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事務所通信2024年3月

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2024年3月号『経営セーフティ共済制度の不適切な利用への対応!』

弊事務所でも、小規模企業の経営者・役員や個人事業主の方の退職金の積立のため、法人や個人事業主の方の取引先事業者が倒産した際に連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐため、小規模企業共済や経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)の加入をお勧めしています。

ところが、中小企業庁によると、経営セーフティ共済については、制度の趣旨からかけ離れた税制上の優遇措置のみを加入の決め手としている者が多く、経営セーフティ共済による節税を指南する事例も数多く存在するようです。

そこで今回は、『経営セーフティ共済制度の不適切な利用への対応!』について、書きたいと思います。

1.加入・在籍状況(令和4年度末現在)

平成23年10月に掛金積立限度額を増額(320万円→800万円)して以降、共済金貸付の発生は減少傾向にあるにも関わらず、加入が急増しています。

2.任意解約による脱退状況(令和4年度)

解約手当金の支給率が100%となる、加入後3年目、4年目に解約が大きくなっていますが、近年その傾向が特に顕著になっており、直近では約33%が3年目、4年目に解約している状況です。

解約してすぐに再加入する行動変容が発生しており、加入・脱退の増加の一因になっています。

3.短期間で繰り返される脱退・再加入

加入者全体のうち再加入者は約16%で、再加入者のうち2年未満に再加入する者は約8割を占めています。

脱退・再加入は、積立額の変動により貸付可能額も変動することとなり、連鎖倒産への備えが不安定となるため、本来の制度利用に基づく行動ではありません。

4.節税を目的とした加入とそれを指南する情報源

加入者へのアンケートでは、共済への加入理由として、「税制上の優遇措置があるため」を理由とする回答が約3割となっています。

このうち、税制上の優遇措置のみを目的としたものが約2割となっており、約2割~3割が節税目的による加入と推定されます。

ホームページやYouTubeなどのインターネット上や書籍・雑誌でも、専ら節税をアピールして共済への加入を勧めるページが数多く存在しています。

5.令和6年度税制改正大綱

令和6年度税制改正大綱において、経営セーフティ共済契約の解除があった後に経営セーフティ共催契約を締結した場合には、その解除の日から同日以後2年を経過する日までの間に支出する経営セーフティ共済契約に係る掛金については、損金算入ができないこととされました(法人税・所得税にともに。)。

なお、上記改正は、令和6年10月1日以後の共済契約の解除について適用されます。

6.最後に

最近、節税手法があると、課税当局も研究しており、すぐに防がれる傾向にあります。

SNSとかを見ていても、節税をうたっている広告は想像以上に多いですので、安易に飛びつかず、慎重に検討したいですね。

2024年3月25日 國村 年

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事務所通信2024年2月

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2024年2月号『不動産を譲渡した場合の取得費!』

現在、確定申告シーズンで、不動産を譲渡した方の取得費の算出に悪戦苦闘中です。

普段は、取得費が分からず、売った金額の5%相当額を取得費とすることが多く、もったいないぁなと思うことが多いのですが、取得費が分かるケースでも、簡単ではないケースもあるのです。

そこで今回は、『不動産を譲渡した場合の取得費!』について、書きたいと思います。

1.取得費となるもの

譲渡所得は、土地や建物を売った金額から取得費と譲渡費用を差し引き計算します。

取得費には、売った土地や建物の購入代金、建築代金、購入手数料のほか設備費や改良費なども含まれます。

その他、以下のようなものが含まれます。

土地や建物を購入(贈与、相続または遺贈による取得も含む。)した時に納めた登録免許税(登記費用も含む。)、不動産取得税、特別土地保有税(取得分)、印紙税
借主がいる土地や建物を購入する時に、借主を立ち退かせるため支払った立退料
土地の埋立てや土盛り、地ならしをするために支払った造成費用
土地の取得に際し支払った土地の測量費
所有権等を確保するため要した訴訟費用
建物付の土地を購入して、その後概ね1年以内に建物を取り壊す等、当初から土地の利用が目的であったと認められる場合の建物の購入代金や取壊しの費用
土地や建物を購入するために借り入れた資金の利子のうち、その土地や建物を実際に使用開始する日までの期間に対応する部分の利子
既に締結されている土地等の購入契約を解除して、他の物件を取得することとした場合に支出する違約金

2.取得費が分からないとき

売った土地建物が先祖伝来のものであるとか、買い入れた時期が古い等、取得費が分からない場合は、売った金額の5%相当額を取得費とすることができます。

また、実際の取得費が売った金額の5%相当額を下回る場合も、売った金額の5%相当額を取得費とすることができます。

3.取得費を算出する際に苦労する点

現在、かなり悪戦苦闘中です。

なぜなら、取得したのが、明治時代、大正時代、昭和初期のものが多く、契約書や登記簿謄本等が手書きのものが多いため、達筆で読めないものが多々あるのです。

『卅(さんじゅう)』とか見たことのない漢字もありますし、『壱』『弐』『参』『拾』等も結構読み取りにくいケースがあります。

そして、今では面積は『㎡』で書かれていますが、古いものは、『反(たん)』『畝(せ)』『歩(ぶ)』『坪』等の記載もあり、換算が必要になってきます。

あとは、現在では建物と土地を購入した場合、消費税額から建物と土地を分けることができるのですが、消費税導入(平成元年4月1日)以前はそれができないのです。

4.最後に

今回、色々と調べる中で、CASIOのkeisanというサイトが非常に役立つことが分かりました。

取得費の算出にぜひ使ってみて下さいね。

2024年2月28日 國村 年

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事務所通信2024年1月

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2024年1月号『税務署で受付印を押印してくれなくなる!』

弊事務所では、法人の法人税・消費税・地方税、個人の所得税・消費税・贈与税の申告は、基本的に電子申告しています。

ただし、相続税は、相続人がお一人でない限りは紙で提出し、控えに税務署で受付印(収受日付印)を押印してもらっています。

ところが、2025年から、税務署で受付印を押印しないようになるようです。

そこで今回は、『税務署で受付印を押印してくれなくなる!』について、書きたいと思います。

1.申告書等の控えへの収受日付印の押なつの見直し

国税庁は、納税者の利便性の向上等の観点から、「あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会」を目指し、申告手続等のオンライン化、事務処理の電子化、押印の見直し等、国税に関する手続や業務の在り方の抜本的な見直し(税務行政のDX)を進めています。

こうした中、e-Tax利用率は向上しており、今後もe-Taxの利用拡大がさらに見込まれることや、DXの取組の進捗も踏まえ、国税に関する手続等の見直しの一環として、2025年1月から、申告書等の控えに収受日付印の押なつを行わないことにしました。

ここで、対象となる「申告書等」とは、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他の書類のほか、納税者の方が、他の法律の規定により、もしくは法律の規定によらずに国税庁、国税局(沖縄国税事務所を含む。)、税務署に提出されるすべての文書をいいます。

2.申告書等の提出事実及び提出年月日の確認方法

今後は、申告書等の提出事実・提出年月日の確認を以下の方法で行うことになります。

●e-Taxによる申告・申請手続

e-Taxで申告等データの送信が完了した後、送信されたデータの受信通知(申告書等を提出した者の氏名または名称、受付番号、受付日時等を確認することができます。)がメッセージボックスに格納されます。

●申告書等情報取得サービス(オンライン請求のみ)

所得税の確定申告書、青色申告決算書及び収支内訳書について、書面により提出している場合であっても、PC・スマホからe-Taxを利用してPDFファイルを無料で取得することができます。

●保有個人情報の開示請求(法人は除く)

税務署が保有する個人情報に対する開示請求により、提出した申告書等の内容を確認することができます。

●税務署での申告書等の閲覧サービス

税務署の窓口で、ご自身が過去に提出した申告書等を閲覧することができます。

●納税証明書の交付請求

納税証明書の交付請求を行うことにより、確定申告書等を提出した場合の納税額、所得金額または未納の税額がないことの証明書を取得することができます。

3.最後に

当分の間は、『リーフレット』に日付や税務署名を記載するようですが、受付印の押印はなくなることは知っておきたいですね。

2024年1月30日 國村 年

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事務所通信2023年12月

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2023年12月号『対策は定期的に見直しを!』

独立開業してから書籍を3冊(すべて共著)出版していますが、すべて中央経済社から出版しています。

中央経済社が新社屋に移転したこと、コロナ禍でしばらく訪問できていなかったことから、先日、東京に行った際に訪問してきました。

その際に、対策は一度やれば終わりではないということを改めて感じました。

そこで今回は、『対策は定期的に見直しを!』について、書きたいと思います。

1.中央経済社の応接室から眺め

先日、東京に行った際に、今年新社屋に移転した中央経済社に訪問しました。

応接室に案内され、担当者が来られるまで、窓から外を眺めていました。

東京都千代田区の神保町駅のすぐ近くにあるのですが、10階建て以下の事務所などが入っている古いビルが周りにはたくさん建っています。

眺めていると、最上階は、おそらくビルのオーナーが住まれているだろうと思われるビルだらけでした。

その時、僕は思いました。

この辺りのビルは、相続税対策で建てられたのだろうけど、・・・と。

以前は、ビルとかマンションの最上階に住み、それ以下の階を賃貸していると、土地の全部について小規模宅地等の特例のうち居住用とされ、240㎡までは80%の減額を受けることができたため、相続税対策として、ビルやマンションを建て、その最上階に住むということが、行われていました。

ところが、その後税制改正が行われ、居住用部分と賃貸用部分を分けて考えるようになり、節税効果が薄れることになりました。

2.節税対策の封じ込め

課税当局も節税対策を研究しているものと思われますが、ここ数年、節税対策が封じ込まれる傾向にあります。

例えば、以下のようなものがあります。

タワーマンション

海外不動産

一般社団法人

家なき子

類似業種比準価額

足場レンタル

ドローンレンタル

LEDレンタル

法人保険

3.対策は定期的に見直しを!

上記のように、一度対策したとしても、その後税制改正により、対策の効果が薄れてしまったり、効果がなくなったりするケースがあります。

あとは、コロナ禍を経て、会社やご自身の環境が大きく変化したり、路線価が大幅に変動していることもあるかもしれません。

税制改正は毎年行われるわけですから、一度対策を行えば終わりというわけではなく、情報をキャッチアップし、定期的な見直しが必要となってきます。

4.最後に

2023年からは、生前贈与加算及び相続時精算課税制度の見直しが行われたりしますので、相続税対策の見直しに良い時期かも知れませんね。

2023年12月25日 國村 年

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事務所通信2023年11月

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2023年11月号『無予告調査!』

コロナ明け後、無予告調査が増えていると言われていますが、弊事務所のクライアントでも、先日、無予告調査がありました。

そこで今回は、『無予告調査!』について、書きたいと思います。

1.調査の事前通知等

原則的に、実地の調査を行う場合は、事前通知をしなければならないとされています。

2.事前通知を要しない場合

納税義務者の申告もしくは過去の調査結果の内容又はその営む事業内容に関する情報その他国税庁等もしくは税関が保有する情報に鑑み、違法又は不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれその他国税に関する調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認める場合、事前通知を要しません。

3.その営む事業内容に関する情報

単に不特定多数の取引先との間において現金決済による取引をしているということのみをもって事前通知を要しない場合に該当するとはいえません。

4.違法又は不当な行為

事前通知をすることにより、事前通知前に行った違法又は不当な行為の発見を困難にする目的で、事前通知後は、このような行為を行わず、又は、適法な状態を作出することにより、結果として、事前通知後に、違法または不当な行為を行ったと評価される状態を生じさせる行為が含まれます。

5.違法又は不当な行為を容易にし、正確な課税標準等または税額等の把握を困難にするおそれ

事前通知をすることにより、納税義務者において、例えば、以下に掲げるようなことが合理的に推認される場合をいいます。

1

法第128条第2号又は同条第3号に掲げる行為を行うことを助長する

2

調査の実施を困難にすることを意図し逃亡する

3

調査に必要な帳簿書類その他の物件を破棄し、移動し、隠匿し、改ざんし、変造し、又は偽造する

4

過去の違法又は不当な行為の発見を困難にする目的で、質問検査等を行う時点において適正な記帳又は書類の適正な記載と保存を行っている状態を作出する

5

その使用人その他の従業者もしくは取引先又はその他の第三者に対し、上記1から4までに掲げる行為を行うよう、又は調査への協力を控えるよう要請する(強要し、買収し又は共謀することを含む。)

6.その他国税に関する調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ

例えば、以下の1から3までに掲げるような場合をいいます。

事前通知をすることにより、税務代理人以外の第三者が調査立会いを求め、それにより調査の適正な遂行に支障を及ぼすことが合理的に推認される

2

事前通知を行うため相応の努力をして電話等による連絡を行おうとしたものの、応答を拒否され、又は応答がなかった

3

事業実態が不明であるため、実地に臨場した上で確認しないと事前通知先が判明しない等、事前通知を行うことが困難

7.最後に

無予告調査といっても、基本的に強制調査ではなく、任意調査ですので、すぐに顧問税理士に連絡してから対応しましょう。

2023年11月29日 國村 年

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事務所通信2023年10月

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2023年10月号『弥生の会計ソフトウエアでデジタルインボイスの送受信ができる!』

2023年10月1日からインボイス制度が開始されました。

皆さんも色々と手間が増えていることでしょう。

このような中、デジタルインボイスを使えば、業務負担が軽減できます。

そこで今回は、『弥生の会計ソフトウエアでデジタルインボイスの送受信ができる!』について、書きたいと思います。

1.背景

2023年10月1日から施行されたインボイス制度に伴い、事業者は新たに対応しなければならないバックオフィス業務が発生し、負担の増加が懸念されています。

また事業者のバックオフィス業務は、現在、紙と電子データが混在しており、これが効率化や生産性向上の妨げとなっていると言われています。

このたび、弥生の会計ソフトウエアの『スマート証憑管理』に新しく「デジタルインボイス送受信」機能を搭載することで、事業者の業務負担を軽減し、業務効率化が実現することになりました。

なお、『スマート証憑管理』は、得意先から受領、あるいは自社発行した証憑をクラウド上で保存・管理できるサービスです。

デスクトップソフトの「あんしん保守サポート」にご加入のお客様、クラウドサービスを契約のお客様であれば追加費用なしでご利用いただけます。

2.デジタルインボイスとは?

デジタルインボイスとは、「標準化され構造化された電子インボイス」のことをいいます。

弥生の会計ソフトウエアの「デジタルインボイス送受信」は請求書(インボイス)などの電子文書をネットワーク上でやり取りするためのグローバルな標準仕様である「Peppol(Pan European Public Procurement Online)」を採用しています。

3.「デジタルインボイス送受信」機能

弥生の会計ソフトウエアの『スマート証憑管理』に「デジタルインボイス送受信」機能が追加されました。

これにより、『Misoca』や『弥生販売 24 +クラウド』 で作成した請求書を、『スマート証憑管理』経由でデジタルインボイスとして取引先に送信することができます。

送信した請求書の控えは、電子帳簿保存法第7条(電子取引)の要件に基づいて『スマート証憑管理』に保存されます。

また、取引先から受信したデジタルインボイスは、『スマート証憑管理』に電子帳簿保存法第7条(電子取引)の要件に基づいて保存されます。

その後、弥生の会計ソフトウエアへの仕訳連携も可能です。

なお、『スマート証憑管理』及び『Misoca』は10月24日火曜日の早朝から、『弥生販売 24 +クラウド Ver.27.1.1』は10月26日木曜日0時から提供されています。

4.最後に

インボイス制度は大変だと思われている方もたくさんいらっしゃるのではないかと思いますが、デジタルインボイスを使えば手間が減るかもしれませんので、導入の検討の余地はありますね。

2023年10月30日 國村 年

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事務所通信2023年9月

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2023年9月号『2023年10月からふるさと納税のルールが変わる!』

皆さまは『ふるさと納税』をされていらっしゃいますでしょうか?

お得なため、私自身、毎年しています。

この『ふるさと納税』ですが、2023年10月からルールが変わります。

そこで今回は、『2023年10月からふるさと納税のルールが変わる!』について、書きたいと思います。

1.ふるさと納税とは?

ふるさと納税とは、自分の選んだ自治体に寄附(ふるさと納税)を行った場合に、寄附額のうち2,000円を越える部分について、所得税と住民税から原則として全額が控除されるという制度です(一定の上限があります。)。

例えば、年収600万円の給与所得者の方で扶養家族が配偶者のみのケースですと、50,000円のふるさと納税を行えば、2,000円を超える部分である48,000円(30,000円-2,000円)が所得税と住民税から控除されるのです。

2.2023年10月からのルール変更

2023年10月1日から、総務省はふるさと納税のルールを変更します。

変更点は、以下の2つです。

(1) 経費まで含めて5割ルール厳格化
(2) 返礼品にできる熟成肉・精米は同一都道府県産のみ

まず、(1)経費まで含めて5割ルールの厳格化ですが、総務省は、従来から、ふるさと納税の返礼品について「寄付額の3割以下」、発送などの経費まで含めて「寄付額の5割以下」というルールを定めていますが、そのルール自体に変更はありません。

今回、「5割ルール」が厳格化されます。

ふるさと納税の募集経費に含まれていない費用が、寄付を受ける自治体で膨らんでいる実態が明らかになり、総務省がルールの厳格化を決めたのです。

具体的には、ふるさと納税のポータルサイトに支払う手数料、寄付金に関する受領証の発行費用、ワンストップ特例に関する申請書の受付事務費用などがこれまで募集費用に含まれていませんでしたが、2023年10月より、これらの費用まで含めて寄付額の5割以下に収めることが義務付けられます。

次に、(2)返礼品にできる熟成肉・精米は同一都道府県産のみですが、総務省は、従来から、返礼品は地元産品のみというルールを定めており、このルールにも変更はありません。

地元産品の解釈が厳格化されるのです。

具体的には、海外などから輸入した肉を、地元で一定期間熟成させた後、地元産の熟成肉として返礼品とする例がありましたが、2023年10月以降は、熟成のみの場合は返礼品に使えなくなります。

つまり、2023年10月からは、熟成肉と精米については、同じ都道府県産品を原料とする場合のみ、地元産品として返礼品に使えるようになるのです。

3.最後に

来月からは返礼品の金額が減るかも知れませんし、熟成肉や精米が返礼品からなくなるかも知れませんので、今月中にふるさと納税をするのが良いかも知れませんね。

2023年9月25日 國村 年

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事務所通信2023年8月

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2023年8月号『生前贈与の持ち戻し漏れを防ぐには?』

相続税の申告をする際に、生前贈与の持ち戻しをしていないケースがあります。

これを防ぐ方法はないのでしょうか?

実はあるのです。

それが、『相続税法第49条第1項の規定に基づく開示請求書』というものです。

そこで今回は、『生前贈与の持ち戻し漏れを防ぐには?』について、書きたいと思います。

1.相続税法第49条第1項の規定に基づく開示請求とは?

相続税法第49条第1項の規定に基づく開示請求とは、相続税の申告や更正の請求をしようとする者が、他の相続人等が被相続人から受けた①相続開始前3年以内の贈与または②相続時精算課税制度適用分の贈与に係る贈与税の課税価格の合計額について開示を請求する場合の手続きです。

2.相続税法第49条第1項の規定に基づく開示請求の必要性

相続税の申告をする際に、生前贈与の持ち戻しをしていないケースがあります。

生前贈与の持ち戻し計上の対象となるものは、①暦年贈与による相続開始前3年以内の贈与と②相続時精算課税制度適用による贈与があります。

暦年贈与による相続開始前3年以内の贈与については、覚えていたり、書類が残されていたりで、漏れは少ないかもしれませんが、高齢で覚えていなかったり、相続人の仲が悪かったりして他の相続人について分からないかもしれません。

相続時精算課税制度適用による贈与については、制度ができたのが2003年ゆえ、古い可能性があり、忘れていたり、書類がないかもしれません。

よって、過去の贈与について、税務署に確認したいケースがあるのです。

3.相続税法第49条第1項の規定に基づく開示請求の手続き

開示請求者が、自らを除く、開示対象者について、開示対象者が2003年1月1日以後に被相続人からの贈与により取得した財産で、当該相続の開始前3年以内に取得したものまたは続時精算課税制度適用による贈与を受けたものに係る贈与税の課税価格の合計額について開示の請求をします。

開示の請求をする理由は、①期限内申告、②期限後申告、③修正申告、④更正の請求となります。

添付書類としては、a)遺産分割協議書の写し、b)戸籍の謄(抄)本、c)遺言書の写し、d)住民票の写し、e)その他が必要です。

先日請求したときは、戸籍の謄本の代わりに、税務署に確認のうえ、法定相続情報一覧図の写しを添付しました。

開示所の受領方法は、直接受領か送付受領かを選びます。

4.最後に

記憶があやふやだったり、相続人の仲が悪かったりするなかで相続税の申告をすると、生前贈与の持ち戻し漏れで修正申告をすることになる可能性があります。

よって、開示請求は使う方が望ましいでしょう。

ちなみに、先日請求したところ、2日後に開示されました。

2023年8月31日 國村 年

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事務所通信2023年7月

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2023年7月号『2023年分の香川県の路線価!』

個人的には毎年すごく気になる日ですが、2023年7月3日に国税庁から2023年分の路線価が公表されました。

そこで今回は、『2023年分の香川県の路線価!』について、書きたいと思います。

1.路線価とは?

路線価とは、その年の1月1日現在のその道路に面している標準的な宅地の1㎡当たりの千円単位の価額のことで、基本的に、毎年7月1日に国税庁から公表されます。

相続税や贈与税を計算する際に、土地の評価方法としては、路線価方式と倍率方式があります。

このうち、路線価方式は、路線価が定められている地域の評価方法で、路線価方式における土地の価額は、路線価をその土地の形状等に応じた奥行価格補正率などの各種補正率で補正した後に、その土地の面積を乗じて計算します。

2023年は7月1日が土曜日のため、7月3日に公表されました。

2.香川県内の最高路線価

2023年分の香川県内の最高路線価は、10年連続で高松市の高松丸亀町商店街で、1㎡当たりの価格は前年より1万円高い36万円と3年ぶりに上昇しました。

ちなみに、全国の最高路線価は、38年連続で東京都中央区銀座5丁目の文具店『鳩居堂』前の銀座中央通りで、1㎡当たり4,272万円で、前年比1.1%上昇しました。

なんと、はがき1枚分で、約63万2千円になりますね。

3.香川県内の路線価

香川県内の標準宅地2,432地点の平均変動率は前年比0.6%のマイナスで、31年連続で前年割れでとなりましたが、下落率は2年連続で縮小しました。

高松丸亀町商店街の路線価は、2014年に31万円で高松市兵庫町の中央通りを抜いて香川県内トップとなり、2020年までに36万円まで上昇しました。

その後は、2021年は横ばい、2022年は1万円減の35万円でした。

なお、高松市の最高路線価のピークは1992年の445万円で、ピーク時と比べると8.1%の水準となっています。

都道府県庁所在地の最高路線価は、高松市は前年から1位上がり、26位でした。

ここで、四国4県の最高路線価は、松山市と高松市で上昇し、高知市は横ばい、徳島市は下落しました。

最も高いのは、松山市の大街道商店街で、前年比1.5%増の67万円でした。

香川県内の標準宅地の下落率は前年の0.9%から0.3ポイント縮小しました。

香川県内6税務署別の最高路線価は、高松税務署は上昇、丸亀税務署・観音寺税務署が横ばい、坂出税務署・長尾税務署は1千円、土庄税務署は2千円下落しました。

4.最後に

毎年思いますが、路線価が安いと相続税や贈与税は少なくて済みますが、財産価値は低いということになりますので、どちらが良いのだろうかと思ってしまいます。

あと、都道府県庁所在地の最高路線価を見ると、熊本県が12位で、毎年、なぜこんなに高いのだろうと感じます。

2023年7月25日 國村 年

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2023年6月号『経営者保証を外すことができる!』

経営者の方は、金融機関から借入を行うときに、当然のように経営者保証を行っているのではないかと思います。

ところが、経営者保証をしないもしくは外すことが可能なのです。

そこで今回は、『経営者保証を外すことができる!』について、書きたいと思います。

1.経営者保証とは?

経営者保証とは、中小企業が金融機関から融資を受ける際、経営者個人が会社の連帯保証人となることです。

企業が倒産して融資の返済ができなくなった場合は、経営者個人が企業に代わって返済することを求められます。

2.経営者保証に関するガイドラインとは?

経営者保証に関するガイドラインとは、中小企業の経営者による個人保証には資金調達の円滑化に寄与する面がある一方、経営者による思い切った事業展開など中小企業の活力を阻害する面もあり、個人保証の契約時及び保証債務の整理時などに様々な課題が存在しますが、それら課題に対する解決策の方向性を取りまとめたものです。

主な内容は、以下の要件の充足度に応じ、金融機関は経営者保証を求めないことや保証機能の代替手法の活用を検討するというものです。

法人個人の一体性の解消
財務基盤の強化
財務状況の適時適切な情報開示

3.経営者保証に関するガイドラインの見直し

実は、経営者保証に関するガイドラインが2023年4月から見直されたのです。

従来は、金融機関が個人保証を求める際、「必要に応じ、保証人から説明を受けた旨の確認を行うこととしているか」と確認のみすれば足りましたが、見直しにより、「保証人に対し、下記に掲げる事項を踏まえた説明をした旨を確認し、その結果等を書面又は電子的方法で記録することとしているか」と確認をしたうえで結果などを記録し、金融庁に報告することとなりました。

下記に掲げる事項は、以下のとおりです。

どの部分が十分ではないために保証契約が必要となるのか、個別具体の内容
どのような改善を図れば保証契約の変更・解除の可能性が高まるか、個別具体の内容
原則として、保証履行時の履行請求は一律に保証金額全額に対して行うものではなく、保証履行時の保証人の資産状況などを勘案したうえで、履行の範囲が定められること

4.最後に

見直しにより、具体的な説明が必要となり、外すことに積極的な金融機関が出てくると他行も横並びで外したり、報告も必要であることなどから、今後は保証契約が不要なケースが増加するものと推測されます。

また、すぐに保証契約が解除や不要にならなくても、どうすれば外せるのかが明確になるため、中長期的にも解除できるケースが増加するでしょう。

外せるならば、外していきたいですね。

2023年6月29日 國村 年