いますし、失敗しても責任を取らない国の方が主体となるとうまくいくはずはないですよね。
日本を代表する経営者の1人であるソフトバンクグループの孫さんですら、ファンドはうまくいっていないわけですから。
税金の無駄遣いをせずに、もっと有効に使って欲しいと思います。

農林水産省所管の官民ファンドA-FIVEが廃止されることについて、どう思われましたか?


借入金利が全国で最も低いのは我が「うどん県」!

 日本銀行によるマイナス金利政策の継続により、企業を取り巻く金融環境はこれまでにない低金利の時代に突入しています。
競争が激化する地域金融機関においても、その過半数で本業利ざや(貸出金利息-預金利息)が減少するなど銀行経営に影響を及ぼし、近時は SBI グループとの連携や地銀再編機運も高まりを見せています。
五輪を控えて堅調な建設業界や、設備投資意欲の旺盛な運輸・倉庫業者など資金需要は見込めるものの、リスケジュール対応を受けながらも再建が進まない企業も多く見受けられます。
消費税引き上げによる企業へのダメージを懸念する声も聞かれるなど、企業の金融環境への注目度は高くなっています。
このようななか、帝国データバンク高松支店は、2019年10月末時点の企業財務データベース「COSMOS1」を用いて、四国地区に本社が所在する企業の平均借入金利を算出し、集計・分析しました。

<平均借入金利>
2018年度の四国地区4県の平均借入金利は、我が「香川県」が1.13%(前年度比▲0.09pt)で最も低く、「愛媛県」1.26%(同▲0.08pt)、「徳島県」1.37%(同▲0.07pt)、「高知県」1.39%(同▲0.06pt)と続きました。
また、我が「香川県」と「高知県」の平均借入金利の格差は0.26pt となり、四国地区内においても温度差がみられました。
企業の借入金利は、2007年度~2008年度にかけてピークとなり、リーマン・ショックや日本銀行の金利政策もあって2009年度以降は各県において低下が続いています。
なお、全国の平均借入金利は1.37%(前年度比▲0.08pt)となりました。

全国で最も借入金利が低かったのが我が「香川県」となり、県外金融機関の進出などで競争の激しさがうかがえます。
2018年度の四国地区4県の平均借入金利について、10年前の2008年度と比較すると、「愛媛県」が▲1.10pt と低下幅が最も大きくなっています。

次いで、「高知県」(▲0.96pt)、「徳島県」(▲0.95pt)、我が「香川県」(▲0.93pt)の順に続きました。
低下幅を「全国」(▲0.93pt)と比較すると、我が「香川県」のみ同水準ながら、その他の3県は「全国」よりも大きくなっています。

<業種別>
業種別にみると、主要6業種で平均借入金利が最も低かったのは、「製造業」(0.94%、我が香川県)で、唯一、1%を切っています。
なお、「愛媛県」を除く3県で「製造業」が低い傾向となりました。
一方、平均借入金利が最も高かったのは、「建設業」(1.64%、高知県)で、4県とも「建設業」が最も高くなっています。
「全国」との比較では、「製造業」「サービス業」において、四国4県いずれも「全国」を下回りました。

今回の調査で、四国4県の企業の平均借入金利は2018年度も低下傾向にあることが判明しました。
なかでも我が「香川県」は、全国都道府県別で最も低い金利となりました。
我が「香川県」の平均借入金利は、四国地区で最も高い「高知県」とは0.26pt、全国で最も高い「沖縄県」とは0.70ptの差があり、企業を取り巻く金融環境は地域の特性によって差異が生じている状況がうかがえます。
今後も借入金利は低水準で推移するとみられますが、世界景気の悪化により変動する可能性もあり、企業と金融機関の関係性や企業経営そのものを左右する金利の動向が注目されます。

数年前から我が高松市は日本で一番金利が安いというのは、時々耳にしますが、うどん県全体でもそうなんですね。
とある地銀がかなり安い金利で融資の獲得に走っていたのもあると思いますが、我が香川県の企業は借入先が多いとも昔から言われていますので、そういったところも影響しているのかもしれませんね。

借入金利が全国で最も低いのは我が「うどん県」であることについて、どう思われましたか?


「資本コスト」を話せますか?

 「御社が前提とする資本コストは何%ですか」「その資本コストに見合う事業でしょうか」。
そんなやりとりが、上場企業と投資家のあいだで増えていくかもしれません。
金融庁と東京証券取引所が進める企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)の見直しで、2018年、資本コストという考え方が明確に盛り込まれたからです。

借りたお金には利子がかかります。
利子を上回るもうけがなければ、そのビジネスを続ける意味はありません。
それを株式にもあてはめて考えるのが資本コストです。
株主も最低限のリターンを求めているはずで、それ以上にもうけなければ企業は価値を生んでいない、とファイナンス理論では考えるのです。

経営戦略づくりも資本コストへの意識を、持ち合い株も資本コストを上回るメリットがあるか考えてとのメッセージが、見直しには込められています。
資産を無駄に抱えず、効率的にもうけてくれれば株式市場の評価も上がるとの期待があるのです。

とはいえ、いざ資本コストを数値に落とし込むとなるとことは単純ではありません。
理論的には資本資産評価モデル(CAPM)、配当割引モデルの2つが算出法の代表なのですが、実はどちらも前提の置き方次第で大きく数値が変わってくるのです。

前者は自社の株価の変動性をどうとらえるか、後者は配当が将来何%ずつ伸びると想定するかで、数値が揺れます。
「うちはどう計算すべきか」と慌てた問い合わせが、幹事証券などに舞い込んでいるようです。

経営側と投資家が双方、腑に落ちない数字がまかり通っても意味はありません。
数字に縛られすぎると、経営戦略が縮こまり、大胆さを失うかもしれません。
一方で、数値達成を急ぐあまり無理な背伸びを誘発するかもしれません。

資本コストで追い立てられる議論より前に、経営側に必要なのは、しっかりと稼ぐ堂々たる収益のビジョンと戦略です。
そして、きちんと理解し評価できる投資家側の見識も求められるのです。

株価算定(バリュエーション)の仕事をしている方は、『資本コスト』は当然知っている話ですが、一般の方には、なかなか難しいかもしれませんね。

代表的なところでも、支払利息は損金となりますが、配当は税引後利益から支払うため損金とならないといったようなことがあります。
これを契機に、『資本コスト』が少しでも浸透し、考慮されるようになればいいですね。

「資本コスト」を話せますか?について、どう思われましたか?


金融庁が経営者保証の共通指標を導入!

 金融庁は、銀行が中小企業の経営者から取っている経営者保証の状況を比較できる共通指標を来夏から導入し、開示を求めるようです。
企業が事業承継する際、新旧経営者の双方から保証を取り続ける「二重徴求」のケースもあります。
銀行に不要な保証を求めないよう促し、保証が負担となって事業承継を断念し、廃業してしまう事態を防ぐのが狙いです。

対象は大手銀行と地方銀行、第二地方銀行です。
新規融資分のうち経営者保証を求めなかった割合や、事業承継時の新旧経営者の保証件数などを指標化し、半期ごとに開示させるようです。

政府は2019年6月に閣議決定した成長戦略で、銀行による経営者保証の状況を指標で「見える化」することを打ち出しており、2019年度の「二重徴求」を含めた保証の状況を明らかにします。

金融庁の調査では、全国の地銀105行のうち、事業承継時に新旧経営者から二重に保証を取っていたケースは、調査を始めた2016年度下期は46.2%でした。
その後、2017年度下期は36.5%、2018年度上期は19.3%と減少傾向にあります。

銀行側は「経営者への借入金返済の規律付け」として経営者保証を取っており、取引状況や融資判断によっては難しい対応を迫られるでしょう。

金融庁は担保や保証に過度に依存せず、事業内容や将来性を見極めて取引するよう銀行を点検します。

そもそも二重取りというのはおかしいと思いますが、金融庁が動くのは良いことだと思います。
事業承継のネックになるものの一つが経営者保証だと思いますので、良い方向に改善されて欲しいです。
疑問なのは、なぜ、信用金庫などは入っていないのでしょうか?
金融機関も手数料ビジネスに走るのではなく、将来のキャッシュ・フローを見極る目を高めて、将来のキャッシュ・フローを担保に融資をして欲しいと思います。

金融庁が経営者保証の共通指標を導入することについて、どう思われましたか?


ユニバーサルミュージックへの課税取り消し判決!

 会社組織の再編に伴うグループ間の資金調達を巡り、約58億円を追徴課税した東京国税局の処分を不服として、大手レコード会社「ユニバーサルミュージック」(東京・渋谷)が処分取り消しを求めた訴訟の判決が、先日、東京地方裁判所でありました。
清水知恵子裁判長は、ユニバーサルミュージックの主張を認め、処分を取り消しました。

ユニバーサルミュージックは、フランス親会社の組織再編の一環で、海外の関連企業から資金を借り入れ、利子を支払いました。
国税局は、利子が関連企業への利益移転にあたるとして、2012年12月期までの5年間で計約181億円の申告漏れを指摘し、約58億円を追徴課税しました。

判決で清水智恵子裁判長は、組織の再編や借り入れには「経済的合理性がある」と判断しました。
ユニバーサルミュージックにとって大規模な資金調達が可能になるメリットがあり、国の処分は違法と結論づけました。

東京国税局は「国の主張が認められず大変遺憾」とコメントしました。

ここ数年、国税局は安易に否認しすぎているような気がします。
一部メディアによると、この事件をきっかけに税制改正を行っているので、国側は負けても痛くないということが書かれていますが、訴訟に負ければ、改正も取り消してほしいですね。

ユニバーサルミュージックへの課税取り消し判決について、どう思われましたか?


フラット35で「住む」と偽り賃貸用にして悪用し不動産投資!

 1%程度の固定低金利で長年借りられる住宅ローン「フラット35」を、不動産投資に使う不正が起きていることがわかったようです。
ローンを提供する住宅金融支援機構も「契約違反の可能性がある」とみて調査を始め、不正を確認すれば全額返済を求める方針です。

不正が見つかったのは、東京都内の中古マンション販売会社が売った物件向けのローンです。
元男性社員(50)が朝日新聞の取材に応じ、「フラット35を投資目的で使ったのは、昨年6月までの約2年間に売った150戸前後。仲間の仲介業者らと一緒にやった。このしくみでトップセールスマンになれた」と証言しました。
販売会社は2018年夏にこの社員を懲戒解雇し、2018年秋までに機構へ届け出ました。
利用客の一部も、機構から事情を聴かれています。

元社員が関与した不正な融資の顧客は20代~30代前半の若者を中心に100人超です。
融資額は1人2千万~3千万円ほどで、計数十億円規模になります。
不動産業者らがお金に困った若者らを、投資セミナーやネット上で勧誘したとみられます。
機構によると、こうした不正が大規模に発覚した例はないそうです。
同様な手口がほかの業者でもあれば、不正はさらに広がるでしょう。

元社員によると、利用客は年収300万円台以下の所得層が大半で、200万円前後の借金を抱える人も多かったようです。
「借金を帳消しにして不動産も持てる」などと勧誘していました。
利用客はマンションの賃貸収入でローンを返します。
本来は投資用なのに「住む」と偽って融資を引き出す手口で、不動産業界では「なんちゃって」と呼ばれているようでs。

フラット35を借りる際、利用客は不動産業者を経由し、機構の提携先の取り次ぎ金融機関に申し込みます。
業者らは本来の売却額を数百万円水増しした契約書を提出し、物件価値を上回る融資引き出しの不正もしました。
その分は借金の肩代わりや、利用客を探したブローカーへの紹介料などに充てていました。

融資の審査は金融機関や機構が担いますが、不正はチェックのすきをつかれました。
利用客は業者の指示で、本人の居住を示すために当初だけ物件に住民票を移し、ほどなく元に戻します。
また、機構からの郵便物は転送させるなどして発覚を防いでいましだ。

機構は政府が7千億円超を全額出資する独立行政法人で、自らは直接貸さず、取り次ぎ金融機関に融資実務を担ってもらい、その債権買い取りで資金を出しています。

機構のローンを巡ってはこれまでも融資金をだまし取るなどの不正が続発しています。
会計検査院が2012年、十分な審査態勢を金融機関とともに築くように求めました。
機構は今回の不正を踏まえ、フラット35が投資目的で使えないことを強調するなど対策に着手し、「必要に応じて審査態勢をさらに強化する」そうです。

<フラット35>
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)が民間銀行などと連携して提供する住宅ローン。
国民の住宅取得を支えるため、低い固定金利で最長35年間借りられます。
転勤などで入居途中から賃貸に回すことは認められますが、当初から投資目的で借りると融資契約に違反します。
住宅ローンは不動産投資向けローンと比べ、金利が低くなっています。

ひどい話ですね。
こういうことがあると、結局、税金で負担することになってしまいますからね。
もちろん、やった本人や、それに気づかなかった中古マンション販売会社に責任があると思いますが、機構の手続きなどにも不備があったのだろうと思います。
貸したら終わりではなく、きちんとルールを守っているかどうかを事後的にチェックする仕組みが必要でしょうね。
そうしないと、機構の存在意義が問われるのではないでしょうか?

フラット35で「住む」と偽り賃貸用にして悪用し不動産投資をしていたことについて、どう思われましたか?


ASBJは自社発行の仮想通貨会計ルールを当面策定せず!

2018年03月16日(金)

日本の会計基準をつくる企業会計基準委員会(ASBJ)は、先日、企業が自社で発行した仮想通貨の会計ルールを当面策定しない方針を決めました。
仮想通貨技術を使った資金調達(ICO=イニシャル・コイン・オファリング)などを念頭に「実態を網羅的につかめていない」ためのようです。
3月中旬をメドに、自社以外が発行した仮想通貨のみを対象にルールをまとめるようです。

ASBJでは、仮想通貨の保有や売買をした際の会計処理について議論し、2017年12月に草案を公開しました。
自社で発行した仮想通貨については議論の範囲外としており、パブリックコメントも踏まえ、草案の適用範囲から自社発行の仮想通貨を除外することとしました。

ちなみに、ICOは企業が「トークン」と呼ぶデジタル権利証を発行し、事業に賛同する投資家がビットコインなど広く流通する仮想通貨で買い取る仕組みです。

既に上場企業の子会社で、ICOを使う企業が出ているのに、見送り(先送り)はどうなのかなぁと思います。
安易に自己資本を増やせるものになってはいけないと考えますし、会計基準の公表により、過去の会計処理が違っていたということになりかねないと思いますし、過度に監査法人に負担を与えることになるのではないかと憂慮されます。
過去に、業績の悪い企業が資金調達を通じて不正を働いていたケースもあると思いますので、早めに会計基準を作ってほしいですね。

ASBJは自社発行の仮想通貨会計ルールを当面策定しないことについて、どう思われましたか?


食品スーパー「オーケー」の有価証券報告書が面白すぎる!

 東洋経済によると、食品スーパー「オーケー」の有価証券報告書が面白すぎるそうです。
「勝つために何をするか、道は解かっています」「売上予算の達成を重視し、英知を集めて対応します」「競争には絶対に勝つ」など、株主に直接呼びかけるような表現で埋め尽くされているのです。

神奈川県や東京都など首都圏に113店(20189月末時点)の食品スーパーを運営するオーケーは、「毎日が低価格(エブリデー・ロー・プライス)」を掲げ、チラシはまかない、値上げの理由などの商品情報を店内に「オネスト(正直)カード」として掲示するなど、独自の運営方法で知られています。
低価格がウリながらも利益率は業界平均以上で、業界でも一目置かれる存在です。

そのオーケーの発行する有価証券報告書(以下、『有報』といいます。)の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」が、また独自なのです。
冒頭に引用した一節のように、株主に直接呼びかけるような表現で埋め尽くされているのです。

<紋切り型の説明はしない>
オーケーは未上場会社ですが、株主数が多いため、有報の提出義務があります。
オーケーの有報は、金融庁が所管する電子情報開示システム「EDINET」で閲覧できます。
一般的に、有報における「対処すべき課題」は紋切り型で、通り一辺倒の内容になりがちです。
「当連結会計年度における国内経済は~」から始まって、フォーマットが決まっているかのような表現が続くことが多くなっています。
しかしながら、オーケーは違うのです。
終わった期の振り返りに加え、次期予想も数字を明示して説明しています。
青果、精肉、水産、総菜の各部門の状況と、認識している課題と対応策などが書かれています。
「お友達宅配(という施策)はご利用が少なく見直しています。宅配手数料10%に抵抗があるようで、思慮が足りなかったと反省しております」「ネット販売でも『エブリデー・ロー・プライス』を実現するのが大きな課題ですが、やりがいもあります」といった調子です。
売り場を知り尽くした経営者でなければ語れない内容が、平易な言葉で、既存店実績など必要な数字も折り込んで説明されており、個人投資家はもちろん、プロの機関投資家も歓迎するであろう内容です。
それもそのはずで、同欄を書いているのは、創業オーナーである飯田勧代表取締役会長本人だそうです。
飯田会長が草稿を書き、二宮涼太郎社長などとやりとりをしてまとめているようです。
オーケーは毎年4月に取引先を集めた「オーケー会」と呼ばれる会合を開いています。
実は有報の「対処すべき課題」は、その際のスピーチ原稿を活用したものです。
新年度にあたりその年の会社方針を取引先に説明したもので、平易な表現で具体的な施策が並ぶのは、そうした理由もあるのです。

<閉店知らずで31期連続増収>
オーケーの業績は好調です。
31期連続で増収が続いており、同社が重視する経常利益も年によって多少のでこぼこはありますが、基本的なトレンドは右肩上がりです。
低価格ゆえに粗利率は同業他社よりも低いですが、販売経費を絞り込むことで、同業他社よりも格段に高い営業利益率を確保しています。
1982年以降に開業した店舗では、移転拡張や老朽化による閉店はあっても、業績不振での閉店は皆無です。
そのオーケーが最も重視する経営指標は売上高だそうです。
トップラインを重視する企業は今や珍しいですが、採算を確保する施策を徹底していれば、トップラインの上昇に利益はおのずとついてくるという発想のようです。
創業以来の飯田氏の信念は、トップラインを上げるために1人でも多くのオーケーファンを作るということです。
そのファン作りの施策の一つが「オーケークラブ」です。
入会すると食料品について約3%相当の割引が受けられる、いわゆる友の会的組織です。
流通業の一般的な会員組織は、顧客が割引などの特典を受ける代わりに自らの情報を提供、企業側が情報を分析してマーケティングなどに生かすといったギブアンドテイクの関係が成立しています。
一方、オーケークラブは、郵便番号の登録と200円の手数料のみで入会できます。
顧客側が一方的に得をしていることになりますが、「ファンを増やすことが目的なので、損をしている認識はない」(二宮社長)そうです。
ファン作りという姿勢は資本政策にも現れています。
オーケーでは2007年~2009年にかけて、計3度、種類株式を発行しています。
応募資格をオーケークラブの会員である個人に限定し、証券会社による引受を付けず、応募はオーケーが直接、店頭で受け付けたのです。
オーケーの株主数は、普通株式で法人77に対し個人が257人で、これだけでも未上場会社としてはかなりの数ですが、これに種類株式の延べ5,647、うち個人株主の5,638が加わります。

<株主になってもらい「同じ船に乗る」>
種類株の調達総額は、3回合計で73億円強でした。
販管費35日分程度の金額でしかないので、顧客に株主にもなってもらう趣旨だったことは間違いありません。
種類株式は議決権こそついていませんが、配当順位も残余財産の分配順位も普通株式と同順位です。
直近の配当性向は18%で、「世の趨勢に合わせて、少しずつ高めている」(二宮社長)そうです。
1株当たりの発行価格は20077月発行分が2,500円、20089月発行分が3,07480銭、20099月発行分が3,53020銭です。
算定方式は直前半期の経常利益の55%を2倍し、発行済み株式総数(普通株式と種類株式の合計)から自己株式を差し引いた株数で割り、それを17倍しています。
つまり、1株当たりの税引後の経常利益の17倍です。
特別損益を考慮しないので当期純利益ではなく経常利益を使いますが、税金は考慮するので経常益の55%、それの17倍ですから、感覚的にはPER(株価収益率)が17倍ということでしょう。
株主は自由に株を売買することはできませんが、発行翌年から1月と7月の年2回、会社に取得請求できます。
この際の算定方式も発行時と同じで、直近半期の経常利益が79.8億円(単体ベース)だったので、現在の買い取り価格は、ざっと5,400円程度となります。
種類株主はオーケーの成長によって、配当だけでなく、それなりの果実を得ていることになります。
オーケーの普通株主には取引先が多く、「株主になってもらい、取引先、そしてお客様と一つ同じ船に乗る」(二宮社長)そうです。
もっとも、種類株式について議決権までは与えていないところは手堅いですね。
現時点では新たに種類株式を発行する計画はないそうです。
オーケーは株主に送付している事業報告書にも、有報と同じ文章を載せています。
有報はプロしか読まないでしょうが、事業報告書は個人株主でも普通に目を通します。
有報も事業報告書もプロが読むものという発想から脱却し、個人にもわかりやすい情報開示を心掛けています。
自社製品の優待の次の一手として、ファン株主を増やしたい上場企業にとっては大いに参考になるのではないでしょうか?

僕自身2007年から2011年まで東京に住んでいて、「オーケークラブ」に入り、隣の駅のオーケーで買い物をしていました。
動線がよく、安いんですよね。
上記種類株式は、僕が東京に住んでいた時に発行しており、おそらく何かの事情で応募しなかったのだと思いますが、募集していたのを見て、どうするか検討したような記憶があります。
大学院で有報を使った授業をしている僕としては、ものすごく親近感を覚えるとともに、とても新鮮な気分になった有報でした。

食品スーパー「オーケー」の有価証券報告書が面白すぎることについて、どう思われましたか?


上場企業は仮想通貨による資金調達に慎重な対応を!

 日本取引所グループ(JPX)の清田瞭・最高経営責任者(CEO)、先日の定例会見で、仮想通貨を発行して資金調達するICO(イニシャル・コイン・オファリング)について「海外では詐欺的なものが多いと報道されている。上場企業によるICOは慎重にすべき」との見方を示しました。
 ICOは、「トークン」と呼ばれる仮想通貨を発行すれば迅速に資金調達できるメリットがあり、世界的に利用が伸びています。
 日本の上場企業でもICOを検討する動きが出ていますが、利用者保護の観点から法規制すべきだとの声が与党議員から上がっているようです。
 また、JPXは、保有するシンガポール取引所(SGX)株式5,3051,000株について、3年程度をかけて売却すると発表しました。
 SGXの株式は東京証券取引所が2007年に約370億円で取得しましたが、保有を続ける合理性を検証した結果、協力関係維持のために必ずしも保有し続ける必要はないとの結論に達したようです。
 清田CEOは、会見で「株を売るから協力関係をやめるということではない」と述べました。
 JPX自体上場しており、国際会計基準を採用しているため、保有株の売却で発生する損益は貸借対照表の利益剰余金に振り替えられます。
 20193月期以降の連結業績への影響はありません。
 個人的には、清田CEOの発言に同意します。
 株主が、仮想通貨で予期せぬ不利益を被らないようにしてほしいですね。
 上場企業は仮想通貨による資金調達に慎重な対応をと日本取引所グループの清田CEOが発言したことについて、どう思われましたか?

仮想通貨を用いた資金調達(ICO)に監査法人も困惑!

2018年02月09日(金)

最近、世間を賑わせている『仮想通貨』ですが、『仮想通貨』を用いた資金調達『ICO』が国内外で広がっています。
ただし、その会計処理についての明確な指針がまだありません。
週刊東洋経済によると、1月15日に東京証券取引所に提出されたある開示資料が市場関係者をざわつかせているようです。
決済代行サービスなどを手掛けるIT企業であるメタップス(東証マザーズ上場)が提出した、韓国子会社のICO(イニシャル・コイン・オファリング=仮想通貨を用いた資金調達)をめぐる資料です。

それによれば、メタップスは、2017年9月〜11月の四半期報告書の提出期限延長を申請しています。
今回のICOの会計処理について追加的な検討を行うためです。
さらに翌日、メタップスは、資料の一部を訂正し、「監査法人との協議の結果」という文言を削除し、協議がまだ終わっていない点を強調しました。

ICOの直訳は「新規コインの売り出し」です。
新規事業を始めたい企業などが「トークン」という独自の仮想通貨を発行し、投資家に販売して資金を集めます。
トークン購入に使えるのは、ビットコインやイーサリアムといった主要な仮想通貨で、ICO実施者が指定します。

メタップス子会社の場合、同社が新たに韓国に設立する仮想通貨取引所「コインルーム」の拡大に向けICOを実施し、2017年10月までにイーサリアムで約11億円(1月25日の時価で約39億円)を調達しました。

ICOは「資金調達」の一種といわれますが、IPO(株式新規公開)などとは手法や特徴が異なります。
ICOの場合、トークンは仮想通貨取引所で売買できるため、投資先のサービスが発展すれば売却して利益を得られる可能性もあります。

上場企業傘下のICOはメタップスが世界初です。
会計上の扱いについては、メタップスが採用する国際会計基準はもちろん、日本基準にも明確な指針がありません。

メタップスは「受領した対価(仮想通貨)は将来的に収益として認識する」方針です。
ICO直後は暫定的に流動負債の「預かり金」として計上しましたが、2017年11月のコインルーム設立と同時にホワイトペーパー(資金使途などを示す文書)の定める利用者への返還義務がなくなったとして、将来の収益認識を前提とする「前受金」へと計上し直しました。

しかしながら、この返還義務の有無には議論の余地が残ります。
韓国では今、仮想通貨の取引禁止を含む規制の議論が過熱しています。
コインルームの発展性や継続性に不安が増す中で返還義務が消滅したと言い切るのは容易ではないでしょう。

そもそも仮想通貨は現金と同様に扱えるのかという論点もあります。
2017年12月には、韓国でハッキングによる仮想通貨喪失が発生し、メタップスの監査法人は、専門家による情報セキュリティに関する追加検討や、メタップスが保有する仮想通貨残高を適時に確認する手続きの検証が必要だと会社側に説明しているようです。

ICOの波は、各国の上場企業に広がる可能性もあります。
メタップスのケースはICOの会計処理の“前例”となります。
四半期報告書の提出期限は2月15日で、その内容に注目が集まっています。

監査法人は、PwCあらた有限責任監査法人ですが、担当者は大変でしょうね。
今後も、仮想通貨がらみの取引はどんどん出てくると思いますが、頭を悩ましそうですね。

仮想通貨を用いた資金調達(ICO)に監査法人も困惑していることについて、どう思われましたか?

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福島県国見町が「企業版ふるさと納税」めぐり初の認定取り消し!

NHKによると、「企業版ふるさと納税」をめぐり、福島県国見町に寄付をした会社の子会社が事業を受注したことは便宜供与にあたるとして、内閣府は、対象となった町の計画の認定を取り消しました。

「企業版ふるさと納税」をめぐる認定の取り消しは初めてです。

「企業版ふるさと納税」は地方創生につながる自治体の事業に企業が寄付した場合、法人税などが軽減される制度です。

内閣府によると、福島県国見町は令和3年度から「企業版ふるさと納税」を活用して「高規格救急車」を研究・開発し貸し出す計画を作成しました。

これについて内閣府が調査した結果、寄付をした会社の子会社が事業を受注したことが確認され、町はこの子会社が受注する可能性が高いことを認識しながら公募の条件を設定していたということです。

このため「町が寄付をした会社に対して便宜供与を行った」と結論づけ、先日、町の計画の認定を取り消しました。

「企業版ふるさと納税」をめぐる認定の取り消しは初めてです。

制度を所管する伊東地方創生担当大臣は記者会見で「今後、本事案なども踏まえ、制度の健全な発展の観点から、必要な改善策を検討していく」と述べました。

最近、税理士関係の研修などを受けていると、『企業版ふるさと納税』が徐々に使われるようになっているとよく耳にするので、今後、地方にとって有効な寄付がどんどん出てくれば良いなぁと思っていたのですが、このような事件が出てくると、悪いイメージが付くので、非常に残念に思います。

自社のためではなく、地方のために寄付をして欲しいですね。

福島県国見町が「企業版ふるさと納税」めぐり初の認定取り消しとなったことについて、あなたはどう思われましたか?


新型コロナ融資の手続き代行で約6,700万円を脱税か?

NHKによると、大阪市でエステ店を経営する会社の社長が、新型コロナウイルス対策の公的融資の手続きを代行するなどして得た所得を申告せず、法人税などおよそ6,700万円を脱税した疑いで大阪国税局から告発されたことが関係者への取材で分かりました。

告発されたのは、大阪市西区でエステ店を経営する会社と社長(42)です。

関係者によると、この会社はエステ店を経営しながら、新型コロナ対策の公的融資の手続きを代行して手数料を得ていましたが、こうした所得を申告していなかった疑いがあるということです。

この融資は新型コロナで影響を受けた医療機関や福祉施設に対し、「福祉医療機構」が1億円を上限に無利子で貸し付けていたもので、会社は手続きの代行でエステとは別に売り上げを増やしていたということです。

大阪国税局は、2021年7月までの1年間でおよそ2億6,500万円の所得を申告せず、法人税などおよそ6,700万円を脱税したとして、会社と社長を法人税法違反などの疑いで大阪地方検察庁に告発しました。

関係者によると、脱税で得た金は、社長の自宅マンションの購入費などに充てられたということです。

エステ店をやっている会社が、公的融資の手続きを代行をしているんですね。

どうやって、顧客を獲得しているのか興味があります。

何件くらいやっているのか分かりませんが、1年間で2億6,500万円というのはスゴいですね。

それを申告しないというのも、スゴいと思いますが。

新型コロナ融資の手続き代行で約6,700万円を脱税していたことについて、あなたはどう思われましたか?


1億9,300万円を申告せず法人税4,800万円脱税の疑いで東京国税局が広告会社と代表らを告発!

読売新聞によると、法人税約4,800万円を脱税したとして、東京国税局が広告会社(東京都中央区)と同社の代表取締役(31)、父親(61)を法人税法違反容疑で東京地検に告発したことがわかったようです。

関係者によると、同社はインターネットの動画広告の制作などを手がけ、2020年8月期に約1億9,300万円の所得を得ましたが、税務申告をせずに法人税約4,800万円を脱税した疑いです。

隠した所得の大半は、父親が自宅や貸金庫に現金で保管していたようです。

読売新聞は2人に文書で取材を申し込みましたが、回答はなかったそうです。

約2億円の所得ってスゴイですね。

なぜ申告をしないのか分かりませんが、周りにアドバイス等する人がいないんですかね。

こういう事件を見ると、無申告の法人などが分かるような仕組みが必要なのではないかと思いますね。

申告をしていなかったり、納税をしていなかったりする企業などとは取引をしたくない企業や個人も多いでしょうから。

1億9,300万円を申告せず法人税4,800万円脱税の疑いで東京国税局が広告会社と代表らを告発したことについて、あなたはどう思われましたか?


JTの1,200億円の配当返還に「税負担なし」と国税当局が伝達!

日本経済新聞によると、日本たばこ産業(JT)が海外子会社から受け取った約1,200億円(8億ドル)の配当を返還したことを巡り、税負担は生じないとする見解を国税当局が同社側に伝達していたことが、先日、関係者への取材で分かったようです。

課税対象になれば、JTから多額の資金が流出して財務が悪化する恐れがあり、当局の判断が注目されていました。

JTは2023年8月にオランダの子会社と孫会社を合併させ、存続会社となった旧孫会社から配当8億ドルを受け取りました。

しかしながら、2023年12月に同額を旧孫会社に返還したのです。

巨額の配当金返還は、極めて異例でした。

JTは当時、返還理由を「グループ内の現金保有量の最適化等」と開示していました。

2009年度の税制改正で、海外子会社からの配当収入は一定要件を満たせば95%が非課税(益金不算入)となります。

ただし、子会社株式の25%以上を6か月以上保有することが要件です。

ところが、JTは旧孫会社の株式を直接持っておらず、非課税要件を満たしていなかったのです。

2023年12月中旬に旧孫会社の取締役会で配当決議が取り消され、これを受けてJTが返還しました。

仮にこの配当が課税対象になれば、JTは300億円規模の税負担が生じる恐れがあったのです。

JTは、法人税などの取り扱いについて東京国税局に相談できる「J-CAP」制度を使って照会し、回答を得たようです。

国税当局への照会や回答について、日本経済新聞はJTに回答を求めましたが、「当局の見解については当社がお答えできる立場にない」としました。

一方、東京国税局は「個別の事案についてはコメントしない」と回答しました。

JTは、自社の株主に対し利益の75%を配当する方針を掲げており、高配当銘柄として個人投資家から人気が高くなっています。

JTは、2023年末に1,200億円を返還したことで単体の利益が減り、配当できる上限額が下がってしまいました。

この上限額を引き上げるため、2024年3月の株主総会で株主資本のうち配当可能額に含まれない「資本準備金」を、配当可能な「その他資本剰余金」に振り替える議案を諮り、可決されていました。

ミスに後から気付き、慌てて戻したのだと思いますが、税負担がないということになり良かったですね。

担当者は、しばらくの間、気が気でなかったでしょうね。

JTほどの会社となると、社内にも優秀な方がたくさんいると思いますし、大手税理士法人やOB税理士が付いていると思いますが、なぜ配当をする前に気付かなかったんでしょうか?

JTの1,200億円の配当返還に「税負担なし」と国税当局が伝達したことについて、あなたはどう思われましたか?


ネット広告業者が法人税など約1億9,000万円脱税か?

NHKによると、東京都渋谷区でインターネット広告の代理店や、ウェブサイトの運営会社を経営している44歳の会社役員が、架空の外注費などを計上する手口で、法人税などおよそ1億9,000万円を脱税したとして、東京国税局から告発されました。

告発されたのは、東京都渋谷区にあるインターネット広告の代理店と、ウェブサイト運営会社の実質的経営者の役員(44)です。

関係者によると、役員は広告デザインなどに関連した会社の業務を外注したように見せかけるなどして、架空の経費を計上していた疑いがあり、東京国税局は、役員が、2022年7月までの2年間に、2つの会社あわせておよそ5億7,300万円の利益を隠し、法人税と消費税およそ1億9,000万円を脱税したとして、東京地方検察庁に告発したということです。

役員は脱税で得たカネをカジノなどでの遊興費に充てていたということです。

役員は弁護士を通じ、「すでに修正申告をし、納税も行っています。再発防止に向け、コンプライアンスを強化していきます。」などとコメントしています。

インターネット広告の代理店とかウェブサイト運営会社は儲かるんですね。

もちろん、儲かるから脱税しても良いということはなく、これだけ脱税して捕まっている人がたくさんいるのに、なぜ安易に架空経費の計上に走るのでしょうか?

月次決算とかをやっていれば、ある程度の損益予測は分かるでしょうから、節税対策もそれほど難しくないのではないかと思いますが。

ネット広告業者が法人税など約1億9,000万円脱税していたことについて、あなたはどう思われましたか?


下請法違反の日産は「賃上げ税優遇」の適用除外で最低1年で収益面に悪影響の可能性!

読売新聞によると、下請け業者への納入代金を発注後に減額した下請法違反問題を受け、日産自動車が、賃上げを行った企業の法人税を減額する「賃上げ促進税制」を利用する資格を失ったことがわかったようです。

日産はこれまで同税制を利用しており、違反問題が収益面にも悪影響を及ぼす可能性があります。

同税制は2013年度に始まったもので、岸田政権は企業の賃上げを後押しするために制度を拡充しました。

大企業では2024年度以降、賃上げによる給与の支払総額の増加分について最大35%が減額される仕組みとなっています。

日産のような大企業が同税制を利用するには、まず自社のホームページに、従業員への利益還元や取引先への配慮に関する経営方針を掲示しなければなりません。

その上で、政府などが作る専用サイトで、取引先への不合理な価格交渉を行わないことを約束する「パートナーシップ構築宣言」を公表する必要があります。

2024年4月5日時点で、トヨタ自動車など約4万4,000社が掲載されています。

日産は2024年3月、下請法違反で公正取引委員会の勧告を受け、所管省庁の経済産業省を通じて専用サイトから掲載が削除されました。

一度削除されると1年間は再掲載されないため、日産は少なくとも1年間は同税制を利用できないことになります。

日産によると、2022年度以前の納税分については同税制を利用していたそうです。

日産は2023年春闘で3.4%の賃上げの実施を決めたほか、2024年春闘では5%という高水準の賃上げの実施を労働組合に回答しました。

違反問題がなければ、申請によって2023年度の納税分の法人税も減税措置を受けられた可能性があります。

財務省によると、同税制を導入した2013年度は減税額が計420億円、適用件数は約1万件でしたが、2022年度には計5,150億円、約21.5万件に拡大しました。

大企業の場合は、年間数十億円以上の減税効果を得られるケースもあるようです。

下請法違反の問題を巡り、日産は公正取引委員会から違法認定を受けた下請け業者36社に約30億円を返金しました。

取引先との信頼回復を急ぐため、公正取引委員会の認定では対象外となった企業についても独自に返金する方向で検討しています。

最近良いニュースを聞かない日産ですが、決算への影響もあるでしょうね。

賃上げ促進税制は、結局のところ、大企業の賃上げの一部を税金でまかなっているに過ぎないという気がしますね。

やはり、大企業は自社で努力してもらって、中小企業の賃金が上がるようなことをしないと、いつまで経っても、物価上昇に賃金上昇が追いつかないのではないかと思います。

話は変わりますが、先日、イオンが過去最高益であることを発表していましたが、理由の一つが仕入先の見直しによるコスト削減とのことですが、取引を切られた仕入先は業績が悪化するもしくは倒産等に追い込まれるでしょうし、結局のところ、消費者である仕入先の関係者の年収は減るでしょうし、イオンで買い物しなくなるかもしれませんので、マクロで考えると、大企業が儲かるということはあまり良いことではないのではないかと思いました。

下請法違反の日産は「賃上げ税優遇」の適用除外で最低1年で収益面に悪影響の可能性があることについて、あなたはどう思われましたか?


“Amazonせどり”コンサル会社の社長を法人税など約5,000万円脱税疑いで刑事告発!

TBSによると、ネット通販に商品を転売して利益を得る「せどり」のコンサルティングをしていた東京都内の会社社長が、法人税などおよそ5,000万円を脱税したとして東京国税局から刑事告発されました。

刑事告発されたのは、東京都台東区の転売コンサルティング業の会社と社長(38)です。

社長は売り上げの一部を税務申告しないなどの手法で、2021年11月までのおよそ4年間に法人税などおよそ5,000万円を脱税した疑いがもたれています。

転売コンサルティング業の会社は、仕入れた商品をAmazonに出品して利益を得る「Amazonせどり」と呼ばれる手法のコンサルティングなどを行い、利益を上げていました。

<コンサルを受けていた男性>
「(社長が)『私がコンサルするんだから儲かります』と。『すぐにもとが取れるんで(受講料)50万円は安いですよ』と私を説得にかかりました。味噌とか醤油とか単価の安いものですよね。継続的に仕入れて販売できるような商品を薦めていました」

社長は、脱税で得たお金を投資などに充てていたとみられていて、JNNの取材に対してこれまでに回答していません。

この社長はYouTubeとかをやっていると思いますが、露出すると課税当局も調べているのは自明でしょうから、脱税していると、当然バレますよね。

あと、こういった脱税をしている人からコンサルを受けた人はどんな気持ちになるんでしょうね。

コンサルを受ける人も、コンサルをする人をきちんと選ばないといけないですね。

“Amazonせどり”コンサル会社の社長が法人税など約5,000万円脱税疑いで刑事告発を受けたことについて、あなたはどう思われましたか?


2億4,000万円の脱税疑いで大阪の測量設計会社を告発!

日本経済新聞によると、架空の外注費を計上するなどして約2億4,000万円を脱税したとして、大阪国税局が法人税法違反などの疑いで、大阪府大阪市の測量設計会社と同社の元社長を大阪地検に告発したことが、先日、関係者への取材で分かったようです。

重加算税を含む追徴課税は3億4,000万円に上る見通しです。

既に修正申告したそうです。

脱税したお金は遊興費などに充てていたとみられます。

関係者によると、元社長は、取引先の同業者の名前を利用して架空の経費を計上し、2021年12月期までの3事業年度に所得約6億6,800万円を過少申告し、法人税や消費税などの支払いを免れた疑いがあります。

測量設計会社は全地球測位システム(GPS)などを使った測量技術を利用し、官公庁などから道路建設などの仕事を請け負っています。

なぜ、これほど安易に架空経費を計上する事件が多発するんでしょうね。

決算の数値が出てから慌てて脱税ではなく、普段から月次決算をきちんとして数値を把握しておき、節税すれば何の問題もないように思いますが。

脱税するくらいですから、そもそも、官公庁が支払っている金額が高すぎるのではないかとも推測されますが。

数か月の指名停止ではなく、こういった業者を排除していかないといけないのではないかと思ってしまいますね。

2億4,000万円の脱税疑いで大阪の測量設計会社が告発されたことについて、あなたはどう思われましたか?


法人税4,800万円を脱税の疑いで無申告分を馬券購入費などに充てた内装工事会社代表を告発!

読売新聞によると、法人税約4,800万円を脱税したとして、東京国税局が内装工事会社(東京都港区)と内装工事会社代表の男性(51)を法人税法違反容疑で東京地検に告発していたことがわかったようです。

関係者によると、内装工事会社はオフィスや保養所の内装工事などで多額の利益を上げていましたが、2022年5月期までの2年間の所得計約1億9,500万円を申告せず、法人税約4,800万円を脱税した疑いがあります。

内装工事会社は近年、無申告の状態が続いており、帳簿類もほぼ記載がなかったそうです。

代表の男性は、申告しなかった所得を競馬の馬券購入費などに充てていたとみられます。

読売新聞は、内装工事会社に取材を申し込んだようですが、回答はなかったとのことです。

最近、架空経費の計上による脱税事件は新聞等でよく目にしますが、無申告というのは珍しいですね。

代表の男性に、そもそも申告が必要という意識があったのでしょうか?

見つけるのが難しいかもしれませんが、こういった案件を、課税当局はどんどん見つけて、税金をがっぽり取ってほしいですね。

法人税4,800万円を脱税の疑いで無申告分を馬券購入費などに充てた内装工事会社代表を告発したことについて、あなたはどう思われましたか?


1億円脱税疑いで会社役員の男を逮捕!

日本経済新聞によると、貸付金を業務委託費に仮装するといった手口で法人税など計約1億円を脱税したとして、東京地検特捜部は、先日、会社役員(43)を法人税法違反(脱税)などの疑いで逮捕しました。

東京地検特捜部は、認否を明らかにしていません。

逮捕容疑は東京都内のベアリング販売会社から会社役員が実質的に経営するシステム販売会社(東京都渋谷区)への貸付金を業務委託費と仮装させ、ベアリング販売会社の2021年3月期の法人税など計約7,800万円を脱税した疑いです。

ベアリング販売会社に架空の課税仕入れを計上させ、消費税など計約2,300万円を免れさせたほか、計約680万円の不正還付を受けた疑いも持たれています。

貸借対照表に計上すべき貸付金を、損益計算書の業務委託費に計上するというのはスゴいですね。

いわゆる架空経費なので、法人税や消費税を減らし(脱税し)、消費税については不正還付まで受けているので、かなり悪質ですね。

こういう事案は、どんどん課税して欲しいと思いますが、こういう事案がたくさんあるので、真面目に申告して還付になる会社が、簡単に還付してもらえないのは勘弁して欲しいですね。

1億円脱税疑いで会社役員の男が逮捕されたことについて、あなたはどう思われましたか?


法人税1億5千万円の脱税容疑のコンサル会社社長は「税理士に断られ申告できなかった」!

2023年06月20日(火)

読売新聞によると、法人税約1億5,800万円を脱税したとして、東京国税局が東京都中央区のコンサルタント会社と同社の社長(78)を法人税法違反容疑で東京地検に告発したことがわかったようです。

関係者によると、コンサルタント会社は2018年9月に設立され、新宿区の土地の売買などで多額の利益を上げましたが、2019年3月期の税務申告をせず、約6億5,500万円の所得を隠し、法人税約1億5,800万円の納税を免れた疑いです。

隠した所得は、社長が借金の返済などに充てていたようです。

社長は取材に対し、「税理士に断られたために申告できなかった。脱税の意図はなかった」と話しました。

税理士に断られたのであれば、他の税理士を探せば済むように思いますが、複雑な案件で、面倒くさいことを言う社長で、誰も引き受けたがらなかったのかもしれませんね。

法人税1億5千万円の脱税容疑のコンサル会社社長は「税理士に断られ申告できなかった」とコメントしていることについて、どう思われましたか?


架空の外注費などの計上で3,900万円の脱税の疑いで建築会社と社長ら2人を告発!

札幌テレビ放送によると、札幌国税局は、先日、法人税法違反などの疑いで、札幌市白石区の建築会社と、社長(49)と役員(39)の2人を札幌地方検察庁に告発したと発表しました。

2人は共謀し、2019年から2020年にかけて、架空の外注費や支払手数料を計上して、約1億6,000万円の所得を隠し、約3,900万円を脱税した疑いが持たれています。

札幌国税局によると、社長の男は業務全般を統括し、役員の男は決算書類などを作成していたということです。

2人は、先日、同じ容疑ですでに札幌地検に逮捕されています。

最近、安易な架空経費の計上による脱税事件が多いですね。
普段から数値を把握しておけば、色々と検討したうえで節税ができると思いますが、バレないと思っているのか、決算日を過ぎて数値を把握すると思いのほか利益が出ていて慌てて架空経費を計上するのか、理由はよく分かりませんが、年間にすると、ニュース等に取り上げられる事件だけでもかなりの件数あると思いますので、それほど甘くはないということに早く気付いてほしいですね。
こちらの架空経費の経費は、相手にとっては売上になるわけですから、相手を調べればおそらくすぐに分かりますよね。

架空の外注費などの計上で3,900万円の脱税の疑いで建築会社と社長ら2人を告発したことについて、どう思われましたか?


法人税など1億円余り脱税の前社長に有罪判決!

NHKによると、架空の外注費用を計上し、所得を少なく見せかけて法人税を免れるなどして合わせて1億円余りを脱税したとして長崎県長崎市の会社と前の社長が法人税法違反などの罪に問われていた裁判で、長崎地方裁判所は前の社長に対し懲役1年6か月、執行猶予3年、会社に対し罰金2,500万円の判決を言い渡しました。

長崎市の重量機器の搬入会社と前社長(69)は平成28年10月期から平成30年10月期にかけて、架空の外注費用を計上して所得を少なく見せかけて法人税を免れたり、控除の対象となる仕入れを過大に計上して消費税を免れたりして合わせて1億円余りを脱税したとして法人税法や消費税法違反の罪に問われています。

先日の裁判で長崎地方裁判所の芹澤俊明裁判官は「知人に依頼して実体のない会社を設立させ、継続的に架空の請求書を発行させるなどしており巧妙かつ悪質である。動機や経緯につき特に酌量すべき余地はない」などと指摘しました。

そのうえで「会社は本税、延滞税などを全て納付し、役員や税理士などを一新して経理体制の改善を図ったことなど考慮すべき事情もある」などとして、前社長に対し懲役1年6か月、執行猶予3年、会社に対し罰金2,500万円の判決を言い渡しました。

架空経費を計上して、脱税する事件が後を絶ちませんが、当然、多額になると有罪になりますね。
こういったことがあるということを認識して、安易な脱税はやめてほしいと思います。

法人税など1億円余り脱税の前社長に有罪判決があったことについて、どう思われましたか?


2,700万円脱税の疑いで大阪国税局が大阪府堺市の工事会社を告発!

外注費の架空計上などで約2,700万円を脱税したとして、大阪国税局が型枠工事を手がける会社(大阪府堺市)と元社長(48)を法人税法違反などの疑いで大阪地検に告発したことが、先日、関係者への取材で分かったようです。

修正申告はすでに済ませたそうです。

関係者によると、同社は下請け業者に支払った外注費を還流させるなどして、2020年3月期までの2年間に約1億1,500万円の所得を隠し、法人税など約2,700万円を不正に免れた疑いが持たれています。

隠した所得は元社長名義の不動産購入などに充てたそうです。

最近、架空経費の計上による脱税が多いですね。
告発されるのは、もっと金額が多いケースかと思っていましたが、そうではないみたいですね。
悪質なところから、国税局はどんどん取って欲しいですね。
社会的信用の失墜、重加算税などを考えると、普通に税金を支払うか、合法的な節税をすれば良いと思うのですが、なぜ、脱税に走るのでしょうか?

2,700万円脱税の疑いで大阪国税局が大阪府堺市の工事会社を告発したことについて、どう思われましたか?


東京国税局が法人税4,500万円の脱税容疑でアニメイト関連会社を告発!

時事通信によると、アニメショップチェーン「アニメイト」のグループ会社で、アニメカード販売などを手掛ける「カードラボ」(東京都板橋区)が法人税など約4,500万円を脱税したとして、東京国税局査察部が同社と前代表(47)を法人税法違反容疑などで東京地検に告発していたことが、先日、関係者への取材で分かったようです。

関係者によると、前代表は知人男性から人気漫画「遊☆戯☆王」やアニメ「ポケットモンスター」の希少カードを仕入れたように装って所得を圧縮していました。
虚偽の請求書に基づきカードラボから知人の銀行口座に資金を移した上、95%程度を返金させて自らの口座に入れていたそうです。

かなり悪質な脱税ですね。
知人も巻き込んでいますし。
最近、架空の経費を計上して脱税を図るところを新聞記事等でyちょくちょく目にしますが、誰が主導で行っているのでしょうか?
指南をするコンサルタントなどがいるのでしょうか?

東京国税局が法人税4,500万円の脱税容疑でアニメイト関連会社を告発したことについて、どう思われましたか?


民間資金で学校新設を法人税負担減で後押し!

日本経済新聞によると、政府・与党はエンジニアや起業家らを養成する学校の整備に民間資金を生かす仕組みづくりを進めるようです。
高等専門学校などの新設に資金支援した企業の法人税負担を軽くする案を検討します。
最新のデジタル技術など産業界のニーズに合った教育を提供する場を広げます。
2022年12月にまとめる2023年度の税制改正大綱への反映をめざしているようです。

今冬までの税制改正論議で、政府・与党は岸田文雄首相が訴える「人への投資」を主要テーマに位置づけています。
財務省・経済産業両省で制度の詳細を詰めます。

政府・与党は現行の制度を見直し、企業がより資金を出しやすい環境を整える方向で議論します。
企業が損金算入する際の限度額を引き上げる案などが浮上しています。
企業側の利便性も考慮し、制度設計します。

政府の「人への投資」をめぐっては、リスキリング(学び直し)を中心に就業経験がある社会人向けの支援策がこれまでは目立っていました。
しかしながら、今回の税制改正では、就業前の若年世代の能力向上も狙っています。

財務省・経産両省がモデルケースとして着目するのが、2023年4月に開校を予定する私立の「神山まるごと高等専門学校」(徳島県神山町)です。
山間部に全寮制の校舎を設け、IT(情報技術)分野を中心とした起業家の育成に重点を置いています。
デジタル技術やデザインといったスキルの習得へのカリキュラムを打ち出しています。

同校の新設にあたっては国内の起業家らが発起人となり、数十億円の寄付を民間から集めました。
衣料通販大手のZOZOで最高技術責任者(CTO)を務めた大蔵峰樹氏が初代校長に就いています。

日本の高専は国立が中心で、私立は少ないです。
政府は少子化のなかでもユニークな人材育成を手がける学校の新設を後押しします。

国立だとできることが限られてくると思いますので、私立で独自の人材育成を行いやすくなると、日本のために良いことだと思いますね。
同じ四国の神山町から素晴らしい起業家が誕生してくれたら嬉しいですし、公認会計士・税理士として、何かお役に立つことがあれば協力させていただきたいと思います。

民間資金で学校新設を法人税負担減で後押しすることについて、どう思われましたか?


「経営強化税制」、「固定資産税特例」等の税制特例に関する誤った内容の「工業会等による証明書」発行!

先日、同業者からの情報で、すごいプレスリリースを見ました。
現在、工業会等による証明書が取れるかどうか検討している案件があるので、非常にタイムリーな話でした。
以下は、ダイキン工業のプレスリリースです。

~ここから~

大切なお知らせ

「経営強化税制」、「固定資産税特例」等の税制特例に関する誤った内容の「工業会等による証明書」発行についてのお詫びとお願い

この度、「中小企業経営強化税制」、「先端設備等導入計画に関する固定資産税の特例」、「(旧)生産性向上設備投資促進税制」、「(旧)中小企業投資促進税制(上乗せ措置)」、「(旧)経営力向上計画に関する固定資産税の特例」において、弊社の空調等設備の一部が、これら税制特例の対象設備に該当しないにもかかわらず、誤って該当要件を満たしているものとして「工業会等による証明書」が発行されていたことが判明しました。
「工業会等による証明書」の発行を受けたお客様のうち、誤った内容の証明書を用いて税制特例の適用を受けられていたお客様におかれましては、お手数をおかけしますが、税額の修正申告、納付手続等の税務手続をしていただく必要がございます。
ご愛用いただいているお客様に深くお詫びを申し上げるとともに、発生の経緯と今後の対応についてご案内いたします。
今回、お客様から「工業会等による証明書」の記載内容についてお問合せがありました。
「工業会等による証明書」は、弊社が自社のソフトウェアを用いて申請対象の該非判定を行った上で記入しており、同ソフトウェアに登録している一部の製品の仕様データに誤りがあることが判明しました。
社内にて調査した結果、対象期間である平成26年1月〜現在の間に、誤った内容の証明書が発行されたことを確認しました。
該当する証明書の発行を受けた可能性があるお客様には、弊社より直接ご連絡し、証明書の誤り部分のご説明、ならびに修正申告等の税務手続のお願いと、税額のお支払いを含めた具体的な今後の手続きについてのご案内をさせていただきます。
なお、お心当たりがあり弊社からの連絡が無くご心配のお客様は、誠にお手数ですが、以下のフリーダイヤル、または弊社ウェブサイトにてご相談下さい。
弊社にて状況を確認の上で、個別にご回答申し上げます。
今後、このようなことがないように、証明書発行に関わる仕様データの作成から申請書発行までの業務手順の厳格化、各手順におけるデータや記載内容のクロスチェックの徹底、業務の実施状況の定期点検および改善など、万全の対策を期して参ります。
お客様におかれましては、大変ご迷惑とお手数をおかけいたしますが、なにとぞ、ご理解・ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

フリーダイヤル 0120−557−704(平日9時〜17時30分)
お問合せフォーム https://www.daikinaircon.com/info/20220823/contact/

~ここまで~

ざっくりと言うと、固定資産を取得した際に、『工業会等による証明書』があると、特別償却や税額控除や固定資産税などの税制上の優遇があるという制度の『工業会等による証明書』が間違っていた(本来は発行してはいけないものだった。)ということです。
もちろん、この製品が欲しくて買ったところもあるでしょうが、固定資産を取得する際に、税制上の優遇措置が使えるからということでこの製品を取得したり、税制上の優遇措置が使えるものの中からこの製品を選んでいるケースも多いのではないかと思います。
証明書を発行してはいけない製品だったわけなので、当然、税制上の優遇措置が使えないということで修正申告等が必要になりますし、税制上の優遇措置が目的で購入したのであれば、税額分を負担する必要がありますので、ダイキン工業は、どれくらいになるのかは想像もつきませんが、かなりの手間や負担額が発生するでしょうね。

「経営強化税制」、「固定資産税特例」等の税制特例に関する誤った内容の「工業会等による証明書」発行についてのお詫びとお願いについて、どう思われましたか?


法人税率の引き上げ案が浮上!

時事通信によると、与党の税制調査会で、法人税の実効税率を引き上げる案が浮上していることが、先日、明らかになったようです。
併せて、設備投資などに対する減税措置も拡充し、増税と減税を組み合わせることで企業にも「貯蓄から投資」を強く促し、日本経済の構造転換を後押しします。
与党税調幹部は2023年度の税制改正を見据え、政府側と検討を進めたい考えのようです。
ただし、企業業績には不透明感が強まっており、経済界が難色を示す可能性もあります。

実効税率の引き上げが実現すれば、1984年以来となります。

法人税率をめぐっては、2021年、経済協力開発機構(OECD)主導で最低税率を設定することで国際合意が成立し、世界的な引き下げ競争に歯止めがかかってきました。
アメリカのバイデン大統領も税率引き上げを提案しており、新型コロナ対応で財政赤字が拡大した各国で政策を転換する動きが出ています。

現在、法人税(国税)と法人事業税(地方税)などを合わせた法人実効税率は29.74%です。
政府は2015年度以降、企業が減税分を賃上げや設備投資に回すと期待し、34.62%だった税率を段階的に引き下げてきました。

これに対し自民、公明両党は2021年12月にまとめた2022年度税制改正大綱で、税率引き下げにより企業の内部留保は増加したものの、投資拡大など「意図した成果を挙げてこなかった」と指摘しました。
そのうえで「企業の行動変容を促すためにどう対応するか幅広く検討する」と、民間資金を投資に誘導する仕組みづくりを示唆していました。

今回は増税額と減税額が同規模となる仕組みを想定しているようです。
税調幹部は「大幅には引き上げられないが、日本の実態に合った構造転換は必要だ」と訴えています。

ただし、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う原材料価格の高騰で、企業業績は今後厳しさを増す可能性があります。
また、設備投資の規模は業種によってばらつきが大きく、サービス業など減税措置の恩恵が限られる業界は差し引きで増税となる恐れがあります。
大企業を中心とする黒字企業などからは強い反発も予想され、実効税率の引き上げが実現するかは不透明な情勢です。

相続税、消費税、所得税などが増税傾向にあるなか、唯一と言ってよいほど、法人税は減税傾向にありましたが、法人税も増税になるかもしれませんね。
以前の総理が、グローバル企業が世界的な市場で勝負できるように、実効税率の30%切りにこだわり、表面上は実現させました(課税対象が拡大になっているため、実際には引き下げにはなっていない。)が、手のひらを返す感じですね。
企業だと、業績が悪くなると、ますはコスト削減を考え、そのあとに値上げを考えるのが一般的なように思いますので、増税するのであれば、まずは国の無駄遣いを削減してからにして欲しいですね。
法人税率が上がれば節税効果は上がるのですが、一方で、法人税率が低いということが法人化の理由の一つとなっていると思いますので、法人税率が上がると、税理士としての対応も変わってはきますね。

法人税率の引き上げ案が浮上していることについて、どう思われましたか?


政治家個人への寄付は禁止なのに使い道報告義務のない「抜け穴」から与野党が計22億円支出!

東京新聞によると、自民党、国民民主党、日本維新の会、社民党、れいわ新選組の5党が2019年、「政策活動費」や「組織活動費」の名目で党幹部ら30人に総額約22億円を支出していたことが、政治資金収支報告書の東京新聞の調査で分かったようです。
禁止されている政治家個人への寄付を政党だけに認める制度があるためで、その先の使途は報告義務がありません。
1994年の政治改革で小選挙区制と同時に埋め込まれた「抜け穴」は、秋に総選挙を控えた現在も解消されていません。

ちなみに、政治資金収支報告書は、政治団体の収入、支出、資産を記載するよう政治資金規正法で定める報告書で、年間5万円超の寄付をした人や、20万円を超える政治資金パーティー券の購入者も記載します。
総務大臣や都道府県の選挙管理委員会に提出します。
総務大臣所管の2019年分は2020年11月に公表されました。

政治資金規正法は政治家個人への寄付を禁じ、資金管理団体や政党支部で受けて収支報告書を提出するよう定めています。
ただし、「政党がする寄付」には適用しないという例外規定があり、支出が認められています。

2019年の収支報告書を集計したところ、こうした政策活動費などを最も多く支出していたのは自民党です。
二階俊博幹事長や甘利明選挙対策委員長(当時)ら計18人に13億410万円を出していました。
国民民主党は玉木雄一郎代表と平野博文幹事長(同)に8億1,000万円を支出していました。
日本維新の会は党支部の位置付けの国会議員団から、5,865万8,000円を馬場伸幸幹事長ら4人に出していました。
社民党は照屋寛徳国対委員長ら5人に1,500万円を、れいわ新選組は山本太郎代表に40万円を出していました。

支出された議員らが代表を務める資金管理団体や政党支部で、判明した約100団体の収支報告書を調べたようですが、受領の記載はなかったようです。
取材に対し、自民党、国民民主党、日本維新の会は、党勢拡大や政策立案の資金としたうえで「政治資金規正法に則のっとり、適正に処理している」などと回答しています。
社民党は「適正に支出」としたうえで「使途報告が求められない現行制度は法の趣旨に照らして十分とはいえない」と答えました。
れいわ新選組は「領収書管理の負担軽減のため。ただ、支援者が寄付した資金を分かりづらい形で支出することは改善する必要がある」としています。
立憲民主党、公明党、共産党は2019年分の支出がありませんでした。

東京大の谷口将紀教授(現代日本政治論)は「政治資金規正法の狙いは政治家の資金面の公私の峻別だが、大きな抜け穴になっている。議員が自らの資金管理団体で収支報告するか、政党が使途を説明させるなど、制度を変える必要がある」と指摘しています。

「子どもにお使いを頼んで、家計簿にそのまま『お使い』とだけ書いておくようなもの。何を買ったか分からない」
使途の報告義務がない「政策活動費」などの問題点を、神戸学院大の上脇博之ひろし教授はこう例えています。

「抜け穴」は、1994年成立の政治改革関連法で生まれました。
政治腐敗が相次いだ時期。金権政治の温床を断ち切るべく、政治献金の制限など政治資金の「入り口」の議論に熱視線が注がれました。
しかしながら、その裏で、使途などの「出口」を巡り、政治家自身の縛りを緩める法改正がひっそりと行われたのです。

それから30年近く、与野党問わず制度は使われ続けています。
国会での追及も散発的です。
「答える立場にない」「適正に支出」と述べ合い、自浄作用が働いたとは言えない状態でした。

コロナ禍で国民が困窮にあえぐ中、政治の現場で不透明な資金が横行する現状は許されるのでしょうか?
今秋には総選挙があります。
民主主義を担う公党である以上、与野党で法改正に向けた議論を始める必要があります。
少なくとも、使途報告を義務づけるルール作りは今すぐにでもできるはずでしょう。

法人とか個人事業主は、例えば、領収書は7年間の保管が義務付けられ、使途秘匿金は、消費税においては仕入税額控除の適用を受けることができませんし、法人税においては損金不算入に加えて、使途秘匿金の40%の税額が課されます。
法人とか個人事業主はこういうのがありますが、政治の世界でのこういったものが認められているということには、税理士としてすごく違和感を感じます。

政治家個人への寄付は禁止なのに使い道報告義務のない「抜け穴」から与野党が計22億円支出していることについて、どう思われましたか?


住友化学がコーポレートガバナンスを強化し税務方針を制定!

ゴムタイムスによると、住友化学は、先日、「住友化学グループ税務方針」を制定したと発表しました。
同方針は、同社グループにおけるコーポレートガバナンス強化の一環として、これまでの税務に関する取り組み方針を明文化したものとなっています。

2012年6月に経済協力開発機構(OECD)において発足した「BEPS(Base Erosion and Profit Shifting・税源浸食と利益移転)プロジェクト」を契機として、租税回避行為の防止に向けた国際課税ルールの見直しが各国・地域で進められています。

このような世界的な税務コンプライアンス強化の動きのほか、企業によるグローバル展開の拡大などに伴い、企業グループが抱える潜在的な税務リスクの規模や複雑性が増大しています。

同社グループは現在、世界の約30カ国で事業展開をしており、納税を企業が果たすべき最も基本的かつ重要な社会的責任の一つと捉えています。

これまでも各国・地域において適用される税法を順守し、適切な納税を行ってきましたが、税務コンプライアンスと税の透明性確保に向けた取り組みを全グループ会社がより高いレベルで実行するため、同方針を制定しました。

同社グループは、コンプライアンスを企業経営の根幹と位置付けており、引き続き、事業活動を行っている各国・地域において、諸法令はもとより、企業倫理の順守を徹底していくとしています。

GAFAなどが税法を研究して節税を図っているなか、このような真面目な企業が彼らと世界的に戦っていけるのだろうかと思ってしまいますが、過度に保守的になり過ぎないようにしていただき、こういう企業がグローバルスタンダードになればいいなぁと思います。

住友化学がコーポレートガバナンスを強化し税務方針を制定したことについて、どう思われましたか?

★㈱RE-経営では、2020年12月末まで半額セール中です。★

(1)「51の経営課題、テーマ別2000のヒアリングチェックリスト」

 これは経営者からの質問に即対応できるよう 新人コンサル向けに教育ツールとして開発。

 会計事務所、コンサル向けに「監査時経営者面談」「コンサルティング現場で明確」明確な再質問、付加価値のある会話の為に活用します。

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 これは 病院を担当している会計事務所やコンサル、今後医療機関に提案するツールとして人気のある職能要件書事例集です。

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(3)「介護16職種 等級別職能要件書」

 これも介護施設、介護事業所と取引をしているコンサルや会計事務所、又は今後新規開拓を考えている方向けの職能要件書事例集です。

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入居事業者からの賃料減免なら損金として計上可能に!

国土交通省は2020年4月10日までに、テナントビル所有者に対し、入居する事業者からの賃料を減免した場合、損失額を税務上の損金として計上することが可能だと通知しました。

通常は寄付金扱いとなりますが、損金とすることで法人税の負担軽減を図ります。

通知は2020年4月9日付けです。
新型コロナウイルス感染拡大による売り上げ減少で、賃料の支払いが困難な事業者が増えていることを踏まえたものです。
国税庁が近く適用要件を公表します。

国土交通省は、3月末、テナントビル所有者に対し、支払いの猶予など柔軟な対応を要請していました。

テナントビル所有者も事業としてやっているわけですから、当然のことだと思いますね。
もちろん、要請するのであれば、固定資産税の免除も当たり前かと思いますが、テナントビル所有者側に立った報道等が少ないのはなぜなんでしょうね?

入居事業者からの賃料減免なら損金として計上可能になったことについて、どう思われましたか?


「巧妙な隠ぺい」“スパコン詐欺”の元社長に懲役5年!

以前このBLOGでも取り上げましたが、スーパーコンピューターの開発を巡って国の助成金をだまし取った罪などに問われた開発会社の元社長に対し、東京地裁は懲役5年の判決を言い渡しました。

ベンチャー企業「PEZY Computing」の元社長(52)は、経済産業省が所管するNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成金6億5,000万円余りをだまし取ったほか、法人税約2億3,000万円を脱税した罪などで起訴されました。

判決で東京地裁は「虚偽の書類を示すなど巧妙な隠蔽策で詐欺を完遂した」「助成金を無関係な運転資金や個人的な支払いなどに流用した」などと指摘し、元社長に懲役5年を言い渡しました。

弁護側が一部を除いて無罪を主張していた脱税の罪については「故意の脱税だった」と認め、弁護側の主張を退けました。

こういう事件がありますので、助成金という制度自体を見直さないといけない時代になっていると思います。
助成金も補助金も一部の知っている企業だけが使っている傾向にあると思いますので、金額を小さくして、多くの企業に与えるのも一案かと思います。
また、返さなくても良いということが詐欺や効果のなさにつながっていると考えられますので、何か要件を充たせば返さなくても良いといった感じに変えても良いかもしれませんね。

「巧妙な隠ぺい」“スパコン詐欺”の元社長に懲役5年の判決が言い渡されたことについて、どう思われましたか?


税・社会保険の電子申告の導入が迫るなか企業の準備は整っていない!

日本経済新聞によると、2019年12月、行政の電子化を目的とするデジタル手続法が施行され、パスポートの申請など約500の手続きが順次電子化されます。2020年4月からは、企業の税申告や社会保険の申請の電子化も義務付けられます。約2万4,000社が対象となりますが、準備が整っていない企業が多いのが実情だそうです。

政府が2019年12月下旬に公表した「デジタル・ガバメント実行計画」には、仕事や暮らしに関わる様々な手続きの電子化計画が並んでいます。
2020年4月以降、資本金1億円超の大企業に義務付けられるのが、法人税と消費税の電子申告です。
3月期決算の企業の場合、法人税については、9月期までの中間申告から電子化が求められます。
消費税は、年間申告回数によって異なりますが、早い企業では6月末までの対応が必要になります。

導入まであと2か月弱と迫るなか、現場では不安の声が広がっているようです。

NTTデータで法人税の電子申告システムの販売を担当する小谷智昭氏は、「間に合わない企業が続出しかねない」と話しています。
同社が2019年7月から11月にかけて実施したアンケートによると、6割の企業が準備に着手していなかったようです。
「書面ベースで進める稟議など、社内の承認手続きの流れを見直すには相当の時間がかかる」(小谷氏)。
システムを導入するだけでは不十分で、経営陣を含めた業務プロセスの見直しが欠かせないようです。

対象企業は、国税庁の納税システム「e-Tax」などを用い、法人税と消費税の確定申告書を提出します。
複数のITベンダーがe-Taxと連携した申告システムを販売しており、国税庁の2018年の調査でも資本金1億円を超える7割の企業が電子申告を利用しているようです。

しかしながら、会計システム大手のTKCの富永倫教執行役員は、「制度変更に完全に対応できていない企業は多い」と指摘しています。
法人税では「別表」と呼ばれる申告書本体だけでなく、財務諸表や勘定科目内訳明細書などを添付して提出します。
2020年4月からの義務化では、これら全ての書類を電子化して提出する必要がありますが、申告書本体のみにとどまっている企業も多いようです。

化学メーカーのリケンテクノスは、2016年から法人税の電子申告に対応しました。
しかしながら、財務諸表などの添付書類を50枚以上、今でも郵送で送っているそうです。
電子化する際のファイル形式が申告書本体と異なり、システム対応に手間がかかるためです。
「対応できるように検討している。義務化には間に合わせたい」と同社の担当者は話しています。

より広い範囲で対応が求められるのが、社会保険の電子申請です。
2020年4月から健康保険、厚生年金保険、労働保険、雇用保険に関する12の手続きの電子化が義務付けられます。
総務省の「e-Gov」と呼ぶシステムを使いますが、ここでも対応の遅れが指摘されています。

2020年4月には早速、新入社員の雇用保険手続きで電子申請が必要です。
しかしながら、労務管理システムを販売するエムケイシステムの三宅登社長は、「当初から完全対応できる企業は2割程度にとどまる」と見ています。
給与や人事、マイナンバーなど関連する社内の業務システムを一元管理できていない企業が多いのが理由です。
「被保険者の報酬月額変更届など、頻度の少ない手続きも義務化の対象」(社会保険労務士の片山力氏)ですが、すべてシステムで対応しようとすると投資負担が大きくなるのです。

政府は2024年度中に、年10億件近い行政手続きのうち、件数ベースで9割の電子化を目指すそうです。
企業が戸惑うのは「システムが使いづらく、変更も多い。対応に手間と費用がかかる」状態が長引きそうなことです。
電子化を進める関係省庁部局が複数にまたがり、情報が一本化されていません。
企業側も税務、人事など担当レベルで部分的に把握できたとしても、企業全体でどう対応すべきか経営トップがつかみにくい状況にあるといえます。

労働人口が減るなかで生産性の向上は避けて通れない課題です。
中長期でみれば「税や行政手続きの電子化によって、企業の間接業務の効率化は進む」(野村総合研究所制度戦略研究室の梅屋真一郎室長)でしょう。
梅屋氏は、「人材配置の最適化を進める機会とするのが望ましい」と指摘しています。

この行政手続きのオンライン化を進める上で欠かせないのが「ハンコ文化」の見直しです。
印鑑証明書が必要な行政手続きは100種類以上あります。
電子証明書で代用できる手続きも多いですが、利用が進んでいません。
契約書など民間業務でも必要とされることがあり、法人の印鑑証明書の発行は、年間約1,300万件(2018年)にもなります。

政府は2019年12月に策定した「デジタル・ガバメント実行計画」で、印鑑証明書の省略や印鑑の代わりとなる電子証明書の普及を進める方針を打ち出しています。
商業登記法では法人を登記する際、代表者の印鑑を届け出ることが義務付けられています。
この条文が2019年12月に成立した改正法で削除され、印鑑登録が任意になりました。
改正法は2021年2月までに施行される見通しです。

電子証明書や電子署名などデジタル認証の仕組みは整いつつありますが、日本では「ハンコ文化」が根強いのです。
企業でも、正式文書は押印した紙で保存する習慣が残っています。

税や社会保険の手続きを電子化することにより、手間が省けるのであれば、個人的には大賛成です。
僕自身、税理士として、法人税や消費税の申告は100%電子申告していますが、中小企業でも紙で出さないといけないものがあったりして不便だなぁと感じることがあります。
中小企業ですらこのような状況ですから、加減算項目の多い大企業になるとものすごい手間が生じるのではないかと思います。
また、e-Taxを導入した当初、導入企業がまったく増えず、税理士会経由で税理士に呼びかけ、利用率は増加したものの、実質は一部の別表だけ電子申告し、残りは紙で提出している企業が多いというような記事も見かけましたので、実質的な利用率はそもそも低い状況下で電子申告を義務化するというのもどうかと思います。
国には、きちんとシステムを整備し、電子申告する企業にメリットがある状況にしたうえで、やってほしかったなと思います。

税・社会保険の電子申告の導入が迫るなか企業の準備は整っていないことについて、どう思われましたか?


企業版ふるさと納税につき寄付額の9割軽減を政府が検討!

 政府は、地方自治体に寄付した企業の税負担を軽くする「企業版ふるさと納税」を拡充するようです。
税負担を軽減する割合を現在の約6割から、約9割に広げたうえで、2019年度までの時限措置を2024年度まで5年間延長する方向で調整します。
「個人版」に比べ伸び悩む企業の寄付をテコ入れし、地方創生への資金の流れを促します。

内閣府が提出する2020年度の税制改正要望に盛り込み、2019年末に向けた与党の税制改正議論などで詳細を詰めます。

企業版ふるさと納税である「地方創生応援税制」は、2016年度に始まりました。
現行制度は内閣府が認定した自治体の事業に企業が寄付すると、損金算入措置による約3割の税の軽減効果に加え、寄付額の3割が税額控除され、合計で寄付額の約6割分の税負担が軽くなり、実質の企業負担は約4割で済みます。

2020年度からは税額控除の割合をさらに3割拡大し、税負担の軽減幅を合計で約9割に広げる方向で検討します。
企業版は、「個人版」で一定の範囲で許容されている返礼品のような経済的な見返りがなく、企業側のメリットの分かりにくさが寄付低迷の一因との指摘があります。

これまでの例では、企業が創業の地や工場がある地域、被災地などの自治体に寄付する例が多くなっています。
自治体は地域の再生に企業資金を呼び込むことができ、企業にとっては社会的責任(CSR)活動の一環として地域貢献をアピールできる利点があります。
今後は企業の寄付を促すため、表彰制度の創設も検討するようです。

寄付の対象も広げます。
企業版は内閣府の認定を受けた事業に寄付する仕組みですが、いまは予算など詳細が固まった後でないと企業が申請できません。
2020年度から詳細が固まる前でも申請を受け付けられるようにし、企業側の都合に合わせて申請できるようにする方針です。

拡充案では、国の交付金や補助金を受けている事業も寄付対象の事業として認定を可能にします。
これまでは「地方創生関係交付金」など一部を除き、他の財政支援を受けている事業は寄付の対象として認定を受けられませんでした。

企業版ふるさと納税を募っているのは都道府県と市町村を合わせて406で、全自治体の23%にとどまっています。
寄付額も個人版に比べ見劣りします。
企業版は2018年度に34億円(速報値)と2016年度の開始当初より4倍以上増えましたが、個人版の5,127億円と大きく離れています。

本当に創業の地や工場がある地域に貢献したいのであれば、損金になるかどうかを考えずやればよいと思いますし、寄付は売名行為ではありませんので、表彰というのは寄付金の性質上、違うのではないかと個人的には思います。
まさか、個人版のふるさと納税による税収が減ると見込まれるため法人版に期待しているということはないと思いますが、個人版のふるさと納税制度は失敗だと思っていますので、個人版をまねるのではなく、本来のふるさと納税の趣旨に立ち返って、変えるところは変えて欲しいと思います。

企業版ふるさと納税につき寄付額の9割軽減を政府が検討していることについて、どう思われましたか?


平成30年度査察の概要(4/5)

 先日、国税庁が『平成30年度査察の概要』を公表しました。
査察制度は、悪質な脱税者に対して刑事責任を追及し、その一罰百戒の効果を通じて、適正・公平な課税の実現と申告納税制度の維持に資することを目的としています。
国税査察官は、近年における経済取引の広域化、国際化及びICT化等による脱税の手段・方法の複雑・巧妙化など、経済社会情勢の変化に的確に対応し、悪質な脱税者に対して厳正な調査を実施しています。

<査察調査の概要>
【平成30年度の取組】
○査察事案121件を告発
平成30年度は、免税店(輸出物品販売場)制度を悪用した消費税受還付事案、太陽光発電設備の取得を装った消費税 受還付事案、他人名義を使用したFX取引利益の無申告ほ脱事案、外国法人を利用した国際事案など、計121件を告発。
○重点事案を多数告発、特に消費税受還付事案は16件を告発(注)
消費税受還付事案16件、無申告ほ脱事案18件、国際事案20件を告発 。
消費税受還付事案は、国庫金の詐取ともいえ悪質性が高いが、過去5年間で最も多い16件を告発。うち、平成23年に創設された未遂犯も過去最多の8件を告発。
無申告ほ脱事案は、申告納税制度の根幹を揺るがすものであり、平成23年に創設された単純無申告ほ脱犯も含め、18件を告発。
(注)重点事案とは、消費税受還付事案、無申告ほ脱事案、国際事案及びその他社会的波及効果が高いと見込まれる事案をいう。
○脱税総額(告発分)は112億円
平成30年度の査察事案に係る脱税額(告発分)は112億円。
【平成30年度中の判決状況】
○122件の一審判決全てに有罪判決が言い渡され、7人に実刑判決
最も重い実刑判決は、査察事件単独に係るものでは懲役4年6月。

この中で、『重点事案への取組』として、以下のものが挙げられています。
(1)消費税受還付事案
(2)無申告ほ脱事案
(3)国際事案
(4)その他の社会的波及効果の高い事案
また、『不正資金の留保状況及び隠匿場所』と『査察事件の一審判決の状況』についても書かれています。

今週は、これらについて、順番に取り上げていきたいと思います。
4日目の今日は、『その他の社会的波及効果の高い事案』についてです。

平成30年度においては、現下の経済社会情勢を踏まえて、特に、消費税受還付事案、無申告ほ脱事案、国際事案、市場が拡大する分野における事案などの社会的波及効果の高いと見込まれる事案を重点事案として積極的に取り組みました。
(4)その他の社会的波及効果の高い事案
近年、市場が拡大する分野における脱税など、社会的波及効果が高いと見込まれる事案に対して積極的に取り組みました。

<トピック8>好況なネット通販事業者の告発
近年、インターネット等のネットワークを通じた多様な経済取引が可能となっているところ、このような取引で得た多額の利益を隠し法人税を免れていた事案に対し、デジタルフォレンジック技術を活用するなどして不正を解明し告発しました。
【事例】
H社は、インターネットや各種メディアを利用して自社商品を販売し、多額の利益を得ていたものですが、不正加担者と通謀し、同人の主宰会社に対して架空の広告宣伝費等を計上する方法により法人税を免れ、同会社に送金した資金を現金でバックさせるなどして還流させていました。
本事案では、デジタルフォレンジックツールを使用して、スマートフォン内のデータを解析し、不正資金の還流の事実を解明しました。

<トピック9>好況な不動産事業者の告発
近年、不動産業の売上及び経常利益が上向いている状況ですが、不動産取引による売上を正しく申告しないほか、架空経費を計上し、所得(利益)を過少に申告していた事案を告発しました。
【事例】
I社は、入場者数が増加している国内有数のテーマパーク近隣の開発予定地に係る不動産売買取引に関与し、多額の利益を得ていたものですが、仲介手数料収入を除外するほか、取引に係る虚偽の覚書を作成し架空外注費を計上するなどの方法により法人税を免れていました。

<トピック10>クラブ経営者らによる消費税・源泉所得税事案を告発
日本有数の歓楽街でクラブ及びキャバクラ等を経営する法人による消費税及び源泉所得税事案を告発しました。
【事例】
Jは、クラブ及びキャバクラ等を経営する法人を主宰するものですが、経理責任者Kと共謀し、主宰法人の消費税の確定申告を一切せずに納税を免れたほか、店舗従業員の給与に係る源泉所得税を一切納付していませんでした。

その他の社会的波及効果の高い事案について、どう思われましたか?


連結納税のミス修正の事務負担を軽くすることを検討!

 財務省は、企業グループを一体とみなして法人税を計算する連結納税制度について、企業の事務負担の軽減をめざしているようです。
制度を使えばグループ内の利益から損失を差し引いて課税所得を圧縮できる半面、1つの子会社の税務申告に間違いがあるだけでグループ全社の集計作業がやり直しになります。
企業にとって大きな負担のため、ミスした企業の修正だけで済むような制度の見直しを検討するようです。

政府税制調査会(首相の諮問機関)で、近く連結納税制度の見直しを検討事項の一つに取り上げるそうです。
制度が複雑なうえ、企業実務に絡む専門的な議論が必要なため、2019年度の税制改正をめざすのではなく、中期的な課題と位置づけて議論するようです。
財務省は、政府税制調査会などで企業側の意見を聴き、問題点を洗い出します。

2002年度に導入された同制度を使うと、国内グループ企業の利益と損失を通算できるため、一般的には個別に納税するよりも、法人税がかかる所得を小さく抑えられます。
制度を使うかどうかは企業が選ぶことができます。
2010年度税制改正で、子会社が持つ過去の欠損金を反映できるようにするなど使い勝手がよくなり、利用が増えました。
現在、資本金1億円以上の大企業のうち、3割超が制度を利用しています。

一方で、税務申告にかかわる企業の事務負担は重くなりがちです。
特に、対象となる子会社や孫会社のどこか1か所で経費計算などにミスが起きるだけで、グループ全体の集計作業がやり直しになる問題を抱えています。
対象企業の税務上の損失や控除額などをいったん足し上げて、全体の税額などを計算するためです。

こうした負担を軽くする方策の一つとして、財務省内では連結納税の対象となる各社がそれぞれ個別に税務申告書をつくる案が浮上しています。
現行制度では、親会社がまとめる連結申告書に一本化されています。
情報を一括して把握できる半面、いったん内容に疑問が生じると、グループ全社で集計作業をやり直さなければ問題を修正できない原因にもなっています。

個別に申告書を備えておくことで、ミスが生じても部分的な修正だけで済まそうという考え方です。
個々の会社による申告書の作成作業が増えるようにみえますが、実際には各社はすでに同じような作業を手掛けており、修正が必要になった場合の対応を大幅に簡素化できるメリットの方が大きいと財務省はみています。

税務当局にも利点があります。
例えば、申告内容に問題があれば、税務署は親会社だけでなく、全国各地の子会社も調べなければなりません。
制度の見直しは、「人員が限られ、十分な調査ができない」(国税庁関係者)という現状の改善につながります。

財務省は、連結納税の対象企業の範囲といった制度の骨格は変えない方針ですが、企業のM&A(合併・買収)の増加に対応する見直しなどは課題となりそうです。
現行制度では、新たに買収した会社を連結納税の対象に加えようとすると、その会社の資産の含み益に応じた税金を事前に払う必要が生じます。
せっかく買収した企業の価値が目減りしかねず、課税の繰り延べなどが検討課題となります。

僕自身は、連結納税の申告業務をやったことがないので、実務上の煩雑さなどが分からないのですが、『連結納税』というくらいですから、子会社の申告書にミスがあれば、グループ全体の集計が異なってくるのは当然だと思いますが、どうなのでしょうか?
手間をかけてでも税金を安くしたいという企業が使えばいいと思いますし、実務上の負担が大きいのであれば、もっとシンプルな制度にすればよいのではないかと思います。

連結納税のミス修正の事務負担を軽くすることを検討していることについて、どう思われましたか?


陸上自衛隊演習場の地権団体が100億円の申告漏れ!

静岡県にある陸上自衛隊東富士演習場の土地を国に貸し、賃料を得ている静岡県内の一般社団法人と一般財団法人の計10法人が、名古屋国税局から総額約100億円の申告漏れを指摘されたことが、関係者への取材でわかったようです。
2008年の公益法人制度改革に伴い、課税対象になった賃料収入を数年間にわたって申告していませんでした。
追徴税額は、過少申告加算税を含め計約20億円に上るようです。

関係者によると、御殿場、裾野、小山の21町には演習場に土地を貸している法人が11あるそうです。
以前、所得隠しを指摘された1法人を除き、残る10法人が指摘をうけました。
法人の大半は国から年間数億円の賃料を受け取っていますが、申告していなかったそうです。

公益法人制度改革前、10法人は公益法人の社団法人もしくは財団法人で、税の優遇を受けていました。
公益法人の場合、国に直接貸した土地の賃料は所得から除外され、非課税になります。
それゆえ、演習場の賃料も税金がかかりませんでした。

公益法人制度改革後、10法人は一般社団法人もしくは一般財団法人となり、公益法人ではなくなりました。
引き続き演習場の賃料が非課税とされるには、「特定の個人・団体に特別の利益を与えていない」ことなどが要件になりました。

国税局は、10法人は事務所がある一部の地域に限って寄付や助成をしており、これが特定の個人や団体への利益供与にあたると認定されたようです。
非課税の要件を満たしていないとして、演習場の賃料は申告が必要な所得と判断した模様です。

年間約5億円の賃料収入があるという御殿場市の法人代表は、取材に対し、5年分で計約25億円の申告漏れを指摘されたことを認めたようです。
この代表は「演習場による賃料は非課税だと思っていた。税理士にも相談したが、わからなかった」としています。

「税理士にも相談したが、わからなかった」というところからは、これらの法人に顧問税理士がいるのか単に相談しただけなのかどうかは分かりませんが、多額の収入があるわけですから、公益法人制度改革時にきちんと税務面での検討を行うべきだったように思います。
直感的に、寄付や助成の仕方を変えれば、行けるかもしれないのではないかと感じますね。

陸上自衛隊演習場の地権団体が100億円の申告漏れを指摘されたことについて、どう思われましたか?


NPO法人による障害者就労支援に課税!

 NPO法人による障害者向けの就労支援について、国税庁が「原則、収益事業で納税義務がある」との見解を示したようです。

 全国の小規模作業所に不安が広がり、課税を不服として争う法人もあるそうです。
作業所などの全国団体「きょうされん」(事務局・東京)は近く、国税庁長官に撤回を求めるようです。

 国税庁は、2017年7月、ホームページで見解を発表しました。
こうしたNPO法人は障害者と契約して役務を提供し、利用料を受け取る「請負業」との判断を示しました。

税法上、収益事業は「継続して事業場を設けて行われるもの」で、請負のほか、物品販売、製造など34業種が限定列挙されています。
国税庁の法人課税課の担当者は「NPO法人の障害福祉サービスは以前から収益事業だが、複数の税務署から相談があり、見解を示した」と話しているようです。

広島市の「つくしんぼ作業所」は国などの給付を受け、就労困難な知的障害者が家にこもらないように働く場を提供し、1946歳の男女18人がクッキーを作るなどしています。
2007年にNPO法人となった際、税務署から「収益事業でない」と説明を受けたそうです。
しかしながら、2015年に一転して収益事業と指摘され、法人税や無申告加算税など過去3年分で計約200万円を課されました。

2017年4月、「運営はボランティアの支えもあり、福祉が目的で収益事業ではない」と、広島国税不服審判所に税の取り消しを求めて審査請求しました。
今月にも結論が出る見通しです。
厚生労働省によると、つくしんぼ作業所のようなNPO法人は、全国で約3,300201610月現在)に上るようです。

きょうされんは、201712月、障害福祉サービスを実施する加盟の507NPO法人にアンケートを実施しました。
回答した231法人のうち、法人税を申告したとするのは77法人でした。
多田薫事務局長は、「資金力のない法人は課税で圧迫され、福祉サービスが低下しかねない」と話しています。

NPO法人は、そもそも非営利団体のことです。
特定非営利活動促進法により設立されたNPO法人は株式会社と違い、毎年の利益や解散する時の残余財産を構成員に分配できませんが、利益を上げる事業は行えます。
法人税は所得に課税するので、赤字のNPO法人は課税されません。
なお、所得が年800万円以下のNPO法人の税率は、中小企業と同じ15%です。

これに関しては。このような法人に限らず、収益事業かどうかという判断に迷うことが多々あります。
納税者の方も、なぜボランティア的なことをしているのに課税されるのかと思ったりすることが多いのではないでしょうか?
ただ、安易に収益事業ではないとすると、おそらく悪用する方がたくさん出てくるのでしょう。
個人的には、まず、『特定非営利活動法人』という名称を変えたほうが良いのではないかと常々思っています。
普通の方は、『非営利』と言われると『営利を追求しない』と考えるでしょうから。
あとは、税法上『収益事業』となる34業種も、見直す時期に来ているのではないかと感じています。
これは、時代の変化に合わせて新たな業種も生まれてくるでしょうから、タイムリーに改正していかないといけないと思います。

NPO法人による障害者就労支援が課税されることについて、どう思われましたか?


2019年からスマホでコンビニ納税!

2018年01月19日(金)

2019年1月から、スマートフォン(スマホ)などを使い、コンビニエンスストアで納税できるようになるようです。
スマホやタブレット端末などで手続きを簡素にし、電子申告・納税の利用を促します。
納税者らの利便性を高めるほか、税務署の納付書の宛先確認や郵送といった業務の削減を目指します。

財務省と国税庁が主導します。
納税者が電子申告するとその税額や、所得税や法人税といった税目などのデータを記録したQRコードがPDFとして表示されます。
利用者がスマホ画面などに表示されたQRコードをコンビニの読み取り端末にかざすと、税目や税額が印字された書類が発行され、レジで税金を納めることができます。

納税は現金で、全ての税目が対象となります。
読み取り端末はセブンイレブンの「マルチコピー機」やファミリーマートの「Famiポート」、ローソンの「Loppi」などを想定しています。

こうした端末では、既に、イベントのチケットやスポーツ振興くじ(toto)の購入、住民票の写しや印鑑登録証明書などの発行、自動車保険の加入といった手続きができます。
2019年からスマホを使った納税も加わります。

ただ、QRコードの読み取り端末があるコンビニでしか使えず、現状では対象となる店舗が限られるようです。
財務省と国税庁は今後利用できるコンビニを広げていく考えです。

スマホ納税の利用者として想定されるのは、主に個人事業主や法人です。
現在は電子申告したあとに、税務署が作成した納付書を受け取りに行ったり、税務署から郵送してもらったりして、納付書を手に入れなくてはなりません。
納付書があれば今もコンビニで支払えますが、税務署や銀行で支払う人がほとんどだそうです。

また、電子申告をするにはこれまでは本人認証でマイナンバーカードなどの電子証明書や読み取り機器が必要でしたが、2019年からは税務署で一度でも本人確認すれば、IDとパスワードで認証できるようになるため、電子申告を利用する人が増えるとみられます。

政府は規制改革推進会議でICT(情報通信技術)による業務コストの削減を掲げており、電子申告・納税の普及を進めています。
コンビニは生活者にとって様々なサービスの拠点となっており、身近なスマホを使って納税できるようになれば、利便性が高まり電子申告・納税に弾みがつくでしょう。

実は、税理士も僕が使っている申告用のソフトであるNTTデータの達人シリーズなんかは、数年前から納付書を出力できるようになっています。
しかしながら、納付書は3枚綴りなので、B4に3枚分が印刷され、それを3枚に切って、銀行の窓口などに持って行く必要があり、少し手間です。
QRコードでいけるとなると、便利になりますね。
一方で、最近、窓口に来る人がかなり減っていると言われている銀行ですが、税金の納付の方がまぁまぁ多いのではないかと思います。
これらの方がコンビニで支払うようになると、銀行は不要になってきますね。
AIに取って代わるとも言われていますし、最近、手数料の値上げとか言っていますが、銀行の存在自体が危うくなってくるかもしれませんね。

2019年からスマホでコンビニ納税ができるようになることについて、どう思われましたか?

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ベネッセがデジタルハリウッドを買収し社会人などデジタル人材育成事業を強化!

瀬戸内海放送によると、ベネッセホールディングスは、先日、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が保有するデジタルハリウッド(東京都千代田区)の全株式を取得する譲渡契約を結んだと発表しました。

2025年1月31日に取得し、連結子会社にします。

デジタルハリウッドは、日本で初めて株式会社が設立した大学である「デジタルハリウッド大学」を運営しています。

ベネッセは、新たな成長領域として大学・社会人のデジタル人材育成事業を位置付けており、デジタルハリウッドの世界レベルの高品質な教育サービスを大学や企業に紹介すると共に、新たな教育コンテンツを開発してDX人材を育成したいとしています。

ベネッセグループは2022年に「大学・社会人カンパニー」を発足させ、オンライン動画学習プラットフォーム「Udemy」を提供しています。

ベネッセホールディングスは、業績が芳しくなく、2024年3月期の連結決算は、売上高は微減の4,108億円、営業利益は2%減の202億円、純利益が前の期比43%減の64億円で、MBO(経営陣が参加する買収)により上場廃止になりました。

僕も株主でしたが、スクイーズアウトとなりました。

営業利益は過去最高だった2011年3月期の半分の水準に落ち込んでいます。

主力の「進研ゼミ」が個人情報流出や少子化で苦戦するなか、教育のデジタル化や介護分野も含めたM&A(合併・買収)などで再成長を目指していくようです。

うちのこどもたちも教材を使っていますし、我が香川県の瀬戸内海を挟んでお向かいの岡山県を代表する企業だと思いますので、ぜひとも再成長を果たして欲しいですね。

ベネッセがデジタルハリウッドを買収し社会人などデジタル人材育成事業を強化することについて、あなたはどう思われましたか?


DTFAがM&Aなどの企業価値評価で重要な指標「割引率」を数分で算出するオンラインサービスを開始!

デロイト トーマツ グループのデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社(東京都千代田区、代表執行役社長:福島 和宏 以下、DTFA)は、企業がM&Aなどの取引や会計目的で企業価値評価を行う際に重要な指標となる割引率(加重平均資本コスト、WACC 以下、割引率)を専門知識のない人でも数分で算出できるオンラインサービス「Valuation Assist」(バリュエーションアシスト https://lp.valuation-assist.fa-biz.deloitte.jp/)を2023年12月7日から本格的に提供しました。

企業価値は、企業の価値を定量的に(金額で)表すことで、会社の収益力や保有資産、評価対象と類似する企業との比較など様々な観点から評価されます。

Valuation Assistには、企業価値評価の重要な指標である割引率の計算に必要な金利や財務データ、市場データが集められリアルタイムにアップデートされる仕組みになっており、割引率の計算が初めての方でも、類似企業の選択や評価基準日などを設定するだけで、短時間で客観性の⾼い割引率を算出することができます。

さらに、割引率の計算結果だけでなく計算式やサポートデータをエクセルで出力することができ、計算結果を客観的に説明する資料としても活用できます。

日本のM&A件数は年々増加しており、この傾向は今後も続くと予想されています。

割引率の計算を含む企業価値評価は、従来のM&Aの意思決定に加えて国際財務報告基準(IFRS)導⼊に伴う公正価値評価、コーポレートガバナンスにおける業績管理などでも求められており、ニーズは高まっています。

しかしながら、これらの業務は専門知識を要し、金利や財務データなど様々な所に散在するデータを取得し計算するため⼀定の⼯数がかかります。

また、外部機関に依頼すれば、必要な工数に応じて一件ごとに数百万円のコストがかかるなど、ハードルがあります。

そういった背景を受け、一定の客観性があり定額で割引率の算出ができるValuation Assistを開発しました。

Valuation Assistの特長は以下のとおりです。

・定額制で何件計算を行っても従量課金なし

・企業価値評価に豊富な経験を有する者が設計しており、ツールに組み込まれているナビゲーション機能を利⽤し、初⼼者でも簡単に割引率の計算を実施可能

・割引率の計算結果をExcelでダウンロードでき、社内説明資料作成等に利用可能

・ダウンロードしたExcelには計算過程や計算式、データの出典などが一定程度網羅的に含まれる

・割引率の計算に使⽤する財務‧市場データはリアルタイムにアップデートされるため、ある程度最新の計算が可能

<Valuation Assistのサービス概要>

利用料金:

3か月利用プラン30万円、年間利用プラン90万円(いずれも税別)

申込方法:

WEBサイトからお申し込みください

*利用に際して一定の審査を行います

利用方法:

類似企業検索・選択、評価基準日や各種パラメータの計算タイプなど計算前提を選択すると、割引率が表示され、WEBページ上で計算の明細と数値を確認できます

用語の説明やデータソースの確認もでき、計算式やサポートデータをエクセルで出力可能です

他社のサービスと比べるとかなり安価のようですから、一定のニーズはあるでしょうね。

一方で、株価算定業務で難しいこと、特に中小企業向けの場合の一つに、数値の説明が難しいというのがあると思いますが、この点は自動で計算されても、説明するのは知識のある人間という点は変わらないように思いますね。

DTFAがM&Aなどの企業価値評価で重要な指標「割引率」を数分で算出するオンラインサービスを開始したことについて、あなたはどう思われましたか?


「そごう・西武」全株式の売却額は8,500万円で企業価値2,200億円から大幅減額!

ITmedia ビジネスオンラインによると、セブン&アイ・ホールディングス(HD)は2023年9月1日に、子会社そごう・西武の全株式の売却が完了したと発表しました。
アメリカ投資ファンドFortress Investment Group(フォートレス)への売却額は8,500万円です。
2023年8月31日の発表時は、企業価値を2,200億円としており、売却額も同規模とみられていましたが、負債などがかさみ、実際の売却額は大幅に減額となったようです。

売却額は、企業価値2,200億円からそごう・西武とその子会社が抱える純有利子負債や運転資本に関する調整などを経て算出しました。

事業売却に合わせて、セブン&アイHDは業績も下方修正すると発表しました。
直近の2023年3月~8月期決算で1,457億円の特別損失を計上します。
そごう・西武の株式譲渡に伴い、1,659億円の貸付金のうち916億円の債権放棄のほか、損失補填を行ったためです。
修正前の純利益は1,380億円の黒字を見込んでいましたが、修正後は650億円減の730億円の黒字になる見通しです。
同様に通期(2023年3月~2024年2月)では、550億円減の2,300億円の黒字を見込んでいます。修正前は2,850億円の黒字としていました。

最近は久しぶりのストライキで話題になっていましたが、売却額は予想をはるかに下回る金額でしたね。
個人的には、百貨店は現在の世の中を考えると非常に厳しい商売だと思いますので、ヨドバシカメラが入った方が集客力は高まるように思うのですが、どうなんでしょうか?

「そごう・西武」全株式の売却額は8,500万円で企業価値2,200億円から大幅減額となったことについて、あなたはどう思われましたか?


2022年2月にADRを申請した調剤大手のさくら薬局のクラフトを投資ファンドのNSSKが買収!

ミクスOnlineによると、調剤大手クラフトは、先日、さくら薬局グループの全株式を投資ファンドの日本産業推進機構グループ(NSSK)に譲渡し、経営支援を受けると発表しました。
クラフトは2022年2月、私的整理の一つである事業再生ADR(裁判外紛争解決手続)を申請しており、金融機関と協議を進めていました。
買収は、株式譲渡を含む事業再生計画案が取引金融機関の同意を得て成立することなどが条件となっています。

クラフトはさくら薬局などを全国に展開しており、2008年の非上場化以降、中小薬局を中心に積極的なM&Aを進め、270店舗から900店舗に拡張しました。
売上高も1,700億円を超え、調剤大手第3位となるまで成長していました。
ただし、借入金の返済負担が重くのしかかり、「営業キャッシュ・フローと有利子負債のミスマッチが生じていた」としています。

クラフトは、「NSSKグループの経営支援を受けることによって、より一層強固な収益体質の確立と管理体制の抜本的な改革・拡充を図り、社会インフラとしての調剤薬局の社会的使命を再認識し、強固な企業ブランドの構築と更なる成長を通じた企業価値の更なる向上を目指す」とコメントしています。
「NSSKグループの支援のもとで、今後も地域包括ケアシステムの一翼を担う薬局として、医師や看護師、介護従事者等と連携して、最良の医療・介護サービスを提供し地域住民の健康をサポートする。“健康や薬のことなどを、いつでも気軽に相談できる場所”として、今後も皆様に信頼される薬局であり続ける」としています。

NSSKは、独自の経営支援パッケージやメンバーの培った知見、国内外のネットワークを活用します。
「さらなる売上高の成長を企図した新規出店の実施、地域医療貢献等の各種体制強化とそれによる既存店舗の売上高の増加、経営管理指標(KPI)の見える化を含む経営管理手法の導入、ガバナンス・コンプライアンス体制の強化、コーポレート・フィロソフィーの浸透及びESG活動の推進等、クラフトが次のステージに向けてさらに力強く成長するための施策の立案・実行を支援する」としています。

店舗を増やし、売上高を増やそうとするあまり、M&Aの際に、結局高く買ったということなんでしょうね。
商売は売上高ではなく、利益が重要ということや、M&Aの際には、採算の計算をきちんとすべきだということを改めて感じた1件でした。

2022年2月にADRを申請した調剤大手のさくら薬局のクラフトを投資ファンドのNSSKが買収されたことについて、どう思われましたか?


株式譲渡で約1億6,500万円脱税した会社役員を高松国税局が告発!

NHKによると、高松国税局は、株式を譲り渡した際に得た所得を隠し、所得税およそ1億6,500万円を脱税したとして、不動産管理などを行う会社の代表取締役を、所得税法違反の疑いで松山地方検察庁に告発しました。

告発されたのは、東京都江東区に住む、不動産管理などを行う会社の代表取締役(71)です。

高松国税局によりますと、代表取締役は、自身の株式を譲り渡した際に得た平成28年分の所得、およそ11億600万円を隠し、所得税およそ1億6,500万円を脱税したとして、所得税法違反の疑いが持たれています。

高松国税局は、2022年6月に松山地方検察庁に所得税法違反で告発したということで、その後、修正申告があったかどうかや、認否については明らかにしていません。

東京にお住まいの方を高松国税局が告発しているということは、途中で住所を変えているんですかね。
会社の経営者であれば申告が必要なのは当然分かっているでしょうし、株主の異動は法人税別表2などで分かると思いますが、バレないとでも思っていたのでしょうか?
株式の譲渡所得は分離課税で税率が低いと思いますが、どういう考えで申告しなかったのか知りたいですね。

株式譲渡で約1億6,500万円脱税した会社役員を高松国税局が告発したことについて、どう思われましたか?


アシックスがランナーのためのポータルサイトを運営するアールビーズの株式を取得し子会社化!

日本M&Aセンターによると、株式会社アシックスは、日本テレビホールディングス株式会社(東京都港区)と共同で、株式会社アールビーズ(東京都渋谷区)の自己株式を除く発行済株式の全てを取得する株式譲渡契約を締結しました。

アシックスがアールビーズの株式の65%を取得し、グループ会社化するとともに、日本テレビHDが35%を取得するようです。

アシックスは、各種スポーツ用品等の製造および販売を行っています。
ランニング事業を重点戦略の一つとして、マーケットシェアの拡大やプレゼンスの向上などを図っています。

アールビーズは、ランナーのためのポータルサイト「RUNNET」や大会エントリー連動型トレーニングアプリ「TATTA」の運営、国内ランニングイベントの運営受託および企画開発などを行っています。

本件M&Aにより、アシックスは、アシックスの顧客にはアールビーズが手掛けるランニングイベントへの参加を促し、RUNNET会員にはアシックスの製品およびサービスを利用してもらうなど、より多くのランナーに対してシームレスにサービスを提供することを目指します。

また、日本テレビHDとは、日本テレビHDが運営するフィットネスクラブ「ティップネス」やアスリートによるコーチ事業「ドリームコーチング」などと連携し、3社協業による「ランニングに関わるすべてが揃う」プラットフォームの構築を目指します。

アシックスは海外売上が多く、過去最高益を計上するなど最近、業績が好調のようですが、そういう時に次なる手を打つということは、経営者が優秀なんでしょうね。
個人的にも、アシックスのシューズは好きなので、頑張って欲しいですね。
ちなみに、アシックスはオニツカタイガーというブランドを持っていますが、元々は、鬼塚株式会社だったそうです。

アシックスがランナーのためのポータルサイトを運営するアールビーズの株式を取得し子会社化することについて、どう思われましたか?


ソフトバンク及びZホールディングスがPayPayを連結子会社化へ!

日本M&Aセンターによると、ソフトバンク株式会社は、Zホールディングス株式会社との間で、PayPay株式会社(東京都千代田区)を両社の連結子会社とする取引契約を締結しました。

ソフトバンクとZホールディングスは折半で出資し、持ち株会社「Bホールディングス」を新たに設立し、BホールディングスはPayPayの優先株を普通株に転換するなどの方法で、PayPayの親会社となります。

ソフトバンクは、移動通信サービス・固定通信サービス・インターネット接続サービスの提供、携帯端末の販売を行っています。

一方、Zホールディングスは、グループ会社の経営管理を行っています。
グループ会社は、ヤフー株式会社、LINE株式会社、アスクル株式会社、株式会社GYAOなどがあります。

また、PayPayは、モバイルペイメントなど電子決済サービスの開発・提供を行っています。

ソフトバンクとZホールディングスは、PayPayの収益機会と経済圏の拡大と、グループ内のシナジー強化を図ります。

今後の予定としては、2022年10月1日に株式交付の効力が発生するようです。

色々とグループ内で再編を行う会社ですね。
過去には、節税が目的と思われるものもあったかもしれませんが、再編で、シナジー効果が強化されるのであれば、どんどんやればいいなぁと思います。
個人的には、電子決済サービスはたくさんあり過ぎるので、淘汰されて数社になればいいのになぁと思っていますので。

ソフトバンク及びZホールディングスがPayPayを連結子会社化することについて、どう思われましたか?


天満屋ストアが駅弁等の製造販売を行う三好野本店の株式を取得し子会社化へ!

日本M&Aセンターによると、株式会社天満屋ストア(9846)は、株式会社三好野本店(岡山県岡山市)の全株式を取得し、子会社化することを決定しました。

取得価格は、アドバイザリー費用等も含め、約705百万円だそうです。

天満屋ストアは、食料品・生活用品・衣料品の販売を行っており、岡山県を中心に広島県東部、鳥取県にて店舗を展開しています。

三好野本店は、駅弁などの製造販売、高速道路のサービスエリア運営を行っています。

天満屋ストアは、三好野本店の製造販売事業におけるブランド力や運営ノウハウの活用による、天満屋店舗とのセールスシナジーやコストシナジーを期待し、本件M&Aに至ったようです。
更なる販路拡大や、三好野本店がもつ冷凍技術を活用した新たな商品展開を進めるなど事業拡大を図ります。

香川県と岡山県は近いですし、新幹線に乗るときは岡山駅から乗りますし、ドクターイエローのお弁当などを売っていたので、三好野本店の名前は知っていたのですが、天満屋ストアに買収されるんですね。
天満屋ストアは、親会社の天満屋の高松天満屋もそうですが、以前は高松市などに出店していましたが、10年近く前に香川県からは撤退してしまいましたが、頑張って、こどもたちが喜ぶような駅弁を今後も作っていって欲しいですね。

天満屋ストアが駅弁等の製造販売を行う三好野本店の株式を取得し子会社化することについて、どう思われましたか?


「企業価値417億円」Origamiをメルカリが買収した理由!

2020年1月23日、メルカリの100%子会社でスマホ決済サービスを提供するメルペイが、同じくスマホ決済サービス企業であるOrigami(オリガミ)を買収すると発表しました。

このときは、買収金額は非公表でした。

メルカリ広報担当者はBusiness Insider Japanの取材に対し、Origami Payとメルペイのサービスは今後統合される方針と説明しました。

ただし、加盟店やアプリを使っているユーザーには今後、移行を促していくものの、Origami Payアプリそのものがメルペイに切り替わったり、加盟店がそのままメルペイ加盟店として吸収されるわけではない、としました。

買収後も当面、法人格としてのオリガミは存続します。

これは、トヨタが提供する決済アプリ「TOYOTA Wallet」の決済機能や、全国の数百の信用金庫へのキャッシュレス決済基盤など、企業向けの決済技術をオリガミが提供しているためだそうです。

とはいえ、この時点では基本合意という段階でもあり、買収後の人材配置については「現時点では何も決まっていない」(メルペイ広報)とのことでした。

これまでもメルペイは加盟店開拓に関する協業などのために、他の事業者との連携は密にとってきました。

オリガミの買収交渉のスタート時期について、メルペイ広報は「(2019年)11月以降、業界全体の動きが加速していった」と説明しました。

「11月」とは、言うまでもなくヤフーとLINEの経営統合発表のことです。

キャッシュレス決済の巨大プレイヤーどうしが1つのグループになることによる「業界再編」が急速に進む中で、メルペイ、オリガミはさらに一歩踏み込んだ「協業」を模索し、それが今回の買収に至ったのです。

オリガミは地方の個人店舗など、中小事業者のネットワークを持っており、中規模の事業者に強みのあるメルペイにとっては、相互に補完関係のあるビジネスでした。

オリガミは2012年に創業し、2016年から他社に先駆けてQRコードをつかったキャッシュレス決済サービスを国内で展開してきました。

Origami Payを導入する加盟店は、累計で19万か所で、日本経済新聞は2019年11月に発表した「NEXTユニコーン調査」で、オリガミの企業価値を417億円としていました。

一方、DIAMOND onlineによると、2020年1月23日には両社は売却価格を非公表としていましたが、複数の関係者は1株1円だったことを明らかにしたようです。

オリガミの株数は259万株であるため、譲渡価格は総額約259万円だったことになります。

日本経済新聞社が2019年11月に発表した発表した「NEXTユニコーン調査」では、オリガミの企業価値は417億円と算定されており、今回の売却価格は市場評価を大きく下回ったことになります。

金融関係者は「フィンテック(金融とITの融合)・バブルの崩壊」と語っています。

複数の関係者によると、オリガミは売却発表と同時に社内向けに大規模な人員削減策を公表したようです。

社員185人のうち約9割にあたる160~170人規模のリストラ策に踏み切るようです。

大半の社員は1月末が最終出社となり、2月末で退職になるようです。

これは事実上の解雇に当たりますが、今回のメルカリへの売却は実質的な経営破綻となるため、「人員削減の必要性という項目に該当し、いわゆる整理解雇の位置付けだ」と関係者は明かしたようです。

ダイヤモンド編集部の取材に対し、譲渡価格についてメルカリの広報担当者は「非公表のためノーコメント」とし、リストラの人数についてはオリガミとメルカリの両広報担当者共に「両社が最大に強みを発揮できる適切な人員配置を検討している」と語るにとどめました。

オリガミはコスト面の負担が大きい一方で収益が追い付かず、2020年1月中旬の段階で「残り数週間で資金がショートするレベル」(関係者)だったようです。

康井義貴社長をはじめ、オリガミ幹部は資本調達に走り回りましたが、出資先が見つからずに八方ふさがりとなり、最後にたどり着いたのがメルカリでした。

康井社長は1株1円という破格での売却の代わりに従業員の雇用維持を申し入れたが、従業員の削減が「メルカリからの買収条件だった」(オリガミ元社員)ようです。

日本企業では、買収元が買収先企業の従業員の大リストラに着手する事例は少ないが、「スタートアップの救済であれば妥当だ」とベンチャーキャピタル関係者は指摘しています。

オリガミがしのぎを削っていたキャッシュレス決済の分野は、官民一体による推進と消費増税の緩和策として取られたポイント還元制度などを追い風に、多数の新規プレイヤーの参入が続いていました。

中でもオリガミは、2012年創業でいち早くキャッシュレス決済に進出した業界のフロントランナーで、信用金庫の中央銀行としての役割を担う信用中央金庫と資本業務提携を結び、地方の加盟店開拓にも取り組んでいます。

しかしながら、ソフトバンクグループ傘下の PayPay(ペイペイ)は、消費者還元キャンペーンを繰り返して顧客を拡大しました。

加えて、ヤフーとLINEの経営統合によりLINEPayの顧客基盤が加わることになりました。

PayPayの加盟店数185万か所に対して、オリガミは約19万か所にとどまり、すでに大きく劣後しています。

レガシー(負の遺産)を抱える銀行や証券会社など従来の金融プレイヤーがサービス改革に出遅れる中、イノベーターとして勃興してきたフィンテック・ベンチャーですが、「これまでは、赤字でも粗利益さえ増やせば資金は後から付いてくるというビジネスモデルだったが、大きな転機に差し掛かっている」と話す金融業界関係者もいるようです。

現在、多額のリスクマネーがフィンテック・ベンチャーに流れていますが、今後はより一層スタートアップの真贋が問われるでしょう。

何ちゃらPayがたくさんありますが、複数社に集約されるのが目に見えている中で、オリガミが買収されるのは当然の結果だと思います。
利用者としては、何ちゃらPayの数をできれば絞りたいはずで、使える店が少ないオリガミなどは淘汰されてしまうでしょう。
2019年11月の企業価値が417億円だったというのが驚きですね。
弊事務所も加盟店になっているPayPayも、手数料がいらないということで加盟店を増やしているはずですから、手数料を取り始めると、加盟店はおそらくかなり減ると思います。
PayPayですら、将来稼いでいけるのか疑問なわけですから、加盟店の少ないそれ以外のところは将来性があるのでしょうか?

「企業価値417億円」Origamiをメルカリが買収した理由について、どう思われましたか?


親族外への事業承継の税優遇として株式の売却が5,000万円までを上限に検討!

 日本経済新聞によると、後継者難の中小企業経営者に第三者への事業譲渡を促す新たな税優遇について、経済産業省と財務省は、売却額5,000万円を上限とする案の検討に入ったようです。
後継者難による廃業を防ぎつつ、過剰な税優遇による不公平や制度の不正利用が生じないよう制限をかける方向だそうです。

中小企業のオーナー経営者が、自分の会社を他社などに売ると、売却額と売った株の簿価との差分だけ利益が生じ、通常は20%の所得税がかかります。
2020年度の税制改正で、経済産業省は、この利益にかかる税負担を一定条件のもとで軽減したり、先送りしたりできる税優遇を創設するよう求めています。
今後、与党の税制調査会で議論し、制度創設を判断するようです。

財務省側からは制度の乱用や税逃れを懸念する声が上がっています。
このため経産省は、税優遇を利用できる対象に制限を設け、売却額5,000万円を上限とする案を提示しました。
また、伝統産業やサプライチェーン維持に重要な役割を果たす「地域経済に不可欠な存在」と、国に認定された中小企業だけが、税優遇を使えるようにすることも盛り込みました。

会社の買い手に対して一定期間、事業を続けることを求めることも盛り込まれるようです。
前オーナーから会社を買い、すぐに重要な資産を売却したり事業をたたんだりすると、税優遇をしてまで事業承継を支援した意味がなくなるためです。

もしそのような事態になったら、売り手側の前オーナー経営者に、軽減された税負担分を国庫に返納させる仕組みにする案も有力です。

「一定期間」をどのくらいの長さとするかについては、経済産業省と財務省の間で意見の違いが出ているようです。
できるだけ短くしたい経産省側は1年程度を考えているようですが、財務省側は制度の悪用を防ぐためにも5年程度は必要だとみているようです。
親子など親族内の承継を後押しする「事業承継税制」では、5年間は事業を継続するという条件を課しているからです。

経済産業省によると、2025年には全国の中小企業の経営者の約6割が70歳以上になり、その半分の約127万人はまだ後継者が未定だそうです。
経済産業省は、後継者難による廃業を回避するため、親族内の事業承継に限らず第三者への譲渡にも支援が必要と主張しています。

一方、第三者への承継は要するに「身売り」そのもので、親族内での承継とは全く異なるという指摘も与党や財務省から出ています。
中小企業の後継者が見つからなかったり、身売りがうまくいかなかったりする理由は税以外にもあるという意見も根強く、与党税調でも主な議論のテーマの一つになりそうです。

個人的には、税負担が重いため、事業承継をしないケースがそれほどあるのだろうかと思いますが、優遇制度を作れば、第三者承継(いわゆるM&A)という形の事業承継も少しは進むのかなぁとも思います。
所得税の世界では、20パーセントの税率というのはそれほど高くないからです。
また、5,000万円という上限を決めると、テクニカルに株式の譲渡価額を5,000万円以下に抑えるようなことが行われるでしょうから、その辺りも含めて、慎重に決めて欲しいなぁと思います。

親族外への事業承継の税優遇として株式の売却が5,000万円までを上限に検討していることについて、どう思われましたか?


ソフトバンクグループの節税策を受け財務省が抜け穴封じへ!

 財務省は、ソフトバンクグループ(SBG)が用いたM&A(合併・買収)に絡んだ節税策を防止する方針を固めたようです。
同一グループ内の資本取引で実態に変化がないにもかかわらず巨額の赤字を意図的につくり出して、ほかの部門の黒字と相殺して法人税を減らす手法を認めないようにします。
予期せぬ大規模な節税につながった制度の抜け穴をふさぎます。

財務省が問題視しているのは、子会社などが中核事業を放出して企業価値が落ちた状態にしてから売却し、簿価と売却額の差だけ赤字を発生させる仕組みです。
このため、子会社の中核事業を手放す際には簿価も目減りさせるルールを軸に検討するようです。
子会社を売却しても簿価と売却額の間に差がなくなり、意図的に赤字をつくれなくなります。

与党の税制調査会での議論も踏まえて、2020年度の税制改正大綱に関連法令の見直し方針を盛り込みたい考えのようです。

SBGは買収したアーム・ホールディングス(HD)と、その中核事業を担う子会社の「アーム・リミテッド」に関する資本取引で大規模な節税を実施しました。
開示資料などによると、SBGは2018年3月にリミテッド株の4分の3をアームHDから配当という形で吸い上げました。
これにより、アームHDの実質的な価値は大きく目減りしました。

SBGは買収時より価値が大幅に落ちたアームHD株の8割弱を同じく傘下にあるソフトバンク・ビジョン・ファンドなどに売却して赤字を発生させました。
この赤字をほかの事業で生じた黒字と相殺し、SBGの法人税負担はゼロになりました。
中核事業のアーム・リミテッドは親会社が変わりましたが、SBGの傘下にあることに変わりはありません。

一つ一つの取引には違法性はなく、制度の抜け穴となっていました。
国税庁からの相談を受け、財務省は今夏ごろから対策の検討を始めていたようです。

一部有識者の間では、包括的に税逃れを制限する規定をつくるべきだという意見もあったようです。
こうした規定は一般的租税回避防止規定(GAAR)と呼ばれ、英国やインドなども導入しています。
ただし、発動の判断が難しいこともあり、各国当局もまだGAARを使いこなせていない状況です。

企業側からは、税務当局の出方が読みづらくなり、予期しない追徴課税を受ける可能性も高まるとして慎重な声も多いようです。
財務省は現段階でGAARの検討に踏み込まず、個別の節税策を封じることにしました。

僕自身、税理士なので、こういったスキームを提案できる税理士を尊敬しますし、ある種、それが税理士の存在価値の一つだと思っていますが、世論はそうではありませんね。
最近、良い節税スキームがあると、国税庁も研究して、結構早く改正してきますね。
結局のところ、税法の不備でしょうから、国税庁も悔しいんでしょうね。
一方で、現行ではO.K.という表れでもあります。
僕も、税理士として、いつの日か何か国税庁に塞がれるようなスキームを編み出したいですね(笑)。

ソフトバンクグループの節税策を受け財務省が抜け穴封じを行うことについて、どう思われましたか?


ソフトバンクグループの納税ゼロで税法・資本取引の対応の遅れが露呈!

 このBlogで何度も取り上げていますが、ソフトバンクグループ(SBG)が4,200億円の申告漏れを国税当局に指摘され修正申告しました。
問題は計上時期が異なった「期ずれ」にとどまりません。
2018年3月期に国内の法人税がゼロとなった裏側には、グループ内の株式移転のみで2兆円もの損失が生じる仕組みがあったのです。
企業グループの複雑化と資本取引の増加に対応できない税制の不備が露呈したのです。

国税当局は一連の税務処理を調査しましたが、不当な税逃れとまではいえないとの結論に至ったようです。
専門家は「一つ一つの行為は適法だが、全体としてみれば、税制の穴をつく租税回避行為との印象を受ける」(財務省主税局で税法の企画立案を長く担当した朝長英樹税理士)と指摘しています。

SBGは「税法に従って適正な処理を行った」とコメントしており、資本取引については「海外事業における最適な資本関係を実現するため」としています。

資本取引の流れはこうです。
SBGは2016年9月、イギリスのアーム・ホールディングス(HD)の全株を3.3兆円(当時の為替レート)で買収しました。
アームHD自体は持ち株会社で、価値の大半は半導体の設計子会社、アーム・リミテッドにあります。

イギリスの開示資料や関係者によると、アームHD社は2018年3月23日、SBGにリミテッド株の75%(2.6兆円)を現物配当しました。
同日、今度はSBGがアームHD株の78%を傘下の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」などに譲渡しました。
配当を出し、価値が落ちたアームHD株を譲渡したため2兆円の損が生じました。

業績悪化などの事態があったわけではなく、親会社が自ら配当として吸い上げたために損は発生したのです。
再編後もSBGはリミテッドの支配権の100%を間接分も含めて保有します。
実態に変化がないのに税のメリットを受けられたのです。

背景には2つの税の論点があります。
1つは日本の2009年度の税制改正で導入された「外国子会社配当益金不算入制度」です。
海外子会社からの配当は95%が益金不算入(非課税)となります。
二重課税を避けるとともに、海外の利益を日本に還流させ、経済を活性化する狙いがあります。

この制度では株式による現物配当も認められている点をSBGは活用したのです。
今回、SBGが受け取ったリミテッド株の2.4兆円分は非課税となったのです。
課税額が少なく、移転が容易になりました。

税務上の価値評価も影響しました。
日本の税法は原則、取得時の帳簿価格を重視します。
アームHDの簿価は、リミテッド株の75%を配当に出した時点で残り25%分の0.7兆円に修正されるのが実態に合います。
しかしながら、簿価は買収時のまま維持され、譲渡時に時価との差が損となってしまうのです。

専門家は「アームHD株の簿価が、適切に調整される規定が現行法では存在せず、不適切な譲渡損が発生してしまった」(アンパサンド税理士事務所の山田典正・代表税理士)と指摘しています。

日本の法人税法には、組織再編などで税負担を不当に減少させたと国税当局が判断した場合は申告内容を否認できる規定があるのです。
法人税法第132条の「行為計算否認規定」です。
ただし、何をもって「不当」とするかは法律上の明文規定はなく、見解の違いが生じやすくなっています。

この規定が適用され、約58億円を追徴課税された大手レコード会社が処分の取り消しを求めた訴訟では、2019年6月に東京地裁は国税当局の処分を取り消す判決を言い渡しました。
組織再編に伴う資金の借り入れなどが問題となりましたが、「経済的合理性がある」と判断されたのです。

今回のSBGでも同規定の適用が検討されたもようですが、国税当局は調査の結果、不当に法人税を減少させたとまではいえないと結論づけました。

企業活動は複雑化し、税の「抜け穴」全てはふさげません。
欧米では行きすぎた租税回避に対応できる「一般的否認規定(GAAR)」があります。
「日本でもGAARの導入議論が必要で、その際には適用条件も明確にすべきだ」(森信茂樹・東京財団政策研究所研究主幹)との声が強まっているようです。

組織再編をやるうえで、税額ができるだけ少なくなるような手法を使うのは、経済的合理性を考えれば当然かと思います。
結局のところ、税制の不備なのですから、おかしなところがあれば直せばよいと思いますし、条文を作るときから、もっと色々なことを想定して作らないといけないのではないかと思います。
そこには、高度な専門知識が不可欠だと思いますので、条文を作る側の方も常に情報を収集し、スキルアップをはからないと厳しいでしょうね。
批判もあるかと思いますが、僕も税理士ですので、これだけ巨額な取引に関し、こういったスキームを描いた税理士もすごいと思いますし、そういうことが税理士の存在価値を高めるのだと思っており、提案のできる公認会計士・税理士でありたいと思っています。

ソフトバンクグループの納税ゼで税法・資本取引の対応の遅れが露呈したことについて、どう思われましたか?


ソフトバンクグループがヤフーの再編で税務メリット!

 ソフトバンクグループ(SBG)は、先日、ヤフーを巡るグループ内の資本再編を完了させました。
ヤフーの親会社はSBGから国内通信子会社ソフトバンク(SB)に移り、5,000億円強の資金がSBGに入いります。
ヤフーの第三者割当増資と自社株TOB(株式公開買い付け)を組み合わせたことで、SBGとSBの間で株を直接譲渡するより、SBG側に税メリットが生じる見通しです。
SBGは「節税が目的ではない」としていますが、子会社がヤフーから受け取る資金の大部分が課税対象とならない可能性が高くなっています。
2018年3月期もグループ内の資本移動に関連し、巨額の税務上の欠損金を出して法人税を払っていません。
資金流出を抑え、株主価値の最大化を図る手法とみるべきなのでしょうか?
税務の視点から追っています。

今回の再編で、ヤフーの親会社はSBGからSBに移ります。
SBにとってはこれまで兄弟会社だったヤフーと、親子の関係になるわけです。
SBの宮内謙社長は独立した上場会社として通信以外の新規事業に成長を求めるには、兄弟会社のヤフーとの関係を深めるのがベストと考えました。
事業上の「シナジー(相乗効果)」が再編の狙いと説明しています。

再編のスキームは入り組んでいます。
SBGは同社からSBに直接ヤフー株を譲渡するのではなく、ヤフーの自社株買いや増資を組み合わせる手法をとりました。

まず、ヤフーがSBを割当先とする第三者割当増資を実施しました。
新株約15億株を発行し、4,565億円を調達します。
次にヤフーはTOBによって自社株を買い取ります。
この自社株買いにヤフー株を約18億株持つSBGの中間持ち株会社ソフトバンクグループジャパン(SBGJ)が保有株の売却で応じます。

この一連の取引で、最も税務上のメリットを享受するのは、SBGJです。
SBGJはTOBに応募し、5,145億円を受け取りますが、この大半について税金がかからないのです。

読み解くヒントは「みなし配当」です。
今回のスキームでいえば、SBGJがTOBに応募して受け取る資金のうち、ヤフーの資本金などの額を超える部分を指します。

公表された情報をもとに試算しています。
計算式は、TOBの対価から、ヤフー株の資本持分と負債利子を引いた額です。

SBGJはヤフー株の約36%を保有します。
資本持分の計算には、税務上の資本金を使いますが、開示されていないため、会計上の数値で推計しています。
ヤフーの資本金と資本剰余金(単体)は合計で約130億円です。
この36%にあたる約47億円と、負債利子(非開示、比較的少額と仮定)を5,145億円から差し引きます。

概算では、5,000億円を超える規模の金額が「みなし配当」となります。

SBGJはヤフー株の約36%、つまり3分の1以上を保有していました。
法人税法の規定により、TOBに応じてSBGJが得た売却代金は配当を受け取ったとみなされ(みなし配当)、3分の1以上を保有する株主の場合、大半が課税対象にならない「益金不算入」(税金の計算にいれなくてよい)となります。

次にSBGJとヤフーの間の譲渡損益を考えます。
TOB対価からヤフー株の取得原価を差し引いて計算しますが、SBGとヤフーは取得原価について「開示しない」としており、ここでは推計が難しくなっています。
ヤフー株の売却によって益がでれば課税され、損が出れば他の所得と通算して税金を減らすことができるのです。

今回のような再編スキームをとらずに、単純にSBGがSBに直接ヤフー株を譲渡したとしたらどうなるでしょうか?
売却価格から取得価格を引いた差額は利益として、課税対象になります。
つまり、税務上は正反対の結果となるのです。

組織再編や同族会社の間の取引では、企業と国税当局の間で係争が起きることがあります。
IBM`が子会社株の売買に伴う税務上の赤字を連結納税を使ってグループ内で相殺したことなどが問題となりました。
東京国税局は「節税が主目的だ」として、法人税法132条(行為計算否認)の規定を使い、約3,995億円の申告漏れを指摘しました。
ただし、IBM`側が不服として争った結果、2016年には課税が取り消される判決が確定しました。

今回の案件について、専門家の評価は分かれているようです。
財務省主税局で税法の企画立案を長く担当した朝長英樹日本税制研究所代表理事は、「IBM訴訟と同様の問題があるとの指摘を受けるリスクは残る。取引が経済合理性のあるものか、そして不自然・不合理な点がないかどうかが当局の判断の焦点となる」と指摘しています。

一方、税務関連の訴訟を多く手掛ける鳥飼総合法律事務所の高田貴史税務部部長は、「節税のみを目的にした再編だと明確に示す情報がない限り、(法人税の負担を不当に減少させたと指摘するのは)かなり難しいだろう」とみています。
「税務のプロなら当然とりうる手段だ。グループ外に資金流出せず、節税メリットもとれる」と話しています。

僕は、後者の立場です。
節税が目的ではなく、組織再編などを行う際に、税金が多額にかかる手法とほとんどかからなない手法があるのであれば、かからない手法を検討するのが当然ではないかと思います。
税務は知らない人は損をする世界ですし、同じことをするにしても、やり方によって税額に大きな差が生じるのは税法の不備なのではないかと思います。
こういったことで、納税者の主張が認められ、国税局の考えが変わっていくのを期待したいと思います。

ソフトバンクグループがヤフーの再編で税務メリットを取っていることについて、どう思われましたか?

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クスリのアオキが食品スーパーのM&Aを加速するワケ!

M&A Onlineによると、食品スーパーマーケットとドラッグストアはいずれも業界再編が進んでいます。

食品スーパー市場はコロナ禍で伸びたとはいえ、市場規模は2010年代以降、横ばいに推移してきました。

一方、ドラッグストア市場は拡大し続けているものの、地方の小規模業者は厳しい状況にあります。

こうした状況で業界8位の「クスリのアオキホールディングス」(クスリのアオキHD)は各地の地場食品スーパーを次々に買収しています。

ドラッグは食品スーパーを買収する背景には、どういう狙いがあるのでしょうか?

ドラッグストア業界で8位に位置するクスリのアオキHDですが、後述のとおり、食品や総菜に力を入れており、店舗は“食品スーパー化”しています。

そして、近年の事業拡大では、新規出店のみならず、地場の食品スーパーを買収し、ドラッグストアへ業態転換する手法も採ってきました。

先に結論を言うと、地場の食品スーパーのM&Aを進めるのは店舗物件に加え、買収先が持つ運営・仕入れのノウハウが手に入るためなのです。

そして、アオキが買収を進める食品スーパー市場は成長期が終わり、特に小規模業者は厳しい局面に置かれています。

経済産業省の商業動態統計調査を参照すると、食品スーパーの市場規模は2019年の13兆983億円から2023年の15兆6,492億円へと拡大しました。

コロナ禍に伴う巣ごもり需要や値上げが影響した形です。

しかしながら、市場規模は1997年に12兆円を突破後、2013~2019年の間は13兆円台を推移し横ばい傾向にあったのです。

人口減少も進み、特に地方の弱小業者を買収するハードルは低下しています。

地場の食品スーパーのM&Aのほか、近年の大型案件では2015年のイオンによるダイエーの子会社化が挙げられます。

一方のドラッグストア業界は2015年に5兆円、2020年に7兆円を超え、2023年は8兆3,438億円の規模となりました。

食品スーパー市場とは対照的に伸びが著しく、「食品や日用品、化粧品の安売りで集客し、利益率の高い薬で儲ける」ビジネスモデルが成功した形です。

大型店では1店舗で何でも揃うというワンストップショッピングのメリットも大きいです。

ところが、小中規模業者が乱立するような状況であり、仕入のスケールメリットなどの観点から食品スーパー同様に業界再編が進んでいます。

2021年にはマツモトキヨシHDとココカラファインが経営統合して、業界3位のマツキヨココカラ&カンパニーが誕生しました。

業界1位のウエルシアHDと2位のツルハHDも、将来的な統合に向けて協議を進めています。

同じ業界でひとくくりにされがちなドラッグストア各社ですが、例えば、コンビニ市場とは違い、各社の商品構成は大きく異なります。

大まかには、『ロードサイド型』と『都市型』に二分されます。

今回のクスリのアオキHDはロードサイド型ドラッグストアであり、ウエルシアHDやツルハHDもこれに分類されます。

ロードサイド型ドラッグストアは食品の割合が25%前後と高く、化粧品は15%程度しかないのです。

食品の安売りを集客手段として拡大してきた背景があり、食品スーパーのように生鮮や惣菜を充実させている大型店もあります。

特に地方のロードサイド型店舗では、“食品スーパー化”が著しくなっています。

2017年にツルハHDの傘下に入った静岡県が地盤の「杏林堂薬局」は、調剤併設型店舗として平均700坪の大型店舗を出店しています。

250坪を目安とする郊外型ドラッグストアや300坪の食品スーパーよりも大きく、小さなホームセンター並みの面積です。

こうした大型店では食品スーパーのように精肉コーナーを設けています。

コンビニよりも店舗数が多いと言われている地方において、食品スーパーとしての機能を備えるドラッグストアは、重要な買い物の場として機能してきました。

一方のマツキヨココカラ&カンパニーを筆頭とする都市型ドラッグストアは、主に駅前・市街地に出店し、売上高に占める化粧品の割合が3割を超え、食品は1割を下回ります。

ロードサイド型が食品の安売りを集客手段としてきたのに対し、都市型は化粧品に特化してきたのです。

クスリのアオキHDは1985年に設立され、石川県が地盤のドラッグストアとして北陸を中心に事業拡大を行ってきました。

2007年に100店舗を達成、2018年には500店舗を達成し、現在では約950店舗を展開するなど著しいスピードで拡大してきました。

2024年5月末時点で373店舗の北信越、262店舗の関東が中心で、東北や東海、関西、四国にも進出しています。

地方・ロードサイド型のドラッグストアであり、東京都内には出店していません。

従来は新規出店が主でしたが、近年では地場の食品スーパーを買収しています。

手始めに石川県で食品スーパーを6店舗展開していたナルックスを2020年6月に買収(額は非公開)し、以降は毎年のように買収を行っています。

いずれも、各地で数店舗を展開する地場の食品スーパーです。

2024年は既に4件のM&Aを手掛けています。

買収先を食品スーパーとして存続する例はほぼみられず、次々に「クスリのアオキ」へと業態転換しています。

こうしたM&Aについて、食品スーパーの持つ仕入・運営ノウハウの獲得や生鮮MDの強化、好立地物件の確保などを目的としています。

2026年5月期売上高4,850億円(2024年5月期は4,369億円)を目指すクスリのアオキHDは現在の中期経営計画において、①「フード&ドラッグへの転換」、②「調剤併設率70%」、③「ドミナント化への移行」の3点を指針としています。

フード&ドラッグへの転換は、いわばドラッグストアの“食品スーパー化”です。

①に関しては生鮮を充実させた400坪店舗を基本形として、そのノウハウを既存の300坪店舗にも応用する方針です。

また、2025年5月期までに小型店を除き、全店舗で惣菜を販売する計画です。

地場の食品スーパーの取得には、生鮮・惣菜のノウハウをそのまま活かせるメリットもあります。

拡大路線をとる限り、地場食品スーパーを買収して店舗・ノウハウを取り込みつつドラッグストアへ業態転換するという動きを継続するでしょう。

今後のM&Aに注目したいですね。

人口10万人当たり大型小売店数全国1位である我がうどん県(香川県)で健闘していたムーミーも、最近、クスリのアオキHDに事業譲渡し、一部店舗はリニューアルオープンし、残りの店舗は2025年初夏にリニューアルオープンする予定です。

個人的には、地元の企業が県外の企業にM&Aされるのは残念であり、ドラッグストアはコスモス薬品などがどんどん出店しているので少々飽き気味ですが、小売店の活性化につなげて欲しいと思います。

最近も大型小売店の出店が続いていますが、どう戦っていくのかウォッチしていきたいですね。

クスリのアオキが食品スーパーのM&Aを加速するワケについて、あなたはどう思われましたか?


売上1兆円を目指す居酒屋「ワタミ」がSubway日本法人の子会社化で業績への貢献は?

M&A Onlineによると、居酒屋などの外食事業や宅配食事サービス事業などを手がけるワタミが、2024年2度目となるM&Aに踏み切りました。

ワタミはアメリカのサンドイッチチェーン「Subway(サブウェイ)」の日本法人である日本サブウェイ(東京都品川区)を2024年10月25日に子会社化するとともに、アメリカ以外での事業を統括するオランダのサブウェイ・インターナショナル(アムステルダム)との間で、日本国内で「サブウェイ」を展開できるマスターフランチャイズ(日本国内でフランチャイズ本部になる権利)契約を結びました。

2024年1月にシーフードや肉類の輸入や加工を手がけるシンガポールのLEADER FOODグループの3社を子会社化したのに続くもので、農業、製造業、小売業を一体運営するワタミモデル拡大の一環です。

ワタミは2024年に創業40周年を迎えたのを機に、ホームページで公開した渡邉美樹代表取締役会長兼社長CEO(最高経営責任者)のトップメッセージで、ワタミモデルを世界モデルにするとともに、2048年までに1兆円企業になるとの目標を掲げています。

今後M&Aが一段と活発化しそうです。

サブウェイは2024年10月25日時点で、既存店の売り上げが48か月間連続で増加しており、店舗数は2024年10月30日の福岡赤坂店(福岡県福岡市)のオープンで206店舗となりました。

2024年に約20店舗の出店を計画しており、今後5年間で300店舗まで拡大する従来の計画に加え、ワタミが経営権を握ったことで、渡邉会長兼社長は、将来は現在の10倍以上となる3,000店舗を目指す考えを示しています。

サブウェイの顧客層は20~30代がメインです。

渡邉会長兼社長は「第二の創業で、ワクワクする。若い人や女性が好きなワタミというブランドに生まれ変わる最大のチャンス」と語っており、ブランドイメージの転換と店舗数拡大を目指す考えです。

大手ハンバーガーチェーンのマクドナルドは、現在日本国内でおよそ3,000店舗を展開しており、サブウェイ3,000店舗が実現すれば、マクドナルドと同等規模の店舗数となり、知名度は大きく向上します。

果たして思惑どおり、居酒屋のワタミからサンドイッチのワタミに生まれ変われることはできるのでしょうか?

現在、ワタミは国内7か所の農場(530ヘクタール)で農業と酪農を行っており、ここで生産された農畜産物を加工し、グループの外食事業や宅配食事サービス事業で使用しています。

こうした食材を生産し、加工して、販売する取り組みをワタミモデルとしており、農畜産、加工、外食などの分野でM&Aを活用することでワタミモデルを拡大する方針です。

ワタミは日本サブウェイを子会社化したことで、食の総合企業としての事業展開を強化するとともに、自社生産の野菜を使用した商品開発や、フランチャイズ展開のノウハウの強化、海外進出の促進など、さまざまなシナジーを見込んでいます。

2024年1月のLEADER FOODの子会社化では、国内外のサプライチェーン強化や海外への販路拡大、ワタミモデルの海外展開を狙いに挙げており、今回のサブウェイの子会社化でも食関連の事業拡大とともに、海外進出の促進を狙いとして挙げています。

新しいチェーンの創出と並んで、海外進出、ワタミモデルの世界展開が今後の事業運営でのキーワードとなりそうです。

日本サブウェイはフランチャイズ方式でサブウェイを運営しており、2023年12月期の売上高は5億3,600万円(前年度比15.5%減)、営業利益は3,000万円(同34.7%減)でした。

子会社化によって、この数字がワタミの業績に加わることになりますが、これだけでは業績に与えるプラス効果はさほど大きくありません。

加盟店からはロイヤリティが売り上げの8%、宣伝促進費として売り上げの3.5%を受け取っています。

ただし、ワタミがサブウェイの店舗を直接運営すれば、売り上げ、利益ともに大きく伸びることが予想されます。

食材を生産し、加工して自ら販売するワタミモデルを拡大することで、1兆円企業を目指すとなれば、店舗の直接運営という選択は自然な流れのように見えます。

ワタミはコロナ禍の影響で2021年3月期と翌2022年3月期に営業赤字に転落しましたが、2023年3月に黒字転換し、2024年3月期も増収営業増益を達成しました。

ワタミが2025年3月期第1四半期決算時(2024年8月9日)に公表した業績予想(それまでは中東やウクライナ紛争などの先行きが不透明なため非公表。)によると、2025年3月期の売上高は881億円(前年度比7.0%増)、営業利益は41億円(同9.2%増)で、3期連続の増収営業増益を見込んでいます。

好業績は新しいチェーンの創出やM&Aの活発化の追い風になりそうです。

ワタミが農業や酪農をやっていることを知りませんでしたが、そこで採れたものを自社やサブウェイで使うとなると、ワタミもサブウェイも同業者と比べて、かなりのアドバンテージが出てくるように思いますね。

マクドナルド並みの3,000店舗にするとなると、農業も拡大するでしょうから、良い企業をM&Aしたなぁと感じます。

M&Aで売上高1兆円をぜひとも達成して欲しいと思います。

売上1兆円を目指す居酒屋「ワタミ」がSubway日本法人の子会社化で業績への貢献について、あなたはどう思われましたか?


サンマルクが112億円で牛カツ「京都勝牛」を子会社化!

2024年10月09日(水)

日本経済新聞によると、外食店を展開するサンマルクホールディングス(HD)は、先日、同業のジーホールディングス(GHD、東京都中央区)を子会社化すると発表しました。

GHDの全株式を、2024年11月中旬に取得するようです。

概算の取得額は112億円です。

GHD子会社が展開する牛カツ定食「京都勝牛」ブランドなどを傘下に入れ、訪日客の取り込みや海外進出の強化につなげます。

GHDは国内に直営74店舗、フランチャイズとして国内外に43店舗などを運営しています。

子会社のゴリップ(京都市)やOHANA(愛知県刈谷市)が、京都勝牛のほかカフェの「NICK STOCK」を手がけています。

2024年7月期の売上高は92億円です。

サンマルクHDは、出店ノウハウや物流網の共有、デジタル活用の支援によりGHDの成長を加速させ、和食業態を経営の柱の一つにする狙いです。

個人的には、牛カツが好きなので、梅田や三ノ宮の『京都勝牛』のお店に行ったことがあるので、サンマルクHDが買うんだぁと思いました。

以前は、高松にもサンマルクのベーカリーレストランがあり、行ってましたが、現在は四国にはベーカリーレストランはなく、サンマルクカフェが香川県には3店舗あるだけなんですね。

サンマルクHDのプレスリリースを見ると、GHDの連結純資産は約57億円、EBITDAは15億円ですから、妥当な金額といったところでしょうか。

サンマルクが112億円で牛カツ「京都勝牛」を子会社化することについて、あなたはどう思われましたか?


すかいらーくHDが「資さんうどん」運営会社を買収し完全子会社へ!

NHKによると、大手外食チェーンの「すかいらーくホールディングス」は、九州を中心に「資さんうどん」のブランドで和食レストランを運営する会社の株式を取得し、完全子会社にすると発表しました。

ファミリーレストランの「ガスト」などを展開する「すかいらーくホールディングス」は、福岡県北九州市に本社があり、九州を中心に和食レストランの「資さんうどん」を運営する会社を買収すると発表しました。

買収にかかる金額は240億円で、2024年10月上旬にすべての株式を取得し、完全子会社とする方針で、和食レストランのブランドは維持することにしています。

「資さんうどん」は、九州の国道沿いのエリアなどを中心に、およそ70店舗あり、2023年から関西にも出店を始めたということです。

「すかいらーくホールディングス」は、買収によって全国への出店を進めるとともに、九州に根ざしたチェーンをグループに取り込むことで収益の拡大を図りたいとしています。

スーパーやドラッグストアは、どんどん大きなところが小さなところを買収して寡占化が進んでいると思いますが、飲食業界も、チェーン店を全国展開している大きなところが、地方でチェーン店を展開しているようなところをどんどん買収していくのかもしれませんね。

僕は根っからの香川県人(うどん県人)なので、うどんには反応してしまいますが、「資さんうどん」など九州のうどんは柔らいので、「すかいらーくホールディングス」が全国へ出店するとしても、香川県は厳しいでしょうね。

以前、讃岐うどんをやっているお店が全国展開を図ろうとしていたときも、九州はお店を出しても流行らなかったらしいですから。

すかいらーくHDが「資さんうどん」運営会社を買収し完全子会社をすることについて、あなたはどう思われましたか?


オートバックスセブンがディーラー事業強化へ初のTOB!

M&A Onlineによると、オートバックスセブンはカー用品販売の業界トップに立ち、2位のイエローハットを売上規模で5割以上引き離しています。

とはいえ、先行きは必ずしも安泰ではないようです。

人口減による自動車保有台数の減少や若者層のクルマ離れで市場の縮小が避けられないためです。

事業の多角化と海外展開が経営課題となる中、その手立ての一つとしてM&Aにどう向き合うのでしょうか?

オートバックスセブンは今夏、同社として初めてのTOB(株式公開買い付け)に着手しました。

ターゲットは、東証スタンダードに上場するホンダ系自動車ディーラーの東葛ホールディングス(HD)です。

買付期間は8月9日~9月24日で、最大約41億円を投じて全株式の取得を目指しています。

ディーラー事業の成長・拡大につなげるのが狙いです。

TOB主体はディーラー事業を統括する傘下のオートバックス・ディーラーグループ・ホールディングス(東京都練馬区)です。

現在、ドイツ車「アウディ」、中国車「BYD(比亜迪)」の正規ディーラーを運営するが、国内メーカー車の販売に乗り出すのは今回のホンダ車が初めてとなります。

東葛HDは1969年にホンダ車の販売を目的に設立され、千葉県北西部を地盤に、新車拠点9店舗、中古車拠点3店舗を運営しています。

オートバックスセブンの2024年3月期業績は、売上高2.7%減の2,298億円、営業利益31%減の80億円、最終利益12%減の63億円でした。

売上構成をみると、カー用品や車検・サービスを柱とする国内オートバックス事業が7割以上を占め、残りを海外事業、ディーラー事業、BtoB事業(車両メンテナンスなど)、オンラインアライアンス事業(ネット販売など)、ファイナンス事業などが分け合っています。

カー用品店「オートバックス」を中心とする店舗数は国内590、海外109(2024年3月末)です。

国内のカー用品市場ではオートバックスセブンがイエローハットとともに“2強”を形成していますが、売上規模を比べれば、2,000億円を超えるオートバックスセブンがイエローハットの1,446億円(2024年3月期)を大きくリードしています。

しかし、2000年代に入って以降、カー用品市場の縮小に伴い、売上高は現状維持にとどまり、2,000億円台前半で一進一退が続いてきたのが実情です。

およそ20年に及ぶ停滞期を打破し、再成長を期して2023年5月に策定したのが「Beyond AUTOBACS Vision 2032」と題した長期ビジョンです。

最終年度の2033年3月に売上高5,000億円を掲げており、目標水準は現在の2倍以上にあたります。

同ビジョンを踏まえた足元の中期経営3カ年計画(2024年4月~2027年3月)は最終年度に2,800億円を目指しています。

この中で重点施策の一つにディーラー事業の強化を打ち出していました。

オートバックスセブンがディーラー事業に進出したのは2015年です。

ドイツ車BMWの正規ディーラーであるアウトプラッツ(東京都豊島区)を傘下に収めたのがスタートです。

2021年にはアウディの正規ディーラーを栃木・千葉県で運営するTAインポート(現バックス・アドバンス、栃木県宇都宮市)をグループに迎えました。

この間、2019年にディーラー事業の総括会社として、オートバックス・ディーラーグループ・HDを設立しました。

2023年には同社の傘下に新会社・バックス・eモビリティ(東京都練馬区)を立ち上げ、中国EV(電気自動車)大手のBYD車の販売を始めるとともに、中古EV専門の展示場を東京都内と栃木県宇都宮市に開設しました。

一方で、この年、BMW車のディーラー事業から撤退しました。

実は、オートバックスセブンはM&Aの経験が極めて豊富なことで知られています。

2014年以降の10年間に30数件のM&Aを手がけ、今年だけでもすでに触れたTOB案件を含めて6件に上ります。

内容的にはカー用品店「オートバックス」のFC(フランチャイズチェーン)加盟店や、各地の車検・整備会社を取り込むケースが多かったのですが、最近では新事業領域での案件も目に付きます。

その一つが2024年8月末に発表した買収。電気設備工事のパワーコントロールテクニック(群馬県桐生市)を傘下に持つPCTホールディングス(東京都港区)を子会社化することを決めました。

拡大が見込まれるEV充電器の据え付け工事需要に備える狙いとみられます。

現在、「オートバックス」の都内・都市近郊の店舗では急速EV充電器の設置を進めており、2023年度の3店舗に続き、2024年度は7店舗に導入を予定しています。

海外でのカー用品事業は台湾、シンガポール、タイなどアジア6か国・地域とフランスで展開し、計109店舗を構えています。

タイが82店舗と最も多く、フランスの8店舗が続いています。

アメリカ、中国には2000年代初めに出店しましたが、その後、撤退しています。

2032年度までの長期ビジョンでは期間中、総額1,000億円の投資を計画しています。

既存事業の進化への成長・戦略投資に600億円、新事業創造投資に200億円、既存事業の維持・更新投資に200億円を想定しており、M&Aの出番が増えるのは間違いないでしょう。

海外事業ではアメリカ、中国への再進出する可能性もあります。

2024年11月には、「オートバックス」1号店が大阪府大東市にオープンして50年の節目を迎えます。

再成長への土台づくりをどう進めるのか、要ウオッチの局面が続きそうです。

◎オートバックスセブンの主な沿革
年    出来事
1947    自動車部品の卸売りを目的とする末廣商会として大阪市内で創業
1948    末廣商会を改組し、富士商会を設立
1974    日本初のカー用品ワンストップショップ「オートバックス」を大阪府大東市に開店
1974    FC(フランチャイズチェーン)展開を開始
1977    プライベートブランド商品として、タイヤ、オイル、バッテリーを発売
1979    オートバックス100店を達成
1980    オートバックスセブンに社名を変更
1986    海外初進出として香港に出店
1989    大証2部に上場
1991    車検の取り扱いを始める
1993    東証1部に上場(2022年4月、東証プライムに移行)
1995    ロンドン証券取引所に上場(2007年上場廃止)
1996    フランス自動車大手のルノーと提携
2000    中古カー用品買取・販売の「走り屋セコハン市場」を開店
2003    米国に出店(その後、撤退)
2004    中国に出店(その後、撤退)
2015    独BMW正規ディーラー事業を開始(2023年に撤退)
2019    ディーラー事業の統括会社オートバックス・ディーラー・グループ・ホールディングスを設立
2022    中国EV大手のBYD(比亜迪)とディーラー契約
2024    ホンダ系ディーラーの東葛ホールディングスをTOBで子会社へ

個人的には、イエローハットの株主であること、近くのオートバックスがオイル交換の時に駐車場から作業場まで自分で車を動かさないと行けないのがどうも好きになれないことなどから、オートバックスではなく、イエローハットを使っているので、オートバックスのことはほとんど知らなかったのですが、ディーラー事業に走っているんでしょうね。

経営計画で数年後に売上高を2倍以上にするというのは、昔のファーストリテイリングの柳井さんを思い出しますね。

柳井さんもそうでしたが、数年間で売上高を2倍にしようと思ったら、常識的に考えて、M&Aをしないとおそらく無理だと思いますので、どんどんM&Aを仕掛けていくんでしょうね。

どうやって実現していくのかウォッチしていきたいですね。

オートバックスセブンがディーラー事業強化へ初のTOBを行うことについて、あなたはどう思われましたか?


カナダのコンビニ大手がセブン&アイに買収提案!

日本経済新聞によると、セブン&アイ・ホールディングス(HD)がカナダのコンビニエンスストア大手、アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けたことが先日、わかったようです。

セブン&アイは社外取締役で構成する独立委員会を立ち上げており、評価額など提案内容の精査を始めた。その答申を踏まえ、受け入れるかを検討します。

提案を知る複数の関係者が明らかにしました。

提案は法的拘束力のないものだそうです。

出資比率や株式の取得方法などの詳細は明らかになっていません。

セブン&アイの時価総額は、2024年8月16日時点で約4兆6,000億円です。

完全買収するには少なくとも5兆円以上が必要となります。

実現すれば、海外企業による日本企業買収としては最大級となる見通しです。

2023年に経済産業省が定めた「企業買収における行動指針」では、経営支配権を目的とした買収提案は取締役会に付議または報告するよう求めています。

真摯な買収提案であれば真摯な検討が必要だとしています。

セブン&アイは指針を踏まえ、アリマンタシォンの提案を検討するため、社外取締役による独立委員会を立ち上げました。

独立委員会では提案がセブン&アイの企業価値を適切に評価したものか、長期的な成長につながるものかなどを検討します。

独立委員会の結論を踏まえ、セブン&アイの取締役会は提案を受け入れるか判断します。

取締役会が提案を拒否した場合、アリマンタシォンが同意を得ないままTOB(株式公開買い付け)に乗り出す可能性もあります。

これまで日本企業は買収提案を受けても、取締役会に諮らずに水面下で是非を判断することが多かったようです。

指針は株主に対する公平性や透明性を確保するためのもので、今回のセブン&アイの独立委員会を設けての対応は日本の「M&A(合併・買収)文化」の変化を示しているといえるでしょう。

アリマンタシォンは「クシュタール」や「サークルK」といったブランドで、北米のほか、スウェーデンやフィンランド、アイルランド、ポーランドなどに店舗があります。

店舗数は世界約30カ国で約1万7,000店に及びます。

カナダのトロント証券取引所に上場しており、時価総額は約800億カナダドル(約8兆6,000億円)とセブン&アイを上回っています。

アリマンタシォンは2020年にもセブン&アイに買収を打診しています。

2024年4月期の売上高は692億ドル(約10兆円)と同じくコンビニを中核とするセブンの約11兆円(24年2月期)と同規模です。

両社の売上高は単純合算で20兆円規模となり、コンビニを軸にした世界有数の巨大小売りグループが誕生する可能性もでてきました。

アリマンタシォンの狙いはアジアへの展開や店舗網の拡大にあるとみられます。

セブンはすでに世界20の国・地域で約8万5千店のコンビニを持っています。

2021年には米国でガソリンスタンド併設型コンビニを展開する「スピードウェイ」を買収しました。

2030年までに約30の国・地域の10万店まで拡大する方針を掲げています。

セブン&アイは買収提案を慎重に検討する方針ですが、弁当や総菜などが主軸の日本流のコンビニ運営方法に加えて、商品開発や従業員の教育などについても両社の考え方には違いが多いとの見方もあるようです。

アリマンタシォンの狙いが何かよく分かりませんが、国内トップだとしても海外の企業に買収されてしまう可能性があるということを示した案件だと思います。

上場企業である以上、常にそういう可能性があるということを経営者は意識しておかないといけないと思いますし、対策も考えておかないといけないんでしょうね。

カナダのコンビニ大手がセブン&アイに買収提案したことについて、あなたはどう思われましたか?


商工中金がM&A新部署を設立!

Forbes JAPANによると、商工組合中央金庫(以下、商工中金)が、2024年にM&Aアドバイザリー部を設立し、中小企業へのM&A支援に力を入れる方針を掲げています。

M&Aアドバイザリー部において、中小企業の経営者と日々向き合っている藤井和昭氏と橋本悠保氏が、M&A支援のミッションや具体的な支援内容、今後の展望を語っています。

商工中金は2024年4月にM&A支援室と事業承継グループを統合し、M&Aアドバイザリー部を設立しました。

M&Aアドバイザリー部で西日本エリア統括を務める藤井和昭氏(以下、藤井氏)は、部門設立の思いを語っています。

「後継者不在のみならず、人口減少によるマーケット縮小、持続的な成長への不安など、複合的な要因によってM&Aを検討する経営者は増えています。また、若い経営者が会社をさらに成長させるために大手企業にグループインする成長志向型M&Aを検討される時代になり、お客さまの多様なニーズにしっかり応える体制を整えました」(藤井氏)

同じくM&Aアドバイザリー部アドバイザーの橋本悠保氏(以下、橋本氏)は、「近年は、M&Aの相談をいただく企業の規模が大型化していると感じます。これまで商工中金が手がけるM&Aは売上高数億円のお客さまからのご相談が中心でしたが、売上高数十億円、従業員が100人を超えるお客さまからご相談をいただくケースが増えています」と、M&A検討企業の現状を指摘しています。

M&Aアドバイザリー部は総勢30人です。

東京と大阪に拠点を構え、日本全国の経営者の悩みによりスピード感をもって対応できる体制を整えました。

その顔ぶれとしては、10年以上M&A業務にたずさわる経験豊富なメンバーのみならず、中小企業診断士や社会保険労務士、不動産鑑定士などの資格保有者が多数在籍するほか、税理士等も出向しており、多面的な視点から提案することができる専門家が集結しています。

M&Aアドバイザリー部は、中小企業から承継に関する相談があれば、全国47都道府県にある支店の担当者とともに訪問します。

「初回訪問ではお客さまの悩みをお聞きするところから始めます。そして、将来どのように会社を成長、発展させたいのかなど今後のストーリーをうかがっていきます。そのうえで、選択肢として親族内承継、MEBO(役員または従業員への承継)、M&Aなどの承継方法をご説明していきます」(橋本氏)

「承継に関する悩みは、経営者にとって半年や1年といった短期間で決断し、解決されるものではありません。役員・従業員はもちろん、家族にさえ相談できないケースも珍しくなく、親族内承継やMEBO、M&Aなどの複数の選択肢のなかで思い悩まれる方は非常に多いです。こうした揺れ動く心情は経営者として当然の心理、ということを理解していますので、ささいなことでも、お考えをお聞かせいただきたいです」(藤井氏)

何代にもわたり承継されてきた歴史的背景や経営者の会社に対する思いなどをアドバイザーが把握していることは、経営者が心から納得するM&Aを成立させるために欠かせません。

だからこそ、商工中金では中長期的な視点で顧客本位の姿勢を大切にしています。

そのため、経営者は、M&Aの話を進めている途中でもMEBOに移行する、またはその逆など当初とは異なる選択をとる場合もあります。

どのような結論に至ったとしても、「お客さまの事業が円滑に継続されるようたずさわっていく」と橋本氏は言っています。

「お客さまは、歴代の支店の担当者とも何十年にもわたって信頼関係を築いてきた方々ばかりです。強引にM&Aを進めて、これまでの信頼を損なうことがあってはなりません」(橋本氏)

藤井氏も「M&A成立後も、譲渡企業と譲り受け企業の双方がともに成長することが重要ですし、お客さまと商工中金との間ではご融資などのお付き合いは続きます。M&Aによって事業が継続でき、従業員もより安心して働けるよう、腰を据えて経営者とじっくり話し合い、最適解を見つけていくことが何よりも大切です」と、商工中金がM&A業務を行う意義を語っています。

これまでに手がけたM&A支援には、商工中金ならではの事例が多くあるようです。

橋本氏が担当した運送業の場合、譲渡企業側の経営者からM&Aの相談を受けてから株式譲渡の成立までに5年以上の歳月をかけました。

その経営者は、当初はM&Aの意向があったものの、M&Aプロセス中に一度親族内承継へ考えが変わりました。

しかしながら、運送業界の働き方改革などの業界動向をふまえ、自社単独で経営するよりも、やはりM&Aによりパートナーを探すことが最善であると再考し、かじを切りました。

その間、経営者は、将来自社のあるべき姿、親族や従業員の人生、運送業界の将来などあらゆる観点で葛藤を抱き続けていたそうです。

「M&Aアドバイザリー部のみならず支店の担当者もお客さまのお話、ご意向をうかがい、その葛藤に寄り添い続けました。じっくり時間をかけたからこそ、お客さまは最も納得できる結論が出せたと思います」(橋本氏)

また、最適なマッチングを実現するために、地域金融機関とも連携しています。

地域金融機関の営業エリア内でM&Aの相手先を探せなかった場合などに、商工中金の全国ネットワークから最適な譲り受け候補先を探し、マッチングをしていきます。

「地域金融機関との連携を含め、外部ネットワークが充実しているのも当金庫の強みです。地域金融機関との連携は引き続き強化していき、より多くの中小企業にM&Aを通じた成長機会を提供したいと考えております」(藤井氏)

別組織だったM&A支援室と事業承継グループを統合させ、M&Aアドバイザリー部を設立しました。

M&Aと事業承継のチームが連携し、経営者が最適解を見つけるまで支ます。

M&Aアドバイザリー部のミッションは、中小企業から選ばれる存在であることを目指し、付加価値を提供することです。

「当金庫には、中小企業専門の金融機関として全国の中小企業と深く接してきた歴史があります。各業界に対する深い知見や事業性評価などのノウハウを生かし、企業の成長を後押しするM&Aを実現できることは当金庫の強みです」(藤井氏)

また、これまでは事業ライフサイクルの成長期から安定期にある企業のM&A支援が多かったですが、今後は創業期や衰退期の企業にも対象を広げ、M&Aを通じて企業の持続的な発展をサポートしていきたいそうです。

「中小企業の経営者がもつ夢や情熱のバトンをご納得いただけるM&Aというかたちで次世代につなげ、大きな社会的インパクトを生み出したい」と橋本氏は展望を語っています。

中小企業の経営者は、取引先との関係や資金繰り、人材確保、事業の継続など、複雑に絡み合う経営課題を目の前にして日々葛藤しています。

こうした経営者にとって、長期的な付き合いがあり、自社の歴史や経営を深く理解している商工中金という存在があることは、M&Aを選択する際に大変心強いです。

M&A支援だけでなく、融資なども含めた総合金融サービスを提供する商工中金は常に経営者に寄り添っています。

「M&A含め、事業承継における検討事項は多岐にわたり、その方針決定には信頼できるアドバイザーの活用が不可欠であると考えています。商工中金ではM&Aだけでなく、親族内承継やMEBOなど幅広い支援が可能であり、M&Aありきで話を進めません。経営者に寄り添って最適解を見つけるスタンスで活動しておりますので遠慮せずまずはご相談ください」(藤井氏)

こういった記事を目にする度に、M&Aも随分世の中に浸透してきたなぁと感慨深いものがありますが、一方で、我々、公認会計士や税理士ももっと頑張らないといけないなぁと思います。

金融機関も中小企業と深い関係にあるとは思いますが、会計事務所はもっと深い関係にあると思うからです。

知らないうちにM&Aの話しが進んでいて、顧問税理士の変更で顧問先がなくなってしまうということは避けないといけないと思います。

会計事務所が業務をやるかどうかはともかく、金融機関ではなく、会計事務所に真っ先に相談があるように、普段から事業承継やM&Aなどのお話もしておかないといけないなぁと改めて感じました。

商工中金がM&A新部署を設立したことについて、あなたはどう思われましたか?


レッドブルがサッカー大宮アルディージャを買収する理由とは?

M&A Onlineによると、オーストリアの大手飲料メーカー、レッドブルがTT東日本からサッカーJ3の「大宮アルディージャ」を買収すると多数のメディアが報道したようです。

国内プロスポーツは日本企業間での買収劇が繰り広げられてきましたが、外資系企業も本格的に参入した格好です。

なぜ、国内サッカーチームのM&A が外資を巻き込んで活気づいているのでしょうか?

外資がJリーグチームに出資している事例はありますが、1社単独でオーナーになるのはレッドブルが初だそうです。

レッドブルは欧米でも2005年にオーストリアのサッカーチームSVアウストリア・ザルツブルグ(現 レッドブル・ザルツブルク)とアメリカメジャーリーグサッカーのメトロスターズ(現 ニューヨーク・レッドブルズ)を買収しています。

日本のJリーグチームとも2015年にセレッソ大阪とスポンサー契約し、2022年にセレッソ株の大半を保有するヤンマーとプレミアム・パートナー契約を締結しました。

セレッソの選手がレッドブル傘下の海外チームに移籍するなど、関係を深めていました。

スポーツチームの買収は珍しくありません。

Jリーグでも2014年に楽天グループが「ヴィッセル神戸」を、2018年にRIZAPグループが「湘南ベルマーレ」、サイバーエージェントが「FC町田ゼルビア」を、2019年にメルカリが「鹿島アントラーズ」を、2021年にMIXIが「FC東京」を、2023年にはDeNAが「SC相模原」を、それぞれ買収しています。

買収の理由は、各社とも「ビジネス機会の創出」で一致しています。

しかし細かく見ると、RIZAPグループは本業とのシナジー、楽天とメルカリは企業ブランド力向上、MIXIはウェブコンテンツの充実、サイバーエージェントとDeNAは地域づくりビジネスへの参入など狙いは様々です。

では、レッドブルはどうなのでしょうか?

レッドブルがサッカーチームを買収したのは、スポーツ飲料のマーケティングでカギを握る国です。

とりわけドイツ語圏の国を中央ヨーロッパでのマーケティングの要と見ています。

2009年にはRBライプツィヒを買収し、ドイツのプロサッカーリーグにも参入しました。

消費者購買情報の「ID-POS」を統計化したデータベース「True Data」(集計期間2024年4月1日〜6月30日)によると、「栄養ドリンク」の販売ランキングで「レッドブル」は6位です。

サントリーホールディングスの「デカビタC」や大塚製薬の「オロナミンC」、アサヒ飲料の「ドデカミン」などの後塵を拝しています。

ちなみに7位には「モンスターエナジー」がランクインしています。

レッドブルは1988年、トレイルラン、パラグライダー、カヤック、マウンテンバイクの4種目をチームでリレーする「ドロミテマンレース」のスポンサー契約を結んだのを皮切りに、ウィンドサーフィン、エアレース、ヨットレースといったエクストリームスポーツや自動車レースの最高峰F1などでブランド力を高めてきました。

ところが、いずれも日本では一般消費者になじみがなかったり、ブームが終わったスポーツばかりです。

日本で人気があるプロスポーツは野球とサッカーが双璧ですが、野球は買収価格が100億円台と高額な上に、チーム数(独立リーグを除く)が12球団と少なく「売り案件」が出て来ません。

一方、サッカーはJ1でも20億円台半ばと安く、チーム数も多いのです。

さらには債務超過と3期連続赤字を禁止する厳しいライセンス規則もあって、業績が伸び悩んでいるチームなどの「売り案件」も容易に探せます。

レッドブルが買収する大宮は、2023年度時点で債務超過に陥っておらず当期純利益も黒字でした。

しかし、近年の成績は低迷し、2023年11月に初のJ3への降格が決まりました。

親会社のNTT東日本が今後のクラブ強化コストなどを加味した採算性の問題から売却を決めたとされます。

円安による「割安感」もあり、今後はJリーグの外資による買収が加速しそうです。

バスケットボールのBリーグはかなりM&Aが行われていますが、Jリーグでも活発になっていて、外資も参入しているんですね。

プロスポーツですから、色々な国の会社がオーナーになって、既存のものを変えたり、新たなマーケティングやスポンサーがリーグに良い影響を与えれば、リーグ自体の活性化や底上げにつながるのではないかと思います。

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まさに吸血型M&A!

TBSは、先日のnews23で、後継者不足に悩む納豆会社にM&Aを仕掛け、資金を吸い取る、悪質な買い手企業の実態を伝えました。

神戸国際大の中村智彦教授(中小企業経営論)は、その手口を「吸血型M&A」だと批判しました。

その背景には日本の経済構造の大きな転換がありました。

中村教授に話を聞いています。

―現在、中小企業のM&Aはバブルともいえる状況にある。M&A助言会社のレコフによると、2022年の企業M&Aは過去最多の4,304件、事業承継型のM&Aは2023年に過去最大の約1兆8,400億円(買収金額等)を記録した。この背景には何があるのか。

「要因は2つある。1つは、2020年に菅政権が『日本の経済成長の阻害要因は、中小企業の生産性の低さだ』として、M&Aを積極的に支援する『国策』を次々に打ち出したこと。もう1つは、コロナ禍が沈静化した後、補助金が打ち切られ、資金繰りに苦しむ企業が続出したことだ」

―中小企業の生産性の低さとは。

「歴史は戦前に遡る。政府は中小企業を『社会的弱者』とみなした一方、『過小過多(規模が小さく、数が多すぎる)』であることを問題視していた。国家総動員体制下では、様々な業種の企業が合併を強いられた。1963年の中小企業基本法には、『中小企業は救済すべきもの』という問題意識が反映された。1999年には自助努力を支援する方向に改正されたが、生産性の向上は進まなかった」

―中小企業庁によると企業全体に占める中小企業の割合は99.7%(約337万社 2021年)。東京商工リサーチによると2023年に廃業などに踏み切った企業は約5万件で、代表者の平均年齢は72歳。中小企業庁によると、廃業の理由として28.4%が後継者不在を挙げている。

「後継者問題を抱えている経営者は、高度経済成長期の1970年代に、地方から東京や大阪など大都市に出てきた後に独立・創業して、苦労してきた人たちだ。彼らが60代や70代になった時に『さあどうしようか、後継者がいない』と悩んでいる」

―後継者がいない理由は。

 「一般的に、苦労してきた親の事業を継ぎたくない、という心理がある。私が見聞きしたケースだと、代替わりを迎えた創業者の子供達は、就職氷河期を経験してやむを得ず家業に入らざるを得なかった世代が多くを占める。二代目、三代目が『後を継ぐか?』と聞かれた時に、『自分はこれがやりたかったんだろうか』と悩んで、事業承継を断る」

―創業者の心理は。 

「『それでも従業員の生活を守らないといけない。事業を存続させたい』という気持ちがある。黒字であればなおさらだ。そのタイミングで、M&A仲介会社から積極的な営業をかけられたり、ダイレクトメールが来たりする。そうすると、『渡りに船だ』とばかりにM&Aに踏み切ることになる」

■「吸血型M&A」…「ルシアン問題」が浮かび上がらせたもの

―ルシアン社の手口は。 

「ルシアン社の場合は、仲介会社を通じて中小企業を買収し、まともに経営に取り組むどころか、契約を守らずに、株式の譲渡金を払わなかったり、負債を創業者に押しつけたり、あげくの果てに倒産に至ったケースもある。吸い取ったカネで、他の企業を買収し、更に巨額のカネを吸い取ろうとする。昆虫の「タガメ」が、活きのいい魚から血や栄養を吸い取る。標的がボロボロになったら次の魚を狙う。そんな比喩が一番当てはまる。まさに吸血型M&Aだ」

―吸血型ですね。関係者によると、ルシアン社が買収した企業は37社にのぼる。 

「芝居のようなやり口だ。台本を書いて、それぞれが役者として振る舞う。素人の手口とは思えない。関係者から、ルシアン社以外の企業も問題を起こしているケースをいくつも聞いている。ルシアン問題は氷山の一角に過ぎない。私の肌感覚では1割から2割のM&Aはまともに行われていないと思う」

―M&A仲介会社はルシアン社の問題を把握していたのか。 

「個別のケースは分からない。しかし、把握しているのであれば当然伝えるのが誠実なビジネスのやり方だろう。仮に知らなかった場合でも、『知りませんでした』『免責条項があるから責任は負いません』では済まされない。買収された企業には従業員の生活、地域での歴史、積み上げてきた信頼がある。健全な中小企業を詐欺的な行為で失うことは地域の経済の衰退を加速させる危険性を孕んでいる」

―中小企業の経営者は適切な判断ができるのか。

「いかにも優秀そうな、仲介会社のコンサルタントが東京から地方に乗り込んでくる。M&Aを経験したことのない経営者の前で、立て板に水のプレゼンをする。そこで紹介された会社に、よもや騙されるとは思わない。経営者には、『早く売却したい』という切羽詰まった事情がある。それが被害の拡大に拍車をかける」

―仲介業者への規制はないのか。

「不動産や金融には、それぞれの業界を規制する『業法』がある。しかし、M&A仲介業にはそれがない。専門的な資格制度もないので、誰でも『コンサルタント』を名乗ることができる。法規制の議論をすることが時期尚早だとは思わない。業界団体や第三者機関が仲介会社の格付けをすることも効果的だ」

―中小企業と長年取引をしている銀行の役割は。

「M&Aによる業績改善を見込んで融資を行う。買収側はその貸付金までも吸い取る。結果として、銀行は貸し倒れの被害に遭うが、あまり知られたくないので、実は明るみに出ていないトラブルが多数あるとみている。一方で、地方の金融機関は、地域の実情を知悉している。既に買い手企業に関する信用情報を掴んでいることもある。経営者は仲介会社の情報だけではなく、彼らに積極的に相談し、頼るべきだ」

吸血型M&Aって、スゴく表現がうまいなぁと思いました。

僕自身は15年以上前からM&A関連業務に関わっていますが、最近、増加しているM&A儲かるということで金融機関をはじめ、様々なところがM&A関連業務に参入し、また、マッチングサイトに登録している専門家でもM&Aをやったことがないのではないかと思われる専門家が結構多いのと、経済産業省に登録しているところでもM&Aをやったことがないのではないかと思われる登録機関が結構多い(そもそも税理士法人では法律上できないのではないかと思っていますが。)ことから、遅かれ早かれこのようなことは起こるのではないかと思っていましたが、やはり出てきましたね。

こういう事件をきっかけにでも、規制などをしていかないと、せっかくM&Aというものが世の中に認知されはじめた(毛嫌いされなくなった。)のに、後戻りしてしまうのではないかと危惧しています。

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古河電池をアドバンテッジパートナーズが買収!

日本経済新聞によると、投資ファンドのアドバンテッジパートナーズ(東京都港区)は、先日、2次電池の鉛蓄電池大手の古河電池を買収すると発表しました。

TOB(株式公開買い付け)などを経て、約400億円で全株式を取得し非公開化します。

親会社の古河電気工業は非公開化後に再出資します。

アドバンテッジパートナーズは2021年に買収した鉛蓄電池会社と古河電池を統合する計画です。

電気自動車(EV)の補助電池や再生可能エネルギーの貯蔵に使う鉛蓄電池の再編が、ファンド主導で進むことになります。

TOB価格は1株1,400円です。

規制当局などの許認可を得た後、2025年3月下旬にもTOB(株式公開買い付け)を実施する予定です。

買収には東京センチュリーも加わります。

古河電池株を約57%持つ古河電工はTOBには応募しません。

その後の古河電池の自社株買いに応じる形で全株を売却します。

TOBが成立すれば古河電池は上場廃止となります。

古河電池は、同日、TOBへの賛同を表明しました。

買収会社には古河電工が再出資し、アドバンテッジパートナーズは約6割、東京センチュリーと古河電工が2割ずつ出資する形となります。

アドバンテッジパートナーズと東京センチュリーは2021年に昭和電工マテリアルズ(旧日立化成、現レゾナック)から鉛蓄電池事業を買収しています。

そのエナジーウィズ(東京都千代田区)と古河電池を統合させます。

古河電池は古河電工が電池製作所を開く形で設立されました。

自動車用バッテリーに使われる鉛蓄電池などを手掛けています。

鉛蓄電池はリチウムイオン電池がメインのEVやハイブリッド車(HV)でも補助として使われるほか、太陽光発電など再生可能エネルギーシステムの電力貯蔵などに使われます。

リチウムイオン電池より安価で、原材料の鉛のリサイクル率が高いことも強みとなります。

国内の自動車向け鉛蓄電池はジーエス・ユアサコーポレーション(GSユアサ)が高いシェアをもっています。

古河電池の2024年3月期連結決算は売上高が前の期比9%増の754億円、純利益が3.2倍の25億円でした。

値上げの効果のほか、退職給付制度の改定による特別利益の計上もあり増収増益となりましたが、GSユアサは売上高5,628億円、純利益320億円と差が大きくなっています。

古河電池とエナジーウィズを統合し規模を拡大し、拠点の集約や原料の共同調達などでコスト削減を進めます。

製品物流や使用済み電池の回収も効率化が期待でき、鉛のリサイクルなどを加速して脱炭素にもつなげます。

古河電工は資本効率改善のため、上場子会社の株式売却や事業の整理を進めています。

先月にはUACJ株を一部証券会社に売却し、保有割合を議決権ベースで25.20%から19.75%に下げて持ち分法適用から外しました。

古河電池株の売却で得た資金は今後の戦略投資にあてます。

ちなみに、2次電池とは、使い切りの1次電池に対して、充電して繰り返し使える電池を2次電池といいます。

電気自動車(EV)や再生可能エネルギーの電力をためておくことに使え、脱炭素の「切り札」ともいえます。

軽くて容量が大きいリチウムイオン電池に対して、太陽光発電など再生可能エネルギーシステムの電力貯蔵用途でニーズが高まっているのが鉛蓄電池です。

日本で初めて試作されたのは1895年で、リチウムイオン電池よりも長い歴史を持ちます。

豊富に取れる鉛を使うため安価で、発煙・発火のリスクが低く、リサイクル率も高いのです。

太陽光や風力など季節や時間帯によって発電量の異なる発電の課題の克服に欠かせません。

経済産業省の機械統計によると、2023年の国内の2次電池の販売金額は前年比26%増の1兆4,289億円でした。

そのうちリチウムイオン電池は6割、鉛蓄電池は15%を占めています。

鉛蓄電池は、ジーエス・ユアサコーポレーション(GSユアサ)が国内最大手で、パナソニックホールディングスは2023年に同事業から撤退しました。

世界ではアメリカのクラリオスが高いシェアを持っています。

蓄電池は将来的に期待できる業種かと思っていたのですが、手放すんですね。

パナソニックホールディングスも撤退していますし、続けても、GSユアサには到底及ばないということなのでしょうか?

一方、アドバンテッジパートナーズは、どこに勝算があると考えているのか気になりますね。

古河電池をアドバンテッジパートナーズが買収することについて、あなたはどう思われましたか?


中小M&Aの過大な仲介手数料の抑止ため経済産業省が指針改定へ!

日本経済新聞によると、中小企業は経営者の高齢化や人手不足などで円滑な事業承継が課題になっています。

経済産業省は中小企業のM&A(合併・買収)に関わる仲介事業者に手数料の開示を求めるよう指針を改定します。

算定基準をガラス張りにして、サービスに比べて過度な手数料を請求されるといったトラブルを抑止します。

中小が安心して仲介事業者を利用できる環境を整え、事業承継や有力企業への事業集約を後押しします。

今秋をメドに「中小M&Aガイドライン」を改定し、2025年4月ごろから手数料の開示を始めます。

経済産業省が有識者会議で指針の改定に向けた議論を始めました。

中小企業のM&Aでは売り手や買い手の企業が、仲介事業者やアドバイザーに手数料を支払います。

指針では仲介事業者らに対し、手数料が売却金額のどの程度の割合となるかや手数料の最低水準を示すことを求める方針です。

各社の手数料を比較できるようにし、過度に高額な手数料を設定できないようにする狙いです。

東京商工会議所が中小企業を対象に2023年夏に実施した調査では、M&Aを検討しない理由として12.9%の企業が「手数料が割高だ」と答えました。

売り手側に最適な取引先を紹介しないまま、特定の買い手側企業から追加で手数料を徴収して優先的にマッチングさせる例もあるそうです。

現行の指針では手数料の水準を事例と一緒に紹介したり、仲介事業者の最低手数料の水準の分布を示したりすることにとどまっていました。

手数料は計算式や支払う時期などの料金体系が会社によって異なり、中小企業などからは「分かりにくい」といった声があがっていました。

経済産業省は、指針の内容を順守する仲介会社を「M&A支援機関」として登録する制度を設けています。

指針の改定後は、手数料を開示しない仲介会社は登録の取り消し対象となり、中小M&Aに関する政府の補助金の支給要件から外れます。

登録制度を通じて指針の実効性を高めます。

同制度には現在、仲介事業者や公認会計士事務所など3,089社が登録しており、2021年の2,278件から増加傾向にあります。

国が設置する「事業承継・引継ぎ支援センター」には2022年度に2万2,361人から相談が寄せられ、1,681件のM&Aが成約しました。

経営者の高齢化などを背景に、いずれも過去最高でした。

利益相反にあたる行為の禁止も検討します。

リピーター企業を優先的に成約させる行為などが対象になり得ます。

現行の指針にある「両当事者間において利益相反のおそれがあるものと想定される事項」を具体的に明示します。

すでに買い手がいるかのように装う虚偽の勧誘など、過剰な営業や広告も禁止する方針です。

不適切な事業者の排除も焦点となります。

債務超過で経営が困難な企業が売り手側になる場合などでは買い手側に信用調査の実施を求めます。

経営者自身が会社や事業の連帯保証人になっている場合に、事業売却後にその連帯保証の扱いをどうするかも当事者間で話し合うよう促します。

個人的には、僕自身も、会計事務所も株式会社も経済産業省の「M&A支援機関」になっていますので、一部の悪質な人のために迷惑だなぁと思う一方、悪質な人を排除するためには必要だろうなぁとも思います。

M&Aは報酬が高いとよく言われますが、お相手探し、株価算定、財務調査、契約、手続、交渉など、結構な時間を要するのも事実です。

結果だけでなく、プロセスにかなりの時間、コスト、ノウハウなどを使います。

この記事だと、特定の買い手側企業に持ちかけるのが悪いようにも読めますが、M&Aを何回も経験しているストロングバイヤーに話しを持っていく方が、途中でブレークしにくく、スムーズに進む面もあり、必ずしも悪いことではないように感じます。

自社で簡単にできるのであれば自社でやればよいわけですから、経済産業省ももっと実態を把握した方が良いと思いますし、一方、悪質な人を排除する方法をよく考えていただければいいなぁと思います。

中小M&Aの過大な仲介手数料の抑止ため経済産業省が指針改定をしていることについて、あなたはどう思われましたか?


「M&A仲介で事業承継」で資金流出や給与遅延や倒産のトラブル相次ぐ!

朝日新聞によると、後継者不在の中小企業の経営者らがM&A(合併・買収)の仲介を通じて売却した会社で、給与遅延や税金未納などのトラブルが相次いでいるようです。

買い手は同一の法人グループで、一部の買収先では多額の現預金が買い手側に流出していました。

政府は中小企業のM&A仲介を推進しているが、業界に潜む「構造的な問題がある」との指摘もあるようです。

朝日新聞の取材では、茨城県などに拠点を置く法人グループが2021年以降、10社を超える仲介業者を通じ、飲食店や建設業者など約30社を買収しました。

しかしながら、多くの会社で資金繰りが悪化し、従業員の給与や取引先代金、融資返済、年金・税金などの遅延や未払いが多発しています。

買収先の多くで社長に就いた買い手の法人グループの代表(64)は2023年末から行方がわからなくなり、一部の会社が警察に被害の相談をしているようです。

朝日新聞の集計では、買収先11社が営業停止となり、5社で倒産の手続きが進んでいます。

少なくとも百数十人が失職し、倒産先の負債総額は30億円規模に上ります。

買収時の契約で約束した経営者の個人保証の解除がされていない例もめだちます。

一部の買収先から相談を受ける鈴木英司弁護士は「仲介業者が買い手に不審な点があると気づきながら、取引を急いだと疑われる事例もある。顧客の利益より取引成立を優先する構造的な問題がある」と指摘しています。

経営者の高齢化や後継者不足を背景に、M&A仲介は市場が広がり、仲介業者も急増しました。

ただし、資格や免許は不要で、ルールづくりは道半ばです。

売り手と買い手の双方から手数料を受け取る仲介業者は中立性を保つのが鉄則だが、どちらか一方に肩入れする利益相反の懸念も指摘されています。

僕自身も15年以上前からM&A関連業務に携わっていますが、とうとうこういうところが出てきたかぁという感じです。

ここ数年、M&Aが世間にも認知され、大手M&A専門会社は報酬も高く、従業員の給料も高いことから、色々なプレーヤーが業界に参入してきたからです。

経験や資格も必要ありませんし、M&Aを何度も経験しているいわゆるストロングバイヤーも増えてきました。

こうなると、こういうところが出てくるのは当然のような気はします。

仲介会社、ファイナンシャルアドバイザー、買い手など、誠実に業務を遂行したり、買ったりするところが残り、そうでないところはそろそろ淘汰される段階になっていくでしょうね。

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上場企業の看板を返上するMBOは2024年もハイペース!

M&A Onlineによると、MBO(経営陣による買収)が今年もハイペースを保っているようです。

2024年2月25日時点でTOB(株式公開買い付け)は12件(届け出ベース)を数えますが、その半数の6件がMBO案件です。

年間16件だった2023年を上回るペースで推移しており、過去最多を記録した2011年21件に並ぶ勢いです。

MBOは上場企業の看板を返上して株式市場から「退場」することを意味し、究極の買収防衛策とも言われます。

創業家出身の経営者らがTOBを通じて自社の株式を買い取り、非公開化するパターンが一般的です。

多額の買収資金を必要とするため、投資ファンドと連携するケースが増えています。

キャンプ用品大手のスノーピークは、2024年2月20日、MBOで株式を非公開化すると発表しました。

今年に入って6件目のMBO案件で、翌21日から買い付けが始まりました。

買付代金は最大約340億円で、創業家出身で筆頭株主の山井太会長兼社長が組んだ相手は米国投資ファンドのベインキャピタルです。

MBOが成立すれば、東証プライム上場が廃止となります。

コロナ禍で盛り上がったアウトドア需要の一巡で業績の頭打ちが鮮明になったことに加え、海外ローカルブランドやスポーツ用品、ホームセンターなどの異業種の参入で今後一層の競争激化が予想されます。

こうした中、上場を維持したままでは短期的な業績や株価動向にとらわれ、中長期な視点で事業構造改革を進めるのが難しいとの判断です。

MBOは、コロナ禍の影響が広がった2020年を境に増加傾向が顕著になりました。

2020年11件(TOB総数は60件)→2021年19件(同70件)→2022年12件(同59件)→2023年16件(同74件)と増減しながらも4年連続で2ケタを記録しました。

2024年はここまで6件(同12件)ですが、前年より4か月ペースが速くなっています。

過去をたどると、MBOが最高潮を迎えたのは2000年代後半から2010年代初めのことです。

ピークの2011年は年間21件に達しました。

元通産官僚の村上世彰氏が率いる「村上ファンド」の登場や海外投資ファンドの日本上陸を機に物言う株主の存在が意識され始めた時期に重なります。

2008年のリーマンショックを引き金とする世界同時不況の中、非公開化で上場コストを減らす動きも広がったのです。

足元の2024年のMBOで例年以上に目立つのが、投資ファンドの存在です。

ここまでの6件中、アオキスーパーの案件を除く5件には投資ファンドが絡んでいます。

しかも、そのうち4件は海外投資ファンドです。

2024年1月末に始まったベネッセホールディングスのMBOでは同社創業家がスウェーデン投資ファンドのEQTと組み、総額2,079億円に上ります。

MBOをめぐってはここへきて巨額案件が相次いでいます。

中堅や地方の上場企業にとどまらず、大手クラスにも波及してきたからです。

2024年1月半ばに完了した大正製薬ホールディングスのMBOは、7,000億円超と国内最大となりました。

2024年2月末から3月にかけては製造系・技術系派遣の最大手、アウトソーシングへの2,200億円規模のMBOが控えています(2023年12月に公表)。

東京証券取引所は2023年3月、プライム・スタンダード市場の全上場企業に対して資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応を要請しました。

とくにPBR(株価純資産倍率)1倍割れの企業には風当たりが強まっています。

さらには物言う株主の台頭も著しくなっています。

こうした中、株価対策や株主の意向に左右されず、中長期で経営改革を進めるための方策として、オーナー系企業を中心にMBOによる非公開化を模索する動きが広がりを見せているのです。

◎2024年のMBO一覧(届け出ベース)
開始    対象会社    公開買付者    総額    上場
1/9    アオキスーパー    青木商店(創業家)    107億円    1994年
1/25    ペイロール    TAアソシエイツ(米国)    240億円    2021年
1/30    ベネッセホールディングス    EQT(スウェーデン)    2,079億円    1995年
2/9    ウェルビー    ポラリス・キャピタル・グループ(日本)    240億円    2017年
2/13    ローランド ディー.ジー.    タイヨウ・パシフィック・パートナーズ(米国)    620億円    2000年
2/21    スノーピーク    米ベインキャピタル(米国)    340億円    2014年
※アオキスーパーの案件は2月20日に終了(成立)。これ以外は現在進行中。

短期的な利益が求められるとか、買収の可能性があるとかは、上場する以上、当たり前の話かと思いますが、それらを理由にMBOで上場廃止になるのであれば、そもそも上場しなければいいのにと思うのは、僕だけでしょうか?

上場で莫大な財産を手にしながら、自分に都合が悪いことが起こると、ではさようならだと、損をする株主も当然いますし、MBOに応じるにしても、会社指定の証券会社に移管しないといけないなど、手間やコストもかかりますので。

そして、数年後に再上場となると、ファンドや証券会社が儲かるだけだと思いますし、

ファンドも会社の価値を上げてエグジットしないと回収できないので、ファンドからのプレッシャーも大きいのではないかと思います。

上場企業の看板を返上するMBOは2024年もハイペースであることについて、あなたはどう思われましたか?


2023年に最も多くのM&Aを手がけた上場企業はどこ?

M&A Onlineによると、2023年のM&A件数(適時開示ベース)は1,068件と前年を119件上回り、16年ぶりに1,000の大台に乗せるエポックとなりました。

その主役である上場企業の数は全国で3,900社を超えますが、年間を通じて最も多くのM&Aを手がけたのはどこだったのでしょうか?

2023年の全M&A1,068件(買収側と売却側の双方が発表したケースは買収側でカウント)のうち、1社で複数(2件以上)のM&Aに取り組んだ上場企業は193社で、件数にして計480件です。

年間1件は588社を数えました。

件数トップはSHIFTとGENDAが各10件で並び、両社ともすべて買収案件でした。

前年(2022年)に各6件でトップを分け合ったヨシムラ・フード・ホールディングス(HD)は1件、ケア21は3件とペースを落としました。

SHIFTはソフトウエアテスト業務を主力とします。

2019年を境にM&Aにアクセルを踏み込み、ソフト開発、システム開発、デジタルマーケティング分野など周辺領域に業容を拡大してきました。

2019年5件、2020年6件、2021年3件、2022年3件と推移し、2023年は10件と一気に2ケタまで件数を伸ばし、買収総額も約125億円(金額非公表が1件)に上りました。

2023年の案件をみると、バイリンガル人材紹介事業や保育園運営会社の買収も含まれます。

このうち、バイリンガル人材紹介事業については異なる言語、文化を持つメンバー間を橋渡しするブリッジエンジニアなどの採用力強化につなげるのが狙いだそうです。

一方、国内M&A市場にすい星のごとく現れたのが「GiGO」ブランドを中心にアミューズメント施設を全国展開するGENDAです。

2023年7月に東証グロース市場に上場後、わずか半年間にエンターテインメント関連で10件のM&Aに取り組みました(金額はいずれも非公表)。

会社設立は2018年5月ですが、実は上場以前も10件近くのM&Aを実施しており、買収意欲が旺盛な“ストロングバイヤー”として知られる存在だったのです。

買収対象もアミューズメント施設の運営会社をはじめ、ゲーム用景品販売、レモネード専門店、ポップコーン専門店、映画配給など多岐にわたります。

このうち、2023年11月末には独立系映画配給大手のギャガ(東京都港区)を傘下に収めました。

GENDAは2024年の年明け早々、カラオケボックス「カラオケBanBan」(全国約370施設)を運営するシン・コーポレーション(東京都新宿区)の子会社化を発表しています。

次点はSNSマーケティング事業のアジャイルメディア・ネットワークで、年間7件でした。

これに続く年間5件はグローバルキッズCOMPANY、ソラスト、日本創発グループの3社でした。

年間4件はクオールホールディングス、ニデック、トナミホールディングス、三井物産、三井松島ホールディングスなど14社ありました。

過去5年の年間トップの顔ぶれをみると、2019年はソフィアホールディングスで11件、2020年はココカラファイン(現マツキヨココカラ&カンパニー)で8件、2021年はアウトソーシングで9件、2022年、2023年についてはすでに触れたとおりです。

<2023年M&A件数:上場企業別ランキング(適時開示ベース、HDはホールディングスの略)>
10件    SHIFT、GENDA
7件    アジャイルメディア・ネットワーク
5件    グローバルキッズCOMPANY、ソラスト、日本創発グループ
4件    KPPグループHD、揚工舎、エフ・コード、クオールHD、テンダ、電通グループ、トナミHD、ニデック、日本エコシステム、ベクトル、三井物産、三井松島HD、ミンカブ・ジ・インフォノイド、ランドビジネス
3件    ダイヘン、ミネベアミツミ、戸田建設、日本テレビHDなど36社
2件    137社

個人的には、M&Aは一度うまくいくと以後も続けていく傾向があると思っていますので、GENDAみたいなところも今後、どんどん増えていってくれればいいなぁと思います。

話しを持ち掛ける方も、ストロングバイヤーに持っていくのが、話しも早いですし、決まる確率も高く、楽でしょうから。

話しを持ち掛けられる方も、良い案件が集まってきますからね。

2023年に最も多くのM&Aを手がけた上場企業はどこ?について、あなたはどう思われましたか?


大正製薬HDのオーナー家によるTOBが成立し上場廃止へ!

日本経済新聞によると、大正製薬ホールディングス(HD)は、先日、オーナー家の上原茂副社長が代表を務める大手門(東京都豊島区)が実施していたTOB(株式公開買い付け)が成立したと発表しました。

大正製薬HDは2024年3月開催予定の臨時株主総会での手続きなどを経て上場廃止となる見通しです。

TOBの買い付け予定数の下限を上回る6,003万4,194株の応募がありました。

大手門は大正製薬HDの73%の議決権を取得します。

今後、全株式を取得するためスクイーズアウト(強制買い取り)を実施します。

普通株の買い付け総額は約7,100億円となり、日本企業最大のMBO(経営陣が参加する買収)となります。

大正製薬HDの株価はMBO発表後、ほぼ一貫してTOB価格の8,620円を上回って推移しました。

発表直後の大正製薬HDのPBR(株価純資産倍率)は0.5倍台で、TOB価格でも1倍を下回っています。

東京証券取引所はPBRが1倍を割り込む企業に対し、資本コストや株価を意識した経営を求めています。

投資助言会社のカタリスト投資顧問は大正製薬HDのMBOについて「PBR1倍を下回るTOB価格での市場からの退場は、少数株主を軽視した判断だ」と意見を表明していました。

大正製薬HDは今後、上原茂氏が社長に昇格する予定です。

現在の上原明社長は約40年にわたりグループのトップを務めてきました。

主力の一般用医薬品(大衆薬)が伸び悩むなか、非上場化でネット販売や海外事業を強化します。

個人的には、PBR1倍を下回るTOB価格は安すぎるのではないかと感じ、誰か出てくるかと思いましたが、出てきませんでしたね。

やはり、金額が大きいと、ハードルが高くなるんでしょうね。

TOB価格で争う方が出てきて、今後起こりうるTOBにおける価格の妥当性を示してほしいように思います。

大正製薬HDのオーナー家によるTOBが成立し上場廃止になることについて、どう思われましたか?


2023年版中小企業白書でも国内のM&Aが活発化が取り上げられている!

日税ジャーナルによると、後継者不在の問題が深刻化する中、2023年版「中小企業白書」では、中小企業でも広がりを見せているM&Aについて検証しています。

近年、M&Aの件数は増加傾向で推移しており、2022年は過去最多の 4,304件となりました(㈱レコフデータ調べ)。

これはあくまでも公表されている件数のため、未公表のものも一定数存在することを考慮すると、国内のM&Aはさらに活発化していることが推察されます。

M&Aの買い手として関心がある企業を対象に、M&Aの目的(複数回答)を尋ねたところ、「売上・市場拡大」が74.6%と最も高く7割を超えています。

また「新事業展開・異業種への参入」と回答する割合も46.9%と高く、M&Aを企業規模拡大や事業多角化といった成長戦略の一環として捉えている企業が多いことが分かります。

そのほか、「人材の獲得」が54.8%と5割を超えており、M&Aを人材獲得の手段として捉えている企業も多いようです。

買い手における経営統合(PMI)時の課題としては、「自社従業員と相手先従業員の一体感の醸成」が 50.3%と最も高く、次いで「相手先従業員のモチベーション向上」が 47.2%でした。

M&Aで期待以上の満足度を実感している企業ほど、相手先企業への確認事項として「相手先経営者や従業員の人柄・価値観」を重視しており、白書では「M&A成立前の段階から相手先従業員の人柄や価値観を確認しておき、対策を講じておくことが必要」と指摘しています。

買い手としてM&Aを実施する際の障壁(複数回答)を見ると、「相手先従業員等からの理解が得られるか不安がある」と回答した割合が51.6%と半数を超えており、白書では「M&A成立前の段階から相手先経営者や従業員の人柄・価値観を確認しておくことが、不安の解消につながる可能性が考えられる」と分析しています。

また、「判断材料としての情報が不足している」、「期待する効果が得られるかよくわからない」、「相手先(売り手)企業が見つからない」と回答した割合がそれぞれ3割を超えており、M&Aに関する情報不足や期待した効果を得られるか不明瞭である点を障壁と感じている企業も多いようです。

買い手におけるM&Aの具体的な効果(複数回答)としては、「商品・サービスの拡充による売上げ・利益の増加」(49.8%)や「商圏拡大による売上げ・利益の増加」(45.4%)など、売上げ・利益面の相乗効果を実感している企業が多い傾向にあります。

また、「技術・ノウハウ等の横展開」(26.0%)、「ブランドや信用力の向上」(21.0%)など、買い手企業・売り手企業双方の経営資源を組み合わせた相乗効果を実感している企業も目立ちます。

このように、中小企業の間でもM&Aは広がりを見せており、M&Aの目的として「売上・市場シェア拡大」や「新事業展開・異業種への参入」を挙げるなど、事業承継だけでなく企業の成長を促す手段としてM&Aが認識されつつあります。

最後に白書では、「事業承継やM&Aは企業の挑戦や成長を促す転換点といえる。事業承継やM&Aを通じて、後継者が新しい挑戦へ果敢に取り組み、企業の更なる成長・発展につなげていくことを期待したい」とまとめています。

どんどんM&Aが浸透していくことは、嬉しいことですね。

目的も事業承継だけでなく、成長を促す手段という認識がされつつあるというのも、M&A=ハゲタカみたいなイメージがあった頃からM&Aに関わっている人間としては、隔世の感がしますね。

新規事業を始めるくらいの感じでM&Aが行われるようになればいいのになぁと個人的には思っています。

2023年版中小企業白書でも国内のM&Aが活発化が取り上げられていることについて、あなたはどう思われましたか?


第一生命が異例の「後出し」買収提案で国内M&Aに転機!

日本経済新聞によると、第一生命保険ホールディングス(HD)がベネフィット・ワンの買収に向けて、異例の対抗TOB(株式公開買い付け)を表明しました。

今回の買収提案はベネフィット・ワンの事前の同意を得ておらず、長く日本企業の安定株主として経営を支えた生命保険会社の姿勢から一歩踏み込むことになります。

日本のM&A(合併・買収)の転機になりそうです。

先日開いたオンラインの記者会見で、第一生命HDの甲斐章文執行役員は「同意なき買収を企図しているのでなく、親会社のパソナやベネワンの賛同を原則にしている」と、敵対的な買収ではないと繰り返しました。

ベネフィット・ワンにはエムスリーがTOBをしています。

よって、第一生命HDの提案は結果的に「後出し」となります。

関係者によると、第一生命HDの経営陣はパソナ側と事前に接触しておらず、買収に向けた協議をこれから本格化させるようです。

第一生命HDが唐突にも映る対抗TOBに乗り出したのは、本業の国内保険事業に対する危機感があります。

傘下の第一生命保険が新たに獲得した保険契約が将来生み出す利益を示す指標では、2023年3月期に初めてマイナスとなり、事実上の採算割れを起こしたのです。

厳しい国内市場の打開策として、保険の販売を担ってきた営業職員が投資信託も取り扱ったり、2023年3月にはペット保険を手掛けるアイペットHDを完全子会社化したりしてきました。

第一生命HDは、企業の福利厚生を代行するベネフィット・ワンのネットワークを使って保険商品を拡販するほか、従業員の健康に資する新たなサービスを共同で開発する構想を描いています。

第一生命HDの甲斐氏は、「(2024年度に始まる)新しい中期経営計画で非保険事業の拡大を考えるなか、ベネワンの買収をかねて検討していた」と明らかにし、「少数株主にとっては訴求力のある提案だ」と自信をみせました。

ベネフィット・ワンの今の親会社であるパソナグループはエムスリーのTOBに応募する契約を結んでいます。

ただし、エムスリーの価格を上回る提案が出た場合は、パソナはエムスリーと協議を申し入れることができるようになっているようです。

パソナは当初の契約通り、1株1,600円でエムスリーのTOBに応じることもできます

が、高値での売却機会を逃したとしてパソナ株主からの反発が想定されます。

パソナは「エムスリーとの契約に基づいて対応を検討する」としています。

第一生命HDによる買収提案の発表後、ベネフィット・ワンの株価は私設取引システム(PTS)で、2023年12月7日の終値比25%高の1,888円まで上昇する場面がありました。

エムスリーが、第一生命HDに対抗してTOB価格を引き上げるかも焦点となります。

他の買収提案もでてきて、ベネフィット・ワンを巡る争奪戦になる可能性もあるでしょう。

日本では相手先の同意を得ないまま買収提案することは、まだ少ないです。

2020年にはDCMホールディングスが買収で合意していた島忠に対して、ニトリホールディングスがより高値の提案をして買収しています。

2023年はニデックが、TAKISAWAに同意なきまま買収提案し、実現させてます。

これらも似鳥昭雄氏や永守重信氏といった個性派の実力創業者によるもので、ほとんどの日本企業にとって「一度決まったM&Aに対抗提案を出すことや、相手の同意を得ずに買収を提案することはお行儀が悪い」(証券会社首脳)というのが常識でした。

今回の第一生命HDの対抗提案は、その常識を覆すものとなります。

経済産業省が2023年8月に「企業買収における行動指針」を出しました。

株主価値や企業価値の向上に資する買収提案であれば、経営陣は真摯に検討すべきだというのが盛り込まれました。

指針の背景には、日本企業の時価総額が海外に比べて見劣る理由の一つは、M&Aの活性化で遅れを取ったからだとの危機感があるからです。

大手機関投資家であり、創業家経営ではない第一生命HDがこれまで日本企業にとって非常識とされていたM&Aに乗り出したことは、よりM&Aを活性化させ、日本企業を魅力的な投資対象にすることにつながりそうです。

今年(2023年)は、ニデックの件や今回の件で、日本におけるM&Aで転機が訪れたということは間違いないですね。

当然、少数株主にとっては、知らないところでTOB価格は決まるわけですから、高いか安いかはなかなかは判断は難しいでしょうし、安いとしてもどうすることもできないので、高く買ってくれるところがあった方がありがたいでしょうから。

僕自身も、ベネッセホールディングスの株を持っていますが、取得価格より安いTOB価格には納得していないですからね。

第一生命が異例の「後出し」買収提案で国内M&Aに転機が訪れていることについて、あなたはどう思われましたか?


日本生命が介護最大手のニチイHDを2,100億円で買収!

日本経済新聞によると、日本生命保険は介護最大手のニチイ学館を傘下に持つニチイホールディングス(HD)を約2,100億円で買収するようです。

介護事業は高齢化に伴い、市場拡大が見込まれます。

日本生命は生保事業と相乗効果が見込みやすいライフケア分野の強化や顧客基盤の拡張につなげるようです。

生保によるM&A(合併・買収)は海外の同業や資産運用会社が中心で、異業種を買収するのは異例です。

日本生命は、先日、アメリカのベインキャピタル系のファンドなどが間接的に保有しているニチイHDの発行済み株式の約100%を約2,100億円で取得することで関係者と合意しました。

金融庁の認可を前提に、早期の買収完了をめざします。

ニチイHDは、傘下に介護や医療事務、保育サービスを手がけるニチイ学館や介護付き老人ホームなどを展開するニチイケアパレスなどを抱える持ち株会社です。

2023年3月期の営業利益は前の期比約4倍の117億円、介護事業の売上高は推定1,600億~1,700億円で業界トップ水準にあります。

日本生命とニチイHDは、1999年から子育て・介護を軸とするライフケア領域で業務提携関係にあります。

ニチイ学館の有資格者が日本生命の保険契約者向けに認知症や介護に関する相談を受けるサービスを手がけているほか、多様化する就労ニーズに対応した専用保育所を共同で展開しています。

ニチイHDが持つ顧客基盤を活用して、日本生命の本業の生保事業とのシナジー効果の発揮も見込んでいるようです。

介護や保育の顧客への保険商品の提案や、保険に付く介護関連サービスの強化などが軸になるとみられます。

具体策は今後検討するようです。

介護サービスは高齢化で市場拡大が見込まれています。

厚生労働省によると、介護が必要な高齢者は2023年8月末時点で約700万人います。

2021年度の介護費用(保険給付や自己負担を含む)は約11兆円と過去最多を更新しました。

政府推計では2025年度に給付費だけで15兆円規模まで膨らむ見通しです。

半面、担い手は小規模事業者が多くなっています。

賃金の低さから慢性的に人手が不足し、資金力が限られれば採用も難しくなっています。

近年は異業種からの参入が相次いでいます。

シェア上位にはSOMPOホールディングス傘下のSOMPOケアや教育事業を手がけるベネッセHD、学研HDといった大手企業が並んでいます。

ニチイHDは日本生命の傘下に入ることで、中長期的に安定した経営につなげやすくなります。

日本生命はかねて、子育て・介護やヘルスケアなど保険の周辺領域での新規事業創出に注力してきました。

背景には人口減少や少子高齢化など市場環境が変化するなか、生保事業だけでは収益が先細りするとの危機感があるからです。

特に主な販路である営業職員経由の保険販売は新型コロナウイルス禍が明けても、不振が続いています。

2023年4~9月期の個人保険における新規契約獲得件数や保障額は、前年同期比10%以上落ち込みました。

本業の立て直しを含めて、グループ全体での収益力の底上げが急務になっているようです。

日本生命は2024年度から始まる新たな中期経営計画で、ライフケアを中心に生保以外の新規事業の強化を柱の一つに掲げる方針です。

今回のニチイHDの買収を足がかりに、日本生命が持つ保険の周辺事業のノウハウなどを取り込むとともに、人材・資金面での支援を強化します。

現状、日本生命における新規事業の利益貢献はグループ全体の1%に満たないです。

ニチイHDの買収でまずは新規事業自体の収益力の底上げを図ります。

日本生命の傘下に入ると、資金面で困ることはないでしょうから、他社にとっては脅威でしょうね。

日本生命の傘下に入ることによって、ニチイHDの従業員の給料が高くなって業界の給与水準の底上げにつながると良いと思いますが、一方で、資金面で余裕のない小規模事業者からニチイHDに人が移って、小規模事業者の経営が成り立たなくなることは避けて欲しいですね。

日本生命が介護最大手のニチイHDを2,100億円で買収することについて、あなたはどう思われましたか?


大正製薬HDが日本企業最大約7,100億円のMBO!

日本経済新聞によると、大正製薬ホールディングス(HD)は、先日、MBO(経営陣が参加する買収)を実施すると発表しました。

オーナー家が代表を務める企業がTOB(株式公開買い付け)を実施しますが、普通株の買い付け総額は約7,100億円です。

日本企業のMBOでは過去最大です。

主力の一般用医薬品(大衆薬)が伸び悩む中、非上場化でネット販売や海外事業を強化し立て直すようです。

日本企業では、通信教育の「進研ゼミ」などを手掛けるベネッセホールディングスもMBOを発表したばかりです。

東京証券取引所がPBR(株価純資産倍率)の1倍割れ企業に改善を求めているほか、株主からの還元圧力も強まるなど上場維持のコストが増しています。

このような中、経営の立て直しへMBOで株式の非公開化に動く企業が増えています。

オーナー家の上原茂副社長が代表を務めている企業がTOBを実施します。

株式の買い付け期間は2023年11月27日から2024年1月15日までです。

買い付け価格は1株8,620円で、大正製薬HD株の2023年11月24日の終値を5割超上回ります。

TOBが成立すれば上場廃止になる見通しです。

大正製薬HDは、同日、TOBへの賛同を表明し、株主に応募を推奨すると発表しました。

筆頭株主の上原記念生命科学財団など大正製薬HD株を合計で約4割保有するオーナー家は、TOBへの応募契約を結びました。

大正製薬HDはMBOの背景について、市場環境の変化で、大衆薬のネット販売に向けたインフラの整備や、グローバルで展開できる他ブランドの買収など、中長期的な取り組みが必要になるとしています。

その上で「相応の時間と大きなリスクを伴うもので、株主の全面的な支持を得るのは難しい」としています。

大正製薬HDは、2023年9月までに早期退職優遇制度で645人が退職しました。

2024年3月期の連結純利益は前期比45%減の105億円の見通しです。

医療用医薬品などを扱う医薬事業の縮小に応じた措置としています。

大正製薬HDの医薬事業の売り上げは2012年3月期には1,000億円超でしたが、2023年3月期は377億円でした。

東海東京調査センターの赤羽高シニアアナリストは、「すでに大正製薬の社名は浸透しており、上場コストと効果が見合わないと判断したのだろう。上場廃止で経営資源を広告や製品価値の向上などに振り向ける判断をしても不思議ではない」と分析しています。

大正製薬は1912年創業で、1963年9月に東証2部に株式を上場しました。

2011年10月にはホールディングスを設立し、東証1部に上場後、2022年4月から東証スタンダード市場に上場していました。

以前からそうかもしれませんが、上場しているメリットが薄れてきているため、今後もたくさんMBOで上場廃止になるところが出てくるかもしれませんね。

物言う株主が出てきたり、敵対的M&Aをされる可能性がありますので、非上場化した方が落ち着いて経営できるでしょうね。

個人的に株式を持っているベネッセホールディングスもそうですが、プレミアを付けてくれたとしても損失が出る株主は複雑な気持ちでしょうけど。

大正製薬HDが日本企業最大約7,100億円のMBOを行うことについて、あなたはどう思われましたか?


伊藤忠商事が創業家の関与なしが条件でビッグモーターの買収を検討!

日本経済新聞によると、伊藤忠商事と国内の企業再生ファンドが中古車販売大手ビッグモーター(東京都多摩市)の買収を検討していることが、先日、わかったようです。

ジェイ・ウィル・パートナーズ(JWP)と組み、買収に必要なデューデリジェンス(資産査定)の独占契約を結んだと発表しました。

伊藤忠商事とJWP連合は契約に当たり、ビッグモーターとの間で創業家が経営に関与しないことで大筋合意しました。

伊藤忠商事と子会社で燃料商社の伊藤忠エネクス、JWPの3社連合が、先日、ビッグモーターとデューデリジェンスを独占で実施することで基本合意書を結びました。

3社はビッグモーターの経営状況を詳細に分析し、2024年春までに再建を支援するかを最終決定します。

ビッグモーターは未上場で、ビッグモーター株は創業者の兼重宏行氏らの資産管理会社が保有しています。

2023年7月に自動車保険金の水増し請求などの不祥事が発覚し、顧客離れが進んでいます。

中古車販売は一時、例年に比べて6割以上減少しました。

現在も、月次で赤字が続いています。

ビッグモーターは現預金や売掛金などの流動資産を数百億円抱える一方、従業員への賃金支払いなどで資金の流出が続いています。

銀行団は借入金の借り換えに応じないなど資金繰りに苦慮しており、自主再建が困難な状況です。

ビッグモーターはコンサルティング会社のデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリーの協力を仰ぎ、経営再建を急いでいます。

支援企業を早期に確定し経営の立て直しを目指していますが、不祥事の影響が長引き難航していました。

伊藤忠商事はグループで自動車リース事業を手掛けているほか、ニッポンレンタカーサービスを傘下に持つ東京センチュリーを持ち分法適用会社にしています。

輸入車・中古車販売大手のヤナセも抱え、自動車ビジネスとのつながりが深くなっています。

グループとの相乗効果が高い可能性があると判断し、支援に名乗りを上げました。

焦点は買収価格や事業譲渡の対象です。

ビッグモーターを巡っては、顧客の車体を故意に傷つけるなどして、損害保険会社に保険金を水増し請求する不正行為が横行していました。

国土交通省は、2023年10月、ビッグモーターが全国に持つ135工場のうち34工場で自動車整備を事業停止にするなどの行政処分を出しました。

金融庁も、2023年11月末に保険代理店登録を取り消す行政処分の実施方針を表明しています。

中古車の買い取りや販売でも1,000件以上のトラブルが生じ、複数の民事訴訟を抱えています。

2023年10月末には経営不振で東京都や埼玉県で計9店舗を閉鎖しました。

伊藤忠商事はビッグモーターの支援を通じ、自社のブランドイメージが毀損しないかも慎重に検討するようです。

デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリーが入ったとの報道があった時点で、M&Aだろうなと思っていましたが、直感的に、オリックスかと考えていました。

少し前の報道では、オリックス・IDOM(ガリバーの運営会社)・QVC(テレビショッピング大手)が支援に手を挙げているとありましたが、このうち、IDOMが支援しないという報道が先日あったので、ますます、オリックスかと思っていましたが、伊藤忠商事が出てきましたね。

伊藤忠商事は、最近、有名ブランドを買っていますが、流石、色々なものを扱っている商社ですね。

上場企業ゆえ、コンプライスを無視したような企業の買収は慎重にやらないといけないとは思いますが。

伊藤忠商事が創業家の関与なしが条件でビッグモーターの買収を検討していることについて、あなたはどう思われましたか?


ニデック永守会長が仕掛けたTOBは敵対辞さず経営者の役割を問う!

日経ビジネスによると、ニデックが岡山県岡山市に本拠を置く中堅工作機械メーカー、TAKISAWAに仕掛けたTOB(株式公開買い付け)が9月に迫っています。
大企業によるTOBは過去、ほとんどうまくいきませんでしたが、市場の見方は近年、大きく変わりました。
業績と企業価値を上げているかどうかが厳しく問われる時代になってきており、ニデックのTOBは企業経営を巡る変化を映し出しています。

「これで(TOBが)否決されるようなことがあったら日本は異常な事態ですよ」と、工作機械メーカー、TAKISAWAに対するTOBを表明しているニデック(旧日本電産)が想定する予定買い付け期間(2023年9月14日~11月13日)のスタートまで1か月を切りましたが、ニデックの永守重信会長CEO(最高経営責任者)は、いつにも増して強気の姿勢をのぞかせています。

TAKISAWA経営陣は今もTOBに同意しておらず、このままいけば敵対的なTOBとなる可能性が大きくなっています。
日本では大企業によるTOBの成功例はごくわずかしかありませんが、永守会長は、「こういう手法が日本でも(十分に)使えることが分かれば、もっと大きな会社も買える可能性が高まる」と執念を見せています。

過去を振り返ると、ニデックは日本電産時代の2008年に鉄道用機器メーカーの東洋電機製造にTOBを仕掛けましたが、東洋電機製造の強い抵抗に遭い、取りやめた経験があります。
15年ぶりの再挑戦は、永守会長の意地のようにも映りますが、角度を変えて見れば、このTOB劇は最近の日本の企業経営を巡る変化を映し出しています。

「TOBという手法が世の中に出てきた。これが本当に使えるかを試してみようと思った。」と、2008年9月、東洋電機に対するTOB発表後、永守会長は狙いをこんな風に話しました。
M&A(合併・買収)巧者として知られる永守会長は、それまで業績が悪化し、倒産寸前になったような企業を買収しては自ら徹底した合理化で再建していきました。
基本的に元の経営者は変えず、従業員のリストラもしません。

相手の合意を得た上で傘下に収め、経営手法を徹底的に変えることで強い企業に再生するのです。
それが、東洋電機製造を巡ってはアプローチを一転させました。
そこにあったのは、いわば「さぐり」だったのでしょう。

2000年に通商産業省(現経済産業省)出身の村上世彰氏が率いた村上ファンドが不動産会社、昭栄(現ヒューリック)へ国内初の敵対的TOBを仕掛け、2003年にはアメリカ投資ファンドのスティール・パートナーズがユシロ化学工業やソトーに対する敵対的TOBに動きました。

そして、2006年には王子製紙(現王子ホールディングズ)が北越製紙(現北越コーポレーション)にTOBを仕掛けて、大企業もアメリカ型の買収に打って出ました。
これを見た永守会長は、この手法が日本に本当に定着するのかを試そうとしたのではないでしょうか?

うまくいくようなら、「強い手段」も含めて買収をさらに加速しようと考えたのでしょう。
この時期は、ニデックが、二デック急成長のけん引役となったハードディスク用の精密モーターから、自動車や家電・商業・産業用のモーターへ多角化を図り、新たな成長段階に入ろうとしていた時期に当たります。

しかしながら、結局、この時期のTOBは村上ファンドなどのアクティビスト(物言う株主)から事業会社によるものまで、ほとんど不成立に終わりました。
東洋電機製造の抵抗に遭った永守会長も、それを見て無理せず、相手企業との合意を元にしたM&Aに回帰していったのでしょう。

以後続いた「穏やかな時代」が、ここにきて変化してきたのです。
「真摯な買収提案を恣意的に解釈し、企業価値を高める提案を安易に断ることがないよう留意が必要」と、経済産業省が2023年6月に公表した「企業買収における行動指針(案)」はこううたっています。
指針は、経産省が株主利益の保護や企業価値向上を目指して日本企業にM&Aを推奨する方向に動く中で出されました。

M&Aについての事実上のガイドラインです。
6月からパブリックコメントを募集しており、年内に正式制定されると見られます。

これが企業経営を巡る1つ目の変化です。
仕掛けられた側の経営者の思いだけでは、もはや買収を拒否できません。
ニデックもTAKISAWA取締役会に送った「経営統合に関する意向表明書」でこの指針に触れ、「本取引は全体として指針で推奨されている望ましい買収であると考えている」と述べています。
株主に企業価値向上をもたらす提案であると宣言しているのです。

ニデックのTOBが映し出す企業経営の変化の2つ目は、経営者が成長と企業価値向上競争を常に迫られる時代に入ったことです。
ニデックは、2023年3月期までの10年で売上高を約3倍の約2兆2,400億円に伸ばし、さらに2030年にはその約5倍の10兆円に引き上げるという高成長構想を打ち出しています。

ニデックの工作機械事業は、もともとは車載用モーターをはじめとする主要事業の部品の精度を上げることを主な狙いとして始めたものです。
しかしながら、2021年8月に三菱重工工作機械(現ニデックマシンツール)を、2022年2月にOKK(現ニデックオーケーケー)を買収し、業績不振だった両社を短期間に再生したことで、永守会長は考え方を転換しました。
「工作機械業界には、経営改善を進めればもっと業績を上げられる企業がたくさんある」と。

工作機械事業を伸ばし、10兆円構想の柱の1つに育てる方向に転じたのです。
2023年2月にはイタリアの工作機械メーカー、PAMAもM&Aでグループに入れました。
その上でTAKISAWAに買収を提案した狙いは、既にニデックグループ入りしている工作機械メーカーとのシナジー(相乗効果)を引き出すことです。

ニデックマシンツールは、歯車工作機などニッチな分野で市場シェアが大きく、門形マシニングセンター(MC)や横中ぐりフライス盤などの大型機を持っています。
ニデックOKKは市場のボリュームゾーンである中小型MCを得意とし、PAMAは大型MCや横中ぐりフライス盤などで欧米と中国・アジアに販路を持っています。

TAKISAWAは市場規模の大きい旋盤を柱にしており、TAKISAWAをグループに加えれば、製品分野の広がりの面でも、事業エリアの地理的な面でもカバー範囲を広げられるのです。

これによって販売と生産・サービスでのシナジーと購買や生産規模拡大によるコストダウンなど多様な効果が見込めます。
それは、ニデックグループの既存3社だけでなく、グループに入ればTAKISAWAの成長にもつながり、TAKISAWAの株主のメリットにもなると、ニデックはそう訴えています。

TAKISAWAの2023年3月期の連結売上高は279億9,500万円で、10年前の2013年3月期からの成長率は33%にとどまります。
もともと東京証券取引所1部銘柄でしたが、2022年4月の市場再編の際、最上位のプライムではなく、2番手のスタンダード市場を選択しました。

こうした状況下で、TOBにかつてのような「乗っ取り屋」的な拒否反応が出ないのは、企業はたゆまず価値向上に尽くす必要があるという考え方がこの10年で日本の産業界に浸透したからでしょう。
安倍晋三政権が2013年に「日本再興戦略」を策定し、企業にガバナンス(企業統治)力の強化を求め、経営改革を進める力を付けるよう促しました。

2014年2月には金融庁の有識者検討会が「スチュワードシップ・コード(機関投資家の行動指針)」を策定し、機関投資家が企業と対話して、その成長を促すことが投資家の役割・責任として明確にされました。
機関投資家による経営監視強化の一歩です。

2015年5月には東証によって「コーポレートガバナンス・コード」も策定され、ガバナンス強化が本格化しました。
さらに2022年4月の東証の市場再編も経営者に改革を求める圧力となりました。
経済産業省の「企業買収における行動指針(案)」などは、こうした一連の動きに連なるものでもあります。

このように経営陣が企業価値を向上できるかどうかについて市場やステークホルダー(利害関係者)の目は年を追って厳しくなってきました。

TAKISAWAの経営陣はニデックがTOB開始を想定する9月14日の前日に会社としての意見を「公表することを目指す」としており、TOBに対するその他の具体的な対応策はまだ見えません。
TAKISAWAの株価は、ニデックが7月13日にTOBの方針を公表して以降急騰し、既に予定買い付け価格である1株2,600円にほぼ達しています。

TAKISAWAの株価がこの水準に達したのは今から約5年半前の2018年2月初め以来であり、既存株主の多くにとって既に損のない水準になっていると見られます。
今後、TAKISAWAがこれを超える株価を実現する企業価値向上への方策を示せるかどうか、ニデックとTAKISAWAの攻防戦は日本の企業経営の大きな変化の1つの断面なのでしょう。

個人的にも、この案件についてはすごく興味を持っています。
敵対的TOBが日本で成功するかどうかのきっかけになる案件だと思いますので、ウォッチしていきたいですね。
上場している以上、TOBのリスクは当然ありますので、その辺りについて上場企業の経営者には認識して欲しいと思いますし、業績を上げて、配当を増やし、株価を上げるのも経営者の責任ということを自覚して欲しいですね。
そうなると、PBRが1倍を割るのも解消されるでしょうし、株価も上昇するでしょうから、日本経済も活性化するのではないでしょうか?

ニデック永守会長が仕掛けたTOBは敵対辞さず経営者の役割を問うことについて、あなたはどう思われましたか?


『地球の歩き方』を廃刊から救った「事業譲渡」というサバイバル術!

2023年06月06日(火)

M&A Onlineによると、ダイヤモンド・ビッグ社が、先日、東京地裁より特別清算開始命令を受けたようです。
ダイヤモンド・ビッグ社は1969年9月に設立された、出版大手ダイヤモンド社の子会社です。
旅行ガイドブックの編集・出版を手がけ、1979年に創刊した『地球の歩き方』シリーズで有名です。
一部ネットメディアで同シリースが廃刊になると伝えられましたが、これは明らかな誤報で。同シリーズは引き続き発行されます。

なぜなのでしょうか?

実は『地球の歩き方』は2021年1月に、ダイヤモンド・ビッグ社から学研ホールディングスが設立した孫会社の株式会社地球の歩き方(東京都品川区)に事業譲渡されています。
今回清算するダイヤモンド・ビッグ社とは、すでに無関係なのです。

学研ホールディングスは2009年以降、少なくとも8件の買収を実施しています。
学研ホールディングスが『地球の歩き方』シリーズの事業譲渡に乗り出したのも、自然な流れでした。

『地球の歩き方』は日本人の海外旅行ブームに乗って、100タイトル以上を発行しています。
現地の口コミなど従来のガイドブックとは一線を画す実用書として人気を博していました。
「ドル箱商品」を得たダイヤモンド・ビッグ社は、2001年9月期に年間売上高112億6,500万円をあげています。

その後は出版不況が長引いた上に、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う海外渡航制限の影響もあって、2020年3月期には同28億8,500万円にまで激減し、学研グループへの事業譲渡に踏み切りました。
ダイヤモンド・ビッグ社は2023年3月31日に株主総会の決議により解散しており、清算は既定路線でした。
負債総額は2022年3月期末時点で約10億4,977万円です。

事業譲渡により『地球の歩き方』シリーズは生き残りました。
その決断をためらっていたら、『地球の歩き方』シリーズは惜しまれつつ歴史の幕を閉じることになったでしょう。
企業は消滅しても、商品は残るのです。

コロナ禍を支えた実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」の返済は2023年7月から2024年4月にかけてピークを迎えます。
事業継続を断念せざるを得ない企業も急増する見通しです。
そうした企業でも、将来性のある事業が存在するケースも少なくありません。

事業譲渡ができれば製品やサービスは残り、顧客や取引先への責任も果たせます。
状況次第で雇用も守れるでしょう。
「座して死を待つ」よりも、事業譲渡を模索する方が得策と言えそうです。

事業譲渡ではM&A仲介事業者などから、助言や買い手探し、譲渡交渉などの支援を受けられます。
経営が行き詰まる前に真剣に考えておきましょう。

海外旅行と言えば、『地球の歩き方』というイメージを持っていましたが、コロナへの対応ができなかったんでしょうね。
儲かるビジネスを構築していただけに、新たなことに対応できなかったのでしょうか?
残念ですが、事業譲渡で『地球の歩き方』は残ったわけですから、良しとしましょう。
学研ホールディングスはM&Aに力を入れているのか、先日、M&A登録支援機関である弊事務所にも、売り案件はないですか?みたいな郵便がきていました。
こういった案件をいっぱいやっていただいて、ブランドを存続させて欲しいですね。

『地球の歩き方』を廃刊から救った「事業譲渡」というサバイバル術について、どう思われましたか?


M&Aが「経営破綻の末の売却」とは言い切れない訳!

2023年05月23日(火)

M&Aという決断は、企業に何をもたらすのでしょうか?
ビジネスシーンでよく耳にする「M&A」ですが、その件数は増加傾向にあり、2022年には過去最多となりました。
M&Aに対し「経営破綻の末の売却」といった印象を持つ人もいますが、近年、そのイメージは塗り替えられています。
後継者不足の解決策として、また、積極的な成長戦略の一環として、M&Aを選ぶ企業が増えているのです。

東洋経済ONLINEによると、この記事の筆者らは、主に中小企業を対象としたM&A仲介をしています。
M&Aとは「Merger(合併)&Acquisition(買収)」の略です。
ある企業がほかの企業を買収したり、複数の企業が合併したりすることを指します。
よく「企業と企業の結婚」とたとえられ、私たちM&Aアドバイザーは、その「仲人」に当たります。
譲渡企業(売り手企業)と譲受企業(買い手企業)を結び付け、成長に導く仕事です。

中小企業のM&Aの場合、吸収合併や経営統合となるケースは少なく、買い手企業が売り手企業の51%以上の株式を買い取り、子会社化することがほとんどです。

日本企業のM&A件数は年々増加しています。
2020年はコロナ禍の影響で減少したと見られますが、2022年は4,304件で、過去最多となっています。

M&A仲介業は、日本独自のビジネスモデルといわれています。
これは日本企業の99%が中小企業であり、海外諸国に比べてM&Aが起きやすい環境だからだといえます。

M&Aの大きな要因は事業承継問題の顕在化です。
2045年には、70歳以上の経営者は約245万人に増え、後継者不足の企業はその半数超の127万社になるといわれています。

さらに、その127万社のうち60万社は黒字企業です。
つまり、後継者がいないために、黒字でありながら廃業しなければいけない企業が増えています。
その解決のためにM&Aを選ぶ企業が多くなっています。

このように、M&Aは後継者問題を解消する手段として注目を集めていますが、企業がM&Aを選ぶ動機はそれだけではありません。
事業拡大のため、人材確保のため、知名度の獲得のためなど、複合的かつさまざまです。

ただ、理由の1つに事業承継が含まれるケースはやはり多く、M&A業界全体の7割ほどを占めているという印象です。

かつて多くの人がM&Aに持つイメージは、「経営破綻したから売ったんだ」というものでした。
そこからM&Aの増加につれて、近年では成長戦略の手段の1つとしてM&Aを選択するケースが増えています。

2022年11月、アメリカの投資ファンドのベインキャピタルが、国内アパレルのマッシュホールディングスを2,000億円規模で買収しました。

日本経済新聞の記事(2022年11月15日、電子版)では、(マッシュホールディングスは)「さらなる成長には、ファンドのノウハウを借りながら海外展開を一段と進める必要があると判断」、(ベインキャピタルが)「成長企業に出資し、資金やノウハウを提供して一段の事業拡大を支援」と、ポジティブな表現です。M&Aというワードに対する印象が、変わってきたと感じました。

M&Aの意義を一言で表現するならば、「時間を買うことができる」です。
世界的な例を挙げると、Facebook社(現・Meta社)は、2012年にアメリカのスタートアップ企業だったInstagram社を買収しました。
10億ドルもの値段でしたが、より若い世代のユーザーを世界中で獲得することができました。

Facebook社が単独で新たなSNSを開発するよりも、すでにある企業を買収するほうが、成長戦略としては効率的です。
売り手側の目線に立てば、「頑張って株式上場を目指そう」と考えていたところから、上場企業に買われたことで、自分たちで上場しなくても上場企業グループの看板を使えることになります。

時間というリソースは限られています。世界中の企業が1分1秒を競い合って新しい価値を生み出そうとしている時代に、これまでと同じやり方ではどんどん差を付けられてしまいます。

加えて、M&Aでは「同じ船」に乗ることで生まれるエネルギーがあります。

筆者らが企業に対してM&Aのご提案をする中で、「業務提携でいいのでは」と言われることもあります。
もちろん、それで解決する部分もあると思います。
ただし、それではやはり、本当にコミットメントし合う関係にはなりません。
「受注した仕事をする」「任せた通りの仕事をしてもらう」ということ以上のインセンティブは働きません。同じ場所を目指す仲間になるからこそ100%コミットし合い、それがお互いの成長になるという関係性を築くことができます。

前述ではFacebook社とInstagram社という世界的に有名な企業を例に出しましたが、M&Aは売り手、買い手とも企業の規模を問わず適用できる戦略です。
小さな会社でも大手と一緒に組めば、より広い世界観に飛び込むことができます。

しかし、中小企業の場合、自社の将来に対する課題意識はあっても、M&Aという選択肢を考えていない経営者が多い傾向にあります。
やはりM&Aは巨額の資金を持つ大企業がするものだというイメージがあるのでしょう。

なかには、そもそも成長意欲がないと言わざるを得ない企業もあります。
ぼんやりと「現状維持でいい」と考えている経営者は、意外と多い印象です。

しかし、これからの時代において「現状維持」は「後退」を意味します。
人口が減り続けるなかで、優秀な人材の確保はより一層難しくなります。
中小企業ほど、さらなる業務効率化や生産効率の向上が求められます。

こうした意識の背景には、中小企業という閉じられた環境の中にいることで、経営環境が激変する状況に目が向けられていないことがあると思います。
あるいは、「自分が育ててきた会社だ」というプライドが邪魔をして、視野を狭くしているのかもしれません。

もちろん、自社の将来をどう考えるかは自由です。
しっかりと売上や利益が上がっていて、「ずっとこの会社をやっていくんだ、生涯現役なんだ」というのであれば、それも自社への愛着として共感できます。
その結果、廃業することになったとしても、従業員の就職先を見つけ、職を保証できれば問題ないと言えるのかもしれません。

ただ、やはりすべての企業は成長を目指すべきだと私たちは思います。
M&Aのプロセスでは、実際に契約するかしないかは、相手や条件を見てから決めることができます。
とりあえず検討してみて、自社に合わないと思えばやめればいいでしょう。
厳しい言い方になってしまいますが、成長のための選択肢を検討しないことは、経営者としての怠慢ではないでしょうか。

日本は少子高齢化が進み、労働人口も減っています。
企業の生産性も上がらず、特に中小企業ではずっと同じ給料で働く人も多いのが現状です。飛ぶ鳥を落とす勢いで成長していた高度経済成長期を経て、日本は「失われた30年」などと揶揄される経済の停滞期に突入しています。

日本企業の大部分を占める中小企業の生産性が改善されなければ、当然、日本全体の生産性も高まりません。
このままでは「元気な日本」はいつまでたってもやってこないでしょう。

私たちが多くの企業の現場を見ているなかで、その危機感を覚えることもあります。
最も多いのは、やはり経営者の高齢化です。
一般的には、どうしても高齢になるほど気力や体力は続かなくなり、判断力は落ちていきます。
結果的に売上は横ばいになり、組織もマンネリ化してきます。
そういう企業では、従業員のモチベーションは下がり、優秀な人材から流出していきます。

あるいは、デジタル化の遅れです。
いまだに経理担当者が手作業で給与計算をしている会社も多く、「新しいやり方を取り入れて、ほかに労力を割いたほうがいいのでは」と感じます。

そうした課題を解決するための有効な手段が、M&Aによって成長産業を集約していくことです。
成長できる余地があるならば、思い切って自社を第三者に任せるという決断は、やはり必要です。

個人的には、この記事のタイトルにあるように『M&Aが「経営破綻の末の売却」』だと考える経営者はそんなにいないのではないかと思いますが、M&Aは、事業承継のためはもちろんのこと、事業拡大のため、人材確保のため、知名度の獲得のためなのは、間違いないと思います。
今は、70代の経営者の事業を引き継ぐいわゆる団塊ジュニア世代の方がたくさんおられると思いますが、団塊ジュニア世代の方が70代くらいになって事業を引き継ごうと思う頃には、それほど人口の多い年代がなく、かなり厳しいのではないかと考えています。
そこが厳しいのですから、今、事業をうまく引き継げないと企業は将来的には残っていけないと思います。
よって、経営者の方は、早めに事業承継のことを考えましょうということです。

M&Aが「経営破綻の末の売却」とは言い切れない訳について、どう思われましたか?


M&Aの課題は「一体感の醸成」!

2023年05月18日(木)

ツギノジダイによると、中小企業の間でもM&Aは広がりを見せていますが、買い手としてM&Aを検討する企業は、「相手先従業員等からの理解が得られるか不安がある」などの不安を抱えていると2023年版の中小企業白書は指摘しています。
調査からは、早期の段階から PMIを検討し、事前に相手先経営者や従業員の人柄・価値観などを確認することや、買い手企業と売り手企業双方でM&Aの目的や戦略を明確化することの重要性が見えてきました。

2023年版中小企業白書によると、M&Aの件数は増加傾向にあり、公表されている数字だけですが、2022年は過去最多の4,304件に上りました。

それでは、M&Aの満足度はどんな要素に影響を受けるのでしょうか?
中小企業白書によると、M&Aの満足度が「期待以上となった」企業は、「相手先経営者や従業員の人柄・価値観」をより重視する傾向にありました。

逆に、買い手としてM&Aに関心がある企業を対象に「M&Aの障壁」について尋ねたところ、「相手先従業員等からの理解が得られるか不安がある」と回答した割合が最も高く、50%を超えていました。

さきほどの結果をあわせて考えると、M&A成立から「相手先経営者や従業員の人柄・価値観」を確認しておくことが、不安の解消につながる可能性が考えられます。

また、「判断材料としての情報が不足している」、「期待する効果が得られるかよくわからない」、「相手先(売り手)企業が見つからない」と回答した割合がそれぞれ30%を超えていました。

PMIとは、Post Merger Integration(ポスト・マージャー・インテグレーション)の略称で、M&Aによって引き継いだ事業の継続・成長に向けた統合やすり合わせなどの取り組みのことを指します。

調査では、PMIを「基本合意締結前」に検討した企業は、「基本合意締結後~クロージング完了後」に検討した企業や「検討していない」企業と比較して、M&Aの満足度が「期待以上となった」割合が高い傾向にありました。

中小企業白書は「今回の調査だけで一概にはいえないものの、M&Aで期待した成果を得る上で、早期の段階からM&A成立後を見据えて、PMIの準備を行うことが重要だと示唆される」と説明しています。

僕自身も、年間に数件M&A案件に関わっていますが、ここ数年、PMIの重要性は非常に感じています。
やはり、買収後のことをキチンと見据えて検討しないと、買収したとしても上手くいかないケースが多いのではないかと感じています。
既に買収していたとしても、専門家などを交えて丁寧に検討していけば、上手くいくケースもあるでしょうが。

M&Aの課題は「一体感の醸成」であることについて、どう思われましたか?


フジトランスポートが事業譲渡希望の運送事業者を公募!

日経産業新聞によると、長距離輸送の大手のフジトランスポート(奈良県奈良市)が事業譲渡を希望する運送事業者の公募を始めたようです。
ドライバーの労働時間の規制が強化される「2024年問題」まで残り約1年となり、マッチングサイトを通じて初めて公募するそうです。

競合他社のM&A(合併・買収)も活発になる中、業界再編の波がさらに広がる可能性があります。

「24年問題に向け、輸送力のある事業者はどんどん買収されている。このタイミングで手を打つ必要があった」と、フジトランスポート執行役員の川上泰生氏はそう力を込めています。

フジトランスポートが募集するのは、積載重量10トン以上のトラックを少なくとも10台ほど所有する運送事業者や、トラック整備工場などです。
フジトランスポートが輸送網を構築していない沖縄以外の46都道府県を対象に、5月22日まで受けつけます。

運送事業者は匿名で応募でき、成約まで無料でマッチングサイトの担当者のサポートを受けられます。
マッチングサイトの担当者によると、物流企業によるこうした取り組みは珍しく、「自社でも2例目になる」と話しているようです。

背景には、ドライバーの年間時間外労働時間が960時間に制限される2024年問題を前に、物流業界でM&Aが活発になっていることがあります。

このマッチングサイトでは、物流関連のM&A件数は2021〜2022年の2年間で2019〜2020年比で1.8倍に増加しています。
フジトランスポートも2020年4月以降に10社を買収し、自社の出店も合わせて42拠点を新設しました。

従来は自社で買収先を探していましたが、他社の動きも活発になるなか、「自前では限界がある。今回の公募は予算や事業者数に上限を設けずに幅広く募集する」(川上氏)ようです。

フジトランスポートを含むグループの国内拠点数は118カ所で、保有トラックは約2,500台です。
2035年までに同200カ所、同5,000台まで増やす計画だそうです。

譲渡する企業にもメリットがあります。
グループの給油所などを利用することでコストを抑えられます。
このほか、物流業界は下請けの多重構造で、2次請けや孫請けで荷物を運ぶケースも多くなっています。

長距離輸送の大手であるフジトランスポートは、荷主との運賃交渉でも比較的スムーズです。
川上氏は「グループに入った企業は収益改善などが進んでいる。今後もM&Aを含めた規模拡大を行い、24年問題を乗り切りたい」と話しています。

2024年問題は、運送業界にとっては死活問題であり、大変ですね。どこかの傘下に入るという選択肢も重要になってきますね。
日本人は、運送に関して早さや安さを求めすぎなのかもしれませんが、物価高騰や人手不足の問題もあるわけですから、まずは、例えば、運送に関する意識を変える必要があるのではないかと思います。
また、自動運転やドローンの規制緩和と合わせてやる必要もあるのではないかと考えています。

フジトランスポートが事業譲渡希望の運送事業者を公募したことについて、どう思われましたか?


独立系M&A仲介会社が相次いで大型案件を獲得!

日本経済新聞によると、国内のM&A(合併・買収)市場で、大手証券の主戦場だった数千億円規模の大型案件に独立系M&A仲介会社が参入しているようです。
1月に完了したオリックスによる通販化粧品大手ディーエイチシー(DHC、東京・港)の子会社化は、M&Aキャピタルパートナーズが仲介しました。
仲介会社が得意とする事業承継M&Aが広がっており、非上場のまま高値で取引される企業が増えています。

オリックスのDHC買収額は約3,000億円で、M&A 仲介会社が手掛けた案件として過去最大規模です。
M&Aキャピタルパートナーズが取引完了時に得る手数料は数十億円規模とみられます。
日本経済新聞はM&Aキャピタルに事実確認を求めたようですが、同社は「個別案件へのコメントは控える」と回答しています。

M&Aキャピタルパートナーズは2022年、オリックスが電気設備工事大手のHEXEL Works(ヘクセルワークス、東京・港)を約400億円で買収した際も仲介業務を担っています。
M&Aキャピタルパートナーズは、DHC 創業者の吉田嘉明氏に会社売却の意向があることが分かると、買い手候補としてオリックスを選定し、約1年にわたり両社の調整役を務めました。

大手経営コンサルタントの山田コンサルティンググループは2022年、アメリカ投資ファンドのベインキャピタルによるアパレル大手マッシュホールディングス(東京・千代田)の買収で、売り手であるマッシュ側の財務アドバイザー(FA)を務めました。
ベインによるマッシュの評価額は約2,000億円にのぼりました。

もともと山田コンサルはマッシュから会計コンサル業務を引き受けていました。
マッシュ創業者の近藤広幸社長が新規株式公開(IPO)を検討していたところ、山田コンサルはノウハウのあるファンドに保有株式の一部を売却し、連携してIPOをめざすことを提案しました。
売り手側FAとして複数のファンドが参加する入札を取り仕切きりました。

これまで取引額1,000億円超の大型M&Aは、主に大手証券会社が手掛けていました。
一方、M&A仲介会社は、中小企業のオーナーが事業承継目的で会社を売却する数億〜数十億円の案件を中心に手掛けてきました。
両者にはすみ分けができていました。

ここにきてM&A仲介会社の存在感が増してきたのは、仲介会社が得意とする事業承継M&Aが活発化しているためです。
M&A助言のレコフによると、事業承継M&Aは2022年に約750件と前年比2割弱増え、過去最高を更新しました。
非上場であっても売却対象となれば数百億〜数千億円の高値が付く企業も出てきました。

M&A仲介会社が高い報酬で人材をひき付けていることも大きいようです。
M&Aキャピタルパートナーズの2022年9月期の平均年間給与は上場企業トップの3,161万円です。
一部の管理部門を除き、営業成績に基づく歩合制をとっています。
中村悟社長も例外ではなく、2005年の会社設立以来、中村社長の報酬が社員平均を下回ったことが2回あるそうです。

大手証券も事業承継を中心とする非上場企業のM&A案件を狙っています。
大和証券は全国の支店長を事業承継担当とし、オーナー経営者の相談に応じる体制を整えました。
社員研修でも事業承継に関する内容を増やしています。

野村証券はM&A 担当部署に非上場企業の専門チームを設けています。
主にリテール営業担当者が受けるオーナー経営者の会社売却相談を専門チームにつなぎ、FA 業務に取り組んでいます。

M&A 仲介会社では手数料を売り手・買い手の両方から徴収する「両手取引」が慣行になっており、取り過ぎとの批判があります。
公的な資格が不要で、知識や経験が不足した事業者も少なくないため、オーナー経営者とのトラブルも起きています。

もっとも、オーナー経営者の事業承継問題は深刻化しており、東京商工リサーチによると、2022 年時点の後継者不在率は約6 割にのぼります。
大手証券も交えて事業承継M&A の支援業務が活発になれば、手数料の下げ圧力や業界の透明性向上につながる可能性があります。

大手証券会社に独占されていた大型案件が、M &A 仲介会社にも回ってきていることは良いことですね。
これらにより、売ったり、買ったりする側の選択肢が増えるでしょうし、おそらくかなり高い証券会社の手数料も下がるでしょうから。

独立系M&A仲介会社が相次いで大型案件を獲得していることについて、どう思われましたか?


ソフトバンクグループがM&A税務巡る見解相違で370億円の申告漏れ!

日本経済新聞によると、ソフトバンクグループ(SBG)が東京国税局の税務調査を受け、2021年3月期までの2年間で約370億円の申告漏れを指摘されていたことが、先日、関係者への取材で分かったようです。

傘下のアメリカ携帯通信スプリントの合併に絡む取引の費用が過大に計上されていたとみられます。
グローバルなM&A(合併・買収)案件が増えるなか、関連支出を巡る国税当局と企業側の見解の相違が目立ってきました。
ルールを巡る議論にも一石を投じそうです。

調査対象の2期間とも税務申告は赤字で、追徴課税は発生しなかったもようです。
SBGは日本経済新聞の取材に対し「法人所得で約370億円の修正申告を行いました。経費計上タイミングなどの見解の相違によるもので、仮装、隠蔽に課せられる重加算税の対象となる修正はありません」とコメントしました。

関係者によると、焦点となったのはM&Aの関連支出が「費用」か「資産」かという税務処理を巡る判断です。
SBGは2020年4月に傘下だったスプリントとTモバイルUSの合併に伴ってスプリント株を手放し、新会社の株式を取得した取引に絡み、デューデリジェンス(資産査定)費用や弁護士費用などを雑損失として計上しました。
雑損失は税務上の費用として損金算入され、税負担の減少につながる場合があります。
スプリントの企業価値は2018年4月時点で約590億米ドル(当時のレートで約6.4兆円)でした。

これに対し、東京国税局は費用ではなく株式の取得価格として資産計上すべきだと指摘したもようです。
取得価格に含まれると、株式を売却するまでは税務上、損金になりません。

M&Aの関連支出を巡り、企業と国税当局間で意見が食い違うケースは少なくないとされています。
背景にあるのが国内企業によるM&Aの増加です。
M&A助言のレコフによると、2013年の約1,900件が2022年に約4,000件と倍増しました。
税法に詳しい弁護士は、「M&Aの関連支出の扱いに関する規定には曖昧さがあり、企業側は慎重な対応が必要だ」と指摘しています。

このほかに、傘下の「ビジョン・ファンド」の一部の管理費用に関する申告漏れも含まれているそうです。

SBGで数百億円以上の申告漏れが明らかになるのは、2018年にタックスヘイブン(租税回避地)の子会社などに関し約900億円の申告漏れが発覚して以降4度目です。
2019年には約4,200億円の申告漏れが判明し、子会社からの配当と子会社株式の譲渡を組み合わせた節税策を封じる税制改正につながりました。

ソフトバンクグループの税務処理を巡っては、色々と問題が出てきますね。
かなり税務を研究しているのではないかと思いますが、ここまで大きいと、税務の隙間みたいなところが改正されてしまいますね。
実際には、赤字であり、指摘されても期ズレの問題であり、痛くもかゆくもないのでしょうが。

ソフトバンクグループがM&A税務巡る見解相違で370億円の申告漏れを指摘されたことについて、どう思われましたか?


横浜銀行が神奈川銀行にTOBを実施し完全子会社化へ!

テレビ神奈川によると、横浜銀行は、神奈川銀行の完全子会社化へ向けて、株式の公開買い付けを開始すると、先日、正式に発表しました。

記者会見には、横浜銀行の片岡達也頭取と神奈川銀行の近藤和明頭取が出席し、社会の変化に対応するため、同じ神奈川県を地盤とする両行が一体となって、安定的な金融仲介機能を発揮する必要があると経営統合の趣旨を説明しました。

経営統合は、2022年8月から横浜銀行側からの提案で連携強化について協議を始めたもので、比較的規模が大きい企業との取り引きに強みがある横浜銀行と、中小企業への支援が得意な神奈川銀行はお互いに補い合える関係としています。

また、店舗統合ありきの完全子会社化ではなく神奈川銀行のブランド名は継続するほか、課題となっていたデジタル化について横浜銀行のノウハウを生かすメリットが期待されるとしています。

横浜銀行の片岡達也頭取は、「5年後10年後の先を見据えた経営を行っていく中で、両行の業績が堅調な状況でまさにこのタイミングで経営統合を行って将来に向けて先手を打つ」とコメントしています。

横浜銀行は、すべての株式の公開買い付けを2023年4月4日までに行うことを目指し、2月6日から買い付けを開始しています。
その規模はおよそ82億円を見込んでいるということです。

今後、こういうことが全国的にどんどん進んでいくんでしょうね。
どう考えても、金融機関は多過ぎますから。
金利で競い、手数料の高いものを売るのではなく、サービス内容で競うように早くなってほしいですね。

横浜銀行が神奈川銀行にTOBを実施し完全子会社化することについて、どう思われましたか?


M&A業務が裁量労働に!

日本経済新聞によると、厚生労働省はあらかじめ決めた時間を働いたとみなす「裁量労働制」の対象業務に銀行や証券会社のM&A(合併・買収)業務を追加します。
2023年1月内に決定します。
多様な働き方の実現に向け、時間にとらわれない働き方ができるよう対象を拡充します。
適切な運用には過重労働の防止策などの充実も求められます。

裁量労働制は弁護士やゲームソフトの創作など専門性が高い19職種が対象の「専門型」と事業の立案・調査など「企画型」の2種類あります。
M&A業務は専門型として追加します。
企業から「M&A分野は専門性が高い半面、繁閑の差が大きい」などと追加を求める声があったようです。
経団連も対象拡大を要望していました。

専門型の対象業務は省令や告示で定め、現在19あります。
M&Aを追加すれば2003年以来、約20年ぶりです。
2023年に政省令を改正し、2024年に施行する見通しです。

従来は企画型のみ必須だった本人同意を専門型でも義務化します。
企業が一方的に適用を決めると過剰な業務責任を与えて過労を引き起こすとの懸念があったからです。

厚労省による2019年の調査では、裁量労働制の適用者は1日の平均労働時間が9時間と非適用者より21分長くなっています。
適用者は8割程度が「満足」「やや満足」と答え、私生活とのバランスが取りやすいと評価する声が目立ちました。

日本総合研究所の山田久氏は「現場判断で新しいものを作るような、プロフェッショナルで自立性の高い働き方は経済活性化につながる」と裁量労働制を評価しています。
過度な裁量や業務を与えられる余地が残っている点を問題に挙げ、企業での「研修や適正なガイドラインの導入が必要だ」と課題を指摘しています。

2018年に成立した働き方改革関連法の審議過程で厚労省提出のデータに不備が見付かり、対象業務の拡大が法案から削除された経緯があります。
厚労省は改めて労働政策審議会(厚労相の諮問機関)で議論しています。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴うテレワークの普及などで従来の枠組みでは労務管理がしづらくなっている面があります。
働き手の実態に即した仕組みに改める取り組みが欠かせません。

M&A業務は仕事のある時とない時では、かなり差があるので、良い改正ですね。
M&Aというものが、世間一般に認知されたようで嬉しいですね。

M&A業務が裁量労働になることについて、どう思われましたか?


Chatworkが給与計算アウトソーシング事業を行うミナジンの株式取得して子会社化!

日本M&Aセンターによると、Chatwork株式会社は、株式会社ミナジン(大阪府大阪市)の全株式を取得し、子会社化することを決定したようです。

取得価格は、600百万円です。
ただし、業績連動型のアーンアウト方式を採用しているため、ミナジンの今後3年間の業績達成度合に応じて総額最大1,000百万円が支払われる可能性があります。

Chatworkは、クラウド型ビジネスチャットツール「Chatwork」の開発運営を行っています。

ミナジンは、クラウド型就業管理及び人事評価システムの企画・販売、並びに給与計算等の労務アウトソーシングなど、人事労務領域の事業を展開しています。

本件M&AによりChatworkは、ビジネスチャットというコミュニケーションツールと人事労務領域サービスの連携による高付加価値なサービスを顧客に提供し、さらなる価値提供を目指します。

また、両社のサービスは主要顧客が中小企業という特徴を持つことから、相互の顧客基盤の拡大による収益増、コスト効率化といったシナジー効果の創出を図ります。

Chatworkは結構前から使っていますが、ビジネスチャットだけではなく、色々なサービスをやっていますよね。
秘書みたいなサービスはすぐにやめたと思いますが、色々とやっていかないと、会社として成長しないんでしょうね。

Chatworkが給与計算アウトソーシング事業を行うミナジンの株式取得して子会社化することについて、どう思われましたか?


さようなら「東急ハンズ」「日立金属」!

M&A Onlineによると、東急ハンズ、日立金属が、先日、社名変更を発表しました。
東急ハンズは「東急」を外し、既に、10月1日に「ハンズ」として再出発しています。
日立金属は2023年1月4日に「プロテリアル」に名前を改めます。

長年慣れ親しまれた社名に別れを告げる理由はM&Aです。
買収されて親会社が変わることになったからです。

東急ハンズがホームセンター最大手、カインズ(埼玉県本庄市)の傘下に入ったのは2022年3月末です。
カインズが東急不動産ホールディングスから東急ハンズの全株式を取得し、完全子会社化しました。
このため、東急の名が消えることは時間の問題とみられていました。

東急ハンズは1976年に創業し、独自のDIYを中心に新たなライフスタイルを提案する小売業態の先駆的存在として知られ、生活雑貨ブームの牽引役となりました。
現在、国内外合わせて88店舗(うちフランチャイズ23店舗を含む)を展開しています。

近年はネット販売の台頭に押されて苦戦し、ここに新型コロナ禍が重なり、業績が急速に悪化しています。
コロナの影響が本格化する前の2020年3月期に950億円だった売上高は2022年3月期は555億円まで低下し、2年連続の営業赤字に沈みました。

新たな店名、ロゴについては今後決める予定で、当面、店舗の看板などには「東急ハンズ」が残ります。

カインズは非上場ながらホームセンター業界トップで、流通大手「ベイシアグループ」の中核会社です。
作業着大手のワークマンもベイシアグループの一員で、こちらは東証スタンダード市場に上場しています。

一方、日立金属は日立製作所グループを離れ、日米投資ファンド連合の傘下に入いります。
東証プライム市場への上場も廃止となります。

新社名の「プロテリアル」はプロと、材料を意味するマテリアルを組み合わせたものです。
プロはプロフェッショナル(専門的な)、プログレッシブ(革新的な)、プロアクティブ(主体的な)の3つの言葉を表しています。

日立金属は1956年に日立の鉄鋼部門が分離独立して発足しました。
日立グループでは日立金属、日立電線(2013年に日立金属と合併)、日立化成と並んで“御三家”と呼ばれた名門です。
グループ再編の一環として、日立化成も2020年に昭和電工に売却されています。

米投資ファンドのベインキャピタルによる日立金属へのTOB(株式公開買い付け)が9月27日(~10月25日)に始まりました。
元々、2021年11月に開始される予定でしたが、各国当局の審査が遅れていました。

ベインキャピタルはTOBを通じて47%の株式を買い付けます。
そのうえで、日本産業パートナーズ(東京都千代田区)など国内投資ファンド2社と組んで、親会社の日立が保有する残る53%の株式を取得し、日立金属を完全子会社化します。
買収総額は8,100億円に上ります。

このほか、日立金属と同じく2023年1月4日付で社名変更を予定しているのが新生銀行です。
TOBを経て、2021年12月にSBIホールディングスの子会社になったのを受け、「SBI新生銀行」として再スタートします。

最近、社名を変更するところが増えていますね。
『ホールディングス』を付けたり、『グループ』を付けたり、漢字を外したり、ローマ字にしたりするところが増えてきているように感じますが、M&Aによるものも以前から多いですね。
個人的には、小文字と思っていたのが大文字だったり、ブランド名と違っていたりするため、社名を見たりするのが、新たな発見があり、楽しいです。

さようなら「東急ハンズ」「日立金属」について、どう思われましたか?


株式交付で「私的節税」!

日本経済新聞によると、M&A(合併・買収)による事業再編を促し日本企業の競争力を高める目的で2021年に導入された株式交付制度が、上場企業オーナーの私的な節税に使われているとの指摘が出ているようです。
専門家の意見は「制度の乱用とまではいえず問題ない」や「制度趣旨から外れており税制改正が必要」などと分かれており、議論を呼びそうです。

「私的な節税策にみえる」と専門家が注目するスキームがあります。
本来は企業が事業再編しやすくするための株式交付制度を使い、オーナーが個人保有する株を資産管理会社に移すものです。
上場企業では7月末までの判明分で、ティーケーピー、coly(コリー)、G-FACTORY、アールエイジ、オージックグループの5社の例があります。

スマートフォンゲームを配信するコリーは6月に実施しました。
2021年上場の同社は、創業オーナーの姉妹2人が個人で同社株を32.55%(議決権ベース)ずつ計65.11%持っていました。
今回は株式交付制度を使い、このうち計50.56%分を、2人が折半出資する資産管理会社に移管しました。

株式交付は、自社株を対価として他社を買収できるM&Aの新たな手法です。
類似の「株式交換」もありますが、完全子会社化する場合に限られるなど使い勝手の悪さも指摘されていました。
株式交付は50%超の部分買収にも使えるため、「大型買収でも活用できて有意義だ」(M&Aに詳しい弁護士)ともいわれます。

税メリットもあり、買収される会社の株主は株式譲渡益への課税を繰り延べられます。
コリーのオーナー2人による株の売り出し価格は総額41億円で、もし、同制度がなければ、譲渡益に約2割の税率で所得税などがかかった可能性があります。

株を個人ではなく資産管理会社で持つ手法は、一般的な節税策として知られています。
例えば持ち分3分の1超の国内関連法人からの配当は一定の条件下でほぼ全額が非課税(益金不算入)になります。
オーナーが個人として配当を受ければ所得税などがかかりますが、資産管理会社が受け取れば税金を抑えられる可能性が高くなります。

資産管理会社にたまるお金は、資産運用などで様々な節税メリットも享受できます。
コリーは現在無配ですが、将来は配当を実施する可能性もあります。

株式交付制度は本来、企業の成長につながる事業再編を促す制度です。
しかしながら、オーナーの株を資産管理会社に移すのに使われるのは、私的な節税策を後押しする側面が強いようにみえます。

5社は適時開示で資産管理会社による資料も示しています。
ところが、オーナーの保有株を資産管理会社に移管する目的については、実質的な説明がほとんどありません。

日本経済新聞は5社に対し、書面で目的などを質問したようですが、「節税目的」と認めた社はなかったようです。

コリーは「長期安定的な株主構成を構築し持続的な成長に寄与する」などとし、オーナー2人の私的な節税目的ではないと説明しています。
アールエイジは「経営の不安定化を回避し、弊社株主の皆様の利益に資するようにするという観点」としました。

一方、企業再編などの税務に詳しい梅沢謙一税理士は、こうした活用について「本来の制度趣旨に沿っていないのではないか」と指摘しています。
ある上場企業の財務担当役員も「これらの事例には違和感がある。もし資産管理会社に非課税で配当をプールするスキームを組むのに使われ始めたら、やり過ぎだ」と話しています。

税制改正を検討すべきだとの声もあるようです。
仮に国税当局がこのスキームを調査するなら、どこに注目するでしょうか?
国税当局で長年、企業再編などの税務調査をした大山清税理士は「極端な租税回避行為を否認する規定(法人税法132条の2など)を視野に調査を行うだろう」とみています。
その際の注目点は「合理的な理由や租税回避の意図の有無などだ」だそうです。

一方、元国税庁キャリアの木村浩之弁護士は「法律上、オーナーから資産管理会社への株式移管には使えないなどの制約はない。法律の穴を突くあざとさがあるとは思わない」と指摘しています。
「税務調査で否認され申告漏れなどが指摘されるリスクは低いだろう」と話しています。

M&A助言のレコフによると、株式交付M&Aは制度開始から7月末まで計16件です。
このうちオーナーの資産管理会社が絡むものは5件で一定割合を占めています。
公認会計士・税理士の森将也氏は「今後も同様事例が出る可能性がある」とみています。

株式交付制度は経済産業省が長年、導入を望んできました。
担当者は「(日本企業は)現状維持やリスク回避の傾向が強く制度的なイノベーションが起こりにくい。まず制度を形にしないと大きな動きは作れない」と話しています。
今回のような利用を想定していたかについては「コメントしない」としています。

財務省で長く税制改正に携わった朝長英樹税理士は「租税回避行為として否認されるリスクは低いが、節税の目的ならば好ましくないのは明らかだ。株式交付の特例は要件が緩くなっていることもあり、税制改正が必要か検討すべきだ」と話しています。

個人的には、組織再編税制はガチッと要件を決めたうえで認めているわけですから、基本的に、要件を満たせば良いのではないかと考えています。
当然、当初想定していなかったようなスキームが出てくれば、改正すれば良いわけですから。
最近では、節税を目的としたものは否認されるリスクがあることから、目的やストーリーをきちんと考えたうえで実行していると思われますので、よっぽど安易に実行しているもの以外、否認されるリスクは低いのではないでしょうか?
それよりは、近いうちに改正される可能性の方が高いのではないでしょうか?

株式交付で「私的節税」について、どう思われましたか?


アマゾンはなぜ「ルンバ」に手を出したのか?

M&A Onlineによると、アメリカのアマゾンが、先日、アメリカの家庭用ロボット掃除機最大手iRobotを買収すると発表しました。
買収総額は約17億ドル(約2,290億円)で、コリン・アングル経営最高責任者(CEO)は残留します。
アマゾンがロボット掃除機を傘下に入れた狙いは何なのでしょうか?

iRobotは円盤型の自走式ロボット掃除機を普及させたメーカーで、アマゾンの「買収の思惑」についてはすでに多くの推察がメディアを騒がせているようです。
その中でも有力なのが「ホームマップの取得」です。

「ルンバ」は家庭で自動清掃をするプロセスで、全体の間取りを把握しているそうです。
そうした「家庭内地図」をロボットが作成し、データをメーカーのサーバに蓄積します。
そのホームマップを元に、デジタル家電の制御や新たな機器の導入が提案できるようです。

ただし、アマゾンの狙いは、そうしたBtoC(企業・個人間)ビジネスだけではありません。
大口で、より長期的に安定した取引が期待できるBtoB(企業間)ビジネスにも視野に入れているのでしょう。
同社の典型的なBtoBビジネスの成功例が、アマゾン ウェブ サービス(AWS)です。
AWSはアマゾンをクラウドサービスの「勝ち組」にしました。

アメリカの調査会社のガートナーによると、2021年にAWSは世界シェア38.9%と、同21.1%のアメリカのマイクロソフト、同9.5%中国のAlibaba、同7.1%のアメリカのGoogleなどを大きく引き離しています。
そして、クラウドに代わるビジネスとして注目されているのが、無人搬送車(AGV)です。

アマゾンとAGVと言ってもピンとこないかもしれません。
かつてアマゾンはAGVを「買う」立場でしたが、2012年にアメリカのKivaシステムズを買収してからは自社開発に力を入れ、今や「売る気満々」なのです。

物流業界では人材不足対策と配送処理の迅速化から、物流の自動化に取り組むのがトレンドです。
次世代物流構想の「ロジスティクス 4.0」でもAGVは重要な役割を果たします。
この流れに乗って、アマゾンがAGV市場の本格参入するのも時間の問題でしょう。

この市場の競争は激しく、アマゾンのKivaシステムズ以外にも、中国のギークプラスやインドのグレイオレンジ、ノルウェーのJakob Hatteland Computerなどが世界市場を狙ってしのぎを削っています。

そんなアマゾンがiRobotを狙ったのは、AGVの量産化と値下げのためと見られます。
iRobotは家庭用ロボット掃除機では高級ロボットが主力で価格は高いが、AGVの世界では格安です。
iRobotの量産技術で低価格帯のAGVを投入していけば、中小物流業者にも導入が進むでしょう。

市場調査会社のグローバルインフォメーションによると、自律型移動ロボット(AMR)を含むAGV市場は2021年の30億ドル(約4,050億円)から2027年には180億ドル(約2兆4,300億円)を超えると予測されています。

AGVの作業効率を向上し、人間などとの接触事故などを防止するためには人工知能(AI)の精度向上がカギを握るため、GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)には有利です。
AGVがAWSと並ぶアマゾンのBtoBビジネスに成長する可能性もありそうです。

直感的には安いような気はしますが、さすがアマゾンですね。
色々なことを考えて、M&Aしているんでしょうね。
日本も、早くこういう自社で足りないところは買うとか、シナジー効果があれば買う、成長性がある市場にM&Aで参入するとかいうことが、日本でも当たり前になれば、日本の企業も強くなり、日本経済も活性化するでしょうね。

アマゾンはなぜ「ルンバ」に手を出したのか?について、どう思われましたか?


大王製紙が紙製猫砂メーカー大手の大貴を子会社化!

M&A Onlineによると、大王製紙は、猫の排泄に用いられる紙製猫砂を製造する大貴(東京都港区。売上高27億1,000万円、営業利益1億5,200万円、純資産40億3,000万円)の全株式を取得し子会社化することを決めました。

グループ内におけるマテリアルリサイクルモデル確立の一環です。

大貴は紙製品メーカーで規格外となった紙おむつ、壁紙、パルプ系不織布などのリサイクル原料を活用し、高品質な紙製猫砂を製造しています。

取得価額は約74億円。取得予定日は2022年10月3日です。

大貴は1984年設立で、OEM(相手先ブランド生産)を主体とし、紙製猫砂市場で約4割のシェアを持っています。
真岡工場(栃木県真岡市)、四国工場(香川県三豊市)の2工場を置き、全国をカバーしています。

大王製紙は衛生用紙、紙おむつ、生理用品、マスクの製造過程で発生する生産ロスについて、その多くを原料工程まで戻して製品化する一方、再利用が難しい部分はリサイクル原料として外販、もしくは自社ボイラーの燃料として利用することで対応していました。
今回、大貴を傘下に収めることで、一連の生産ロスについてグループ内で完結する形でマテリアルリサイクルを実現します。

自社でやっていないものを補うために、取引先をグループに取り込むということですね。
直感的には高いような気はしますが、どうしても欲しかったんでしょうね。
特定のグループに属することで、仕入先が減少するリスクもあるとは思いますが。

大王製紙が紙製猫砂メーカー大手の大貴を子会社化することについて、どう思われましたか?


チャコット・成城石井・ティップネスの親会社はどこ?

この会社ってあのグループだったの?と、よく知られた会社でも、親会社の名前を聞いて思わず驚くことがないでしょうか?

M&A Onlineによると、実はM&Aが関係していることが多いそうです。
そんな「意外な子会社」として今回ピックアップしたのは、チャコット、成城石井、ティップネスです。
この3社の親会社はどこでしょうか?

<バレエ・ダンス用品のチャコット>
バレエ・ダンス用品の国内トップブランドとして圧倒的な知名度を誇る「チャコット」(東京都港区)ですが、その名前を聞けば、バレリーナに夢見た少女時代を思い出す人も少なくないようです。
ジュニア・キッズから、レディース、プロのダンサーまで顧客層は幅広いです。

戦後間もない1950(昭和25)年に創業し、東京・板橋でトゥシューズやバレエシューズの製造に乗り出しました。
1961年に法人化し、スワンシューズを設立し、レオタード、タイツなどに手を広げ、総合用品メーカーとして道を切り開いてきました。
バレエ・ダンスはもちろん、フィットネス、ヨガ、新体操、フィギュアスケート、コスメまでカバーします。
現在、全国に直営は26店舗で、カルチャースタジオ10か所を運営しています。

チャコットに社名変更したのは1974年で、創業者の土屋 誠(つちやまこと)氏から「ま」を抜いた語順を入れ替えてネーミングしたとされます。

そんなチャコットに一大転機が訪れたのは1990年です。
同族経営にピリオドを打ち、アパレル大手のオンワード樫山(現オンワードホールディングス)の傘下に入ったのです。

<上場が取りざたされる成城石井>
成城石井(神奈川県横浜市)といえば、今や高級スーパーの代名詞とされます。
関東を中心に中部、関西に店舗を広げ、約200店舗を数えます。
2022年2月期業績は売上高1,097億円、営業利益122億円で、ここへきて東証プライム市場への上場が取りざたされています。

それもそのはずで、コンビニ3強の一角を占めるローソンの傘下で“孝行息子”に成長を遂げたからです。

ローソンが三菱商事系投資ファンドの丸の内キャピタル(東京都千代田区)から成城石井を約360億円で買収したのは2014年です。
当時に比べ売上高は倍増し、店舗数も6割増えました。
親会社のローソンの「出口戦略」として、成城石井について子会社上場の検討にいよいよ動き出した模様です。

成城石井は1927年に東京都の成城で食料品として創業しました。
1976年からスーパーとして営業展開をスタートし、高価格帯の特徴ある品ぞろえを売り物にしています。

ただし、その歩みは決して平たんではありませんでした。
2004年に焼肉「牛角」などを展開するレインズインターナショナルの傘下に入った後、2011年に丸の内キャピタルに経営権が移った経緯があります。

<ティップネスはサントリーの元子会社>
では、首都圏や関西など都市部でフィットネス事業を手がけるティップネス(東京都港区)はどうでしょうか?

コナミスポーツクラブ(コナミホールディングス傘下)、セントラルスポーツ、ルネサンスに次ぐ業界4番手で、店舗数は167(2022年3月時点。24時間ジム「FASTGYM24」110店舗を含む)です。
こちらの親会社は意外にも、日本テレビホールディングスなのです。

ティップネスもM&Aと無縁というわけではないのです。
1986年にサントリー(現サントリーホールディングス)の子会社として発足し、2001年に丸紅系スポーツクラブのレヴァンを吸収合併しました。
日本テレビが買収に動き出したのは2014年で、新たな収益源と位置づける「生活・健康関連事業」の本格展開の第一歩とする狙いでした。

ティップネスに限らず、スポーツクラブ各社の経営はコロナ禍による会員減少や利用自粛などで体力を奪われてきただけに、反転攻勢が急務になっています。

数年前から、地元でもこの会社はここのグループなんだぁとか思うことが増えたように思います。
それだけ、M&Aが増えているんでしょうね。
ちなみに、高松市で大きな税理士法人も2021年に東京の税理士法人のグループに入っています。
個人的には、最近、実業家としてのROLANDさんをよくテレビで見かけるので、すごく興味を持っているのですが、ぜひ残したいと思ったお店を買い取ったりしたりしていますね。
M&Aがどんどん一般的になって、親会社や経営者が変わっても、良い会社やお店が続いてくれたらいいなぁと思う今日この頃です。

チャコット・成城石井・ティップネスの親会社はどこ?について、どう思われましたか?


リコーが富士通のスキャナー事業を840億円で買収!

日本経済新聞によると、リコーは、先日、富士通の全額出資子会社でスキャナー大手のPFU(石川県かほく市)を買収すると発表しました。
買収額は840億円で、富士通が保有するPFUの株式の8割を取得します。
先日開いた取締役会で決議され、2022年7月1日の買収を予定しています。

PFUは1960年の創業で、主力の「スキャンスナップ」などを手掛けるスキャナーメーカーです。
医療機関や貿易機関、銀行などで手書き書類をスキャンして画像データにするなど、専門性の高い業務フロー部分に使われています。
リコーはこれまで接点の少なかった金融機関や医療機関などの顧客基盤を取り込み、デジタルサービスの提供先を広げる狙いのようです。

リコーはPFUの技術や顧客基盤と、既存のデータ処理技術などと組み合わせたデジタルサービスに力を入れます。
銀行での申請書入力作業を自動化し、リコーの持つクラウド基盤「リコースマートインテグレーション」とつなげて申請作業を効率化するサービスと組み合わせるなど、業務フロー改善を提案します。

PFUの持つIT(情報技術)技術も取り込みます。
PFUが強みとするクラウド構築運用やセキュリティーサービスといったIT管理サービスのノウハウを取得し、リコーのオフィス関連のサービスと組み合わせます。

ペーパーレス化などで事務機市場の縮小が続くなか、リコーはオフィスや様々な業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)関連サービスを強化し、事務機メーカーからデジタルサービス会社への転換を急ぎます。

富士フイルムビジネスイノベーション(旧富士ゼロックス)には、DocuWorksというものがあり、これが使いたいがために、富士フイルムビジネスイノベーション(旧富士ゼロックス)の複合機を使っている会計事務所も多いように聞いたことがありますが、リコーは、PFUを買収という方向に行きましたね。
僕自身も、開業当初からScanSnapを使っていますが、非常に便利なものです。
弊事務所はキヤノンの複合機を使っていますので、どうせならキヤノンに買収して欲しかったですね(笑)。

リコーが富士通のスキャナー事業を840億円で買収したことについて、どう思われましたか?


レコード大手を巡る58億円の追徴課税取り消し訴訟は国側の敗訴が確定!

グループ会社の組織再編に伴う借り入れを巡り、約58億円を追徴課税した東京国税局の処分を不服として、大手レコード会社「ユニバーサルミュージック」(東京都渋谷区)が処分の取り消しを求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(岡正晶裁判長)は、先日、国側の上告を棄却しました。
課税処分を取り消した一、二審判決を支持し、国側の敗訴が確定しました。

訴訟では、グループ会社間で税負担を不当に減らす税務処理が行われた場合、国税当局が税額を算定し直せるとする法人税法の規定適用の是非が争われました。

第1小法廷は判決理由で、ユニバーサル社の借り入れや組織再編について「税負担の減少が目的に含まれていたといわざるをえない」としつつ、機動的な事業運営を可能にするなどの理由もあったと指摘しました。
「取引全体としてみると、経済的合理性を欠くとまではいえない」として、規定の対象にはならないと結論付けました。

判決によると、ユニバーサル社は2008年から2009年にかけて進められた組織再編に絡み、海外のグループ会社から約866億円を借り入れ、関連会社の買収費用に充てました。
その後、支払った利子計約181億円を損金として計上したのです。

東京国税局はユニバーサル社の組織再編や借り入れ行為は不自然で、課税回避が目的だったと判断し、国税側が税額を再計算できるとした法人税法の規定に基づき、2012年12月期までの5年間で計約181億円の申告漏れを指摘し、約58億円を追徴課税しました。

東京国税局は「主張が認められなかったことは大変残念だ」とのコメントを出しました。

先日の相続税対策の不動産購入の件は残念な結果に終わりましたが、こっちは喜ばしい結果となりましたね。
最近、節税目的のものはダメという傾向になっていると思いますが、『税負担の減少が目的に含まれていた』としても、『経済的合理性を欠くものではない』場合は、認められたという点が非常に意義があったと思います。
営利企業ですから、完全な節税目的の場合は除きますが、何かをやるときに、税額が安くなる方法を選ぶのは当然のことだと思います。
今回も、何かやる時は、取引全体を考えて、経済的合理性があるというストーリーを示すものにしないといけないなぁと改めて感じた一件でした。

レコード大手を巡る58億円の追徴課税取り消し訴訟は国側の敗訴が確定したことについて、どう思われましたか?


マスク氏のツイッター買収提案を巡りゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーが対決!

Bloombergによると、アメリカの資産家であるイーロン・マスク氏によるツイッターへの買収提案を巡り、ウォール街の2強が対決するようです。
企業価値を約430億ドル(約5兆4,300億円)と評価し、ここ数年で最大級となる買収が成功した場合、アドバイザーを務めるモルガン・スタンレーとゴールドマン・サックス・グループの両行に多額の助言料収入がもたらされます。

先日の当局への提出書類によれば、モルガン・スタンレーはマスク氏のアドバイザーを務めます。
マスク氏の買収提案にどう対応するか検討するツイッターはゴールドマン・サックスに支援を求めたと事情に詳しい複数の関係者は明らかにしています。
両行は企業の合併・買収(M&A)ランキングでたびたび首位を争っており、ブルームバーグの集計データでは、ゴールドマン・サックスが現在トップです。

もちろん、銀行の助言料の大部分は今回の買収提案の結果次第で、その行方は不確実です。
マスク氏は、先日、「実際に買収できるかどうか確信がない」と発言し、ツイッター取締役会が拒否した場合に備えプランBを用意していると述べた。

モルガン・スタンレーとゴールドマン・サックスは、交渉では対峙することになりますが、いずれもマスク氏とは10年以上にわたる関係を持っています。
マスク氏が最高経営責任者(CEO)を務める電気自動車(EV)メーカー、テスラの2010年の新規株式公開(IPO)では両行が引受業務を担いました。
当時の目論見書の1番左側に記された主幹事はゴールドマン・サックス、2番目がモルガン・スタンレーでした。

今回のツイッターを巡る件は注目していますが、裏では、そういう争いもあるんですね。
報酬も驚くほど高いんでしょうね。
プランBがどういうものか楽しみですが、今後、ウォッチしていきたいと思います。

マスク氏のツイッター買収提案を巡りゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーが対決していることについて、どう思われましたか?


上場企業によるプロバスケットボールチームの買収が増加傾向!

M&A Onlineによると、コロナ禍において、上場企業によるプロバスケットボールチームの買収が増加傾向を見せているようです。
東証適時開示情報に限ると、2017年、2018年、2020年にそれぞれ1件ずつだった買収が、この1年間は3件に達しました。

買い手はいずれもIT・ソフトウエア業界の企業で、プロスポーツチームの運営と自社事業との相乗効果を高めるのが買収目的の一つとなっています。

感染防止のため観客数が制限されるなどプロスポーツは厳しい環境下にあり、経営が悪化する運営会社は少なくありません。
新型コロナウイルスの感染拡大が長引けば、さらに買収件数が増える可能性がありそうです。

全上場企業に義務づけられた東証適時開示情報のうち、経営権の移転を伴うM&A(グループ内再編は除く)について、M&A Online編集部が集計したところ、この1年ほど間に、スカラ<4845>、マイネット<3928>、スマートバリュー<9417>の3社がプロバスケットボールチームの運営会社を買収しました。

これ以前の4年間では2020年の識学<7049>による「福島ファイヤーボンズ」の運営会社の子会社化、2018年の加藤製作所<6390>による「東京エクセレンス(現・横浜エクセレンス)」の運営会社の子会社化、2017年のディー・エヌ・エー<2432>による「東芝川崎ブレイブサンダース(現・川崎ブレイブサンダース)」の取得の3件だったため、ここにきて買収件数が急増していることが分かります。

スカラはITやAI(人工知能)、DX(デジタルトランスフォーメーション=デジタル技術による生活やビジネスの変革)などを手がけている企業で、傘下のスポーツストーリーズ(東京都渋⾕区)を通じて、2022年3月9日に「さいたまブロンコス」を運営するさいたまブロンコス20(埼玉県さいたま市)を子会社化しました。

スカラのシステム開発⼒やデータ分析⼒を活⽤し、データに基づいた選⼿獲得や育成のほか戦略や戦術の策定などに取り組むそうです。

マイネットは、スマホゲームサービスを主力事業としている企業で、2021年9月に「滋賀レイクスターズ」を運営する滋賀レイクスターズ(滋賀県大津市)を子会社化しました。

ITツールを活用してチームの戦績や選手のパフォーマンスを上げるなどのスポーツDX事業を推進する計画のようです。

スマートバリューは、行政の電子化や車両のIoT(モノのインターネット)などを手がける企業で、新設子会社を通じて2021年3月に「西宮ストークス」を運営するストークス(兵庫県西宮市)を子会社化しました。

施設運営を予定している神戸市の多目的アリーナと「西宮ストークス」を一体的に運営することで、魅力ある神戸の街づくりという社会課題の解決につなげるのが狙いです。

3社ともスポーツのDX化を目標に掲げており、こうした取り組みでスポーツ文化の醸成や地域社会の課題解決などを促進するようです。
コロナ禍がIT・ソフトウエア業界とプロスポーツチームとの相性の良さを浮き上がらせたようです。

プロバスケットボールチームは元々地域密着というのがあるのでしょうが、移動等にもそれなりにお金がかかると思いますし、チームを強くしようとすると高い年俸を支払わないといけないと思います。
レベルが上がれば上がるほど、費用は増えていくでしょうから、地元の企業だけでは支えきれないチームが出てくるのは当然するかと思います。
そこで出てくるのは、資金力のある上場企業でしょうから、当然の結果なんでしょうね。
その企業の提供しているサービスを利用して、さらにプロバスケットボールチームのレベルが上がれば、リーグ全体にとっても良いと思います。
ちなみに、香川県のチームもどうなっていくのかウォッチしていきたいですね。

上場企業によるプロバスケットボールチームの買収が増加傾向にあることについて、どう思われましたか?


相次ぐMBO失敗は誰のせい?

日本経済新聞によると、片倉工業のMBO(経営陣の参加する買収)がとん挫しました。
株価がTOB(株式公開買い付け)価格を上回って推移し、成立に必要な応募が集まらなかったのです。
MBOの失敗は2021年以降5件と相次いでいます。
現在の株価に責任のある経営陣が、買収にあたり評価した企業価値が適切かが問われているのでしょう。

片倉工業は会長と社長が折半出資する会社(かたくら)が1株2,150円でTOBをしていました。
期間中に筆頭株主の保有株を1株2,350円で取得した鹿児島東インド会社(鹿児島県大島郡)が「片倉工業が保有する不動産の時価を考慮した場合、TOB価格は著しく低廉」と反発していました。

片倉工業はさいたま新都心駅の東側に広がるショッピングセンター「コクーンシティ」を保有しています。
賃貸等不動産の2020年12月期末の時価は約1,278億円、簿価は314億円と有価証券報告書で開示しています。
含み益を反映するとTOB価格に対する実質的なPBR(株価純資産倍率)は1倍を下回るとみられ、TOB価格が安いとの主張につながりました。

M&A助言のレコフによるとMBOの失敗は2004年のソトー以降、10件しかありません。
2021年には光陽社や日本アジアグループ、サカイオーベックス(1度目)、パイプドHDも失敗しており、半数がこの1年強で起きたことになります。

MBOが当初の思惑通り進まなくなった背景には、物言う株主(アクティビスト)の台頭があるのです。

日本アジアグループ、サカイオーベックスには村上世彰氏がTOB価格が安すぎると主張し、株式を買い付けて株価がTOB価格を上回りました。
それにならうように光陽社やパイプドHD、そして今回の片倉工業もTOB価格に不満を唱える株主が現れ、不成立につながったのです。

企業価値に比べてTOB価格は低いとのアクティビストの主張に市場が呼応し、株価がTOB価格を上回ることが、MBOの失敗が相次ぐ背景にあります。

村上氏は「少数株主を一番なめてはいけないのがMBO」だと断じています。
買い手が経営陣のMBOは、高く評価してもらわないといけない売り手と、少しでも安く手に入れたい買い手が同一という利益相反関係にあります。
株価を企業価値に比べ割安に放置してきた経営陣が、本来より安い値段で買収することで、少数株主が得られるはずの利益を得られなくなるからです。

TOB価格の妥当性で議論になる一つがPBRです。
PBR1倍割れは、企業が解散して資産を株主に分配した方が株主にとって理論上、得になるほど株価が割安な状態です。

2021年にMBOを狙った光陽社の場合、TOB価格を基にしたPBRは0.5倍強しかありませんでした。
直近3か月の平均株価に対するプレミアム(上乗せ幅)は5割強と一般的なTOBよりも高かったですが、「株価を割安に放置していた経営陣が高いプレミアムを主張しても説得力がない」(個人投資家)と応募は集まりませんでした。

MBOには一時的な収益悪化を気にせずに抜本的な改革ができる利点があります。
上場にはコーポレートガバナンス(企業統治)の強化などコストもかかります。
証券会社が企業に提案することもあり、MBOに踏み切る企業が増える可能性はあります。

ただし、経営者はMBOの前に自社の株価が企業価値に見合っているかを鑑みたほうがいいでしょう。
安易に考えると「割安な株価を放置したあげく、MBOにも失敗した経営者」との烙印を押されかねません。

僕も20年以上前から株式投資をしているので、過去に何度かMBOによって、スクイーズアウトされたことがあります。
少数株主だと、結局何もできません。
結局、株価を上げることができなかったことに対して経営者に責任があると思いますが、一方で、安く買おうとするのがおかしいなぁと思うところですね。
そして、数年後に再上場するところがありますが、創業家などは上場時と再上場時の2回、キャピタルゲインを得ることができますが、会社の将来性などを見越して投資した株主のキャピタルゲインが創業家に取られているだけのように思います。
そう考えると、アクティビストのおっしゃることは当然のことだと思いますし、今後も、安易に安い価格でMBOが行われることがないようになればいいなぁと期待しています。

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イオンがキャンドゥ買収で業界“激震”の100均戦争!

テレビ朝日によると、先日、イオンが100円ショップ「キャンドゥ」買収を正式に発表しました。
「ダイソー」、「セリア」に続いて業界3位のキャンドゥの買収ですが、狙いはどこにあるのでしょうか?

業界に衝撃が走った、イオンとキャンドゥの強力タッグですが、
100円ショップの利用者:「個人的にはダイソーの方が好きかな。種類豊富」「セリアはたまに行きます。おしゃれで良い」「(Q.キャンドゥは?)は、うふふ…」
現状、キャンドゥは業界3番手です。しかし、今後は大きく変わるかもしれません。

経済ジャーナリストの荻原さんは、今回のタッグは消費者にとってメリットが大きいと話しています。
経済ジャーナリスト・荻原博子さん:「良い組み合わせなんじゃないかと思います」

コロナ禍でも支持を集める100円ショップは出店競争が激化していますが、キャンドゥは店舗数がおよそ1,200店舗と業界トップのダイソーの3分の1にとどまっていました。
経済ジャーナリスト・荻原博子さん:「100円ショップを店舗内に入れると集客の目玉になる。知名度の高い100円ショップを入れたいの一番最初に声掛かるのがダイソー」

今回、全国に2万店舗あるイオングループの傘下に入ることでキャンドゥの店舗数が増え、消費者にとっても便利になります。
キャンドゥ・城戸一弥社長:「5年後には店舗数が2,000店舗になることを計画」

ただし、イオンの中には他の100円ショップが入っている店舗もあります。
これらは、キャンドゥに変わっていくのでしょうか?
イオン・吉田昭夫社長:「我々の考え方としては、立地だとか区画に合わせて使い分けていこうと。当然、今回グループ入りしたのでキャンドゥの出店は優先的に考えていきたい」

消費者にとっては、これもメリットになるといいます。
さらに、将来的には両社のオンラインショップを共同で運営できるようになり、100円ショップの商品をもっと簡単に手に入れられるようになりそうです。

個人的には、言うほど簡単ではないように思います。
我が香川県で集客力のあるイオンモール綾川店には、セリアが入っていますし、その隣の300円ショップもPayPayで支払うとダイソーと出るのでお店の人に聞いて知ったのですが、ダイソーがやっています。
現在、イオンはスーパーではなく、銀行やデベロッパーとして稼いでいます。
当然、イオンモールを出店するときには、集客力のありそうなお店に声をかけているのだと思います。
そう考えると、既存店は変えられないのと、イオンモールへの出店を持ち掛けられて、会社の戦略としてもイオンモールへの出店を積極的に進めていたお店から反発も出るのではないかと推測されますね。

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カインズが東急ハンズを買収!

J-CASTニュースによると、ホームセンター大手のカインズが東急不動産ホールディングス傘下の生活雑貨大手、東急ハンズを2022年3月に完全子会社化します。

ここ数年、ホームセンターが絡む合併・買収(M&A)が相次いでいます。
ホームセンター業界はコロナ禍にあっても、感染対策や「巣ごもり」需要の拡大を背景に業績は好調でしたが、「コロナ特需」だけでは乗り切れない苦境が再編の動きを加速させているようです。

カインズは全国に227店舗を展開しています。
一方の東急ハンズは、都市部を中心に86店舗を運営しています。
完全子会社化を発表した2021年12月22日の記者会見で、カインズの高家正行社長兼経営責任者(CEO)は、
「地方を中心に大型店舗を展開するカインズと、都市を中心に店舗を構える東急ハンズは相互補完性が高い」と述べ、買収による相乗効果の大きさを強調しました。

ホームセンター業界のM&Aの動きは活発です。
2021年1月には家具・日用品大手のニトリホールディングスがホームセンター大手の島忠を完全子会社化しました。
また、ホームセンター大手のアークランドサカモトは、子会社のビバホームを2022年9月に合併する予定です。
ビバホームは2020年11月にアークランドの完全子会社になったばかりで、その動きは素早いです。

ただし、コロナ禍にあって、コンビニエンスストアをはじめ、百貨店など小売業界全体が苦しんでいる中で、ホームセンターは比較的好調に推移しています。
アクリル板やビニールシートなど、感染対策用グッズの売り上げが伸びたほか、多くの人が自粛生活を送るなか、家庭内で楽しめるインテリア用品やDIY用の商品が売れたからです。

日本DIY・ホームセンター協会によれば、2020年度のホームセンター全体の売上高は4兆2,680億円で、初めて4兆円に乗せました。

しかしながら、ホームセンター業界に楽観論はないようです。
「そもそもホームセンターは、日用品でドラッグストアやディスカウントストアと、インテリア用品でイケアなどの専門の小売業と競合するなど、異業界が絡んだ競争が熾烈だ。当然、インターネット通販との戦いにも対応しなければならない」(流通関係者)といい、経営環境は非常に厳しいからです。

その一方で、ホームセンター各社が新規出店を加速してきた結果、「市場はすでに飽和状態にある」とも言われているようです。
日本DIY・ホームセンター協会によれば、2020年度の店舗数は4,860店で、2010年度(4,180店舗)比で約2割増、2000年度(3,730店舗)比で約3割増に膨らんでいます。

異業種の攻勢に加え、同業同士の戦いも年々激しくなっており、生き残りのための対応が避けられなくなっているようです。

中長期的に人口減少による消費の先細りが不安材料なのは他業界と同様で、コロナ禍の下での一過性の好調さに甘んじるどころではありません。
「むしろ今こそ、将来に向けた戦略や投資が必要だという考えが強まっている」(同)とされています。

地域の郊外型店舗というイメージが強いカインズが、洗練されたブランドとして定着している東急ハンズに狙いを定めたのも、将来を見込んでのことでした。
カインズは東急ハンズの名称を将来は使わないという可能性も示しており、どのような戦略で買収の成果を発揮するのか、業界では注目の的だそうです。

カインズに続き、相手・規模など多彩なM&Aが引き続き行われる可能性は高く、ホームセンター業界には期待や不安が渦巻いています。

ブランド力のある東急ハンズを手放すのは驚きでしたが、ホームセンターが買うというのも驚きでしたね。
東急ハンズは品揃えが豊富で魅力的ですが、専門的な知識がある人を雇わないといけないけれど採用が困難な時代であったり、小さくて比較的高価なものも多いでしょうから万引きの被害も大きいでしょうし、豊富な品揃えには在庫のリスクが生じ、資金も寝てしまうこと、大店舗ゆえそれなりの来客者がないと商売が成り立たない中でコロナの影響で来客者が減ったりなど、経営はそれほど簡単ではないのでしょうね。

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2021年の日本企業のM&Aは過去最多に!

朝日新聞によると、2021年に日本企業が関わったM&A(合併・買収)の件数は4,280件(速報値)で、過去最多になったことがわかったようです。
新型コロナウイルスの感染拡大や世界的な脱炭素の流れを受け、事業の再編が活発化しています。

M&A助言大手のレコフが公表情報をまとめた2021年のM&A(出資を含む)の件数は前年より550件(14・7%)多く、過去最多だった2019年を上回りました。

コロナ禍で案件は一時減りましたが、全体的には増加傾向です。
国内市場の先細りなどを背景に大企業が子会社を売るケースがめだちます。
DX(デジタル化による変革)のため技術がある企業が買われているようです。
2022年4月の東京証券取引所の市場再編を控え、上場基準に対応するための再編も出てきています。

レコフによると、2021年の取引総額は16兆4,844億円でした。
最高額は三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)による米地銀MUFGユニオンバンクの売却で約1兆9千億円でした。
2位と3位は構造転換を進める日立製作所の案件です。
米IT企業のグローバルロジック社を約1兆円で買収し、中核子会社である日立金属を日米の投資ファンド連合に約8千億円で売却します。

脱炭素もキーワードになっています。
石油元売り最大手のENEOSホールディングスは、子会社で道路舗装大手のNIPPOの株式を約1,900億円で売って非上場化します。
舗装用のアスファルト合材をつくる過程で大量の二酸化炭素(CO2)が出ることが経営課題となっていました。
エネオスは北海油田で原油生産を手がける英国子会社も約1,900億円で手放します。
一方で、太陽光などの再生可能エネルギー大手のジャパン・リニューアブル・エナジーを約2千億円で買います。
エネオスは車の電動化などで遅くとも2040年には国内の石油需要が半減するとみており、石油関連事業の変革を急いでいます。

M&Aは増えているとは聞いていましたが、そのとおりでしたね。
将来を見越した再編が進んでいますね。
一方で、香川県は案件が少なかったと聞いていますし、僕自身も、ここ数年で一番関与した案件が少なかったです。
2022年は増えるといいなぁと思っています。

20222021年の日本企業のM&Aは過去最多になったことについて、どう思われましたか?


兵庫県内の11信金がM&Aで連携!

神戸新聞によると、兵庫県内の11信用金庫が、後継者がいない企業を別の企業に譲り渡す「小規模M&A(合併・買収)」で連携するようです。
2か月ごとに信金の担当者が集まり、売り手と買い手の情報を共有します。
条件などを精査して双方を引き合わせます。
「信金王国」と呼ばれる兵庫は取引先が約8万社と多く、M&Aの成約率向上を目指します。
県内の全信金が連携する取り組みは全国でも珍しいそうです。

信金の取引先は小規模事業者が多く、経営者の高齢化による廃業の増加が見込まれます。
ただし、「まだ頑張れる」という経営者が多かったり、親族や従業員の中に後継者候補がいなくて外部に相談しづらかったりするなど、信金の対応は進んでいません。

新たに取り組む小規模M&Aで、各信金はまず、事業を第三者に譲りたいという取引先のニーズを掘り起こします。
こうした売り手に、信金が自らの取引先の中から買い手を紹介(マッチング)するのが理想ですが、現状では見つかりにくいです。
そこで買い手の範囲を兵庫県内11信金の取引先に広げ、成約につなげる方針です。

M&Aの専任者を置く信金は兵庫県内でもまだ少なく、当面は担当者同士のネットワークづくりや、実務手法の共有などを重点的に進めます。
連携組織は「しんきん事業承継ネットワーク・ハイタッチ兵庫」と名付け、2021年11月下旬に初会合を開きました。

同様の組織は、2019年以降、岡山の7信金や島根、鳥取の6信金などが立ち上げました。
兵庫の11信金は都道府県別の預金量で全国4位と規模が大きくなっています。
取引先の数も多いため、M&Aの増加が期待されます。

兵庫県信用金庫協会の作田誠司会長(尼崎信金理事長)は「新型コロナウイルス禍の融資対応で信金の身近さを感じてもらえたと思う。マッチングは信金の取引先同士という安心感もある。実績を重ね、地域で培われた技術や雇用の流出を防ぎたい」と話しています。

やはり、M&Aはマッチングが難しいので、良い試みですね。
信金中金がM&Aに取り組んでいますが、それほど成果が上がっていないと思いますので、全国に広がって、M&Aの実績が増えるといいですね。
必ずしも県内企業同士のM&Aが良いとは限りませんので、県内だけでなく、もう少し広い範囲で提携したほうが良いと思いますが。

兵庫県内の11信金がM&Aで連携いたことについて、どう思われましたか?


「事業承継ガイドライン」 と「中小M&Aガイドライン」の違いは?

M&A Onlineによると、後継者不在による中小企業の廃業が急増しています。
政府は会社や事業を現経営者から後継者へ引き継ぐことを意味する「事業承継」に関する問題を喫緊の課題と位置づけ、第三者への承継や参入業者が相次ぐ「M&A」に関する政策に力を入れています。

今回のコラムでは、混同しやすい「事業承継ガイドライン」と「中小M&Aガイドライン」の違いについて書かれています。

1.「事業承継ガイドライン」とは
「事業承継ガイドライン」は、日本の企業数の99%を占める中小企業・小企業事業で経営者の高齢化が進んでいる状況を踏まえて、円滑な事業承継の手引きとして、中小企業庁によって2006年(平成18年度)に策定されました。

その10年後、経営者の子供が必ずしも後を継ぐとは限らない価値観の変化、後継者の不在、それによる廃業増加の予測から、「事業承継ガイドライン」が2016年(平成28年度)に改訂されました。

「事業承継ガイドライン」(平成28年度改訂)は、
①中小企業・小企業事業者の経営者に事業承継を取り巻く現状と課題、事業承継の進め方を知ってもらうこと
②地域の支援機関、支援団体、金融機関、自治体、士業等の専門家に事業承継計画書の策定を支援してもらうこと
を目的としています。

2.「中小M&Aガイドライン」とは
一方で、「中小M&Aガイドライン」の前身は、「事業引継ぎガイドライン」です。先ほどご紹介した「事業承継ガイドライン」と「事業引継ぎガイドライン」は名称が似ているので、混同しやすいのですが、別のガイドラインとなります。

「事業引継ぎガイドライン」は、中小企業・小企業事業の経営者の高齢化が進む中、親族内承継、従業員承継だけでは後継者の確保が厳しくなっている状況から、第三承継の手段として、大手だけでなく中小企業・小企業事業においても、M&Aの手続きの流れ、仲介者・アドバイザーの役割、契約内容、留意点などを知ってもらうために、中小企業庁によって2015年(平成27年度)に策定されました。

そして5年後、日本の中小M&Aが拡充してきたことから、新たに「中小M&Aガイドライン」が2020年(令和2年度)に策定されました。

「中小M&Aガイドライン」は、
①M&Aに関する意識、知識、経験がない後継者不在の経営者が適切な形でM&Aを進められる手引きの提示
②中小企業・小規模事業のM&Aを支援する関係者がそれぞれの特色や能力に応じて適切に支援するための基本事項の提示
を目的としています。

「中小M&Aガイドライン」には、M&A専門業者を利用する経営者向けに、中小企業・小規模事業の中小M&Aの事例紹介、中小M&Aの進め方、M&Aプラットフォームの活用、事業引継ぎ支援センターの活用、仲介者へ支払う手数料の考え方などが記載されています。

また、M&A専門業者、金融機関、商工団体、公認会計士・税理士・中小企業診断士・弁護士などの各士業や専門家向けに、それぞれの特色や能力に応じた支援内容(企業価値や事業価値の評価、財務デューデリジェンス、税務デューデリジェンス、事業デューデリジェンス、法務デューデリジェンス、契約書の作成など)が記載されています。

3.2つのガイドラインの違い
「事業承継ガイドライン」は、
①親族内・従業員・社外(M&A)のいずれかで後継者がいる中小企業・小規模事業を対象とした、事業承継に向けた5つのステップの提示
②支援機関を対象とした、事業承継診断と事業承継計画の策定支援
がポイントとなります。

「中小M&Aガイドライン」は、
①後継者不在である中小企業・小規模事業を対象とした、中小M&Aの進め方、相手企業とマッチングできるツールの紹介
②中小M&Aの支援者を対象とした、それぞれの特色や能力に応じた支援内容
がポイントとなります。

いずれも発行体が中小企業庁(経済産業省)のため混同しやすいのですが、「事業承継ガイドライン」が事業承継(第三者承継)を行う経営者向けであるのに対し、「中小M&Aガイドライン」は未上場企業がM&Aを実施する際のガイドラインという位置づけになると思います。

4.今後の取り組み
「事業承継ガイドライン」と「中小M&Aガイドライン」は、いずれも経営環境の変化に応じて改訂されています。

事業承継における取組の経緯
経済産業省 中小企業庁財務課 事務局説明資料(令和3年9月1日)より
前回の「事業承継ガイドライン」改訂から約5年後の2021年9月1日、「事業承継ガイドライン第1回改訂検討会」が開催され、2022年に改訂が予定されています。

この5年間で、「事業承継税制」は法人版に加えて個人版の創設、第三者承継の手段として「中小M&A」の重要性の高まり、「事業承継補助金」が「事業承継・経営資源引継ぎ補助金」に拡充、新型コロナウイルス感染症の影響による廃業の増加に対する支援、若手後継者による支援グループの創設など、様々な環境の変化に応じる施策が実行されてきました。

検討会の委員メンバーは前回と比べて入れ替えがあり、中小企業・小規模事業の経営環境の変化に応じた「事業承継ガイドライン」に改訂されるものと思われます。

また、2021年9月には「事業承継ガイドライン」の改訂検討会の下に、「中小PMIガイドライン(仮称)策定小委員会」が設置され、M&A後の課題に取り組む姿勢も打ち出しています。

弊事務所・弊株式会社もM&A支援機関として先日登録されましたが、『中小M&Aガイドライン』を遵守することが要請されています。
国のやることは、省庁が違うことなどが理由で、同じようなことでも非常に分かりにくくなったりしていることも多々ありますが、分かりやすい体系にして欲しいですね。
ともあれ、こういったものができることにより、サポートする側の品質がきちんと担保され、事業承継やM&Aというものが、世間一般に認知されるようになればいいなぁと思います。

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ウィズコロナ見据えた投資でM&A件数が過去最高に!

産経新聞によると、国内企業が実施するM&A(企業の合併・買収)の件数が2021年、過去最高となる可能性が高まってきたようです。

デジタル化の加速で、IT技術を活用して事業構造を抜本的に改革するDX(デジタルトランスフォーメーション)関連の大型案件が相次いでいます。

新型コロナウイルス禍による消費者心理の変化や業績の落ち込みは、生き残りに向けた業態変化の背中も押しています。

企業にM&A関連の助言を行っているレコフによると、2021年1~9月の国内企業のM&A件数は前年同期比17%増の3,153件でした。
このペースで12月まで増加した場合、過去最高を記録した2019年(4,088件)を大きく超える見通しです。

大型案件が目立つのは、国内企業による海外企業の買収や資本参加です。
代表例の一つはパナソニックによる米IT企業ブルーヨンダーの完全子会社化です。
約78億9千万ドル(約8,600億円)を投じ、2021年9月17日に買収完了を発表しました。
ブルーヨンダーが手掛ける製造や小売り、物流管理のソフトウエアを活用し顧客企業のデジタル革新を支援するようです。

一方、コロナ禍による経済構造の変化を捉えたM&Aも多くなっています。
営業自粛要請で打撃を受けた飲食業界では、回転ずし「スシロー」を展開するフード&ライフカンパニーズが2021年4月、吉野家ホールディングス子会社で持ち帰りすしの「京樽」を約42億円で買収しました。
〝巣ごもり消費〟の常態化を見据え、自宅需要を取り込むようです。

キャベジンなどの医薬品製造の興和(名古屋市)は2021年5月、20億円を投じ、挙式中止が相次いで経営が悪化した婚礼大手ワタベウェディング(京都市)の筆頭株主となり、6月に完全子会社化しました。
興和は名古屋市などでホテル事業も手掛けており、婚礼事業とのシナジー効果を期待しているようです。

コロナ禍では、自粛経済で業績が著しく悪化した企業と、手元資金が厚く不景気でも攻勢に出られる企業との二極化が進みました。
岡三証券の高田創(はじめ)エグゼクティブエコノミストは「今後もデジタル関連や、資本が不足している飲食・宿泊などのM&Aは増加傾向が続く」と予想している。

予想された結果だと思います。
2極化が進んでいますので、見極めが難しい面はありますが、今後しばらくは続くでしょうね。
数年後に、コロナ融資の返済がスタートすると倒産するところがたくさん出てくると思いますので、売り手も買い手も早めに手を打つ必要があると思います。

ウィズコロナ見据えた投資でM&A件数が過去最高になりそうであることについて、どう思われましたか?


二谷友里恵氏が社長の「家庭教師のトライ」買収を英投資ファンドが検討!

読売新聞によると、英投資ファンド「CVCキャピタル・パートナーズ」が、「家庭教師のトライ」を展開するトライグループ(東京)を買収する方向で検討していることが、先日わかったようです。

買収額は1,000億円規模に上るとみられます。

トライグループは非上場企業で、二谷友里恵氏が社長を務めています。
家庭教師や個別指導塾などを手がけており、登録家庭教師数は20万人を超えています。
コロナ禍の影響で教育分野ではオンライン化が進んでいます。

CVC傘下でデジタル投資を強化し、3~4年後の上場を目指す模様です。

ちなみに、CVCは投資ファンドの世界的大手です。
日本では、2021年、資生堂の「TSUBAKI(ツバキ)」などのブランドを含む日用品事業を買収したほか、東芝に対し、全株式を取得して非公開化する提案をしたりしています。

久しぶりに、二谷友里恵氏の名前を目にしましたが、社長をされているんですね。
それも、1,000億円くらいの評価の会社ですから、すごいですね。
デジタル投資がうまくいって、上場できればいいですね。
ただし、日本のファンドにも頑張って欲しいなぁと思います。

二谷友里恵氏が社長の「家庭教師のトライ」買収を英投資ファンドが検討していることについて、どう思われましたか?


事業承継研究会が定例会を実施し事業譲渡がしやすくなった建設業界について議論!

安定的な事業承継の実現を目指し、国による様々な後押しも実行される昨今、株式会社ワールドファミリーゼネラルコンサルティングは、税理士、司法書士など各分野のエキスパートたちによる“事業承継研究会”を発足し、定期的な議論を重ねているようです。

2021年9月も定例会を実施し、8月に続き建設事業者へのサポートについて議論したようです。
話題の中心になったのは、2020年に改定された建設業法です。
譲渡も含めた事業の引き継ぎが容易となった中で、改めて懸念される許可の要件を確認し、助言の方向性を決めたようです。

建設業は許可事業であり、許認可を受けていないと、500万円以下の案件しか請け負えないなどの制約があります。
事業承継の際に、身内や社内に後継者が見つからず、組織や事業を他者に引き継ごうとした場合、この許認可の問題が二の足を踏む要因となってきているようです。
従来は事業譲渡に伴い、引き継ぐ事業者が新たに許認可を取得しなければなりませんでした。
しかしながら、2020年10月の建設業法改定によって、こうした状況に変化が起きたと税理士から説明がされました。
「事業譲渡あるいはM&Aなどの際、事前に申請をしておけば許認可も引き継げるようになりました。これまでは、事業を受け継いだものの、許認可のために書類作成や審査などの煩雑な手続きがあり、クリアするまでに数か月かかっていた。利益の生まれない時間をきらって、事業承継が成立しないケースも多分にありました。空白期間が無くなったことで、事業承継を積極的に考えられるようになったと思います。事業承継を後押しする国の姿勢も窺えるので、この改定を私たちも活かしていきたいですね」。

事業承継のハードルが下がったことに研究会のメンバーからも期待を寄せる声が続いたようです。

その上で、他の税理士さんからはこうした指摘がありました。
「引き継ぐ側が要件をきちんと満たすためのフォローも改めてしていくべきだと思います。例えば、建設業を営むには経営業務管理責任者が必須です。事業だけ切り分けて譲渡したい、けれど引き継ぐ先にこの役職に就ける人がいないと問題になる場合もあります。建設業界での役員並みの経験が5年要るポストなので、他分野の事業者が引き継ごうとする場合は特に注意が必要です。許認可は容易になったものの、時間をかけた綿密な承継準備の必要性を引き続き伝えていきましょう」。

建設業法の改定によって、事業承継できる可能性は広がりました。
一方で、許可事業である以上、引き継ぎが容易になったとはいえ、適切な承継ができるように整えるべきことはいくつもあります。
事業を受け渡す側、引き継ぐ側、そして、仕事を依頼するお客様。
誰もが将来的に安心できる承継を実現するために、留意点の確認とサポートの方針が定められたそうです。

次回も建設業についての検討がなされる予定だそうです。

僕も年に数件、M&A案件に関わっていますが、ここ数年、多い業種の一つが建設業です。しかしながら、建設業は、M&A案件の中では非常に難しいと思っています。
それは、この記事の『許認可』のタイミングの問題や、『経営業務管理責任者』の要件の問題などがあるからです。
また、『経営事項審査』(いわゆる経審)というものがあるため、粉飾のリスクが他の業種と比べると高いと思いますし、M&Aに際しての損失の計上がしにくいといった面があります。
この辺りは、経験が大事になってきますし、公認会計士や税理士だけではできないところですね。

事業承継研究会が定例会を実施し事業譲渡がしやすくなった建設業界について議論したことについて、どう思われましたか?


マツキヨココ始動し社長は「追加M&A視野に」!

日本経済新聞によると、マツモトキヨシホールディングスは、2021年10月1日、ココカラファインと経営統合し、新会社のマツキヨココカラ&カンパニー(マツキヨココ)が始動しました。

連結売上高の単純合算でウエルシアホールディングスに次ぐ業界2位に浮上しました。
2026年3月期に目指す連結売上高1兆5千億円に向け、追加のM&A(合併・買収)に乗り出す構えです。

新会社の社長に就任するマツキヨの松本清雄社長は日本経済新聞のインタビューで「(追加の)M&Aなしで1兆5千億円を狙えるとは思っていない。一緒に進む仲間を集め、向かっていく」と、さらなる業界再編に意欲をみせました。
再編相手は郊外型ドラッグストアも含めて検討するそうですが、スーパーなど異業種は選択肢としない考えのようです。

新会社はマツキヨ流の都市部中心の出店戦略を維持します。
足元は新型コロナウイルス禍でインバウンド需要が急減し、郊外立地が中心の競合他社に後れを取っています。
ただし、「3回目のワクチン接種が終わる2022年春ごろにはインバウンドも戻ってくる」(松本社長)とみています。

マツキヨは売り上げ規模より収益性を重視する戦略をとり、コロナ禍前の2020年3月期の連結売上高は5,905億円と業界5位にとどまっていました。
一方、付加価値の高い化粧品の取り扱いなどが奏功し、同期の売上高営業利益率は約6.4%と業界トップでした。
新会社では物流や発注などのシステム統一で稼ぐ力を引き上げ、2026年3月期の営業利益率7%の実現につなげるようです。

しかしながら、こうした数値目標の達成に向けた具体的な手法は明示されていません。
株式市場は実効性を見極めており、マツキヨ株の2021年9月30日終値は5,050円と、2021年9月7日に付けた年初来高値(5,440円)に比べて7%安い水準にあります。
クレディ・スイス証券の山田紘規アナリストは「具体的なシナジーの内容や今後の利益率の改善ペースなどについてより詳細な説明があれば、都心店やインバウンドの回帰と相まって株価は持ち直す」とみています。

こういう記事を見ると、企業の成長戦略の一環に、当然のごとくM&Aが織り込まれる時代になったんだなぁと感慨深いものがありますね。
個人的には、業界トップであっても、売上高営業利益率が6.4%で、将来的に7%を目指すというのは、再編が避けられない業界なのだなぁとは思います。
これだけドラッグストアが増えていますから、独自性を出さないと将来的にはキツいでしょうね。

マツキヨココ始動し社長は「追加M&A視野に」入れていることについて、どう思われましたか?


M&A仲介業自主規制団体「一般社団法人M&A仲介協会」設立!

株式会社日本M&Aセンターホールディングス(本社:東京都千代田区、代表:三宅 卓)は、子会社の株式会社日本M&Aセンターが同社を含むM&A仲介上場5社(株式会社日本M&Aセンター、株式会社ストライク、M&Aキャピタルパートナーズ株式会社、株式会社オンデック、名南M&A株式会社)が、各社の代表者を理事としてM&A仲介業自主規制団体「一般社団法人M&A仲介協会」を2021年10月1日に設立したことを公表しました。

<設立の背景と目的>
日本企業の後継者不在率は65%と依然として高く、2025年に経営者が70歳を超える245万社のうち、127万社が後継者未定となり、その半数の60万社が黒字廃業の危機にさらされています。
中小企業庁では、2021年4月に中小企業・小規模事業者のM&A推進のために今後5年間に実施すべき官民の取り組みを「中小M&A推進計画」として取りまとめました。「中小M&A推進計画」では、2021年8月より運用を開始したM&A支援機関の新たな登録制度の創設とM&A仲介業者による自主規制団体である本協会の設立が盛り込まれました。

こうした官民の連携強化により、中小企業・小規模事業者が安心してM&Aに取り組める基盤の構築が進んでいます。

本協会は、中小M&Aガイドラインを含む適正な取引ルールの徹底などを通じて、M&A仲介サービスの品質向上とM&A仲介業界全体の健全な発達を図るとともに、M&Aを行う企業を支援することを目的に設立されました。
M&A仲介上場5社(株式会社日本M&Aセンター、株式会社ストライク、M&Aキャピタルパートナーズ株式会社、株式会社オンデック、名南M&A株式会社)の各代表者を理事として設立し、2022年1月よりM&A仲介業者および金融機関などを対象に、会員の募集を開始する予定です。
M&A仲介に携わる業者が一丸となり、企業の次世代への事業継承と新たな成長機会の創出をサポートすることで、日本国経済の発展と維持へ寄与することを目指しています。
ちなみに、株式会社日本M&Aセンターは、2021年10月1日より持株会社体制に移行し、親会社となる株式会社日本M&Aセンターホールディングス(2127)が上場企業となりました。

<事業内容>
上記の目的に資するため、次の事業を行います。
●M&A仲介の公正・円滑な取引の促進
●中小M&Aガイドラインを含む適正な取引ルールの徹底
●M&A支援人材の育成サポート
●M&A仲介に係る苦情相談窓口の運営

<協会概要>
■名称:一般社団法人M&A仲介協会
■英文名称:M&A Intermediaries Association(MAIA)
■設立日:2021年10月1日
■代表理事:
三宅 卓(株式会社日本M&Aセンター 代表取締役社長)
■理事:
荒井 邦彦(株式会社ストライク 代表取締役社長)
中村 悟(M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 代表取締役社長)
久保 良介(株式会社オンデック 代表取締役社長)
篠田 康人(名南M&A株式会社 代表取締役社長)
■監事:
弁護士 菊地 裕太郎(菊地綜合法律事務所)
■所在地:東京都千代田区丸の内1-8-3 丸の内トラストタワー本館20階
■URL:https://ma-chukai.or.jp/

M&Aは、(最低報酬の設定は別にして、個人的には手間などを考えると決して高いとは思いませんが)仲介業者のフィーが高いとか、儲かるということで色々な業者が参入しサービス内容に疑問が残る業者も多いなどということを耳にしたりするのではないでしょうか?
こういう協会ができて、啓蒙活動を行ったり、一定以上の品質が保たれるようになれば、M&Aを安心して取り組める土壌ができ、一般的なものになっていくのではないかと期待しています。

M&A仲介業自主規制団体「一般社団法人M&A仲介協会」が設立されたことについて、どう思われましたか?


中小企業庁がM&A支援機関として専門業者など493件を登録!

M&A Onlineによると、中小企業庁は2021年9月13日、新たな「M&A支援機関登録制度」で公募している登録ファイナンシャルアドバイザー(FA)及び仲介業者の中間結果を公表しました。
登録要件を満たしたのは493件で、M&A専門業者が半数超を占めました。
新型コロナウイルスの影響にも苦しむ中小企業の経営資源活用が急務の中、中小M&A市場の活性化につながることが期待されています。

M&A支援機関登録制度は、中小企業庁が2021年4月に取りまとめた「中小M&A推進計画」で2021年度の創設を明記しました。
2021年8月24日に運用開始され、支援機関の公募もスタートしました。

国の事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用型)における支援機関の活用で生じる仲介手数料などの補助は、登録を終えた機関が提供する支援のみが対象となります。

中間結果の493件は2021年9月6日までに申請があったもので、法人405件、個人事業主88件でした。
M&A専門業者は271件で、仲介154件、FA117件でした。
種類別では税理士(61件)、公認会計士(43件)、地方銀行(26件)、信用金庫・信用組合(11件)、弁護士(5件)、M&Aプラットフォーマー(同)が続きました。

一方、M&A支援業務専従者別は「0~2人」が294件と圧倒的で、大半は9人以下の小規模な体制です。
設立年代別も「2010年代」が252件、「2020年代」と比較的経験の浅い組織が156件に上ります。

中小企業庁は登録機関の支援をめぐる問題などを抱える企業側からの情報提供に応じる窓口を設けますが、制度の円滑な活用を促す上では窓口の適格な運用も求められそうです。

公募期間は2021年9月21日まででした。
登録要件は、M&A事業者などの適切な行動指針を示す「中小M&Aガイドライン」で国が定めた契約交渉、デューデリジェンス(DD)実施などに関する項目の順守を宣誓するなどとなっています。
中小企業庁は2021年度事業承継・引継ぎ補助金の利用に際し、支援機関を検索できるデータベースを2021年10月中旬までに公表します。

中小企業が安心してM&Aに取り組める基盤づくりに向けては、M&A業界の健全な発展と中小企業の保護を目指す自主規制団体の設立も2021年度中に予定されています。

國村公認会計士事務所及び株式会社Your Partnerは、2021年9月13日に登録されました。
なお、M&A関連業務は従来は、國村公認会計士事務所で行っていましたが、徐々に、株式会社Your Partnerに移管していっています。
ここ数年、色々な事業者がM&A関連業務に進出してきていますので、実績が多数あるところからないところまで色々あると思います。
よって、とりあえず、こういう制度ができるのは、一定以上の品質を担保するには必要でしょう。
ただし、登録には実績は要求されていませんので、どう運用していくのかが重要なのではないかと思っています。

中小企業庁がM&A支援機関として専門業者など493件を登録したことについて、どう思われましたか?


株主が迷う関西スーパー争奪戦はM&Aの情報開示に一石!

日本経済新聞によると、関西スーパーを巡り、2つの陣営が別々の買収提案を戦わせています。
関西を地盤とする食品スーパー、『関西スーパーマーケット』を巡る買収合戦で、一般株主や投資家から「判断材料が足りない」との声が出ているようです。
2つの買収提案に関する関西スーパー側の説明だけでは、どちらが株主に有利かわかりにくいためです。
M&A(合併・買収)の際の企業の説明責任について、日本のルールなどが曖昧だとの指摘もあるようです。

「エイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)の提案では関西スーパーの1株当たりの価値がわかりにくい」。「きちんと2つの買収提案を評価したのか」。
買収合戦が表面化した8月末以降、関西スーパーの株主や投資家が集まるネット上の掲示板には、不満を示す書き込みが連なっています。

関西スーパーには、H2Oと関東が地盤のオーケー(横浜市)がそれぞれ買収提案を出しました。
オーケーの提案は、上場来高値である1株当たり2,250円でTOB(株式公開買い付け)を実施するものです。
H2O案は、同社の子会社の株式と関西スーパー株を交換するものです。
異なる構図の提案がぶつかる珍しいケースのうえ、H2Oの子会社が非上場のため市場価格がつかないことが比較を難しくしています。

関西スーパーは、H2Oの提案を受け入れる方針です。
社外取締役と外部の弁護士で構成する特別委員会が両提案を検討し、「(オーケーの提案と比べ)これを上回るか少なくとも遜色ないもの」として、H2Oとの経営統合を進めるよう取締役会に勧告した。関西スーパーは勧告内容や経緯を公表しており、「現段階で株主への説明責任は果たしていると考えている」(同社広報)としています。

ただし、特別委員会も、H2O案が関西スーパー株を2,250円よりも高く評価したといえるのかまでは言及していません。
一般株主や投資家の戸惑いが消えない理由でもあります。

そもそもM&Aについての適切な情報開示とは何なのでしょうか?
日本には詳細なルールがないのが実情です。
企業法務に詳しい弁護士は「各提案について、現金に換算してどちらが高値をつけているかまで株主に示さなければいけないという法令はない」と解説しています。

法律ではありませんが、経済産業省は2019年に「公正なM&Aの在り方に関する指針」を策定しました。
同指針は、買われる側の企業が対価が低い買収提案の方が企業の価値を向上させると判断する場合は「判断の合理性について十分な説明責任を果たすことが望ましい」としています。

九州大学大学院の徳本穣教授は、同指針などを踏まえ、関西スーパーの取締役が十分に説明することは「民法や会社法で定める善管注意義務・忠実義務の内容になってくる」とみています。
会社に損害を与えないよう十分に注意を払って業務を行う法的な義務のことで、過去の判例でも、適正な情報開示をその義務の範囲に含むとするものがあります。

ただし、同指針も、何をもって「十分な説明」とするのかまでは詳しく示していません。
結局、関西スーパーの情報開示が妥当といえるのかどうかは、はっきりしないのです。

アメリカとの差を指摘する声もあるようです。
アメリカでは1986年の判例で定着した「レブロン義務」により、企業経営者は株主のために最善の買収価格を獲得する努力を尽くす義務を負います。
複数の買収提案が出された場合、会社側はどの提案が最も株主の利益になるのか、株主にしっかり説明しなければなりません。

株価の算定が難しい複雑なスキームでも、説明責任の重さは同じです。
アメリカのM&Aに詳しい植松貴史弁護士は、「株式交換において、非上場会社の株式の算定価格の公表まで踏み切る例はまれとみられるが、少なくとも、どの提案が最も評価が高かったかを判断した根拠は丁寧に説明することが求められる」と話しています。
説明不足となれば、反対する株主から多額の賠償金を求める訴訟を起こされるリスクもあります。

関西スーパーは2021年10月末の臨時株主総会に、H2O側との経営統合案を提出します。
総会では、2021年3月末時点で約35%を保有していた個人株主の動向も影響を与えそうです。
関西スーパーが今後、どれだけ説得力のある説明を続けるのでしょうか?
それは買収合戦の行方を占うだけでなく、日本のM&Aにおける情報開示のあり方にも一石を投じるでしょう。

基本的にMBOなどのケースでは、個人株主は置いてけぼりの感じはありますので、今回のように一方は非上場の株式との交換、もう一方はTOB(株式公開買い付け)という珍しい状況下においては、通常以上に、個人株主に丁寧な説明が必要なのではないかと思います。
その辺の対応は、会社が個人株主をどれだけ重視しているのかが現れるんでしょうね。

株主が迷う関西スーパー争奪戦はM&Aの情報開示に一石を投じたことについて、どう思われましたか?


「敵対的」案件増によるTOB不成立が早くも前年に並ぶ6件に!

M&A Onlineによると、TOB(株式公開買い付け)の不成立が相次いでいるようです。
2021年はすでに6件を数え、4か月余りを残して過去最高だった前年分と並びました。
こうした背景にあるのが対象企業の同意を得られずに行われる敵対的TOBの増加です。

ENEOS系石油販売会社の富士興産(東証1部)の子会社化を目的にTOBを実施していたシンガポール投資会社のアスリード・キャピタルは、先日、関東財務局にTOB撤回届出書を提出しました。
これにより、TOB不成立が確定しました。
TOBに反対する富士興産が6月下旬の株主総会で新株予約権の無償割り当てによる買収防衛策を可決したことを撤回の理由としています。

TOBの不成立は富士興産の案件で2021年は年6件目となりましたが、うち4件は富士興産のケースと同様に敵対的TOBです。
残る2つの不成立案件はMBO(経営陣による買収)の一環として行われたTOBでした。

敵対的TOBそのものは2021年に入って5件ありますが、成立したのは東京製綱株を買い増した日本製鉄の1件だけです。
敵対的TOBは2020年に年間5件発生し、2007年(5件)以来13年ぶりの高水準となりましたが、2021年も増勢が続いています。

敵対的TOBに発展すると、対象企業は買収防衛策で対応するのが一般的です。
フリージア・マクロスは、7月末、日邦産業の持ち分法適用関連会社化を目的に1月末から実施していたTOBを撤回しました。
日邦産業の買収防衛策に関する名古屋地裁への仮処分命令の申し立てが棄却される見通しとなったのを踏まえての判断です。

旧村上ファンドの投資会社シティインデックスイレブンス(東京都渋谷区)が日本アジアグループの全株取得を目指して2月~3月に行ったTOBでも撤回がありました。
日本アジアグループが対抗措置として純資産の52%(帳簿価額)に相当する特別配当を実施する方針を打ち出したのを受け、TOBを維持することは著しく経済合理性を欠くとして取り下げたのです。

もっとも、日本アジアグループを巡っては「続き」があったのです。
シティは4月末に日本アジアグループに対する再TOBに乗り出し、今度は日本アジアグループも賛同に転じ、7月末にTOBが成立しました。
日本アジアグループは2020年秋、MBOで株式の非公開化をもくろみましたが、不調に終わり、二転三転の末にシティの傘下に入ることになりました。

上場企業の間では買収防衛策を廃止する動きが年々広がっています。
平時に買収防衛策を継続することは経営陣の保身につながりかねないなどとの批判があるためで、近年は新たな買収者が出現した“有事”に際して買収防衛策導入の是非を検討するケースが主流になりつつあります。

買付者

対象企業

2021

フリージア・マクロス

日邦産業(反対)

シティインデックスイレブンス

日本アジアグループ(反対)

経営陣

サカイオーベックス(賛成)

経営陣

光陽社(賛成)

米スターウッド・キャピタル・グループ

インベスコ・オフィス・ジェイリート(反対)

アスリード・キャピタル(シンガポール)

富士興産(反対)

2020

シティインデックスイレブンス

東芝機械(反対)

META Capital

澤田ホールディングス(反対)

DCMホールディングス

島忠(留保)

ストラテジックキャピタル

京阪神ビルディング(反対)

経営陣と米カーライル・グループ

日本アジアグループ(賛成)

出光興産

東亜石油(賛成)

2019

経営陣と米ベインキャピタル

廣済堂(賛成)

南青山不動産

廣済堂(中立)

エイチ・アイ・エス

ユニゾホールディングス(反対)

米フォートレス

ユニゾホールディングス(反対)

2018

2017

富士通

ソレキア(賛成)

経営陣

東栄リーファーライン(賛成)

2016

敵対的買収が増えているということだと思いますが、個人的には、成功するかどうかは別にして敵対的買収が増えることは良いことだと思っています。
やはり、株主の方を向いていない上場企業も多いと思いますので、その点が、敵対的買収の増加により是正されていけば良いのではないかと感じています。

「敵対的」案件増によるTOB不成立が早くも前年に並ぶ6件になっていることについて、どう思われましたか?


現役税理士が警告する「M&Aマッチングサイト」で初心者がハマる“落とし穴”!

今やM&Aもネットのマッチングサイトからスタートすることが可能になりましたが、初心者といえども知っておくべきこと、注意を要する点は厳然とあるようです。
今回、現役税理士の今村仁さんが、そんな重要ポイントを専門家の目線でレクチャーし、「売り手側に立った当然の礼儀」が必要と説いています。

ネットのマッチングサイトを使ったスモールM&Aでは、登録者のうち、買い手が9割以上となっています。
もしマッチングサイトに訪れている人をリアル化出来るとしたら、そこにいる人のほとんどが買い手であるということです。
マッチングサイトを通じて私たち専門家に送られてくる問い合わせも、そのほとんどが買い手からです。

さらに、その売り案件が人気のものであれば、ライバルの買い手候補は通常20社以上となります。

そんな状況にも関わらず、「短文の質問事項を、スマホ片手に、お酒飲みながら夜中に書き込み」をして、返事がないのは、当然かもしれません。
「お金を出して買おうとしているのに、何で返事がないのかな?もしかしたら、書き込みを見落としているのかな?」と考えて、「至急返事下さい!!」なんて、買い手が更に書き込むとどうなるでしょうか。
売り手や売り手アドバイザーの多くの反応は、更に「音沙汰無し」でしょうが、もし返事があるとしたら、それは怒りの滲み出た「結構です」の一言だったりします。

「質問しても音沙汰無し」という状況にマッチングサイト初心者の買い手が陥ってしまうのは、そもそも「サイト利用者のほとんどが買い手であるという事実」を知らないからと、ネットであってもM&Aという会社の第三者承継である以上、「当然の礼儀が必要であるという真実」を知らないからだと思われます。

最近のマッチングサイトでは、スマホから、いつでも簡単にそして自由に、売り手へコンタクトがとれます。
このこと自体は、ネットの特性でもあり、素晴らしいことだと思います。
しかしながら、買い手9割というライバルが多い状況であることを考えると、「是非と思う案件ほどファーストコンタクト=最初の書き込み」は、慎重にされたほうがいいでしょう。
リアルと同じでネットでも、ファーストインプレッション=最初の印象は、最後まで良きにつけ悪しきにつけ、引きずります。

短文の質問事項で、誤字もあり、自分の欲求解消だけを目的としたような書き込みを、最初に売り手やそのアドバイザーが見て、どのように感じるでしょうか。
他の丁寧な売り手の事情も考慮されているような書き込みをされている買い手さんと比べて、売り手やそのアドバイザーはどう思うでしょうか。

もしこのような状況で前に進んだとしても、最初に上記のようなネガティブな印象を売り手が受けた場合に、その後、トップ面談や財務調査などお互い顔を合わすときに、スムーズにいくでしょうか。
さらに、もしですが、売り手が我慢したままM&Aが成約となった場合、買い手は売買対価を支払った後にある売り手からの引継ぎ業務において、ノウハウの開示や承継、前向きな取引先の紹介などをしてもらう事が出来るでしょうか。

売り手やそのアドバイザーは、買い手が思っている以上に、「必死」です。
売り手にとってM&Aとは、手塩にかけてきた自分の子供のような会社や事業を、見ず知らずの第三者に譲り渡すということです。

そこには、長年苦楽を共にしてきた従業員もいれば、大切な取引先もいます。

買い手も同じ経営者である以上、いつかは売り手側に回る可能性もあるのですから、当たり前に「売り手側に立った当然の礼儀」が必要です。

僕も年間数件M&Aに関わっており、現在進行中の案件もありますが、買い手は売り手の10倍と言われていますので、おっしゃるとおりかと思います。
自分で会社を設立した方しか分からないかもしれませんが、自分で設立した会社は、子どものようなものなので、値段だけではない面もあります。
よって、買い手は、この点を強く認識しておかないといけないと思います。
買い手がここを意識していないと、成約の確率が低いのは、過去の経験から明らかだと思います。

現役税理士が警告する「M&Aマッチングサイト」で初心者がハマる“落とし穴”について、どう思われましたか?


ストライクが着手金を無料化し中小M&Aの促進を図る!

M&A(合併・買収)仲介大手のストライク(東京都千代田区)は、先日から、仲介の契約時に受け取っていた「着手金」を無料にしました。
M&A業界では、会社の譲渡を希望する「売り手企業」から着手金を徴収するのが一般的で、従来はストライクも資産総額の大きさに応じて100万~300万円を受け取っていました。
今回の着手金の無料化は、スタートアップ企業やM&Aを通じた事業承継を検討している中小企業の経営者の仲介サービスへのハードルを低くすることで、新規契約の増加を目指すようです。
M&Aの敷居が低くなれば、企業の資本集約を通じた中小企業の生産性向上を後押しする可能性もあるそうです。

ストライクでは中小企業の事業承継やスタートアップ企業などを中心に、年間で100組超、200件超のM&Aを手掛けています。
従来は仲介依頼の契約を結ぶ際に、資産総額が10億円以下の場合、100万円、10億円超〜50億円の場合は200万円、50億円超の場合は300万円の着手金を徴収していました。

ただし、「実際に買い手企業を見つけてもらえるのか」「手元資金が少ない」などの理由から、着手金を支払うことをためらう譲渡希望企業も一部にあったようです。
特にスタートアップでは、成長期待が高いにもかかわらず、資金が乏しい企業も多く、着手金の存在がM&Aの最初のハードルとなっていました。

このため、同社は譲渡希望企業と買収を希望する企業を引き合わせ、M&Aの基本合意を結んだ時点で「基本合意報酬」を支払ってもらう方式に変更します。
基本合意報酬の料金体系は、従来の着手金と同じにし、成約した際の「成約報酬」の体系も従来から変更しないとしています。

少子・高齢化や団塊の世代の大量退職などを背景に、中小企業では後継者不在の問題が深刻になっています。
M&Aを通じて事業を承継する動きも増えています。
着手金無料化により、「会社を譲渡したい」と希望する企業は、M&Aの基本合意までお金がかかりません。
ストライクでは、仲介サービスの使い勝手が良くなり、中小企業の事業承継の促進にもつながるとしています。

確かに、着手金が必要になるため、M&Aをためらう企業もあったのではないかと思います。
よって、着手金無料化に伴って、使い勝手が良くなる面はあるかと思います。
一方で、着手金は、企業のM&Aに対する本気度を測るバロメーターであるという面があります。
途中でやめても返ってこない着手金を支払うということは、安易にM&Aをやってみようかなぁという企業を排除するハードルになるのです。
よって、着手金を取っている大手のM&A仲介会社は、ストライクの着手金無料化をそれほど気にしていないのかもしれませんね。

ストライクが着手金を無料化し中小M&Aの促進を図ることについて、どう思われましたか?


47都道府県のM&A勢力図は?

M&A Onlineによると、2021年上期(1~6月)のM&A件数(適時開示ベース)は前年同期を26件上回る447件で、上期として2008年(468件)以来13年ぶりの高水準を記録しました。
新型コロナ禍による経済環境の変化がM&A市場にとって追い風となっていますが、47都道府県ごとの状況はどうなっているのでしょうか?

上場企業に義務づけられた適時開示情報のうち、今年上期のM&A全447件について、買い手、売り手、対象(自社もしくは子会社・事業がターゲット)のいずれかの立場でM&Aにかかわった件数を集計しています。

例えば、神奈川県のA社(買い手)が大阪府に本社を置くB社(売り手)の石川県内にある子会社C社(対象)を買収したケースでは神奈川県、大阪府、石川県をそれぞれ1件とし、逆に同じ県内ですべての完結する場合は当該県の1件のみとカウントしています。

集計結果は、東京都(346件)が2位の大阪府(68件)を5倍の大差で引き離して断トツの首位となっています。
1位、2位は不動ですが、3位の座は愛知県が神奈川県から奪還しました。
愛知県は42件と前年の20件から倍増する一方、神奈川県は前年の25件から19件に減りました。

愛知県の中身をみると、県内企業が買い手となったケースが25件。県内企業が対象となったのは17件で、このうち7件は県内企業が売り手として子会社や事業を手放しました。
個別には、医療機器メーカーの朝日インテック(愛知県瀬戸市)が上期だけで4件の買収(うち3件は海外)を手がけたほか、製造系を中心に人材サービス会社が買収対象となった案件が4件あり、総件数を押し上げました。

上期中10件を超えたのは東京、大阪をはじめ、愛知、神奈川、福岡、千葉、兵庫、埼玉、京都の9都府県でした。
前年14件だった北海道は7件に半減し、勢いを欠いています。

買い手、売り手、対象のいずれにも該当せず、上期段階で件数ゼロだったのは和歌山、鳥取、うどん、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本の8県でした。
西日本に集中し、国内M&A市場の「東高西低」が浮き彫りになった格好です。

M&A市場は、東高西低なんですね。
この集計方法が良いのかどうかは別にして、我がうどん県は件数ゼロですので、M&Aに関わる僕としては、もっともっと頑張らないといけないなぁと思いました。

47都道府県のM&A勢力図は?について、どう思われましたか?


ツイッターがクラブハウス買収で交渉していた!

Bloombergによると、アメリカのツイッターは、ここ数か月以内に、招待制の音声交流サイト(SNS)アプリ「クラブハウス」の買収に向けて協議していたと、事情に詳しい複数の関係者が明らかにしたいようです。

部外秘情報であることを理由に匿名で語った関係者によると、双方はクラブハウスの価値を約40億ドル(約4,400億円)と評価する可能性について話し合っていたようです。
交渉はもはや行われていないようですが、その理由は不明だそうです。

ツイッターの広報担当者は、コメントを控えました。
クラブハウスの担当者にもコメントを求めたようですが、これまで返答は得られていないようです。

ブルームバーグ・ニュースは今週に入り、クラブハウスを運営するアルファ・エクスプロレーションが、企業価値を約40億ドルと評価して新たな資金調達を交渉していると報じていました。
ツイッターとの協議が進展しなかった後、クラブハウスは代わりにその評価額での資金調達が妥当かどうかを検討し始めたようです。

すでに下火になったと思われるクラブハウスを、約4,400億円も出して買うところは出てくるのでしょうか?
こういうケースは、スピードが大事かもしれないですね。
Androidユーザーゆえ、どこにキャッシュポイントがあるのかも知らないのですが(笑)。

ツイッターがクラブハウス買収で交渉していたことについて、どう思われましたか?


香川県高松市の大豊産業がM&Aで関東の基盤強化!

日本経済新聞によると、産業用機器の販売などを手がける大豊産業(香川県高松市)が関東の生産・営業基盤の強化を進めているようです。
40人超の技術者を抱える日本治具(群馬県太田市)を買収したほか、2019年に完全子会社化したロボットの設計・製造を手掛けるヤザックを吸収合併して神奈川事業所としました。
優れた技術者を得て、これまでヤザックが外注していた製品を内製化するなど、相乗効果を狙うようです。

2021年2月、大豊産業は日本治具の全株式を取得しました。
取得額は非公表です。
日本治具は治具や加工装置、組み立て装置の設計や製造を手掛けています。
大豊産業は産業用機器の販売で全国の製造業と取引があり、ロボット関連事業を強化していきたいとの考えから、技術力のある企業を探していたようです。

大豊産業はグループ全体の売上高のうち7割弱を四国が占めています。
関東圏での事業拡大が成長のカギになるとみて、企業買収を進めてきました。
今回の買収では、製造面での相乗効果を生み出すことが狙いの一つのようです。

ヤザックと日本治具は、装置の設計や製作などで、事業内容と取引先が重複する部分があります。
買収により生産・販売効率を高めることができるとみています。
ヤザックは設計力に強みがあるものの技術者の数は少ないことから、製造を外注していました。
日本治具の技術者を取り込むことで生産能力を強化し、これまでの外注分を内製化していきます。

大豊産業が2020年に開発した、死亡鶏など鶏舎の異常を人工知能(AI)で検知する自走式装置の販売にもつなげます。
人が巡回し確認していた作業を自動化できることから、養鶏業の省力化につながるとみています。
北関東で農業畜産分野の事業を拡大するため、日本治具を装置の組み立て・整備拠点にします。
これまでは、ヤザックの人材に限りがあるため、対応することは難しかったようです。

販売面の相乗効果も狙っています。
大豊産業が手掛ける太陽光パネルや産業用機器の販売を、関東圏でも広げるための営業拠点にします。
日本治具の中に大豊産業東日本支社を設立し、物販を強化します。
日本治具のある群馬県は太陽光発電が盛んなことから、新エネルギー関連の需要を取り込みたい考えです。

大豊産業の2020年3月期の売上高は約108億円です。
技術の獲得ではスピード感を重視していることから、近年積極的なM&A(合併・買収)に動いています。
四国での事業は継続しながら、関東での基盤強化を進めていく考えのようです。

我が香川県の企業がM&Aをして、県外に進出しているというのは嬉しいですね。
こういう記事がたくさん出てくるようになって、M&Aが経営の中で一般的に使われるような時代に早くなってほしいと思います。

香川県高松市の大豊産業がM&Aで関東の基盤強化をしていることについて、どう思われましたか?


日本アジアグループのMBOが旧村上ファンド系の対抗受け不成立!

日本経済新聞によると、再生可能エネルギー事業などを手掛ける日本アジアグループは、先日、アメリカ投資ファンドのカーライル・グループと組んで実施していたMBO(経営陣が参加する買収)が不成立になったと発表しました。

旧村上ファンド系の投資会社シティインデックスイレブンス(東京都渋谷区)が対抗TOB(株式公開買い付け)を実施し、株価が高止まりしていました。
シティ社のTOBに対する意見は留保としました。

MBOでの買い付け価格は当初1株600円でしたが、株価の高止まりなどを受けて1,200円に引き上げました。
最近、シティ社が1,210円で対抗TOBを開始すると発表し、期限におけるMBOへの応募は買い付け予定数の4割弱にとどまりました。

安く買いたい経営陣側と、高く売りたい株主側の利害は対立しますので、安過ぎる設定はこういうことになりかねないという良い例でしょう。
こういうことが、普通に行われるようになって、MBOの際の株価の算定がもっと適正になればいいですね。

日本アジアグループのMBOが旧村上ファンド系の対抗受け不成立となったことについて、どう思われましたか?


「ルイ・ヴィトン」展開の仏LVMHがティファニーの買収完了!

讀賣新聞によると、高級ブランド「ルイ・ヴィトン」などを展開する仏LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)は、先日、米宝飾大手ティファニーの買収を完了したと発表しました。

ティファニーの新しい最高経営責任者(CEO)には、かつてティファニーに在籍していたルイ・ヴィトン幹部のアントニー・ルドリュー氏を起用しました。

両社は2019年11月に買収で合意しましたが、LVMHが2020年9月に買収計画の撤回を表明したことで対立し、一時は訴訟にまで発展しました。

2020年10月に買収額を当初の約162億ドル(約1兆6,800億円)から約158億ドルに引き下げ、再び合意していました。

無事に買収したみたいですね。
売買代金は少し下がりましたが、コロナウイルスの影響を考えると、売り手側はこの金額で売れて良かったのではないかと思います。
ブランドってなかなか評価が難しいとは思いますが、それにしてもスゴい金額ですね。

「ルイ・ヴィトン」展開の仏LVMHがティファニーの買収を完了したことについて、どう思われましたか?


ニフティが女性客取り込みのため通販のセシールを買収!

日本経済新聞によると、家電量販店のノジマは、先日、傘下でネット接続事業者のニフティ(東京都新宿区)が通販大手のディノス・セシール(東京都中野区)から「セシール」ブランドのカタログ通販事業を買収すると発表しました。
買収金額は約30億円とみられます。

ニフティのネット接続サービスの会員は男性が中心ですが、セシールは女性消費者の知名度が高くなっています。
カタログや通販の会員を取り込み、顧客層を広げるようです。
新型コロナウイルスの流行に伴う巣ごもり消費の寄与も狙っています。

ディノス・セシールは2013年7月にセシール、ディノス、フジ・ダイレクト・マーケティングの3社が合併して発足しました。
新たに設立する完全子会社にセシール事業を承継し、2021年3月1日付でニフティに新会社の株式を譲渡する予定です。
「ディノス」ブランドの通販事業は引き続き継続します。

ディノスは生活用品分野のカタログやネットの通販事業に強みを持っています。
近年は人工知能(AI)を使った顧客分析などに力を入れています。
アメリカのアマゾンなどネット通販の普及でカタログ通販は苦戦しており、ブランドを整理するようです。

ノジマは2017年に富士通からニフティのインターネット接続事業を買収しました。
部門削減など構造改革を進め、現在はグループ企業のスルガ銀行との連携も模索するようです。

セシールは元々、我が香川県高松市の会社でしたので、驚きました。
最初は、ライブドアグループとなり、その後、フジテレビグループとなったのですが、次はノジマグループなんですね。
グループは変わりましたが、セシールの名前で頑張って欲しいですね。
巣ごもり需要が追い風になると考えられますので、ニューノーマルにうまく対応して、フジテレビグループに手放さなければ良かったと思われるような存在になればいいですね。

ニフティが女性客取り込みのため通販のセシールを買収したことについて、どう思われましたか?


日本政策投資銀行がMBA取得者を中小社長に仲介する事業承継ファンドを設立!

日本経済新聞によると、日本政策投資銀行は経営学修士号(MBA)を取得するなど起業意欲がある若者を中小企業に仲介するファンドをつくるようです。
経営人材として有望な若手に、中小企業を買収する資金を提供します。
後継難に悩む経営者が増えていることに対応するものです。

アメリカで1980年代に始まった「サーチファンド」と呼ぶ事業承継の仕組みを日本で初めて全国展開します。
経営者を目指す個人に対して、複数の投資家が買収に必要な資金をサーチファンドに拠出します。

日本政策投資銀行は日本M&Aセンターと、経営者紹介のキャリアインキュベーション(東京・千代田)とファンドの運営会社を設立しました。
外資系ファンドを経て中小企業の経営支援に携わってきた伊藤公健氏が社長に就きました。

2020年11月までに10億円弱の規模の1号ファンドを組成します。
年間売上高が数億円の小規模な企業を対象とし、2年程度のうちに数件の実績を目指します。

企業の新陳代謝が活発なアメリカでは、サーチファンドはあくまで資金の出し手で、経営者を目指す若者が対象企業を選んで条件を交渉します。

日本の中小企業は創業者が高齢になるまで経営を担うことが多くなっています。
後継者難に直面しているが、外部から経営者を突然招くことへの抵抗感も根強くあります。
日本政策投資銀行は資金の出し手となるファンドを仲介役に、友好的に事業承継を進めたい考えです。

日本M&Aセンターの知見などを活用して候補となる企業の情報を集め、買い手と売り手の交渉や経営方針の共有を後押しします。
買収後も定期的に経営者と面談をして円滑な承継を支援するようです。

サーチファンドの仕組みを使った事業承継はアメリカで300件以上の実績があり、近年は欧州やアジアにも広がっているようです。
日本でも山口フィナンシャルグループなどが2019年にファンドを立ち上げ、同社の営業地域内で案件を組成しています。

銀行や投資ファンドによる事業承継の枠組みは広がっています。
日本政策投資銀行らのサーチファンドが対象とする小規模な中小企業は、安定的な業績をあげていても将来の売却による収益が少ないため投資先になりにくい状況にあります。
ファンドによる買収と異なり、オーナー自身が次世代の経営者の人柄を見定められる仕組みはニーズが強いとみて全国での仲介を目指します。
日本に少ないプロ経営者を育成する仕組みとしても活用を促すようです。

東京商工リサーチによると、2020年1月から6月に後継者難を理由に倒産した企業は194件と前年同期比で8割増えました。
上期としては調査を始めた2013年以降で最多となりました。
日本政策投資銀行の担当者は、「次の難局を意識して前倒しで承継を検討する企業が増える」と指摘しているようです。

規模の大きな企業を相手にしている日本政策投資銀行や、手数料が高いと言われる日本M&Aセンターが、売上高数億円規模の中小企業の事業承継にも参入してくるんですね。
政府系のファンドはあまりうまく行っていないものがほとんどだと思いますが、お手並み拝見ですね。

日本政策投資銀行がMBA取得者を中小社長に仲介する事業承継ファンドを設立することについて、どう思われましたか?


コロナ禍のM&Aは売り手と買い手で意識格差!

中小企業の事業承継問題を解決する一つとしてM&A(合併・買収)に注目が集まっていますが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、M&A市場はどうなっているのでしょうか?
KaikeiZineによると、M&A仲介サービス大手のストライク(東京都千代田区)の調査により、コロナ禍での売り手、買い手の意識格差が浮き彫りになったようです。

日本国内はもとより世界経済に大きなダメージを与えている新型コロナウイルスですが、事業承継に踏み切れない中小企業経営者の中には、この“コロナ”をきっかけに、M&Aを真剣に考える向きがあるようです。
こうしたなか、ストライクは2020年6月、コロナ禍においての、買い手、売り手の意識調査を行いました。
調査は2020年6月3日から5日の間、インターネットを通じて経営者を対象にアンケート調査を実施し、有効回答数は311人でした。

それによると、買い手は売り手に比べて事業規模が大きく、財務基盤が強いことが多いため、コロナ禍でもM&Aに積極的ということが分かりました。

調査では、買い手企業が、コロナ禍によるM&Aへの「マイナスの影響はない」(52%)「プラスの影響がある」(14%)と回答しており、合わせて7割近くを占めています。
「マイナスの影響がある」との答えしたのは33%にとどまりました。

一方で、売り手企業の58%が「マイナスの影響がある」と回答しています。
「影響はない」は25%、「プラスの影響がある」は16%でした。

買い手企業の経営者の多くが、コロナ禍でもM&Aに積極的な理由としては、72%が「コロナ禍が経営にそれほど影響がなかったため」と回答しています。
18%が「コロナ禍は経営に影響しているが、M&Aは必要と考えているため」と答えています。

買い手企業の多くが体力のある大企業とみられ、企業買収を中期的な経営戦略の一環ととらえていることが、逆風下でもM&Aに積極的な理由だと考えられます。

売り手企業で「マイナスの影響がある」と答えた理由は、52%が「売り上げが減少し、将来に不安を感じた」と回答しています。
19%は「売り上げが減少し、事業を継続できなくなった」としています。
いずれも、コロナ禍による業績の悪化が、M&Aに悪影響を及ぼした格好です。
「オンライン化などのビジネス環境の変化により将来不安を感じた」との回答も9%ありました。

コロナ禍でもM&Aに積極的な買い手企業は、計画を延期しても「M&Aを再検討する」としており、再検討する時期についても87%以上が「半年以内」と回答しています。
「3か月以内に再検討する」とした買い手企業も5割に達しています。
迅速に業容を拡大したい方針が垣間見えます。

一方で、計画が延期になった場合に「M&Aを再検討する」と答えた売り手企業は66%にとどまり、「半年以内に再検討する」と答えた企業は20%、「3か月以内」としたのは6%に過ぎませんでした。
「再検討するのは1年以上経過してから」と回答した売り手企業は33%にのぼりました。

2020年上旬までは、売り手、買い手ともに前向きだったM&A市場ですが、コロナ禍の影響で売上高の減少や将来不安などが影響し、買い手、売り手双方の経営者の心理や行動に影を落としていることが浮き彫りになりました。

僕自身、年間5件から10件ほどM&A案件に関わらせていただいておりますが、この調査と同じように認識しています。
従来からM&Aをやられている買い手の方、これからM&Aをしようとしている方は、買うという姿勢は変わらず、また、今が買い時と考えているように思います。
売り手の方は、お話がかなり減っていますので、延期になっているのではないかと推測されます。
コロナ禍でも話を進めている方の中には、先延ばしにすればするほど売却価格が安くなると考えている方もおられるのではないかと思います。
個人的には、今後は売らざるをえなくなった売り案件が増えてくると思いますが、買い手はM&Aに慣れている方が多いと思いますので、何かこれがあるから買いたいというものがないと、なかなか成立しないかもしれないですね。

コロナ禍のM&Aは売り手と買い手で意識格差が生じていることについて、どう思われましたか?


SGHDと日立物流が新型コロナウイルス感染症の影響で経営統合を見送り!

日本経済新聞によると、佐川急便を傘下に持つSGホールディングス(HD)と日立物流は、先日、経営統合を当面見送ると発表しました。
2016年に統合を視野に資本・業務提携を決めましたが、新型コロナウイルスの感染が拡大し、世界的に物流が停滞するなど環境が一変し、提携の重要性が薄れたと判断したようです。
相互に持ち合う株式の出資比率も引き下げ、両社とも独自の成長戦略を優先させます。

SGHDは日立物流が保有する佐川急便の発行済み株式の20%分すべてを875億円で買い取ります。
日立物流もSGHDが持つ自社株を、988億円を上限として市場で取得します。
SGHDの持ち分は現在の29%から6%前後になる見通しです。

売買は2020年10月29日に完了する予定で、日立物流はSGHDの持ち分法適用会社から外れます。
トラックの共同利用といった業務提携は続けます。

佐川急便は宅配便大手で、日立物流は企業間物流に強みを持っています。
2016年の提携は、個人から法人まで包括的に荷物を扱う総合物流グループの形成が目標とされていました。

しかしながら、新型コロナの流行で両社の経営環境は一変しました。
電子商取引(EC)の利用は急拡大しました。
宅配便の需要が膨らむなかで業務の効率化や省人化への取り組みなど、佐川急便の経営判断を迅速に行う必要性が高まったのです。
SGHDは完全子会社化の必要があると判断し、株式の買い戻しを日立物流側と協議していました。

日立物流も目算が外れました。
国内では業務の効率化などで一定の成果があがったものの、新型コロナの流行で世界的に物流網が目詰まりしました。
輸送量も急減し、成長のけん引役として重視していた国際物流で連携の効果が生じにくくなったのです。

日立物流は海外事業のてこ入れにはSGHDよりも、海外企業との連携を強化する必要があるとの判断に傾いたようです。
自社株を活用した現地企業のM&A(合併・買収)も視野に入れているとみられ、株式の買い戻しにつながったようです。

SGHDは、先日、出資比率の引き下げに伴い2021年3月期の業績予想を見直すと発表しました。
日立物流の株式持ち分比率が減ることで連結経常利益は前期比11%増の890億円と、従来予想に比べて20億円減少します。

一方で佐川急便株を取得するため、純利益は前期比16%増の550億円と従来予想に比べて25億円増える見通しです。

純利益の増加で配当予想も見直しました。
1株当たり前期比8円増の52円にし、従来予想から3円積み増します。

SGHDは同日、株式1株を2株に分割することも発表しました。
2020年10月31日を基準日とし、11月1日付で実施します。

新型コロナウイルスの影響は色々なところに出てきますね。
ただし、意思決定が早かったと個人的には思います。
まずは、それぞれが現状を打破するようにタイムリーに取り組んで、ニューノーマルというものがある程度確立してきたときにでも、再度どうするかを考えれば良いのではないかと思います。

SGHDと日立物流が新型コロナウイルス感染症の影響で経営統合を見送ったことについて、どう思われましたか?


東京海上が誓約違反を補償する中小企業のM&Aの保険を販売!

日本経済新聞によると、東京海上日動火災保険は中小企業の事業承継を支援する保険を売り出すそうです。
隠れた負債などの誓約違反が発覚した場合に、承継先の損失を補償します。
個別に補償内容などを定める従来のM&A(合併・買収)保険は、保険料が高額で中小企業は使いづらいものとなっています。
誓約内容を定型化し、保険料を下げて加入しやすくします。

経営者の高齢化や後継者の不在で廃業する事業者が増えています。
雇用や技術の消失を防ぐためにも円滑な事業承継が重要になっています。
承継は買い主と売り主が対立することが少なくありません。
一般的に、買う側は想定外のリスクに備えて広範囲の誓約を求めますが、売る側は時間やコストをかけるのを嫌い、限定的な内容を希望するからです。

東京海上は誓約の書類を定型化して、無駄な交渉を省けるようにします。
引き受けの調査にかかる時間も縮めます。
保険料は300万円からで、1,000万円以上するオーダーメード型のM&A保険より割安にしました。

情報開示が進んでいない非上場の中小・零細企業は買収した後に財務や法務の隠れたリスクが見つかるケースがあります。
誓約書は財務の計算処理、取引先との契約、労務、租税関係などを網羅します。
従業員の賃金の未払いや隠れた株主が発覚するような事態も補償します。

このような保険が発売されることは良いことだと思います。
しかしながら、どれだけ保険を使う方がいらっしゃるのかは疑問です。
中小企業のM&Aの場合、数千万円から数億円の案件、もちろん、数百万円の案件もあります。
僕も年間5件から10件ほどM&A案件に関わっていますが、このような中、M&Aの仲介手数料が安くても数百万円、財務DDの報酬も数百万円すると思いますし、隠れた負債とかを避けたいのであれば、株式譲渡ではなく事業譲渡にすれば良いと思いますので、ここに300万円以上乗ってくるとなると、それなりの金額の案件になってくると考えられ、使われるのはそれほどないのではないかと思います。
ただし、この記事が日経に出た日に受講したセミナーで、上場している某M&A仲介会社の子会社の方が既に保険を検討しているとおっしゃっていたので、他社からも今後この手の保険が出てくると思いますので、もっと小さな案件に使えそうな保険が出てくるききっかけになればいいなぁと思います。

東京海上が誓約違反を補償する中小企業のM&Aの保険を販売することについて、どう思われましたか?


M&A「やっぱりやめた」が横行!

日経ビジネスによると、欧米で合意済みのM&A(合併・買収)案件の破談が相次いでいるようです。

高級ブランド世界最大手の仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン(LVMH)が米ティファニーの買収見直しを示唆、米ボーイングもブラジルのエンブラエルとの事業統合を撤回した。新型コロナウイルスの影響で、コロナ前に見込んでいた買収効果が得られるか不透明になったというのが理由だそうです。

コロナ禍の今、欧米ではM&A案件は「撤回するのが当たり前」(外資系投資銀行)のようです。
そして日本で強行された1兆円ディールには驚きの声が集まっているそうです。

LVMHは2019年11月、ティファニーを総額162億ドルで買収することで合意しました。
しかしながら、新型コロナの影響を鑑み、2020年6月2日の取締役会でティファニー買収の妥当性を再協議し、6月4日に「現時点でティファニー株の購入を予定していない」という声明を出しました。
水面下でLVMHが買収価格引き下げを打診したものの、ティファニーが拒否したという情報もあるようです。

ブラジル航空機大手のエンブラエルは、事業統合を撤回したボーイングを相手取り「契約不履行とキャンセルにより被害を受けた」とする仲裁手続き入りを表明しました。
直近では2020年6月10日、アメリカのショッピングモールを運営するサイモン・プロパティ・グループが、同業であるタウブマン・センターズを36億ドルで買収するという合意の撤回を求める訴えを起こしています。

いずれの場合も、買収撤回の理由は新型コロナウイルスとされます。
ティファニーなどの売り上げは新型コロナで急減しており、LVMHの翻意は分からなくもありません。
もちろん合意済みの買収を撤回すれば違約金は発生します。
しかしながら、「違約金を払ってでも買収をやめた方が、強行するよりリスクが小さいと考える経営者が急増している」(米系投資銀行幹部)ようです。
もちろん合意を一方的に破棄するのだから、裁判沙汰になるのは覚悟の上だそうです。

「クローバック条項」を導入している企業が欧米には多いことも、買収撤回の判断に影響している可能性があります。
クローバック条項とは、投資に伴う巨額損失や不祥事などが後々発生した場合、支給済みの役員報酬を会社に強制返還させる仕組みです。
アメリカでは、2017年時点で製造業の9割超が導入済みとされます。
新型コロナ前に決めた価格で買収を強行して後に巨額損失が発生した場合、役員としては自分の懐が痛みかねません。

こうして合意済みのM&A案件の撤回が欧米で相次ぐ中、逆に注目を集めてしまったのが昭和電工による日立化成買収です。

「えっ、あのディールは実行されたのか」。
2020年6月5日、東京証券取引所は日立化成株を6月19日付で上場廃止にすると発表した(実際に、6月19日で上場廃止になっています。)。
昭和電工による買収成立を受けた措置です。
それを伝え聞いたアメリカの大手証券会社幹部は「てっきりやめたと思っていた」と絶句したそうです。

昭和電工は1兆円弱を投じて日立化成を買収しましたが、そもそも買収で合意したと発表したのは2019年12月です。
つまり、新型コロナ前です。
当時でさえ高値づかみのリスクがささやかれていましたが、その後のコロナ危機で日立化成の業績は悪化しています。

買収発表時点の日立化成の2020年3月期の純利益見通しは前の期比23%減の220億円でしたが、新型コロナの影響などで最終的に同利益は43%減の164億円になりました。
自動車向け顧客が新型コロナの影響を受けていることが響いたようです。

そして昭和電工による日立化成買収のためのTOB(株式公開買い付け)は、買い付け価格を変えることなく2020年3月24日に始まりました。
コロナの影響で世界経済が大きく傷むことが既に十分分かっていた時期です。
日立化成買収に同じく手を上げていた外資系ファンド幹部は「この状況では数百億円の違約金を払ってでもTOBを始めないのが普通。昭和電工の決断は全く理解できなかった」と振り返っているようです。

欧米と日本の経営者の考え方の違いは何なのでしょうか?
思い出されるのは2~3年前、数千億円の買収案件を巡り、日本のある上場企業のアドバイザーに就いた投資銀行幹部の言葉です。

その企業は買収を巡り最後まで他社と競り合い、買収価格を何度も引き上げ最終的に競り勝ちました。
アドバイザーは「確かにその会社に必要な買収だった。だが事前に取締役会で決めた上限価格を超えても、社長は退かなかった。もうペイしない、撤退も考えるべきだと進言したが、社長はサラリーマン人生をかけた高揚感に包まれ耳を貸さなかった」と振り返っています。

幸い、その買収案件ではその後に大きな減損損失を出したとは聞かないようです。
しかしながら、交渉の過程で、買収することが目的化していた面は否めないでしょう。
まして、昭和電工の場合は買収で合意と発表済みです。
新型コロナのせいとはいえ、その後に買収を撤回すればレピュテーションリスク(企業に対するマイナス評価)にさらされると危惧するのも理解できます。

日本電産や富士フイルムホールディングスのように買収慣れしている企業ならともかく、多くのトップにとってM&Aはサラリーマン人生最大の決断でしょう。
一度腹をくくったそれを、数百億円の違約金を払ってでも撤回しろというのは確かに酷な話かもしれませんね。

一方、裁判沙汰になってでも撤回した方がいいとドライに経済合理性で判断するのが欧米企業です。
両社を比較すると、あくまでも「理」で決める欧米に対し、「情」が強い日本企業とでも言えるかもしれません。
ここでその優劣を論じるつもりはありませんが、結果で評価されるのもまたトップの宿命です。
どちらであっても、結果を出せば勝ち、結果が出なければ負けなのです。

過去にも、買収が失敗と言われたものの成功している事例はあります。
ブリヂストンによるファイアストンなどです。
しばらく経ってからでないとM&Aが成功だったか失敗だったかは分からないと思いますが、日本人の『情』が成功につながったと言えるように、あまり外野の意見は気にせず、昭和電工さんにはぜひとも頑張って欲しいですね。

M&A「やっぱりやめた」が横行していることについて、どう思われましたか?


経済産業省が中小企業のM&A手数料で根拠明示を求める指針!

経済産業省は中小企業のM&A(合併・買収)を手がける業者が不当に高い仲介手数料を取るのを防ぐ指針をまとめました。
手数料の根拠や支払時期をあらかじめ説明するよう求め、悪質な業者を排除します。
優れた技術を持ちながら後継者難に悩む企業の事業承継などが円滑に進む環境を整えます。

指針は成功報酬や着手金などの一般的な水準を示しました。
「複数の業者を比較検討することが望ましい」と明記しています。
中小企業側に不安がある場合は他の支援機関に意見を聞くことも勧めています。

国が全国の都道府県に設けた「事業引継ぎ支援センター」に登録する約200の仲介業者らに指針の順守を求めます。
違反した場合は登録取り消しも検討します。
各地の事業引継ぎ支援センターは事業の譲り渡しを望む中小とM&Aを検討する事業者の橋渡しの場となっています。
除外されれば仲介の機会や情報を得にくくなるため、経済産業省は指針が一定の強制力を持つとみています。

国内では2025年までに経営者が70歳を迎える中小企業のうち127万社で後継者が決まっていないとされます。
黒字のまま廃業を迫られる事例も多くなっています。
親族などに後継者がいない場合、社外の第三者への売り渡しが選択肢となります。
実際には仲介業者が高額な手数料を要求したり、説明が不十分なまま契約を結んだりするケースがあります。

経済産業省は2029年ごろまでに60万件のM&Aを成立させる目標を掲げます。
新たな指針も含め、支援を強化します。

国が民間のことに口を出すのはどうかと思いますが、悪徳なところも多いんでしょうね。
個人的には、コロナウイルスの影響で、生き残るために国が力を入れている事業承継は後回しになる可能性が高いと思いますが、どうにもならなくなって売りに出す企業は多くなるのではないかと思います。
その点、買いたたかれ、手数料もたくさん取られてほとんど残らないということの歯止めには少しはなるかなぁとも思います。

経済産業省が中小企業のM&A手数料で根拠明示を求める指針を作成したことについて、どう思われましたか?


新型コロナウイルスに負けないM&Aとは?

日経ビジネスによると、M&A(合併・買収)の世界にも新型コロナウイルスの影響が出始めたようです。
業績の急激な悪化や株価の急落を受け、世界中で様々な案件が中止や延期に追い込まれ始めており、今後もこうした動きが続々と出てくるのは間違いありません。
では逆に、こうした株価急落を受けて前に進むM&Aはないのでしょうか?

「今年はもう冬眠するよ…」。
外資系の投資銀行でM&Aのアドバイスを手掛ける担当者はこうため息をついているようです。
理由は新型コロナのまんえんです。
買収交渉の最終局面で必須のトップ同士の対面交渉が世界各国の移動制限でままならない上、買収価格を決めるのに必要な買収先企業のデューデリジェンス(DD)と呼ばれる資産査定業務も進みません。
書面チェックだけなら可能ですが、工場在庫の確認などの実地調査ができないためです。

どの業界でも今後の業績見通しを立てることが困難になっており、どの程度の成長可能性を織り込んだ買収価格が妥当なのか、合理的に計算がしづらくなっています。

実際、M&Aの破談や延期は相次いでいます。
アメリカ事務機器大手ゼロックスがアメリカHPへの敵対的TOB(株式公開買い付け)を撤回しました。
マクロ経済と市場の混乱でTOBを継続できない環境になった、というのがその理由です。

国内では2020年3月31日に神戸製鋼所が子会社コベルコ マテリアル銅管の株式の一部を日本産業パートナーズに売却するのを延期すると発表しました。
同日には古河電気工業も日本産業パートナーズへの事業譲渡を延期すると発表しています。
両社ともに買い手の日本産業パートナーズが新型コロナによる環境変化を理由に延期を求めてきたといい、「できるだけ早期に本株式譲渡を確実に実行するよう、(日本産業パートナーズに)要求してまいります」としています。

買い手からすると、新型コロナがここまで大きな騒ぎになる前に決めた買収条件なので、割に合わなくなったから猶予がほしいということなのかもしれません。
このほかに未発表ですが水面下で交渉が進んでいたM&A案件が、新型コロナの影響で中止や先送りになってしまったというケースも数多くあるでしょう。

ただし、M&A案件がすべてなくなるのかというと、そうとは限りません。
ある投資銀行の担当者は「これからは親子上場の完全子会社化案件とMBO(経営陣が参加する買収)に絞って営業をかけていくつもり」だそうです。
どういうことなのでしょうか?

いま、M&Aの障害になりつつあるのはDDが精緻にできないことと、業績見通しが立たないため合理的な買収価格の算定が難しいことでしょう。このハードルが比較的低いのが、上場子会社の完全子会社化とMBOなのだそうです。

情報が不足しがちな他社を買収するのに最も大事なのが正確なDDだが、子会社であればある程度の事前情報は持っているはず、というのがその理由です。
MBOなら自社のことなのでなおさらです。
つまり、DDの不足に対する懸念が相対的に低いM&Aが子会社の完全子会社化とMBOということになります。
加えて買収先の収益見通しが甘すぎたりしたため、「のれん」の減損処理をする羽目に追い込まれた、といったことも起きにくくなります。

世界的な株価急落を受け、従来よりも割安な価格で完全子会社化、もしくはMBOができる可能性も高まっています。
これは買い手の論理ですが、動機としてはむしろ背中を後押しする方に働きます。

マルハニチロは2020年3月30日に50%強の株を持つ連結子会社の大都魚類をTOBで完全子会社化すると発表しました。
TOB価格は過去6か月の平均株価に対するプレミアム(上乗せ)で見ると30%にとどまりますが、発表直前の株価に対するプレミアムで見ると約5割に達します。
直近の大都魚類の株価が急落したため、足元の株価と比べると魅力的なTOB価格を提示することが可能になった、とみることもできます。

世界的な株安で、「今、会社を売るのは得策ではない」と経営者、つまり売り手は考えるはずです。
買い手からすると割安で買える可能性が高いですが、双方の思惑が一致しないとM&Aは成立しません。
売り手の思惑にとらわれることなく、ディールが進められるという点で、半分以上の株を既に押さえている上場子会社の完全子会社化と売り手がある意味で存在しないMBOは話が進展しやすいでしょう。

もちろん上場子会社だからといって、少数株主の意向を無視した過度に割安な価格設定にしたりすると、不満を持った少数株主から訴訟を起こされるリスクもあります。
とはいえ、こんな時だからこそ前に進みそうなディールもあるでしょう。
銘柄選別の上で先回り買いが好きな投資家には一つの基準となるかもしれません。

確かに、売り手は今はやめておこう、買い手は今が買い時と考えるとすると、M&Aはなかなか成り立たないのかもしれません。
その点、子会社の完全子会社化とMBOが狙い目というのは正しいように思えます。
しかしながら、コロナウイルスの影響で業績が悪化し、資金が必要になり、資金が潤沢な大手の傘下に入るというケースも、収束までに時間がかかるとなると増えてくるのではないかと思います。
高い給料をもらっているM&A仲介会社の方々は収入が減って大変かもしれませんが、うどん県を中心に微力ながらM&Aに関わっている身としては、地域経済や雇用のために、少しでも貢献できれば良いなぁと思っています。

新型コロナウイルスに負けないM&Aとは?について、どう思われましたか?


小売業のM&Aはデジタル強化主流!

あらゆる産業で進むデジタル化は小売業界に変革をもたらしています。
ネット通販の伸長で従来の出店モデルが転機を迎え、デジタル強化を狙った大型M&A(合併・買収)や提携の動きが増えているようです。

小売り世界最大手のアメリカのウォルマートは2018年にインドのEC大手フリップカートを160億ドル(約1兆7,500億円)で買収しました。
アメリカでの大量出店と世界各国での小売業の買収でグローバル展開してきた同社の戦略は、方向転換しているようです。

そうした波は日本にも押し寄せています。
ウォルマートは2018年、傘下の西友を通じて楽天とネットスーパーでの協業を発表しました。
日本では同業への買収戦略で最大手に成長したイオンも戦略を練り直しています。
2019年にイギリスのネットスーパー大手のオカドと提携しました。
これまでの小売業のM&A戦略は規模拡大を最優先課題とし、自社のノウハウを買収先に注入するのが基本戦略でした。
これに対して、今後は、買収・提携先の事業モデルから学び、自らを変革することが求められそうです。

小売業は、通販などの影響を受け、苦戦していますから、当然の流れでしょうね。
時代の激しい移り変わりに対応するには、スピードも必要ですし、既存事業を0から見直すくらいでないとうまく行かないと思いますので、既存事業の思考を持った方よりは、新しい思考を持った方の方が良いでしょうから、M&Aということになると思います。
大手は、購買力や店舗網があり、価格競争力や顧客はあるのですから、頑張って、ネットスーパーを一般的なものにして欲しいと思います。

小売業のM&Aはデジタル強化主流であることについて、どう思われましたか?


MBOが今年早くも5件に達しているが「上場企業」返上の理由は?

M&A Onlineによると、2020年に入り、経営陣による買収(MBO)がすでに5件に達し、前年の6件に早くも並ぶ勢いです。
このままのペースでいけば、2013年以来、7年ぶりに2桁(10件)に乗せる公算が大きいようです。

MBOを通じて上場廃止は、敵対的買収を回避する究極の策とされます。
その数は2011年の21件をピークに減少傾向に転じていますが、モノ言う株主(アクティビスト)による株主提案の活発化などを背景に潮目の変わる可能性もあり、今後の推移が注目されます。

5件のMBOは1月30日から翌週の2月5日までの1週間の間にバタバタと発表されました。
非公開化によって上場企業の看板を下ろすことを決めたのは豆蔵ホールディングス(東証1部)、JEUGIA(東証2部)、オーデリック(東証1部)、ミヤコ(ジャスダック)、総合メディカルホールディングス(東証1部)です。

上場歴が最も長いのは1991年以来のJEUGIAで、30年近く経っています。
最も浅い豆蔵HDでも2004年から16年となります。
5件のうち、JEUGIAを除く4件のMBOは創業者(家)の意向によるもので、所有と経営を一つにする狙いが込められているようです。

◎2020年:MBOによる非公開化を発表した企業

企業名

業種

上場年

PBR

豆蔵HD

システム開発支援

2004

3.55

JEUGIA

楽器販売など

1991

0.64

オーデリック

住宅用照明器具

1996

1.08

ミヤコ

住宅用給排水器具

2000

0.95

総合メディカルHD

調剤薬局・医業支援

2001

1.92

※PBR(株価純資産倍率)は2月14日時点のものです。

それにしても、なぜ、多くの企業にとって目標である上場企業の座を返上してまで非公開化するのでしょうか?

各社がそろって大きな理由の一つに挙げるのが「抜本的・機動的な意思決定を可能にする経営体制の構築」です。
機関投資家など株主の要求や株価動向など市場の声に惑わされることなく、中長期的な戦略や方針に基づき、迅速な経営判断が行えるようになるというわけです。

含み資産を持ちながら、時価総額を純資産で割ったPBR(株価純資産倍率)が1倍を割り込むような割安企業は買収のターゲットとされやすくなります。
したがって、上場廃止による非公開化は買収リスクから経営陣を解放することを意味します。
一方で、非公開化はコーポレートガバナンス(企業統治)や経営監視機能の低下につながるといった懸念が生じます。

MBOに際しては、経営陣が市場から株式を買い付けるための資金を銀行借り入れなどで賄いますが、投資ファンドの協力を得る場合も少なくありません。

今回の5件のケースをみると、JEUGIAが19億4,700万円、オーデリックは313億円、ミヤコは31億円の銀行融資を受けるようです。
豆蔵HDは国内投資ファンドのインテグラル(東京)、総合メディカルHDも同じく国内投資ファンドのポラリス・キャピタル・グループ(東京)と組みます。
MBO資金として、豆蔵HDは344億円、総合メディカルHDは763億円を必要とします。

MBOは2000年代後半から2010年代初めにかけて盛り上がりました。
リーマンショックによる金融危機が起きた2008年16件→2009年18件→2010年13件→2011年21件→2012年9件→2013年10件と推移し、以降は6件~3件です。
ピーク時の2011年は全TOB(株式公開買い付け)の3分の1以上をMBOが占めました。

2000年代半ば、旧村上ファンドに代表されるモノ言う株主や一部の外国人投資家による株買い占めが先鋭化したことなどから、非公開化に向けた企業の背中を押したのです。

また、近年は政府主導のコーポレートガバナンス改革で持ち合い解消による安定株主の減少が進み、割安企業を中心に買収リスクが高まっているほか、株価維持のために自社株買いなどの株主還元が強く求められています。

こうした中でのMBOラッシュです。
2020年を境に、非公開化志向が再び台頭する転換点になるのでしょうか?

個人的には、迅速な経営判断や買収リスクからの解放ということが目的であるならば、元々上場しなければ良いのではないかと思いますが、時代の変化や元々の目的が相続税対策というところもあるので、仕方ないんでしょうね。
株主の視点がすっぽりと抜けているような気はしますが。

MBOが今年早くも5件に達しているが「上場企業」返上の理由は?について、どう思われましたか?


タブーが薄れ敵対的TOBに証券会社も動く!

日本経済新聞によると、企業やファンドによる「敵対的買収」が広がる中、長らく協力に後ろ向きだった証券業界の風向きが変わりつつあるようです。
経営者や投資家が企業価値の最大化へ敵対的な手段も辞さないようになり、証券会社にもそうした動きが波及しているためです。
その敵対的買収の成否を左右する証券会社が、日本橋兜町の東京証券取引所のすぐそばにあるのです。
1949年設立の老舗、三田証券です。

「三田は押さえたか?」「三田をとったのはどこだ」――。
企業買収を巡る水面下の攻防で、M&A(合併・買収)関係者の間でこうした声が聞かれるようになっているようです。

それでは、なぜ従業員数が100人に満たない「中小」の三田証券がなぜ注目されるようになったのでしょうか?

敵対的買収にはTOB(株式公開買い付け)が多く用いられます。
そのためにはTOBに応じる株主向けの証券口座が必要で、代理人の証券会社の協力が欠かせません。
しかしながら、敵対的買収は買われる側の企業の反発を招くため、証券会社にはタブーだったのです。

そこに風穴を開けたのが、三田証券なのです。
転機は2012年から2013年にかけて繰り広げられた案件です。
ゴルフ場運営大手のPGMホールディングスによる同業のアコーディア・ゴルフへの敵対的TOBで、三田証券はPGMの代理人業務を務めました。
TOBは失敗しましたが「三田証券」の名は投資銀行業界にとどろいたのです。

2017年に富士通が企業向けパソコン販売のソレキアをTOBで子会社化しようとした際、対抗TOBに成功した企業経営者の佐々木ベジ氏に証券口座を提供したのも三田証券でした。

「対抗TOBなどが出るのは日本市場にとってよいことだ」と、三田証券の3代目である三田邦博社長は話しています。
「敵対的でも既存株主に利点があり、企業統治の強化につながるなら受託する。」

同氏が家業の三田証券に入社したのは1998年です。
1997年には山一証券が自主廃業を決め、1999年には株式売買の委託手数料が完全自由化されました。
2001年にトップに就いた三田社長は旧来型の証券事業からの脱却を進め、社外取締役にはゴールドマン・サックス証券で金融アナリストだったデービッド・アトキンソン氏が就いています。

複数の買収者が入り乱れた不動産大手のユニゾホールディングス争奪戦では、敵対的買収も検討していたアメリカの投資ファンドのブラックストーン・グループが三田証券を「予約」していたとみられます。

もっとも、敵対的案件をタブー視しない姿勢は大手でも広がっているようです。
大和証券グループ本社の中田誠司社長は、「外形的に『敵対的TOB』とみなされる案件も引き受けることはある」と明言しています。

2019年末、東芝による上場子会社、ニューフレアテクノロジーのTOBで、対抗TOBに打って出たHOYAのM&A助言とTOBの代理人になりました。
このTOBは最終的に東芝に軍配が上がりましたが、大和証券の思い切った決断で、敵対的買収を検討する買い手の選択肢が増えそうです。

先日、前田道路へのTOBを発表した前田建設工業の助言は大和証券が担っています。

歴史をひもとくと、2006年に王子製紙(現王子ホールディングス)が北越製紙(現北越コーポレーション)に敵対的TOBを仕掛けた際は取引会社らの反発を招き、成立しませんでした。
このとき王子製紙側についたのが野村証券で、敵対的案件は「タブー」という風潮が続くことになりました。

その野村證券も、2019年は伊藤忠商事による系列のデサントへのTOBで、伊藤忠商事側の代理人を務めました。

「19年は敵対的買収の元年とも言われるだろう」(外資系証券幹部)とのことです。

企業統治指針と機関投資家の行動規範であるスチュワードシップ・コードが定着し、経営者や投資家は企業価値の向上につながる決断を求められようになりました。
その結果、敵対的な買収でも以前より成立しやすくなっているといえるでしょう。
裏方である証券会社の出番が増えるなか、「三田争奪戦」が激しくなりそうです。

大手証券会社ともなると、敵対的買収の案件の両社ともかかわっている可能性が高く、かかわっていないとしても今後のことを考えてやらなかったのでしょうが、こういった証券会社が増えて、敵対的買収が増えることは良いことなんだろうなと、個人的には思っています。
敵対的買収が成功するにしろ失敗するにしろ、株主の方を向いた経営をするようになれば良いと思います。

タブーが薄れ敵対的TOBに証券会社も動いていることについて、どう思われましたか?


コメ兵の香港子会社の社員が1億円を着服!

日本最大級のリサイクルショップであるコメ兵は、先日、グループ会社であるBRAND OFF LIMITED社員により不正行為が行われていた疑いがあることが発覚したと発表しました。

発表内容は以下のとおりです。

グループ会社社員による不正行為の疑いについてのお知らせ

この度、当社のグループ会社であるBRAND OFF LIMITED社員により不正行為が行われていた疑いがあることが発覚いたしました。BRAND OFF LIMITEDは、2019年12月3日付で当社のグループ会社となりました株式会社K-ブランドオフの香港子会社であります。

当社グループ会社においてこのような事態が生じましたことにより、お客様、株主の皆様ならびに関係者の皆様に、多大なご心配とご迷惑をおかけしましたことを心より深くお詫び申し上げます。

なお、現在、本件の事実関係の解明に鋭意取り組んでおりますが、現時点で判明している内容及び今後の対応につきましては、下記の通りであります。

1.不正行為の疑いの概要

現在判明しております不正行為の疑いの概要は、BRAND OFF LIMITED社員が、経理担当としての立場を利用し、同社の資金を着服していたとの本人の申告に基づくものであり、2020年1月22 日、当社内部監査担当者等による臨店の際のヒアリングにより発覚したものであります。なお、その合計金額は約1億円の見込みであります。

2.当社の対応について

当社は、すでに社外取締役(監査等委員)を中心に調査委員会を立ち上げ、調査を進めておりますが、今後、社外の法律及び会計の専門家の協力のもと、事実関係の解明を進めてまいります。なお、調査委員会では、①本件に関する事実関係の確認、②本件による当社連結財務諸表等への影響額の確認、③類似事案の調査と確認、④本件が生じた原因の分析と再発防止策の提言、⑤その他、調査委員会が必要と認めた事項等について調査を進めてまいります。

調査が終了し、事実関係及び会社の損害額が判明した段階で、関係者に対する必要な措置を決定するとともに、再発防止策を策定し、併せてご報告いたします。

また、当期の業績に与える影響または、影響を及ぼす期間等につきましては、現在判明しておりませんが、調査委員会による事実関係の解明に伴う損害額が判明次第、適時開示させていただきます。

なお、2020年3月期第3四半期の決算発表につきましては、2020年2月10日を予定しており、現時点での変更はございませんが、調査の状況等により、万一日程等を変更する場合は、確定次第報告させていただきます。

当社といたしましては、このような事態が発生したことを厳粛に受け止め、調査結果を改めてご報告させていただくとともに、グループ管理体制の見直し、強化を行い、再発防止に向け、当社を含むグループ全体で取り組んでまいる所存であります。

今後ともご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

以上

スポンサーになってすぐに不正が発覚したようですが、財務調査も子会社も含めたところできちんとしないといけないですね。
僕自身、M&A関連の業務を年間数件行っているため、こういう案件が出ることによって、今後、買い手やスポンサー側が消極的にならないかがすごく気になります。
先日の公認会計士協会の研修でも言っていましたが、内部統制監査導入後、不正が増加しており、中でも最近は海外子会社の不正が多くなっていますので、子会社のコントロールを改めて見直さないといけない時代になっているなぁとは思いました。

コメ兵の香港子会社の社員が1億円を着服していたことについて、どう思われましたか?


M&Aの2019年の件数は6%増で最高更新!

 M&A(合併・買収)助言のレコフによると、日本企業が関わった2019年の件数は前年比6%増の4,088件と、過去最高を更新しました。
金額は約18兆円と前年の大型案件の反動で減少したものの、2017年比では3割多い水準になっています。

デジタル化をはじめとする産業構造の変化や海外市場の開拓に対応しようと、幅広い業種の企業がM&Aを活発化させています。
野村証券グローバル・ヘッド・オブM&Aの角田慎介氏は、「今と同じやり方では5年後に通用しないという危機感が後押ししている」と指摘しています。

ただし、M&A競争の過熱で買収価格が割高になり、将来見込んでいた収益を得られず損失を被るリスクも増しています。
IT企業を対象にしたM&A1件当たりの平均金額は日本で25億円と、この5年間で2倍強に膨張しています。
世界では8,000万ドル(約90億円)と前年から1.25倍に上昇しています。

どうやって件数等を把握しているのかよく分かりませんが、僕もそれなりにM&A案件に関わっていますので、ここ数年、M&Aの件数が増えているのは、我がうどん県(香川県)でも実感しています。
一方で、利益が出ているにも関わらず後継者がいないため売り案件になっている会社が多くなっているので、赤字の会社や債務超過の会社が売れにくくなっているような話を耳にします。
あとは、M&Aに慣れている大きめの買い手の会社が、M&Aの知識のない中小企業を安く買っているという話も耳にします。
M&Aの世界も、売りやすい業種や売りにくい業種のトレンドもありますし、また、当事者はある程度のM&Aに関する知識を持っておかないといけないと思っています。

M&Aの2019年の件数は6%増で最高更新だったことについて、どう思われましたか?


ライザップの経営立て直しへの手ごたえ!

 「この1年間取り組んできたことを通じて、やっと黒字を一歩一歩出せる状況になった」と、RIZAP(ライザップ)グループの瀬戸健社長は、先日東京都内で開いた9月中間決算の説明会で、経営立て直しへの手ごたえをこう語りました。

 実は、この日はM&Aの凍結を宣言した1年前と同じ日です。
「まだ足りないことはたくさんあるが、(RIZAPが)こんなに変わったと言われるように、結果を出していきたい」と決意をにじませました。

9月中間の連結業績(国際会計基準)は売上高が前年同期比2.5%増の1,083億円、営業利益が27億円(前年同期は58億円の赤字)でした。
本業のもうけを示す営業利益は、9つある上場子会社の8社が黒字を達成しました。
前年同期は6社が赤字に陥っていましたが、このうちフリーペーパー発行大手の「ぱど」を除いて黒字転換しました。

ぱどについては、赤字幅が半減したものの、短期的に収益改善が期待できないとして、12月に売却することを決めています。
売却金額は約24億円で、グループ傘下の会社・事業の売却は2018年10月に事業構造改革に着手して以来4件目ですが、9社ある上場子会社では、ぱどが初のケースです。
売却益として約10億円を計上します。

ちなみに、上場子会社9社の取得価格は166億円です。
これに対して持分時価は379億円(2019年11月13日時点)で、子会社の大半が再建途上ながらも230億円近い投資効果を生んでいる計算です。

<RIZAPグループ傘下の上場会社9社>

買収年 社名 業務内容

2013

イデアインターナショナル

インテリア雑貨、旅行用品など

2014

SDエンターテイメント

エンタメ事業を売却、
ウェルネス(健康)事業に集中

2015

夢展望

衣料品ネット販売

2016

HAPiNS

インテリア・生活雑貨

MRKホールディングス

体型補正下着、ヘアサロン関連

2017

ジーンズメイト

ジーンズなどカジュアル衣料専門店

ぱど
(12月売却予定)

フリーペーパー発行など

堀田丸正

和装・洋装、寝装

2018

ワンダーコーポレーション

ゲームソフト、CD、文具など

中核であるフィットネスなどのRIZAP関連事業の売上高は微増の222億円(前年同期は221億円)でした。
5月半ばに発表した赤字決算が響き、7月にかけて入会者数が伸び悩んだそうです。
「8月以降は上向いている」(瀬戸社長)とし、下期に巻き返しを期しているようです。

2020年3月期(通期)予想は売上高1.1%増の2,250億円、営業利益32億円(前期93億円の赤字)、最終利益5億円(同193億円の赤字)となっています。
今回の中間決算段階では従来予想をそのまま据え置きました。

この点について、瀬戸社長は「足元をしっかり一歩一歩固めていきたい。本当の意味での成長は来期以降。今期中に(課題を)すべてやってしまいたい。必要な投資があれば行う」との基本スタンスを強調しました。
また、下期に何らかの大きな損失が出る可能性の有無については「確度が高いものはない」とかわしました。

RIZAPは積極的な企業買収を成長の原動力としてきましたが、買収した企業の経営改善の遅れなどで2019年3月期は193億円の最終赤字(2018年3月期は92億円の黒字)に転落しました。
このため、M&Aを凍結し、本業のフィットネス事業と関連性や相乗効果が乏しい事業の売却や整理を進めてきました。

業績不振の企業を純資産より割安な価格で買収し、この差額を「負ののれん」として利益計上してきました。
しかしながら、子会社化した企業が早期に赤字から脱却できなければ、連結業績の足を引っ張るリスクがあり、それが現実となっていました。

RIZAPは2020年度入りに合わせ、新中期経営計画をスタートさせる予定です。
「下期にしっかり結果を出す」としたうえで「当社の強みを磨き、新たな価値創造をしていきたい」と意欲的に語りました。

成長の両輪と位置づけるのが、20~40代を中心とした「美容・ダイエット」と、法人、ミドル・シニア世代を対象とする「健康・ヘルスケア」です。
シニア向けの新プログラムについては、来年度発表に向けて「今まさに開発中」としています。

個人的には、本業がしっかりしているので、立て直してくるとは思っていましたが、結構早かったですね。
いわゆる『負ののれん』で収益を稼いでいた企業ですが、きちんと子会社を立て直し、将来的には、再び再生などを手掛ける企業になるのではないかと思っています。
色々と処分したり、黒字化したりしていますので、ノウハウもかなり得ているのではないかと思います。
今後も期待したい企業の一つです。

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「焼肉店」のM&Aが再燃?

 M&A Onlineによると、焼肉店のM&A(合併・買収)がじわり増えているようです。
上場の外食企業が買い手となる案件は2018年はゼロでしたが、2019年はこれまで3件を数えています。
ターゲットは、いずれも都内に本拠を置く焼肉店です。
同業同士は1件で、残る2件は居酒屋チェーンが新業態として「焼肉」に取り込むケースです。

海鮮居酒屋で知られるチムニーは焼肉業態に進出します。
2019年12月1日付で、都内や埼玉県で「牛星」など焼肉店10店舗を経営するシーズライフ(東京都渋谷区)の全株式を取得して子会社化します。
ちなみに、買収価格は非公表です。

シーズライフは2011年に設立し、直近売上高は約8億7,300万円です。
焼肉「牛星」8店舗、焼肉「山河」2店舗のほか、居酒屋「熟成魚うらら」1店舗を運営しています。
首都圏以外では我がうどん県(香川県)内に「牛星高松空港通り店」を唯一出店しています。

チムニーは「はなの舞」「さかな道場」「豊丸水産」などのブランドで全国732店舗(2019年9月末)を展開しています。
海鮮居酒屋以外に、鶏肉や串焼き、もつ煮といった専門店も持っていますが、焼肉業態はこれまで手がけていませんでした。
居酒屋業態は競争激化や客足減少などで苦戦が続いており、新業態の開発を課題としていました。

2018年11月には、チムニーの親会社である酒類販売大手、やまやが「つぼ八」を日鉄住金物産(現日鉄物産)から買収しました。
現在、チムニーとつぼ八を合わせた店舗数は約920店舗で、規模拡大による調達コストの削減などを進めてきました。

そうした中、チムニーが繰り出したのが焼肉業態への参戦です。
戦線拡大に向けて第2、第3のM&Aも十分に考えられます。

2019年5月、飲食業の弥七(東京都港区)から立ち食い焼肉「治郎丸」を買収したのは海帆です。
海帆は名古屋で居酒屋「なつかし処昭和食堂」を中心に、レストラン、ギョウザ、油そば、タンメンなどの約90店舗を運営していますが、焼肉は初挑戦です。

「治郎丸」は比較的珍しい立ち食いスタイルの焼肉店です。
寿司屋を思わせるカウンター席に小さなコンロが置かれ、好みの肉を一切れずつ注文できます。
値段は1切れ30円から高級なもので300円ほどで、新宿、渋谷、御徒町、秋葉原、大井町、荻窪の都内6店舗があります。

都内では2011年に出店した1店舗(池袋、居酒屋)にとどまっていましたが、「治郎丸」の買収で本格的な足場を築いた形です。
今後、本拠地の名古屋で「治郎丸」ブランドを投入することになるのかどうか注目されます。

中部地区を地盤に焼肉チェーンを展開する、あみやき亭は2019年4月、「ホルモン青木」で知られるホルモン焼肉専門店を都内で6店舗展開する杉江商事(東京都江東区)の全株式を取得して子会社化しました。
あみやき亭は中部と関東で合計266店舗(2019年10月末)を展開していますが、関東ではとくに都心部への出店加速を課題としていました。

傘下に収めた「ホルモン青木」は行列店としても知られる“名店”です。
あみやき亭は関東で焼肉業態の店舗として「スエヒロ館」「炭火焼肉かるび家」「ブラックホール」を展開していますが、いずれも買収で傘下に収めています。

上場企業に義務づけられた適時開示情報をもとに、M&A Online編集部が調べたところ、経営権の移転を伴うM&A(グループ内再編は除く)件数は今年に入り697件(2019年11月11日時点)です。
業種別では外食関連が26件あり、このうち焼肉店を買収先とする案件は3件と全体の1割強を占めています。
2018年までの過去3年間、焼肉店がターゲットだと明確に認められる案件は見当たらず、2019年は一転、M&Aが再燃した格好です。

外食産業では市場が縮小に向かう中、新業態の取り込みや既存業態のスクラップ・アンド・ビルドが課題となっており、その過程で今後、焼肉店がM&Aの草刈り場になる可能性も考えられます。

過去、焼肉業界の大型M&Aとして思い出されるのは、2012年の「牛角」を運営するレインズインターナショナルの買収劇です。
居酒屋「甘太郎」などを展開する外食大手、コロワイドが約140億円を投じて傘下に収めました。
翌2013年には、回転寿司店「平禄寿司」などで知られるジー・テイストが「焼肉屋さかい」を運営する、さかい(当時ジャスダック上場)を吸収合併しました。

焼肉店の買収が進んでいるということは、将来的な収益への貢献が期待されるということでしょうね。
個人的には、『牛星』がなぜ関東以外で我がうどん県(香川県)高松市に出店しているのだろうか?、日本で一番決算発表の早い『あみやき亭』の名前を久しぶりに聞いたなぁと思いましたが、興味深くウォッチしていきたいと感じました。

「焼肉店」のM&Aが再燃していることについて、どう思われましたか?


ソフトバンクグループの窮地で孫正義氏が狙うLINE買収

 新聞などでも報道されましたが、その前に文春オンラインが取り上げていました。
ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長(62)が窮地に立たされています。
孫氏が組成した10兆円の「ビジョン・ファンド」が投資するシェアオフィス大手のアメリカのウィー・カンパニーが新規株式公開を延期し、さらに米ゴールドマン・サックスが同ファンドへの融資枠(約3,300億円)の一部を引き上げる検討に入ったと報じられたためです。

当初、ウィーは2019年9月に上場予定で、孫氏は「470億ドル(約5兆円)の企業価値がある」と豪語し、110億ドル(約1兆2,000億円)を投じてきました。
しかしながら、創業者のアダム・ニューマンCEO(最高経営責任者)による杜撰な経営が暴露され上場は延期され、ニューマン氏も辞任に追い込まれ、先行きは不透明です。

「市場では、ビジョン・ファンドが投資する他のユニコーン企業群についても疑念が持たれ始めています」(大手証券幹部)

孫氏は2019年8月の会見で、ビジョン・ファンドについて「7兆円を投資して2兆円利益を出した。来年3月までに5、6社が上場」と豪語していましたが、ウィーの失敗でシナリオが狂い始めました。
しかも、利益の大半は投資する未上場株の評価益で、約80社の投資先企業の価値が下がれば利益も目減りします。

危機を跳ね返す奇策はあるのか、孫氏が狙っているとされたのが、あの企業でした。

「国内8,000万人ものユーザーを持ち、85%が毎日アクセスするというLINEです。LINEの時価総額は9,300億円足らずで、プレミアムを加味しても十分射程に入る。また筆頭株主の韓国ネイバーが株の約73%を保有しているので、買いやすい」(市場関係者)

その仲介役とみられるのが、みずほフィナンシャルグループです。SBGとLINEの共通のメインバンクで「ソフトバンクから得る手数料は多い年に数百億円で、一蓮托生の関係」(メガバンク幹部)です。
また、みずほとLINEは共同でネット銀行「LINE Bank」を設立、来年開業を目指しています。

「LINEは金融子会社『LINEフィナンシャル』を設立し、既存の事業者と組んで金融事業を強化しています。対話アプリが頭打ちとなり、新たな収益源として『LINE経済圏』の構築を図っているのです。しかし、金融事業を含む戦略事業の営業損益が赤字で、テコ入れは待ったなしの状況です」(エコノミスト)

メガバンク幹部が続けます。
「買収すればSBGの価値は飛躍的に高まる。ヤフー、ZOZOにLINEが加われば、アマゾンに対抗できるでしょう」

連結純有利子負債は2019年3月末で17兆円と世界2位のSBGですが、孫氏の真価が問われています。

先日、真っ赤っかの大赤字の決算を発表した孫氏は何かを仕掛けてくると思いましたが、早かったですね。
実現すれば、楽天を追い抜くようですので、すごい規模になりますね。
ただし、銀行、証券会社、クレジットカード会社、生命保険会社、損害保険会社などを、おそらく計画的に次々と子会社化してきた楽天と比べると、LINEペイを手にしたとしても、収益源となる金融関係がまだまだ弱いような気はしますね。

ソフトバンクグループの窮地で孫正義氏が狙うLINE買収について、どう思われましたか?


M&Aに対する企業の意識調査!

 日本経済が持続的に成長するためには、企業がこれまでに培ってきた技術やノウハウ、貴重な人材や設備などを次世代に引き継ぐことが喫緊の課題といわれています。
こうしたなか、政府や行政などの支援も後押しとなり、中小企業における事業承継などの課題解決の手段の1つとして、M&Aが注目されています。
そこで、帝国データバンクは、M&Aに対する企業の見解について調査を実施しました。
本調査は、TDB景気動向調査2019年6月調査とともに行っています。
ここで、M&A とは、企業の買収や合併、一部株式を売買して資本提携することなどの企業戦略全般を指しています。
また、人材難などにより後継者がいない場合の事業承継の手段や事業の一部を譲渡することなども含められています。
なお、資本の移動を伴わない業務提携(共同研究、開発など)は含んでいません。

<今後5年以内に『M&Aに関わる可能性がある』企業>
近い将来(今後5年以内)における自社のM&Aへの関わり方について尋ねたところ、『M&Aに関わる可能性がある』(「買い手となる可能性がある」「売り手となる可能性がある」「買い手・売り手両者の可能性がある」の合計)企業は35.9%となりました。
また、「近い将来においてM&Aに関わる可能性はない」が39.0%、「分からない」が25.1%となりました。
企業の3社に1社が何らかの形でM&Aに関わる可能性がある一方、M&Aに関わる可能性がない企業も4割近くにのぼりました。
『M&Aに関わる可能性がある』企業を業界別にみると、『小売』が42.7%でトップとなりました。
次いで『金融』(42.0%)、『サービス』(41.2%)、『運輸・倉庫』(40.4%)が4割台で続きました。
他方で、『農・林・水産』(16.7%)は唯一1割台となっており、他の業界と比較するとM&Aに関わる可能性が極めて低い結果となりました。
従業員数別にみると、従業員数が多くなるにつれてM&Aに関わる可能性は高くなる傾向が表れました。
とりわけ「1,000人超」(56.3%)では半数を超え、「5人以下」(30.1%)と比較すると26.2ポイント上回っていました。
「M&Aの買い手となる可能性がある」企業からは、「将来を見据えた企業規模の拡大、事業戦略としてM&Aは必要と考えている」(建設機械器具賃貸、埼玉県)や「初期投資を考えるとM&Aの方が投資効率は高い」(旅館、愛知県)といった声が聞かれました。
一方、「M&Aの売り手となる可能性がある」企業からは、「事業承継のためにM&Aを考える時期は近いと思う」(乾物卸売、千葉県)や「当社を買収したいと思わせるように、魅力的な会社に成長させている」(ソフト受託開発、東京都)などの意見があげられました。
他方、「近い将来においてM&Aに関わる可能性はない」企業からは、「後継者が育っているので、弊社には不必要」(製紙機械・パルプ装置製造、大阪府)や「現状は考えていないが、条件が合致すれば、買い手として考えてみても良い」(包装用品卸売、埼玉県)などの意見が聞かれました。
既に後継者や事業承継の道筋が立っている企業からは、そもそもM&Aを検討していないという声もあがった一方、条件などが合致すれば検討するなど前向きな企業もみられました。

<買い手として相手企業にM&Aを進める上でどのようなことを重視するか?>
「買い手となる可能性がある」または「買い手・売り手両者の可能性がある」企業に対して、買い手として相手企業にM&Aを進める上でどのようなことを重視するか尋ねたところ、「金額の折り合い」が76.8%で最も高くなっています(複数回答、以下同)。
次いで、「財務状況」(70.3%)、「事業の成長性」(67.4%)、雇用維持などの「従業員の処遇」(54.6%)、「技術やノウハウの活用・発展」(54.3%)が続きました。
他方、「売り手となる可能性がある」または「買い手・売り手両者の可能性がある」企業では、「従業員の処遇」が78.3%でトップとなり、「買い手」の同選択肢を23.7 ポイント上回りました。
企業からも「従業員などの生活基盤が大きく崩れないよう配慮する必要がある」(鉄鋼卸売、東京都)や「今後、廃業かM&Aかの選択を迫られれば、従業員の事を考えるとM&Aを選ばざるを得ない」(油圧・空圧機器製造、京都府)などの声が聞かれ、従来から雇用している従業員の今後を第一に考えている様子がうかがえました。
次いで、「金額の折り合い」(72.7%)、「経営陣の意向」(50.4%)、「人事労務管理や賃金制度」(35.9%)、「財務状況」(32.6%)が上位にあげられました。
「金額の折り合い」は「買い手」「売り手」企業ともに7割を超えており、売買金額を重視する割合は非常に高くなっています。
また、雇用維持などの「従業員の処遇」では「売り手」企業が「買い手」企業を、「財務状況」「事業の成長性」などでは「買い手」企業が「売り手」企業を大きく上回っていました。
立場によりM&Aを進める上での重要事項に大きな差異があることが浮き彫りとなりました。

<今後のM&A の必要性>
2019 年版中小企業白書では、社会の大きな変化や経営者の高齢化が進むなかで、「経営者の世代交代」「経営資源の引継ぎ」「構造変化への対応」が重要な課題として指摘されています。
そこで、これらの課題に関して、今後のM&Aの必要性について尋ねたところ、企業の51.5%が今後「M&Aの必要性は高くなる」と認識していました。
また、必要性は「変わらない」が21.7%、「M&Aの必要性は低くなる」が1.7%でした。
半数を超える企業でM&Aの必要性が高まると考えている一方で、「自社の役員・従業員、全員で対応をする予定」(医薬品小売、岡山県)という意見も聞かれました。
「M&Aの必要性は高くなる」と認識している企業からは、「後継者が不在である場合の事業承継の有効な手段になり得る」(医療用機械器具卸売、山形県)や「優良な技術を持つ企業がM&Aによって残っていくことができれば良い」(冷暖房設備工事、東京都)といった意見があがりました。
他方、「信頼のおけるM&A会社に仲介を依頼したいが、なかなか見当たらない」(冷暖房設備工事、北海道)や「M&A仲介業者の手数料が高すぎる。買い手として依頼出来ない」(鉄骨工事、静岡県)などといった意見もありました。
企業がM&Aを進める上で仲介業者との関係に頭を悩ませている様子もうかがえました。
また、「会員制の紹介プラットフォームがあれば誰もが利用できるのではないか」(再

生資源卸売、滋賀県)という指摘にあるように、M&Aの紹介サイトやマッチングサイトなどのWebサービスを期待する声もあがりました。

本調査結果から、企業の35.9%が近い将来(今後5年以内)に何らかの形で『M&Aに関わる可能性がある』と考えていることが明らかとなりました。
特に小規模企業からは「後継者の問題、技術の伝承などからみてもM&Aをもっと大いに取り上げ、国全体の問題として取り組んでほしい」(鉄鋼卸売、福岡県)といった声もあるように、事業承継問題の解決や貴重な経営資源の散逸を防ぐ手段としてM&Aに期待感を持っている様子が明らかになりました。
また、「後継者不足による廃業・営業縮小の企業を買収し、事業拡大を模索中」(飲食料品卸売、東京都)など、既にM&Aを検討し、業容拡大を目指している企業も多くなっています。
M&Aを進める上で相手企業に対し重視することは、両者の立場によって重視する項目に大きな違いがみられ、「買い手」企業においては相手企業の財務状況や成長性を重視する一方で、「売り手」企業においては既存の従業員の処遇に重きを置いていました。
また、売買金額についての関心は高く、「買い手」「売り手」企業を問わず7割を超えています。
他方、今後、社会の大きな変化や経営者の高齢化が進むなかで、企業規模に関係なく5割以上の企業でM&Aの必要性は高まるとみています。
しかしながら、実際にM&Aを進める上では、適切な情報収集や仲介役となる企業との関係性などが課題という声が聞かれました。
政府や行政は、M&Aが企業の直面する課題解決の手段として活用されるよう、引き続き取り組み支援や財政支援を行う必要があります。
特に中小企業においては、行政をはじめとする公的な機関に加えて、民間の仲介業者の必要性も高まるなかで、買い手と売り手をつなぐマッチングサービスの充実などが重要となるでしょう。

個人的には、国も力を入れていますし、安価なコストで利用できるマッチングサイトも増えてきているように思いますが、まだまだアピールができていないということでしょうね。
売買金額が重要なことなのは当然だと思いますが、僕もM&A案件に年間数件関わらせていただいている感覚からすれば、売り手は既存の従業員の処遇に重きを置き、買い手は相手企業の財務状況や成長性を重視するのは肌感覚と合っています。
僕自身も、M&Aのお手伝いをしていることがまだまだアピールできていないので、1件でも多くのお手伝いができるよう取り組んでいきたいと思います。

M&Aに対する企業の意識調査について、どう思われましたか?


ライザップが子会社不振で純損失193億円に転落!

 トレーニングジム大手のRIZAP(ライザップ)グループが先日発表した2019年3月期決算(国際会計基準)は、純損益が193億円の赤字(前年は90億円の黒字)となり、大幅な赤字に転落しました。
この日開示した決算短信に、企業としての存続に疑義を生じさせるような状況があるが、対策を講じている場合に記載する「継続企業の前提に関する重要事象等」(いわゆるゴーイングコンサーン注記、GC注記)をつけました。
つまり、経営上のリスクが高まっているということです。

 期初は純損益が159億円の黒字になると見込んでいましたが、2018年11月に業績予想を下方修正し、70億円の赤字になるとの見通しを発表していました。
赤字幅はこの予想より123億円拡大しました。
売上高は前年比82.3%増の2,225億円でした。

ちなみに、2020年3月期の業績予想は、売上高が前年比1.1%増の2,250億円、純損益は5億円の黒字となっています。
資金が必要になる事態に備えて、取引銀行3行との間で計70億円の融資枠(コミットメントライン)を設定することも発表しました。

ライザップは、積極的なM&A(企業合併・買収)で事業規模を拡大してきましたが、傘下に収めた企業の再建が進んでおらず、拡大路線を転換しました。
新規のM&Aを凍結し、不採算企業の整理に乗り出しています。
ただし、傘下に収めた企業の経営改善に向けて2018年6月に招いた元カルビーCEO(最高経営責任者)で、「プロ経営者」の松本 晃氏は2019年4月に、取締役を2019年6月に退任すると発表しています。

松本氏がいなくなって大丈夫なのかという気はしますが、本業は順調なようなので、しばらくは本業で利益を出し続け、組織的にも経営者となれるような人が育ってくれば、再び、M&Aで拡大していって欲しいと思います。
CMに出ていた方々は、痩せたあとどうなっているんでしょうね?
個人的には、そのあたりも気になります。

ライザップが子会社不振で純損失193億円に転落したことについて、どう思われましたか?


日本企業による海外M&A実態調査報告書!

 経済産業省は、2018年夏より、M&A経験豊富な海外企業や外資系投資ファンドへのインタビュー、日本企業とのグループディスカッションを含むワークショップ等を通じ、M&Aの最前線に立つ国内外企業の「生の声」を集め、日本企業による海外M&Aの課題を整理した報告書にまとめました。

1.報告書作成の背景
近年、日本企業がグローバル規模で成長を実現していく上で、海外M&Aが重要かつ有効なツールとして認識され、日本企業による海外M&Aは増加傾向にあります。一方で、海外M&Aの難易度の高さから、期待されていた成果を十分あげられないケースが少なくありません。こうした背景から、平成29年度に経済産業省は、「我が国企業による海外M&A研究会」を発足させ、日本企業が抱えるM&Aに関する課題を有識者とともに検討し、海外M&Aを有効に活用していく上での留意点や事例を報告書と「海外M&Aを経営に活用する9つの行動」として取りまとめたところです。

平成30年度においては、上記取組をさらに深化させ広く共有することで、日本企業が激しいグローバル競争環境の中で十分に成果を得られるように、以下のような調査を実施し、報告書にまとめました。

2.調査内容
•海外M&Aの課題や対応策をさらに具体化させるため、買収契約成立後の統合プロセス(PMI:Post Merger Integration)の一環で現地に派遣されている日本企業の駐在員や買収先の経営陣を複数名集めた座談会の開催(米国・英国・シンガポール)および海外企業(米国・英国・独国・シンガポール・インドで計15社)・外資系投資ファンド(日本未進出のファンドを含む計5社)等へのインタビューの実施
•「9つの行動」を活用して海外M&Aに関する留意点等を日本企業に幅広く浸透させること、及び日本企業が抱える課題の深堀を行うことを目的として、海外M&Aに取り組んでいる又は取り組もうとしている企業を対象とした、双方向での議論を含む国内ワークショップの開催
•海外企業・外資系投資ファンドへのヒアリングを通じて、日本への投資における魅力及び課題と、海外M&Aにおける工夫点や事例等を整理

3.報告書概要
海外M&Aにおける日本企業の課題は、グローバルで事業を行うに当たって直面する「グローバル経営力の不足」、「グローバル経営の制度・仕組みの未整備」、そしてM&Aを効果的に実行するための「M&Aプロセス全体を意識した「型」作りの不備」の3つに整理されます。
1.グローバル経営力の不足
– 自社の経営理念・ビジョン・強み、M&Aの位置付けを明確に「伝える力」
-「伝える力」に必要となる「言語力」
– 買収後の経営を効果的に推進するための「異なる企業文化への適合力」
2.グローバル経営の制度・仕組みの未整備
– 説明責任・結果責任を意識したコーポレートガバナンスへの対応
– インセンティブの仕組みを含むグローバルスタンダードの報酬制度
3.M&Aプロセス全体を意識した「型」作りの不備
– M&Aの戦略、実行、PMIの各プロセスにおいて押さえるべきポイントの明確
– M&Aへの取組にかかわる組織体制

上記の通り、海外M&Aでは、異なる言語・文化・商慣習・制度を有する海外企業を買収し経営管理していく必要があるため、グローバルで共通とされる経営力を備え、かつ、グローバルで多く取り入れられ、当たり前とされている制度や仕組みに対応することが不可欠であり、国内M&Aとは大きく異なる点といえます。また、M&Aを行う際の戦略から検討・実行、買収後の経営管理までの一連のプロセスの型を持っているかという点も問われています。

当たり前のことを書いているような気はしますが、日本国内企業同士のM&Aでも上手くいかないケースが結構あるわけですから、海外M&Aはそれ以上に難しいでしょうね。
豊富な資金力を活かして海外のM&Aをたくさん仕掛けたものの、失敗しまくりのNTTドコモなどが良い失敗例ですね。
その辺は十分に認識したうえで、海外M&Aを進めて欲しいですね。

『日本企業による海外M&A実態調査報告書「海外M&Aと日本企業~M&Aの最前線に立つ国内外の企業の声からひもとく課題克服の可能性~」をまとめました!』について、どう思われましたか?


建設業界のM&Aのピークは2021年!

 M&Aの市場が拡大を続けています。
2017年の日本のM&A件数は3,050件(2018年版中小企業白書、㈱レコフデータより)と過去最高となりました。
後継者がいない中小企業の事業承継や事業規模の拡大、海外進出への足がかりなど、ニーズは様々です。

東京商工リサーチ(TSR)は、中堅・中小企業に特化したM&A仲介の㈱日本M&Aセンター(東京都千代田区、東証1部)の三宅卓社長に業界の課題と今後の展望を聞いています。

-現在の業界のトレンドは?
2つの大きな波が来ている。1つは事業承継型のM&Aの波。団塊の世代が70歳を超え、後継者不在率が66%を超えている。今、まさに後継者問題に差し迫っている企業が爆発的に増えている。それにも関わらず、後継者がおらず、10年間で83万社が減少するという調査もある。約400万社のうちの83万社。このため、国や経済産業省をはじめ、地方創生を合言葉に中小企業を救っていこうという動きがある。こうした状況で事業承継型が非常に増えているというのが1つの大きな波だ。

-もう1つの波は?
もう1つは「就業人口が激減する」というもの。20~64歳が、2000年に約8,000万人いたのが、2025年に6,600万人、2060年には4,400万人にまで減少するという。働く人が約半分になる。ということは、モノを買う人も半分になってしまう。「家を買う」、「車を買う」、「洋服を買う」など、その行為は20~64歳が中心。モノを作る人が半分、モノを買う人も半分になるということは極論を言えばGDPが半分になる。輸出・輸入を考慮する必要はあるが、GDPは少なくとも激減する。そうすると企業の数も激減する。実際には、強いところが弱いところを買収する形で「業界再編」が起こるだろう。すでに再編が多く起こっているのは、ドラッグストア、調剤薬局を皮切りに、建設業、IT・ソフトウェア関連。さらに食品業。これらの業界は再編の波が起こっている。しばらくはこの波が続くだろう。

-M&Aが顕著な業種は?
建設業だ。ただ、東京五輪のあと1年ぐらいが(M&Aの)ピークだと思う。M&Aが盛んで、建設業だけでなく周辺業種も含めて非常に活況を呈している。今は仕事があり、技術者が足りないので買収ニーズが強い。一方、後継者不在による譲渡ニーズも強い。譲渡を希望する場合、買い手が豊富にいるので会社は売りやすい。だが、東京五輪が終わって1年ぐらいの後処理期間を挟んだ後は、民間も公共もかなり冷えむと予測する。仕事が減るため、建設業界のM&Aは激減していくだろう。「売る」のも、「買う」のも、東京五輪プラス1年ぐらい。2021年ぐらいまでがピークだろう。

-建設業以外でM&Aが顕著な業種は?
製造業も多い。これから自動車関連業界のM&Aが増えていくと思っている。自動車の電動化が進めば使用する部品が減る。海外移転も進んでいく。メーカーが海外に行っても、下請けは簡単に海外移転できない。海外展開している企業の傘下に入るのも有効な手段となる。ただ、自動車産業はまだこれから。
ソフトウェア会社は業態が古く顕著だ。オフィスコンピュータ時代の人がソフトウェア会社を作って、今、65歳とか70歳になっている。こういう人たちは、新しいスマホの時代に対応できなかったり、クラウドに対応できないということで非常に困っている。片やフィンテック企業やクラウド系の会社は技術者不足なので、そういう会社を買収し、「技術者を手に入れたい」、「得意先を手に入れたい」と思っている。M&Aも熾烈になっている。
また、就業者人口が激減している中で、働き手が得られない業種は、M&Aの増加が顕著だ。例えば、レストランチェーンや居酒屋チェーンなどの外食産業や運送、印刷は人手が確保できない。M&Aが増えている。

-病院・介護業界のM&Aの背景は?
病院の背景は2つあり、1つは後継者不足。ご子息が医師になっている場合も多いが、後を継がないことも多い。というのも、病院経営と医療の追求は両立しづらいからだ。息子が医者になっていても、医療の道を進みたいという意思が強い場合は、「高度医療をやりたい」とそのまま大学に残ったり、「自分で(患者さんの)ケアをやりたい」とクリニックを開業するケースも多い。
もう1つは、経営が難しくなっている点。レセプト(診療報酬)点数が下がっている。一方、病院は設備投資が増えている。清潔感のある病院じゃないと患者が来ない、高度医療機器、CTとかMRIも必要になっている。設備投資は増える一方で、診療報酬が下がっているので経営は厳しい。2つのこと(経営と医療)を両立させることは非常に難しい。
医師は“医療のプロ”ではあるが必ずしも“経営のプロ”ではない。昔は、診療報酬が十分に入ってきたので、医療のプロであれば経営も伴っていた。きちんとした医療をしていたら自然と儲かって両立できていたが、今は難しい時代になった。今は経営の能力も問われる。両立は難しいと判断し、経営能力のある大手の傘下に入って、「医療に特化していきたい」というケースがある。反対に大手は病院を多数買収してスケールメリットを出していかないと、なかなか採算が合わない。こうした背景で病院(のM&A)は増えている。
介護も同様だ。人手不足やヘルパーの賃金が低いなど劣悪な環境。車両やロボット化など積極的な設備投資が必要となり、スケールメリットを追求していかなくてはならない。

個人的にも、年々に何件かはM&A関連のお仕事をさせていただいていますが、僕の感じていることはおおむね間違っていないなぁというのを改めて感じました。
あとは、都会と地方では少し違うように感じてはいますので、その辺の情報を収集しつつ、良いサービスが提供できればいいなぁと思っています。

建設業界のM&Aのピークは2021年であることについて、どう思われましたか?


M&Aは成功から成約の時代へ!

 M&A成立後の統合プロセス“PMI(注、ポスト・マネージャー・インテグレーション)”が日本ではまだ浸透していません。
国内外のみならず、世界各地のM&Aに触れてきたなかで、日本は世界の中で最もPMIが苦手な国であると言えるでしょう。
それは、日本の企業文化に拠るところが大きいのではないでしょうか?
日本企業は“同一文化”の傾向が強く、M&A後に買収企業の新たな文化が加わった際、戸惑ってしまう場面も少なくありません。
買収企業は「こちらの気持ち分かりますよね?だからよしなにやってくださいよ」と“空気”に任せてしまうきらいがあります。
例えば、製造と小売が一緒になった場合など、文化は全く異なります。
それゆえ、互いに目標を明確に設定する過程や、企業文化の融合は欠かせないのです。
東京商工リサーチ(TSR)は、中堅・中小企業に特化したM&A仲介の㈱日本M&Aセンター(東京都千代田区、東証1部)の三宅卓社長にPMIなどについて聞いています。

-PMIに関して代表的な取り組みは?
 当社のPMIは成約式の実施等、企業文化の融合に特に注力している。当社は2016年にPMI支援室を設置し、その後2018年4月にPMIコンサルタント会社である(株)日本CGパートナーズ(TSR企業コード:027958264、千代田区)を設立した。
 PMIの取り組みのひとつとしては、成約式を専門に手掛ける“M&Aセレモニスト”を配置し、結婚式のような「成約式」を執り行う。成約式では企業間の相互文化理解につながるサービスを提案する。中でも式のハイライトともいえる“手紙の代読”は大変好評を頂いている。事業を譲渡する側の社長の奥様から、ご主人に向けた手紙をお預かりする。社長の一番そばで会社の成長を見続けてきたのが奥様。そんな奥様が綴る会社への想いの数々に式出席者は皆、感動し感銘を受ける。また、その模様を買い手企業の役員会で放映する。それを観ることで「自分たちは前経営者がこんなに苦労して築いた事業を承継したんだ」と、よりM&Aへの思いを強くする。(映像を)流すのと流さないのとでは結果が全く違う。M&A後の文化相違の解消につながっている。

-成約式セレモニーを行うきっかけは?
 結婚の仲介・紹介会社の取り組みを参考にした。民間調査で、結婚式を挙げなかったカップルは、挙げたカップルに比べ離婚率が高いという統計を見た。その差は倍以上だった。それを目にして「この統計結果はM&Aにも共通するだろう」と。
 例えば、結婚式やパーティーを通じて親類縁者に「この人が私の奥さんです」、「旦那さんです」と紹介する。そうすると「奥さん元気?」、「旦那さん元気?」、「何か困ったことがあったら相談してね」と、周囲の人間にちょっとした協力体制が生まれる。(結婚)式を挙げた夫婦に離婚が少ないという調査結果の要因の一つに周りの協力、理解がもたらす面も少なからずあるだろう。そこに目を付けた。

-M&A仲介会社が増えている
 現在、雨後の筍のようにM&A仲介会社は増加している。小規模を含めると現時点で300社あると言われている。その状況下、これからのM&Aは“成約”ではなく、“成功”の時代に向かっていく。(企業の)売りニーズも増えているし、買いニーズも増えているので、各案件の“成約”のハードルは下がってきている。でも、M&Aは“成約”がゴールではない。市場が成熟に向かっていくなか、しっかりとした“成功”を収めることができなければ、仲介会社もお客様から選ばれなくなる。結婚だって、結婚そのものが目的ではないはずだ。夫婦でどんな家庭を築き、どんな幸せを手に入れていくかが大事。「結婚できたから、まあいいや」ではない。それと一緒だ。

-地方創生が叫ばれて久しい
 創生に絡み、地方経済を支える各企業の構成は4つのレイヤーに分けられる。まず下層は、零細企業や商店が支える。3段目に中小企業、2段目に中堅企業が来て、一番上にその地元の核となる企業が存在し、地域経済が成り立つ、というものだ。その上で、国内各所でこれまでよく議論されてきたことが、“中小企業をどう存続させていくか”。でも、地方だって都心と同様、中小企業だけで成り立っているわけではない。中小企業だけが存続したところで地元経済は果たして救われるのか―と。さらに、規模の小さい零細企業にも目を向けなければ、地域経済は支えられない。零細を含めたM&Aのウエートは地方で高まるだろう。

-零細の具体例でどのような会社があるか
 例えば、秋田県や島根県の山間部に行くと、10台しか車両のないタクシー会社がある。営業を続けてきたが、経営者が廃業を考えはじめた。しかし、そのタクシー会社がなくなると、地域住民の“足”に多大な影響を及ぼすことが予想される。交通インフラが半ば崩れてしまうような地域-例えば、1日1往復しかバスが運行しないような地域。子供も都心に出てしまい、夫婦や独居で暮らすお年寄りだと、そのタクシー会社がなくなるだけで医療機関にも満足に通えなくなるし、食品の買い出しだってままならなくなるだろう。でも、これが東京になると話は別。逆に10台のタクシー会社が廃業しても地域への影響はものすごく限定的だ。

-自治体からの仲介ニーズは?
 年々高まっている。自治体だけの力では、事業承継や譲渡を必要としている会社の把握は難しい。2018年に、弊社ではインターネット上で零細企業向けのM&A、事業譲渡の仲介を行う「バトンズ」をグループ会社のアンドビズ(株)(TSR企業コード:027958426、千代田区)でスタートした。手数料も通常のM&A案件の10分の1、20分の1の低価格で実現できる。街の商店レベルで事業承継が可能となった。このような背景もあり、自治体からの問い合わせは今後もっと増えるだろう。今、市や県レベルでは年10数件ペースで相談を受けているが、間もなく数十件のレベルに達する。

-経営者の高齢化、後継者不足も深刻だ
 後継者問題を後回しにする経営者は多い。私も60歳になって久しいが、やはり経営者は60代になったら「3つのこと」を考えなければならないと思っている。▽会社▽家族▽自分の人生のこと、これらをちゃんとテーブルに載せて見つめ直す機会が必要だ。特に、「会社のこと」は会社を成長戦略にのせてくれる相手にしっかり事業承継しなければならない。従業員のいることなのだから。実の子供か、娘婿か、はたまた第三者か、成長戦略を実現してくれる人がみつかれば、潔くM&Aを決断すべきだと思う。会社には関係者がたくさんおり、単なる“私物”ではないのだから。しかしいつまで経っても“会社”“仕事”から離れられない経営者は多い。

-なぜそのような傾向にあるのか
 それは、中堅・中小企業の社長さんがバリバリの「営業マンタイプ」と「技術者タイプ」が多いからだろう。大企業での総合企画部あがりや人事部あがりの人材が多いのとは対照的。営業マンタイプ・技術者タイプ両者に共通するのが「前向きの問題解決は極めてポジティブ」だ。逆に、「後ろ向きの問題解決は面倒に思う」傾向にある。例えば、突然クライアントから強力な値下げを要求されたとか、競争相手が現れて値下げを要求された際には、値段交渉のために先方の元に向かう。片や、経理のことや健康診断、後継者問題等、自身の得意とする業務以外になると「考えたくない」、「後回しにしたい」と思ってしまう。

-事業承継に伴う課題も山積している。業界の今後の見通しは?
 全国津々浦々、事業承継問題は今後10年間、活発になりピークを迎えていく。その中で、新しいM&A仲介会社やコンサル会社ができてきていて、業界としてはますます活発化するとみている。業界内で特徴がある企業が現れてサービスレベルの更なる向上が望めそうだ。
 一方で経験の少ないプレーヤーも相当に増えていくだろう。PMIのことを考えず、成約のことしか頭になくM&Aを進める新興業者だって増える可能性がある。私たちはセミナーを全国で開催し、事業承継のプロセスや重要性を経営者さんにお伝えしている。弊社で毎年開催している「M&Aカンファレンス WiNNOVATION」は「法務」、「PMI」、「海外M&A」など多岐に渡る講演が好評をいただき、昨年は3,000名の参加申し込みがあった。今年も東京・台場で2月26日に開催する。

-業界の中でも淘汰される会社も増えるか
 今後、仲介会社が増えることで、淘汰も進んでいくだろう。企業を買う側、買われる側も「どこにM&Aを頼むか」としっかり見極め、考えなければいけない時代に入っていく。しっかり見極めていただきたい。M&Aはものを売ったり買ったりするほど簡単なものではない。経営者は従業員の“人生”という大きなリスクを背負っている。だからこそ、絶対に失敗できない仕事である。そこを業界全体でどう担保していくか、リーディングカンパニーとして、その見本を私たちが示していく責務があると思っている。

 M&Aは企業同士の結婚-。三宅社長は、M&Aをこう表現する。何よりも「互いに夢を育み、新しい世界を築くための結婚(M&A)。仕方がないからと妥協してはいけない。将来のことをしっかり考えて」と成長の大切さを訴える。

 現在、「高齢化」、「地方創生」など、企業を取り巻く環境は厳しさを増している。経営者が業界の現状や自社の不調に気付かず、「やむを得ずに会社を失ってしまうケースは少なくない」(三宅社長)と経営者の“決断機会の損失”に警鐘を鳴らす。同時に、三宅社長は「60(歳)を過ぎたら、自分と会社の来し方を振り返り、行く末を考えなければならない。会社を支えてきてくれた従業員さんを思うなら尚更」と、決断に悩む経営者に“心から”のメッセージを送る。

(注)PMI(ポスト・マネージャー・インテグレーション) M&A成立後の統合過程。M&Aの当事者である買収側、承継側のシナジー効果発揮のために行う戦略・販売体制・従業員意識等の目標設定や実現に向けての進捗管理。

何年も前から言われていますが、PMIが重要ですね。
失敗している事例も多いでしょう。
僕も、『M&Aは企業同士の結婚のようなもの』と言っていますが、我々、M&A関連する業務を行っているところは『仲人』だと思いますので、PMIのことも考えて業務をやっていきたいですね。

M&Aは成功から成約の時代へ向かっていることについて、どう思われましたか?


RIZAPがグループ企業の「減量」で損失を計上!

 先日、RIZAPグループ㈱(札証アンビシャス)は20193月期第3四半期(4月~12月)の決算説明会を開きました。
説明会には瀬戸 健代表取締役社長、松本 晃取締役が出席しました。

20193月期第3四半期(累計)は201811月から着手している構造改革により、営業利益は▲579,900万円(前年同期808,200万円の黒字)、四半期利益は▲812,600万円(同52100万円の黒字)と大幅な赤字を計上しました。
グループ会社の「減量」による構造改革について、瀬戸社長は「今期中に損失を確定させる」と強い意欲を見せました。

美容やヘルスケアを中心としたRIZAP関連事業の好調に加え、新規連結が寄与して第3四半期の累計売上高(連結)は1,724400万円(前年同期比73.9%増)と、7期連続の増収となった。
一方、利益は「グループ企業の経営再建の早期完遂」、「事業の選択と集中」、「新規M&Aの原則凍結」を柱とする構造改革を進め、大幅な赤字を計上しました。
具体的な構造改革として、201812月に連結子会社のSDエンターテイメント㈱(JASDAQ)のエンターテイメント事業を北海道SOキャピタル㈱に売却し、20191月には㈱ジャパンゲートウェイを㈱萬楽庵に譲渡しました。
これに伴い、第4四半期は77,000万円の売却損を計上しました。

4四半期は、グループ企業・事業の再編を集中的に実施し、構造改革を加速させる方針を明らかにしました。
瀬戸社長は、「多額の赤字を出している企業を優先し、大きく踏み込んで再生に注力する」とし、今期中に「(構造改革に伴う)損失を確定する」と語りました。
これに伴い、事業売却損及び構造改革関連費用の追加発生が見込まれますが、通期業績への影響は「精査中」としました。

会見に詰めかけた記者からは、損失の具体的な金額、売却対象となるグループ企業への質問が相次ぎましだ。
瀬戸社長は明言を避け、「今期中に大きく踏み込んで損失を確定させたい」と強調するにとどめました。
構造改革担当の松本取締役は、構造改革のスピード感を問われ、「まあまあ」と評価しました。
瀬戸社長と松本取締役のコミュニケーションは取れており、ロードマップで進捗を確認しているそうです。
松本取締役は「ひとつひとつやっていけば2019年には少しずつ回復し、2020年には本格復活できるのではないか」と見通しを述べました。
自身の去就を問われ、松本取締役は「役目は半分終わったと感じている」としながらも、「去就は決めていないが、瀬戸社長との関係は切れることはない」と明言しました。

4四半期で一層の事業売却を進め、20193月期で損失を確定、来期への黒字復活を見すえています。
RIZAPグループが「減量」をコミットできるか注目されますね。

松本取締役は非常に優秀な方だと思いますので、『減量』も思った以上に進んでいるように感じました。
ここで、去就を問う方もどうかと思いますね。
早くグループ企業を『減量』していただき、事業として、個人だけでなく企業も『減量』できる企業になれるのではないかと密かに期待しております。

RIZAPがグループ企業の「減量」で損失を計上したことについて、どう思われましたか?


伊藤忠商事vsデサントの断絶を招いた根本原因!

 「(デサントの)ガバナンスに関してかなりの懸念を持っている」と、伊藤忠商事の鉢村剛CFO(最高財務責任者)は、2019年2月5日の決算会見で述べました。

伊藤忠商事とスポーツウェア大手デサントとの不協和音が止まりません。
伊藤忠商事は、2019年1月31日、デサントへの出資比率を現在の30.44%から最大40%に引き上げるべく、TOB(株式公開買い付け)を行うと発表しました。
買い増しが順調に進めば、伊藤忠商事は株主総会で拒否権を発動できる3分の1超を確保することになります。

東洋経済オンラインによると、伊藤忠商事とデサントの付き合いは、約50年にのぼります。
1980年代からデサントの筆頭株主となった伊藤忠商事は、1984年と1998年の2度にわたる経営難の際、デサントを支援してきました。
その両社が今、仲たがいするのはなぜでしょうか?
その経緯を時系列で追うと、両者の断絶をもたらした事件の数々がみえてきます。

デサントが伊藤忠商事に対する不信感を強めたのは2011年ごろからです。
2011年、デサントが伊藤忠商事から仕入れる額を年間100億円から150億円へ引き上げるよう、伊藤忠商事出身の社長が社内に呼び掛けました。
翌2012年にはこの150億円の目標値を達成するために、「通し」や「付け替え」が、伊藤忠商事からデサントへ要請されました。

通しとは、デサントが伊藤忠商事以外の商社から仕入れている取引について、伊藤忠商事が間に入ったような形に伝票上変更することです。
一方、付け替えとは、デサントがほかの商社から仕入れている取引を、伊藤忠商事に代わって取引することです。
これらはデサントの仕入れ政策をゆがめ、商品力を落としかねず、「到底受け入れ困難なものだった」(デサントの公表資料より)。

大株主としての立場を利用して、商社としてのビジネスの拡大を図る伊藤忠商事の姿勢に、デサント社内での反発は高まりました。
その空気のもと、2013年2月には創業家出身の石本雅敏氏のデサント社長就任が決まりました。
この人事を決めた取締役会に際しては、事前に伊藤忠商事側への根回しはなかったそうです。

デサントによれば、石本社長の就任と同時に、一連の経緯を社内委員会で調査し、結果をまとめた文書を伊藤忠商事に届けました。
しかしながら、その後も両者の間でこの問題をめぐる対話は深まりませんでした。
長年にわたる信頼関係は傷付いたまま、放置されていたのです。
伊藤忠商事はデサントからの問題提起に応えるわけでも、信頼関係回復のためのアクションをとるわけでもありませんでした。
この後、数年にわたって伊藤忠商事が沈黙を続けた理由は、大きな謎です。

そして2018年、両者の相互不信を決定的なものとする展開がありました。
6月に決算報告に訪れたデサントの石本社長と伊藤忠商事・岡藤正広会長CEOとの面談で両者のスタンスの違いが明らかになり、伊藤忠商事がついに実力行使を決断しました。
資本の論理でデサントを押さえ込むべく動いたのです。

2018年7月4日、伊藤忠商事がデサント株を買い増し始めました。
伊藤忠商事のデサントへの出資比率は2011年から25.7%で横ばいでしたが、7月4日以降、伊藤忠商事はデサント株を順次買い増しました。

すると、8月末、デサントがワコールとの包括的業務提携を発表したのです。
デサントの取締役には伊藤忠商事出身者が2人いますが、彼らへの事前説明がないまま取締役会に緊急動議として付議され、決まったようです。

その後、岡藤会長CEOと石本社長の会談内容が漏洩し、週刊文春11月1日号に「伊藤忠商事のドン岡藤会長のデサント“恫喝テープ”」として掲載されました。
ことここに及んで、両者の関係は修復不可能なまでに悪化したのです。

伊藤忠商事の説明によれば、11月中旬ごろ、デサントの石本社長からMBO(経営陣が参加する買収)による株式非公開化を検討しているとの連絡を受けました。
これに関わっているファンドは伊藤忠商事に対し、デサントは多額の借り入れをして市中の株式を買い取り、非上場化すると説明しました。
伊藤忠商事はデサントの財務体質が不安定になるとして、株式非公開化に反対し、「現経営陣の保身を優先し、社員を軽視している可能性がある」と指摘したのです。

そして2019年1月31日、伊藤忠商事はデサント株のTOBに踏み切りました。

これに対しデサントは2月7日、TOBに対して「反対」の意見を表明し、伊藤忠商事側の言い分に真っ向から異を唱えました。

「株式非公開化は、初期的に検討されたものにすぎず、負債の金額その他具体的な取引条件等の検討に至っておりません」「従業員との間の良好な関係を極めて重要視しており、現に良好な関係を構築してまいりました」「伊藤忠商事らの主張は、事実に反するとともに、極めて誤導的なものであり、非常に恣意的かつ悪意に満ちた内容でさえあると当社は考えています」と、反対表明のリリースに記しています。

2月8日には、デサントのホームページに、デサント労働組合執行部が伊藤忠商事のTOBに対して反対する声明が掲載されました。
組合は声明で、「当社の価値を支える労使の信頼関係や雇用、労働条件へ重大な影響を及ぼしかねない本TOBに対して、受け入れることはできない。今後両社の経営陣が敵対的ではなく、建設的な協議のもと平和的解決に導かれることを強く望みます」としています。

ただし、伊藤忠商事がTOBを中止する可能性は低いと思われます。
伊藤忠商事はなぜデサントから手を引かず、ここまでこだわるのでしょうか?
岡藤会長CEOが繊維カンパニー出身であることが影響しているのではないかと見る向きは少なくありません。
伊藤忠商事側には、今日のデサントをつくりあげてきたのは伊藤忠商事だとの思いもあるのでしょう。

伊藤忠商事の2018年度純利益は5,000億円が見込まれます。
デサントの2018年度の純利益は65億円の計画で、伊藤忠商事の株式持ち分に応じた純利益への貢献は20億円程度でしかありません。
1株当たり2,800円の買付価格を設定したTOBには、約200億円を投じることになります。
直近の株価に約50%のプレミアムを乗せた価格です。

割に合わないのではないかとの質問に、伊藤忠商事の鉢村CFOは「デサントは高い商品力を持っており、従業員のレベルも高い」とし、「デサントの持っている潜在力をフルに発揮できる環境、体制であるべきだ」と説明しています。

低迷するアパレル業界にあってデサントが手掛けるスポーツ分野は「伸びしろがある領域」です。
2020年の東京五輪・パラリンピックなどスポーツイベントが控えているだけでな中国の旺盛な需要を取り込む余地は大きいと言えます。
とはいえ、約200億円の投資を上回る追加リターンを得られるかは未知数です。

伊藤忠商事は4月1日付で繊維カンパニープレジデントの小関秀一専務を理事とする人事を発表しました。
デサントへ小関氏を送り込む布石とみられます。
デサントの経営陣刷新へ向けて準備を着々と進めているようです。
伊藤忠商事にとってもこれだけの騒動となったデサントがまるで収益に貢献しないということになれば、今度は伊藤忠商事の株主から経営責任を追及されかねません。
TOBの期限は3月14日。あと1か月ほどあるため、その間に新たな展開もあるでしょう。
伊藤忠商事とデサントのなりふり構わぬ対立は、どう決着するのでしょうか?

伊藤忠商事のTOBに対し、ほとんど打つ手がないデサントが頼みの綱とするのは世論です。
世論を味方につけるには、デサントの主張の正当性や、伊藤忠商事が自社の利益を優先しデサントの企業価値を損ねる可能性が高いことを丁寧に説明する必要がありますね。

今回の対立の報道で知ったのですが、デサントは、ルコック、アリーナ、マンシングウェア、アンブロ、スリクソン、アヴィアなどのブランドを保有しているんですね。
僕の中ではあまり伊藤忠商事のイメージは良くないので、デサントに頑張って欲しいですね。
早く、ホワイトナイト(白馬の騎士)が現れることを期待しています。

伊藤忠商事vsデサントの断絶を招いた根本原因について、どう思われましたか?


4億円の赤字でも社長報酬14億円のあの“お騒がせ企業”がついに身売り!

 ミネベアミツミが売上高1兆円企業の仲間入りを果たすようです。
精密部品メーカーのミネベアミツミは、同じく東証1部上場の自動車ドア関連部品メーカーのユーシンを買収します。
2019年1月下旬からユーシン株に対して1株あたり985円でTOB(株式公開買い付け)を実施して、完全子会社にします。
買収総額は326億円を見込んでいます。

ミネベアミツミの2019年3月期の売上高は9,400億円、ユーシンの2018年12月期の売上高は1,510億円の見通しで、単純合計すると、連結売上高が1兆910億円の企業となります。

ミネベアミツミの貝沼由久会長兼社長は積極的なM&A(合併・買収)で、同社をベアリングから電子部品まで扱う総合部品メーカーに育てました。
自動車部品は電動化を背景に再編の最中にあります。

ミネベアミツミは自動車向けにボールベアリング(軸受け)や液晶バックライト、モーターなどを生産し、ユーシンは電子錠やドアハンドルなどを国内外の自動車メーカーに供給しています。
完成車メーカーと直接取引するユーシンの販売網を取り込み、成長市場と位置づける自動車分野を強化するようです。

貝沼氏は旧ミネベアの中興の祖といわれた元社長、故高橋髙見氏の娘婿です。
従業員10数人の日本ミネチュアベアリング(のちのミネベア)に入社した高橋氏は、1970年代から国内外でM&Aを重ね「買収王」の異名をとりました。

1985年から1988年にかけての、ミネベアによる世界的なオルゴールメーカー、三協精機製作所(現日本電産サンキョー)の乗っ取りは、M&A攻防戦の歴史に名をとどめます。
しかしながら、高橋氏の最後の乗っ取りは失敗に終わり、有終の美を飾れませんでした。

貝沼氏は慶應義塾大学法学部法律学科を卒業し、ハーバード大学ロースクール出身で国際弁護士の資格を持っています。
アメリカで弁護士をしていましたが、義父の招きで1988年にミネベアに入社しました。
胃がんに侵された高橋氏が三協精機の乗っ取りを断念した年です。
高橋氏は翌1989年に亡くなり、娘婿の貝沼氏に事業の後継を託したのです。

貝沼氏は松下電器産業(現パナソニック)との小型モーターの合弁会社の経営で事業家としての経験を積み、2009年、ミネベア社長に就任しました。
貝沼氏は義父譲りの買収による多角化とグローバル化を両輪に、攻めの経営を進めました。

貝沼氏の大型買収がミツミ電機との経営統合です。
ミツミ電機はスマートフォンメーカー向けのカメラの手ぶれ補正器などの電子部品の販売が落ち込み、2016年3月期の連結最終損益は98億円の赤字(その前の期は38億円の黒字)に転落しました。

ミネベアがミツミ株1株に対してミネベア株0.59株を割り当てて経営統合し、2017年1月、統合会社ミネベアミツミが発足しました。
モーターなど機械部品と電子・通信部品を幅広く持つ世界でも珍しい事業体となりました。
これはミネベアの歴史のなかでも最大級のM&Aとなりました。

貝沼氏は中長期計画で2020年3月期に売上高1兆円、2021年3月期に営業利益1,000億円の目標を掲げました。
2019年3月期の売り上げは9,400億円、営業利益は850億円の見込みです。
目標達成にあと一歩です。

「海外生産の立て直しに力を貸してほしい」
ユーシンは2018年8月、ミネベアミツミに支援を要請しました。
ミネベアミツミにとってユーシンの打診は「渡りに船」でした。
主力のスマホ向けバックライトの需要縮小が予測されていたからです。
ユーシンを買収すれば、売上高1兆円企業となる目標を達成できます。

ユーシンはなぜ、ミネベアミツミに“身売り”を申し入れたのでしょうか?
創業家と完全に訣別することにしたのです。

ユーシンは2017年1月10日、会長兼社長の田邊耕二氏が「一身上の都合」により辞任し、新社長には生え抜きの岡部哉慧専務が昇格しました。

ユーシンの“帝王”と呼ばれた田邊氏は、創業家の2代目として1978年に社長に就任以来、40年近くにわたって最高実力者として君臨してきました。
社長公募や10億円以上の高額報酬など、何かと話題を集める“お騒がせ”経営者でした。

田邊氏の後継者探しは波乱ずくめでした。
2006年、元日産自動車常務で自動車部品会社ナイルス(現ヴァレオジャパン)の社長だった竹辺圭祐氏を社長に招き、自身は最高顧問に退きました。
しかしながら、竹辺氏と生え抜きの役員たちとの対立が深刻化し解任し、田邊氏は2年で社長に復帰しました。

2010年には社長公募という奇策に打って出ました。
元外務省キャリア官僚の八重樫永規氏を選出、社長代行に据えました。
ところが、「商売には向いていない」として、あっさりクビにしました。
2014年にも2度目の社長公募に乗り出しましたが、「いい人材がいない」と書類選考の段階で打ち切りました。
「2回目の公募は社長に執着していないことを見せるためのパフォーマンス。辞める気はさらさらない」と社内外から見透かされる始末だった。

後継者問題と並んで話題となったのが田邊氏の高額報酬です。
ユーシンの2014年11月期の最終損益は4億3,300万円の赤字にもかかわらず同期の田邊氏の役員報酬は14億500万円で、2013年11月期(8億3,400万円)の1.7倍となりました。

会社は赤字、田邊氏は高額役員報酬で、株主から「会社の私物化」と批判を浴びました。
ある個人投資家は2016年夏、田邊会長兼社長ら取締役や元取締役など7人を相手取り、5億7,000万円の損害賠償を求める訴訟を起こしました。

田邊氏にトドメを刺したのは業績の悪化でした。
2016年11月期の最終連結損益は96億円の赤字(その前の期は2億円の黒字)に再び転落し、業績予想の下方修正は3度目にわたり、年間配当は1997年の東証1部上場以来、初めてゼロとなったのです。

業績悪化の原因は、2013年にフランス自動車部品大手Valeo(ヴァレオ)社から鍵(キー)やドアハンドル部門を約200億円で買収したことです。
「小が大を呑み込む買収」と話題になりましたが、業績には寄与せず失敗に終わりました。

株主総会で経営責任を追及されることは必至の情勢でした。
そこで、総会を前に「一身上の都合」で退任しました。
次女の田邊世都子氏をトップに据え、院政を敷くというのがもっぱらの見方でしたが、次女も同時に退任しました。

新経営陣は、約40年君臨した帝王の影におびえず改革を推し進めることができるかが大きな課題となりました。
その経営陣が出した答えが、ユーシンをミネベアミツミに“身売り”して、創業家と訣別することでした。

個人的には、後継者を決め、うまく事業承継を進めることも経営者の仕事だと思っていますが、ソフトバンクの孫さんにしても、ユニクロの柳井さんにしても、ユーシンの田邊さんにしても、本人が優秀で、会社が大きくなると、なかなかうまくいきませんね。
その中で、当然選択肢の一つとして出てくるのは、M&Aだと思います。
今後も、上場企業が買収されるケースが出てくるでしょうね。

4億円の赤字でも社長報酬14億円のあの“お騒がせ企業”がついに身売りすることについて、どう思われましたか?


借金を活用して利益を計上するRIZAPに監査法人が「待った!」

 このブログでも何度も取り上げていますが、積極的なM&A(合併・買収)による拡大戦略がつまずいたRIZAPグループ。
2019年3月期の業績下方修正で割安な企業買収で発生する「負ののれん」の問題点に注目が集まりましたが、それ以上に監査業界で疑問視されていた会計処理がありました。
子会社の借金を活用した利益計上です。
担当する監査法人がこうした利益のかさ上げに「待った」をかけていました。

2018年11月14日、RIZAPは2019年3月期に連結最終損益(国際会計基準)が70億円の赤字に転落すると発表しました。
新規のM&Aを凍結することで、前期の営業利益の6割を占めていた「負ののれん」が今期は計上できなくなるのが赤字の主因です。

「問題になっていた利益かさ上げの手法は負ののれんだけじゃない」と、大手監査法人の幹部は明かしているようです。
中でもRIZAPが2015年に買収した女性用衣料品のネット通販を手掛ける上場子会社「夢展望」を巡る会計処理が2018年春、会計士たちの間で話題になっていたようです。

特別利益の発生に関するお知らせ――。
2018年3月30日、夢展望は子会社のトレセンテ(東京・中央)からの4億1,900万円の「債権取り立て益」を2018年3月期の特別利益に計上すると発表しました。

宝飾品販売のトレセンテは業績が低迷しており、2017年4月にカタログ通販大手ニッセンホールディングスから夢展望が1円で買収しました。
トレセンテの純資産(帳簿価格)を大きく下回る1円で買収できたとして、差額の約5億7,000万円を「負ののれん」として2018年3月期の営業利益に計上しました。

この結果、夢展望は2018年3月期末に2017年3月期末は4億3,200万円だった連結債務超過を解消し、東証マザーズの上場維持基準を満たしました。
親会社のRIZAPが得意とする業績不振企業の買収を使って「負ののれん」を計上し、上場廃止の危機を逃れたのです。

しかしながら、話はこれで終わりません。
夢展望は買収にあわせてニッセンHDが抱えていたトレセンテ向け貸付債権も1円で取得し、買収後にトレセンテは金融機関と4億円の借り入れ契約を結んだのです。

トレセンテは借入金を使って夢展望に債務を返済し、夢展望は1円で計上していた貸付債権の帳簿価格との差額を単独決算の特別利益に計上する算段でした。
これが2018年3月30日に公表した「債権取り立て益」の仕組みです。

「夢展望は1円で買った赤字企業に借金させて、単独決算の見栄えも良くしようとしていた」と、RIZAP関係者はその狙いをこう証言しているようです。
この関係者によると、RIZAPのグループ会社でこんな取引が複数あったそうです。

こうした利益の計上に「待った」をかけたのは、監査法人でした。

RIZAPは、2008年から監査を担当してきた東邦監査法人から2018年4~6月期決算から準大手の太陽監査法人に変わりました。

東邦監査法人側は「(担当の会計監査人として)適切に指摘した」としています。
準大手の太陽監査法人もRIZAPと監査契約を結ぶに際し、夢展望などを含めグループの不透明な利益計上をやめるよう求めたようです。

夢展望は2018年3月30日の発表から2週間後の2018年4月14日、一転して特別利益の計上を中止すると発表しました。
夢展望が業績不振のトレセンテに資金援助する可能性があるにもかかわらず、子会社からの一過性の返済金を利益に計上するのは不適切な「循環取引」になりかねないと監査法人側は判断したとみられます。

夢展望は日本経済新聞の取材に対し、「利益をかさ上げする意図はなかった」と説明したようです。

カルビー会長からRIZAPに転じた松本晃元代表取締役(現取締役)は2018年6月の就任以降、太陽監査法人側と意見交換を重ねてきたそうです。
業績の下方修正は松本氏がM&A凍結を主導した結果でしたが、監査法人である太陽監査法人側の働きかけも大きかったようです。

もっとも、利益のかさ上げを計画したのは会社自身です。
RIZAPの株価は下方修正発表前から4割超下落し、時価総額は2017年11月に記録した過去最大(7,516億円)の5分の1以下の水準にしぼみました。
夢展望の株価は2018年3月末の3分の1の水準に沈んでいます。

色々と出てきますね。
M&Aを用いた利益計上術という感じですかね。
こういうクライアントがあると、監査法人も大変でしょう。
本業は好調でしょうから、瀬戸社長には本業に専念していただいて、松本取締役の力で子会社を立て直してほしいですね。

借金を活用して利益を計上するRIZAPに監査法人が「待った!」をかけていたことについて、どう思われましたか?


RIZAPが70億円の最終赤字で拡大路線を転換!

 先日、このblogにも書いたRIZAPですが、矢継ぎ早に経営不振の企業を買収し、収益を拡大させてきたRIZAPグループの経営が転換点を迎えているようです。
20193月期の連結最終損益(国際会計基準)は70億円の赤字となる見込みです。
先日、東京都内で記者会見した瀬戸健社長は「株主をはじめ、ステークホルダーの皆様の期待を大きく裏切ることになった。本当に申し訳ない」と頭を下げました。
159億円の黒字との予想から一転して大幅な赤字となり、今後は新規のM&A(合併・買収)の凍結と、不採算部門の撤退も検討するようです。

記者会見には瀬戸社長と、カルビーから6月にRIZAP入りした松本晃代表取締役の2人が出席しました。
瀬戸社長は、「事業の選択と集中を進める。短期的な投資回収や収益改善が難しい事業、当初想定していたグループシナジーが見込めない事業については積極的に縮小、撤退、売却を検討していく」と述べ、M&A(合併・買収)による拡大路線を転換すると明らかにしました。
RIZAPM&Aに特に積極的な新興企業として知られてきましたが、この2年で傘下に収めたのは60社以上あります。
23年かけて黒字化するとしてきたものの、現実には再建が思うようにいかない子会社も多いようです。
今回、不採算事業の整理や固定資産の減損損失などの計上を迫られました結果、営業損益は33億円の赤字(前期は135億円の黒字)と従来予想の230億円の黒字から大幅に下方修正しました。
アパレルや雑貨など異業種を取り込む多角経営に陰りが見えており、今後は主力事業と位置づける完全個室型のトレーニングジムなどに注力するそうです。
49月期は85億円の最終赤字を計上し、経営責任を明確にするために、瀬戸健社長は20184月~20193月までの1年間、役員報酬の全額を自主返上します。
その後も連結営業利益が230億円を超えるまで報酬の返上を続けるとしています。

今回、明確にしたのが拡大路線からの180度の転換です。
事業の選択と集中を進めるために、新規のM&Aを凍結するようです。
短期での収益改善が難しい事業や、当初想定していたようなグループ企業同士の相乗効果が見込めない事業からは撤退や売却を検討するそうです。

この路線変更は、RIZAPの利益に大きく貢献してきた会計処理が今後は使えなくなることも意味します。
この会計処理とは、買収の際に発生する「負ののれん」です。
負ののれんとは、買収額が買収先の純資産を下回った場合に計上するもので、その差額は営業利益に一括計上されます。
経営不振の赤字企業を中心に買収してきたRIZAPでは、この一時的な会計上の利益で営業利益が押し上げられていました。
ちなみに、20183月期の営業利益(135億円)のうち、6割以上を負ののれんが占めています。
しかしながら、今回、矢継ぎ早の買収路線を修正することで、今期見込んでいた「負ののれん」による利益が計上できなくなります。
新規買収による黒字企業の収益貢献も見込めず、M&Aの凍結で総額100億円を超える利益が押し下げられます。

RIZAPは札幌証券取引所アンビシャスに上場している2003年に設立したわずか15年の会社ですが、積極的なM&Aで急拡大してきました。
20133月期に10社だった連結子会社は20183月時点で75社に膨らみました。
この半年でも買収を続けており、201811月時点での連結子会社は85社にものぼります。
今回はフリーペーパー発行のぱどやCD・ゲームソフト販売のワンダーコーポレーションといった子会社が損失計上を迫られました。
RIZAP自身の性急ともいえる拡大路線で、経営のコントロールが難しくなった面は否めません。
「再建は現場の力でやる」(瀬戸社長)という基本方針でやってきましたが、赤字企業を短期間に再生させるには困難が伴ったようです。
子会社のノウハウを共有することで新商品開発を加速したり、顧客を相互に紹介したりするなどして目指してきた「RIZAP経済圏」は曲がり角に来ています。

カルビー再建で知られ20186月に経営陣入りした松本晃氏は、201810月に最高執行責任者(COO)から外れ「構造改革担当」となりました。
松本氏は就任当初から「子会社の出血を止める」と口酸っぱく言ってきました。
これまでは瀬戸社長が主導し、M&Aを通じた拡大路線にまい進してきましたが、松本氏の意向を反映する形で経営を転換するようです。
本業のRIZAPブランドの個人向けジムや英会話は拡大を続け、利益も上げているため、今後はこうした主力の高収益事業に経営資源を集中的に投入するようです。
松本氏は同日の記者会見で、「おもちゃ箱のような会社だが、いくつか壊れているおもちゃがある」と指摘し、「たくさん買った会社の中に不況産業があり、今修繕しないと大きな問題になる」と、瀬戸社長に改革を迫った背景を強調しました。
また、「8月後半ぐらいから瀬戸さんとはずいぶん話した。瀬戸さんは私が言うことに99%同意すると言ってくれている」と指摘し、「私と瀬戸さんが対立したことは一切無い」と強調しました。
RIZAPの株価は上場来高値を付けた201711月から約7割も安い水準にあります。
収益性を重視する経営戦略への転換を市場は評価するのでしょうか?
現実路線に回帰したRIZAPの経営の手綱さばきに注目が集まります。

思いのほか、方向転換が早かったですね。
瀬戸社長も拡大路線の失敗を認識していたため、カルビーの松本さんに頼んだんでしょうね。
再生の実績のないなか、経営不振企業を買収するのは、少し早すぎたんでしょうね。
いわゆる成長に組織が追い付いていない典型例でしょう。
オーナー企業の社長の場合、自分に意見をしてくれる方はあまりいないでしょうから、瀬戸社長は良い人を見つけたのかも知れませんね。
本業が好調なときに気付いたことは素晴らしいことだと思います。
数年間は厳しいかもしれませんが、再建が成功すると、再びM&Aをして、再建していくというビジネスで成長するかもしれませんね。
結果にコミットする企業なので、期待しています。

RIZAP70億円の最終赤字で拡大路線を転換したことについて、どう思われましたか?


武田薬品工業のシャイアー買収の助言費用は1,100億円!

 武田薬品工業によるアイルランドの製薬会社であるシャイアーの買収を巡り、両社が助言費用として銀行や法律事務所に約96,000万ドル(約1,100億円)を支払うことが分かったようです。

武田薬品工業が73,300万ドル、シャイアーが最大22,900万ドルを支払うようです。
今回の買収は総額7兆円弱と日本企業最大の買収案件で、金融機関が得る助言費用も巨額となりました。

シャイアーが投資家向け資料で明らかにしました。
内訳は資金調達を支援した銀行などに6億ドル超、法律事務所に約1億ドル、会計事務所に約2,600万ドルなどとしています。

両社は125日にそれぞれ買収の是非を問う臨時株主総会を開きます。
早ければ201918日に買収が完了するとみられます。

想像もつかないような金額が支払われるんですね。
僕もM&A関連の業務をそれなりにやっていますが、うらやましいかぎりです()
それにしても、資金調達によって金利も手にする銀行などが、色々なアドバイスを行ってるのでしょうが、大部分を取るんですね。
日本企業による日本企業の買収(In-in)でもうまくいかないことも多く、日本企業による海外企業の買収(In-out)はなおさらうまくいかないケースが多いと思いますが、失敗したら誰のための買収だったのかという気はするでしょうね。
創業家も反対しているようですし。

武田薬品工業のシャイアー買収の助言費用は1,100億円だったことについて、どう思われましたか?


RIZAPがM&Aを繰り返して利益を計上?

 Business Journalによると、RIZAP(ライザップ)グループの2018年度第1四半期が営業赤字になったようです。
直前の20183月期は、通年で売上高1,362億円、営業利益135億円と10%もの営業利益を出していましたが、そこから一転しての営業赤字です。

前年度の第1四半期と比較すると、売上高は286億円から521億円と1.8倍に急拡大し、第1四半期連結累計期間としては9期連続で過去最高を更新していますが、営業利益は27億円の黒字から37億円の赤字になっています。

RIZAPの四半期報告書によると、営業利益の悪化は、グループ各社の積極的な新規出店や、テレビCMを中心とした広告宣伝の強化、RIZAP GOLF等のRIZAP関連事業の新規事業等の積極的な先行投資の結果であり、「期初計画通り」とのことです。
そして、「本先行投資の効果もあり、第2四半期連結会計期間以降については、大幅な成長を見込んでおります。」とのことです。

<積極化するM&A
RIZAPといえば、「結果にコミットする」のテレビCMで有名なボディメイク事業の印象が何より強くなっています。
それを積極的に展開しているのは事実ですが、実はRIZAPにはもうひとつの顔があるのです。
それは、投資家としての顔です。
次から次へと積極的なM&Aをしているのです。
2016年度には、書籍・雑誌出版の日本文芸社、婦人服の製造・販売をする三鈴、超富裕層向けヘルスケアを提供するエンパワープレミアム、体型補正用婦人服下着を手掛けるマルコ、カジュアルウェアの専門チェーンであるジーンズメイト、地域密着型無料宅配雑誌を手掛けるぱどと、合計7社の新規買収をしています。
2017年度には、宝飾品小売りのトレセンテ、洋装品等の製造・販売を行う堀田丸正、国内外で電気部品の加工・販売や各種パッキングの製作販売を手掛けるGORIN、スポーツ用品販売のビーアンドディー、エンターテインメント商品や化粧品などの小売りや携帯電話や音楽・映像ソフトのレンタル業などを営むワンダーコーポレーション、リビング新聞を発行するサンケイリビング新聞社と、合計6社の新規買収をしています。
2018年度は「月に1件はM&Aをする」(RIZAPグループ・瀬戸健社長)との方針のようです。

<見せかけの利益を押し上げる「負ののれん」>
これらのM&Aが、グループの売上高急拡大の大きな原動力になっています。
しかしながら、RIZAPグループの業績判断をする上では、気をつけなければならない会計上の仕組みがあるのです。
それは、M&Aに伴って発生するのれんの処理です。
のれんとは、被買収企業の会計上の評価額と、実際の買収額との差額です。
会計上の評価額には会計上認識される限定的な情報しか反映されていないので、通常はそれを上回る価額で買収するのが普通です。
その場合、のれんはプラスとなります。
しかし、RIZAPグループの場合、大半を会計上の評価額を下回る価額で買収しています。
その場合ののれんはマイナスになるので「負ののれん」と呼ばれます。
2016年度は7社中4社、2017年度は6社中実に5社で負ののれんが発生しています。
会計上、正ののれんと負ののれんは扱いが異なります。
正ののれんは資産に計上しますが、負ののれんは収益として損益計算書に計上することになっています。
かつては、負ののれんを負債に計上するというルールの時代もありましたが、会計上の評価額を下回る価額で買収するというのは、いわば「ワケあり商品を安く買う」という特別なケースなので、現在は一気に収益として顕在化させるルールになっているのです。
日本基準においては、負ののれんはその特別な性質から文字通り特別利益に計上することになっています。
ところが、RIZAPグループはIFRS(国際会計基準)を採用しています。
IFRSでは、負ののれんは「その他の収益」として営業利益に含めることになっています。
さらに、IFRSでは正ののれんは償却対象外なので、減損の対象にならない限り費用化されないのです。

RIZAPの業績は本物か?、見せかけの錬金術か?>
かくして、負ののれんの分だけ営業利益が押し上げられることになります。
RIZAPグループの20183月期におけるその額は87億円で、負ののれんを除くと営業利益は48億円となり、売上高営業利益率は10%から3.5%になります。
これをもってRIZAPグループの本当の収益力と見るべきでしょう。
そもそも、なぜ会計上の評価額を下回る価額で買収できているのかというと、被買収企業が業績の悪い「ワケあり商品」だからです。
実際、半数企業が赤字企業なのです。
2018年度第1四半期は、負ののれんという水増し分がなくなったことによって、その赤字が表面に出てきたともいえます。
RIZAPM&A戦略は、おそらく業績不振の企業を安く買ってそれを立て直し、グループ全体の業績に貢献させようというものでしょう。
RIZAPが言う「計画通りの先行投資」が本当にその通りならば、効果が現れるのはこれからです。
また、カルビーの最高経営責任者(CEO)からRIZAPグループの最高執行責任者(COO)に就いた松本晃氏は、「規模を拡大すればいいというわけではない」と言っており、やみくもなM&Aに一定の歯止めもかかりそうです。
RIZAPグループの業績は本物なのか?、見せかけの錬金術なのか?
その答えは「第2四半期連結会計期間以降については、大幅な成長を見込んでおります」という言葉通りになるかどうかでわかるでしょう。

 個人的には、RIZAPを特に責めるべきではないと思います。
同じような企業は他にもあるでしょうし、IFRSにおいても、のれんの取扱の見直しはしばしば話題に上がっています。
ちなみに、上場企業が3,500社ほどある中で、IFRSを採用している企業もしくは採用することを決定している企業は200社にも達していません。
IFRSを採用している企業リストを見てみると、のれんを償却しなくても良いため、M&Aを積極的に行っている企業が多いのは事実だと思います。
M&Aはすぐに結果がでるわけでなく、PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション。M&A成立後の統合プロセスのこと)が非常に難しいと言われています。
それゆえ、長期的に視点に立って、M&Aが成功だったか失敗だったかを判断する必要があるように思います。
RIZAPM&Aの結果にコミットできるかどうかウォッチしていきたいと思います。

RIZAPM&Aを繰り返して利益を計上していることについて、どう思われましたか?

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肥料原料や燃料が円安でコスト増が新米高騰の一因!

日本経済新聞によると、肥料や重油といった、農作物の生産に欠かせない資材価格が高止まりしています。

国際相場の上昇や円安・ドル高が進んだ為替相場が要因です。

生産コストの高止まりは、本格的に出回り始めた新米の価格高騰を招いた一因となってます。

農林水産省が先日発表した2024年8月の農業物価統計調査によると、物価指数(2020年平均=100)は肥料が前月と比べて0.2ポイント高い139.4、重油は1ポイント低い145.7、農業機具は横ばいの109.4でした。

前年同月比でもほぼ横ばいで、高水準が続いています。

国内に流通する肥料の7割のシェアを持つJAグループは、2024年6~10月に各JAなどに卸す肥料価格を引き上げました。

値上げは2022年の秋以来でした。

肥料原料の一つであるリン酸は、原料のリン鉱石が電気自動車(EV)のバッテリーでも使われます。

引き合いが強く、国際市況が底堅く推移しました。

尿素も、穀物の生産地のブラジルで需要が増えたほか、生産トラブルもみられ相場が高水準で推移しました。

肥料原料は多くを輸入に頼っています。

2024年初めから6月にかけて円安・ドル高が進んだのも価格を押し上げました。

重油は政府が補助金を支給して価格を抑えています。

原油の国際指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物価格は下落基調にありますが、この3年ほどは円安・ドル高基調だったため、重油価格は高止まりしています。

生産コストの高止まりは2024年産新米の値上がりの一因になっています。

コシヒカリの集荷価格を前年に比べて1俵(60キログラム、1等米)当たり4,000円(33%)引き上げたJA全農とちぎ(茨城県宇都宮市)の担当者は「需給環境のほか、コストが高止まりしている状況で生産者の再生産価格を意識した」と話しています。

コメの価格は新型コロナウイルス禍で大きく下がり、その後も他の食品と比べて値上がりが鈍かったようです。

北海道南幌町の石川農園の担当者は「身を切りながらコメを生産してきた感覚」と表現しています。

秋田県大潟村でコメを作る田口精一氏は「今の状態で息子に継いでほしいとは言えない」とこぼしています。

野菜や果物といった青果もコスト転嫁が難しい状況です。

埼玉県桶川市でトマトを栽培する手島孝明氏は「品質にも関わるため、肥料の支出は削りづらい」と語っています。

対策として「農薬は使用するタイミングを見極め、使用量を減らすようにしている」。

米が高くなっていると批判されている方もおられますが、自分で価格を決められず、需給環境により価格が決まる農作物は、コストアップ分を価格に転嫁することが困難です。

状況を知ると、高くなるのは当然のように思います。

食料品は、数年前から何度も値上げがあり、かなり高くなっていると思いますが、それについては、コストがアップしているので仕方がないと思っている方も多いのではないでしょうか。

今回の米も同じことだと思います。

そもそも、農家の方が価格を決められないような、JA経由での販売が限界に来ており、ゼロベースで農作物の販売の仕方を考えないといけない時代になってきていると感じますね。

肥料原料や燃料が円安でコスト増が新米高騰の一因となっていることについて、あなたはどう思われましたか?


弥生がエフアンドエムと資本業務提携!

先日、弥生株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長執行役員:前山 貴弘、以下「弥生」)と、株式会社エフアンドエム(本社:大阪府吹田市、代表取締役社長:森中 一郎、以下「エフアンドエム」)は、中小企業の経営課題解決に向けた関係強化と両社の企業価値向上を目的として資本業務提携を締結しました。

弥生は、会計・商取引・給与計算などスモールビジネスのバックオフィス業務を支援するソフトウエア「弥生シリーズ」を展開し、登録ユーザー数 310万を超え、多くのお客さまが利用しています。

エフアンドエムは、あらゆる事業者のバックオフィス業務を改善することを使命とし、中小企業向けバックオフィスコンサルティングサービス「エフアンドエムクラブ」や、 “アラカルト型”人事労務クラウドソフト「オフィスステーション」を展開しています。

現在、多くの企業が物価高や原材料費の上昇などの影響を受け、抜本的な生産性の向上が求められており、特に中小企業は厳しい経営環境の中、転換点を迎えています。

このような状況において、弥生の会計・商取引・給与計算領域、エフアンドエム社の労務・人事領域を中心とした両社のバックオフィス業務支援の実績とノウハウを組み合わせることで、強みを活かした、より利便性の高い新たな製品開発や付加価値の提供ができることから、本提携の決定にいたりました。

まずは、エフアンドエムが運営する「エフアンドエムクラブ」の拡販やコンテンツの拡充、税理士をはじめとした士業向けのメンバーシップ価値の向上に取り組みます。

さらには、弥生が2023年10月に立ち上げた新ブランド「弥生 Next」におけるサービス拡張として、労務領域での展開を共同で進めることや中小企業の人的資本経営に資する人事領域での連携を検討しています。

弥生は、創業時から続く”スモールビジネスに寄り添う”姿勢と思いのもとで、スモールビジネスおよび会計事務所のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援し、業務効率化を加速します。

<両社からのコメント>
株式会社エフアンドエム 代表取締役社長 森中 一郎
310万を超えるスモールビジネスを中心とした顧客のバックオフィスの業務効率化を、ソフトウエア で支援している弥生社との資本業務提携により、エフアンドエム独自ではなし得なかった中小企業に向けた経営支援体制を実現できるものと考えております。

両社の強みを掛け合わせることで可能となるソリューションを含め、真に価値あるサービスをリーズナブルな価格で提供することで、あらゆる事業者のバックオフィスの生産性向上に貢献し、日本の産業界のさらなる活性化に尽力してまいります。

弥生株式会社 代表取締役社長執行役員 前山 貴弘
エフアンドエム社は、30年以上にわたり中小企業および個人事業主のバックオフィス業務を支援し、日本社会に貢献されてきました。

その実績と専門性に深い敬意を抱くとともに、これから共に新しいビジネス展開できることに大きな期待を寄せております。

今回の提携は、弥生が長年培ってきた会計や給与計算などのバックオフィス支援をさらに広げ、我々のお客さまにより一層の価値を提供する重要なステップだと考えております。

両社で連携し、中小企業のさらなる生産性向上への貢献を目指してまいります。

【株式会社エフアンドエムについて】
会社名:株式会社エフアンドエム(英文名:F&M CO.,LTD.)
証券コード:4771 (東証スタンダード)
代表者:代表取締役社長 森中 一郎
設立:1990年(平成2年)
資本金:9億8,965万円(2024年6月末現在)
連結売上高:148億6,176万円(2024年3月期・連結)
事業内容:個人事業主及び小規模企業向け会計サービス
中堅中小企業向け管理部門支援サービス(エフアンドエムクラブ)
中堅中小企業向け財務・補助金支援サービス
会計事務所向け支援サービス (経営革新等支援機関推進協議会/TaxHouse)
社会保険労務士事務所向け支援サービス(SR STATION)
ISO・Pマーク認証取得支援サービス
パソコン教室
アラカルト型 人事労務クラウドソフト「オフィスステーション」
経営革新等支援機関関連業務
事業所:大阪本社・東京本社・名古屋支社・福岡支社・仙台支社・札幌支社・沖縄支社
従業員数:927人(2024年6月末現在・連結)
URL:https://www.fmltd.co.jp/

【弥生株式会社について】
弥生はスモールビジネスの事業の立ち上げと発展の過程で生まれるさまざまな課題にお応えする「事業コンシェルジュ」をビジョンとする企業です。

会計・商取引・給与計算などのバックオフィス業務を支援するソフトウエア「弥生シリーズ(クラウドサービス/デスクトップソフト)」と、起業や資金調達などを支援する「事業支援サービス」の開発・販売・サポートをしています。

代表的な製品・サービスである「弥生シリーズ」は登録ユーザー数 310万を超え、多くのお客さまにご利用いただいています。

代表者:代表取締役 社長執行役員 前山貴弘
創業:1978年
従業員数:978名(派遣・契約社員含む、2023年9月現在)
事業内容:業務ソフトウエアおよび関連サービスの開発・販売・サポート
本社所在地:東京都千代田区外神田4-14-1 秋葉原UDX21F
URL: https://www.yayoi-kk.co.jp

うちの事務所は、弥生のPAP会員であり、弥生会計しか使っていませんので、今回の業務資本提携によって、クライアントの方にとって良いサービスを提供できるようになればよいなぁと思っています。

一方、エフアンドエムも無料の会員にはなっていて、何度かセミナーを受けたりしたことはあり、知っていますので、今後、サービスが拡充してくれればよいなぁと感じています。

弥生がエフアンドエムと資本業務提携したことについて、あなたはどう思われましたか?


国際会計基準は損益計算書を3区分に刷新し2027年度から強制適用!

日本経済新聞によると、国際会計基準(IFRS)で損益計算書の開示ルールが2027年度から大幅に変わるようです。

損益計算書の構造が見直され、新たに「営業」「投資」「財務」の3区分が設けられます。

「営業利益」などの利益項目も開示が義務づけられます。

IFRSを策定する国際会計基準審議会(IASB)がこのほど新基準「IFRS第18号」を最終決定しました。

IASBのアンドレアス・バーコウ議長は「IFRSが20年以上前に導入されて以降、企業業績の表示に関する最も重要な変更になる」と語っています。

営業利益の計算ルールの統一は、この変更の中の1つです。

3区分への見直しは2027年度から企業に強制適用され、早期適用も可能となります。

投資家は売上高営業利益率を分析したり、キャッシュフロー(現金収支)を予測したりしやすくなります。

新ルールでは損益計算書の売上高から税引き前利益に至るまでの段階を3つに分けます。

本業の収益や費用を示す「営業」、本体や子会社の事業以外からの投資収益を示す「投資」、資金調達に伴う費用などを示す「財務」の区分を設けます。

企業がどの段階で稼いだのか、分かりやすくします。

営業区分には売上高や売上原価、販売費、一般管理費などが入いります。

日本会計基準の特別損益に相当する損益も含まれます。

投資区分には持ち分法投資損益や保有株式から得る受取配当金、不動産賃貸収益などが対象となります。

財務区分には借入金やリース負債の金利費用などが入いります。

新たに2つの段階利益の開示も義務づけます。

一つは本業のもうけを示す「営業利益」で、営業区分までの利益を示します。

これまで営業利益を開示する企業は多かったですが、義務づけられてはいませんでした。

もう一つ、開示が義務づけられるのが「財務及び法人所得税前利益」です。

投資区分までの利益を示し、資金調達の影響を除いた利益が把握できます。

IASBはこのほか、「事業利益」や「コア営業利益」といった企業が使っている独自の業績指標についても説明を拡充するよう求めます。

今回開示が義務づけられた営業利益などから独自指標がどのように計算されるのかを示す「調整表」を開示させます。

独自指標は監査の対象にもして、透明性を高めます。

野村アセットマネジメントの磯光裕グローバル・リサーチ部長は「企業が独自指標の定義を毎年変えることは難しくなる。監査で正確性や信頼性が担保されるため非常に好ましい改正だ」と語っています。

キャッシュ・フロー計算書が、『営業』『投資』『財務』の3区分になっているので、個人的には、損益計算書も3区分するのが分かりやすくて、良いことだと思います。

本当は、全部損益計算書ではなく、変動損益計算書にして欲しいと思いますが。

国際会計基準は損益計算書を3区分に刷新し2027年度から強制適用となることについて、あなたはどう思われましたか?


『マネーフォワード クラウド』が税務申告ソフト『達人シリーズ』とのAPI連携を開始!

株式会社マネーフォワードは、『マネーフォワード クラウド会計』、『マネーフォワード クラウド確定申告』と、株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)の税務申告ソフト『達人シリーズ』のAPI連携を開始したことを公表しました。

2020年より、事業年度開始時に資本金額等が1億円を超える大法人の電子申告が義務づけられ、政府は2026年までに主要税目の電子申告を80%以上にする、という目標を掲げています。

国を挙げた電子申告推進の流れを受け、中小企業における電子申告数も年々増加しています。

これまで、『マネーフォワード クラウド会計』や『マネーフォワード クラウド確定申告』は、決算書や消費税集計表などの会計データを『達人シリーズ』に反映する場合、両サービスにログインし、サービス間で事業者や年度ごとのファイルをエクスポート・インポートを行う必要がありました。

今回のAPI連携により、『達人シリーズ』上での簡単な操作のみで、『マネーフォワード クラウド』の会計データを取り込めるようになります。

これにより、複数の顧問先の税理申告を代理で何件も行う税理士や、申告業務を担う企業経理担当者は、税務申告作業の手間が削減でき、業務効率化を実現できます。

■利用方法
1.(※初回のみ)『達人シリーズ』と『マネーフォワード クラウド』の連動コンポーネントを設定します。
2.『達人シリーズ』を操作し、顧問先を選択します。
3.『達人シリーズ』から『マネーフォワード クラウド』にログインし、データを取り込みます。

弊事務所は申告用のソフトは達人シリーズ、会計用のソフトは弥生を使っているので、弊事務所に移ってきたお客様がマネーフォワードを使っているケースなどはありがたいですね。

ソフトをたくさん使うことは会計事務所にとって手間の増加やコストアップにつながりますので、どんどんAPI連携できるようになればいいなぁと思います。

早くfreeeもお願いしたいですね。

『マネーフォワード クラウド』が税務申告ソフト『達人シリーズ』とのAPI連携を開始したことについて、あなたはどう思われましたか?


新入社員も財務諸表の理解が必須で全員参加の経営システムで成長!

日経ビジネスによると、ヤマチユナイテッドという会社に中途社員として入社した1人の女性社員が、こんな話をしたそうです。

「ヤマチに入社して驚いたのは、幹部だけでなく若手社員までもが、会議で必ず『営業利益が今これくらいで……』と数字を把握した上で議論をしていたことです。日常会話の中で、売り上げや利益という言葉が普通に出てくる。これは、まずい!と思って、私も慌てて勉強しました(笑)」

前職の会社では、経営状況が公表されておらず、売り上げや利益の詳細を社員が知ることはなかったと言います。
ヤマチに入社した途端、入社1年目の若手社員が数字をベースに会話をしており、これは確かに、衝撃的だったのかもしれません。

ヤマチユナイテッドでは、25年ほど前から全員参加型経営の仕組みを導入しており、「システム経営」と呼んでいるようです。

システム経営とは、経営をシステム化し、社員全員が経営に参加する仕組みです。
中小企業は、社長の目が行き届きやすいために、仕組みをつくる優先度を下げている会社も多いように感じています。
しかし、成長のためには、経営を仕組み化し、進化させることが不可欠です。
仕組み化すれば、社長が経営のすべてを1人でこなすのではなく、権限委譲していくことができます。

現社長は30代で社長に就任し、長く経営手法を模索していたそうです。
さまざまな本を読み、セミナーを聞く中でたどり着いたのが、システム経営でした。
例えば何でも自分で決められるスーパーマンのような社長は、ある一定までは組織を大きくできるかもしれませんが、絶対に限界があります。
変化の激しい時代に、たとえスーパーマンでも、常に正しい判断ができるとは限りません。
答えは現場にあることのほうが多いと社長は考えているようです。
だから、社員に権限を持たせ、全員参加で経営をしたほうが、組織をより大きくすることができます。

ヤマチのシステム経営は「自主計画」「自主管理」「自主分配」の3つの柱から成り立っています。
経営計画の大枠を私がつくった後、個々の部署の目標やそれを達成するための戦術を考えるのは社員たちです。
トップダウンで決められた目標ではなく、自分たちで決めたものに対しては責任を持ちますし、主体的に進捗を管理しようとします。
こうなると、社長の仕事は、ジャッジするだけです。
社長は楽になるし、社員は成長し、どんどん頼もしくなります。

自分たちで計画し、管理しながら目標を達成し、利益が出たら、賞与や昇給の形で分配します。
自分たちの頑張りがそのまま昇給・昇格の形で返ってくるのは、やりがいにつながります。
当然、未達成の場合もあります。
1年間、一喜一憂したことが、また次の年の計画に反映されていきます。

これを実行するために必要なのが、「管理会計」の仕組みです。
管理会計とは、ヤマチの場合、「部門別営業利益管理」を指しています。
部門別に売上、粗利益、経費を振り分けて、営業利益まで算出することで、部門ごとの生産性や利益貢献度を明確にしていく仕組みです。
加えて、ヤマチでは早いサイクルでPDCAを回すため、管理会計ベースで月次決算を行い、全社員に公開しています。
税務会計とは異なり、現状を認識して対策を立てるために必要な数字なので、ある程度の概算速報値で問題ありません。
早くアウトプットすることが重要です。

それを前年の実績や目標、予算などの数字と対比し、差額があればすぐに対策を考え実行するということを毎月繰り返します。
年度末に自分の部門が決算ボーナスをもらえるかどうかも含め、すべては期中の自分たちの行動にかかっているというわけです。
生産性の良しあしと社内貢献度を明確にするこの「管理会計」の仕組みが、全員参加のシステム経営を支えているのです。

ただ、この仕組みをいきなり導入しても、うまくいかないので、教育が必要だそうです。
ヤマチでは、新入社員研修の中に、P/L(損益計算書)とB/S(貸借対照表)の読み方が組み込まれています。
公開された経営情報を正しく理解し、計画が立てられるようになるためです。
それさえクリアできれば、1年目の社員でも「うちの部署はあまり利益が出てなく、業績が良くない。もっと頑張らなければならない」といったことが言えるようになってきます。

システム経営をしていると、仕事が自分事になるため、会社への不満もなくなります。
昇給や賞与に対して不満が出るのは、数字をクローズにしているからです。
売上と利益の数字が全社員にオープンになっていて、それが自分たちの計画と実行の結果であれば、昇給や賞与に対して不満が出ることはありません。

組織を大きくしたいなら、システム経営がお勧めです。
経営者のキャパシティーを超えて、会社が成長していけます。

こういった会社が増えるといいなぁと思います。
新入社員から社長まで数値を意識し、共通言語となっている会社は、当然利益が出ますよね。
変動費と固定費に分けて数値を考えることができるようになれば、さらに管理会計として使えるのではないかと思います。
このあたりは、戦略MGマネジメントゲームなどをしていただくと、実感できるのではないでしょうか。

新入社員も財務諸表の理解が必須で全員参加の経営システムで成長している会社があることについて、どう思われましたか?


賃借対照表(ちんしゃくたいしょうひょう)?

最近、日本商工会議所の定款の中で、『貸借対照表』(たいしゃくたいしょうひょう)ではなく、『賃借対照表』(ちんしゃくたいしょうひょう)となっていることが話題となっています。

日商簿記検定を主催しているところが、こんなことで大丈夫なのでしょうか?
ちなみに、『日商簿記検定』の正式名称は、『日本商工会議所及び各地商工会議所主催簿記検定試験』だそうです。

あと、『中小企業の会計に関する指針』も、日本公認会計士協会・日本税理士会連合会・日本商工会議所・企業会計基準委員会が連名で出していますし、『中小企業の会計に関する基本要領』を出している『中小企業の会計に関する検討会』の委員11名のうちのお一人が当時の日本商工会議所常務理事ですから。

今年度の大学院の授業のレポートで『賃借対照表』と書いていた生徒さんがおられましたが、見た感じ似ていますし、普段は『貸借』ということばはあまり使いませんので、世の中ではよくあることなのかもしれませんね。
個人的には、過去から『貸借対照表』などを日本商工会議所は公表していますが、定款では『賃借対照表』となっているため、このあたりの効力はどうなるのだろうか?気になります。

賃借対照表(ちんしゃくたいしょうひょう)について、どう思われましたか?


四半期報告書は「廃止」へ!

日本経済新聞によると、金融審議会(首相の諮問機関)は、先日、上場企業などが3か月ごとに業績などを公表する四半期開示の見直し案を公表しました。
国に提出を義務づけている四半期報告書を廃止するため、2023年の通常国会に金融商品取引法の改正案を提出する方向となりました。
上場企業は第1、第3四半期決算を取引所の規則に基づく短信で公表することになりますが、将来的に短信公表も任意化する案には賛否が出ており、継続審議となりました。

四半期開示の見直しは2021年10月、岸田文雄首相が所信表明演説で言及したのがきっかけです。
廃止か否か議論が起きたものの、「法定開示の廃止」と「短信開示の維持」でいったん決着します。
年内に正式な報告書を政府に提出するようです。

意見が割れたのが、将来的に決算短信の提出義務を廃止するか否かです。
金融庁は報告書案で当面は一律に義務付けるとしたうえで、将来的には任意に切り替える可能性を盛り込みました。
2022年11月時点の原案では「将来的な方向性(案)」として「任意化のタイミングを継続的に検討する」としていましたが、「幅広い観点から継続的に検討する」とトーンを落としました。

金融庁は任意化を検討する代わりに適時開示の充実をあげていました。
企業の経営環境が刻一刻と変わるなか、投資家の判断に影響を与える重要な事項が発生したときにその都度公表する体制が確立できれば、必ずしも一律に四半期開示を求める必要はないとの考えです。

ただし、先日の会議では「日本企業の現状の開示姿勢に照らして、任意化のハードルは極めて高い」(ニッセイアセットマネジメントの井口譲二氏)と反対意見が相次ぎました。
「適時開示と決算短信などの定期開示との関係性を整理すべきだ」と検討自体、慎重に進めるべきだとの意見も複数出ました。

金融審の作業部会の座長を務める学習院大学大学院の神田秀樹教授は「四半期開示やサステナビリティー(持続可能性)に関する開示は立場によって意見が分かれる難しい問題だ」と述べました。

四半期報告書は廃止ですね。
個人的には、もちろん企業によって様々なのでしょうが、どれだけの方が見たり、使ったりしているのだろうかと疑問を持っていますし、3か月後くらいに出されるものにそれほどの価値はあるのだろうかと思っていますので、廃止には賛成です。
一方で、タイムリーな開示は必要だと思いますので、決算短信を残すか、決算短信も廃止して、任意のものを提出するようにして、開示に積極的なところが投資家などに評価されて、消極的なところも積極的に開示するようになれば良いのではないかと考えています。

四半期報告書は「廃止」の方向であることについて、どう思われましたか?


値上げで客数が2割減のスシローが抱える巨額損失の火種とは?

M&AOnlineによると、スシローを運営するFOOD&LIFE COMPANIESが危機に陥っています。
2022年10月1日の値上げによって、急速に客離れを引き起こしているのです。
2022年10月の既存店客数は前年同月比20.1%減、11月は26.9%減となりました。

1皿10~35円のわずかな値上げでしたが、客数への影響は甚大でした。なお、同じ時期に値上げをしたくら寿司の既存店の客数は前年同月比8.4%の減少に留まりました。

ファンドからファンドへの転売が繰り返されたスシローは、のれんを抱えています。店舗の収益性悪化は、のれんの減損損失という巨額損失を計上する導火線ともなりかねません。

スシローは2022年6月に消費者庁からおとり広告に該当する景品表示法違反が認められると指摘され、再発防止措置をとるよう命じられるなど、店舗運営に歪みが生じていました。その年の7月にビールジョッキ半額キャンペーン実施前に広告を表示したことがSNSで大炎上し、消費者からの信頼を失います。

スシローの客数は他社と比較して後れを取っていました。
10月の値上げが客離れの決定打となります。

FOOD&LIFE COMPANIESの2022年9月期の売上高は前期比16.8%増の2,813億円と堅調ですが、営業利益は同55.8%減の101億円と大幅な減益となりました。
営業利益率は3.6%。
海外も含めて合計で116店舗を出店したために増収となったものの、既存店の集客が苦戦。国内スシロー事業のセグメント利益は前期比65.8%減少しています。

また、2021年4月に子会社化した京樽(東京都中央区)は30億円の赤字。
京樽は吉野家ホールディングス<9861>の子会社だったころから赤字に苦しんでいましたが、テイクアウト需要が活発になってFOOD&LIFE COMPANIESが連結子会社化した後も、黒字化はできていません。

2023年9月期は売上高が前期比13.8%増の3,200億円、営業利益を同8.7%増の110億円と見込んでいます。
営業利益率は3.4%で前期を下回る予想です。

ただし、経営陣が値上げによってこれほど負のインパクトを受けると予想していたとは考えづらく、業績の下方修正も視野に入ります。

FOOD&LIFE COMPANIESはコロナ禍を経てもなお、自己資本比率は19.61%と高水準にあります。
しかし、財務体質を脆弱にする爆弾を抱えています。買収によって生じたのれんです。

FOOD&LIFE COMPANIESは京樽を買収する前に、303億7,100万円ののれんを計上しています。

この額は2022年9月末時点の純資産額の46.6%に相当します。

のれんは、買収した会社の純資産と買収額の差額によって生じます。
京樽を買収する前のスシローにのれんが積まれていることに違和感を覚えるかもしれませんが、スシローは2008年に国内の投資ファンド、ユニゾン・キャピタル(東京都千代田区)、2017年にイギリスの投資ファンド、ペルミラ・アドバイザーズ(ロンドン)に買収されています。

投資ファンドは買収して企業価値を上げ、高値で売却するのが普通。
特にユニゾン・キャピタルは、買収当時に市場を席捲していたかっぱ寿司を追い抜き、スシローを国内トップの回転ずしブランドにしたことでよく知られています。

FOOD&LIFE COMPANIESは国際会計基準であるIFRSを採用しています。
そのため、無形固定資産であるのれんを償却する義務はありません。

ただし、毎年のれんに見合った収益力があるかチェックされ、必要に応じて減損処理をする決まりです。
のれんの減損損失です。

のれんの減損損失は、営業キャッシュフローが継続的にマイナスになったり、経営環境が悪化するとその兆候が認められます。
価値が毀損しているのであれば正しいものに計算しなおし、減価した分は損失として計上します。
最悪の場合、のれんの全額を減損損失として計上することもあります。

もし、FOOD&LIFE COMPANIESが300億円超の減損損失を計上すると、純資産のおよそ半分が吹き飛ぶ計算です。
スシローの業績悪化は営業利益の縮小という本業の稼ぎ以外に、巨額の損失を計上しかねない重大な意味を持っています。

FOOD&LIFE COMPANIESは2022年9月期に事業用資産の減損損失68億2,100万円を計上しました。
これは出店する店舗の収益性が当初の計画を下回り、本来の価値に算定しなおしたもの。減価した分を損失として計上します。

飲食店の場合、収益性を失うと有形固定資産(店舗)の減損損失も生じます。

減損損失の内訳をみると、スシローが41億7,000万円(前年同期は7億400万円)と激増しています。
また、京樽も18億8,100万円(7億3,300万円)と苦戦しています。
客離れが続くと、店舗の減損損失にも苦しめられるでしょう。

有形固定資産と無形固定資産の減損損失は、スシローの財務体質を弱体化させる要因になります。いち早く客数の回復に努める必要があります。

大学院の財務会計の授業をやっていますが、減損会計の話しもしています。
個人的には、減損損失も影響が大きいと思いますが、有形固定資産と無形固定資産の減損損失を計上すると、税効果会計にも大きな影響が及ぶのではないかと思っています。
会社の状況により、区分が決められ、それに伴って計上できる繰延税金資産が決ってきますから、区分が下がると繰延税金資産の計上額が減り、取り崩す必要があるため、利益が減少(損失が増加)してしまいます。
正念場でしょうね。

値上げで客数が2割減のスシローが抱える巨額損失の火種とは?について、どう思われましたか?


請求書の電子データ保存義務につき引き続き紙も認める方向で調整中!

2022年12月07日(水)

NHKによると、事業者が取引先とメールでやりとりしている請求書などを、電子データで保存することが、2022年から義務づけられましたが、政府・与党は対応が遅れている中小企業などに配慮して、2023年末で猶予期間が終わったあとも引き続き紙による保存を認める方向で調整しているようです。

政府は、企業の会計や納税業務の電子化を進めるため、2022年1月から事業者が取引先とメールでやり取りしている請求書や領収書を、電子データで保存するよう義務づけました。

保存にあたっては、データの改ざん防止対策をとることや、日付や金額、取引先ごとに検索できる機能を備えることを求めたうえで、2023年いっぱいは紙での保存を認める猶予期間を設けています。

ただし、電子化に必要な人材の不足などで中小の事業者を中心に対応が遅れていることから、政府・与党は2023年末の猶予期間の終了後も、紙での保存を引き続き、認める方向で調整しています。

紙とは別にメールでやり取りしている電子データについても保存するよう求めますが、保存にあたって検索できる機能を備えなくてもよいとして企業側の負担を軽減することにしています。

政府・与党は年末の税制改正の取りまとめに向けた議論の中で、この案について検討を進める方針です。

紙での保存を認めるのであれば、電子帳簿保存法の改正を取り消すべきだと思います。
ベンダーは商機ととらえ、セミナーをしたりして、サービスを提供し、稼いでいると思いますが、事業者側は無駄な費用が発生しているのは間違いないと思います。
個人的には、実務を何も分かっていない役人が机上で考えた改正だと思っていますので、中小企業に現実的に対応は無理だと思っていましたし、現状、どうするのが良いのか確証が持てませんでしたので、クライアントの方にもこちらから電子帳簿保存法の改正については、一切お知らせはしていませんでした。
もちろん、質問があれば答えてはいましたし、会計ソフトを作っているメーカーとか電子帳簿保存法の対応のソフトなどを作っているメーカーなどから、対応状況などをよく聞かれるのですが、そのときも、『現時点で何をすればよいのか分からないし、今後、変わるような気がするので、とりあえず今のところ何もしない。』というようなことを答えていました。
予想どおり、見直されることになり、何ら対応は不要ということになりそうですが、このしょうもない改正を取り消してほしいですね。
世の中にはすでに電子帳簿保存法の改正に対応するために多額の投資をしたところもあると思いますが、そういったところはどう対応するんでしょうね。
損害賠償請求もののような気もしますが。

請求書の電子データ保存義務につき引き続き紙も認める方向で調整中であることについて、どう思われましたか?


金融庁が四半期開示の任意化を提案!

日本経済新聞によると、金融庁は、先日、上場企業が3か月ごとに提出する「四半期決算短信」について、将来的に提出を任意とする案を提示しました。
代わりに、投資判断に影響のある情報をいち早く開示する「適時開示」を充実させます。
ただし、情報開示の質と量を維持できるかには不透明な面があります。
貯蓄から投資への動きに逆行しかねない案が提出されたことに対し、投資家からは戸惑いの声も上がっているようです。

先日開いた金融審議会(首相の諮問機関)の作業部会で、金融庁が説明しました。
企業の四半期ごとの開示を巡っては、企業側の事務負担が重く、企業経営者や投資家が短期的な利益ばかりを求める原因になっているとの意見が一部にありました。岸田文雄首相は就任時、四半期開示の見直しを目玉施策の一つとして打ち出し、2022年2月から改革の議論が始まりました。

金融庁は改革を2段階で進める構えです。
第1段階として、重複が目立っていた取引所規則に基づく四半期決算短信と、政府に提出する四半期報告書を一本化し、四半期では決算短信だけを公表すればよいようにします。
開示の質と量を保ちながら企業負担を軽減するこの案については、この日の作業部会でおおむね合意し、2023年の通常国会に金融商品取引法の改正案を提出する方向となりました。

問題は、金融庁がこのタイミングにあわせて唐突に示した改革の第2段階といえる将来的な見直し案の内容です。
提示された文書には「適時開示の充実の状況を見ながら、任意化のタイミングを継続的に検討する」と明記しています。
適時開示を拡充することを条件に、四半期開示の義務をなくす方向性が示されました。

適時開示は取引所の規則にもとづく開示で、自社株買いや業績予想の変更などがあります。
経営環境が刻一刻と変わるなか、投資家の判断に影響を与える重要な事項が発生したときにその都度公表することに、開示の重点を移す考えといえそうです。

ただし、会議に参加した委員からは将来的な四半期開示義務の廃止を前提とした議論に反対する意見が相次いだようです。
学習院大学の松元暢子教授は「四半期開示と適時開示は性質が異なる点に留意する必要がある」と指摘しています。
アストナリング・アドバイザーの三瓶裕喜代表は「現状の日本の適時開示は期待される水準に達していない。まずは(任意化に向けた)環境が確立されているかの検証を検討するのが筋だ」と述べました。

日本企業の適時開示に対する姿勢は消極的との声が多いようです。
東京証券取引所は新型コロナウイルス禍でリスク情報などの積極的な開示を企業に要請しましたが、2021年3月期の第1四半期で決算発表前に業績予想の修正に関する適時開示を行った企業は約1割にとどまりました。
ロシアによるウクライナ侵攻でもリスク情報を開示した企業はごくわずかでした。

企業が情報開示に必ずしも積極的といえない状況で四半期開示が任意となれば、開示される情報が減少しかねず、投資家は日本市場に不信の目を向けかねません。
経団連の担当者も「四半期決算短信を出さないという選択肢は考えにくい」と話しています。

金融庁幹部も「適時開示を充実させることは相当ハードルが高いことだ」と認めています。
第2段階の改革には実現の時期が示されておらず、検討を続けるとしながら問題を先送りし続けることも理屈の上では可能です。
今回の案は、改革を求める岸田政権の顔を立てつつ、情報開示の質と量は確保し続けようという金融庁の窮余の一策とのややうがった見方もあるようです。

個人的には、四半期決算短信や四半期報告書は、もう少し簡便にしたうえで、早めに出すようにした方が良いのではないかと思っています。
別に強制でも任意でも構わないように思いますが、任意でも、出さないところは投資家が株を買わず、株価が低迷するため、結局、どこの会社も出すようになればいいのではないかと思います。
様式も自由にして、分かりやすい企業が評価されるようになれば、おのずと底上げが図られるのではないでしょうか。

金融庁が四半期開示の任意化を提案していることについて、どう思われましたか?


政府が四半期開示を決算短信に一本化し「四半期報告書」の廃止を検討!

日本経済新聞によると、政府は上場企業など約4,000社が四半期ごとに公表する決算書類で、法律で開示を義務づけている四半期報告書を廃止する検討に入ったようです。
証券取引所の規則に基づき開示する決算短信に一本化するようです。
内容に重複が多いため、企業側の事務負担を軽減することが目的です。
投資家が企業価値を正当に評価するため、四半期ごとの決算開示そのものは維持します。

金融庁の金融審議会で近く議論をとりまとめ、早ければ2023年の通常国会に金融商品取引法の改正案提出をめざします。
実際に四半期報告書の開示義務がなくなるのは、2024年度以降になる見通しです。

上場企業と一部の非上場企業は、証券取引所の規則に基づいて四半期ごとに損益計算書や貸借対照表を含む財務データを「決算短信」で公表しています。
これに対して四半期報告書は、金融商品取引法で上場企業に開示が義務付けられています。
決算短信が速報性を重視、四半期報告書が詳細版という位置付けですが、提出時期が近く、内容もほぼ重複しているのです。

政府は、四半期報告書をなくして一本化すれば、企業の負担が大幅に減るとみています。
ただし、金融証券取引法で開示を義務付けている有価証券報告書(年1回)は継続する意向です。

日本の四半期開示制度は1999年から東京証券取引所のルールで上場企業に順次求められるようになり、2008年には金融商品取引法で義務づけられました。
企業を取り巻く環境変化が激しくなるなか、投資家に財務情報をタイムリーに開示し、経営の透明性を高めることを狙ったものです。

岸田文雄首相は就任時、四半期開示の見直しを目玉施策の1つとして打ち出しました。

関西経済連合会もかねてから四半期の開示義務の廃止を訴え、2022年4月5日には緊急提言をまとめました。

現行の四半期開示制度について「企業経営者や投資家の短期的利益志向を助長しているとの懸念がある」とし、中長期的な企業価値向上を目指す流れに適合していないと主張しました。

ただし、金融審の作業部会では四半期開示の完全撤廃に根強い反対論があったようです。
複数の委員が「非財務情報は財務情報を補完するもので、代替するものではない」とし、企業の実務負担を軽減するために四半期開示をなくすことは不適当だという考えを示しました。

研究結果を踏まえ、「経営者の短期主義志向の原因を四半期開示のみに帰するのは、必ずしも適切とはいえない」と述べる委員もいたようです。

一方で、重複する内容の多い四半期報告書と決算短信の一本化には賛同意見が多かったようです。
自民党の金融調査会がまとめた提言も、四半期開示の見直しを「長期的な課題」とし、政府に対して決算短信への一本化を求めていました。
政府はこうした声に配慮し、四半期開示制度そのものは維持します。

世界各国も四半期開示のあり方を議論してきました。
1970年に導入したアメリカでは、トランプ前大統領が2018年に米証券取引委員会(SEC)へ義務づけの見直しを要請しましたが、議論は立ち消えになりました。
イギリスは2014年、フランスは2015年に法的な義務を廃止しましたが、大半の企業は四半期開示を続けています。
ドイツも2015年に法律での義務づけをなくしましたが、取引所規則では維持しました。

政府内では開示姿勢が後退したとみられるリスクを懸念する声が強かったようです。
四半期報告書の決算短信への一本化は投資家の判断材料の確保と企業の負担軽減の両立をねらったものです。
政府は気候変動リスクへの対応や人的資本に関する情報開示の充実を企業に求める方針で、適切な情報開示が投資マネーを呼び込む好循環をめざします。

個人的には、良い落とし所かと思います。
ダブっているようなものはなくせばいいと思っていますし、投資家としてはタイムリーな情報開示が必要なのではないでしょうか?
委員がおっしゃっているように、経営者の短期主義志向の原因は四半期開示のみではないと思います。
そして、投資家や株主を重視している会社であれば、義務でなくなっても、タイムリーな開示はするのではないかと思います。
このあたりが、評価されるようになれば、開示に消極的な会社も変わってくるのではないでしょうか?
一方で、四半期決算等を理由に監査報酬を上げたと思われる監査法人の報酬がどうなるか気になります。
監査法人も退職者が相次ぎ、人手不足のようですから、一本化により少しでも業務量が減れば、人手不足が解消するのかもしれませんが。

政府が四半期開示を決算短信に一本化し「四半期報告書」の廃止を検討していることについて、どう思われましたか?


楽天銀行とのデータ連携解消でfreeeが「重心シフト」!

日本経済新聞によると、クラウド型会計ソフトを手がけるfreeeは銀行の口座情報を使うデータ連携以外のサービス拡充を検討するようです。
収益やコスト配分をめぐり銀行側との溝が大きくなってきたためです。
楽天銀行とのデータ連携は解消することになりました。
データ連携はフィンテック推進のため政府が旗を振ってきましたが、定着するにつれて難しさも増しているようです。

freeeは100行以上の銀行システムに接続し、顧客の預金口座の資金の出入りを自動的に会計ソフトに反映するサービスが事業の柱です。
楽天銀行とも契約更新に向けて交渉してきたがまとまらず、APIと呼ぶデータ連携を解消します。
freeeがデータ連携の契約を更新できないのは初めてです。

APIは「アプリケーション・プログラミング・インターフェース」の略で、フィンテック企業と金融機関のデータをつなぐ重要なインフラです。
2018年施行の改正銀行法は、銀行にAPIの体制整備の努力義務を課しました。

ただし、データを開放する側の銀行はセキュリティー体制の不備などを理由にフィンテック企業との連携に慎重な姿勢を示しているうえ、収益やコストの配分をめぐっても見解の相違が起きやすくなっています。
関係者によると、今回のfreeeと楽天銀行の連携解消も条件面で折り合えなかったためだそうです。

佐々木大輔最高経営責任者(CEO)は日本経済新聞の取材に「再締結に向けて協議を継続している」と述べましたが、楽天銀行は「契約満了に伴い終了する」と説明しています。

楽天銀行はfreeeの連携先金融機関のなかでも利用実績が多いようです。
佐々木氏は「今後はファイルをわかりやすいかたちでアップロードしてもらえるようにして、API連携ができないことによるデメリットを減らしていく」と述べ、影響を最小限にとどめる考えを示しました。

今後、他行ともAPI接続の契約を結べなくなる可能性について佐々木氏は「一般論でいえば起こり得る。個別に交渉していくに尽きる」と説明しました。
freeeにとって銀行とのAPI接続は「ユーザーに利用してもらっている価値の中の重要な一部分」だ。銀行に受け入れられない事例が増えれば「重心をシフトさせていく必要がある」との認識を示しました。

具体的には「例えば他社との取引が決まった段階でお金の流れが決まる。お金を支払うより前の段階で会計帳簿へのインパクトを認識できる」と指摘し、お金の流れの最終段階である銀行口座の出納より前の上流の情報を活用する可能性を示唆しました。
そのうえで「必ずしも銀行明細だけで帳簿を自動化するものではなく、利便性を高める重心を移すことはできる」と強調しました。

freeeは楽天銀行との提携終了の発表後、限度額5,000万円の法人向けクレジットカードを発行すると発表しました。
佐々木氏は「新しいカードは面倒な業務を自動化・可視化して、資金繰りを改善できる」と話しています。
子会社のfreee finance lab(フリーファイナンスラボ)では金融サービスの開発にも力を入れていく方針です。

フィンテック企業が手がける領域が広がるほど、新興勢を利するAPI連携に対する既存金融機関側の拒否反応も強まります。
複雑な関係の中で最適解を見つけられるかどうかに、フィンテックの成長がかかっていると言えるでしょう。

API連携が便利なのは使ったことがある方は分かると思いますが、当然、コストなどの問題はあると思いますね。
楽天銀行に続くところもおそらく出てくるでしょう。
そうなると、今までより手間がかかるようになると思われますので、離れていくfreeeユーザーも出てくるでしょうね。
個人的にはfreeeやマネーフォワードは、安い値段でユーザーを増やしておいて、途中で急に価格を上げるということをやっているので、個人的には好きにはなれませんが、弥生会計でもできますが、銀行等のデータを自動的に取り込んで仕訳を起こせるということは非常に便利ですので、クラウド会計が今後どうなっていくか、新たに便利な機能が出てくるかについてはウォッチして、正しい選択をしないといけないかなとは思っています。

楽天銀行とのデータ連携解消でfreeeが「重心シフト」することについて、どう思われましたか?


全銀協が会計ソフト会社と連携し請求・入金、紙の伝票が不要に!

日本経済新聞によると、全国銀行協会(全銀協)が企業間取引のデジタル化に向け、代金払い込みの請求と入金のデータが自動で連携する仕組みをつくるようです。
中小企業では、代金の請求や入金の確認は紙の請求書や伝票を使って作業する例が多くなっています。
全銀協は会計ソフト会社が進める請求システムの規格整備の動きと連携し、中小企業に残る紙での作業を減らし、経理業務を大幅に軽減します。

全銀協が運営する送金データの管理システム「全銀EDIシステム(ZEDI)」を企業の会計ソフトへ組み込む方向です。
ZEDIは銀行間の決済システム「全銀システム」と連動しており、個々の送金情報と、商品やサービスの請求番号をひも付けます。
会計ソフト上の請求データと、ZEDI上の送金データを自動で連携することで、社員がこれまで紙の伝票などで確認していた業務が不要になります。

日本の企業間取引では1か月分の取引の代金をまとめて翌月に振り込む商習慣があります。
取引が複数の商品にわたる場合、請求した側の企業には1件ごとに請求番号と請求額を確かめ、入金額と一致させる「消し込み」という経理業務が生じます。
商品ごとの税額が異なる場合も確認作業に手間がかかります。
こうした非効率な業務が日本企業の生産性の低さにつながっているとの指摘は多いようです。

全銀協は、政府と会計ソフト会社などが進める請求書の完全デジタル化に向けた動きと連携します。
請求書などをもとに消費税額を正確に伝えるインボイス(適格請求書)制度が2023年10月に始まるのに合わせ、民間の業界団体である「電子インボイス推進協議会」は2020年12月、請求システムの国際規格を導入することを決定しています。

欧州やアジアの各国、オーストラリアなどの30か国以上で利用されている「ペポル」という規格に対応させ、請求書の電子化に関わる仕様を統一するようです。
企業同士が異なる会計ソフトを利用していたとしてもデータをやりとりできるようになります。
国内のほとんどの会計ソフト会社が参加する見通しです。
電子インボイス推進協議会は政府と協力し、紙の請求書の削減に向けて新たな会計ソフトの普及を図ります。

全銀協は2021年1月に同協議会に特別会員として加わり、請求データと送金データの連携のさせ方を検討します。
国際規格が採用される2022年10月までに、ZEDIと会計ソフトの接続方法を固めることを目指しています。

ZEDIは送金データに取引情報を付随できるシステムとして2018年12月に稼働しました。
従来は20桁の情報しか載せられませんでしたが、支払い通知日や請求番号、納税に関わるデータを無制限に加えられるようになりました。
約9割の金融機関が対応している一方、会計ソフトとの連携が不十分なため活用が限られていました。
インボイス制度の開始により会計ソフトの仕様が大きく変わることをきっかけとして普及につなげる狙いです。

中小企業庁が2017年度に実施した実証実験では、受発注から決済までの業務が電子化されると、受注企業と発注企業のそれぞれで約6割の業務時間の削減につながることが分かりました。
平井卓也デジタル改革相は2020年10月の全銀協との会談で、ZEDIとインボイス制度の連携を要望しました。

ちなみに、インボイスは商品ごとの税率や税額を示した請求書で、適格請求書とも呼ばれます。
ネットワーク上で管理されるインボイスが電子インボイスです。
日本では2023年10月1日から、消費税を正確に徴収するためインボイス制度が始まります。
企業は仕入れ先が発行するインボイスに基づき税務申告します。
これにあわせ電子インボイスを普及させるため、大手会計ソフト10社は2020年7月に「電子インボイス推進協議会」を発足させました。
請求書の電子化に対応したソフトの導入を促します。

会計・税務関連の仕事をしておりますが、業務上、本当に無駄だなぁと思うことが多いですよね。
仕入や販売関連の取引のデータが、紙ではなく電子データで受け渡しができるようになると、かなりの業務が楽になりますよね。
大きい企業ほどメリットがあると思いますので、大きい企業から導入されていくと推測されますが、取引先は使わないといけないようになるため、徐々に中小企業にも浸透していく感じなのでしょうね。
紙がなくなると、テレワークなどもしやすくなりますし。
パソコンを使っていない人はどうなるのだろうかとは思いますが、電子申告できない税理士がおそらく淘汰されていくように、電子データのやり取りができないBtoBの事業者は商取引から淘汰されていくのではないかと思います。
あとは、会計ソフト会社にはビジネスチャンスだと思いますので、会計ソフトがどう変わっていくのが楽しみですね。

全銀協が会計ソフト会社と連携し請求・入金、紙の伝票が不要になることについて、どう思われましたか?


新型コロナ感染拡大影響で東証上場の約400社が決算発表を延期!

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、多くの企業で決算の集計が間に合わず相次いで決算発表の延期を決めています。
東京証券取引所に上場する3月期決算の企業のおよそ16%にあたる400社近くにのぼり異例の事態となっているようです。

3月期決算の企業の決算発表は例年5月に集中します。
しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、多くの企業で会計担当者が在宅勤務になったことや海外の子会社が厳しい外出制限で休業したことで決算の集計作業に遅れが出ています。

東京証券取引所によりますと、3月期決算の上場企業のうち、先月末までに決算発表を延期した企業や発表時期は未定とした企業は392社で、全体のおよそ16%にのぼっています。
政府が緊急事態宣言を延長することで決算の集計がさらに遅れることが予想されるため、発表を延期する企業は今後さらに増える可能性もあります。

金融庁や法務省などは感染の拡大を防ぎつつ決算の集計作業を正確に進めることが重要だとして遅れを容認し、企業に対して決算を承認する株主総会の開催も延期するなど柔軟な対応を呼びかけています。

決算発表を「未定」にしている企業の1つは、静岡県三島市に生産拠点がある東証2部のポンプメーカー「電業社機械製作所」です。
この会社の場合、インドにある子会社の集計作業が事実上、止まっているため決算を発表できなくなっています。
インドは新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため3月下旬から全土が封鎖=ロックダウンとなり、外出が制限されました。
現地のおよそ30人の社員のほとんどが出勤できず、決算関連の作業が進んでいません。

さらに国内でも在宅勤務が増えたことや、監査法人による監査をいわゆる「3密」を避けるためテレビ会議で行っているため時間がかかっています。

電業社機械製作所の村林秀晃社長は「過去に例がない想定外の事態になっているが、株主に正確な決算のデータをなるべく早く開示したい。しかしインドの状況が変わらないかぎり動けないので、現地の動きを見極めたい」と話しています。

このような状況下だと、仕方ないでしょうね。
ただし、今回の新型コロナウイルス感染症が、日常の経理業務や、決算作業などを根本的に見直す機会にもなるでしょうね。
もちろん、決算発表の遅れは会社側のみならず、監査法人側にも原因があるでしょうから、会計監査についても同様です。
これを機に、自主的に公表する会社もあっても良いとは思いますが、四半期決算を廃止する議論が前向きに進んで欲しいなぁと思います。

新型コロナ感染拡大影響で東証上場の約400社が決算発表を延期することについて、どう思われましたか?


日本郵政がゆうちょ株安で巨額減損も!

日本郵政が2020年3月期に保有するゆうちょ銀行株で巨額の減損処理をする可能性が出てきたようです。
ゆうちょの株価は新型コロナウイルスの感染拡大などを受け急落し、簿価の半額以下になっているためです。
今後の株価次第では減損せずに済む場合もありますが、計上すると国内企業で過去最大規模になるおそれもあります。

郵政はゆうちょ株の89%(議決権ベース)の33億3,700万株を保有しています。
総額は5兆7,800億円で、1株当たりの簿価は1,732円です。
2015年11月のゆうちょの上場時に1,450円で売り出しましたが、日銀のマイナス金利政策やかんぽ生命保険の不適切販売問題で下落基調が続いてきました。
足元では新型コロナの感染拡大で急落しています。
2020年3月9日終値は前週末比66円(7%)安の857円と初めて簿価の半値を割りました。
郵政が採用する日本の会計基準では日本公認会計士協会が「時価が取得原価から50%程度以上下落した場合は、合理的な反証がない限り、減損処理しなければならない」とルールを定めています。
郵政の増田寛也社長は2月に国会でゆうちょ株の減損の考え方を問われ、「そうしたルールに従う」と答弁しています。

郵政は決算期末までの一定期間の終値平均で時価を計算するため、一時的に半額以下になっても減損が確定するわけではありません。
株価が低落したまま3月末を迎えれば減損処理の可能性が出てきます。
仮に減損する場合、3月末の株価と簿価の差額をもとに減損額をはじきます。
簿価の半額なら約2兆9,000億円となります。
保有するかんぽ生命保険の株価は、まだ減損基準に達していません。

仮に減損しても子会社株のため、連結財務諸表には影響しません。
ただし、郵政単体では利益剰余金がマイナスになる見通しです。
期末の25円配当を維持すると、その他資本剰余金を取り崩して原資にすることになります。
そうなると、資本の払い戻しである「譲渡所得」の扱いとなり、株主は源泉徴収されず、確定申告しなければならなくなります。

新型コロナの前からゆうちょ株は下がってきました。
政府の間接出資が残ることで民業圧迫を避けるために融資ができないなどの規制があります。
2万4,000局の郵便局を維持するための年6,000億円の委託手数料も重くなっています。
期待していた投資信託の販売も、かんぽ問題で落ち込んでおり、市場の目は厳しくなっています。

日本郵政に限らず、これだけ新型コロナウイルスの影響で世界的に株価が大幅に下落していますので、下落が一時的として、今度の決算では、減損処理はしないかもしれませんね。
こういった株価の下落があると、安定的と思っていた投信も大幅に下がって損をしている人が多いでしょうから、解約や今後投信をやる人が減り、日本郵政の場合は、そうしても、問題の先送りに過ぎないと思いますが。
配当は、状況をかんがみて、しなくても良いと思いますね。

日本郵政がゆうちょ株安で巨額減損の可能性があることについて、どう思われましたか?


シンガポール取引所が四半期決算義務を廃止!

 AsiaXによると、シンガポール取引所(SGX)は、先日、2020年2月7日付で四半期決算の作成・報告義務を廃止すると発表したようです。
同日以降、上場企業は中間期と期末の年2回、決算報告を行えばよいことになります。

SGXでは、上場企業850社のうち、時価が7,500万Sドル(約60億円)超の企業(約600社)は4半期ごとの財務諸表作成を義務付けられていますが、時間と経費が掛かるとして廃止を求める声が強かったようです。

SGXは、今後、監査人が財務諸表に疑問を呈した会社など経営リスクを抱える企業のみ、四半期決算の作成・提出を義務付けるようです。
現時点で100社がこの適用を受ける見通しです。

SGXの監督部門SGXレギュレーションのタン・ブーンジン最高経営責任者(CEO)は、「規則を順守している上場企業には負担をかけすぎないようにする。四半期決算の廃止は世界的潮流で、企業は長期目標に焦点を合わせることができる」と説明しました。

一方で、情報公開はこれまで以上に求めるようです。
関係者間取引、資産取得などの重要取引、短期的利益見通しに影響を与える事柄、投資家の判断に影響を及ぼす可能性のある情報は、速やかな開示を求めます。

シンガポール事業連盟(SBF)のホー・メンキット最高責任者は、SGXの決定を歓迎すると表明しました。
オラム・グループのムトゥクマル最高財務責任者は、「四半期報告は費用が掛かるだけでなく、上級管理職の時間も奪う」とコメントしました。

僕も個人的には、日本でも、四半期決算を廃止し、一方で適時開示のルールを厳しくすれば良いのではないかと思っています。
四半期決算短信や四半期報告書でも45日くらい経って提出しているわけですから、タイムリーな情報としては、それほど役に立っていないのではないかと思います。
投資家は、過去のことより、将来のことの方が知りたいのではないでしょうか?
任意で四半期決算を開示するのは良いと思いますが、シンガポール取引所を見習って、日本も早く、四半期決算義務を廃止してほしいですね。

風の噂では、日本公認会計士協会と金融庁が協議を行っているらしいですが、どうなるのでしょうか?

シンガポール取引所が四半期決算義務を廃止することについて、どう思われましたか?


株価不安の今「有価証券報告書」が実に面白い!

 東洋経済ONLINEによると、企業の業績を表す“通信簿”ともいえる「決算短信」、その決算短信から1カ月半~2カ月後に公表される「有価証券報告書」(有報)には、決算短信には掲載されない、実に多くの情報が掲載されていると取り上げられています。

有報には、明確にその会社の個性が表れます。
経営者が自らの言葉で投資家に語りかけるような説明文になっている会社もあれば、「わが国の経済は~」で始まるお題目が大半を占め、会社に関する具体的な説明はほんのわずかという会社もあります。

不思議なことに、縁もゆかりもない会社同士なのに、“ほとんど同じ文章”に出くわすことがあります。
宝印刷やプロネクサスなど、かつて有報の印刷業務を手がけていた会社は、入力すれば有報が出来上がるソフトを提供しています。
そのソフトによって、サンプルとして入れている例文をそのまま修正せずに使う、横着な会社が一定程度存在するからです。

最近何かと話題のキーエンスですが、日本が世界に誇る特殊センサーメーカーです。
2019年3月期の有報を見ると、従業員の年間平均給与は2,110万円超(平均年齢35.8歳)、前期の営業利益率は54.1%で、時価総額ではソフトバンクグループやソニーを抜き、4位に浮上しているほどです(2019年11月12日終値時点)。

しかしながら、黙っていても世界中から機関投資家が群がってくるほどの好業績ながら、IR(投資家向け広報)には後ろ向きなことで知られています。
近年ではだいぶ姿勢が軟化していますが、かつてはホームページ(HP)上に有報はもちろん、決算短信や適時開示も直近のものしか掲載しない会社でした。

あまりのかたくなさゆえに、ファナック、SMCとともに、“頑固3兄弟”なるあだ名を付けられていたほどです。

そのキーエンス、柔らかくなってきたとはいえ、いまもIRに積極的ではないことを、同社の有報は物語っています。
まずはページ数です。
9兆円もの時価総額の会社でありながら、総ページはわずか62ページです。
海外投資家と積極的に対話をしようという気はさらさらないのか、グローバルカンパニーでありながら会計基準は未だに日本基準です。

ちなみにほかの時価総額上位10位以内の企業のうち、会計基準が日本基準のままなのは、7位の三菱UFJフィナンシャルグループのみです。
トップのトヨタ自動車以下、百数十ページから二百数十ページがスタンダードです。
国際会計基準(IFRS)や米国会計基準(SEC)の場合、日本基準に比べてページ数が多くなりがちであることを割り引いても、キーエンスの62ページというのは極端に少ないと言えるでしょう。

しかも内容を見ると、説明意欲の低さを実感します。
象徴的なのは「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」です。
割いている行数は見出しを含めてわずか12行です。
海外事業の拡大などにサラッと触れただけで具体的な中味は乏しく、キーエンスの有報が現在のスタイルになった2001年当時から、ほぼ変わっていません。

一方、それと対象的なのは、丸一鋼管です。
大阪の鉄鋼メーカーで、溶接鋼管では国内首位と地味で堅実な会社です。
時価総額は3,000億円弱で、全上場会社中の順位は400番目あたりに位置します。

何より注目すべきは、日本証券アナリスト協会が毎年公表している、優良ディスクロージャー企業ランキング上位の常連であることです。
2019年3月期の有報は、総ページ数こそ97ページと、さほど多くはありません。
しかしながら、業績の説明は中期計画と絡めて投資家が知りたいことを過不足なくきちんと説明しており、対処すべき課題も個別かつ具体的です。

実務的に有報は金融庁のEDINETで検索できますが、実は上場していなくても有報を提出している企業はあるのです。

首都圏地盤の食品スーパーを運営するオーケーは、非上場ながら、かつて顧客を対象に公募増資を実施、50人以上を対象に有価証券の募集・売り出しをしたため、有報の提出義務を負っています。

2019年3月期の有報で記載されている、対処すべき課題は秀逸です。
「『競合他社よりは良い』と心の隅で自らを慰めているようでは、国際競争には勝ち残れません。」「市場を熟知して商品を見直し、お客様に損をさせない。肝に銘じて勝つ道を求めて参ります。」などなど、一文一文に血が通っており、実に熱量が高くなっています。

既存店実績など必要な数字をしっかり折り込んだうえで、終わった決算期の振り返りに加えて、次期業績予想も明示しています。
認識している課題と対策が、平易な言葉で説明されています。
個人投資家はもちろん、プロの機関投資家でも歓迎するであろう、お手本となりうる有報なのです。

1936年開場の名門ゴルフ場「小金井カントリー倶楽部」の運営会社である小金井ゴルフも、預託金制度でなく株主会員制ゆえに50人以上の株主がいるため、非上場ながら有報の提出会社です。
ほかにもサントリーホールディングスや森ビルをはじめ、有報を提出、公表している非上場企業はあります。

有報には決算短信の貸借対照表ではわからない項目も載っているのがメリットです。
例えば「主要な設備の状況」は、その会社が持つ資産の含み益を知る手がかりにもなります。

2019年1月から4月にかけて、ベインキャピタルが買収を試みたものの、創業一族の反対や村上ファンドの参戦で頓挫したのが、廣済堂です。

廣済堂の稼ぎ頭が本業の印刷事業や出版事業でなく、子会社で手がける火葬場事業であることは決算短信でもわかるでしょう。
しかしながら、火葬場の資産価値を知る端緒となる情報は、2019年3月期の有報をめくると出ています。

主要な設備の状況にある国内子会社、東京博善(本社・千代田区)が持っている斎場に注目しましょう。
期末で土地や建物、機械装置など合計の帳簿価格は296億6,700万円です。
このうち土地の簿価は92億7,400万円で、面積は5万6,000㎡(約1万6、900坪)という情報が載っています。

土地の簿価が92億円ということは、平均の坪単価は54万円程度にすぎません。
東京博善のHPを見れば、斎場7カ所の住所が載っており、都内にあるというだけで、どれだけ安い簿価で所有しているかが判明します。

より正確な含み益をはじくには、各斎場の土地面積を住宅地図や登記簿謄本で調べたうえで、そこの路線価などと照らし合わせ、時価と簿価の差額を計算する必要があります。
ただし、少なくとも有報で多額の含み益をある程度類推することはできます。

ほかにも有報では興味深い欄もあります。
「経営上の重要な契約等」には、その会社の存続に関わりかねない、重要情報が記載されている場合もあります。

スターバックス コーヒージャパン(スタバジャパン)は好例です。
スタバジャパンは、サザビー(現・サザビーリーグ)とスタバのアメリカ本社の合弁で1995年に設立され、2001年にナスダックジャパンに上場、2015年3月に上場廃止になっています。

スタバジャパンの有報の「経営上の重要な契約等」には、上場当初から、本社とのフランチャイズ契約の条項がビッシリ記載されていました。

本社との間では年度ごとの出店ノルマも決められており、達成できなければ本社はスタバジャパンとのFC契約を解除できる条項が入っていました。
また、本社やサザビー以外の第三者が発行済み株式総数の2割以上を本社の同意なく取得したらFC契約を解除できる条項もありました。

とくに重要だったのは、本社との間のFC契約の期間が上場から20年間の契約になっており、契約期間終了時に“自動更新の定めがない”、とする部分です。
更新してもらえなければ、スタバジャパンは事業を継続できず、廃業を余儀なくされます。
どんなに業績が好調でも、20年後には突然廃業を余儀なくされるかもしれない、そんな企業が上場審査を通ったのです。

案の定、本社は「アメリカ本社の完全子会社にならなければ更新契約に応じない」と言い出し、スタバジャパンを完全子会社化してしまいました。
好調な業績と裏腹に、事業の根幹たるFC契約は脆弱そのものだったと言えるでしょう。

そんなことにも気づくことができるのも有報の面白いところです。
一見、退屈そうに見えますが、その会社の素顔が見える有効なツールなのです。

僕自身、香川大学大学院地域マネジメント研究科准教授時代に、大学生相手の授業をしないといけないことになり、『有価証券報告書』を用いた授業をしましたし、現在、非常勤講師をしていますが、現在も『有価証券報告書』を用いた授業をしています。
今回に記事のように、『有価証券報告書』には、数値だけではない役立つ情報がいっぱい載っています。
この記事に出てくるスーパーのオーケーで独立前に東京に住んでいた時には買い物をしていましたし、以前、オーケーの『有価証券報告書』のことはこのBLOGでも書いています。
もう少し『有価証券報告書』の存在が世間に認識され、見る人が増えると、公認会計士としても、『有価証券報告書』を用いた授業をしている非常勤講師としてもうれしいなぁと思います。

株価不安の今「有価証券報告書」が実に面白いことについて、どう思われましたか?


請求書の紙の保存が不要に!

 日本経済新聞によると、財務省は企業の税務手続きで完全なペーパーレス化(電子化)を認める方向性のようです。
クラウド上の会計ソフトを使えば請求書や領収書をデータにして、ほぼ自動的に会計・税務処理できます。
ただし、税務調査などに備え、原則として紙で保存する義務があり、新しいサービスの普及を阻む要因にもなっていました。
2019年10月の消費増税で、税率は10%と軽減税率の8%が併存し、企業の経理作業は複雑になりました。
会計ソフトの利用を促すことで中小企業の事務負担を軽くし、生産性を高める狙いです。

税制は、普及するクラウド上の会計サービスへの対応が後手に回っていました。
財務省が改正を検討する電子帳簿保存法もその一つです。

11月から本格的に始まる与党の税制調査会での議論も踏まえ、2020年度の税制改正大綱に電子帳簿保存法の改正方針を盛り込むようです。
政府は2019年6月に閣議決定した成長戦略で、税務手続きの電子化・自動化を進める対策を2019年度中に決めるとしました。
その柱の一つにします。

企業は様々な取引を勘定科目に分類して仕訳をします。
1年の決算期が終わったところで貸借対照表や損益計算書を作り、納税の申告をします。
209年10月の消費増税で食料品などに8%の軽減税率が適用され、この作業が複雑になっています。

例えば、仕入れや売り上げに軽減税率の対象品目がある場合、軽減税率の対象とそうでない品目を分けたうえで、税の区分を標準税率(10%)、軽減税率(8%)、非課税と指定する必要があります。
こうした経理処理が煩雑になっています。

クラウドの会計サービスを使えば、領収書や請求書をスマートフォンで読み取ったり、電子データにしたりして、複雑な会計・税務をほぼ自動的に処理できます。
ただし、消費税の控除や納税額を計算する根拠となる領収書や請求書は、紙での保存義務があるのです。

財務省は一定の条件を満たせば、請求書をデータのみで保存することを認めています。
ただし、それには請求書のデータに特別な認証をつける必要があり、手間やコストがかかります。
中小企業がクラウドサービスの活用に踏みきれない一因にもなっています。
そこで一定の条件を満たしたクラウド会計サービスを使えば、現行ルールを緩和し、企業の税務書類を完全に電子化することを認めます。

今回の電子帳簿保存法の見直しは、2023年10月から始まるインボイス(税額票)制度に備えた布石でもあるのです。
インボイス制度が始まると、請求書には8%と10%の2通りの税率ごとに消費税額を記載する必要があります。
経理の事務作業がさらに複雑になります。
クラウドの会計ソフトを使えば、インボイスの作成は円滑になります。
税に絡んだ情報がすべて電子化されれば、税逃れがしにくくなるという面もあり、財務省は税に関する手続きをすべて電子化していく構えです。

会計ソフトで、インボイスの作成ができるのかは疑問ですが、電子化が認められるのは望ましいと思います。
紙だと保存場所も必要になりますし、場合によっては時間が経つと見えなくなるものもありますし、過去のものが見当たらないケースなどがあるからです。
クラウド会計の普及が業務の効率化につながり人手不足解消にも貢献するとも考えられます。
また、クラウド会計の普及により業務が効率化され、経理の方々が単なる事務処理屋ではなく、数値を用いた様々な分析を行ったり、意思決定の際の数値の提供を行ったり、数値を用いた戦略を考える部門となれば、経理部門の地位も上昇するのではないかと個人的には思っています。

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会計と税務の違いは何か?

 ソフトバンクグループ(SBG)が2018年3月期に税務上の赤字を計上し、日本で法人税を支払っていなかったことが、先日明らかになりました。
SBGが決算で公表した2018年3月期の最終的な損益は黒字だったはずですが、なぜなのでしょうか?

カギになるのが、「会計」と「税務」の違いです。
会計は投資家などに業績動向を伝える成績表のようなもので、株式投資や銀行の融資判断などに使われます。
ニュース報道で見聞きする企業の売上高や利益は、企業会計にもとづいています。

税務は目的が異なります。
税務当局が法人税の金額を把握するために使われます。
税務は一般になじみが薄く、独特な言葉遣いに戸惑うことも多いようです。
理解するためのキーワードが「損金」と「欠損金」です。

まずは損金ですが、会計では収益(売上高)から費用を引いて、もうけである利益を計算します。
一方、税務では収入にあたる益金から費用にあたる損金を引いてもうけを求めます。
これを課税所得と呼ぶのです。
費用と損金は似ていますが、計上するタイミングや項目が異なります。

たとえば、取引先を接待するときに支払う交際費ですが、会計では通常は費用として扱いますが、資本金が1億円を超える企業の場合、原則として損金にはならないのです。
交際費をたくさん使って節税することを防ぐためです。
役員報酬のなかにも損金にならないものがあります。

EY新日本監査法人の山岸聡シニアパートナーは、「損金は費用に比べて計上時期が遅れることが多い」と話しています。
アパレルメーカーを例に考えてみましょう。
夏物衣料が季節を過ぎて売れ残ると、会計では「来年は型落ちとなり定価では売れず、経済的な価値が減った」とみなし、在庫評価損という費用として計上します。

税務では「衣服としての役割に変わりはない」と判断し、一般に廃棄するまでは損金として計上できません。
会計の費用の方が税務の損金より早く決算書に記載することになるのです。

もう一つのキーワードが欠損金です。
益金より損金のほうが大きく、税務上のもうけである課税所得がマイナスになった金額のことです。
冒頭のSBGは税務上の欠損金が生じていたのです。

企業の立場でみると、会計の赤字は避けたいところですが、税務上の欠損金にはメリットもあるのです。
日本では欠損金が出ると最大10年先まで繰り越して課税所得を少なくできるのです。
税金支払額が年度ごとに大きくぶれるのを避ける意味があります。

大企業ではもうけである所得の半分を限度に、前年度の欠損金を活用できます。
たとえば、2018年度に10億円の欠損金が生じ、翌2019年度に12億円の所得があったとします。
2019年度は12億円の半分の6億円を限度に欠損金を活用できるため、課税対象を6億円まで抑えることができるのです。

そもそも、会計上の利益をもとに税額は決まると思っている方も多いのではないかと思いますが、そうではないのです。
それゆえ、会計上は利益が出ていても、法人税は0ということもあるのです。
僕が、公認会計士の受験をしていたころは、トライアングル体制といって、当時の証券取引法(現在の金融商品取引法)、当時の商法(現在の会社法)、税法の3つがあったのですが、今では、金融商品取引法と会社法はほぼ同じですので、会計と税務という感じになります。
実務上は、上場企業などは会計が重視されますが、中小企業などは税務が重視されます。
よって、中小企業などでは、会計と税務の差はあまり生じないのですが、上場企業などではたくさん生じることになります。
会計と税務の差を示すものが、法人税申告書の別表4や別表5ですが、一般的に、上場企業などは記載項目が多く、中小企業などは記載項目が少ないと思います。

会計と税務の違いは何か?について、どう思われましたか?


freeeが損保ジャパン日本興亜と提携し「税務調査サポート補償」の提供を開始

 freee株式会社(本社:東京都品川区、CEO:佐々木大輔、以下、freee」は、損害保険ジャパン日本興亜株式会社(本社:東京都新宿区、社長:西澤 敬二、以下、損保ジャパン日本興亜)と提携し、「クラウド会計ソフトfreee(以下、会計freee)」の個人事業主向け「プレミアムプラン」の加入者に適切な税務申告をサポートすることを目的として、税務調査の税理士費用を補償する『税務調査サポート補償』サービスの提供を開始したようです。
会計ソフトに付帯する税務調査費用を補償するサービスは国内初とのことです。

個人事業主は国内で200万を越え、日本の事業者数の約半分を占めています。
また、副業解禁やシェアリングエコノミーの台頭など働き方の多様化が進み、フリーランス人口の成長は過去四年で22.6%増と著しく、今後個人事業主数の増加が期待されています。
一方、個人事業においては、事業主自身が経理業務を行うケースがほとんどで、税務に関する専門知識やノウハウは十分に持ち合わせていません。
そのような環境下、個人事業主への税務調査は年間約11万件行われており、事業主の知識不足により対応に苦慮するケースが多々発生しています。

このような課題を解決するため、freeeは、会計freeeの「プレミアムプラン」に、損保ジャパン日本興亜が提供する補償サービスを無料で付帯することで、個人事業主の税務調査への迅速で適切な対応支援および費用負担の軽減を実現するそうです。
このサービスでは、税務調査対象となった個人事業主にfreeeが税理士を紹介し、調査立会に要した費用を、損保ジャパン日本興亜が上限50万円まで直接補償するものです。

freeeの目指す方向がよく分かりませんが、こういったサービスを開始したようです。
法人は、3年から5年に一度、税務調査が来ると一般的に言われていますが、個人事業主は、法人ほどは来ないと思われます。
そういったところに着眼して、ユーザーを増やそうということなんでしょうね。

freeeが損保ジャパン日本興亜と提携し「税務調査サポート補償」の提供を開始したことについて、どう思われましたか?


地方銀行が走る会計「装飾」のからくり!

 「ウチにも教えてもらえませんか」。
関東地方にある地方銀行の運用担当者がこんな会話を交わしていたようです。
話題は「リパッケージローン」と呼ばれる金融派生商品(デリバティブ)です。

地方銀行でひそかに広がっているのは、理由があるようです。
表面的には一定の利回りを手にできる金融商品なのですが、その中身は特定の企業や事業の破綻に備えたデリバティブで、地銀はそこに融資する形をとっています。
複雑な金融商品が姿を変え、会計上は融資が増える構図です。
「マイナス金利で何をやっても苦しい状況。決算の見栄えが良くなると頭取が喜ぶんだよ。」と運用担当者は内幕をこう明かしました。

急増している投資信託も、からくりは似ています。
少数のプロ投資家に割り当てる私募投信は、解約時に出る利益が本業のもうけを示す「業務純益」(資金運用収益)に加わるのです。
一般的な株式であれば臨時の株式関係損益となり「本業」の外になります。
価格変動による含み損益を決算に反映させる必要もありません。
この違いが決算を少しでも良く見せたい地方銀行の経営者の心に響いているようです。

地方銀行が持つ投信残高は、2018年8月に11兆円を突破しました。
この4年で3倍に膨れ、大手銀行を大きく上回っています。
通常の株式と比べて私募投信は解約が制限される例も多く、売りたいときにすぐ売れないため、リスクは格段に高くなっています。
「地域金融機関は投信を積み増す形で積極的にリスクを取り、海外金利や株式のほか不動産や為替など多様な市場リスクを抱えるようになっている」と、日本銀行は2018年10月の金融システムリポートで警鐘を鳴らしています。

それでも地方銀行は会計の「装飾」に奔走しています。
マイナス金利下で融資や金融商品の利回りは低下を続け、経営の手詰まり感が強まるばかりで、そんな地方銀行の苦境を見透かすように、売り手が群がっているのです。

2018年夏、あるメガ銀行が組成した融資500億円を複数の地銀に売り出そうと打診したようです。
融資先には伝えない「サイレント譲渡」と呼ばれる貸出債権のバラ売りです。
打診と前後して、この融資先は海外の投資家が環境保護の観点で懸念ありとして株式の保有をやめた「ダイベストメント」の対象となり、話題を集めました。
ある地銀の担当者は「リスクを落としたいメガ銀行の意図を感じた」と複雑な表情でした。
メガ銀行が組成する外貨建ての協調融資も多くの地方銀行は中身を精査しないまま参加しているようです。

リスクは徐々に目に見えつつあるようです。
2019年3月期の純利益見通しを41億円から5億円に下方修正した栃木銀行ですが、その理由は外債の損切りでした。
アメリカの長期金利が上昇した2018年9月、栃木銀行は固定金利の米国債をすべて売却しました。
しかしながら、これはまだ良い方です。

問題は含み損の拡大・蓄積により、だんだんと身動きがとれなくなってくる点にあります。
横浜銀行を傘下に抱える地銀首位のコンコルディア・フィナンシャルグループも、2019年3月期の通期見通しで純利益を100億円も下方修正しました。
含み損の拡大により市場部門の積極的な売買が制限されたためです。
機動的な売買こそ必要なのに実態は逆に向かっています。
厳しくなるばかりの運用環境下で、安易な逃げ場を探して、地方銀行は困難な道に迷い込もうとしているようです。

おそらく、本当の運用のプロは地方銀行にはあまりいないでしょうから、安易に投資に走るのは愚策ですね。
もっと地方銀行には融資先などに対してやることはたくさんあるのではないでしょうか?
地方銀行もAIに取って代わられ、店舗も減少していくと思いますが、統合するなどして根本的なことろから考えないといけない段階になっているんでしょうね。
投資の失敗がその引き金になるかもしれませんね。

地方銀行が走る会計「装飾」のからくりについて、どう思われましたか?


金融庁が法令改正で仮想通貨での出資も規制対象に!

 金融庁は、金融商品を手掛ける事業者が、現金ではなく仮想通貨で出資を募った場合も、金融商品取引法(金商法)の規制対象とする方針を固めました。
金商法は無登録業者が「金銭」による出資を募ることを禁じていますが、仮想通貨に関する記述はなく、法整備の遅れが課題となっていました。
2018年には法の“穴”を狙い、約80億円相当の仮想通貨を無許可で集めていた問題も発覚しており、同種事案の再発防止を急いでいます。

利用者保護や公正な市場をつくる観点から、金商法では金融商品を扱う事業者は内閣総理大臣の登録を受けることが義務づけられています。
ただし、金商法には金銭での出資に関する規制しかなく、無登録業者が仮想通貨で出資を受けた場合、金商法の規制対象となるかは曖昧でした。

こうした現状を悪用したとされるのが、2018年11月に米国の投資会社「SENER(セナー)」への出資を募り、金商法違反(無登録営業)容疑で逮捕=同罪で起訴=された勧誘グループの男8人です。
月利3~20%をうたって計約83億円相当の出資金を集めたとされますが、9割以上が仮想通貨だったもようです。

警視庁は40~70代の男女9人から現金計約2,900万円の出資を受けた容疑で逮捕しましたが、仮想通貨での出資については立件を見送ったようです。
関係者によると、全てが仮想通貨による出資であれば、摘発できなかった可能性もあったそうです。

金融庁は2017年10月に仮想通貨で出資を募った場合でも「金商法の規制対象となると考えられる」との見解を公表していますが、法的な裏付けがないままでは刑事裁判での公判維持が難しくなる可能性もあり、規制対象となることを法令で明示することにしました。
具体的には金商法を改正することや、関連法令を見直すことなどを検討しているようです。

最近、あまり仮想通貨のことを耳にしなくなりましたが、早く金融庁にルールを作って欲しいですね。
そうしないと、色々と問題が生じ、安心して使うことができず、せっかく少しずつ認知されてきたものがダメになってしまいそうですので。

金融庁が法令改正で仮想通貨での出資も規制対象にする方針を固めたことについて、どう思われましたか?


クラウド会計・給与は危うい?

 昨日、20181031日水曜日に、freee株式会社が提供するサービスにおいて、1234分から1500分までシステムエラー調査の影響により、緊急メンテナンスが実施されました。

この期間、freee株式会社が提供する全サービス(会計freee・人事労務freeeなど)において利用できない状況が発生していましたが、1500分に全サービスが復旧しました。

なお、今回の障害はシステム内部のトラブルであり、外部からの攻撃やコンピュータウイルスによるものではないことが確認されています。
またこのシステム障害によるお客様の個人情報やデータの漏洩や改ざん等は一切ないそうです。

月末に使えないのはキツイですね。
クラウドの場合、システムがダウンすると何もできないので、月次決算や給与計算や決算などに多大なる影響を与えたかもしれませんね。
せっかくクラウド会計などが少しずつ増えてきている中で、このようなことが起きると、少し止まってしまうかもしれません。
原因をきっちり分析して、今後このようなことがないようにしてほしいですね。
ちなみに、僕はfreeeの認定アドバイザーになっていますが、freeeは使っておらず、弥生(クラウドを含む。)を使っています。

freeeが提供する全サービスにおいて利用できない状況が発生したことについて、どう思われましたか?


過去10期分を分析したところ業績予想に「保守」と「野心」あり!

 20184月~9月期の決算発表を控え、業績予想に対する注目が高まっているようです。
実際に決算で発表した業績と期初に公表した予想は、往々にして乖離(かいり)があります。
過去10期分の実績を調べてみると、期初予想を上回りがちな企業と下回りがちな企業がそれぞれ存在することが分かったようです。
果たして日本で最も「保守的」な業績予想をする企業はどこなのでしょうか?
これは、日本経済新聞が直近の2017年度決算までの過去10期分を継続比較できる2,761社(金融除く)を対象に調べたものです。

純利益について10回のうち7回以上、実績が期初計画を超えた企業は25%でした。
逆に7回以上、実績が計画に届かなかった企業は23%でした。
予期しない要因で計画と結果に差が生じることはあります。
ただし、超過と未達のどちらかが毎年のように続くのは、予想を作る手法やビジネスの特性との関係もありそうです。

物流倉庫の自動化などを手掛けるダイフクは過去10回中8回の決算で期初計画を超えました。
業績予想の作成については、「確実な数字が見込める受注案件をもとにしている」と説明しています。

期初時点での受注を基に業績予想を作成すると、後から受注した分は上振れ要因となります。
ミロク情報サービスなどシステム業界も受注を積み上げた結果、計画を超過しがちです。

建設業界も受注の積み上げで業績予想を作成する企業が多くなっています。
全体の半数にあたる75社が7回以上、期初計画を上回っています。
関電工は10回連続です。
数年単位の工期も珍しくない建設業界では、様々なリスクを織り込んで人件費や資材などの建設コストを試算しますが、実際にすべてが悪いシナリオ通りになるケースは少ないため、利益は計画を上回りやすいようです。

鉄道・バスは8割の21社が7回以上予想を上回っています。
沿線人口を手掛かりにすれば旅客需要は予想しやすく、「鉄道関連の修繕費用は余裕を持って計上している」(相鉄ホールディングス)ようです。

映画やゲームといったコンテンツビジネスは、1つのヒットが大きく業績を左右します。
東宝は9回、期初計画を上回りました。
「作品のヒットは予想しづらい」とし、興行収入は低く見積もりがちです。
「君の名は。」では当初見通しは30億円程度だったようですが、実際は250億円を突破しました。

どのような業績予想を出すかは、会社の考え方が反映されます。
トヨタ自動車は「日本で一番保守的な社風」(国内投信の運用担当者)とも称されます。
業績に大きく影響する為替レートは不利な円高傾向に設定することが多く、20193月期も期初は1ドル=105円と、8月に106円としたが足元よりも約7円、円高寄りです。
原価低減の強化という「お家芸」もあり、上振れは9回に達します。

一方、業績予想の未達成が多い企業には、一般消費者を相手にするビジネスが目立ちます。
小売業で下振れが7回以上の企業は、70社と上振れ傾向の約2倍に達しました。
楽天証券経済研究所の窪田真之氏は、「業績不振とみられると客足に響くと考え、楽観的な業績予想を出す例がみられる」といっています。

外食チェーンのサンマルクホールディングスや美容室大手の田谷は、10回連続で計画未達成となっています。
未達が9回のオリンピックグループは、「事業環境変化への対応の見通しが甘かった」と反省しています。

「オーナー系の企業には、野心的な社内目標を業績予想に掲げるケースがある」(国内証券アナリスト)との指摘もあるようです。
積極的な成長戦略をとり、少々の計画の未達を恐れない姿勢が表れているともいえるでしょう。
未達成の回数が多いカワチ薬品やコナカなどは、創業家の持ち株比率が高くなっています。

市場関係者からは、企業が業績予想を控えめにする傾向が強まっているとの声が目立つそうです。
SMBC日興証券の伊藤桂一氏は、「市場では計画の超過が好まれるとの考えから、経営陣には予想を低めに出す動機づけが働きやすい」と指摘しています。
また、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の渡辺篤氏は、「外国人持ち株比率が上昇する傾向にあり、計画達成へのプレッシャーは一段と高まっている」と指摘しています。

業績予想で癖がある企業については、「それを踏まえて“等身大の収益力を読み解くことが重要」(国内投信の運用担当者)です。
業績予想の修正は決算と併せて発表されることが多くなっています。
保守的か野心的か、企業の癖を踏まえて投資判断に役立てたいですね。

業績予測がある程度の確度を持ってできる企業と、そうではない企業があると思いますので、個人的には、以前からそもそも業績予想が必要なのかと思っています。
このデータを見ると、かなり偏りがあると思いますので、業績予想をする際に、過去10年間の上方修正と下方修正の回数を記載するようにしてもいいと思いますし、業績予想の仕方も少し詳しめに記載する必要があるのではないかと考えます。
これらの傾向は、既に株価に反映されているのかもしれませんが、開示のルールを厳しくすると粉飾のリスクが高まるかもしれませんが、投資家保護の観点から、ルールを変えてもいいかもしれませんね。

過去10期分を分析したところ業績予想に「保守」と「野心」があったことについて、どう思われましたか?


あみやきが台風の影響で18時に決算発表!

 決算開示一番乗りの「常連」として知られる焼き肉チェーン、あみやき亭(証券コード2753)ですが、決算期末から実質0営業日での発表が慣習化していましたが、20184月~9月期決算発表は10118時と、このところ続けていた朝7時半の開示から大きく後ずれしました。
台風24号の影響で、作業に遅れが生じたもようです。

中部電力のホームページによると、あみやき亭の本社がある愛知県春日井市では台風による停電が発生し、交通にも大きな影響が出ました。
あみやき亭は決算発表に向け、930日夜にも社員を集めて作業を進める予定でしたが、出社できない社員もいたそうです。
急ピッチで作業を進め、なんとか101日中の発表に間に合わせた格好のようです。

あみやき亭が101日に発表した20184月~9月期の連結決算は、純利益が前年同期比4%減の10億円でした。
人件費の上昇が重荷となったようです。
売上高は2%増の159億円でした。

個人的には、早ければよいというものではないと思っていますが、新聞等に載るので、宣伝効果があるんでしょうね。
普段7時半に決算発表が18時に遅れただけで、新聞に載るんですから(笑)。
最近、『働き方改革』が叫ばれていますが、あみやき亭の『働き方改革』に対する姿勢について、知りたいですね。
7時半に決算発表するというのは、夜中に作業をしているでしょうし、人件費が重荷になって純利益が減少しているわけですから。
経理が2人しかいないと過去に報道されていましたが、1人が何らかの事情で休んだりするとどうなるんでしょうね。
その辺りのリスク管理に対する考え方も知りたいですね。

あみやきが台風の影響で18時に決算発表したことについて、どう思われましたか?


積み上がる「負債」に歯止めをかけるためポイント投資で投信や株運用!

 クレジットカードで支払ったり、電子商取引(EC)サイトで買い物をするとたまるポイントですが、このポイントを投資信託や株式などに投資できるサービスが相次いで登場しているようです。
 クレディセゾン、楽天証券などが参入し、プレーヤーは1年強で6社に増えました。
 相次いでポイント投資に乗り出す企業の狙いは何なのでしょうか?
 「前はポイントは航空マイルにして帰省などに使っていたけど、今はもっぱら『投資』に回す」と都内在住の自営業の男性(42)は話しています。
 クレジットカードやECサイトでためたポイントで投信を購入し、ポイント運用額は2万円を超え、「これからもコツコツ投資したい」そうです。
 201612月に国内で初めて、ポイント運用サービスを始めたクレディセゾンでは、利用者が20183月に13万人を超えました。
 運用に回ったポイントを時価換算した額は、20183月末で約87千万円です。
 運用を始めた人の40%弱は初めてポイントを使った会員だそうです。
 ポイント発行企業にとって、顧客がポイントを使うことは短期的には利益圧迫要因になります。
 ところが、実は使われないまま積み上がった「眠れるポイント」をいかに減らすかは、発行会社にとって大きな課題なのです。
 野村総合研究所によると、代表的な企業のポイント発行額は、2020年度に1兆円を超える見込みです。
 発行会社は、ポイントが使われると販売促進費などとして費用に計上しますが、未使用ポイントについては将来使われることに備え、過去の実績などを考慮して引当金を積んでいくのが一般的です。
 セゾンの「永久不滅ポイント」の場合、有効期限がないため、ポイントが使われない限り、セゾンは引当金を積み続けるしかありません。
 バランスシートの「負債」に積み上がった引当金は、2017年末に1,000億円を超えました。
 ポイントは本来、自社の次のサービスや商品の需要を喚起するための販促ツールのはずです。
 大手監査法人は「売り上げに結びつかない“塩漬けポイント”が負債に積み上がるのは財務諸表上、非効率」と指摘しています。
 楽天は、「楽天スーパーポイント」の引当金を201712月期で約700億円積んでいます。
 20178月、楽天証券は楽天スーパーポイントを投信の購入費用に充当できるようにしました。
 楽天証券では投信のスポット購入が100円からできます。
 結果、「初めて購入した人の数が直近でポイント利用開始前の3倍に膨らんでいる」ようです。
 この動きが加速すれば楽天は負債を圧縮し、楽天証券は新規顧客を獲得できるのです。
 グループ内の相乗効果を狙えるわけです。
 日銀資金循環統計によれば、昨年末時点で家計の金融資産に占める現預金は約961兆円と51%を占めました。
 株や投信などリスク商品の3倍の水準です。
 株式相場が活況だった2017年でさえ、個人マネーが投資に向かう動きは鈍かったようです。
 しかしながら、「現金では数百円の投資さえためらう人も『オマケ』と割り切れるポイントだとリスクを取ることをいとわなくなる」(セゾンの美好琢磨アセット・マネジメント・ビジネス・オフィサー)という効果もあるようです。
 これまで投資に無関心だった若年層が、ポイント投資をきっかけに株式や為替相場に興味を持って勉強を始めれば、いつか「本物の」個人投資家に育つかもしれませんね。
 テスト段階ですが、2018年3月には、少々異色な会社もポイント運用サービスを始めました。
 なんとJR東日本です。
 ロボットアドバイザー運用のお金のデザイン(東京都港区)と組んで事業を始めた理由は「交通や買い物に続く新しい接点を顧客と持つため」(事業創造本部の佐野太課長)だそうです。
 JR東日本は資産運用の分野を通じて顧客のニーズや嗜好についての分析などを進めていく考えです。
 約2週間で数千人がポイント運用を始めたようです。
 ポイントは投資の入り口にはなるでしょう。
 ただし、参入企業が増え、運用対象の金融商品の中には比較的、高リスクな商品も登場しているようです。
 ポイント制度に詳しいポイ探(東京都中央区)の菊地崇仁代表は、「自分の許容リスクや投資目的を吟味して選ぶ必要がある」と注意を促しています。
 これは、個人的には、すごく興味が沸く話でしたね。
 負債を減らすこともできますし、新規顧客も獲得できますし、新しい投資のきっかけともなりますし、リスクを取るきっかけともなりますし、新しい切り口だなぁと思いました。
 積み上がる「負債」に歯止めをかけるためポイント投資で投信や株運用が行われるようになってきていることについて、どう思われましたか?

経団連が四半期開示の廃止を提案!

2018年04月04日(水)

一般社団法人日本経済団体連合会(いわゆる経団連)は、2017年8月9日から10月20日にかけて、全会員企業・団体を対象に「2017年度経団連規制改革要望」のアンケート調査を実施し、89企業・団体から合計507件の回答が寄せられました。

本年度は、成長戦略の推進に資するべく、5つの「重点テーマ」(「1.Society 5.0の実現に向けた革新的技術の開発・普及・活用」、「2.行政手続コストの削減」、「3.多様な人材の一層の活躍促進」、「4.地域経済の活性化」、「5.エネルギーの開発・普及等」)を設定してアンケート調査を実施しました。
各要望について、関係する政策委員会において精査し、本年3月までに13分野・146項目の要望を政府の規制改革推進会議に提出しました。

経団連は、今般提出した要望の実現に向け、政府に働きかけを行っていくようです。

この中に、『四半期開示制度の見直し』があります。

具体的には、『四半期開示について、四半期決算短信、四半期報告書それぞれが異なる制度を根拠としながら、開示が要請される項目の重複などがあるため、真に開示が必要な情報を再度整理すべき。また、将来的には欧州を初めとした諸外国(英、仏等)と同様

に第1及び第3四半期開示義務を廃止すべき。』としています。

提案の理由としては、『日本の上場企業においては、毎四半期ごとに、四半期決算短信(証券取引所規則)、四半期報告書(金融商品取引法)と、それぞれが異なる制度を根拠とした開示書類を提出しており、その内容について経営成績に関する記載や財務諸表等、相当程度の項目が重複している。また、大量の開示書類を四半期単位で作成しているため、これら書類作成に携わる社員の稼動・負担は膨大なものになっている。
一方で主要国に目を転じれば、米国は証券取引法に基づく四半期報告書(10-Q)のみを開示しており、英、仏等においては、第1及び第3四半期開示制度自体が存在しない状況である。
現在、日本においては、官民を挙げて「働き方改革」「生産性向上」に取り組んでいるところであり、また、未来投資戦略2017において、「四半期開示について、義務的開示の是非を検証しつつ、更なる重複開示の解消や効率化のための課題や方策等を検討」することとしている。これらを踏まえ、真に開示が必要な項目の精査等を通じた開示項目の簡素化を要望したい。また、将来的には、欧州をはじめとした諸外国と同様に、四半期開示義務自体を廃止すべきと考える。
要望が実現すれば開示書類作成に携わる社員の負担軽減による「働き方改革」につながるとともに、「企業の生産性向上」の実現を通じた持続的な企業価値の向上が図られると考える。』

僕は公認会計士として、以前から四半期開示(第2四半期は除く。)は、いたずらに会社にも監査法人にも負担を与えるため、必要ないと言ってきましたが、経団連が提案してくれるとありがたいですね。
『働き方改革』が理由になっているところは、時代の流れを感じますが(笑)。

経団連が四半期開示の廃止を提案したことについて、どう思われましたか?


日本公認会計士協会が高等学校学習指導要領案について意見を提出!

 日本公認会計士協会は、文部科学省から平成30214日付けで公表された高等学校学習指導要領案について、意見を提出しました。

<「公民」での会計に関する教育について>
既に公表されている中学校学習指導要領(平成29331日文部科学省告示第64号)及び中学校学習指導要領解説社会編(平成29年6月)には、次のとおり記載されています。
中学校学習指導要領
「「個人や企業の経済活動における役割と責任」については,起業について触れるとともに,経済活動や起業などを支える金融などの働きについて取り扱うこと。」(第2章第2節社会〔公民的分野〕「内容の取扱い」(3)()
中学校学習指導要領解説社会編
「資金の流れや企業の経営の状況などを表す企業会計の意味を考察することを通して,企業を経営したり支えたりすることへの関心を高めるとともに,利害関係者への適正な会計情報の提供及び提供された会計情報の活用が求められていること,これらの会計情報の提供や活用により,公正な環境の下での法令等に則った財やサービスの創造が確保される仕組みとなっていることを理解できるようにすることも大切である。」
当協会は、中学校社会科(公民的分野)での学習を発展させ、市場経済における会計情報の活用及び企業会計の役割について更に学習を深めることを、高等学校学習指導要領に明記すべきと考えます。
具体的には、〔第1 公共〕の3(3)()及び〔第3 政治・経済〕の3(2)()を次のように改める(傍線部分を追加する)べきと考えます。

 P.99
12
行目「・・・。「金融の働き」については,金融とは経済主体間の資金の融通であることの理解を基に,金融を通した経済活動の活性化とそれを支える会計情報の活用についても触れること。・・・」
 P.108
15
行目「・・・また,「金融を通した経済活動の活性化」については,金融に関する技術変革と企業経営に関する金融及び企業会計の役割にも触れること。」

また、会計(複式簿記)は、15世紀ヨーロッパで取りまとめられて以降、基本的な概念の変化がなく、現在まで経済事象を記録・報告する手段として普遍的に用いられている人類の英知であるということを、高等学校学習指導要領に基づく教育課程において取り上げるべきと考えます(〔第1 公共〕の3(2)()関連)。
・意見の分類番号 ⑫
・意見

<「家庭」での会計に関する教育について>
第9節家庭では、「第1 家庭基礎」、「第2 家庭総合」に共通して、「C 持続可能な消費生活・環境」の(1)及び(3)において、生涯を通じた長期的な経済計画や家計収支が取り上げられています。また、これらに係る「内容の取扱い」では、キャッシュレス社会の利便性と問題点、将来のリスクなども取り上げられています。
第9節家庭では、主体的に家庭の生活を創造する資質・能力を、実践的・体験的な学習活動を通して育成することを目指すこととされています。このような目標については、大いに賛同するところでありますが、実践的・体験的な学習活動に加えて、事象の理論的・体系的な理解をすることで、より実生活に活用可能な資質・能力を身に付けることができると考えます。
今回、指導要領案に示された前記のような事項の学習には、「資産と負債」、「フローとストック」といった会計の基礎的な考え方の理解が役立つと考えます。また、民法改正による成年年齢の引き下げ(20歳→18歳)が検討されており、契約や財産管理の前提となる会計の基礎的な考え方を高等学校の段階において理解することが、これまで以上に重要になります。したがって、各科目の「C 持続可能な消費生活・環境」の学習の導入又はまとめとして、会計の基礎的な考え方を取り扱うことを明記すべきと考えます。

僕自身、公認会計士・税理士として会計や財務や税務にかかわる仕事をしていますし、大学院で教えたりしていますが、大学のセンター試験でも、『簿記』を選択できる人は限られていますし、少数扱いです。
家庭でも、社会に出てからも、『会計』の知識は多かれ少なかれ役立つことがあると思いますので、極論からいえば、義務にしてほしいですね。
そういうことが、起業する方の増加にもつながると思いますし、日本企業の競争力の強化にもつながるのではないかと考えています。
よって、今回の日本公認会計士協会の意見はとてもよかったと思いますね。

日本公認会計士協会が高等学校学習指導要領案について意見を提出したことについて、どう思われましたか?


NTTドコモが『dポイント』の会計処理を来期変更し減収要因に!

  NTTドコモは、顧客に付与する共通ポイントサービス『dポイント』について、2019年3月期から一部を売上高に相当する営業収益から差し引く会計処理にするそうです。

 従来の米国会計基準では、顧客に付与した時点ですべて営業費用として計上していました。

NTTドコモは、20193月期から国際会計基準に変更します。
dポイントの付与により、営業収益が数百億円押し下げられる可能性があります。
内容によって、営業費用に計上するか売り上げから差し引くか、細かく決める方針だそうです。

また、顧客が自ら獲得したdポイントを使った場合、使用分はNTTドコモの収入として計上します。
ローソンや高島屋など提携する店舗での利用時の会計処理は、今後詰めるようです。

dポイントは、2015年末に始めたもので、通話料やコンテンツ利用などに応じてポイントを顧客に与えています。
KDDI・ソフトバンクや2社系列の格安スマートフォン事業者などへの顧客流出を防ぐため、dポイントを積極的に顧客に付与してきました。

「dカードGOLD」などポイント付与率が高いクレジットカードの発行枚数も増えています。
ポイント関連費用は、20183月期に初めて1,000億円を超える見通しです。
NTTドコモの連結営業利益の約1割に相当するようです。

NTTドコモは、2018年5月、携帯電話の契約期間が長いほどポイントを手厚く付与するサービスを導入します。
20193月期は、さらにポイント関連費が増えそうです。

僕もずっとNTTドコモユーザーなのですが、dポイントは金額的にも会計処理的にも大変だろうなぁとは思っていました。
某クレジットカード会社の『永久不滅ポイント』なんかは、会計的には最悪だろうなぁとも思っていますが。
もちろん、dカードGOLDも持っています。
今までが、新しく乗り換えてきた方が優遇されるというおかしな状況でしたが、ようやく、契約期間が長い人も優遇しようという流れになってきたのは嬉しいですね。

NTTドコモが『dポイント』の会計処理を来期変更し減収要因になることについて、どう思われましたか?


JA秋田おばこがコメの販売優先し会計を後回しにして56億円の赤字!

2018年03月09日(金)

朝日新聞によると、全国の農協改革の「モデル」とみられてきたJA秋田おばこ(本店・秋田県大仙市)の失敗が波紋を呼んでいるようです。
国による米の生産調整(減反)が2017年で終わり、農協の経営能力がより重要になる中、力を入れてきた卸会社などへの直接販売で約56億円の累積赤字を抱えました。
販売拡大を優先し、適正な会計処理が後回しにされていたようです。

米の取扱量が日本有数で、秋田県内最大の組合員約3万人を抱える秋田おばこの原喜孝組合長は、先日、理事会後の記者会見で「組合員は疑心暗鬼になっており、農協離れが進む危機感もある。第三者委の客観的な検証で説明責任を果たしたい」と語りました。
JA秋田おばこは、先日、全容解明のため、弁護士と公認会計士計4人からなる第三者委員会を設置し、今後、ずさんな販売管理の原因を調べ、役員の責任を追及する方針です。

JA秋田おばこが事態を公表したのは2018年1月末でした。
会見した原組合長は「米価の推移をしっかり確認せず、奨励金などを大盤振る舞いしていた」と語りました。
秋田県は2週間前、JA秋田おばこに対し、2018年3月20日までに赤字発生の経緯や再発防止策などの報告を求める行政処分を出しました。
佐竹敬久知事は、先日の会見で、「全容を踏まえたうえで農林水産省と一緒に確認しないと支援もできない」と発言しました。

巨額の累積赤字は、JA全農あきたを通さず、卸会社などに米を直接売る「直接販売」という取引で生じたものです。
生産農家に「概算金」と呼ぶ仮払金を支払って米を預かり、その年のすべての米を売り切った後で精算します。
販売代金の総額が仮払金や経費の総額を上回れば、JA秋田おばこが農家に追加で支払い、逆に下回れば、農家から返してもらいます。
JAグループの米販売で広く採用されている仕組みです。
複数年にわたる収支をひとまとめにして精算し、JA本体の会計とは別に「共同計算会計」と呼ばれているものです。

2004年に始まったJA秋田おばこの直接販売は年々拡大し、当初は取扱量の6%でしたが、ピークの2012年には86%になりました。
直接販売により産地のブランド力で高く売れれば、農家の収入を増やせますが、販売が振るわずに概算金が割高となり、農家から返金してもらうべき精算額が増えました。

さらに、事務量が増えたのに電算システムが導入されず、職員数人の手作業では会計処理が追いつかなくなって、収支が把握できなくなっていました。
その結果、正しく精算されず、累積赤字が膨らんだとみられます。

理事会も、自ら定めたルールに沿って販売計画の審議や検証をしておらず、長年問題に気づきませんでした。
内部の調査委員会は「幹部職員や役員らのコンプライアンス(法令や社会規範の順守)違反があった」と指摘しました。

JA秋田中央会の幹部は「JA本体の決算に関わる項目を確認する程度で、細かい収支は見ていなかった」と打ち明けています。
農家への精算が遅れていたことは広く知られていたはずですが、秋田県も、農業協同組合法に基づく検査で会計に立ち入った確認をしていませんでした。
JA本体の会計から切り離された共同計算会計は、監査の目も届きにくい面があったようです。

2018年1月末にJA秋田おばこの説明会に参加した米農家の男性(69)はやり切れない表情でこぼしていたようです。
「大切に育てた米が、まさか赤字を生んでいたなんて。腹立たしいし、悲しい」

JA秋田おばこが直接販売を始めたのは2004年で、「減反廃止」に至る国の米政策見直しの動きと重なります。

「独自に販路を開拓してきた立派な農協で、当たり前の会計処理ができていなかったショックは大きい」と農水省幹部は漏らしているようです。
原因究明の結果も踏まえ、共同計算会計のルール明確化などを進めていく方針のようです。

2005年にJA全農あきたで米の架空取引などの不正が発覚した後、全農は共同計算会計のルールを具体的に定めました。
しかしながら、JA秋田おばこのような地域単位のJAの取り組みはまちまちだったようです。

政府は2002年、市場重視の方向性を盛り込んだ「米政策改革大綱」を決定し、2004年に米の生産・流通を大幅に自由化する改正食糧法が施行されました。
海外への米輸出にも積極的に取り組むJA秋田おばこの姿勢は、新しい政策のモデルとも言えました。

しかしながら、改革は想定通り進まず、米の価格は値下がり基調ながら、年によって大きく上下しました。
一方、収穫前に設定する概算金は、生産者の期待を反映する形で高めに設定されました。
JA秋田おばこは、集めた米を期待した量や値段で売れず、精算を先送りした結果、赤字が膨らんだとみられます。
めまぐるしく動く米の価格や政策にも、翻弄されました。

別のJA幹部は、「農家に少しでも高い概算金を支払って楽にしたいと、誰しも考えた。販売努力をしないと農家の希望をかなえられなかった」と、決してひとごとではないと指摘しているようです。

個人的には、JAの存在意義を考えないといけない時期に来ていると思います。
こういった事件もそれを如実に表しているように感じます。
良いところは残し、そうでないところはやめないと、農家の方々の足かせになりかねないでしょうね。

JA秋田おばこがコメの販売優先し会計を後回しにして56億円の赤字を出していることについて、どう思われましたか?


M&Aの対価の一部に仮想通貨を使用!

2018年02月21日(水)

システム開発のカイカは、先日、カイカが手掛けるM&A(合併・買収)の対価の一部を、カイカが発行する仮想通貨「CAICA(カイカ)コイン」で支払うと発表しました。

これにより、2018年10月期に約6,000万円の仮想通貨売却益を計上する方針のようです。
カイカによると、カイカの監査を担当する東光監査法人の確認がとれているそうです。

仮想通貨の会計処理には、明確な基準がありませんでした。
このためカイカはこれまで、CAICAコインを財務諸表に載らない簿外資産としていました。

個人的には、簿外資産とするのもどうかと思いますが、利益に困っている企業が、仮想通貨を用いて利益を計上するということが横行しないようにして欲しいですね。

カイカがM&Aの対価の一部に仮想通貨を使用して仮想通貨売却益を計上することについて、どう思われましたか?


金融庁と法務省が決算開示の基準を統一!

2018年01月26日(金)

金融庁と法務省は、企業の決算開示に関するルールを見直すようです。
1年ごとに作成する事業報告書と有価証券報告書(いわゆる『有報』)について、同じ情報を伝える項目であれば表記を統一します。
投資家にわかりやすい内容に改めると同時に、企業の手間を省きます。
3月末までに関連法制の施行規則などを改正し、2018年3月期決算から適用します。

事業報告書は法務省所管の会社法で、一方の有価証券報告書は金融庁所管の金融商品取引法で規定されています。
今は「純資産」と「純資産額」、「従業員の状況」と「使用人の状況」など同じ内容でも違う用語での記載を義務付ける項目が多くなっています。
ルール改正で、表記をそろえます。

また、大株主の株式所有割合を出す方法も統一します。
事業報告書では発行済み株式総数から自己株式数を差し引いて算定していますが、有価証券報告書では自己株式を差し引かない方法を採っています。
2018年3月期決算からは事業報告書のやり方に統一します。
取締役や監査役の報酬総額の記載方法もそろえます。

金融庁は、企業と投資家の対話を促す施策を重点課題に挙げています。
投資家に必要な情報をよりわかりやすく効率的に伝えるには、複数の省庁にまたがる制度を整理する必要があると判断して今回のルール改正を決めました。

これは、以前から本当に無駄なことをしているなぁとずっと思っていました。
ようやくかぁという感じですが、改正になることは喜ばしいことですね。
本当に、役所の縦割りが原因で無駄が生じていることが世の中にはいっぱいあると思います。
増税を考えるよりは、こういった無駄の排除に取り組んで、職員を削減していくことが、国民のためになるのではないかと思います。
人材が不足している中、無駄な作業をしている方の残業も減るでしょうし。

金融庁と法務省が決算開示の基準を統一することについて、どう思われましたか?


『はれのひ』は2016年9月期に1億5,000万円の修正損!

2018年01月25日(木)

1月9日までに全店舗を閉鎖し、事実上事業を停止したはれのひ㈱(神奈川県横浜市)は、ホームページでは順調な業績推移を装っていましたが、2016年9月期決算で1億5,000万円の過年度決算の修正損を計上していたことが東京商工リサーチの取材でわかったようです。

はれのひは、2016年9月期の売上高を対外的に4億8,000万円と公表していましたが、実際は3億8,000万円にとどまっていたことが東京商工リサーチの取材で判明しています。

営業利益は1億8,000万円の赤字、最終利益も3億6,000万円の赤字でした。
最終赤字が膨らんだのは過年度決算にかかわる修正損を1億5,000万円計上したためのようです。
内訳は、売上高の過大計上に関する修正損が4,000万円、商品在庫の過大計上に関する修正が9,000万円などです。
無理な店舗展開などで活発になった資金需要に対応するため、売上高や商品在庫の過大計上で不適切な会計処理を行っていた可能性があるようです。

成人式という一生に一度の場で、夢を持った将来の日本を支えていくような方々をだました行為は、決して許されるものではありません。
海外逃亡説もささやかれていますが、表に出てきて謝罪して、できる限りの返金や預かっている着物の返却をしてほしいですね。
ここも、昔の『NOVA』や最近の『てるみくらぶ』もそうですが、すぐに支払うと安くなるというところには、消費者も気を付けないといけないですね。
あとは、日本もとても残念な時代になってきていると思いますが、安易に取引をするのではなく、業者のことを調べたうえで取引をしないといけないのかもしれませんね。

『はれのひ』は2016年9月期に1億5,000万円の修正損を計上していることについて、どう思われましたか?


仮想通貨を企業使いやすくする取引環境の整備が進む!

2017年12月05日(火)

ビットコインなど仮想通貨を使いやすくする環境整備が進んでいます。
企業会計基準委員会(ASBJ)は企業が仮想通貨を活用する際の会計ルールの大枠を固め、価格変動リスクの回避に利用できるビットコインの先物取引も始まります。
取引インフラの整備が企業や機関投資家など新たな参加者を呼び込むとの期待から、ビットコインは価格の上昇が続いています。

日本企業の会計基準を策定するASBJは、先日開いた本委員会で、仮想通貨の会計ルールの大枠を固めました。
仮想通貨を資産に計上したうえで時価評価し、価格変動に合わせて損益を計上するのが柱で、細部を詰めたうえで年内に公開草案を公表するようです。
原則、2018年度決算から適用します。

ビックカメラやエイチ・アイ・エスなどビットコインを支払いに使える店舗は国内で1万店を超えました。
会計規則が明確になり、二の足を踏んでいた企業も導入しやすくなります。
ビックカメラの安部徹取締役は「企業が安心して活用できれば個人の利用も広がり、当社にもプラスに働く」と話しています。

仮想通貨は価格が乱高下し、決済や運用に使いにくいとの声も多いようです。

このため世界最大のデリバティブ取引所であるアメリカのシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)は年内にもビットコイン先物の取引を始める計画です。
アメリカのシカゴ・オプション取引所(CBOE)も先物の上場を準備しています。

企業は、今後は、資産計上した仮想通貨の時価評価を義務づけられますが、先物を使えば将来の損失リスクを抑えられます。

先物の上場は機関投資家の参入も後押しします。
アメリカの運用会社ホライゾン・キネティクスの小島詩子氏は「価格の透明性が高まり、機関投資家が参加しやすくなる」と話しています。

金融庁は、2017年4月に改正資金決済法を施行し、決済手段として仮想通貨を法的に認め、現金と交換する取引所には登録制を導入しました。
CMEグループのレオ・メラメド名誉会長は「日本は世界でも最先端の取り組みを進めている」と評価しています。

課題も残っています。
世界の新興企業の間でブームになっている仮想通貨技術を使った資金調達(ICO=イニシャル・コイン・オファリング)は架空のプロジェクトを使った詐欺的な調達も少なくありません。
日本では業界ルールを定める自主規制団体がまだ設立できておらず、投資家保護の仕組みづくりが遅れています。

僕自身、まだ仮想通貨取引をやっていないのですが、大学院の授業でも生徒さんから仮想通貨のお話がよく出ますし、税理士のメルマガを読んでいても記事をよく見かけますので、そろそろやってみようかと思います。
やはり、きちんとルールが決まってからやりたいとは思いますが。

仮想通貨を企業使いやすくする取引環境の整備が進んでいることについて、どう思われましたか?

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災害時は避難所などに活用のコンテナホテルが香川県丸亀市にオープン!

瀬戸内海放送によると、不動産事業などを営むデベロップ(千葉県市川市)が、香川県丸亀市にコンテナホテル「HOTEL R9 The Yard 丸亀」を9月18日にオープンさせます。

高松自動車道の坂出ICから車で3分のところにある3,386平方メートルの敷地に50台のコンテナを並べ、広さ13㎡のダブルルームとツインルームを合わせて45室設置します。
料金は1人利用が6,200円から、1室2人利用で8,700円からとなっています。

このコンテナホテルは、平時はホテルとして運営し、災害など有事の際は被災地へ移設し、避難所などとして機能する「レスキューホテル」の役割を果たします。

デベロップでは2018年以降、全国で89棟のコンテナホテルを営業していて、これまでに新型コロナ関連の医療施設として7棟がレスキューホテルとして利用されたということです。

現在、丸亀市と災害協定を結ぶ準備を進めているということです。

デベロップのコンテナホテルは四国では愛媛県四国中央市に続く出店で、香川県では初出店となります。

丸亀市周辺の臨海部に集積している工場関係者の利用をメインに、インバウンドの利用も見込んでいるということです。

このニュースを見ると、コンテナホテルができるのかぁという感じですが、実は、節税商品なのです。

会計事務所には少し前から郵便等が送られてきたりしていると思いますが、今年のゴールデンウィークに岩国基地に行ったときに、行く途中の道に、「HOTEL R9 The Yard」があって、結構きれいで、部屋と部屋の間にほどよい距離があるので、少し見たり、写真を撮ったりしましたが、最近は震災が増え、南海トラフなどの震災のリスクも高まっていることから、しばらくはコンテナホテルは増えるだろうなぁと思いました。

災害時は避難所などに活用のコンテナホテルが香川県丸亀市にオープンすることについて、あなたはどう思われましたか?


節税をすると景気がよくなる?

ダイヤモンドオンラインによると、「このまま」今の仕事を続けても大丈夫なのか?、あるいは「副業」をしたほうがいいのか?、それとも「起業」か?、「転職」をすべきなのか?と感じたとしたら、それは皆さんの考えが正しいそうです。

なぜなら、今感じているお金に対する不安は、現実のものとして近づいているからです。無収入となる65歳から70歳、もしくは75歳までの空白期間を、自己責任で穴埋めしなければならなくなる未来が、相次ぐ法改正でほぼ確定しました。
そんな人生最大の危機がいずれ訪れますが、解決策が1つだけあります。
それはいますぐ、「稼ぎ口」を2つにすることです。
稼ぎ口を2つにすれば、年収が増えて、節税もでき、お金が貯まるからです。

なぜ、節税すると景気がよくなるのでしょうか?
節約をしてお金を貯め込むよりも、お金を経費として使って豊かな生活を送るほうが、圧倒的に早く裕福になれます。
なぜなら、お金を経費として使うと、社会貢献活動とみなされて、税金がかからなくなるからです。

私たち日本人は、実質的に約6割もの莫大な税金を支払っています(財務省発表の潜在的国民負担率)。
ところが、お金を経費として使えば、その分だけ税金が免除されるのですから、かなり大きいです。

なぜ、そんなことができるのでしょうか?
それは日本の税金が、「景気に貢献した人に対してご褒美を与える仕組み」になっているからです。

景気に貢献するのは簡単です。
経費というお金を使えば、誰でも景気に貢献できます。

なぜ、経費というお金を使うと、景気がよくなるのでしょうか?
それは、お金を使えば使うほど、日本のGDPが増えるからです。

GDPの計算式は単純で「GDP=消費+投資+政府支出+(輸出-輸入)」です。
経費としてお金を使うことを投資といいます。
だから、会社や個人事業主が経費を使うほどに、GDPが増える仕組みになっているのです。

経費としてお金を使うことを、専門用語で「節税」と言います。
つまり、国民が一斉に「節税」に取り組めば、日本のGDPはすぐに拡大するのです。

GDPが増えることを、俗に「景気がよくなる」といいます。
「金は天下の回りもの」といいますが、貯め込むよりも使ったほうが、GDPが拡大して、日本の景気はよくなるのです。

では逆に、経費を使わずに、お金を貯め込むとどうなるでしょうか?

皆が「節約」をして、お金を使わずに貯め込むと、消費も投資も少なくなります。
その結果、GDPが減り始めます。
GDPが減るということは、景気が悪くなります。

私たちは、平成の失われた30年間で、身をもってその悪夢を体験してきました。
この間ずっと、日本の企業は投資を控えて経費を節約し、お金(内部留保)を貯め込んできました。
投資(経費)が減るのですから、当然GDPが減ります。
だから平成の30年はずっと、景気が悪かったのです。

景気が落ち込むと、給料も減りますし、国の税収も減ります。
その結果、国の財政赤字が膨らみます。
国の借金は平成の30年間で5倍にも膨らみましたが、景気悪化で税収が減ったのですから当然です。

税法は、お金を貯め込むと税金をかけて、お金を使って投資をすると税金を免除する仕組みになっています。
貯めるか投資するかによって、日本の景気が左右されるのですから、理にかなった仕組みです。

そうであるなら、私たち日本人は、もっともっと「節税」という社会貢献を行うべきです。
「節税」は社会貢献になるだけでなく、私たちの生活を豊かにしてくれます。

しかしながら、残念なことに、サラリーマンという身分には、「節税」がほとんど認められていません。
節税できないので、どんなに一所懸命頑張って収入を増やしても、税金という名の罰金をかけられてしまいます。

そこで、サラリーマンを続けつつも、サラリーマンとは別の身分を獲得して、「節税」という名の社会貢献をしてみてはいかがでしょうか。

方法はいたってシンプルです。
「稼ぎ口二刀流」を使えば、サラリーマンとは別の身分を獲得できます。
「稼ぎ口二刀流」とは、給料以外に、2つ目の稼ぎ口を作る生き方です。

なぜ2つ目の稼ぎ口を作る必要があるのでしょうか?
それは、雇われる稼ぎ方では、どんなに逆立ちしても、永遠に「節税」できないからです。

でも、雇われない稼ぎ方であれば、好きなだけ「節税」ができます。
だからこそ、給料とは別に、雇われない「2つ目の稼ぎ口」を作るのです。

平成は「節約の時代」でした。
だから、失われた30年を引き起こしてしまいました。

でも、令和は違います。
令和は「節税の時代」です。
失われた30年を取り戻すためにも、がんがん節税して、日本の景気を盛り上げていきましょう。

この記事の、『経費としてお金を使うことを、専門用語で「節税」と言います。』というところは、個人的にはすごく違和感を感じますが、消費を増やせば、日本の景気がよくなるというのは、以前から言われていることですが、そのとおりだと思います。
もちろん、副業で経費を使いすぎて赤字となって給与と損益通算すると税収が減るので、税金を支払うことも重要なことだと思いますし、無駄な経費を使う必要はないと思いますが。

節税をすると景気がよくなる?について、どう思われましたか?


金融庁が節税を主目的として販売される保険商品への対応で国税庁との更なる連携強化!

「節税(租税回避)を主たる目的として販売される保険商品」について、2019年の国税庁による法人税基本通達改正の周知、いわゆるバレンタインショック以降、金融庁からも累次にわたり注意喚起を行い、監督指針の改正等を実施してきたところですが、依然として、保険本来の趣旨を逸脱するような商品開発や募集活動が確認されており、保険契約者保護の観点で問題が生じています。

金融庁は、今後発生しうる保険本来の趣旨を逸脱するような商品開発や募集活動への対応として、国税庁との連携を更に強化し、商品審査段階及びモニタリング段階での取組を通じて、より一層の保険契約者保護を図ることとするようです。

(参考)保険会社向けの総合的な監督指針(抜粋)
II-4-2 保険募集管理態勢
II-4-2-2 保険契約の募集上の留意点 (17)その他 ③その他
(略)
(ウ)法人等の財テクなどを主たる目的とした契約又は当初から短期の中途解約を前提とした契約等の保険本来の趣旨を逸脱するような募集活動を行わせないなど、保険商品のそれぞれの商品特性に応じ、その本来の目的に沿った利用が行われるための適切な募集活動に対する措置
IV.保険商品審査上の留意点等
IV-1-11 法人等向け保険商品の設計上の留意点
法人等の財テクなどを主たる目的とした契約又は当初から短期の中途解約を前提とした契約等の保険本来の趣旨を逸脱するような募集活動につながる商品内容となっていないか。

商品審査段階
①金融庁から保険会社に対して、国税庁への税務に関する事前照会を慫慂
②保険会社から同意を得た上で、必要に応じて、金融庁からも国税庁に事前照会を実施
③金融庁において、事前照会の結果を商品審査で参考情報として活用(事業方法書への募集管理態勢に関する記載の指導等)

モニタリング段階
①両庁の定期的な意見交換の場等を通じて、国税庁から金融庁に対して、保険商品に関する節税(租税回避)スキームの情報提供
②金融庁において、国税庁からの情報や独自に把握した情報を活用し、保険会社・保険代理店における募集管理態勢の整備状況や販売実態等のモニタリング等を実施
③金融庁から国税庁に対して、商品開発や募集現場で利用されるスキームの情報提供

保険商品については、過去からいたちごっこの状態ですが、ここ最近、ようやく保険の本来の趣旨に基づいて販売するようになってきていますが、さらに、縦割りの弊害があった金融庁と国税庁がますます連携を強化するということですね。
先日もとある生命保険会社が業務改善命令を受けていますが、早く、節税ありきでない普通の状況になるといいですね。

金融庁が節税を主目的として販売される保険商品への対応で国税庁との更なる連携強化を行うことについて、どう思われましたか?


金融庁が節税保険で3社に報告命令を出しマニュライフ生命は立ち入り検査!

日本経済新聞によると、行き過ぎた節税が問題となってきた「節税保険」を巡り、金融庁がエヌエヌ生命保険など生命保険3社に保険業法に基づく報告徴求命令を出したことがわかったようです。

金融庁はいずれも節税効果を過度に強調するなど不適切な営業があったとみており、詳しく事情を聴くようです。

報告命令の対象はエヌエヌ生命保険のほか、SOMPOひまわり生命保険とFWD生命保険です。

問題視しているのは「名義変更プラン」と呼ばれる定期保険の一種で、国税庁が2021年6月にこの手法を実質認めない通達改正をしていました。

また、この日までにマニュライフ生命保険に立ち入り検査を始めたこともわかったようです。

4社とも一部の営業現場で節税効果を強調するなど保険本来の趣旨から逸脱した募集をしていた可能性があり、金融庁は詳しく実態を調べる方針です。

金融庁と生命保険会社のいたちごっこはいつまで続くのだろうかと思いますが、生命保険の本来の趣旨は『節税』ではないので、きちんと現状を把握して、処分等が必要であれば厳正に処分等して、業界が信用されるようにしてほしいですね。
僕自身も保険代理店をやっていますので。
この『名義変更プラン』の封じ込めもすべての保険ではなく、封じ込めの対象になっていないものもあるようなので、その辺りもきちんとルールを決めてやらないと、今回の件は良いとして、また、そこを利用した『名義変更プラン』を出してくる生命保険会社もあるのではないかと思いますので、数年後には再び封じ込められていないものの封じ込めがまた必要になるのではないかと思っています。

金融庁が節税保険で3社に報告命令を出しマニュライフ生命は立ち入り検査に入っていることについて、どう思われましたか?


「節税保険」排除へ金融庁と国税庁が審査でタッグ!

日本経済新聞によると、金融庁と国税庁は行きすぎた節税が問題となってきた「節税保険」の排除に向けてタッグを組むようです。
両庁が協力して生命保険会社が設計した商品の内容を審査するほか、現場での募集の実態も調べるようです。
長年にわたって続く生保とのいたちごっこに、今度こそ終止符を打つ狙いです。

節税保険は支払った保険料を会社の経費として損金算入し、課税額を抑えられると称する商品です。
2010年代後半に日本生命保険や第一生命ホールディングス(HD)傘下のネオファースト生命保険などが相次ぎ商品を投入し、中小企業経営者らの需要をとらえて販売が拡大しました。
2018年ごろの市場規模は推定8,000億円以上とされ、生命保険の新規契約全体の3割程度を占めるに至っています。

金融庁は保険商品の認可審査にあたって、近く国税庁と連携します。
脱税や、行きすぎた節税に関する現場の知見を積んできた国税庁が保険商品に悪質な節税目的がないかを金融庁の商品審査部門に助言する。

金融庁は従来、商品認可にあたって「節税につながるかは認可の要素ではなく、補償上問題がなければ認可する」との立場をとってきました。
節税効果を詳細に分析できず、節税保険が蔓延する結果を招きました。
国税庁が入り口段階から審査に絡むことで商品認可のハードルが上がる可能性が高いでしょう。

募集の現場にも介入します。
金融庁と国税庁は顧客にどのような勧誘をしているかについて、保険の販売代理店の調査でも協力します。
ヒアリングを通じて、募集人が本来の趣旨に沿った保険として説明しているか厳しくチェックします。
覆面調査をするかなど連携方法を今後詰めるようです。

省庁をまたぐ異例のタッグの背景には、節税の悪質性が年々高まっていることがあります。
国税庁は2019年6月に保険料の損金算入方法を大幅に見直す通達を出し、「ドル箱」状態だった中小企業の経営者向け保険にメスを入れました。
しかしながら、今度は別の抜け穴をついた「名義変更プラン」と呼ばれる商品が外資系など一部の生保から登場しました。

名義変更プランは定期保険の一種で、解約時の返金率が低いうちに契約者の名義を法人から個人へ変え、返金率が高くなった時期に解約して返戻金を受け取る仕組みです。
解約返戻金は「一時所得」として扱われ、通常の所得より税負担が軽くなります。
国税庁は、2021年6月に実質認めない通達を出しました。

介護保険にも問題が広がりました。
一部の外資系生保が、介護保険を通じて高所得者が子供など親族に非課税でお金を移せる手法として打ち出しました。
国税庁は2021年3月、介護保険で保険金の非課税制度を悪用した節税手法を取らないよう生保業界に注意喚起しました。

金融庁も2021年11月の生命保険協会との意見交換会で、節税保険も含め「適正な保険募集の徹底を改めてお願いしたい」とくぎを刺しました。
金融庁幹部は「節税効果の有無にかかわらず、顧客のための商品でなければ保険として意味をなさない」と話しています。

これまで金融庁と国税庁は事務的なやりとり以外は別に動いていました。
金融庁は顧客の保護、国税庁は税金の適正な徴収と行政目的が違うためです。
今回の連携について金融庁幹部は「保険商品の税務面での知識不足を補える」、国税庁幹部は「個別では対応しきれない部分に手がまわり、抑止力につながる」と意義を語っています。

一方、生保業界からは不満もこぼれます。
ある大手生保幹部は顧客への商品説明の充実は重要としながらも、「問題が長年収束しなかったのは、商品にお墨付きを与える当局にも責任の一端があるのではないか」と本音を漏らしています。

生命保険協会によれば、2020年度の個人保険(経営者保険含む)の保有契約高は815兆円と5年前比で5%減少しました。
人口減や若者の保険離れが進むなか、業界全体として売りやすい保険に飛びついた面は否めません。
今回の商品審査見直しをきっかけに、経営者向け保険のあり方について生保業界全体として真剣に考える必要があるでしょう。

個人的には、今まで連携していなかったからこそ、節税保険がはびこることになったのではないかと思っていますので、あまりにも遅すぎる気はしますが、今回の連携は良いことではないかと感じています。。
規制のきっかけとなった日本生命のプラチナフェニックスなんかは、保険金が支払われることがあまり想定できず、何のための保険か?、言い換えれば、節税目的しかないという感じの商品ですから。
名義変更プランもかなり前から、あまり税務の知識のないと思われる保険会社の担当者や保険代理店の担当者が積極的に勧めていましたから。
税務の現場にいる人間からすると、常識的に考えて、節税目的ではないということを示すのは限られたケースだと思いますので、リスクが高いというのは明らかですけどね。
あとは、『節税』と一括りにされていることが多いですが、本当に『節税』になる『狭義の節税』と単に課税を繰り延べているに過ぎない『課税の繰り延べ』の違いを、保険を販売する側も保険に入る側もきちんと理解しておかないといけないのではないかと思います。

「節税保険」排除へ金融庁と国税庁が審査でタッグを組むことについて、どう思われましたか?


トランクルームが8年間で12,000店に倍増!

日本経済新聞によると、国内でトランクルーム市場が拡大しているようです。

新型コロナウイルス禍で在宅勤務が広がり、自宅で働くスペースを確保するために荷物を預ける人が増えています。
店舗数は2021年に12,000店を超え、ファミリーレストランの店舗数を上回る規模になりました。
新規参入が相次ぎ市場拡大は続く見通しですが、用地取得を巡る競争は激しさを増しています。

大手のキュラーズ(東京都品川区)は、東京23区では1畳当たり月13,000円台からトランクルームを提供しています。

キュラーズによると、国内のトランクルームの店舗数は2021年8月時点で約12,000店で、ファミリーレストランの店舗数(2021年8月時点で10,305店)を上回りました。

コロナ前の2019年末比で11%増え、直近8年間でほぼ倍増しています。
国内の市場規模(屋内型と屋外型の合計)は2020年で約670億円と、10年前から約2倍に拡大しました。

都内で13店舗を運営しているトランクルーム東京(東京都港区)では、利用者の9割が個人でファミリー層が中心です。
趣味のスキーやサーフィン用具などを使わない季節に預ける人もいます。

足元で増えている顧客が、コロナ禍で在宅勤務を始めた会社員です。
自宅にパソコンやモニターを置き、快適に仕事をするスペースを確保するため、すぐに使用しないモノをトランクルームに収容するのです。

「ハローストレージ」ブランドで展開するエリアリンクも事業は堅調に推移しています。
全国で運営する10万室弱の2021年12月時点の稼働率は約86%と上場以降で最高水準に達しています。
2021年は1,000室を新規出店する計画でしたが、1,600室を超えました。
2021年12月には新ブランドとして小型店の出店を開始し、新たなニーズを掘り起こします。

市場の成長が続く背景には、日本の住まいの狭さもあります。
国土交通省によると、日本の新設住宅の1戸当たり床面積は2020年度に約82平方メートルと、20年前から約15平方メートル減りました。
1人当たりの住宅床面積を国際比較すると、日本はアメリカやフランス、ドイツより狭くなっています。
自宅近くのトランクルームに、普段は使わない品を収容したいというニーズは強まっています。

キュラーズのスティーブ・スポーン社長は、国内市場について「年率で前年を1割程度上回るペースで成長が続く」とみており、市場規模は2026年に1,000億円を超えると予測しています。
キュラーズによると、アメリカのトランクルームの世帯普及率は10%ほどで、1%にも満たない日本は成長余地が大きいです。

トランクルームは駅前や大通り沿いなど利便性の高い立地の出店で成長してきた側面もあります。
成長を取り込もうと新規参入組も増えるなか、最適な土地を巡る取得競争も激化しています。

「新型コロナの影響でこの2年は売り案件が減っている」(業界関係者)。
好立地の土地や不動産価格は上がっており、採算が取りにくい物件も目立ってきたそうです。

個人が融資を受けて物件を建て、運営を企業に委託するケースも多いようです。
投資物件としての魅力が下がれば、店舗の増加にブレーキがかかる可能性もあります。

比較的少額で始められる投資物件として収益性が高く、節税にもなるため、人気が高いようですね。
最近、節税や運用のニーズが増えてきているように感じていますので、今度、セミナーを受講して、詳しい内容を聴いてみたいと思っています。

トランクルームが8年間で12,000店に倍増していることについて、どう思われましたか?


今から年末にかけては節税の機会!

今年も節税を考える時期になりました。
所得税は1~12月の暦年単位で課税されます。
この先1か月強の対応次第で、今年分の納税額が変わることもあります。
自分に該当しそうなケースを確認し、無理のない範囲で対策をしよう。

日本経済新聞によると、「投資をしている人は、年内に売却して損益を確定させるかを考えておきたい。」と、辻・本郷税理士法人の浅野恵理税理士は今年の注意点として、株や投資信託などの投資損益の確認を挙げています。

今年は日経平均株価が31年ぶりの高値を付けるなど、株価は高値圏での推移が目立ちました。
既に大きな売却益を出した人もいるでしょう。
投資で利益を実現した年は含み損を抱えた銘柄を売り、損失を確定させる機会でもあるのです。

株式や投資信託などを売却して利益を出したり、配当や分配金を受け取ったりすると、通常は所得税(復興特別税を除く、以下同じ)15%がかかります(このほかに住民税が5%かかります。)。
ただし、課税対象となる利益は1年間の損益を通算した結果で、損失が出れば、その分税額は減ります。
損失を実現させるのは痛いですが、節税になれば多少はカバーできるともいえるでしょう。

多くの個人投資家が利用する「源泉徴収ありの特定口座」では、税は源泉徴収(天引き)されます。
今年、既に売却益を出した口座で年内に別の銘柄を売って損失を確定させれば、売却益から源泉徴収された税が戻るのです。

複数の証券口座で損益通算をする場合には確定申告をする必要があります。
例えばA証券で100万円の利益、B証券で40万円の損失が出た場合、いずれも源泉徴収ありの特定口座で、そのままなら所得税はA証券が15万円、B証券はゼロですが、確定申告をすると、差し引き60万円の利益となり所得税は9万円となり、払いすぎた6万円が戻ってきます。

2018年までの年間の投資損益も確認しましょう。
通算の運用成績がマイナスの年があれば、節税できる可能性があります。
投資で発生した損失は翌年から3年間繰り越せるからです。

例えば、2018年に差し引き100万円の損失があれば、今年までの3年間、累計100万円までの利益は非課税となるのです。
特に2018年分の損失は2021年が利益を通算できる最終年となります。
繰り越しの損失があれば、年内に含み益のある資産を売却して利益を確定させてもよいでしょう。
繰越損失の分、課税額を抑えられるからです。

ただし、損失の繰り越しをするには確定申告が必要です。
源泉徴収ありの特定口座で取引し、過去に損失があった年以降、確定申告していなかった場合は「期限後申告」ができます。
昨年に損失があれば、まず期限後申告をして、今年の取引分を来年確定申告するのも手です。

投資以外の所得税の節税で、身近なものが医療費関連でしょう。
まず、1年間に病気やケガで医療機関に払った治療費や医薬品代などを確認しましょう。
一緒に暮らす配偶者や子どもなどの分も含め10万円(所得金額が200万円未満の場合はその5%)を超えると医療費控除の対象となります。
10万円もしくは所得金額が200万円未満の場合はその5%を超えた金額が課税所得から引かれ、税負担が軽くなるのです。

既に10万円以上か、あと少しで超える、というときには「自分で時期を選べる、虫歯の治療や入れ歯作りなどを年内に済ませれば節税効果がある」(税理士の藤曲武美氏)。
手元にお金がないときはクレジットカードを使うのも一案です。
銀行口座からの引き落としは年明けでも「年内に窓口で支払い手続きをすれば今年の所得から控除できる」(岡田俊明税理士)。

医療費が10万円を大きく下回る場合でも「セルフメディケーション税制が使えるかもしれない」(ランドマーク税理士法人の清田幸弘代表税理士)。
市販の「スイッチOTC医薬品」の年間購入額が1万2,000円を超えれば、超えた金額(上限8万8,000円)を課税所得から控除できます。

対象の医薬品はパッケージに表示があるほか、「★」を付けるなどレシートでも区別されています。
購入額が1万2,000円以上やそれに近い場合、確実に使う分を年内に買うのも一案です。
風邪薬や胃薬など対象は広くなっています。
ただし、制度の利用には予防接種の領収書や健康診断の結果通知表などが必要です。
また、医療費控除との併用はできません。

そのほか、ふるさと納税の利用額や16歳以上の子どものアルバイト収入も確認しておきましょう。
ふるさと納税は所得に応じた一定額までは、実質2,000円の負担で返礼品を受け取れます。
子のアルバイト収入は103万円を超えると扶養控除の対象外になります。
節税目的で収入を抑えるなど無理をする必要はありませんが、後でがっかりする事態は避けられるでしょう。

税理士として確定申告のお手伝いをしていると、もったいないなぁと思うケースが時々あります。
税務は知らないと損をして、知っていると得をするという面がありますので、今から年末に向けて、色々とチェックをすると、予想外の節税につながるかもしれませんよ。

今から年末にかけては節税の機会であることについて、どう思われましたか?


令和2年度は大企業1,000社が減資で中小企業に衣替え!

産経新聞によると、大企業が資本金を減らす「減資」の手続きを取り、税制上の「中小企業」に衣替えした事例が、令和2年度は約1,000社に及んだことが分かったようです。
財務悪化のイメージダウンは避けられませんが、資本金が1億円以下になると税負担が軽くなるのです。
ただし、本来は経営体力に乏しい企業のための優遇措置を大企業が受けることには、批判も根強いものがあります。
資本金の多寡で負担が変わる税制の見直しにつながる可能性もあるでしょう。

東京商工リサーチによると、令和2年度に資本金を1億円超から1億円以下に減らした企業は997社と、前年度の1.4倍に急増しました。
飲食業では「かっぱ寿司」を展開するカッパ・クリエイトや居酒屋「はなの舞」を運営するチムニー、旅行関連ではスカイマークやJTBが名を連ねます。
令和3年度に入っても減資企業は後を絶たないようです。

減資企業の最終損益の内訳をみると、黒字企業は令和元年度の54.9%から令和2年度は43.9%に減ったのに対し、赤字企業は27.9%から38.6%へと増えました。
新型コロナウイルス禍で痛手を負った企業が減資に動いたことをうかがわせます。

資本金が1億円以下になると、税負担軽減のメリットがあるのです。
法人税率の引き下げが期待できるほか、法人事業税については赤字でも収める必要がある外形標準課税が免除されます。

資本金は、企業の〝格〟を示す指標とされてきました。
しかしながら、日本総合研究所の小谷和成主席研究員は「資本金の額が大きいほど『安心な企業』と見なす資本金信仰は薄れてきた」と指摘しています。
減資しても、銀行などが融資の際に重視する純資産自体が減るわけではないというのがその理由です。

とはいえ、中小企業の経営を支援するための措置を大企業が利用することには厳しい目が向けられてきました。
平成27年には、シャープが減資を試みたものの、批判を受けて1億円への減資を行いませんでした。

与党の平成28年度税制改正大綱には、中小企業への課税を実態に即して見直すことが盛り込まれましたが、実現には至っていません。

大和総研の斎藤航研究員は「中小企業の支援や税の公平性という観点から、従業員数などの基準も活用し、企業規模を把握することが望ましい」と語っています。

コロナ禍のもとでの減資増加をきっかけに、中小企業の課税をめぐる議論が再び活発化する可能性があります。

資本金1円で会社が設立できる時代に、資本金で会社の規模を判定し、優遇税制も変わってくるというのは、時代錯誤だと思いますし、早く見直したほうがいいと思っています。
また、法人税関連の優遇税制は、資本準備金などを考慮しない資本金のみで判断しますので、そこも見直す必要があるのではないかと思います。
ちなみに、黒字でも赤字でもかかる地方税の均等割は、資本準備金などを考慮した『資本金等の額』で判断されます。
資本金よりは、従業員数とか売上高とか利益とかで判断するほうが実態に合っているでしょうね。
それはそれで、そこを外すような手法が出てくるんでしょうけど。

令和2年度は大企業1,000社が減資で中小企業に衣替えしたことについて、どう思われましたか?


「節税保険」を巡る国税庁と生保との攻防が再燃!

日本経済新聞によると、生命保険会社が販売する経営者向け保険を巡る国税庁と生保業界の攻防が再燃しそうです。
課税を免れていると問題視する国税庁が2019年に続き、2021年6月にも再びメスを入れる検討に入りました。
解約返戻金を低く抑えた種類の商品でできた「抜け道」をふさぐためですが、10年以上続くいたちごっこが終わる気配はありません。

国税庁は生保各社に課税手法を見直す検討に入ったことを伝えました。
先日、詳細を説明しました。
経営者保険だけでなく、介護保険を通じた節税手法も問題視しています。

国税庁は2019年に損金算入できる保険料の範囲を制限しています。
これにより、生保各社は一斉に同保険の販売を停止しました。
いたちごっこは終止符が打たれたかに見えましたが、実体は抜け道ができていたのです。

経営者向け保険の中には、保険に加入した初期の解約時の返戻金を抑えた商品があります。
低い返戻金で会社から経営者に保険の名義を移し替える際の課税額を抑え、経営者は返戻金が増加した後に解約して節税効果を得る手法が広がっていたとされます。

今回、国税庁が見直す新たな課税手法では解約返戻金が保険料の支払額などから算出される保険の資産計上額の一定割合を下回る場合に資産計上額で課税額を算出する方針です。
2019年7月8日以降の契約が対象になります。
経営者は名義変更時の課税額が増え、節税が困難になるでしょう。

ただし、国税庁と生保業界のいたちごっこは10年以上続く古くて新しい課題なのです。
2006年、国税庁の要請を受けて、「節税商品」とうたい販売していた長期傷害保険を金融庁が問題視しました。
当時は節税にならないという苦情が寄せられたためで、販売トラブルの温床にもなっていました。

会計事務所は保険代理店をやっているところが多く、一時期、色々な代理店がこのタイプの保険を提案しに来たのですが、直感的に、こんなものが認められるはずはなく、否認されるリスクもあり、将来的には防がれるだろうなぁと考えていました。
提案があったときに、代理店の人に、『合理的な説明ができないと税務上のリスクが高いと思いますが、合理的な理由ってありますかね?』と必ず聞いていたのですが、まともに答えられる代理店はほとんどありませんでした。
根本的に、節税をうたわないと保険商品が販売できない人が多いというのは非常に残念に思いますね。
それゆえ、僕自身は、お薦めはしていません。
あと、以前、とある方に、顧問税理士のセミナーでこの節税方法の話があって、実行したら、責任が持てないからと言って顧問契約を切られたということを伺いました(笑)。
個人的には、過去の契約すべてを対象にすべきではないかと思います。
生保業界は、前回(2019年)はバレンタインデーショック、今回(2021年)はホワイトデーショックと言われ、大変でしょうね。

「節税保険」を巡る国税庁と生保との攻防が再燃していることについて、どう思われましたか?


JTBが1億円に減資して「中小企業扱い」で税負担を軽減!

日本経済新聞によると、JTBが資本金を現在の23億400万円から1億円に減資することが、先日、わかったようです。
税制上、中小企業とみなされることで税負担を軽くするほか、今期発生する巨額損失の補塡原資を確保する狙いがあります。
増資で財務を健全にする手もありますが、引受先を見つけなくてはなりません。
減資は緊急事態宣言の影響を受けた航空や飲食業界でも相次いでいます。
外出自粛による苦境は一段と深まっているようです。

JTBは、2021年2月12日の株主総会で決議済みで、3月31日付で実施します。
JTBの2020年4月~9月期は781億円の連結最終赤字に転落しました。
株主資本のうち利益剰余金は2020年9月末で799億円と、半年でほぼ半減しました。
10月以降も利用は回復せず、2021年3月期は過去最大の1,000億円程度の経常赤字を想定しています。

資本金が1億円以下の企業は税制上中小企業とみなされ、税負担が軽くなります。
大企業と特に異なるのは欠損金と、地方税である法人事業税の扱いです。

企業が赤字になり欠損金が生じた場合は、来期以降に欠損金を繰り越して税負担を圧縮することができます。
資本金1億円以下の中小企業は、大企業よりも圧縮割合を多くすることが認められているため、新型コロナウイルスの感染拡大によって大きな赤字が発生する一方で、一定の回復が見込めればメリットが大きいのです。

欠損金とならび、中小企業にメリットがあるのが地方税です。
地方税である法人事業税は「外形標準課税」と呼ばれる仕組みを採用しています。
赤字であっても一定程度の税負担を求める仕組みですが、対象になるのは資本金1億円超の法人のみです。

資本金1億円以下に減資して外形標準課税の対象から外れれば、法人事業税の支払いを抑えることができ、手元資金を確保できます。
飲食業界ではカッパ・クリエイトやチムニーなどが1億円への減資を表明しており、航空業界でもスカイマークが資本金を90億円から1億円に減資して配当原資などに充てる方針です。

JTBも中小企業になることでキャッシュアウトをまずは抑え、来期以降の再浮上に備えて手元資金をできるだけ確保する環境を整える狙いがあるようです。
ただし、旅行業界を取り巻く環境は依然として厳しいものとなっています。

観光庁によると、JTBの旅行取扱高は2020年5月に前年同月比96%減の51億円まで落ち込みました。
需要喚起策「Go Toトラベル」事業の効果で国内旅行は11月に同28%減まで回復したものの、感染再拡大により12月には同41%のマイナスとなりました。
業界全体で影響は甚大で、12月は海外旅行が主力のエイチ・アイ・エス(HIS)は同87%減、近畿日本ツーリスト各社を傘下に置くKNT-CTホールディングスは同56%減となりました。
緊急事態宣言が追い打ちをかけ2021年1月以降はさらに落ち込んでいるもようです。

緊急事態宣言が3月に解除されても観光がすぐに回復するかは不透明で、海外旅行に至っては「来年以降になる」(旅行大手首脳)という見方が多いようです。
JTBの売上高に占める海外旅行の割合は3割強にも及んでいます。

JTBは国内店舗を統廃合で25%削減するほか、早期退職や採用抑制でグループ全体で6,500人の社員を減らす計画を打ち出していますが、観光の低迷が長引けばさらなる構造改革に踏み込まざるを得ません。
コロナ禍は1年以上になり、旅行や外食などはいよいよ厳しい状況に追い込まれています。

JTBも減資をするんですね。
資本金は1円でも会社設立できる時代ですから、資本金で会社規模を判断し、税制の優遇などを図る時代ではなくなってきていると言えるでしょう。
そろそろ資本金で判断するというルールを見直さないといけないでしょうね。
売上高とか従業員数とか株主の属性とかで判断し、中小企業の範囲を狭くする方が良いのではないかと考えています。
一方で、「Go Toトラベル」は政治家とつながりの深い旅行業者の救済のために行われているのかもしれませんが、一定規模以上の組織であることが必要な国の恩恵を受けられる施策は大企業じゃないと応募できないようなアメとムチを用意しないといけないのではないかと思います。
ちなみに、減資は、事業承継税制の打ち切り要件になりますので、気をつけましょうね。

JTBが1億円に減資して「中小企業扱い」で税負担を軽減することについて、どう思われましたか?


トランプ大統領が「会計はスポーツ」と過去の損失巡る報道を一蹴!

 ロイターによると、アメリカのトランプ大統領は、先日、過去の事業で総額10億ドル超の損失を計上したとの報道を受け、会計処理は「スポーツ」のようなものと主張し、自身の業績を擁護する姿勢を示しました。

アメリカのニューヨーク・タイムズ(NYT)はその前日、トランプ大統領が1985年から1994年にかけて、カジノやホテル、マンションなど中核事業で11億7,000万ドルの損失を負い、この10年間のうち8年は納税の必要がなかったと報じました。

トランプ大統領はツイッターへの投稿で、資産の減価償却に絡む多額の損金処理や非金銭損失によるものと説明し、報道は「非常に古い情報」と一蹴しました。

さらに「税金対策として損失を計上したいわけで、多くの不動産開発業者がやっていることだ。スポーツのようなものだ」と述べました。

アメリカ大統領候補は通常、選挙中に確定申告書を公表するようですが、トランプ大統領はこれまで開示を拒否してきています。

僕は会計業界に身を置く人間なので、会計処理は選択適用の余地があること、不動産関連の事業は設備投資が多額になるため減価償却費も多額になることなどから、トランプ大統領の言っていることは理解できます。
ただし、大統領は税金を取る側の立場にあると思いますので、『税金対策』というのはどうなんでしょうね?
日本では、最近、『税金対策』というものが認められなくなってきているように感じますが、もし、日本の総理大臣がこのような発言をすると、『税金対策』がやりやすくなるのかもしれませんけどね(笑)。

トランプ大統領が「会計はスポーツ」と過去の損失巡る報道を一蹴したことについて、どう思われましたか?


節税保険に国税庁が示した規制案が「腰砕け」になった事情!

 「正直なところ、拍子抜けしましたね」。
ダイヤモンドオンラインによると、2019年4月10日夜、生命保険会社42社が集まった拡大税制研究会が終わると、参加した幹部たちは口々にそう話しながら会場を後にしていったようです。
この日の会合には、国税庁の幹部が出席。注目を集めていた節税保険(法人定期、経営者保険)を巡る新たな税務処理案を生保各社に示したものの、その内容は腰が砕けたかのような手緩いものだったようです。

今から2か月前、同じ会合の席で国税庁は、新種の節税保険が登場しては通達で厳しく規制してきた経緯を踏まえて、「業界とのいたちごっこを解消したい」「個別通達を廃止し、単一的な(資産計上)ルールを創設する」と言明しました。
また、新たなルールは、既契約にも影響が及ぶことをちらつかせ脅しをかけるなど、今にも鉄槌を下ろそうかという勢いでした。

その様子を見て、生保や販売代理店は震え上がり大騒ぎになったわけですが、2019年4月10日の会合では意見募集(パブコメ)にかける前の段階で早々と、「既契約への遡及はしない」という方針を国税庁は示しています。

さらに、新たな損金算入ルールにおいても、提示した案ではピーク時の返戻率が50%超から70%以下なら6割、返戻率70%超から85%以下なら4割を認めるとしており、「意外にも損金算入の割合が大きくてホッとした」との声があちこちで漏れたほどだったようです。

「OBたちを見殺しにできないということじゃないですかね」と、国税庁の腰砕けの規制案について、大手生保の幹部はそう解説しています。

そもそも節税保険は中小企業の経営者をターゲットにしており、保険会社の代理店として経営者に販売している主役は税理士たちです。
国税庁OBの多くが税理士として活躍する現状で、食い扶持を奪い、果ては受け取った販売手数料を戻入(れいにゅう)させるような税務処理の見直しには、なかなか踏み込みにくいというわけです。

加えて、足元では統一地方選があり、2019年夏には参院選、10月には消費増税を控える中で、中小企業や税理士団体を敵に回すような施策には、政治家が黙っていないはずという見方もあったようです。

そうした要因が国税庁の判断にどこまで影響したかはまだ不明ですが、規制当局としていかにも弱腰の姿勢をとり、生保業界と裏で握り合っているかのような印象を与えたことだけは確かです。

2019年4月11日以降、新たな税務処理ルールは意見募集にかけられ、早ければ6月に適用となる見通しです。
生保各社も順次、節税保険の販売を再開する傍ら、新ルールの抜け穴を探すいたちごっこが始まることになるでしょう。

個人的には遡及を密かに期待していましたが、予想どおり(がっかり)の感じはしますね。
本当に一度遡及するくらいのことをしないと、今後もやったもん勝ちになるような気はしますが、どうなんでしょうか?

節税保険に国税庁が示した規制案が「腰砕け」になった事情について、どう思われましたか?


国税庁はなぜ「節税保険」にとどめを刺したのか?

 「代理店全体の収入保険料に占める経営者向け保険の割合は約4割を占める。これをどうやって穴埋めするか」
「ここ2~3年は節税保険のバブルだった。年間の手数料で1億円を超えた募集人もおり、(今回の販売休止による)ダメージは大きい」
東洋経済によると、2019年2月14日に生命保険各社が経営者向け定期保険などの販売休止を決定した、いわゆる「バレンタイン・ショック」から1か月後の2019年3月14日に、保険販売代理店の経営者らで構成する「保険乗合代理店協会」が開いた会議で、こんなやり取りが交わされたようです。

販売休止となった経営者向け保険とは、主に中小企業の経営者・役員を被保険者とする保険商品で、会社が契約者となるものです。
経営者の死亡時の保障を円滑な相続・事業承継に活用したり、解約した際に戻ってくるお金(解約返戻金)を退職慰労金などに充てることなどが想定されています。
支払った保険料の全額または一部が税務上、損金扱いできることが多いため、節税目的に活用されることが少なくありません。

この保険は、国内の生命保険会社の約半数に当たる約20社が扱っています。
推定市場規模は新契約年換算保険料ベースで8,000億~9,000億円で、2017年度の個人保険・個人年金保険料の新契約年換算保険料は約2兆6,000億円ですので、その3割にも達しています。
マイナス金利の影響で年金保険など個人向けの貯蓄性保険が縮小する一方で、急拡大している保険商品です。

しかしながら、国税庁が同保険の販売による行き過ぎた節税を問題視したことから、各社が販売を自粛しています。
生保業界全体では経営者向け保険の6~7割の商品が販売休止に追い込まれており、経営者向け保険の全商品の販売をストップした中堅生保もあります。
新たな課税ルールが決まるまで販売自粛が続く見通しで、生保各社の業績に与える影響は小さくありません。

国税庁が問題視しているのは、定期保険に関する税務上の取り扱いです。
定期保険とは、保険期間中に死亡保障を備え、保険料が毎年変わらない保険のことです。
法人税基本通達の中で、契約者が支払う保険料は全額を損金に算入できることが認められているのです。

ところが、定期保険の中には、死亡保険金額が保険期間中に徐々に上がっていく「逓増定期保険」などがあり、これは一部のケースを除いて保険料は全額損金となりません。
こうした保険商品は、支払った保険料の80%以上が解約時に「解約返戻金」として契約者のもとに戻ってくる仕組みをとっており、これだけ多くのお金が戻ってくる以上、保険料は損金ではなく、資産として計上すべき、というのが国税庁の考えです(当たり前の考え方だと個人的にも思いますが。)。

国税庁としては、全額損金扱いにすることを制限することで、過度な節税の動きに歯止めをかけてきました。
しかしながら、近年、「節税保険」の販売競争がヒートアップし、これが国税庁を大いに刺激したのです。

「とにかく違和感があった」
都内で複数の生保商品を扱う乗合代理店経営者は、2017年4月に発売された日本生命の「プラチナフェニックス」に初めて接した際の印象をこう語っています。
同商品は、死亡保険の保障がついた定期保険だが、保障開始から最初の10年間の「第1保険期間」は、病気による死亡は保障せず、ケガや事故などの保障(傷害死亡保険金)だけになっている。
この商品では加入から10年目に解約返戻率(既払い保険料に対する解約返戻金の割合)がピークに達し、そこで解約すれば、保険料の80%以上が戻ってくる設計になっています。
しかも、国税庁の基本通達にのっとって開発されており、保険料は全額損金扱いが可能とうたっていました。

「いつかは国税庁の指摘を受けるに違いない。でも、あの日本生命が金融庁から認可を取った商品だから大丈夫かも……」と、この代理店経営者はこのように考え、「『赤信号みんなで渡れば怖くない』という気持ちから販売してしまった」と心情を吐露しています。

こうした保険は年間の保険料が数百万円にのぼる場合もあります。
その分が全額、税務上の損金扱いとなり、10年後に解約すれば、80%以上の保険料が戻ってくるのです。
受け取った保険料は雑収入となり課税対象となるが、退職慰労金や設備投資など、課税所得を打ち消せるだけの費用があれば節税効果は高くなります。
病気に関する簡単な告知をクリアすれば持病を持つ経営者でも加入できたこともあり、プラチナフェニックスは発売から1年半で7.3万件を販売する大ヒット商品となったのです。

その後、東京海上日動あんしん生命やアクサ生命、朝日生命などが同様の災害保障重視型の定期保険を発売し、2018年3月に販売した第一生命グループのネオファースト生命の「ネオdeきぎょう」は、傷害死亡しか保障しない第1保険期間を最短5年に設定し、その分、前払い保険料を多くして5年後の解約返戻率をピークに持ってくる設計にしました。
さらに、この商品は保険料に占める「付加保険料」の比率を高めて、保険料を高く設定しました。
保険料は、死亡保険金を支払う財源などになる「純保険料」と、保険会社の経費などからなる「付加保険料」の合計で決まります。
通常、同じ保障内容であれば、保険料が安いほうがよいはずだが、経営者向け保険では保険料が高ければ損金扱いの金額がそれだけ増えるため、利益を出している中小企業ほど節税効果が大きくメリットを感じやすくなるのです。

ほかの生保会社の商品でも付加保険料を高くする動きが見られます。
通常の法人向け保険では、保険料に占める付加保険料の割合は2~3割が適正ですが、これを6~7割に設定している会社もあったようです。
この結果、ほぼ同じ保障内容なのに保険料が3倍も違うこともあったようです。

金融庁も付加保険料の設定について問題視しています。
2018年6月以降に生保各社にアンケート(法人向け定期保険の付加保険料実態調査)を実施し、問題点を指摘された会社は、おおむね2019年4月から保険料を下げるなど商品内容の改定を予定していました。

「ネオdeきぎょう」の2018年3月の新契約年換算保険料は100億円を超えたようです。
第一生命の営業職員経由の販売も加わった2018年4月~12月のネオファースト生命の新契約年換算保険料は前年同期比で40倍の888億円に膨らみました。
「国税庁にとっては、予定していた税収が取れない想定外の事態だったのではないか」との臆測も業界内では流れているようです。

現在、国税庁は生保各社に対して実施した経営者向け保険に関するアンケートや商品データをもとに、新しい税務取り扱いのルールを策定中です。
具体的には、保険種類を問わず、ピーク時の解約返戻率が50%超の商品について、損金算入割合が見直される可能性が高いようです。

この状況下で、現在生保各社は前述のプラチナフェニックスのような災害保障重視型の定期保険だけでなく、これまでの通達にのっとれば大手を振って販売できるはずの長期平準定期保険や逓増定期保険のうち、解約返戻率が50%を超える商品までも、新しい税務取り扱いルールが決まるまでは、販売休止にせざるをえない状況に陥っています。
販売再開は2019年5月末頃とも6月末頃とも臆測が流れているようですが、現時点では未定です。

深刻なのは、国税庁の新ルールが適用されるのが、新ルール以降の新契約だけなのか、新ルール以前の契約にまでさかのぼって適用されるのかということなのです。
国税庁の担当者は「現在検討中だが、過去にさかのぼって遡及適用の可能性もある」と話しているようです。

もし、遡及適用となれば現場の大混乱は必至でしょう。
保険料が全額損金扱いになると思って契約した保険の税務上の取り扱いが変わるため、保険契約そのものを解約する企業が増えるとみられます。
そうなれば保険会社は想定より早い段階で、解約返戻金の支払いに追われることになります。
代理店や募集人も、早期解約では代理店手数料の返還などを求められる可能性もあり、販売面の打撃は避けられないでしょう。

こうした国税庁などの動きに対し、「金融庁が保険商品を認可するときに、国税庁に法人税の取り扱いに関しての見解を聞いていれば、問題はこれほど大きくこじれなかったのではないか」という恨み節も中小企業経営者から漏れ聞こえてくるようです。

もともと節税を目的とした保険の存在そのものに懐疑的な声はありました。
相続・事業承継が専門の保険代理店「A・B・U・K・U」(アブク)の鉄尾猛司代表は「中小企業の経営者に万が一のことがあった場合に、相続・事業承継を円滑に進めるために加入するのが経営者向け保険の本来の役割。そのために最も必要なのは十分な死亡保障であり、節税だけを目的とした保険には、相続・事業承継の“そ”の字もない」と語っています。
保険料や解約返戻金が適正な水準で、万が一の死亡保障も備えた経営者向け保険はもちろん存在します。

今回、取材を進める中で、経営者向け保険を積極的に販売したある生保会社から、「法人向け保険はもう死んだ」という声も聞かれたようです。
しかしながら、それは時期尚早ではないでしょうか?
保険という商品は物品などとは異なり、販売してそれで終わりという類いのものではありません。
購入した時点(入口)では、顧客は保険の価値や効用を実感することはできません。
いったん販売したら、その出口(保険金や給付金、解約返戻金受取りなど)までしっかりとサポートする必要があります。
これはたとえ節税対策の保険であっても、その基本は変わらないでしょう。

例えば今回問題視された災害保障重視型の定期保険にしても、第1保険期間の10年間は、万が一病気で死亡しても、支払った保険料総額を下回るお金しか受け取れません。
経営者がそのことを理解していたとしても、遺族からすれば高い保険料と釣り合わない保障の低さに納得いかない思いの人も出てくるとみられます。
実際、すでに募集人との間でトラブルになっている例もあるそうです。

国税庁からは早晩今後の方向性が示されるでしょうが、たとえどのような内容の通達が出ようとも、経営者向け保険の在り方について生保業界として原点に戻って考え直す必要性があるでしょう。

遡及がないかビクビクしている保険会社や保険代理店の担当者は多いでしょうね。
何度かこのブログでも書いていますが、個人的には、そもそも保険が違った目的で使われていると思いますので、遡及をして、保険に関わる方々に改めて保険の目的を認識してほしいと思っています。
遡及となると訴訟が起こるのでしょうが、国税庁には毅然とした態度で取り扱いをきめてもらいたいですね。

国税庁はなぜ「節税保険」にとどめを刺したのか?について、どう思われましたか?


アマゾンが2年連続税金ゼロのからくり!

 Newsweekによると、世界最大のeコマースサイトでクラウドコンピューティング企業のアマゾン・ドットコム(以下、『アマゾン』という。)は、2年連続でアメリカ連邦税を1セントも払わないことがわかったようです。

アマゾンは、2018年の売上額は2,392億ドル、課税対象の純利益は112億ドルだったと発表しました。
2017年の56億ドルと比べてざっと2倍の儲けです。

これほど巨額の利益を上げておきながら、アメリカ連邦税をまったく払わずに済むのは、税法上の抜け穴を巧みに利用しているからです。
加えて、トランプ大統領が2017年に成立させた税制改革法(TCJA)による巨額減税の恩恵も受けています。
税制・経済政策研究所(ITEP)の報告書によると、トランプ減税のおかげで、アマゾンが2018年に支払うべき連邦法人税率は35%から21%に下がりました。

アマゾンは2017年度も、56億ドルの利益を上げながら払った税金はゼロでした。

ITEPの連邦税政策部門ディレクター、スティーブ・ワムホフ氏は、「アマゾンがどんな手を使っているのか、正確に知ることは難しい」と述べています。

「アマゾンは税務戦略を公表していないので、どのような抜け穴を利用しているのかはわからない。同社は漠然と税控除を利用したと言っているだけだ。トランプ減税で拡充された事業用固定資産の即時償却など、企業が取り得る方策はいくらでも考えられる」

ITEPの説明によると、トランプ減税によって、法定法人税の税率は35%から21%へと大幅に引き下げられました。
法人税率が下がったことに加え、トランプ減税には「おびただしい数の抜け道がある。それによって、利益のほぼ半分に課税される連邦と州の法人税を、当たり前のように回避している」と、ITEPのシニアフェロー、マシュー・ガードナー氏は指摘しています。

アマゾンは2011年から2016年まで、11%を超える税率でアメリカ連邦法人税を払ってきましたが、トランプ減税に乗じることで、その税率が今年はマイナス1%になります。
それに税控除などを加えた結果、アマゾンは1億2,900万ドルもの還付金を連邦政府から受け取るそうです。
昨年の還付金はさらに多く1億3,700万ドルでした。

ITEPのガードナー氏によると、アマゾンの税逃れをさらに助けているのは、従業員の持ち株と幹部に与えたストックオプションです。
その総額を控除することができるのです。

アマゾン創業者で最高経営責任者(CEO)のジェフ・ベゾスは、推定1,362億ドルの資産を持つ、世界一裕福な人間であることは言うまでもありません。

節税も利益の最大化、ひいては株主の利益の最大化につながりますので、節税策をとるのは、個人的には当然のことだと思います。
アマゾンなどを批判するのではなく、トランプ大統領など抜け穴の多い税制を作った方を批判すべきのような気はします。
トランプ大統領は元々経営者なので、法人を優遇する税制改正はどうなのかなぁと思います。
かと言って、一国だけではどうにもならないところもありますので、世界的に国家が強調して対応すべきなのでないのかと思いますね。

アマゾンの2年連続税金ゼロのからくりについて、どう思われましたか?


怒れる国税庁が鳴らした「生保業界再編」の号砲!

 このブログで何度も書いている話ですが、週刊ダイヤモンドによると、販売競争が過熱していた「節税保険」にようやくメスを入れた国税庁ですが、生命保険業界に動揺が広がる中、税務ルールの見直し策が再編の号砲を鳴らしてしまったようです。

生命保険業界で、中小企業経営者を主な対象にして販売競争が異常なほど過熱していた「節税保険(法人定期、経営者保険)」が、ついに販売停止になりました。

2019年2月13日、国税庁が生保41社の担当者を緊急招集し、法人における支払保険料の経費算入ルールについて、抜本的に見直すことを伝えたためです。

国税庁が見直しの方向性として生保各社に示したポイントは、大きく分けると3つあります。
①長期平準定期や逓増定期をはじめ、これまで商品個別に決めていた損金(経費)算入割合の通達を廃止すること
②新たな算入ルールについては解約返戻金の返戻率が50%を超える商品を対象とすること
③解約返戻金のピーク時の返戻率に応じて、損金算入の割合を区分けすること

国税庁の怒りが分かりやすいほどにじみ出ていますが、ここまでの大幅なルール変更を、生保各社は全く想定していなかったようです。

それだけに動揺は大きかったようですが、さらに担当者の顔を青ざめさせたのは、国税庁幹部の「いたちごっこを解消したい」という趣旨の発言だったそうです。

生保業界はこれまで、2008年の法人向け逓増定期や2012年の同がん保険をはじめとして、個別通達の抜け穴を通すようなかたちで、支払った保険料を全額損金(いわゆる全損)算入でき節税効果を高めた保険を新たに開発し、集中的に販売してはその後国税庁からダメ出しを食らうということを繰り返してきました。

そうした過去の経緯や、今回の節税保険ブームの火付け役が業界最大手の日本生命だったこともあり、「『必要悪』として国税庁も一定期間は目をつぶってくれている」という認識が一部で広がり、「いつものように個別通達の見直しまでが勝負だ」といった声すら漏れていたようです。

ところが、もはやそこに生保の期待していた予定調和はなく、あるのは「プラチナ型商品のような」と日本生命の商品を名指ししながら、いたちごっこと言い切って気色ばむ国税庁の姿だったわけです。

その姿を見て、多くの生保担当者たちの脳裏をよぎった事柄があるそうです。
「既契約遡及」です。

これまでの事例を見ると、2008年以降、逓増定期をはじめ3種の節税保険については、通達を見直した日以降の契約に対して新ルールを適用しており、既契約については不問としてきました。

しかしながら、国税庁がいたちごっこを解消しようと税務の抜本的な見直しを宣告しているため、今回ばかりは既契約についても新ルールを適用するというシナリオが現実味を帯びているのです。

もし、既契約についても新ルールを適用するとどうなるのでしょうか?
中小企業は期待していた節税効果を得られず、一定数の解約発生は避けられないことになり、業界の混乱は必至です。

そもそも節税保険は、多くの生保が税理士代理店などに高い手数料を払って中小企業に販売してもらっています。
そのため、早期解約の場合は、保険会社の費差益がマイナスになってしまうケースが大半とみられます。

代理店にとっても死活問題です。
早期解約の場合、受け取った販売手数料は保険会社に返す決まりがあり、ともすると大量の手数料戻入によって代理店の資金繰りが行き詰まる可能性があるのです。

国税庁との会合以降、多くの生保が節税保険の販売停止を決めたのは、これ以上国税庁の不興を買って、既契約に影響が及ぶような事態になることを、何としても避けたかったからです。

ただ、この一時的な販売停止すらも一部の生保にとっては大ダメージです。

なぜなら、新契約の大半が返戻率50%超の節税保険という生保もあり、国税庁が新ルールを適用するまでの間、販売する商品がほとんどなくなってしまうのです。

そうした事情を抱える一部の生保は、国税庁との会合後数日間は、同業他社の対応を無視するかのように販売を続ける姿勢を取っていたものの、既契約遡及の可能性を指摘されると、お茶を濁すように全損型商品に限って販売停止を決めたようです。

これまでも業界で縁起が悪いとされている地域への移転を検討する傍らで、経営基盤を固めるために出資を募っているという観測が絶えなかったところもあり、ここにきて国税庁にとどめを刺された格好です。

生保やその代理店の経営を監督する役目を担うのは金融庁だが、節税保険のブームによってその生殺与奪と再編の手綱は、今や国税庁が握り始めています。

そもそも節税保険でないと販売できないような生保はいらないと思いますし、何か改正があると、改正までは大丈夫ということで特需を生み出してきた生保業界には以前から疑問を持っていましたので、今回の国税庁の毅然とした対応で、生保業界が正常な姿になってほしいと思います。
個人的には、『既契約遡及』してもいいような案件ではないかと思っています。
そうなると、保険会社、保険代理店、保険の手数料が主要な収入源の税理士事務所などは大変でしょうね。
最初に発売した最大手の日本生命もどう対応していくのでしょうか?
どうなるか、興味津々でウォッチしていきたいですね。

怒れる国税庁が鳴らした「生保業界再編」の号砲について、どう思われましたか?


生命保険各社が「節税保険」を販売停止!

 このブログでも何度か取り上げましたが、日本生命保険など生命保険各社は、2019年2月13日、節税目的の加入が増えている経営者保険の販売を一時取りやめることを決めました。
国税庁が同保険の税務上の取り扱いを見直し、支払った保険料を損金算入できる範囲に制限をかける検討を始めるためです。
中小企業の節税ニーズをとらえて市場が急拡大してきましたが、転機を迎えています。

日本生命のほか第一生命保険や明治安田生命保険、住友生命保険が解約時の返戻率が50%を超える法人向け保険の販売を、2019年2月14日から停止しました。
外資系のメットライフ生命保険なども販売を止めます。
国税庁が、2019年2月13日、同保険の課税方法を定めた通達を見直す考えを生保各社に伝えました。
各社は、見直し案が固まるまで販売を自粛する方向のようです。

販売を停止する経営者保険は、中小企業が契約主体となり、経営者が死亡すると数億円単位の保険金が支払われます。
保険料を全額会社の損金に算入でき、途中解約すると保険料の大部分が戻ってくる設計で、実態は節税目的の利用が多くなっています。

国税庁は解約時に保険料の大部分が戻る前提の商品については、保険料を損金ではなく資産として計上すべきだとの考えのため、現在の商品が保険料の全額を損金処理できる点を問題視しています。
法人の保険料の税務上の取り扱いを定めた通達を見直して制限をかけるようです。

節税保険は中小企業経営者のニーズをつかみ、市場規模が数千億円にまで拡大しましたが、金融庁が節税効果を強調した販売手法などを問題視し、各社は商品設計や販売手法を見直す準備に入っていました。
国税庁が商品の根幹である税の取り扱いを見直すことで、より根本的な見直しを迫られました。

なお、節税効果の高い経営者保険は過去にも登場し、その度に国税庁が規制を重ねてきました。
今回は日本生命が2017年に出した新商品「プラチナフェニックス」をきっかけに各社がこぞって商品を投入しました。

国税庁がどう出てくるか興味深く見ていましたが、意外と対応が早かったですね。
この『節税保険』を販売して稼いでいる方もたくさんおられるでしょうから、どうなるか心配している方も多いでしょうね。
今後どうなるか楽しみにウォッチしたいですね。

生命保険各社が「節税保険」を販売停止したことについて、どう思われましたか?


外貨建て・節税保険めぐる攻防で金融庁の生保への「嫌悪感」が高まる!

 週刊ダイヤモンドによると、金融庁が、外貨建てと節税保険という生命保険会社の食い扶持にメスを入れ始めました。
2018年から続く規制強化に向けた取り組みの裏側で、金融庁内では生命保険会社への嫌悪感が否応なく高まっているようです。

生命保険会社とその経営を監督する金融庁の攻防が年明け以降、本格化しているようです。
舞台となっているのは、一時払い(一括払い)の外貨建て貯蓄性保険と、中小企業経営者を主なターゲットにした「節税保険」の2つです。
特に、外貨建て保険については主要な販路となっているメガバンクや地域銀行も巻き込んで、攻防が激しくなっているのです。

発端となったのは、2018年2月の生命保険会社役員との意見交換会で、金融庁は、「投信と類似の貯蓄性保険商品は(中略)各種のリスクや費用を除いた後の実質的なリターンについて、投信と同じレベルの情報提供・説明が求められる」との見解を伝えています。
低金利による運用難で、米ドルや豪ドルといった外貨建ての貯蓄性保険の販売に生命保険会社各社が傾注する中で、運用利回りや元本割れ、為替リスクなどの情報提供が、分かりやすく行われていないという実態が散見されたためです。

その後、生命保険会社が対応を渋るような様子をみせる中で、金融庁は2018年9月、金融行政方針の中で改めてこの問題を取り上げ、募集(販売)ガイドラインを改定し、各種費用を除いた「実質的な利回り」など、顧客本位に向けた情報を表示するよう求めました。

そこには金融庁首脳の強い意向もあったようですが、業界サイドの動きはなおも鈍かったようです。

2018年末に予定していた募集資料に関する指針の改定では、実質利回りなどに言及することを見送ろうとしたことで、金融庁が激怒し、急きょ年の瀬に生命保険会社の役員を集め、幹部が問題意識を改めて伝える事態になったわけです。

その9日後には、一時払いの外貨建て保険に関して、顧客に資する分かりやすい情報が載った募集資料とはこういうものだというひな形まで、金融庁はわざわざ示してみせています。

圧力をかわしきれなくなった業界サイドは2019年1月中旬、指針とは別に「積立利率、予定利率及び実質的な利回りの分かりやすい表示について」という資料を作成し各社に配布しました。
実質利回りなどを表示する際の定義について統一を図りましたが、文面に「拘束力を有するものではない」と明記することも忘れませんでした。

当局対応が稚拙で反抗することが多い外資系生命保険会社や、銀行における窓口販売への影響に一定の配慮をしたとみられますが、いつまで経っても後ろ向きの姿勢が抜け切れない状況に、金融庁内でため息が広がったのは言うまでもありません。

節税保険の販売を巡っても、金融庁のため息は深いようです。
2017年春以降、各社が保険料を全額損金算入できる新商品を投入し、販売競争が一気に過熱する中で、金融庁は節税効果を過度にアピールする販売手法を問題視し、調査票を配り、実態調査に着手したのが2018年6月のことです。

調べを進める中で、保険会社の経費の上乗せ分となる「付加保険料」で合理性が欠けていることが分かると、各社を呼びつけて速やかな見直しを迫ってきました。

年が明けると、複数の生命保険会社が4月に付加保険料を見直すことを金融庁に伝えているようですが、それまでの間商品を販売停止にするところまでは至っていません。

3月期決算の企業が多く、この3か月間が節税保険の一番の売り時のため、生命保険会社としては当局の意向を汲んで、バカ正直に販売停止するわけにはいかないわけです。

金融庁内では当初、「2月までに販売停止に追い込むべき」という強硬論も出ていたようですが、そうなると付加保険料の調整をしていない一部生命保険会社だけが、大手を振って販売できることになってしまいます。

結果として一部の生命保険会社に利益誘導したことにもなり兼ねないことから、今のところそこまでは踏み込んでいないようです。

現在は、節税手法について「将来に向けて保証されているものではない」などとした注意喚起文書を、顧客企業に配布するよう促している最中です。

ここで問題なのは、金融庁内で強硬論が収まったことをこれ幸いとして、一部の生命保険会社が「加入するなら(4月の保険料改定前の)今がおすすめ」とあおるような募集を足元で始めていることです。

当然ながら、金融庁もそうした実情を把握しており、「金融機関としてのプライドはないのか」(幹部)と半ばあきれ顔です。
それゆえ、金融庁内で生保への嫌悪感が高まり、沸点の低下が止まらないという状況に、業界サイドはどう向き合っていくのでしょうか?

下手を打てばさらなる規制強化というリスクがある中で、生命保険会社各社の足並みが全くそろわない現状を危惧し、業界内からは金融庁との「折衝役」を途中交代させるべきという声が漏れ始めました。

このブログでも何度か書いていますが、この攻防はどうなっていくのでしょうか?
個人的には、本来、保険は『節税』目的ではなく、『保障』目的だと思いますので、まずは生命保険会社がそこを再認識して、商品を販売してほしいですね。
『節税』目的をアピールしないと販売できないのであれば、どうなのかなぁ?と思いますね。
あとは、ほとんどの税金が増税の中で、法人税は減税の方向ですから、節税の効果は弱まっていくんですよね。
もちろん、金融庁にも商品設計をきちんと確認してほしいと思いますが。

外貨建て・節税保険めぐる攻防で金融庁の生保への「嫌悪感」が高まっていることについて、どう思われましたか?


金融庁が高い返戻金を問題視し「節税保険」の見直しを要求!

 中小企業経営者向けの死亡定期保険を巡り、販売現場で節税効果の㏚が過熱している問題で、金融庁が生命保険業界に一部商品の設計の見直しを求めたことがわかったようです。 こうした保険は保険料を経費算入する節税目的での加入が目立ち、一部で「節税メリット」をことさらに強調するような商品が出ています。

関係者によると、2018年11月中旬の金融庁と生保業界の意見交換の場で、金融庁幹部が一部商品について「(商品設計が)合理性や妥当性を欠く」などと指摘し、「適切な対応」を求めたようです。

「節税保険」は経営者らが高額の保険料を払って加入し、保険料は全額経費に算入し会社の利益を圧縮して節税します。 10年ほどで途中解約すれば「解約返戻金」で保険料の多くが戻ります。 同時に役員退職金の支払いや設備投資をすれば、返戻金も課税されずに済みます。

こうした保険は期間の前期は保障範囲が狭く、年齢を重ねた後期は保障範囲が広くなっています。 保険料は全期間で平準化され、前期は割高な保険料になります。 ただし、前期での中途解約を前提にすれば、多額の保険料支払いで節税し、解約返戻金で保険料も取り戻せると営業現場で強調されているようです。

今回金融庁が問題視したのは、保険料や返戻金が不自然に高く、節税メリットが強調されがちな商品です。

保険の商品設計は金融庁の認可が必要で、保険料や返戻金を極端に引き上げるのは難しくなっています。 そこで一部商品では、営業経費などが含まれる「付加保険料」を後期に多く見積もっていました。 付加保険料は金融庁の認可が不要なのです。 この手法で保険料と返戻金の水準を引き上げ、節税メリットをさらに強調していました。

金融庁は2018年6月以降、各社へのアンケートや聞き取りで実態を調査し、一部の商品を問題視しており、今回見直しを求めました。

すでに金融庁の調査を受け新商品の発売が延期されたケースもあり、さらに今回の見直し要求で、発売中の商品にも影響が出る可能性があります。

ただし、今回金融庁が問題視したのは付加保険料の部分だけで、業界はこの保険自体は問題ないと主張しています。 2017年春に、保険料が全額経費に算入できるタイプの商品を発売してブームを起こした日本生命保険の三笠裕司常務は先日の2018年9月中間決算会見で、「短期解約を推奨する商品ではない。保障ニーズに応える商品だ」と述べました。 明治安田生命の荒谷雅夫専務も、「節税の部分についても説明するだろうが、保険本来の目的を丁寧に説明する」と話しました。

今年もこの手の保険をたくさん販売して稼いでいる保険の営業マンや会計事務所があるようですが、保険代理店もやっている僕としては、個人的には節税ありきではなく、『何のための保険か?』ということを考えて、保険を販売しないといけないなぁと改めて思います。

金融庁が高い返戻金を問題視し「節税保険」の見直しを要求したことについて、どう思われましたか?


金融庁が「節税保険」の監督を強化し発売延期する新商品も!

 主に中小企業経営者向けの死亡定期保険を巡り、生命保険の販売現場で「節税」アピールが過熱し、金融庁が監督を強化しているようです。 一部の商品設計は保険の趣旨を逸脱しかねないとみて、各社に繰り返し調査して説明を要求しており、一部で新商品の発売延期の動きも出ているそうです。

問題の保険は、経営者らの死亡時に高額の保険金が支払われる定期保険で、保険料は条件次第で全額経費扱いにでき、加入者が経営する企業の利益を減らして節税できます。 保険期間は数十年だが10年ほどで中途解約すれば高い返戻金が得られ、支払った保険料の多くを取り戻せます。 中途解約と役員退職金などの支払時期を合わせれば、返戻金への課税も回避できます。

既存の同種の商品では、国税庁が保険料の一部を経費算入できなくするなどしました。 しかしながら、20174月、日本生命保険が全額経費算入できる商品を発売しました。 その後、各社が追随して、返戻金がより多く得られる商品も登場し、販売現場で「節税」㏚が過熱しました。

これに対し、金融庁は、一部商品では「付加保険料」と呼ばれる営業経費が保険期間の後期に大幅に高くされ、前期も含む保険料全体が引き上げられ、返戻金が多くなっていることを問題視しています。 6月以降、各社へのアンケートなどで保険料の算出根拠を繰り返し問い、追加説明を求めているようです。

金融庁の「厳格化」に波紋が広がり、オリックス生命は来月予定だった経営者向け保険の発売の延期を代理店に通知しました。 代理店への書面で「(金融庁の)調査への対応を継続している」と記載しています。 オリックス生命は、「金融庁による対応次第で、いったん販売してしまうと顧客に迷惑をかける可能性がある」(広報)と説明しているようです。

販売後にどうこういうのもどうかと思いますが、実質、節税が目的となっている保険商品はどうなのかなぁと疑問に思います。 この商品ではないですが、節税が目的の商品を販売するがために、税務上リスクが高いということで反対する顧問税理士がいる場合、代わりの税理士を紹介して税理士を変えさせたうえで保険商品を販売している保険代理店がいるような話を先日耳にしましたが、今まで否認されていないからO.K.というわけではなく、保険の入口から出口まで合理性があるかストーリーを描けるかどうかを、会社も保険会社も保険代理店も税理士も考えないと、将来痛い目にあうような気はしますね。

金融庁が「節税保険」の監督を強化し発売延期する新商品も出てきていることについて、どう思われましたか?


節税目的の経営者向け大人気保険に「待った」をかけた金融庁vs生保の戦い!

 週刊ダイヤモンドによると、個別の保険商品の販売実態について金融庁が異例の調査に踏み切ったことに、生保各社は警戒を強めているようです。
 大人気の経営者保険に対し、金融庁が実態調査「とうとう来たなという感じですね」と、6月中旬、金融庁から送られてきた1通の書類について、国内生命保険会社の幹部はこうつぶやいたようです。
 書類とは、中小企業経営者などを対象にしたいわゆる「経営者向け保険」について、「付加保険料の設定状況」などを尋ねた調査用紙で、626日を回答期限としていました。
 経営者向け保険を巡っては、2017年春に最大手の日本生命保険が、「プラチナフェニックス」の愛称で商品を投入したことで市場に一気に火がつき、大手を始め他の生保も相次いで追随したことで、販売が過熱しています。
 各社とも「傷害保障」「生活保障」などとパンフレットでうたい、経営者が倒れたときの事業リスクをカバーする保険としていますが、その実態は紛れもなく企業向けの「節税商品」です。
 なぜならば、支払った保険料の全額を「損金」として算入できる仕組みがあるため、税引前利益を保険料で“相殺”し、法人税などの負担を軽減できるからです。
 単純な返戻率だけを見ると80%前後と、支払った保険料を下回るお金しか戻ってこない計算になりますが、法人税などを支払った場合と比べた「実質返戻率」は、2年目からプラスになる設計のものが多く、5年も経てば120%を大きく上回る水準になります。
 第一生命グループのネオファースト生命保険が20183月に発売した「ネオdeきぎょう」は、その返戻率の高さから、3月単月でANP(新契約年換算保険料)が120億円に達するなど、多くの企業が決算期末を迎える3月は「お祭りのような状態」(保険代理店関係者)だったそうです。
 しかしながら、そのようなタイミングで金融庁が「待った」をかけたのです。
 そもそも、金融庁が個別商品の販売状況について実態調査に踏み切るのは異例のことです。
 ところが、販売現場の過熱ぶりや、足元で新たな商品認可の審査も相次ぐという実情を踏まえて、調査によって生保各社を牽制する狙いがあるとみられます。
 調査の中で詳細な報告を求めている付加保険料については、2018年春以降に外資系生保などが発売している商品の中に「保険期間によって大きな差をつけることで、返戻率を高めている」(金融庁幹部)として、当局は目を光らせているようです。
 調査によって、今後生保各社には付加保険料の見直しの圧力がかかることになりますが、外資系生保の幹部によると、返戻率を高める“裏ワザ”は「付加保険料以外にも、まだたくさんある」ようです。
 そうであれば、金融庁による実態調査に過敏に反応する必要はないように思えますが、冒頭の生保幹部の発言のように警戒を強めているのは、一体なぜなのでしょうか?
 それは、保険料の全額損金算入という経営者保険の根幹部分が、今後、否認される可能性が出てきたからです。
 全損の認否自体は国税庁が担っているものの、情報連携をする中で金融庁がその「前段階」として実態調査に着手したと、生保各社は捉えているわけです。
 生保は過去にも、逓増定期やがん保険を始め、全損タイプの経営者向け保険をこぞって販売しては、その後、国税当局から“ダメ出し”を受けるということを繰り返してきた経緯があります。
 国税庁からいつ全損否認の通達が示されるか、その時期を見極めながら、生保各社の「駆け込み販売」が今後本格化することになるでしょう。
 T&A masterによると、①当局、節税効果の高い「一定期間災害保障重視型定期保険」を問題視。現在の「全額損金算入」が見直される恐れ。過去の例からすると、損金算入割合が1/2に圧縮される可能性、②早ければ年内に通達改正も。ただし、過去の例からすると、改正通達は施行日前の契約には遡及しない公算とありますので、特需が発生する可能性がありますね。
 節税目的の経営者向け大人気保険に「待った」をかけた金融庁vs生保の戦いがあることについて、どう思われましたか?
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生前贈与が税制改正でお得になり「相続時精算課税制度」を使うべき4つの理由!

週間ダイヤモンドによると、2024年5月、国税庁は2023年分の贈与税の確定申告状況について公表しました。

報道向けの発表資料によると、贈与税申告書の提出者は51万人に上り、前年よりも2.6%増加しています。

51万人のうち、申告納税額があった方は37万6,000人と、こちらは前年比より0.9%減少しています。

同資料では、贈与税の課税方法についても公表しており、暦年課税を適用した人は46万1,000人(前年比1.5%増)、相続時精算課税を適用した人は4万9,000人(同13.3%増)となっています。

いずれの贈与方法も前年より伸びていますが、特に注目すべきは「相続時精算課税制度」です。

これまで「使いにくい」とも言われていた相続時精算課税制度ですが、高い伸び率であり、今年は法改正もあったことから、さらに注目が高まっています。

では、本制度を使うべき理由とはどのようなものなのでしょうか?

今回の記事では、2024年最新版の情報に触れながら、相続時精算課税制度を使うべき4つの理由を紹介しています。

2024年は「相続時精算課税制度」に法改正があったことはご存じでしょうか?

今回の改正により、新たに非課税枠が新設されたのです。

元々本制度は2,500万円までの生前贈与なら贈与税がかからない(特別控除)しくみであり、贈与者が死亡した際に相続財産に持ち戻しをして、相続税計算を行うものです。

なお、暦年贈与と併用することはできません。

例えば、母親が子に対して生前に本制度を使って2,500万円の贈与を行い、母親の死去後に遺産が1億円あったと仮定します。

この場合、2,500万円を持ち戻して計算するため、相続税計算は1億2,500万円が対象となります。

本制度は贈与税を支払わなくてもよい代わりに、相続税が発生する可能性があるため注意が必要です。

また、「相続時精算課税制度」は誰でも利用できる制度ではありません。

対象者は以下のように制限されています。
・贈与できる人(贈与者)は60歳以上の父母や祖父母
・贈与される人(受贈者)は18歳以上の子や孫

また、本制度は使用を開始する場合、相続時精算課税制度に関する所定の書類を税務署に対して届け出る必要があります。

法改正により、今後は年に110万円までの基礎控除が認められたため、「年間110万円」までの贈与なら贈与税もかからず、累計2,500万円までの特別控除にも含む必要がなくなりました。

以前よりも若干ではあるが、制度としてお得になったと言えるでしょう。

2024年の法改正も踏まえると、今後相続時精算課税制度はさらに利用者が増す可能性は高いでしょう。

高齢者から若年層へ財産を承継できる本制度に、関心を持っている方も多いのではないでしょうか?

しかしながら、本制度は暦年贈与と比較すると利用が避けられてきた過去もあります。

その理由は主に以下の4つです。

まず1つ目は、「暦年贈与に戻れない」という点です。

年間110万円までの贈与なら非課税である暦年贈与は、広く活用されている贈与方法です。

暦年贈与は相続時精算課税制度とは異なり、贈与者・受贈者の双方に制限がありません。

自分の財産を誰に贈与しても適用される柔軟な贈与のしくみです。

ところが、一度相続時精算課税制度に切り替えてしまうと、便利な暦年贈与には戻れないのです。

長く暦年贈与を使っている方にとっては、相続時精算課税制度の魅力は低く感じるでしょう。

2つ目は、「必要書類が多い」点です。

相続時精算課税制度の利用にあたっては、選択届出書や受贈者の戸籍謄本などを提出する必要があり、こちらも暦年贈与と比較すると手続きがややこしいのです。

電子申告も可能だが、最初に贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、書類を整えて税務署に提出する必要があります。

次に3つ目は、「そもそもあまり知られていない」という問題です。

贈与は110万円までは贈与税がかからないという暦年贈与しか知らないという方は多く、相続時精算課税制度はもちろん、教育資金の一括贈与やおしどり贈与などはあまり知られていません。

贈与の方法には暦年贈与以外の選択肢もありますが、手続きの複雑さや対象者が限られているなどの理由から、見落とされる傾向があります。

最後に4つ目は、「贈与税の先送り、というイメージが強い」点です。

相続時精算課税制度は贈与時には税金を納めなくてもよいのですが、相続時にはその他の遺産と合わせて相続税計算をするため、結局相続税として税金を納めなければならない可能性もあります。

手続きがややこしく、税金も将来支払う必要があるなら…と本制度利用のメリットはない、と判断する人は多いでしょう。

これまで利用が避けられてきた相続時精算課税制度ですが、法改正後の今だからこそ知っておきたい「使うべき」4つの理由を紹介しています。

まず1つ目は、「値上がりしそうな財産の贈与はお得」になるという点です。

本制度の活用で高額の贈与をしても、2,500万円までは非課税となるほか、この金額を超えても贈与税の税率は一律20%しかかかりません。

暦年贈与は最大で55%の贈与税が発生するため、実は一気に行う高額贈与なら本制度の方がお得なのです。

相続時精算課税制度で贈与した財産は「贈与時の価額」で評価するため、将来的に値上がりする財産を贈与しておけば相続税対策にもつながるのです。

2つ目は、「高齢者の贈与に向いている」点です。

暦年贈与も法改正があり、これまで相続開始3年前までの贈与を相続財産に持ち戻しする必要がありましたが、今後7年へと段階的に延長されます。

高齢者にとっては病気などをきっかけに贈与を始めても、思うような相続税の節税効果が得られない可能性があります。

高額の財産を贈与するなら、少しずつ暦年贈与するよりも、思いきって相続時精算課税制度を選択することも検討の余地があります。

次に3つ目は、「110万円の基礎控除の誕生」です。

これまでこのしくみがなかったため、たとえ少額であっても相続時精算課税制度を利用するなら贈与税申告が必要でした。

しかしながら、110万円の基礎控除枠ができたことにより、この金額以下なら申告は不要です。

以前よりも制度が使いやすくなったのです。

また、毎年110万円までの贈与は、相続時の持ち戻しの対象外となる点も注目したいですね。

最後に4つ目は、「相続トラブルを防ぐ効果がある」点です。

相続人間で争う可能性がある財産を贈与であげたい人に渡してしまえば、遺産分割協議時に争いは起きにくくなります。

遺言書を使う方法も考えられますが、1つ目に触れたように値上がりしそうな財産は早期に渡すことで相続税の節税効果も得られます。

特に資産が多い方は、本制度の活用を検討してみてはいかがでしょうか?

魅力が多い相続時精算課税制度ですが、暦年贈与に戻れない以外にも意外な落とし穴もあるのです。

まず、不動産の贈与時には税金への注意が必要です。

登録免許税と不動産取得税の負担がそれぞれ重くなる可能性があります。

相続時よりも贈与時の方が税率は高いため、事前に税理士に相談し計算結果を見てから判断することもおすすめです。

小規模宅地等の特例も使えなくなるため、不動産の贈与は慎重に進めてほしいですね。

また、本制度は孫へ贈与できる点が魅力ですが、相続人ではない孫(代襲相続除く)は相続税が2割加算となるのです。

今回は相続時精算課税制度について、2024年最新の情報を交えながら解説しています。

本制度は今後も利用率が伸びていくと思われますが、先述のとおり、意外な落とし穴があることも忘れずに利用してほしいですね。

相続時精算課税制度以外にも、相続税対策には遺言書や家族信託の活用なども考えられます。

いずれの方法でも、相続開始後のトラブルを未然に防ぐために、家族で資産形成のゆくえについて話し合いをしたうえで制度利用を決めましょう。

特に高額の贈与は、もらえなかった方に「なぜ自分はもらえなかったのか」という禍根を残してしまうおそれがあります。

明るい相続を目指すためにも、贈与の段階から丁寧な話し合いを重ねておきましょう。

先日、とある金融機関の方から、持ち戻し期間が3年から7年になった一方、相続時精算課税に非課税枠ができたわけですから、使わないと損じゃないですか?と聞かれましたが、メリットばかりではなく、デメリットもあることをお伝えしました。

安易に相続時精算課税を選択するのではなく、慎重に選択して欲しいですね。

生前贈与が税制改正でお得になり「相続時精算課税制度」を使うべき4つの理由について、あなたはどう思われましたか?


ハイデイ日高の創業者が創業50周年で従業員へ株4億円分贈与!

埼玉新聞社によると、埼玉県内を中心に中華料理店「日高屋」などを展開しているハイデイ日高(さいたま市大宮区、青野敬成社長)の創業者で、代表取締役会長の神田正氏は、自身の保有株式の一部約4億円分を従業員に贈与することを、先日発表しました。
2018年以来、2度目の実施となります。

贈与する株式数は約20万株(2023年4月5日現在、約4億2千万円相当)で、対象者は役員、正社員のほか、条件を満たしたパート・アルバイト従業員で、2023年6月の実施を予定しています。

今回の贈与は、株式公開から20年以上が経過し、2023年2月に創業50周年の節目を迎えた同社の発展に尽力し、共に働いてきた従業員への感謝の気持ちを込めています。

神田会長は「会社が成長して、利益を社員に還元する『分かち合う資本主義』を大切にしていきたいと思っている」とし、従業員への還元によって、安心して働ける環境を整備していくそうです。

たまに見かけますが、なかなかできないことだと思いますので、すごいですね。
こういう会社で働く方は幸せでしょうね。

ハイデイ日高の創業者が創業50周年で従業員へ株4億円分贈与したことについて、どう思われましたか?


生前贈与の相続税加算は「7年に拡大」軸に調整!

読売新聞によると、政府・与党は生前贈与を行う際の相続税の加算期間について、7年を軸に広げる方向で調整に入ったようです。
相続税がかかる加算期間をのばすことで、早めに若年世代への資産移転を促す狙いがあります。

生前贈与には、年間110万円までは贈与税がかからない「暦年課税」と、相続時に贈与税と相続税の差額を精算する「相続時精算課税」の2種類があります。

このうち暦年課税は、死亡前の3年間に相続人が受け取った資産は相続税の対象になります。

3年の加算期間を7年に拡大することにより、税負担を軽減しようと前倒しで生前贈与を行う動きが進むことが期待されます。

一方、相続時精算課税については、少額の贈与を申告不要とする方向で調整を進めており、額は今後詰めるようです。
現在は少額贈与でも税務署への申告が義務づけられています。

2022年12月15日に令和5年度税制改正大綱が公表されると言われていますが、個人的には、これが何年になるのかに最も注目しています。
長くなると、相続税対策も変わってくるでしょうから。
今年、お手伝いさせていただいた相続税の申告案件も、ちょうど半分、3年以内の贈与を足し戻す案件でした。

生前贈与の相続税加算は「7年に拡大」軸に調整していることについて、どう思われましたか?


政府の税制調査会が相続税・贈与税の専門家会合を設置!

日本経済新聞によると、政府の税制調査会(首相の諮問機関)は、先日の総会で、相続税と贈与税のあり方を議論する専門家会合を設置すると決めました。
贈与税は相続税の負担回避を防ぐために相続税よりも高い税率がかかる一方、多額の資産を持つ人が分割して贈与する場合は税率が低くなるため、格差の固定化につながらないような税制のあり方を議論します。

政府の税制調査会の中里実会長(東大名誉教授)は総会で「資産移転の時期の選択に中立的な税制に向け、どのように対応できるかが当面の課題となる」と述べました。

贈与税の課税方式には毎年の贈与額に累進税率を適用し、年間110万円まで非課税になる暦年課税制度と、60歳以上の贈与側1人につき2,500万円まで非課税となる相続時精算課税制度の2つがあります。

政府が富裕層向けに相続税の節税対策を強化するため「暦年課税を廃止するのではないか」との見方が一部にあります。
中里氏は総会後の記者会見で「そういった議論はせずに、理論的・実務的な観点から議論してもらう」と強調しました。

資産税に関わる僕らにとって、数年前からの贈与税の見直しの方向性の話しは、非常に気になるところです。
改正になると、過去の相続税対策が無意味なものになる可能性もありますし、今後の相続税対策が今までとまったく違ったものになる可能性があるからです。
個人的には、暦年贈与の廃止や縮小などが噂されていますが、どうせ改正するなら、失われた30年間と言われるように、給料がほとんど上がっていない状況を少しでも解消するために、ためこんで相続が発生するよりは、贈与をしてもらって、消費にあて、日本経済の活性化につながるような改正方向になればいいなぁと思っています。

政府の税制調査会が相続税・贈与税の専門家会合を設置したことについて、どう思われましたか?


被相続人からの毎年一定額の入金は相続財産に該当しないと認定!

TabisLandによると、被相続人が毎年一定額を入金していた未成年であった者の名義の普通預金口座に係る預金が相続財産に含まれるか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、被相続人が作成した贈与証に基づく贈与を未成年であった者の母親が受諾し、入金していたものであるから、その普通預金口座に係る預金は当時未成年であった者に帰属する財産であり、相続財産には含まれないと認定して、原処分の一部を取り消しました。

この事件は、審査請求人が、相続税の修正申告において課税価格に加算した請求人及び兄名義の普通預金はいずれも相続開始日の3年より前に被相続人から贈与されたものであるから、相続税の課税対象ではないとして更正の請求をしたのが発端となったものです。

これに対して原処分庁が、兄名義の預金についてのみの請求を認める減額更正処分等を行ってきたことから、請求人が請求人名義の預金も請求人の母が親権者として受贈済みであるから原処分庁の認定には誤りがあるなどと主張、原処分の一部取消しを求めて審査請求したという事案です。

現金預金が相続財産に含まれるか否か、贈与された時期はいつか、請求人名義の預金が相続財産に含まれるか否か(具体的には、請求人名義の預金は被相続人と請求人のいずれに帰属するものか)が争点になった事件ですが、原処分庁側は、請求人の亡父(被相続人)が毎年一定金額を当時未成年だった請求人に贈与する旨を記した贈与証を作成した上で、請求人の母を介して請求人名義の普通預金口座に11年間にわたって毎年入金していたことについて、請求人の母親が贈与証の具体的な内容を理解しておらず、被相続人の指示に従って普通預金口座に入金していたにすぎず、その入金が請求人へ贈与されたものとは認識していないのであるから、被相続人から請求人への贈与は成立しておらず、その預金は被相続人の相続財産に含まれる旨主張して、審査請求の棄却を求めました。

裁決は、贈与証の内容はその理解が特別困難なものとはいえない上、請求人の母親は贈与証を預かるとともに、被相続人の依頼により預金口座へ毎年入金し、預金口座の通帳等を口座開設当時から管理していたことからすれば、入金が開始した当時、請求人の唯一の親権者であった母親は請求人の法定代理人として贈与証による贈与の申込みを受諾し、その履行として普通預金口座へ毎年入金していたと認めるのが相当であると指摘しました。

また、普通預金口座には、利息を除き、毎年の入金以外に入金はないのでから、預金口座に係る預金は口座開設当初から請求人に帰属するものであって、相続財産には含まれないと判断し、原処分の一部を取り消しました。

いわゆる名義預金の話ですが、事実認定の話になりますから、なかなか難しいですね。
僕自身も、過去に税務調査で名義預金だと指摘され、反論をしたものの、詳細は述べませんが、確固たる証拠を提出することが物理的にできず、反論が認められなかったことがありますが、この事案は認められて良かったですね。
生前から相続税対策などで関わることができれば防げることは色々とあると思うのですが、相続が発生した後に相続税の申告を頼まれることが圧倒的に多いため、少しでも生前からお手伝いできればいいなぁと改めて感じた1件でした。

被相続人からの毎年一定額の入金は相続財産に該当しないと認定されたことについて、どう思われましたか?


妻名義の証券口座への入金はみなし贈与に該当しないと判断!

TabisLandによると、夫名義の預金口座から妻名義の証券口座に金員が入金されたことが、相続税法9条が定める対価を支払わないで利益を受けた場合つまりみなし贈与に該当するか否かの判断が争われた事件で、国税不服審判所は、妻名義の証券口座において夫の財産がそのまま管理されていたものと評価するのが相当であるとして、対価を支払わないで利益を受けた場合には該当しないと判断、原処分を取り消しました。

この事件は、夫名義の預金口座から出金され、妻(審査請求人)名義の預金口座等に入金された金員に相当する金額について、原処分庁が相続税法9条に規定する対価を支払わないで利益を受けた場合に該当すると判断、妻(請求人)側に対して贈与税の決定処分等をしてきたのが発端です。
そこで妻側が、そうした金員の財産的な移転はなく、何らの利益も受けていないと主張して、原処分の全部取消しを求めて審査請求したという事案です。

原処分庁側は、請求人の夫名義の預金口座からの金員が入金された請求人名義の証券口座について、①請求人自身の判断で取引を行っていたこと、②証券口座の投資信託の分配金が請求人名義の普通預金口座に入金されていたこと、さらに③その分配金等を請求人の所得として確定申告がされていたことなどを理由に挙げて、妻の証券口座への金員の入金は、相続税法9条が規定する対価を支払わないで利益を受けた場合に該当する旨主張して、審査請求の棄却を求めたわけです。

裁決はまず、夫婦間における財産の帰属については、①財産又は購入原資の出捐者、②財産の管理及び運用の状況、③財産の費消状況等、④財産の名義を有することとなった経緯等を総合考慮して判断するのが相当であると指摘しました。

その上で、①請求人は入金の前後を通じて夫の財産の管理を主体的に行っており、その管理に係る全部の財産について請求人に帰属していたものと認めることはできないから、証券口座において請求人自身の判断で取引を行った事実をもって利益を受けたと認めることはできないうえ、②分配金等の入金があっても、請求人が私的に費消した事実が認められないこの事案においては、これを管理・運用していたとの評価の範疇を超えるものとはいえず、③確定申告をしたことは、申告をすれば税金が還付されるとの銀行員の教示に従い深く考えずに行ったものとした請求人の主張が不自然とまではいえず、ことさら重要視すべきものとは認められないことなどの諸々の事情を考慮すれば、妻の証券口座への入金によっても、夫の財産は、証券口座においてそのまま管理されていたものと評価するのが相当であると認定しました。

その結果、妻名義の証券口座への入金は、請求人に贈与と同様の経済的利益の移転があったものと認めることはできず、相続税法9条に規定する対価を支払わないで利益を受けた場合には該当しないと判断、原処分を全部取り消しました。

事実認定の話になるので、なかなか難しい案件だと思いますが、納税者側の主張が認められたことはいいことですね。
一般的に、税務調査において、名義預金とか名義有価証券とか名義保険というもので相続税を取ろうとしますが、それとは逆のパターンですから、もっと明確なものを示して欲しいなぁと思いますね。

妻名義の証券口座への入金はみなし贈与に該当しないと判断したことについて、どう思われましたか?


小室圭さんが振り込んだ解決金409万円に関し「夫婦間贈与」を専門家が解説!

NEWSポストセブンによると、4年にもわたりくすぶり続けた金銭問題に、とうとう終止符が打たれました。
秋篠宮家の長女・眞子さん(30)と結婚した小室圭さん(30)の母・佳代さんと元婚約者の金銭トラブルに関して、小室さん側から元婚約者に対し解決金409万3,000円が振り込まれました。

2021年4月に「28枚文書」で「解決金を払わない理由」を長文で綴っていた小室さんでしたが、アメリカへ渡る直前、電撃的に解決に動きました。
新婚生活のために渡米する2日前の11月12日、元婚約者が圭さんの母・佳代さんに貸したと主張する約400万円を額面通りに支払うことで双方が解決とする書面が取り交わされると、渡米後の11月15日、ついにそれが振り込まれました。

小室さんがこの400万円をどのように工面したのかは明らかになっていませんが、結婚した夫婦の一方がもう一方と金銭のやりとりをすることは普通に考えられ、何もおかしいことではありません。
しかし、日本の税制には贈与税というものがあり、金銭の贈与には一定の税金がかかるのです。
それがたとえ夫婦間であっても、1年当たり110万円を超える財産の贈与には贈与税がかかるのです。

円満相続税理士法人代表で税理士の橘慶太氏は、「夫婦間でお金を渡した、振り込んだといった金銭の授受があった場合、それが“あげた”なのか“貸した”なのかが問題になります」と話しています。

「“立て替える”という言葉がありますが、金銭の授受があっても、返済の意思があって、分割でもいいので返せば贈与にはなりません。また、生活費等を管理しやすいようにまとめるために夫から妻に振り込んだ、といった場合も問題は生じません」(橘氏)

贈与であれば、贈与があった年の翌年の2月1日から3月15日に申告をして納税しなくてはなりません。
しかしながら、通常夫婦間で貸借の契約書を交わすことはまれであり、将来的に返済すれば贈与にはならないため、金銭のやりとりだけで問題になるケースはほとんどありません。
夫婦間の贈与が問題になるのは、不動産を購入した際に支払った割合と名義が異なるケースや、どちらかが亡くなり相続税の申告が必要になるケースがほとんどです。

橘氏は今回の小室さんの件にも触れ、「制度上、仮に眞子さんの財産から払われていたとしても、分割払いでもいいので小室さんが妻に返済すれば問題ありませんし、個人間の金銭貸借のため利息をつけてもつけなくても構いません。肝心なのはそれが贈与なのか貸借なのか、お互いの認識です」と話しています。

お金に色はついていません。
今回の解決金の出所は夫婦にしか分からないのが現実です。

職業柄、相続関連のお仕事をしておりますが、『贈与はお金を口座に振り込んでおけばいいんでしょ?』とおっしゃられる方が結構います。
それに対して僕は、『例えば、お母さまからお子さまの口座にお金が振り込まれたとして、それが贈与なのか借入金なのか客観的に分かりますか?』と答えています。
客観的に分からないのは明らかでしょう。
そして、『それが問題となるのは、お母さまがお亡くなりになったあとの相続税の税務調査などでしょうから、既に当事者がいないわけですから。』と。
夫婦間であろうと、親子間であろうと、おじいちゃんおばあちゃんから孫であろうと、贈与するのであれば、贈与契約書・金銭消費貸借契約書をきちんと作りましょうということです。

小室圭さんが振り込んだ解決金409万円に関する「夫婦間贈与」の専門家の解説について、どう思われましたか?


「2億5千万を贈与」との詐欺メールで70代男性が8千円被害!

秋田魁新報によると、秋田県警鹿角署は、先日、秋田県鹿角市の70代男性が特殊詐欺に遭い、電子マネー利用権8千円分をだまし取られたと発表しました。

秋田県警鹿角署によると、先日、男性の携帯電話に「2億5千万円を贈与します」と記載されたメールが届き、贈与のため必要な名義変更などの費用として、電子マネーを購入するよう指示されました。

男性は2日間にわたり、鹿角市内のコンビニを複数回訪れ、要求どおり電子マネー計8千円分を3回に分けて購入しました。
そして、相手から指示されたサイトに電子マネーの利用に必要な番号を入力しました。

秋田県警鹿角署は、「多額の現金を贈与するとの名目で電子マネーをだまし取る特殊詐欺の手口。同様のメールが来たら警察に相談してほしい」と呼び掛けています。

いまだに、このような詐欺にひっかかる方がいらっしゃるんですね。
関係のない方が多額の贈与をしてくれるというおいしい話はないと思いますし、何かをもらうのに先にお金などを支払うというのはそもそも怪しいですよね。
電子マネーの購入という時点で、詐欺という気はしますが。
被害が8千円ですんで良かったと思いますが、こういった事件はなくなってほしいと思いますし、だます方も、その能力をまっとうな商売に使ってほしいですね。

「2億5千万を贈与」との詐欺メールで70代男性が8千円被害にあったことについて、どう思われましたか?


生前贈与は「愚の骨頂」?

現代ビジネスによると、良かれと思って子どもに財産を生前贈与する人は多いようです。

しかしながら、長男に渡せば次男も「自分にも贈与してくれ」と言い出してくるなど、かえって揉めごとを招く原因になることがあります。

自分で稼いだおカネは自分で遣えばいいでしょう。
それでも余ったおカネがある場合、「遺贈寄付」という手があるのです。

遺贈寄付とは、あらかじめ遺産の寄付先を決めておき、自分が死んだら引き渡してもらうことです。

胃がんで2年前から闘病生活を送っている米沢康太さん(76歳・仮名)も、遺贈寄付を計画しているそうです。

「金遣いの荒い息子におカネをくれてやるくらいならと思い、治療でお世話になっている国立がん研究センターへの遺贈寄付を思い立ちました。
がん研究センターには、立派な銘板に寄付者の名前がズラリと並べられている。私のカネが世のため人のためになり、名前まで残せるなら、こんなにうれしいことはない」

米沢さんのように、自分の関心や趣味に従い遺贈寄付を選択する人は、年々増えているそうです。

たとえば、母校の大学を指定して寄付を行うと、自分の名前を冠した奨学金を設立できるケースもあり、後輩の学業を助けることができます。

実際の遺贈寄付の手順は極めてシンプルです。
「遺言書に寄付先の団体と金額を明記し、司法書士などの遺言執行者を指定する。寄付先の団体に事前に伝えておくと、先方もありがたい。
寄付をできるのは現金のみというところも多いので、不動産を寄付したい場合は要確認です」(司法書士の村山澄江氏)。

感謝されて生きた証も残せるため、一石二鳥です。

相続で揉めることは結構ありますが、仲が良かった兄弟姉妹などが相続をきっかけに仲が悪くなるのは残念でありません。
そうなることを防ぐためにも、相続人ではなく、財産を持っている方ができるだけ早く、相続のことを考えましょう。
その中の選択肢の一つが、生前贈与とか遺贈寄付だと思います。
ちなみに、税理士のところには、毎年、日赤から『遺贈・財産寄付ご案内パンフレット』というものが送られてきます(笑)。

生前贈与は「愚の骨頂」?について、どう思われましたか?


サラリーマン家庭でも増えてきた「生前贈与」封じのため改正に動く財務省の言い分!

文春オンラインによると、サラリーマン家庭の間でも増えている相続税の節税策が、近々封じられる可能性があるそうです。

相続税は、一定額以上の財産を持つ富裕層に課せられてきたものですが、2015年の課税ライン引き下げにより課税対象者が増えたことで世の関心が高まり、サラリーマン家庭または定年退職者でも生前の節税策に着手する人が増えています。

その代表は、親の課税対象財産を減らして将来の相続税を軽減するために、親が子や孫に財産の一部を生前贈与することです。

国は、財産の移転に関しては人が亡くなった時の相続税で課税することを基本としています。
課税されることが分かれば、人は生前に財産を贈与して課税を回避しようとするため、相続税を補完するものとして贈与税を作り、1年毎に、贈与額に応じて累進で10%~55%の贈与税を課しています(いわゆる暦年贈与)。
この贈与税の税率は相続税の税率より高く設定され、相続を待たずに生前贈与すれば損する仕組みとなり、生前贈与が抑制されてきました。

ただし、贈与税には特例が設けられ、1人につき誰からもらったかは問わず年間110万円までの贈与は非課税になっています。
これを利用して、親が子や孫にそれぞれ年間110万円ずつ生前贈与するという節税策に着手する人が増えているのです。

1人当たり年間110万円の贈与でも効果は小さくないのです。
例えば、父親が8,000万円の財産を持ち、相続人が子供2人の場合、計470万円の相続税がかかります。
これに対し、父親が子供2人と孫2人の計4人にそれぞれ年間110万円(合計440万円)の非課税贈与を2年間続ければ、相続税は概算で計338万円まで下がり132万円の節税になるのです。
もちろん、期間が長くなれば、節税効果は大きくなっていきます。

生前贈与については、「贈与すれば子供が浪費するだけ」「財産を貰ってしまえば子供は親の面倒を見なくなる」といった指摘もあるのも事実です。
親の財産や家族の状況を見極める必要はありますが、非課税贈与を続ければ節税額は増え、課税ラインを下回って相続税をゼロにすることもできます。

国の制度は、上手に利用する人が得をして、そうでない人が損をしますが、生前贈与はその1つと言えるでしょう。

この生前贈与を最も利用しているのは富裕層でしょう。
年間110万円以上の贈与には贈与税がかかりますが、贈与税を払ってでも生前贈与したほうが相続税の軽減が図れるケースもあります。

ちなみに、2019年の1年間に贈与された額は全体で2兆430億円あまりとなり、1,000万円を超える贈与を受けた人は約1万5,000人に上ります(申告分。相続時精算課税分を含む。)。
当然、年間110万円以下であれば申告は必要ないため、実際にはかなりの額になるでしょう。

問題は、この生前贈与が税制改正によって封じられる可能性があることです。
税制改正の“建前”上の理由は、「若い世代への資産移転の促進」です。

日本では高齢者への資産偏重が進んでいます。
財務省が税制改正に向けて2018年10月に示した資料によれば、個人の金融資産約1,700兆円のうち、60歳以上の人がその約6割(1,000兆円)を保有するに至り、この20年間で倍増しています。

また、高齢化の進行により、2016年には、死亡時の年齢が80歳を超えている親が7割に達しました。
80歳を超えた親の資産を50歳以上の子供が相続するといった、高齢者が高齢者に財産を相続するケースが増えています。

財務省は、この現象を「老老相続」という言葉で表現し、「相続による若年世代への資産移転が進みにくい状況となっている」と問題視しています。
子育てや住宅の購入など支出が多い30代~50代を過ぎた後に財産を相続しても、有効に活用されないからです。

2020年12月の与党の税制改正大綱でも、経済を活性化するために「資産の早期の世代間移転を促進するための税制を構築することが重要」として検討課題に挙げられました。
ここで出て来たのが「相続税と贈与税の一体化」です。
生前贈与には贈与税を課さず、相続時に、生前贈与された分も加えて相続税を課し、財産の贈与時期を選択できるようにする方向が示されています。

その具体化は進んでいませんが、先行されると見られるのが「3年ルール」の延長だそうです。

親が亡くなり相続が発生すると、亡くなってから過去3年間の贈与は相続財産に加算して相続税の課税対象になると定められています(相続税法第19条)。
つまり、贈与税を払って贈与していても、年110万円の非課税贈与を続けていても、課税対象なってしまう(贈与がなかったものとされる。)のです。

3年間の生前贈与を認めないのは、親の死を前にした駆け込み贈与により、相続税の節税を防ぐためとされています。
生前贈与は「早めに着手するべき」と言われるが、その理由の1つはここにあります。

財務省の資料では諸外国の例を挙げ、英国は過去7年分、ドイツは過去10年分、フランスは過去15年分、アメリカは過去全ての生前贈与を相続税の課税対象にしていると説明されており、日本の3年ルールの延長が示唆されている(ただし、世界には相続税のない国もあり、アメリカは基礎控除額の10億円を超えて課税されるのはごく一部であるなど、相続税制度そのものが各国で異なり、このルールだけを当てはめようとすることに批判があります。)。

前述の税制改正大綱では、「現在の税率構造では、富裕層による財産の分割贈与を通じた負担回避を防止するには限界がある」としており、3年ルールの延長は富裕層の節税封じも目的にあると見られます。

しかしながら、同時に、現行の3年ルールで110万円の非課税贈与も対象となっていることから、期間が延長されれば同様にすでに贈与した分についてもそのまま対象になる可能性があります。
10年、15年、またはそれ以上に延びれば、サラリーマン家庭でもできるささやかな節税策が封じられてしまうのです。

相続税制では抜け道があれば広まり、広まれば国税庁が封じるイタチごっこが続いてきました。
予想以上に110万円の非課税贈与の利用者が増えており、それを封じるための改正にも見えます。

「相続税と贈与税の一体化」は、僕を含め資産税系の税理士にとっては、非常に気になるところです。
税金単独ではなく、社会保障などとの絡みもありますので、個人的には、都合がいい時だけ諸外国と比べることはあまり意味がないと考えています。
税理士として普段から暦年贈与のお話しや提案などをしていますが、改正のリスクをきちんと伝えておかないといけないのはもちろんですが、改正がどうなるか分からないので、提案もしにくい状況です。
2021年12月に出る税制改正大綱で改正が行われるとは思いますが、我々税理士としては、スタート時期もとても重要です。
例えば、4月から改正になるのであれば、12月中旬から3月までに実行しないといけませんので。
どのような改正になるかウォッチし、早めに適切な対応ができればいいなぁと考えています。

サラリーマン家庭でも増えてきた「生前贈与」封じのため改正に動く財務省の言い分について、どう思われましたか?


すぐに贈与税の申告ができない!

2021/4/15に自分の確定申告を終え、今シーズンの確定申告業務が終わりました。
昨シーズンは、自分を除き、当初の期限である3/15に終えたのですが、今シーズンは、3/16以降に申告を終えた方がそれなりにいて、4/14にも2名電子申告をしました。

備忘録を兼ねて、今週は、今回の確定申告で感じた留意点をまとめたいと思います。

<所得税>
①事業的規模でなくても65万円控除ができる!
②役所を信じてはいけない!
<消費税>
③雑所得でも所得税の還付申告ができる!
④新型コロナウイルス感染症の影響があれば簡易課税・原則課税を変更できる!
<贈与税>
すぐに贈与税の申告ができない!

すでに、『事業的規模でなくても65万円控除ができる!』、『役所を信じてはいけない!』、『雑所得でも所得税の還付申告ができる!』、『新型コロナウイルス影響があれば簡易課税・原則課税を変更できる!』については書きましたので、最終回の本日は、『すぐに贈与税の申告ができない!』です。

贈与税には、①暦年課税と②相続時精算課税とがあります。
<1.暦年課税>
贈与税は、一人の人が1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。
したがって、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下なら贈与税はかかりません(この場合、贈与税の申告は不要です。)。

<2.相続時精算課税>
「相続時精算課税」を選択した贈与者ごとにその年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額から2,500万円の特別控除額を控除した残額に対して贈与税がかかります。
なお、この特別控除額は贈与税の期限内申告書を提出する場合のみ控除することができます。
また、前年以前にこの特別控除の適用を受けた金額がある場合には、2,500万円からその金額を控除した残額がその年の特別控除限度額となります。

贈与税がかかる場合及び相続時精算課税を適用する場合には、財産をもらった人が申告と納税をする必要があります。
申告と納税は、財産をもらった年の翌年2月1日から3月15日の間に行ってください。
なお、相続時精算課税を適用する場合には、納税額がないときであっても財産をもらった年の翌年2月1日から3月15日の間に申告する必要があります。

贈与税の計算は、まず、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の価額を合計します。
続いて、その合計額から基礎控除額110万円を差し引きます。
次に、その残りの金額に税率を乗じて税額を計算します。
ここでは計算に便利な速算表を掲載します。
速算表の利用に当たっては基礎控除額の110万円を差し引いた後の金額を当てはめて計算してください。
それにより贈与税額が分かります。

<贈与税の速算表>
平成27年以降の贈与税の税率は、次のとおり、「一般贈与財産」と「特例贈与財産」に区分されました。
【一般贈与財産用】(一般税率)
この速算表は、「特例贈与財産用」に該当しない場合の贈与税の計算に使用します。
例えば、兄弟間の贈与、夫婦間の贈与、親から子への贈与で子が未成年者の場合などに使用します。

基礎控除後の課税価格

200万円

以下

300万円

以下

400万円

以下

600万円

以下

1,000万円

以下

1,500万円

以下

3,000万円

以下

3,000万円

税 率

10%

15%

20%

30%

40%

45%

50%

55%

控除額

10万円

25万円

65万円

125万円

175万円

250万円

400万円

【特例贈与財産用】(特例税率)
この速算表は、直系尊属(祖父母や父母など)から、その年の1月1日において20歳以上の者(子・孫など)※への贈与税の計算に使用します。
※「その年の1月1日において20歳以上の者(子・孫など)」とは、贈与を受けた年の1月1日現在で20歳以上の直系卑属のことをいいます。
例えば、祖父から孫への贈与、父から子への贈与などに使用します(夫の父からの贈与等には使用できません。)。

基礎控除後の課税価格

200万円

以下

400万円

以下

600万円

以下

1,000万円

以下

1,500万円

以下

3,000万円

以下

4,500万円

以下

4,500万円

税 率

10%

15%

20%

30%

40%

45%

50%

55%

控除額

10万円

30万円

90万円

190万円

265万円

415万円

640万円

基本的には、贈与税の申告書は1ページのみです。
しかしながら、「特例税率」の適用を受ける場合で、以下の①または②のいずれかに該当するときは、贈与税の申告書とともに、受贈者の戸籍の謄本または抄本その他の書類でその人の氏名、生年月日及びその人が贈与者の直系卑属(子や孫など)に該当することを証する書類を提出する必要があります。
ただし、過去の年分において同じ贈与者からの贈与について「特例税率」の適用を受けるために当該書類を提出している場合には、申告書第一表の「過去の贈与税の申告状況」欄に、その提出した年分及び税務署名を記入することにより、当該書類を重ねて提出する必要はありません。
①「特例贈与財産」のみの贈与を受けた場合で、その財産の価額から基礎控除額(110万円)を差し引いた後の課税価格が300万円を超えるとき
②「一般贈与財産」と「特例贈与財産」の両方の贈与を受けた場合で、その両方の財産の価額の合計額から基礎控除額(110万円)を差し引いた後の課税価格((注)参照)が300万円を超えるとき
(注)「一般贈与財産」について配偶者控除の特例の適用を受ける場合には、基礎控除額(110万円)と配偶者控除額を差し引いた後の課税価格となります。

つまり、祖父母や両親などから贈与された金額が410万円を超えると、もらった方の戸籍の謄本の入手が必要になります。
市役所の出先機関であるコミュニティセンター内の出張所でも可能ですが、すぐにというわけにはいかないかもしれません。
よって、贈与税の申告直前になって慌てて入手するのではなく、余裕を持って入手しておくことをお勧めします。
ちなみに、電子申告の場合、戸籍の謄本はイメージ添付できますので、原本を提出する必要はありません。

あと、贈与税の申告以前に、当然、『贈与』という行為が必要ですが、そもそも『贈与』はあげる方のあげるという意思ともらう方のもらうという意思がないと成立しません。
もちろん、口頭でも成立はしますが、後日、税務調査が入った時などに、『贈与』であるという証明が困難で、対応に苦慮する可能性があります。
特に、相続税の税務調査の時に『贈与』が論点となることが多いため、『贈与』してから数年後、数十年後に『贈与』があったことを証明する必要が生じる可能性があるため、個人的には、贈与契約書を作成し、それなりの金額の場合は、公正役場で『確定日付』を取ることをお勧めしています。
なお、『確定日付』は内容の正確性などを証明するものではありませんが、その日に存在していたことを証明する日付の入ったスタンプを押してもらうものです。

ところが、公証役場は、平日の昼間しか開いておらず、それほどたくさんあるわけではありません(我が香川県は高松市と丸亀市の2か所のみ)ので、急ぎで作成が必要な場合、土日祝や早朝や夜間は、『確定日付』を押してもらうことができません。

そこで、『確定日付』ほどの効力はないと思いますが、その日に、その贈与契約書が存在していたことを示すためには、郵便局で、贈与契約書に切手を貼って、『記念押印』をしてくださいと言うと、切手のところに郵便局の日付の入ったスタンプを押してくれますので、それも良いかと思います。
ちなみに、郵便を出した際に通常切手に押されているのは『引受消印』と言うそうです。
また、『記念押印』の場合、最低63円の切手を貼る必要があります(郵便局の担当者が『記念押印』のことをよく知らない場合、それ未満でも押印してくれるケースはありますが。)。
よって、公証役場が開いていない場合、『確定日付』の手数料700円がもったいない場合などは、『記念押印』という手もあります。

すぐに贈与税の申告ができないことがあることについて、どう思われましたか?


小室佳代さんは報道を受け時効ギリギリで「贈与税」支払っていた!

女性自身によると、秋篠宮家の長女・眞子さまとの婚約が延期となっている小室圭さんが先日、母・佳代さんと元婚約者X氏との「金銭トラブル」について説明する文書を発表した。

その中で、小室さんはこう記しています。
《平成24年(2012年)9月13日午後11時15分、母は元婚約者の方から、婚約を解消したいという一方的な申し入れを突然受けました。(中略)このとき母が、婚約期間中に受けた支援について清算させていただきたいとお伝えしたところ、元婚約者から『返してもらうつもりはなかった』というお返事が返ってきました》

実は小室さんが金銭トラブルについての説明文書を発表するのは2度目のことです。
2019年1月22日に公表された文書でも、X氏の「返してもらうつもりはなかった」という発言から、金銭的な問題はすべて解決済みと認識してきたと説明していました。

しかしながら、前回の文書発表直後の2019年2月、WEB女性自身では「小室圭さんの母・佳代さんに脱税疑惑…税務調査の可能性も」との記事を配信しています。
X氏から佳代さんに渡されたという409万円が、小室さんの説明通り返済の必要がない金銭なのであれば、贈与税を納めなければいけないのではないかという疑惑です。

贈与税の時効は贈与があった翌年3月から数えて7年です。
佳代さんがX氏から金銭を受け取ったのは2012年1月の200万円が最後だったので、その時点で、時効は2020年3月に迫っていたのです。

女性自身は、当時、小室圭さんの代理人・上芝弁護士にこの疑惑について電話で質問したそうです。
しかしながら、上芝氏は質問の核心には触れず、409万円の金銭が贈与だったのか貸与だったのかについても明言を避けました。
佳代さんが贈与税を納付したかどうかについて、この時点で真相を掴むことはできなかったのです。

しかしながら、今回の小室さんの文書には、注釈の部分にこんな一節がありました。
《なお、贈与税を負担しているのかという報道がありますが、母は贈与税を納付しています。それまでは贈与税を納付する必要があると思っていなかったのですが、報道の後に知人から贈与税は納付しているのかと聞かれたことがきっかけで、念のためにということで納付しました》

小室さんは、女性自身の指摘に応えるように、佳代さんの“脱税疑惑”もしっかり晴らしていたようです。

贈与は、あげる方のあげるという意思と、もらう方のもらうという意思で成り立ちます。
そして、誰にもらったかは関係なく、1月1日から12月31日の間にもらった額が110万円を超えると、原則として、贈与税が課税されます(110万円までは贈与税がかからないという、いわゆる暦年課税)。
申告漏れのないようにしたいですね。

小室佳代さんは報道を受け時効ギリギリで「贈与税」支払っていたことについて、どう思われましたか?


身元保証の愛知県のNPO法人が死後全額贈与契約で敗訴!

日本経済新聞によると、身寄りのない高齢者の身元保証を請け負う愛知県安城市のNPO法人が、死亡した高齢者との贈与契約に基づき、預金全額の支払いを金融機関に求めた訴訟の判決で、名古屋地裁岡崎支部は、先日、「契約は公序良俗に反し無効」として請求を棄却しました。

判決によると、このNPO法人は2017年1月、安城市社会福祉協議会が運営していた養護老人ホームに入所中の80代女性と身元保証契約を締結し、翌月には、死亡後に不動産を除く全財産を贈与するとの契約も結びました。
女性は2018年7月に死亡し、このNPO法人が安城市の碧海信用金庫に預金約620万円の支払いを求めていました。

近田正晴裁判官は判決理由で「契約は不必要で内容も不明確。死後事務処理の費用は50万円ほどなのに、預金全額を受け取るというのは対価性を欠き、暴利と言わざるを得ない」と指摘しました。

さらに、ホームの入所者の半数以上が同会と身元保証契約を結んでいることや、同会代表者の夫が、安城市社会福祉協議会を指導する立場の安城市職員だったことから「契約の背景には市や社協、会との間の癒着構造が認められる」とも批判しました。

このNPO法人の代表は「多くの人を支援してきたのに、癒着は事実無根で、名誉を傷つけられた」とし、控訴する方針だそうです。
安城市高齢福祉課の担当者は「癒着はなく、裁判所の判断に戸惑っている」と話しているようです。

最近、身元保証業務を事業として取り組んでいる会計事務所があるようで、少し気にはなっていたのですが、こういうことを言われる可能性があるんですね。
認知症の問題もあり、贈与契約が有効かどうかということも難しいと思いますが、法を整備し、きちんとした団体等を作ってやっていかないと、悪質な業者等が出てくるような気はします。
家族信託もそうですが、専門家が契約書をきちんと作ることが重要ですね。

身元保証の愛知県のNPO法人が死後全額贈与契約で敗訴したことについて、どう思われましたか?


千葉銀行と千葉大学医学部付属病院が円滑な「遺贈」を後押し!

千葉銀行と千葉大学医学部付属病院は、相続人以外に財産を残す「遺贈」に関する協定を結んだそうです
病院に遺贈を申し出た希望者に対し、相談先として千葉銀行を紹介します。
千葉銀行は個別相談に応じたり、関連サービスを紹介したりして円滑な遺贈を後押しします。

遺贈は、遺言に基づき、相続の発生後に財産を法人やNPOなどに寄付するしくみです。
生前に意思を遺言書に残すなどの事前手続きが必要となります。

高齢化の進展に伴い、関連サービスのニーズが高まっています。
千葉銀行は病院から紹介された遺贈希望者に対し、1人につき1回無料で個別相談に応じるほか、遺言信託などのサービスを紹介します。
また、病院が高齢者向けセミナーなどを開く際、千葉銀行の行員を講師として派遣します。

千葉大付属病院が民間企業と遺贈に関する協定を結ぶのは初めてだそうです。
千葉銀行はこれまでに千葉市や松戸市といった千葉県内自治体のほか、日本赤十字社千葉県支部とも遺贈に関する協定を交わしています。

協定を結んだからといってどこまで案件があるのかは分かりませんが、個人的には、病院側がどうやって遺贈の話を持ち掛けるのかに興味があります。
あとは、金融機関は顧客を紹介すると紹介料を求めたりしますが、紹介してもらう場合はどうしているのかも気にはなりますね。

千葉銀行と千葉大学医学部付属病院が円滑な「遺贈」を後押しすることについて、どう思われましたか?


みのもんたさんが“後妻業の女性”に手切れ金1億5,000万円!

日刊ゲンダイDIGITALによると、みのもんたさん(76)が40歳年下の恋人に東京都港区にある1億5,000万円のマンションを贈与したと発売中の「週刊文春」が報じて話題だそうです。
相手は元銀座の高級クラブのホステス(35)で、7年前からの交際だそうです。

きっかけは彼女が勤めるクラブにみのさんが来店し、数日後に彼女が「お昼ご飯にお弁当を作ったので、よければ食べていただけませんか」と連絡し、「胃袋を掴まれた」のだそうです。
彼女は介護の学校の学費稼ぎのためにホステスに。糖尿病を患うみのさんの体調を気遣った弁当に、介護のプロならではの行き届いた気遣い、しかも27、28歳の美人とあらば、妻に先立たれた独り身の70男がコロリといくのは至極当然でしょう。
そんな“弁当交際”から4年後、彼女はホステスを辞め、介護士のパート仕事と、みのさんの面倒を見る生活にシフトし、みのさんはマンションに彼女を住まわせ、通っていたそうです。

みのさんは2019年末に持病の糖尿病に加え、パーキンソン病を発症し、これを機に、2020年3月に「秘密のケンミンSHOW」(読売テレビ系)を降板しました。
2020年12月には自身が経営するニッコクも社長を退く予定で、資産50億円を持つといわれるみのさんは終活状態です。
そんな中、先日、彼女に住まわせていた1億5,000万円のマンションの登記が、みのさんの会社であるニッコクから、みのさん個人、さらに、彼女に贈与移転しています。
同誌によると、彼女が再婚を望むも、子供たちに反対され“手切れ金”としてマンションを贈与したそうです。

家族問題評論家の池内ひろ美氏がこう言っています。
「一般的に女性が多額の資産を受け取ったとき、男性から離れていく可能性は高い。35歳の女性なら、後妻に入って“将来受け取ることができる資産”に関心は薄いでしょう。それより、結婚、出産、今まで積み上げたキャリアを生かした事業など、もうひと頑張りしたい時。むしろ2人の関係が公になったことで、次のステップに進むべく、結論を出したいと思っているのでは」

みのさんの会社に問い合わせると「彼女は友達。マンションの件は『ご想像におまかせします』とのことです」(担当者)とのことで、現在は鎌倉の家から出ず、隠遁生活しているそうです。

手切れに1億5,000万円という、夜の帝王に武勇伝がまたひとつ刻まれました。

個人的には、事実であるならば、手切れ金で1億5,000万円はすごいなぁと感じる一方、職業柄、贈与税はどうするのだろうか?(贈与税の申告・納税の期限は2021年3月15日までですので、まだです。)、贈与税も考慮のうえ、現預金も贈与したのだろうか?と下世話なことを考えてします(笑)。
また、マンションは元々、法人名義だったようですが、税務上、どう扱っていたのだろうか?と気になります。

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甘利氏が「資産移転公平に」と相続税と贈与税の一体化に意欲!

自民党税制調査会は、先日、幹部会合を党本部で開きました。
甘利明税調会長は終了後、記者団に「相続税と贈与税に関し、海外ではいつ資産を移転しても公平で公正な制度がある」と述べ、二つの税の一体化に向けた見直しに意欲を示ましした。

日本では相続税と贈与税を原則として別々に適用しており、贈与税は「暦年課税」が中心で、生前贈与と死後の相続では税負担額が大きく変わります。
一方、欧米主要国では二つの税を統合して累積額に一体的に課税しており、資産移転の時期によって税負担が左右されにくい利点があります。
甘利氏は「国際標準に極力沿う形にしていきたい」と表明しました。

先日の与党税調総会から作業が本格化した令和3年度税制改正で議論する方針です。
ただし、相続税と贈与税については、政府税制調査会(首相の諮問機関)でも集中的に議論する専門家会合を年明けに設置するようです。
政府税制調査会の議論を待つべきだとの声もあり、結論を出せるかどうかは不透明のようです。

そもそも、日本でも、贈与税法というものは存在せず、相続税法の中に規定されており、昔から『贈与税は相続税の補完税』と言われています。
違いがあるからこそ、僕ら税理士にとっては相続税対策の提案などができたわけなので、どう改正されるかをきちんとウォッチしたいです。
令和3年度の税制改正大綱は、2020年12月10日に出るようですね。
場合によっては、相続税対策というものがガラッと変わるかもしれませんし、過去に相続税対策としてやったものが効果がなくなったり、減少したりするかもしれません。

甘利氏が「資産移転公平に」と相続税と贈与税の一体化に意欲を示したことについて、どう思われましたか?


樹木希林さんも実践した「孫への贈与」が相続対策として注目を集める!

女性セブンによると、新型コロナウイルスの影響で、相続対策について考え始める高齢者が増えているそうです。

「志村けんさんや岡江久美子さんが感染し急逝されたことで、自分にも“もしものことがあったら”と考える人が増え、相談に来るケースも増えています」と話すのは相続対策を行う夢相続代表の曽根恵子さんです。
一般的に相続対策とは相続税の節税を指すことが多いようです。
「うちは相続税がかかるほどの財産はない」と思っている人も少なくないでしょうが、2015年の民法改正で相続税の基礎控除額が大幅に変更され、相続税を支払う人は、2019年には全国で約12人に1人、東京都では約6人に1人まで、拡大しているのです。

「東京だけでなく、横浜や名古屋、大阪、京都、神戸、さらには福岡などの大都市圏に住んでいる人は油断禁物です。不動産や一定の金融資産を抱えていれば、相続税が発生する可能性があります。早めに対策をしておくことをおすすめします」(曽根さん・以下同)

相続といえば、被相続人が亡くなってから発生するものですが、それでは遅いのです。
亡くなる前に相続対策を取るか取らないかで、支払う税額に大きな差がつくからです。

なかでも注目したいのが、「孫への贈与」です。
実は2年前に亡くなった樹木希林さん(享年75)も孫への“贈与”を実践していた1人なのです。
樹木さんは合計10億円以上ともいわれる不動産を所有していたようですが、生前、「私が死んでも、夫に遺産は残さない」と宣言していました。
残された不動産はこの宣言どおり、娘の也哉子さん(44才)や娘婿の本木雅弘(54才)の名義に書き換えられましたが、所有していた不動産の1つは、樹木さんが存命のうちに孫の伽羅(21才)の所有になっていたようです。

「日本人全体の平均寿命が伸びたことで、遺産を相続する人が65才以上の高齢者というケースが増えています。これだと相続税を払って相続したものの、10年後にその人も亡くなり、再びその子が相続する際に相続税を払うという問題も現実的に起こっています。そこで一世代抜かして、孫に生前贈与する“相続対策”が注目されているのです。また、消費活動の盛んな孫世代に遺産が引き継がれるよう、孫への贈与が“お得”になる制度を国が用意しているんです」

配偶者と子供は民法で定められた相続人(法定相続人)となりますが、孫は含まれません。
そのため、さまざまな“抜け道”があります。
「孫相続」の賢いやり方を具体的に見ていきましょう。

生きている間に子供や孫に財産を渡すと、通常は贈与税が発生します。
しかしながら、年間110万円以内(基礎控除)なら非課税となります。
この仕組みを活用するのが「暦年贈与」で、親子より祖父母と孫で行うと、メリットが大きくなります。

暦年贈与は親子間でも可能ですが、子は法定相続人にあたるため、相続時に過去3年以内に行われた贈与はなかったものとされ、相続税がかかります。
ところが、(代襲相続人を除く)孫は法定相続人にあたらないため、過去にさかのぼって課税対象とならないのです。
「孫が10人いてもそれぞれ110万円まで非課税で渡せます。贈与したお金の使用用途に制限はありません。何年でも繰り返し暦年贈与を行うことができます」

ただし、毎年、定期的に同額を贈与するのはNGです。
「『連年贈与(定期贈与)』とみなされ、基礎控除が初年分しか適用されなくなる可能性があります。贈与する月を不定期にし、金額も1年目は100万円、2年目は90万円にするなど計画的な贈与にしない工夫が必要です。
ほかにも注意点があります。贈与を受ける孫が自分名義の口座を持ち、自分で管理することです。孫が未成年で自分で管理できない場合は、贈与する側の祖父母ではなく親が管理しましょう」

個人的には、早くから長期に渡って行う暦年贈与は非常的に簡単で効果的だと思っています。
しかしながら、この記事に疑問もあります。
『ただし、毎年、定期的に同額を贈与するのはNGです。』というのは、違うのではないかと思います。
『連年贈与』というのは、例えば、1,000万円を10年間で贈与する(1年当たりは100万円)という贈与契約がある場合に生じるものなので、そのような契約書を作る方はほとんどいないと思われるからです。
毎年、贈与契約書を作成し、実際にあげる方ともらう方の贈与の意思があれば、同じ日に同じ金額を贈与しても連年贈与と認定されることはないと考えています。

樹木希林さんも実践した「孫への贈与」が相続対策として注目を集めていることについて、どう思われましたか?


日本郵便のかんぽ不適正販売の「社員大量処分」の杜撰すぎる実態!

東洋経済によると、9月10日、全国の郵便局にある“指示”が出たようです。
タイトルは、「金融商品の販売時における税制の説明等の対応」です。
指示を出したのは、日本郵便本社の保険販売に関連する3人の部長です。
添付資料の「不適正なケースの具体例」を見て、かんぽ生命保険の契約を媒介してきた日本郵便の社員は思わずのけぞったそうです。
そこに書いてある具体例の多くが、かんぽや日本郵便の本社・支社が最近まで正しいとしてきた話法そのものだったからです。

●「相続税が下げられる節税プランをすすめます」は相続税対策ニーズを喚起している
●「相続税を減らせる」は税制の専門的な内容を断定している
●「相続税対策に保険を利用している人が多い」はニーズがない人に提案している
●「無対策で相続税が多くかかった人がいる」は第三者話法を使ってニーズ喚起している
として、不適正だとされました。

2018年4月付の研修用資料で、「生前贈与を含む生命保険を活用した相続対策提案」というものがあるようです。
冒頭の指示にある「不適正なケースの具体例」に照らせば、2年半前の多くの話法が不適正だったということになります。

「高齢のお客様にアプローチするときに、相続対策としてABA契約をテキストに掲載していた。契約者(子ども・A)、孫(被保険者・B)、契約者(受取人である子ども・A)の関係になる。相続税を大幅に下げる効果はなく、相続対策として有効ではない」。
これは2020年1月23日、北海道支社での社員との対話集会「第3回フロントライン・セッション」での日本郵便の長谷川篤執行役員の発言です。
本社の改革推進部は、「当日、孫と説明しましたが、テキスト上の記載は配偶者(相続人)でした」と当日の議事録「やり取り模様」に注意書きをしています。

しかしながら、東洋経済が入手した「テキスト」、すなわち社外秘の研修資料「かんぽで早めの相続準備」には、「孫」と明記されているようです。
同資料はかんぽが作成し、毎年最新版に更新してきたものです。
資料をめくると「暦年贈与を使って財産承継することも可能です!」と書いたページがあります。
「暦年贈与」とは毎年一定額を生前に贈与することです。
きちんと手続きを踏めば、年間110万円までは基礎控除となります。
そのページには、相続人である子どもが契約者(A)、孫が被契約者(B)、満期保険金の受取人は子ども(A)とする例が書いてあります。
保険料を実際に払うのは子どもの親であり、孫の祖父母に当たる高齢者です。

この事例は2018年版にも2019年版にも書いてあるようです。
保険料が年110万円を超えると生前贈与と見なされない。
単なる贈与と見なされ、節税メリットはない。
年110万円を超えなくても、贈与契約書を親子で取り交わしておかないと、生前贈与にはならない。

日本郵便は東洋経済の質問状に対して、「過去の研修資料にお客さま本位とは言えない表現が含まれていたことは事実。今後は真のお客さま本位の営業スタイルを募集人全体に浸透させていきたい」「管理者を含む関係者にも厳正に処分を実施しているが今後、不適正募集に直接的に影響した事実が判明した場合は、引き続き厳正に対処する」と回答したようです。

この記事では、赤字のことが書いてありますが、生前贈与というのは法律用語ではなく、俗語であり、遺贈とか死因贈与と区別するために使われることばだと思いますので、110万円を境に生前贈与か贈与かが変わるものではありませんので、記事を書いた方も分からずに書いていますね。
別に110万円を超えても、110万円を超える部分に対して贈与税がかかるだけであり、110万円部分には課税されませんので、この部分に関しては節税効果は当然ありますよね。
まぁ、相続とか贈与のことがよく分からず販売していた方もおられると思いますので、かんぽだから安心と思うのではなく、信頼できる方を通じて保険に入ってほしいと思います。

日本郵便のかんぽ不適正販売の「社員大量処分」の杜撰すぎる実態について、どう思われましたか?


祖父母から孫への贈与が非課税になる4つの制度!

週刊ポストによると、3世代にまたがる家族で、資産を“有効活用”するために重要となるのが「贈与」です。
高齢の祖父母が預貯金などの資産を抱えて亡くなると、その総額が基礎控除(3,000万円+法定相続人の数×600万円)を超えた分が、相続税の課税対象となるからです。

2015年に相続税の課税強化が実施されて以降、都内に持ち家がある場合などは対象になることが珍しくないため、あらかじめ子や孫へ贈与しておくことが資産の有効活用(節税)になるでしょう。

とりわけ「祖父母から孫」への贈与では“得する制度”が複数あり、主なものをまとめています。

まずは、ご存知の方が多い、年間110万円までの非課税枠がある暦年贈与です。
山本宏税理士事務所の山本宏税理士によると、「祖父母と孫の関係に限らず使える制度ですが、親子間の場合、贈与から3年以内に親が亡くなると相続財産に戻されて課税対象となってしまいます。これが孫の場合、もともと法定相続人ではないため、基礎控除以内の贈与は非課税のままで済むのです。」

さらに、結婚・子育て、教育資金、住宅取得資金などの用途に限定した一括贈与があります。
いずれも“期間限定”の制度です。
直系尊属からの贈与が要件なので、親子間でも使えますが、年齢差を踏まえると祖父母から孫への贈与が、相続財産の圧縮に使いやすくなっています。

「こちらは非課税枠の金額は大きいが、使い方に注意が必要です。とくに結婚・子育て資金の一括贈与は、祖父母が亡くなった時点で専用口座の資金が使い切れていないと、残りは相続財産に戻さないといけないので、節税メリットは小さい。
一方、教育資金は祖父母が亡くなっても、贈与を受けた孫が30歳になるまでに専用口座の資金を教育目的の使途で使い切れば課税対象にならないので、使い勝手が比較的いいでしょう。また、住宅取得資金は自宅購入時に贈与するので、“使い切れない”という心配はない。タイミングさえ合えば有効に活用しやすい」(山本宏税理士)。

ただし、メリットが大きいぶん、かえって“争続”のタネにもなり得るので注意しなくてはなりません。

「たとえば長男に子供(孫)が3人、次男には1人だった場合、すべての孫に均等に贈与すると、長男の世帯と次男の世帯の間では受け取った額に大きな差が生じ、亡くなった後の遺産分割で揉めごとが生じるリスクがある。あらかじめ贈与、相続でどのような配分をするか、家族で話し合って合意しておくのがよいでしょう」(山本宏税理士)

教育資金の一括贈与は、一時爆発的にヒットしましたが、数年前に改正され、少し使い勝手が悪くなりました。
領収書を提出したり、色々と手間もかかりますので。
ただし、すぐに財産を減らしたいときは有効な方法だとは思います。
税金は知らないと損することが多い(知らなくて損をしていても税務署は教えてくれない)ので、情報収集も必要だと思いますね。

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コロナ対策の生前贈与はかえって危険?

ガシェット通信によると、コロナウイルスの影響で、いつ誰が被害を受けてもおかしくない状況になってきています。
そのせいで今もし自分が死亡したとしても大丈夫なように、予め自分の財産の振り分けを始めている人たちがいるのです。
実はこの情報、やって意味がある人とかえって税負担が増えてしまう人がいるため注意しなければなりません。

相続発生時に相続財産が減っていれば、その分課税される税金は減りますので相続税の節税効果があるように思います。
しかしながら、相続はそんなに甘くありません。
というのも、仮に今から急いで贈与したとしても、3年以内に本人が死亡して相続が発生したら、生前贈与分もすべて相続税の課税対象になるのです。
それゆえ、早く生前贈与したからといって相続税負担を免れるわけではありません。

この話をすると、「それなら贈与税の基礎控除額である年間110万円以下の範囲でだけ贈与すればよいのでは?」と言われる方がいるのですが、残念ながら相続開始前3年以内の贈与財産については、贈与税の基礎控除額である110万円以下のものも含めて相続税の課税対象となります。
よって、節税という観点からすると慌てて今から生前贈与する行為にはあまり意味がありません。

自分の死後の相続に不安を感じているのであれば、慌てて贈与するよりも遺言書を書く方がおすすめです。
特にコロナウイルスは容体が急変してお亡くなりになるケースもあるようなので、もしものことを考えると元気なうちに書いておくことがとても重要になります。
遺言書に希望する遺産配分を記載しておけば、相続発生後のもめごとを防ぐことができます。
特に重要なのが、法定相続人以外への「遺贈」です。
遺言書がなくても法定相続人であれば財産を相続できますが、それ以外の人に遺産を残したいと思ったら必ず遺言書を書かないと取得させることができません。

このケースに特に当てはまるのが、「内縁関係」の方たちです。
内縁関係では婚姻関係は成立していないので、万が一どちらかが死亡しても一切遺産を相続することができません。
相続人として本人の父母や兄弟姉妹が出てくると、最悪の場合住む家を失う可能性もありえます。
このようなケースを回避するためには、遺言書によって一定の財産を遺贈するよう記載するか、亡くなる前に婚姻届を提出する必要があります。

遺言書は法的な効力のある書類ですが、実は家の中にあるものだけを使って作成することが可能で、専用の用紙などは必要ありません。
用意するものは以下3つだけです。
・紙(なんでもいい、便箋なども可能)
・ボールペン
・実印

印鑑は実印である必要はありませんが、信憑性を高めるためにも実印で捺印することをおすすめします。
これらを準備した上で、以下の事項を満たしていれば遺言書は有効に成立します。
・作成した日
・署名捺印
・一部を除いて直筆
このようにして作成した遺言書のことを「自筆証書遺言」といいます。

相続税の節税という意味ではそこまで効果がない駆け込み贈与ですが、遺産分割という角度から見た場合に生前贈与が有効といえるケースもあります。
それは経営者の方です。
オーナー社長の場合、自社の株式の100%を自分で保有しています。
万が一死亡した場合は、株式が配偶者や子供たちに相続されるわけですが、一箇所に集約していた株式が分散してしまうと、会社の意思決定機能に支障が出ることがあるのです。
このようなケースでは、後継者と決めている子供にあらかじめ株式を贈与しておいたほうが、会社の経営体制を守れる可能性があります。

コロナウイルスの早期収束を願うばかりですが、もしもの時の対策をとることもとても大切です。
ただ、闇雲に動いてもかえってマイナスになってしまうので、各ご家庭にあった対策を考えることを心がけましょう。

この記事では110万円以下の贈与も3年以内のものであれば、相続財産に足されるようなことが書いていますが、必ずしも正しくありません。
足されるのは、基本的に、法定相続人だけなのです。
それゆえ、法定相続人ではないお孫さんやお子さんの配偶者への贈与は3年以内であっても足し戻されることはありませんので、相続税対策としては比較的容易で有効な方法です。
あとは、個人的には、紛失や改ざんのおそれがあり、要件を充たしておらず無効となる可能性のある『自筆証書遺言』よりは、多少費用はかかりますが『公正証書遺言』をお勧めします。

コロナ対策の生前贈与はかえって危険?について、どう思われましたか?


皇位の証しである「三種の神器」の贈与税は非課税に!

 皇位の証しとして歴代天皇に受け継がれてきた「三種の神器」などは、皇室経済法で定められた「皇位とともに伝わるべき由緒ある物」とされており、相続税の課税対象外になっているのです。
退位による生前贈与はこれまで想定されていなかったため、新たに設けられた皇室典範特例法の規定で、今回の皇位継承に限って贈与税を非課税とする措置がとられました。

宮内庁は、約600件を「由緒ある物」に指定しています。
三種の神器以外に、宮中祭祀(さいし)が行われる皇居・宮中三殿や歴代天皇の直筆の書などが含まれています。

2019年5月1日午前0時から新天皇陛下の持ち物となったのです。

今回、平成から令和になりましたが、テレビなどを見ていると、日本人として、やはり天皇は日本の象徴であり、必要であることを改めて感じました。
1年半ほど前に、大学院での授業の中で、「皇位とともに伝わるべき由緒ある物」は相続税の課税対象外なんですねということをおっしゃっていた生徒さんがいたので、相続税が非課税ということは知っていたのですが、当時調べると、贈与税は規定はないんだなぁと思った記憶があります。
ノーベル経済学賞の賞金だけが所得税が非課税になっていないのと同じような感じですね。
反対する方もおられるでしょうが、やはり天皇の存在は日本にとって欠かせないと思いますので、贈与税の非課税措置は当然かなと思いました。

元号が変わると諸々のコストが発生する企業や省庁などはあるかもしれませんが、それを避けたいのであれば西暦を使えば良いと思いますし、日常生活の中で、元号を使うのか西暦を使うのかという問題は、別個で考えれば良いと思います。

皇位の証しである「三種の神器」の贈与税は非課税であることについて、どう思われましたか?


東京国税局がオーストラリア当局と協力して滞納贈与税8億円を徴収!

 日本国内で贈与税を滞納していたオーストラリア人男性について、東京国税局がオーストラリアの税務当局に税金の徴収共助を要請し、男性の預金から延滞税を含む約8億円を徴収したことが、先日、関係者への取材で分かったようです。
オーストラリアの税務当局が男性の預金を差し押さえました。
日本の国税当局が租税条約に基づく徴収共助を要請した例は11件あるようですが、億単位の徴収は初めてで過去最高額となりました。

関係者によると、オーストラリア人男性は数年前、日本在住の親から数十億円の贈与を受けました。
しかしながら、男性は贈与税を納付せず、国税局の再三の催促に対しても拒否し、国税局は日本国内の男性の預金を差し押さえて一部を徴収しましたが、約8億円が未納となっていたため、国税庁を通じオーストラリアの税務当局に徴収共助を要請していました。

国をまたぐ個人や法人の資金の動きを探る場合、国税庁は租税条約に基づき海外の税務当局と情報交換できます。
滞納者の税徴収については、現在53の国・地域の税務当局に要請できます。

タックスヘイブン(租税回避地)での節税実態を暴いたパナマ文書問題では、各国の税務当局がグローバル経済に対応できていない実態が浮き彫りになっただけに、国税庁は海外に多額の資産を持つ富裕層の税逃れ対策を強化しています。
今回のケースのように、海外の税務当局との連携を深めているようです。

良いニュースですね。
悪質なものに対しては、厳格に対応してほしいです。
おそらく、表に出てきていないこのような滞納案件が結構あり、回収できていないものがそれなりにあるのではないかと思います。
こういうニュースが出れば、抑制になると思いますので、少なからず、滞留発生が減り、回収率も上がるでしょうね。

東京国税局がオーストラリア当局と協力して滞納贈与税8億円を徴収したことについて、どう思われましたか?