一般試験研究費の額に係る税額控除制度
「一般試験研究費の額に係る税額控除制度」は、各事業年度において、試験研究費の額がある場合に、その試験研究費の額に一定割合を乗じて計算した金額を、その事業年度の法人税額から控除することを認めるものです。
(注)この制度は、コード5444「中小企業技術基盤強化税制」との重複適用は認められません。
<試験研究費の額>
この制度の対象となる試験研究費の額とは、次の1および2に掲げる金額の合計額(その金額に係る費用に充てるため他の者から支払を受ける金額がある場合には、その金額を控除した金額となります。)(※)をいいます。
(※)令和7年4月1日以後に開始する事業年度にあっては、その法人が内国法人である場合のその法人の国外事業所等を通じて行う事業に係る費用の額は除かれます。
- 次に掲げる費用の額(売上原価等の原価の額を除きます。)で各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されるもの
(1)製品の製造または技術の改良、考案もしくは発明に係る試験研究(新たな知見を得るためまたは利用可能な知見の新たな応用を考案するために行うものに限ります。)のために要する費用(研究開発費として損金経理をした金額のうち、下記2の固定資産または繰延資産の償却費、除却による損失および譲渡による損失を除きます。)で次に掲げるものイ.その試験研究を行うために要する原材料費、人件費(専門的知識をもってその試験研究の業務に専ら従事する者に係るものに限ります。)および経費
ロ.他の者に委託をして試験研究を行う法人(人格のない社団等を含みます。)のその試験研究のためにその委託を受けた者に対して支払う費用
ハ.技術研究組合法第9条第1項の規定により賦課される費用
(2)対価を得て提供する新たな役務の開発に係る試験研究(以下「新サービス研究」といいます。)として次に掲げるもののすべてが行われる場合のその試験研究(その役務の開発を目的として、次のイ(イ)の方法によって情報を収集し、または次のイ(ロ)の情報を取得する場合には、その収集または取得を含みます。)のために要する一定の費用(注)
イ.次に掲げる情報について、一定の法則を発見するために、情報解析専門家(※)により専ら情報の解析を行う機能を有するソフトウェア(これに準ずるソフトウェアを含みます。)を用いて行われる分析
(イ) |
大量の情報を収集する機能を有し、その機能の全部または主要な部分が自動化されている機器または技術を用いる方法によって収集された情報 |
(ロ) |
(イ)に掲げるもののほか、その法人が有する情報で、その法則の発見が十分見込まれる量のもの |
(※)情報解析専門家とは、上記の情報の解析に必要な確率論および統計学に関する知識ならびに情報処理に関して必要な知識を有すると認められる者をいいます。
ロ.上記イの分析により発見された法則を利用した新サービスの設計
ハ.その発見された法則が予測と結果の一致度が高い等妥当であると認められるものであることおよびその発見された法則を利用した新サービスがその目的に照らして適当であると認められるものであることの確認
(注)上記の「一定の費用」とは、次の費用をいいます。
① |
その試験研究を行うために要する原材料費、人件費(情報解析専門家でその試験研究の業務に専ら従事する者に係るものに限ります。)および経費(外注費にあっては、これらの原材料費および人件費に相当する部分ならびにその試験研究を行うために要する経費に相当する部分(外注費に相当する部分を除きます。)に限ります。) |
② |
他の者に委託をして試験研究を行うその法人のその試験研究のためにその委託を受けた者に対して支払う費用(上記①の原材料費、人件費および経費に相当する部分に限ります。) |
- 上記1(1)または(2)に掲げる費用の額で各事業年度において研究開発費として損金経理をした金額のうち、棚卸資産もしくは固定資産(事業の用に供する時において試験研究の用に供する固定資産を除きます。)の取得に要した金額とされるべき費用の額または繰延資産(試験研究のために支出した費用に係る繰延資産を除きます。)となる費用の額
<税額控除限度額>
- 税額控除限度額
税額控除限度額は、試験研究費の額に次の区分に応じそれぞれ次により計算した税額控除割合(小数点以下3位未満切捨て)を乗じて計算した金額となります。
(1)試験研究費割合が10パーセント以下の場合
イ.増減試験研究費割合が12パーセントを超える場合(ハに掲げる場合を除きます。)
税額控除割合(14%を上限)=11.5%+{(増減試験研究費割合-12%)×0.375}
ロ.増減試験研究費割合が12パーセント以下である場合(ハに掲げる場合を除きます。)
税額控除割合(1%を下限)=11.5%-{(12%-増減試験研究費割合)×0.25}
ハ.設立事業年度である場合または比較試験研究費の額が0である場合
税額控除割合=8.5%
(2)試験研究費割合が10パーセントを超える場合
税額控除割合(上限14%)=(上記(1)イ、ロまたはハの割合)+{(上記(1)イ、ロまたはハの割合)×控除割増率(※)}
(※)控除割増率(上限10%)=(試験研究費割合-10%)×0.5
- 税額控除上限額
上記1の税額控除限度額がその事業年度の調整前法人税額の25パーセントに相当する金額を超える場合には、その25パーセントに相当する金額が税額控除の上限額となります。
ただし、その事業年度が次に掲げる事業年度に該当する場合には、それぞれ次の金額を加算した金額となります。
なお、下記の(1)と(2)は重複適用できます。
(1)研究開発を行う一定のベンチャー企業に該当する事業年度
上乗せ額=調整前法人税額×15%
(2)試験研究費割合が10パーセントを超える事業年度
上乗せ額=調整前法人税額×{(試験研究費割合-10%)×2}(※)
(※){(試験研究費割合-10%)×2}は10パーセントを上限
さらに、その事業年度が次に掲げる事業年度に該当する場合には、それぞれ次の金額を加算または減算した金額となります。
なお、試験研究費割合が10パーセントを超える事業年度の場合は、上記の(2)と下記の(3)のうち、税額控除上限額の大きくなる方を適用します。
(3)増減試験研究費割合が4パーセントを超える事業年度
加算額=調整前法人税額×{(増減試験研究費割合-4%)×0.625} (※)
(※) {(増減試験研究費割合-4%)×0.625}は5パーセントを上限
(4) 増減試験研究費割合がマイナス4パーセントを下回る事業年度(上記(2)の事業年度を除きます。)
減算額=調整前法人税額×{(増減試験研究費割合の絶対値-4%)×0.625} (※)
(※) {(増減試験研究費割合の絶対値-4%)×0.625}は5パーセントを上限
【対象者または対象物】
この制度の適用対象法人は、青色申告書を提出する法人(人格のない社団等を含みます。)です。
【対象期間】
<適用の対象となる期間(年度)>
この制度の適用対象事業年度は、次に掲げる事業年度以外の事業年度です。
- 解散(合併による解散を除きます。)の日を含む事業年度
- 清算中の各事業年度
【手続き】
この制度の適用を受けるためには、控除の対象となる試験研究費の額および控除を受ける金額を確定申告書等に記載するとともに、その金額の計算に関する明細書を添付して申告する必要があります。
【注意事項】
- 特定の税額控除の規定(注1)は、中小企業者(注2)または農業協同組合等以外の法人が、平成30年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する各事業年度(以下「対象年度」といいます。)において次の(1)から(3)までに掲げる要件のいずれにも該当しない場合には、適用できません。
(1)継続雇用者給与等支給額(注3) > 継続雇用者比較給与等支給額(注4)
ただし、その対象年度終了の時において、資本金の額または出資金の額が10億円以上、かつ、常時使用する従業員の数が1,000人以上である場合またはその対象年度終了の時において常時使用する従業員の数が2,000人を超える場合(※)で、その対象年度が設立事業年度もしくは合併等事業年度(注5)に該当する法人またはその対象年度が設立事業年度および合併等事業年度(注5)のいずれにも該当しない場合の前事業年度が黒字の法人は、次の要件も満たす必要があります。
※令和6年4月1日前開始事業年度においては、対象となる法人は「その対象年度終了の時において、資本金の額または出資金の額が10億円以上、かつ、常時使用する従業員の数が1,000人以上である場合」となります。
(継続雇用者給与等支給額-継続雇用者比較給与等支給額)/継続雇用者比較給与等支給額≧1%
(2)国内設備投資額(注6) > 当期償却費総額 (注7) × 30%(上記(1)のただし書きの法人は、40%)
(3)その対象年度の所得金額 ≦ 前事業年度の所得金額(※)
(※)(3)の要件は、その対象年度が設立事業年度および合併等事業年度(注5)のいずれにも該当しない場合にのみ判定します。
- 減価償却資産の取得価額または繰延資産の額のうちに試験研究費の額が含まれる場合において、その試験研究費の額について本制度による税額控除の適用を受けたときは、その減価償却資産または繰延資産については、他の制度による特別償却または他の制度による税額控除の規定の重複適用は認められません。
(注1)特定の税額控除の規定とは、次に掲げる規定をいいます。
- 試験研究を行った場合の法人税額の特別控除(措法42の4①⑦)
- 地域経済牽引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の法人税額の特別控除(措法42の11の2②)
- 認定特定高度情報通信技術活用設備を取得した場合の法人税額の特別控除(措法42の12の6②)
- 事業適応設備を取得した場合等の法人税額の特別控除(措法42の12の7④~⑥)
(注2)中小企業者とは、次の1および2に掲げる法人をいいます。ただし、中小企業者のうち適用除外事業者(その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得金額の年平均額が15億円を超える法人等をいいます。)または通算制度における適用除外事業者(※1)に該当するものは除かれます。
- 資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人のうち次の(1)から(3)までに掲げる法人以外の法人(受託法人を除きます。)
(1) |
その発行済株式または出資(その有する自己の株式または出資を除きます。以下同じです。)の総数または総額の2分の1以上を同一の大規模法人(※2)に所有されている法人 |
(2) |
上記(1)のほか、その発行済株式または出資の総数または総額の3分の2以上を複数の大規模法人(※2)に所有されている法人 |
(3) |
他の通算法人のうちいずれかの法人が次のイまたはロに掲げる法人に該当せず、または受託法人に該当する場合における通算法人
イ.資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人のうち上記(1)および(2)に掲げる法人以外の法人
ロ.資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人 |
- 資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人(受託法人およびその法人が通算親法人である場合における上記1(3)に掲げる法人を除きます。)
(※1)通算制度における適用除外事業者の詳細については、「グループ通算制度に関するQ&A」問83「通算制度における適用除外事業者の取扱いについて」 を参照してください。
(※2)大規模法人とは、次の1から4までに掲げる法人をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます。
- 資本金の額または出資金の額が1億円を超える法人
- 資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人
- 大法人(次の(1)から(3)までに掲げる法人をいいます。以下同じです。)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人
(1) |
資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人 |
(2) |
相互会社および外国相互会社のうち、常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人 |
(3) |
受託法人 |
- 普通法人との間に完全支配関係があるすべての大法人が有する株式(投資口を含みます。)および出資の全部をすべての大法人のうちいずれか一の法人が有するものとみなした場合においてそのいずれか一の法人とその普通法人との間にそのいずれか一の法人による完全支配関係があることとなるときのその普通法人(上記3に掲げる法人を除きます。)
(注3)継続雇用者給与等支給額とは、法人の対象年度および前事業年度の期間内の各月分のその法人の給与等の支給を受けた国内雇用者(雇用保険法の一般被保険者に限られ、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の継続雇用制度の対象者を除くこととされています。
以下「継続雇用者」といいます。)に対するその対象年度の給与等の支給額(その給与等に充てるために他の者から支払を受ける金額(雇用安定助成金額および役務の提供の対価として支払を受ける金額を除きます。以下「補塡額」といいます 。)がある場合には、その補塡額を控除した金額になります。以下同じです。)をいいます。
(注4)継続雇用者比較給与等支給額とは、法人の継続雇用者に対する前事業年度の給与等の支給額をいいます。
(注5)合併等事業年度とは、設立事業年度以外の事業年度で、合併、分割もしくは現物出資(分割または現物出資は事業を移転するものに限ります。以下「合併等」といいます。)に係る合併法人、分割法人もしくは分割承継法人もしくは現物出資法人もしくは被現物出資法人であり、事業の譲渡もしくは譲受け(以下「譲渡等」といいます。)に係るその事業の移転をした法人もしくはその事業の譲受けをした法人であり、または特別の法律に基づく承継に係る被承継法人もしくは承継法人である場合等におけるその合併等の日、その譲渡等の日またはその承継の日等を含む事業年度をいいます。
(注6)国内設備投資額とは、法人が対象年度において取得等をした国内にあるその法人の事業の用に供する法人税法施行令第13条各号に掲げる資産(時の経過によりその価値の減少しないものは除きます。)でその対象年度終了の日において有するものの取得価額の合計額をいいます。
(注7)当期償却費総額とは、法人が有する減価償却資産につき対象年度においてその償却費として損金経理をした金額の合計額をいいます。
★リンクはこちら⇒ 一般試験研究費の額に係る税額控除制度
研究開発税制について(概要)
研究開発税制は、次のとおり、「一般試験研究費の額に係る税額控除制度」、「中小企業技術基盤強化税制」および「特別試験研究費の額に係る税額控除制度」の3つの制度によって構成されています。
なお、「一般試験研究費の額に係る税額控除制度」と「中小企業技術基盤強化税制」は同時に選択することはできません(選択適用)。
各制度の内容については、コード5442「一般試験研究費の額に係る税額控除制度」、コード5443「特別試験研究費の額に係る税額控除制度(オープンイノベーション型)」、またはコード5444「中小企業技術基盤強化税制」をそれぞれ参照してください。
なお、中小企業者(適用除外事業者または通算制度における適用除外事業者に該当するものを除きます。)または農業協同組合等以外の法人が平成30年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する各事業年度において、下記「注意事項」の要件のいずれにも該当しない場合には、「一般試験研究費の額に係る税額控除制度」および「特別試験研究費の額に係る税額控除制度」の適用が受けられません。
※この制度については、経済産業省ホームページに制度概要等が掲載されていますので、詳細はそちらをご参照ください。
<一般試験研究費の額に係る税額控除制度>
この制度は、青色申告書を提出する法人の各事業年度において、試験研究費の額がある場合に、その試験研究費の額に一定割合を乗じて計算した金額を、その事業年度の法人税額から控除することを認めるものです。
<中小企業技術基盤強化税制>
この制度は、中小企業者(適用除外事業者または通算制度における適用除外事業者に該当するものを除きます。)または農業協同組合等である青色申告書を提出する法人の各事業年度において、試験研究費の額がある場合に、上記の「一般試験研究費の額に係る税額控除制度」に代えて適用するときは、その試験研究費の額に一定割合を乗じて計算した金額を、その事業年度の法人税額から控除することを認めるものです。
<特別試験研究費の額に係る税額控除制度(オープンイノベーション型)>
この制度は、青色申告書を提出する法人の各事業年度において特別試験研究費の額がある場合に、上記「一般試験研究費の額に係る税額控除制度」および「中小企業技術基盤強化税制」とは別枠でその特別試験研究費の額の一定割合の金額をその事業年度の法人税額から控除することを認めるものです。
なお、「一般試験研究費の額に係る税額控除制度」または「中小企業技術基盤強化税制」の計算の基礎に含めた試験研究費の額は、特別試験研究費の額に含めないこととなります。
【注意事項】
- 特定の税額控除の規定(注1)は、中小企業者(注2)または農業協同組合等以外の法人が、平成30年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する各事業年度(以下「対象年度」といいます。)において次の(1)から(3)までに掲げる要件のいずれにも該当しない場合には、適用できません。
(1)継続雇用者給与等支給額 (注3) > 継続雇用者比較給与等支給額 (注4) |
ただし、その対象年度終了の時において、資本金の額または出資金の額が10億円以上、かつ、常時使用する従業員の数が1,000人以上である場合またはその対象年度終了の時において常時使用する従業員の数が2,000人を超える場合(※)で、その対象年度が設立事業年度もしくは合併等事業年度(注5)に該当する法人またはその対象年度が設立事業年度および合併等事業年度(注5)のいずれにも該当しない場合の前事業年度が黒字の法人は、次の要件も満たす必要があります。
※令和6年4月1日前開始事業年度においては、対象となる法人は「その対象年度終了の時において、資本金の額または出資金の額が10億円以上、かつ、常時使用する従業員の数が1,000人以上である場合」となります。
(継続雇用者給与等支給額-継続雇用者比較給与等支給額)/継続雇用者比較給与等支給額≧1%
(2)国内設備投資額 (注6) > 当期償却費総額 (注7) × 30%(上記(1)のただし書きの法人は40%) |
(3) その対象年度の所得金額 ≦ 前事業年度の所得金額(※) |
(※)(3)の要件は、その対象年度が設立事業年度および合併等事業年度(注5)のいずれにも該当しない場合にのみ判定します。
- 減価償却資産の取得価額または繰延資産の額のうち試験研究費の額が含まれる場合において、その試験研究費の額について本制度による税額控除の適用を受けたときは、その減価償却資産または繰延資産については、他の制度による特別償却または他の制度による税額控除の規定の重複適用は認められません。
(注1)特定の税額控除の規定とは、次に掲げる規定をいいます。
- 試験研究を行った場合の法人税額の特別控除(措法42の4①⑦)
- 地域経済牽引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の法人税額の特別控除(措法42の11の2②)
- 認定特定高度情報通信技術活用設備を取得した場合の法人税額の特別控除(措法42の12の6②)
- 事業適応設備を取得した場合等の法人税額の特別控除(措法42の12の7④~⑥)
(注2)中小企業者とは、次の1および2に掲げる法人をいいます。ただし、中小企業者のうち適用除外事業者(その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得金額の年平均額が15億円を超える法人等をいいます。)または通算制度における適用除外事業者(※1)に該当するものは除かれます。
- 資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人のうち次の(1)から(3)までに掲げる法人以外の法人(受託法人を除きます。)
(1)その発行済株式または出資(その有する自己の株式または出資を除きます。以下同じです。)の総数または総額の2分の1以上を同一の大規模法人(※2)に所有されている法人
(2)上記(1)のほか、その発行済株式または出資の総数または総額の3分の2以上を複数の大規模法人(※2)に所有されている法人
(3)他の通算法人のうちいずれかの法人が次のイまたはロに掲げる法人に該当せず、または受託法人に該当する場合における通算法人
イ 資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人のうち上記(1)および(2)に掲げる法人以外の法人
ロ 資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人
- 資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人(受託法人およびその法人が通算親法人である場合における上記1(3)に掲げる法人を除きます。)(※1)通算制度における適用除外事業者の詳細については、「グループ通算制度に関するQ&A」問83「通算制度における適用除外事業者の取扱いについて」 を参照してください。(※2)大規模法人とは、次の1から4までに掲げる法人をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます。
1 |
資本金の額または出資金の額が1億円を超える法人 |
2 |
資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人 |
3 |
大法人(次の(1)から(3)までに掲げる法人をいいます。以下同じです。)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人 |
|
(1) |
資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人 |
|
(2) |
相互会社および外国相互会社のうち、常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人 |
|
(3) |
受託法人 |
4 |
普通法人との間に完全支配関係があるすべての大法人が有する株式(投資口を含みます。)および出資の全部をすべての大法人のうちいずれか一の法人が有するものとみなした場合においてそのいずれか一の法人とその普通法人との間にそのいずれか一の法人による完全支配関係があることとなるときのその普通法人(上記3に掲げる法人を除きます。) |
(注3)継続雇用者給与等支給額とは、法人の対象年度および前事業年度の期間内の各月分のその法人の給与等の支給を受けた国内雇用者(雇用保険法の一般被保険者に限られ、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の継続雇用制度の対象者を除くこととされています。以下「継続雇用者」といいます。)に対するその対象年度の給与等の支給額(その給与等に充てるために他の者から支払を受ける金額(雇用安定助成金額および役務の提供の対価として支払を受ける金額を除きます。以下「補塡額」といいます。)がある場合には、その補塡額を控除した金額になります。以下同じです。)をいいます。(注4)継続雇用者比較給与等支給額とは、法人の継続雇用者に対する前事業年度の給与等の支給額をいいます。
(注5)合併等事業年度とは、設立事業年度以外の事業年度で、合併、分割もしくは現物出資(分割又は現物出資は事業を移転するものに限ります。以下「合併等」といいます。)に係る合併法人、分割法人もしくは分割承継法人もしくは現物出資法人もしくは被現物出資法人であり、事業の譲渡もしくは譲受け(以下「譲渡等」といいます。)に係るその事業の移転をした法人もしくはその事業の譲受けをした法人であり、または特別の法律に基づく承継に係る被承継法人もしくは承継法人である場合等におけるその合併等の日、その譲渡等の日またはその承継の日等を含む事業年度をいいます。
(注6)国内設備投資額とは、法人が対象年度において取得等をした国内にあるその法人の事業の用に供する法人税法施行令第13条各号に掲げる資産(時の経過によりその価値の減少しないものは除きます。)でその対象年度終了の日において有するものの取得価額の合計額をいいます。
(注7)当期償却費総額とは、法人が有する減価償却資産につき対象年度においてその償却費として損金経理をした金額の合計額をいいます。
★リンクはこちら⇒ 研究開発税制について(概要)
地域未来投資促進税制(地域経済牽引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)
【概要】
この制度は、青色申告書を提出する法人で承認地域経済牽引事業者であるものが、地域未来投資促進法の施行の日(平成29年7月31日)から令和7年3月31日までの期間(以下「指定期間」といいます。)内に、承認地域経済牽引事業に係る促進区域内においてその承認地域経済牽引事業に係る承認地域経済牽引事業計画に従って特定地域経済牽引事業施設等の新設または増設をする場合において、その新設もしくは増設に係る特定地域経済牽引事業施設等を構成する新品の機械装置、器具備品、建物およびその附属設備ならびに構築物(以下「特定事業用機械等」といいます。)の取得または製作もしくは建設をして、その事業の用に供した場合(貸付けの用に供した場合を除きます。)に、特別償却または税額控除(注1、2)を認めるものです。
(注1)中小企業者(適用除外事業者または通算制度における適用除外事業者に該当するものを除きます。)または農業協同組合等以外の法人が平成30年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する各事業年度において、下記「注意事項」の1の要件のいずれにも該当しない場合には、この税額控除の適用が受けられません。
(注2)所有権移転外リース取引により取得した特定事業用機械等については、特別償却の規定は適用されませんが、税額控除の規定は適用されます。所有権移転外リース取引の内容については、コード5704「所有権移転外リース取引」を参照してください。
【対象者または対象物】
●適用対象法人●
この制度の適用対象法人は、青色申告書を提出する法人で、地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律に規定する承認地域経済牽引事業者です。
●適用対象資産●
この制度の対象となる資産(特定事業用機械等)は、新設もしくは増設に係る特定地域経済牽引事業施設等を構成する機械および装置、器具および備品、建物およびその附属設備ならびに構築物でその製作もしくは建設の後事業の用に供されたことのないものとされています。なお、貸付けの用に供されるものは、対象となりません。
(注)特定地域経済牽引事業施設等とは、承認地域経済牽引事業計画に定められた施設または設備で一の承認地域経済牽引事業計画に定められた施設または設備を構成する減価償却資産の取得価額の合計額が2,000万円以上のものをいいます。
また、一の特定地域経済牽引事業施設等を構成する特定事業用機械等の取得価額の合計額のうち本制度の対象となる金額は80億円が限度とされています。
【対象期間】
●適用の対象となる期間(年度)●
この制度の適用対象事業年度は、指定期間内に特定事業用機械等の取得または製作もしくは建設して承認地域経済牽引事業の用に供した場合におけるその承認地域経済牽引事業の用に供した日を含む事業年度です。
ただし、この事業年度であっても、解散(合併による解散を除きます。)の日を含む事業年度および清算中の各事業年度は除きます。
【計算方法・計算式】
●特別償却限度額●
特別償却限度額は、それぞれ次の算式により計算します。
<特定事業用機械等の取得価額の合計額が80億円以下の場合>
- 機械および装置ならびに器具および備品
(1)平成31年4月1日以後に地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律の承認を受けた法人がその承認地域経済牽引事業(地域の成長発展の基盤強化に著しく資するものとしての基準に適合することについて主務大臣の確認を受けたものに限ります。)の用に供したもの
特別償却限度額=特定事業用機械等の取得価額×50%
(2)上記(1)以外のもの
特別償却限度額=特定事業用機械等の取得価額×40%
- 建物およびその附属設備ならびに構築物
特別償却限度額=特定事業用機械等の取得価額×20%
<特定事業用機械等の取得価額の合計額が80億円を超える場合>
- 機械および装置ならびに器具および備品
(1)平成31年4月1日以後に地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律の承認を受けた法人がその承認地域経済牽引事業(地域の成長発展の基盤強化に著しく資するものとしての基準に適合することについて主務大臣の確認を受けたものに限ります。)の用に供したもの
特別償却限度額=80億円×特定事業用機械等の取得価額/特定事業用機械等の取得価額の合計額×50%
(2)上記(1)以外のもの
特別償却限度額=80億円×特定事業用機械等の取得価額/特定事業用機械等の取得価額の合計額×40%
- 建物およびその附属設備ならびに構築物
特別償却限度額=80億円×特定事業用機械等の取得価額/特定事業用機械等の取得価額の合計額×20%
●税額控除限度額●
税額控除限度額は、次の算式により計算します。
ただし、その税額控除限度額がその事業年度の法人税額の20パーセント相当額を超える場合には、控除を受ける金額は、その20パーセント相当額が上限となります。
<特定事業用機械等の取得価額の合計額が80億円以下の場合>
- 機械および装置ならびに器具および備品
(1)平成31年4月1日以後に地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律の承認を受けた法人がその承認地域経済牽引事業(地域の成長発展の基盤強化に著しく資するものとしての基準に適合することについて主務大臣の確認を受けたものに限ります。)の用に供したもの
税額控除限度額=特定事業用機械等の取得価額×5%
(2)上記(1)のもののうち、その承認地域経済牽引事業が地域の事業者に対して著しい経済的効果を及ぼすものとしての基準に適合することについて主務大臣の確認を受けたものの用に供したもの
税額控除限度額=特定事業用機械等の取得価額×6%
(3)上記(1)および(2)以外のもの
税額控除限度額=特定事業用機械等の取得価額×4%
- 建物およびその附属設備ならびに構築物
税額控除限度額=特定事業用機械等の取得価額×2%
<特定事業用機械等の取得価額の合計額が80億円を超える場合>
- 機械および装置ならびに器具および備品
(1)平成31年4月1日以後に地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律の承認を受けた法人がその承認地域経済牽引事業(地域の成長発展の基盤強化に著しく資するものとしての基準に適合することについて主務大臣の確認を受けたものに限ります。)の用に供したもの
税額控除限度額=80億円×特定事業用機械等の取得価額/特定事業用機械等の取得価額の合計額×5%
(2)上記(1)のもののうち、その承認地域経済牽引事業が地域の事業者に対して著しい経済的効果を及ぼすものとしての基準に適合することについて主務大臣の確認を受けたものの用に供したもの
税額控除限度額=80億円×特定事業用機械等の取得価額/特定事業用機械等の取得価額の合計額×6%
(3)上記(1)および(2)以外のもの
税額控除限度額=80億円×特定事業用機械等の取得価額/特定事業用機械等の取得価額の合計額×4%
- 建物およびその附属設備ならびに構築物
税額控除限度額=80億円×特定事業用機械等の取得価額/特定事業用機械等の取得価額の合計額×2%
【手続き】
特別償却の適用を受けるためには、確定申告書等に償却限度額の計算に関する明細書を添付して申告する必要があります。
また、税額控除の適用を受けるためには、控除を受ける金額を確定申告書等に記載するとともに、その金額の計算に関する明細書を添付して申告する必要があります。
(注)特別償却の適用を受けることに代えて、特別償却限度額以下の金額を損金経理により特別償却準備金として積み立てることまたはその事業年度の決算確定日までに剰余金の処分により特別償却準備金として積み立てることにより、損金の額に算入することも認められます。
この適用を受けるには、確定申告書等に特別償却準備金として積み立てた金額の損金算入に関する申告の記載をし、その積み立てた金額の計算に関する明細書を添付する必要があります。
【注意事項】
- 特定の税額控除の規定(注1)は、中小企業者(注2)または農業協同組合等以外の法人が、平成30年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する各事業年度(以下「対象年度」といいます。)において次の(1)から(3)までに掲げる要件のいずれにも該当しない場合には、適用できません。
(1)継続雇用者給与等支給額(注3)>継続雇用者比較給与等支給額(注4)
ただし、その対象年度終了の時において、資本金の額または出資金の額が10億円以上、かつ、常時使用する従業員の数が1,000人以上である場合またはその対象年度終了の時において常時使用する従業員の数が2,000人を超える場合(※)で、その対象年度が設立事業年度もしくは合併等事業年度(注5)に該当する法人またはその対象年度が設立事業年度および合併等事業年度(注5)のいずれにも該当しない場合の前事業年度が黒字の法人は、次の要件も満たす必要があります。
※令和6年4月1日前開始事業年度においては、対象となる法人は「その対象年度終了の時において、資本金の額または出資金の額が10億円以上、かつ、常時使用する従業員の数が1,000人以上である場合」となります。
(継続雇用者給与等支給額-継続雇用者比較給与等支給額)/継続雇用者比較給与等支給額≧1パーセント
(2)国内設備投資額 (注6)>当期償却費総額 (注7)× 30パーセント(上記(1)のただし書きの法人は、40パーセント)
(3)その対象年度の所得金額≦前事業年度の所得金額(※)
(※)(3)の要件は、その対象年度が設立事業年度および合併等事業年度(注5)のいずれにも該当しない場合にのみ判定します。
- 一の資産についてこの制度による特別償却と税額控除との重複適用は認められません。
- 本制度による特別償却または税額控除の適用を受ける資産は、租税特別措置法上の圧縮記帳、他の制度による特別償却または他の制度による税額控除の規定の重複適用は認められません。
(注1)特定の税額控除の規定とは、次に掲げる規定をいいます。
- 試験研究を行った場合の法人税額の特別控除(措法42の4①⑦)
- 地域経済牽引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の法人税額の特別控除(措法42の11の2②)
- 認定特定高度情報通信技術活用設備を取得した場合の法人税額の特別控除(措法42の12の6②)
- 事業適応設備を取得した場合等の法人税額の特別控除(措法42の12の7④~⑥)
(注2) 中小企業者とは、次の1および2に掲げる法人をいいます。
ただし、中小企業者のうち適用除外事業者(その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得金額の年平均額が15億円を超える法人等をいいます。)または通算制度における適用除外事業者(※1)に該当するものは除かれます。
- 資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人のうち次の(1)から(3)までに掲げる法人以外の法人(受託法人を除きます。)
(1)その発行済株式または出資(その有する自己の株式または出資を除きます。以下同じです。)の総数または総額の2分の1以上を同一の大規模法人(※2)に所有されている法人
(2)上記(1)のほか、その発行済株式または出資の総数または総額の3分の2以上を複数の大規模法人(※2)に所有されている法人
(3)他の通算法人のうちいずれかの法人が次のイまたはロに掲げる法人に該当せず、または受託法人に該当する場合における通算法人
イ.資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人のうち上記(1)および(2)に掲げる法人以外の法人
ロ.資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人
- 資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人(受託法人およびその法人が通算親法人である場合における上記1(3)に掲げる法人を除きます。)
(※1)通算制度における適用除外事業者の詳細については、「グループ通算制度に関するQ&A」問83「通算制度における適用除外事業者の取扱いについて」 を参照してください。
(※2)大規模法人とは、次の1から4までに掲げる法人をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます。
- 資本金の額または出資金の額が1億円を超える法人
- 資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人
- 大法人(次の(1)から(3)までに掲げる法人をいいます。以下同じです。)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人
(1)資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人
(2)相互会社および外国相互会社のうち、常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人
(3)受託法人
- 普通法人との間に完全支配関係があるすべての大法人が有する株式(投資口を含みます。)および出資の全部をすべての大法人のうちいずれか一の法人が有するものとみなした場合においてそのいずれか一の法人とその普通法人との間にそのいずれか一の法人による完全支配関係があることとなるときのその普通法人(上記3に掲げる法人を除きます。)
(注3)継続雇用者給与等支給額とは、法人の対象年度および前事業年度の期間内の各月分のその法人の給与等の支給を受けた国内雇用者(雇用保険法の一般被保険者に限られ、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の継続雇用制度の対象者を除くこととされています。以下「継続雇用者」といいます。)に対するその対象年度の給与等の支給額(その給与等に充てるために他の者から支払を受ける金額(雇用安定助成金額および役務の提供の対価として支払を受ける金額を除きます。以下「補塡額」といいます。)がある場合には、その補塡額を控除した金額になります。以下同じです。)をいいます。
(注4)継続雇用者比較給与等支給額とは、法人の継続雇用者に対する前事業年度の給与等の支給額をいいます。
(注5)合併等事業年度とは、設立事業年度以外の事業年度で、合併、分割もしくは現物出資(分割又は現物出資は事業を移転するものに限ります。以下「合併等」といいます。)に係る合併法人、分割法人もしくは分割承継法人もしくは現物出資法人もしくは被現物出資法人であり、事業の譲渡もしくは譲受け(以下「譲渡等」といいます。)に係るその事業の移転をした法人もしくはその事業の譲受けをした法人であり、または特別の法律に基づく承継に係る被承継法人もしくは承継法人である場合等におけるその合併等の日、その譲渡等の日またはその承継の日等を含む事業年度をいいます。
(注6)国内設備投資額とは、法人が対象年度において取得等をした国内にあるその法人の事業の用に供する法人税法施行令第13条各号に掲げる資産(時の経過によりその価値の減少しないものは除きます。)でその対象年度終了の日において有するものの取得価額の合計額をいいます。
(注7)当期償却費総額とは、法人が有する減価償却資産につき対象年度においてその償却費として損金経理をした金額の合計額をいいます。
★リンクはこちら⇒ 地域未来投資促進税制(地域経済牽引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)
中小企業経営強化税制(中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除)
【概要】
この制度は、青色申告書を提出する中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けた一定の中小企業者などが平成29年4月1日から令和7年3月31日までの期間(以下「指定期間」といいます。)内に、新品の特定経営力向上設備等の取得または製作もしくは建設をして、国内にあるその法人の指定事業の用に供した場合に、その指定事業の用に供した日を含む事業年度において、特別償却または税額控除を認めるものです。
(注)所有権移転外リース取引により取得した特定経営力向上設備等については、特別償却の規定は適用されませんが、税額控除の規定は適用されます。
所有権移転外リース取引の内容については、コード5704「所有権移転外リース取引」を参照してください。
※中小企業庁ホームページにおいて、中小企業等経営強化法による経営力向上計画に係る手続き(経営力向上計画策定の手引き、認定事例集、経営力向上計画の申請様式類等)、経営力向上設備等に係る生産性向上要件証明書(工業会等による証明書について)および税制等のパンフレット(税制措置・金融支援活用の手引き)が掲載されていますので、そちらもご参照ください。
<特別償却限度額>
特別償却限度額は、取得価額から普通償却限度額を控除した金額に相当する金額とされ、普通償却限度額と併せその取得価額の全額を償却(即時償却)することができます。
<税額控除限度額>
税額控除限度額は、特定経営力向上設備等の取得価額の7パーセント相当額(特定中小企業者等(注)においては10パーセント)です。
なお、税額控除の控除上限は、この制度における税額控除および「中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度」(措法42の6)における税額控除の合計でその事業年度の調整前法人税額の20パーセント相当額を上限とされています。
(注)「適用対象法人」の中小企業者のうち、資本金の額または出資金の額が3,000万円を超える法人以外の法人または農業協同組合等もしくは商店街振興組合をいいます。
<税額控除限度超過額の繰越し>
税額控除限度額がその事業年度の法人税額の20パーセント相当額を超えるために、その事業年度において税額控除限度額の全部を控除しきれなかった場合には、その控除しきれなかった金額(以下「繰越税額控除限度超過額」といいます。)について1年間の繰越しが認められます。
【対象者または対象物】
<適用対象法人>
この制度の適用対象法人は、中小企業者または農業協同組合等もしくは商店街振興組合で、青色申告書を提出するもののうち、中小企業等経営強化法に規定する経営力向上計画の認定を受けた同法に規定する特定事業者等に該当するものとされています。
中小企業者とは、次の1および2に掲げる法人をいいます。
ただし、中小企業者のうち適用除外事業者(その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得金額の年平均額が15億円を超える法人等をいいます。)または通算制度における適用除外事業者(注1)に該当するものは除かれます。
- 資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人のうち次の(1)から(3)までに掲げる法人以外の法人(受託法人を除きます。)
(1)その発行済株式または出資(その有する自己の株式または出資を除きます。以下同じです。)の総数または総額の2分の1以上を同一の大規模法人(注2)に所有されている法人
(2)上記(1)のほか、その発行済株式または出資の総数または総額の3分の2以上を複数の大規模法人(注2)に所有されている法人
(3)他の通算法人のうちいずれかの法人が次のイおよびロに掲げる法人に該当せず、または受託法人に該当する場合における通算法人
イ 資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人のうち上記(1)および(2)に掲げる法人以外の法人
ロ 資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人
- 資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人(受託法人およびその法人が通算親法人である場合における上記1(3)に掲げる法人を除きます。)
(注1)通算制度における適用除外事業者の詳細については、「グループ通算制度に関するQ&A」問83「通算制度における適用除外事業者の取扱いについて」を参照してください。
(注2)大規模法人とは、次の1から4までに掲げる法人をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます。
- 資本金の額または出資金の額が1億円を超える法人
- 資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人
- 大法人(次の(1)から(3)までに掲げる法人をいいます。以下同じです。)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人
(1)資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人
(2)相互会社および外国相互会社のうち、常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人
(3)受託法人
- 普通法人との間に完全支配関係があるすべての大法人が有する株式(投資口を含みます。)および出資の全部をそのすべての大法人のうちいずれか一の法人が有するものとみなした場合においてそのいずれか一の法人とその普通法人との間にそのいずれか一の法人による完全支配関係があることとなるときのその普通法人(上記3に掲げる法人を除きます。)
<適用対象資産>
この制度の対象となる資産(以下「特定経営力向上設備等(注1)」といいます。)は、その製作の後事業の用に供されたことのない(つまり新品の)生産等設備(注2)を構成する機械および装置、工具、器具および備品、建物附属設備ならびにソフトウェアで、一定の規模以上のもの(注3)とされています。
ただし、貸付けの用に供する資産は、特定経営力向上設備等には該当しません。(注4)
(注1)特定経営力向上設備等とは、中小企業等経営強化法施行規則第16条第2項に規定する経営力向上に著しく資する設備等(生産性向上設備・収益力強化設備・デジタル化設備・経営資源集約化設備)(中小企業等経営強化法第17条第1項に規定する経営力向上計画に記載されたものに限ります。)をいいます。
(注2)生産等設備とは、その法人が行う生産活動、販売活動、役務提供活動その他収益を稼得するために行う活動の用に直接供される減価償却資産で構成されているものをいい、本店、寄宿舎等の建物、事務用器具備品、乗用自動車、福利厚生施設のようなものは該当しません。
(注3)「一定の規模以上のもの」とは、それぞれ次のものをいいます。
- 機械および装置
1台または1基の取得価額が160万円以上のもの
- 工具、器具および備品
1台または1基の取得価額が30万円以上のもの
- 建物附属設備
一の取得価額が60万円以上のもの
- ソフトウェア
一の取得価額が70万円以上のもの(複写して販売するための原本、開発研究用のものまたはサーバー用のオペレーティングシステムのうち一定のものなどは除きます。)
(注4)特定経営力向上設備等からは、コインランドリー業または暗号資産マイニング業(主要な事業であるものを除きます。)の用に供するものでその管理のおおむね全部を他の者に委託するものが除かれています。
<指定事業>
この制度の適用対象となる指定事業は次に掲げる事業です。
製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、採石業、砂利採取業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業にあっては、生活衛生同業組合の組合員が行うものに限ります。)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業、沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、情報通信業、損害保険代理業、不動産業、駐車場業、物品賃貸業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業、映画業、教育、学習支援業、医療、福祉業、協同組合(他に分類されないもの)およびサービス業(他に分類されないもの)
(注)娯楽業(映画業を除きます。)は対象になりません。
また、性風俗関連特殊営業に該当する事業も対象となりません。
【対象期間】
<適用の対象となる期間(年度)>
この制度の適用対象事業年度は、指定期間内に適用対象資産の取得または製作もしくは建設をして指定事業の用に供した場合におけるその指定事業の用に供した日を含む事業年度です。
ただし、この事業年度であっても、解散(合併による解散を除きます。)の日を含む事業年度および清算中の各事業年度は除きます。
【手続き】
特別償却の適用を受けるためには、確定申告書等に償却限度額の計算に関する明細書ならびに経営力向上計画に係る認定申請書の写しおよび経営力向上計画に係る認定書の写しを添付して申告する必要があります。(注)
また、税額控除の適用を受けるためには、控除を受ける金額を確定申告書等に記載するとともに、その金額の計算に関する明細書ならびに経営力向上計画に係る認定申請書の写しおよび経営力向上計画に係る認定書の写しを添付して申告する必要があります。
なお、繰越税額控除限度超過額の繰越控除を受けるためには、繰越税額控除限度超過額が生じた事業年度以後の各事業年度の確定申告書に繰越税額控除限度超過額の明細書を添付し、かつ、繰越税額控除限度超過額の繰越控除を受けようとする事業年度の確定申告書等に繰越控除を受ける金額を記載するとともに、その金額の計算に関する明細書を添付して申告する必要があります。
(注)特別償却の適用を受けることに代えて、特別償却限度額以下の金額を損金経理により特別償却準備金として積み立てることまたはその事業年度の決算確定日までに剰余金の処分により特別償却準備金として積み立てることにより、損金の額に算入することも認められます。
この適用を受けるには、確定申告書等に特別償却準備金として積み立てた金額の損金算入に関する申告の記載をし、その積み立てた金額の計算に関する明細書を添付する必要があります。
【注意事項】
- 一の資産についてこの制度による特別償却と税額控除との重複適用は認められません。
- この制度による特別償却または税額控除の適用を受ける資産は、租税特別措置法上の圧縮記帳、他の制度による特別償却または他の税額控除の規定の重複適用は認められません。
★リンクはこちら⇒ 中小企業経営強化税制(中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除)
中小企業投資促進税制(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)
(概要)
この制度は、青色申告書を提出する中小企業者などが平成10年6月1日から令和7年3月31日までの期間(以下「指定期間」といいます。)内に新品の機械装置などの取得または製作をして、国内にある製造業、建設業などの指定事業の用に供した場合に、その指定事業の用に供した日を含む事業年度において、特別償却または税額控除を認めるものです。
(注)所有権移転外リース取引により賃借人が取得したものとされる資産については、特別償却の規定は適用されませんが、税額控除の規定は適用されます。
所有権移転外リース取引の内容については、コード5704「所有権移転外リース取引」を参照してください。
※中小企業庁ホームページにおいて、中小企業投資促進税制の概要をまとめた資料、Q&Aが掲載されていますので、そちらもご参照ください。
【特別償却限度額】
特別償却限度額は、基準取得価額の30パーセント相当額の特別償却限度額を普通償却限度額に加えた金額です。
基準取得価額とは、船舶についてはその取得価額に75パーセントを乗じた金額をいい、その他の資産についてはその取得価額をいいます(以下同じです。)。
【税額控除限度額】
税額控除限度額は、基準取得価額の7パーセント相当額です。
なお、税額控除の控除上限は、この制度における税額控除および「中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度」(措法42の12の4)における税額控除の合計でその事業年度の調整前法人税額の20パーセント相当額を上限とされています。
【税額控除限度超過額の繰越し】
税額控除限度額がその事業年度の法人税額の20パーセント相当額を超えるために、その事業年度において税額控除限度額の全部を控除しきれなかった場合には、その控除しきれなかった金額(以下「繰越税額控除限度超過額」といいます。)について1年間の繰越しが認められます。
【機械装置等が特定経営力向上設備等に該当する場合】
中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けた中小企業者などが、平成29年4月1日から令和7年3月31日までの期間内に、生産等設備を構成する機械および装置、工具、器具および備品、建物附属設備ならびに特定のソフトウェアで中小企業等経営強化法の経営力向上設備等に該当するもののうち一定の規模のものの取得等をして、国内の対象事業の用に供した場合には、その事業の用に供した事業年度において、即時償却または7パーセント(特定の中小企業者などについては10パーセント)の税額控除ができます。
詳しくはコード5434「中小企業経営強化税制(中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除)」を参照してください。
(対象者または対象物)
【適用対象法人】
この制度の適用対象法人は、青色申告書を提出する法人である次の法人です。
<特別償却>
中小企業者または農業協同組合等もしくは商店街振興組合
中小企業者とは、次の1および2に掲げる法人をいいます。
ただし、中小企業者のうち適用除外事業者(その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得金額の年平均額が15億円を超える法人等をいいます。以下同じです。)または通算制度における適用除外事業者(注1)に該当するものは対象から除かれます。
- 資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人のうち次の(1)から(3)までに掲げる法人以外の法人(受託法人を除きます。)
(1)その発行済株式または出資(その有する自己の株式または出資を除きます。以下同じです。)の総数または総額の2分の1以上を同一の大規模法人(注2)に所有されている法人
(2)上記(1)のほか、その発行済株式または出資の総数または総額の3分の2以上を複数の大規模法人(注2)に所有されている法人
(3)他の通算法人のうちいずれかの法人が次のイおよびロに掲げる法人に該当せず、または受託法人に該当する場合における通算法人
イ.資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人のうち上記(1)および(2)に掲げる法人以外の法人
ロ.資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人
- 資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人(受託法人およびその法人が通算親法人である場合における上記1(3)に掲げる法人を除きます。)
(注1)通算制度における適用除外事業者の詳細については、「グループ通算制度に関するQ&A」問83「通算制度における適用除外事業者の取扱いについて」 を参照してください。
(注2)大規模法人とは、次の1から4までに掲げる法人をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます。
- 資本金の額または出資金の額が1億円を超える法人
- 資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人
- 大法人(次の(1)から(3)までに掲げる法人をいいます。以下同じです。)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人
(1)資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人
(2)相互会社および外国相互会社のうち、常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人
(3)受託法人
- 普通法人との間に完全支配関係があるすべての大法人が有する株式(投資口を含みます。)および出資の全部をそのすべての大法人のうちいずれか一の法人が有するものとみなした場合においてそのいずれか一の法人とその普通法人との間にそのいずれか一の法人による完全支配関係があることとなるときのその普通法人(上記3に掲げる法人を除きます。)
<税額控除>
上記の<特別償却>に掲げる中小企業者(適用除外事業者または通算制度における適用除外事業者(上記<特別償却>(注1))に該当するものを除きます。)のうち資本金の額もしくは出資金の額が3,000万円以下の法人または農業協同組合等もしくは商店街振興組合
【適用対象資産】
この制度の対象となる資産(以下「特定機械装置等」といいます。)は、その製作の後事業の用に供されたことのない(つまり新品の)次に掲げる資産(匿名組合契約その他これに類する一定の契約の目的である事業の用に供するものを除きます。)で、指定期間内に取得しまたは製作して指定事業の用に供したものです。
ただし、内航運送の用に供される船舶の貸渡しをする事業を営む法人以外の法人が貸付けの用に供する資産は、特定機械装置等には該当しません。
- 機械および装置(注1)で1台または1基の取得価額が160万円以上のもの
- 製品の品質管理の向上等に資する測定工具および検査工具で、1台または1基の取得価額が120万円以上のもの
- 上記2に準ずるものとして測定工具および検査工具の取得価額の合計額が120万円以上であるもの(1台または1基の取得価額が30万円未満であるものを除きます。)
- ソフトウェア(複写して販売するための原本、開発研究用のものまたはサーバー用のオペレーティングシステムのうち一定のものなどは除きます。以下同じ。)で次に掲げるいずれかのもの
(1)一のソフトウェアの取得価額が70万円以上のもの
(2)その事業年度において事業の用に供したソフトウェアの取得価額の合計額が70万円以上のもの
- 車両および運搬具のうち一定の普通自動車(注2)で、貨物の運送の用に供されるもののうち車両総重量が3.5トン以上のもの
- 内航海運業の用に供される船舶(注3)
(注1)コインランドリー業(主要な事業であるものを除きます。)の用に供するもので、その管理のおおむね全部を他の者に委託するものは除かれています。
(注2)普通自動車とは、道路運送車両法施行規則別表第一に規定するものであり、減価償却資産の耐用年数等に関する省令別表第一で判定することはできません。
(注3)総トン数500トン以上の船舶は、環境への負荷の低減に資する設備の設置状況等を国土交通大臣に届け出た船舶に限られます。
【指定事業】
この制度の適用対象となる指定事業は次に掲げる事業です。
製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、採石業、砂利採取業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業にあっては、生活衛生同業組合の組合員が行うものに限ります。)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業、沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、情報通信業、損害保険代理業、不動産業、駐車場業、物品賃貸業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業、映画業、教育、学習支援業、医療、福祉業、協同組合(他に分類されないもの)およびサービス業(他に分類されないもの)
(注)娯楽業(映画業を除きます。)は対象になりません。
また、性風俗関連特殊営業に該当する事業も対象となりません。
(対象期間)
【適用の対象となる期間(年度)】
この制度の適用対象事業年度は、指定期間内に適用対象資産の取得または製作をして指定事業の用に供した場合におけるその指定事業の用に供した日を含む事業年度です。
ただし、この事業年度であっても、解散(合併による解散を除きます。)の日を含む事業年度および清算中の各事業年度は除きます。
(手続き)
特別償却の適用を受けるためには、確定申告書等に償却限度額の計算に関する明細書を添付して申告する必要があります。(注)
また、税額控除の適用を受けるためには、控除を受ける金額を確定申告書等に記載するとともに、その金額の計算に関する明細書を添付して申告する必要があります。
なお、繰越税額控除限度超過額の繰越控除を受けるためには、繰越税額控除限度超過額が生じた事業年度以後の各事業年度の確定申告書に繰越税額控除限度超過額の明細書を添付し、かつ、繰越税額控除限度超過額の繰越控除を受けようとする事業年度の確定申告書等に繰越控除を受ける金額を記載するとともに、その金額の計算に関する明細書を添付して申告する必要があります。
(注)特別償却の適用を受けることに代えて、特別償却限度額以下の金額を損金経理により特別償却準備金として積み立てることまたはその事業年度の決算確定日までに剰余金の処分により特別償却準備金として積み立てることにより、損金の額に算入することも認められます。
この適用を受けるには、確定申告書等に特別償却準備金として積み立てた金額の損金算入に関する申告の記載をし、その積み立てた金額の計算に関する明細書を添付する必要があります。
(注意事項)
- 一の資産についてこの制度による特別償却と税額控除との重複適用は認められません。
- この制度による特別償却または税額控除の適用を受ける資産は、租税特別措置法上の圧縮記帳、他の制度による特別償却または他の税額控除の規定の重複適用は認められません。
★リンクはこちら⇒ 中小企業投資促進税制(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)
平成21年及び平成22年に取得した長期所有土地等の1,000万円特別控除
法人が、長期所有土地等を譲渡した場合には、譲渡利益金額のうち一定の金額をその譲渡の日を含む事業年度において損金の額に算入(所得の特別控除)することが認められます。
<特例の対象となる長期所有土地等>
長期所有土地等とは、法人が平成21年1月1日から平成22年12月31日までの期間内に取得をした国内にある土地または土地の上に存する権利(棚卸資産を除きます。以下「土地等」といいます。)で、その取得をした日の翌日から譲渡をした日の属する年の1月1日までの期間が5年を超えるものをいいます。ただし、次に掲げるものはこの場合の取得に含まれません。
- その法人と特殊の関係のある個人または法人からの取得
- 合併、分割、贈与、交換、出資または平成22年9月30日以前に行われた適格事後設立もしくは平成22年10月1日以後に行われる適格現物分配による取得
- 所有権移転外リース取引(注)または代物弁済としての取得
(注)
所有権移転外リース取引の内容については、コード5704「所有権移転外リース取引」を参照してください。
<特例の対象となる譲渡の範囲>
この制度の対象となる譲渡には、土地等を使用させることによりその土地等の価値が著しく減少する場合(法人税法施行令第138条第1項(借地権の設定等)に該当するもの)のその使用させる行為を含みます。ただし、次に掲げるものは対象となる譲渡には含まれません。
- 土地収用法などの規定に基づく収用、買取り、換地処分、権利変換または買収による譲渡(租税特別措置法第64条第1項第1号から第4号までおよび第8号ならびに第65条第1項第1号および第3号から第7号までに規定するもの(同法第64条第2項または第65条第7項から第9項までの規定により収用等または換地処分等による譲渡があったものとみなされる場合におけるその譲渡を含みます。))
- 特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除等の適用を受ける譲渡(租税特別措置法第65条の3から第65条の5までの規定の適用を受けるもの)
- 交換により取得した資産の圧縮記帳等の適用を受ける譲渡(法人税法第50条第1項または第5項の規定の適用を受けるもの)
- 適格合併、適格分割、適格現物出資または適格現物分配による土地等の移転
<損金算入限度額>
損金算入限度額は、長期所有土地等の譲渡により取得した対価の額または資産(以下「交換取得資産」といいます。)の価額がその譲渡をした長期所有土地等の帳簿価額とその譲渡に要した経費のうち一定のものとの合計額を超える場合における、その超える部分の金額と1,000万円とのいずれか低い金額です。
また、交換取得資産の価額は、その価額がその譲渡をした長期所有土地等の価額を超える場合において、その差額に相当する金額をその譲渡に際して支出したときは、その差額に相当する金額を控除した金額です。
<適用除外>
法人が、長期所有土地等の譲渡をした日の属する事業年度のうち同一の年に属する期間中に、その譲渡をした土地等のいずれかについて、特定資産の買換えの場合の圧縮記帳等の規定(租税特別措置法第65条の7から第65条の9までまたは第66条)の適用を受けた場合には、この制度の適用を受けることができません。
また、清算中の法人もこの制度の適用を受けることができません。
<手続き>
この制度の適用を受けるためには、確定申告書等に損金の額に算入される金額を記載するとともに、その確定申告書等にその損金の額に算入される金額の計算に関する明細書(別表10(5))を添付することが必要です。
★リンクはこちら⇒ 平成21年及び平成22年に取得した長期所有土地等の1,000万円特別控除
法人税の額から控除される特別控除額の特例
<法人税の額から控除される特別控除額の特例繰越>
法人が一の事業年度において、租税特別措置法における特別税額控除制度のうち複数の規定の適用を受けようとする場合において、その適用を受けようとする規定による税額控除可能額の合計額がその法人のその事業年度の調整前法人税額の90パーセント相当額を超える場合には、その超える部分の金額(以下「調整前法人税額超過額」といいます。)は、その法人のその事業年度の調整前法人税額から控除することができません。
なお、調整前法人税額超過額を構成する金額のうち、次の税額控除制度によるものに限っては、その構成することとされた部分の金額は、次のそれぞれの税額控除制度による控除をしても控除をしきれなかった金額として、繰越税額控除に関する規定を適用する(つまり、次のそれぞれの税額控除制度の繰越税額控除限度超過額として翌期以降に繰越控除することができる。)こととされています。
- 中小企業者等が機械等を取得した場合の税額控除制度(措法42の6)
- 沖縄の特定地域において工業用機械等を取得した場合の税額控除制度(措法42の9)
- 中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の税額控除制度(措法42の12の4)
- 給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除(中小企業者等における賃上げ促進税制)(措法42の12の5)
- 戦略分野国内生産促進税制(措法42の12の7)
<調整前法人税額超過額の意義>
法人が一の事業年度において適用を受けようとする特別税額控除制度の税額控除可能額の合計額のうち、その法人のその事業年度の調整前法人税額の90パーセント相当額を超える部分の金額が調整前法人税額超過額になります。この調整前法人税額超過額は各種特別税額控除制度による控除可能期間が最も長いものから順次成ることとされています。
<適用を受けるための要件>
上記の「法人税の額から控除される特別控除額の特例繰越」の繰越税額控除の適用を受けるためには調整前法人税額超過額が生じた事業年度以後の各事業年度の確定申告書に調整前法人税額超過額の明細書の添付をし、また、繰越控除の適用を受ける事業年度の確定申告書等に控除の対象となる調整前法人税額超過額、控除を受ける金額を記載するとともに、その金額の計算に関する明細書を添付して申告する必要があります。
★リンクはこちら⇒ 法人税の額から控除される特別控除額の特例
措置法上の中小法人及び中小企業者
令和6年4月1日以後に開始する事業年度において、措置法における各制度の中小法人および中小企業者の範囲については、次のとおりです。
<中小企業者等の法人税率の特例(措法42の3の2①)の中小法人>
中小企業者等の法人税率の特例制度の適用対象となる一定の普通法人(以下「中小企業者等の法人税率の特例(措法42の3の2①)の中小法人」において「中小法人」といいます。)は、普通法人のうち、各事業年度終了の時において資本金の額もしくは出資金の額が1億円以下であるものまたは資本もしくは出資を有しないもので、各事業年度終了の時において次の1から7までに掲げる法人に該当するものを除いたものです。ただし、中小法人のうち適用除外事業者(注1)または通算制度における適用除外事業者(注2)に該当するものについては、適用対象から除かれます。
- 相互会社
- 大法人(次の(1)から(3)までに掲げる法人をいいます。以下「中小企業者等の法人税率の特例(措法42の3の2①)の中小法人」において同じです。)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人
(1)資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人
(2)相互会社および外国相互会社
(3)受託法人
- 普通法人との間に完全支配関係があるすべての大法人が有する株式(投資口を含みます。)および出資の全部をそのすべての大法人のうちいずれか一の法人が有するものとみなした場合においてそのいずれか一の法人とその普通法人との間にそのいずれか一の法人による完全支配関係があることとなるときのその普通法人(上記2に掲げる法人を除きます。)
- 投資法人
- 特定目的会社
- 受託法人
- 大通算法人(注3)
(注1)
適用除外事業者とは、基準年度(その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度をいいます。以下同じです。)の所得金額の合計額を各基準年度の月数の合計数で除し、これに12を乗じて計算した金額(設立後3年を経過していないことなどの一定の事由がある場合には、一定の調整を加えた金額)が15億円を超える法人をいいます。
(注2)
通算制度における適用除外事業者の詳細については、「グループ通算制度に関するQ&A」問83「通算制度における適用除外事業者の取扱いについて」を参照してください。
(注3)
大通算法人とは、通算グループ内のいずれかの法人が、その各事業年度終了の時における資本金の額もしくは出資金の額が1億円を超える法人に該当する場合またはその各事業年度終了の時において上記1から3もしくは6に掲げる法人に該当する場合におけるその通算グループ内の普通法人をいいます。
<研究開発税制に規定する中小企業者(措法42の4⑲七、措令27の4⑰)>
中小企業者の範囲が同じである主な制度については、次のとおりです。
- 中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度(措法42の6①②)
- 地方活力向上地域等において特定建物等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度(措法42の11の3①②、措令27の11の3)
- 中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度(措法42の12の4①②)
- 給与等の支給額が増加した場合の税額控除制度(措法42の12の5③)
- 法人税の額から控除される特別控除額の特例(特定税額控除制度の不適用措置)(措法42の13⑤)
- 被災代替資産等の特別償却制度(措法43の2①②)
- 特定事業継続力強化設備等の特別償却制度(措法44の2①)
- 中小企業事業再編投資損失準備金のうち経営力向上計画に係る措置(措法56①一)
- 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(措法67の5①)
中小企業者とは、次の1および2に掲げる法人をいいます。
ただし、中小企業者のうち適用除外事業者(注1)または通算制度における適用除外事業者(注2)に該当するものは対象から除かれます。
- 資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人のうち次の(1)から(3)までに掲げる法人以外の法人(受託法人を除きます。)
(1)その発行済株式または出資(その有する自己の株式または出資を除きます。以下「研究開発税制に規定する中小企業者(措法42の4⑲七、措令27の4⑰)」において同じです。)の総数または総額の2分の1以上を同一の大規模法人(注3)に所有されている法人
(2)上記(1)のほか、その発行済株式または出資の総数または総額の3分の2以上を複数の大規模法人(注3)に所有されている法人
(3)他の通算法人のうちいずれかの法人が次のイおよびロに掲げる法人に該当せず、または受託法人に該当する場合における通算法人
イ 資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人のうち上記(1)および(2)に掲げる法人以外の法人
ロ 資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人
- 資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人(受託法人およびその法人が通算親法人である場合における上記1(3)に掲げる法人を除きます。)
(注1)
適用除外事業者とは、上記「中小企業者等の法人税率の特例(措法42の3の2①)の中小法人」(注1)の適用除外事業者と同じです。
(注2)
通算制度における適用除外事業者の詳細については、「グループ通算制度に関するQ&A」問83「通算制度における適用除外事業者の取扱いについて」を参照してください。
(注3)
大規模法人とは、次の1から4までに掲げる法人をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます。
- 資本金の額または出資金の額が1億円を超える法人
- 資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人
- 大法人(次の(1)から(3)までに掲げる法人をいいます。以下「研究開発税制に規定する中小企業者(措法42の4⑲七、措令27の4⑰)」において同じです。)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人
(1)資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人
(2)相互会社および外国相互会社のうち、常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人
(3)受託法人
- 普通法人との間に完全支配関係があるすべての大法人が有する株式(投資口を含みます。)および出資の全部をそのすべての大法人のうちいずれか一の法人が有するものとみなした場合においてそのいずれか一の法人とその普通法人との間にそのいずれか一の法人による完全支配関係があることとなるときのその普通法人(上記3に掲げる法人を除きます。)
<中小企業者等の貸倒引当金の特例(措法57の9①)の中小法人>
中小企業者等の貸倒引当金の特例における中小法人(以下「中小企業者等の貸倒引当金の特例(措法57の9①)の中小法人」において「中小法人」といいます。)は、普通法人(投資法人および特定目的会社を除きます。)のうち、各事業年度終了の時において資本金の額もしくは出資金の額が1億円以下であるもの(次の1から4までに掲げる法人を除きます。)または資本もしくは出資を有しないもの(次の3および4に掲げる法人を除きます。)です。ただし、中小法人のうち適用除外事業者(注1)または通算制度における適用除外事業者(注2)に該当するものは、適用対象から除かれます。
- 大法人(次の(1)から(3)までに掲げる法人をいいます。以下「中小企業者等の貸倒引当金の特例(措法57の9①)の中小法人」において同じです。)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人
(1)資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人
(2)相互会社および外国相互会社
(3)受託法人
- 普通法人との間に完全支配関係があるすべての大法人が有する株式(投資口を含みます。)および出資の全部をそのすべての大法人のうちいずれか一の法人が有するものとみなした場合においてそのいずれか一の法人とその普通法人との間にそのいずれか一の法人による完全支配関係があることとなるときのその普通法人(上記1に掲げる法人を除きます。)
- 大通算法人(注3)
- 相互会社及び外国相互会社
(注1)
適用除外事業者とは、上記「中小企業者等の法人税率の特例(措法42の3の2①)の中小法人」(注1)の適用除外事業者と同じです。
(注2)
通算制度における適用除外事業者の詳細については、「グループ通算制度に関するQ&A」問83「通算制度における適用除外事業者の取扱いについて」を参照してください。
(注3)
大通算法人とは、上記「中小企業者等の法人税率の特例(措法42の3の2①)の中小法人」(注3)の大通算法人と同じです。
<交際費等の損金不算入制度の中小特例(措法61の4②)の中小法人>
本制度のうち、損金算入限度額の中小特例(措法61の4②)の適用対象となる普通法人(以下「交際費等の損金不算入制度の中小特例(措法61の4②)の中小法人」において「中小法人」といいます。)は、法人(投資法人、特定目的会社および受託法人を除きます。)のうち、各事業年度終了の日において資本金の額または出資金の額(資本または出資を有しない法人については、一定の計算をした金額)が1億円以下であるものをいいます。
ただし、各事業年度終了の日において次の1から3に掲げる法人に該当するものについては、中小法人から除かれます。
- 大法人(次の(1)から(3)までに掲げる法人をいいます。以下「交際費等の損金不算入制度の中小特例(措法61の4②)の中小法人」において同じです。)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人
(1)資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人
(2)相互会社および外国相互会社
(3)受託法人
- 普通法人との間に完全支配関係があるすべての大法人が有する株式(投資口を含みます。)および出資の全部をそのすべての大法人のうちいずれか一の法人が有するものとみなした場合においてそのいずれか一の法人とその普通法人との間にそのいずれか一の法人による完全支配関係があることとなるときのその普通法人(上記1に掲げる法人を除きます。)
- 通算法人の事業年度終了の日においてその通算法人との間に通算完全支配関係があるほかの通算法人のうちいずれかの法人が次の(1)および(2)に掲げる法人または受託法人である場合におけるその通算法人
(1)資本金の額または出資金の額が1億円を超える法人
(2)上記1および2に掲げる法人
<中小企業者の欠損金等以外の欠損金の繰戻しによる還付の不適用制度(措法66の12①)の中小法人>
本制度の対象とならない普通法人は、普通法人(投資法人、特定目的会社および受託法人を除きます。)のうち、各事業年度終了の時において資本金の額もしくは出資金の額が1億円以下であるもの(各事業年度終了の時において次の1から3までに掲げる法人を除きます。)または資本もしくは出資を有しないもの(次の3および4に掲げる法人を除きます。)です。
- 1大法人(次の(1)から(3)までに掲げる法人をいいます。以下「中小企業者の欠損金等以外の欠損金の繰戻しによる還付の不適用制度(措法66の12①)の中小法人」において同じです。)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人
(1)資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人
(2)相互会社および外国相互会社
(3)受託法人
- 普通法人との間に完全支配関係があるすべての大法人が有する株式(投資口を含みます。)および出資の全部をそのすべての大法人のうちいずれか一の法人が有するものとみなした場合においてそのいずれか一の法人とその普通法人との間にそのいずれか一の法人による完全支配関係があることとなるときのその普通法人(上記1に掲げる法人を除きます。)
- 大通算法人(注)
- 相互会社および外国相互会社
(注)
大通算法人とは、上記「中小企業者等の法人税率の特例(措法42の3の2①)の中小法人」(注3)の大通算法人と同じです。
★リンクはこちら⇒ 措置法上の中小法人及び中小企業者
定期付養老保険等の保険料の取扱い(令和元年7月8日以後契約分)
法人が契約者となり、役員または使用人を被保険者とする定期付養老保険等に加入して支払った保険料は、次のとおり取り扱われます。
なお、定期付養老保険等とは、養老保険に定期保険または第三分野保険を付したものをいいます。
<保険料が生命保険証券などにおいて養老保険の保険料と定期保険または第三分野保険の保険料とに区分されている場合>
1.養老保険の保険料について(「No.5363 養老保険の保険料の取扱い(令和元年7月8日以後契約分)」によります。)
(1)死亡保険金および生存保険金の受取人が法人の場合
その支払った保険料の額は、保険事故の発生または保険契約の解除もしくは失効によりその保険契約が終了する時まで損金の額に算入されず、資産に計上する必要があります。
(2)死亡保険金および生存保険金の受取人が被保険者またはその遺族の場合
その支払った保険料の額は、その役員または使用人に対する給与となります。
(3)死亡保険金の受取人が被保険者の遺族で生存保険金の受取人が法人の場合
その支払った保険料の額の2分の1は上記1(1)により資産に計上し、残額は期間の経過に応じて損金の額に算入します。
ただし、役員または部課長その他特定の使用人のみを被保険者としている場合には、その残額はその役員または使用人に対する給与となります。
なお、給与と認定された保険料は、その役員または使用人の生命保険料控除の対象となります。
2.定期保険または第三分野保険の保険料について
(1)その保険料に相当多額の前払部分の保険料が含まれない場合(「No.5364 定期保険及び第三分野保険の保険料(保険料に相当多額の前払部分の保険料が含まれない場合)の取扱い(令和元年7月8日以後契約分)」によります。)
イ.保険金また給付金の受取人が法人の場合
その支払った保険料の額は、原則として、期間の経過に応じて損金の額に算入します。
ロ.保険金または給付金の受取人が被保険者またはその遺族である場合
その支払った保険料の額は、原則として、期間の経過に応じて損金の額に算入します。
ただし、役員または部課長その他特定の使用人のみを被保険者としている場合には、その保険料の額はその役員または使用人に対する給与となります。
なお、給与と認定された保険料は、その役員または使用人の生命保険料控除の対象となります。
(2)その保険料に相当多額の前払部分の保険料が含まれる場合(「No.5364-2 定期保険及び第三分野保険の保険料(保険料に相当多額の前払部分の保険料が含まれる場合)の取扱い(令和元年7月8日以後契約分)」によります。)
原則として、以下のとおり、支払保険料のうち最高解約返戻率の区分に応じて計算される一定額を一定期間資産に計上し、その資産計上額は所定の期間経過後に取り崩して損金の額に算入することとなります。
ただし、保険金または給付金の受取人が被保険者またはその遺族である場合であって、役員または部課長その他特定の使用人のみを被保険者としているときには、その支払った保険料の額は、その役員又は使用人に対する給与となります。
なお、給与と認定された保険料は、その役員または使用人の生命保険料控除の対象となります。
イ.その事業年度に次表の資産計上期間がある場合には、当期分支払保険料の額のうち、次表の資産計上額の欄に掲げる金額は資産に計上し、残額は損金の額に算入します。
ロ.その事業年度に次表の資産計上期間および取崩期間のいずれもない場合には、当期分支払保険料の額は損金の額に算入します。
ハ.その事業年度に次表の取崩期間がある場合には、当期分支払保険料の額を損金の額に算入するとともに、上記イにより資産に計上した金額の累積額を取崩期間の経過に応じて均等に取り崩した金額のうち、その事業年度に対応する金額を損金の額に算入します。
区分 |
資産計上期間 |
資産計上額 |
取崩期間 |
最高解約返戻率50%超70%以下 |
保険期間の開始の日から当該保険期間の100分の40相当期間を経過する日まで |
当期分支払保険料の額に100分の40を乗じて計算した金額 |
保険期間の100分の75相当期間の経過後から、保険期間の終了の日まで |
最高解約返戻率70%超85%以下 |
当期分支払保険料の額に100分の60を乗じて計算した金額 |
最高解約返戻率85%超 |
保険期間開始の日から最高解約返戻率となる期間(その期間経過後の各期間において、その期間における解約返戻金相当額からその直前の期間における解約返戻金相当額を控除した金額を年換算保険料相当額で除した割合が100分の70を超える期間がある場合には、その超えることとなる期間)の終了の日まで
(注)上記の資産計上期間が5年未満となる場合には、保険期間開始の日から5年を経過する日まで(保険期間が10年未満の場合には、保険期間開始の日からその保険期間の100分の50相当期間を経過する日まで)とする。 |
当期分支払保険料の額に最高解約返戻率の100分の70(保険期間の開始の日から10年を経過する日までは100分の90)を乗じて計算した金額 |
解約返戻金相当額が最も高い金額となる期間(左記資産計上期間の欄の(注)に該当する場合には、当該(注)による資産計上期間)経過後から保険期間終了の日まで |
<保険料が定期保険の保険料と養老保険の保険料とに区分されていない場合>
支払った保険料の全額を養老保険の保険料とみなして、上記の「保険料が生命保険証券などにおいて養老保険の保険料と定期保険または第三分野保険の保険料とに区分されている場合」の(1)により取り扱います。
<特約の保険料>
特約に係る保険料の支払いがある場合には、その特約の内容に応じて養老保険または定期保険および第三分野保険の取扱いによることになります。
★リンクはこちら⇒ 定期付養老保険等の保険料の取扱い(令和元年7月8日以後契約分)
定期保険及び第三分野保険の保険料(保険料に相当多額の前払部分の保険料が含まれる場合)の取扱い(令和元年7月8日以後契約分)
法人が契約者となり、役員または使用人を被保険者とする保険期間が3年以上の定期保険または第三分野保険で最高解約返戻率が50パーセントを超えるものに加入して支払った保険料は、原則として、支払保険料のうち最高解約返戻率の区分に応じて計算される一定額を一定期間資産に計上し、その資産計上額は所定の期間経過後に取り崩して損金の額に算入することとなります。
なお、定期保険とは、一定期間内に被保険者が死亡した場合にのみ保険金が支払われる生命保険をいい、養老保険のように生存保険金の支払はありません。
また、第三分野保険とは、保険業法第3条第4項第2号に掲げる保険(これに類するものを含み、例えば、被保険者が病気や怪我等の一定の事由に該当した場合に保険金または給付金が支払われる保険)をいいます。
<保険料の取扱い>
- その事業年度に次表の資産計上期間がある場合には、当期分支払保険料の額のうち、次表の資産計上額の欄に掲げる金額は資産に計上し、残額は損金の額に算入します。
- その事業年度に次表の資産計上期間および取崩期間のいずれもない場合には、当期分支払保険料の額は損金の額に算入します。
- その事業年度に次表の取崩期間がある場合には、当期分支払保険料の額を損金の額に算入するとともに、(1)により資産に計上した金額の累積額を取崩期間の経過に応じて均等に取り崩した金額のうち、その事業年度に対応する金額を損金の額に算入します。
区分 |
資産計上期間 |
資産計上額 |
取崩期間 |
最高解約返戻率50%超70%以下 |
保険期間の開始の日からその保険期間の100分の40相当期間を経過する日まで |
当期分支払保険料の額に100分の40を乗じて計算した金額 |
保険期間の100分の75相当期間の経過後から、保険期間の終了の日まで |
最高解約返戻率70%超85%以下 |
当期分支払保険料の額に100分の60を乗じて計算した金額 |
最高解約返戻率85%超 |
保険期間開始の日から最高解約返戻率となる期間(その期間経過後の各期間において、その期間における解約返戻金相当額からその直前の期間における解約返戻金相当額を控除した金額を年換算保険料相当額で除した割合が100分の70を超える期間がある場合には、その超えることとなる期間)の終了の日まで
(注)
上記の資産計上期間が5年未満となる場合には、保険期間開始の日から5年を経過する日まで(保険期間が10年未満の場合には、保険期間開始の日からその保険期間の100分の50相当期間を経過する日まで)とします。 |
当期分支払保険料の額に最高解約返戻率の100分の70(保険期間の開始の日から10年を経過する日までは100分の90)を乗じて計算した金額 |
解約返戻金相当額が最も高い金額となる期間(左記の資産計上期間の欄の(注)に該当する場合には、当該(注)による資産計上期間)経過後から保険期間終了の日まで |
注1 |
保険期間が3年以上の定期保険または第三分野保険で最高解約返戻率が50パーセントを超えるものであっても、最高解約返戻率が70パーセント以下で、かつ、年換算保険料相当額(年換算保険料相当額とは、その保険の保険料の総額を保険期間の年数で除した金額をいいます。)が一の被保険者につき合計30万円以下の保険に係る保険料を支払った場合については、相当多額の前払部分の保険料が含まれない場合の取扱い(No.5364 定期保険及び第三分野保険の保険料(保険料に相当多額の前払部分の保険料が含まれない場合)の取扱い(令和元年7月8日以後契約分))によります。 |
注2 |
最高解約返戻率とは、その保険の保険期間を通じて解約返戻率が最も高い割合となる期間におけるその割合をいいます。 |
注3 |
当期分支払保険料の額とは、その支払った保険料の額のうちその事業年度に対応する部分の金額をいいます。 |
注4 |
保険期間が終身である第三分野保険については、保険期間の開始の日から被保険者の年齢が116歳に達する日までを計算上の保険期間とします。 |
注5 |
上記表の資産計上期間の欄の「最高解約返戻率となる期間」及び「100分の70を超える期間」並びに取崩期間の欄の「解約返戻金相当額が最も高い金額となる期間」が複数ある場合には、いずれもその最も遅い期間がそれぞれの期間となります。 |
注6 |
特約に係る保険料の支払いがある場合は、その特約の内容に応じて養老保険または定期保険および第三分野保険の保険料の取扱いによることになります。 |
注7 |
保険金または給付金の受取人が被保険者またはその遺族である場合であって、役員または部課長その他特定の使用人のみを被保険者としているときは、その支払った保険料の額は、その役員または使用人に対する給与となります。 |
注8 |
役員に対する給与とされる保険料の額で、法人が経常的に負担するものは、その役員が受ける経済的利益の額が毎月おおむね一定であるので、定期同額給与となります。 |
★リンクはこちら⇒ 定期保険及び第三分野保険の保険料(保険料に相当多額の前払部分の保険料が含まれる場合)の取扱い(令和元年7月8日以後契約分)
外国子会社合算税制の適用において法人税法第12条第1項の規定が適用されるとした事例
- ①令和2年1月1日から令和2年12月31日までの連結事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
- ②令和2年1月1日から令和2年12月31日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
- ①②一部取消し
- 令和6年3月14日裁決
<ポイント>
本事例は、外国私法により成立した法律関係が信託に該当し、外国子会社合算税制の適用において法人税法第12条第1項の規定が適用されることから、特定外国関係会社の基準所得金額の計算上、信託財産たる株式に係る配当に相当する金額は、子会社から受ける配当等の額として控除されると判断したものである。
<要旨>
原処分庁は、オランダ王国で設立された財団が株式(本件株式)と引き換えにデポジタリー・レシートを発行する契約(本件発行契約)により成立した法律関係は、法人税法(令和2年法律第8号による改正前のもの)第12条《信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属》第1項に規定する信託に該当せず、また、外国子会社合算税制における基準所得金額の計算において、同項の規定は適用されないから、本件株式に係る配当(本件配当)に相当する金額は、租税特別措置法施行令(令和2年政令第207号による改正前のもの)第39条の115第1項第4号に規定する子会社から受ける配当等の額に該当せず、請求人の特定外国関係会社(本件h法人1)の基準所得金額の計算上控除することはできない旨主張する。
しかしながら、本件発行契約等における合意のうち我が国の信託法第3条《信託の方法》第1号に規定する内容に当てはまる部分については、我が国の信託法上の信託契約に相当し、本件発行契約等により成立した法律関係は、法人税法第12条第1項に規定する信託に該当するものと認められる。
また、外国子会社合算税制における基準所得金額を計算する場合においても、法人税法第12条第1項本文の規定の適用により、同項本文に規定する信託の受益者が当該信託の信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなされると解される。
したがって、本件h法人1は、同項本文の規定により、信託財産に属する資産である本件株式を有するものとみなされ、かつ、本件配当は受益者である本件h法人1の収益とみなされるから、本件h法人1の基準所得金額の計算上、本件配当に相当する金額は、租税特別措置法施行令第39条の115第1項第4号に規定する子会社から受ける配当等の額に該当し、控除される。
★リンクはこちら⇒ 外国子会社合算税制の適用において法人税法第12条第1項の規定が適用されるとした事例
保険金を支払通知日の属する事業年度の収益に計上した請求人の会計処理を正当と判断した事例
- ①令和3年1月1日から令和3年12月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
- ②令和3年1月1日から令和3年12月31日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
- ①②全部取消し
- 令和6年2月26日裁決
<ポイント>
本事例は、請求人の前代表者を被保険者とした生命保険契約に係る保険金の額について、当該保険金の支払通知日の属する事業年度の雑収入に計上した請求人の会計処理は、取引の経済的実態からみて合理的な収益計上の基準に即したものであるから、法人税法上も正当なものとして是認すべきと判断したものである。
<要旨>
原処分庁は、請求人の前代表者を被保険者とした生命保険契約において、前代表者の死因は当該保険契約に係る保険金の支払事由に該当するとともに、免責事由のいずれにも該当しないことからすると、請求人は、前代表者の死亡日において、当該保険金に係る保険金請求権の実現可能性を客観的に認識でき、その行使が可能となったといえるから、請求人が受領した死亡保険金(本件保険金)の額は、前代表者の死亡日の属する事業年度の益金の額に算入すべきである旨主張する。
しかしながら、本件保険金は、保険会社の確認調査等の結果次第では支払われないこともあり得たこと、請求人が恣意的に本件保険金の額の収益計上時期を繰り延べようと企図した事実は認められないことを踏まえれば、本件保険金の額を支払通知日の属する事業年度の雑収入に計上した請求人の会計処理は、取引の経済的実態からみて合理的な収益計上の基準に則したものであり、法人税法上も正当なものとして是認すべきと認められる。
★リンクはこちら⇒ 保険金を支払通知日の属する事業年度の収益に計上した請求人の会計処理を正当と判断した事例
定期保険及び第三分野保険の保険料(保険料に相当多額の前払部分の保険料が含まれない場合)の取扱い(令和元年7月8日以後契約分)
法人が契約者となり、役員または使用人を被保険者とする定期保険または第三分野保険(相当多額の前払部分の保険料が含まれるものを除きます。)に加入して支払った保険料は、保険金または給付金の受取人に応じて次のとおり取り扱われます。
なお、定期保険とは、一定期間内に被保険者が死亡した場合にのみ保険金が支払われる生命保険をいい、養老保険のように生存保険金の支払はありません。
また、第三分野保険とは、保険業法第3条第4項第2号に掲げる保険(これに類するものを含み、例えば、被保険者が病気や怪我等の一定の事由に該当した場合に保険金または給付金が支払われる保険)をいいます。
<保険料の取扱い>
1.保険金または給付金の受取人が法人の場合
その支払った保険料の額は、原則として、期間の経過に応じて損金の額に算入します。
2.保険金または給付金の受取人が被保険者またはその遺族である場合
その支払った保険料の額は、原則として、期間の経過に応じて損金の額に算入します。
ただし、役員または部課長その他特定の使用人のみを被保険者としている場合には、その保険料の額はその役員または使用人に対する給与となります。
なお、給与と認定された保険料は、その役員または使用人の生命保険料控除の対象となります。
(注1)
「相当多額の前払部分の保険料が含まれるもの」とは、保険期間が3年以上の定期保険または第三分野保険のうち最高解約返戻率が50パーセントを超えるものをいいます。
ただし、これらの保険のうち、最高解約返戻率が70パーセント以下で、かつ、年換算保険料相当額が一の被保険者につき合計30万円以下の保険に係る保険料を支払った場合については、上記1および2により取り扱います。なお、(注3)の取扱いの対象とはなりません。
(注2)
保険期間が終身である第三分野保険については、保険期間の開始の日から被保険者の年齢が116歳に達する日までを計算上の保険期間とします。
(注3)
法人が令和元年10月8日以後に、保険期間を通じて解約返戻金相当額のない定期保険または第三分野保険(ごく少額の払戻金のある契約を含み、保険料の払込期間が保険期間より短いものに限ります。)に加入した場合において、一の被保険者につきその事業年度に支払った保険料の額が合計30万円以下であるものについて、その支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときには、その処理が認められます。
(注4)
特約に係る保険料の支払いがある場合は、その特約の内容に応じて養老保険または定期保険および第三分野保険の保険料の取扱いによることになります。
(注5)
役員に対する給与とされる保険料の額で、法人が経常的に負担するものは、その役員が受ける経済的な利益の額が毎月おおむね一定であるので、定期同額給与となります。
★リンクはこちら⇒ 定期保険及び第三分野保険の保険料(保険料に相当多額の前払部分の保険料が含まれない場合)の取扱い(令和元年7月8日以後契約分)
養老保険の保険料の取扱い(令和元年7月8日以後契約分)
法人が契約者となり、役員または使用人を被保険者とする養老保険に加入して支払った保険料は、保険金の受取人に応じて次のとおり取り扱われます。
なお、養老保険とは、満期または被保険者の死亡によって保険金が支払われる生命保険です。
<保険料の取扱い>
1.死亡保険金および生存保険金の受取人が法人の場合
その支払った保険料の額は、保険事故の発生または保険契約の解除もしくは失効によりその保険契約が終了する時まで損金の額に算入されず、資産に計上する必要があります。
2.死亡保険金および生存保険金の受取人が被保険者またはその遺族の場合
その支払った保険料の額は、その役員または使用人に対する給与となります。
なお、給与とされた保険料は、その役員または使用人の生命保険料控除の対象となります。
3.死亡保険金の受取人が被保険者の遺族で、生存保険金の受取人が法人の場合
その支払った保険料の額のうち、その2分の1に相当する金額は上記1により資産に計上し、残額は期間の経過に応じて損金の額に算入します。
ただし、役員または部課長その他特定の使用人のみを被保険者としている場合には、その残額はそれぞれその役員または使用人に対する給与になります(給与とされた保険料の取扱いについては上記2と同様となります。)。
(注1)
特約に係る保険料の支払いがある場合は、その特約の内容に応じて養老保険または定期保険および第三分野保険の保険料の取扱いによることになります。
(注2)
役員に対する給与とされる保険料の額で法人が経常的に負担するものは、その役員が受ける経済的な利益の額が毎月おおむね一定であるので、定期同額給与となります。
★リンクはこちら⇒ 養老保険の保険料の取扱い(令和元年7月8日以後契約分)
定期付養老保険の保険料の取扱い(令和元年7月8日前契約分)
法人が契約者となり、役員または使用人を被保険者とする定期付養老保険に加入して支払った保険料は、次のとおり取り扱われます。
なお、定期付養老保険とは、養老保険に定期保険を付加したものをいいます。
<保険料が生命保険証券などにおいて定期保険の保険料と養老保険の保険料とに区分されている場合>
1.養老保険の保険料について
(1)死亡保険金および生存保険金の受取人が法人の場合
その支払った保険料の額は、保険事故の発生または保険契約の解除もしくは失効によりその保険契約が終了する時までは、損金の額に算入されず資産に計上します。
(2)死亡保険金および生存保険金の受取人が被保険者またはその遺族の場合
その支払った保険料の額は、その役員または使用人に対する給与となります。
(3)死亡保険金の受取人が被保険者の遺族で生存保険金の受取人が法人の場合
その支払った保険料の額の2分の1は上記1(1)により資産に計上し、残額は期間の経過に応じて損金の額に算入します。
ただし、役員または部課長その他特定の使用人のみを被保険者としている場合には、その残額はその役員または使用人に対する給与となります。
2.定期保険の保険料について
(1)死亡保険金の受取人が法人の場合
その支払った保険料の額は期間の経過に応じて損金の額に算入します。
(2)死亡保険金の受取人が被保険者の遺族である場合
その支払った保険料の額は期間の経過に応じて損金の額に算入します。
ただし、役員または部課長その他特定の使用人のみを被保険者としている場合には、その保険料の額はその役員または使用人に対する給与となります。
<保険料が定期保険の保険料と養老保険の保険料とに区分されていない場合>
支払った保険料の全額を養老保険の保険料とみなして、上記の「保険料が生命保険証券などにおいて定期保険の保険料と養老保険の保険料とに区分されている場合」の1により取り扱います。
<傷害特約などの保険料>
傷害特約などの特約を付した定期付養老保険などの保険料については、その支払った特約部分の保険料の額を期間の経過に応じて損金の額に算入することができます。
ただし、役員または部課長その他特定の使用人のみを傷害特約等に係る給付金の受取人としている場合には、その特約部分の保険料の額は、その役員または使用人に対する給与となります。
(注1)
給与とされた保険料は、その役員または使用人の生命保険料控除の対象となります。
(注2)
役員に対する給与とされる保険料の額で、法人が経常的に負担するものは、その役員が受ける経済的な利益の額が毎月おおむね一定であるので、定期同額給与となります。
★リンクはこちら⇒ 定期付養老保険保険料の取扱い(令和元年7月8日前契約分)
定期保険の保険料の取扱い(令和元年7月8日前契約分)
法人が契約者となり、役員または使用人を被保険者とする定期保険に加入して支払った保険料は、保険金の受取人に応じて次のとおり取り扱われます。
なお、定期保険とは、一定期間内に被保険者が死亡した場合にのみ保険金が支払われる生命保険をいい、養老保険のように生存保険金の支払はありません。
<保険料の取扱い>
1.死亡保険金の受取人が法人の場合
その支払った保険料の額は、期間の経過に応じて損金の額に算入します。
2.死亡保険金の受取人が被保険者の遺族である場合
その支払った保険料の額は、期間の経過に応じて損金の額に算入します。
ただし、役員または部課長その他特定の使用人のみを被保険者としている場合には、その保険料の額はその役員または使用人に対する給与となります。
(注1)
傷害特約などの特約がある場合は、その特約部分の保険料の額を期間の経過に応じて損金の額に算入することができます。
ただし、役員または部課長その他特定の使用人のみを傷害特約等に係る給付金の受取人としている場合には、その特約部分の保険料の額は、その役員または使用人に対する給与となります。
(注2)
給与とされた保険料は、その役員または使用人の生命保険料控除の対象となります。
(注3)
役員に対する給与とされる保険料の額で、法人が経常的に負担するものは、その役員が受ける経済的な利益の額が毎月おおむね一定であるので、定期同額給与となります。
★リンクはこちら⇒ 定期保険の保険料の取扱い(令和元年7月8日前契約分)
中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
中小企業者等が、取得価額が30万円未満である減価償却資産(以下「少額減価償却資産」といいます。)を平成18年4月1日から令和8年3月31日までの間に取得などして事業の用に供した場合には、一定の要件のもとに、その取得価額に相当する金額を損金の額に算入することができます。
<対象者または対象物>
●適用対象法人●
この特例の対象となる法人は、中小企業者(注1)または農業協同組合等で、青色申告書を提出するもの(通算法人を除きます。)のうち、常時使用する従業員の数が500人以下(特定法人(注2)については、300人以下が対象です。)の法人(以下「中小企業者等」といいます。)に限られます。
また、法人が中小企業者等に該当するかどうかの判定(適用除外事業者に該当するかどうかの判定を除きます。)は、原則として、少額減価償却資産の取得などをした日および少額減価償却資産を事業の用に供した日の現況によるものとされます。
ただし、事業年度終了の日において常時使用する従業員の数が500人以下の法人(特定法人については、常時使用する従業員の数が300人以下)が、その事業年度の中小企業者等に該当する期間において取得などして事業の用に供した少額減価償却資産については、この制度の適用を受けることができます。
なお、令和2年3月31日までの取得などについては、中小企業者または農業協同組合で、青色申告書を提出する法人のうち、常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人が、この特例の対象となります。
(注1)
中小企業者については、コード5432「措置法上の中小法人及び中小企業者」を参照してください。
(注2)
特定法人とは、次の1から5までに掲げる法人をいいます。
1 |
その事業年度開始の時における資本金の額または出資金の額が1億円を超える法人 |
2 |
通算法人(1に掲げる法人を除きます。) |
3 |
保険業法に規定する相互会社(1に掲げる法人を除きます。) |
4 |
投資法人(1に掲げる法人を除きます。) |
5 |
特定目的会社(1に掲げる法人を除きます。) |
●適用対象資産●
この特例の対象となる資産は、取得価額が30万円未満の減価償却資産です。
ただし、適用を受ける事業年度における少額減価償却資産の取得価額の合計額が300万円(事業年度が1年に満たない場合には300万円を12で除し、これにその事業年度の月数を掛けた金額。月数は、暦に従って計算し、1か月に満たない端数を生じたときは、これを1か月とします。以下同じです。)を超えるときは、その取得価額の合計額のうち300万円に達するまでの少額減価償却資産の取得価額の合計額が限度となります。
なお、令和4年4月1日以後に取得などする場合は、少額減価償却資産から貸付け(主要な事業として行われるものは除きます。)の用に供したものが除かれます。
<手続き>
この特例の適用を受けるためには、事業の用に供した事業年度において、少額減価償却資産の取得価額に相当する金額につき損金経理するとともに、確定申告書等に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書(別表16(7))を添付して申告することが必要です。
<注意事項>
1 |
この特例の適用を受ける資産は、租税特別措置法上の特別償却、税額控除、圧縮記帳と重複適用はできません。
また、取得価額が10万円未満のものまたは一括償却資産の損金算入制度の適用を受けるものについてもこの特例の適用はありません。 |
2 |
この特例は、取得価額が30万円未満である減価償却資産について適用がありますので、器具および備品、機械・装置等の有形減価償却資産のほか、ソフトウェア、特許権、商標権等の無形減価償却資産も対象となり、また、所有権移転外リース取引に係る賃借人が取得したとされる資産や、中古資産であっても対象となります。 |
(注)
所有権移転外リース取引については、コード5704「所有権移転外リース取引」を参照してください。
★リンクはこちら⇒ 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示
法人が取得した少額の減価償却資産については、その法人がこの減価償却資産を事業の用に供した事業年度において、その取得価額に相当する金額を損金経理した場合には、その損金経理をした金額は、損金の額に算入されます。
<少額の減価償却資産>
少額の減価償却資産とは、次のいずれかに該当するものです。
1.使用可能期間が1年未満のもの
この場合の「使用可能期間が1年未満のもの」とは、法定耐用年数でみるのではなく、その法人の営む業種において一般的に消耗性のものと認識され、かつ、その法人の平均的な使用状況、補充状況などからみて、その使用可能期間が1年未満であるものをいいます。
例えば、テレビ放映用のコマーシャルフィルムは、通常、減価償却資産として資産計上し、法定耐用年数2年で減価償却しますが、テレビ放映期間は1年未満であることが一般的です。したがって、テレビ放映の期間が1年未満のものは、「使用可能期間が1年未満のもの」に該当します。
2.取得価額が10万円未満のもの
この取得価額は、通常1単位として取引されるその単位ごとに判定します。
例えば、応接セットの場合は、通常、テーブルと椅子が1組で取引されるものですから、1組で10万円未満になるかどうかを判定します。
また、カーテンの場合は、1枚で機能するものではなく、一つの部屋で数枚が組み合わされて機能するものですから、部屋ごとにその合計額が10万円未満になるかどうかを判定します。
なお、令和4年4月1日以後に取得などをして、貸付け(主要な事業として行われるものは除かれます。)の用に供したものは除かれます。
(注1)
取得価額が20万円未満の減価償却資産(令和4年4月1日以後に取得などをして、貸付け(主要な事業として行われるものは除かれます。)の用に供したものは除かれます。)については、各事業年度ごとに、その全部または一部を一括したものの取得価額の合計額を3年間で償却する一括償却資産の損金算入の規定を選択することができます。
(注2)
少額の減価償却資産は、事業の用に供した事業年度においてその取得価額の全額を損金経理している場合に、損金の額に算入することができます。
したがって、いったん資産に計上したものをその後の事業年度で一時に損金経理をしても損金の額に算入することはできませんのでご注意ください。
(注3)
中小企業者等の少額減価償却資産(取得価額30万円未満のもの)の取得価額の損金算入の特例制度については、コード5408「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」を参照してください。
★リンクはこちら⇒ 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示
宅地開発等に際して支出する開発負担金等
法人が固定資産として使用する土地、建物等の造成や建築等の許可を受けるために地方公共団体に対して支出した開発負担金等の額は、その負担金等の性質に応じて次のとおり取り扱います。
<開発負担金等の取扱い>
1.直接土地の効用を形成すると認められる施設の負担金等の額は、その土地の取得価額に算入します。
例えば、団地内の道路、公園や緑地、公道との取付道路、流下水路を含む雨水調整池などの負担金等がこれに当たります。
2.その施設自体が独立した効用を形成し、法人の便益に直接寄与すると認められる施設の負担金等の額は、それぞれの施設の性質に応じて無形減価償却資産の取得価額または繰延資産とします。
例えば、上下水道や工業用水道の負担金等の額については、無形減価償却資産の水道施設利用権または工業用水道施設利用権の取得価額となり、その償却期間は15年です。また、取付道路を除く団地近辺の道路などの負担金等の額は、繰延資産となり、その償却期間はその施設の耐用年数の10分の7に相当する年数(1年未満の端数は切り捨てます。)になります。
3.主として団地の周辺住民などとの関係を調整するために整備される施設の負担金等の額は、繰延資産となり、その償却期間は8年とされています。
例えば、団地の周辺などに設置されるいわゆる緩衝緑地、文教福祉施設、環境衛生施設、消防施設等の負担金等がこれに当たります。
★リンクはこちら⇒ 宅地開発等に際して支出する開発負担金等
土地とともに取得した建物を取り壊した場合の土地の取得価額
法人が建物の敷地を建物とともに取得した場合または自社の土地の上にある借地人の建物を取得した場合で、その取得後おおむね1年以内にその建物の取壊しに着手するなど、初めからその建物を取り壊して土地を利用する目的であることが明らかな場合には、その建物の取壊しのときの帳簿価額と取壊費用の合計額(廃材の処分によって得た金額があるときは、それを控除した金額)は、その土地の取得価額に算入することとされています。
しかし、初めは建物を事業に使用する目的で取得したが、その後やむを得ない理由が生じたことにより、その使用をあきらめなければならないような場合には、その取得後おおむね1年以内にその建物を取り壊したときであっても、その建物の帳簿価額と取壊費用の合計額は、土地の取得価額に含めないで、取り壊したときの損金の額に算入することができます。
★リンクはこちら⇒ 土地とともに取得した建物を取り壊した場合の土地の取得価額
事業の用に供した日
減価償却資産とは、法人税法施行令第13条に掲げるもので、事業の用に供しているものをいいますが、資産を事業の用に供したか否かは、業種・業態・その資産の構成および使用の状況を総合的に勘案して判断することになります。
「事業の用に供した日」とは、一般的にはその減価償却資産のもつ属性に従って本来の目的のために使用を開始するに至った日をいいますので、例えば、機械等を購入した場合は、機械を工場内に搬入しただけでは事業の用に供したとはいえず、その機械を据え付け、試運転を完了し、製品等の生産を開始した日が事業の用に供した日となります。
なお、事業の用に供した日とは、資産を物理的に使用し始めた日のみをいうのではなく、例えば、賃貸マンションの場合には、建物が完成し、現実の入居がなかった場合でも、入居募集を始めていれば、事業の用に供したものと考えられます。
★リンクはこちら⇒ 事業の用に供した日
租税特別措置法関係通達(法人税編)の一部改正について(法令解釈通達)(課法2-26 課審6-7 令和6年10月11日)
昭和50年2月14日付直法2-2「租税特別措置法関係通達(法人税編)の制定について」(法令解釈通達)の一部を別紙のとおり改正したから、これによられたい。
(注)アンダーラインを付した箇所が改正した箇所である。
★リンクはこちら⇒ 租税特別措置法関係通達(法人税編)の一部改正について(法令解釈通達)(課法2-26 課審6-7 令和6年10月11日)
令和6年8月5日付課法2-21ほか2課共同「法人税基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)の趣旨説明
第1 法人税基本通達関係
1 定義
【新設】18-1-7の2(総収入金額の円換算)
【新設】18-1-40の2(本店配賦経費がある場合の恒久的施設等の作成されることとなる個別財務諸表)
【新設】18-1-46の2(直接又は間接保有の持分)
【新設】18-1-46の3(会社等の持分)
【新設】18-1-46の4(割引率として合理的と認められるもの)
【新設】18-1-80の2(利益の配当に係る被配分当期対象租税額等に含まれないものの額)
【新設】18-1-80の3(導管会社等に対する持分を有することにより受けることができると見込まれる収益の額)
2 国際最低課税額
【新設】18-2-1の2(構成会社等の所在地国における勤務割合が50%を超える場合の特定費用の額)
【新設】18-2-1の3(特定費用の額又は特定資産の額に係る取扱い)
【新設】18-2-2の2(構成会社等の所在地国における所在割合が50%を超える場合の特定資産の額)
【新設】18-2-8の2(所在地国等財務諸表が作成されていない場合)
3 その他
【新設】18-3-1(課税標準国際最低課税額の円換算)
第2 「法人税基本通達の一部改正について」通達関係
経過的取扱い
【新設】(経過的取扱い(3)…特定会計処理に準ずる会計処理)
【新設】(経過的取扱い(4)…収入金額及び税引前当期利益の額の円換算)
【新設】(経過的取扱い(5)…その他これに準ずる金額の例示)
★リンクはこちら⇒ 令和6年8月5日付課法2-21ほか2課共同「法人税基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)の趣旨説明
令和6年版法人税のあらましと申告の手引
法人税・地方法人税に関する基本的事項を「法人税のあらましと申告の手引」に、法人税・地方法人税申告書の別表を作成する際の留意事項を「申告書作成上の留意点」に、中小企業者の判定方法を「中小企業者の判定等フロー」にそれぞれまとめましたので、ご活用ください。
各別表の記載の仕方については、各別表様式の記載要領のほか、この手引の「申告書作成上の留意点」を参照してください。
★令和6年版法人税のあらましと申告の手引はこちら⇒ 令和6年版法人税のあらましと申告の手引
★令和6年版申告書作成上の留意点はこちら⇒ 令和6年版申告書作成上の留意点
★令和6年版中小企業者の判定等フロー⇒ 令和6年版中小企業者の判定等フロー
令和6年6月21日付課法2-14ほか1課共同「法人税基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)の趣旨説明
この趣旨説明は、令和6年6月21日現在の法令に基づいて作成している。
目次
<第1 法人税基本通達関係>
1.組織再編成
【新設】1-4-12(工業所有権等の意義)
【改正】1-4-13(内部取引その他これに準ずるものの例示)
2.有価証券等の譲渡損益、時価評価損益等
【新設】2-3-67の5(棚卸資産の評価方法の選定等に係る取扱いの準用)
<第2 租税特別措置法関係通達(法人税編)関係>
1.第42条の11の3《地方活力向上地域等において特定建物等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除》関係
【新設】42の11の3-4(取得価額の合計額が80億円を超えるかどうかの判定)
【新設】42の11の3-5(2以上の事業年度において事業の用に供した場合の取得価額の計算)
2.第42条の12の5《給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除》関係
【改正】42の12の5-1の3(中小企業者であるかどうかの判定の時期)
【改正】42の12の5-2(補塡額の範囲)
【改正】42の12の5-5(被合併法人等が有する繰越税額控除限度超過額)
3.第42条の12の7《事業適応設備を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除》関係
【新設】42の12の7-4(中小企業者であるかどうかの判定の時期)
4.第46条《輸出事業用資産の割増償却》関係
【新設】46-2(開発研究の意義)
5.第66条の2《株式等を対価とする株式の譲渡に係る所得の計算の特例》関係
【新設】66の2-4(本制度の適用対象から除外されない同族会社の範囲)
6.経過的取扱い
【新設】(経過的取扱い(2)…補塡額の範囲に関する改正通達の適用時期の取扱い)
★リンクはこちら⇒ 令和6年6月21日付課法2-14ほか1課共同「法人税基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)の趣旨説明
減価償却資産の取得価額に含めないことができる付随費用
購入した減価償却資産の取得価額には、原則として、その資産の購入代価とその資産を事業の用に供するために直接要した費用が含まれます。
また、引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税などその資産の購入のために要した費用も含まれます。
ただし、次に掲げるような費用については、減価償却資産の取得に関連して支出した費用であっても、取得価額に算入しないことができます。
<取得価額に含めないことができる付随費用>
1 |
次のような租税公課等
(1)不動産取得税または自動車取得税
(2)新増設に係る事業所税
(3)登録免許税その他登記または登録のために要する費用 |
2 |
建物の建設等のために行った調査、測量、設計、基礎工事等でその建設計画を変更したことにより不要となったものに係る費用 |
3 |
いったん結んだ減価償却資産の取得に関する契約を解除して、他の減価償却資産を取得することにした場合に支出する違約金 |
4 |
減価償却資産を取得するための借入金の利子(使用を開始するまでの期間に係る部分)
(注)使用を開始した後の期間に係る借入金の利子は、期間の経過に応じて損金の額に算入します。 |
5 |
割賦販売契約などによって購入した減価償却資産の取得価額のうち、契約において購入代価と割賦期間分の利息や売手側の代金回収のための費用等が明らかに区分されている場合のその利息や費用 |
★リンクはこちら⇒ 減価償却資産の取得価額に含めないことができる付随費用
養老保険の保険料の取扱い(令和元年7月8日前契約分)
法人が契約者となり、役員または使用人を被保険者とする養老保険に加入して支払った保険料は、保険金の受取人に応じて次のとおり取り扱われます。
なお、養老保険とは、満期または被保険者の死亡によって保険金が支払われる生命保険です。
<保険料の取扱い>
1.死亡保険金および生存保険金の受取人が法人の場合
その支払った保険料の額は、保険事故の発生または保険契約の解除もしくは失効によりその保険契約が終了する時まで損金の額に算入されず、資産に計上する必要があります。
2.死亡保険金および生存保険金の受取人が被保険者またはその遺族の場合
その支払った保険料の額は、その役員または使用人に対する給与となります。
なお、給与とされた保険料は、その役員または使用人の生命保険料控除の対象となります。
3.死亡保険金の受取人が被保険者の遺族で、生存保険金の受取人が法人の場合
その支払った保険料の額のうち、その2分の1に相当する金額は上記1により資産に計上し、残額は期間の経過に応じて損金の額に算入します。
ただし、役員または部課長その他特定の使用人のみを被保険者としている場合には、その残額はそれぞれその役員または使用人に対する給与になります(給与とされた保険料の取扱いについては上記2と同様となります。)。
(注1)
傷害特約などの特約がある場合は、その特約部分の保険料の額を期間の経過に応じて損金の額に算入することができます。ただし、役員または部課長その他特定の使用人のみを傷害特約等に係る給付金の受取人としている場合には、その特約部分の保険料の額は、その役員または使用人に対する給与となります。
(注2)役員に対する給与とされる保険料の額で法人が経常的に負担するものは、その役員が受ける経済的な利益の額が毎月おおむね一定であるので、定期同額給与となります。
★リンクはこちら⇒ 養老保険の保険料の取扱い(令和元年7月8日前契約分)
他人の建物に対する造作の耐用年数
法人が建物を賃借し、その建物に造作した場合には、自己が所有している建物に対して行った資本的支出とは異なりその造作を一の資産として、その造作した建物の耐用年数およびその造作の種類・用途・使用材質等を勘案して合理的に耐用年数を見積もることとされています。
また、建物附属設備に造作した場合には、その建物附属設備の耐用年数により、その造作を償却します。
ただし、その造作した建物について賃借期間の定めがあり、その賃借期間の更新ができないもので、かつ、有益費の請求または買取請求をすることができないものについては、その賃借期間を耐用年数として、これらの造作を償却することができます。
なお、同一の建物についてされた造作は、そのすべてをまとめて一の資産として償却をしますから、その耐用年数は、造作の種類別に見積もるのではなく、その造作全部を一の資産として総合して見積もることになります。
★リンクはこちら⇒ 他人の建物に対する造作の耐用年数
ソフトウエアの取得価額と耐用年数
ソフトウエアは、減価償却資産(無形固定資産)に該当し、その取得価額および耐用年数は次のとおりです。
<取得価額>
1.取得の形態による取得価額の計算方法
(1)購入した場合
購入の代価+購入に要した費用の額+事業の用に供するために直接要した費用の額
(注)
そのソフトウエアの導入に当たって必要とされる設定作業および自社の仕様に合わせるために行う付随的な修正作業等の費用の額は、取得価額に算入します。
(2)自社で製作した場合
製作に要した原材料費、労務費および経費の額+事業の用に供するために直接要した費用の額
(注1)
既に有しているソフトウエアまたは購入したパッケージソフトウエア等(以下「既存ソフトウエア等」といいます。)の仕様を大幅に変更して、新たなソフトウエアを製作するための費用の額は、その新たなソフトウエアの取得価額になりますが、その場合(新たなソフトウエアを製作することに伴い、その製作後既存ソフトウエア等を利用することが見込まれない場合に限ります。)におけるその既存ソフトウエア等の残存簿価は、その新たなソフトウエアの製作のために要した原材料費となります。
(注2)
市場販売目的のソフトウエアにつき、完成品となるまでの間に製品マスターに要した改良または強化に係る費用の額は、そのソフトウエアの取得価額に算入します。
2.取得価額に算入しないことができる費用
次のような費用の額は、取得価額に算入しないことができます。
(1) |
自己の製作に係るソフトウエアの製作計画の変更等により、いわゆる仕損じがあったため不要となったことが明らかなものに係る費用の額 |
(2) |
研究開発費の額(自社利用のソフトウエアに係る研究開発費の額については、その自社利用ソフトウエアの利用により将来の収益獲得または費用削減にならないことが明らかな場合におけるその研究開発費の額に限ります。) |
(3) |
製作等のために要した間接費、付随費用等で、その合計額が少額(その製作原価のおおむね3パーセント以内の金額)であるもの |
<耐用年数>
ソフトウエアの耐用年数については、その利用目的に応じて次のとおりです。
1 |
「複写して販売するための原本」または「研究開発用のもの」 |
3年 |
2 |
「その他のもの」 |
5年 |
★リンクはこちら⇒ ソフトウエアの取得価額と耐用年数
中古資産の耐用年数
中古資産を取得して事業の用に供した場合には、その資産の耐用年数は、法定耐用年数ではなく、その事業の用に供した時以後の使用可能期間として見積もられる年数によることができます。
また、使用可能期間の見積りが困難であるときは、簡便法により算定した年数によることができます。
ただし、その中古資産を事業の用に供するために支出した資本的支出の金額がその中古資産の再取得価額(中古資産と同じ新品のものを取得する場合のその取得価額をいいます。)の50パーセントに相当する金額を超える場合には、使用可能期間の見積りや簡便法による耐用年数の算定をすることはできず、法定耐用年数を適用することになります。
<計算方法・計算式>
簡便法による耐用年数の算定方法は、次のとおりです。
1.法定耐用年数の全部を経過した資産
その法定耐用年数の20パーセントに相当する年数
2.法定耐用年数の一部を経過した資産
その法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数に経過年数の20パーセントに相当する年数を加えた年数
なお、これらの計算により算出した年数に1年未満の端数があるときは、その端数を切り捨て、その年数が2年に満たない場合には2年とします。
(注)
中古資産の耐用年数の算定は、その中古資産を事業の用に供した事業年度においてすることができるものですから、その事業年度において耐用年数の算定をしなかったときは、その後の事業年度において耐用年数の算定をすることはできません。
<具体例>
法定耐用年数が30年で、経過年数が10年の中古資産の簡便法による見積耐用年数
【計算】
1.法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数
30年-10年=20年
2.経過年数10年の20パーセントに相当する年数
10年×20%=2年
3.耐用年数
20年+2年=22年
★リンクはこちら⇒ 中古資産の耐用年数
修繕費とならないものの判定
固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち、その固定資産の維持管理や原状回復のために要したと認められる部分の金額は、修繕費として支出した時に損金算入が認められます。
ただし、その修理、改良等が固定資産の使用可能期間を延長させ、または価値を増加させるものである場合は、その延長および増加させる部分に対応する金額は、修繕費とはならず、資本的支出となります。
<修繕費になるかどうかの判定>
修繕費になるかどうかの判定は修繕費、改良費などの名目によって判断するのではなく、その実質によって判定します。
例えば、次のような支出は原則として修繕費にはならず資本的支出となります。
- 建物の避難階段の取付けなど、物理的に付け加えた部分の金額
- 用途変更のための模様替えなど、改造や改装に直接要した金額
- 機械の部分品を特に品質や性能の高いものに取り替えた場合で、その取替えの金額のうち通常の取替えの金額を超える部分の金額
ただし、一つの修理や改良などの金額が20万円未満の場合またはおおむね3年以内の期間を周期として行われることが既往の実績その他の事情からみて明らかな修理、改良などである場合は、その支出した金額を修繕費とすることができます。
<修繕費であるか資本的支出であるかが明らかでない金額がある場合>
次に、一つの修理、改良などの金額のうちに、修繕費であるか資本的支出であるかが明らかでない金額がある場合には、次の基準によりその区分を行うことができます。
- その支出した金額が60万円未満のときまたはその支出した金額がその固定資産の前事業年度終了の時における取得価額のおおむね10パーセント相当額以下であるときは修繕費とすることができます。
- 法人が継続してその支出した金額の30パーセント相当額とその固定資産の前事業年度終了の時における取得価額の10パーセント相当額とのいずれか少ない金額を修繕費とし、残額を資本的支出としているときは、その処理が認められます。ただし、上記の一つの修理、改修などの金額が20万円未満の場合またはおおむね3年以内の期間を周期として行われることが明らかな修理、改修などである場合の費用および上記1の適用のある支出額については、それぞれの取扱いが優先して適用されます。
<災害により固定資産について被害を受けた場合>
災害により被害を受けた固定資産(被災資産)について支出した金額については、次により資本的支出と修繕費の区分をします。
ただし、評価損を計上した被災資産を除きます。
- 被災資産につきその原状を回復するために支出した金額は修繕費とします。
- 被災資産の被災前の効用を維持するために行う補強工事、排水または土砂崩れの防止などのために支出した金額については、法人が修繕費とする経理を行っている場合はその処理が認められます。
- 法人が賃借資産(賃借をしている土地、建物、機械装置等をいいます。)につき修繕等の補修義務がない場合においても、その賃借資産が災害により被害を受けたため、その法人が、その賃借資産の原状回復のための補修を行い、その補修のために要した費用を修繕費として経理したときは、その処理が認められます。
法人が修繕等の補修義務がない販売をしたまたは賃貸をしている資産につき補修のための費用を支出した場合においても同様です。
- 被災資産について支出した金額(上記1および2の金額は除きます。)のうち、修繕費であるか資本的支出であるかが明らかでないものがある場合において、法人がその金額の30パーセント相当額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理を行っているときは、その処理が認められます。
ただし、被災資産の復旧に代えて新規に資産を取得したり、災害の発生を契機としての貯水池や避難緑地などを設置したりする場合は、新たな資産の取得になりますので、修繕費としての処理は認められません。
★リンクはこちら⇒ 修繕費とならないものの判定
資本的支出後の減価償却資産の償却方法等
<原則>
減価償却資産に対して資本的支出を行った場合、その資本的支出は、その支出金額を固有の取得価額として、資本的支出の対象資産である既存減価償却資産本体(以下「旧減価償却資産」といいます。)と種類および耐用年数を同じくする新たな減価償却資産(以下「追加償却資産」といいます。)を取得したものとして、その種類と耐用年数に応じて償却を行うこととなります。
一方、旧減価償却資産については、この資本的支出を行った後においても、現に採用されている償却方法による償却を継続して行うこととなります。
<平成19年3月31日以前に取得をされた減価償却資産に資本的支出を行った場合>
平成19年3月31日以前に取得をされた減価償却資産に対して資本的支出を行った場合には、その資本的支出を行った事業年度(以下「資本的支出事業年度」といいます。)において、その資本的支出の金額を旧減価償却資産の取得価額に加算して償却を行う方法も認められます。
ただし、この方法による場合には、旧減価償却資産の種類、耐用年数および償却方法に基づいて、加算を行った資本的支出部分を含めた減価償却資産全体の償却を行うこととなります。
【設例】3月決算法人

(注)
一旦、資本的支出部分を加算した減価償却資産全体について、資本的支出事業年度に償却費の計上を行った場合には、その翌事業年度以後において、その資本的支出を上記の「原則」の新たに取得をしたものとして償却する方法は採用できません。
<平成24年4月1日以後に取得をされた減価償却資産(定率法適用)に資本的支出を行った場合>
法人の有する減価償却資産について定率法を採用している場合には、適用される償却率が同じ旧減価償却資産と追加償却資産については、資本的支出事業年度の翌事業年度開始の時において、その旧減価償却資産の帳簿価額と追加償却資産の帳簿価額との合計額を取得価額とする一の減価償却資産を新たに取得したものとすることができます。
この場合、新たに取得したものとされる一の減価償却資産については、翌事業年度開始の日を取得日として、旧減価償却資産の種類および耐用年数に基づいて償却を行うこととなります。
【設例】4月決算法人

なお、平成19年4月1日から平成24年3月31日までの間に取得された旧減価償却資産に対して、資本的支出を行った場合には、旧減価償却資産は250%定率法、追加償却資産は200%定率法により、それぞれ異なる償却率が適用されるため、この特例の適用はありません。
【設例】3月決算法人

(注)
一旦、資本的支出部分を含めて減価償却資産全体に対して、資本的支出事業年度の翌事業年度において償却費の計上を行った場合には、その翌々事業年度以後において、その資本的支出を上記の「原則」の新たに取得をしたものとして償却する方法は採用できません。
<同一事業年度内に複数回の資本的支出を行った場合>
同一事業年度内に減価償却資産に対して行った資本的支出が複数回ある場合に、その各資本的支出について定率法を採用し、かつ、上記の「平成24年4月1日以後に取得をされた減価償却資産に資本的支出を行った場合」の適用を受けないときは、その資本的支出事業年度の翌事業年度開始の時において、その資本的支出のうち種類および耐用年数を同じくするもののその事業年度開始の時の帳簿価額の合計額を取得価額とする一の減価償却資産を新たに取得したものとすることができます。
この場合、新たに取得したものとされる一の減価償却資産については、翌事業年度開始の日を取得日として、旧減価償却資産と同じ種類および耐用年数に基づいて償却を行うこととなります。
【設例】4月決算法人

(注1)
旧減価償却資産と合算した資本的支出については、資本的支出事業年度の翌々事業年度以後において、他の資本的支出との合算は選択できません。
(注2)
他の資本的支出と合算した資本的支出については、その資本的支出事業年度の翌々事業年度において、旧減価償却資産本体との合算は選択できません。
(注3)
旧減価償却資産に合算する複数の資本的支出の組合せ、または資本的支出間の合算の組合せは選択的に行うことができます。
ただし、一旦合算した組合せで翌事業年度に償却費の計上を行った場合には、翌々事業年度以後において、他の合算の組合せに変更することはできません。
★リンクはこちら⇒ 資本的支出後の減価償却資産の償却方法等
減価償却資産の償却方法の変更手続
減価償却資産の償却方法を変更しようとするときは、原則として、新たな償却方法を採用しようとする事業年度開始の日の前日までに償却方法を変更しようとする理由などを記載した「減価償却資産の償却方法の変更承認申請書」を所轄税務署長に提出して、所轄税務署長の承認を受けなければなりません。
なお、償却方法の変更申請は、その法人が現によっている償却の方法を採用してから相当期間を経過していないとき、または変更しようとする償却の方法によっては各事業年度の所得の金額の計算が適正に行われ難いと認められるときは、承認されませんのでご注意ください。
(注)
その法人が現によっている償却の方法を採用してから3年を経過していない場合は、その変更が合併や分割に伴うものである等特別な理由があるときを除き、相当の期間を経過していないときに該当します。
<申告先等>
所轄税務署
<提出書類等>
減価償却資産の償却方法の変更承認申請書
★リンクはこちら⇒ 減価償却資産の償却方法の変更手続
鉱業用減価償却資産(建物、建物附属設備及び構築物に限る。)の償却方法の選定手続(平成28年4月1日以後取得分)
平成28年度の税制改正により、平成28年4月1日以後に取得をされた建物附属設備および構築物ならびに鉱業用の建物、建物附属設備および構築物の償却限度額の計算上選定をすることができる償却方法について、定率法が廃止されましたので、建物附属設備および構築物についての償却方法は「定額法」を、鉱業用の建物、建物附属設備および構築物についての償却方法は「定額法」または「生産高比例法」のいずれかを選定することとなります。
鉱業用の建物、建物附属設備および構築物の償却方法の選定手続は次のとおりとなります。
<償却方法の選定>
法人は、平成28年4月1日以後に取得をされた鉱業用の建物、建物附属設備および構築物の償却方法について、平成28年3月31日以前に取得をされたものと区分した上で、資産の種類ごとや事務所または船舶ごとに選定し、確定申告書の提出期限までに、「減価償却資産の償却方法の届出書」を税務署長に届け出ることとされています。
<償却方法のみなし選定>
平成19年3月31日以前に取得をされた鉱業用減価償却資産につき「旧定額法」または「旧生産高比例法」を選定している場合において、平成28年4月1日以後に取得をされた鉱業用の建物、建物附属設備および構築物で、平成19年3月31日前に取得をされるとしたならば、同日以前に取得をされた減価償却資産と同一の区分に属するものにつき「減価償却資産の償却方法の届出書」を提出していないときは、それぞれが選定していた償却方法の区分に応じた選定をしたとみなされ、それぞれ「定額法」または「生産高比例法」を適用することになります。
なお、平成28年3月31日以前に取得をされた鉱業用減価償却資産につき「定額法」を選定している場合において、平成28年4月1日以後に取得をされた鉱業用の建物、建物附属設備および構築物で、平成28年3月31日以前に取得をされるとしたならば、同日以前に取得をされた減価償却資産と同一の区分に属するものにつき「減価償却資産の償却方法の届出書」を提出していないときは、「定額法」を選定したものとみなされます。
<法定償却方法>
「減価償却資産の償却方法の届出書」の提出をしていない場合で、上記「償却方法のみなし選定」に該当しないときは、法定償却方法を適用することになります。
したがって、例えば、鉱業用の建物の法定償却方法は生産高比例法ですので、定額法の選定を希望される場合は、「減価償却資産の償却方法の届出書」を提出する必要があります。
<申告先等>
所轄税務署
<提出書類等>
減価償却資産の償却方法の届出書
★リンクはこちら⇒ 鉱業用減価償却資産(建物、建物附属設備及び構築物に限る。)の償却方法の選定手続(平成28年4月1日以後取得分)
減価償却資産(平成28年4月1日以後に取得をされた鉱業用の建物、建物附属設備及び構築物を除く。)の償却方法の選定手続(平成19年4月1日以後取得分)
<概要>
平成19年度の税制改正により、平成19年4月1日以後に取得をされた減価償却資産の償却限度額についての償却方法、償却率等が改正され、この減価償却資産について新たな償却方法を採用するための選定手続が次のとおりとされました。
(注)
平成28年4月1日以後に取得をされた鉱業用の建物、建物附属設備および構築物の償却方法の選定手続については、コード5409-2「鉱業用減価償却資産(建物、建物附属設備及び構築物に限る。)の償却方法の選定手続(平成28年4月1日以後取得分)」を参照してください。
【減価償却資産の償却方法の選定】
法人は、平成19年4月1日以後に取得をされた減価償却資産の償却方法について、平成19年3月31日以前に取得をされたものと区分した上で、資産の種類ごとや事務所または船舶ごとに選定し、確定申告書の提出期限までに、「減価償却資産の償却方法の届出書」を税務署長に届け出ることとされています。
【償却方法のみなし選定】
平成19年3月31日以前に取得をされた減価償却資産について、「旧定額法」、「旧定率法」または「旧生産高比例法」を選定している場合において、平成19年4月1日以後に取得をされた減価償却資産で、同日前に取得をされたとしたならば、平成19年3月31日以前に取得をされた資産と同一の区分に属するものについては、「減価償却資産の償却方法の届出書」を提出していないときは、それぞれが選定していた償却方法の区分に応じた選定をしたとみなされ、それぞれ「定額法」、「定率法」または「生産高比例法」を適用することになります。
【法定償却方法】
「減価償却資産の償却方法の届出書」の提出をしていない場合で、上記「償却方法のみなし選定」に該当しないときは、平成19年4月1日以後に取得をされた減価償却資産の償却方法は、法定償却方法を適用することになります。
したがって、例えば、機械および装置の法定償却方法は定率法ですので、定額法の選定を希望される場合は、「減価償却資産の償却方法の届出書」を提出する必要があります。
<申告先等>
所轄税務署
<提出書類等>
減価償却資産の償却方法の届出書
★リンクはこちら⇒ 減価償却資産(平成28年4月1日以後に取得をされた鉱業用の建物、建物附属設備及び構築物を除く。)の償却方法の選定手続(平成19年4月1日以後取得分)償却資産の償却限度額の計算方法(平成19年4月1日以後取得分)
減価償却資産の償却限度額の計算方法(平成19年4月1日以後取得分)
<概要>
平成19年度税制改正により、平成19年4月1日以後に取得をされた減価償却資産については、償却可能限度額および残存価額が廃止され、耐用年数経過時に残存簿価1円まで償却できるようになるとともに、新たな償却方法として、従前における計算の仕組みとは異なる定額法や定率法などが導入されました。
この改正により、平成19年4月1日以後に取得をされた減価償却資産の償却限度額についての計算方法等は次のとおりとなります。
なお、法人が平成19年3月31日以前に取得をし、かつ、同年4月1日以後に事業の用に供した減価償却資産については、その事業の用に供した日において取得をしたものとみなされますので、これらの新たな償却方法が適用されることになります。
また、平成23年12月の税制改正により、平成24年4月1日以後に取得をされた減価償却資産に適用される定率法の償却率について、定額法の償却率を2.5倍した償却率(以下この償却率による償却方法を「250%定率法」といいます。)から、定額法の償却率を2倍した償却率(以下この償却率による償却方法を「200%定率法」といいます。)に引き下げられました(「保証率」および「改定償却率」についても、この償却率の改正に合わせて見直されました。)。
この改正に伴い、平成24年4月1日前に開始し、かつ、同日以後に終了する事業年度において同日以後の期間内に取得をされる減価償却資産に適用される償却費や、平成24年3月31日以前に取得をされた減価償却資産に適用される償却費について、法人の事務負担の軽減を図るための措置が講じられています。
<計算方法・計算式>
【定額法】
定額法とは、次の算式により計算した金額を各事業年度の償却限度額とする方法です。
(算式)
定額法の償却限度額=取得価額×定額法の償却率(注) |
(注)「定額法の償却率」は耐用年数省令別表第八に規定されています。
【定率法】
定率法とは、次の算式1により計算した金額(以下「調整前償却額」といいます。)を各事業年度の償却限度額とする方法です。
ただし、調整前償却額が償却保証額(注1)に満たない場合は、次の算式2により計算した金額が各事業年度の償却限度額となります。
(算式1)
定率法の償却限度額=(取得価額-既償却額(注2))×定率法の償却率(注3) |
(算式2)
調整前償却額が償却保証額に満たない場合の定率法の償却限度額=改定取得価額(注4)×改定償却率(注5) |
(注1)
「償却保証額」とは、減価償却資産の取得価額にその減価償却資産の耐用年数に応じた保証率(耐用年数省令別表第九、十に規定されています。)を乗じて計算した金額です。
(注2)
「既償却額」とは、前事業年度までに損金の額に算入された償却費の累積額です。
(注3)
「定率法の償却率」は耐用年数省令別表第九、第十に規定されています。
(注4)
「改定取得価額」とは、原則として、調整前償却額が最初に償却保証額に満たなくなる事業年度の期首未償却残高(取得価額から既償却費を控除した後の金額)をいいます。
(注5)
「改定償却率」は耐用年数省令別表第九、第十に規定されています。
【生産高比例法】
生産高比例法とは、次の算式により計算した金額を各事業年度の償却限度額とする方法です。
(算式)
生産高比例法の償却限度額=(鉱業用減価償却資産の取得価額÷その資産の耐用年数(注)の期間内におけるその資産の属する鉱区の採掘予定数量)×その事業年度におけるその鉱区の採掘数量 |
(注)その資産の属する鉱区の採掘予定年数がその資産の耐用年数より短い場合には、その採掘予定年数になります。
【リース期間定額法】
リース期間定額法とは、次の算式により計算した金額を各事業年度の償却限度額とする方法です。
なお、リース期間定額法は、平成20年4月1日以後に締結された所有権移転外リース取引(注1)により賃借人が取得したものとされる減価償却資産について適用されます。
(算式)
リース期間定額法の償却限度額=((リース資産の取得価額-残価保証額(注2))÷リース期間の月数)×その事業年度におけるそのリース期間の月数 |
(注1)
「所有権移転外リース取引」については、コード5704「所有権移転外リース取引」を参照してください。
(注2)
「残価保証額」とは、リース期間終了の時にリース資産の処分価額が所有権移転外リース取引に係る契約において定められている保証額に満たない場合にその満たない部分の金額を賃借人が支払うこととされている場合におけるその保証額をいいます。
≪具体例≫
1.定額法
取得年月日 平成19年4月1日(3月決算法人)
取得価額 100万円
耐用年数 8年 定額法の償却率 0.125
なお、各事業年度の償却費の額は償却限度額相当額とします。
(単位:円)
事業年度
(至) |
償却費(償却限度額) |
償却累積額 |
未償却残高 |
20.3.31 |
1,000,000× 0.125×12÷12=125,000 |
125,000 |
875,000 |
21.3.31 |
1,000,000× 0.125×12÷12=125,000 |
250,000 |
750,000 |
22.3.31 |
1,000,000× 0.125×12÷12=125,000 |
375,000 |
625,000 |
23.3.31 |
1,000,000× 0.125×12÷12=125,000 |
500,000 |
500,000 |
24.3.31 |
1,000,000× 0.125×12÷12=125,000 |
625,000 |
375,000 |
25.3.31 |
1,000,000× 0.125×12÷12=125,000 |
750,000 |
250,000 |
26.3.31 |
1,000,000× 0.125×12÷12=125,000 |
875,000 |
125,000 |
27.3.31 |
1,000,000× 0.125×12÷12=125,000
→ 124,999 |
999,999 |
1 |
(注)8年目における計算上の償却限度額は12万5,000円ですが、残存簿価が1円になりますので、結果として実際の償却限度額は12万4,999円になります。
2.定率法
<200%定率法による計算例>
取得年月日 平成24年4月1日(3月決算法人)
取得価額 100万円
耐用年数 8年 償却率 0.250
改定償却率 0.334
保証率 0.07909(償却保証額79,090円)
なお、各事業年度の償却費の額は償却限度額相当額とします。
(単位:円)
事業年度
(至) |
償却費(償却限度額) |
償却累積額 |
未償却残高 |
25.3.31 |
1,000,000×0.250×12÷12=250,000 |
250,000 |
750,000 |
26.3.31 |
750,000×0.250×12÷12=187,500 |
437,500 |
562,500 |
27.3.31 |
562,500×0.250×12÷12=140,625 |
578,125 |
421,875 |
28.3.31 |
421,875×0.250×12÷12=105,468 |
683,593 |
316,407 |
29.3.31 |
316,407×0.250×12÷12=79,101 |
762,694 |
237,306 |
30.3.31 |
237,306×0.250×12÷12=59,326
< 償却保証額79,090
→ 237,306×0.334×12÷12=79,260 |
841,954 |
158,046 |
31.3.31 |
237,306×0.334×12÷12=79,260 |
921,214 |
78,786 |
R2.3.31 |
237,306×0.334×12÷12=79,260
→ 78,785 |
999,999 |
1 |
(注)8年目における計算上の償却限度額は79,260円ですが、残存簿価が1円になりますので、結果として実際の償却限度額は78,785円になります。
<250%定率法による計算例>
取得年月日 平成19年4月1日(3月決算法人)
取得価額 100万円
耐用年数 8年 償却率 0.313
改定償却率 0.334
保証率 0.05111(償却保証額51,110円)
なお、各事業年度の償却費の額は償却限度額相当額とします。
(単位:円)
事業年度
(至) |
償却費(償却限度額) |
償却累積額 |
未償却残高 |
20.3.31 |
1,000,000×0.313×12÷12=313,000 |
313,000 |
687,000 |
21.3.31 |
687,000×0.313×12÷12=215,031 |
528,031 |
471,969 |
22.3.31 |
471,969×0.313×12÷12=147,726 |
675,757 |
324,243 |
23.3.31 |
324,243×0.313×12÷12=101,488 |
777,245 |
222,755 |
24.3.31 |
222,755×0.313×12÷12=69,722 |
846,967 |
153,033 |
25.3.31 |
153,033×0.313×12÷12=47,899
< 償却保証額51,110
→ 153,033×0.334×12÷12=51,113 |
898,080 |
101,920 |
26.3.31 |
153,033×0.334×12÷12=51,113 |
949,193 |
50,807 |
27.3.31 |
153,033×0.334×12÷12=51,113
→ 50,806 |
999,999 |
1 |
(注)8年目における計算上の償却限度額は51,113円ですが、残存簿価が1円になりますので、結果として実際の償却限度額は50,806円になります。
★リンクはこちら⇒ 減価償却資産の償却限度額の計算方法(平成19年4月1日以後取得分)
減価償却資産の償却限度額の計算方法(平成19年3月31日以前取得分)
平成19年度税制改正により、平成19年3月31日以前に取得をされた減価償却資産の償却限度額についての計算方法等は、次のとおりとなりました。
<償却方法>
平成19年度税制改正前の償却方法の計算の仕組みが維持されつつ、その名称が、例えば、改正前の定額法は「旧定額法」、改正前の定率法は「旧定率法」というように改められました。
【旧定額法(改正前の定額法)】
旧定額法とは、次の算式により計算した金額を各事業年度の償却限度額とする方法です。
(算式)
旧定額法の償却限度額=(取得価額-残存価額(注1))×旧定額法の償却率(注2) |
(注1)「残存価額」は、取得価額に耐用年数省令別表第十一に規定されている残存割合を乗じた金額です。
(注2)「旧定額法の償却率」は耐用年数省令別表第七に規定されています。
【旧定率法(改正前の定率法)】
旧定率法とは、次の算式により計算した金額を各事業年度の償却限度額とする方法です。
(算式)
旧定率法の償却限度額=(取得価額-既償却額(注1))×旧定率法の償却率(注2) |
(注1)「既償却額」とは、前事業年度までに損金の額に算入された償却費の累積額です。
(注2)「旧定率法の償却率」は耐用年数省令別表第七に規定されています。
【旧生産高比例法(改正前の生産高比例法)】
旧生産高比例法とは、次の算式により計算した金額を各事業年度の償却限度額とする方法です。
(算式)
旧生産高比例法の償却限度額={(鉱業用減価償却資産の取得価額-残存価額(注1))/その資産の耐用年数(注2)の期間内におけるその資産の属する鉱区の採掘予定数量}×その事業年度におけるその鉱区の採掘数量 |
(注1)「残存価額」は、取得価額に耐用年数省令別表第十一に規定されている残存割合を乗じた金額です。
(注2)その資産の属する鉱区の採掘予定年数がその資産の耐用年数より短い場合には、その採掘予定年数になります。
<償却累積額による償却限度額の特例>
1.償却累積額が従前の償却可能限度額に到達する事業年度
平成19年3月31日以前に取得をされた減価償却資産で、そのよるべき償却方法として旧定額法、旧定率法、旧生産高比例法、旧国外リース期間定額法または旧リース期間定額法等を採用しているものについては、次の表に掲げる減価償却資産の各々の区分において、前事業年度までの各事業年度においてした償却の額(損金の額に算入されたものに限ります。以下同じ。)の累積額とその減価償却資産について採用している償却方法によるその事業年度の償却限度額との合計額が次の表の減価償却資産の区分に応じた金額(従前の償却可能限度額)を超える場合には、その償却限度額からその超える部分の金額を控除した金額がその事業年度における償却限度額となります。
減価償却資産の区分 |
金額 |
イ 建物等の有形減価償却資産(観賞用等の生物を含み、ロ、ホおよびヘに該当するものを除きます。) |
取得価額×95% |
ロ 坑道 |
取得価額 |
ハ 無形減価償却資産(ヘに該当するものを除きます。) |
ニ 生物(イに含まれるものおよびヘに該当するものを除きます。) |
取得価額-残存価額 |
ホ 国外リース資産(注) |
取得価額-見積残存価額 |
ヘ 旧リース期間定額法を採用しているリース賃貸資産(注) |
取得価額-残価保証額
(残価保証額がゼロの場合は1円) |
(注)ホおよびヘの資産は、平成20年3月31日以前に締結された契約に係るリース取引(平成19年度税制改正前の法人税法施行令第136条の3第1項に規定するリース取引に限ります。)の目的とされる減価償却資産です。
2.上記1の事業年度の翌事業年度以後の事業年度
平成19年3月31日以前に取得をされた減価償却資産で、そのよるべき償却方法として旧定額法、旧定率法、旧生産高比例法、旧国外リース期間定額法または旧リース期間定額法等を採用している上記の(1)の表の「イ 建物等の有形減価償却資産」および「ニ 生物」については、前事業年度までの各事業年度においてした償却の額の累積額が同表の右欄の金額(従前の償却可能限度額)に到達している場合には、その到達した事業年度の翌事業年度(平成19年4月1日以後に開始する事業年度に限られます。)以後において、次の算式により計算した金額を償却限度額として、残存簿価1円まで償却することができます。
(算式)
償却限度額=(取得価額-(1)の表のイまたはニの金額-1円)×各事業年度の月数/60 |
<注意事項>
法人が平成19年3月31日以前に取得をし、かつ、同年4月1日以後に事業の用に供した減価償却資産については、その事業の用に供した日において取得をしたものとみなされます。
★リンクはこちら⇒ 減価償却資産の償却限度額の計算方法(平成19年3月31日以前取得分)
役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)
平成29年度税制改正により、平成29年4月1日以後に役員給与の支給に係る決議(その決議が行われない場合にはその支給)が行われる役員給与の取扱いは、以下のとおりとなります。
(注)
新株予約権による給与および退職給与については、平成29年10月1日以後の役員給与の支給に係る決議(その決議が行われない場合にはその支給)が行われる役員給与から適用されます。
法人が役員に対して支給する給与(注)の額のうち次に掲げる定期同額給与、事前確定届出給与または一定の業績連動給与のいずれにも該当しないものの額は損金の額に算入されません。
ただし、次に掲げる給与のいずれかに該当するものであっても、不相当に高額な部分の金額は、損金の額に算入されません。
(注)
上記の給与からは、(1)退職給与で業績連動給与に該当しないもの、(2)左記(1)以外のもので使用人兼務役員に対して支給する使用人としての職務に対するものおよび(3)法人が事実を隠蔽し、または仮装して経理することによりその役員に対して支給するものは除かれます。
<定期同額給与>
定期同額給与とは、次に掲げる給与です。
1 |
その支給時期が1か月以下の一定の期間ごとである給与(以下「定期給与」といいます。)で、その事業年度の各支給時期における支給額または支給額から源泉税等の額(注)を控除した金額が同額であるもの
(注)
源泉税等の額とは、源泉徴収をされる所得税の額、特別徴収をされる地方税の額、定期給与の額から控除される社会保険料の額その他これらに類するものの額の合計額をいいます。
|
2 |
定期給与の額につき、次に掲げる改定(以下「給与改定」といいます。)がされた場合におけるその事業年度開始の日または給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日またはその事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額または支給額から源泉税等の額を控除した金額が同額であるもの |
(1) |
その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3か月(確定申告書の提出期限の特例に係る税務署長の指定を受けた場合にはその指定に係る月数に2を加えた月数)を経過する日(以下「3月経過日等」といいます。)まで(継続して毎年所定の時期にされる定期給与の額の改定で、その改訂が3月経過日等後にされることについて特別の事情があると認められる場合にはその改訂の時期まで)にされる定期給与の額の改定 |
(2) |
その事業年度においてその法人の役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情(以下「臨時改定事由」といいます。)によりされたこれらの役員に係る定期給与の額の改定(上記(1)に掲げる改定を除きます。) |
(3) |
その事業年度においてその法人の経営状況が著しく悪化したことその他これに類する理由(以下「業績悪化改定事由」といいます。)によりされた定期給与の額の改定(その定期給与の額を減額した改定に限られ、上記(1)および(2)に掲げる改定を除きます。) |
3 |
継続的に供与される経済的利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるもの |
<事前確定届出給与>
事前確定届出給与とは、その役員の職務につき所定の時期に、確定した額の金銭または確定した数の株式(出資を含みます。以下同じです。)もしくは新株予約権もしくは確定した額の金銭債権に係る特定譲渡制限付株式もしくは特定新株予約権を交付する旨の定め(以下「事前確定届出給与に関する定め」といいます。)に基づいて支給される給与で、上記の「定期同額給与」および下記の「業績連動給与」のいずれにも該当しないもの(承継譲渡制限付株式または承継新株予約権による給与を含み、次に掲げる場合に該当する場合には、それぞれ次に定める要件を満たすものに限ります。)をいいます。
1 |
その給与が次のいずれにも該当しない場合 事前確定届出給与に関する届出をしていること。 |
|
(1) |
定期給与を支給しない役員に対して同族会社に該当しない法人が支給する金銭による給与 |
|
(2) |
株式または新株予約権による給与で、将来の役務の提供に係る一定のもの |
|
(注1) |
(1)または(2)に該当する給与については、事前確定届出給与に関する届出は必要ありません。 |
|
(注2) |
将来の役務の提供に係る一定の給与とは、役員の職務につき株主総会、社員総会その他これらに準ずるもの(以下「株主総会等」といいます。)の決議(その職務の執行の開始の日から1か月を経過する日までにされるものに限ります。)により事前確定届出給与に関する定め(その決議の日から1か月を経過する日までに、特定譲渡制限付株式または特定新株予約権を交付する旨の定めに限ります。)をした場合のその定めに基づいて交付される特定譲渡制限付株式または特定新株予約権による給与をいいます。 |
2 |
株式を交付する場合 その株式が市場価格のある株式または市場価格のある株式と交換される株式(その法人または関係法人が発行したものに限ります。以下「適格株式」といいます。)であること。 |
3 |
新株予約権を交付する場合 その新株予約権がその行使により市場価格のある株式が交付される新株予約権(その法人または関係法人が発行したものに限ります。以下「適格新株予約権」といいます。)であること。 |
|
(注1) |
関係法人とは、その法人の役員の職務につき支給する給与(株式または新株予約権によるものに限ります。)に係る株主総会等の決議日からその株式または新株予約権を交付する日までの間、その法人と他の法人との間に当該他法人による支配関係が継続することが見込まれている場合の当該他の法人をいいます。 |
|
(注2) |
特定譲渡制限付株式とは、譲渡制限付株式(※)であって次に掲げる要件に該当するものをいいます。 |
|
1 |
その譲渡制限付株式がその役務の提供の対価としてその個人に生ずる債権の給付と引換えにその個人に交付されるものであること。 |
|
2 |
1に掲げるもののほか、その譲渡制限付株式(※)が実質的にその役務の提供の対価と認められるものであること。 |
|
(※) |
譲渡制限付株式とは、次の要件に該当する株式をいいます。 |
|
1 |
譲渡(担保権の設定その他の処分を含みます。)についての制限がされており、かつ、譲渡制限期間が設けられていること。 |
|
2 |
個人から役務提供を受ける法人またはその株式を発行し、もしくはその個人に交付した法人がその株式を無償で取得することとなる事由(その株式の交付を受けた個人が譲渡制限期間内の所定の期間勤務を継続しないこともしくはその個人の勤務実績が良好でないことその他のその個人の勤務の状況に基づく事由、またはこれらの法人の業績があらかじめ定めた基準に達しないことその他のこれらの法人の業績その他の指標の状況に基づく事由に限ります。)が定められていること。 |
|
(注3) |
特定新株予約権とは、譲渡制限付新株予約権(※)であって次に掲げる要件に該当するものをいいます。 |
|
1 |
その譲渡制限付新株予約権と引換えにする払込みに代えてその役務の提供の対価としてその個人に生ずる債権をもって相殺されること。 |
|
2 |
1に掲げるもののほか、その譲渡制限付新株予約権が実質的にその役務の提供の対価と認められるものであること。 |
|
(※) |
譲渡制限付新株予約権とは、発行法人から一定の権利の譲渡についての制限その他特別の条件が付されているものをいいます。 |
また、役員の職務につき、確定した額に相当する適格株式または適格新株予約権を交付する旨の定めに基づいて支給する給与(確定した額の金銭債権に係る特定譲渡制限付株式または特定新株予約権を交付する旨の定めに基づいて支給する給与を除きます。)は、確定した額の金銭を交付する旨の定めに基づいて支給する給与に該当するものとして取り扱われます。
<事前確定届出給与に関する届出期限>
1.原則
事前確定届出給与に関する定めをした場合は、原則として、次の(1)または(2)のうちいずれか早い日(新設法人がその役員のその設立の時に開始する職務についてその定めをした場合にはその設立の日以後2か月を経過する日)までに所定の届出書を提出する必要があります。
(1) |
株主総会等の決議によりその定めをした場合におけるその決議をした日(その決議をした日が職務の執行を開始する日後である場合にはその開始する日)から1か月を経過する日 |
(2) |
その会計期間開始の日から4か月(確定申告書の提出期限の延長の特例に係る税務署長の指定を受けている法人のうち、一定の通算法人については5か月、それ以外の法人についてはその指定に係る月数に3を加えた月数)を経過する日 |
2.臨時改定事由が生じたことにより事前確定届出給与に関する定めをした場合
臨時改定事由が生じたことによりその臨時改定事由に係る役員の職務について事前確定届出給与に関する定めをした場合には、次に掲げる日のうちいずれか遅い日が届出期限です。
(1) |
上記1の(1)または(2)のうちいずれか早い日(新設法人にあっては、その設立の日以後2か月を経過する日) |
(2) |
臨時改定事由が生じた日から1か月を経過する日 |
3.事前確定届出給与に関する定めを変更する場合
既に上記1または2の届出をしている法人が、その届出をした事前確定届出給与に関する定めの内容を変更する場合において、その変更が次に掲げる事由に基因するものであるときのその変更後の定めの内容に関する届出の届出期限は、次に掲げる事由の区分に応じてそれぞれ次に定める日です。
(1) |
臨時改定事由 |
|
その事由が生じた日から1か月を経過する日 |
(2) |
業績悪化改定事由(給与の支給額を減額し、または交付する株式もしくは新株予約権の数を減少させる場合に限ります。) |
|
その事由によりその定めの内容の変更に関する株主総会等の決議をした日から1か月を経過する日(変更前の直前の届出に係る定めに基づく給与の支給の日がその1か月を経過する日前にある場合には、その支給の日の前日) |
4.やむを得ない事情がある場合
上記1から3までの届出期限までに届出がなかった場合においても、その届出がなかったことについてやむを得ない事情があると認めるときは、それらの届出期限までに届出があったものとして事前確定届出給与の損金算入をすることができます。
<業績連動給与>
業績連動給与とは、利益の状況を示す指標、株式の市場価格の状況を示す指標その他の法人またはその法人との間に支配関係がある法人の業績を示す指標を基礎として算定される額または数の金銭または株式もしくは新株予約権による給与および特定譲渡制限付株式もしくは承継譲渡制限付株式または特定新株予約権もしくは承継新株予約権による給与で無償で取得され、または消滅する株式または新株予約権の数が役務の提供期間以外の事由により変動するものをいいます。
損金算入となる業績連動給与は、法人(同族会社にあっては同族会社以外の法人との間にその法人による完全支配関係があるものに限ります。)が、業務執行役員(※)に対して支給する業績連動給与(金銭以外の資産が交付されるものにあっては、適格株式または適格新株予約権が交付されるものに限ります。)で、次の1から3までのすべての要件を満たすもの(他の業務執行役員のすべてに対して次の要件を満たす業績連動給与を支給する場合に限ります。)となります。
(注)
業務執行役員とは、業務連動給与の算定方法の決定または手続の終了の日において、法人の業務を執行することとされている役員をいいます。
1.交付される金銭の額もしくは株式もしくは新株予約権の数または交付される新株予約権の数のうち無償で取得され、もしくは消滅する数の算定方法が、その給与に係る職務執行期間開始日以後に終了する事業年度の利益の状況を示す指標、株式の市場価格の状況を示す指標または売上高の状況を示す指標を基礎とした客観的なもので、次の要件を満たすものであること。
(1) |
確定額または確定数を限度としているものであり、かつ、他の業務執行役員に対して支給する業績連動給与に係る算定方法と同様のものであること。 |
(2) |
その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3か月(確定申告書の提出期限の延長の特例に係る税務署長の指定を受けた法人のうち、一定の通算法人については4か月、それ以外の法人についてはその指定に係る月数に2を加えた月数)を経過する日までに一定の報酬委員会等がその算定方法を決定していることその他これに準ずる一定の適正な手続を経ていること。 |
(3) |
その内容が上記(2)の適正手続終了の日以後遅滞なく、有価証券報告書に記載されていることその他一定の方法により開示されていること。 |
2.次に掲げる給与の区分に応じそれぞれ次の要件を満たすものであること。
(1)(2)に掲げる給与以外の給与
次に掲げる給与の区分に応じてそれぞれ次に定める日までに交付され、または交付される見込みであること。
イ |
金銭による給与
その金銭の額の算定の基礎とした利益の状況を示す指標、株式の市場価格の状況を示す指標または売上高の状況を示す指標の数値が確定した日の翌日から1か月を経過する日 |
ロ |
株式または新株予約権による給与
その株式または新株予約権の数の算定の基礎とした業績連動指標の数値が確定した日の翌日から2か月を経過する日 |
(2)特定新株予約権または承継新株予約権による給与で、無償で取得され、または消滅する新株予約権の数が役務の提供期間以外の事由により変動するもの
その特定新株予約権または承継新株予約権に係る特定新株予約権が業績連動給与の算定方法につき適正な手続の終了の日の翌日から1か月を経過する日までに交付されること。
3.損金経理をしていること(給与の見込額として損金経理により引当金勘定に繰り入れた金額を取り崩す方法により経理していることを含みます。)。
(※)この制度については、経済産業省ホームページに「「攻めの経営」を促す役員報酬-企業の持続的成長のためのインセンティブプラン導入の手引-」等(https://www.meti.go.jp/press/2021/06/20210607001/20210607001.html)が掲載されていますので、詳細はそちらをご参照ください。
★リンクはこちら⇒ 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)
役員に対する給与(平成29年4月1日前支給決議分)
法人が役員に対して支給する給与(注)の額のうち次に掲げる定期同額給与、事前確定届出給与または利益連動給与のいずれにも該当しないものの額は損金の額に算入されません。
ただし、次に掲げる給与のいずれかに該当するものであっても、不相当に高額な部分の金額は、損金の額に算入されません。
(注)
平成29年4月1日前に支給決議がなされたものに限ります。
なお、上記の給与からは、(1)退職給与、(2)法人税法第54条第1項に規定する新株予約権によるもの、(3)左記(1)および(2)以外のもので使用人兼務役員に対して支給する使用人としての職務に対するものならびに(4)法人が事実を隠蔽しまたは仮装して経理することによりその役員に対して支給するものは除かれます。
<定期同額給与>
定期同額給与とは、次に掲げる給与です。
1 |
その支給時期が1か月以下の一定の期間ごとである給与(以下「定期給与」といいます。)で、その事業年度の各支給時期における支給額が同額であるもの |
2 |
定期給与の額につき、次に掲げる改定(以下「給与改定」といいます。)がされた場合におけるその事業年度開始の日または給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日またはその事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額が同額であるもの |
(1) |
その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3か月を経過する日までに継続して毎年所定の時期にされる定期給与の額の改定。ただし、その3か月を経過する日後にされることについて特別の事情があると認められる場合にはその改定の時期にされたもの |
(2) |
その事業年度においてその法人の役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情(以下「臨時改定事由」といいます。)によりされたその役員に係る定期給与の額の改定(上記(1)に掲げる改定を除きます。) |
(3) |
その事業年度においてその法人の経営状況が著しく悪化したことその他これに類する理由(以下「業績悪化改定事由」といいます。)によりされた定期給与の額の改定(その定期給与の額を減額した改定に限られ、上記(1)および(2)に掲げる改定を除きます。) |
3 |
継続的に供与される経済的利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるもの |
<事前確定届出給与>
事前確定届出給与とは、その役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定め(以下「事前確定届出給与に関する定め」といいます。)に基づいて支給する給与(上記の「定期同額給与」および下記の「利益連動給与」を除きます。)で、次に掲げる場合に応じてそれぞれ次に定める届出期限までに納税地の所轄税務署長にその事前確定届出給与に関する定めの内容に関する届出をしているものです。
なお、同族会社以外の法人(注)が定期給与を支給しない役員に対して支給する給与については、その届出をする必要はありません。
(注)
同族会社に該当するかどうかの判定は、その法人が定期給与を支給しない役員の職務につき、その定めをした日(新設法人にあっては設立の日)の現況によります。
また、役員から受ける将来の役務の提供の対価として交付する特定譲渡制限付株式(※)およびその特定譲渡制限付株式に係る承継譲渡制限付株式による給与も、事前確定の届出は不要となります。
(※)
特定譲渡制限付株式とは、役員の職務につき株主総会等の決議(その職務の執行の開始の日から1か月を経過する日までにされるものに限ります。)によりその職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定め(その決議の日から1か月を経過する日までに、その職務につきその役員に生ずる債権の額に相当する特定譲渡制限付株式を交付する旨の定めに限ります。)をした場合のその定めに基づいて交付される特定譲渡制限付株式とされています。
1.原則
事前確定届出給与に関する定めをした場合は、原則として、次の(1)または(2)のうちいずれか早い日(新設法人がその役員のその設立の時に開始する職務についてその定めをした場合にはその設立の日以後2か月を経過する日)が届出期限です。
(1) |
株主総会、社員総会またはこれらに準ずるもの(以下「株主総会等」といいます。)の決議によりその定めをした場合におけるその決議をした日(その決議をした日が職務の執行を開始する日後である場合にはその開始する日)から1か月を経過する日 |
(2) |
その会計期間開始の日から4か月を経過する日 |
2.臨時改定事由により定めをした場合
臨時改定事由によりその臨時改定事由に係る役員の職務について事前確定届出給与に関する定めをした場合(その役員のその臨時改定事由が生ずる直前の職務について事前確定届出給与に関する定めがある場合を除きます。)は、次に掲げる日のうちいずれか遅い日が届出期限です。
(1) |
上記1の(1)または(2)のうちいずれか早い日(新設法人にあっては、その設立の日以後2か月を経過する日) |
(2) |
臨時改定事由が生じた日から1か月を経過する日 |
3.既に上記1または2の届出をしている法人が、その届出をした事前確定届出給与に関する定めの内容を変更する場合において、その変更が次に掲げる事由に基因するものであるときのその変更後の定めの内容に関する届出の届出期限は、次に掲げる事由の区分に応じてそれぞれ次に定める日です。
(1) |
臨時改定事由 |
|
その事由が生じた日から1か月を経過する日 |
(2) |
業績悪化改定事由(給与の額を減額する場合に限ります。) |
|
その事由によりその定めの内容の変更に関する株主総会等の決議をした日から1か月を経過する日(変更前の直前の届出に係る定めに基づく給与の支給の日が1か月を経過する日前にある場合には、その支給の日の前日) |
<利益連動給与>
同族会社以外の法人が業務を執行する役員に対して支給する利益連動給与(利益の状況を示す指標を基礎として算定される給与)で次の(1)から(3)までのすべての要件を満たすもの(他の業務を執行する役員のすべてに対しても次の要件を満たす連動給与を支給する場合に限られます。)となります。
1.その支給額の算定方法が、利益の額、利益の額に有価証券報告書に記載されるべき事項の調整を加えた指標等その事業年度の利益の状況を示す指標を基礎とした客観的なもので、次の要件を満たすものであること。
(1) |
確定額を限度としているものであり、かつ、他の業務を執行する役員に対して支給する利益連動給与に係る算定方法と同様のものであること。 |
(2) |
その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3か月を経過する日までに一定の報酬委員会が決定していることその他これに準ずる一定の適正な手続を経ていること。 |
(3) |
その内容が上記ロの決定または手続終了の日以後遅滞なく有価証券報告書に記載されていることその他一定の方法により開示されていること。 |
2.有価証券報告書に記載されるその事業年度の利益の状況を示す指標の数値が確定した後1か月以内に支払われ、または支払われる見込みであること。
3.損金経理をしていること。
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役員のうち使用人兼務役員になれない人
使用人兼務役員とは、役員のうち部長、課長、その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事する者をいいますが、次のような役員は、使用人兼務役員となりません。
なお、同族会社の使用人のうち税務上みなし役員とされる者も使用人兼務役員となりません。
<使用人兼務役員になれない役員の範囲>
- 代表取締役、代表執行役、代表理事および清算人
- 副社長、専務、常務その他これらに準ずる職制上の地位を有する役員
- 合名会社、合資会社および合同会社の業務執行社員
- 取締役(委員会設置会社の取締役に限ります。)、会計参与および監査役ならびに監事
- 上記1から4までのほか、同族会社の役員のうち所有割合(注1)によって判定した結果、次のすべての要件を満たす役員
(1) |
その会社の株主グループ(注2)をその所有割合の大きいものから順に並べた場合に、その役員が所有割合50パーセントを超える第一順位の株主グループに属しているか、第一順位と第二順位の株主グループの所有割合を合計したときに初めて50パーセントを超える場合のこれらの株主グループに属しているか、または第一順位から第三順位までの株主グループの所有割合を合計したときに初めて50パーセントを超える場合のこれらの株主グループに属していること。 |
(2) |
その役員の属する株主グループの所有割合が10パーセントを超えていること。 |
(3) |
その役員(その配偶者およびこれらの者の所有割合が50パーセントを超える場合における他の会社を含みます。)の所有割合が5パーセントを超えていること。 |
(注1)
「所有割合」とは、次に掲げる場合に応じて、それぞれ次に定める割合をいいます。
1 |
その会社がその株主等の有する株式または出資の数または金額による判定により同族会社に該当する場合 |
その株主グループの有する株式の数または出資の金額の合計額がその会社の発行済株式または出資(その会社が有する自己の株式または出資を除きます。)の総数または総額のうちに占める割合 |
2 |
その会社が一定の議決権による判定により同族会社に該当することとなる場合 |
その株主グループの有する議決権の数がその会社の議決権の総数(議決権を行使することができない株主等が有するその議決権を除きます。)のうちに占める割合 |
3 |
その会社が社員または業務執行社員の数による判定により同族会社に該当する場合 |
その株主グループに属する社員または業務執行社員の数がその会社の社員または業務執行社員の総数のうちに占める割合 |
(注2)
「株主グループ」とは、その会社の一の株主等およびその株主等と親族関係など特殊な関係のある個人や法人をいいます。
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役員の退職金の損金算入時期
法人が役員に支給する退職金で適正な額のものは、損金の額に算入されます。
その退職金の損金算入時期は、原則として、株主総会の決議等によって退職金の額が具体的に確定した日の属する事業年度となります。
ただし、法人が退職金を実際に支払った事業年度において、損金経理をした場合は、その支払った事業年度において損金の額に算入することも認められます。
(注1)
退職金の額が具体的に確定する事業年度より前の事業年度において、取締役会で内定した金額を損金経理により未払金に計上した場合であっても、未払金に計上した時点での損金の額に算入することはできません。
(注2)
法人が退職年金制度を実施している場合に支給する退職年金は、その年金を支給すべき事業年度が損金算入時期となります。
したがって、退職した時に年金の総額を計算して未払金に計上しても損金の額に算入することができません。
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使用人が役員へ昇格したとき又は役員が分掌変更したときの退職金
法人が退職した役員に対して支給する退職金で、その役員の業務に従事した期間、退職の事情、その法人と同業種同規模の法人の役員に対する退職金の支給状況などからみて相当であると認められる金額は、原則として、その退職金の額が確定した事業年度において損金の額に算入します。
なお、現実に退職はしていなくても、使用人が役員に昇格した場合または役員が分掌変更した場合の退職金については、それぞれ次によります。
<法人の使用人が役員に昇格した場合の退職金>
1.法人の使用人が役員に昇格した場合において、退職給与規程に基づき、使用人であった期間の退職金として計算される金額を支給したときは、その支給した事業年度の損金の額に算入されます。
ただし、未払金に計上した場合には損金の額に算入されませんので注意してください。
2.使用人兼務役員が、副社長や専務取締役など使用人兼務役員とされない役員となった場合において、使用人兼務役員であった期間の退職金として支給した金額は、たとえ使用人の職務に対する退職金として計算されているときであっても、その役員に対する退職金以外の給与となります。
ただし、その支給が次のいずれにも該当するものについては、その支給した金額は使用人としての退職金として取り扱われます。
(1) |
過去において使用人から使用人兼務役員に昇格した者(使用人であった期間が相当の期間であるものに限ります。)であり、その昇格をした時に使用人であった期間に係る退職金の支給をしていないこと。 |
(2) |
支給した金額が使用人としての退職給与規程に基づき、使用人であった期間および使用人兼務役員であった期間を通算して、その使用人としての職務に対する退職金として計算され、かつ、退職金として相当な金額であると認められること。 |
3.法人が退職給与規程を制定または改正して、使用人から役員に昇格した人に退職金を支給することとした場合に、その制定等の時に既に使用人から役員に昇格している人の全員に使用人であった期間の退職金をその制定の時に支給して損金の額に算入したときは、その支給が次のいずれにも該当するものについては、その損金の額に算入することが認められます。
(1) |
過去において、これらの人に使用人であった期間の退職金の支給をしていないこと。 |
この場合、中小企業退職金共済制度または確定拠出年金制度への移行等により、退職給与規程を制定または改正し、使用人に退職金を打切支給した場合でも、その支給に相当の理由があり、かつ、その後は過去の在職年数を加味しないこととしているときは、過去において、退職金を支給していないものとして取り扱われます。
(2) |
支給した退職金の額が、その役員が役員となった直前の給与の額を基礎として、その後のベースアップの状況等をしんしゃくして計算される退職金の額として相当な金額であること。 |
<役員が分掌変更した場合の退職金>
例えば、次のように、分掌変更によって役員としての地位や職務の内容が激変して、実質的に退職したと同様の事情にある場合に退職金として支給したものは退職金として取り扱うことができます。
ただし、未払金に計上したものは、原則として退職金に含まれません。
1.常勤役員が非常勤役員になったこと。
ただし、常勤していなくても代表権があったり、実質的にその法人の経営上主要な地位にある場合は除かれます。
2.取締役が監査役になったこと。
ただし、監査役でありながら実質的にその法人の経営上主要な地位を占めている場合や、使用人兼務役員として認められない大株主である場合は除かれます。
3.分掌変更の後の役員の給与がおおむね50パーセント以上減少したこと。
ただし、分掌変更の後においても、その法人の経営上主要な地位を占めていると認められる場合は除かれます。
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役員に対する経済的利益
<経済的利益とは>
法人が役員に支給する給与には、金銭によるもののほか、債務の免除による利益その他の経済的な利益も含まれます。
この経済的な利益とは、例えば次に掲げるもののように、法人の行為によって実質的にその役員に対して給与を支給したのと同様の経済的効果をもたらすものをいいます。
- 役員等に対して資産を贈与した場合におけるその資産の時価
- 役員等に対して資産を時価より低額で譲渡した場合における時価と譲渡価額との差額
- 役員等から資産を時価より高額で買い入れた場合における買入れ価額と時価との差額
- 役員等に対して有する債権を放棄しまたは免除した場合における債権の放棄額等
- 役員等から債務を無償で引き受けた場合における債務の引受け額
- 役員等に対して居住用土地または家屋を無償または低額で提供した場合における通常取得すべき賃貸料の額と実際徴収した賃貸料の額との差額
- 役員等に対して無利息または低率で金銭の貸付けをした場合における通常取得すべき利率により計算した利息の額と実際徴収した利息の額との差額
- 役員等に対して無償または低額で上記6・7以外の用役の提供をした場合における通常取得すべき対価の額と実際に収入した対価の額との差額
- 役員等に対して機密費等の名義で支給したもののうち法人業務のために使用したことが明らかでないもの
- 役員等の個人的費用の負担額
- 役員等の社交団体の入会金等で役員等が負担すべきものの額
- 役員等を被保険者および保険金受取人とする生命保険契約の保険料の額の全部または一部を負担した場合におけるその負担した保険料の額
ただし、法人が役員に対し経済的な利益の供与をした場合において、それが所得税法上経済的な利益として課税されないものであり、かつ、その法人がその役員に対する給与として経理しなかったものであるときは、給与として扱われません。
<経済的利益の法人税法上の取扱い>
役員に対して継続的に供与される経済的利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるものは定期同額給与に該当し、損金の額に算入されますが、その他のものは定額同額給与に該当せず、損金の額に算入されません。
(注)法人が使用人兼務役員に対して供与した経済的な利益の額(住宅等の貸与をした場合の経済的な利益を除きます。)が他の使用人に対して供与される程度のものである場合には、その経済的な利益の額は使用人としての職務に係るものとされ、損金の額に算入されます。
また、役員に対する経済的利益の額(使用人兼務役員に対する使用人部分を除きます。)が不相当に高額である場合や法人が事実を隠蔽しまたは仮装して経理することにより、その役員に対して供与した経済的な利益の額は損金の額に算入されません。
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役員の範囲
役員とは次の者をいいます。
- 法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事および清算人
- 1以外の者で次のいずれかに当たるもの
(1)法人の使用人(職制上使用人としての地位のみを有する者に限ります。)以外の者で、その法人の経営に従事しているもの
なお、「使用人以外の者で、その法人の経営に従事しているもの」には、例えば、①取締役または理事となっていない総裁、副総裁、会長、副会長、理事長、副理事長、組合長等、②合名会社、合資会社および合同会社の業務執行社員、③人格のない社団等の代表者または管理人、または④法定役員ではないが法人が定款等において役員として定めている者だけをいうのではなく、相談役、顧問などで、その法人内における地位、職務等からみて実質的に法人の経営に従事していると認められるものも含まれます。
(2)同族会社の使用人(職制上使用人としての地位のみを有する者に限ります。)のうち、次に掲げるすべての要件を満たす者で、その会社の経営に従事しているもの
イ その会社の株主グループ(注1)をその所有割合(注2)の大きいものから順に並べた場合に、その使用人が所有割合50パーセントを超える第一順位の株主グループに属しているか、または第一順位と第二順位の株主グループの所有割合を合計したときに初めて50パーセントを超える場合のこれらの株主グループに属しているか、あるいは第一順位から第三順位までの株主グループの所有割合を合計したときに初めて50パーセントを超える場合のこれらの株主グループに属していること。
口 その使用人の属する株主グループの所有割合が10パーセントを超えていること。
ハ その使用人(その配偶者およびこれらの者の所有割合が50パーセントを超える場合における他の会社を含みます。)の所有割合が5パーセントを超えていること。
(注1)「株主グループ」とは、その会社の一の株主等およびその株主等と親族関係など特殊な関係のある個人や法人をいいます。
(注2)「所有割合」とは、次に掲げる場合に応じて、それぞれ次に定める割合をいいます。
(1)その会社がその株主等の有する株式または出資の数または金額による判定により同族会社に該当する場合
その株主グループの有する株式の数または出資の金額の合計額がその会社の発行済株式または出資(その会社が有する自己の株式または出資を除きます。)の総数または総額のうちに占める割合
(2)その会社が一定の議決権による判定により同族会社に該当することとなる場合
その株主グループの有する議決権の数がその会社の議決権の総数(議決権を行使することができない株主等が有するその議決権を除きます。)のうちに占める割合
(3)その会社が社員または業務執行社員の数による判定により同族会社に該当する場合
その株主グループに属する社員または業務執行社員の数がその会社の社員または業務執行社員の総数のうちに占める割合
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一括払された金型等相当額を24か月にわたり収益計上した請求人の会計処理が公正処理基準に適合するものとした事例
- 令和2年4月1日から令和3年3月31日までの事業年度の法人税、令和2年4月1日から令和3年3月31日までの課税事業年度の地方法人税及び令和2年4月1日から令和3年3月31日までの課税期間の消費税等の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
- 全部取消し
- 令和5年12月21日裁決
<ポイント>
本事例は、一括払された金型等相当額について、その全額を請求人が受領した日の属する事業年度の益金の額に算入すべきとしてされた更正処分に対し、金型等相当額の負担に係る契約の法的性質等からすれば、24か月にわたり収益計上した請求人の会計処理は公正処理基準に適合すると判断したものである。
<要旨>
原処分庁は、請求人が、発注者から24回の月額均等分割払で受領し、部品の量産開始日を含む月から24か月に分割して毎月月末に収益に計上していた、請求人が所有権を有する金型等の製作費用相当額(金型等相当額)について、契約の変更により一括で受領しており、請求人が受領した時点で請求人の管理支配下に置かれ所得が実現したとして、金型等相当額を受領した日の属する事業年度において、全額を益金の額に算入すべき旨主張する。
しかしながら、金型等相当額の負担に係る請求人と発注者との契約の法的性質及び当該契約に係る各役務の特質からすれば、請求人が受領した金型等相当額は、請求人から発注者に対し、継続的に日々提供される役務に応じて、1か月を単位として対価が支払われる約定に基づき、各月末日の経過ごとに、24回にわたり、過去1か月分の役務に対する対価として代金が確定し、その支払期日を翌月とする発注者と請求人との間の契約に基づき支払われるものと認められること及び金型等相当額の支払に関する基本契約書の条項が変更されていないことから、請求人が、部品の量産開始日を含む月から24回にわたり、毎月末日に収益に計上した会計処理は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準(公正処理基準)に適合するものであり、一括で受領した金型等相当額の全額を受領した日の属する事業年度の益金の額に算入すべきとは認められない。
★リンクはこちら⇒ 一括払された金型等相当額を24か月にわたり収益計上した請求人の会計処理が公正処理基準に適合するものとした事例
法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)(改正 令和5年6月23日)
標題のことについて、国税通則法(以下「通則法」という。)第68条第1項若しくは第2項又は第4項の規定の適用に関し留意すべき事項等を下記のとおり定めたから、今後処理するものからこれにより取り扱われたい。
(趣旨)
法人税の重加算税の賦課に関する取扱基準の整備等を図ったものである。
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法人税基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)(令和6年6月21日)
課法2-14
課審6-5
令和6年6月21日
昭和44年5月1日付直審(法)25「法人税基本通達の制定について」(法令解釈通達)ほか3件の法令解釈通達の一部を別紙のとおり改正したから、これによられたい。
(注)アンダーラインを付した箇所が改正した箇所であり、「……」とした箇所は記載を省略した箇所である。
(令6.6.21 課法2-14他1課共同)
この法令解釈通達は、令和6年度の法人税関係法令等の改正に対応し、法人税基本通達等につき所要の整備を図ったものです。
★リンクはこちら⇒ 法人税基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)(令和6年6月21日)
適用額明細書の記載に係る区分番号一覧表等の掲載について
平成22年度税制改正において、「租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律」が制定され、租税特別措置の適用の実態を把握するための調査を行うことが規定されました。
このため、法人税関係特別措置のうち税額又は所得の金額を減少させる規定等を適用する場合には、その法人が提出する法人税申告書に「適用額明細書」を添付し、税務署に提出する必要があります。
国税庁は、令和6年4月1日以降終了事業年度に使用する区分番号一覧表を、ホームページに掲載しました。
★リンクはこちら⇒ 適用額明細書の記載に係る区分番号一覧表等の掲載について
「賃上げ促進税制」が強化されます!(令和6年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する各事業年度が対象)
中小企業向け「賃上げ促進税制」は、青色申告書を提出している中小企業者等が、一定の要件を満たした上で、前年度より給与等の支給額を増加させた場合、その増加額の一部を法人税(個人事業主は所得税)から税額控除できる制度です。




中小企業庁は、令和6年度税制改正「賃上げ促進税制」についてのパンフレット(暫定版)をホームページに掲載しています。
★リンクはこちら⇒ 「賃上げ促進税制」が強化されます!(令和6年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する各事業年度が対象)
買戻条件の付された種類株式について買戻しが行われた場合における譲渡法人の税務上の取扱いについて(株価算定書の価額を参酌して決定された価額に基づき買戻しが行われた場合)
1.事前照会の趣旨
昨今のスタートアップにおける多様化する資本政策の検討及び実行に際しては、会社法上の権利の内容の異なる種類の株式や株主間契約等に基づきその異なる種類の株式と類似の効果をもたらすような取決めがされた株式等(これらを併せて以下「種類株式等」といいます。)の発行が増加している状況にあります(主なものとしては【我が国の種類株式及び類似の効果をもたらす契約等】ご参照。)。
種類株式等の内容は多様なものが考えられるところ、一般的にスタートアップにおいて発行される種類株式等は市場が形成されていないため、これらを譲渡する際の株価については、実務上、専門性を有する第三者にその算定を依頼することが考えられ、その第三者が算定した株価算定書の価額(注)を参酌して決定することが考えられます。
ところで、税務上、種類株式等の評価については、特定のもの(平成19年2月26日付国税庁ホームページ文書回答「相続等により取得した種類株式の評価について」により明らかにされているものなど)を除き、明確な取扱い等がなく、また、種類株式等の譲渡価額の計算方法等について明らかにされているものはないため、低廉譲渡や高額譲渡(以下「低廉譲渡等」といいます。)に該当するのではないかと考える向きもあるところです。
特に、買戻条件の付された種類株式等についての買戻価額の計算方法等をあらかじめ定款、株主間契約又は投資契約に定める場合、これらの定めは様々なものが考えられ、買戻価額の計算方法等によっては、低廉譲渡等に該当することも考えられるところです。
そこで、今回、買戻条件の付された種類株式等が当該条件に基づき買い戻される場合の株主の税務上の取扱いについてご照会申し上げます。
(注)
具体的には、公認会計士又は企業価値評価を専業とする事業会社により評価された価額で、評価対象となる企業の過年度の財務諸表等、中期事業計画その他の必要な書類を確認し、類似企業の状況を加味するとともに日本公認会計士協会から公表されている以下の研究報告を参考に価格算定が行われていることが一般的と考えられます。
- 経営研究調査会研究報告第32号「企業価値評価ガイドライン」(平成19年5月16日公表、平成25年7月3日改正)
- 経営研究調査会研究報告第41号「事例に見る企業価値評価上の論点-紛争の予防及び解決の見地から-」(平成22年7月22日公表、平成25年11月6日改正)
- 経営研究調査会研究報告第53号「種類株式の評価事例」(平成25年11月6日公表)
- 経営研究調査会研究報告第70号「スタートアップ企業の価値評価実務」(令和5年3月16日公表)
【我が国の種類株式及び類似の効果をもたらす契約等】

(出典:日本公認会計士協会経営研究調査会研究報告第53号「種類株式の評価事例」5頁)
2.事前照会に係る取引等の事実関係及び照会事項
(1)スタートアップ(非上場の会社)であるX社は、X社の代表取締役である甲により、資本金1,000万円(1株当たり10,000円で1,000株発行)として5年前に設立され、順調に業況が拡大し、更なる収益獲得を見据えた研究開発を検討し、そのための資金を調達するため資本政策を考えていたところ、3年前に資本関係や取引関係等の利害関係のないベンチャーキャピタルY社から出資の打診を受けました。
具体的には、X社が設立時に発行した株式と権利の内容を同じくする株式(以下「普通株式」といいます。)500株(1株当たり43,000円)、剰余金の配当について優先的に受けることが定められ(会社法1081一)、かつ、議決権を行使することができる事項に制限が定められた(会社法1081三)配当優先付無議決権株式(以下「本件種類株式」といいます。)500株(1株当たり57,000円)を新たに発行(これらの株式の新たな発行を以下「本件新株発行」といいます。)して、総額5,000万円の資金調達を行うこと、及びこれらの株式を引き受けることについてY社からの提案があり、X社取締役会は当該提案を受け入れ、X社はY社と投資契約を締結し、X社は本件新株発行をし、Y社はこれを引き受けています。
(2)X社は将来の株式公開を見据えており、両者で合意した当該投資契約には、本件新株発行を行った日から3年経過後、本件種類株式500株について、X社により買戻しができる旨が定められ、その買戻価額は、買戻しの請求時において、専門性を有する第三者が算定した株価算定書の価額を参酌してX社とY社との間で合意した価額による旨が付記されています。
この株価算定を行う専門性を有する第三者として、X社及びY社の合意により、双方と資本関係や取引関係等の利害関係がない企業価値評価を専門として行っているZ社に依頼することとされ、X社又はY社から申出があった場合には、両者で改めて協議し、別途、利害関係のない企業価値評価を専門として行う別の会社に株価の算定を依頼することも合意されています。
【取引関係図】

(3)今般、本件新株発行を行った日から3年が経過し、X社はY社の保有する本件種類株式を買い戻すこととしたため、Z社に株価算定を依頼したところ、本件種類株式について、1株当たり63,000円から66,000円までの株価が提示されました。X社は、買取価額を64,500円とすることでY社と交渉し、Y社もこれに応じ、X社は金銭を対価として本件種類株式を取得しています。このようにZ社が算定した株価算定書の価額を参酌してX社とY社との間で合意された価額により買戻しが実行された場合には、Y社からX社への本件種類株式の譲渡について、税務上、低廉譲渡等であるかどうかについての疑義は生じないと考えられます。
(4)なお、本照会においては、次のイ及びロのことを前提とします。
イ.本件新株発行に伴う普通株式及び本件種類株式の引受けによる取得は、法人税法施行令第119条第1項第4号に規定する「その有価証券の取得のために通常要する価額に比して有利な金額である場合における当該払込み又は当該給付(・・・)により取得をした有価証券(・・・)」に該当せず、税務上、本件新株発行は有利発行に該当しないこと。
ロ.Z社が算定した株価算定書の価額は、日本公認会計士協会から公表されている上記注書の各種研究報告に基づき算定されており、その算定方法は本照会の場面において一般的に採用されるべき適正なものであること。また、株価算定の前提として、X社において提示される財務内容や経営計画等に合理性があり、これについてZ社において十分な検証がされ、算定に用いる数値等の諸要素が合理的で適正なものであること。
3.上記の事実関係に対して事前照会者の求める見解となることの理由
(1)内国法人が有価証券の譲渡をした場合には、その譲渡に係る譲渡利益額(その有価証券の譲渡の時における有償によるその有価証券の譲渡により通常得べき対価の額がその有価証券の譲渡に係る原価の額を超える場合のその超える部分の金額をいいます。)又は譲渡損失額(その有価証券の譲渡に係る原価の額がその有価証券の譲渡の時における有償によるその有価証券の譲渡により通常得べき対価の額を超える場合のその超える部分の金額をいいます。)は、その譲渡に係る契約をした日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入することとされており(法法61の21)、その譲渡の時における通常得べき対価の額、すなわち時価が問題となるところ、この時価とは、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われた場合に通常成立する価額、すなわち客観的な交換価値をいうものと解されています。
また、純然たる第三者間において種々の経済性を考慮して定められた取引価額は、一般に合理的なものとして是認されると考えられています。
(2)種類株式等に関する権利の内容は様々なものが考えられ、これらの税務上の評価については、特定のものを除いて明確な取扱い等がなく、また、譲渡価額の計算方法等についても明らかにされているものはないため、本件種類株式の買戻条件に基づくY社からX社への譲渡について、それが税務上、低廉譲渡等に該当するのではないかとの疑問も生ずるところです。
この点、本照会においては、買戻しの請求時の価額として、X社及びY社と資本関係や取引関係等の利害関係がない株式評価実務において専門性を有する第三者であるZ社により、上記2(4)ロを前提として本件種類株式の価額算定が行われており、これを参酌しつつ、本件種類株式に係る取引以外の取引関係がないX社とY社との間において合意された価額に基づき買戻しが行われますので、このようにして取り決められた買戻価額による譲渡は、原則として、税務上、低廉譲渡等に該当することはないと考えられます。
4.国税庁の回答(令和6年3月28日)
標題のことについては、御照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。
ただし、次のことを申し添えます。
(1)この文書回答は、御照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答ですので、個々の納税者が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあります。
(2)この回答内容は国税庁としての見解であり、個々の納税者の申告内容等を拘束するものではありません。
★リンクはこちら⇒ 買戻条件の付された種類株式について買戻しが行われた場合における譲渡法人の税務上の取扱いについて(株価算定書の価額を参酌して決定された価額に基づき買戻しが行われた場合)
令和6年3月25日以降に、令和5年4月1日以後終了事業年度等分の法人税申告を行う方へ
法人の皆様が、令和6年3月1日以後終了事業年度等分より使用していただく「法人事業概況説明書」及び「勘定科目内訳明細書」に関して、e-Taxでは、令和6年3月25日リリースでの対応を予定しております。
そのため、令和6年3月25日以降に、令和5年4月1日以後終了事業年度等分の申告(修正申告を含む)を行う方については、お手数ですが下記のご対応をお願いします。
<法人事業概況説明書について>
事業者の方々のデジタル化の状況を含め、その法人の経理状況等を把握するため、令和6年3月1日以後終了事業年度分より使用していただく法人事業概況説明書の様式を改訂しております。
具体的な改訂内容は、国税庁ホームページ「『法人事業概況説明書』の様式が改訂されます。(令和6年1月)」をご確認ください。
リリース日以降、令和5年4月1日以後終了事業年度等分の申告(修正申告を含む)を行う際には、改訂後の法人事業概況説明書をご利用いただくことになります。
そのため、改訂前の法人事業概況説明書をご利用になる方については、改訂後の法人事業概況説明書を改訂前の法人事業概況説明書に読み替え、入力していただく必要がありますので、ご注意いただきますようお願いいたします。
【例】令和6年1月決算法人が、令和6年3月29日に申告した場合
「5 PC利用状況」欄の(7)について、改訂前の法人事業概況説明書では「データの保存先」を記載しますが、改訂後の法人事業概況説明書では「電帳法適用状況」になっているため、下記のとおり、読み替えて入力してください。

<勘定科目内訳明細書について>
インボイス制度の開始に伴い、令和6年3月1日以後終了事業年度等分より使用していただく勘定科目内訳明細書の様式に取引先の「登録番号」又は「法人番号」を記載する欄を設ける改訂をしております。
なお、取引先の「登録番号」又は「法人番号」を記載する場合には、取引先の名称(氏名)及び所在地(住所)の記載を省略することができます。
リリース日以降、令和5年4月1日以後終了事業年度等分の申告(修正申告を含む)を行う際には、改訂後の勘定科目内訳明細書をご利用いただくことになります。
そのため、改訂前の勘定科目内訳明細書をご利用になる方については、改訂後の勘定科目内訳明細書の「登録番号」、「法人番号」欄については、入力いただかなくても差し支えありません。
★リンクはこちら⇒ 令和6年3月25日以降に、令和5年4月1日以後終了事業年度等分の法人税申告を行う方へ
一括取得した土地及び建物について、各資産の取得価額等の算定に当たり、不動産鑑定評価における積算価格比によりあん分するのが合理的であるとした事例
- ①平成30年3月1日から平成31年2月28日まで及び平成31年3月1日から令和2年2月29日までの各事業年度の法人税の各更正処分並びに令和2年3月1日から令和3年2月28日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
- ②令和2年3月1日から令和3年2月28日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
- ③平成30年3月1日から平成31年2月28日まで及び平成31年3月1日から令和2年2月29日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
- ①③一部取消し、棄却
- ②一部取消し
- 令和5年6月21日裁決
<ポイント>
本事例は、請求人が一括取得した土地及び建物について各資産の取得価額等を算定するに当たり、建物の価値を増加させると認められる改修工事が行われていた建物及びこれと一括取得した土地については、当該価値の増加が反映されていないと認められる固定資産税評価額の比ではなく、不動産鑑定評価における積算価格比によりあん分するのが合理的であると判断した事例である。
<要旨>
請求人は、売買により一括取得した土地及び建物について、まず当該土地の路線価に地積を乗じることにより当該土地の売買代金相当額を算出し、これを売買代金の総額から差し引くことにより当該建物の売買代金相当額を算出する方法(本件差引法)により算出すべきである旨主張する。
しかしながら、本件差引法を用いて土地及び建物の売買代金相当額を区分した場合、土地の売買代金相当額に反映されるべき価額が反映されず、土地の売買代金相当額が客観的な時価に比して低額になる一方、当該価額が建物の売買代金相当額に転嫁され、建物の売買代金相当額が客観的な時価に比して高額になるという看過し難い不均衡が生じるから、本件差引法は合理的とは認められない。
一方、原処分庁は、当該土地及び建物の各売買代金相当額は、土地及び建物の売買代金総額を各資産の固定資産税評価額比によりあん分する方法(固定資産税評価額比あん分法)により算出すべきである旨主張するところ、確かに、固定資産税評価額比は、土地及び建物の価額比を推認する手がかりとして一般的な合理性を有するものであるから、固定資産税評価額比あん分法は、一般的には合理的な算定方法であると認められる。
しかしながら、本件の一部の建物には時価を増加させると認められる改修工事が実施されていたにもかかわらず、当該建物の固定資産税評価額にはこれらの時価の増加が反映されていない。
他方、当該一部の建物及びこれと一括取得された土地について請求人が提出した不動産鑑定評価書における土地及び建物の積算価格の比は、土地及び建物の時価の価額比を推認する手がかりとして一定の合理性が認められる上、改修工事の実施を踏まえたものであり、当該一部の土地・建物については、固定資産税評価額比あん分法よりも当該積算価格比によりあん分する方法を用いることがより合理的であると認められる。
したがって、当該一部の土地・建物については当該積算価格比によりあん分する方法を、他の土地・建物については、固定資産税評価額比あん分法を用いるのが相当である。
★リンクはこちら⇒ 一括取得した土地及び建物について、各資産の取得価額等の算定に当たり、不動産鑑定評価における積算価格比によりあん分するのが合理的であるとした事例
仕入金額の一部は寄附金の額に該当しないとした事例
- ①平成25年11月1日から平成26年10月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
- ②平成26年11月1日から平成27年10月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分(重加算税の賦課決定処分を併せ審理)
- ③平成25年11月1日から平成26年10月31日までの課税事業年度の復興特別法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
- ④平成26年11月1日から平成27年10月31日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
- 全部取消し、一部取消し
- 令和5年3月8日裁決
<ポイント>
本事例は、原処分庁が算出した仕入金額が時価相当額であるとはいえず、仕入金額に時価相当額よりも不相当に高額な部分があるとは認められないから、仕入金額の一部が寄附金の額に該当するとはいえないと判断した事例である。
<要旨>
原処分庁は、請求人が取締役(本件取締役)と親族関係にある業者(本件業者)から仕入れた資材の仕入金額は時価相当額と比較して不相当に高額であるから、時価相当額を超える部分の金額は法人税法第37条《寄附金の損金不算入》に規定する寄附金の額に該当する旨主張する。
しかしながら、原処分庁が時価相当額を算出するために用いた計算式には合理性が認められるものの、原処分庁が計算に用いた具体的な数値については、これを用いることが相当であるとはいえないから、原処分庁が算出した仕入金額は時価相当額とは認められない。
また、原処分庁は、本件業者に対する仕入単価は、一定の金額が上乗せされた「いわゆる親戚価格」である旨主張するが、仕入単価の決定は、本件業者と本件業者とは親族関係にない営業部長との間で交渉により決められており、本件取締役が仕入単価の決定に介入したとは認められないから、本件業者に係る仕入金額は、時価に比して不相当に高額であったとは認められない。
★リンクはこちら⇒ 仕入金額の一部は寄附金の額に該当しないとした事例
請求人が支払った客引きに対する報酬について原処分庁の認定額を超えると判断した事例
- ①平成29年1月〇日から平成29年12月31日までの事業年度以後の法人税の青色申告の承認の取消処分
- ②平成29年1月〇日から平成29年12月31日まで及び平成30年1月日から平成30年12月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分
- ③平成29年1月〇日から平成29年12月31日まで及び平成30年1月1日から平成30年12月31日までの各課税事業年度の地方法人税の各更正処分
- ④平成30年1月1日から平成30年12月31日まで及び平成31年1月1日から令和元年12月31日までの各事業年度の法人税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の各通知処分
- ⑤令和2年1月1日から令和2年12月31日までの事業年度の欠損金の繰戻しによる平成31年1月1日から令和元年12月31日までの事業年度の法人税の還付請求に理由がない旨の通知処分
- ⑥平成29年1月〇日から令和元年5月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
- ⑦平成30年1月1日から平成30年12月31日まで及び平成31年1月1日から令和元年12月31日までの各課税事業年度の地方法人税の更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の各通知処分
- ①④⑤⑦棄却、②③却下、⑥一部取消し、棄却
- 令和4年10月25日裁決
<ポイント>
本事例は、本邦からの輸出取引について、輸出許可の申請や、輸出許可通知書の保存状況から、請求人において輸出免税の適用を受けることができると判断した事例である。
<要旨>
原処分庁は、本件における輸出取引(本件取引)は、請求人から商品を仕入れた取引先が国外に販売したものであるから、請求人が、消費税法第7条《輸出免税等》第1項第1号に規定する本邦からの輸出として行われる資産の譲渡を行ったものではない旨主張する。
しかしながら、請求人は、取引先から受注した商品を国内でコンテナに積載し、自らの名義で輸出許可を申請して国外へ搬出しているのであり、本件取引は、請求人による本邦からの輸出として行われる資産の譲渡であると認められる。
そして、請求人は、請求人名義の輸出許可通知書を保存していることから、請求人において、輸出免税の適用を受けることができる。
★リンクはこちら⇒ 請求人が支払った客引きに対する報酬について原処分庁の認定額を超えると判断した事例
交際費等と寄附金との区分
交際費等とは、得意先や仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答などの行為のために支出する費用をいいます。
ただし、カレンダー、手帳、手ぬぐいなどを贈与するために通常要する費用や次のような不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図した費用は、交際費等には含まれないものとされ、広告宣伝費となります。
<不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図した費用>
- 製造業者や卸売業者が、抽選により、一般消費者に対し金品を交付するための費用または一般消費者を旅行、観劇などに招待するための費用
- 製造業者や卸売業者が、金品引換券付販売に伴って一般消費者に金品を交付するための費用
- 製造業者や販売業者が、一定の商品などを購入する一般消費者を旅行、観劇などに招待することをあらかじめ広告宣伝し、その商品などを購入した一般消費者を招待するための費用
- 小売業者が商品を購入した一般消費者に対し景品を交付するための費用
- 一般の工場見学者などに製品の試飲、試食をさせるための費用
- 得意先などに対して見本品や試用品を提供するために通常要する費用
- 製造業者や卸売業者が、一般消費者に対して自己の製品や取扱商品に関してのモニターやアンケートを依頼した場合に、その謝礼として金品を交付するための費用
(注)次のような場合、「一般消費者」を対象としていることには当たらないので注意してください。
- 医薬品の製造業者や販売業者が医師や病院を対象とする場合
- 化粧品の製造業者や販売業者が美容業者や理容業者を対象とする場合
- 建築材料の製造業者や販売業者が、大工、左官などの建築業者を対象とする場合
- 飼料、肥料などの農業用資材の製造業者や販売業者が農家を対象とする場合
- 機械または工具の製造業者や販売業者が鉄工業者を対象とする場合
★リンクはこちら⇒ 交際費等と寄附金との区分
交際費等と福利厚生費との区分
交際費等とは、得意先や仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答などの行為のために支出する費用をいいます。
ただし、専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行などのために通常要する費用については交際費等から除かれ、福利厚生費などとされます。
また、社内の行事に際して支出される金額などで、次のようなものは福利厚生費となります。
- 創立記念日、国民の祝日、新社屋の落成式などに際し、従業員におおむね一律に、社内において供与される通常の飲食に要する費用
- 従業員等(従業員等であった者を含みます。)またはその親族等のお祝いやご不幸などに際して、一定の基準に従って支給される金品に要する費用(例えば、結婚祝、出産祝、香典、病気見舞いなどがこれに当たります。)
★リンクはこちら⇒ 交際費等と福利厚生費との区分
交際費等と広告宣伝費との区分
交際費等とは、得意先や仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答などの行為のために支出する費用をいいます。
ただし、カレンダー、手帳、手ぬぐいなどを贈与するために通常要する費用や次のような不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図した費用は、交際費等には含まれないものとされ、広告宣伝費となります。
<不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図した費用>
1 |
製造業者や卸売業者が、抽選により、一般消費者に対し金品を交付するための費用または一般消費者を旅行、観劇などに招待するための費用 |
2 |
製造業者や卸売業者が、金品引換券付販売に伴って一般消費者に金品を交付するための費用 |
3 |
製造業者や販売業者が、一定の商品などを購入する一般消費者を旅行、観劇などに招待することをあらかじめ広告宣伝し、その商品などを購入した一般消費者を招待するための費用 |
4 |
小売業者が商品を購入した一般消費者に対し景品を交付するための費用 |
5 |
一般の工場見学者などに製品の試飲、試食をさせるための費用 |
6 |
得意先などに対して見本品や試用品を提供するために通常要する費用 |
7 |
製造業者や卸売業者が、一般消費者に対して自己の製品や取扱商品に関してのモニターやアンケートを依頼した場合に、その謝礼として金品を交付するための費用 |
(注)次のような場合、「一般消費者」を対象としていることには当たらないので注意してください。
(1) |
医薬品の製造業者や販売業者が医師や病院を対象とする場合 |
(2) |
化粧品の製造業者や販売業者が美容業者や理容業者を対象とする場合 |
(3) |
建築材料の製造業者や販売業者が、大工、左官などの建築業者を対象とする場合 |
(4) |
飼料、肥料などの農業用資材の製造業者や販売業者が農家を対象とする場合 |
(5) |
機械または工具の製造業者や販売業者が鉄工業者を対象とする場合 |
★リンクはこちら⇒ 交際費等と広告宣伝費との区分
納付書の事前送付に関するお知らせ
国税庁では、「あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会」の実現に向けて、キャッシュレス納付の利用拡大に取り組んでいるところ、社会全体の効率化と行政コスト抑制の観点を踏まえ、令和6年5月以降に送付する分から、e-Taxにより申告書を提出している法人の方などについて、納付書の事前の送付を取りやめることとしている。
納付書の事前の送付を行わないこととなる方は次のとおり。
<事前送付を行わないこととなる方>
- e-Taxにより申告書を提出されている法人の方
- e-Taxによる申告書の提出が義務化されている法人の方
- e-Taxで「予定納税額の通知書」の通知を希望された個人の方
- 「納付書」を使用しない次の手段により納付されている法人・個人の方
- ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)
- 振替納税
- インターネットバンキング等による納付
- クレジットカード納付
- スマホアプリ納付
- コンビニ納付(QRコード)
(注)
1.現在、e-Taxを利用されず、税務署から送付された納付書で納付されている方など納付書を必要とされる方に対しては、引き続き、納付書を送付する予定としている。
2.源泉所得税の徴収高計算書については、引き続き送付する予定であるが、電子申告及びキャッシュレス納付を是非ご利用ください。
3.「QRコード」は株式会社デンソーウェーブの登録商標である。
国税庁では、納税者の方が納付書を手書きで作成する手間を省くと共に、税務署や金融機関の窓口に行かなくても国税の納付ができるよう、キャッシュレス納付を用意している。
キャッシュレス納付については、納付の手続をより簡単・便利に行うことが可能であり、納付書が不要となる。
納付書の事前の送付を行わないこととなる方は、キャッシュレス納付を是非ご利用ください。
★リンクはこちら⇒ 納付書の事前送付に関するお知らせ
交際費等の範囲と損金不算入額の計算
【概要】
交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下「接待等」といいます。)のために支出するものをいいます。
<交際費等の範囲から除かれるもの>
次に掲げる費用は交際費等から除かれます。
1.専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用
2.飲食その他これに類する行為(以下「飲食等」といいます。)のために要する費用(専らその法人の役員もしくは従業員またはこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除きます。)であって、その支出する金額を飲食等に参加した者の数で割って計算した金額が5,000円以下である費用
なお、この規定は次の事項を記載した書類を保存している場合に限り適用されます。
(1) |
飲食等のあった年月日 |
(2) |
飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名または名称およびその関係 |
(3) |
飲食等に参加した者の数 |
(4) |
その飲食等に要した費用の額、飲食店等の名称および所在地(店舗がない等の理由で名称または所在地が明らかでないときは、領収書等に記載された支払先の氏名または名称、住所等) |
(5) |
その他飲食等に要した費用であることを明らかにするために必要な事項 |
3.その他の費用
(1) |
カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用 |
(2) |
会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用 |
(3) |
新聞、雑誌等の出版物または放送番組を編集するために行われる座談会その他記事の収集のために、または放送のための取材に通常要する費用 |
(注)上記2.の費用の金額基準である5,000円の判定や交際費等の額の計算は、法人の適用している消費税等の経理処理(税抜経理方式または税込経理方式)により算定した価額により行います。
【計算方法・計算式】
交際費等の額は、原則として、その全額が損金不算入とされていますが、損金不算入額の計算に当たっては、下記の法人の区分に応じ、一定の措置が設けられています。
<期末の資本金の額または出資金の額が1億円以下である等の法人(注)>
1.平成25年3月31日以前に開始する事業年度
損金不算入額は、交際費等の額のうち、600万円(平成21年3月31日以前に終了した事業年度においては400万円となります。)にその事業年度の月数を乗じ、これを12で除して計算した金額(以下「旧定額控除限度額」といいます。)に達するまでの金額の10パーセントに相当する金額と、交際費等の額が旧定額控除限度額に達するまでの金額を超える場合におけるその超える部分の金額の合計額となります。
2.平成25年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する事業年度
損金不算入額は、上記の「概要」の交際費等の額のうち、800万円にその事業年度の月数を乗じ、これを12で除して計算した金額(以下「定額控除限度額」といいます。)に達するまでの金額を超える部分の金額となります。
3.平成26年4月1日以後に開始する事業年度
損金不算入額は、次のいずれかの金額となります。
(1) |
交際費等の額のうち、飲食その他これに類する行為のために要する費用(専らその法人の役員もしくは従業員またはこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除きます。)の50パーセントに相当する金額を超える部分の金額 |
(2) |
上記2.の金額(定額控除限度額)を超える部分の金額 |
(注)法人税法第66条第5項第2号もしくは第3号に規定する法人(資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人の100パーセント子法人等)または租税特別措置法第61条の4第2項第2号に規定する法人(通算法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人のうちいずれかの法人の資本金の額または出資金の額が1億円を超える法人である場合におけるその通算法人など)の損金不算入額は、上記の「期末の資本金の額または出資金の額が1億円以下である等の法人」ではなく、下記の「上記以外の法人」により計算します。
<上記以外の法人>
1.平成25年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する事業年度
損金不算入額は、支出する交際費等の額の全額となります。
2.平成26年4月1日以後に開始する事業年度
損金不算入額は、上記の「期末の資本金の額または出資金の額が1億円以下である等の法人」の3の(1)の金額となります。
3.令和2年4月1日以後に開始する事業年度
(1) |
期末の資本金の額または出資金の額が100億円を超える法人(注) |
|
損金不算入額は、支出する交際費等の額の全額となります。 |
(2) |
上記(1)以外の法人 |
|
損金不算入額は、上記の「期末の資本金の額または出資金の額が1億円以下である等の法人」の3の(1)の金額となります。 |
(注)令和4年4月1日以後に開始する事業年度においては、期末の資本金の額または出資金の額が100億円を超える法人以外の法人で、通算法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人のうちいずれかの法人の適用年度終了の日における資本金の額または出資金の額が100億円を超える場合におけるその通算法人を含みます。
★リンクはこちら⇒ 交際費等の範囲と損金不算入額の計算
出向先法人が支出する退職金の負担金の取扱い
出向者の退職金は出向元の法人が出向者へ支払うこととなりますが、このうち出向期間中に対応する退職金については出向先の法人が負担すべきものとして、通常、出向先の法人から出向元の法人へ負担金が支出されます。
<負担金の支出時期>
この負担金の支出の時期として次の3つの場合があります。
1 |
出向先の法人から出向元の法人へ復帰した時 |
2 |
出向元の法人を退職した時 |
3 |
出向期間中 |
<負担金の取扱い>
1.上記の「負担金の支出時期」の1または2の場合、つまり、出向先の法人から出向元の法人へ復帰した時または出向元の法人を退職した時に負担金を支出する場合には、原則として、出向先の法人の支出した事業年度の損金の額に算入されます。
2.上記の「負担金の支出時期」の3の出向期間中に負担金を支出する場合には、次の2つの要件のいずれにも該当するときは、出向先の法人の支出した事業年度の損金の額に算入されます。
(1) |
あらかじめ定めた負担区分に基づいて定期的に支出していること。 |
(2) |
その支出する金額が、出向期間に対応する退職金の負担額として合理的に計算された金額であること。 |
この負担金を損金の額に算入することは、出向者が出向先の法人において役員になっているときでも認められます。
また、出向者が出向元の法人を退職しても、出向先の法人で引き続き勤務していることがあります。
この場合に、出向先の法人が出向元の法人に支出する出向期間に対応する退職金相当額は、たとえその出向者が、出向先の法人において引き続き役員または使用人として勤務しているときでも、その支出した事業年度の損金の額に算入されます。
★リンクはこちら⇒ 出向先法人が支出する退職金の負担金の取扱い
出向者に対する給与の較差補てん金の取扱い
出向元の法人が出向先の法人との給与条件の較差を補てんするため出向者に対して支給した給与は、出向期間中であっても、出向者と出向元の法人との雇用契約が依然として維持されていることから、出向元の法人の損金の額に算入されます。
また、次のような場合も、給与較差補てん金として取り扱われます。
1 |
出向先の法人が経営不振等で出向者に賞与を支給することができないため、出向元の法人がその出向者に賞与を支給する場合 |
2 |
出向先の法人が海外にあるため、出向元の法人が留守宅手当を支給する場合 |
この給与較差補てん金は、出向元の法人が出向者に直接支給しても、出向先の法人を通じて支給しても同様に取り扱われます。
★リンクはこちら⇒ 出向者に対する給与の較差補てん金の取扱い
請求人の取締役に対する給与の額に不相当に高額な部分はないとした事例
- ①平成27年12月1日から平成28年11月30日まで、平成28年12月1日から平成29年11月30日まで、平成29年12月1日から平成30年11月30日まで、平成30年12月1日から令和元年11月30日まで及び令和元年12月1日から令和2年11月30日までの各事業年度の法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分(平成30年12月1日から令和元年11月30日までの事業年度の法人税の更正をすべき理由がない旨の通知処分を併せ審理)
- ②平成27年12月1日から平成28年11月30日まで、平成28年12月1日から平成29年11月30日まで、平成29年12月1日から平成30年11月30日まで及び令和元年12月1日から令和2年11月30日までの各課税事業年度の地方法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
- ③平成30年12月1日から令和元年11月30日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分(更正をすべき理由がない旨の通知処分を併せ審理)
- ①全部取消し、一部取消し
- ②全部取消し
- ③一部取消し・令和4年7月1日裁決
<ポイント>
本事例は、法人税法上の使用人兼務役員に該当しない取締役に対する役員給与について、請求人の代表者が作成した書面に当該取締役の役員報酬として記載された金額は、その算出過程及び書面の作成過程から、当該取締役に対する給与の積算根拠にすぎず、いわゆる形式基準限度額には当たらないと判断した事例である。
<要旨>
原処分庁は、各取締役が受けるべき報酬の割当額の決定を一任された代表取締役が作成した「取締役の報酬金額に対する決定書」(本件決定書)に記載された報酬金額は、法人税法施行令(令和3年政令第39号による改正前のもの。)第70条《過大な役員給与の額》第1号ロの「金銭の額の限度額」(形式基準限度額)に当たり、法人税法上の使用人兼務役員に該当しない取締役(本件取締役)に対しこれを超えて支給された金額は、不相当に高額な役員給与である旨主張する。
しかしながら、当該代表取締役は、本件取締役に対する役員給与について、取締役分と使用人分を勘案した上で、その合計額を支給額として決定したと認められ、本件決定書に記載された金額は本件取締役に対する給与の額の積算根拠にすぎず、本件取締役の給与に係る形式基準限度額とは認められない。
★リンクはこちら⇒ 請求人の取締役に対する給与の額に不相当に高額な部分はないとした事例
出向先法人が支出する給与負担金に係る役員給与の取扱い
法人の使用人が他の法人に出向した場合において、その出向した使用人(以下「出向者」といいます。)に対する給与を出向元の法人が支給することとしているため、出向先の法人がその出向者の給与(退職給与を除きます。)に相当する金額(以下「給与負担金」といいます。)を出向元の法人に支出したときは、当該給与負担金の額は、出向先の法人におけるその出向者に対する給与(退職給与を除きます。)として取り扱われます。
この給与負担金の取扱いは、出向者が出向先の法人において使用人となっているか、役員になっているかにより異なります。
具体的には次のとおりとなります。
<出向者が出向先の法人において使用人である場合>
その給与負担金の額は、原則として、出向先の法人における使用人に対する給与として、損金の額に算入されます。
<出向者が出向先の法人において役員となっている場合>
出向者が出向先の法人において役員となっている場合において次のいずれにも該当するときは、出向先の法人が支出する当該役員に係る給与負担金の支出を出向先の法人における当該役員に対する給与の支給として、法人税法第34条《役員給与の損金不算入》の規定が適用されます。
1 |
当該役員に係る給与負担金の額について、当該役員に対する給与として出向先の法人の株主総会、社員総会またはこれらに準ずるものの決議がされていること。 |
2 |
出向契約等において当該出向者に係る出向期間および給与負担金の額があらかじめ定められていること。 |
この取扱いの適用を受ける給与負担金について、事前確定届出給与の規定の適用を受ける場合には、出向先の法人がその納税地の所轄税務署長にその出向契約等に基づき支出する給与負担金に係る定めの内容に関する届出を行うこととなります。
なお、出向先の法人が給与負担金として支出した金額が、出向元の法人が当該出向者に支給する給与の額を超える場合には、その超える部分の金額については給与負担金としての性格はないこととなります。
したがって、そのことについて合理的な理由がない場合には、出向元の法人に対する寄附金として取り扱われることになりますので注意してください。
★リンクはこちら⇒ 出向先法人が支出する給与負担金に係る役員給与の取扱い
請求人が購入した電子マネーの購入対価について、その一部は売上原価として損金の額に算入されるとした事例
- ①平成27年1月1日から平成27年12月31日まで、平成28年1月1日から平成28年12月31日まで、平成29年1月1日から平成29年12月31日まで、平成30年1月1日から平成30年12月31日まで及び平成31年1月1日から平成31年2月28日までの各事業年度の法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
- ②平成27年1月1日から平成27年12月31日まで、平成28年1月1日から平成28年12月31日まで、平成29年1月1日から平成29年12月31日まで及び平成30年1月1日から平成30年12月31日までの各課税事業年度の地方法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
- ③平成31年1月1日から平成31年2月28日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分
- ④平成27年1月1日から平成27年12月31日まで、平成28年1月1日から平成28年12月31日まで、平成29年1月1日から平成29年12月31日まで、平成30年1月1日から平成30年12月31日まで及び平成31年1月1日から平成31年2月28日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
- ①②全部取消し、一部取消し
- ③全部取消し
- ④棄却
- 令和4年8月4日裁決
<ポイント>
本事例は、電子マネーの購入対価が請求人の損金の額に算入されるか否かについて、関連会社における当該電子マネーの管理状況や請求人への入金の状況等から、当該電子マネーの一部は当該関連会社に譲渡したと認められ、その購入対価は請求人の売上原価に該当すると判断した事例である。
<要旨>
原処分庁は、請求人が購入した電子マネーについて、請求人の業務との関連性を有する用途に使用された事実が確認できないことから、当該電子マネーの購入対価は損金の額に算入されない旨主張する。
しかしながら、請求人が提出した証拠資料から、当該電子マネーの一部は関係法人に譲渡した事実が認められることから、その取得価額は売上原価として損金の額に算入される。
他方、その他の電子マネーについては、その費途が確認できず、請求人の業務との関連性の有無が明らかでないことから、その取得価額を損金の額に算入することはできない。
★リンクはこちら⇒ 請求人が購入した電子マネーの購入対価について、その一部は売上原価として損金の額に算入されるとした事例
使用人賞与の損金算入時期
法人が使用人に対して支給する賞与の額は、次に掲げる賞与の区分に応じ、それぞれ次の事業年度の損金の額に算入します。
なお、使用人に対して支給する賞与の額には、使用人兼務役員に対して支給する賞与のうち使用人としての職務に対応する部分の金額が含まれます。
1.労働協約または就業規則により定められる支給予定日が到来している賞与(使用人にその支給額が通知されているもので、かつ、その支給予定日またはその通知をした日の属する事業年度においてその支給額につき損金経理したものに限ります。)
その支給予定日またはその通知をした日のいずれか遅い日の属する事業年度
2.次に掲げる要件のすべてを満たす賞与
使用人にその支給額の通知をした日の属する事業年度
(1) |
その支給額を、各人別に、かつ、同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知をしていること。 |
(注1) |
法人が支給日に在職する使用人のみに賞与を支給することとしている場合のその支給額の通知は、ここでいう「通知」には該当しません。 |
(注2) |
法人が、その使用人に対する賞与の支給について、いわゆるパートタイマーまたは臨時雇い等の身分で雇用している者(雇用関係が継続的なものであって、他の使用人と同様に賞与の支給の対象としている者を除きます。)とその他の使用人を区分している場合には、その区分ごとに支給額の通知を行ったかどうかを判定することができます。 |
(2) |
(1)の通知をした金額を通知したすべての使用人に対しその通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1か月以内に支払っていること。 |
(3) |
その支給額につき(1)の通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていること。 |
3.上記1および2に掲げる賞与以外の賞与
その支払をした日の属する事業年度
★リンクはこちら⇒ 使用人賞与の損金算入時期
確定給付企業年金等に係る課税関係
退職した使用人を受給者として年金給付を行うため、事業主が支出する掛金および使用人が受け取る給付額の課税関係は次のとおりです。
1.事業主が支出した次に掲げる掛金の額は、事業主の法人税または所得税の課税所得の計算上、損金の額または必要経費に算入されます。
また、使用人については、事業主が掛金を支出した時点では給与として課税されません。
なお、掛金の一部を使用人が負担した場合には、使用人において、(2)の掛金は生命保険料控除の対象、(3)の企業型年金規約に基づく加入者掛金は小規模企業共済等掛金控除の対象となります。
(1) |
独立行政法人勤労者退職金共済機構または所得税法施行令第74条第5項に規定する特定退職金共済団体が行う退職金共済制度に係る掛金 |
(2) |
確定給付企業年金法第3条第1項に規定する確定給付企業年金に係る規約に基づいて支出した掛金 |
(3) |
確定拠出年金法に規定する企業型年金規約に基づいて企業型年金加入者のために支出した事業主掛金 |
2.使用人が退職に伴って受け取る退職年金等については、退職年金として給付されたものは公的年金等に該当し、雑所得として、また、退職一時金として給付されたものはみなし退職手当等に該当し、退職所得として課税されます。
また、信託銀行等に積み立てられている退職年金等積立金に対しては、原則として、毎年1パーセントの税率で法人税が課税されます。
ただし、平成11年4月1日から令和5年3月31日までの間に開始する事業年度の退職年金等積立金に対しては、法人税を課さないこととされています。
★リンクはこちら⇒ 確定給付企業年金等に係る課税関係
適格退職年金契約とはどのような退職年金契約をいうのですか
適格退職年金契約とは、原則として平成14年3月31日までに締結した使用人に対する退職年金の支給を目的とした信託、生命保険または生命共済の契約で、一定の要件を備えているものとして国税庁長官の承認を受けた契約をいいます。
この場合の「一定の要件」とは、主に次のような要件です。
- 事業主がその使用人を受益者等として掛金を払い込み、信託銀行や生命保険会社等が退職した使用人に退職年金を支給するものであること。
- 掛金および給付の額が適正な年金数理に基づいて算定されていること。
- 年金財産として積み立てられた金額は原則として事業主に返還されず、契約を解除したときは受益者等に帰属するものであること。
- 受益者等のうち特定の者について不当に差別的な取扱いをしないこと。
(注)
適格退職年金制度は、平成14年3月31日において廃止され、平成14年4月1日以後は、原則として新たな契約の締結は適格退職年金契約として認められないこととなりました。
ただし、平成14年3月31日までに締結した適格退職年金契約については、平成24年3月31日まで経過的に存続することとされ、平成24年4月1日以後もその契約が継続しているときは、同日において一定の事実が生じている場合に限り、存続することとなりました。
★リンクはこちら⇒ 適格退職年金契約とはどのような退職年金契約をいうのですか
個人事業当時からの使用人に対する退職金
個人事業を引き継いで設立された法人が、個人事業当時から引き続き在職する使用人の退職に伴い個人時代からの勤務年数など個人時代を含めた勤務実績を基に退職金を算定し支給した場合は、個人時代の勤務に対応する部分の金額は法人の損金の額には算入されず、個人事業の最終年分の事業所得の計算上、必要経費になります。
しかし、その退職が法人設立後相当の期間が経過した後であるときは、その支給した退職金の金額が法人の損金の額に算入されます。
★リンクはこちら⇒ 個人事業当時からの使用人に対する退職金
役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)
平成29年度税制改正により、平成29年4月1日以後に役員給与の支給に係る決議(その決議が行われない場合にはその支給)が行われる役員給与の取扱いは、以下のとおりとなります。
(注)新株予約権による給与および退職給与については、平成29年10月1日以後の役員給与の支給に係る決議(その決議が行われない場合にはその支給)が行われる役員給与から適用されます。
法人が役員に対して支給する給与(注)の額のうち次に掲げる定期同額給与、事前確定届出給与または業績連動給与のいずれにも該当しないものの額は損金の額に算入されません。
ただし、次に掲げる給与のいずれかに該当するものであっても、不相当に高額な部分の金額は、損金の額に算入されません。
(注)上記の給与からは、(1)退職給与で業績連動給与に該当しないもの、(2)左記(1)以外のもので使用人兼務役員に対して支給する使用人としての職務に対するものおよび(3)法人が事実を隠蔽し、または仮装して経理することによりその役員に対して支給するものは除かれます。
<定期同額給与>
定期同額給与とは、次に掲げる給与です。
1 |
その支給時期が1か月以下の一定の期間ごとである給与(以下「定期給与」といいます。)で、その事業年度の各支給時期における支給額または支給額から源泉税等の額(注)を控除した金額が同額であるもの
(注)源泉税等の額とは、源泉徴収をされる所得税の額、特別徴収をされる地方税の額、定期給与の額から控除される社会保険料の額その他これらに類するものの額の合計額をいいます。 |
2 |
定期給与の額につき、次に掲げる改定(以下「給与改定」といいます。)がされた場合におけるその事業年度開始の日または給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日またはその事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額または支給額から源泉税等の額を控除した金額が同額であるもの |
(1) |
その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3か月(確定申告書の提出期限の特例に係る税務署長の指定を受けた場合にはその指定に係る月数に2を加えた月数)を経過する日(以下「3月経過日等」といいます。)まで(継続して毎年所定の時期にされる定期給与の額の改定で、その改訂が3月経過日等後にされることについて特別の事情があると認められる場合にはその改訂の時期まで)にされる定期給与の額の改定 |
(2) |
その事業年度においてその法人の役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情(以下「臨時改定事由」といいます。)によりされたこれらの役員に係る定期給与の額の改定(上記イに掲げる改定を除きます。) |
(3) |
その事業年度においてその法人の経営状況が著しく悪化したことその他これに類する理由(以下「業績悪化改定事由」といいます。)によりされた定期給与の額の改定(その定期給与の額を減額した改定に限られ、上記イおよびロに掲げる改定を除きます。) |
3 |
継続的に供与される経済的利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるもの |
<事前確定届出給与>
事前確定届出給与とは、その役員の職務につき所定の時期に、確定した額の金銭または確定した数の株式(出資を含みます。以下同じです。)もしくは新株予約権もしくは確定した額の金銭債権に係る特定譲渡制限付株式もしくは特定新株予約権を交付する旨の定め(以下「事前確定届出給与に関する定め」といいます。)に基づいて支給される給与で、上記の「定期同額給与」および下記の「業績連動給与」のいずれにも該当しないもの(承継譲渡制限付株式または承継新株予約権による給与を含み、次に掲げる場合に該当する場合には、それぞれ次に定める要件を満たすものに限ります。)をいいます。
1 |
その給与が次のいずれにも該当しない場合 事前確定届出給与に関する届出をしていること。 |
(1) |
定期給与を支給しない役員に対して同族会社に該当しない法人が支給する金銭による給与 |
(2) |
株式または新株予約権による給与で、将来の役務の提供に係る一定のもの |
(注1) |
(1)または(2)に該当する給与については、事前確定届出給与に関する届出は必要ありません。 |
(注2) |
将来の役務の提供に係る一定の給与とは、役員の職務につき株主総会、社員総会その他これらに準ずるもの(以下「株主総会等」といいます。)の決議(その職務の執行の開始の日から1か月を経過する日までにされるものに限ります。)により事前確定届出給与に関する定め(その決議の日から1か月を経過する日までに、特定譲渡制限付株式または特定新株予約権を交付する旨の定めに限ります。)をした場合のその定めに基づいて交付される特定譲渡制限付株式または特定新株予約権による給与をいいます。 |
2 |
株式を交付する場合
その株式が市場価格のある株式または市場価格のある株式と交換される株式(その法人または関係法人が発行したものに限ります。以下「適格株式」といいます。)であること。 |
3 |
新株予約権を交付する場合
その新株予約権がその行使により市場価格のある株式が交付される新株予約権(その法人または関係法人が発行したものに限ります。以下「適格新株予約権」といいます。)であること。 |
(注1) |
関係法人とは、その法人の役員の職務につき支給する給与(株式または新株予約権によるものに限ります。)に係る株主総会等の決議日からその株式または新株予約権を交付する日までの間、その法人と他の法人との間に当該他法人による支配関係が継続することが見込まれている場合の当該他の法人をいいます。 |
(注2) |
特定譲渡制限付株式とは、譲渡制限付株式(※)であって役務の提供の対価として個人に生ずる債権の給付と引換えにその個人に交付されるものその他その個人に給付されることに伴ってその債権が消滅する場合のその譲渡制限付株式をいいます。 |
(※) |
譲渡制限付株式とは、次の要件に該当する株式をいいます。 |
1 |
譲渡(担保権の設定その他の処分を含みます。)についての制限がされており、かつ、譲渡制限期間が設けられていること。 |
2 |
個人から役務提供を受ける法人またはその株式を発行し、もしくはその個人に交付した法人がその株式を無償で取得することとなる事由(その株式の交付を受けた個人が譲渡制限期間内の所定の期間勤務を継続しないこともしくはその個人の勤務実績が良好でないことその他のその個人の勤務の状況に基づく事由、またはこれらの法人の業績があらかじめ定めた基準に達しないことその他のこれらの法人の業績その他の指標の状況に基づく事由に限ります。)が定められていること。 |
(注3) |
特定新株予約権とは、譲渡制限付新株予約権(※)であって次に掲げる要件に該当するものをいいます。 |
1 |
その譲渡制限付新株予約権と引換えにする払込みに代えてその役務の提供の対価としてその個人に生ずる債権をもって相殺されること。 |
2 |
1に掲げるもののほか、その譲渡制限付新株予約権が実質的にその役務の提供の対価と認められるものであること。 |
(※) |
譲渡制限付新株予約権とは、発行法人から一定の権利の譲渡についての制限その他特別の条件が付されているものをいいます。 |
また、役員の職務につき、確定した額に相当する適格株式または適格新株予約権を交付する旨の定めに基づいて支給する給与(確定した額の金銭債権に係る特定譲渡制限付株式または特定新株予約権を交付する旨の定めに基づいて支給する給与を除きます。)は、確定した額の金銭を交付する旨の定めに基づいて支給する給与に該当するものとして取り扱われます。
<事前確定届出給与に関する届出期限>
1 |
原則
事前確定届出給与に関する定めをした場合は、原則として、次の(1)または(2)のうちいずれか早い日(新設法人がその役員のその設立の時に開始する職務についてその定めをした場合にはその設立の日以後2か月を経過する日)までに所定の届出書を提出する必要があります。 |
(1) |
株主総会等の決議によりその定めをした場合におけるその決議をした日(その決議をした日が職務の執行を開始する日後である場合にはその開始する日)から1か月を経過する日 |
(2) |
その会計期間開始の日から4か月(確定申告書の提出期限の延長の特例に係る税務署長の指定を受けている法人はその指定に係る月数に3を加えた月数)を経過する日 |
2 |
臨時改定事由が生じたことにより事前確定届出給与に関する定めをした場合
臨時改定事由が生じたことによりその臨時改定事由に係る役員の職務について事前確定届出給与に関する定めをした場合には、次に掲げる日のうちいずれか遅い日が届出期限です。 |
(1) |
上記1の(1)または(2)のうちいずれか早い日(新設法人にあっては、その設立の日以後2か月を経過する日) |
(2) |
臨時改定事由が生じた日から1か月を経過する日 |
3 |
事前確定届出給与に関する定めを変更する場合
既に上記1または2の届出をしている法人が、その届出をした事前確定届出給与に関する定めの内容を変更する場合において、その変更が次に掲げる事由に基因するものであるときのその変更後の定めの内容に関する届出の届出期限は、次に掲げる事由の区分に応じてそれぞれ次に定める日です。 |
(1) |
臨時改定事由
その事由が生じた日から1か月を経過する日 |
(2) |
業績悪化改定事由(給与の支給額を減額し、または交付する株式もしくは新株予約権の数を減少させる場合に限ります。)
その事由によりその定めの内容の変更に関する株主総会等の決議をした日から1か月を経過する日(変更前の直前の届出に係る定めに基づく給与の支給の日がその1か月を経過する日前にある場合には、その支給の日の前日) |
4 |
やむを得ない事情がある場合
上記1から3までの届出期限までに届出がなかった場合においても、その届出がなかったことについてやむを得ない事情があると認めるときは、それらの届出期限までに届出があったものとして事前確定届出給与の損金算入をすることができます。 |
<業績連動給与>
業績連動給与とは、利益の状況を示す指標、株式の市場価格の状況を示す指標その他の法人またはその法人との間に支配関係がある法人の業績を示す指標を基礎として算定される額または数の金銭または株式もしくは新株予約権による給与および特定譲渡制限付株式もしくは承継譲渡制限付株式または特定新株予約権もしくは承継新株予約権による給与で無償で取得され、または消滅する株式または新株予約権の数が役務の提供期間以外の事由により変動するものをいいます。
損金算入となる業績連動給与は、法人(同族会社にあっては同族会社以外の法人との間にその法人による完全支配関係があるものに限ります。)が、業務執行役員(※)に対して支給する業績連動給与(金銭以外の資産が交付されるものにあっては、適格株式または適格新株予約権が交付されるものに限ります。)で、次の1から3までのすべての要件を満たすもの(他の業務執行役員のすべてに対して次の要件を満たす業績連動給与を支給する場合に限ります。)となります。
(※)業務執行役員とは、業務連動給与の算定方法の決定または手続の終了の日において、法人の業務を執行することとされている役員をいいます。
1 |
交付される金銭の額もしくは株式もしくは新株予約権の数または交付される新株予約権の数のうち無償で取得され、もしくは消滅する数の算定方法が、その給与に係る職務執行期間開始日以後に終了する事業年度の利益の状況を示す指標、株式の市場価格の状況を示す指標または売上高の状況を示す指標を基礎とした客観的なもので、次の要件を満たすものであること。 |
(1) |
確定額または確定数を限度としているものであり、かつ、他の業務執行役員に対して支給する業績連動給与に係る算定方法と同様のものであること。 |
(2) |
その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3か月(確定申告書の提出期限の延長の特例に係る税務署長の指定を受けた法人はその指定に係る月数に2を加えた月数)を経過する日までに一定の報酬委員会等がその算定方法を決定していることその他これに準ずる一定の適正な手続を経ていること。 |
(3) |
その内容が上記(2)の適正手続終了の日以後遅滞なく、有価証券報告書に記載されていることその他一定の方法により開示されていること。 |
2 |
次に掲げる給与の区分に応じそれぞれ次の要件を満たすものであること。 |
(1) |
(2)に掲げる給与以外の給与 次に掲げる給与の区分に応じてそれぞれ次に定める日までに交付され、または交付される見込みであること。 |
イ |
金銭による給与
その金銭の額の算定の基礎とした利益の状況を示す指標、株式の市場価格の状況を示す指標または売上高の状況を示す指標の数値が確定した日の翌日から1か月を経過する日 |
|
ロ |
株式または新株予約権による給与
その株式または新株予約権の数の算定の基礎とした業績連動指標の数値が確定した日の翌日から2か月を経過する日 |
|
(2) |
特定新株予約権または承継新株予約権による給与で、無償で取得され、または消滅する新株予約権の数が役務の提供期間以外の事由により変動するもの その特定新株予約権または承継新株予約権に係る特定新株予約権が業績連動給与の算定方法につき適正な手続の終了の日の翌日から1か月を経過する日までに交付されること。 |
3 |
損金経理をしていること(給与の見込額として損金経理により引当金勘定に繰り入れた金額を取り崩す方法により経理していることを含みます。)。 |
(※)この制度については、経済産業省ホームページに「「攻めの経営」を促す役員報酬-企業の持続的成長のためのインセンティブプラン導入の手引-」等(https://www.meti.go.jp/press/2021/06/20210607001/20210607001.html)が掲載されていますので、詳細はそちらをご参照ください。
★リンクはこちら⇒ 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)
役員に対する給与(平成29年4月1日前支給決議分)
法人が役員に対して支給する給与(注)の額のうち次に掲げる定期同額給与、事前確定届出給与または利益連動給与のいずれにも該当しないものの額は損金の額に算入されません。
ただし、次に掲げる給与のいずれかに該当するものであっても、不相当に高額な部分の金額は、損金の額に算入されません。
(注)平成29年4月1日前に支給決議がなされたものに限ります。
なお、上記の給与からは、
(1) |
退職給与 |
(2) |
法人税法第54条第1項に規定する新株予約権によるもの |
(3) |
上記(1)および(2)以外のもので使用人兼務役員に対して支給する使用人としての職務に対するもの |
(4) |
法人が事実を隠蔽しまたは仮装して経理することによりその役員に対して支給するもの |
は除かれます。
<定期同額給与>
定期同額給与とは、次に掲げる給与です。
1 |
その支給時期が1か月以下の一定の期間ごとである給与(以下「定期給与」といいます。)で、その事業年度の各支給時期における支給額が同額であるもの |
2 |
定期給与の額につき、次に掲げる改定(以下「給与改定」といいます。)がされた場合におけるその事業年度開始の日または給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日またはその事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額が同額であるもの |
(1) |
その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3か月を経過する日までに継続して毎年所定の時期にされる定期給与の額の改定。ただし、その3か月を経過する日後にされることについて特別の事情があると認められる場合にはその改定の時期にされたもの |
(2) |
その事業年度においてその法人の役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情(以下「臨時改定事由」といいます。)によりされたその役員に係る定期給与の額の改定(上記イに掲げる改定を除きます。) |
(3) |
その事業年度においてその法人の経営状況が著しく悪化したことその他これに類する理由(以下「業績悪化改定事由」といいます。)によりされた定期給与の額の改定(その定期給与の額を減額した改定に限られ、上記イおよびロに掲げる改定を除きます。) |
3 |
継続的に供与される経済的利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるもの |
<事前確定届出給与>
事前確定届出給与とは、その役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定め(以下「事前確定届出給与に関する定め」といいます。)に基づいて支給する給与(上記の「定期同額給与」および下記の「利益連動給与」を除きます。)で、次に掲げる場合に応じてそれぞれ次に定める届出期限までに納税地の所轄税務署長にその事前確定届出給与に関する定めの内容に関する届出をしているものです。
なお、同族会社以外の法人(注)が定期給与を支給しない役員に対して支給する給与については、その届出をする必要はありません。
(注)同族会社に該当するかどうかの判定は、その法人が定期給与を支給しない役員の職務につき、その定めをした日(新設法人にあっては設立の日)の現況によります。
また、役員から受ける将来の役務の提供の対価として交付する特定譲渡制限付株式(※)およびその特定譲渡制限付株式に係る承継譲渡制限付株式による給与も、事前確定の届出は不要となります。
(※)特定譲渡制限付株式とは、役員の職務につき株主総会等の決議(その職務の執行の開始の日から1か月を経過する日までにされるものに限ります。)によりその職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定め(その決議の日から1か月を経過する日までに、その職務につきその役員に生ずる債権の額に相当する特定譲渡制限付株式を交付する旨の定めに限ります。)をした場合のその定めに基づいて交付される特定譲渡制限付株式とされています。
1 |
原則
事前確定届出給与に関する定めをした場合は、原則として、次の(1)または(2)のうちいずれか早い日(新設法人がその役員のその設立の時に開始する職務についてその定めをした場合にはその設立の日以後2か月を経過する日)が届出期限です。 |
(1) |
株主総会、社員総会またはこれらに準ずるもの(以下「株主総会等」といいます。)の決議によりその定めをした場合におけるその決議をした日(その決議をした日が職務の執行を開始する日後である場合にはその開始する日)から1か月を経過する日 |
(2) |
その会計期間開始の日から4か月を経過する日 |
2 |
臨時改定事由により定めをした場合
臨時改定事由によりその臨時改定事由に係る役員の職務について事前確定届出給与に関する定めをした場合(その役員のその臨時改定事由が生ずる直前の職務について事前確定届出給与に関する定めがある場合を除きます。)は、次に掲げる日のうちいずれか遅い日が届出期限です。 |
(1) |
上記1の(1)または(2)のうちいずれか早い日(新設法人にあっては、その設立の日以後2か月を経過する日) |
(2) |
臨時改定事由が生じた日から1か月を経過する日 |
3 |
既に上記1または2の届出をしている法人が、その届出をした事前確定届出給与に関する定めの内容を変更する場合において、その変更が次に掲げる事由に基因するものであるときのその変更後の定めの内容に関する届出の届出期限は、次に掲げる事由の区分に応じてそれぞれ次に定める日です。 |
(1) |
臨時改定事由
その事由が生じた日から1か月を経過する日 |
(2) |
業績悪化改定事由(給与の額を減額する場合に限ります。)
その事由によりその定めの内容の変更に関する株主総会等の決議をした日から1か月を経過する日(変更前の直前の届出に係る定めに基づく給与の支給の日が1か月を経過する日前にある場合には、その支給の日の前日) |
<利益連動給与>
同族会社以外の法人が業務を執行する役員に対して支給する利益連動給与(利益の状況を示す指標を基礎として算定される給与)で次の(1)から(3)までのすべての要件を満たすもの(他の業務を執行する役員のすべてに対しても次の要件を満たす連動給与を支給する場合に限られます。)となります。
1 |
その支給額の算定方法が、利益の額、利益の額に有価証券報告書に記載されるべき事項の調整を加えた指標等その事業年度の利益の状況を示す指標を基礎とした客観的なもので、次の要件を満たすものであること。 |
(1) |
確定額を限度としているものであり、かつ、他の業務を執行する役員に対して支給する利益連動給与に係る算定方法と同様のものであること。 |
(2) |
その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3か月を経過する日までに一定の報酬委員会が決定していることその他これに準ずる一定の適正な手続を経ていること。 |
(3) |
その内容が上記ロの決定または手続終了の日以後遅滞なく有価証券報告書に記載されていることその他一定の方法により開示されていること。 |
2 |
有価証券報告書に記載されるその事業年度の利益の状況を示す指標の数値が確定した後1か月以内に支払われ、または支払われる見込みであること。 |
3 |
損金経理をしていること。 |
★リンクはこちら⇒ 役員に対する給与(平成29年4月1日前支給決議分)
役員のうち使用人兼務役員になれない人
使用人兼務役員とは、役員のうち部長、課長、その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事する者をいうが、次のような役員は、使用人兼務役員とならない。
なお、同族会社の使用人のうち税務上みなし役員とされる者も使用人兼務役員とならない。
使用人兼務役員になれない役員の範囲
1 |
代表取締役、代表執行役、代表理事および清算人 |
2 |
副社長、専務、常務その他これらに準ずる職制上の地位を有する役員 |
3 |
合名会社、合資会社および合同会社の業務執行社員 |
4 |
取締役(委員会設置会社の取締役に限る。)、会計参与および監査役ならびに監事 |
5 |
上記1から4までのほか、同族会社の役員のうち所有割合(注1)によって判定した結果、次のすべての要件を満たす役員 |