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事務所通信2020年1月

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2020年1月号『事業所税とは?』

 あまり知られていない税金の一つに『事業所税』というものがあります。

 地方税で、課税される市などは限られており、事業用床面積や従業者給与総額に対して課税されるものの免税点があるため知られていないのではないかと推測されます。

 そこで今回は、『事業所税とは?』について、書きたいと思います。

 

1.事業所税とは?

 事業所税とは、人口30万以上の都市等が都市環境の整備及び改善に関する事業に要する費用に充てるため、都市の行政サービスと所在する事業所等との受益関係に着目して、事業所等において事業を行う者に対して課する目的税です。

 

2.課税団体

 課税団体は、2019年1月1日現在、以下の77団体となっています。

東京都(23区のみ)

地方自治法第252条の19第1項の市(いわゆる政令指定都市20市)

②以外の市で、首都圏整備法第2条第3項に規定する既成市街地又は近畿圏整備法第2条第3項に規定する既成都市区域を有する市(三鷹市、芦屋市など8市)

②及び③以外の市で、人口30万以上の市で政令で指定するもの(高松市など48市)

 

3.納税義務者等

 納税義務者は、事業所等において事業を行う法人または個人です。

 区分・課税標準・税率は以下のとおり。

区 分

課税標準

税 率

資産割

事業所

床面積

600円/㎡

(S61年度以降)

従業者割

従業者

給与総額

100分の0.25

(制度創設以来)

 なお、免税点は、資産割が1,000㎡、従業者割が100人です。

 

4.申告納付期限

 申告納付期限は、以下のとおり。

法人の場合

個人の場合

事業年度終了日から2か月以内

翌年の3月15日まで

 

5.その他の申告義務(香川県高松市)

 香川県高松市のその他の申告義務は、以下のとおり。

(1)

事業所税の税額がない場合の申告

前事業年度または前年に税額があった場合

高松市内の事業所等の延床面積の合計が800㎡以上

従業者数の合計が80人以上

(2)

事業所用家屋の貸付けの申告

 

事業所用家屋の全部または一部をテナント等に貸付けている場合、新たに貸付けを行った日から1か月以内に事業所用家屋の貸付けに関する申告書を提出する必要があり、申告内容に異動があった場合、その異動が生じた日から1か月以内に申告書を提出する必要があります。

 

6.最後に

 あまり知られていないと思いますし、免税点を超えると、超えた分ではなく、全体に対して課税されますので気をつけましょう。

2020年1月27日 國村 年

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事務所通信2019年12月

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2019年12月号『相続税法改正後の申告及び調査の状況(平成30年度版)!』

 平成27年(2015年)から相続税法が大幅に改正され、相続税がかかる方が増えていると言われていますが、改正後そろそろ5年が経過します。

 個人的にも年間多数の相続税案件が持ち込まれ、計算をしてみると相続税がかからない方が増えてはきていますが、相続税の申告件数がここ数年増えています。

 そこで今回は、『相続税法改正後の申告及び調査の状況(平成30年度版)!』について、書きたいと思います。

 

1.平成30年分の相続税の申告事績

 先日、国税庁から公表された『平成30年分の相続税の申告事績の概要』によると、平成30年分における相続税の申告事績は、以下のとおりとなっています。

 1

 

 

 

 

 なお、相続財産の金額の構成比は、土地35.1%、現金・預貯金等32.3%、有価証券16.0%、家屋5.3%、その他11.3%となっています。

 

2.平成30事務年度における相続税の調査等の状況

 先日、国税庁から公表された『平成30事務年度における相続税の調査等の状況』によると、平成30事務年度における相続税の実地調査の状況は、以下のとおりとなっています。

2

 

 

 

 

 

 

 相続税の実地調査は、平成28年に発生した相続を中心に、国税局及び税務署で収集した資料情報等から申告額が過少であると想定される事案や、申告義務があるにもかかわらず無申告と想定される事案等について実施しています。

 ちなみに、実地調査のほか、文書、電話による連絡または来署依頼による面接により申告漏れ、計算誤り等がある申告を是正するなどの接触(以下「簡易な接触」といいます。)も実施しています。

 なお、実地調査の申告漏れ相続財産の金額の構成比は、現金・預貯金等36.5%、有価証券11.2%、土地12.2%、家屋2.0%、その他38.1%となっています。

 

3.最後に

 平成27年改正前は相続税がかかる方が4%強でしたが、改正後は倍増しています。

 調査により修正申告をされる方も、最近は80%台で推移しています。

 最近は相続税対策が否認されるケースも出てきていますので、早めに財産を把握し、慎重に相続税対策を行いましょうね。

 

2019年12月24日 國村 年

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事務所通信2019年11月

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2019年11月号『キャッシュレス・ポイント還元!』

 2019年10月から、消費税率が8%から10%と増税になっていますが、一方で、レシートなどを見ると「キャッシュレス・ポイント還元」と書かれ、安くなっていることがあります。

 そこで今回は、『キャッシュレス・ポイント還元!』について、書きたいと思います。

 

1.キャッシュレス・ポイント還元事業とは?

 キャッシュレス・ポイント還元事業とは、2019年10月1日の消費税率引上げに伴い、需要平準化対策として、キャッシュレス対応による生産性向上や消費者の利便性向上の観点も含め、消費税率引上げ後の9か月間(2019年10月1日から2020年6月30日まで)に限り、中小・小規模事業者によるキャッシュレス手段を使ったポイント還元を支援する事業です。

 

2.キャッシュレス決済とは?

 キャッシュレス決済とは、お札や小銭などの現金を使用せずにお金を払うことです。

 キャッシュレス決済手段には、クレジットカード、デビットカード、電子マネー(プリペイド)やスマートフォン決済(QRコードなど)など、様々な手段があります。

 

3.対象となる店舗

 対象となる店舗は、マークが付いたお店です(ECサイトも対象です。)。

 また、店頭のポスターに加え、地図アプリやホームページからも検索できます。

 

4.還元率

 還元率は、5%か2%です。

 5%還元となるお店は、中小・小規模の店舗で、例えば、八百屋、電機屋、衣料品店、理容店、美容店などがあります。

 2%還元となるお店は、フランチャイズチェーン店舗、ガソリンスタンドで、例えば、コンビニ、ハンバーガーショップ、ガソリンスタンドなどがあります。

 対象/対象外の業種・取引の詳細は、ホームページをご確認ください。

 また、ポイント還元の方法は、キャッシュレス決済手段ごとに異なりますので、詳細については各決済事業者にお問い合わせください。

 

5.対象となるキャッシュレス決済手段

 本事業では、クレジットカード、デビットカード、電子マネー(プリペイド)、QRコードなど、一般的な購買に繰り返し利用できる電子的な決済手段が広く対象となります。

 具体的な対象決済手段は、ホームページでご確認ください。

 

6.弊事務所の対応

 弊事務所では、2019年7月8日からPayPayが使えるようになっており、そして、12月1日からキャッシュレス・消費者還元事業の加盟店事業者となります。

 確定申告の報酬、相談料、書籍やDVDの販売代金が対象となります。

 PayPayは、当月の購入につき、翌月20日前後にPayPayボーナスとして還元されます(上限は、25,000ポイント/月です)。

 

7.最後に

 個人的には、使わないと損だと思っていますが、コンビニとかの場合、直営店かFC店かで扱いが異なったりしますので、分かりにくい制度だとは思いますね。

 

2019年11月26日 國村 年

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事務所通信2019年10月

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2019年10月号『消費税はなぜ導入されたのか?』

 今回で、めでたくNo.100です。

 今月から、消費税率が8%から10%と増税になり、同時に軽減税率制度も実施されました。

 個人的には、様々な局面で判断に迷い、政治力の働きそうな軽減税率は不要で、早く廃止して欲しいと今なお思っています。

 そこで今回は、『消費税はなぜ導入されたのか?』について、書きたいと思います。

 

1.消費税の歴史

 大平正芳内閣や中曽根康弘内閣のときに『一般消費税』や『売上税』の導入をしようとしましたが、うまくいきませんでした。

 しかしながら、竹下登内閣のときに消費税は導入され、以下のように消費税率が引き上げられています。

導入年月

消費税率

1989/4

3%(国のみ)

1997/4

5%(国4%、地方1%)

2014/4

8%(国6.3%、地方1.7%)

2019/10

標準税率:10%
(国7.8%、地方2.2%)

軽減税率:8%
(国6.24%、地方1.76%)

 

2.消費税が導入された3つの理由

 消費税が導入された理由としては、以下の3つがあります。

①   

税制全体の公平性の確保

②   

個別間接税の問題点の解決

③   

高齢化社会の財源の確保

 

 まず、①ですが、戦後における日本の税制は、1950年のシャウプ勧告に基づいた所得税を中心としたものとなっていました。
 しかしながら、経済や社会構造が消費の多様化などにより変化し、所得水準が上がることに伴い、様々な歪みが出てきました。
 よって、そのような税制の重税感・不公平感を解消する必要が出てきたのです。

 次に、②ですが、消費税が導入される前に『物品税』なる間接税がありました。
 贅沢品とされた一般的な家具・ゴルフ用品・コーヒーなどは課税されていました。
 一方、桐製や漆塗りの家具・テニス用品・紅茶などは課税されていませんでした。
 時代の変化に伴い、贅沢品かどうかを客観的に判断することが難しくなり、物品ばかり課税されてサービスは課税されないという問題を解決する必要性が出たのです。

 最後に、③ですが、高齢化に伴い、所得税が中心の税制では、所得税を負担する年代の負担が重く、将来財源が減っていくことが予想されました。
 よって、不公平感や重税感を払拭し、年金や福祉に関する財源確保のため、消費全体に広く薄く負担を求める消費税の創設が必要になったのです。

3.最後に

 消費税が導入された理由を改めて見てみると、高齢化が進むと、増税になることは仕方ないことだと思いました。

 一方、贅沢品かどうかの線引きが困難になった物品税を解消するため、分かりやすい消費税が導入されたことを考えると、様々なところで判断に迷い、手間のかかる軽減税率は不要だと感じました。

2019年10月31日 國村 年

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2019年9月号『四国でいちばん大切にしたい会社大賞!』

 先日、『四国でいちばん大切にしたい会社大賞』を受賞されている2社の訪問の機会があったので、行ってきました。

 ともに徳島県ですが、ブライダル業の徳島市の株式会社ときわと注文住宅・リフォーム業の板野郡の株式会社はなおかです。

 そこで今回は、『四国でいちばん大切にしたい会社大賞!』について、書きたいと思います。

 

1.『日本でいちばん大切にしたい会社大賞』

 『日本でいちばん大切にしたい会社大賞』とは、法政大学の坂本教授(当時)が始めた顕彰制度です。

 「人を幸せにする経営」は、言葉にすることは簡単ですが、実践するのはとても難しいことですが、本賞における「人」とは、①従業員とその家族、②外注先・仕入先、③顧客、④地域社会、⑤株主の5者を指します。

 人を幸せにしていれば結果的に業績も上がるはずであり、そのような大切な会社を1社でも増やしたいという思いでこの顕彰制度がスタートしたのです。

 応募資格は、以下のとおりです。

 過去5年以上にわたって、以下の6つの条件にすべてに該当していること

希望退職者の募集など人員整理(リストラ)をしていない

仕入先や協力企業に対し一方的なコストダウン等していない

重大な労働災害等を発生させていない

障がい者雇用は法定雇用率以上である

1.常勤雇用45.5人以下の企業で障がい者を雇用していない場合は、障がい者就労施設等からの物品やサービス購入等、雇用に準ずる取り組みがあること

2.本人の希望等で、障がい者手帳の発行を受けていない場合は実質で判断する

営業利益・経常利益ともに黒字(除くNPO法人・社会福祉法人・教育機関等)である

下請代金支払い遅延防止法など法令違反をしていない

 この四国バーションが、『四国でいちばん大切にしたい会社大賞』です。

2.中小企業が陥る5つの言い訳

 行きのバスの中で、コーディネーターの方が、『中小企業が陥る5つの言い訳』を言っていました。

景気や政策が悪い

業種・業態が悪い

規模が小さい

立地が悪い

大企業・大型店が悪い

 この2社は、これらを克服しています。

3.最後に

 僕自身、経営者ですし、クライアントから色々な質問をされる立場にありますので、今回の訪問は大変勉強になりました。

 僕が以前から思っていたS&Pの格付けを株式会社はなおかは取得していました。

 業界は違っても参考になることは多いですので、こういったものに参加するのは良いことだと思いますね。

2019年9月30日 國村 年

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事務所通信2019年8月

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2019年8月号『全国農地ナビ!』

 昨年に引き続き、今年も数多くの相続税の申告業務や相続税の試算のご依頼をいただいていますが、農地を所有されている方が結構おられます。

 相続税の申告業務や相続税の試算を行う際によく使っているのが、『全国農地ナビ』です。

そこで今回は、『全国農地ナビ!』について、書きたいと思います。

 

1.『全国農地ナビ』とは?

 全国農地ナビ(農地情報公開システム)は、市町村および農業委員会(以下、「農業委員会等」という。)が整備している農地台帳および農地に関する地図(以下、「農地情報」という。)について、運営・管理団体である全国農業委員会ネットワーク機構(一般社団法人全国農業会議所)が、農業委員会等と公表事務にかかる委託契約を結んだ上で、農地法に基づき農地情報をインターネット上で公表するサイトです。

 インターネットを使用してパソコン・スマートフォン・タブレット等の画面上で誰でも農地の情報を閲覧・確認することができます。

2.利用時間

 平成26年の農地法改正により、農業委当システムは、平成27年4月1日から24時間365日サービスを利用することができます。

 ただし、メンテナンス等のためサービスを利用することができない場合があります。

3.利用料金

 当システムは、サイトを利用するにあたり利用料金は一切かかりません。

 ただし、パソコン等を利用する際のインターネットに接続するために必要なプロバイダーの手数料や回線使用料などは別途利用者負担となります。

4.利用局面

 僕は、農地を評価する際に使っています。

 香川県ゆえ、いわゆる『倍率方式』で農地を評価することが多いのですが、毎年7月に国税庁が公表する『倍率表』を見ると、『田』や『畑』は、『農業振興地域内の農用地区域』か『上記以外の地域』かで固定資産税評価額に乗じる倍率が違っていることが多くなっています。

 これを確認するために使っています。

 あとは、県外や県内でも遠いエリアで土地勘があまりないようなところにある場合、『田』や『畑』はGoogleマップで検索しても出てきませんので、これを使って、場所を特定したりしています。

5.その他

 『全国農地ナビ』以外で、相続税の申告業務や相続税の試算を行う際によく使っているのが『全国地価マップ』です。

 このサイトでは、全国の①固定資産税路線価等、②相続税路線価等、③地価公示価格、④都道府県地価調査価格の4つの公的土地評価情報を無料で閲覧・確認することができます。

6.最後に

 あまり知られていないけれども、無料で使え、すごく役に立つものがあります。

 そういったものは積極的に活用したいですね。

2019年8月29日 國村 年

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事務所通信2019年7月

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2019年7月号『定番!』

 日経ビジネスの記事に『定番』に関するものがありました。

 この記事では、日清食品の『カップヌードル』と大塚製薬の『ポカリスエット』が取り上げられていたのですが、『カップヌードル』が発売されたのは、僕が生まれた年である1971年ということもあり、非常に興味深く読みました。

 そこで今回は、『定番!』について、書きたいと思います。

1.『定番』とは?

 企業の命運をも左右する『定番』ですが、商品やサービスの売上高や利益は時間の経過とともに変わります。

 プロダクトライフサイクル(PLC)と呼ばれ、阿部誠東京大学教授によると、市場に投入する「導入期」、拡大する「成長期」、頭打ちになる「成熟期」、終売に向かう「衰退期」の順に移行します。

 阿部教授は、「商品自体やバリエーション、価格、流通、プロモーションなどを変えてPLCに打ち勝ち、長く生存する商品が定番」と定義しています。

 また、商品コンサルタントの梅澤伸嘉氏は、「定番はロングセラーとして各カテゴリーの代名詞になるもの」と定義しています。

2.1971年に生まれたもの

 僕は1971年生まれですので、この年に生まれ、現在もなお続いているものを調べてみました。

カップヌードル(日清食品)

サッポロ一番ソースやきそば(サンヨー食品)

小枝チョコレート(森永製菓)

チェルシー(明治製菓)

リッツ(ヤマザキ・ナビスコ)

キャラメルコーン(東鳩)

明治ブルガリアヨーグルト(明治乳業)

マジックリン(花王石鹸)

マクドナルド(日本第1号店出店)

仮面ライダー(放映開始)

non-no(創刊)

プリンスホテル(設立)

 これらを見てみると、定番になっているものは結構ありますね。

 これらを僕の子供たちが、食べたり、見たりしているので、定番ってスゴイなぁと思います。

 『カップヌードル』については、数年前に、大阪府池田市の『カップヌードルミュージアム』に行ってオリジナルの『カップヌードル』を作りましたが、大人気です。

 やはり、体験型などでファンを増やすということは大事なのでしょうね。

 それ以外にも、子どものお菓子をスーパーマーケットやドラッグストアなどで見ていると、僕が小さい頃に食べていたもの、大人になってからも食べていたものを、結構子ども用にノンフライにするなどして売っているのですが、名前や味を知っているだけに、手に取りやすいんですよね。

3.最後に

 僕自身も、定番となるようなサービスを生み出せないか日々考えています。

 皆様方も、定番は経営に有利に働きますので、定番を生み出すこと、育てることを考えてみてはいかがですか?

2019年7月30日 國村 年

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事務所通信2019年6月

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2019年6月号『外形標準課税とは?』

 最近、相続税・贈与税・所得税・消費税などほとんどの税金の税率が上がっているなか、政府は法人実効税率を30%を切る水準まで引き下げてきました。

 ここで、実効税率とは、法人の所得金額に対する法人税、地方法人税、住民税、事業税の額の合計額の割合(合計税率)をいいます。

 ただし、実効税率は下がってきているものの、一方で、外形標準課税の拡大が行われているため、喜んではいられません。

 そこで今回は、『外形標準課税とは?』について、書きたいと思います。

 

1.外形標準課税とは?

 法人事業税は、大きく分けると「所得割」「付加価値割」「資本割」になります。

 そのうち、外形標準課税とは、主に資本金等や、従業員数・事業所の面積などの事業活動規模を基に計算される「付加価値割」及び「資本割」をいうのです。

 企業は企業活動を行うにあたって、地方自治体から様々な公共・行政サービスを享受していますが、赤字企業であっても地方行政サービスを受けていることには変わりないため、法人事業税は法人の事業活動規模に従った基準により課されるべきとの考えから、2004年4月から外形標準課税が導入されたのです。

2.外形標準課税の対象となる法人

 外形標準課税の対象となる法人は、所得に課税される法人で、事業年度終了の日における資本金の額または出資金の額が1億円を超える法人です。

 ただし、公共法人等、特別法人、人格のない社団等、みなし課税法人、投資法人、特定目的会社、一般社団法人及び一般財団法人は除かれます。

 なお、外形標準課税の対象となるか否かは、事業年度終了日現在における資本金または出資金の額で判断されますので、期中の増資や減資等は関係ありません。

 また、「資本金」のみで判断されることから、資本金等の額(資本金+資本準備金などの金額)は影響しません。

3.外形標準課税の計算方法

 外形標準課税は、「所得割」と「付加価値割」、「資本割」の金額を足して計算します。

 「所得割」は、所得に税率を乗じて算定します。

 「付加価値割」は、企業の「単年度損益」と「収益配分額」の合計額に税率を乗じて算定します。
 ここで、「単年度損益」は、繰越欠損金控除前の法人事業税の所得金額であり、「収益配分額」は、報酬給与額・純支払利子・純支払賃借料を足したものです。「報酬給与額」は給料や賞与、手当、退職金等の合計額、「純支払利子」は支払利子から受取利子を引いた額、「純支払賃借料」は土地・家屋の支払賃借料から受取賃借料を引いた額です。

 「資本割」は、原則として、「資本金」と「資本準備金」の合計額に税率を乗じて算定します。

4.最後に

 外形標準課税の対象となるか否かは、事業年度終了日現在における資本金または出資金の額で判断されますので、減資を検討した方が良いケースもでてきますね。

2019年6月27日 國村 年

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事務所通信2019年5月

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2019年5月号『皇族にも税金はかかるのか?』

 2019年4月30日に前天皇陛下が退位し、5月1日に新しい天皇陛下が即位され、元号が『平成』から『令和』になりました。

 天皇陛下譲位は202年ぶりだそうです。

 今回、皇族も税金がかかるのだろうかと疑問に思ったりしていないでしょうか?

 そこで今回は、『皇族にも税金はかかるのか?』について、書きたいと思います。

1.所得税

 所得税法第9条に、所得税を課さないものとして「皇室経済法第4条第1項(内廷費)及び第6条第1項(皇族費)の規定により受ける給付」が規定されています。

 ここで、『内廷費』は、天皇並びに皇后、太皇太后、皇太后、皇太子、皇太子妃、皇太孫、皇太孫妃及び内廷にあるその他の皇族の日常の費用その他内廷諸費に充てるものとされています。
 また、『皇族費』は、皇族としての品位保持の資に充てるために、年額により毎年支出するもの及び皇族が初めて独立の生計を営む際に一時金額により支出するもの並びに皇族であつた者としての品位保持の資に充てるために、皇族が皇室典範の定めるところによりその身分を離れる際に一時金額により支出するものとされています。

 よって、皇族であっても、『内廷費』や『皇族費』以外のもの、例えば、講演料や印税などについては所得税が課されるのです。

2.相続税

 相続税法第12条に、相続税の課税価格に算入しないものとして「皇室経済法第7条(皇位に伴う由緒ある物)の規定により皇位とともに皇嗣が受けた物」が規定されています。

 『皇位に伴う由緒ある物』は、例えば、『三種の神器』(八咫鏡(やたのかがみ)、八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)、草薙剣(くさなぎのつるぎ))などがあります。

 よって、皇族であっても、『皇位とともに皇嗣が受けた物』以外のもの、例えば、株式などについては相続税が課されるのです。

 ちなみに、前天皇陛下が昭和天皇から相続したときは、非課税になったものは合計580件で、遺産9億955万7千円を相続し、相続税を約4億2,800万円納税したと報道されています

3.贈与税

 今回は、天皇陛下譲位ゆえ、相続ではなく贈与ということになります。

 相続税については、2.に記載のとおり、相続法に規定があるのですが、贈与税については、規定はありません。

 なお、退位による生前贈与は今まで想定されておらず、新たに設けられた天皇の退位等に関する皇室典範特例法の規定により、今回の皇位継承に限り、『皇位とともに皇嗣が受けた物については、贈与税を課さない。』とされ、いわゆる相続開始前3年間の贈与の足し戻しもされないことになっています。

4.最後に

 皇族にも所得税や相続税や贈与税が課されるケースがあることは、意外ですよね。

 今回、前天皇陛下のご挨拶を聞くと、天皇制は日本にとって今後も必要であり、非課税制度でいつまでも財産を維持し続けてほしいなぁと強く思いました。

2019年5月31日 國村 年

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事務所通信2019年4月

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2019年4月号『固定資産税課税明細書の利用!』

 ここ数年、相続税の申告、不動産所得のある方の確定申告や準確定申告、不動産の移転を伴うM&Aなどをそれなりにお手伝いさせていますので、『固定資産税課税明細書』を見る機会が個人的に多くなっています。

 また、地域によって異なりますが、我が香川県高松市は、2019年度の『固定資産税課税明細書』が今月送付されてきています。

 そこで今回は、『固定資産税課税明細書の利用!』について、書きたいと思います。

1.土地

所在地

土地の所在地番を表示

住宅用地など区分

住宅用地の区分を表示

課税地積

課税されている面積を表示

価格

本年度の価格(評価額)を表示

固定資産税額

課税標準額に税率を乗じ、軽減税率等を除いた額を表示

課税地目

課税している地目を表示

負担水準

価格等に対する課税標準額の負担割合を表示

課税標準額

本年度の課税標準額を表示

 免税点(固定資産税が課されない課税標準額の合計)は、30万円です。

2.家屋

所在地

家屋の所在地番を表示

家屋の種類・構造

家屋の種類(使用用途)及び主体となる構造を表示

床面積

課税されている床面積を表示

価格

本年度の価格(評価額)を表示

固定資産税額

課税標準額に税率を乗じ、軽減税率等を除いた額を表示

家屋番号

登記簿上の家屋番号を表示

建築年

家屋の建築年次を表示

課税標準額

本年度の課税標準額を表示

軽減税額等

軽減される税額等を表示

 免税点は、20万円です。

3.不動産所得などの計算における利用

 確定申告や準確定申告における不動産所得や事業所得などの計算の際には、不動産賃貸や事業に関連する土地の固定資産税額を経費とします。

 なお、不動産売買の際に慣習として行われることの多い固定資産税の精算は、譲渡所得に含まれることにはご留意ください。

4.相続税・贈与税などの申告における利用

 路線価エリアにある土地の場合、路線価を用いて土地を評価しますが、そうではない土地の場合、価格(固定資産税評価額)に所定の倍率を乗じて評価します。

 家屋については、価格(固定資産税評価額)に1.0を乗じて評価します(つまり、価格(固定資産税評価額)と同額です。)。

5.不動産登記における利用

 不動産登記の際、登録免許税が必要になりますが、不動産の価額(価格(固定資産税評価額))に所定の税率を乗じて算定します。

6.最後に

 固定資産税評価明細書が送付されてきても記載された金額を納付するだけで中身を見ていない方が多いのではないかと思いますが、たまには興味を持って見てみるのも新しい発見があってよいかもしれませんね。

2019年4月25日 國村 年