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記事 アーカイブ - 棚卸、事業承継、M&A・組織再編、贈与・相続などのコンサルティングが中心の國村公認会計士事務所・株式会社Your Partner(香川県高松市木太町)
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消費税

建物賃貸借契約の違約金など

<建物賃貸借契約を中途解約する場合の違約金>
建物の賃貸人は、建物の賃貸借の契約期間の終了前に入居者から解約の申入れによる中途解約の違約金として数か月分の家賃相当額を受け取る場合があります。

この違約金は、賃貸人が賃借人から中途解約されたことに伴い生じる逸失利益を補填するために受け取るものですから、損害賠償金として課税の対象とはなりません。

<建物賃貸借に係る保証金等から差し引く原状回復工事費用>
賃借人が立ち退く際に、賃貸人が賃借人から預かっている保証金等の中から原状回復工事に要した費用相当額を差し引いて受け取る場合があります。

賃借人には立退きに際して建物を原状に回復する義務がありますので、賃借人に代わって賃貸人が原状回復工事を行うことは、賃貸人の賃借人に対する役務の提供に当たります。

したがって、賃貸人が受け取る工事費に相当する額は、賃貸人の賃借人に対する役務の提供の対価となりますので、課税の対象となります。

<違約入居者から受け取る割増賃借料>
賃貸借契約の契約期間終了後においても入居者が立ち退かない場合に、店舗および事務所等の賃貸人がその入居者から規定の賃貸料以上の金額を受け取ることがあります。

この場合に受け取る金額は、入居者が正当な権利なくして使用していることに対して受け取る割増賃貸料の性格を有していますので、その全額が店舗および事務所等の貸付けの対価として課税の対象となります。

なお、住宅の貸付けに係る契約において住宅用であることが明らかとされている場合や貸付け等の状況からみて住宅用に供されていることが明らかな場合における割増賃借料については、住宅の貸付けの対価として非課税となります。

★リンクはこちら⇒ 建物賃貸借契約の違約金など

2025年4月11日


損害賠償金

心身または資産に対して加えられた損害の発生に伴って受ける損害賠償金については、通常は資産の譲渡等の対価に当たりません。

ただし、その損害賠償金が資産の譲渡等の対価に当たるかどうかは、その名称によって判定するのではなく、その実質によって判定すべきものとされています。

<具体例>
例えば、次のような損害賠償金は、その実質からみて資産の譲渡または貸付けの対価に当たり、課税の対象となります。

  1. 損害を受けた棚卸資産等が加害者に対して引き渡される場合において、その資産がそのまままたは軽微な修理を加えることによって使用することができるときにその資産の所有者が収受する損害賠償金
  2. 特許権や商標権などの無体財産権の侵害を受けた場合に権利者が収受する損害賠償金
  3. 事務所の明渡しが遅れた場合に賃貸人が収受する損害賠償金

★リンクはこちら⇒ 損害賠償金

2025年4月8日


キャンセル料

いわゆるキャンセル料といわれるものの中には、解約に伴う事務手数料としての性格のものと、解約に伴い生じる逸失利益に対する損害賠償金としての性格のものとがあります。

キャンセル料に係る消費税の取扱いは、次のとおりです。
<解約に伴う事務手数料としてのキャンセル料>
解約手続などの事務を行う役務の提供の対価ですから課税の対象となります。

例えば、航空運賃のキャンセル料などで、解約等の時期に関係なく一定額を受け取ることとされている部分の金額は、解約等に伴う事務手数料に該当し課税の対象になります。

<逸失利益に対する損害賠償金としてのキャンセル料>
本来得ることができたであろう利益がなくなったことの補填金ですから、資産の譲渡等の対価に該当しないため課税の対象となりません。

例えば、航空運賃のキャンセル料などで、搭乗区間や解約等の時期などにより金額の異なるものは、逸失利益等に対する損害賠償金に該当するので課税の対象となりません。

<全額について事務手数料に相当する部分と損害賠償金に相当する部分を区分することなく一括して受領しているキャンセル料>
事業者がその全額について事務手数料に相当する部分と損害賠償金に相当する部分を区分することなく一括して受領しているときは、その全額を不課税として取り扱うこととされています。

例えば、ゴルフ場の予約をキャンセルした際に受領するキャンセル料などがこれに該当します。

★リンクはこちら⇒ キャンセル料

2025年4月4日


ゴルフ会員権

ゴルフクラブが発行するゴルフ会員権には株式形態のものと金銭を一定期間預託する預託形態のものとがありますが、基本的にはその形態の相違により消費税の課税関係が異なることはありません。

具体的な取扱いは、次のようになります。
<ゴルフクラブの課税関係>
ゴルフクラブが会員権を発行する場合において、その発行に関して収受する金銭は株式形態の場合は出資金であり、預託形態の場合は預り金ですから、いずれも資産の譲渡等の対価に該当せず課税の対象になりません。

ただし、入会に際して出資金や預託金とは別に収受する入会金などで会員等の資格を付与することと引換えに収受する返還を要しないものについては、役務の提供の対価として課税の対象となります。

また、プレー代、ロッカー使用料、年会費、会員権の所有者の変更に伴う名義書換料等も課税の対象となります。

<ゴルフ会員権業者の課税関係>
会員権業者が会員権の所有者または購入希望者からの委託を受けて会員権売買の仲介を行った場合、その仲介に係る手数料は役務の提供の対価として課税の対象になります。

また、会員権の所有者から買い取った会員権を売買する場合、株式形態のものは株式の譲渡に、預託形態のものは金銭債権の譲渡にそれぞれ該当しますが、これらのゴルフ会員権に係る株式又は金銭債権の譲渡は非課税の対象から除かれていますから、いずれも課税の対象になります。この場合、これらの譲渡について購入者から収受する金額が課税資産の譲渡等の対価の額となります。

なお、会員権の所有者からのゴルフ会員権に係る株式又は金銭債権の買取りは課税仕入れとなります。

<ゴルフ会員権所有者の課税関係>
事業者である会員権所有者がゴルフクラブに支払う年会費等は課税仕入れに係る支払対価に該当します。また、事業者が会員権業者から会員権を購入した場合、その購入は課税仕入れとなります。

ただし、ゴルフクラブが発行した会員権をそのゴルフクラブから直接取得する行為は不課税取引に係るものですから、返還を要しない入会金などを除き、課税仕入れとはなりません。

なお、事業者(個人事業者を除きます。)が所有しているゴルフ会員権に係る株式又は金銭債権を譲渡した場合の課税関係は、ゴルフ会員権業者の課税関係の場合と同様です。

★リンクはこちら⇒ ゴルフ会員権

2025年4月2日


有価証券の先物取引

国債や株式などの有価証券の譲渡は、原則として、消費税の非課税取引とされています。

株式の信用取引による売付けも現物の株式を借りて売却しているため、有価証券の譲渡として取り扱われ非課税取引となります。

<内容>
現在国内において有価証券または有価証券指数を対象とした先物取引の市場が開設されており、次のような取引があります。

  1. 大阪取引所における国債先物取引(長期国債先物取引)
  2. 大阪取引所における東証株価指数先物取引(TOPIX先物取引等)
  3. 大阪取引所における日経平均株価指数先物取引(日経225先物取引等)

このような先物取引については、有価証券の現物の受渡しが行われる場合は、有価証券の譲渡として非課税取引となりますが、現物の受渡しが伴わない場合は消費税の対象外、すなわち不課税取引となります。

国債先物取引については、証券取引所における売買取引最終日が到来した後に売建玉または買建玉を持っている場合に有価証券の受渡しが行われます。

したがって、この場合には有価証券の譲渡として非課税取引になります。

また、TOPIX先物取引や日経225先物取引は、株価指数を取引の対象とするもので、有価証券の受渡しが行われることはありませんから不課税取引となります。

さらに売買取引最終日の前に行う新規の売買取引や反対売買による差金の決済を行う取引は資産の引渡しを伴わない取引となり消費税の対象外、すなわち不課税取引となります。

このように、有価証券の先物取引は非課税取引または不課税取引に当てはまりますから、消費税は課税されません。

★リンクはこちら⇒ 有価証券の先物取引

2025年3月25日


売掛債権とは別に請求する利子

預貯金や貸付金の利子、公社債の利子および手形の割引料など利子を対価とする金融取引については非課税とされていますが、売上代金を手形により回収する場合には、手形の支払期間に応じて計算した利息相当額を売上代金とは別にして請求することがあります。

このような場合、その利息相当額が適正金利に相当する金額であるときは、売上代金部分だけが課税標準となり、利息相当額は非課税となります。

★リンクはこちら⇒ 売掛債権とは別に請求する利子

2025年3月24日


学校の授業料や入学検定料、教科用図書の譲渡など

消費税は商品の販売やサービスの提供などあらゆる取引を課税の対象としています。

しかし、学校教育については、社会政策的配慮から授業料、入学検定料、入学金、施設設備費、在学証明書等手数料、検定済教科書などの教科用図書の譲渡を非課税としています。

<非課税となる学校の範囲>
授業料などが非課税となる学校の範囲は、学校教育法に規定する学校(幼稚園、小中高等学校、義務教育学校、中等教育学校、特別支援学校、大学、高等専門学校)、専修学校および次の6つの要件すべてに当てはまる各種学校などです。

  1. 修業年限が1年以上であること。
  2. 1年間の授業時間数が680時間以上であること。
  3. 教員数を含む施設等が同時に授業を受ける生徒数からみて十分であること。
  4. 年2回を超えない一定の時期に授業が開始され、その終期が明確に定められていること。
  5. 学年または学期ごとにその成績の評価が行われ、成績考査に関する表簿などに登載されていること。
  6. 成績の評価に基づいて卒業証書または修了証書が授与されていること。
(注1) 一般的に上記1から6の要件にあてはまらない学習塾、自動車学校、カルチャースクール等の授業料は非課税にはなりません。
(注2) 幼稚園が、給食に係る経費を「授業料」として、スクールバスの運営に要する費用を「施設設備費」として徴収している場合は、非課税となります。なお、給食代、スクールバス代として別途徴収している場合は、非課税にはなりません。
(注3) 参考書、問題集等で学校における教育を補助するための、いわゆる補助教材の譲渡については、学校が指定したものであっても、非課税にはなりません。

★リンクはこちら⇒ 学校の授業料や入学検定料、教科用図書の譲渡など

2025年3月19日


住宅の貸付け

<住宅の範囲>
(1)住宅とは、人の居住の用に供する家屋または家屋のうち人の居住の用に供する部分をいい、一戸建ての住宅のほか、マンション、アパート、社宅、寮、貸間等が含まれます。

(2)通常住宅に付随して、または住宅と一体となって貸し付けられる次のようなものは「住宅の貸付け」に含まれます。
イ.庭、塀、給排水施設等住宅の一部と認められるもの
ロ.家具、じゅうたん、照明設備、冷暖房設備等の住宅の附属設備で住宅と一体となって貸し付けられるもの
(注)
これらの設備を別の賃貸借の目的物として賃料を別に定めている場合は、課税されます。

(3)駐車場等の施設については、次によります。
イ.駐車場の貸付けは、次のいずれにも該当する場合、非課税となります。
A.一戸当たり1台分以上の駐車スペースが確保されており、かつ、自動車の保有の有無にかかわらず割り当てられている等の場合
B.家賃とは別に駐車場使用料等を収受していない場合
ロ.プール、アスレチック、温泉などの施設を備えた住宅については、居住者のみが使用でき、家賃とは別に利用料等を収受していない場合、非課税となります。

(4)店舗等併設住宅については、住宅部分のみが非課税とされますので、その家賃については住宅部分と店舗部分とを合理的に区分することとなります。

<住宅の貸付けの範囲>
(1)住宅の貸付けとして非課税となるのは、その貸付けに係る契約において住宅用に供することが明らかにされているものや、契約において貸付けの用途が明らかにされていない場合にその貸付け等の状況からみて住宅用に供されていることが明らかなものに限られます。

(2)次に該当する場合は非課税となる住宅の貸付けから除かれます。
イ.貸付期間が1か月未満の場合
ロ.旅館業法第2条第1項に規定する旅館業に係る施設の貸付けに該当する場合
(注)
例えば、旅館、ホテル、貸別荘、リゾートマンション、ウィークリーマンション等は、その利用期間が1か月以上となる場合であっても、非課税とはなりません。
また、住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業(いわゆる民泊)も、旅館業法に規定する旅館業に該当しますので、非課税の対象となりません。

<対価たる家賃の範囲>
(1)家賃には、月決め等の家賃のほか、敷金、保証金、一時金等のうち返還しない部分を含みます。

(2)共同住宅における共用部分に係る費用(エレベーターの運行費用、廊下等の光熱費、集会所の維持費等)を入居者が応分に負担する、いわゆる共益費も家賃に含まれます。
(注)
入居者から家賃とは別に収受する専有部分の電気、ガス、水道等の利用料は、非課税とされる家賃には含まれません。

(3)「まかない」などのサービスが伴う下宿、有料老人ホーム等の場合、まかないなどのサービス部分は課税となり、部屋代部分は非課税となります。

<転貸する場合の取扱い>
住宅用の建物を賃貸する場合において、賃借人が自ら使用しない場合であっても、その賃貸人と賃借人との間の契約において、賃借人が住宅として転貸することが明らかな場合には、住宅の貸付けとして非課税とされます。
なお、賃貸人と賃借人との間の契約においてその貸付けに係る用途が明らかにされていない場合であっても、例えば、次のような場合には、その貸付け等の状況からみて住宅用に供されていることが明らかな場合に該当し、住宅の貸付けとして非課税とされます。

(1)住宅の賃借人がその住宅を第三者に転貸している場合であって、その賃借人と入居者である転借人との間の契約において人の居住の用に供することが明らかにされている場合

(2)住宅の賃借人がその住宅を第三者に転貸している場合であって、その賃借人と入居者である転借人との間の契約において人の居住の用に供することが明らかにされていないが、その転借人が個人であって、その住宅が人の居住の用に供されていないことを賃貸人が把握していない場合

<用途変更の場合>
住宅として貸し付けられた建物について、契約当事者間で住宅以外の用途に契約変更した場合には、契約変更後のその建物の貸付けは課税の対象となります。

★リンクはこちら⇒ 住宅の貸付け

2025年3月17日


地金が消費税法第36条第5項に規定する「棚卸資産」に該当するとした事例

令和3年3月1日から令和4年2月28日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分・棄却
令和6年4月25日裁決

<ポイント>
本事例は、金地金の売買が請求人の事業目的から離れたところで行われたものとはいえず、請求人が当該金地金を取得した時点においてこれを売却する方針を有していたことから、当該金地金は消費税法第36条第5項に規定する「棚卸資産」に該当すると判断したものである。

<要旨>
請求人は、金地金の売買を反復継続して行うものではないから、金地金の売買が請求人の営業に当たることはなく、請求人が消費税を納める義務が免除されることとなった課税期間の初日の前日において保有していた金地金(本件金地金)は消費税法第36条《納税義務の免除を受けないこととなった場合等の棚卸資産に係る消費税額の調整》第5項に規定する「棚卸資産」に該当しない旨主張する。

しかしながら、消費税法第36条第5項に規定する「棚卸資産」に該当するか否かについては、会計処理のみにより形式的に判断するのではなく、判断の対象とされている資産と事業者の属性及び事業目的との関係、当該資産の取得時の使用・収益・処分に係る方針等といった客観的な事実に基づき、事業者が、通常の営業過程、すなわち、その事業目的に係る業務の過程において売却することを目的として保有する資産に当たるといえるかどうかにより実質的に判断するのが相当である。

そして、請求人が行う金地金の売買に係る取引額が、いずれも、請求人の事業規模に照らして大きなものである等、請求人の事業に及ぼす影響が大きいことからすると、請求人における金地金の売買は、補助ないし付随的な活動とはいえず、定款に明示的に掲げられた事業目的そのものではないとしても、事業目的から離れたところで行われているものとはいえないから、本件金地金は、請求人の事業目的に係る取引の客体にほかならないと認められる。

また、本件金地金の取得から売却に至る経緯及び本件金地金を取得するための借入金を返済するためには本件金地金を売却する必要があったこと等からすると、請求人は、本件金地金を取得した時点において、将来、これを売却する方針を有していたと認められる。

これらの事実に基づけば、請求人は、その事業目的に係る業務の過程において売却することを目的として本件金地金を保有していたものと認められるから、本件金地金は消費税法第36条第5項に規定する「棚卸資産」に該当する。

★リンクはこちら⇒ 地金が消費税法第36条第5項に規定する「棚卸資産」に該当するとした事例

2025年3月13日


商品券やプリペイドカードなど

<商品券やプリペイドカードなどの譲渡>
商品券、ギフト券、旅行券のほかテレホンカードなどのいわゆるプリペイドカードの譲渡は、物品切手等の譲渡として非課税とされています。

(注)
商品券などの譲渡に課税すると、最終的に提供を受ける商品やサービスが同じ一つのものであるにもかかわらず、二重に課税されることになります。

したがって、このような二重課税を避けるために商品券などの譲渡には課税しないことになっています。

<商品券やプリペイドカードを使用して商品を購入等した場合>
(1)課税仕入れの時期
商品券など物品切手等を用いる取引では、物品切手等の購入は非課税とされ、後日、物品切手等を使って実際に商品を購入したり、サービスの提供を受けた時が課税の時期となります。

すなわち、仕入れに含まれる消費税額の控除は、商品券などを購入した時ではなく、後日その商品券などを使って実際に商品の購入またはサービスの提供を受けた者が、その時に行うことになります。

なお、事業者が商品券などの物品切手等を自ら使用する場合で、その物品切手等が、商品やサービスの引換給付を受ける相手方(適格請求書発行事業者)により回収されるものであるときは、継続して当該物品切手等を購入した日の属する課税期間の課税仕入れとしていることを条件として、その経理処理が認められることになります。

(2)課税仕入れに係る支払対価の額
事業者が商品券などの物品切手等を商品やサービスの引換給付を受ける相手方から直接購入した場合において、当該物品切手等による引換給付として行った課税仕入れの際に、当該物品切手がその引換給付を受ける相手方(適格請求書発行事業者)により回収されるものであるときにおける当該課税仕入れに係る支払対価の額は、引換を受けた商品やサービスの価格ではなく、その物品切手等の購入に要した金額となります。

<チケット業者の取扱い>
チケット業者が販売する郵便切手、印紙、証紙は非課税取引とはなりませんが、物品切手等の販売は非課税取引になります。

★リンクはこちら⇒ 商品券やプリペイドカードなど

2025年2月28日


地代、家賃や権利金、敷金など

<地代>
土地の譲渡や貸付けは、消費税の課税の対象とならないこととされています(非課税取引)。

なお、土地の貸付けのうち、貸付けに係る期間が1か月に満たない場合および駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合は、非課税にはなりません。

土地には、土地の上に存する権利も含まれます。

土地の上に存する権利とは、地上権、土地の賃借権、地役権、永小作権などの土地の使用収益に関する権利をいいます。

<家賃>
事務所などの建物を貸し付ける場合の家賃は課税の対象となります。

この場合、家賃を土地部分と建物部分とに区分している場合でも、その総額が建物の貸付けの対価として取り扱われます。

なお、住宅の貸付けは、貸付期間が1か月に満たない場合などを除き非課税となります。

ただし、契約において住宅用であることが明らかにされているものや、契約において貸付けの用途が明らかにされていない場合にその貸付け等の状況からみて住宅用に供されていることが明らかなものに限られます。

<権利金、敷金などの取扱い>
(1)地上権、土地の賃借権の設定に伴い授受される更新料や名義書換料は、土地の貸付けまたは土地の上に存する権利の設定の対価として、非課税となります。

(2)事業用の建物の賃貸借契約の締結や更新に伴う保証金、権利金、敷金または更新料などのうち、返還しないものは、権利の設定の対価となりますので、資産の譲渡等の対価として課税の対象となり、契約の終了により返還される保証金や敷金などは、資産の譲渡等の対価に該当しないので、課税の対象にはなりません。

ただし、上記の住宅に係る賃貸借契約の締結や更新に伴う保証金、権利金、敷金または更新料などのうち、返還しないものは非課税となります。

★リンクはこちら⇒ 地代、家賃や権利金、敷金など

2025年2月14日


預金や貸付金の利子など

消費税は、財貨やサービスの流れを通して消費に負担を求める税です。したがって、消費税の課税の対象になじまない資金の流れに関する取引などは非課税とされています。

<非課税となる取引>
具体的には、次のものを対価とする金融取引などが非課税とされています。

1 預貯金や貸付金の利子
2 国債、地方債、社債、新株予約権付社債、投資法人債券の利子
3 国際通貨基金協定に規定する特別引出権の利子
4 信用の保証料
5 合同運用信託、公社債投資信託(株式または出資に対する投資として運用しないものに限ります。)または公社債等運用投資信託の信託報酬
6 保険料(厚生年金基金契約等に係る事務費用部分を除きます。)
7 保険料に類する共済掛金
8 集団投資信託、法人課税信託または退職年金信託もしくは特定公益信託の収益の分配金
9 相互掛金または定期積金の給付補填金
10 無尽契約の掛金差益
11 抵当証券(これに類する外国の証券を含みます。)の利息
12 割引債(利付債を含みます。)の償還差益
13 手形の割引料
14 金銭債権の買取または立替払に係る差益
15 有価証券(登録国債等を含み、ゴルフ場利用株式等を除きます。)の賃貸料
16 物上保証料
17 割賦販売法に基づく割賦販売、ローン提携販売、包括信用購入あっせんまたは個別信用購入あっせんの手数料(契約においてその額が明示されているものに限ります。)
18 割賦販売などに準ずる方法により資産の譲渡等を行う場合の利子または保証料相当額(契約においてその額が明示されている部分に限ります。)
19 動産または不動産の貸付けを行う信託で、貸付期間の終了時に未償却残額で譲渡する旨の特約が付されたものの利子または保険料相当額で契約において明らかに区分されている部分の金額 (契約において明示されている部分に限ります。)
20 いわゆるファイナンス・リースのリース料のうち、利子または保険料相当額(契約において利子または保険料の額として明示されている部分に限ります。)

★リンクはこちら⇒ 預金や貸付金の利子など

2025年2月12日


社会福祉事業等として行われる資産の譲渡等に係る非課税範囲

(1)社会福祉法に規定する社会福祉事業および更生保護事業法に規定する更生保護事業として行われる資産の譲渡等のうち一定のものについては、消費税が非課税となります。

(2)また、次に掲げる資産の譲渡等についても、社会福祉事業等として行われる資産の譲渡等に類するものとして、消費税が非課税となります。

児童福祉法に規定する児童福祉施設を経営する事業として行われる資産の譲渡等および同法に規定する保育所を経営する事業に類する事業として行われる資産の譲渡等(平成17年厚生労働省告示第128号に定める資産の譲渡等)
児童福祉法の規定に基づき指定発達支援医療機関が行う一定の治療等
児童福祉法に規定する一時保護
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律の規定に基づき独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園がその設置する施設において行う同法に規定する介護給付費等の支給に係る施設障害福祉サービスおよび知的障害者福祉法の規定に基づき同園がその設置する施設において行う同法の更生援護
介護保険法に規定する包括的支援事業として行われる資産の譲渡等(社会福祉法に規定する老人介護支援センターを経営する事業に類する事業として行われる資産の譲渡等(平成18年厚生労働省告示第311号に定める資産の譲渡等)に限る)
子ども・子育て支援法の規定に基づく施設型給付費等の支給に係る事業として行われる資産の譲渡等
母子保健法に規定する産後ケア事業として行われる資産の譲渡等
老人福祉法に規定する老人居宅生活支援事業および障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に規定する障害福祉サービス事業のうち一定の事業として行われる資産の譲渡等

(3)さらに、上記(2)チに掲げる事業に類するものとして、次に掲げる事業のうち、その要する費用の2分の1以上が国または地方公共団体により負担される事業として行われる資産の譲渡等(平成3年厚生省告示第129号に定める資産の譲渡等)についても、消費税が非課税となります。
イ.身体障害者、知的障害者または精神障害者等(注1)に対して行う次に掲げる事業

(イ) 居宅において入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活を営むのに必要な便宜を供与する事業
(ロ) 施設に通わせ、入浴、食事の提供、機能訓練、介護方法の指導その他の便宜を供与する事業
(ハ) 居宅において介護を受けることが一時的に困難になった者を、施設に短期間入所させ、養護する事業

ロ.身体障害者、知的障害者または精神障害者(注2)が共同生活を営むべき住居において食事の提供、相談その他の日常生活上の援助を行う事業

ハ.原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律に規定する被爆者であって、居宅において介護を受けることが困難な者を施設に入所させ、養護する事業

ニ.身体に障害がある児童等(注3)に対してその者の居宅において入浴の便宜を供与する事業

ホ.身体に障害がある児童等(注3)に対してその者の居宅において食事を提供する事業

(注1)
身体に障害のある18歳に満たない者、知的障害の18歳に満たない者、身体障害者福祉法に規定する身体障害者、知的障害者、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に規定する精神障害者(発達障害のある方を含む)、身体上もしくは精神上の障害があるために日常生活を営むのに支障のある65歳以上の者等(これらの者を現に介護または養護する者を含む)、母子及び父子並びに寡婦福祉法に規定する配偶者のない女子もしくはその者に現に扶養されている20歳に満たない者、65歳以上の者等のみにより構成される世帯に属する者、同法に規定する配偶者のない男子に現に扶養されている20歳に満たない者もしくはその者を扶養している当該配偶者のない男子または父および母以外の者に現に扶養されている20歳に満たない者もしくはその者を扶養している者

(注2)
身体障害者福祉法に規定する身体障害者、知的障害者、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に規定する精神障害者(発達障害のある方を含む)

(注3)
身体に障害がある児童、身体障害者福祉法に規定する身体障害者、身体上もしくは精神上の障害があるために日常生活を営むのに支障のある65歳以上の者等または65歳以上の者等のみにより構成される世帯に属する者

(注4)
消費税が非課税となるかどうかを判断するに当たり、その事業が社会福祉法に規定する社会福祉事業等に該当するか否かについて疑義が生じた場合には、その事業を実施する地方公共団体等にご確認下さい。

★リンクはこちら⇒ 社会福祉事業等として行われる資産の譲渡等に係る非課税範囲

2025年2月6日


身体障害者用物品に該当する自動車

(1)乗用自動車のうち非課税となるものは、身体障害者の使用に供するものとして特殊な性状、構造または機能を有する次の自動車です。

身体障害者による運転に支障がないよう、道路交通法第91条《免許の条件》の規定により付される運転免許の条件の趣旨に従い、その身体障害者の身体の状態に応じて、手動装置、左足用アクセル、足踏式方向指示器、右駐車ブレーキレバー、足動装置、運転用改造座席の補助手段が講じられている自動車
車椅子および電動車椅子(以下「車椅子等」といいます。)を使用する者を車椅子等とともに搬送できるよう、車椅子等昇降装置を装備し、かつ、車椅子等の固定等に必要な手段を施した自動車(乗車定員11人以上の普通自動車については、車椅子等を使用する者を専ら搬送するものに限ります。)

(2)(1)に該当する自動車であれば、その譲渡、貸付けおよび製作の請負と、次の修理が非課税とされます。

(1)イの補助手段に係る修理
(1)ロの車椅子等昇降装置および必要な手段に係る修理

(注1)
他の者から委託を受けて一般自動車を非課税対象となる自動車に改造する行為は、製作の請負に該当し、非課税となります。

(注2)
改造代金のみならず、改造をした自動車の譲渡代金が非課税となりますが、例えば、いったん一般自動車を購入し、その後改造を行う場合には、当初の一般自動車の購入は課税となり、改造代金についてのみ非課税となります。

(注3)
補助手段の部品や装置自体の譲渡は非課税とはなりません。

★リンクはこちら⇒ 身体障害者用物品に該当する自動車

2025年1月31日


駐車場の使用料など

<土地の一時的貸付け>
土地の譲渡や貸付けは、消費税が非課税となります。

しかし、土地の貸付けであっても、貸付期間が1か月に満たない場合は、消費税が課されます。

<駐車場、野球場等の貸付け>
駐車場など施設の利用に伴って土地が使用される場合は、消費税が課されます。

したがって、駐車している車両の管理を行っている場合や、駐車場としての地面の整備またはフェンス、区画、建物の設置などをして駐車場として利用させる場合には、消費税が課されます。

このほか、建物や野球場、プールまたはテニスコートなどの施設の利用に伴って土地が使用される場合も消費税が課されます。

<建物部分と敷地部分の区分>
建物(住宅を除きます。)などの施設の貸付けをする場合に、その使用料を建物部分と敷地部分とに区分しているときでも、その総額が建物の使用料として消費税が課されます。

<住宅の貸付け>
契約において住宅用であることが明らかにされている場合や貸付け等の状況からみて住宅用に供されていることが明らかな場合には、その住宅の貸付けは、貸付期間が1か月に満たない場合や、旅館業法第2条1項に規定する旅館業に係る施設の貸付けに該当する場合を除き消費税が非課税となります。

★リンクはこちら⇒ 駐車場の使用料など

2025年1月17日


国外取引

国外取引や三国間貿易などの消費税の課税関係については、次のとおりです。

<国外取引>
国外取引については、消費税は課税されません(不課税)。

国内取引か国外取引かの判定(内外判定)は、次によります。
イ.資産の譲渡または貸付けの場合
資産の譲渡または貸付けの場合は、一定の取引についての例外はありますが、原則として、その譲渡または貸付けが行われる時においてその資産が所在していた場所で国内取引かどうかを判定します。

ロ.役務の提供の場合
役務の提供の場合は、一定の取引についての例外はありますが、原則として、その役務の提供が行われた場所で、国内取引かどうかを判定します。

(注)
電子書籍・音楽・広告の配信などの電気通信回線(インターネット等)を介して行われる役務の提供(電気通信利用役務の提供)については、当該役務の提供を受ける者の住所等で国内取引かどうかを判定します。

これにより、国内に住所等を有する者に提供する「電気通信利用役務の提供」については、国内、国外いずれから提供を行っても課税対象となります。

詳しくはコード6118「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係」についてをご参照ください。

<三国間貿易>
事業者が国外において購入した資産を国内に搬入することなく他へ譲渡するいわゆる三国間貿易の場合は、国外に所在する資産の譲渡であり国外取引に該当しますので、その経理処理のいかんに関わらず課税の対象とはなりません。

<国内および国外にわたって行われる役務の提供>
例えば、国内の事業者から特定国の市場調査を請け負い、国外で市場調査を行い、日本で調査結果を分析し報告書を作成する取引は、国内および国外にわたって行われる役務の提供に該当し、国内対応部分と国外対応部分の対価が契約において合理的に区分されている場合は、その区分されているところによりますが、それぞれの対価が合理的に区分されていない場合には、役務の提供を行う者の役務の提供に係る事務所等の所在地で内外判定を行います。

★リンクはこちら⇒ 国外取引

2025年1月15日


非課税と不課税の違い

<不課税取引>
消費税の課税の対象は、国内において事業者が事業として対価を得て行う取引です。

これに当たらない取引には消費税はかかりません。

これを一般的に不課税取引といいます。

例えば、国外取引、対価を得て行うことに当たらない寄附や単なる贈与、出資に対する配当などがこれに当たります。

<非課税取引>
国内において事業者が事業として対価を得て行う取引であっても、課税対象になじまないものや社会政策的配慮から消費税を課税しない取引があります。

これを非課税取引といいます。

例えば、土地や有価証券、商品券などの譲渡、預貯金や貸付金の利子、社会保険医療などの取引がこれに当たります。

<課税売上割合の計算上の非課税と不課税の違い>
非課税取引と不課税取引では、消費税が課税されないことは同じですが、課税売上割合の計算においてその取扱いが異なります。

課税売上割合は、分母を総売上高(課税取引、非課税取引および免税取引の合計額)とし、分子を課税売上高(課税取引および免税取引の合計額)としたときの割合です。

非課税取引は、原則として分母のみに算入しますが、これに対して、不課税取引は、そもそも消費税の適用の対象にならない取引ですから、分母にも分子にも算入しません。

★リンクはこちら⇒ 非課税と不課税の違い

2025年1月10日


非課税と免税の違い

非課税と免税は、その取引のために行った課税仕入れについて仕入税額の控除を行うことができるかどうかという点が異なります。

<非課税取引>
消費税は国内で消費される財貨やサービスに対して広く公平に負担を求める税金です。原則として国内におけるすべての取引が課税の対象となります。

しかし、国内取引であっても消費に負担を求める税としての性質上や社会政策的配慮から課税の対象としないこととされている取引があり、これを「非課税取引」といいます。

例えば、土地や有価証券、商品券などの譲渡、預貯金や貸付金の利子、社会保険医療などの取引がこれに当たります。

非課税とされる取引には消費税が課税されませんので、非課税取引のために行った課税仕入れについては、原則としてその仕入れに係る消費税額を控除することができません。

<免税取引>
消費税では、非課税取引のほかにも、消費税が免除される「免税取引」があります。

例えば、商品の輸出や国際輸送、外国にある事業者に対するサービスの提供などのいわゆる輸出類似取引などです。

この場合には、輸出証明書を保管するなど、一定の要件を備えている必要があります。

免税とされる輸出や輸出類似取引は、課税資産の譲渡等に当たりますが、一定の要件が満たされる場合に、その売上げについて消費税が免除されるものです。

したがって、その輸出や輸出類似取引などの免税取引のために行った課税仕入れについては、原則として仕入れに係る消費税額を控除することができることとなります。

★リンクはこちら⇒ 非課税と免税の違い

2024年12月13日


消費税還付申告に関する国税当局の対応について(令和6年11月)

消費税は、輸出免税や免税店における免税販売が主要な事業である場合、ないしは多額の設備投資を行った場合などに、還付申告書を提出することで還付金を受けることができる仕組みとなっています。

多くの納税者の方々が正しく申告をする一方、そのような消費税の仕組みを悪用し、実際に取引をしたように見せかけるなど、虚偽の内容で申告書を提出して、消費税の還付を不正に受けようとする事案も発生しています。

消費税の還付申告の中には、上記のような不正還付事案の他にも、各取引に関する課税取引や非課税取引といった区分の誤りや固定資産等の取得時期の誤りなども見受けられます。

そのため、国税当局としては、各種情報に照らして必要があると認められる場合は、還付金の支払いをいったん保留しつつ、還付申告の原因を確認するため、行政指導において、証拠書類(例えば、還付申告の主な原因が輸出免税である場合には輸出許可通知書やインボイス等の写し、設備投資である場合には契約書や請求書等の写しのほか、取引実態の確認できる資料)の提出をお願いすることや、税務調査を実施する場合もあります。

還付申告の原因の確認に当たっては、個別具体的な各種の事情に応じた対応を行うことから、例えば、課税仕入れや免税取引等の相手方と連絡が取れないことなどにより取引の実態の確認が困難である場合や、取引に係る金銭授受の事実確認が困難である場合、輸出等に係る証拠書類が適切に保管されていない場合などにおいては、それらの確認に時間を要し、還付を保留する期間が長期にわたる場合があります。

国税当局としては、可能な限り速やかに上記の実態の確認等に努めるとともに、これらの結果、還付税額が過大と認められる事由がないことが判明した場合には、遅滞なく還付を行うこととしていますので、納税者の皆様のご理解とご協力をお願いします。

★リンクはこちら⇒ 消費税還付申告に関する国税当局の対応について(令和6年11月)

2024年12月11日


非課税となる取引

消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行う取引を課税の対象としています。

しかし、これらの取引であっても消費に負担を求める税としての性格から課税の対象としてなじまないものや社会政策的配慮から、課税しない非課税取引が定められています。

<主な非課税取引>

(1) 土地の譲渡および貸付け
土地には、借地権などの土地の上に存する権利を含みます。
ただし、1か月未満の土地の貸付けおよび駐車場などの施設の利用に伴って土地が使用される場合は、非課税取引には当たりません。
(2) 有価証券等の譲渡
国債や株券などの有価証券、登録国債、合名会社などの社員の持分、抵当証券、金銭債権などの譲渡
ただし、株式・出資・預託の形態によるゴルフ会員権などの譲渡は非課税取引には当たりません。
(3) 支払手段(注)の譲渡
銀行券、政府紙幣、小額紙幣、硬貨、小切手、約束手形などの譲渡
ただし、これらを収集品として譲渡する場合は非課税取引には当たりません。
(注)
支払手段に類するものとして、資金決済に関する法律第2条に規定する電子決済手段及び暗号資産(令和2年4月までは「仮想通貨」という名称が用いられていました。)及び電子決済手段の譲渡も非課税となります。
(4) 預貯金の利子および保険料を対価とする役務の提供等
預貯金や貸付金の利子、信用保証料、合同運用信託や公社債投資信託の信託報酬、保険料、保険料に類する共済掛金など
(5) 日本郵便株式会社などが行う郵便切手類の譲渡、印紙の売渡し場所における印紙の譲渡および地方公共団体などが行う証紙の譲渡
(6) 商品券、プリペイドカードなどの物品切手等の譲渡
(7) 国等が行う一定の事務に係る役務の提供
国、地方公共団体、公共法人、公益法人等が法令に基づいて行う一定の事務に係る役務の提供で、法令に基づいて徴収される手数料
なお、この一定の事務とは、例えば、登記、登録、特許、免許、許可、検査、検定、試験、証明、公文書の交付などです。
(8) 外国為替業務に係る役務の提供
(9) 社会保険医療の給付等
健康保険法、国民健康保険法などによる医療、労災保険、自賠責保険の対象となる医療など
ただし、美容整形や差額ベッドの料金および市販されている医薬品を購入した場合は非課税取引に当たりません。
(10) 介護保険サービスの提供等
介護保険法に基づく保険給付の対象となる居宅サービス、施設サービスなど
ただし、サービス利用者の選択による特別な居室の提供や送迎などの対価は非課税取引には当たりません。
(11) 社会福祉事業等によるサービスの提供等
社会福祉法に規定する第一種社会福祉事業、第二種社会福祉事業、更生保護事業法に規定する更生保護事業などの社会福祉事業等によるサービスの提供など
(12) 助産
医師、助産師などによる助産に関するサービスの提供等
(13) 火葬料や埋葬料を対価とする役務の提供
(14) 一定の身体障害者用物品の譲渡や貸付け等
義肢、視覚障害者安全つえ、義眼、点字器、人工喉頭、車椅子、身体障害者の使用に供するための特殊な性状、構造または機能を有する自動車などの身体障害者用物品の譲渡、貸付け、製作の請負およびこれら身体障害者用物品の修理のうち一定のもの
(15) 学校教育
学校教育法に規定する学校、専修学校、修業年限が1年以上などの一定の要件を満たす各種学校等の授業料、入学検定料、入学金、施設設備費、在学証明手数料など
(16) 教科用図書の譲渡
(17) 住宅の貸付け

契約において人の居住の用に供することが明らかにされているもの(契約において貸付けの用途が明らかにされていない場合にその貸付け等の状況からみて人の居住の用に供されていることが明らかなものを含みます。)に限られます。
ただし、1か月未満の貸付けなどは非課税取引には当たりません。

★リンクはこちら⇒ 非課税となる取引

2024年12月9日


消費税の軽減税率制度

令和元年10月1日から、消費税および地方消費税の税率が8パーセントから10パーセントへ引き上げられ、この税率引き上げと同時に消費税の軽減税率制度が実施されました。

<消費税率および地方消費税率>
令和元年10月1日(適用開始日)以後に行われる資産の譲渡等、課税仕入れおよび保税地域から引き取られる課税貨物に適用される税率は、次のとおりとなります。

  • 標準税率は10パーセント(消費税率7.8パーセント、地方消費税率2.2パーセント)です。
  • 軽減税率は8パーセント(消費税率6.24パーセント、地方消費税率1.76パーセント)です。

<軽減税率の対象となる品目>
軽減税率が適用されるのは、次の対象品目の譲渡(販売)です。
(1)飲食料品(酒類を除く)
飲食料品とは、食品表示法に規定する食品(注1)をいい、一定の一体資産(注2)を含みます。

なお、外食やケータリング等(注3)は軽減税率の対象には含まれません。

(注1)
食品表示法に規定する食品とは、人の飲用または食用に供されるものをいい、医薬品、医薬部外品および再生医療等製品が含まれず、食品衛生法に規定する添加物が含まれます。

(注2)
一体資産とは、例えば、おもちゃ付きのお菓子など、食品と食品以外の資産があらかじめ一体となっている資産で、その一体となっている資産に係る価格のみが提示されているものをいいます。一体資産のうち、税抜価額が1万円以下であって、食品の価額の占める割合が3分の2以上の場合に限り、その全体が軽減税率の対象となります(それ以外は全体が標準税率の対象となります)。

(注3)
外食とは、飲食店業等の事業を営む者が飲食に用いられる設備がある場所において行う食事の提供をいいます。
ケータリング等とは、相手方が指定した場所において行う加熱、調理または給仕等の役務を伴う飲食料品の提供をいいます。

(2)新聞
軽減税率の対象となる新聞とは、一定の題号を用い、政治、経済、社会、文化等に関する一般社会的事実を掲載する週2回以上発行されるもの(定期購読契約に基づくものに限ります。)をいいます。

<適用税率の判定時期>
軽減税率が適用される取引か否かの判定は、事業者が課税資産の譲渡等を行うとき(飲食料品を提供する時点)で行うことになります。

販売する事業者が、人の飲用又は食用に供されるものとして譲渡した場合には、顧客がそれ以外の目的で購入し、又はそれ以外の目的で使用したとしても、その取引は「飲食料品の譲渡」に該当し、軽減税率の適用対象となります。

<帳簿および請求書等の記載と保存>
消費税等の税率が標準税率(10パーセント)と軽減税率(8パーセント)の複数税率となっていますので、事業者は、消費税等の申告等を行うために、取引等を税率の異なるごとに区分して記帳するなどの経理(以下「区分経理」といいます。)を行う必要があります。

令和5年10月1日から、複数税率に対応した仕入税額控除の方式として、「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」が開始し、仕入税額控除の適用を受けるためには、帳簿および税務署長に申請して登録を受けた課税事業者(適格請求書発行事業者)から交付を受けた「適格請求書(インボイス)」などの請求書等の保存が必要です。

適格請求書には、「登録番号」、「適用税率」、「税率ごとに区分した消費税額等」などの法定記載事項を記載する必要があります。

ただし、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間は、適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れであっても、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置が設けられています。

この経過措置の適用を受けるためには、次の事項が記載された帳簿及び請求書等の保存が必要となります。

  • 帳簿:区分記載請求書等保存方式の記載事項に加え、「経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨」
  • 請求書等:区分記載請求書等と同様の記載事項

(参考)区分記載請求書等保存方式
令和元年10月1日から令和5年9月30日までの期間において、消費税の仕入税額控除を適用するためには、区分経理に対応した帳簿および請求書等(区分記載請求書等)の保存が要件となっていました(区分記載請求書等保存方式)。

適格請求書等保存方式とは異なり、免税事業者であっても、課税事業者に対して軽減税率の対象となる商品を販売する場合には、相手方に対して区分記載請求書等を交付することができました。

<税額計算の特例(参考)>
消費税額は税率ごとに計算しますが、売上げを税率ごとに区分することにつき困難な事情がある中小事業者(注)については、令和元年10月1日から令和5年9月30日までの期間において、税額計算の特例を用いて売上税額を計算することができます。

(注)
中小事業者とは、基準期間における課税売上高が5,000万円以下の事業者をいいます。

詳しくは、特設ページ「消費税の軽減税率制度」をご参照ください。

★リンクはこちら⇒ 消費税の軽減税率制度

2024年12月5日


前受金や前払金などがあるとき

消費税の課税資産の譲渡等や課税仕入れの時期は、所得税や法人税の場合と同じように、原則として資産の引渡しやサービスの提供があった時とされています。

したがって、例えば、工事代金の前受金を受け取ったり、機械の購入について前払金を支払っていたとしても、その受取や支払の時期に関係なく、実際に引渡しやサービスの提供があった時が売上げや仕入れの時期となります。

同じように、未収金や未払金がある時も、その代金の決済の時期に関係なく、資産の引渡しやサービスの提供があった時が売上げや仕入れの時期になります。

なお、前払費用のうち、所得税または法人税の取扱いによりその支出した年度において必要経費の額または損金の額に算入している短期前払費用は、その支出した課税期間の課税仕入れとして取り扱われます。

(注)
個人事業者で所得税法第67条の規定により、現金主義による所得計算の特例の適用を受ける者(小規模事業者等)の資産の譲渡等および課税仕入れを行った時期は、その資産の譲渡等にかかる対価の額を収入した日およびその課税仕入れにかかる費用の額を支出した日とすることができます(申告書にその旨を付記するものとされています。)。

★リンクはこちら⇒ 前受金や前払金などがあるとき

2024年12月3日


リース取引についての消費税の取扱いの概要

<リース取引の賃貸人における処理>
(1)原則的な処理方法
所得税法または法人税法の規定により売買があったものとされるリース取引(以下「リース取引」といいます。)については、原則として、賃貸人が賃借人にその取引の目的となる資産(以下「リース資産」といいます。)の引渡し(以下「リース譲渡」といいます。)を行った日に資産の譲渡があったことになります。

したがって、事業者が行ったリース譲渡が課税資産の譲渡等に該当する場合には、そのリース資産の譲渡対価の全額がその引渡しを行った日の属する課税期間における資産の譲渡等の対価の額に含まれます。

(2)リース譲渡に係る譲渡等の時期の特例
事業者がリース取引について所得税法または法人税法の所得金額の計算において延払基準の方法により経理することにより、リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例の適用を受けている場合には、消費税についてもこの特例の適用を受けることができます。

この場合には、リース譲渡をした日の属する課税期間においてリース料の支払期日の到来しないものに係る部分については、その課税期間において資産の譲渡等を行わなかったものとみなしてその部分に係る対価の額をその課税期間におけるリース譲渡に係る対価の額から控除することができます。

また、リース譲渡をした日の属する課税期間において資産の譲渡等を行わなかったものとみなされた部分は、その翌課税期間以後、そのリース料の支払期日の到来する日の属する課税期間において資産の譲渡等を行ったものとみなされます。

(注)
「延払基準の方法」については、コード5703「リース取引の賃貸人における収益及び費用の計上方法(平成20年4月1日以後契約分)」を参照してください。

<リース取引の賃借人における処理>
リース取引による資産の譲受けが課税仕入れに該当する場合には、その課税仕入れを行った日はそのリース資産の引渡しを受けた日となります。

したがって、その課税仕入れについては、そのリース資産の引渡しを受けた日の属する課税期間において仕入税額控除の規定の適用を受けることになります。

(注1)
リース取引の賃貸人が上記リース取引の賃貸人における処理の(2)のリース譲渡に係る譲渡等の時期の特例の適用を受ける場合であっても、そのリース取引の賃借人の課税仕入れの時期はそのリース資産の引渡しを受けた日となります。

(注2)
リース取引の契約においてリース料のうち利子に相当する部分とそれ以外の部分に区分表示されている場合には、利子に相当する部分は非課税となりますので、その部分は課税仕入れとはなりません。

(注3)
賃借人が所有権移転外リース取引に係るリース資産につき、賃貸借取引として会計処理している場合には、「所有権移転外ファイナンス・リース取引について賃借人が賃貸借処理した場合の取扱い」を参照してください。

(注4)
所有権移転外リース取引については、コード5704「所有権移転外リース取引」を参照してください。

★リンクはこちら⇒ リース取引についての消費税の取扱いの概要

2024年11月27日


延払基準、工事進行基準を用いているとき

消費税の納税義務の成立の時期は、資産の譲渡等の時とされていますが、所得税や法人税の申告に当たって、延払基準や工事進行基準により経理処理が行われ収入計上されている場合は、消費税でもこれらの基準によって申告を行うことができます。

<リース譲渡を行った場合の延払基準>
事業者がリース取引について所得税法または法人税法の所得金額の計算において延払基準の方法により経理することにより、リース譲渡にかかる資産の譲渡等の時期の特例の適用を受けている場合には、消費税についてもこの特例の適用を受けることができます(申告書にその旨を付記するものとされています。)。

この場合は、その課税期間において支払期限の到来しない賦払金の部分については、現実に支払を受けたものを除き、その課税期間において資産の譲渡等はなかったものとすることができます。

この資産の譲渡等はなかったものとした部分は、支払期限の到来したときに資産の譲渡等が行われたものとされます。

(注1)
リース取引についてこの取扱いの適用を受ける場合、コード6163「リース取引についての消費税の取扱いの概要」を参照してください。

(注2)
長期割賦販売等に係る資産の譲渡等の時期の特例は、平成30年4月1日から廃止されました(リース譲渡については、引き続き、延払基準による計上に関する特例の措置が設けられています。)。

なお、長期割賦販売等に係る資産の譲渡等の時期の特例の廃止にあたっては、以下の経過措置が設けられています。

1 平成30年4月1日(施行日)前に特定長期割賦販売等(長期割賦販売等からリース譲渡を除いたもの。)を行った事業者(施行日前に行われた特定長期割賦販売等に係る契約の移転を受けた事業者を含みます。)は、令和5年3月31日以前に開始する各事業年度に含まれる各課税期間(個人事業者の方は、令和5年12月31日以前に開始する各課税期間)については、延払基準により資産の譲渡等の対価の額を計算することができます。なお、当該経過措置の適用を受ける特定長期割賦販売等のうち、令和5年3月31日以前に開始した事業年度に含まれる各課税期間(個人事業者の方は、令和5年12月31日以前に開始した各課税期間)において、資産の譲渡等を行ったものとしなかった部分がある場合には、令和5年3月31日後最初に開始する事業年度終了の日の属する課税期間(個人事業者の方は、令和6年12月31日の属する課税期間)に資産の譲渡等を行ったものとみなされます。
2 1の経過措置の適用を受ける特定長期割賦販売等について、長期割賦販売等に係る特例の適用を受けないこととした場合や所得税、法人税において延払基準の方法による経理をやめた場合には、賦払金残額についてそれぞれ、その適用を受けないこととした課税期間または延払基準の方法による経理をやめた事業年度終了の日の属する課税期間(個人事業者の方は、その適用を受けないこととした課税期間または延払基準の方法による経理をやめた年の12月31日の属する課税期間)に資産の譲渡等を行ったものとみなされます。
3 法人税または所得税における経過措置(10年均等取崩特例)の規定の適用を受けようとするときは、当該規定の適用による各事業年度の益金の額に算入される収益の額または各年の総収入金額に算入される金額に係る部分については、当該規定の適用を受ける事業年度の終了の日の属する課税期間(個人事業者の方は、当該規定の適用を受ける年の12月31日の属する課税期間)において、資産の譲渡等を行ったものとみなすことができることとされており、賦払金の残額について所得税または法人税と同様に10年間の均等計上を行うことができることとされています(この場合には、その規定の適用を受けようとする最初の課税期間に係る申告書にその旨を付記するものとされています。)。

<工事を請け負った場合の工事進行基準>
事業者が所得税法または法人税法の所得金額の計算において工事進行基準の方法により経理することにより、工事の請負にかかる資産の譲渡等の時期の特例の適用を受けている場合には、消費税についてもこの特例の適用を受けることができます(申告書にその旨を付記するものとされています。)。

この場合は、その課税期間において売上処理した金額の部分については、その課税期間に資産の譲渡等を行ったこととすることができます。

また、工事進行基準により経理を行っていたものについて、その後その経理を行わないこととした場合の取扱いは、所得税または法人税の取扱いと同様になります。

なお、所得税または法人税の申告に当たって、工事進行基準による経理処理が行われ収入計上されている場合でも、消費税については原則どおり資産の譲渡等の時を基準として申告することも認められます。

したがって、所得税または法人税の申告に当たって、工事進行基準により経理しなければならない長期大規模工事の場合であっても、消費税については実際の資産の譲渡等の時を基準として申告することが認められます。

★リンクはこちら⇒ 延払基準、工事進行基準を用いているとき

2024年11月25日


課税の対象とならないもの(不課税)の具体例

国内において事業者が事業として(注1)対価を得て行う(注2)資産の譲渡や貸付け、役務の提供(以下「資産の譲渡等」といいます。)は、消費税の課税の対象となります。

したがって、国外で行われる取引や、資産の譲渡等に該当しない取引は課税の対象となりません。

(注1) 事業者が事業として行う取引

「事業者」とは、個人事業者(事業を行う個人)と法人をいいます。「事業として」とは、対価を得て行われる資産の譲渡等を反復、継続、かつ、独立して行うことをいいます。
なお、法人は事業を行う目的をもって設立されたものですから、その活動はすべて事業として行う取引となります。

(注2) 対価を得て行う取引
「対価を得て行う」とは、物品の販売などをして反対給付を受けることをいいます。
すなわち反対給付として対価を受け取る取引をいいます。

<具体例>

(1) 給与・賃金
雇用契約に基づく労働の対価であり、事業者が事業として行う取引(注1)ではないからです。
(2) 寄附金、祝金、見舞金、国または地方公共団体からの補助金や助成金等
一般的に対価を得て行う(注2)取引ではないからです。
(3) 無償による試供品や見本品の提供
対価を得て行う取引(注2)ではないからです。
(4) 保険金や共済金
資産の譲渡や貸付け、役務の提供等の取引ではないからです。
(5) 株式の配当金やその他の出資分配金
株主や出資者の地位に基づいて支払われるものであり、資産の譲渡や貸付け、役務の提供等の取引ではないからです。
(6) 資産について廃棄をしたり、盗難や滅失があった場合
資産の譲渡や貸付け、役務の提供等の取引ではないからです。
(7) 心身または資産について加えられた損害の発生に伴い受ける損害賠償金
対価を得て行う(注2)資産の譲渡や貸付け、役務の提供等の取引ではないからです。ただし、損害賠償金でも、例えば次のような場合は対価を得て行う(注2)資産の譲渡や貸付け、役務の提供等の取引であり、課税の対象となります。
イ.損害を受けた製品などの棚卸資産が加害者に引き渡される場合で、その資産がそのままで使用できる場合や、軽微な修理をすれば使用できる場合
ロ.無体財産権の侵害を受けたために受け取る損害賠償金が権利の使用料に相当する場合
ハ.事務所の明渡しが期限より遅れたために受け取る損害賠償金が賃貸料に相当する場合

★リンクはこちら⇒ 課税の対象とならないもの(不課税)の具体例

2024年11月21日


役務の提供の具体例

国内において事業者が事業として対価を得て行う役務の提供(サービスの提供)は、消費税の課税の対象となります。

この「役務の提供(サービスの提供)」とは、請負契約、運送契約、委任契約、寄託契約などに基づいて労務、便益その他のサービスを提供することをいいます。

また、税理士、公認会計士、作家、スポーツ選手、映画監督、棋士などによる、その専門的知識、技能に基づく役務の提供もこれに含まれます。

<具体例>
・土木工事、修繕、運送、保管、印刷、広告、仲介、興行、宿泊、飲食、技術援助、情報の提供、便益、出演、著述は、役務の提供に該当します。

・弁護士、公認会計士、税理士、作家、スポーツ選手、映画監督、囲碁や将棋の棋士による専門的知識、技能に基づく役務の提供は、役務の提供に該当します。

なお、信用の保証、保険、登記・検査・裁判などの公共サービスといった消費税の性格からみて課税対象とすることになじまない役務の提供のほか、一定の医療、教育といった社会政策的な配慮から課税することが適用でない役務の提供は、非課税となっています。

★リンクはこちら⇒ 役務の提供の具体例

2024年11月18日


資産の貸付けの具体例

<概要>
国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の貸付けは、消費税の課税の対象となります。

この「資産の貸付け」とは、事務所の賃貸借や自動車のレンタルなど賃貸料を受け取る一般の資産の貸付けだけでなく、資産に係る権利の設定のほか他人に資産を使用させる一切の行為(電気通信利用役務の提供に該当するものを除きます。)を含むものとされています。

事業として行われる資産の貸付けは、通常の貸付けのほか使用や利用も含まれます。

また、資産を貸し付けたときや利用させるときに、権利金や保証金などの名目で金銭を受け取ることがあります。これらのうち、契約の終了に際して返還する必要のない金銭は、資産の貸付けの対価として課税の対象になります。

なお、いわゆる無償の貸付けなど対価を受け取らないで行うものは課税されません。

<具体例>

自動車などの有形資産の貸付けのほか、特許権、実用新案権、ノウハウなどの無形の資産を利用させることは、資産の貸付けに該当します。
保養所などの福利厚生施設を割安な料金で社員に利用させる場合や音楽、デザインなどの著作物を使用させる場合は、資産の貸付けに該当します。

なお、土地の貸付けや住宅の貸付けは、原則として非課税となっています。

★リンクはこちら⇒ 資産の貸付けの具体例

2024年11月11日


資産の譲渡の具体例

国内において事業者が事業として対価を得て行う資産(注)の譲渡は、消費税の課税の対象となります。

この「資産の譲渡」とは、資産につき同一性を保持しつつ、他人に移転させることをいいます。例えば、売買、代物弁済、交換、現物出資などにより、資産の所有権を他人に移転することをいいます。

資産の譲渡はその原因を問いませんので、例えば、他人の債務の保証を履行するために行う資産の譲渡または強制換価手続により換価された場合の資産の譲渡は、いずれも、事業として対価を得て行う資産の譲渡に該当します。

また、土地収用法その他の法律の規定に基づいてその所有権その他の権利を収用され、かつ、その権利を取得する者からその権利の消滅にかかる補償金を取得した場合は、対価を得て資産の譲渡を行ったものとされています。

なお、相続や時効により財産が移転した場合は、資産の譲渡には当たりません。

(注)
「資産」とは、販売用の商品、事業等に用いている建物、機械、備品などの有形資産のほか、特許権、実用新案権、意匠権、商標権などの権利やノウハウその他の無体財産権など、およそ取引の対象となるすべてのものをいいます。

<事業として対価を得て行う資産の譲渡とみなす場合>
次の場合には、その時点で、原則として、時価により譲渡したものとみなされ、消費税の課税の対象となります。

(1) 個人事業者が自己の販売する商品や事業に用いている資産を家庭で使用したり消費した場合
(2) 法人が自社の製品などをその役員に対して贈与した場合

【具体例】

商品の販売、事業等に用いている建物、機械、備品などの売却、特許権などの無体財産権の譲渡は、資産の譲渡に該当します。
代物弁済による資産の譲渡、負担付き贈与による資産の譲渡、資産の交換、金銭以外の資産の出資(現物出資)は、対価を得て行う資産の譲渡に該当します。
土地や建物が収用され、対価補償金を取得した場合は、対価を得て資産の譲渡を行ったものに該当します。

なお、土地、有価証券、郵便切手類、印紙、物品切手や一定の身体障害者用物品の譲渡は、原則として非課税となっています。

★リンクはこちら⇒ 資産の譲渡の具体例

2024年11月7日


納税義務の成立の時期

<国内取引の場合>
国内取引にかかる消費税の納税義務は、「課税資産の譲渡等をした時」又は「特定課税仕入れをした時」に成立します(注)。

納税義務はその都度成立しますが、申告や納付は課税期間ごとに行います。

課税資産の譲渡等の時期は、原則として、その取引の態様に応じた資産の引渡しの時または役務の提供の時となります。

その引渡しや役務の提供時期について取引の態様に応じて例示すると以下のとおりになります。
(1)棚卸資産の販売または固定資産の譲渡
棚卸資産の販売または固定資産の譲渡の時期は、原則としてその引渡しの日です。

(2)資産の貸付け
資産の貸付けについては、契約や慣習などにより支払日が定められている場合はその定められた支払日です。

(3)役務の提供
請負による役務の提供の時期は、原則として、物の引渡しを要する請負契約にあっては目的物の全部を完成して引き渡した日、物の引渡しを要しない請負契約にあってはその約した役務の全部の提供を完了した日です。

また、請負を除く人的役務の提供の時期は、原則としてその人的役務の提供を完了した日です。

(4)延払基準等
リース譲渡で延払基準を適用している場合や工事の請負で工事進行基準を適用している場合には、それらの基準に従って売上げを計上する日とすることができます。

(注)
課税資産の引渡しや役務の提供が行われる前に、前受金の収受が行われた場合には、前受金の収受の時にかかわらず、現実に課税資産の引渡しや役務の提供等をした時が課税資産の譲渡等をした時となります。

また、未収金についても代金決済の時期に関係なく、課税資産の引渡しや役務の提供をした時が課税資産の譲渡等をした時となります。

ただし、所得税法上の現金主義の適用を受けている小規模事業者は、対価を受領した日を資産の譲渡等の時期とすることができます。

<輸入取引の場合>
輸入取引の場合には、「課税貨物を保税地域から引き取る時」に消費税の納税義務が成立します。

★リンクはこちら⇒ 納税義務の成立の時期

2024年11月5日


課税期間

<課税期間>
個人事業者の課税期間は、1月1日から12月31日までの期間です。

年の中途で新たに事業を開始した場合や事業を廃止した場合においても、課税期間の開始の日は1月1日、終了の日は12月31日となります。

法人の課税期間は、その法人の事業年度です。

新たに法人を設立した場合には、課税期間の開始の日は設立の日、終了の日はその事業年度の末日となります。

なお、課税事業者は、課税期間ごとに、原則として、その課税期間の終了の日の翌日から2か月以内(個人事業者の12月31日の属する課税期間は翌年3月31日まで)に、納税地の所轄税務署長に消費税および地方消費税の確定申告書を提出するとともに、その申告に係る消費税額と地方消費税額を併せて納付しなければなりません。

<課税期間の特例>
課税期間は、特例として事業者の選択により、3か月ごとまたは1か月ごとに区分して短縮することができます。

個人事業者が課税期間を3か月ごとに短縮する場合には、1月1日から3月31日まで、4月1日から6月30日まで、7月1日から9月30日まで、10月1日から12月31日までの各期間を課税期間とすることができます。

また、課税期間を1か月ごとに短縮する場合には、1月1日から1か月ごとに区分した各期間を1つの課税期間とすることができます。

法人が課税期間を短縮する場合には、事業年度の初日から3か月または1か月ごとに区分した各期間を1つの課税期間とすることができます。(注1)

課税期間の特例の適用を受けようとするときや、既に課税期間の特例の適用を受けている事業者が他の課税期間の特例に変更しようとするときは、原則として、その特例の適用を受けようとするまたは変更しようとする短縮に係る課税期間の開始の日の前日までに、「消費税課税期間特例選択・変更届出書」を納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。(注2)

また、課税期間の特例の適用を受けている事業者が、その適用をやめようとする場合には、課税期間の特例の適用をやめようとする課税期間の開始の日の前日までに、「消費税課税期間特例選択不適用届出書」を納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。

なお、課税期間の特例の適用を受けた場合には、事業を廃止した場合を除き、2年間はその特例をやめることはできません。

(注1)
年または事業年度の途中でこの特例の適用を受けた場合は、課税期間の開始の日から適用開始の日の前日までの期間を、また、3か月ごとの課税期間の特例を適用している事業者が、1か月ごとの特例へ変更する場合は、課税期間の開始の日から変更後の課税期間の開始の日の前日までの期間を1つの課税期間とみなして確定申告をすることになります。

なお、年または事業年度の途中でこの特例の適用をやめた場合にも、その適用をしないこととした課税期間の末日の翌日から、その年の12月31日またはその事業年度の末日までが1つの課税期間となります。

(注2)
3か月ごとの課税期間から1か月ごとの課税期間へ変更する場合または1か月ごとの課税期間から3か月ごとの課税期間へ変更する場合は、変更前の特例の適用を受けた課税期間の開始の日から2年間はその特例を変更することはできません。

★リンクはこちら⇒ 課税期間

2024年10月31日


輸入する貨物の納税義務者

輸入する貨物については、その貨物を保税地域から引き取る時に消費税が課税されます。

輸入する貨物についての消費税の納税義務者は、その貨物を保税地域から引き取る者です。そして、この貨物を保税地域から引き取る者とは、輸入申告者のことです。

したがって、通関業務を通関業者に委託して輸入貨物を引き取る場合の納税義務者は、その通関業者ではなく、通関業務を委託した者となります。

<納税義務者>
輸入取引の場合の納税義務者は、国内取引の場合のように事業者に限定されず、また、事業者免税点制度などの規定も設けられていません。

したがって、事業者だけでなく給与所得者等も、外国貨物を輸入すれば消費税の納税義務者となります。

また、輸入とは、外国から我が国に到着した貨物または輸出の許可を受けた貨物を我が国に引き取ることをいいます。

したがって、一般的な貿易により輸入される貨物のほか、海外旅行からの帰国の際におみやげなどとして持ち帰ったものも課税の対象になります。

ただし、海外旅行から帰国したときに課税される輸入関税がいわゆる携帯品免税として免除されるものについては、消費税も免除になります。

なお、輸入する貨物についても地方消費税が課税されますから、保税地域から引き取る場合には、消費税と併せて地方消費税も税関長に納付する必要があります。

★リンクはこちら⇒ 輸入する貨物の納税義務者

2024年10月28日


共同企業体の納税義務

<概要>
建設工事や土木工事では、共同企業体、いわゆるジョイントベンチャーを組んで行われる場合があります。

この共同企業体は、通常、各構成員が共同企業体に対して出資を行い、その出資金の持分割合により、利益の分配を受けることになっています。

この共同企業体は、民法上の組合に当たりますので、消費税法上、共同企業体が行う資産の譲渡等や課税仕入れは、各構成員の利益の分配割合に応じて、それぞれの構成員に直接帰属することになります。

なお、法人税法上も共同企業体の損益は直接各構成員に帰属するものとして取り扱われます。

したがって、共同企業体が建設機材などの購入や請負った工事の目的物の引渡しを行ったときは、それぞれ各構成員の利益の分配割合に応じて、各構成員が課税仕入れや課税資産の譲渡等を行ったことになります。

<資産の譲渡等の時期>
共同事業において各構成員が行ったこととされる資産の譲渡等については、原則として、当該共同企業体として資産の譲渡等を行った時に各構成員が資産の譲渡等を行ったことになりますが、各構成員が、当該資産の譲渡等の時期を当該共同事業の計算期間(1年以内のものに限ります。)の終了する日の属する自己の課税期間において行ったものとして取り扱っている場合には、それも認められます。

なお、発注者から共同企業体が中間金などの名目で金銭を受領した場合に、その受領した金銭を出資金等の持分割合に応じて、各構成員に配賦金として分配したとしても、工事の発注者に対して目的物の引渡しがなされるまでは、単なる前受金でしかありませんから、消費税の課税関係は生じないことになります。

<適格請求書の発行>
共同企業体等の任意組合等が事業として行う課税資産の譲渡等については、その構成員の全てが適格請求書発行事業者であり、民法第670条第3項に規定する業務執行者などの業務執行組合員が、納税地を所轄する税務署長に「任意組合等の組合員の全てが適格請求書発行事業者である旨の届出書」を提出した場合に限り、その任意組合等の事業として国内において行った課税資産の譲渡等について適格請求書を交付することができます。

★リンクはこちら⇒ 共同企業体の納税義務

2024年10月24日


国内取引の納税義務者

国内取引の納税義務者は、国内において課税資産の譲渡等および特定課税仕入れを行った事業者です。

この事業者とは、個人事業者(事業を行う個人)と法人をいいます。

なお、法人でない社団または財団で代表者または管理人の定めのあるもの(人格のない社団等)は、法人とみなされます。

したがって、事業を行っていない給与所得者などは消費税の納税義務者にはなりません。また、国や地方公共団体、公共法人、公益法人等などが資産の譲渡や貸付け、役務の提供を行う場合は、消費税の納税義務者となります。

<納税義務の免除>
消費税には事業者免税点制度が設けられており、基準期間(個人事業者の場合はその年の前々年、事業年度が1年である法人の場合はその事業年度の前々事業年度)における課税売上高が1,000万円以下の事業者は消費税の納税義務が免除されます。

ただし、令和5年10月1日以後、適格請求書発行事業者として登録を受けた事業者については、基準期間の課税売上高にかかわらず消費税の納税義務は免除されません。

詳しくは、コード6501「納税義務の免除」およびコード6498「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」をご参照ください。

<高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除等の特例>
課税事業者が、高額特定資産または自己建設高額特定資産の仕入れ等を行った場合は、当該高額特定資産等の仕入れ等の日の属する課税期間の翌課税期間から一定の期間について、事業者免税点制度の適用および簡易課税制度の選択が制限されます。

詳しくは、コード6502「高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除等の特例」をご参照ください。

<基準期間がない法人の納税義務の免除の特例>
新たに設立された法人については、設立当初の2年間は基準期間が存在しないことから、原則として免税事業者となります。

ただし、その事業年度の基準期間がない法人のうち、その事業年度開始の日における資本金の額または出資の金額が1,000万円以上である法人や特定新規設立法人に該当する法人の場合、その基準期間のない事業年度については、納税義務は免除されません。

詳しくは、コード6503「基準期間がない法人の納税義務の免除の特例」をご参照ください。

★リンクはこちら⇒ 国内取引の納税義務者

2024年10月21日


納税義務者

消費税の納税義務者は、国内において課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除きます。)および特定課税仕入れを行った事業者と外国貨物を保税地域から引き取る者です。

<国内取引の納税義務者>
国内取引の場合には、事業者は、非課税取引を除き、事業として対価を得て行う資産の譲渡や貸付け、役務の提供について消費税の納税義務を負うことになっています。

このように、国内取引の消費税の納税義務者は事業者ですから、事業者でない者は納税の義務はありません。

事業者とは個人事業者(事業を行う個人)および法人をいい、法人には株式会社等の営利法人、公共法人、公益法人等のほか人格のない社団等も法人とみなされますので、これらの法人が課税資産の譲渡等を行う場合には納税義務者となります。

また、国や地方公共団体も事業者となり課税資産の譲渡等を行う限り納税義務者となります。

ただし、その課税期間の基準期間(個人事業者は前々年、法人は原則として前々事業年度)における課税売上高および特定期間における課税売上高等が1,000万円以下の事業者は、課税事業者となることを選択した場合や、適格請求書発行事業者として登録を受けている場合を除き、原則として、その課税期間の納税義務が免除されています(以下「事業者免税点制度」といいます。)。

詳細については、コード6125「国内取引の納税義務者」コード6501「納税義務の免除」を参照してください。

<特定課税仕入れにかかる納税義務者(リバースチャージ方式)>
消費税は、資産の譲渡等を行った事業者がその資産の譲渡等について申告・納付を行うこととされていますが、電気通信利用役務の提供のうち「事業者向け電気通信利用役務の提供」および「特定役務の提供」の課税方式については、国外事業者からその役務の提供を受けた国内事業者が、その役務の提供に係る申告・納税を行う「リバースチャージ方式」が採られています。

(注)
「事業者向け電気通信利用役務の提供」および「特定役務の提供」を「特定資産の譲渡等」といい、また、事業として他の者から受けた「特定資産の譲渡等」を「特定仕入れ」といいます。

この特定仕入れには消費税が課されます。

課税仕入れのうち特定仕入れに該当するものを「特定課税仕入れ」といい、事業者は国内において行った「特定課税仕入れ」について消費税を納める義務があります。

<輸入取引の納税義務者>
輸入取引の納税義務者は、その輸入品を保税地域から引き取る者です。

したがって、事業者だけでなく給与所得者等も輸入品を保税地域から引き取った場合には、納税義務を負うことになります。

輸入品を保税地域から引き取る者には、事業者免税点制度は適用されません。

★リンクはこちら⇒ 納税義務者

2024年10月16日


国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係について

電子書籍・音楽・広告の配信などの電気通信回線(インターネット等)を介して行われる役務の提供を「電気通信利用役務の提供」と位置付け、その役務の提供が国内の事業者・消費者に対して行われるものについては、国内、国外いずれから行われるものも国内取引として消費税が課税されることとされています(注)

(注)
平成27年10月1日以後、国外から行われる「電気通信利用役務の提供」についても消費税が課税されることとされました。

<「事業者向け電気通信利用役務の提供」にかかる課税方式(リバースチャージ方式)>
国外事業者が行う電気通信利用役務の提供については、「事業者向け電気通信利用役務の提供」とそれ以外のものとに区分されます。


「事業者向け電気通信利用役務の提供」とは、国外事業者が行う電気通信利用役務の提供のうち、「役務の性質または当該役務の提供に係る取引条件等から当該役務の提供を受ける者が通常事業者に限られるもの」をいいます。

消費税法においては、課税資産の譲渡等を行った事業者が、当該課税資産の譲渡等に係る申告・納税を行うこととされていますが、電気通信利用役務の提供のうち「事業者向け電気通信利用役務の提供」については、国外事業者から当該役務の提供を受けた国内事業者が、「特定課税仕入れ」として、申告・納税を行います(注)

(注)
平成28年4月1日以後に国外事業者が国内で行う「特定役務の提供(国外事業者が国内で行う芸能・スポーツ等の役務の提供)」については、「事業者向け電気通信利用役務の提供」と同様に、当該役務の提供を受けた事業者が「特定課税仕入れ」としてリバースチャージ方式による申告・納税義務が課されています。

<リバースチャージ方式に関する経過措置>
「事業者向け電気通信利用役務の提供」等の特定課税仕入れ(注1)を行った国内事業者は、当該特定課税仕入れについて、申告・納税の義務が課されるとともに、仕入税額控除の対象とすることができますが、一般課税かつ当該課税期間における課税売上割合が95パーセント以上である課税期間又は簡易課税制度並びに小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(注2)が適用される課税期間については、当分の間、特定課税仕入れはなかったものとされます(注3)(注4)。

したがって、これらに該当する場合は、特定課税仕入れを行ったとしても、その課税期間の消費税の確定申告については、特定課税仕入れを申告等に含める必要はありません。

(注1)特定課税仕入れとは、国内において国外事業者から受けた「事業者向け電気通信利用役務の提供」および「特定役務の提供」をいいます。

(注2)小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置とは、インボイス制度を機に免税事業者から適格請求書発行事業者として課税事業者になった事業者が、納付税額を課税標準額に対する消費税額の2割とすることができる特例(2割特例)をいいます。

(注3)これらに該当する場合は特定課税仕入れがなかったものとされますので、特定課税仕入れに係る申告納税義務もありません。また、仕入税額控除のみを行うこともできません。

(注4)免税事業者は、消費税の確定申告等を行う必要がありませんので、特定課税仕入れを行ったとしても申告等を行う必要はありません。
これらの詳細については、「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係について」をご参照ください。

<「事業者向け電気通信利用役務の提供」以外の電気通信利用役務の提供にかかる課税方式(国外事業者申告納税方式)>
国外事業者が行う電気通信利用役務の提供のうち、「事業者向け電気通信利用役務の提供」以外のもの(いわゆる「消費者向け電気通信利用役務の提供」)については、原則どおり、その電気通信利用役務の提供を行う国外事業者が申告・納税を行います(注)

(注)
令和7年4月以降、プラットフォーム課税の対象となる「消費者向け電気通信利用役務の提供」については、特定プラットフォーム事業者(一定の要件を満たすものとして国税庁長官の指定を受けたプラットフォーム事業者をいいます。)が申告・納税を行うこととなります。プラットフォーム課税についての詳細は、「消費税のプラットフォーム課税について」をご参照ください。

<登録国外事業者制度のインボイス制度への移行について>
令和5年10月1日から、適格請求書等保存方式(インボイス制度)が開始されました。

インボイス制度では、「帳簿」および登録を受けた「適格請求書発行事業者」が交付する「適格請求書」(いわゆるインボイス)の保存が仕入税額控除の要件となります。

これに伴い、登録国外事業者制度(注)は、令和5年9月30日をもって廃止され、インボイス制度に移行されました。

インボイス制度についての詳細は、「消費税インボイス制度特設サイト」を、廃止前の制度についての詳細は、「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係について」を、それぞれご参照ください。

なお、令和5年9月1日において登録国外事業者であって、「登録国外事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」を提出していない者について、令和5年10月1日に適格請求書発行事業者の登録を受けたものとみなされる経過措置が設けられており、この経過措置により適格請求書発行事業者となった事業者については、適格請求書等に適格請求書発行事業者の登録番号を記載等することにつき困難な事情がある場合には、令和5年10月1日から令和6年3月31日までの間は、登録国外事業者名簿に記載された登録番号(00001等の5桁の番号)を記載等することができることとされていました。

令和5年9月30日時点の登録国外事業者については、こちら(登録国外事業者名簿)をご覧ください。

(注)
登録国外事業者制度(令和5年9月30日をもって廃止)
国外事業者から消費者向け電気通信利用役務の提供を受けた国内事業者は、当該役務の提供に係る仕入税額控除が制限されますが、国税庁長官の登録を受けた登録国外事業者から受ける当該役務の提供については、その仕入税額控除を行うことができる制度です(平成27年10月1日から令和5年9月30日までの間に行った取引に適用されます。)。

★リンクはこちら⇒ 「資産の譲渡等」とは

2024年10月11日


「資産の譲渡等」とは

「資産の譲渡等」とは、事業として対価を得て行われる資産の譲渡、資産の貸付けおよび役務の提供をいいます。

(1)資産の譲渡
「資産の譲渡」とは、売買等の契約により、資産の同一性を保持しつつ、他人に移転させることをいいます。

したがって、例えば、商品や製品の販売のほか、事業用設備を売却することが資産の譲渡に当たり、また、これら有形の資産のほか、例えば、特許権や商標権などの無体財産権の譲渡も資産の譲渡に含まれます。

さらに、現物出資、負担付贈与、代物弁済なども資産の譲渡に含まれます。

(2)資産の貸付け
「資産の貸付け」とは、資産に係る権利の設定など他の者に資産を使用させる一切の行為をいいます。

なお、無体財産権の実施権や使用権等を設定する行為も資産の貸付けに含まれます。

(3)役務の提供
「役務の提供」とは、例えば、土木工事、修繕、運送、保管、印刷、広告、仲介、興行、宿泊、飲食、情報の提供、出演などのサービスを提供することをいいます。

医師、弁護士、公認会計士、税理士などによるその専門的知識、技能等に基づく役務の提供も含まれます。

★リンクはこちら⇒ 「資産の譲渡等」とは

2024年10月8日


「対価を得て行われる」の意義

消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行う取引に課税されます。

<「対価を得て行われる」の意義>
「対価を得て行われる」とは、資産の譲渡、資産の貸付けおよび役務の提供に対して反対給付を受けることをいいます。

例えば、商品を販売して代金を受け取ったり、事務所を貸し付けて家賃を受け取ったり、工事を請け負って代金を受け取ったりするような取引です。

また、交換、代物弁済、現物出資などのように金銭の支払を伴わない資産の引渡しでも、何らかの反対給付があるものは、対価を得て行われる取引になりますので、課税の対象となります。

負担付き贈与については、その負担部分を対価として行われる取引になります。

しかし、単なる贈与や寄附金、補助金、損害賠償金などは、原則として対価を得て行われる取引に当たりませんので、課税の対象になりません。

また、試供品や見本品の提供は対価を受け取らない限り課税の対象になりません。

その他、商品を販売する際にサービス品をつけたり、自社製品を得意先に無償で贈与した場合も対価を得て行われる取引となりません。

なお、個人事業者が自分が販売する商品などを家庭で使用したり消費した場合や、法人が自社製品などをその役員に贈与した場合には、対価を得て行われたものとみなされ、消費税の課税の対象となります。

★リンクはこちら⇒ 「対価を得て行われる」の意義

2024年10月4日


事業者が事業として行うものとは

消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行う取引に課税されます。

<「事業者」の意義>
「事業者」とは、個人事業者(事業を行う個人)と法人をいいます。

(1)個人事業者の場合
個人事業者の場合、例えば、小売業や卸売業をしている人をはじめ、賃貸業や取引の仲介、運送、請負、加工、修繕、清掃、クリーニング、理容や美容といった業を営んでいる人はすべて事業者になります。

さらに、医師、弁護士、公認会計士、税理士などの業を営む人も事業者になります。

(2)法人の場合
株式会社などの会社、国、都道府県や市町村、公共法人、宗教法人や医療法人などの公益法人など、法人はすべて事業者になります。

なお、法人でない社団または財団で、代表者または管理人の定めがあるものは、法人とみなされることにより事業者となります。

<「事業として」の意義>
「事業として」とは、対価を得て行われる資産の譲渡、資産の貸付けおよび役務の提供を反復、継続、かつ、独立して行うことをいいます。

例えば、商店が販売用の商品を売った場合や、運送業者が運送サービスを提供して対価を受け取るような場合が典型的なものです。

なお、事業活動の一環としてまたはこれに関連して行われる取引も課税対象となります。

例えば、商品の配達用に使用していたトラックを売ったときのように、事業に使用していた自動車、機械、建物などの事業用資産を売った場合も、事業として行う取引になります。

しかし、個人事業者が事業用でない自家用車やテレビなどの生活用に使用していた資産を売った場合には、事業として行う取引とはなりませんので、消費税は課税されません。

(注)個人事業者の場合、事業者の立場と消費者の立場とを兼ねていますが、事業者の立場で行う取引が「事業として」に該当し、消費者の立場で行う取引は「事業として」には該当しません。

★リンクはこちら⇒ 事業者が事業として行うものとは

2024年9月30日


課税の対象

消費税の課税対象は、次の3つの取引に限られます。

(1) 国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等
(2) 特定仕入れ
(3) 保税地域から引き取られる外国貨物の引取り(輸入取引)

なお、国外において行われる取引および資産の譲渡等に該当しない取引は、課税の対象とはなりません。

<国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等>
(1)事業者が事業として行う取引
「事業者」とは、個人事業者(事業を行う個人)と法人をいいます。

「事業として」とは、対価を得て行われる資産の譲渡等を反復、継続かつ独立して行うことをいいます。

したがって、個人の中古車販売業者が行う中古車の販売は事業として行う取引になりますが、給与所得者がたまたま自家用車を売却する行為などは、事業として行う取引とはなりません。

なお、法人は事業を行う目的をもって設立されたものですから、その活動はすべて事業として行う取引となります。

(2)対価を得て行う取引
「対価を得て行う」とは、物品の販売など(資産の譲渡等)をして反対給付を受けることをいいます。すなわち反対給付として対価を受け取る取引をいいます。

したがって、無償で行われる取引は、消費税の課税の対象とはなりません。

また、寄附金、補助金および宝くじの賞金などは、一般的には対価とは認められませんので、これらを受け取る取引も原則として課税の対象とはなりません。

なお、個人事業者が、販売する商品などを家庭で消費したり使用した場合や、法人が自社製品などをその役員に贈与した場合には、事業として対価を得て行われたものとみなされ、消費税の課税の対象となりますのでご注意ください。

(3)資産の譲渡等
消費税法上、「資産の譲渡等」とは、事業として対価を得て行われる資産(注)の譲渡(商品や製品などの販売)および資産の貸付けならびに役務(サービス)の提供をいいます。

(注)資産とは、取引の対象となる一切の資産をいい、棚卸資産または固定資産のような有形資産のほか、権利その他の無形資産が含まれます。

<特定仕入れ>
「特定仕入れ」とは、事業として他の者から受けた「特定資産の譲渡等」をいいます。

ここでいう「特定資産の譲渡等」とは、「事業者向け電気通信利用役務の提供」と「特定役務の提供」であり、特定資産の譲渡等を仕入れた場合、その仕入れが「特定仕入れ」となります。

また、「特定課税仕入れ」とは、課税仕入れのうち国内において行った「特定仕入れ」に該当するものをいいます。

「特定課税仕入れ」は、リバースチャージ方式により、「特定課税仕入れ」を行った事業者に消費税の納税義務が課されることとなります。

詳しくはコード6118「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係について」をご参照ください。

<外国貨物の引取り>
外国貨物の引取り(輸入取引)については、保税地域から引き取られる外国貨物が課税対象となります。

この場合、引き取る者が事業者であるかどうかは問いませんので、事業者はもとより一般消費者も納税義務者になります。

★リンクはこちら⇒ 課税の対象

2024年9月26日


消費税の基本的なしくみ

<概要>
消費税は、特定の物品やサービスに課税する個別消費税(酒税・たばこ税等)とは異なり、消費一般に広く公平に課税する間接税です。消費税が課税される取引には、併せて地方消費税も課税されます。

ほぼ全ての国内における商品の販売、サービスの提供等および保税地域から引き取られる外国貨物を課税の対象とし、取引の各段階ごとに標準税率10パーセント(うち2.2パーセントは地方消費税)、軽減税率8パーセント(うち1.76パーセントは地方消費税)の税率で課税されます。

なお、消費税の消費一般に広く公平に負担を求める税の性格からみて、課税の対象になじまないものや社会政策的な配慮から課税することが適当でない一定の取引については、消費税を課税しない非課税取引とされています。

<消費税の負担者>
消費税は、事業者に負担を求めるものではありません。

税金分は事業者が販売する商品やサービスの価格に含まれて、次々と転嫁され、最終的に商品を消費しまたはサービスの提供を受ける消費者が負担することとなります。

<課税のしくみ>
生産、流通の各段階で二重、三重に税が課されることのないよう、課税売上げに係る消費税額から課税仕入れ等に係る消費税額を控除し、税が累積しないしくみとなっています。

この課税仕入れ等に係る消費税額を控除することを「仕入税額控除」といいます。

令和5年10月1日から開始した「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」では、この仕入税額控除の適用を受けるためには、原則として適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)から交付を受けた適格請求書(インボイス)と一定の事項を記載した帳簿の保存が必要です。

詳しくは「インボイス制度特設サイト」をご参照ください。

<申告・納付>
納税義務者は、製造、卸、小売、サービスなどの各段階の事業者と、保税地域からの外国貨物の引取者です。

納税義務者は、納税地の所轄税務署長に、原則として、課税期間の末日の翌日から2か月以内(個人事業者の場合は翌年の3月31日まで)に消費税および地方消費税の確定申告書を提出し、消費税額と地方消費税額とを併せて納付します。

なお、直前の課税期間の確定消費税額に基づき中間申告・納付をすることになります。

また、外国貨物の引取者は、保税地域から引き取る時までに、その所轄税関長に引取りに係る消費税額および地方消費税額を申告し、納付します。

<納税事務の負担軽減措置等>
事業者の納税事務の負担等を軽減するために、次のような措置が講じられています。

1.事業者免税点制度
基準期間および特定期間()の課税売上高が1,000万円以下の事業者は、免税事業者となります。

(注)適格請求書発行事業者の登録を受けている事業者は、基準期間および特定期間の課税売上高に関わらず、免税事業者となることはありません。

特定期間とは、個人事業者の場合は、その年の前年の1月1日から6月30日までの期間をいい、法人の場合は、原則として、その事業年度の前事業年度開始の日以後6か月の期間をいいます。

2.簡易課税制度
基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者は、課税売上高から納付する消費税額を計算する簡易課税制度が選択できます。

3.2割特例(経過措置)
免税事業者がインボイス制度を機に課税事業者(インボイス発行事業者)となった場合に、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する課税期間において、納付する消費税額を売上に係る消費税額の2割とすることができます。

★リンクはこちら⇒ 消費税の基本的なしくみ

2024年9月20日


消費税及び地方消費税の更正等及び加算税の取扱いについて(事務運営指針)(改正 令和5年6月23日)

標題のことについては、下記のとおり定めたから、今後処理するものからこれにより取り扱われたい。

(趣旨)
消費税及び地方消費税の更正等を行う場合並びにこれらの税について過少申告加算税、無申告加算税及び重加算税を課する場合の取扱基準の整備等を図ったものである。

★リンクはこちら⇒ 消費税及び地方消費税の更正等及び加算税の取扱いについて(事務運営指針)(改正 令和5年6月23日)

2024年8月7日


消費税法改正のお知らせ(令和6年4月)

国税庁は、『消費税法改正のお知らせ(令和6年4月)』をホームページに掲載した。

令和6年4月に消費税法等の一部が改正された。

主な改正内容は以下のとおり。
Ⅰ 消費税のプラットフォーム課税の創設
Ⅱ 国外事業者等における事業者免税点制度の特例等の見直し
1 国外事業者における「特定期間の課税売上高による納税義務の免除の特例」の見直し
2 外国法人が国内において事業を開始した場合の納税義務の免除の特例の見直し
3 「特定新規設立法人の納税義務の免除の特例」における判定対象者に係る金額基準の見直し
4 恒久的施設を有しない国外事業者における簡易課税制度及び2割特例の適用の見直し
Ⅲ 金又は白金の地金等を取得した場合の事業者免税点制度等の制限
Ⅳ 免税事業者等からの仕入れに係る経過措置の適用の制限
Ⅴ 仕入税額控除に係る帳簿の記載事項の見直し
Ⅵ 免税購入品と知りながら行った課税仕入れに係る仕入税額控除の制限

★リンクはこちら⇒ 消費税法改正のお知らせ(令和6年4月)

2024年4月2日


帳簿及び請求書等の保存要件を充足するとして消費税の仕入税額控除の適用を認めた事例

  • ①平成26年分以後の所得税の青色申告の承認の取消処分
  • ②平成26年分から平成29年分及び令和元年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
  • ③平成30年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに重加算税の賦課決定処分
  • ④平成26年分及び令和元年分の所得税及び復興特別所得税の各再更正処分」
  • ⑤平成29年分及び平成30年分の所得税及び復興特別所得税の各再更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • ⑥平成27年分及び平成28年分の所得税及び復興特別所得税の各再更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各変更決定処分
  • ⑦平成26年1月1日から平成28年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
  • ⑧平成29年1月1日から平成30年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに重加算税の各賦課決定処分
  • ⑨平成26年1月から令和元年6月までの各期間の源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の各納税告知処分並びに重加算税の各賦課決定処分
  • ①③⑧棄却、②一部取消し、棄却、却下、④⑤⑦一部取消し、棄却、⑥却下、⑨一部取消し

<ポイント>
本事例は、原処分庁が調査を行った日において消費税の請求書等の保存を要する期間を経過していた課税期間について、当該課税期間の帳簿は保存されていたことから帳簿及び請求書等の保存要件を充足しているとして、当該課税期間に係る支払対価の額が3万円以上の取引についても仕入税額控除が適用されるとしたものである。

<要旨>
請求人は、平成26年1月1日から同年12月31日まで(平成26年課税期間)、平成27年1月1日から同年12月31日まで(平成27年課税期間)及び平成28年1月1日から同年12月31日まで(平成28年課税期間)の各課税期間(本件3課税期間)の消費税法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》第7項の規定に係る帳簿(法定帳簿)及び請求書等(法定請求書等)は、消費税等の実地の調査の初日に保存があり、調査担当職員に対し法定帳簿を提示し、また法定請求書等についても提示しようとしていたことなどから、本件3課税期間においては課税仕入れに係る支払対価の額の合計額が3万円以上の取引についても仕入税額控除が適用されるべきである旨主張する。

しかしながら、法定請求書等を実際に保存している場合において、税務職員が法定請求書等を検査することができるときに限り、仕入税額控除の適用が認められるところ、平成27年課税期間及び平成28年課税期間については、請求人は調査担当職員に対して法定請求書等を、その保存を要する期間内に適時に提示しなかったのであるから、課税仕入れに係る支払対価の額の合計額が3万円以上の取引については仕入税額控除が認められない。

一方で、原処分庁は、本件3課税期間の法定請求書等の保存はない旨主張するが、平成26年課税期間の処分の適法性に関し具体的に主張しておらず、同課税期間については、調査初日において法定請求書等の保存を要する期間を経過しており、よって、平成26年課税期間の消費税等については、課税仕入れに係る支払対価の額の合計額が3万円以上の取引についても仕入税額控除が適用される。

★リンクはこちら⇒ 帳簿及び請求書等の保存要件を充足するとして消費税の仕入税額控除の適用を認めた事例

2023年12月14日


売上先において課税仕入れの過大計上額と認定した金額を、請求人における課税売上額の過大計上額と認定した事例

  • ①平成28年4月1日から平成29年3月31日までの事業年度以後の法人税の青色申告の承認の取消処分
  • ②平成28年4月1日から平成29年3月31日まで及び平成29年4月1日から平成30年3月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分
  • ③平成28年4月1日から平成28年6月30日まで、平成28年7月1日から平成28年9月30日まで、平成28年10月1日から平成28年12月31日まで、平成29年1月1日から平成29年3月31日まで、平成29年4月1日から平成29年6月30日まで、平成29年7月1日から平成29年9月30日まで、平成29年10月1日から平成29年12月31日まで及び平成30年1月1日から平成30年3月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
  • ①棄却、②却下、③全部取消し、一部取消し、棄却
  • 令和4年10月25日裁決

<ポイント>
本事例は、当審判所が認定した請求人の売上先における請求人からの課税仕入れの過大計上額が、請求人における課税売上の過大計上額に該当すると判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、原処分庁が請求人の売上先の更正処分において過大であると認定した課税仕入れの額は、間接的な資料を用いて所得金額を認定する推計課税の方式により算出したものであり、請求人と当該売上先との取引に係る実額で認定された課税仕入れの額とは性質が異なるから、当該売上先の課税仕入れの額を過大であると認定したとしても、請求人の課税売上額が過大であるとは認められない旨主張する。

しかしながら、当審判所は、当該売上先の課税仕入れの過大計上額を実額で認定しているところ、請求人と当該売上先との間の売買取引が私法上同一の取引であることは明らかであり、当該売上先における課税仕入れの金額と請求人における課税売上の金額とは一致しているから、当該売上先における課税仕入れの過大計上額は、請求人における課税売上の過大計上額と認められ、請求人の課税売上額から減額することが相当である。

★リンクはこちら⇒ 売上先において課税仕入れの過大計上額と認定した金額を、請求人における課税売上額の過大計上額と認定した事例

2023年12月13日


請求人が輸出者として輸出免税の適用を受けることができるとした事例

  • ①平成29年1月〇日から平成29年12月31日までの事業年度以後の法人税の青色申告の承認の取消処分
  • ②平成29年1月〇日から平成29年12月31日まで及び平成30年1月1日から平成30年12月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分
  • ③平成29年1月〇日から平成29年12月31日まで及び平成30年1月1日から平成30年12月31日までの各課税事業年度の地方法人税の各更正処分
  • ④平成30年1月1日から平成30年12月31日まで及び平成31年1月1日から令和元年12月31日までの各事業年度の法人税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の各通知処分
  • ⑤令和2年1月1日から令和2年12月31日までの事業年度の欠損金の繰戻しによる平成31年1月1日から令和元年12月31日までの事業年度の法人税の還付請求に理由がない旨の通知処分
  • ⑥平成29年1月〇日から令和元年5月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
  • ⑦平成30年1月1日から平成30年12月31日まで及び平成31年1月1日から令和元年12月31日までの各課税事業年度の地方法人税の更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の各通知処分
  • ①④⑤⑦棄却、②③却下、⑥一部取消し、棄却
  • 令和4年10月25日裁決

<ポイント>
本事例は、本邦からの輸出取引について、輸出許可の申請や、輸出許可通知書の保存状況から、請求人において輸出免税の適用を受けることができると判断した事例である。

<要旨>
原処分庁は、本件における輸出取引(本件取引)は、請求人から商品を仕入れた取引先が国外に販売したものであるから、請求人が、消費税法第7条《輸出免税等》第1項第1号に規定する本邦からの輸出として行われる資産の譲渡を行ったものではない旨主張する。

しかしながら、請求人は、取引先から受注した商品を国内でコンテナに積載し、自らの名義で輸出許可を申請して国外へ搬出しているのであり、本件取引は、請求人による本邦からの輸出として行われる資産の譲渡であると認められる。

そして、請求人は、請求人名義の輸出許可通知書を保存していることから、請求人において、輸出免税の適用を受けることができる。

★リンクはこちら⇒ 請求人が輸出者として輸出免税の適用を受けることができるとした事例

2023年12月12日


任意組合等の組合員の全てが適格請求書発行事業者である旨の届出事項の変更届出書

国税庁は、ホームページに「任意組合等の組合員の全てが適格請求書発行事業者である旨の届出事項の変更届出書」を掲載した。

★リンクはこちら⇒ 任意組合等の組合員の全てが適格請求書発行事業者である旨の届出事項の変更届出書

2023年1月12日


任意組合等の組合員の全てが適格請求書発行事業者である旨の届出書

国税庁は、ホームページに「任意組合等の組合員の全てが適格請求書発行事業者である旨の届出書」を掲載した。

★リンクはこちら⇒ 任意組合等の組合員の全てが適格請求書発行事業者である旨の届出書

2023年1月6日


消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(インボイスQ&A)の改訂(令和4年11月改訂)

国税庁は、『消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A』を改訂した。

★リンクはこちら⇒ 消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(インボイスQ&A)の改訂(令和4年11月改訂)

2022年11月29日


e-Taxで適格請求書発行事業者の登録申請書を提出される方へ

<e-Taxで適格請求書発行事業者の登録申請書を提出される方へのお知らせ>
適格請求書発行事業者の登録を受けようとする場合に提出が必要な「適格請求書発行事業者の登録申請書(国内事業者用)及び(国外事業者用)」については、令和4年9月20日(火)以降、令和4年度税制改正内容を反映した「新様式」の送信が可能となった。

なお、これまで令和4年度税制改正内容が反映されていない「旧様式」による送信も可能としておりましたが、令和4年10月11日(火)以降、「旧様式」で送信できないこととなる(※1)ので、現在ご利用のベンダーソフトやe-Taxソフト(※2)などについては、「新様式」に対応したソフトウェアのダウンロードやバージョンアップをした上で提出のこと。

(※1)即時通知にエラーが表示される。

(※2)e-Taxソフト(WEB版)、e-Taxソフト(SP版)をご利用の方は、そのままご利用のこと。

★リンクはこちら⇒ e-Taxで適格請求書発行事業者の登録申請書を提出される方へ

2022年10月6日


税務相談チャットボット(インボイス制度)が始まりました

個人の方の国税に関する相談は、チャットボット(ふたば)を気軽にご利用ください。

ご質問したいことをメニューから選択するか、自由に文字で入力いただくとAI(人工知能)が自動回答します。

土日、夜間でもご利用いただけます。

<チャットボットの利用可能期間>
インボイス制度に関するご相談
令和4年5月12日(木)から
※24時間ご利用いただけます(メンテナンス時間を除く)。

<チャットボットの相談範囲>
チャットボットは、次のご相談に対応しています。
“インボイス制度”に関するご相談
・インボイス制度の概要に関すること
・登録申請の手続に関すること
・インボイス発行事業者の情報の公表(公表サイト)に関すること
・インボイスの作成に当たっての留意点に関すること
・売手の留意点(インボイス発行事業者の義務)に関すること
・買手の留意点(仕入税額控除の要件)に関すること
・消費税の基本的な仕組みに関すること

★リンクはこちら⇒ チャットボット(ふたば)に質問する

2022年7月28日


『消費税申告チェックシート(国、地方公共団体及び公共法人用)』の改訂

国税庁は、『消費税申告チェックシート(国、地方公共団体及び公共法人用)』を改訂した。

国税庁は、実地調査以外の多様な手法を用いて、納税者の皆様方に自発的な適正申告をしていただく取組を充実させていくこととしており、国、地方公共団体及び公共法人の皆様が消費税申告書の作成及び提出をするにあたり、その内容の自主的な点検に活用いただくためのチェックシートを作成している。

このページは、当該取組の内容を案内するとともに、チェックシートの様式を掲載し、提供するものである。

様式はダウンロードして活用してください。

(注)
チェックシートの様式については、Excel版とPDF版の2種類が用意されている。

Excel版については、印刷時にご利用のPC環境により改ページ位置の変更等レイアウトが変更される場合があるので、利用の際は留意すること。

★消費税申告チェックシート<国、地方公共団体及び公共法人用>(Excel版)はこちら⇒ 消費税申告チェックシート<国、地方公共団体及び公共法人用>(Excel版)

★消費税申告チェックシート<国、地方公共団体及び公共法人用>(PDF版)はこちら⇒ 消費税申告チェックシート<国、地方公共団体及び公共法人用>(PDF版)

2022年7月26日


適格請求書発行事業者公表サイトに屋号(お店の名前)を公表することができます!

屋号を公表することで、あなたがインボイス(請求書やレシート)に記載した登録番号を、取引先が公表サイトで確認する際に、それがあなたのお店の登録番号なのかを確認しやすくなる。

「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書」を提出することで、公表サイトに屋号を公表することができる。

是非、ご検討ください!

★リンクはこちら⇒ 適格請求書発行事業者公表サイトに 屋号(お店の名前)を公表することができます!

2022年6月9日


「適格請求書発行事業者の登録申請書」の処理期間について

登録申請書を提出してから登録の通知を受けるまでの期間については、提出された登録申請書の件数や個々の審査等に要する期間によって異なるが、おおまかな目安として、

  • 書面で提出された登録申請書については1か月程度
  • e-Tax で提出された登録申請書については2週間程度

の期間を見込んでいるところである。

現在、登録申請の受付開始直後で多くの登録申請書が提出されたこと、また、記載誤りや記載漏れ等が多く見受けられ、上記の期間内に登録通知が終了しないケースが発生している。

まだ登録通知が届いていない方においては、提出された登録申請書は順次審査をしているので、登録処理終了までしばらくお待ちください。

また、これから登録申請書を提出される事業者の方においては、提出前に記載誤りや記載漏れ等がないかどうか確認のうえ、提出をしましょう。

「適格請求書発行事業者の登録申請書の提出に当たりご注意いただきたい事項」は
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0021011-019.pdf
をご覧のこと。

★リンクはこちら⇒ 「適格請求書発行事業者の登録申請書」の処理期間について

2021年11月25日


インボイス登録センター

国税局(所)では、「インボイス登録センター」を設置し、インボイス制度に関する申請書の入力や電話照会等の事務について集約処理を行う。

インボイス制度に関する申請書等を書面により提出される場合は、郵送でインボイス登録センターへ送付すること。

各局(所) 管轄地域
札幌国税局インボイス登録センター 北海道
仙台国税局インボイス登録センター 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県
関東信越国税局インボイス登録センター 茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 新潟県 長野県
東京国税局インボイス登録センター 千葉県 東京都 神奈川県 山梨県
金沢国税局インボイス登録センター 富山県 石川県 福井県
名古屋国税局インボイス登録センター 岐阜県 静岡県 愛知県 三重県
大阪国税局インボイス登録センター 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県
広島国税局インボイス登録センター 鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県
高松国税局インボイス登録センター 徳島県 香川県 愛媛県 高知県
福岡国税局インボイス登録センター 福岡県 佐賀県 長崎県
熊本国税局インボイス登録センター 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県
沖縄国税事務所インボイス登録センター 沖縄県

インボイス登録センター名をクリックすると各局(所)のインボイス登録センターの所在地等の詳細ページに遷移する。

<相談窓口>
提出いただいた申請書等の記載内容などについて、インボイス登録センターから連絡がある場合があるが、インボイス登録センターでは、インボイス制度に関する相談は受け付けていないので注意すること。

インボイス制度に関する一般的な電話相談については、軽減・インボイスコールセンター(消費税軽減税率・インボイス制度電話相談センター)で受け付けている。

インボイス制度に関して、税務署での個別相談を希望される方は、あらかじめ相談日時等を予約が必要なので、所轄の税務署に電話し、自動音声案内に沿って、「2」を選択すること。

★リンクはこちら⇒ インボイス登録センター

2021年10月13日


適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書

[概要]
適格請求書発行事業者の公表に当たり、国税庁ホームページでの公表事項について「屋号」、「本店又は主たる事務所等の所在地」、「外国人の通称又は旧姓氏名」を新たに追加するまたは変更しようとする場合の手続である。

[手続根拠]

[手続対象者]
国税庁ホームページでの公表事項を新たに公表を追加するまたは変更しようとする個人事業者または人格のない社団等

[提出時期]
国税庁ホームページでの公表事項を新たに追加するまたは変更しようとするとき
なお、適格請求書発行事業者の登録を受けようとする事業者の方が、登録申請書と同時にこの申出書を提出した場合、申出書の内容を反映した状態で公表される。

[提出方法]
申出書を作成の上、提出先に送付すること。
なお、申出書はe-Taxでも提出できる。

[手数料]
不要

[添付書類・部数]
外国人の通称または旧姓氏名を公表する場合 住民票の写し 1部

★リンクはこちら⇒ 適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書

2021年10月12日


適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書

[概要]
適格請求書発行事業者登録簿に登載された事項に変更があった場合の手続きである。

[手続根拠]
所得税法等の一部を改正する法律(平成28年法律第15号)附則第44条第2項

[手続対象者]
適格請求書発行事業者登録簿に登載された事項に変更があった適格請求書発行事業者

[提出時期]
適格請求書発行事業者登録簿に登載された事項に変更があったとき速やかに

[提出方法]
届出書を作成の上、提出先に送付すること。
なお、申請書はe-Taxでも提出できる。

[手数料]
不要

★リンクはこちら⇒ 適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書

2021年10月11日


適格請求書発行事業者の登録申請書(国外事業者用)

[概要]
国外事業者が適格請求書発行事業者の登録を受けようとする場合の手続きである。

[手続根拠]
所得税法等の一部を改正する法律(平成28年法律第15号)附則第44条第1項

[手続対象者]
適格請求書発行事業者の登録を受けようする事業者

[提出時期]
2023年10月1日から適格請求書発行事業者の登録を受けるためには、原則として2021年10月1日から2023年3月31日までに提出する必要がある。

[提出方法]
申請書を作成の上、提出先に送付すること。
なお、申請書はe-Taxでも提出できる。

[手数料]
不要

0020009-098_05

★リンクはこちら⇒ 適格請求書発行事業者の登録申請書(国外事業者用)

2021年10月8日


適格請求書発行事業者の登録申請書(国内事業者用)

[概要]
国内事業者が適格請求書発行事業者の登録を受けようとする場合の手続きである。

[手続根拠]
所得税法等の一部を改正する法律(平成28年法律第15号)附則第44条第1項

[手続対象者]
適格請求書発行事業者の登録を受けようする事業者

[提出時期]
2023年10月1日から適格請求書発行事業者の登録を受けるためには、原則として2021年10月1日から2023年3月31日までに提出する必要がある。

[提出方法]
申請書を作成の上、提出先に送付すること。
なお、申請書はe-Taxでも提出できる。

[手数料]
不要

0020009-098_04

★リンクはこちら⇒ 適格請求書発行事業者の登録申請書(国内事業者用)

2021年10月7日


受け取ると「書面」に比べてこんなに便利!!

登録申請書をe-Taxで作成する際に「登録通知書の電子通知」に同意すると登録通知をデータで受け取れる。

<申請者にとって…>
➢登録通知が早く受け取れる!
税務署における登録とほぼ同時に受け取れる。
➢紛失リスクがない!
登録通知は、メッセージボックス内に保管されるため書面のように紛失リスクがない(1,900日間保存)。
➢取引先への連絡が便利!
メールに登録通知のデータを添付して取引先に連絡することもできる。

<関与税理士にとって…>
➢税理士にもお知らせが届く!
事前にメールアドレスを登録しておけば、関与先の登録通知があったことをメールで関与税理士にもお知らせする。

<取引先にとって…>
➢書面保存が不要!
登録通知を電子データで受領することで書面保管が不要である。
➢真正性の確認が可能!
登録通知の電子データに税務署による認証を付しているため、e-Taxソフト又はe-Taxソフト(WEB版)を利用すれば、税務署が作成した改ざんのないデータであることが確認できる。

★リンクはこちら⇒ 「データ」で受け取ると「書面」に比べてこんなに便利!!

2021年10月6日


適格請求書発行事業者公表サイトの機能等について

適格請求書発行事業者公表サイトでは、「登録番号」から検索できる機能のほか、

  • 「Web-API」によるシステム連携を可能とする機能
  • 適格請求書発行事業者のデータを一定の形式でダウンロードできる機能

があり、こうした機能を活用することで、業務の効率化を図ることも可能である。

詳しくは、適格請求書発行事業者公表サイトを確認のこと。

★リンクはこちら⇒ 適格請求書発行事業者公表サイトの機能等について

2021年10月5日


適格請求書発行事業者公表サイト(2021年10月運用開始)の概要

適格請求書発行事業者公表サイトでは、「登録番号」を入力し、その登録番号に係る適格請求書発行事業者に関する公表事項を確認できる。

<確認できる事項>

適格請求書発行事業者の氏名又は名称()
法人の場合、本店又は主たる事務所の所在地
登録番号
登録年月日
登録取消年月日、登録失効年月日

個人事業者の氏名について、「住民票に記載されている外国人の通称」又は「住民票に併記されている旧氏(旧姓)」を氏名として公表することを希望する場合又はこれらを氏名と併記して公表を希望する場合は、必要事項を記載した公表申出書の提出が必要

上記のほか、以下の項目について事業者から公表の申出があった場合には、追加で公表可能

  • 個人事業者:主たる屋号、主たる事務所の所在地等
  • 人格のない社団等:本店又は主たる事務所の所在地

★リンクはこちら⇒ 適格請求書発行事業者公表サイト(2021年10月運用開始)の概要

2021年10月4日


簡易課税制度による消費税額の計算

消費税額は課税仕入れ等に係る消費税額を課税売上げに係る消費税額から算出する。

そのため、実額による仕入税額の計算や課税仕入れ等に係る適格請求書等の保存などが不要となり、事務負担の軽減を図ることができる。

★リンクはこちら⇒ 簡易課税制度による消費税額の計算

2021年9月30日


簡易課税制度を選択する場合の届出書の提出

簡易課税制度は、課税期間の基準期間の課税売上高が 5,000 万円以下であり、原則として、適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出している場合に適用することができる(簡易課税制度の選択は任意である。)。

ただし、免税事業者が2023年10月1日の属する課税期間に適格請求書発行事業者の登録を受け、登録を受けた日から課税事業者となる場合、その課税期間から簡易課税制度の適用を受ける旨を記載した届出書をその課税期間中に提出すれば、その課税期間から簡易課税制度を適用することができる。

★リンクはこちら⇒ 簡易課税制度を選択する場合の届出書の提出

2021年9月29日


免税事業者の登録に当たっての留意点

  • 適格請求書発行事業者になると・・・
    基準期間の課税売上高が1,000万円以下となっても、登録の効力が失われない限り、申告が必要である。
    取引の相手方(課税事業者に限る。)から求められたときは、適格請求書を交付しなければならない(交付義務)。
  • 登録を受けるかどうかは、事業者の任意である。

★リンクはこちら⇒ 免税事業者の登録に当たっての留意点

2021年9月28日


免税事業者の登録申請手続

2023年10月1日を含む課税期間中に登録を受けた場合は、登録を受けた日から課税事業者となることが可能である(経過措置)。

登録を受けるためには登録申請手続を行う。

この場合、「消費税課税事業者選択届出書」の提出は必要ない。


上記以外の課税期間について免税事業者が適格請求書発行事業者の登録を受けるためには、登録申請手続を行うだけでなく、消費税課税事業者選択届出書を提出する必要がある。

「消費税課税事業者選択届出書」()を提出し、課税事業者を選択するとともに、課税事業者となる課税期間の初日の前日から起算して1月前の日までに登録申請手続を行う必要がある。
原則として、課税事業者選択届出書を提出した課税期間の翌課税期間から、課税事業者となる。

★リンクはこちら⇒ 免税事業者の登録申請手続

2021年9月27日


適格請求書発行事業者になると

  • 基準期間の課税売上高が1,000万円以下となっても、登録の効力が失われない限り、申告が必要である。
  • 適格請求書の記載事項には、登録番号が含まれるので、現在使用している請求書等の様式の改定や、取引先への登録番号の通知など、事業実態に応じて準備を行う必要がある。
  • 公表事項に変更が生じた場合や、登録を失効させる以下のような場合には、一定の手続が必要である。

※1  2023年10月1日以降提出することができる。
※2  「消費税課税事業者選択届出書」を提出した事業者が、免税事業者に戻るためには「消費税課税事業者選択不適用届出書」の提出も必要となる。

(注)次の取消事由に該当する場合には、適格請求書発行事業者の登録が取り消されることがある。

1年以上所在不明である場合(「所在不明」とは、例えば、消費税の申告書の提出がない場合などにおいて、文書の返戻や電話の不通をはじめとして、事業者と必要な連絡がとれないときをいう。)
事業を廃止したと認められる場合
合併により消滅したと認められる場合(法人の場合)
消費税法の規定に違反して罰金以上の刑に処せられた場合

★リンクはこちら⇒ 適格請求書発行事業者になると

2021年9月22日


登録申請のスケジュール

登録申請のスケジュールは、以下のようになっている。

★リンクはこちら⇒ 登録申請のスケジュール

2021年9月21日


登録通知の受領もe-Taxで

e-Tax で登録申請する際に、「登録通知書の電子通知」に同意することで、登録通知をデータで受け取ることができ、データで受け取った場合、以下のメリットがある。

書面通知より、登録通知を早く受け取ることができる(郵送によるタイムラグがない。)。
登録通知の紛失リスクがない。
取引先への連絡が便利(メールに登録通知のデータを添付して、メールでの送信が可能)。

★リンクはこちら⇒ 登録通知の受領もe-Taxで

2021年9月17日


登録申請手続は、e-Taxで!!

  • e-Taxソフトのほか、「e-Taxソフト(WEB版)」(パソコンで利用可能)又は「e-Taxソフト(SP版)」(スマートフォンで利用可能)を利用して登録申請手続を行うことができる。
  • 「e-Taxソフト(WEB版)」又は「e-Taxソフト(SP版)」を利用すると、画面案内に従い入力する(問答形式)ことにより、入力に必要な項目に漏れのない登録申請データを作成・送信することができる。

(注)e-Taxを利用した作成・送信は、2021年10月1日から利用可能となる。

e-Tax を利用した登録申請手続には、電子証明書(マイナンバーカード等)が必要となるので、事前に準備をしておくこと。

★リンクはこちら⇒ 登録申請手続は、e-Taxで!!

2021年9月16日


適格請求書発行事業者になる(登録を受ける)には?

  • 適格請求書発行事業者の登録申請手続が必要である。
  • 登録は課税事業者が受けることができる。登録を受けなければ適格請求書を交付できない。登録を受けるかどうかは、事業者の任意である。
  • 税務署による審査を経て、登録された場合は、登録番号などの通知及び公表が行われる。
通知される登録番号の構成は、次のとおり。
法人番号を有する課税事業者は、T+法人番号
上記以外の課税事業者(個人事業者及び人格のない社団等)は、T+13桁の数字
e-Taxで登録申請し、登録通知について電子データでの通知(電子通知)を希望した場合は、電子データで登録通知が送信される。その他の場合は、税務署から登録通知書が郵送される。
公表事項は、適格請求書発行事業者公表サイトで確認することができる。

★リンクはこちら⇒ 適格請求書発行事業者になる(登録を受ける)には?

2021年9月15日


免税事業者の登録手続

免税事業者が適格請求書発行事業者の登録を受けるためには、登録申請書に加えて「消費税課税事業者選択届出書」を提出し、課税事業者となる必要があるが、2023年10月1日を含む課税期間中に登録を受ける場合は、登録を受けた日から課税事業者となる経過措置が設けられている。

★リンクはこちら⇒ 適格請求書等保存方式における税額計算の方法

2021年9月13日


適格請求書等保存方式における税額計算の方法

2023年10月1日以降の売上税額及び仕入税額の計算は、以下の①または②を選択することができる。

適格請求書に記載のある消費税額等を積み上げて計算する「積上げ計算」
適用税率ごとの取引総額を割り戻して計算する「割戻し計算」

ただし、売上税額を「積上げ計算」により計算する場合には、仕入税額も「積上げ計算」により計算しなければならない。

なお、売上税額について「積上げ計算」を選択できるのは、適格請求書発行事業者に限られる。

★リンクはこちら⇒ 適格請求書等保存方式における税額計算の方法

2021年9月10日


免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置

適格請求書等保存方式の導入後は、免税事業者や消費者など、適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れは、原則として仕入税額控除を行うことができない。

ただし、区分記載請求書等と同様の事項が記載された請求書等及びこの経過措置の規定の適用を受ける旨を記載した帳簿を保存している場合には、以下の表のとおり、一定の期間は、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額として控除できる経過措置が設けられている。

期  間 割  合
2023年10月1日から2026年9月30日まで 仕入税額相当額の80%
2026年10月1日から2029年9月30日まで 仕入税額相当額の50%

★リンクはこちら⇒ 免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置

2021年9月9日


適格請求書等保存方式における帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合

請求書等の交付を受けることが困難な以下の取引は、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる。

適格請求書の交付義務が免除される(a)公共交通機関である船舶、バスまたは鉄道による旅客の運送(3万円未満のものに限る。)、 (b)自動販売機により行われる課税資産の譲渡等(3万円未満のものに限る。)、(c)郵便切手を対価とする郵便サービス(郵便ポストに差し出されたものに限る。)
適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除く。)を満たす入場券等が、使用の際に回収される取引
古物営業、質屋または宅地建物取引業を営む者が適格請求書発行事業者でない者から棚卸資産を取得する取引
適格請求書発行事業者でない者から再生資源または再生部品(棚卸資産に限る。)を購入する取引
従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当等に係る課税仕入れ

★リンクはこちら ⇒ 適格請求書等保存方式における帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合

2021年9月8日


適格請求書等保存方式における請求書等の範囲

保存が必要となる請求書等には、以下のものが含まれる。

適格請求書または適格簡易請求書
仕入明細書等(適格請求書の記載事項が記載されており、相手方の確認を受けたもの)
卸売市場において委託を受けて卸売の業務として行われる生鮮食料品等の譲渡及び農業協同組合等が委託を受けて行う農林水産物の譲渡について、受託者から交付を受ける一定の書類
①から③の書類に係る電磁的記録

★リンクはこちら⇒ 適格請求書等保存方式における請求書等の範囲

2021年9月7日


適格請求書等保存方式における帳簿の記載事項

適格請求書等保存方式の下では、適格請求書などの請求書等の交付を受けることが困難な一定の場合を除き、一定の事項を記載した帳簿及び請求書等の保存が仕入税額控除の要件となる。

<帳簿の記載事項>
保存が必要となる帳簿の記載事項は、以下のとおり(現行と同様)。

課税仕入れの相手方の氏名又は名称
取引年月日
取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
対価の額

★リンクはこちら⇒ 適格請求書等保存方式における帳簿の記載事項

2021年9月6日


適格請求書の交付方法の特例

媒介又は取次ぎに係る業務を行う者(媒介者等)を介して行う課税資産の譲渡等について、委託者及び媒介者等の双方が適格請求書発行事業者である場合には、一定の要件の下、媒介者等が、自己の氏名又は名称及び登録番号を記載した適格請求書を委託者に代わって交付することができる。

★リンクはこちら⇒ 適格請求書の交付方法の特例

2021年9月3日


適格請求書の交付義務免除

媒介又は取次ぎに係る業務を行う者(媒介者等)を介して行う課税資産の譲渡等について、委託者及び媒介者等の双方が適格請求書発行事業者である場合には、一定の要件の下、媒介者等が、自己の氏名又は名称及び登録番号を記載した適格請求書を委託者に代わって交付することができる。

適格請求書を交付することが困難な以下の取引は、適格請求書の交付義務が免除される。

公共交通機関である船舶、バス又は鉄道による旅客の運送(3万円未満のものに限る。)
出荷者が卸売市場において行う生鮮食料品等の譲渡(出荷者から委託を受けた受託者が卸売の業務として行うものに限る。)
生産者が農業協同組合、漁業協同組合又は森林組合等に委託して行う農林水産物の譲渡(無条件委託方式かつ共同計算方式により生産者を特定せずに行うものに限る。)
自動販売機により行われる課税資産の譲渡等(3万円未満のものに限る。)
郵便切手を対価とする郵便サービス(郵便ポストに差し出されたものに限る。)

★リンクはこちら⇒ 適格請求書の交付義務免除

2021年9月2日


適格請求書の記載事項

適格請求書発行事業者は、以下の事項が記載された請求書や納品書その他これらに類する書類を交付しなければならない(下線の項目が、現行の区分記載請求書の記載事項に追加される事項である。)。

適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
取引年月日
取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率
消費税額等(端数処理は一請求書当たり、税率ごとに1回ずつ)
書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

(注)適格簡易請求書の記載事項は上記①から⑤となり(ただし、「適用税率」「消費税額等」はいずれか一方の記載で足りる。)、上記⑥の「書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称」は記載不要である。

★リンクはこちら⇒ 適格請求書の記載事項

2021年8月31日


適格請求書発行事業者の義務等(売手側の留意点)

適格請求書発行事業者には、適格請求書を交付することが困難な一定の場合を除き、取引の相手方(課税事業者に限る。)の求めに応じて、適格請求書を交付する義務及び交付した適格請求書の写しを保存する義務が課される。

なお、不特定多数の者に対して販売等を行う小売業、飲食店業、タクシー業等については、記載事項を簡易なものとした「適格簡易請求書」を交付することができる。

★リンクはこちら⇒ 適格請求書発行事業者の義務等(売手側の留意点)

2021年8月30日


登録申請のスケジュール

登録申請のスケジュールは、以下のようになっています。

★リンクはこちら⇒ 適格請求書発行事業者の申請から登録まで

2021年8月27日


適格請求書発行事業者の申請から登録まで

適格請求書発行事業者の申請から登録までは、以下のようになっています。

★リンクはこちら⇒ 適格請求書発行事業者の申請から登録まで

2021年8月26日


適格請求書発行事業者登録制度

適格請求書(いわゆるインボイス)を交付できるのは、適格請求書発行事業者に限られる。

適格請求書発行事業者となるためには、税務署長に「適格請求書発行事業者の登録申請書」(以下「登録申請書」という。)を提出し、登録を受ける必要がある。

なお、課税事業者でなければ登録を受けることはできない。

ちなみに、適格請求書発行事業者は、基準期間の課税売上高が 1,000 万円以下となった場合であっても免税事業者にはならず、消費税及び地方消費税の申告義務が生じるので注意すること。

★リンクはこちら⇒ 適格請求書発行事業者登録制度

2021年8月25日


適格請求書(いわゆるインボイス)とは?

適格請求書(いわゆるインボイス)とは、「売手が、買手に対し正確な適用税率や消費税額等を伝えるための手段」であり、一定の事項が記載された請求書や納品書その他これらに類する書類をいう。

請求書や納品書、領収書、レシート等、その書類の名称は問わない。

★リンクはこちら⇒ 適格請求書(いわゆるインボイス)とは?

2021年8月24日


インボイス制度とは?

2023年10 月1日から、複数税率に対応した消費税の仕入税額控除の方式として適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)が導入される。

適格請求書等保存方式の下では、税務署長に申請して登録受けた課税事業者である「適格請求書発行事業者」が交付する「適格請求書」(いわゆるインボイス)等の保存が仕入税額控除の要件となる。

ちなみに、2019年10 月1日から2023年9月30日までの間の仕入税額控除の方式は、区分記載請求書等保存方式である。

★リンクはこちら⇒ インボイス制度とは?

2021年8月23日


「インボイス制度特設サイト」に登録申請手続に係る詳細な情報等を掲載しました

2023年(令和5年)10月1日から、消費税の仕入税額控除の方式としてインボイス制度が導入される。

適格請求書(インボイス)を発行できるのは、「適格請求書発行事業者」に限られ、この「適格請求書発行事業者」になるためには、登録申請書を提出し、登録を受ける必要がある。

★リンクはこちら⇒ 「インボイス制度特設サイト」に登録申請手続に係る詳細な情報等を掲載しました

2021年8月11日


「インボイス制度特設サイト」をリニューアルしました

国税庁は、「インボイス制度特設サイト」をリニューアルした。

2023年(令和5年)10月1日から、消費税の仕入税額控除の方式としてインボイス制度が導入される。

適格請求書(インボイス)を発行できるのは、「適格請求書発行事業者」に限られ、この「適格請求書発行事業者」になるためには、登録申請書を提出し、登録を受ける必要がある。

なお、登録申請書の提出が可能となるのは、2021年(令和3年)10月1日(金)以降である。

★リンクはこちら⇒ 「インボイス制度特設サイト」をリニューアルしました

2021年5月28日


消費税法改正のお知らせ(令和3年4月)

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★リンクはこちら⇒ 消費税法改正のお知らせ(令和3年4月)

2021年4月27日


イメージデータで提出可能な添付書類(消費税確定申告(法人))

イメージデータ(PDF形式)による提出が可能な主な添付書類は、次のとおり。

なお、この一覧は、令和3年4月1日現在の法令に基づくものである。

<添付書類をイメージデータで提出する場合の注意事項>
「消費税の還付申告に関する明細書」など、電子データ(XML形式)により提出が可能な添付書類については、イメージデータで提出することができない。

なお、電子データにより提出が可能な添付書類は、「利用可能手続(消費税確定申告等)」でご確認のこと。

★リンクはこちら⇒ イメージデータで提出可能な添付書類(消費税確定申告(法人))

2021年3月23日


消費税申告チェックシート(国、地方公共団体及び公共法人用)

下記リンクのページは、当該取組の内容をご案内するとともに、チェックシートの様式を掲載し、ご提供するものである。様式はダウンロードしてご活用のこと。

(注)チェックシートの様式については、Excel版とPDF版の二種類をご用意している。Excel版については、印刷時にご利用のPC環境により改ページ位置の変更等レイアウトが変更される場合があるので、ご利用の際には留意すること。

1.取組の内容
本取組の内容については、リーフレットをご参照のこと。
リーフレット

2.消費税申告チェックシート(様式)
令和2年4月1日以後終了課税期間分
消費税申告チェックシート

3.問合せ先
本取組についての問合せは、国税庁または所轄の国税局(事務所)まで。

問合せ先 電話番号(代表) 内線
国税庁 調査査察部 調査課 調査係 03-3581-4161 3417
札幌国税局 調査査察部 調査管理課 管理企画担当 011-231-5011 6130
仙台国税局 調査査察部 調査管理課 管理企画担当 022-263-1111 3484
関東信越国税局 調査査察部 調査管理課 管理企画係 048-600-3111 2716
東京国税局 調査第一部 調査開発課 消費税担当 03-3542-2111 3845
金沢国税局 調査査察部 調査管理課 管理企画担当 076-231-2131 2817
名古屋国税局 調査部 調査開発課 052-951-3511 7512
大阪国税局 調査第一部 調査開発課 06-6941-5331 2620
広島国税局 調査査察部 調査管理課 管理企画担当 082-221-9211 3848
高松国税局 調査査察部 調査管理課 管理企画担当 087-831-3111 514
福岡国税局 調査査察部 調査管理課 管理企画担当 092-411-0031 5125
熊本国税局 調査査察部 調査管理課 管理企画担当 096-354-6171 6266
沖縄国税事務所 調査課 総務係 098-867-3601 459

★リンクはこちら⇒ 消費税申告チェックシート(国、地方公共団体及び公共法人用)

2021年2月3日


令和3年4月1日より、税込価格の表示(総額表示)が必要になります!

財務省は、リーフレット『令和3年4月1日より、税込価格の表示(総額表示)が必要になります!』を作成した。

★リンクはこちら⇒ 令和3年4月1日より、税込価格の表示(総額表示)が必要になります!

2021年1月28日


請求人と取引先との売買契約は通謀虚偽表示には当たらないとした事例

  • 平成31年2月28日付でされた平成27年1月1日から平成27年12月31日まで及び平成29年1月1日から平成29年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに重加算税の各賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 令和2年5月19日裁決

<ポイント>
本事例は、原処分庁が、請求人が取引先の法人から軽種馬を購入する取引に係る売買契約は、通謀虚偽表示により無効であるとして、請求人の課税仕入れに係る支払対価の額の一部を認めない旨の更正処分をしたところ、本件における売買契約は、契約内容のとおり履行されており、また、請求人と当該法人との間に通謀虚偽表示を行う十分な動機があったとまでいえない上、これを基礎付ける証拠もないから、通謀虚偽表示により無効であると認めることはできないと判断して、原処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が取引先の法人(本件法人)から軽種馬(本件軽種馬)を購入する取引(本件各取引)に係る売買契約は、通謀虚偽表示により無効であり、実体は、請求人が軽種馬生産に関する農業協同組合を通じて直接本件軽種馬を購入したものであるから、本件法人が当該農業協同組合から落札し購入した金額と、本件各取引に係る売買金額の差額分に相当する金額(本件各差額)は、請求人の課税仕入れに係る支払対価の額に該当しない旨主張する。

しかしながら、本件各取引に係る売買契約については、契約内容のとおり履行されており、また、請求人と本件法人との間に通謀虚偽表示を行う十分な動機があったとまでいえない上、これを基礎付ける証拠もないから、通謀虚偽表示により無効であると認めることはできない。

したがって、本件各差額は課税仕入れに係る支払対価の額に該当する。

★リンクはこちら⇒ 請求人と取引先との売買契約は通謀虚偽表示には当たらないとした事例

2021年1月25日


個人的な使用に供される輸入貨物について、税関告知書記載の価格に基づいてされた消費税等の賦課決定処分に誤りがあるとして取り消した事例

  • 令和元年6月9日付でされた課税物品を内容とする郵便物の輸入に係る消費税及び地方消費税の賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 令和2年5月7日裁決

<ポイント>
本事例は、原処分庁が、請求人を名宛人とする外国からの郵便物に添付された税関告知書記載の価格に基づき消費税の課税標準を算出するなどした上で、請求人に消費税等の賦課決定処分を行ったところ、当該郵便物の内容品の価格は、請求人が購入した商品の価格であると認められ、当該税関告知書に記載された価格は誤りであると判断して、原処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、外国から発送された請求人を名宛人とする郵便物(本件郵便物)の内容品の価格は、税関告知書に記載された金額(本件金額)と認められることから、関税定率法(定率法)第4条の6《航空運送貨物等に係る課税価格の決定の特例》第2項の適用がある場合における本件郵便物の課税価格は本件金額に基づいて算出すべきである旨主張する。

しかしながら、請求人は中古のミニカー1個(本件商品)を購入していたところ、①請求人による本件商品の発注から本件郵便物の受取までを一連の手続としてみた場合に時系列の点で矛盾点がなく、かつ、不自然な点がないことに加え、請求人と本件商品の譲渡人との電子メールの件名や添付された画像データからも、本件郵便物の内容品は本件商品であったと考えるのが自然であること、②本件郵便物の内容品及び本件商品の原産国や重量などをみても、本件郵便物の内容品は本件商品であったと考えるのが自然であること、③請求人と本件商品の譲渡人との電子メールでのやり取りから、本件郵便物の内容品が本件商品以外の別の貨物である可能性は極めて低いことを総合勘案すると、本件郵便物の内容品は本件商品であったと認められる。

したがって、本件郵便物の課税価格を本件金額に基づいて算出した賦課決定処分はその全部を取り消すべきである。

★リンクはこちら⇒ 個人的な使用に供される輸入貨物について、税関告知書記載の価格に基づいてされた消費税等の賦課決定処分に誤りがあるとして取り消した事例

2021年1月18日


消費税法第30条第2項第1号の規定により控除する課税仕入れに係る消費税額を計算するに当たり、調剤薬品等の課税仕入れは、課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに区分すべきと判断した事例

  • ①平成23年10月1日から平成24年9月30日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正の請求に対して平成30年2月28日付でされた更正をすべき理由がない旨の通知処分
  • ②平成24年10月1日から平成25年9月30日まで、平成25年10月1日から平成26年9月30日まで、平成26年10月1日から平成27年9月30日まで及び平成27年10月1日から平成28年9月30日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正の請求に対して平成30年8月28日付でされた更正をすべき理由がない旨の各通知処分
  • 一部取消し
  • 令和元年7月17日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が問屋から医薬品等を仕入れた日の状況等を客観的にみれば、仕入れた医薬品等を全て非課税となる売上げのために使用するとは限らず、課税となる売上げのために使用する場合もあったと認められるから、当該問屋からの課税仕入れについては、課税資産の譲渡等のみに要するものにも、その他の資産の譲渡等のみに要するものにも区分することができず、課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに区分するのが相当であると判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が消費税法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》第2項第1号に基づき医薬品等の課税仕入れの用途区分を課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等(その他の資産の譲渡等)のみに要するものに区分したことは、その目的等に照らして合理的であるから、用途区分を誤っていたことを理由とする請求人の更正の請求は、国税通則法第23条《更正の請求》第1項第1号の要件を満たさない旨主張する。

しかしながら、請求人が問屋から医薬品等を仕入れた日の状況等を客観的にみれば、仕入れた医薬品等を全て非課税となる売上げのために使用するとは限らず、課税となる売上げのために使用する場合もあったと認められるから、当該問屋からの課税仕入れについては、課税資産の譲渡等のみに要するものにも、その他の資産の譲渡等のみに要するものにも区分することができず、課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに区分するのが相当である。

よって、請求人が、問屋からの医薬品等の課税仕入れをその他の資産の譲渡等のみに要するものに区分したことは、消費税法第30条第2項第1号の適用を誤ったものと認められ、国税通則法第23条第1項第1号に規定する国税に関する法律の規定に従っていなかった場合に該当する。

★リンクはこちら ⇒ 消費税法第30条第2項第1号の規定により控除する課税仕入れに係る消費税額を計算するに当たり、調剤薬品等の課税仕入れは、課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに区分すべきと判断した事例

2020年5月25日


消費税軽減税率制度対応申告前チェック!

国税庁は、ホームページに『消費税軽減税率制度対応申告前チェック!』を掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 消費税軽減税率制度対応申告前チェック!

2020年3月9日


消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(令和元年7月改訂)

国税庁は、『消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(令和元年7月改訂)』を、ホームページに掲載した。

2023年10月1日から消費税の仕入税額控除制度において適格請求書等保存方式が導入される。

この「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」は、事業者の皆様が、2019年10月1日に実施される消費税の軽減税率制度への対応とともに適格請求書等保存方式への対応もご検討いただけるよう、適格請求書等保存方式について、わかりやすく解説したものである。

また、今後、寄せられた質問や頂いた疑問点を踏まえて、随時、追加や掲載内容の改訂を行っていく予定とのこと。

 ★リンクはこちら ⇒ 消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(令和元年7月改訂)

2019年10月25日


消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)(令和元年7月改訂)

国税庁は、『消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)(令和元年7月改訂)』を、ホームページに掲載した。

令和元年 10 月1日の消費税率の引上げと同時に、消費税の軽減税率制度が実施された。

消費税の軽減税率制度は事業者の方のみならず、日々の買い物等で消費者の方にも関係するものである。

この「消費税の軽減税率制度に関するQ&A」は、軽減税率制度について、広く国民に理解を深めていただけるよう、わかりやすく解説したものである。

また、今後、寄せられた質問や頂いた疑問点を踏まえて、随時、追加や掲載内容の改訂を行っていく予定である。

 ★リンクはこちら ⇒ 消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)(令和元年7月改訂)

2019年10月10日


請求人が土地及び建物を信託財産とする信託受益権の取得に要した手数料に係る課税仕入れの用途区分については、共通用に区分するのが相当であるとした事例 

平成26年4月1日から平成27年3月31日まで及び平成27年4月1日から平成28年3月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却・平成30年4月25日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人の信託受益権の取得時においては、信託財産である土地及び建物の事業用資産の賃貸のみではなく、当該信託受益権を譲渡することを目的としていたと認められることから、当該信託受益権の取得に要した手数料に係る課税仕入れの用途区分は、課税用ではなく共通用に該当するとしたものである。

<要旨>
請求人は、土地及び建物(本件各物件)を信託財産とする各信託受益権(本件各信託受益権)の取得に要した各手数料(本件各手数料)に係る課税仕入れについて、消費税法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》第2項第1号に規定する個別対応方式による用途区分の判定をするに当たっては、その用途区分は、当該課税仕入れをした事業者が有する、その課税仕入れを行った日における確定的な状況の下においての、目的、意図等をも勘案した上で、なお客観的に判断すべきであり、また、本件各物件はその取得時には事業用に賃貸されており、決算上も有形固定資産に計上しているから、本件各手数料に係る課税仕入れは課税資産の譲渡等にのみ要するものに該当する旨主張する。

しかしながら、個別対応方式による用途区分の判定は、課税仕入れを行った日の状況により行うこととされ、課税仕入れを行った日の状況とは、当該課税仕入れの目的及び当該課税仕入れに対応する資産の譲渡等がある場合にはその資産の譲渡等の内容等を勘案して判断するのが相当であり、本件各信託受益権の取得時においては、本件各物件の賃貸のみではなく本件各信託受益権を譲渡することを目的としていたと認められること及び会計上の科目の判定が課税仕入れの用途区分の判定につながるものではないことなどからすれば、本件各手数料に係る課税仕入れは、課税資産の譲渡等と課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等に共通して要するものに区分するのが相当である。

 ★リンクはこちら ⇒ 請求人が土地及び建物を信託財産とする信託受益権の取得に要した手数料に係る課税仕入れの用途区分については、共通用に区分するのが相当であるとした事例 

2019年7月12日


請求人が国際郵便により輸出した資産の譲渡については、消費税法第7条《輸出免税等》第2項に規定する証明がされていないため、輸出免税規定の適用はないとした事例

  • 平成25年8月1日から平成26年7月31日まで、平成26年8月1日から平成27年7月31日まで及び平成27年8月1日から平成28年7月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の①各更正処分並びに②過少申告加算税の各賦課決定処分
  • ①棄却、②却下
  • 平成30年6月5日裁決

<ポイント>
本事例は、輸出申告時点で資産の価格が未確定である郵便物については、郵便物1個当たりの輸出時見積価格をもって当該郵便物の価格とみるのが相当であるとした事例

<要旨>
請求人は、国際便物により輸出した資産の譲渡(本件取引)について、郵便物1個当たりの価格が20万円を超えないことから消費税法施行規則第5条《輸出取引等の証明》第1項第2号(本件条文)に規定する郵便物(簡易郵便物)として資産を輸出した場合に該当し、同号に規定する帳簿又は郵便物受領証等を保存をしているのだから、消費税法第7条第2項に規定する証明がされている旨主張する。

しかしながら、本件取引の輸出申告時点では、取引の対象となる資産の価格が未確定の状態であり、そのような場合には郵便物1個当たりの輸出時見積価格(調達原価に通常の利潤、一般管理費等を加えた額又は値引き等の調整が加えられる前の額)をもって当該郵便物の価格とみるのが相当であるところ、本件取引においては、1個の郵便物にまとめられた各資産のそれぞれの仕入金額の合計額は、最も少ないもので20万円の2倍超であることから、郵便物1個当たりの輸出時見積価格は、いずれも20万円を上回ると認められ、本件取引は、本件条文に規定する簡易郵便物としての資産の輸出には該当せず、消費税法第7条第2項に規定する証明がされているとは認められない。

 ★リンクはこちら ⇒ 請求人が国際郵便により輸出した資産の譲渡については、消費税法第7条《輸出免税等》第2項に規定する証明がされていないため、輸出免税規定の適用はないとした事例

2019年7月11日


消費税の軽減税率制度に対応した経理・申告ガイド ~区分経理(記帳)から消費税申告書作成まで~

国税庁は、『消費税の軽減税率制度に対応した経理・申告ガイド~区分経理(記帳)から消費税申告書作成まで~』を作成し、ホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら ⇒ 消費税の軽減税率制度に対応した経理・申告ガイド ~区分経理(記帳)から消費税申告書作成まで~

2019年6月20日


臨時販売場制度に関するQ&A(2019年4月)

国税庁は、『臨時販売場制度に関するQ&A』を公表した。

 ★リンクはこちら ⇒ 臨時販売場制度に関するQ&A(2019年4月)

2019年5月21日


「消費税軽減税率まるわかりBOOK」を改訂しました

中小企業庁は、軽減税率対策補助金がよくわかる「消費税軽減税率まるわかりBOOK」を改訂した。

<国の軽減税率対策について>

2019年10月の消費税率10%への引き上げと同時に、低所得者層へ配慮する観点から「軽減税率制度」(複数税率)を実施する。

国は、中小企業者・小規模事業者の方々が、「軽減税率制度」に対応するための負担を少なくするため、地方自治体、商工会・商工会議所、中小企業団体中央会、メーカー・ベンダー等と連携した理解促進と対応のための支援に取り組んでいる。

また、「軽減税率制度」に対応するために必要なレジの導入・改修や受発注システムの改修等のための支援(軽減税率対策補助金)を行っている。

<軽減税率対策補助金について>

「軽減税率制度」への対応が必要となる中小企業・小規模事業者等の方には、複数税率対応レジの導入や、受発注システムの改修等を行う際(リースによる導入も補助対象となる。)に、その経費の一部を補助する「軽減税率対策補助金」を実施している。

2019年1月から、軽減税率対策補助金制度の拡充を行ったので、軽減税率対策補助金がよくわかる「消費税軽減税率まるわかりBOOK」の改訂を行った。

<拡充の内容>

  • 補助対象の拡大
従来は補助対象外としていた事業者間取引における請求書等の作成に係る対応(「区分記載請求書等保存方式」への対応)について、これに対応するシステムの開発・改修、パッケージ製品・事務機器等の導入に係る費用を補助対象とする。
また、これまでレジの設置と同時に行われる商品情報(商品マスタ)の登録に係る費用を補助対象としてきましたが、レジ設置時とは別に行う場合も補助対象とする。
さらに、複数税率に対応する「券売機」についても、補助の対象とする。
  • 補助率の引上げ

レジの設置・改修、受発注システムの改修等に要する経費の「3分の2以内」であった補助率を、原則「4分の3以内」に引き上げる。併せて、3万円未満のレジを1台のみ導入する場合の補助率を「4分の3以内」から「5分の4以内」に引き上げる。

  • 補助対象事業者の取扱い

事業者が営む事業に関連する規制により、補助対象外となっていた旅館・ホテル等の一部の事業者に係る取扱いについて、広く補助対象として認められるよう、制度の運用改善を行う。

<軽減税率対策補助金の申請期限、問い合わせ>

軽減税率対策補助金の内容及び申請期限等の詳細は、以下のホームページまたは「軽減税率対策補助金事務局」に問い合せること。

  • 軽減税率対策補助金ホームページ(既に削除済み)
  • 軽減税率対策補助金事務局 電話:0120-398-111

 ★リンクはこちら ⇒ 「消費税軽減税率まるわかりBOOK」を改訂しました

2019年5月10日


飲食料品の製造業者が発注元から有償又は無償で支給される原材料等を使用して飲食料品を製造し、発注元へ納品した場合の資産の譲渡等に係る適用税率について

<事前照会の趣旨>

 当社は、国内において飲料製品の受託製造販売を主な業とする内国法人で、発注元から飲料製品の製造委託を受け、発注元の定める飲料製品の仕様書や製造基準等に基づき、当社自らが発注元の商標が表示される飲料製品を製造し(ペットボトル容器の成型等を含む。)、当該飲料製品を発注元へ納品(販売)している。
飲料製品の製造に当たって、原材料(飲用水を除く。)及び包装資材については、発注元から有償又は無償により支給される場合と当社が調達する場合(以下「自社調達」という。)があり、次の表(以下「表」という。)のとおりの形態となっている。

原材料A 原材料B 包装資材A 包装資材B
発注元1 有償支給 自社調達 有償支給
発注元2 有償支給 自社調達 自社調達 有償支給
発注元3 無償支給 自社調達 無償支給
発注元4 無償支給 自社調達 自社調達 無償支給
発注元5 無償支給

※1
原材料Aはコーヒー豆、茶葉、砂糖又は乳等、原材料Bは基本的に添加物である。

※2
包装資材Aはペットボトル容器の素となる原材料(以下「プリフォーム」という。)、包装資材Bはキャップ、ラベル、梱包用のダンボール(以下「キャップ等」という。)である。

 軽減税率制度の実施後に行われる当社から各発注元への当該飲料製品に係る資産の譲渡等の適用税率は、次のとおりと解して差し支えないか照会する。

(1) 当社から発注元1又は発注元2への飲料製品に係る資産の譲渡等は「飲食料品の譲渡」に該当することから、その適用税率は軽減税率となる。
(2) 当社から発注元3、発注元4又は発注元5への飲料製品に係る資産の譲渡等は「役務の提供」(製品の加工)に該当することから、その適用税率は標準税率となる。

<事前照会に係る取引等の事実関係>

(1)製造工程について
飲料製品の製造・販売に係る工程の概要は、以下のとおりとなっている。

発注元から注文を受け、必要な原材料と包装資材を仕入れる。
原材料に飲用水を混ぜ合わせ、製品液を調合・殺菌する。
製品液をペットボトル容器(ペットボトル容器は自社でプリフォームから成型する。)に充填し、キャップで密封する。
製品液が充填されキャップで密封されたペットボトル容器に発注元の商標が表示されているラベルを巻き付け、ダンボールに箱詰めし、発注元へ納品する。

飲料製品の製造・販売に係る工程の概要

(2)発注元との間の契約内容
当社と発注元との間の飲料製品の製造委託に係る契約は、いわゆる製作物供給契約に該当するものであり、当社が製造を委託された飲料製品の完成品を発注元へ納品し、当該製造委託に係る対価を発注元が当社へ支払うものとなっている。
また、原材料及び包装資材の調達方法については下記(3)、製造委託に係る対価の算出根拠については同(4)、完成した飲料製品等の所有権の帰属については同(5)のとおりとなっている。

(3)原材料等の調達方法
飲料製品の製造において使用する飲用水以外の原材料及び包装資材の調達方法は、上記1の表のとおりである。
なお、飲用水については、当社工場の地下水源からくみ上げた水で浄化したものを使用している。

(4)飲料製品の製造委託に係る対価について
一般的に、事業者が原材料等の支給を受けて加工等を行い、その加工等による完成品を他の事業者に引き渡す場合のいわゆる製作物供給契約は、大別すると下記3(1)ニに記載の「製造販売方式」によるものと「賃加工方式」によるものとがあるものと考えられる。
また、経理方法もそれに対応して、製造販売方式を採用している場合には、支給を受けた原材料については当事者間で売買されていることから、原材料費を費用に計上するとともに、完成品の販売代金をその原材料費込みで収益に計上し、一方、賃加工方式を採用している場合には、原材料については無償支給されていることから、賃加工料収入のみを収益に計上することが一般的と考えられる。
したがって、当社が発注元へ請求する飲料製品の製造委託に係る対価の額は、原材料及び包装資材の取引形態によって、次のとおりに分類することとしている。

イ.原材料の全てと包装資材B(キャップ等)については発注元から有償支給を受け、包装資材A(プリフォーム)のみ自社調達する場合(発注元1との取引)には、当社は製造販売方式を採用しており、原材料代と包装資材代(自社調達した物の購入費用を含む。)に加工料(主として地下水の浄化、原材料と飲用水との調合、プリフォームからペットボトル容器の成型及びペットボトルへの充填等に係る手間賃をいう。以下同じ。)を加算した金額を対価の額とし、同額を販売代金として請求する。

ロ.原材料Aと包装資材B(キャップ等)は発注元から有償支給を受け、原材料B(添加物)と包装資材A(プリフォーム)を自社調達する場合(発注元2との取引)には、当社は製造販売方式を採用しており、原材料代と包装資材代(自社調達した物の購入費用を含みます。)に加工料を加算した金額を対価の額とし、同額を販売代金として請求する。

ハ.原材料の全てと包装資材B(キャップ等)は発注元から無償支給を受け、包装資材A(プリフォーム)のみ自社調達する場合(発注元3との取引)には、当社は賃加工方式を採用しており、自社調達したプリフォーム代に加工料を加算した金額を対価の額とし、同額を賃加工料として請求する。

ニ.原材料Aと包装資材B(キャップ等)は発注元から無償支給を受け、原材料B(添加物)と包装資材A(プリフォーム)を自社調達する場合(発注元4との取引)には、当社は賃加工方式を採用しており、自社調達した原材料代とプリフォーム代に加工料を加算した金額を対価の額とし、同額を賃加工料として請求する。

ホ.全ての原材料と包装資材は発注元から無償支給を受ける場合(発注元5との取引)には、当社は賃加工方式を採用しており、加工料のみを対価の額とし、同額を賃加工料として請求する。

(5)飲料製品等の所有権

イ.飲料製品
飲料製品の所有権は、完成品の引渡時にその所有権が当社から発注元へ移転する場合と、当社にその所有権が一度も帰属することなく、発注元にその所有権が帰属する場合がある。
発注元1及び発注元2との取引では、完成品の引渡時(契約により、完成品を納入した後の納品報告時や完成品を納入した後の受入数量検査の合格時)にその所有権は当社から発注元へ移転することとされている。
一方、発注元3、発注元4及び発注元5との取引では、無償で支給された原材料及び包装資材とともに、当社にその所有権が一度も帰属することなく、発注元にその所有権が帰属することとされている。

ロ.原材料及び包装資材
有償で支給される原材料及び包装資材は、これらの引渡しの完了と同時に、その所有権が発注元から当社へ移転し、以後、当社が自己の資産として管理している。
また、無償で支給される原材料及び包装資材は、その所有権が当社に一度も帰属することなく発注元に帰属するため、数量等の管理は行うが、自己の資産として管理していない。
なお、自社調達した原材料及び包装資材は、当社が自己の資産として管理している。

(6)その他
当社が製造する飲料製品は、コーヒー、お茶、スポーツ飲料等であり、酒類や医薬品等に該当する栄養ドリンク等は含まれない。

<事前照会者の求める見解となる理由>

(1)消費税法令等の規定

イ.課税の対象
消費税法第4条第1項は、国内において事業者が行った資産の譲渡等が消費税の課税の対象となる旨、同法第2条第1項第8号は、「資産の譲渡等」とは、事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供をいう旨規定している。

ロ.軽減対象課税資産の譲渡等
平成28年法律第15号による改正後の消費税法第2条第1項第9号の2は、「軽減対象課税資産の譲渡等」とは、課税資産の譲渡等のうち別表第一に掲げるものをいう旨、また、同法別表第一第1号において、飲食料品の譲渡(一定の食事の提供等を除く。)を掲げている(平成28年法律第15号附則第34条第1項に規定する「31年軽減対象資産の譲渡等」同旨)。

ハ.飲食料品の販売に係る包装材料等の取扱い
消費税の軽減税率制度に関する取扱通達第3項は、飲食料品の販売に際し使用される包装材料及び容器(以下「包装材料等」という。)が、その販売に付帯して通常必要なものとして使用されるものであるときは、当該包装材料等も含め軽減税率の適用対象となる「飲食料品の譲渡」に該当する旨定めている。

ニ.原材料等の支給による加工等の場合の課税売上高の計算
消費税法基本通達1-4-3は、事業者が原材料等の支給を受けて加工等を行った場合の基準期間における課税売上高に算入される国内において行った課税資産の譲渡等の対価の額は、原則として、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に掲げる対価の額となることに留意する旨定めている。

(イ)製造販売契約の方式により原材料等の有償支給を受けている場合
加工等を行った製品の譲渡の対価の額

(ロ)賃加工契約の方式により原材料等の無償支給を受けている場合
加工等に係る役務の提供の対価の額

(2)本件の当てはめ

イ.消費税の課税対象
本件飲料製品に係る受託製造販売は、国内において事業者が事業として対価を得て行われる資産の譲渡等に該当するので、消費税の課税対象となる。

ロ.適用税率の判断
軽減税率制度の実施後に行われる当社から各発注元への飲料製品に係る資産の譲渡等の適用税率については、当該資産の譲渡等が「飲食料品の譲渡」に該当する場合は軽減税率を適用し、「役務の提供」(製品の加工)に該当する場合は標準税率を適用することとなるが、その適用税率の判断に当たっては、当社と各発注元との間の契約内容(原材料等の調達方法、委託に係る対価の額の設定、製品の所有権の帰属等)を総合的に勘案して行うことになるものと考える。
これを踏まえ、上記2の事実関係を前提とすれば、軽減税率制度の実施後に行われる当社から各発注元への当該飲料製品に係る資産の譲渡等の適用税率は、以下のとおりになるものと考える。

(イ)当社から発注元1又は発注元2への当該資産の譲渡等
飲料製品の製造に当たって、当社は全ての原材料及び包装資材に係る対価を支払って仕入れているので、仕入れ後、当社が全ての原材料等を管理している。
また、完成品の所有権は、発注元へ完成品を引き渡すことで、当社から発注元へ移転することとしている。
そのうえ、当社は、いわゆる製作物供給契約における製造販売方式を採用しており、支出した原材料代及び包装資材代を費用に計上し、これに加工代を加算した金額を販売代金として請求の上、発注元へ納品し、当該販売代金を収益に計上することとしている。
これらの事実関係を踏まえれば、当該取引は飲料製品の製造販売契約と考えられ、一般の製造業者が原材料等を仕入れて製品を製造し、当該製品を発注元へ販売していることと何ら変わらないことから、当該取引は「飲食料品の譲渡」に該当するものと判断する。
したがって、当社は、発注元1又は発注元2との間の飲料製品に係る資産の譲渡等について、軽減税率を適用する。

(ロ)当社から発注元3、発注元4又は発注元5への当該資産の譲渡等
飲料製品の製造に当たって、当社は原材料の一部(添加物)又は包装資材の一部(プリフォーム)を自社調達する場合があるものの、他の原材料と包装資材は全て発注元から無償で支給され(発注元5との間の取引にあっては、全ての原材料及び包装資材が無償で支給される。)、無償で支給された原材料等は当社で自己の資産として管理していない。
また、当社が自社調達する原材料等の一部は、例えば、添加物やプリフォームなど、飲料製品の製造に際して使用する副次的なものであるため、完成品の所有権は、当社に一度も帰属することなく、発注元に帰属することとしている。
そのうえ、当社は、いわゆる製作物供給契約における賃加工方式を採用しており、支出(費用計上)した包装資材代に加工代を加算した金額を賃加工料として請求の上、発注元へ納品し、当該賃加工料金を収益に計上することとしている。
これらの事実関係を踏まえれば、当該取引は、原材料又は包装資材の一部を自社調達する場合があるものの、包装の加工も含め、無償で支給された原材料等を用いて飲料製品としての完成品とすることを内容とする一連の役務の提供(製品の製造行為)を行い、その製造に係る対価として賃加工料を受領しているものと考えられるから、当該取引は「役務の提供」に該当するものと判断する。
したがって、当社は、発注元3、発注元4又は発注元5との間の飲料製品に係る資産の譲渡等について、標準税率を適用する。

<回答>

回答年月日
平成30年12月7日

回答者
東京国税局審理課長

回答内容
標題のことについては、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。
ただし、次のことを申し添えます。
(1)ご照会に係る事実関係が異なる場合又は新たな事実が生じた場合は、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあります。
(2)この回答内容は東京国税局としての見解であり、事前照会者の申告内容等を拘束するものではありません。

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2019年3月29日


計量法関係法令改正後の器差検定を中心とした指定検定機関が行う特定計量器の検定に係る手数料の消費税の取扱いについて

<照会の趣旨>
計量法では、社会・経済活動において取引又は証明に使用する計量器で、その精度を公的に担保することが必要なもの等を特定計量器として定めており、適正な計量の確保の観点から、指定製造事業者が製造するものを除き、経済産業大臣(以下「経産大臣」といいます。)、都道府県知事、日本電気計器検定所(以下「日電検」という。)又は経産大臣が指定した者(以下「指定検定機関」という。)が行う検定に合格したものとして検定証印が付されている特定計量器以外の特定計量器については、取引又は証明における計量に使用してはならないこととされている。
今般、平成28年11月に計量行政審議会で取りまとめられた答申「今後の計量行政の在り方-次なる10年に向けて-」(平成28年11月)を踏まえて、指定検定機関の指定要件の見直しに関する計量法関係法令の改正が行われた。
従来の指定検定機関が、その指定を受ける要件として、器差検定、構造検定、型式承認の試験及び指定製造事業者の品質管理の調査などの業務を全国規模で実施できることが求められていたが、今般の改正により、その要件が見直され、器差検定と構造検定の一部のみを実施する検定機関(以下「器差検定を中心とした指定検定機関」という。)の指定や、地域ブロック単位に限定した業務の実施が可能とされている。
この場合、器差検定を中心とした指定検定機関が行う特定計量器の検定に係る手数料については、消費税が非課税となる行政手数料に該当するものと解して差し支えないか伺う。

<照会に係る取引等の事実関係>
1.検定の実施機関(指定検定機関)について
指定検定機関とは、特定計量器の検定を実施する者(検定の実施主体)として、経産大臣から検定に関する事務(指定検定機関の指定に係るものを除く。)を委任されている国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下「産総研」という。)、都道府県知事及び日電検といった公的機関と並ぶものであり、経産大臣が指定する民間の検定機関のことをいう。
計量法(平成4年法律第51号)第106条《指定検定機関》の規定に基づく同法第16条第1項第2号イ《使用の制限》の指定は、計量法施行令(平成5年政令第329号)第26条《指定検定機関の指定の区分》で定める区分ごとに、指定定期検査機関、指定検定機関、指定計量証明検査機関及び特定計量証明認定機関の指定等に関する省令(平成5年通商産業省令第72号。以下「機関等省令」という。)で定めるところにより、検定を行おうとする者の申請により行うこととされており、現在、この指定を受けている指定検定機関は、一般財団法人日本品質保証機構(昭和32年10月28日に財団法人日本機械金属検査協会という名称で設立された法人をいう。)のみとなっている。
また、当該指定には、計量法第27条《欠格条項》から第33条《事業計画等》まで及び第35条《解任命令》から第38条《指定の取消し等》までの規定が準用されることから、例えば、同法第28条《指定の基準》の規定に基づき、指定機関への無秩序な民間事業者(検定機関)の参入を制限する観点から、行政の裁量により、経産大臣はその申請のあった者の指定を行わないことがあるほか、同法第36条《役員及び職員の地位》の規定に基づき、検査業務に従事する指定検定機関の役員又は職員は、いわゆるみなし公務員となることが求められる。
今般、平成28年11月の計量行政審議会答申を踏まえて、適正な計量の実施を確保するため、制度の信頼性は確保した上で検定実施者の拡大を図ることを目的とし、器差検定を中心とした検定を実施する者を認めるべく、指定検定機関の指定要件の見直しが行われた。
具体的には、機関等省令第9条《指定の申請》の改正により、経産大臣は、検定を行おうとする者の能力又は申請により、当該者が行うことができる検定の種類を、器差検定と構造検定の一部のものに限ることとする指定が可能とされるとともに、その業務の範囲についても、関東・甲信越ブロックなど全国を6つのブロックに区分した地域ブロックに限定して指定することが可能とされている。
以上のことから、従来の指定検定機関は、器差検定、構造検定、型式承認の試験及び指定製造事業者の品質管理の調査などの業務を全国規模で実施できることが、その指定を受ける際の要件となっていたが、新たに経産大臣が指定する器差検定を中心とする指定検定機関については、これらの指定に関する要件が緩和されることとなった。
なお、器差検定を中心とする指定検定機関の指定についても、従来の指定検定機関に対する指定と同様、計量法第106条の規定に基づき、検定を行おうとする者の申請により経産大臣が行うことに変更点はない。

2.特定計量器の検定業務について
(1)特定計量器について
計量器とは、長さ・質量・時間等の「計量」の対象となる量(「物象の状態の量」)を計るための器具、機械又は装置のことをいう。また、これらのうち、取引若しくは証明における計量に使用され、又は主として一般消費者の生活の用に供される計量器(例えば、体温計や血圧計など)について、適正な計量の実施を確保するためにその構造(計量器の基本的な構造や性能を示す基準)又は器差(計量器の精度、許容される誤差)に係る基準を定める必要がある一定の計量器を「特定計量器」という。
特定計量器には、電気・ガス・水道メーター、非自動はかり、体温計、タクシーメーター、燃料油メーター等が指定されており、それぞれに技術基準が規定されている。
(2)特定計量器の使用について
計量法は、特定計量器の使用者がこれを取引(有償、無償を問わず、物又は役務の給付を目的とする業務上の行為をいう。)又は証明(公に又は業務上他人に一定の事実が真実である旨を表明することをいう。)に用いる場合、国や自治体等が精度を確認した計量器を使用すること等を義務づけることで、正確な計量を確保することとしている。
計量法第16条《使用の制限》は、経産大臣、都道府県知事、日電検又は指定検定機関が行う検定を受け、これに合格したものとして同法第72条第1項《検定証印》の検定証印が付されている特定計量器及び指定製造事業者が製造し、基準適合証印が付された特定計量器以外のものは、取引又は証明における法定計量単位による計量に使用してはならないとしている。また、同法第172条《罰則》の規定により、この使用制限に違反した場合には、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金が課せられる。
(3)特定計量器の検定について
特定計量器の検定は、計量法第70条《検定の申請》の規定に基づき、特定計量器について同法第16条の検定を受けようとする者の申請に基づき行われるものであり、当該検定とは、特定計量器の構造と器差について、特定計量器検定検査規則(平成5年通商産業省令第70号)で定める技術基準への適合性を、国、都道府県などが確認する計量法上の検査のことをいう。
具体的な検定の方法は、特定計量器検定検査規則及び同規則において引用される日本工業規格(JIS)によることとされており、これに合格した計量器には、「検定証印」というマークが付される。
なお、検定に有効期限が定められている計量器もある。
(4)特定計量器の検定に係る手数料について
産総研又は日電検による特定計量器の検定を受けようとする者は、計量法第158条《手数料》の規定に基づき、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納付しなければならないとされている。
他方、指定検定機関が特定計量器の検定を受けようとする者から徴収する特定計量器の検定に係る手数料(以下「検定手数料」という。)については、前述のようなその徴収の根拠となる法令上の規定はないが、当該検定手数料は指定検定機関が定める検定業務に関する規程の記載事項とされて経産大臣の認可が必要とされていることから、指定検定機関は、当該認可を受けた検定手数料について、その検定を受けようとする者から徴収している。
なお、経産大臣は、指定検定機関の検定手数料の額について、前述の実費を勘案して定める計量法関係手数料令(平成5年政令第340号)の考え方を踏まえた審査を行うこととしており、その積算根拠が不明瞭なものや極端な額のものについては、審査に合格しない場合がある。

<上記の事実関係に対して照会者の求める見解となることの理由>
1.検定に係る手数料に関する消費税の非課税規定等
国、地方公共団体、消費税法別表第三に掲げる法人(以下「別表第三法人」という。)その他法令に基づき国若しくは地方公共団体の委託若しくは指定を受けた者が、法令に基づき行う検査、検定、試験、審査、証明及び講習に係る役務の提供で、その手数料その他の料金の徴収が法令に基づく一定のもの及び当該役務の提供に類するものとして政令で定める一定のものについては、消費税が非課税とされている(消費税法第6条第1項、別表第一第五号イ及びロ)。
また、これを受けて、消費税法施行令第12条第2項第2号《国、地方公共団体等の役務の提供》では、国、地方公共団体、別表第三法人その他法令に基づき国又は地方公共団体の委託又は指定を受けた者が法令に基づき行う登録、認定、確認、指定、検査、検定、試験、審査及び講習(以下「検定等」という。)のうち、法令において、資産の輸出その他の行為を行う場合にその使用する資産について当該検定等に係る役務の提供を受けることが要件とされているものについては、消費税が非課税となる旨を定めている(消費税法施行令第12条第2項第2号イ(2))。
なお、「料金の徴収が法令に基づくもの」とは、「手数料を徴収することができる」又は「手数料を支払わなければならない」等の規定をいい、「別途手数料に関する事項を定める」又は「手数料の額は〇〇〇円とする」との規定は含まれないと解されている(消費税法基本通達6-5-2)。

2.照会者の求める見解となることの理由
上記のとおり、指定検定機関が特定計量器の検定を受けようとする者から徴収する検定手数料については、その徴収の根拠となる法令上の規定がないことから、上記のとおり、照会の検定手数料について、これが非課税となる場合の要件としては次のような点について検討する必要があると考えるので、当該要件の該当性について、以下検討する。
①検定を行う者が、国、地方公共団体、別表第三法人その他法令に基づき国若しくは地方公共団体の委託若しくは指定を受けた者であること
②当該事務が、法令に基づき行う検定等に係る役務の提供で、法令において、資産の輸出その他の行為を行う場合にその使用する資産について当該検定等に係る役務の提供を受けることが要件とされているものであること
(1)検定を行う者が国等に該当するか
上記のとおり、指定検定機関は、特定計量器の検定を実施する者(検定の実施主体)として、産総研、都道府県及び日電検といった公的機関と並ぶものであり、計量法第106条の規定に基づき経産大臣が指定するものである。
また、今般の改正による指定検定機関の指定要件の見直しは、あくまで経産大臣が検定機関を指定する際の要件緩和に止まるものであり、当該改正により新たに指定されることとなる「器差検定を中心とした指定検定機関」についても、経産大臣がその指定を受けようとする者の申請により、計量法第106条の規定に基づき、所定の審査を実施した上で指定するものである。
したがって、器差検定を中心とした指定検定機関は、法令に基づき国の指定を受ける者に該当するものと認められ、上記①の要件を満たすものと考える。
(2)法令に基づき行う検定等に係る役務の提供に該当し、法令において、一定の行為を行う場合にその使用する資産について当該検定等に係る役務の提供を受けることが要件とされているものに該当するか
特定計量器の検定は、上記II2(3)のとおり、計量法及び特定計量器検定検査規則の定めるところにより実施されるものであり、法令に基づき行われるものである。
また、上記Iのとおり、指定製造事業者が製造し、基準適合証印が付されているものを除き、指定検定機関等が行う検定を受け、これに合格したものでない特定計量器については、計量法第16条の規定に基づき、取引又は証明における計量に使用してはならないこととされており、例えば、食料品(肉等)の量り売りにおいて使用する計量器は、当該検定を受ける必要があるものと認められることから、特定計量器の検定は、上記②の要件を満たすものと考える。
(3)まとめ
以上のことからすると、照会の器差検定を中心とした指定検定機関が行う特定計量器の検定に係る手数料は、消費税法第6条第1項及び消費税法別表第一第5号ロ並びに消費税法施行令第12条第2項第2号イ(2)の規定に基づき、消費税が非課税となるものと考える。

<回答>

回答年月日
平成30年12月13日

回答者
国税庁課税部審理室長

回答内容
標題のことについては、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。
ただし、次のことを申し添えます。
(1)この文書回答は、ご照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答ですので、個々の納税者が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあります。
(2)この回答内容は国税庁としての見解であり、個々の納税者の申告内容等を拘束するものではありません。

 ★リンクはこちら ⇒ 消費税法第9条の2第1項及び第3項の規定により、基準期間がない場合でも請求人の消費税の納税義務は免除されないとした事例

2019年3月19日


消費税法第9条の2第1項及び第3項の規定により、基準期間がない場合でも請求人の消費税の納税義務は免除されないとした事例

  • 平成26年4月1日から平成27年3月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の決定処分並びに無申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 平成30年2月23日裁決

<ポイント>
本事例は、消費税法第9条の2第1項に規定する「法人のその事業年度の基準期間における課税売上高が1,000万円以下である場合」には、「その事業年度の基準期間がない」場合が含まれるとしたものである。

<要旨>
請求人は、消費税法第9条の2《前年又は前事業年度等における課税売上高による納税義務の免除の特例》第1項の規定は「法人のその事業年度の基準期間の課税売上高が1,000万円以下である場合において」と限定されており、同項の規定を条文に沿って解釈すれば、その事業年度の基準期間がない場合には同項の適用はないところ、請求人の場合、同項の規定の適用はなく、また、同法第12条の2《新設法人の納税義務の免除の特例》第1項の規定の適用もないから、同法第9条《小規模事業者に係る納税義務の免除》第1項本文の規定により、消費税の納税義務はない旨主張する。

しかしながら、消費税法第9条第1項本文に規定する「事業者のうち、その課税期間に係る基準期間における課税売上高が1,000万円以下である者」には、当然に「その事業年度の基準期間がない法人」も含まれ、同法第9条の2第1項に規定する「法人のその事業年度の基準期間における課税売上高が1,000万円以下である場合」についても、同様に「その事業年度の基準期間がない」場合が含まれる。

また、同法第12条の2第1項の括弧書において、同条の適用がある法人の課税期間から同法第9条の2第1項の規定により納税義務が免除されないこととなる課税期間が除かれていることからすると、同法第12条の2第1項は、同法第9条の2第1項の規定の適用対象に「その事業年度の基準期間がない法人」が含まれていることを前提に規定されており、このことをみても、同法第9条の2第1項の規定の適用対象に「その事業年度の基準期間がない法人」が含まれることは明らかである。

以上のことから、消費税法第9条の2第1項の規定は、その事業年度の基準期間がない場合についても適用があり、同項の規定の適用がある場合、同法第12条の2第1項の規定の適用はないことから、同法第9条の2第1項及び第3項の規定により、請求人の消費税の納税義務は免除されない。

 ★リンクはこちら ⇒ 消費税法第9条の2第1項及び第3項の規定により、基準期間がない場合でも請求人の消費税の納税義務は免除されないとした事例

2019年1月24日


平成31年(2019年)10月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A

国税庁は、「平成31年(2019年)10月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A」をホームページに掲載した。

 【基本的な考え方編】と【具体的事例編】とがある。

 ★【基本的な考え方編】 はこちら ⇒ 平成31年(2019年)10月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A【基本的な考え方編】

★【具体的事例編】はこちら ⇒ 平成31年(2019年)10月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A【具体的事例編】

2018年12月17日


消費税軽減税率制度の手引き(平成30年8月版)

国税庁は、『消費税軽減税率制度の手引き(平成30年8月版)』を、ホームページに掲載した。

目次は、以下のとおり。

消費税の軽減税率制度
軽減税率の対象品目
区分記載請求書等保存方式
税額計算
中小事業者の税額計算の特例
適格請求書等保存方式
免税事業者の方に留意していただきたい事項

 ★リンクはこちら ⇒ 消費税軽減税率制度の手引き(平成30年8月版)

2018年9月28日


中古車販売における未経過自動車税等の取扱い

<照会要旨> 中古車を販売する際に、車両本体価格と未経過分の自動車税相当額及びリサイクル預託金相当額を区分して表示した場合、未経過分の自動車税相当額及びリサイクル預託金相当額は、資産の譲渡等の対価の額に含まれないこととなるのか?

<回答要旨> 自動車税は、4月1日現在の所有者に対して課税される税(道府県税)であるから、買主が支払う自動車税の未経過期間に対応する金額は、自動車税そのものとして都道府県に対して支払うものではなく、当該未経過の期間内に継続して乗用できる中古車の購入代金の一部として支払うものである。

したがって、車両本体価格と区分表示したとしても、自動車税相当額は資産の譲渡等の対価に含まれる(消費税法基本通達10-1-6)。 また、未経過分の自賠責保険料相当額を区分して表示する場合も、自動車税相当額と同様、資産の譲渡等の対価の額に含まれる。

一方、リサイクル預託金相当額については、「使用済自動車の再資源化等に関する法律」に基づき資金管理法人に預託されているものだから、中古車として転売する際のリサイクル預託金相当額は、売主から買主への預託金の譲渡となり、金銭債権の譲渡として非課税となる(消費税法別表第一第2号、消費税法施行令第9条第1項第4号)。

 ★リンクはこちら ⇒ 中古車販売における未経過自動車税等の取扱い

2018年8月31日


よくわかる消費税軽減税率制度

国税庁は、「よくわかる消費税軽減税率制度」(リーフレット)を公表した。

内容は、以下のとおり。

  • 軽減税率制度は全ての事業者の方に関係があります。
  • 事業者の方に知っておいていただきたい軽減税率制度のポイントを紹介します。
  • 平成 35 年 10 月1日から導入される適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)の概要を説明します。
  • 事業者の方からのよくある質問に答えます。

本当に、消費税軽減税率制度はやめてほしいと思う。

 ★リンクはこちら ⇒ よくわかる消費税軽減税率制度

2018年8月24日


価格が20万円を超える郵便物として資産を輸出した場合に消費税の輸出免税規定が適用されるには、税関長が証明した書類の保存を要するとした事例

  • 平成23年10月1日から平成27年6月30日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに当該各課税期間のうち特定の課税期間を除く各課税期間の消費税及び地方消費税に係る過少申告加算税の各賦課決定処分 →棄却または却下
  • 平成29年9月15日裁決

<ポイント> 本事例は、関税法上の郵便物の輸出入に係る簡易手続を経て資産を輸出した場合であっても、その郵便物の現実の取引価格が20万円を超えるものである場合には、消費税の輸出免税規定の適用に当たり、税関長が証明した書類の保存が要件とされるとしたものである。

<要旨> 請求人は、その現実の取引価格が20万円を超えていた郵便物(本件郵便物)について、郵便発送伝票に20万円以下の金額が記載され、税関長の管理の下、何らの指摘もなく輸出されたものである以上、関税法第76条《郵便物の輸出入の簡易手続》第1項に規定する郵便物(簡易郵便物)として輸出されたものとして、消費税法施行規則第5条《輸出取引等の証明》第1項第1号に規定する輸出許可書等の保存がなくても、消費税法第7条《輸出免税等》第1項第1号の規定(輸出免税規定)が適用される旨主張する。

しかしながら、関税法第76条第1項に規定する「価格」とは、現実の取引価格であると解されることなどからすると、ある郵便物が簡易郵便物に該当するか否かは、当該郵便物の現実の取引価格を基準として判断されるべきであり、また、簡易郵便物として資産を輸出した場合に当たるか否かは、当該郵便物が簡易郵便物に該当するか否かにより判断されるべきである。

本件郵便物は、現実の取引価格が20万円を超えていることから、簡易郵便物として輸出したことには該当せず、したがって、輸出許可書等の一定期間の保存がない限り、輸出免税規定の適用はない。

 ★リンクはこちら ⇒ 価格が20万円を超える郵便物として資産を輸出した場合に消費税の輸出免税規定が適用されるには、税関長が証明した書類の保存を要するとした事例

2018年6月28日


請求人が行った商品券の販売は物品切手の譲渡に該当し、非課税取引に該当するとした事例

  • 消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成29年8月7日裁決

<ポイント> 本事例は、請求人は、発行を受けた商品券の同一性を保持しつつ、顧客へ販売しているから、当該商品券の販売は、消費税法別表第一第4号ハに規定する物品切手の譲渡に該当し、当該取引は非課税取引であるとしたものである。

<要旨> 請求人は、①請求人の店舗のみで使用できる商品券(本件商品券)が、資金決済に関する法律(資金決済法)上の自家型前払式支払手段に該当し、②本件商品券は流通している商品券等には該当しないことなどから、本件商品券の発行者は請求人であり、請求人の本件商品券の顧客への販売は、消費税法別表第一第4号ハに規定する物品切手の譲渡に該当しない旨主張する。

しかしながら、請求人と本件商品券の発行会社との間で締結した本件商品券の発行及び販売に関する契約(本件契約)は、当該発行会社が本件商品券を作成・発行の上で請求人に券面金額で販売し、これを請求人が顧客に再販売するものとされていること、請求人が購入代金を支払うまで本件商品券の所有権は当該発行会社に留保されること、本件商品券の裏面に発行元は当該発行会社である旨表示されていることからすれば、当該発行会社が本件商品券を発行し、それを請求人に販売するものとして締結されたと認められる。そして、本件商品券は、資金決済法に規定する前払式支払手段に該当し、その発行者に義務付けられた手続を実際に行っていたのは当該発行会社であったことなどからすると、当該発行会社が資金決済法上の発行者として本件商品券の発行の業務を行っていたといえる。

これらの事情から判断すると、本件商品券の発行者は当該発行会社であると認められ、請求人は当該発行会社から発行を受けた本件商品券につきその同一性を保持しつつ顧客へ移転させることにより、資産の譲渡を行ったものであるから、請求人が行った本件商品券の顧客への販売は、物品切手の譲渡に該当する。 ただし、請求人の課税売上割合及び控除対象仕入税額を再計算すると、原処分の一部を取り消すべきである。

★リンクはこちら ⇒ 請求人が行った商品券の販売は物品切手の譲渡に該当し、非課税取引に該当するとした事例

2018年6月25日


平成31年(2019年)10月1日から消費税の軽減税率制度が実施されます(リーフレット)

国税庁のホームページに、『平成31年(2019年)10月1日から消費税の軽減税率制度が実施されます』(リーフレット)が掲載された。

★リンクはこちら ⇒ 平成31年(2019年)10月1日から消費税の軽減税率制度が実施されます(リーフレット)

2018年5月18日


消費税申告チェックシート(国、地方公共団体、公共法人用)

国税庁は、実地調査以外の多様な手法を用いて、納税者の方に自発的な適正申告をしていただく取組を充実させていくこととしており、国、地方公共団体及び公共法人のが消費税申告書を作成される前の自主的な確認や、申告書を提出される直前の自主的な点検にご活用いただくためのチェックシートを作成している。

国税庁のホームページで、当該取組の内容を案内するとともに、チェックシートの様式を掲載し、提供している。

★リンクはこちら ⇒ 消費税申告チェックシート(国、地方公共団体、公共法人用)

2018年4月10日


事業を行うために必要な準備行為を行った日の属する課税期間は「課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日の属する課税期間」に当たるとした事例

  • 平成26年1月1日から平成26年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分 →棄却
  • 平成29年6月16日裁決

<ポイント> 本事例は、新たに事業を開始した場合にはその事業を開始した日の属する課税期間の末日までに課税事業者選択届出書を提出すればその課税期間から課税事業者となるところ、請求人は、当該届出書を提出した課税期間の前年に新たに事業を行うための必要な準備行為を行っていることから、当該届出書は事業を開始した日の属する課税期間に提出されたものではあるとはいえず、本件課税期間は免税事業者となるとしたものである。

<要旨> 請求人は、消費税法施行令第20条《事業を開始した日の属する課税期間等の範囲》第1号に規定する「事業者が国内において課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日の属する課税期間」の判断に当たっては、「事業を開始した日」について法令等に明確な規定がない以上、納税者の意思を尊重し、かつ、経済活動の実態に即した一般的な社会通念に沿って判断すべきであり、本件では、請求人が事業(本件事業)を開始したと認識し、個人事業開業届出書に本件事業を開始した日として記載した日の属する課税期間(本件課税期間)が同号に規定する「事業を開始した日の属する課税期間」に該当する旨主張する。

しかし、新たに事業を行うに当たり必要な準備行為を行った日の属する課税期間は、同号に規定する「事業を開始した日の属する課税期間」に当たると解するのが相当であり、本件において、請求人は、本件課税期間の前の課税期間中に請負契約を締結してその契約金を支払うなどしており、これらの行為は本件事業を行うために必要な準備行為と認められるから、本件課税期間は、同号に規定する「事業を開始した日の属する課税期間」には該当せず、請求人が本件課税期間中に提出した課税事業者選択届出書の効力は、本件課税期間の翌課税期間から生ずるため、本件課税期間について、請求人は消費税の免税事業者となる。

★リンクはこちら ⇒ 事業を行うために必要な準備行為を行った日の属する課税期間は「課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日の属する課税期間」に当たるとした事例

2018年4月3日


信用を出資の目的とした出資の額は消費税法上の出資の金額に含まれ、請求人は消費税法上の新設法人に該当するため消費税等を納める義務が免除されないとした事例

  • 消費税及び地方消費税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分 →棄却
  • 平成29年6月15日裁決

<ポイント> 本事例は、信用を出資の目的とした出資の額は消費税法第12条の2《新設法人の納税義務の免除の特例》第1項に規定する「出資の金額」に該当するとしたものである。

<要旨> 請求人は、消費税法第12条の2《新設法人の納税義務の免除の特例》第1項に規定する「事業年度開始の日における資本金の額又は出資の金額」について、消費税法に定義規定が置かれていないから会社計算規則第30条《資本金の額》第1項の規定を借用すべきであり、これを借用すると信用を出資の目的とした出資(以下「信用出資」という。)は資本金概念に含まれないから、当該課税期間において消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)を納める義務はない旨主張する。

しかしながら、関係法令の規定からすると、請求人が受け入れた信用出資は消費税法第12条の2第1項に規定する「出資の金額」に該当するものと解され、当該信用出資の額は1千万円以上であることから、請求人は当該課税期間において消費税等を納める義務を免除されない。

★リンクはこちら ⇒ 信用を出資の目的とした出資の額は消費税法上の出資の金額に含まれ、請求人は消費税法上の新設法人に該当するため消費税等を納める義務が免除されないとした事例

2018年3月29日


請求人が合衆国軍隊と請求人との間に介在する米国法人と行った取引が日米地位協定の所得税等特例法に規定する免税取引には該当しないとした事例 Edit

  • 平成23年4月1日から平成27年3月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分 →棄却
  • 平成28年12月20日裁決

<ポイント> 本事例は、請求人が合衆国軍隊と請求人との間に介在する米国法人と行った取引について、日米地位協定の所得税等特例法及びそれを受けた所得税等特例法施行令に定める免税証明書の保存要件を満たしていないことから、所得税等特例法に規定する免税取引には該当しないとしたものである。

<要旨> 請求人は、請求人とアメリカ合衆国(合衆国)軍隊の調達機関との間に合衆国の法人(本件米国法人)が介在する商品販売取引(本件取引)について、本件米国法人は合衆国軍隊の公認調達機関であり、合衆国軍隊の権限ある官憲の発給する免税証明書(本件免税証明書)が発給されたのであるから、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律(日米地位協定の所得税等特例法)第7条《消費税法の特例》第1項が適用され、消費税及び地方消費税が免除される旨主張する。

しかしながら、同条第2項では、同条第1項の適用を受けるには政令で定めるところによる証明が必要である旨規定し、その委任を受けた日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律施行令第2条《消費税の免税手続》では、事業者が、同条に規定する免税証明書を日米地位協定の所得税等特例法第7条第1項の免税取引を行った日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間、所定の方法で保存することを手続要件としているところ、本件免税証明書は審査請求後に発給されたものであり、本件取引においては、免税証明書の保存要件を満たしていないから、日米地位協定の所得税等特例法第7条第1項の適用を受けることはできない。

★リンクはこちら ⇒ 請求人が合衆国軍隊と請求人との間に介在する米国法人と行った取引が日米地位協定の所得税等特例法に規定する免税取引には該当しないとした事例

2017年11月30日

請求人が所有する物件の賃貸借に係る契約において、賃借人が当該物件を住宅として転貸することが契約書その他において明らかであるとした事例 Edit

  • 平成26年1月1日から平成26年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分 →棄却
  • 平成28年9月7日裁決

<ポイント> 本事例は、消費税法上、非課税とされる住宅の貸付け(消費税法別表第一第13号)には、住宅が転貸借及び再転貸借される場合も含まれると判断したものである。

<要旨> 請求人は、消費税法基本通達6-13-7《転貸する場合の取扱い》(本件通達)が想定するのは転貸借取引のみであるところ、請求人が不動産販売会社(本件会社)から取得した物件(本物件)を本件会社に賃貸する取引(本件賃貸借取引)は、その契約(本件賃貸借契約)の内容からすれば、本物件が再転貸借されること及び本物件に実際に居住することができない法人が再転貸人になることが想定されているから、本件通達適用の前提を欠いており、また、仮に本件通達適用の余地があるとしても、本件賃貸借契約等において、本件会社が本物件を実際に人の居住の用に供することが明らかでないなどとして、本件賃貸借取引は、非課税取引である「住宅の貸付け」には該当しない旨主張する。

しかしながら、「住宅の貸付け」が非課税とされる趣旨は、住宅の貸付けを行う事業者が賃借人に対し、消費税相当額を転嫁しないことにより、住宅賃借人を政策的に保護することにあるものと解され、消費税法第6条《非課税》に規定する別表第一第13号に掲げる「住宅の貸付け」は、「当該貸付けに係る契約において人の居住の用に供することが明らかにされているものに限る」と規定されていることからすれば、本件通達の適用範囲を限定しようとする請求人の主張に合理性は認められず、また、本物件に係る本件会社との売買契約書及び賃貸借契約書の記載内容、本件賃貸借契約締結時の請求人に対する本件会社の社員の説明などからすれば、本件賃貸借契約における賃借人である本件会社が本物件を住宅(人の居住の用に供する家屋等)として転貸することが契約書その他において明らかであるから、本件賃貸借取引は「住宅の貸付け」に該当し、その全額が非課税取引となる。

★リンクはこちら ⇒ 請求人が所有する物件の賃貸借に係る契約において、賃借人が当該物件を住宅として転貸することが契約書その他において明らかであるとした事例

2017年10月3日

いわゆる「消費者向け電気通信利用役務の提供」を受けた場合の仕入税額控除

<照会要旨> 当社は、国外事業者からインターネットを介して電子書籍を購入した。この取引は、「事業者向け電気通信利用役務の提供」には該当せず、いわゆる「消費者向け電気通信利用役務の提供」()に該当するものであるが、仕入税額控除をすることができるか。 ()「電気通信利用役務の提供」のうち、「事業者向け電気通信利用役務の提供」に該当しないものを、ここでは便宜的に「消費者向け電気通信利用役務の提供」という。

<回答要旨> 事業者が、国内において行った課税仕入れのうち、国外事業者から受けた、いわゆる「消費者向け電気通信利用役務の提供」については、当分の間、仕入税額控除の適用は認められていない。

ただし、「登録国外事業者」から受けた「消費者向け電気通信利用役務の提供」については、帳簿及び請求書等の保存など、一定の要件を満たす場合には、仕入税額控除の適用が認められる。 この場合、他の課税仕入れの要件に加えて、帳簿については「登録国外事業者」に付された「登録番号」、請求書等については「登録番号」と「当該役務の提供を行った事業者において消費税を納める義務があること」の記載が要件とされている。

【消費者向け電気通信利用役務の提供」に係る請求書等の記載事項 】

  • 書類の作成者の氏名または名称及び登録番号
  • 課税資産の譲渡等を行った年月日(課税期間の範囲内で一定の期間内に行った課税資産の譲渡等につきまとめて当該書類を作成する場合には、当該一定の期間)
  • 課税資産の譲渡等に係る資産または役務の内容
  • 課税資産の譲渡等の対価の額(当該課税資産の譲渡等に係る消費税額及び地方消費税額に相当する額がある場合には、当該相当する額を含む。)
  • 書類の交付を受ける当該事業者の氏名または名称
  • 課税資産の譲渡等を行った者が消費税を納める義務がある旨

太字が、他の課税仕入れに係る請求書等の記載事項と異なる部分である。

なお、その取引の性質に鑑み、取引相手から交付される請求書等の保存については、紙によるものに代えて、法令に規定された記載事項を満たした電子的な請求書等の保存によることができることとされている。

また、「登録国外事業者」は、その消費者向け電気通信利用役務の提供を受ける事業者の求めに応じ、必要な事項が記載された請求書等を交付する義務が課されている。

おって、国外事業者が「登録国外事業者」に該当するかどうかは、当該事業者の氏名または名称、登録番号及び登録年月日等について、国税庁ホームページで公表しているので、国税庁ホームページで確認することができる。

 ★リンクはこちら ⇒ いわゆる「消費者向け電気通信利用役務の提供」を受けた場合の仕入税額控除

2016年3月7日

特定課税仕入れがある場合の課税売上割合の計算

<照会要旨> 特定課税仕入れがある場合の課税売上割合の計算は、どのように行うのか。

<回答要旨> 国外事業者から受けた「事業者向け電気通信利用役務の提供」については、「特定課税仕入れ」として役務の提供を受けた国内事業者に納税義務が課されている。

課税売上割合の計算は、原則として、事業者の資産の譲渡等及び課税資産の譲渡等の対価の額により計算するので、「事業者向け電気通信利用役務の提供」を受けた事業者の課税売上割合の計算においては、その事業者の資産の譲渡等及び課税資産の譲渡等ではない「特定課税仕入れ」に係る金額は考慮する必要はなく、その金額は、分母にも分子にも算入しないで計算する。

また、「事業者向け電気通信利用役務の提供」を行った国外事業者の課税売上割合の計算においても、資産の譲渡等及び課税資産の譲渡等からは「特定資産の譲渡等」(事業者向け電気通信利用役務の提供)が除かれているので、特定資産の譲渡等に係る金額は、分母にも分子にも算入しないで計算する。

 ★リンクはこちら ⇒ 特定課税仕入れがある場合の課税売上割合の計算

2016年3月3日

免税事業者からの特定課税仕入れ

<照会要旨> 当社は、当課税期間について簡易課税制度の適用がなく、課税売上割合も95%未満の事業者である。 このたび、国外の免税事業者にインターネットによる広告配信を依頼したが、免税事業者からの特定課税仕入れ(事業者向け電気通信利用役務の提供)についても、リバースチャージ方式により申告を行う必要があるのか。

<回答要旨> 国外事業者から受けた「事業者向け電気通信利用役務の提供」については、「特定課税仕入れ」として役務の提供を受けた国内事業者に納税義務が課されており、いわゆるリバースチャージ方式により消費税の申告をする必要がある。

ところで、「特定課税仕入れ」とは、課税仕入れのうち事業として他の者から受けた「事業者向け電気通信利用役務の提供」をいうこととされており、その提供者が免税事業者であっても、提供される役務が「事業者向け電気通信利用役務の提供」に該当するのであれば、「特定課税仕入れ」として役務の提供を受けた事業者に納税義務が課される。

したがって、ご質問のように当課税期間に簡易課税制度の適用がなく、課税売上割合が95%未満であれば、リバースチャージ方式による申告が必要である。

 ★リンクはこちら ⇒ 免税事業者からの特定課税仕入れ

2016年3月1日

リバースチャージ方式による申告を要する者

<照会要旨> 国外事業者から「事業者向け電気通信利用役務の提供」を受けた場合、リバースチャージ方式により消費税の申告をする必要があるのは、どのような者なのか。

<回答要旨> 国外事業者から受けた「事業者向け電気通信利用役務の提供」については、「特定課税仕入れ」として役務の提供を受けた国内事業者に納税義務が課されており、いわゆるリバースチャージ方式により消費税の申告をする必要がある。

また、特定課税仕入れは、他の課税仕入れと同様に、役務の提供を受けた事業者において仕入税額控除の対象となる。 ただし、国外事業者から「事業者向け電気通信利用役務の提供」を受けた場合であっても、役務の提供を受けた事業者の、

  • 一般課税で、かつ、課税売上割合が95%以上の課税期
  • 簡易課税制度が適用される課税期間

については、当分の間、「事業者向け電気通信利用役務の提供」(特定課税仕入れ)はなかったものとされるので、「特定課税仕入れ」として申告する必要はなく、また仕入税額控除の対象にもならない。

したがって、リバースチャージ方式により申告をする必要があるのは、一般課税により申告を行う事業者で、その課税期間の課税売上割合が95%未満の事業者に限られる。

(注) 平成27年10月1日以降に、国境を越えて行われるデジタルコンテンツの配信等の役務の提供に係る消費税の課税関係については、見直しが行われている。 詳しくは、「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し等について」を参照のこと。

 ★リンクはこちら ⇒ リバースチャージ方式による申告を要する者

2016年2月26日

特定課税仕入れがある場合の納税義務の判定

<照会要旨> 当社は、国内に本店を有する法人だが、当課税期間に国外事業者から「特定課税仕入れ」である「事業者向け電気通信利用役務の提供」を受けた。 また、当課税期間は一般課税で課税売上割合も95%未満なので、特定課税仕入れに係る支払対価の額を課税標準として申告を行う。 この場合に、翌々課税期間の納税義務の判定を行う際の基準期間における課税売上高に、特定課税仕入れに係る支払対価の額は含まれるのか。

<回答要旨> 納税義務の判定は、その事業者が行った課税資産の譲渡等の対価の額から計算した「課税売上高」により判定することとされている。 「特定課税仕入れ」は、その事業者の仕入れであって、課税資産の譲渡等ではないので、「特定課税仕入れ」に係る支払対価の額を課税標準として消費税の申告・納税を行っていたとしても、納税義務の判定や簡易課税制度が適用されるか否かの判定における課税売上高には、特定課税仕入れに係る支払対価の額は含まれない。

 ★リンクはこちら ⇒ 特定課税仕入れがある場合の納税義務の判定

2016年2月24日

消費税の複数税率(軽減税率)について(日本税理士会連合会会長コメント)

 日本税理士会連合会会長が、消費税の複数税率(軽減税率)について、以下のコメントを出しているが、僕自身も同感である。

消費税の複数税率については、平成27年度の与党税制改正大綱に「関係事業者を含む国民の理解を得た上で税率10%時に導入する」と記載され、先般、安倍首相から自民党税制調査会の会長に対し、商工業者への配慮をしつつ、平成29年4月の消費税率引き上げ時に軽減税率を導入する方向で検討するようにとの指示がありました。これを受け、与党税制協議会では、具体的な対象品目、区分経理及び財源等について検討が進められています。 消費税率の引き上げは、少子化・高齢化の進展に伴う社会保障費の増加に対応する財源について、現役世代にこれ以上の負担は求められないこと等から決定されたものであり、消費税の制度設計にあたっては、慎重な検討が必要です。 日本税理士会連合会では、対象品目の公平な選定や区分経理の方法が困難であること、事業者の事務負担が増加すること、低所得者対策としては非効率であること、財政再建が損なわれ社会保障給付の抑制が必要となること、簡易課税制度が複雑な制度となってしまうこと等の観点から、かねてより、税制改正建議書において単一税率制度を維持すべきことを強く主張し、低所得者対策としては給付付き税額控除制度の導入を検討するよう求めてきました。 複数税率の導入は、「単一税率は、公平・中立・簡素で、かつ広く薄くという消費税の長所」を後退させます。その結果、納税義務を負う事業者は、今まで以上に複雑な事務処理を要することになり、特に中小・小規模事業者は、これらの事務負担だけでなく、複数税率に対応するための人件費など、過度なコスト負担も強いられることになります。また、行政コストも増加します。 日本税理士会連合会では、今後も、税務の専門家団体として、消費税の複数税率制度が内包する欠陥や実現した場合に発生する問題点を明らかにしつつ、消費税制を含めたあるべき税制の全体像について意見表明を行ってまいります。

2015年11月27日

公正取引委員会及び中小企業庁が実施する「消費税の転嫁拒否等に関する調査」における調査票の送付

今般の消費税率の引上げに伴う消費税の円滑かつ適正な転嫁については、政府全体で取り組むこととしている。 この取組の一環として、公正取引委員会及び中小企業庁では、商品または役務(サービス)を供給している事業者が、取引先事業者から消費税の転嫁拒否等の法律上問題となる行為を受けていないかの実態を把握し、問題のある行為の是正につなげるため、「消費税の転嫁拒否等に関する調査」を実施している。

この度、公正取引委員会及び中小企業庁から、事業者の皆様から幅広く情報を収集するため、消費税転嫁対策特別措置法第16条第2項に基づき、調査票の送付について国税庁に協力依頼があった。 この協力依頼に応じて、以下のスケジュールにて調査票を税務署から送付することを予定している。

  • 皆様の個人情報等について税務署から公正取引委員会及び中小企業庁には一切提供していない。
  • 回答用紙の回答者氏名欄等の記載は、任意となっている。
  • 幅広く情報を収集するため、昨年度送付した方についても改めて送付している。

<調査票送付予定日>

 税務署  調査票送付予定日
東京国税局・大阪国税局・福岡国税局・熊本国税局・沖縄国税事務所管内の税務署 平成27年10月20日(火)及び10月27日(火)
札幌国税局・仙台国税局・関東信越国税局・金沢国税局・名古屋国税局・広島国税局・高松国税局管内の税務署 平成27年11月16日(月)及び11月24日(火)

本書面調査に関して御不明な点等があれば、公正取引委員会及び中小企業庁が設置している「照会センター」(0570-783-731)に問い合わせること。

個人的には、なぜ有料ダイヤルなのか疑問である。

 ★リンクはこちら ⇒ 公正取引委員会及び中小企業庁が実施する「消費税の転嫁拒否等に関する調査」における調査票の送付

2015年10月20日

請求人が行った建物のリース取引に係る課税仕入れの用途区分については、共通用に区分するのが相当であると認定した事例

①平22.9.1~平23.8.31の課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分 ②平23.9.1~平24.8.31の課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分 ①一部取消し 却下 ②棄却 却下 平成26年12月10日裁決

<ポイント> 本事例は、請求人が賃借する建物の賃貸借契約に係る取引は、法人税法上売買があったものとされるリース取引に該当し、当該リース取引に係る課税仕入れの用途区分は、非課税用ではなく共通用に該当するとして、原処分の一部を取り消したものである。

<要旨> 原処分庁は、請求人が締結した有料老人ホーム(本件物件)の賃貸借契約については、法人税法上売買があったものとされるリース取引に該当するところ、本件物件は、入居者が生活を営む場所及び日常生活を送る上で必要不可欠な場所で構成されており、その全体が住宅に該当することから、本件物件に係る課税仕入れの用途区分は、個別対応方式の計算上、非課税売上げのみに要するものに該当する旨主張する。

しかしながら、本件物件においては、入居者に対して、非課税売上げである居住スペースの貸付け及び介護サービスの提供だけでなく、課税売上げである居室清掃や洗濯等の各種サービスの提供が予定されていた上、実際にこれらの売上げに必要な設備を備えていたことが認められるから、本件物件に係る課税仕入れの用途区分は、個別対応方式の計算上、課税売上げと非課税売上げに共通して要する課税仕入れに該当する。

 ★リンクはこちら ⇒ 「請求人が行った建物のリース取引に係る課税仕入れの用途区分については、共通用に区分するのが相当であると認定した事例

2015年9月14日

ケースで考える消費税率引上げ対策(改訂版)

この度、日本商工会議所は、消費税率引上げに伴う価格転嫁対策をわかりやすく解説した小冊子「ケースで考える消費税率引上げ対策」(改訂版)を発行した。 本小冊子は、消費税率10%への引上げが平成29年4月に延期されたことを踏まえ、作成したものである。

中小企業がさらなる税率引上げを乗り越えられるように、駆け込み需要とその反動減、物流の混雑等、今回の税率引上げ前後に発生した様々な影響を振り返るとともに、価格表示、新商品開発、資金繰り、消費税転嫁対策特別措置法への対応等、業種別のケーススタディを掲載し、わかりやすく解説している。

なお、本小冊子は、ホームページでダウンロードも可能であるし、各地商工会議所を通じて、全国の中小企業・小規模事業者へ無料で配布している。

 ★リンクはこちら ⇒ 「ケースで考える消費税率引上げ対策」(改訂版)

2015年8月4日

消費税法改正のお知らせ(平成27年4月)

国税庁は、「消費税法改正のお知らせ(平成27年4月)」をホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら ⇒ 消費税法改正のお知らせ(平成27年4月)

2015年6月8日

消費税転嫁拒否に関する主な違反事例

公正取引委員会はこのほど、パンフレット「消費税の転嫁拒否に関する主な違反事例」をホームページに掲載した。

今般の消費税率(8%・10%)の引上げに当たり、平成25年10月1日に、「消費税転嫁対策特別措置法」が施行されたが、パンフレットは、消費税転嫁対策特措法の施行以降の主な違反事例の概要紹介を通じて、事業者等に消費税の転嫁拒否等の行為に関する理解をより一層深めてもらうことを目的として作成したもの。

パンフレットはまず、平成26年4月1日以降に特定供給事業者(売手)から受ける商品または役務(サービス)の供給について、特定事業者(買手)が特定供給事業者(売手)に対して消費税の転嫁拒否等の行為を行う場合が規制対象となると説明。 禁止されている消費税の転嫁拒否等の行為として、『買いたたき』、『減額』、『商品購入、役務利用、利益提供の要請』、『本体価格での交渉の拒否』、『報復行為』の5類型を挙げている。 その上で、特定事業者(買手)が消費税の転嫁拒否等の行為を行った場合には、公取委等による調査が行われ、転嫁拒否による不利益の回復など必要な指導が行われ、また、重大な転嫁拒否等の行為を行った事業者に対しては、公取委が勧告を行い、事業者名等を公表することを明らかにしている。 そして、禁止されている消費税の転嫁拒否等の行為5類型についての違反事例を紹介しながら、分かりやすく解説している。

 ★リンクはこちら ⇒ 消費税転嫁拒否に関する主な違反事例

2015年5月18日

米軍基地内における資産の譲渡等は非課税取引に該当するとした事例

平22.5.1~平24.4.30の各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分 棄却 平成26年5月8日裁決

<要旨> 請求人は、在日米軍基地内の営業店舗におけるアメリカ合衆国軍隊の構成員等に対する物品の販売(本件米軍基地内取引)については、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(日米地位協定)第15条の規定により消費税法が適用されないから、消費税法上の「国内において行った資産の譲渡等」に該当せず、また、消費税法別表第一にも掲げられていないため、課税売上割合の計算において分母及び分子のいずれにも算入されない旨主張する。

しかしながら、消費税法第2条《定義》第1項第1号が「国内」を「この法律の施行地」と定義しており、在日米軍基地が日本の領土内にあることは明らかであるから、本件米軍基地内取引は、消費税法上の国内における資産の譲渡等に該当する。 そして、条約である日米地位協定は国内法である消費税法に優先して適用されることになるところ、本件米軍基地内取引は、日米地位協定第15条第2項前段に規定する諸機関による商品等の販売に該当し消費税が課されないが、本件米軍基地内取引に係る商品の購入については、同項後段の規定により消費税が課されることとなる。

ところで、仕入税額控除の制度は、多段階課税である消費税の累積を避けるため仕入れに含まれている消費税額を控除するという制度であるから、消費税が課されない売上げに対応する課税仕入れに係る消費税は本来的に仕入税額控除の対象とはなり得ないものであるところ、日米地位協定第15条第2項が「諸機関による商品及び需品の日本国内における購入」には日本の租税である消費税を課する旨規定していることからすると、本件米軍基地内取引は、消費税法における仕入税額控除に関する規定の適用上、同法別表第一に掲げられているか否かとは関わりなく、国内において行った資産の譲渡等には該当するものの、国内において行った課税資産の譲渡等には該当しないものと取り扱うのが相当であり、その対価の額は課税売上割合の計算において分母に算入され、かつ、分子に算入されないこととなる。

 ★リンクはこちら ⇒ 米軍基地内における資産の譲渡等は非課税取引に該当するとした事例

2015年4月27日

請求人が販売員に支払った金員は給与等に該当するとした事例

①平21.5.1~平23.4.30の各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分 ②平成20年1月~平成22年6月の各期間分の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分 棄却 平成26年2月17日裁決

<ポイント> 本事例は、百貨店の物産展において弁当の調理・販売を行っている請求人が、職業紹介事業者等を介して手配した各販売員(いわゆるマネキン)に支払った金員について、当該販売業務の具体的態様等に基づき、所得税法第28条第1項に規定する給与等に該当するとして、消費税の課税仕入れに係る支払対価の額に該当しないと判断したものである。

<要旨> 請求人は、マネキン紹介所等からの紹介に基づいて請求人に対する役務の提供を行った販売員(本件各販売員)に金員を支払っていたところ、当該金員に関して、イ.本件各販売員は販売のプロであること、ロ.販売業務に必要なエプロン等は本件各販売員が用意していたこと、ハ.本件各販売員は他者をして代わりに販売に当たらせることができること、ニ.請求人は業務委託契約を締結する意思であったこと等から、本件各販売員は業務委託契約に基づき役務の提供を行っていたのであり、請求人が本件各販売員に支払った金員は給与等に該当しない旨主張する。

しかしながら、給与等とは、雇用契約又はこれに類する原因に基づき、自己の危険と計算によることなく、使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付をいうものと解され、具体的には、受給者が①指揮監督を受けているかどうか、②時間的な拘束を受けているかどうか、③材料や用具等の供与を受けているかどうか、④自己の責任において他者を手配して役務の提供に当たらせることが認められるものではないかどうか等の事情を総合勘案して判断するのが相当であると解されるところ、販売業務を行う際に必要なエプロン等については請求人が用意したものでなかったことが認められるが、本件各販売員は、請求人の指揮監督を受けるとともに、時間的拘束を受け、役務の提供の代替が認められていなかったこと、さらに、本件各販売員の役務提供に至る経緯等を併せ考慮すれば、本件各販売員に支払われた金員は、いずれも雇用契約に基づき、自己の危険と計算によることなく、使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として支給されたものといえ、給与等に該当すると認められる。

 ★リンクはこちら ⇒ 請求人が販売員に支払った金員は給与等に該当するとした事例

2015年2月3日

平成26年の中間申告の方法と納付

中間申告は、以下の2つの方法のいずれかによることができる。

1.前年実績による中間申告 平成25年分の確定消費税額に応じて、以下により算出した中間納付税額を記載した「消費税及び地方消費税の中間申告書」及び「納付書」が所轄税務署から送付されるので、必要事項を記入の上、税務署に中間申告書を提出するとともに、納付書により消費税及び地方消費税を納付する。

平成25年分の確定消費税額(注) 中間申告・納付の回数 中間納付税額 申告・納付期限
48万円超 400万円以下 年1回 平成25年分の確定消費税額の12分の6の消費税額とその25%の地方消費税 平成26年9月1日(月) (振替納税利用の場合の振替日) 平成26年9月29日(月)
400万円超 4,800万円以下 年3回 平成25年分の確定消費税額の12分の3の消費税額とその25%の地方消費税 詳しくは、国税庁ホームページ(www.nta.go.jp)で確認のこと。
4,800万円超 年11回 平成25年分の確定消費税額の12分の1の消費税額とその25%の地方消費税

(注) 「確定消費税額」とは、中間申告対象期間末日までに確定した消費税の年税額(申告書⑨欄の差引税額)をいう。

2.仮決算に基づく中間申告 事業状況が平成25年と著しく異なる場合などは、「1.前年実績による中間申告」の方法に代えて、各中間申告対象期間を一課税期間とみなして仮決算を行い、これに基づいて計算した消費税額及び地方消費税額により中間申告・納付ができる。 なお、この計算によりマイナスとなった場合でも還付を受けることはできない(この場合、中間申告税額は「0」になる。)。 また、仮決算による中間申告書は、提出期限を過ぎて提出することはできない。 中間申告の期限までに、中間申告書を提出しない場合でも、上記「1.前年実績による中間申告」の消費税額及び地方消費税額が納付すべき税額として確定するので、納付期限までに必ず納付すること。

  • 消費税及び地方消費税の中間申告は、「e-Tax(国税電子申告・納税システム)」を利用できる。
  • 詳しくは、e-Taxホームページ(www.e-tax.nta.go.jp)を見ること。
  • 消費税及び地方消費税(個人事業者)の納税には、振替納税が便利である。
  • 振替納税を利用するために必要な振替依頼書は、国税庁ホームページから入手できる。

2014年9月2日

平成26年に消費税及び地方消費税の中間申告と納付が必要な個人事業者

個人事業者の方で、平成25年分の確定消費税額(地方消費税額は含まない。)が48万円を超える方は、消費税及び地方消費税の中間申告と納付が必要である。

この「平成25年分の確定消費税額」とは、平成25年分の確定申告により確定した消費税の年税額をいい、期限後申告または修正申告等が行われた場合には、これらによって確定した消費税の年税額をいう。

2014年9月1日

平成26年4月1日以後終了する課税期間分の消費税及び地方消費税の申告書・添付書類

国税庁は、平成26年4月1日以後終了する課税期間分の消費税及び地方消費税の確定申告書及び添付書類の様式等をホームベージに掲載した。

★リンクはこちら⇒ 平成26年4月1日以後終了する課税期間分の消費税及び地方消費税の申告書・添付書類

2014年3月20日

消費税法改正への対応

日本政策金融公庫は、トピックとして「消費税法改正への対応」を公表した。

2014年4月1日からの消費税増税に備え、事業者が心得ておくべきポイントを分かりやすく紹介している。

★リンクはこちら⇒ 消費税法改正への対応(既に削除済み)

2014年3月17日

会社員が自宅に設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却

【照会要旨】 会社員が自宅に太陽光発電設備を設置し、いわゆる太陽光発電による固定価格買取制度に基づき、その余剰電力を電力会社に売却している場合、課税の対象となるのか。

【回答要旨】 余剰電力の買取りは、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」に基づき、太陽光発電による電気が太陽光発電設備が設置された施設等において消費された電気を上回る量の発電をした際、その上回る部分が当該施設等に接続されている配電線に逆流し、これを一般電気事業者である電力会社が一定期間買い取ることとされているものである。 消費税の課税対象となる取引は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等であり、個人事業者が生活の用に供している資産を譲渡する場合の当該譲渡は課税対象とならないが、会社員が行う取引であっても、反復、継続、独立して行われるものであれば、課税対象となる。 余剰電力の売却は、会社員が事業の用に供することなく、生活の用に供するために設置した太陽光発電設備から生じた電気のうち、使い切れずに余った場合に当該余剰電力を電力会社に売却しているものであって、これは消費者が生活用資産(非事業用資産)の譲渡を行っているものであることから、消費税法上の「事業として」の資産の譲渡には該当しない。 したがって、事業者ではない者が生活の用に供するために設置した太陽光発電設備から生じた余剰電力の売却は、課税の対象とならない。

(注) 会社員が自宅で行う太陽光発電であっても、平成24年7月以降、一定規模以上の太陽光発電設備により発電が行われる場合には、その送電された電気の全量について電力会社に売却することが可能とされている(全量売電)。 会社員が行うこの全量売電は、電力会社との間で太陽光発電設備により発電した電気の全量を売却する旨の契約を締結し、その発電した電気を生活の用に供することなく数年間にわたって電力会社に売却するものであることから、会社員が反復、継続、独立して行う取引に該当し、課税の対象となる。

★リンクはこちら⇒ 会社員が自宅に設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却

2014年3月4日

中小企業・小規模事業者のための消費税の転嫁万全対策マニュアル

平成26年4月1日の消費税率引上げに際し、消費税を円滑かつ適正に転嫁できるかどうかは、事業を行う方々、 とりわけ中小企業・小規模事業者にとって最大の懸案事項の一つである。 このため、消費者や取引先への消費税の転嫁を円滑かつ適正に進めることを目的として、 「買いたたき」や「減額」などの行為を禁止する「消費税転嫁対策特別措置法」が制定され、平成25年10月1日に施行された。

中小企業庁は、中小企業・小規模事業者をはじめとする事業者の方々に対して、 本法における規制や実務等の内容を分かりやすく解説したパンフレットを作成した。 このパンフレットは、経済産業省・中小企業庁のホームページで公表するほか、中小企業庁・各経済産業局、 各地域の商工会・商工会議所・中小企業団体中央会・商店街振興組合連合会に配布しているので、 冊子を希望の方は最寄りの窓口に問い合わせのこと。

★リンクはこちら⇒ 中小企業・小規模事業者のための消費税の転嫁万全対策マニュアル

2014年1月29日

改正消費税法に関するQ&A(平成25年11月11日Q9追加)

公益社団法人リース事業協会が、改正消費税法に関するQ&Aを出しているが、平成25年11月11日にQ9(第三者保証が付されたリース取引)を追加した。

Q9 第三者保証が付されたリース取引(平成20年4月1日以後のリース取引)について、改正消費税法の経過措置の適用関係(借手・貸手)を教えてください。

A9 消費税の取扱いとしては、当該取引に対して、資産の譲渡等を受ける側借手)の認識にかかわらず、資産の譲渡等を行う側(貸手)の消費税率が適用される。 これにより、貸手側がファイナンス・リース取引として認識する場合は、借受日が改正法施行日前(平成26年3月31日まで)の場合は旧税率(5%)、改正法施行後(平成26年4月1日以降)の場合は新税率(8%)が適用される。この適用関係は、借手が分割控除した場合も同じ取扱いとなる。 また、貸手側がオペレーティング・リース取引として認識し、経過措置の要件を満たした場合は、経過措置の適用により借受日の税率が適用される。一方、経過措置の要件を満たさない場合は、改正法施行後のリース料については新税率(8%)が適用される。 このようなことから、借手は貸手の請求書に基づき適用される消費税率を確認して課税仕入れの計算をする必要がある。

★リンクはこちら⇒ 改正消費税法に関するQ&A(平成25年11月11日Q9追加)(既に削除済み)

<2014年3月31日 Q10~12追加>

★リンクはこちら⇒ 改正消費税法に関するQ&A(平成26年3月31日Q10~12追加)

2014年1月8日

小冊子「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のために」

内閣官房、内閣府、公正取引委員会、消費者庁、財務省は、小冊子「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のために」を発行した。

内容は以下のとおり。

  • 消費税率引上げの趣旨・消費税の性格
  • 転嫁拒否等の行為の是正
  • 転嫁を阻害する表示の是正
  • 総額表示義務の特例
  • 総額表示に係る景品表示法の適用除外
  • 転嫁カルテル・表示カルテルの独占禁止法適用除外
  • 便乗値上げ

★リンクはこちら⇒ 小冊子「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のために」(既に削除済み)

2013年11月15日

小冊子「消費税率引上げ対策早わかりハンドブック」

この度、日本商工会議所では、消費税率引上げに伴う価格転嫁対策をわかりやすく解説した小冊子「消費税率引上げ対策早わかりハンドブック」を発行した。

本ハンドブックは、中小企業・小規模事業者が、消費税率引上げを乗り切ることができるように、収益確保策、資金繰り、社内体制の整備、経理処理、本年10月1日に施行された消費税転嫁対策特別措置法の活用等について、ポイントを絞り、わかりやすく解説していることが特徴である。

なお、本小冊子は、各地商工会議所を通じて、全国の中小企業・小規模事業者へ無料配布する。

★リンクはこちら⇒ 小冊子「消費税率引上げ対策早わかりハンドブック」

2013年10月23日

中小企業・小規模事業者のための消費税の手引き

平成26年4月1日の消費税率引上げに際し、消費税を円滑かつ適正に転嫁できるかどうかは、事業を行う方々、 とりわけ中小企業・小規模事業者にとって最大の懸案事項の一つである。 このため、消費者や取引先への消費税の転嫁を円滑かつ適正に進めることを目的として、 「買いたたき」や「減額」などの行為を禁止する「消費税転嫁対策特別措置法」が制定され、平成25年10月1日に施行された。

この度、中小企業庁は、中小企業・小規模事業者をはじめとする事業者の方々に対して、 本法の内容を周知・普及するため、本法の内容を分かりやすく解説したパンフレットを作成した。 本パンフレットは、経済産業省・中小企業庁のホームページで公表する他、中小企業庁・各経済産業局、 各地域の商工会・商工会議所・中小企業団体中央会・商店街振興組合連合会に配布しているので、 冊子を御希望の方は最寄りの窓口にお問い合わせのこと。

★リンクはこちら⇒ 中小企業・小規模事業者のための消費税の手引き

2013年10月18日

消費税率及び地方消費税率の引上げとそれに伴う対応について」(平成25年10月1日閣議決定)の概要

<冒頭>

  • 消費税率(国・地方)を平成26年4月1日に5%から8%へ引き上げることを確認する。
  • 消費税率の引上げによる反動減を緩和し、景気の下振れリスクに対応するとともに、その後の経済の成長力の底上げと好循環の実現を図り、持続的な経済成長につなげるため、経済政策パッケージを決定。

<消費税率引上げにあたっての対応> 消費税率の引上げにあたっては、税収増を社会保障の充実・安定化に充てるのみならず、デフレ脱却と経済再生に向けた取組みを更に強化するため、以下の(1)~(7)を「経済政策パッケージ」として取り組む。 (1)成長力底上げのための政策 ①成長戦略関連施策の当面の実行方針 ②投資減税措置等

  • 設備投資減税・研究開発減税、事業再編促進税制、ベンチャーファンドへの投資を促す税制等について、所要の措置を講ずる。

(2)「政・労・使」の連携による経済の好循環の実現

  • 企業収益の拡大が賃金上昇や雇用拡大による消費拡大・投資増加につながる好循環を実現するため、政府は、9月20日に立ち上げた「経済の好循環実現に向けた政労使会議」等において取組を進める。
  • 所得拡大促進税制について、企業による賃金引上げの取組を強力に促進するため、拡充を行う。
  • 足元の経済成長を賃金上昇につなげることを前提に、復興特別法人税の一年前倒しでの廃止について検討する。その検討にあたっては、税収の動向などを見極めて復興特別法人税に代わる復興財源を確保すること、国民の理解、なかでも被災地の方々の十分な理解を得ること、及び復興特別法人税の廃止を確実に賃金上昇につなげられる方策と見通しを確認すること等を踏まえたうえで、12月中に結論を得る。

(3)新たな経済対策の策定

  • 消費税率引上げに伴う駆け込み需要とその反動減を緩和し、景気の下振れリスクに対応するとともに、その後の経済の成長力を底上げして成長軌道に早期に復帰できるよう、反動減等に対応した給付措置(後述)と合わせて、新たな経済対策を策定する。
  • 来年度4~6月期に見込まれる反動減を大きく上回る5兆円規模とし、3%の消費税率引上げによる影響を大幅に緩和するとともに、経済の成長力の底上げ、成長軌道への早期の復帰に対応。
  • その中で、 ・競争力強化策(中小企業に重点を置いた投資補助金などの設備投資支援策、エネルギーコスト対策、東京オリンピックへの対応などの交通・物流ネットワークの整備、競争力強化・イノベーションにつながる重点課題の研究開発、地域活性化のための農業の6次産業化の推進など) ・高齢者・女性・若者向け施策(簡素な給付措置の加算措置、若者や女性を含めた雇用拡大・賃上げ促進のための措置、子育て支援など) ・復興、防災・安全対策の加速(被災地の災害復旧、学校施設の耐震化、地域経済に配慮した社会資本の老朽化対策など。復興事業については、復興特別法人税を減税する場合には復興財源を補填。) などを措置すべく、今後、来年度予算と併せて具体化し、景気や税収の動向を見極めた上で、12月上旬に新たな経済対策として策定する。
  • その上で、これらの施策を実行するための平成25年度補正予算を、来年度予算と併せて編成する。
  • また、来年度予算においても、経済成長に資する施策に重点化する。

(4)簡素な給付措置 : 市町村民税非課税者2,400万人に1万円支給。老齢基礎年金(65歳以上)の受給者等に5,000円を加算。

(5)住宅取得等に係る給付措置(給与収入約500万円以下の住宅購入者に10~30万円給付。 被災地は標準的な負担増加額を給付。)、車体課税の見直し

(6)転嫁対策:消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保するため、実効性ある対策を推進。

(7)復興の加速等(再掲):①新たな経済対策の中で復旧・復興の加速に取り組み、平成25年度補正予算及び平成26年度当初予算で予算措置を講じる。②その対策の中で、復興特別法人税を廃止する場合は復興財源を補填する。③被災者の住宅再建に係る給付措置を行う。

★リンクはこちら⇒ 「消費税率及び地方消費税率の引上げとそれに伴う対応について」(平成25年10月1日閣議決定)の概要

2013年10月10日

消費税転嫁対策室

平成26年4月1日に予定される消費税率の引上げに際し、消費税を円滑かつ適正に転嫁できるかどうかは、事業を行う方にとって最大の懸念事項の一つである。

このため、経済産業省は、2013年10月2日で「消費税転嫁対策室」を設置し、消費税の転嫁に係る取引上の悩み等に関し、電話で、または直接会って相談できる体制を整備した。

★リンクはこちら⇒ 「消費税転嫁対策室」を設置しました

2013年10月7日

消費税転嫁対策特別措置法のガイドライン

平成25年10月1日から施行される消費税転嫁対策特別措置法の円滑な施行に向けて,法運用の透明性の確保や事業者の予見可能性を高めること等を目的として、公正取引委員会、消費者庁及び財務省は,同法のガイドラインを策定することとし、同年7月25日にガイドライン(原案)を公表し、同年8月23日を期限として関係各方面から広く意見を求めた。 今回の意見募集では関係各方面から多くの意見が寄せられ、提出された意見について担当省庁において慎重に検討した結果、「消費税の転嫁を阻害する行為等に関する消費税転嫁対策特別措置法、独占禁止法及び下請法上の考え方(案)」、「消費税の転嫁を阻害する表示に関する考え方(案)」及び「総額表示義務に関する特例の適用を受けるために必要となる誤認防止措置に関する考え方(案)」については一部を修正した上で、また、「総額表示義務に関する消費税法の特例に係る不当景品類及び不当表示防止法の適用除外についての考え方(案)」については原案どおりガイドラインを公表することとした。

各ガイドラインの,担当省庁は以下のとおり。

消費税の転嫁を阻害する行為等に関する消費税転嫁対策特別措置法、独占禁止法及び下請法上の考え方 公正取引委員会
消費税の転嫁を阻害する表示に関する考え方 消費者庁
総額表示義務に関する特例の適用を受けるために必要となる誤認防止措置に関する考え方 財務省
総額表示義務に関する消費税法の特例に係る不当景品類及び不当表示防止法の適用除外についての考え方 消費者庁

★リンクはこちら⇒ (平成25年9月10日)消費税転嫁対策特別措置法のガイドラインの公表について(既に削除済み)

2013年9月13日

消費税のあらまし(平成25年6月)

国税庁は、先日、消費税のあらまし(平成25年6月)を公表した。

リンクはこちら⇒ 消費税のあらまし

2013年7月25日

国、地方公共団体や公共・公益法人等と消費税(平成25年6月)

国税庁から、国、地方公共団体や公共・公益法人等と消費税(平成25年6月)が公表された。

リンクはこちら⇒ 国、地方公共団体や公共・公益法人等と消費税(平成25年6月)

2013年7月16日

消費税の転嫁対策特別措置法5つのポイント

この度、日本商工会議所は、2013年6月5日に国会で成立した消費税転嫁対策特別措置法の概要について解説した小冊子「消費税の転嫁対策特別措置法5つのポイント」を作成した。 図表などをまじえ、分かりやすく解説している。

本小冊子は、各地商工会議所を通じて、全国の中小企業・小規模事業者へ配布される。

リンクはこちら⇒ 消費税の転嫁対策特別措置法5つのポイント

2013年7月12日

通信販売等の税率等に関する経過措置

通信販売(不特定かつ多数の者に商品の内容、販売価格その他の条件を提示し、郵便、電話その他の方法により売買契約の申込みを受けて当該提示した条件に従って行う商品の販売をいい、予約販売に係る書籍等の税率等に関する経過措置に規定する契約に係る販売を除く。)の方法により商品を販売する事業者が、指定日前にその販売価格等の条件を提示し、または提示する準備を完了した場合において、施行日前に申込みを受け、提示した条件に従って施行日以後に商品を販売するときは、その商品の販売については旧税率が適用される。

2013年6月28日

予約販売に係る書籍等の税率等に関する経過措置

事業者が、指定日前に締結した不特定かつ多数の者に対する定期継続供給契約に基づき譲渡する書籍その他の物品に係る対価の全部または一部を施行日前に領収している場合において、その書籍等の譲渡を施行日以後に行うときは、その領収した対価に係る部分の書籍等の譲渡については旧税率が適用される。

2013年6月24日

指定役務の提供の税率等に関する経過措置

平成8年10月1日から指定日の前日(平成25年9月30日)までの間に締結した役務の提供に係る契約で、その契約の性質上、当該役務の提供の時期をあらかじめ定めることができないものであって、当該役務の提供に先立って対価の全部または一部が分割して支払われる契約(割賦販売法第2条第6項に規定する前払式特定取引に係る契約のうち、同項に規定する指定役務の提供に係るもの)に基づき、施行日以後に当該契約に係る役務の提供を行う場合において、当該役務の内容が以下の①及び②に掲げる要件に該当するときは、当該役務の提供については、旧税率が適用される。

ただし、指定日以後において当該役務の提供の対価の額の変更が行われた場合は、この経過措置は適用されない。

①当該契約に係る役務の提供の対価の額が定められていること ②事業者が事情の変更その他の理由により当該対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと

例えば、冠婚葬祭のための施設の提供その他の便宜の提供等に係る役務の提供などが挙げられる。

2013年6月21日

資産の貸付けに係る契約における「消費税率の改正があったときは改正後の税率による」旨の定め

資産の貸付けに関する税率等の経過措置に規定する経過措置の適用要件の1つとして、「対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと」が掲げられているが、「消費税率の改正があったときは改正後の税率による」旨の定めは、「事業者が事情の変更その他の理由により当該対価の額の変更を求めることができる旨の定め」に該当しないものとして取り扱われる。

したがって、資産の貸付けに係る契約において「消費税率の改正があったときは改正後の税率による」旨の定めがあったとしても、当該契約の内容が他の要件を満たす場合には経過措置が適用され、新税率が適用されないこととなるから、結果として、当該契約に定める「消費税率の改正があったとき」には該当しないこととなる。

なお、経過措置の対象となる資産の貸付けについて、当該資産の貸付けに係る契約における「消費税率の改正があったときは改正後の税率による」旨の定めに基づき、指定日以後に賃貸料を変更した場合には、変更後の資産の貸付けについては経過措置の対象とならない。

2013年6月19日

資産の貸付けの税率等に関する経過措置

平成8年10月1日から指定日の前日(平成25年9月30日)までの間に締結した資産の貸付けに係る契約に基づき、施行日前から引き続き当該契約に係る資産の貸付けを行っている場合において、当該契約の内容が以下の「①及び②」または「①及び③」に掲げる要件に該当するときは、施行日以後に行う当該資産の貸付けについては、旧税率が適用される。 ただし、指定日以後に当該資産の貸付けの対価の額の変更が行われた場合、当該変更後における当該資産の貸付けについては、この経過措置は適用されない。

当該契約に係る資産の貸付期間及びその期間中の対価の額が定められていること
事業者が事情の変更その他の理由により当該対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと
契約期間中に当事者の一方または双方がいつでも解約の申入れをすることができる旨の定めがないこと並びに当該貸付けに係る資産の取得に要した費用の額及び付随費用の額(利子または保険料の額を含む。)の合計額のうちに当該契約期間中に支払われる当該資産の貸付けの対価の額の合計額の占める割合が100分の90以上であるように当該契約において定められていること

なお、事業者が、この経過措置の適用を受けた課税資産の譲渡等を行った場合には、その相手方に対して当該課税資産の譲渡等がこの経過措置の適用を受けたものであることを書面で通知することとされている。

2013年6月17日

「建物の譲渡を受ける者の注文」の範囲

「建物の譲渡を受ける者の注文」とは、例えば、以下に掲げる区分に応じ、それぞれに掲げるものにつき付される注文をいう。

  • 建物の内装…畳、ふすま、障子、戸、扉、壁面、床面、天井等
  • 建物の外装…玄関、外壁面、屋根等
  • 建物の設備…電気設備、給排水または衛生設備及びガス設備、昇降機設備、冷房、暖房、通風またはボイラー設備等
  • 建物の構造…基礎、柱、壁、はり、階段、窓、床、間仕切り等

(注1)注文の内容、注文に係る規模の程度及び対価の額の多寡は問わない。 (注2)その注文が壁の色またはドアの形状等の建物の構造に直接影響を与えないものも含まれる。

2013年6月13日

「仕事の内容につき相手方の注文が付されていること」の範囲

「仕事の内容につき相手方の注文が付されている」契約とは、例えば、以下のような契約をいい、注文の内容、注文に係る規模の程度及び対価の額の多寡は問わない。

  1. 請負等の契約に係る目的物の仕様または規格等について相手方の指示が付されている場合のその契約
  2. 請負等の契約に係る目的物の原材料を相手方が支給することとされている場合のその契約
  3. 修理または加工等を目的とする請負等の契約

なお、具体的には、以下のようなものが該当する。

  • 名入アルバム、名入タオル、名入引出物の製作
  • カップ、トロフィーの名入
  • 絵画、工芸品等の修復
  • 肖像画、胸像等の製作
  • パック旅行の引受け
  • 結婚式、披露宴の引受け
  • インテリアの製作(カーテン、敷物の取付工事を含む。)
  • どん帳の製作
  • 服、ワイシャツ等の仕立て
  • 宝飾品の加工

2013年6月11日

工事の請負等に関する税率等の経過措置に規定する経過措置の適用対象となる契約

工事の請負等に関する税率等の経過措置に規定する経過措置の適用対象となる契約は、平成8年10月1日から指定日の前日(平成25年9月30日)までの間に締結した以下の契約である。

  1. 工事の請負に係る契約 日本標準産業分類(総務省)の大分類の建設業に分類される工事につき、その工事の完成を約し、かつ、それに対する対価を支払うことを約する契約をいう。
  2. 製造の請負に係る契約 日本標準産業分類(総務省)の大分類の製造業に分類される製造につき、その製造に係る目的物の完成を約し、かつ、それに対する対価を支払うことを約する契約をいう。 (注) 製造物品であっても、その製造がいわゆる「見込み生産」によるものは「製造の請負に係る契約」によって製造されたものにはならない。
  3. これらに類する契約 測量、地質調査、工事の施工に関する調査、企画、立案及び監理並びに設計、映画の制作、ソフトウエアの開発その他の請負に係る契約(委任その他の請負に類する契約を含む。)で、仕事の完成に長期間を要し、かつ、当該仕事の目的物の引渡しが一括して行われることとされているもののうち、当該契約に係る仕事の内容につき相手方の注文が付されているものをいう。 (注) 「仕事の内容につき相手方の注文が付されているもの」には、建物の譲渡に係る契約で、当該建物の内装もしくは外装または設備の設置もしくは構造についての当該建物の譲渡を受ける者の注文に応じて建築される建物に係るものも含まれる。

2013年6月10日

工事の請負等の税率等に関する経過措置

事業者が、平成8年10月1日から指定日の前日(平成25年9月30日)までの間に締結した工事の請負に係る契約、製造の請負に係る契約及びこれらに類する一定の契約に基づき、施行日以後に当該契約に係る課税資産の譲渡等を行う場合には、当該課税資産の譲渡等(指定日以後に当該契約に係る対価の額が増額された場合には、当該増額される前の対価の額に相当する部分に限る。)については、旧税率が適用される。

なお、事業者が、この経過措置の適用を受けた課税資産の譲渡等を行った場合には、その相手方に対して当該課税資産の譲渡等がこの経過措置の適用を受けたものであることを書面で通知することとされている。

2013年6月6日

施行日前にICカードに現金をチャージ(入金)し、施行日以後にそのICカードにより乗車券等を購入する等の場合の経過措置の適用

事業者が、旅客運賃、映画・演劇を催す場所等への入場料金を施行日前に領収している場合において、当該対価の領収に係る課税資産の譲渡等が施行日以後に行われるときは、当該課税資産の譲渡等については旧税率が適用される。

この「施行日前に領収している場合」とは、具体的には、乗車券等を施行日前に販売した場合をいう。

したがって、利用者によってICカードへ現金がチャージ(入金)された時点では、乗車券等の販売を行っていることとならないから、旅客運賃等の税率等に関する経過措置は適用されない。

2013年6月4日

旅客運賃、映画・演劇を催す場所等への入場料金の消費税率等に関する経過措置

事業者が、旅客運賃、映画・演劇を催す場所等への入場料金を施行日前に領収している場合において、当該対価の領収に係る課税資産の譲渡等が施行日以後に行われるときは、当該課税資産の譲渡等については、旧税率が適用される。

この経過措置の適用対象となる旅客運賃等の範囲は、以下のとおり。

  • 汽車、電車、乗合自動車、船舶又は航空機に係る旅客運賃(料金を含む。)
  • 映画、演劇、演芸、音楽、スポーツまたは見せ物を不特定かつ多数の者に見せ、または聴かせる場所への入場料金
  • 競馬場、競輪場、小型自動車競走場又はモーターボート競走場への入場料金
  • 美術館、遊園地、動物園、博覧会の会場その他不特定かつ多数の者が入場する施設または場所でこれらに類するものへの入場料金

2013年5月31日

施行日前に行った製商品の販売について、施行日以後に製商品が返品などになった場合の消費税の取扱い

施行日前に行った商品の販売について、施行日以後に商品が返品され、対価の返還などをした場合には、旧消費税法の規定に基づき売上げに係る対価の返還などに係る消費税額の計算することとされている。

合理的な方法(例えば、4月中に返品を受けた商品は、3月中の販売に対応するものとして処理している場合)により継続して返品などの処理を行っている場合には、事業者が継続している方法により、売上げに係る対価の返還などに係る消費税額を計算しても差し支えない。

なお、このように取り扱う場合には、取引当事者間において取り交わす請求書などに適用税率を明記し、取引の相手方は当該請求書等に記載された税率により仕入れに係る対価の返還などに係る消費税額を計算することとなる。

2013年5月30日

施行日を含む1年間の役務提供を行う場合の消費税法の適用関係

役務の提供に係る資産の譲渡等の時期は、物の引渡しを要するものにあってはその目的物の全部を完成して引き渡した日、物の引渡しを要しないものにあってはその約した役務の全部を完了した日とされている。 役務の提供は、物の引渡しを要しないものだから、資産の譲渡等の時期は役務の全部を完了する日となる。

したがって、施行日以後に行う課税資産の譲渡等となるから、原則として新消費税法(新税率)が適用される。

ただし、契約または慣行により、1年分の対価を収受することとしており、事業者が継続して当該対価を収受したときに収益に計上しているときは、施行日の前日(平成26年3月31日)までに収益に計上したものについて旧消費税法(旧税率)を適用して差し支えない。

2013年5月28日

施行日の前日(平成26年3月31日)までに仕入れた商品を施行日以後に販売した場合の消費税法の適用関係

消費税法は、経過措置が適用される場合を除き、施行日以後に行われる資産の譲渡等及び課税仕入れ等について適用される。

したがって、施行日の前日(平成26年3月31日)までに仕入れた商品を施行日以後に販売する場合には、当該販売については新消費税法(新税率)が適用されるが、商品の仕入れについては施行日の前日までに行われたものであるから、課税仕入れに係る消費税額は旧消費税法の規定に基づき計算することとなる。

2013年5月27日

施行日前後の取引に係る消費税法の適用関係

消費税法は、施行日以後に国内において事業者が行う資産の譲渡等並びに施行日以後に国内において事業者が行う課税仕入れ及び保税地域から引き取られる課税貨物(以下「課税仕入れ等」という。)に係る消費税について適用し、施行日前に国内において事業者が行った資産の譲渡等及び課税仕入れ等に係る消費税については、なお従前の例によることとされている。

したがって、施行日の前日(平成26年3月31日)までに締結した契約に基づき行われる資産の譲渡等及び課税仕入れ等であっても、施行日以後に行われるものは、経過措置が適用される場合を除き、当該資産の譲渡等及び課税仕入れ等について新消費税法が適用されることとなる。

2013年5月24日

消費税法改正(税率引上げに伴う経過措置)

「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」により、消費税法の一部が改正された。

その中で、税率引上げに伴う経過措置が設けられた。

改正後の税率は、適用開始日以後に行われる資産の譲渡等、課税仕入れ及び保税地域から引き取られる課税貨物に係る消費税について適用され、適用開始日前に行われた資産の譲渡等、課税仕入れ及び保税地域から引き取られる課税貨物に係る消費税については、改正前の税率が適用されることとなる。 ただし、適用開始日以後に行われる資産の譲渡等のうち一定のものについては、改正前の税率を適用することとするなどの経過措置が講じられている。

2013年4月12日

消費税法改正(任意の中間申告制度)

「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」により、消費税法の一部が改正された。

その中で、任意の中間申告制度が創設された。

<制度の概要> 直前の課税期間の確定消費税額(地方消費税額を含まない年税額)が48万円以下の事業者(中間申告義務のない事業者)が、任意に中間申告書(年1回)を提出する旨を記載した届出書を納税地の所轄税務署長に提出した場合には、当該届出書を提出した日以後にその末日が最初に到来する6月中間申告対象期間(注1)から、自主的に中間申告・納付(注2)することができることとされた。

(注1) 「6月中間申告対象期間」とは、その課税期間開始の日以後6月の期間で、年1回の中間申告の対象となる期間をいう。 (注2) 中間納付税額は、直前の課税期間の確定消費税額の1/2の額となる。また、中間納付税額と併せて地方消費税の中間納付税額を納付することとなる。 なお、任意の中間申告制度を適用する場合であっても、仮決算を行って計算した消費税額及び地方消費税額により中間申告・納付することができる。

<適用開始時期> 個人事業者の場合には平成27年分から、また、事業年度が1年の法人については、平成26年4月1日以後開始する課税期間(平成27年3月末決算分)から適用される。

2013年4月11日

消費税法改正(特定新規設立法人の事業者免税点制度の不適用制度)

「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」により、消費税法の一部が改正された。

その中で、特定新規設立法人に係る事業者免税点制度の不適用制度が創設された。

<制度の概要> その事業年度の基準期間(原則として、その事業年度の前々事業年度をいう。)がない法人で、その事業年度開始の日における資本金の額または出資の金額が1,000万円未満の法人(新規設立法人)のうち、以下のいずれにも該当するもの(特定新規設立法人)については、当該特定新規設立法人の基準期間のない事業年度に含まれる各課税期間における課税資産の譲渡等について、納税義務が免除されないこととなった。

  • その基準期間がない事業年度開始の日において、他の者により当該新規設立法人の株式等の50%超を直接または間接に保有される場合など、他の者により当該新規設立法人が支配される一定の場合(特定要件)に該当すること。
  • 上記の特定要件に該当するかどうかの判定の基礎となった他の者及び当該他の者と一定の特殊な関係にある法人のうちいずれかの者(判定対象者)の当該新規設立法人の当該事業年度の基準期間に相当する期間(基準期間相当期間)における課税売上高が5億円を超えていること。

<適用開始時期> 平成26年4月1日以後に設立される新規設立法人で、特定新規設立法人に該当するものについて適用される。

2013年4月8日

消費税法改正(消費税率の引上げ)

「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」により、消費税法の一部が改正された。

その中で、消費税率を引き上げることとされた。

消費税率及び地方消費税率について、以下のとおり2段階で引き上げることとされた。

区 分 現 行 平成26年4月1日 平成27年10月1日
消費税 4.0% 6.3% 7.8%
地方消費税 1.0%(消費税額の25/100) 1.7%(消費税額の17/63) 2.2%(消費税額の22/78)
合  計 5.0% 8.0% 10.0%
  • 経済財政状況の激変にも柔軟に対応する観点から、消費税率引上げの前に、経済状況等を総合的に勘案した上で、消費税率の引上げの停止を含め所要の措置を講ずることとされている。
  • 引上げ後の税率は、経過措置が適用されるものを除き、適用開始日以後に行われる資産の譲渡等について適用される。

2013年4月8日

平成25年3月期決算における消費税の改正点

消費税の益税が問題となっていたこともあり、平成24年4月1日以後に開始する課税期間から、課税売上高が5億円を超える事業者は95%ルールの適用対象外とされたため、課税仕入れ等に対する消費税額の全額の仕入税額控除は認められず、個別対応方式または一括比例配分方式で仕入税額控除額の計算をすることとなった。

95%ルールの見直しによって、控除対象外消費税が生じるが、企業会計上も費用、税務上も法人税の所得計算において損金の額に算入される。

2013年4月3日

消費税法改正(使途の明確化)

「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」により、消費税法の一部が改正された。

その中で、消費税収入の使途が明確化された。

国分の消費税収入については、毎年度、制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費(社会保障4経費)に充てるものとされた。

(注) 地方消費税収入(引上げ分)及び消費税収入に係る地方交付税分については、社会保障4経費を含む社会保障施策に要する経費に充てるものとされている。

2013年4月2日

消費税課税期間特例選択不適用届出書

課税期間の特例の適用をやめようとするときには、適用をやめようとする課税期間の初日の前日までに消費税課税期間特例選択不適用届出書を納税地の所轄税務署長に提出する必要がある。

ただし、課税期間の特例を選択した場合は、事業を廃止した場合を除き、2年間継続して適用した後でなければ、課税期間の特例の適用をやめることはできない。

なお、年または事業年度の途中でこの特例の適用を受けることをやめた場合には、その適用しないこととした課税期間の開始日以後、その年の12月31日またはその事業年度の終了する日までが一課税期間となる。

2013年3月14日

消費税課税期間特例選択・変更届出書

課税期間は、個人事業者は暦年、法人は事業年度だが、消費税課税期間特例選択・変更届出書を、適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに、納税地の所轄税務署長に提出することにより、3月または1月ごとに区分した期間に短縮することができる。

この届出書を提出して課税期間の特例を受けようとする場合には、特例を受けようとする短縮に係る課税期間(3月または1月ごとに区分した期間)の初日の前日までに提出しなければならない。ただし、新規開業等した事業者については、この届出書を提出した日の属する3月または1月ごとに区分した期間からこの特例の適用を受けることができる。

なお、この特例の適用を受けている場合は、事業を廃止した場合を除き、2年間継続して適用した後でなければ、他の課税期間の特例に変更することはできない。

2013年3月12日

消費税課税事業者選択不適用届出書

消費税課税事業者選択届出書を提出して課税事業者を選択していた事業者が、選択をやめようとするときは、選択をやめようとする課税期間の初日の前日までに消費税課税事業者選択不適用届出書を納税地の所轄税務署長に提出する必要がある。

ただし、消費税課税事業者選択届出書を提出して課税事業者となった事業者は、事業を廃止した場合を除き、課税事業者となった日から2年間は、免税事業者となることはできない。

2013年3月11日

消費税課税事業者選択届出書

基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者であっても、消費税課税事業者選択届出書を、選択する課税期間の初日の前日までに、納税地の所轄税務署長に提出することにより、課税事業者となることができる。

なお、新規開業等した事業者は、その開業等した課税期間の末日までにこの届出書を提出すれば、開業等した日の属する課税期間から課税事業者となることができる。

2013年3月8日

消費税の新設法人に該当する旨の届出書

その事業年度の基準期間がない法人のうち、その事業年度の開始の日における資本金の額または出資の金額が1,000万円以上である法人(以下、「新設法人」という。)は、その課税期間の納税義務が免除されない。

新設法人に該当する場合は、速やかに消費税の新設法人に該当する旨の届出書を納税地の所轄税務署長に提出する必要がある。

なお、法人設立届出書の提出時に、その届出書に消費税の新設法人に該当する旨を記載したときは、改めて消費税の新設法人に該当する旨の届出書を提出する必要はない。

2013年3月7日

消費税の納税者でなくなった旨の届出書

その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下となった場合には、速やかに消費税の納税者でなくなった旨の届出書を納税地の所轄税務署長に提出する必要がある。

2013年3月5日

消費税簡易課税制度選択不適用届出書

簡易課税制度の適用を受けている事業者が、その適用をやめようとする場合は、適用をやめようとする課税期間の初日の前日までに消費税簡易課税制度選択不適用届出書を納税地の所轄税務署長に提出する必要がある。

ただし、簡易課税制度の適用を受けている事業者は、事業を廃止した場合を除き、2年間継続して適用した後でなければ、消費税簡易課税制度選択不適用届出書を提出して、その適用をやめることはできない。

2013年3月4日

消費税簡易課税制度選択届出書

その課税期間の基準期間における課税売上高が5,000万円以下である事業者は、適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに消費税簡易課税制度選択届出書を納税地の所轄税務署長に提出することにより、簡易課税制度を選択することができる。 なお、新規開業等した事業者は、その開業等した課税期間の末日までにこの提出書を提出すれば、簡易課税制度を選択することができる。

  • 簡易課税制度とは、課税売上高から納付する消費税額を計算する制度のことである。 具体的には、仕入控除税額を課税売上高に対する税額の一定割合とするというものである。この一定割合をみなし仕入率といい、売上げを卸売業、小売業、製造業等、サービス業等及びその他の事業の5つに区分し、それぞれの区分ごとのみなし仕入率を適用する。
    事業区分 みなし仕入率
    第一種事業(卸売業) 90%
    第二種事業(小売業) 80%
    第三種事業(製造業等) 70%
    第四種事業(その他の事業) 60%
    第五種事業(サービス業等) 50%

2013年3月1日

消費税課税事業者届出書

その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円を超えた事業者は消費税の課税事業者となり、消費税課税事業者届出書(基準期間用)を、速やかに、納税地の所轄税務署長に提出する必要がある。

  • 基準期間とは、個人事業者はその年の前々年、事業年度が1年である法人はその事業年度の前々事業年度である。
  • 課税期間とは、個人事業者は1月1日から12月31日までの1年間、法人は事業年度である。
  • 課税売上高とは、消費税が課税される取引の売上金額(消費税等を除く。)と輸出取引等の免税売上高の合計額をいう(売上返品等に係る金額ある場合には、これらの金額を控除した残額)。

ただし、平成25年1月1日以後に開始する年または事業年度については、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても特定期間の課税売上高が1,000万円を超えた場合、当課税期間から課税事業者となる。なお、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額により判定することもできる。

  • 特定期間とは、個人事業者は、その年の前年の1月1日から6月30日までの期間をいい、法人は、原則として、その事業年度の前事業年度開始の日以後6ヶ月の期間をいう。

2013年2月28日

スキャン文書の保存による仕入税額控除の適用

国税関係書類の全部または一部について、当該国税関係書類に記載されている事項をスキャナにより電磁的記録に記録する場合に、所轄税務署長等の承認を受けたときは、当該承認を受けた国税関係書類に係る電磁的記録の保存をもって当該承認を受けた国税関係書類の保存に代えることができることとされている(以下「スキャナ保存」という。)。

したがって、スキャナ保存の承認を受けて国税関係書類(取引先から受け取った請求書等)に係る電磁的記録を保存している場合には、その基となった書類を保存していない場合であっても消費税法第30条第7項に規定する請求書等が保存されていることとなるので、仕入税額控除の適用を受けることができる。

2012年11月28日

インターネットを通じて取引を行った場合の仕入税額控除の適用

課税事業者が仕入税額控除の適用を受けるためには、原則として課税仕入れ等の事実の帳簿への記載、保存及び課税仕入れ等の事実を証する請求書等の保存をしなければならないこととされている。 この場合の請求書等とは、事業者に対し課税資産の譲渡等を行う他の事業者が、当該課税資産の譲渡等につき当該事業者に交付する請求書、納品書その他これらに類する書類で、書類の作成者の氏名または名称、課税資産の譲渡等を行った年月日、課税資産の譲渡等に係る資産または役務の内容、課税資産の譲渡等の対価の額及び書類の交付を受ける当該事業者の氏名または名称(以下「法定事項」という。)が記載されているものとされている。 また、請求書等の交付を受けなかったことにつきやむを得ない理由があるときは、帳簿に消費税法第30条第8項の記載事項に加えて当該やむを得ない理由及び課税仕入れの相手方の住所または所在地を記載して保存することにより、仕入税額控除の適用を受けることができる旨が定められている。

インターネットを通じて取引を行った場合には、請求書等に記載されるべき法定事項が通信回線を介してコンピュータ間で電子データとして交換されるため、請求書等そのものが作成・交付されないこととなり、当該電子データ以外の保存が行えない状況となるが、これは、請求書等の交付を受けなかったことにつきやむを得ない理由がある場合に該当するものと考えられる。 したがって、帳簿に記載すべき事項に加えて、インターネットを通じた取引による課税仕入れであること及び課税仕入れの相手方の住所又は所在地を記載して保存する場合には、仕入税額控除の適用を受けることができる。

2012年11月26日

消費税の届出はお早めに

個人事業者で、新たに課税事業者(消費税の申告・納付が必要な方)となる場合には、納税地の所轄税務署長に「消費税課税事業者届出書」(基準期間用)の提出が必要である。

課税事業者とは、基準期間(※1)における課税売上高(※2)が1,000万円を超える方が該当する(※3)。 したがって、個人事業者は、平成23年分の課税売上高が1,000万円を超えている場合には、平成25年分は消費税の課税事業者に該当する。

※1 「基準期間」とは、個人事業者の場合は、その年の前々年をいう。 ※2 「課税売上高」とは、消費税が課税される取引の売上金額と輸出取引等の免税売上金額の合計額(これらの売上げに係る売上返品、売上値引や売上割戻し等に係る金額がある場合には、これらの金額を差し引いた金額)をいう。 ※3 基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間(個人事業者の場合は、その年の前年の1月1日から6月30日までの期間をいう。)の課税売上高が1,000万円を超える方はその年から消費税の課税事業者となる。 したがって、個人事業者は、平成24年1月1日から6月30日の課税売上高が1,000万円を超えている場合には、平成25年分は消費税の課税事業者に該当する。この場合、納税地の所轄税務署長に「消費税課税事業者届出書」(特定期間用)を提出する必要がある。 なお、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額により判定することもできる。

基準期間における課税売上高が5,000万円以下の方は、簡易課税制度を選択することができる。 なお、平成25年分から簡易課税制度を適用して申告する方は、平成24年12月31日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を納税地の所轄税務署長に提出する必要がある。

(注1) 簡易課税制度は、「みなし仕入率」により納付税額を計算するので、多額の設備投資を行った場合などで一般課税(簡易課税制度を選択しなかった場合)により計算すれば還付となるような場合でも、還付を受けることはできない。 (注2) 簡易課税制度を選択された方は、事業を廃止した場合を除き2年間以上継続した後でなければ選択をやめることはできない。なお、選択をやめる場合にはやめようとする課税期間の開始の日の前日までに「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を納税地の所轄税務署長に提出する必要がある。

※ 課税事業者は、消費税法に基づく帳簿の記載が必要となる。 また、一般課税で申告される方(簡易課税制度を選択しない方)は、課税仕入れ等の事実を記録した帳簿及び請求書等の両方の保存がない場合、仕入税額控除の適用を受けることができないので注意が必要である。

2012年11月21日

消費税の届出

個人事業者で、新たに課税事業者(消費税の申告・納付が必要な方)となる場合には、納税地の所轄税務署長に「消費税課税事業者届出書」(基準期間用)の提出が必要である。 課税事業者とは、基準期間(※1)における課税売上高(※2)が1,000万円を超える方が該当する(※3)。 したがって、個人事業者は、平成23年分の課税売上高が1,000万円を超えている場合には、平成25年分は消費税の課税事業者に該当する。

※1 「基準期間」とは、個人事業者の場合は、その年の前々年をいう。 ※2 「課税売上高」とは、消費税が課税される取引の売上金額と輸出取引等の免税売上金額の合計額(これらの売上げに係る売上返品、売上値引や売上割戻し等に係る金額がある場合には、これらの金額を差し引いた金額)をいう。 ※3 基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間(個人事業者の場合は、その年の前年の1月1日から6月30日までの期間をいう。)の課税売上高が1,000万円を超える方はその年から消費税の課税事業者となる。したがって、個人事業者は、平成24年1月1日から6月30日の課税売上高が1,000万円を超えている場合には、平成25年分は消費税の課税事業者に該当する。この場合、納税地の所轄税務署長に「消費税課税事業者届出書」(特定期間用)を提出する必要がある。 なお、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額により判定することもできる。

また、基準期間における課税売上高が5,000万円以下の方は、簡易課税制度を選択することができる。 なお、平成25年分から簡易課税制度を適用して申告する方は、平成24年12月31日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を納税地の所轄税務署長に提出する必要がある。

(注1)簡易課税制度は、「みなし仕入率」により納付税額を計算するので、多額の設備投資を行った場合などで一般課税(簡易課税制度を選択しなかった場合)により計算すれば還付となるような場合でも、還付を受けることはできない。 (注2)簡易課税制度を選択された方は、事業を廃止した場合を除き2年間以上継続した後でなければ選択をやめることはできない。なお、選択をやめる場合にはやめようとする課税期間の開始の日の前日までに「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を納税地の所轄税務署長に提出する必要がある。

※ 課税事業者の方は、消費税法に基づく帳簿の記載が必要となる。 また、一般課税で申告される方(簡易課税制度を選択されない方)は、課税仕入れ等の事実を記録した帳簿及び請求書等の両方の保存がない場合、仕入税額控除の適用を受けることができない。

2012年9月24日

個人事業者の消費税の中間申告

前年(平成23年)の消費税の年税額(注1)が48万円を超える個人事業者は、消費税の中間申告をする必要がある。 ただし、課税期間の特例制度(注2)を適用している個人事業者については、中間申告をする必要はない。 また、事業を開始した日の属する課税期間については、中間申告をする必要はない。

(注1) 地方消費税額は含まない。 (注2) 課税期間の特例とは、事業者が届出により消費税の課税期間を3か月または1か月に短縮できる制度である。

2012年8月29日

個人事業者の消費税及び地方消費税の中間申告と納付

個人事業者で、平成23年分の確定消費税額(地方消費含まない。)が48万円を超える場合、消費税及び地方消費税の中間申告と納付が必要である。 この「平成23年分の確定消費税額」とは、平成23年分の確定申告により確定した消費税の年税額をいい、期限後申告または修正申告等が行われた場合には、これらによって確定した消費税の年税額をいう。

中間申告の方法 以下の2つの方法があり、いずれかの方法によることができる。

  1. 前年実績による中間申告 平成23年分の確定消費税額が以下の表に当てはまる場合、中間申告・納付の期限に応じて、以下により算出した中間納付税額を記載した「消費税及び地方消費税の中間申告書」及び「納付書」が所轄の税務署から送付されるので、必要事項を記入の上、税務署に中間申告書を提出するとともに、納付書により消費税及び地方消費税を納付する必要がある。
    平成23年分の確定消費税額(注) 中間申告・納付の回数 中間納付税額
    48万円を超え400万円以下 年1回 平成23年分の確定消費税額の12分の6の消費税額とその25%の地方消費税
    400万円を超え4,800万円以下 年3回 平成23年分の確定消費税額の12分の3の消費税額とその25%の地方消費税
    4,800万円超 年11回 平成23年分の確定消費税額の12分の1の消費税額とその25%の地方消費税

    (注)「確定消費税額」とは、中間申告対象期間末日までに確定した消費税の年税額(申告書欄の差引税額)をいう。

  2. 仮決算に基づく中間申告 事業状況が平成23年と著しく異なる場合などは、上記1の方法に代えて、各中間申告対象期間を一課税期間とみなして仮決算を行い、これに基づいて計算した消費税額及び地方消費税額により、中間申告・納付することができる。 なお、この計算によりマイナスとなった場合でも還付を受けることはできない(マイナスとなった場合は、中間申告税額はゼロになる。)。 また、仮決算による中間申告書は、提出期限を過ぎて提出することはできないので留意が必要である。
  • 中間申告及び納付の期限について 平成23年分の確定消費税額が48万円を超え400万円以下の方(年1回の中間申告・納付)は、平成24年8月31日(金)までに、申告・納付する必要がある(同確定消費税額が400万円を超え4,800万円以下の方(年3回の中間申告・納付)の2回目と4,800万円を超える方(年11回の中間申告・納付)の6回目の中間申告・納付の期限も同一日になる。)。 振替納税をご利用の方の振替日は、平成24年9月27日(木)である。 平成23年分の確定消費税額が400万円を超える方の次回以後の期限等については、国税庁ホームページ(www.nta.go.jp)でご確認を。 なお、中間申告の期限までに中間申告書を提出しなかった場合でも、上記「中間申告の方法」の「1.前年実績による中間申告」の消費税額及び地方消費税額が納付すべき税額として確定することになるので、納期限までに必ず納付する必要がある。

2012年8月9日

平成23年度租税滞留状況

国税庁が、『平成23年度租税滞留状況について』を先日公表した(単位:億円)。

区分 A

平成22年度滞納

整理中のものの額

(前期繰越額)
B

新規発生滞納額
C

整理済額
D(A+B-C)

平成23年度滞納

整理中のものの額

(次期繰越額)
全税目 (95.0%) 

14,201
(88.8%) 

6,073
(87.7%) 

6,657
(95.9%) 

13,617
うち消費税 (96.3%) 

4,256
(94.8%) 

3,220
(92.9%) 

3,307
(98.0%) 

4,169
  • 注1 新規発生滞納額とは、国税が納期限までに納付されず、督促状が発付されたものをいう。
  • 注2 括弧内の数値は、対前年度比である。
  • 注3 地方消費税を除いている。
  • 注4 平成24年4月及び5月に督促状を発付した滞納のうち、その国税の所属年度(納税義務が成立した日の属する年度)が平成23年度所属となるものを含んでいる。

2012年8月6日

DESの消費税

DES(デット・エクイティ・スワップ)によって株式を取得する場合、 金銭出資による通常の株式取得は消費税法上資本取引として不課税取引であることとの整合性、消費税における「資産の譲渡の意義」は、「同一性を保持して他者に資産を移転させることをいう」とされている点から、実際にDESの実態をみると,資産の移転・譲渡ではないことから,消費税法上は不課税取引に該当すると考えられる。

2012年7月12日

国税庁レポート2012

国税庁が、『国税庁レポート2012』を公表した。 平成22年度租税及び印紙収入決算額を見ると、源泉所得税消費税が10兆円、法人税が8兆円、相続税が1兆円で、合計41兆円である。

これを見ると、消費税の増税はインパクトが大きい一方、相続税の増税はインパクトはあまりないことが見て取れる。

国税庁レポートはこちらから。 国税庁レポート

2012年7月11日

総額表示

「総額表示」とは、消費者に商品の販売やサービスの提供を行う課税事業者が、値札やチラシなどにおいて、あらかじめその取引価格を表示する際に、消費税額(地方消費税額を含む。)を含めた価格を表示することをいう。 消費者に対して、商品の販売、役務の提供などを行う場合、いわゆる小売段階の価格表示をするときには総額表示が義務付けられる。 なお、事業者間での取引は総額表示義務の対象とはならない。 例えば、以下に掲げるような表示が「総額表示」に該当する。

  • 10,500円
  • 10,500円(税込)
  • 10,500円(税抜価格10,000円)
  • 10,500円(うち消費税額等500円)
  • 10,500円(税抜価格10,000円、消費税額等500円)

支払総額である「10,500円」さえ表示されていればよく、「消費税額等」や「税抜価格」が表示されていても構わない。 対象となる価格表示は、商品本体による表示(商品に添付または貼付される値札等)、店頭における表示、チラシ広告、新聞・テレビによる広告など、消費者に対して行われる価格表示であれば、それがどのような表示媒体により行われるものであるかを問わず、総額表示が義務付けられる。 なお、口頭による価格の提示は、これに含まれない。 総額表示が義務付けられるのは、あらかじめ取引価格を表示している場合であり、価格表示がされていない場合にまで価格表示を強制するものではない。総額表示の義務付けは、不特定かつ多数の者に対する値札や店内掲示、チラシあるいは商品カタログにおいて、「あらかじめ」価格を表示する場合を対象としているため、見積書、契約書、請求書等については、総額表示義務の対象とはならない。

2012年6月26日

簡易課税制度の事業区分

みなし仕入率の適用を受けるそれぞれの事業の意義は、以下のとおり。

  • 第一種事業…90% 卸売業(他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで他の事業者に対して販売する事業)をいう。
  • 第二種事業…80% 小売業(他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで販売する事業で第一種事業以外のもの)をいう。
  • 第三種事業…70% 農業、林業、漁業、鉱業、建設業、製造業(製造小売業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業及び水道業をいい、第一種事業、第二種事業に該当するもの及び加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を除く。
  • 第四種事業…60% 第一種事業、第二種事業、第三種事業及び第五種事業以外の事業をいい、具体的には、飲食店業、金融・保険業などである。 なお、第三種事業から除かれる加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業も第四種事業となる。
  • 第五種事業…50% 不動産業、運輸通信業、サービス業(飲食店業に該当する事業を除く。)をいい、第一種事業から第三種事業までの事業に該当する事業を除く。

なお、事業区分の判定に当たっては、以下の点に留意が必要である。

  • 事業区分 事業者が行う事業が第一種事業から第五種事業までのいずれに該当するかの判定は、原則として、その事業者が行う課税資産の譲渡等ごとに行う。
  • 第一種事業 消費者から購入した商品を品質又は形状を変更しないで他の事業者に販売する事業も卸売業に該当することになります。また、業務用に消費される商品の販売(業務用小売)であっても事業者に対する販売であることが帳簿、書類等で明らかであれば卸売業に該当することになる。
  • 第二種事業 食料品小売店が他から購入した食料品を、その小売店舗において、仕入商品に軽微な加工をして販売する場合で、加工前の食料品の販売店舗において一般的に行われると認められるもので、当該加工後の商品が当該加工前の商品と同一の店舗において販売されるものについては、加工後の商品の販売についても第二種事業に該当するものとして差し支えない。
  • 第三種事業 第三種事業は、おおむね日本標準産業分類の大分類に掲げる分類を基礎として判定する。なお、以下の事業は、第三種事業に該当するものとして取り扱われる。 イ 自己の計算において原材料等を購入し、これをあらかじめ指示した条件に従って下請加工させて完成品とする、いわゆる製造問屋 ロ 自己が請け負った建設工事の全部を下請に施工させる建設工事の元請 ハ 天然水を採取して瓶詰等して人の飲用に販売する事業 ニ 新聞・書籍等の発行、出版を行う事業
  • 第五種事業 第五種事業も、第一種事業から第三種事業以外の事業とされる事業を対象として、おおむね日本標準産業分類の大分類に掲げる分類を基礎として判定する。 なお、日本標準産業分類の大分類の区分が不動産業、運輸通信業、サービス業に該当するものは、「加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業」であっても、第五種事業に該当する。 また、サービス業から除くこととされている「飲食店業に該当するもの」とは、例えば以下のようなものいう。 イ ホテル内にある宴会場、レストラン、バー等のように、そのホテルの宿泊者以外の者でも利用でき、その場で料金の精算をすることもできるようになっている施設での飲食物の提供 ロ 宿泊者に対する飲食物の提供で、宿泊サービスとセットの夕食等の提供時に宿泊者の注文に応じて行う特別料理、飲料等の提供や客室内に冷蔵庫を設置して行う飲料等の提供のように、料金体系上も宿泊に係る料金と区分されており、料金の精算時に宿泊料と区分して領収されるもの なお、例えば、「一泊二食付で2万円」というように、食事代込みで宿泊料金が定められている場合は、その料金の全額が第五種事業の対価となる。
  • 第四種事業 事業者が自己において使用していた固定資産の譲渡を行う事業は、第四種事業に該当することになる。

2012年5月9日

簡易課税制度

消費税の納付税額は、通常は以下のように計算する。

(課税売上高(税抜き)×4%-課税仕入高(税込み)×4/105)

しかし、その課税期間の前々年または前々事業年度の課税売上高が5千万円以下で、簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を事前に提出している事業者は、実際の課税仕入れ等の税額を計算することなく、課税売上高から仕入控除税額の計算を行うことができる簡易課税制度の適用を受けることができる。 この制度は、仕入控除税額を課税売上高に対する税額の一定割合とするというものである。この一定割合をみなし仕入率といい、売上げを卸売業、小売業、製造業等、サービス業等及びその他の事業の5つに区分し、それぞれの区分ごとの以下のみなし仕入率を適用する。

  • 第一種事業(卸売業)…90%
  • 第二種事業(小売業)…80%
  • 第三種事業(製造業等)…70%
  • 第四種事業(その他の事業)…60%
  • 第五種事業(サービス業等)…50%

2012年5月8日

寄附金や交際費の消費税

寄附金の支出は、対価を得て行われる取引ではないため、課税仕入れとはならない。 ただし、名目は寄附であっても、その寄附に対価性が認められる場合には課税仕入れとなる。 また、金銭を寄附するのではなく、物品を購入して寄附した場合には、その物品の購入代金は課税仕入れとなる。

交際費については、その支出がお中元やお歳暮のように得意先への贈答品としての物品の購入代金や、得意先の接待のための飲食代の支払である場合には、原則として課税仕入れとなる。 ただし、得意先へ商品券の交付をする場合や、祝金・餞別・弔慰金などを支出した場合には、課税仕入れとならない。 なお、渡切交際費などで、その使途が明らかにされていない場合には、仕入税額控除の対象とならない。

2012年4月24日

平成23年分の消費税の振替納税日

平成23年分の個人事業者の消費税及び地方消費税の振替納税日は、平成24年4月25日(水曜日)である。

振替口座に残高があることの確認が必要である。

2012年4月23日

運転手などに対するチップの消費税

運転手などに対するチップは、運送などの役務の提供の対価の支払とは別に支出するものであり、提供を受ける役務との間に明白な対価関係は認められないから、課税仕入れに該当しない。

2012年4月20日

物品を寄付した場合の消費税

今回の東日本大震災が起こったような場合に、企業が物品を寄付することがある。

このような場合、対価を得て行われる取引ではないため、原則として資産の譲渡等には該当しないが、寄付した物品が購入してきたものであれば、課税仕入れに該当するため、仕入税額控除の対象となる。

個別対応方式により仕入控除税額を計算する場合、 ①課税資産の譲渡等にのみ要するもの ②その他の資産の譲渡等のみに要するもの ③課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの のいずれかに区分しなければならないが、購入してきたもの寄付した場合、③とされる。

一方、自社製品を寄付した場合、①とされる。

2011年8月22日

未経過固定資産税等の精算

不動産を売買する際に、未経過の固定資産税(都市計画税を含む。)の精算を行うのが一般的である。

この未経過固定資産税の精算は、資産の譲渡の金額に含まれることに留意が必要である。よって、建物部分は課税、土地部分は非課税となる。

固定資産税は、毎年1月1日現在の土地・建物(家屋)の所有者に課せられる税金であることから、未経過の固定資産税の精算は、消費税法上、税金の精算ではなく、譲渡対価の一部とされている。

2011年8月8日

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税務署

税理士等が「申請書等の取下書」を代理送信することができますか?

令和6年11月から「税務代理権限証書」の「その他の事項」欄に申請書等の取下げの意向を入力のうえ、代理送信いただければ、税務署等において「申請書等の取下書」として取り扱います。

「税務代理権限証書」の作成にあたっては、以下の【作成方法】をご確認いただき、申告等データとは別に「税務代理権限証書」のみ送信してください。

なお、受信通知に以下のワーニングメッセージが表示されますが、「申請書等の取下書」として正常に受け付けておりますので、再度送信いただく必要はありません。
【ワーニングメッセージ】
税務代理権限証書に入力された受付番号及び依頼者の利用者識別番号のいずれかに誤りがあり代理受領欄の選択の有無を確認できませんでした。通知書の代理受領を希望される場合は、入力内容を確認のうえ、税務代理権限証書のみを再度送信してください。

(※1)上記のワーニングメッセージが表示されない場合は、送信先の税務署等へ電話連絡いただきますようお願いいたします。

(※2)以下の取下書については、既定の様式を使用していただくようお願いいたします。
これらの様式は、イメージデータ(PDF)でe-Taxへ送信が可能です。

  • 延納申請取下げ書
  • 物納申請取下げ書
  • 審査請求取下書
  • 審査請求参加取下書
  • 行政文書開示請求取下書
  • 保有個人情報(開示・訂正・利用停止)請求取下書

【作成方法】申請書等の取下げの意向を示す「税務代理権限証書」
税務代理権限証書で「取下」の意思表示を行う場合は、以下の2点にご留意いただき、申告等データとは別に「税務代理権限証書」のみ送信してください。

★留意事項1
⇒「基申告書(申請書)の受付番号」欄には、「123」と入力してください。

⇒ご利用の民間税務ソフトで「123」と入力するとエラーになる場合は、未入力でも差し支えありません。

★留意事項2
⇒「3 その他の事項」欄には「受付番号」、「申請書等の手続名称」及び「取下の意向」を入力してください。

⇒<例>受付番号(xxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxx)の●●税申告書(申請書)について、取下げます。

★リンクはこちら⇒ 税理士等が「申請書等の取下書」を代理送信することができますか?

2025年4月10日


「納税証明に係る交付請求書及び証明書様式の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)

平成14年5月23日付徴管2-17ほか7課共同「納税証明に係る交付請求書及び証明書様式の制定について」(法令解釈通達)の各様式について、別紙「新旧対照表」の「改正前」欄に掲げる事項を「改正後」欄のとおり改正したから、令和7年4月1日以降はこれによられたい。

なお、従前の様式により交付請求がなされた場合においても受理することとして差し支えない。

★リンクはこちら⇒ 「納税証明に係る交付請求書及び証明書様式の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)

2025年4月9日


登記情報連携システムを使用した登記情報の連携に関する合意書(法務省民事局/国税庁)

合意書

法務省民事局(以下「甲」という。)及び国税庁(以下「乙」という。)は、登記情報連携システムを使用した登記情報の連携に当たって、次のとおり合意した。

1 乙の職員は、登記手数料令(昭和24年政令第140号)第18条等の法令の規定に基づき、手数料を納付することなく職務上取得する登記事項証明書の代替として登記情報連携システムを使用して取得した登記情報(以下「登記情報」という。)を当該職務以外の目的に使用し、又は他に漏らしてはならない。

2 上記1の目的を達成するため、乙は、甲に対し、登記情報の取扱い及びこれを処理するシステムに関するセキュリティポリシーを提示する。セキュリティポリシーを変更したときも同様とする。

3 乙は、登記情報等を利用したことに起因して発生した損害(第三者の権利の侵害も含む。)については、自らこれを負担する。

4 登記情報等の適切な管理のための要請等については、次のとおりとする。
一 甲は乙に対し、登記情報等の適切な管理のための措置の実施状況について、報告を求めることができる。

二 甲は、乙の報告に基づき、必要に応じて、当該情報等の適切な管理のための措置の実施について要請を行うことができる。

三 乙は、甲に対し、一の求め又は二の要請があったときは、誠実に対応するものとする。

令和6年12月10日

法務省民事局長   竹 内   努
国税庁次長     小 宮 敦 史

★リンクはこちら⇒ 登記情報連携システムを使用した登記情報の連携に関する合意書(法務省民事局/国税庁)

2025年3月31日


申告書等閲覧サービスの実施について(事務運営指針)

標題のことについては、下記のとおり定めたので、平成17年4月1日以降はこれにより適正に取り扱われたい。

(目的)
申告書等の閲覧については、法令等により定められたものではないが、「財務省設置法」(平成11年法律第95号)第19条に規定された国税庁の任務である「内国税の適正かつ公平な賦課及び徴収の実現、酒類業の健全な発達」に資するため、行政サービスとしてこれを実施することとし、その事務処理要領を定めるものである(本事務運営指針において、当該行政サービスを「申告書等閲覧サービス」という。)。

なお、本事務処理要領により行う申告書等閲覧サービスは、「個人情報の保護に関する法律」(平成15年法律第57号)に規定する保有個人情報の開示請求制度とは異なるものであるが、同法及び「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(平成25年法律第27号)の規定を踏まえ、納税者又はその代理人から当該納税者に係る申告書等の閲覧申請を受けた場合の対応について、当該納税者及び第三者の個人情報(個人番号を含む。)を保護する見地から必要な措置を講ずるものである。

★リンクはこちら⇒ 申告書等閲覧サービスの実施について(事務運営指針)

2025年2月7日


国税庁レポート2024

国税庁は『国税庁レポート2024』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ 国税庁レポート2024

2024年8月2日


令和5年度査察の概要

国税庁は、『令和5年度査察の概要』をホームページに掲載した。

査察制度は、悪質な脱税者に対して刑事責任を追及し、その一罰百戒の効果を通じて、適正・公平な課税の実現と申告納税制度の維持に資することを目的としている。

国税査察官は、経済取引の広域化、デジタル化、国際化等による脱税の手段・方法の複雑・巧妙化など、経済社会情勢の変化に的確に対応し、悪質な脱税者に対して厳正な調査を実施している。

★リンクはこちら⇒ 令和5年度査察の概要

2024年7月31日


パンフレット『国税査察制度~脱税は、犯罪。~』(令和6年6月)

国税庁は、パンフレット『国税査察制度~脱税は、犯罪。~』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ パンフレット『国税査察制度~脱税は、犯罪。~』(令和6年6月)

2024年7月30日


電子帳簿保存法に関する「お問い合わせの多いご質問」(随時更新)

国税庁は、電子帳簿保存法に関する「お問い合わせの多いご質問」に質問を追加した。

★リンクはこちら⇒ 電子帳簿保存法に関する「お問い合わせの多いご質問」(随時更新)

2024年3月22日


パンフレット「暮らしの税情報」(令和5年度版)

国税庁は、ホームページに「パンフレット「暮らしの税情報」(令和5年度版)」を掲載した。

★リンクはこちら⇒ パンフレット「暮らしの税情報」(令和5年度版)

2023年8月18日


電話等の事前予約による申告相談体制への移行のお知らせ

具体的に書類や事実関係を確認する必要がある場合など、電話での回答が困難な相談内容については、所轄の税務署において面接にて相談を受けている。

面接相談は、面接時間を十分に確保するほか、持参していただく書類などを伝える必要があることから、電話等で事前に相談日時等をご予約いただいている。

入場整理券による個人の確定申告に関する申告相談体制については、令和5年3月16日(木)以降、税務署ごとに順次終了し、電話等の事前予約による申告相談体制に移行していく。

★リンクはこちら⇒ 電話等の事前予約による申告相談体制への移行のお知らせ

2023年3月14日


国税庁ホームページ携帯版サイト閉鎖のお知らせ

国税庁ホームページ携帯版サイト(https://www.nta.go.jp/m/)は、2021年5月31日(月)をもって閉鎖となる。

2021年5月31日(月)以降は、パソコン、スマートフォンなどから国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/)をご覧のこと。

★リンクはこちら⇒ 国税庁ホームページ携帯版サイト閉鎖のお知らせ

2021年5月19日


税務署の内部事務のセンター化について

<内部事務のセンター化の概要>
国税庁では、内部事務の効率化・高度化を図るとともに、納税者利便の向上や外部事務(調査・徴収事務)の充実・高度化を目指し、令和元年7月から、複数の税務署(対象署)の内部事務(※)を専担部署(センター)で集約処理する「内部事務のセンター化」の試行に取り組んでいる。

令和3年7月からは、国税局の組織として「業務センター室」(仮称)を設置するなど国税組織の体制を変更した上で、一部の税務署を対象とした「内部事務のセンター化」の実施へ移行する。

()内部事務とは、例えば、申告書の入力処理、申告内容等についての照会文書の発送などの事務をいう。

<納税者や税理士の皆様へのお願い>
内部事務のセンター化は、納税者の皆様の所轄税務署を変更するものではないが、内部事務を処理するため、納税者や税理士の皆様に対し、センターから電話や文書により問合せることがある。

なお、センターから送付する文書によって、行政指導の責任者が国税局長となる場合がある。

令和3年7月以降、内部事務のセンター化の対象となっている税務署(対象署)に、申告書、申請書等を提出する場合は、以下のとおり対応すること。

  • e-Tax(データ)により提出する場合は、従来どおり所轄税務署へ送信。
  • 書面により提出する場合は、郵送でセンターへ送付。

()書面の申告書、申請書等を、センターへ直接持ち込むことはできない。

電話による税務相談や申請書、申告書等の送付は、従来どおり電話相談センターまたは所轄税務署まで問い合わせること。

納税証明書の交付や現金領収、面接による相談等の窓口対応は、従来どおり所轄税務署で行う。

★リンクはこちら⇒ 税務署の内部事務のセンター化について

2021年5月12日


PDFファイルによる電子納税証明書の発行等について

2021年7月から、電子納税証明書について、従来のXMLファイルに加え、PDFファイル(以下「電子納税証明書(PDF)」という。)による発行ができるようになる。

なお、電子納税証明書(PDF)の導入に伴い、納税証明書のデザインが変わる。

パソコンからe-Tax(Web版)にログインし、「納税証明書の交付請求書(電子交付用)」から、PDFデータを選択し、画面表示に従い必要事項を入力し、送信することで電子納税証明書(PDF)の申請ができる。

また、e-Taxでの送信及びメッセージボックスの確認には、マイナンバーカードなどの電子証明書が必要でである。

★リンクはこちら⇒ PDFファイルによる電子納税証明書の発行等について

2021年5月11日


税務署窓口における押印の取扱いについて

令和2年12月21日に「令和3年度税制改正の大綱」が閣議決定され、税務関係書類の押印の見直しについて、以下の方針が示された。

提出者等の押印をしなければならないこととされている税務関係書類について、次に掲げる税務関係書類を除き、押印を要しないこととするほか、所要の措置を講ずる。

(1) 担保提供関係書類及び物納手続関係書類のうち、実印の押印及び印鑑証明書の添付を求めている書類
(2) 相続税及び贈与税の特例における添付書類のうち財産の分割の協議に関する書類
(注1) 国税犯則調査手続における質問調書等への押印については、刑事訴訟手続に準じた取扱いとする。
(注2) 上記の改正は、令和3年4月1日以後に提出する税務関係書類について適用する。
(注3) 上記の改正の趣旨を踏まえ、押印を要しないこととする税務関係書類については、施行日前においても、運用上、押印がなくとも改めて求めないこととする。

この閣議決定に基づき、全国の税務署窓口においては、本件見直しの対象となる税務関係書類について押印がなくとも改めて求めないこととする。

★リンクはこちら⇒ 税務署窓口における押印の取扱いについて

2021年1月8日


令和元年度における再調査の請求の概要

  • 国税に関する法律に基づく処分についての納税者の救済制度には、処分庁(税務署長など)に対する再調査の請求や国税不服審判所長に対する審査請求という行政上の救済制度(不服申立制度)と、裁判所に対して訴訟を提起して処分の是正を求める司法上の救済制度がある。
  • このうち、「再調査の請求」は、税務署長などが更正・決定や差押えなどの処分をした場合に、その処分に不服がある納税者が税務署長などに対してその処分の取消しや変更を求める手続である。
  • 国税庁においては、納税者の権利利益の救済及び行政の適正な運営の確保という制度の趣旨を踏まえた適切な不服申立事務の遂行に努めている。

1.再調査の請求の発生状況
再調査の請求の発生件数は1,359件で、前年度より33.5%減少

2.再調査の請求の処理状況
再調査の請求における認容割合は12.4%

★リンクはこちら⇒ 令和元年度における再調査の請求の概要

2020年7月30日


令和元年度における訴訟の概要(令和2年6月)

  • 国税に関する法律に基づく処分についての納税者の救済制度には、処分庁に対する再調査の請求及び国税不服審判所長に対する審査請求という行政上の救済制度(不服申立制度)と、裁判所に対して訴訟を提起して処分の是正を求める司法上の救済制度がある。
  • 納税者は、上記の行政上の不服申立てを経た後、なお不服があるときは、裁判所に対して「訴訟」を提起することができる。
  • 国税庁においては、法務当局とも連携し訴訟事務の適切な遂行に努めている。

1.訴訟の発生状況
訴訟の発生件数は223件で、前年度より23.2%増加(第一審発生件数は微増)

2.訴訟の終結状況
国側敗訴件数は21件、国側敗訴割合は9.7%

★リンクはこちら⇒ 令和元年度における訴訟の概要(令和2年6月)

2020年7月21日


令和元年度査察の概要

査察制度は、悪質な脱税者に対して刑事責任を追及し、その一罰百戒の効果を通じて、適正・公平な課税の実現と申告納税制度の維持に資することを目的としている。

国税査察官は、近年における経済取引の広域化、国際化及びICT化等による脱税の手段・方法の複雑・巧妙化など、経済社会情勢の変化に的確に対応し、悪質な脱税者に対して厳正な調査を実施している。

【令和元年度の取組】

  • 検察庁に告発した件数は116件、脱税総額(告発分)は93億円
  • 海外に不正資金を隠す国際事案、無申告ほ脱事案のほか、市場が拡大する分野や時流に即した社会的波及効果の高い事案を告発
  • 重点事案(注)として、消費税受還付事案11件、無申告ほ脱事案27件、国際事案25件を告発。
  • 国際事案では、海外に不正資金を隠した所得税ほ脱事案で、国外財産調書の不提出犯を初適用。
  • 無申告ほ脱事案は、申告納税制度の根幹を揺るがすものであり、平成23年に創設された単純無申告ほ脱犯も含め、過去5年間で最も多い27件を告発。
  • その他、インターネット広告会社や消費税還付コンサルにより多額の利益を得た税理士など、市場が拡大する分野や時流に即した社会的波及効果の高い事案を告発。

(注)重点事案とは、消費税受還付事案、無申告ほ脱事案、国際事案及びその他社会的波及効果が高いと見込まれる事案をいう。

【令和元年度中の判決状況】

  • 124件の一審判決全てに有罪判決が言い渡され、5人に実刑判決
  • 最も重い実刑判決は、査察事件単独に係るものでは懲役 10 月、他の犯罪と併合されたものが懲役9年。

★リンクはこちら⇒ 令和元年度査察の概要

2020年7月17日


公用文等における日本人の姓名のローマ字表記について

2019年10月25日の「公用文等における日本人の姓名のローマ字表記に関する関係府省庁連絡会議」において、各府省庁が作成する公用文等において日本人の姓名をローマ字表記する際は、原則として「姓―名」の順で表記することの申合せが行われた。

詳細はリンク先の首相官邸ホームページをご覧のこと。

★リンクはこちら⇒ 公用文等における日本人の姓名のローマ字表記について

2020年4月20日


国税庁レポート2019

国税庁は、「国税庁レポート2019」を公表した。

 ★リンクはこちら⇒ 国税庁レポート2019

2019年8月19日


QRコードを利用したコンビニ納付手続の開始について

コンビニ納付は、従来、税務署から交付又は送付されたバーコード付の納付書がなければ利用できなかったが、平成31年(2019年)1月4日(金)以降、自宅等において納付に必要な情報(氏名や税額など)をいわゆる「QRコード」(PDFファイル)として作成・出力することにより可能となる。

利用方法は以下のとおり。

自宅等で作成・出力した「QRコード」(PDFファイル)をコンビニ店舗に持参
いわゆるキオスク端末(「Loppi」や「Famiポート」)に読み取らせることによりバーコード(納付書)が出力
バーコード(納付書)によりレジで納付

(注)詳細な利用方法等については、今後お知らせがある。


1.QRコードの作成・出力方法

(1)確定申告書等作成コーナーからの作成・出力
確定申告書等作成コーナーにおいて、所得税、消費税、贈与税の申告書を作成する際に、QRコードの作成を選択することで、申告書に併せて、QRコード(PDFファイル)を印字した書面が出力(作成)される。
(2)国税庁ホームページからの作成・出力
国税庁ホームページのコンビニ納付用QRコード作成専用画面において、納付に必要な情報(住所、氏名、納付税目、納付金額等)を入力することで、QRコード(PDFファイル)を印字した書面が出力(作成)される。
(注1)納付できる金額は従来のコンビニ納付と同様に30万円以下となる。
(注2)作成したQRコード(PDFファイル)をスマートフォンやタブレット端末に保存し、スマートフォンやタブレット端末の画面に表示してキオスク端末に読み取らせることも可能である。

2.利用可能コンビニ
ローソン、ナチュラルローソン、ミニストップ(いずれも「Loppi」端末設置店舗のみ)
ファミリーマート(「Famiポート」端末設置店舗のみ)

QRコードは㈱デンソーウェーブの登録商標である。

 ★リンクはこちら⇒ QRコードを利用したコンビニ納付手続の開始について

2018年11月13日


「平成30年7月豪雨」により被災された納税者の国税に関する法律に基づく申告・納付等の期限の延長について

この度の平成30年7月豪雨により被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。

国税庁は、下記の指定地域に納税地のある方について、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出及びその他の書類の提出並びに納付等の期限を延長(地域指定)することとした。

1.対象となる納税者
下記の指定地域に納税地のある方(法人を含む。)

(注)対象地域については、今後の状況を踏まえて見直す可能性がある。

2.延長される期限
平成30年7月5日以後に到来する国税の申告・納付等の期限について、自動的に延長されることとなる。
なお、申告・納付等の期限をいつまで延長するかについては、今後、被災者の状況に十分配慮して検討するとのこと。

3.指定地域外に納税地のある方の期限延長
指定地域外に納税地のある方であっても、今回の豪雨により被災された方については、所轄の税務署長に対して個別に申請することにより、申告・納付等の期限の延長を受けることができるので、状況が落ち着けば、税務署へご相談ください。

 ★リンクはこちら⇒ 「平成30年7月豪雨」により被災された納税者の国税に関する法律に基づく申告・納付等の期限の延長について

2018年8月3日


国税審判官(特定任期付職員)のコラム

国税不服審判所は、国税審判官(特定任期付職員)を志す方の多くが国税不服審判所を身近に感じるとともに、国税審判官の業務に興味・関心を抱いていただけるよう、ホームページに、特定任期付職員によるコラムの掲載を開始した。

コラムは、税理士・弁護士・公認会計士の現職国税審判官がリレー形式で執筆し、毎月1回の掲載を予定している。

ちなみに、第1回は『審判所ってこんなところ』である。

 ★リンクはこちら⇒ 国税審判官(特定任期付職員)のコラム

2018年4月6日


国税庁ホームページリニューアルのお知らせ(2018年3月)

国税庁では、電子政府指針等を踏まえ、ホームページの更なる利便性の向上を図るため、平成30年(2018年)3月31日(土)に国税庁ホームページのリニューアルを行う。

<リニューアルの対象>
国税庁ホームページ(www.nta.go.jpをドメインとするサイト)

※以下のサイトは、今回のリニューアルの対象にはならない。
•国税電子申告・納税システム(e-Tax)(www.e-tax.nta.go.jp)
•確定申告書等作成コーナー(www.keisan.nta.go.jp)
•財産評価基準書(路線価図・評価倍率表)(www.rosenka.nta.go.jp)
•公売情報(www.koubai.nta.go.jp)
•法人番号公表サイト(www.houjin-bangou.nta.go.jp)
•国税不服審判所(www.kfs.go.jp)

<ご留意いただきたい事項>
リニューアルに当たり、トップページのURL(https://www.nta.go.jp)に変更はないが、情報分類の整理を行ったことから、各ページの掲載場所や全てのページのURLが変更になる。
各ページをブックマークに登録されている方やリンク設定をされている方は、リニューアル後にブックマークの再登録やリンク設定の変更が必要になる。

 ★リンクはこちら⇒ 国税庁ホームページリニューアルのお知らせ(2018年3月)

2018年3月27日


~口座開設等を行う法人の方へ~
金融機関等で法人の方が口座開設等をする際は、「特定法人」に該当するかどうかの確認が必要です!(平成30年2月)

平成27年度税制改正(平成29年1月1日施行)により、平成29年1月1日以後、新たに国内に所在する金融機関等(銀行、証券会社、保険会社、組合、信託等)で口座開設等を行う方(自然人、法人、組合等)は、金融機関等へその方の居住地国等を記載した届出書()の提出が必要となる。

届出書には、氏名・住所(名称・所在地)、居住地国、外国の納税者番号などを記載する必要がある。
詳しくは、リーフレット「~口座開設等を行う方へ~ 金融機関等で口座開設等をする際は、居住地国等を記載した届出書の提出が必要です!」をご覧のこと。

さらに、口座開設等を行う方が法人である場合、「特定法人」に該当するかどうかを確認していただき、「特定法人」に該当するときには、その法人の「実質的支配者」に係る居住地国等についても届出書に記載する必要がある。

 ★リンクはこちら⇒ ~口座開設等を行う法人の方へ~ 金融機関等で法人の方が口座開設等をする際は、「特定法人」に該当するかどうかの確認が必要です!(平成30年2月)

2018年3月13日


「審査請求書作成・提出時のセルフチェックシート」の新設

国税不服審判所は、審査請求をされる方に向けて、審査請求書が正しく作成・提出されるよう、ポイントや誤りやすい点をまとめた「審査請求書作成・提出時のセルフチェックシート」を、ホームページに掲載した。

審査請求書を提出する前に、ご自身で、記載漏れや不備等がないことを確認する際にご活用のこと。

 ★リンクはこちら⇒ 提出書類一覧(審査請求関係)

2018年2月15日


ダイレクト納付口座の複数利用の開始

預貯金口座ごとにあらかじめ「ダイレクト納付利用届出書」を提出することで、平成30年1月4日(木)から、ダイレクト納付の際に利用する預貯金口座を選択することができるようになる。

これにより、例えば、源泉所得税や法人税など、税金の種類別に異なる預貯金口座を使用して、ダイレクト納付が利用できる。

ますます便利なダイレクト納付を、この機会に是非利用しよう。

※1
同一金融機関における複数の預貯金口座のダイレクト納付の利用可否については、「利用可能金融機関一覧」を確認のこと。
※2
各金融機関における複数の預貯金口座の開設の可否については、利用金融機関に確認のこと。

 ★リンクはこちら⇒ ダイレクト納付口座の複数利用の開始

2017年12月20日


平成29年度版暮らしの税情報 Edit

国税庁は、『平成29年度版暮らしの税情報』を、ホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒平成29年度版暮らしの税情報

2017年10月10日

「同業者団体等からの照会に対する文書回答の事務処理手続等について」の一部改正について(事務運営指針) Edit

標題のことについては、平成16年2月17日付課審1-3ほか8課共同「同業者団体等からの照会に対する文書回答の事務処理手続等について」(事務運営指針)の一部を下記のとおり改正したから、平成29年7月1日以後に受け付ける照会に対する文書回答手続等については、これによること。

<趣旨>
同業者団体等からの照会に対する文書回答の事務処理手続等について、納税者利便の一層の向上の観点から、所要の整備を行うものである。

★リンクはこちら⇒「同業者団体等からの照会に対する文書回答の事務処理手続等について」の一部改正について(事務運営指針)(課審1-31 課総2-5 課個1-11 課資1-21 課法1-39 課酒1-28 課評1-7 課消1-11 課軽1-3 査調1-29 平成29年5月23日)

2017年10月4日

「事前照会に対する文書回答の事務処理手続等について」の一部改正について(事務運営指針)

標題のことについては、平成14年6月28日付課審1-14ほか8課共同「事前照会に対する文書回答の事務処理手続等について」(事務運営指針)の一部をリンクのとおり改正したから、平成29年7月1日以後に受け付ける事前照会に対する文書回答手続等については、これによること。

<趣旨>
事前照会に対する文書回答の事務処理手続等について、納税者利便の一層の向上の観点から、所要の整備を行うものである。

★リンクはこちら⇒ 「事前照会に対する文書回答の事務処理手続等について」の一部改正について(事務運営指針)(課審1-31 課総2-5 課個1-11 課資1-21 課法1-39 課酒1-28 課評1-7 課消1-11 課軽1-3 査調1-29 平成29年5月23日)

2017年7月20日

国税庁レポート2017

国税庁は、『国税庁レポート2017』を、ホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ 国税庁レポート2017

2017年7月19日

平成29年2月19日及び2月26日の日曜日に確定申告の相談を行う税務署

平成28年分確定申告期間中は、平日(月から金曜日)以外でも、一部の税務署では、2月19日と2月26日に限り日曜日も、確定申告の相談・申告書の受付を行う。

閉庁日対応を行う税務署等については、下記リンクを参照のこと。

道府県内の一部の税務署で閉庁日対応を行う場合、確定申告電話相談センターなどで、広く道府県内の納税者の方々からの電話相談にお答えする。
税務署にお越しの際は、なるべく公共交通機関を利用すること。

なお、税務署は、通常、土・日・祝日は閉庁している。

ちなみに、香川県は高松税務署のみである。

★リンクはこちら⇒ 平成29年2月19日及び2月26日の日曜日に確定申告の相談を行う税務署

2017年2月3日

税務署窓口へ税務関係書類を提出される際の「提出票」作成

平成29年1月から 納税者の方が 税務署の総合窓口(管理運営部門の窓口)で申告書・届出書等の税務関係書類を提出される際には、以下のとおり「提出票」を記載・提出することになった。

<施策の概要>
平成29年1月から、税務署に多くのマイナンバー記載書類が提出されることなり、税務行政において社会保障・税番号制度が本格化した 。
これを契機に、重要な個人情報を取り扱う行政関として提出された書類を従来にも増して厳格に管理する必要があることから、納税者(税理士)の方が税務署の総合窓口(管理運営部門の窓口)で申告書・届出等の税務関係類を提出される際には、併せて「提出票」の記載・提出をお願いすることした。

<施策の開始時期>
本施策は、原則として平成29年1月から実施している。

税務署の総合窓口(管理運営部門の窓口)で税務関係書類を提出される際、提出票を作成し、提出書類及び提出票を総合窓口へ提出する。
提出票の様式は、税務署総合窓口で渡される。
受付担当者が、提出受付担当者が、提出書類の概要を提出票に記録するとともに、提出書類の収受手続を行う。

★リンクはこちら⇒ 税務署窓口へ税務関係書類を提出される際の「提出票」作成

2017年1月6日

クレジットカード納付

<概要>
クレジットカード納付とは、インターネット上でのクレジットカード支払の機能を利用して、国税庁長官が指定した納付受託者(トヨタファイナンス株式会社)へ、国税の納付の立替払いを委託することにより国税を納付する手続である。
クレジットカード納付は、平成29年1月4日8時30分からサービスを開始することとしており、同日10時00分に当ページから専用のWebサイトにアクセスを可能とする更新を行う予定である。

<対象となる国税>
申告所得税及び復興特別所得税法人税消費税及び地方消費税、贈与税、酒税などほぼ全ての税目で利用可能である(一部対象外の税目がある。)。
詳しくは下記リンクの『クレジットカード納付のQ&A』を参照のこと。

<ご準備いただくもの>
納付する税目や金額のわかるもの(確定申告書など)と、利用するクレジットカード

<受付時間>
24時間利用可能
※メンテナンス作業等でご利用いただけない時間が生じる場合がある。

<注意事項>
1.クレジットカード納付では、納付税額に応じた決済手数料がかかる。
※決済手数料は、国の収入になるものではない。
2.クレジットカード納付ができる金額は、1,000万円未満、かつ、ご利用になるクレジットカードの決済可能額以下の金額(決済手数料含む)である。
3.利用可能なクレジットカードは、Visa、Mastercard、JCB、American Express、Diners Club、TS CUBIC CARDである。
4.領収証書は発行されない。
※領収証書が必要な方は、最寄りの金融機関又は所轄の税務署の窓口で納付のこと。
5.「国税クレジットカードお支払サイト」での納付手続が完了すると、その納付手続の取消しはできない。
6.納付手続の完了後、その納付手続により納付済となった国税については、納税の猶予等を受けることはできない。
7.国税のクレジットカード納付はインターネット上のみの手続であり、金融機関やコンビニエンスストア、税務署の窓口では、クレジットカードによる納付はできない。
8.クレジットカード納付をしてから、納付済の納税証明書の発行が可能となるまで、3週間程度かかる場合がある。

<クレジットカード納付の方法>
・インターネットの利用が可能なパソコン、スマートフォン及びタブレット端末から「国税クレジットカードお支払サイト」へアクセスする。
※アクセス方法
①国税庁ホームページから
国税庁ホームページで「国税クレジットカードお支払サイト」をクリックしてアクセス(平成29年1月4日からアクセス可能)
②確定申告書等作成コーナーから
確定申告書等作成コーナーで、納税額のある申告書を作成した場合などに表示される納付方法の案内画面からアクセス(平成29年1月4日からアクセス可能)
③サイトの検索等
各種検索エンジンで「国税クレジットカード納付」と検索していただくか、サイトURL「https://kokuzei.noufu.jp」を入力してアクセス
④e-Tax(国税電子申告・納税システム)から
平成29年6月からの開始を予定している。
・「国税クレジットカードお支払サイト」での手続は『クレジットカード納付手続の流れ』を参考のこと。

<その他>
その他ご不明な点は、下記リンクの『クレジットカード納付のQ&A』を参照のこと。

★リンクはこちら⇒ クレジットカード納付のQ&A

2016年12月20日

平成29年度税制改正大綱

自民党・公明党は、2016年12月8日に『平成29年度税制改正大綱』を公表した。

★リンクはこちら⇒ 平成29年度税制改正大綱

2016年12月8日

パンフレット『暮らしの税情報』(平成28年度版)

国税庁は、パンフレット『暮らしの税情報』(平成28年度版)を作成した。

目次は、以下のとおり。

  • 税の基礎知識
  • 給与所得者と税暮らしの中の税不動産と税
  • 贈与・相続と税申告と納税
  • 高齢者や障害者と税
  • 暮らしの中の税
  • 不動産と税 贈与・相続と税
  • 申告と納税
  • その他

★リンクはこちら⇒ パンフレット『暮らしの税情報』(平成28年度版)

2016年8月10日

租税教育の事例集(平成28年5月改訂版)

平成27年4月、租税教育推進関係省庁等協議会(中央租推協)では、租税教育に対する教員等の意識啓発を図ることを目的とし、全国で行われている租税教育の優れた取組事例などを基に、租税教育の事例集を作成した。

租税教育に関係する様々な立場の方に広く御活用いただけるつくりとしているので、よりよい租税教育の授業づくりのため、関連する教科・時間などにおいて、ぜひ活用すること。

★リンクはこちら⇒ 租税教育の事例集(平成28年5月改訂版)

2016年7月11日

添付書類のイメージデータによる提出

e-Taxでの添付書類のイメージデータによる提出については、平成28年4月1日より開始している。
ただし、以下に掲載している添付書類については、平成29年1月4日(水)までは、イメージデータによる提出はできない。
また、平成29年1月3日(火)以前に提出した申告、申請・届出等に係る添付書類については、平成29年1月4日(水)以降もイメージデータによる提出はできない。

<申告>

  1. 所得税確定申告等
  2. 贈与税申告

<申請・届出等>

  1. 所得税関係
  2. 相続税・贈与税関係
  3. 消費税(個人)関係
  4. 電子帳簿保存法関係(個人)

★リンクはこちら⇒ 添付書類のイメージデータによる提出

2016年6月3日

e-Taxの受付日の拡大

e-Taxの受付日については、平成28年5月以降、利用者の利便性向上の観点から、法人税申告書等の提出が多い、5月、8月、11月の最後の土曜日及び日曜日を拡大する。

なお、平成28年5月以降のe-Taxの受付日等は以下のとおり。
1.通常期
【受付日】

  • 月曜日~金曜日(祝日等及び12月29日~1月3日を除く。)
  • 5月、8月、11月の最後の土曜日及び日曜日(月末が土曜日の場合は、最後の日曜日を翌月の最初の日曜日とする。)

【受付時間】

  • 8時30分~24時

【平成28年度における土日対応】

  • 平成28年5月28日(土)、29日(日)
  • 平成28年8月27日(土)、28日(日)
  • 平成28年11月26日(土)、27日(日)

2.所得税等の確定申告時期

  • 全日(土日祝日等を含む。)24時間(メンテナンス時間を除く。)

具体的な期間については、12月上旬にe-Taxのホームページでお知らせする予定である。

★リンクはこちら⇒ e-Taxの受付日の拡大について

2016年5月16日

平成27年度の確定申告期におけるe-Tax・作成コーナーヘルプデスク電話混雑予想

国税庁は、『平成27年分確定申告期におけるe-Tax・作成コーナーヘルプデスクの電話混雑予想』を公表した。

それによると、平成27年分確定申告が始まる2月16日前後や3月に入ると「比較的電話が繋がりにくい状況」や「多少お待ちいただく場合がある」と予想しているほか、月曜日や12~16時の時間帯は問い合わせが集中する傾向にあるとしており、問い合わせの際は注意したい。

★リンクはこちら⇒ 平成27年度の確定申告期におけるe-Tax・作成コーナーヘルプデスク電話混雑予想

2016年1月29日

税務当局における税務代理人の本人確認書類

日本税理士会連合会(日税連)は、税務当局における税務代理人の本人確認について、国税庁及び総務省にその取扱いを確認し、一覧に取りまとめた。

国税関係手続、地方税関係手続ともに、基本的には同様の取扱いとなる。

なお、税務代理権限証書の添付の有無により、実際に番号を提供したとみなされる者及び提出する書類が異なる点に留意すること。

★リンクはこちら⇒ 税務当局における税務代理人の本人確認書類

2016年1月7日

マイナンバー制度に便乗した不正な勧誘や個人情報の取得にご注意ください!

内閣府のコールセンターや地方公共団体、消費生活センターなどに、マイナンバー制度に便乗した不正な勧誘や個人情報の取得を行おうとする電話、メール、手紙、訪問等に関する情報が寄せられている。
注意していただきたい事項、困った場合の相談窓口、これまでに寄せられている相談事例をお知らせしている。

マイナンバー制度をかたった不審な電話、メール、手紙、訪問等には十分注意し、内容に応じて、相談窓口を利用してください。

★リンクはこちら⇒ マイナンバー制度に便乗した不正な勧誘や個人情報の取得にご注意ください!

2015年11月19日

社会保障・税番号制度<マイナンバー>FAQページの改修

国税庁は、社会保障・税番号制度<マイナンバー>FAQページを改修した。

申告書等の税務関係書類に個人番号・法人番号を記載しなければならない対象者、申告書等の税務関係書類への個人番号・法人番号の記載時期、法定調書提出義務者等(個人番号関係事務実施者)における本人確認方法など、国税分野における個人番号・法人番号の利用に関するFAQを掲載している。

★リンクはこちら⇒ 社会保障・税番号制度<マイナンバー>FAQページの改修

2015年11月12日

税の役割と税務署の仕事

国税庁は、取組紹介ページ「税の役割と税務署の仕事」を開設した。

★リンクはこちら⇒ 税の役割と税務署の仕事

2015年11月5日

法人番号公表サイト

法人にもマイナンバーが付与されるが、平成27年10月26日(月)の夕刻以降、通知したものから順次、法人の基本3情報を検索・閲覧することができるようになっている。

このサイトでは、法人番号の指定を受けた者の
1.商号又は名称
2.本店又は主たる事務所の所在地
3.法人番号(基本3情報)
を公表している。

また、「基本3情報ダウンロード」画面より、データをダウンロードすることもできる。

★リンクはこちら⇒ 法人番号公表サイト

2015年10月29日

法人番号指定通知書の転送

国税庁では、本年10月から通知を開始している法人番号について、よくある質問と回答をホームページ上で「法人番号に関するFAQ」として公表している。

この度、当該FAQのうちQ5-2「法人番号指定通知書が届かない場合は、どのようにすればいいのでしょうか。」に、登記上の本店所在地と実態が異なる場合、郵便局の転居・転送サービスを利用することができるとの記載が追加された。

★リンクはこちら⇒ 法人番号指定通知書の転送

2015年10月22日

個人番号カードの交付申請を予定されている方へ

個人の方がe-Taxで申告手続等を行う際に必要な公的個人認証サービスに基づく電子証明書については、現在、「住民基本台帳カード」に格納されているが、平成28年1月以降、「個人番号カード」に格納されることとなる。

この「個人番号カード」の交付申請については、平成27年10月から可能となるが、申請が集中した場合、カードの作成に時間を要し、市区町村窓口における交付が遅れる可能性がある旨の注意が総務省ホームページに掲載されている。

詳しくは、総務省ホームページ「『住民基本台帳カードの電子証明書を利用されている皆様へ』~有効期間満了に伴う失効について~」を確認のこと。

★リンクはこちら⇒ 住民基本台帳カードの電子証明書を利用されている皆様へ』~有効期間満了に伴う失効について~

2015年10月16日

退職手当金等受給者別支払調書

死亡退職により退職手当等を支払った場合は、「退職所得の源泉徴収票」は提出する必要はなく、相続税法の規定による「退職手当金等受給者別支払調書」を提出することになる。

支払った日の属する月の翌月15日までに、「退職手当金等受給者別支払調書」に「平成 年 月分 退職手当金等受給者別支払調書合計表」を添付して、納税地等を所轄する税務署長に送付または持参する必要がある。

★リンクはこちら⇒ 退職手当金等受給者別支払調書

2015年9月18日

「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」及び「(別冊)金融業務における特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン」 に関するQ&A(平成26年12月11日)(平成27年8月6日更新)

特定個人情報保護委員会は、「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」及び「(別冊)金融業務における特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン」 に関するQ&Aを追加・更新した。

★リンクはこちら⇒ 「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」及び「(別冊)金融業務における特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン」 に関するQ&A(平成26年12月11日)(平成27年8月6日更新)

2015年9月3日

東日本大震災による被災者、 DV・ストーカー行為等・児童虐待等の被害者、 一人暮らしで長期間医療機関・施設に入院・入所されている方へ

平成27年10月以降、国民一人一人の住民票の住所地にマイナンバー(個人番号)が「通知カード」により通知される。
この「通知カード」は、皆さまの住民票の住所地に簡易書留で送付される。

しかしながら、

  • 東日本大震災による被災者
  • ドメスティック・バイオレンス(DV)、ストーカー行為等、児童虐待等の被害者(以下「DV等被害者」という。)
    の方で、住民票を残して、別の場所(居所)にお住まいの方や、
  • 長期間にわたって医療機関・施設等に入院・入所することが見込まれ、かつ、入院・入所期間中は住所地に誰も居住していない方

などについては、住民票の住所地では通知カードを受け取ることができないこと、また、住民票の住所地に送付された通知カードをDV等の加害者が受け取ってしまうことも想定される。

住民票の住所地と異なる場所(居所)にお住まいの方は、居所に生活の本拠がある場合にはそこに住民票を異動することが基本だが、上記のような方については、現在お住まいの場所(居所)を登録すれば、そこに通知カードを送付してもらうことも可能なので、該当する方は居所情報の登録申請をすること。

★リンクはこちら⇒ 東日本大震災による被災者、 DV・ストーカー行為等・児童虐待等の被害者、 一人暮らしで長期間医療機関・施設に入院・入所されている方へ

2015年8月24日

FY2015 Japan Tax Reform

財務省は先日、パンフレット「平成27年度税制改正」の英語版を発刊した。
目次は、以下のとおり。

 Chapter1  Corporate Taxation
 Chapter2  Consumption Taxation
 Chapter3  International Taxation
 Chapter4  Development of the Environment for Tax Payment
 Chapter5  Individual Income Taxation
 Chapter6  Property Taxation

★リンクはこちら⇒ FY2015 Japan Tax Reform

2015年8月17日

パンフレット「暮らしの税情報」(平成27年度版)

国税庁は、パンフレット「暮らしの税情報」(平成27年度版)を作成した。

★リンクはこちら⇒ パンフレット「暮らしの税情報」(平成27年度版)

2015年8月5日

中小企業・小規模事業者向けのマイナンバー電子書籍(入門編資料、チェックリスト)

日本商工会議所は、経営に役立つ情報を電子書籍で提供する『商工会議所ライブラリー』において、中小企業向けにマイナンバー制度のポイントを絞って分かりやすく説明した『マイナンバー(社会保障・税番号制度)がはじまります!中小企業の皆さんへ(入門編)』および、小規模事業者がマイナンバー導入時に対応すべき内容をまとめた『マイナンバー導入チェックリスト』(いずれも内閣府作成)を掲載した。

★『マイナンバー(社会保障・税番号制度)がはじまります!中小企業の皆さんへ(入門編)』のリンクはこちら⇒ 『マイナンバー(社会保障・税番号制度)がはじまります!中小企業の皆さんへ(入門編)』
★『マイナンバー導入チェックリスト』のリンクはこちら⇒ 『マイナンバー導入チェックリスト』

2015年7月7日

インターネット番組ダイジェスト版

国税庁は、『インターネット番組ダイジェスト版』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ インターネット番組ダイジェスト版(既に削除済み)

2015年6月18日

国税電子申告・納税システム(e-Tax)ご利用案内(平成27年4月)

国税庁は、「国税電子申告・納税システム(e-Tax)ご利用案内(平成27年4月)」をホームページに掲載した。

e-Taxのメリットとしては以下のようなものがある。

  • 税務署へ出向くことなく、インターネットを利用して申告、申請・届出、納付などの手続を行うことができる。
  • 所得税の確定申告において、添付書類(源泉徴収票や医療費の領収書など)の内容を入力して送信することにより、添付を省略することができる。
  • e-Taxで提出された還付申告は、還付金を3週間程度で受け取ることができる。
  • 確定申告書等作成コーナーを利用すれば、自動計算機能等により容易かつ正確に申告書を作成することができる。
  • 納税証明書の交付請求手数料が書面請求の場合よりも安価である。

★リンクはこちら⇒ 国税電子申告・納税システム(e-Tax)ご利用案内(平成27年4月)(既に削除済み)

2015年6月12日

マイナンバーの利用開始日が平成28年1月1日で確定

マイナンバーの利用開始日が、平成28年1月1日で確定した。

既に利用開始日を平成28年1月1日とする予定で周知されていたが、マイナンバー法の施行日を平成27年10月5日とし、同法附則第1条4号に定めるマイナンバーの利用等の施行日を平成28年1月1日とする政令が4月3日に公布されたことから確定した。

平成27年度税制改改正では、マイナンバー導入後、確定申告書等に住民票の写し等の添付が不要になる規定が盛り込まれた。
これらの適用期日は、マイナンバーの利用等の施行日とリンクしてくる。
施行日の確定により、確定申告書等は平成28年1月1日の属する年分以後、相続・贈与税申告書等は平成28年1月1日以後の相続・遺贈・贈与により取得する財産に係るもの、地方税申告書等は平成28年1月1日以後に提出する申告書に適用される。

1人に1つ。マイナンバー

番号制度の概要、メリットや今後のスケジュールについて分かりやすく解説している政府広報のサイトである。

★リンクはこちら⇒ 1人に1つ。マイナンバー

2015年5月8日

法人番号について(ご紹介コーナー)

国税庁は、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(番号法)」に基づき、法人番号の指定、通知、公表に関する事務を行うこととなった。

国税庁では、法人番号の付番機関として、平成27年10月からの番号の指定、通知、公表業務の適切な実施に向け、法人番号のシステム構築などの準備を進めている。

現在構築中である法人番号の公表サイトの運用開始までの間、このコーナーを通じて、法人番号に関する最新情報を、順次提供していく。

★リンクはこちら⇒ 法人番号について(ご紹介コーナー)

2015年4月23日

国税の番号制度に関する情報

国税庁のホームページで、番号制度の概要・よくある質問や国税関係書類への番号記載時期や国税関係手続の本人確認方法など、番号制度に関連した国税に関する情報をカテゴリー別に整理している。

★リンクはこちら⇒ 国税の番号制度に関する情報

2015年4月14日

平成25年度分会社標本調査結果

国税庁は、平成25年度分会社標本調査結果について、ホームページに掲載した。
平成25年度分の推計調査結果から見た主要な点は、以下のとおりである。

  • 平成25年度分の法人数は259万5,903社で、このうち連結親法人は1,392社、連結子法人は10,171社となっている。
  • 資本金の総額は139兆6,664億円となっている。
  • 平成25年度分の法人数259万5,903社から、連結子法人の数(10,171社)を差し引いた258万5,732社のうち、欠損法人は176万2,596社で、欠損法人の割合は68.2%となっている。
    このうち連結法人(1,392社)について見ると、欠損法人が589社で、欠損法人の割合は42.3%となっている。
  • 営業収入金額は1,493兆4,688億円で、このうち利益計上法人の営業収入金額は、
    1,138兆1,711億円、所得金額は49兆7,926億円で、営業収入金額に対する所得金額の割合(所得率)は4.4%となっている。
  • 利益計上法人における益金処分の内訳を構成比で見ると、社内留保51.1%、支払配当23.0%、法人税額15.3%、その他の社外流出10.6%となっている。
  • 法人税額は10兆1,122億円となっている。また、所得税額控除は2兆885億円、外国税額控除は6,492億円となっている。
  • 繰越欠損金の当期控除額は9兆8,041億円で、翌期繰越額は68兆6,344億円となっている。
  • 交際費等の支出額は3兆825億円で、営業収入金額10万円当たりの交際費等は
    206円となっている。
  • 寄附金の支出額は6,986億円で、営業収入金額10万円当たりの寄附金は47円となっている。
  • 貸倒引当金の期末残高は3兆6,451億円となっている。
  • 当期発生分の減価償却費の損金算入額は35兆6,198億円で、損金算入限度額に対する損金算入の割合は92.3%となっている。

★リンクはこちら⇒ 平成25年度分会社標本調査結果

2015年4月7日

税のはたらきから社会の仕組みを学ぼう(小学生以上向け)

国税庁は、インターネット番組『税のはたらきから社会の仕組みを学ぼう(小学生以上向け)』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ 税のはたらきから社会の仕組みを学ぼう(小学生以上向け)

2015年3月24日

マイナンバー制度への対応準備のお願い

一般社団法人日本経済団体連合会(いわゆる経団連)が、先日、『マイナンバー制度への対応準備のお願い』を公表した。

マイナンバー制度(社会保障・税番号制度)の導入に向け、2015年10月より、マイナンバー(個人番号)の市区町村から全国民への通知が開始される。
企業においては、給与所得の源泉徴収票の作成、社会保険料の支払・事務手続きなどでマイナンバーの取扱いが必要となり、対象業務の洗い出しや対処方針の決定等、マイナンバー制度への円滑な対応に向けた準備を行う必要がある。
各社においては、政府の事業者向けマイナンバー広報資料や特定個人情報保護委員会「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」を参照のうえ、実務上の対応準備を進めていただきたい。

★リンクはこちら⇒ マイナンバー制度への対応準備のお願い

2015年3月20日

マイナンバー社会保障・税番号制度

内閣官房は先日、2015年10月から導入される『マイナンバー社会保障・税番号制度』についての概要資料等を公表した。

もうすぐ導入する割には、ほとんど知られておらず、もっと広報活動が必要だと思われる。

★リンクはこちら⇒ マイナンバー社会保障・税番号制度

2015年3月10日

インターネット番組「国税庁ホームページの上手な使い方」

国税庁は、インターネット番組「国税庁ホームページの上手な使い方」をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ インターネット番組「国税庁ホームページの上手な使い方」

2015年2月5日

平成27年2月22日及び3月1日の日曜日に確定申告の相談を行う税務署

平成26年分確定申告期間中は、平日(月~金曜日)以外でも、一部の税務署では、平成27年2月22日と3月1日に限り日曜日も、確定申告の相談・申告書の受付を行う。
閉庁日対応を行う税務署等については、ホームページを参照のこと。
ちなみに、香川県は高松税務署のみである。

道府県内の一部の税務署で閉庁日対応を行う場合、確定申告電話相談センターなどで、広く道府県内の納税者の方からの電話相談に答える。
税務署に行く際には、なるべく公共交通機関を利用すること。
なお、税務署は、通常、土・日・祝日は閉庁している。

★リンクはこちら⇒ 平成27年2月22日及び3月1日の日曜日に確定申告の相談を行う税務署(既に削除済み)

2015年2月4日

確定申告期におけるe-Tax・作成コーナーヘルプデスク電話混雑予想

国税庁は、平成26年分所得税等の確定申告におけるe-Tax利用者へのサービスとして、e-Taxの利用開始のための手続き、e-Taxソフト、確定申告書等作成コーナー及びその利用のためのパソコン操作などに関する問い合わせに電話で対応する専門窓口である「e-Tax・作成コーナーヘルプデスク」の混雑状況を、ホームページ上のe-Taxサイトに掲載した。
このサービスは、ヘルプデスクに電話をかけてもなかなかつながらないとの声を受ける形で平成23年分所得税等の確定申告期から実施しているものである。

混雑予想は、週間混雑予想(時間帯別)と月間混雑予想(日別)に分かれており、週間混雑予想は、縦軸を日付(1週間)、横軸を利用可能時間(「9時~12時」、「12時~14時」、「14時~17時」、「17時~20時」の4区分)とした表形式中に、ほとんど待たずに電話が繋がる場合は「◎」、比較的電話がつながりやすい場合は「○」、混雑することが予想され、つながるまで時間がかかる場合は「△」、非常に混雑することが予想されるため、つながりやすい時間帯への電話を勧める場合は「▲」で明記している。
また、月間混雑予想は、カレンダー様式を用いて1月19日から3月15日まで日別同様にその日の混雑予想をマークで区分している。

ちなみに現在の予想をみると、申告期限間近では3月9日~11日に「▲」が付いている。また、曜日では「月曜日」、時間帯では「11時~16時」に問い合わせが集中する傾向にあるとしている。

★リンクはこちら⇒ 確定申告期におけるe-Tax・作成コーナーヘルプデスク電話混雑予想

2015年1月30日

査察の役割

<査察調査とは>
査察調査とは、悪質な脱税をしている疑いのある者に対し、犯罪捜査に準じた方法で行われる特別な調査ある。調査に当たる国税査察官には、裁判官の発する許可状を受けて事務所などの捜索をしたり、帳簿などの証拠物件を差し押えたりする強制調査を行う権限が与えられている。

<査察調査の目的>
査察調査は、悪質な脱税者に対して単に免れた税金(本税)や重加算税等を納めさせるだけでなく、検察官への告発を通じて懲役や罰金といった刑罰を科すことを目的としている。

<悪質な脱税者に対する刑事責任の追及>
検察官によって裁判所に起訴され有罪が確定すると、懲役や罰金の刑罰が科される。この刑罰は、10年以下の懲役または1,000万円(脱税額が1,000万円を超える場合は、脱税相当額)以下の罰金となるか、あるいは懲役と罰金の併科となる。

<平成25年度の査察の概要>
平成25年度においては、185件の査察調査に着手し、118件(前年度以前の着手事案を含む。)を検察官に告発した(表1)。
平成25年度中に一審判決が言い渡された査察事件116件のうち、115件の事件において有罪判決が出され、実刑判決が9人に出された(表2)。

(表1)平成25年度の査察調査の状況

着手件数 処理件数 告発件数 告発率 脱税総額 内告発分
185件 185件 118件 63.8% 145億円 117億円

(注)脱税額には、加算税額を含む。

(表2)平成25年度中の査察事件の判決(第一審判決)の状況

判決件数 有罪件数 実刑判決数 一件当たり
犯則税額
一人当たり
懲役月数
一人(社)当たり
罰金額
116件 115件 9人 52百万円 12.9か月 12百万円

(注)一件(人・社)当たりの計数は、他の犯罪との併合事件を除いて算出している。

多くの納税者は適正な申告・納税を行っているが、一部に悪質な脱税者がいることは非常に残念なことである。全国に配置されている国税査察官は、悪質な脱税者に対して厳正な態度で臨み、その告発に全力を挙げている。

★リンクはこちら⇒ 査察の役割(既に削除済み)

2014年10月28日

マイナちゃんのマイナンバー解説

内閣官房は、マイナンバーという言葉自体を知らない方や、言葉は聞いたことがあるけれど内容がよくわからないという方向けにマイナンバー制度に関する基本的な疑問点に答えている。

INDEXは、以下のとおり。

  • マイナンバーって、何?何のために導入されるの?
  • 自分のマイナンバーはいつわかるの?
  • マイナンバーはいつから誰がどのような場面で使うの?
  • マイナンバーは自由に使っていいの?個人情報の管理は安全なの?
  • カードが配布されるの?使い道は?
  • 詳しい情報はどこで分かるの?

★リンクはこちら⇒ マイナちゃんのマイナンバー解説

2014年9月25日

平成26年の「税を考える週間」

国税庁は、国民に租税の意義や役割、税務行政に対する知識と理解を深めてもらうため、1年を通じて租税に関する啓発活動を行っているが、毎年11月11日から11月17日を「税を考える週間」として、集中的に様々な広報広聴施策を実施している。

平成26年の「税を考える週間」は、テーマを「税の役割と税務署の仕事」とし、以下のとおり実施する。

1.インターネットを活用した広報
国税庁の取組等を紹介するコーナーを更新
国税庁ホームページ内の「ご紹介します 税の役割と税務署の仕事」を「税を考える週間」の開催に合わせて更新する。
また、スマートフォン版も更新する。

  • 動画で見る税務署の仕事 調査や徴収などの業務をドラマ仕立てで紹介する。
  • イラストやグラフで見る税の役割と税務署の仕事  国税庁の取組等を分かりやすく最新のデータで紹介する。

ツイッターの活用
「税を考える週間」の開催に合わせて各種情報を提供する。
(YouTubeの国税庁動画チャンネルや、国税庁ホームページのインターネット番組「Web-TAX-TV」などの情報を発信する。

2.講演会の実施や関係民間団体等との連携
職員による講演会や関係民間団体、地方公共団体等と連携してイベントや作品展などを実施する。

2014年8月29日

平成26年度版暮らしの税情報

国税庁は、パンフレット「暮らしの税情報」(平成26年度版)を公表した。

どれだけの方が読まれているのかは分からないが、大変分かりやすいものになっている。

★リンクはこちら⇒ パンフレット「暮らしの税情報」(平成26年度版)

2014年7月1日

6月16日から、スマートフォン等でのe-Taxの利用開始

近年、スマートフォンやタブレット端末(以下、「スマートフォン等」という。)の急速な普及が進み、パソコンの代替としてのアクセス手段の多様化が進んでいる。
これらスマートフォン等の普及や利用者からの意見要望を受けて、利便性の向上を図るため、これまでパソコンでの利用を前提としていたe-Taxのサービスのうち、一部の手続等について、スマートフォン等でのご利用を平成26年6月16日(月)より開始する。

1.新たなサービスの名称

  • 「e-Taxソフト(SP版)」
    ※ e-Taxソフト(SP版)のSPとは【SmartPhone】の略称である。

2.利用できる機能及び手続
以下の機能及び手続が利用できる。

  • e-Taxホームページ(スマートフォン等専用)の閲覧
    スマートフォン等専用のe-Taxホームページにて「重要なお知らせ」及び「お知らせ」の閲覧等ができる。
  • e-Taxソフト(SP版)の利用
    スマートフォン等専用のe-Taxホームページへアクセスし、「e-Taxソフト(SP版)」へのログインにより利用できる。

    利用者情報の登録・確認・変更
    申告・申請等データの基本情報となる氏名、住所等の情報、「税務署からのお知らせ」等を受信するメールアドレスの登録・確認・変更(法人利用者については、利用者情報の確認機能のみ利用が可能。)
    納税
    納付情報登録依頼(税目、納付金額等の納付情報データの作成及び送信等)、ダイレクト納付、インターネットバンキング(金融機関等サイト)へのリンク
    メッセージボックスの確認
    e-Taxに送信した申告・申請等データの送信結果、「税務署からのお知らせ」等の確認
    還付金処理状況の確認
    e-Taxを利用して還付申告を行った場合の、還付金の処理状況の確認

3.推奨環境
スマートフォン等で利用可能なOS及びブラウザ等は、以下のとおり。

  • 対応OS等
    端末 OS バージョン ブラウザ
    Android Android Android4以降 Android Browser
    iPhone iOS iOS6以降 iOS Safari

    ※標準ブラウザ(スマートフォン等に初期搭載されているブラウザ)以外では、正常に動作しない場合がある。

4.利用可能時間
e-Taxソフト(SP版)の利用可能時間は、e-Taxの利用可能時間と同様。
なお、ダイレクト納付(即時納付)及びインターネットバンキングによる電子納税については、e-Taxの利用可能時間内で、かつ、納税手続を行う金融機関のシステムが稼動している時間となる。

2014年6月12日

暮らしを支える税を学ぼう

国税庁は、インターネット番組(Web-TAX-TV)『暮らしを支える税を学ぼう』を作成し、学校教育の中で税の意義や役割などを考えるきっかけとなるような内容を、ドラマ仕立てで紹介している。

★リンクはこちら⇒ 暮らしを支える税を学ぼう

2014年3月18日

税の役割と税務署の仕事

国税庁は、取組み紹介ページ「税の役割と税務署の仕事」を開設した。

★リンクはこちら⇒ 税の役割と税務署の仕事

2013年11月19日

税を考える週間

11月11日(月)から17日(日)は、『税を考える週間』である。
毎年11月11日から11月17日までを、『税を考える週間』とし、国民の皆様に税の意義や役割についてより能動的に考えていただくとともに、税務行政への理解を深めていただくため、国税庁及び税務署は各種広報広聴活動を行っている。

2013年度は、「税の役割と税務署の仕事」をテーマとし、適正・公平な税務行政の推進や納税者サービスの向上に関する取組を紹介し、特に、e-TaxをはじめとしたITを活用した納税環境の整備について、納税者の皆様から広く意見を聴く。

また、期間中は、国税庁ホームページに『税を考える週間』特集ページを開設し、テーマに即した情報の提供を行う。

★リンクはこちら⇒ 税を考える週間(既に削除済み)

2013年11月8日

国税庁レポート2013

国税庁が、『国税庁レポート2013』を公表した。
平成23年度租税及び印紙収入決算額(一般会計分)を見ると、源泉所得税が11兆円、消費税が10兆円、法人税が9兆円、揮発油税・申告所得税が2兆円、相続税・酒税・たばこ税が1兆円で、合計42兆円で、前年度より増加している。

これらを見ると、法人実効税率の引き下げの代替収入はあるのかという疑問が生じ、消費税の増税はインパクトが大きいが相続税の増税はインパクトはあまりないことが見て取れる。

リンクはこちら⇒  国税庁レポート2013

2013年8月14日

暮らしの税情報(平成25年度版)

国税庁は、パンフレット『暮らしの税情報』(平成25年度版)を公表した。

とても分かりやすいものとなっている。

リンクはこちら⇒ 『暮らしの税情報』(平成25年度版)

2013年7月29日

納税証明書交付請求時の本人確認方法等の変更

平成25年7月から、納税証明書交付請求時の本人確認方法等変更になる。
納税者の大切な情報を保護するために、納税証明書交付請求時の本人確認方法等が以下ののとおり変更された。

<税務署窓口で提示する本人確認書類>
本人(法人の場合は代表者本人)または代理人本人であることを確認する本人確認書類は、以下のとおりとなる。
なお、本人確認書類の種類により、1枚の提示で足りるものと2枚の提示が必要なものに分かれるので、留意すること。

(注1)有効期限のある本人確認書類は、有効期限内のものに限る。
(注2)本人確認書類に記載された識別番号等を控えるので、あらかじめ了承のこと。

~1枚の提示で足りるもの~

  • 運転免許証
  • 写真付き住民基本台帳カード
  • 旅券(パスポート)
  • 海技免状
  • 小型船舶操縦免許証
  • 電気工事士免状
  • 宅地建物取引主任者証
  • 教習資格認定証
  • 船員手帳
  • 戦傷病者手帳
  • 身体障害者手帳
  • 療育手帳
  • 在留カードまたは特別永住者証明書
  • 国または地方公共団体の機関が発行した身分・資格証明書(顔写真付き)

~2枚の提示が必要なもの~

  • 写真の貼付のない住民基本台帳カード
  • 国民健康保険、健康保険、船員保険、または介護保険の被保険者証
  • 共済組合員証
  • 国民年金手帳
  • 国民年金、厚生年金保険または船員保険の年金証書
  • 共済年金または恩給の証書
  • 上記に掲げる書類を除く、国または地方公共団体の機関が発行した身分・資格証明書(顔写真なし)※
  • 学生証、法人が発行した身分証明書(顔写真付き)※

(注)「※」を表示した本人確認書類は、「※」を表示していない本人確認書類と組み合わせて提示のこと。「※」を表示した本人確認書類のみを2枚以上ご提示いただいても本人確認できない。

<郵送で請求した場合の納税証明書の送付先>
納税証明書は、原則として本人または法人の住所(納税地)以外には送付できないので、あらかじめ了承のこと。
なお、代理人の住所への送付を希望する場合は、以下の書類が必要となる。
①本人(法人の場合は代表者本人)からの委任状
委任状には、必ず、本人が署名・押印(法人の場合は代表者の署名及び代表者の印鑑を押印)すること。
なお、委任されたかどうかを本人に電話で確認することがあるので、あらかじめ了承のこと。
②代理人本人であることを確認できる書類(<税務署窓口でご提示いただく本人確認書類>を参照)のうち送付先住所が確認できるいずれか1種類の写し
代理人の方の住所及び氏名が記載された面(ページ)の写しが必要となる。
なお、代理人本人であることを確認できる書類に記載された住所以外には送付できないので、あらかじめ了承のこと。
有効期限のある書類は、有効期限が記載されている面(ページ)の写しも同封すること。

(注)
代理人が税理士等である場合は、委任状のほか、税理士等であることを証する書類の写しを同封すれば、税理士等の事務所へ送付できる。

2013年7月1日

租税史料室

税務大学校和光校舎の「租税史料室」は、税に関する貴重な歴史的資料(租税史料)を保存・展示しており、国税庁ホームページ(税務大学校コーナー)を通じて広く一般の方々に租税史料を公開している。
「租税史料室」は、社会人、大学生の方をはじめ、小中学生、高校生等の校外学習の場としても活用でき、開館時間中は、誰でも展示室を見学できるほか、備え付けの音声ガイド(所要時間は約30分)を利用すると、展示史料の解説を聞くことができ大変便利である。

※団体の場合は、事前に連絡すれば、専門スタッフが展示室を案内してくれる。
※展示していない所蔵史料を閲覧希望する方は、租税史料室1階事務室で受付を行っている。

<平成25年度特別展示の案内>
平成25年度特別展示を行う。
平成25年度特別展示のテーマ:「災害からの復興と税」
日本では、過去から様々な災害が発生しており、災害による被害の大きさを物語る租税史料や災害における税との関わり、そして災害からの復興に関する租税史料を展示する。
展示開設期間(予定) 平成25年10月1日(火)~平成26年9月29日(月)
参考:特別展示とは、毎年テーマを定めて行う1年間限定の展示である。

<租税史料の収集に協力を>
「租税史料室」では、所蔵史料の一層の充実を図るため、租税史料の収集に努めている。
皆さんのお近くに、税務行政に関する文書に限らず、図書、写真、器具など人々の暮らしと税との関係が感じられる史料があれば、最寄りの税務署(総務課)まで問い合わせのこと。

2013年6月26日

平成25年度以降のe-Tax受付時間

利用者の利便性の向上を図る観点から、利用者のニーズ、費用対効果を踏まえて受付時間の検討を行った結果、以下のとおり、e-Taxの受付時間を拡大している。

  • 平成25年7月31日(水)まで
    月曜日~金曜日(祝日等及び以下の期間を除く。) 8時30分~21時
    平成25年5月28日(火)~31日(金) 8時30分~22時30分
  • 平成25年8月1日(木)以降
    月曜日~金曜日(祝日等及び年末年始(12月29日
    ~1月3日)並びに以下の期間を除く。)
    8時30分~24時
    確定申告時期(1月第3週月曜日~所得税確定申告期限) 24時間

    ※メンテナンス時間(毎週月曜日0時~8時30分)を除く。
    ※具体的な期間については、2013年12月上旬に国税庁のホームページで知らされる。

2013年4月15日

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外国において通関手続を経ることなく本邦に返送された郵便物は、輸出の許可を受けた製造たばこに係る郵便物の本邦への引取りであり、輸入に当たるとした事例

  • 課税物品を内容とする郵便物の輸入に係るたばこ税及びたばこ特別税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和5年3月17日裁決

<ポイント>
本事例は、外国において通関手続を経ることなく本邦に返送された本件の郵便物は、外国に向けた発送手続において輸出を許可したものとみなされていることから、当該郵便物の本邦への引取りは輸入に当たり、当該郵便物は製造たばこを内容としているから、その交付を受けるためにはたばこ税等の納付等を要するものであると判断したものである。

<要旨>
請求人は、請求人が本邦から発送して輸出した製造たばこを内容とする郵便物(本件郵便物)は、外国において輸入のための通関手続を経ることなく、輸入が取りやめとなって本邦に返送されてきたものであって、外国において通関していない以上、外国から本邦に到着した貨物に当たらないから、本件郵便物の交付を受けることは「輸入」に当たらず、その交付を受けるに当たり、製造たばこの輸入に係るたばこ税及びたばこ特別税(たばこ税等)の納付等の必要はない旨主張する。

しかしながら、関税法第2条《定義》第1号のとおり、「輸入」とは、外国から本邦に到着した貨物又は輸出の許可を受けた貨物を本邦に引き取ることをいう旨規定されている。そして、本件郵便物は、本邦からの輸出を許可された貨物とみなされるところ、請求人が本件郵便物に係る製造たばこの交付を受けることは、輸出の許可を受けた製造たばこを内容とする郵便物の本邦への引取りであり、「輸入」に当たる。

よって、請求人が、本件郵便物に係る製造たばこの交付を受けるためには、たばこ税等の納付等を要することとなる。

★PDFはこちら ⇒ 外国において通関手続を経ることなく本邦に返送された郵便物は、輸出の許可を受けた製造たばこに係る郵便物の本邦への引取りであり、輸入に当たるとした事例

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スマホアプリ納付の利用開始について

スマホアプリ納付とは、国税庁長官が指定した納付受託者(GMOペイメントゲートウェイ株式会社)が運営するスマートフォン決済専用のWebサイト(国税スマートフォン決済専用サイト)から、納税者が利用可能なPay払い(〇〇ペイ)を選択して納付する手続である。

「国税スマートフォン決済専用サイト」は、国税庁長官が指定した納付受託者が運営する国税のスマホアプリ納付専用の外部サイトである。

(注)スマホアプリ納付については、2022年12月1日(木)から利用可能である。

≪スマホアプリ納付に関する各種情報≫
国税スマートフォン決済専用サイト
外部サイト(納付受託者が運営するサイト)へ移動する。
(注)2022年12月1日(木)からアクセス可能である。

スマホアプリQ&A
スマホアプリ納付に関するQ&Aはこちらからご覧いただける。
(注)2022年12月1日(木)からアクセス可能である。

リーフレット
スマホアプリ納付のリーフレットはこちらからご覧いただける。

≪重要なお知らせ≫
フィッシング詐欺に注意!
インターネット上の手続である国税のスマホアプリ納付のご利用に当たっては、所定のアクセス方法以外の方法でアクセスすることのないよう注意すること。
(注)専用サイトのURL及び所定のアクセス方法については、2022年12月1日(木)に掲載を予定している。

≪ご利用に当たっての注意事項≫

  • アカウント残高を利用した支払方法のみ利用可能なため、事前に利用するPay払い(○○ペイ)へのアカウント登録及び残高へのチャージが必要である。
  • 全ての税目が納付可能である。ただし、印紙を貼り付けて納付する場合等、ご利用ができない税目がある。
  • 一度の納付での利用上限金額は30万円である。
    ※利用するPay払い(〇〇ペイ)で設定された上限金額により、利用可能な金額が制限される場合がある。
  • 領収書は発行されない。
    領収書が必要な方は、最寄りの金融機関又は所轄の税務署窓口で納付すること。
  • 決済手数料は発生しない。

【ご利用可能なPay払い】

  • PayPay
  • d払い
  • au PAY
  • LINE Pay
  • メルペイ
  • amazon pay

【納付手続(事前準備)】

  • 専用サイトへの入力情報の準備
    納付する税目や金額の分かるもの(確定申告書等)と、利用するスマートフォンをご準備のこと。

【納付手続】
1.専用サイトへのアクセス
インターネットの利用が可能なスマートフォンから、納付受託者が運営する「国税スマートフォン決済専用サイト」へアクセスする。
アクセス方法については、
①e-Taxから
e-Taxを利用して申告書・源泉所得税徴収高計算書データの送信又は納付情報登録依頼をした後に、メッセージボックスに格納される受信通知からアクセス

②国税庁ホームページから
国税庁ホームページに表示されている「国税スマートフォン決済専用サイト」からアクセスする方法がある。
(注)詳しい情報は2022年12月1日(木)に掲載を予定している。

2.専用サイトで納付情報を入力
(注)「国税スマートフォン決済専用サイト」での手続の流れは、2022年12月1日(木)に掲載を予定している。

★PDFはこちら⇒ [手続名]スマホアプリ納付の手続

2022年11月9日


お仕事カレンダー&お仕事備忘録(2022年11月)

お仕事カレンダー202211 お仕事備忘録202211

★お仕事カレンダーのPDFはこちら⇒ お仕事カレンダー2022.11

★お仕事備忘録のPDFはこちら⇒ お仕事備忘録2022.11

2022年11月1日


お仕事カレンダー&お仕事備忘録(2022年10月)

お仕事カレンダー202210 お仕事備忘録202210

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★お仕事備忘録のPDFはこちら⇒ お仕事備忘録2022.10

2022年10月3日


パンフレット「暮らしの税情報」(令和4年度版)

国税庁は、パンフレット「暮らしの税情報」(令和4年度版)を掲載した。

このパンフレットは、令和4年4月1日現在の法令等に基づいて作成されている。

パンフレットは、2022年7月中旬頃、各税務署の窓口に設置されている。

★PDFはこちら⇒ パンフレット「暮らしの税情報」(令和4年度版)

2022年9月8日


お仕事カレンダー&お仕事備忘録(2022年9月)

お仕事カレンダー202209 お仕事備忘録202209

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2022年9月1日


お仕事カレンダー&お仕事備忘録(2022年8月)

お仕事カレンダー202208 お仕事備忘録202208

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2022年8月1日


お仕事カレンダー&お仕事備忘録(2022年7月)

お仕事カレンダー202207 お仕事備忘録202207

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2022年7月1日


お仕事カレンダー&お仕事備忘録(2022年6月)

お仕事カレンダー202206 お仕事備忘録202206

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2022年6月1日


お仕事カレンダー&お仕事備忘録(2022年5月)

お仕事カレンダー202205 お仕事備忘録202205

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2022年5月2日


お仕事カレンダー&お仕事備忘録(2022年4月)

お仕事カレンダー202204 お仕事備忘録202204

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2022年4月1日


お仕事カレンダー&お仕事備忘録(2022年3月)

お仕事カレンダー202203 お仕事備忘録202203

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2022年3月1日


お仕事カレンダー&お仕事備忘録(2022年2月)

お仕事カレンダー202202 お仕事備忘録202202

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2022年2月1日


お仕事カレンダー&お仕事備忘録(2022年1月)

お仕事カレンダー 202201 お仕事備忘録 202201

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2022年1月4日


お仕事カレンダー&お仕事備忘録(2021年12月)

お仕事カレンダー 202112 お仕事備忘録 202112

★お仕事カレンダーのPDFはこちら ⇒ お仕事カレンダー2021.12

★お仕事備忘録のPDFはこちら ⇒ お仕事備忘録2021.12

2021年12月1日


うんこと税金のコラボに成功!?「日本一楽しい税金ドリル」について

「税金って何のためにあるんだろう。」

財務省は、小学生の皆さんが、税金について考えるきっかけにしてほしいと思い、株式会社文響社さんの「うんこドリル」とコラボして、「うんこ税金ドリル」をつくった。

「うんこ税金ドリル」で楽しく税金について学び、家族や周りの方々と一緒に、これからの税金のあり方について関心をもってもらえれば幸いである。

「うんこ税金ドリル」には冊子とゲームがある。

詳しくはリンクからご覧のこと。

★PDFはこちら ⇒ うんこと税金のコラボに成功!?「日本一楽しい税金ドリル」について

2021年11月24日


お仕事カレンダー&お仕事備忘録(2021年11月)

お仕事カレンダー202111 お仕事備忘録202111

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2021年11月1日


お仕事カレンダー&お仕事備忘録(2021年10月)

お仕事カレンダー202110 お仕事備忘録202110

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2021年10月1日


お仕事カレンダー&お仕事備忘録(2021年9月)

お仕事カレンダー202109 お仕事備忘録202109

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2021年9月1日


お仕事カレンダー&お仕事備忘録(2021年8月)

お仕事カレンダー202108 お仕事備忘録202108

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2021年8月2日


お仕事カレンダー&お仕事備忘録(2021年7月)

お仕事カレンダー202107 お仕事備忘録202107

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★お仕事備忘録のPDFはこちら ⇒ お仕事備忘録2021.7

2021年7月1日


お仕事カレンダー&お仕事備忘録(2021年6月)

お仕事カレンダー202106 お仕事備忘録202106

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★お仕事備忘録のPDFはこちら ⇒ お仕事備忘録2021.6

2021年6月1日


お仕事カレンダー&お仕事備忘録(2021年5月)

お仕事カレンダー202105 お仕事備忘録202105

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2021年5月6日


お仕事カレンダー&お仕事備忘録(2021年4月)

取引先のゴールデンウィークによる休業日の確認を行い、納期遅れや債権の回収もれを防ぎましょう。
特に、月末月初の資金繰りは要注意です。

曜日
六曜
項  目
1 先負
2 仏滅
3 大安
4 赤口 清明
5 先勝
6 友引
7 先負
8 仏滅
9 大安
10 赤口
11 先勝
12 先負 ●源泉所得税・復興所得税・住民税特別徴収分の納付(3月分)
13 仏滅
14 大安
15 赤口 ●申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の申告・納付(緊急事態宣言発令により、3月より期限延長)
●給与支払報告に係る給与所得者異動届の提出
16 先勝
17 友引
18 先負
19 仏滅 ○所得税及び復興特別所得税の確定申告納付振替日(口座振替の場合)は、緊急事態宣言発令に伴い、2021年5月31日(月)に延長されました。
20 大安 穀雨
21 赤口
22 先勝
23 友引 ○個人事業者の消費税及び地方消費税の確定申告納付振替日(口座振替の場合)は、緊急事態宣言発令に伴い、2021年5月24日(月)に延長されました。
24 先負
25 仏滅
26 大安
27 赤口
28 先勝
29 友引 昭和の日
30 先負 ●固定資産税(都市計画税)の第1期分の納付 ※市町村の条例で定める日まで
●健康保険・厚生年金保険料の支払(3月分)
●労働者死傷病報告書の提出(休業4日未満の1月~3月の労災事故について報告)
<お仕事備忘録>
  1. 所得税、贈与税等の申告納付期限の延長
  2. 36協定届の様式と本社一括届出の取扱い変更
  3. 改正高年齢者雇用安定法の施行(70歳までの就業機会確保の努力義務化)
  4. 賞与支払届・算定基礎届の総括表廃止
  5. 給与支払報告に係る給与所得者異動届出
  6. 社会保険料率等の変更
  7. 労働者名簿の調製
1.所得税、贈与税等の申告納付期限の延長
令和2年分の所得税、贈与税、個人事業者の消費税の確定申告・納付は、1月の緊急事態宣言の発令に伴い、4月15日まで延長されました。
また、所得税の確定申告の振替日、個人事業者の消費税の振替日も、それぞれ5月31日、5月24日に延長されています。
2.36協定届の様式と本社一括届出の取扱い変更
4月から36協定届(時間外・休日労働に関する協定届)の様式が新しくなります。
3月末からは、事業場ごとに労働者代表が異なる場合であっても、電子申請に限り36協定の本社一括届出が可能になります。
3.改正高年齢者雇用安定法の施行(70歳までの就業機会確保の努力義務化)
4月より、従来の65歳までの雇用確保義務に加え、70歳までの就業機会を確保するため、定年引上げや継続雇用制度導入などの「高年齢者就業確保措置」を講ずることが努力義務になります。
4.賞与支払届・算定基礎届の総括表廃止
4月1日以降、社会保険の賞与支払届や算定基礎届に添付する総括表が廃止されます。
これに伴い、賞与を不支給とする際は、新たに「健康保険・厚生年金保険賞与不支給報告書」により届け出ることになります。
5.給与支払報告に係る給与所得者異動届出
住民税の徴収方法が特別徴収である事業者で、4月1日現在で昨年の給与支払報告書を提出した社員のうち、給与の支払を受けなくなった社員がいる場合には、4月15日までにその社員が住んでいる市区町村長に届出をします。
6.社会保険料率等の変更
令和3年度の雇用保険料率は令和2年度より変更はありません。
健康保険料率、介護保険料率は3月分(4月納付分)から変更となります。
7.労働者名簿の調製
新年度が始まりましたので、労働者名簿を調製する必要があります。
退職者については退職日と退職事由を記入し、入社した者については新たに作成しておきましょう。
また、この労働者名簿については退職の日から3年間は必ず保存しておくことになっています。

★お仕事カレンダーのPDFはこちら ⇒ お仕事カレンダー2021.4

★お仕事備忘録のPDFはこちら ⇒ お仕事備忘録2021.4

2021年4月1日


お仕事カレンダー&お仕事備忘録(2021年3月)

確定申告期限は延長されましたが、3月決算会社は年度末です。
また、4月入社の準備等に追われる時期でもあります。
もれのないようにスケジュールを立てましょう。

<お仕事カレンダー>

曜日
六曜
項  目
1 赤口
2 先勝
3 友引
4 先負
5 仏滅 啓蟄
6 大安
7 赤口
8 先勝
9 友引
10 先負 ●源泉所得税・復興特別所得税・住民税特別徴収分の納付(2月分)
11 仏滅
12 大安
13 友引
14 先負
15 仏滅 ●確定申告の提出期限(所得税、住民税)、所得税納付期限(現金納付)
●国外財産調書・財産債務調書の提出期限
●確定申告の税額の延納の届出期限
●所得税の総収入金額報告書提出期限
●個人の青色申告の承認申請期限(1月16日以降新規業務開始を除く)
●贈与税の申告の提出・納付期限
16 大安
17 赤口
18 先勝
19 友引
20 先負 春分の日
春分
21 仏滅
22 大安
23 赤口
24 先勝
25 友引
26 先負
27 仏滅
28 大安
29 赤口
30 先勝
31 友引 ●健康保険・厚生年金保険料の支払(2月分)
●個人事業の消費税確定申告の提出期限、納付期限(現金納付)
●有害物ばく露作業報告書の提出
)4月15日まで延長。
<お仕事備忘録>
  1. 国外財産調書の提出
  2. 財産債務調書の提出
  3. 確定申告の税額の延納の届出書
  4. 個人の青色申告の承認申請
  5. 所得税の更正の請求
  6. 障害者の法定雇用率の引き上げ
  7. 同一労働同一賃金に関する法律の施行(中小企業)
1.国外財産調書の提出
居住者(非永住者以外の居住者に限られます。)が、その年の12月31日時点で、総額5,000万円を超える国外財産を有している場合には、必要事項を記載した「国外財産調書」をその年の翌年3月15日(4月15日に延長)までに提出しなければなりません。
2.財産債務調書の提出
平成27年度税制改正で財産及び債務の明細書が見直され、「財産債務調書」の提出が求められる制度が施行されています。
これにより、従来の「その年分の所得金額が2,000万円超であること」に、“かつ、「その年の12月31日において有する財産の価額の合計額が3億円以上であること、又は、同日において有する国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の対象資産の価額の合計額が1億円以上であること」”が加わっています。
提出期限は、その年の翌年3月15日(4月15日に延長)です。
3.確定申告の税額の延納の届出書
確定申告書の所定の欄に延納税額を書いて提出することにより、その税額につき延納することができます。
ただし、納付すべき所得税額の1/2相当額以上を納付期限までに納付することが条件のため、延納申請できる税額は、納付すべき所得税額の1/2相当額未満となります。
なお、納付期限は3月15日(4月15日に延長)、延納期限は納付した年の5月31日です。
4.個人の青色申告の承認申請
個人の青色申告の承認申請は、原則として青色申告をしようとする年の3月15日(4月15日に延長)までに提出します。
ただし、1月16日以降に新規業務を開始する場合は、業務開始日から2ヶ月以内の申請となります。
5.所得税の更正の請求
確定申告を提出し、その申告期限後に計算の誤り等がある場合については、原則、法定申告期限から5年以内に限り、誤った申告額の訂正を求める更正の請求ができます。
6.障害者の法定雇用率の引き上げ
令和3年3月から障害者の法定雇用率が引き上げになります。
民間企業では、現行の2.2%から2.3%へと引き上げになり、障害者雇用の義務の範囲が従業員数43.5人以上の企業にまで広がります。
7.同一労働同一賃金に関する法律の施行(中小企業)
令和3年4月から、中小企業においても同一労働同一賃金に関する法律が施行されます。
企業の実態に応じて、正規労働者と非正規労働者の間に不合理な待遇差があれば、それを解消することが求められます。

★お仕事カレンダーのPDFはこちら ⇒ お仕事カレンダー2021.3

★お仕事備忘録のPDFはこちら ⇒ お仕事備忘録2021.3

2021年3月1日


お仕事カレンダー(2021年2月)

 2月は日にちが少ないことから、月末は日ごとの資金の出入りが激しくなります。
 スケジュール管理を徹底しましょう。

曜日
六曜
項  目
1 先勝 ●贈与税の申告の提出・納付(〜3月15日)
2 友引
3 先負 立春
4 仏滅
5 大安
6 赤口
7 先勝
8 友引
9 先負
10 仏滅 ●源泉所得税・復興特別所得税・住民税特別徴収分の納付(1月分)
11 大安 建国記念の日
12 先勝
13 友引
14 先負
15 仏滅 ●労働保険料の支払(第3期分※口座振替を利用する場合)
●継続・有期事業概算保険料延納額の支払(第3期分 口座振替を利用する場合)
16 大安 ●所得税確定申告の受付開始(〜3月15日)
●所得税確定申告税額の延納届出(〜3月15日)
●所得税及び復興特別所得税の納付(〜3月15日 現金納付の場合)
17 赤口
18 先勝 雨水
19 友引
20 先負
21 仏滅
22 大安
23 赤口 天皇誕生日
24 先勝
25 友引
26 先負
27 仏滅
28 大安 ●健康保険・厚生年金保険料の支払(1月分)(3月1日期限)
●じん肺健康管理実施状況報告書(3月1日期限)
●固定資産税第4期分の納付 市町村の条例で定める日まで

★PDFはこちら ⇒ お仕事カレンダー2021.2

2021年2月1日


お仕事カレンダー(2021年1月)

新年を迎え、気持ちも新たに仕事をスタートさせましょう。
新年早々やるべきことがたくさんあります。
もれのないように計画的に業務を進めましょう。

曜日
六曜
項  目
1 仏滅 元日
2 大安
3 赤口
4 先勝 ●健康保険・厚生年金保険料の支払(2020年11月分)
●還付申告(所得税の確定申告)の受付開始
5 友引
6 先負 小寒
7 仏滅
8 大安
9 赤口
10 先勝
11 友引 成人の日
12 先負 ●源泉所得税・復興特別所得税・住民税特別徴収分の納付(2020年12月分)
13 赤口
14 先勝
15 友引
16 先負
17 仏滅
18 大安
19 赤口
20 先勝 大寒
●源泉所得税の納期限の特例納付(2020年7~12月分)
21 友引
22 先負
23 仏滅
24 大安
25 赤口
26 先勝
27 友引
28 先負
29 仏滅
30 大安
31 赤口 ●健康保険・厚生年金保険料の支払(2020年12月分)(2月1日期限)
●継続・有期事業概算保険料延納額の支払(第3期分) 口座振替を利用しない場合(2月1日期限)
●労働者死傷病報告書の提出(休業日数1~3日の労災事故[10~12月]について報告)(2月1日期限)
●個人の県民税・市町村民税の納付(第4期分)※市町村の条例で定める日まで
●税務署へ法定調書の提出(2月1日期限)
●市区町村への給与支払報告書の提出(2月1日期限)
●固定資産税の償却資産に関する申告(2月1日期限)
●給与所得者の扶養控除等申告書の回収 最初の給与支払日の前日まで
●源泉徴収票の交付

★PDFはこちら ⇒ お仕事カレンダー2021.1

2021年1月4日


お仕事カレンダー(2020年12月)

12月は、賞与の支給、年末調整、年末年始の休み等で資金繰りが窮する時期です。
計画の確認をしつつ、日単位で資金繰りを管理しましょう。

曜日
六曜
項  目
1 友引 令和2年度年末年始無災害運動(~2021年1月15日)
2 先負
3 仏滅 障害者週間(~12月9日)
4 大安
5 赤口
6 先勝
7 友引 大雪
8 先負
9 仏滅
10 大安 ●源泉所得税・復興特別所得税・住民税特別徴収分の納付(11月分)
11 赤口
12 先勝
13 友引
14 先負
15 大安
16 赤口
17 先勝
18 友引
19 先負
20 仏滅
21 大安 冬至
22 赤口
23 先勝
24 友引
25 先負
26 仏滅
27 大安
28 赤口
29 先勝
30 友引
31 先負 ●健康保険・厚生年金保険料の支払(11月分)(1月4日期限)
●固定資産税(都市計画税)の納付(第3期分)※市町村の条例で定める日まで

★PDFはこちら ⇒ お仕事カレンダー2020.12

2020年12月1日


お仕事カレンダー(2020年11月)

11月は、年末調整や賞与支給などの準備に追われます。
段取りよく計画をたててスムーズに業務ができるようにしましょう。

曜日
六曜
項  目
1 赤口 ●過労死等防止啓発月間(~30日まで)
●労働保険適用促進月間(~30日まで)
●テレワーク月間(~30日まで)
2 先勝
3 友引 文化の日
4 先負
5 仏滅
6 大安
7 赤口 立冬
8 先勝
9 友引 ●秋季全国火災予防運動(~15日まで)
10 先負 ●源泉所得税・復興特別所得税・住民税特別徴収分の納付(10月分)
11 仏滅
12 大安
13 赤口
14 先勝
15 仏滅
16 大安 ●継続・有期事業概算保険料延納額の支払(第2期分※口座振替を利用する場合)
●所得税の予定納税額の減額申請(第2期分のみ)提出期限
17 赤口
18 先勝
19 友引
20 先負
21 仏滅
22 大安 小雪
23 赤口 勤労感謝の日
24 先勝
25 友引
26 先負
27 仏滅
28 大安
29 赤口
30 先勝 ●健康保険・厚生年金保険料の支払(10月分)
●所得税の予定納税額の納付期限(第2期分)
●個人の事業税納付(第2期分) ※各都道府県の条例で定める日まで

★PDFはこちら ⇒ お仕事カレンダー2020.11

2020年11月2日


お仕事カレンダー(2020年10月)

10月は、年の終盤です。
やり残しがないように、進捗の確認や計画の見直しを随時行いましょう。

曜日
六曜
項  目
1 仏滅 ●全国労働衛生週間(~7日(水)まで)
●大学生への採用内定の通知開始
●高年齢者雇用支援月間(~31日(土)まで)
●年次有給休暇取得促進期間(~31日(土)まで)
2 大安
3 赤口
4 先勝
5 友引
6 先負
7 仏滅
8 大安 寒露
9 赤口
10 先勝
11 友引
12 先負 ●源泉所得税・復興特別所得税・住民税特別徴収分の納付(9月分)
13 仏滅
14 大安
15 赤口
16 先勝
17 先負
18 仏滅
19 大安
20 赤口
21 先勝
22 友引
23 先負 霜降
24 仏滅
25 大安
26 赤口
27 先勝
28 友引
29 先負
30 仏滅
31 大安 ●健康保険・厚生年金保険料の支払(9月分)(11月2日期限)
●労働保険料の納付(第2期分) ※口座振替を利用しない場合(11月2日期限)
●継続・有期事業概算保険料延納額の支払(第2期分) ※口座振替を利用しない場合(11月2日期限)
●労働者死傷病報告提出(休業日数1~3日の労災事故[7月~9月]について報告)(11月2日期限)
●個人の県民税・市町村民税の納付(普通徴収・第3期分) ※市町村の条例で定める日まで

★PDFはこちら ⇒ お仕事カレンダー2020.10

2020年10月1日


お仕事カレンダー(2020年9月)

台風シーズンです。
防災や安全対策の見直しを図るとともに、納期遅れ等のトラブルに備えた整備(取引先への連絡手段、代替手段など)もしておきましょう。

曜日
六曜
項  目
1 友引
2 先負
3 仏滅
4 大安
5 赤口
6 先勝
7 友引 白露
8 先負
9 仏滅
10 大安 ●源泉所得税・復興特別所得税・住民税特別徴収分の納付(8月分)
11 赤口
12 先勝
13 友引
14 先負
15 仏滅
16 大安 ※例年9月16日に開始される新卒高校生の採用選考・内定は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、本年度は10月16日より開始となります。
17 友引
18 先負
19 仏滅
20 大安
21 赤口 敬老の日
●秋の全国交通安全運動(~30日まで)
22 先勝 秋分
秋分の日
23 友引
24 先負
25 仏滅
26 大安
27 赤口
28 先勝
29 友引
30 先負 ●健康保険・厚生年金保険料の支払(8月分)

★PDFはこちら ⇒ お仕事カレンダー2020.9

2020年9月1日


お仕事カレンダー(2020年8月)

今年の夏は、マスク着用や換気など、職場の感染対策を進めながら、熱中症にも注意する必要があります。
政府が作成したガイドラインなどを参考にしながら、従業員の健康管理を行っていきましょう。

曜日
六曜
項  目
1 大安
2 赤口
3 先勝
4 友引
5 先負
6 仏滅
7 大安 立秋
8 赤口
9 先勝
10 友引 山の日
11 先負 ●源泉所得税・復興特別所得税・住民税特別徴収分の納付(7月分)
12 仏滅
13 大安
14 赤口
15 先勝
16 友引
17 先負
18 仏滅
19 先勝
20 友引
21 先負
22 仏滅
23 大安 処暑
24 赤口
25 先勝
26 友引
27 先負
28 仏滅
29 大安
30 赤口 防災週間(~9月5日まで)
31 先勝 ●健康保険・厚生年金保険料の支払(7月分)
●個人の県民税・市町村民税の納付(第2期分) ※市町村の条例で定める日まで
●個人の事業税納付(第1期分) ※各都道府県の条例で定める日まで
●労働保険の年度更新(7月10日より期限延長)
●高年齢者雇用状況報告書及び障害者雇用状況報告書の提出(7月15日より期限延長)

★PDFはこちら ⇒ お仕事カレンダー2020.8

2020年8月3日


お仕事カレンダー(2020年7月)

社会保険の算定基礎届のほか、夏季休暇がある場合には、取引先へ事前にお知らせするとともに、取引先の休暇状況も確認しておきましょう。
新型コロナウイルスの影響を踏まえ、期限延長や猶予等の措置も講じられています。
最新情報をご確認ください。

曜日
六曜
項  目
1 先負 ●社会保険の算定基礎届の提出((~7月10日)
●所得税の予定納税額の減額申請(~7月15日)
●来春高校卒業予定者に対する学校への求人申込及び学校訪問開始
2 仏滅
3 大安
4 赤口
5 先勝
6 友引
7 先負 小暑
8 仏滅
9 大安
10 赤口 ●源泉所得税・復興特別所得税・住民税特別徴収分の納付(6月分)
●源泉所得税の納期の特例の適用を受けている場合の源泉所得税の納付(1~6月分)
●社会保険の算定基礎届の提出
●継続・有期事業概算保険料延納額の支払(第1期分) ※口座振替を利用しない場合
●労働保険の年度更新は、8月31日(月)まで期限延長となりました
11 先勝
12 友引
13 先負
14 仏滅
15 大安 ●高年齢者雇用状況報告書及び障害者雇用状況報告書の提出は8月31日(月)まで期限延長となりました
●所得税の予定納税額の減額申請
16 赤口
17 先勝
18 友引
19 先負
20 仏滅
21 赤口
22 先勝 大暑
23 友引 海の日
24 先負 スポーツの日
25 仏滅
26 大安
27 赤口
28 先勝
29 友引
30 先負
31 仏滅 ●健康保険・厚生年金保険料の支払(6月分)
●所得税の予定納税(第1期分)
●労働者死傷病報告書の提出(休業日数1~3日の労災事故[4月~6月]について報告)
●固定資産税(都市計画税)の納付(第2期分) ※市町村の条例で定める日まで

★PDFはこちら ⇒ お仕事カレンダー2020.7

2020年7月1日


お仕事カレンダー(2020年6月)

労働保険の年度更新、住民税の特別徴収金額の変更以外に、お中元や暑中見舞いの準備など通常業務以外の業務が立て込みます。
計画を立てて早めに業務を進めましょう。

曜日
六曜
項  目
1 先勝 ●労働保険の年度更新(〜8月31日)
●高卒者の求人票受付開始
●令和3年3月大卒予定者の採用選考活動解禁日
2 友引
3 先負
4 仏滅
5 大安 芒種
6 赤口
7 先勝
8 友引
9 先負
10 仏滅 ●源泉所得税・復興特別所得税・住民税特別徴収分の納付(5月分)
11 大安
12 赤口
13 先勝
14 友引
15 先負
16 仏滅
17 大安
18 赤口
19 先勝
20 友引
21 大安 夏至
22 赤口
23 先勝
24 友引
25 先負
26 仏滅
27 大安
28 赤口
29 先勝
30 友引 ●健康保険・厚生年金保険料の支払(5月分)

★PDFはこちら ⇒ お仕事カレンダー2020.6

2020年6月1日


お仕事カレンダー(2020年5月)

月初のゴールデンウィークの休みがある事業者は、稼働日が少ない月となります。
効率よく業務を行えるように計画を立てましょう。

曜日
六曜
項  目
1 赤口
2 先勝
3 友引 憲法記念日
4 先負 みどりの日
5 仏滅 こどもの日
立夏
6 大安 振替休日
7 赤口
8 先勝
9 友引
10 先負
11 仏滅 ●源泉所得税・復興特別所得税・住民税特別徴収分の納付(4月分)
12 大安
13 赤口
14 先勝
15 友引 ●障害者雇用納付金の申告期限
●所得税及び復興特別所得税の確定申告納付振替日(口座振替の場合)
16 先負
17 仏滅
18 大安
19 赤口 ●個人事業者の消費税及び地方消費税の確定申告納付振替日(口座振替の場合)
20 先勝 小満
21 友引
22 先負
23 仏滅
24 大安
25 赤口
26 先勝
27 友引
28 先負
29 仏滅
30 大安
31 赤口 ●自動車税の納付 ※都道府県の条例で定める日まで
●健康保険・厚生年金保険料の支払(4月分)(6月1日期限)
●確定申告税額の延納届出に係る延納税額の納付(6月1日期限)

★PDFはこちら ⇒ お仕事カレンダー2020.5

2020年5月1日


お仕事カレンダー(2020年4月)

取引先のゴールデンウィークによる休業日の確認を行い、納期遅れや債権の回収もれを防ぎましょう。
特に月末月初の資金繰りは要注意です。

曜日
六曜
項  目
1 大安
2 赤口
3 先勝
4 友引 清明
5 先負
6 仏滅
7 大安
8 赤口
9 先勝
10 友引 ●源泉所得税・復興所得税・住民税特別徴収分の納付(3月分)
11 先負
12 仏滅
13 大安
14 赤口
15 先勝 ●給与支払報告に係る給与所得者異動届の提出
16 友引 ●確定申告の提出期限(所得税)、所得税納付期限(現金納付)
●個人事業の消費税確定申告の提出期限、納付期限(現金納付)
●贈与税の申告の提出・納付期限
※上記期限はいずれも、令和2年2月27日に国税庁より発表された期限延長の措置に基いています。
17 先負
18 仏滅
19 大安 穀雨
20 赤口
21 先勝
22 友引
23 仏滅
24 大安
25 赤口
26 先勝
27 友引
28 先負
29 仏滅 昭和の日
30 大安 ●固定資産税(都市計画税)の第1期分の納付 ※市町村の条例で定める日まで
●健康保険・厚生年金保険料の支払(3月分)
●労働者死傷病報告書の提出(休業4日未満の1月~3月の労災事故について報告)

★PDFはこちら ⇒ お仕事カレンダー2020.4

2020年4月1日


お仕事カレンダー(2020年3月)

3月は、個人事業者は確定申告手続き(2020年2月27日に、4月16日まで延長されることになりました。)、3月決算会社は年度末です。
また、4月入社の準備等に追われる時期でもあります。もれのないようにスケジュールを立てましょう。

曜日
六曜
項  目
1 友引
2 先負
3 仏滅
4 大安
5 赤口 啓蟄
6 先勝
7 友引
8 先負
9 仏滅
10 大安 ●源泉所得税・復興特別所得税・住民税特別徴収分の納付(2月分)
11 赤口
12 先勝
13 友引
14 先負
15 仏滅
16 大安 ●確定申告の提出期限(所得税、住民税)、所得税納付期限(現金納付)(※)
●贈与税の申告の提出・納付期限(※)
●国外財産調書・財産債務調書の提出期限
●個人の青色申告の承認申請期限(1月16日以降新規業務開始を除く)
(※)所得税・贈与税の確定申告提出期限や納付期限について、4月16日まで延長されることになりました(2020年2月27日)。
     住民税の確定申告提出期限の延長有無については、現時点では公表されておりませんので、各自治体にご確認ください。
17 赤口
18 先勝
19 友引
20 先負 春分の日
春分
21 仏滅
22 大安
23 赤口
24 先負
25 仏滅
26 大安
27 赤口
28 先勝
29 友引
30 先負
31 仏滅 ●健康保険・厚生年金保険料の支払(2月分)
●有害物ばく露作業報告書の提出
●個人事業の消費税確定申告の提出期限、納付期限(現金納付)(※)
(※)4月16日まで延長されることになりました(2020年2月27日)。

★PDFはこちら ⇒ お仕事カレンダー2020.3

2020年3月2日


お仕事カレンダー(2020年2月)

 2月は日にちが少ないことから、月末は日ごとの資金の出入りが激しくなります。
スケジュール管理を徹底しましょう。

曜日
六曜
項  目
1 友引
2 先負
3 仏滅 ●贈与税の申告書(書面)の受付開始(~3月16日)
●贈与税の納付(~3月16日)
4 大安 立春
5 赤口
6 先勝
7 友引
8 先負
9 仏滅
10 大安 ●源泉所得税・復興特別所得税・住民税特別徴収分の納付(1月分)
11 赤口 建国記念の日
12 先勝
13 友引
14 先負 ●労働保険料の支払(第3期分口座振替を利用する場合)
●継続・有期事業概算保険料延納額の支払(第3期分口座振替を利用する場合)
15 仏滅
16 大安
17 赤口 ●所得税確定申告(書面)の受付開始(~3月16日)
●所得税確定申告税額の延納届出(~3月16日)
●所得税及び復興特別所得税の納付(~3月16日現金納付の場合)
18 先勝
19 友引 雨水
20 先負
21 仏滅
22 大安
23 赤口 天皇誕生日
24 友引 振替休日
25 先負
26 仏滅
27 大安
28 赤口
29 先勝 ●健康保険・厚生年金保険料の支払(1月分)(3月2日期限)
●じん肺健康管理実施状況報告書
●固定資産税第4期分の納付 市町村の条例で定める日まで

★PDFはこちら ⇒ お仕事カレンダー2020.2

2020年2月3日


お仕事カレンダー(2020年1月)

新年を迎え、気持ちも新たに仕事をスタートさせましょう。
新年早々やるべきことがたくさんあります。
もれのないように計画的に業務を進めましょう。

曜日
六曜
項  目
1 赤口 元日
●還付申告(所得税の確定申告)の受付開始(~3月15日)
2 先勝
3 友引
4 先負
5 仏滅
6 大安 小寒
●健康保険・厚生年金保険料の支払(11月分)
7 赤口
8 先勝
9 友引
10 先負 ●源泉所得税・復興特別所得税・住民税特別徴収分の納付(12月分)
11 仏滅
12 大安
13 赤口 成人の日
14 先勝
15 友引
16 先負
17 仏滅
18 大安
19 赤口
20 先勝 大寒
●源泉所得税の納期限の特例納付(前年7~12月分)
21 友引
22 先負
23 仏滅
24 大安
25 先勝
26 友引
27 先負
28 仏滅
29 大安
30 赤口
31 先勝 ●健康保険・厚生年金保険料の支払(12月分)
●継続・有期事業概算保険料延納額の支払(第3期分) ※口座振替を利用しない場合
●労働者死傷病報告書の提出(休業日数1~3日の労災事故[10~12月]について報告)
●個人の県民税・市町村民税の納付(第4期分) ※市町村の条例で定める日まで
●税務署へ法定調書の提出
●市区町村への給与支払報告書の提出
●固定資産税の償却資産に関する申告
●給与所得者の扶養控除等申告書の回収 ※最初の給与支払日の前日まで
●源泉徴収票の交付

★PDFはこちら ⇒ お仕事カレンダー2020.1

2020年1月6日


お仕事カレンダー(2019年12月)

12月は、賞与の支給、年末調整、年末年始の休み等で資金繰りが窮する時期です。
計画の確認をしつつ、日単位で資金繰りを管理しましょう。

曜日
六曜
項  目
1 先負 令和元年度年末年始無災害運動(~令和2年1月15日)
2 仏滅
3 大安 障害者週間(~12/9)
4 赤口
5 先勝
6 友引
7 先負 大雪
8 仏滅
9 大安
10 赤口 ●源泉所得税・復興特別所得税・住民税特別徴収分の納付(11月分)
11 先勝
12 友引
13 先負
14 仏滅
15 大安
16 赤口
17 先勝
18 友引
19 先負
20 仏滅
21 大安
22 赤口 冬至
23 先勝
24 友引
25 先負
26 赤口
27 先勝
28 友引
29 先負
30 仏滅
31 大安 ●健康保険・厚生年金保険料の支払(11月分)(1月6日期限)
●固定資産税(都市計画税)の納付(第3期分) ※市町村の条例で定める日まで

★PDFはこちら ⇒ お仕事カレンダー2019.12

2019年12月2日


もっと知りたい税のこと(令和元年10月発行)

 財務省は、『もっと知りたい税のこと(令和元年10月発行)』を発行した。

2019年11月12日


お仕事カレンダー(2019年11月)

11月は、年末調整や賞与支給などの準備に追われます。
段取りよく計画をたててスムーズに業務ができるようにしましょう。

曜日
六曜
項  目
1 友引 ●過重労働解消キャンペーン(~30日まで)
●労働保険適用促進月間(~30日まで)
●テレワーク月間(~30日まで)
2 先負
3 仏滅 文化の日
4 大安 振替休日
5 赤口
6 先勝
7 友引
8 先負 立冬
9 仏滅 ●秋季全国火災予防運動(~15日まで)
10 大安
11 赤口 ●源泉所得税・復興特別所得税・住民税特別徴収分の納付(10月分)
12 先勝
13 友引
14 先負 ●継続・有期事業概算保険料延納額の支払(第2期分 ※口座振替を利用する場合)
15 仏滅 ●所得税の予定納税額の減額申請(第2期分のみ)提出期限
16 大安
17 赤口
18 先勝
19 友引
20 先負
21 仏滅
22 大安 小雪
23 赤口 勤労感謝の日
24 先勝
25 友引
26 先負
27 大安
28 赤口
29 先勝
30 友引 ●健康保険・厚生年金保険料の支払(10月分)(12月2日期限)
●所得税の予定納税額の納付期限(第2期分)(12月2日期限)
●個人の事業税納付(第2期分) ※各都道府県の条例で定める日まで
 ★PDFはこちら ⇒ お仕事カレンダー2019.11

2019年11月1日


パンフレット「暮らしの税情報」(令和元年度版)

 国税庁は、『パンフレット「暮らしの税情報」(令和元年度版)』を作成した。
 このパンフレットは、平成31年4月1日現在の法令等に基づいて作成されている。
 このパンフレットにおいて「令和元年分」とあるのは、平成31年1月1日から令和元年12月31日までの期間に係る年分をいう。
 ※パンフレットは、各税務署の窓口に設置されている。

2019年10月29日


お仕事カレンダー(2019年10月)

 10月は年の終盤です。
やり残しがないように、進捗の確認や計画の見直しを随時行いましょう。
曜日
六曜
項  目
1 大安 ●全国労働衛生週間(~7日(月)まで)
●大学生への採用内定の通知開始
●高年齢者雇用支援月間
●年次有給休暇取得促進期間(~31日(木)まで)
2 赤口
3 先勝
4 友引
5 先負
6 仏滅
7 大安
8 赤口 寒露
9 先勝
10 友引 ●源泉所得税・復興特別所得税・住民税特別徴収分の納付(9月分)
11 先負
12 仏滅
13 大安
14 赤口 体育の日
15 先勝
16 友引
17 先負
18 仏滅
19 大安
20 赤口
21 先勝
22 友引 即位礼正殿の儀の行われる日
23 先負
24 仏滅 霜降
25 大安
26 赤口
27 先勝
28 仏滅
29 大安
30 赤口
31 先勝 ●健康保険・厚生年金保険料の支払(9月分)
●労働保険料の納付(第2期分) ※口座振替を利用しない場合
●継続・有期事業概算保険料延納額の支払(第2期分) ※口座振替を利用しない場合
●労働者死傷病(軽度)報告提出(休業日数1~3日の労災事故[7月~9月]について報告)
●個人の県民税・市町村民税の納付(普通徴収・第3期分) ※市町村の条例で定める日まで
 ★PDFはこちら ⇒ お仕事カレンダー2019.10

2019年10月1日


お仕事カレンダー(2019年9月)

9月は台風シーズンです。
防災や安全対策の見直しを図るとともに、納期遅れ等のトラブルに備えた整備(取引先への連絡手段、代替手段など)もしておきましょう。

曜日
六曜
項  目
1 仏滅
2 大安
3 赤口
4 先勝
5 友引
6 先負
7 仏滅
8 大安 白露
9 赤口
10 先勝 ●源泉所得税・復興特別所得税・住民税特別徴収分の納付(8月分)
11 友引
12 先負
13 仏滅
14 大安
15 赤口
16 先勝 敬老の日
●新卒高校生の採用選考・内定開始
17 友引
18 先負
19 仏滅
20 大安
21 赤口 ●秋の全国交通安全運動(~30日まで)
22 先勝
23 友引 秋分
秋分の日
24 先負
25 仏滅
26 大安
27 赤口
28 先勝
29 先負
30 仏滅 ●健康保険・厚生年金保険料の支払(8月分)
 ★PDFはこちら ⇒ お仕事カレンダー(2019年9月)

2019年9月2日


お仕事カレンダー(2019年8月)

 8月に夏季休暇がある場合には、夏季休暇分の仕事の段取りを整え、取引先への配達、支払や回収などが滞らないように注意しましょう。

曜日
六曜
項  目
1 先勝
2 友引
3 先負
4 仏滅
5 大安
6 赤口
7 先勝
8 友引 立秋
9 先負
10 仏滅
11 大安 山の日
12 赤口 振替休日
13 先勝 ●源泉所得税・復興特別所得税・住民税特別徴収分の納付(7月分)
14 友引
15 先負
16 仏滅
17 大安
18 赤口
19 先勝
20 友引
21 先負
22 仏滅
23 大安 処暑
24 赤口
25 先勝
26 友引
27 先負
28 仏滅
29 大安
30 友引
31 先負 ●健康保険・厚生年金保険料の支払(7月分)(9月2日期限)
●個人の県民税・市町村民税の納付(第2期分) ※市町村の条例で定める日まで
●個人の事業税納付(第1期分) ※各都道府県の条例で定める日まで
 ★PDFはこちら ⇒ お仕事カレンダー2019.8

2019年8月1日


お仕事カレンダー(2019年7月)

 7月は、労働保険の年度更新、社会保険の算定基礎届のほか、夏季休暇がある場合には、取引先へ事前にお知らせするとともに、取引先の休暇状況も確認しておきましょう。

曜日
六曜
項  目
1 先負 ●社会保険の算定基礎届の提出(~7月10日)
●所得税の予定納税額の減額申請(~7月16日)
●来春高校卒業予定者に対する学校への求人申込及び学校訪問開始
2 仏滅
3 赤口
4 先勝
5 友引
6 先負
7 仏滅 小暑
8 大安
9 赤口
10 先勝 ●源泉所得税・復興特別所得税・住民税特別徴収分の納付(6月分)
●源泉所得税の納期の特例の適用を受けている場合の源泉所得税の納付(1~6月分)
●労働保険の年度更新
●社会保険の算定基礎届の提出
●継続・有期事業概算保険料延納額の支払(第1期分) ※口座振替を利用しない場合
11 友引
12 先負
13 仏滅
14 大安
15 赤口 海の日
16 先勝 ●高年齢者雇用状況報告書及び障害者雇用状況報告書の提出
●所得税の予定納税額の減額申請
17 友引
18 先負
19 仏滅
20 大安
21 赤口
22 先勝
23 友引 大暑
24 先負
25 仏滅
26 大安
27 赤口
28 先勝
29 友引
30 先負
31 仏滅 ●健康保険・厚生年金保険料の支払(6月分)
●所得税の予定納税(第1期分)
●労働者死傷病報告書の提出(休業日数1~3日の労災事故[4月~6月]について報告)
●固定資産税(都市計画税)の納付(第2期分) ※市町村の条例で定める日まで
 ★PDFはこちら ⇒ お仕事カレンダー2019.7

2019年7月1日


お仕事カレンダー(2019年6月)

 6月は、労働保険の年度更新、住民税の特別徴収金額の変更等のほか、お中元や暑中見舞いの準備など通常業務以外の業務が立て込みます。
 計画を立てて早めに業務を終わらせましょう。

曜日
六曜
項  目
1 先勝 ●高卒者の求人票受付開始
●2020年(令和2年)3月大卒予定者の採用選考活動解禁日
2 友引
3 大安 ●労働保険の年度更新(~7月10日)
4 赤口
5 先勝
6 友引 芒種
7 先負
8 仏滅
9 大安
10 赤口 ●源泉所得税・復興特別所得税・住民税特別徴収分の納付(5月分)
●一括有期事業開始届(建設業)届出
11 先勝
12 友引
13 先負
14 仏滅
15 大安
16 赤口
17 先勝
18 友引
19 先負
20 仏滅
21 大安
22 赤口 夏至
23 先勝
24 友引
25 先負
26 仏滅
27 大安
28 赤口
29 先勝
30 友引 ●健康保険・厚生年金保険料の支払(5月分)(7月1日期限)
●個人の県民税・市町村民税の納付(第1期分)※市町村の条例で定める日まで
 ★PDFはこちら ⇒ お仕事カレンダー2019.6

2019年6月3日


お仕事カレンダー(2019年5月)

今年の5月は、改元に伴い、新元号への様式等の書き換えや、各種システムの変更作業等が発生します。
通常の定例業務に支障が出ないように段取りよく進めていきましょう。

曜日
六曜
項  目
1 大安 天皇の即位の日
2 赤口 国民の休日
3 先勝 憲法記念日
4 友引 みどりの日
5 仏滅 こどもの日
6 大安 振替休日
立夏
7 赤口
8 先勝
9 友引
10 先負 ●源泉所得税・復興特別所得税・住民税特別徴収分の納付(4月分)
●一括有期事業開始届(建設業)届出
11 仏滅
12 大安
13 赤口
14 先勝
15 友引 ●障害者雇用納付金の申告期限
16 先負
17 仏滅
18 大安
19 赤口
20 先勝
21 友引 小満
22 先負
23 仏滅
24 大安
25 赤口
26 先勝
27 友引
28 先負
29 仏滅
30 大安
31 赤口 ●自動車税の納付 ※都道府県の条例で定める日まで
●健康保険・厚生年金保険料の支払(4月分)
 ★PDFはこちら ⇒ お仕事カレンダー2019.5

2019年5月7日


新元号に関するお知らせ(国税庁)

 天皇の退位等に関する皇室典範特例法(平成29年法律第63号)に基づく皇位の継承に伴い、2019年5月1日から元号が改められる予定である。
 新元号への移行に伴い国税庁ホームページや申告書等の各種様式を順次更新していく。
 なお、納税者の皆様方からご提出いただく書類は、例えば平成31年6月1日と平成表記の日付でご提出いただいても有効なものとして取り扱うこととしている。
(参考)
 元号表示を西暦で表記すると以下のとおり。
平成31年…2019年
平成32年…2020年

平成49年…2037年
 ★リンクはこちら ⇒ 新元号に関するお知らせ(国税庁)

2019年4月8日


お仕事カレンダー(2019年4月)

 今年のゴールデンウィークは改元に伴う大型連休となります。
取引先の休業日の確認を行い、納期遅れや債権の回収もれを防ぎましょう。
特に月末月初の資金繰りは要注意です。

曜日
六曜
項  目
1 先負
2 仏滅
3 大安
4 赤口
5 先負 清明
6 仏滅
7 大安
8 赤口
9 先勝
10 友引 ●源泉所得税・復興所得税・住民税特別徴収分の納付(3月分)
●一括有期事業開始届(建設業)届出
11 先負
12 仏滅
13 大安
14 赤口
15 先勝 ●給与支払報告に係る給与所得者異動届の提出
16 友引
17 先負
18 仏滅
19 大安
20 赤口 穀雨
21 先勝
22 友引 ●所得税及び復興特別所得税の確定申告納付振替日(口座振替の場合)
23 先負
24 仏滅
25 大安 ●個人事業者の消費税及び地方消費税の確定申告納付振替日(口座振替の場合)
26 赤口 ●労働者死傷病報告書の提出(休業日数1~3日の労災事故[1月~3月]について報告)
27 先勝
28 友引
29 先負 昭和の日
30 仏滅 国民の休日
[以下、5月7日まで]※期限日は変更になる可能性があります。
●軽自動車税の納付 ※市町村の条例で定める日まで
●固定資産税(都市計画税)の第1期分の納付 ※市町村の条例で定める日まで
●健康保険・厚生年金保険料の支払(3月分)
●最低賃金適用報告・最低工賃適用報告・預金管理状況報告
●安全衛生教育実施結果報告
 ★PDFはこちら ⇒ お仕事カレンダー2019.4

2019年4月1日


お仕事カレンダー(2019年3月)

 3月は確定申告期限であると同時に、3月決算会社は年度末です。
 また、4月入社の準備等に追われる時期でもあります。
 もれのないようにスケジュールを立てましょう。

曜日
六曜
項  目
1 先勝
2 友引
3 先負
4 仏滅
5 大安
6 赤口 啓蟄
7 友引
8 先負
9 仏滅
10 大安
11 赤口 ●源泉所得税・復興特別所得税・住民税特別徴収分の納付(2月分)
●一括有期事業開始届(建設業)届出
12 先勝
13 友引
14 先負
15 仏滅 ●確定申告の提出期限(所得税、住民税)、所得税納付期限(現金納付)
●国外財産調書・財産債務調書の提出期限
●確定申告の税額の延納の届出期限
●所得税の総収入金額報告書提出期限
●個人の青色申告の承認申請期限(1月16日以降新規業務開始を除く)
●贈与税の申告の提出・納付期限
16 大安
17 赤口
18 先勝
19 友引
20 先負
21 仏滅 春分の日
春分
22 大安
23 赤口
24 先勝
25 友引
26 先負
27 仏滅
28 大安
29 赤口
30 先勝
31 友引 ●健康保険・厚生年金保険料の支払(2月分)(4月1日期限)
●個人事業の消費税確定申告の提出期限、納付期限(現金納付)(4月1日期限)
●有害物ばく露作業報告書の提出(4月1日期限)
 ★PDFはこちら ⇒ お仕事カレンダー2019.3

2019年3月1日


お仕事カレンダー(2019年2月)

2月は日にちが少ないことから、月末は日ごとの資金の出入りが激しくなります。
スケジュール管理を徹底しましょう。

曜日
六曜
項  目
1 友引 ●贈与税の申告の提出・納付(~3月15日)
2 先負
3 仏滅
4 大安 立春
5 先勝
6 友引
7 先負
8 仏滅
9 大安
10 赤口
11 先勝 建国記念の日
12 友引 ●源泉所得税・復興特別所得税・住民税特別徴収分の納付(1月分)
●一括有期事業開始届(建設業)届出
13 先負
14 仏滅 ●労働保険料の支払(第3期分※口座振替を利用する場合)
●継続・有期事業概算保険料延納額の支払(第3期分※口座振替を利用する場合)
15 大安
16 赤口
17 先勝
18 友引 ●所得税確定申告(書面)の受付開始(~3月15日)
●所得税確定申告税額の延納届出(~3月15日)
●所得税及び復興特別所得税の納付(~3月15日※現金納付の場合)
19 先負 雨水
20 仏滅
21 大安
22 赤口
23 先勝
24 友引
25 先負
26 仏滅
27 大安
28 赤口 ●健康保険・厚生年金保険料の支払(1月分)
●じん肺健康管理実施状況報告書
●固定資産税第4期分の納付 ※市町村の条例で定める日まで

 ★PDFはこちら ⇒ お仕事カレンダー2019.2

2019年2月1日


お仕事カレンダー(2019年1月)

新年を迎え、気持ちも新たに仕事をスタートさせましょう。
新年早々やるべきことがたくさんあります。
もれのないように計画的に業務を進めましょう。

曜日
六曜
項  目
1 赤口 元日
●還付申告(所得税の確定申告)の受付開始(~3月15日)
2 先勝
3 友引
4 先負 ●健康保険・厚生年金保険料の支払(11月分)
5 仏滅
6 赤口 小寒
7 先勝
8 友引
9 先負
10 仏滅 ●源泉所得税・復興特別所得税・住民税特別徴収分の納付(12月分)
●一括有期事業開始届(建設業)届出
11 大安
12 赤口
13 先勝
14 友引 成人の日
15 先負
16 仏滅
17 大安
18 赤口
19 先勝
20 友引 大寒
21 先負 ●源泉所得税の納期限の特例納付(前年7~12月分)
22 仏滅
23 大安
24 赤口
25 先勝
26 友引
27 先負
28 仏滅
29 大安
30 赤口
31 先勝

●健康保険・厚生年金保険料の支払(12月分)
●継続・有期事業概算保険料延納額の支払(第3期分)
※口座振替を利用しない場合
●労働者死傷病報告書の提出(休業日数1~3日の労災事故[10~12月]について報告)
●個人の県民税・市町村民税の納付(第4期分)
※市町村の条例で定める日まで
●税務署へ法定調書の提出
●市区町村への給与支払報告書の提出
●固定資産税の償却資産に関する申告
●給与所得者の扶養控除等申告書の回収
※最初の給与支払日の前日まで
●源泉徴収票の交付

 ★PDFはこちら ⇒ お仕事カレンダー2019.1

2019年1月4日


2018年12月の税務と期限

期  限 項  目
12月10日 11月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額・納期の特例を受けている者の住民税の特別徴収額(当年6月~11月分)の納付
 1月  4日 10月決算法人の確定申告
<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
1月、4月、7月、10月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告
<消費税・地方消費税>
法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告
<消費税・地方消費税>
4月決算法人の中間申告
<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
消費税の年税額が400万円超の1月、4月、7月決算法人の3月ごとの中間申告
<消費税・地方消費税>
消費税の年税額が4,800万円超の9月、10月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(8月決算法人は2ヶ月分)
<消費税・地方消費税>
給与所得の年末調整
給与所得者の保険料控除申告書・住宅借入金等特別控除申告書の提出
固定資産税(都市計画税)の第3期分の納付


★リンクはこちら ⇒ 
税務カレンダー

2018年12月1日


2018年11月の税務と期限

期 限 項 目
11月12日 10月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
11月15日 所得税の予定納税額の減額申請
11月30日 所得税の予定納税額の納付(第2期分)
特別農業所得者の所得税の予定納税額の納付
9月決算法人の確定申告
<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
3月、6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの期間短縮に係る確定申告
<消費税・地方消費税>
法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告
<消費税・地方消費税>
3月決算法人の中間申告
<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
消費税の年税額が400万円超の3月、6月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの中間申告
<消費税・地方消費税>
消費税の年税額が4,800万円超の8月、9月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(7月決算法人は2ヶ月分)
<消費税・地方消費税>
個人事業税の納付(第2期分)

 ★リンクはこちら ⇒ 税務カレンダー

2018年11月1日


「やさしい税金教室」「こんなときこんな税金~私の税金ナビ」について

日本税理士会連合会(いわゆる日税連)は、平成30年度版の「やさしい税金教室」と「こんなときこんな税金~私の税金ナビ」を作成した。

「やさしい税金教室」は、納税者の方向けに複雑な税金の仕組みについてQ&A形式で解説した小冊子である。

また、「こんなときこんな税金~私の税金ナビ」は、人生のさまざまな場面でどのような税金を負担する必要があるかを簡単に紹介したものである。

 ★「やさしい税金教室」はこちら ⇒ やさしい税金教室
 ★「こんなときこんな税金~私の税金ナビ」はこちら ⇒ こんなときこんな税金~私の税金ナビ

2018年10月26日


タックスアンサーコード一覧

 国税庁は、「タックスアンサー」・「タックスアンサーコード一覧」の掲載内容を更新した(平成30年8月31日)。

 ★リンクはこちら ⇒ タックスアンサーコード一覧

2018年10月1日


2018年10月の税務と期限

期 限 項 目
10月10日 9月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
10月15日 特別農業所得者への予定納税基準額等の通知
10月31日 8月決算法人の確定申告
<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告
<消費税・地方消費税>
法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告
<消費税・地方消費税>
2月決算法人の中間申告
<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
消費税の年税額が400万円超の2月、5月、11月決算法人の3月ごとの中間申告
<消費税・地方消費税>
消費税の年税額が4,800万円超の7月、8月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(6月決算法人は2ヶ月分)
<消費税・地方消費税>
個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第3期分)

 ★リンクはこちら ⇒ 税務カレンダー

2018年10月1日


租税教育講義用テキスト2018

日本税理士会連合会(いわゆる日税連)は、税理士が租税教育に取り組むにあたっての考え方や方針を示し、租税教室の講師を務める際の参考に資することを目的に「租税教育講義用テキスト」を発行しており、授業準備にあたっての注意事項や小中学校及び高校向けの授業シナリオ、各種教材・資料、日税連が制定した租税教育等基本指針などを掲載している。

パワーポイントデータについて、画像がうまく表示されない場合は、一度デスクトップ等にファイルを保存してから開くこと。

 ★リンクはこちら ⇒ 租税教育講義用テキスト2018

2018年9月19日


パンフレット「暮らしの税情報」(平成30年度版)

国税庁は、『パンフレット「暮らしの税情報」(平成30年度版)』をホームページに掲載した。
目次は以下のとおり。

  • 税の基礎知識
  • 給与所得者と税
  • 高齢者や障害者と税
  • 暮らしの中の税
  • 不動産と税 贈与・相続と税
  • 申告と納税
  • その他

 ★リンクはこちら ⇒ パンフレット「暮らしの税情報」(平成30年度版)

2018年9月7日


2018年9月の税務と期限

期  限 項  目
9月10日 8月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
10月1日 7月決算法人の確定申告
<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
1月、4月、7月、10月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告
<消費税・地方消費税>
法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
1月決算法人の中間申告
<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
消費税の年税額が400万円超の1月、4月、10月決算法人の3月ごとの中間申告
<消費税・地方消費税>
消費税の年税額が4,800万円超の6月、7月決算法人を除く法人・個人事業者の
1月ごとの中間申告(5月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>

 ★リンクはこちら ⇒ 税務カレンダー

2018年9月3日


2018年8月の税務と期限

期  限 項  目
8月10日 7月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
8月31日 6月決算法人の確定申告
<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
3月、6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの期間短縮に係る確定申告
<消費税・地方消費税>
法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
12月決算法人の中間申告
<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
消費税の年税額が400万円超の3月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごと
の中間申告<消費税・地方消費税>
消費税の年税額が4,800万円超の5月、6月決算法人を除く法人・個人事業者の
1月ごとの中間申告(4月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
個人事業者の当年分の消費税・地方消費税の中間申告
個人事業税の納付(第1期分)
個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第2期分)


★リンクはこちら ⇒ 
税務カレンダー

2018年8月1日


もっと知りたい税のこと(平成30年6月発行)

財務省は、『もっと知りたい税のこと(平成30年6月発行)』をホームページに公表した。

本パンフレットは現在、印刷製本作業中であり、発送は7月下旬~8月中旬頃から開始する予定とのこと。

目次は、以下のとおり。

1 「税」の意義と役割を知ろう
2 「税」の現状を知ろう
3 「所得税」を知ろう
4 「相続税」と「贈与税」を知ろう
5 「消費税」を知ろう
6 「法人税」を知ろう
7 「国際課税」を知ろう


★リンクはこちら ⇒ 
もっと知りたい税のこと(平成30年6月発行)

2018年7月20日

カテゴリー
記事

源泉所得税

源泉所得税のキャッシュレス納付体験コーナーの開設(e-Taxホームページへリンク)

国税庁は、『源泉所得税のキャッシュレス納付体験コーナー』を開設しました。

源泉所得税のキャッシュレス納付体験コーナーとは、e-Taxソフト(WEB版)と同様の画面操作を用いて、給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(一般用及び納期特例用)及び報酬・料金等の所得税徴収高計算書について、作成・送信・キャッシュレス納付手続(ダイレクト納付・インターネットバンキング)の一連の流れを体験することができるツールです。

★リンクはこちら⇒ 源泉所得税のキャッシュレス納付体験コーナーの開設(e-Taxホームページへリンク)

2025年3月28日


令和7年版源泉徴収のあらまし

国税庁は、『令和7年版源泉徴収のあらまし』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ 令和7年版源泉徴収のあらまし

2025年1月8日


令和7年版源泉徴収のしかた

国税庁は、『令和7年版源泉徴収のしかた』をホームページに掲載しました。

この「源泉徴収のしかた」は、給与の源泉徴収事務を中心にその概要を説明したものです。

正しく源泉徴収をするため、この説明書を十分活用していただきたいと思います。

★リンクはこちら⇒ 令和7年版源泉徴収のしかた

2024年12月25日


令和6年分年調ソフト等

国税庁は、『令和6年分年調ソフト等』をホームページで公開・更新した。

★リンクはこちら⇒ 令和6年分年調ソフト等

2024年10月30日


令和6年分年末調整のための各種様式

国税庁は、『令和6年分年末調整のための各種様式』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ 令和6年分年末調整のための各種様式

2024年10月23日


税務相談チャットボットによる年末調整に関するご相談(令和6年分)の開始

国税庁は、『税務相談チャットボットによる年末調整に関するご相談(令和6年分)』をホームページで開始した。

★リンクはこちら⇒ 税務相談チャットボットによる年末調整に関するご相談(令和6年分)の開始

2024年10月18日


年末調整がよくわかるページ(令和6年分)

国税庁は、『年末調整がよくわかるページ(令和6年分)』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ 年末調整がよくわかるページ(令和6年分)

2024年10月10日


源泉所得税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)(改正 令和5年6月23日)

標題のことについて、国税通則法(以下「通則法」という。)第68条第3項又は第4項第1号の規定の適用に関し留意すべき事項等を下記のとおり定めたから、今後処理するものからこれにより取り扱われたい。

(趣旨)
源泉所得税の重加算税の徴収に関する取扱基準の整備等を図ったものである。

★リンクはこちら⇒ 源泉所得税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)(改正 令和5年6月23日)

2024年8月9日


簡易な扶養控除等申告書に関するFAQ(源泉所得税関係)(令和6年6月)

国税庁は、『簡易な扶養控除等申告書に関するFAQ(源泉所得税関係)(令和6年6月)』をホームページに掲載した。

このFAQは、令和7年1月1日以後に支払を受けるべき給与等について提出する扶養控除等申告書から提出できることとなる「簡易な扶養控除等申告書」の取扱いについて、一般的な質問を取りまとめたものである。

(注)この資料は、令和6年6月1日現在の法令等に基づいて作成している。

★リンクはこちら⇒ 簡易な扶養控除等申告書に関するFAQ(源泉所得税関係)(令和6年6月)

2024年7月18日


令和6年4月源泉所得税の改正のあらまし

国税庁は『令和6年4月源泉所得税の改正のあらまし』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ 令和6年4月源泉所得税の改正のあらまし

2024年5月9日


定額減税特設サイト

国税庁は、『定額減税特設サイト』を開設した。

このサイトでは、定額減税について解説したパンフレット、様式など、国税庁が提供している定額減税に関する情報を入手・閲覧できる。

★リンクはこちら⇒ 定額減税特設サイト

2024年3月19日


令和6年版宗教法人の税務

国税庁は、「令和6年版宗教法人の税務」をホームページに掲載した。

このパンフレットは宗教法人において特に注意していただきたい以下の事項について、その概要を説明したものである。

  1. 宗教法人が支払う給与や報酬・料金に対する所得税及び復興特別所得税の源泉徴収
  2. 宗教法人が行う収益事業に対する法人税及び地方法人税の課税
  3. 宗教法人が行う資産の譲渡等に対する消費税及び地方消費税の課税
  4. 宗教法人が作成する一定の文書に対する印紙税

★リンクはこちら⇒ 令和6年版宗教法人の税務

2024年2月7日


令和6年版源泉徴収のしかた

国税庁は、「令和6年版源泉徴収のしかた」をホームページに掲載した。

この「源泉徴収のしかた」は、給与の源泉徴収事務を中心にその概要を説明したものである。

正しく源泉徴収をするため、この説明書を十分活用していただきたい。

★リンクはこちら⇒ 令和6年版源泉徴収のしかた

2024年1月31日


令和6年版源泉徴収のあらまし

国税庁は、「令和6年版源泉徴収のあらまし」をホームページに掲載した。

この「源泉徴収のあらまし」は、令和5年9月8日現在の所得税法等関係法令(租税条約については発効予定条約を含む。)の規定に基づいて、源泉徴収の事務に携わっている方に、令和6年における源泉徴収の仕組みやその内容を十分理解していただくために作成しているものである。

★リンクはこちら⇒ 令和6年版源泉徴収のあらまし

2024年1月29日


源泉所得税の改正のあらまし(令和5年4月)

令和5年度の税制改正により、源泉所得税関係について主に改正が行われた。

(注)このパンフレットは、令和5年4月1日現在の法令に基づいて作成している。

★リンクはこちら⇒ 源泉所得税の改正のあらまし(令和5年4月)

2023年5月24日


令和5年版宗教法人の税務(令和5年1月)

このパンフレットは、宗教法人が支払う給与や報酬・料金に対する所得税及び復興特別所得税の源泉徴収、宗教法人が行う収益事業に対する法人税の課税、地方法人税の課税、宗教法人が行う資産の譲渡等に対する消費税の課税、宗教法人が作成する一定の文章に対する印紙税等に関し、特に注意していただきたい事項について、その概要を説明したものである。

このパンフレットは、令和4年11月1日現在の所得税法等関係法令に基づいて作成している。

★リンクはこちら⇒ 令和5年版宗教法人の税務(令和5年1月)

2023年1月24日


令和5年版源泉徴収のあらまし

国税庁は、ホームページに「令和5年版源泉徴収のあらまし」を掲載した。

この「源泉徴収のあらまし」は、令和4年9月4日現在の所得税法等関係法令(租税条約については発効予定条約を含む。)の規定に基づいて、源泉徴収の事務に携わっている方に、令和5年における源泉徴収の仕組みやその内容を十分理解していただくために作成しているものである。

★リンクはこちら⇒ 令和5年版源泉徴収のあらまし

2022年12月27日


令和5年版源泉徴収のしかた

国税庁は、『令和5年版源泉徴収のしかた』を公表した。

この『源泉徴収のしかた』は、会社や商店などで通常行う源泉徴収事務の概要を説明したものである。

★リンクはこちら⇒ 令和5年版源泉徴収のしかた

2022年12月21日


帳簿の提出がない場合等の加算税の加重措置に関するQ&A(2022年10月)

令和4年度税制改正により、記帳水準の向上に資する観点から、記帳義務の適正な履⾏を担保し、帳簿の不保存や記載不備を未然に抑⽌するため、過少申告加算税・無申告加算税の加重措置が講じられた。

このQ&Aは、帳簿の提出がない場合等の加算税の加重措置に関して、その概要や適⽤上の留意点等を取りまとめたものである。

(注)2022年10月25日現在の法令等に基づき作成している。

★リンクはこちら⇒ 帳簿の提出がない場合等の加算税の加重措置に関するQ&A(2022年10月)

2022年11月11日


税務相談チャットボット(年末調整)が始まりました

チャットボット(ふたば)の年末調整に関するご相談(2022年分)が2022年10月6日(木)から始まった。

★リンクはこちら⇒ 税務相談チャットボット(年末調整)が始まりました

2022年11月7日


令和4年分年未調整のための各種様式

国税庁は、『令和4年分年未調整のための各種様式』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ 令和4年分年未調整のための各種様式

2022年10月5日


年末調整がよくわかるページ(令和4年分)

国税庁は、『年末調整がよくわかるページ(令和4年分)』をホームページに開設した。

年末調整の手順等を解説した動画やパンフレット、年末調整時に必要な各種様式など、国税庁が提供している年末調整に関する情報はこのページから入手・閲覧できる。

★リンクはこちら⇒ 年末調整がよくわかるページ(令和4年分)

2022年9月29日


源泉所得税の改正のあらまし(令和4年4月)

国税庁は、ホームページに『⺠源泉所得税の改正のあらまし(令和4年4月)』を掲載した。

令和4年度の税制改正により、源泉所得税関係について改正が行われた。

(注)このパンフレットは、令和4年4月1日現在の法令に基づいて作成している。

★リンクはこちら⇒ 源泉所得税の改正のあらまし(令和4年4月)

2022年6月8日


令和4年版宗教法人の税務

国税庁は、ホームページに「令和4年版宗教法人の税務」を掲載した。

このパンフレットは、

  • 宗教法人が支払う給与や報酬・料金に対する所得税及び復興特別所得税の源泉徴収
  • 宗教法人が行う収益事業に対する法人税の課税、地方法人税の課税
  • 宗教法人が行う資産の譲渡等に対する消費税の課税

等に関し、特に注意していただきたい事項について、その概要を説明したものである。

このパンフレットは、令和3年12月1日現在の所得税法等関係法令に基づいて作成している。

★リンクはこちら⇒ 令和4年版宗教法人の税務

2022年1月27日


令和4年版源泉徴収のしかた

国税庁はホームページに『令和4年版源泉徴収のしかた』を掲載した。

★リンクはこちら⇒ 令和4年版源泉徴収のしかた

2022年1月20日


令和4年版源泉徴収のあらまし

国税庁はホームページに『令和4年版源泉徴収のあらまし』を掲載した。

この「源泉徴収のあらまし」は、令和3年9月1日現在の所得税法等関係法令(租税条約については発効予定条約を含む。)の規定に基づいて、源泉徴収の事務に携わっている方に、令和4年における源泉徴収の仕組みやその内容を十分理解していただくために作成しているものである。

★リンクはこちら⇒ 令和4年版源泉徴収のあらまし

2021年12月23日


令和3年分年末調整のための各種様式等

国税庁は、「令和3年分年末調整のための各種様式等」を掲載した。

★リンクはこちら⇒ 令和3年分年末調整のための各種様式等

2021年10月29日


「年末調整がよくわかるページ」を開設しました

国税庁は、「年末調整がよくわかるページ」を開設した。

年末調整の手順等を解説した動画やパンフレット、年末調整時に必要な各種申告書など、国税庁が提供している年末調整に関する情報はこのページから入手・閲覧できる。

<お知らせ>

  • 令和3年分の年末調整は令和2年分と同じ手順となる。
  • 基礎控除の適用を受ける方は基礎控除申告書の提出が必要となるので、提出漏れがないよう注意すること。
  • 税務署主催で実施していた年末調整説明会について、令和3年以降は実施しないこととしている。

★リンクはこちら⇒ 「年末調整がよくわかるページ」を開設しました

2021年10月27日


HP掲載用の写真と源泉徴収

(税務通信3530号 2018年11月05日)

会社がプロのカメラマン(個人)にHP掲載用の写真撮影を依頼した場合,報酬の支払に際して源泉徴収を行う必要があるかどうかは議論のあるところである。

源泉徴収を怠った場合の加算税等のペナルティは報酬を支払う会社側に課されるため,実務上は,カメラマンの方が配慮し,源泉徴収ありで報酬の請求を行うケースも多いようだが,税務通信が確認したところ,源泉徴収を行う必要はないということである。

所得税法では,居住者に対し国内において一定の報酬・料金の支払をするものは,その支払の際,所得税を徴収し,その徴収の日の属する月の翌月10日までに国へ納付しなければならないとしている(所法204)。

そして,この源泉徴収の必要な報酬・料金のひとつとして「雑誌,広告その他の印刷物に掲載するための写真の報酬」が規定されている(所令320)。

ここで, 印刷物に掲載するための写真の報酬と記載されていることから,例えば,会社のパンフレットに掲載するための写真の報酬が,源泉徴収の必要な報酬・料金に該当することは明らかである。

他方で,これがHPに掲載するための写真であった場合,同じ写真であっても,HPは印刷物ではない。

このため,源泉徴収の必要な報酬・料金に該当するかどうかについて疑問が生じていたが,法令に規定されていない以上,源泉徴収を行う必要はないということである。

なお,会社のパンフレットとHPの両方に掲載する写真の場合,両者の報酬が明細書などで明確に区分されていないのであれば,報酬の全額に対して源泉徴収を行うことになるということである。

一方,両者が区分されていれば,パンフレット用の写真の報酬のみ源泉徴収を行うことになる。

2021年5月20日


在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)(令和3年4月30日更新)

国税庁のホームページの「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」が2021年4月30日に更新された。

★リンクはこちら⇒ 在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)(令和3年4月30日更新)

2021年5月17日


令和3年4月源泉所得税の改正のあらまし

国税庁は、「令和3年4月源泉所得税の改正のあらまし」をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ 令和3年4月源泉所得税の改正のあらまし

2021年5月13日


令和3年度版宗教法人の税務

国税庁が、『令和3年度版 宗教法人の税務 -源泉所得税・法人税・地方法人税・消費税-』を公表した。

このパンフレットは、

  • 宗教法人が支払う給与や報酬・料金に対する所得税及び復興特別所得税の源泉徴収
  • 宗教法人が行う収益事業に対する法人税の課税
  • 地方法人税の課税
  • 宗教法人が行う資産の譲渡等に対する消費税の課税

等に関し、特に注意していただきたい事項について、その概要を説明したものである。

このパンフレットは、令和2年12月1日現在の所得税法等関係法令に基づいて作成している。

★リンクはこちら⇒ 令和3年度版宗教法人の税務

2021年1月27日


在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)

国税庁は、『在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」を掲載した。

目次は、以下のとおり。

1.在宅勤務手当
〔問1〕 企業が従業員に在宅勤務手当を支給した場合は、従業員の給与として課税する必要はあ
りますか。
2.在宅勤務に係る事務用品等の支給
〔問2〕 在宅勤務を開始するに当たって、企業が従業員に事務用品等(パソコン等)を支給した
場合は、従業員の給与として課税する必要はありますか。
3.業務使用部分の精算方法
〔問3〕 在宅勤務に通常必要な費用を精算する方法による場合は、従業員に対する給与として課
税する必要がないとのことですが、その方法とはどのようなものですか。
4.通信費に係る業務使用部分の計算方法
〔問4〕 従業員が負担した通信費について、在宅勤務に要した部分を支給する場合、業務のため
に使用した部分はどのように計算すればよいですか。
5.通信費の業務使用部分の計算例
〔問5〕 企業が、従業員に対して、次のとおり従業員本人が所有するスマートフォンに係る料金
4,800 円(令和2年9月分)を支給し、上記【問4】により業務使用部分の計算をするこ
ととした場合の課税関係について教えてください。
6.電気料金に係る業務使用部分の計算方法
〔問6〕 従業員が負担した電気料金について、在宅勤務に要した部分を支給する場合、業務のた
めに使用した部分はどのように計算すればよいですか。
7.レンタルオフィス
〔問7〕 当社では、自宅に在宅勤務をするスペースがない従業員に対して、自宅近くのレンタル
オフィス等で在宅勤務をすることを認めています。このレンタルオフィス代等を従業員が
立替払いし、そのレンタルオフィス代等に係る領収証等の提出を受けてその代金の精算を
した場合、その精算をした金額について従業員に対する給与として課税する必要はありま
すか。

★リンクはこちら⇒ 在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)

2021年1月22日


令和3年版源泉徴収のしかた

国税庁は、「令和3年版源泉徴収のしかた」をホームページに掲載した。

<源泉徴収制度の意義>

所得税は、所得者自身が、その年の所得金額とこれに対する税額を計算し、これらを自主的に申告して納付する、いわゆる「申告納税制度」が建前とされていますが、これと併せて特定の所得については、その所得の支払の際に支払者が所得税を徴収して納付する源泉徴収制度が採用されている。

この源泉徴収制度は、①給与や利子、配当、税理士報酬などの所得を支払う者が、②その所得を支払う際に所定の方法により所得税額を計算し、③支払金額からその所得税額を差し引いて国に納付するというものである。

また、復興特別所得税においても、平成25年1月1日から令和19年12月31日までの間に生じる所得のうち、所得税の源泉徴収の対象とされている所得については、所得税を徴収する際に、復興特別所得税を併せて徴収し、徴収した所得税と併せて納付する源泉徴収制度が採用されている。

この制度により源泉徴収された所得税及び復興特別所得税の額は、源泉徴収だけで納税義務が完結する源泉分離課税とされる利子所得などを除き、最終的にはその年の年末調整や確定申告によって精算される。

★リンクはこちら⇒ 令和3年版源泉徴収のしかた

2020年12月21日


年末調整手続の電子化に係るFAQの改訂(令和2年7月27日)

国税庁は、ホームページに、年末調整手続の電子化の概要、電子化へ向けた準備、マイナポータル連携を利用した控除証明書等データの取得方法、年末調整控除申告書作成用ソフトウェアの概要など、年末調整手続の電子化に関するFAQを掲載しているが、このたび改訂された。

★リンクはこちら⇒ 年末調整手続の電子化に係るFAQの改訂(令和2年7月27日)

2020年8月28日


年末調整手続の電子化に関するパンフレットについて

国税庁は、年末調整手続の電子化に関するパンフレットをホームページに掲載した。

○令和2年分からの年末調整手続の電子化について
年末調整手続を電子化するにあたり、勤務先及び従業員が準備すべき事項等を記載したパンフレットとなる。

★リンクはこちら⇒ 年末調整手続の電子化に関するパンフレットについて

2020年8月21日


源泉所得税の改正のあらまし(令和2年4月)

国税庁は、「令和2年4月源泉所得税の改正のあらまし」をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ 源泉所得税の改正のあらまし(令和2年4月)

2020年6月9日


令和2年版宗教法人の税務(令和2年1月)

国税庁は、ホームページに『令和2年版宗教法人の税務』を掲載した。

このパンフレットは、宗教法人が支払う給与や報酬・料金に対する所得税及び復興特別所得税の源泉徴収、宗教法人が行う収益事業に対する法人税の課税、地方法人税の課税、宗教法人が行う資産の譲渡等に対する消費税の課税等に関し、特に注意していただきたい事項について、その概要を説明したものである。

このパンフレットは、令和元年12月1日現在の所得税法等関係法令に基づいて作成している。

★リンクはこちら⇒ 令和2年版宗教法人の税務(令和2年1月)

2020年3月6日


令和2年版源泉徴収のあらまし

国税庁は、『令和2年版源泉徴収のあらまし』をホームページに掲載した。

この「源泉徴収のあらまし」は、令和元年8月1日現在の所得税法等関係法令(租税条約については発効予定条約を含む。)の規定に基づいて、源泉徴収の事務に携わっている方に、令和2年における源泉徴収の仕組みやその内容を十分理解していただくために作成しているものである。

 ★リンクはこちら⇒ 令和2年版源泉徴収のあらまし

2020年1月15日


令和元年分年末調整のための各種様式

国税庁は、『令和元年分年末調整のための各種様式』を、ホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら⇒ 令和元年分年末調整のための各種様式

2019年11月6日


令和元年分年末調整のしかた

国税庁は、『令和元年分年末調整のしかた』を、ホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら⇒ 令和元年分年末調整のしかた

2019年10月21日


令和元年分給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引

国税庁は、『令和元年分給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引』を、ホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら⇒ 令和元年分給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引

2019年10月16日


令和元年版給与所得者と年末調整

国税庁は、『令和元年版給与所得者と年末調整』を、ホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら⇒ 令和元年版給与所得者と年末調整

2019年10月11日


改元に伴う源泉所得税の納付書の記載のしかた

天皇の退位等に関する皇室典範特例法(平成29年法律第63号)に基づく皇位の継承に伴い、2019年5月1日から元号が改められる予定である。

源泉所得税の納付の際には、改元後においても、「平成」が印字された「源泉所得税の所得税徴収高計算書(納付書)」(以下「納付書」という。)を引き続き使用することができる(注)

「平成」が印字された納付書の記載に当たっては、「改元に伴う源泉所得税の納付書の記載のしかた(リーフレット)」を参照のこと。

(注)対象となる納付書は、以下のとおり。

  • 利子等の所得税徴収高計算書
  • 配当等の所得税徴収高計算書
  • 給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(一般用)
  • 給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(納期特例分)
  • 非居住者・外国法人の所得についての所得税徴収高計算書
  • 報酬・料金等の所得税徴収高計算書
  • 定期積金の給与補てん金等の所得税徴収高計算書
  • 上場株式等の源泉徴収選択口座調整所得金額及び源泉徴収選択口座内配当等・未成年者口座等において契約不履行等事由が生じた場合の所得税徴収高計算書
  • 償還差益の所得税徴収高計算書
  • 割引債の償還金に係る差益金額の所得税徴収高計算書

 ★リンクはこちら⇒ 改元に伴う源泉所得税の納付書の記載のしかた

2019年4月11日


平成31年(2019年)版宗教法人の税務(平成31年1月)

このパンフレットは、宗教法人が支払う給与や報酬・料金に対する所得税及び復興特別所得税の源泉徴収、宗教法人が行う収益事業に対する法人税の課税、地方法人税の課税、宗教法人が行う資産の譲渡等に対する消費税の課税等に関し、特に注意していただきたい事項について、その概要を説明したものである。

このパンフレットは、平成30年12月1日現在の所得税法等関係法令に基づいて作成している。

平成31年以降の元号の表示については、便宜上、平成を使用するとともに西暦を併記している。

 ★リンクはこちら⇒ 平成31年(2019年)版宗教法人の税務(平成31年1月)

2019年2月13日


平成31年(2019年)版源泉徴収のしかた

国税庁は、『平成31年(2019年)版源泉徴収のしかた』をホームページに掲載した。

この「源泉徴収のしかた」は、会社や商店などで通常行う源泉徴収事務の概要を説明したものである。

<源泉徴収制度の意義>
所得税は、所得者自身が、その年の所得金額とこれに対する税額を計算し、これらを自主的に申告して納付する、いわゆる「申告納税制度」が建前とされているが、これと併せて特定の所得については、その所得の支払の際に支払者が所得税を徴収して納付する源泉徴収制度が採用されている。

この源泉徴収制度は、①給与や利子、配当、税理士報酬などの所得を支払う者が、②その所得を支払う際に所定の方法により所得税額を計算し、③支払金額からその所得税額を差し引いて国に納付するというものである。

また、復興特別所得税においても、平成25年1月1日から平成49年(2037年)12月31日までの間に生じる所得のうち、所得税の源泉徴収の対象とされている所得については、所得税を徴収する際に、復興特別所得税を併せて徴収し、徴収した所得税と併せて納付する源泉徴収制度が採用されている。

この制度により源泉徴収された所得税及び復興特別所得税の額は、源泉徴収だけで課税関係が終了する源泉分離課税とされる利子所得などを除き、最終的にはその年の年末調整や確定申告によって精算される。

 ★リンクはこちら⇒ 平成31年(2019年)版源泉徴収のしかた

2019年1月28日


平成31年(2019年)版源泉徴収のあらまし

この「源泉徴収のあらまし」は、平成30年9月1日現在の所得税法等関係法令(租税条約については発効予定条約を含む。)の規定に基づいて、源泉徴収の事務に携わっている方に、平成31年(2019年)における源泉徴収の仕組みやその内容を十分理解していただくために作成しているものである。

<お知らせ>
税務署で配布する「平成31年(2019年)版源泉徴収のあらまし」の冊子については、147頁に掲載している「退職所得の源泉徴収税額の速算表(平成31年(2019年)分)」の(注)について、1円未満と記載すべきところ、誤って100円未満と記載されているので、ご利用に当たっては注意すること。
訂正内容につきましては、正誤表をご確認のこと。
(注)
リンク先に掲載されている「平成31年(2019年)版源泉徴収のあらまし」のファイルは、誤りを訂正した後のものとなっている。

 ★リンクはこちら⇒ 平成31年(2019年)版源泉徴収のあらまし

2019年1月8日


食事を支給したとき

役員や使用人に支給する食事は、次の2つの要件をどちらも満たしていれば、給与として課税されない。
 (1)役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること。
 (2)次の金額が1か月当たり3,500円(税抜き)以下であること。
   (食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)
この要件を満たしていなければ、食事の価額から役員や使用人の負担している金額を差し引いた金額が給与として課税される。

(例)1か月当たりの食事の価額が5千円で、役員や使用人の負担している金額が2千円の場合
この場合には、上記(1)の条件を満たしていない。
したがって、食事の価額の5千円と役員や使用人の負担している金額の2千円との差額の3千円が、給与として課税される。
なお、ここでいう食事の価額は、次の金額になる。
 (1)仕出し弁当などを取り寄せて支給している場合には、業者に支払う金額
 (2)社員食堂などで会社が作った食事を支給している場合には、食事の材料費や調味料など食事を作るために直接かかった費用の合計額

また、現金で食事代の補助をする場合には、深夜勤務者に夜食の支給ができないために1食当たり300円(税抜き)以下の金額を支給する場合を除き、補助をする全額が給与として課税される。
なお、残業または宿日直を行うときに支給する食事は、無料で支給しても給与として課税しなくてもよいことになっている。

 ★リンクはこちら⇒ 食事を支給したとき

2018年12月11日


年末調整がよくわかるページ

国税庁は、ホームページに「年末調整がよくわかるページ」を開設した。

 ★リンクはこちら⇒ 年末調整がよくわかるページ

2018年11月20日


平成30年分年末調整のしかた

国税庁は、『平成30年分年末調整のしかた』を、ホームページに掲載した。

2018年も、年末調整を行う時期となった。
「年末調整」は、ご承知のとおり、給与の支払を受ける人の一人一人について、毎月(毎日)の給料や賞与などの支払の際に源泉徴収をした税額と、その年の給与の総額について納めなければならない税額(年税額)とを比べて、その過不足額を精算する手続で、給与の源泉徴収の総決算ともいうべきものである。
大部分の給与所得者は、この「年末調整」によってその年の所得税及び復興特別所得税の納税が完了し、改めて確定申告の手続をとる必要がないこととなるわけだから、この意味からも非常に大切な手続である。

 ★リンクはこちら⇒ 平成30年分年末調整のしかた

2018年11月12日


平成30年分年末調整のための各種様式

国税庁は、『平成30年分年末調整のための各種様式』を、ホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら⇒ 平成30年分年末調整のための各種様式

2018年11月6日


平成30年版給与所得者と年末調整

国税庁は、『平成30年版給与所得者と年末調整』を、ホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら⇒ 平成30年版給与所得者と年末調整

2018年10月16日


平成30年分給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引

国税庁は、『平成30年分給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引』を、ホームページに掲載した。

法定調書には多くの種類があるが、この手引は、そのうち、多くの方が提出をしなければならない6種類の法定調書の作成や提出方法についてまとめたものである。

 ★リンクはこちら⇒ 平成30年分給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引

2018年10月2日


町が町内の私立保育所に勤務する保育士等に対して支給する助成金の課税上の取扱いについて

1.事前照会の趣旨
A町は、子ども・子育て支援法第7条第4項に規定する保育所のうち町内に所在する私立保育所(以下「対象保育所」という。)に勤務する保育士、保育教諭及びその他の職員(以下「保育士等」という。)に対し、保育人材の確保、定着及び離職防止を図ることを目的として、保育士等が毎年3月1日に対象保育所に在籍し、一定の要件のもと継続して勤務しているときに、A町保育士等助成金(以下「本件助成金」という。)を支給する制度(以下「本件助成制度」という。)を設けている。
この場合、本件助成金について、その所得区分及びA町における源泉徴収の要否について、それぞれ下記3のとおり解して差し支えないか、照会する。

2.事前照会に係る取引等の事実関係
(1)本件助成制度の目的
本件助成制度は、対象保育所に勤務する保育士等に対して、本件助成金を支給することにより、保育人材の確保、定着及び離職防止を図ることを目的としている。
(2)本件助成制度の概要
イ.本件助成制度の実施期間
本件助成制度の実施期間は、平成29年4月1日から平成32年3月31日までの3年間とし、支給対象期間は各年4月1日から翌年3月31日までの期間とする。
ロ.本件助成金の支給対象者
本件助成金の支給対象となる保育士等は、次に掲げる要件の全てを満たす者である。
(イ)本件助成制度の実施期間内の各年3月1日において、対象保育所に保育士等として在籍していること。
(ロ)対象保育所において、1年以上の期間の労働契約を結んでおり、1日6時間以上かつ月20日以上常態的に継続して勤務していること。
(ハ)対象保育所を適用事業所とする社会保険の被保険者であること。
ハ.本件助成金の額
本件助成金の額は、年額3万円とする。
ただし、年度途中で採用された者については採用された日が属する月から月割計算をするものとする。
(3)本件助成金の支給申請手続等
A町は、本件助成金の支給に当たり、本件助成金の支給対象となる保育士等からA町保育士等助成金届出書に、上記(2)ロ(ロ)の要件が確認できる書類、社会保険の被保険者であることを証する書類及びその他A町が必要と認める書類を添付の上、提出させるものとする。
そして、A町は、上記のA町保育士等助成金届出書等を受理したときは、速やかにその内容を確認のうえ、本件助成金を支給するものとする。

3.2の事実関係に対して事前照会者の求める見解となることの理由
(1)本件助成金の所得区分
イ.給与所得について
所得税法第28条《給与所得》第1項は、給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る所得をいうと規定している。
A町と保育士等との間に雇用関係及びこれに類する関係はないことから、本件助成金は給与所得には該当しないものと考える。
ロ.一時所得について
所得税法第34条《一時所得》第1項は、一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいうと規定している。
本件助成金は、本件助成制度に基づき、A町から保育士等に対し3年にわたって支給することが予定されていることからすれば、上記の「一時の所得」に該当しないものと考えられる。
したがって、本件助成金は一時所得にも該当しないものと考える。
ハ.雑所得について
所得税法第35条《雑所得》第1項は、雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいうと規定している。
本件助成金は、上記の利子所得ないし一時所得のいずれにも該当しないことから、雑所得に該当するものと考える。
(2)源泉徴収の要否
源泉徴収が必要となる支払については、所得税法に限定的に列挙されているところ、本件助成金は、所得税法に規定されている源泉徴収を要する支払のいずれにも該当しないことから、A町は本件助成金の支払の際に、源泉徴収を要しないと考える。

4.回答内容
標題のことについては、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えない。
ただし、次のことを申し添える。
(1)ご照会に係る事実関係が異なる場合または新たな事実が生じた場合は、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがある。
(2)この回答内容は広島国税局としての見解であり、事前照会者の申告内容等を拘束するものではない。

 ★リンクはこちら⇒ 町が町内の私立保育所に勤務する保育士等に対して支給する助成金の課税上の取扱いについて

2018年7月17日


源泉所得税及び復興特別所得税を納め過ぎたとき

源泉徴収義務者が次の理由で源泉所得税及び復興特別所得税を納め過ぎたときには、「源泉所得税及び復興特別所得税の誤納額還付請求書」(以下「還付請求書」という。)を作成し、誤りが生じた事実を記載した帳簿書類の写しを添付して、源泉所得税の納税地の所轄税務署長に提出することで過誤納金の還付を請求することができる。

(1) 源泉徴収義務者における源泉所得税及び復興特別所得税額の計算誤り等による過誤納金
(2) 支払額が誤払等により過大であったため返還を受けたことによる過誤納金
(3) 支払額が条件付のものであったため返還を受けたことによる過誤納金

また、誤って納めた源泉所得税及び復興特別所得税が給与や賞与に係るものであるときは、上記還付請求書に代えて「源泉所得税及び復興特別所得税の誤納額充当届出書」を提出することで、その過誤納金に相当する金額を、届出書を提出した日以後に納付すべきこととなる給与や賞与に対する源泉所得税及び復興特別所得税の額から控除することができる。

 ★リンクはこちら⇒ 源泉所得税及び復興特別所得税を納め過ぎたとき

2018年4月5日


平成30年版宗教法人の税務

国税庁は、「平成30年版宗教法人の税務」をホームページに掲載した。

このパンフレットは、宗教法人の支払う給与や報酬・料金に対する所得税及び復興特別所得税の源泉徴収、宗教法人の行う収益事業に対する法人税の課税、地方法人税の課税、宗教法人の行う資産の譲渡等に対する消費税の課税等に関し、特に注意していただきたい事項について、その概要を説明したものである。

 ★リンクはこちら⇒ 平成30年版宗教法人の税務

2018年3月2日


平成30年版源泉徴収のしかた

国税庁は、「平成30年版源泉徴収のしかた」を、ホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら⇒ 平成30年版源泉徴収のしかた

2017年12月27日


年末調整がよくわかるページ

国税庁は、『年末調整がよくわかるページ』を開設した。

なお、『年末調整がよくわかるページ』は、平成29年11月1日(水)から平成30年2月28日(水)までの期間のみ掲載しているので、注意すること。

 ★リンクはこちら⇒ 年末調整がよくわかるページ(既に削除済み)

2017年12月12日


平成29年分給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引

国税庁は、「平成29年分給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」を、ホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら⇒ 平成29年分給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引

2017年12月11日


平成29年分年末調整のしかた Edit

国税庁は、「平成29年分年末調整のしかた」を、ホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら⇒ 平成29年分年末調整のしかた

2017年11月14日

平成29年分年末調整のための各種様式 Edit

国税庁は、「平成29年分年末調整のための各種様式」を、ホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら⇒ 平成29年分年末調整のための各種様式

2017年11月8日

平成29年版給与所得者と年末調整(リーフレット) Edit

国税庁は、「平成29年版給与所得者と年末調整(リーフレット)」を、ホームページに掲載した。

年末調整では、配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除・保険料控除などの控除が受けられるので、扶養控除等申告書などを提出して、これらの控除を正しく受けましょう。

 ★リンクはこちら⇒ 平成29年版給与所得者と年末調整(リーフレット)

2017年11月2日

平成29年版宗教法人の税務

国税庁は、「平成29年版宗教法人の税務」をホームページに掲載した。

このパンフレットは、宗教法人の支払う給与や報酬・料金に対する所得税及び復興特別所得税の源泉徴収、宗教法人の行う収益事業に対する法人税の課税、地方法人税の課税、宗教法人の行う資産の譲渡等に対する消費税の課税等に関し、特に注意していただきたい事項について、その概要を説明したものである。

 ★リンクはこちら⇒ 平成29年版宗教法人の税務

2017年2月7日

平成29年版源泉徴収のしかた

国税庁は、ホームページに『平成29年版源泉徴収のしかた』を掲載した。

この「源泉徴収のしかた」は、会社や商店などで通常行う源泉徴収事務の概要を説明したものである。

 ★リンクはこちら⇒ 平成29年版源泉徴収のしかた

2017年1月17日

給与・公的年金等の支払報告書及び源泉徴収票のeLTAXでの一括作成・提出(電子的提出の一元化)

<概要>
給与や公的年金等の支払をする事業者の方は、一定額以上の支払に係るものについて、受給者の方がお住まいの市町村に支払報告書を提出するほか、記載内容がほぼ同一の源泉徴収票を事業者の方の所轄税務署にも提出する必要がある。
平成29年1月以降は、地方税における手続を電子的に行うシステムである地方税ポータルシステム(eLTAX)を利用して、市町村に提出する給与や公的年金等の支払報告書の電子申告用のデータを作成する際、税務署に提出が必要な源泉徴収票の電子申告(e-Tax)用のデータも同時に作成することができるようになる。
同時に作成したデータは、eLTAXに一括して送信することで支払報告書は各市町村に、源泉徴収票についてはe-Taxで事業者の方の所轄税務署にそれぞれ提出される。
【ご注意!】
この提出方法は、オンラインにより電子的に給与・公的年金等の支払報告書及び源泉徴収票を作成・提出する場合の仕組みであるため、光ディスク等や書面により提出する場合には、従来どおり、市町村及び税務署にそれぞれ提出する必要がある。
この提出方法は、eLTAX対応ソフトであるPCdesk(対応税務ソフトを含みます。)を利用することが必要となるので、e-Taxソフト等、e-Taxのみを対象としたソフトでは、一括作成・送信は行えない。
1.電子的提出の一元化ができる対象帳票
(1)地方税
①給与支払報告書(個人別明細書)(平成28年分以降用)
②給与支払報告書(総括表)(平成28年分以降用)
③公的年金等支払報告書(個人別明細書)(平成28年分以降用)
④公的年金等支払報告書(総括表)(平成28年分以降用)
(2)国税
①給与所得の源泉徴収票(平成28年分以降用)
②給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(平成28年分以降用)
③公的年金等の源泉徴収票(平成28年分以降用)
④公的年金等の源泉徴収票合計表(平成28年分以降用)
2.電子的提出の一元化を行うためのe-Taxにおける事前準備
給与・公的年金等の源泉徴収票をeLTAXに一括送信するためには、e-Taxの利用者識別番号の取得や電子証明書の登録などの事前準備が必要である。
3.送信内容の確認
送信した源泉徴収票のe-Taxでの受信結果については、e-Tax受付システムへログインし、メッセージボックスに格納されている受信通知により確認する必要がある。

<電子的提出の一元化により源泉徴収票の本店等一括提出を行う場合>
(1)本店等一括提出に係る承認がお済みの方
①eLTAXにおいて合計表作成の際に、「本店一括」欄にチェックを行った上で、合計表及び源泉徴収票を送信すること。
②本店等一括提出を行う場合に添付する合計表付表は、eLTAXでは作成・送信ができませんので、別途、e-Taxソフト(WEB版)等から作成の上、送信すること。
(2)本店等一括提出に係る承認がお済みでない方
①提出する日の2カ月前までに「支払調書等の光ディスク等による提出承認申請書(兼)支払調書等の本店等一括提出に係る承認申請書」を所轄税務署に提出すること。
②①の申請書を提出し、承認された後の手続は、(1)と同様である。

<ソフトウェア開発業者の方へ(仕様書について)>
e-Tax及びeLTAXの仕様については、eLTAXホームページに掲載しているので、確認すること。

 ★リンクはこちら⇒ 給与・公的年金等の支払報告書及び源泉徴収票のeLTAXでの一括作成・提出(電子的提出の一元化)

2016年12月22日

平成29年版源泉徴収のあらまし

国税庁は、ホームページに『平成29年版源泉徴収のあらまし』を掲載した。

 ★リンクはこちら⇒ 平成29年版源泉徴収のあらまし

2016年12月21日

源泉徴収事務・法定調書作成事務におけるマイナンバー制度

国税庁は、『源泉徴収事務・法定調書作成事務におけるマイナンバー制度』をホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら⇒ 源泉徴収事務・法定調書作成事務におけるマイナンバー制度

2016年11月29日

年末調整がよくわかるページ

国税庁は、「年末調整がよくわかるページ」を開設した。

 ★リンクはこちら⇒ 年末調整がよくわかるページ

2016年11月24日

平成28年版給与所得者と年末調整(リーフレット)

国税庁は、『平成28年版給与所得者と年末調整(リーフレット)』をホームページに公表した。

 ★リンクはこちら⇒ 平成28年版給与所得者と年末調整(リーフレット)

2016年11月21日

平成28年分年末調整のための各種様式

国税庁は、『平成28年分年末調整のための各種様式』をホームページに公表した。

 ★リンクはこちら⇒ 平成28年分年末調整のための各種様式

2016年11月8日

平成28年分年末調整のしかた

国税庁は、『平成28年分年末調整のしかた』をホームページに公表した。

本年も、年末調整を行う時期となった。
「年末調整」は、ご承知のとおり、給与の支払を受ける人の一人一人について、毎月(日)の給料や賞与などの支払の際に源泉徴収をした税額と、その年の給与の総額について納めなければならない税額(年税額)とを比べて、その過不足額を精算する手続で、給与の源泉徴
収の総決算ともいうべきものである。

大部分の給与所得者は、この「年末調整」によってその年の所得税及び復興特別所得税の納税が完了し、改めて確定申告の手続をとる必要がないこととなるわけなので、この意味からも非常に大切な手続といえるだろう。

 ★リンクはこちら⇒ 平成28年分年末調整のしかた

2016年10月17日

給与の改訂差額に対する税額の計算

使用人に支払う給与について、いわゆるベースアップが行われることがある。

使用人に支払われる給与のベースアップが過去にさかのぼって行われ、そのベースアップ部分の給与がまとめて支払われる場合の収入すべき時期と税額の計算は以下のようになる。

使用人のベースアップが過去にさかのぼって実施された場合には、ベースアップ前の給与とベースアップ後の給与とに差額が生じる。
この差額を一括して支給する場合の給与の収入すべき時期は、ベースアップを取り決めた労働協約等において支給日が定められているものについてはその支給日、その日が定められていないものについてはその労働協約等の効力が生じた日となる。

また、この場合の源泉徴収税額の計算は、定められた支給日または効力が生じた日の属する月に支給する通常の給与と差額分の給与を合計した金額について「給与所得の源泉徴収税額表」を用いて税額を求める。

なお、この方法によって税額の計算を行うと、源泉徴収税額が多額となることがある。
そのため、数か月分の差額を一括して一時に支給するような場合には、その差額分を臨時的な給与として、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を用いて計算してもよいことになっている。

 ★リンクはこちら⇒ 給与の改訂差額に対する税額の計算

2016年7月12日

源泉所得税の改正のあらまし(平成28年4月)

国税庁は、『源泉所得税の改正のあらまし』を作成した。

このパンフレットは、平成28 年4月1日現在の法令に基づいて作成している(平成28 年度税制改正に係る政省令の改正は平成28 年3月に一部行われたが、平成28 年4月以降も行われる予定である。)。

 ★リンクはこちら⇒ 源泉所得税の改正のあらまし(平成28年4月)

2016年5月12日

平成28年版源泉徴収のあらまし

国税庁は、「平成28年版源泉徴収のあらまし」をホームページに掲載している。

この「源泉徴収のあらまし」は、平成27年10月2日現在の所得税法等関係法令(租税条約については発効予定条約を含む。)の規定に基づいて、源泉徴収の事務に携わっている方に、平成28年における源泉徴収の仕組みやその内容を十分理解していただくために作成しているものである。

なお、税務署で配付している「平成28年版 源泉徴収のあらまし」の冊子については、177頁の表〔居住者に支払う利子所得の概要〕に一部誤りがあるので、利用に当たっては注意すること。

 ★リンクはこちら⇒ 平成28年版源泉徴収のあらまし

2016年3月25日

平成28年版宗教法人の税務

国税庁は、「平成28年版宗教法人の税務」をホームページに掲載した。

このパンフレットは、宗教法人の支払う給与や報酬・料金に対する所得税及び復興特別所得税の源泉徴収、宗教法人の行う収益事業に対する法人税の課税、地方法人税の課税、宗教法人の行う資産の譲渡等に対する消費税の課税等に関し、特に注意していただく事項について、その概要を説明したものである。

このパンフレットは、平成27年12月1日現在の所得税法等関係法令に基づいて作成している。

 ★リンクはこちら⇒ 平成28年版宗教法人の税務

2016年2月9日

平成28年版源泉徴収のしかた

国税庁は、「平成28年版源泉徴収のしかた」をホームページに掲載した。

  • 平成28年以後に税務署に提出する申請書等には、源泉徴収義務者の個人番号または法人番号を記載する必要がある。
  • 平成28年以後は、給与所得者から給与所得者本人または配偶者等の個人番号が記載された「扶養控除等申告書」等の提出を受ける必要がある。
  • 平成28年1月以後の給与などの支払に係る源泉徴収票(税務署提出用)には、給与所得者本人等の個人番号を記載する必要がある。
    なお、受給者交付用の源泉徴収票には、個人番号の記載はしないこととされている。

 ★リンクはこちら⇒ 平成28年版源泉徴収のしかた

2016年1月4日

講習会の出席費用の負担

<照会要旨>
A社は、雇用を通じて少年院出院者等の改善更生を助ける協力雇用主として、少年院出院者等を雇用しているが、接遇やマナー、社会教養を身につけることは、顧客や取引先、あるいは社内において円滑な関係を構築し、ひいては、長期的な就労に資すると考えられることから、今般、これらの者に接遇・マナー・社会教養に関する講座を受講させることとした。
この接遇・マナー・社会教養に関する講座の受講料を会社が負担した場合、その従業員に対する給与等として課税すべきか。

<回答要旨>
給与等として課税しなくて差し支えない。

使用人本人が負担すべき費用を会社が負担した場合には、その使用人に対して費用相当額の給与等が支払われたものとして課税する必要がある。

しかしながら、お尋ねのように、使用者が自己の業務遂行上の必要に基づき、使用人にその使用人としての職務に直接必要な知識を習得させるための研修会、講習会等の出席費用等に充てるものとして支給する金品については、これらの費用として適正なものに限り、給与等として課税しなくて差し支えない。

 ★リンクはこちら⇒ 講習会の出席費用の負担

2015年12月10日

平成27年分年末調整のための各種様式

国税庁は、『平成27年分年末調整のための各種様式』を掲載した。

 ★リンクはこちら⇒ 平成27年分年末調整のための各種様式

2015年10月13日

平成27年版給与所得者と年末調整(リーフレット)

国税庁は、『平成27年版給与所得者と年末調整(リーフレット)』を掲載した。

 ★リンクはこちら⇒ 平成27年版給与所得者と年末調整(リーフレット)

2015年10月9日

国外居住親族に係る扶養控除等の適用について(リーフレット)

国税庁は、『国外居住親族に係る扶養控除等の適用について(リーフレット)』を掲載した。

 ★リンクはこちら⇒ 国外居住親族に係る扶養控除等の適用について(リーフレット)

2015年10月8日

本人へ交付する源泉徴収票や支払通知書等への個人番号の記載は必要ない!

平成27年10月2日に所得税法施行規則等の改正が行われ、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(以下「番号法」という。)施行後の平成28年1月以降も、給与などの支払を受ける方に交付する源泉徴収票などへの個人番号の記載は行わないこととされた(個人番号が記載不要となる税務関係書類は、以下のものである。)。

なお、税務署に提出する源泉徴収票などには個人番号の記載が必要なので注意すること。

<個人番号の記載が不要となる税務関係書類>
(給与などの支払を受ける方に交付するものに限る。)

  • 給与所得の源泉徴収票
  • 退職所得の源泉徴収票
  • 公的年金等の源泉徴収票
  • 配当等とみなす金額に関する支払通知書
  • オープン型証券投資信託収益の分配の支払通知書
  • 上場株式配当等の支払に関する通知書
  • 特定口座年間取引報告書
  • 未成年者口座年間取引報告書
  • 特定割引債の償還金の支払通知書
    ※未成年者口座年間取引報告書及び特定割引債の償還金の支払通知書は、平成28年1月施行予定

 ★リンクはこちら⇒ 本人へ交付する源泉徴収票や支払通知書等への個人番号の記載は必要ない!

2015年10月7日

平成27年分年末調整のしかた

国税庁は、『平成27年分年末調整のしかた』を掲載した。

本年も、年末調整を行う時期となった。
「年末調整」は、ご承知のとおり、給与の支払を受ける人の一人一人について、毎月(日)の給料や賞与などの支払の際に源泉徴収をした税額と、その年の給与の総額について納めなければならない税額(年税額)とを比べて、その過不足額を精算する手続で、給与の源泉徴収の総決算ともいうべきものである。

大部分の給与所得者は、この「年末調整」によってその年の所得税及び復興特別所得税の納税が完了し、改めて確定申告の手続をとる必要がないこととなるため、この意味からも非常に大切な手続といえよう。

 ★リンクはこちら⇒ 平成27年分年末調整のしかた

2015年10月2日

国外居住親族に係る扶養控除等Q&A(源泉所得税関係)

国税庁は、『国外居住親族に係る扶養控除等Q&A(源泉所得税関係)』をホームページに掲載した。

所得税法等の一部を改正する法律(平成27年法律第9号)により、平成28年1月1日以後に支払うべき給与等及び公的年金等から、国外居住親族に係る扶養控除等の適用を受ける場合には、当該親族に係る親族関係書類や送金関係書類を提出または提示することが義務化されたことに伴い、国外居住親族に関する事項をQ&Aとして取りまとめた。

 ★リンクはこちら⇒ 「国外居住親族に係る扶養控除等Q&A(源泉所得税関係)

2015年10月1日

「源泉所得税の納付書兼所得税徴収高計算書の様式について」の一部改正について(事務運営指針)(平成27年7月9日)(平成27年8月18日)

平成20年6月23日付課法8-3ほか2課共同「源泉所得税の納付書兼所得税徴収高計算書の様式について」(事務運営指針)の別紙1「利子等の所得税徴収高計算書の様式及び記載要領」、別紙2「配当等の所得税徴収高計算書の様式及び記載要領」、別紙5「非居住者・外国法人の所得についての所得税徴収高計算書の様式及び記載要領」、別紙8「上場株式等の源泉徴収選択口座内調整所得金額及び源泉徴収選択口座内配当等の所得税徴収高計算書の様式及び記載要領」及び別紙9「償還差益の所得税徴収高計算書の様式及び記載要領」を別紙のとおり改め、別紙10「割引債の償還金に係る差益金額の所得税徴収高計算書の様式及び記載要領」を新たに定めたから、別紙2及び別紙5については今後、別紙1及び別紙8から別紙10までについては平成28年1月1日以後これによられたい。

<趣旨>
所得税法施行規則の一部を改正する省令(平成25年財務省令第35号)及び租税特別措置法施行規則の一部を改正する省令(平成25年財務省令第39号)等により、所得税法施行規則別表第三(一)「居住者又は内国法人の利子等、投資信託又は特定受益証券発行信託の収益の分配及び匿名組合契約等に基づく利益の分配についての所得税徴収高計算書」、別表第三(二)「居住者又は内国法人の配当等についての所得税徴収高計算書」、別表第三(四)「非居住者又は外国法人の所得についての所得税徴収高計算書」、租税特別措置法施行規則別表第七(二)「上場株式等の源泉徴収選択口座内調整所得金額及び源泉徴収選択口座内配当等についての所得税徴収高計算書」及び別表第九(二)「割引債の償還金に係る差益金額の所得税徴収高計算書」の改正が行われたこと等に伴い、様式及び記載要領の一部変更するなど所要の改正を行うものである。

 ★リンクはこちら⇒ 「源泉所得税の納付書兼所得税徴収高計算書の様式について」の一部改正について(事務運営指針)(平成27年7月9日)(平成27年8月18日)

2015年9月10日

平成28年分以後使用予定の法定調書関係などの様式

国税庁は、社会保障・税番号制度導入に伴い、平成28年1月以後に使用することとなる法定調書関係などの様式をホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら⇒ 事前の情報提供分(既に削除済み)

2015年9月4日

平成27年4月源泉所得税の改正のあらまし

国税庁は、「平成27年4月源泉所得税の改正のあらまし」をホームページに掲載した。

  • 非居住者である親族に係る扶養控除等の適用を受ける場合には、当該親族に係る親族関係書類及び送金関係書類を提出または提示しなければならないこととされた。
  • 非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(NISA)について、非課税口座に設けられる各年分の非課税管理勘定に受け入れることができる上場株式等の取得対価の額の限度額を 120 万円(現行:100 万円)に引き上げる改正が行われた。
  • 20歳未満の居住者等について、未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(いわゆるジュニアNISA)が創設された。
  • (特定増改築等)住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除について、適用期限(現行:平成29年12月31日)が平成31年6月30日まで1年6月延長された。
  • 外国金融機関等が平成30年3月31日までに行う店頭デリバティブ取引に係る一定の証拠金の利子について、非課税適用申告書等の提出等を要件とし、所得税等を非課税とする制度が創設された。

 ★リンクはこちら⇒ 平成27年4月源泉所得税の改正のあらまし

2015年6月10日

平成27年版宗教法人の税務

国税庁は、『平成27年版宗教法人の税務』をホームページに掲載した。

このパンフレットは、宗教法人の支払う給与や報酬・料金に対する所得税及び復興特別所得税の源泉徴収、宗教法人の行う収益事業に対する法人税の課税、地方法人税の課税、宗教法人の行う資産の譲渡等に対する消費税の課税等に関し、特に注意していただく事項について、その概要を説明したものである。
なお、このパンフレットは、平成26年12月1日現在の所得税法等関係法令に基づいて作成している。

 ★リンクはこちら⇒ 平成27年版宗教法人の税務

2015年2月13日

インターネット番組「源泉所得税はe-Taxで納付」

国税庁は、インターネット番組「源泉所得税はe-Taxで納付」をホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら⇒ インターネット番組「源泉所得税はe-Taxで納付」

2015年2月12日

平成27年版源泉徴収のあらまし

国税庁は、『平成27年版源泉徴収のあらまし』をホームページに掲載した。
この『源泉徴収のあらまし』は、平成26年10月20日現在の所得税法等関係法令(租税条約については発効予定条約を含みます。)の規定に基づいて、源泉徴収の事務に携わっている方に、平成27年における源泉徴収の仕組みやその内容を十分理解してもらうために作成しているものである。

 ★リンクはこちら⇒ 平成27年版源泉徴収のあらまし

2015年1月5日

2年前納された国民年金保険料の社会保険料控除

平成26年4月から、2年分の国民年金保険料を前納することができることとされている。
この2年前納された国民年金保険料に係る社会保険料控除については、①納めた年に全額控除する方法と、②各年分の保険料に相当する額を各年において控除する方法を選択することができる。

いずれの方法を選択した場合であっても、年末調整において、所得者本人が納めた国民年金保険料について社会保険料控除を受けるためには、日本年金機構が発行した社会保険料控除証明書を給与所得者の保険料控除申告書に添付して、給与等の支払者へ提出または提示することとなっている。

ただし、日本年金機構が発行する社会保険料控除証明書には、前納分を含め、その年に納付された保険料の総額が記載されていることから、上記②の各年分の保険料に相当する額を各年において控除する方法を選択される場合には、所得者自らが各年において「社会保険料(国民年金保険料)控除額内訳明細書」を作成の上、日本年金機構が発行した社会保険料控除証明書と併せて給与所得者の保険料控除申告書に添付して給与等の支払者へ提出することとなっている。

年末調整の際には、これらの証明書類から給与所得者の保険料控除申告書に記載された保険料の金額が正しく記載されているかを確認した上で、正しい控除を行うようにすること。
なお、「社会保険料(国民年金保険料)控除額内訳明細書」については、日本年金機構ホームページを見るか、お近くの年金事務所へ問い合わせること。

★リンクはこちら ⇒ 2年前納された国民年金保険料の社会保険料控除について

2014年12月3日

法定調書の作成・提出は、e-Taxで!(平成26年10月チラシ)

国税庁は、「法定調書の作成・提出は、e-Taxで!(チラシ)(平成26年10月)」をホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら⇒ 法定調書の作成・提出は、e-Taxで!(平成26年10月チラシ)

2014年11月14日

インターネット番組「平成26年分年末調整のしかた」

国税庁は、インターネット番組「平成26年分年末調整のしかた」をホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら⇒ インターネット番組「平成26年分年末調整のしかた」(既に削除済み)

2014年11月12日

インターネット番組「平成26年分法定調書の作成と提出」

国税庁は、インターネット番組「平成26年分法定調書の作成と提出」をホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら⇒ インターネット番組「平成26年分法定調書の作成と提出」(既に削除済み)

2014年11月7日

平成26年分年末調整がよくわかるページ

国税庁は、平成26年分年末調整がよくわかるページを開設した。

 ★リンクはこちら⇒ 平成26年分年末調整がよくわかるページ(既に削除済み)

2014年11月5日

平成26年分年末調整のしかた

国税庁は、『平成26年分年末調整のしかた』を公表した。

 ★リンクはこちら⇒ 平成26年分年末調整のしかた

2014年10月23日

平成26年分年末調整のための各種様式

国税庁は、『平成26年分年末調整のための各種様式』を公表した。

 ★リンクはこちら⇒ 平成26年分年末調整のための各種様式

2014年10月15日

平成26年版給与所得者と年末調整(リーフレット)

国税庁は、『平成26年版給与所得者と年末調整(リーフレット)』を公表した。

 ★リンクはこちら⇒ 平成26年版給与所得者と年末調整(リーフレット)(既に削除済み)

2014年10月9日

平成26年分給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引

国税庁は、『平成26年分給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引』を公表した。

もう、そういう時期なのである。

 ★リンクはこちら⇒ 平成26年分給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引

2014年10月7日

同じ年に2か所以上から退職金をもらったとき

役員または使用人に退職金を支払うとき、同じ年に既に他の会社などから退職金をもらっていることがある。
また、1つの会社を退職するとき、同時に2か所以上から退職金が支払われることもある。
これらの場合には、支払者は他の会社などが支払った退職金も含めて、源泉徴収税額を計算しなければならない。
このため支払者は、退職する人から「退職所得の受給に関する申告書」(以下「受給に関する申告書」という。)の提出を受ける必要がある。
そして既に他の会社などから退職金をもらっている場合には、「退職所得の源泉徴収票」も併せて提出を受ける必要がある。
この場合、「受給に関する申告書」には、以前に支払を受けた退職金等の額、源泉徴収された税額、支払年月日及び勤続年数等を記入することになる。

同じ年に2か所以上から退職金をもらったときの勤続年数は、それぞれの勤続期間のうち、最も長い期間により計算する。
ただし、その最も長い期間以外の期間のうちにその最も長い期間と重複していない期間がある場合は、その重複しない部分の期間を最も長い期間に加算して勤続年数を計算する。
この勤続年数に1年に満たない端数があるときは、1年に切り上げる。
例えば、以下のとおり。

会社名 就職日 退職予定日 計算
X社 平成17年4月1日 平成26年3月31日 平成17年4月1日から平成26年3月31日の9年で計算する。
Y社 平成19年4月1日 平成26年7月31日 平成17年4月1日から平成26年7月31日までの10年(9年4か月ゆえ10年に切り上げ)で計算する。

1回目の退職金に対する税額を差し引いた結果、源泉徴収すべき所得税及び復興特別所得税の額がマイナスになったときは、今回支給する退職金から、源泉徴収する税額はないことになる。
この場合、マイナスの金額の還付を受けるためには、退職金の受給者本人が確定申告をする必要がある。

「受給に関する申告書」の提出を受けていない場合には、退職金の支給額(退職所得控除額の控除前の金額)に20.42%の税率を乗じて計算した所得税及び復興特別所得税の額を源泉徴収しなければいけない。
この場合には、退職金の受給者本人が確定申告を行い、所得税及び復興特別所得税の額を精算する。
なお、支払われるべき退職金のうち、役員等としての勤続年数が5年以下の法人役員等の退職金については、課税退職所得金額の計算過程で2分の1にしない。

 ★リンクはこちら⇒ 同じ年に2か所以上から退職金をもらったとき

2014年8月7日

平成26年度版宗教法人の税務

国税庁が、『平成26年度版 宗教法人の税務 -源泉所得税法人税消費税-』を公表した。

このパンフレットは、

  • 宗教法人の支払う給与や報酬・料金に対する所得税及び復興特別所得税の源泉徴収
  • 宗教法人の行う収益事業に対する法人税の課税
  • 宗教法人の行う資産の譲渡等に対する消費税の課税
    等に関し、特に注意していただく事項について、その概要を説明したものである。

 ★リンクはこちら⇒ 平成26年度版宗教法人の税務

2014年3月14日

平成26年版源泉徴収のしかた

国税庁が、『平成26年版源泉徴収のしかた』を公表した。

これは、会社や商店などで通常行う源泉徴収事務の概要を説明したものである。

 ★リンクはこちら⇒ 平成26年版源泉徴収のしかた

2014年1月21日

平成26年版源泉徴収のあらまし

この「源泉徴収のあらまし」は、国税庁が、平成25年9月30日現在の所得税法等関係法令(租税条約については発効予定条約を含む。)の規定に基づいて、源泉徴収の事務に携わっている方に、平成26年における源泉徴収の仕組みやその内容を十分理解していただくために作成しているものである。

 ★リンクはこちら⇒ 平成26年版源泉徴収のあらまし

2014年1月20日

法定調書の「源泉徴収税額」欄への復興特別所得税の記載方法

<照会要旨>
法定調書の中には、「源泉徴収税額」欄が設けられているものがあるが、この「源泉徴収税額」欄には、所得税と復興特別所得税をどのように記載することとなるか。

<回答要旨>
所得税と復興特別所得税の合計額を記載する。
所得税の源泉徴収義務者は、平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間に生ずる所得について源泉所得税を徴収する際、復興特別所得税を併せて徴収し、源泉所得税の法定納期限までに、その復興特別所得税を源泉所得税と併せて国に納付しなければならないこととされている。
法定調書の中には、「給与所得の源泉徴収票」や「利子等の支払調書」など、「源泉徴収税額」欄が設けられているものがあるが、これらの調書の「源泉徴収税額」欄には、所得税と復興特別所得税の合計額を記載する必要がある。
なお、国税庁ホームページ掲載の平成25年分以後の源泉徴収税額表は、復興特別所得税を含んだものとなっている。

 ★リンクはこちら⇒ 法定調書の「源泉徴収税額」欄への復興特別所得税の記載方法

2014年1月15日

創業●●周年を記念して従業員に支給した商品券

<照会要旨>
創業●●周年を迎えたことから、本年12月に在籍する全従業員に対し、一律1万円分の商品券を支給することとした。
この場合、従業員に支給した商品券については、どのように取り扱われるのか。

<回答要旨>
給与等として課税の対象になる。
創業●●周年等の区切りを記念して従業員に対し記念品等を支給することは、一般的に行われているものであり、この記念品等については、①その支給する記念品が社会通念上記念品としてふさわしいものであり、かつ、そのものの価額(処分見込価額により評価した価額)が1万円以下のものであること、②創業記念のように一定期間ごとに到来する記念に際し支給する記念品については、創業後相当な期間(おおむね5年以上の期間)ごとに支給するものであること、のいずれにも該当するものについては、強いて課税しなくて差し支えないとしている(所得税基本通達36-22)。
この取扱いを受けるのは記念品に係る経済的利益に限られるため、記念品に代えて支給する金銭については、給与等として課税の対象になる。
会社の創業記念として商品券の支給が行われる場合、その支給を受けた各従業員は当該商品券と引き換えに、商品を自由に選択して入手することが可能となるので、商品券の支給については金銭による支給と異ならないといえる。
したがって、照会の商品券の支給については、課税しない経済的利益には該当せず、給与等として課税の対象になる。

2013年11月21日

平成25年分年末調整がよくわかるページ

国税庁は、『平成25年分年末調整がよくわかるページ』を開設した。

 ★リンクはこちら⇒ 平成25年分年末調整がよくわかるページ

2013年11月14日

平成25年分年末調整のしかた

国税庁は、『平成25年分年末調整のしかた』を作成した。

昨年とは、以下の点が異なっている。

  • 復興特別所得税を源泉徴収することとされた。
  • 給与等の収入金額が1,500万円を超える場合の給与所得控除額については、245万円の定額とすることとされた。
  • 特定の役員等に対する退職手当等に係る退職所得の金額の計算については、退職所得控除額を控除した残額を2分の1する措置が廃止された。

 ★リンクはこちら⇒ 平成25年分年末調整のしかた

2013年10月9日

平成25年分給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引

国税庁は、『平成25年分給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引』を作成した。

 ★リンクはこちら⇒ 平成25年分給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引

2013年9月25日

源泉所得税の改正のあらまし(平成25年4月)

国税庁は、源泉所得税の改正のあらまし(平成25年4月)を公表した。

源泉所得税の改正のあらまし(平成25年4月)

2013年5月14日

平成25年度版宗教法人の税務

国税庁が、『平成25年度版 宗教法人の税務 -源泉所得税法人税消費税-』を公表した。
このパンフレットは、

  • 宗教法人の支払う給与や報酬・料金に対する所得税及び復興特別所得税の源泉徴収
  • 宗教法人の行う収益事業に対する法人税の課税
  • 宗教法人の行う資産の譲渡等に対する消費税の課税

等に関し、特に注意していただく事項について、その概要を説明したものである。

★リンクはこちら ⇒ 平成25年度版宗教法人の税務(既に削除済み)

2013年1月31日

平成25年版源泉徴収のしかた

所得税は、所得者自身がその年の所得金額とこれに対する税額を計算し、これらを自主的に申告して納付する、いわゆる「申告納税制度」が建前とされているが、これと併せて特定の所得については、その所得の支払の際に支払者が所得税を徴収して納付する源泉徴収制度が採用されている。

この源泉徴収制度は、①給与や利子、配当、税理士報酬などの所得を支払う者が、②その所得を支払う際に所定の方法により所得税額を計算し、③支払金額からその所得税額を差し引いて国に納付するというものである。
また、復興特別所得税においても、平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間に生じる所得のうち、所得税の源泉徴収の対象とされている所得については、所得税を徴収する際に、復興特別所得税(所得税額の2.1%)を併せて徴収し、徴収した所得税と併せて納付する源泉徴収制度が採用されている。

この制度により源泉徴収された所得税及び復興特別所得税の額は、源泉徴収だけで課税関係が終了する源泉分離課税の利子所得などを除き、最終的にはその年の年末調整や確定申告によって精算される。

これらのことが記載された『平成25年版源泉徴収のしかた』が、国税庁のHPに掲載されている。
平成25年版源泉徴収のしかた

2012年12月21日

源泉徴収制度とは

所得税は、所得者自身が、その年の所得金額とこれに対する税額を計算し、これらを自主的に申告して納付する、いわゆる「申告納税制度」が建前とされているが、これと併せて特定の所得については、その所得の支払の際に支払者が所得税を徴収して納付する源泉徴収制度が採用されている。
この源泉徴収制度は、①給与や利子、配当、税理士報酬などの所得を支払う者が、②その所得を支払う際に所定の方法により所得税額を計算し、③支払金額からその所得税額を差し引いて国に納付するというものである。
また、復興特別所得税においても、平成25年1月1日から平成49年12月31日までの25年間に生じる所得のうち、所得税の源泉徴収の対象とされている所得については、所得税を徴収する際に、復興特別所得税を併せて徴収し、徴収した所得税と併せて納付する源泉徴収制度が採用されている。
この源泉徴収制度により徴収された所得税及び復興特別所得税の額は、源泉分離課税とされる利子所得などを除き、例えば、報酬・料金等に対する源泉徴収税額については確定申告により、また、給与に対する源泉徴収税額については、通常は年末調整という手続を通じて、精算される仕組みになっている。

2012年11月30日

平成24年分年末調整のしかた

国税庁が、『平成24年分年末調整のしかた』を先日公表した。
昨年から変更になった点は、以下のとおり。

  1. 生命保険料控除が改組された。
  2. 「納期の特例」の承認を受けている源泉徴収義務者が7月から12月までの間に支払った給与等及び退職手当等から徴収した源泉所得税の納期限が、翌年1月20日とされた。
  3. 自動車などの交通用具を使用して通勤する人が受ける通勤手当の非課税限度額が変わった。

平成24年分年末調整のしかた

2012年9月21日

平成24年分年末調整のための各種様式

平成24年分年末調整のための各種様式が国税庁のHPに掲載された。
以下のものが更新されたものである。

  • 復興特別所得税関係(源泉徴収関係)
  • 給与所得者の扶養控除等の(異動)申告
  • 給与所得・退職所得に対する所得税源泉徴収簿の作成
  • 給与所得者の保険料控除及び配偶者特別控除の申告
  • 従たる給与についての扶養控除等の(異動)申告
  • 公的年金等の受給者の扶養親族等の申告

平成24年分年末調整のための各種様式

2012年9月18日

寡婦などの場合の源泉徴収

給与等の支払を受ける人が寡婦(特別の寡婦を含む。)、障害者(特別障害者を含む。)、寡夫または勤労学生に該当する場合には、その該当する数を加え、その人の控除対象配偶者や扶養親族(年齢16歳未満の人を含む。)のうちに障害者(特別障害者を含む。)または同居特別障害者に該当する人がいる場合には、これらの一に該当するごとに扶養親族等の数に1人を加算した数を扶養親族等の数とする。

2012年7月5日

平成25年からの源泉徴収税額

平成23年12月2日に東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(平成23年法律第117号)が公布され、これにより、所得税の源泉徴収義務者は、平成25年1月1日から平成49年12月31日までの25年間に生ずる所得について源泉所得税を徴収する際に、復興特別所得税を併せて徴収し、源泉所得税の法定納期限までに、その復興特別所得税を源泉所得税と併せて国に納付しなければならないこととされた。

源泉徴収すべき復興特別所得税の額は、源泉徴収すべき所得税の額の2.1%相当額とされており、復興特別所得税は、所得税の源泉徴収の際に併せて源泉徴収することとされている。
実際には、以下のとおり、源泉徴収の対象となる支払金額等に対して、所得税と復興特別所得税の合計税率を乗じて計算した金額を徴収し、1枚の所得税徴収高計算書(納付書)で納付する。

<源泉徴収すべき所得税及び復興特別所得税の額>

(支払金額等 × 合計税率(%) = 源泉徴収すべき所得税及び復興特別所得税の額(1円未満の端数があるときは、その端数を切り捨て))

合計税率の計算式

(合計税率(%) = 所得税率(%) × 102.1%)

ちなみに、手取り額で100,000円支給する場合、支払金額は111,370円、合計税額は11,370円となる。

2012年6月25日

配当の源泉徴収と納期の特例

源泉徴収した所得税は、原則として、給与などを実際に支払った月の翌月10日までに国に納めなければならない。
しかし、給与の支給人員が常時9人以下の源泉徴収義務者は、源泉徴収した所得税を、半年分まとめて納めることができる特例がある。
これが、納期の特例といわれるものである。

ただし、この特例の対象となるのは、給与や退職金から源泉徴収をした所得税と、税理士、弁護士、司法書士などの一定の報酬から源泉徴収をした所得税に限られているので、配当を支払った際に源泉徴収をした所得税対象とはならなず翌月10日が納付期限になるので注意が必要である。

2012年6月20日

納期の特例

源泉徴収した所得税は、原則として、給与などを実際に支払った月の翌月10日までに国に納める必要がある。
しかし、給与の支給人員が常時9人以下の源泉徴収義務者は、源泉徴収した所得税を、半年分まとめて納めることができる特例がある。
これを納期の特例という。

この特例の対象となるのは、給与や退職金から源泉徴収をした所得税と、税理士、弁護士、司法書士などの一定の報酬から源泉徴収をした所得税に限られている。
この特例を受けていると、その年の1月から6月までに源泉徴収した所得税は7月10日、7月から12月までに源泉徴収した所得税は翌年1月10日が、それぞれ納付期限になる。

この特例を受けるためには、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」(以下「納期の特例申請書」という。)を提出することが必要である。
この納期の特例申請書の提出先は、給与等の支払を行う事務所などの所在地を所轄する税務署長である。
税務署長から納期の特例申請書の却下の通知がない場合には、この納期の特例申請書を提出した月の翌月末日に、承認があったものとみなされる。
この場合には、承認を受けた月に源泉徴収する所得税から、納期の特例の対象になる。

さらに、納期の特例を受けている者は、届出によって、翌年1月10日の納付期限を、1月20日に延長する特例を受けることができる。
この特例を受けるには、その年の12月20日までに「納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書」を所轄税務署長に提出して、以下の要件をどちらも満たすことが必要である。

  1. その年の12月31日において、源泉所得税の滞納がないこと
  2. その年の7月から12月までの間に源泉徴収した所得税を翌年1月20日までに納めること

なお、これらの納付期限が日曜日、祝日などの休日や土曜日に当たる場合には、その休日明けの日が納付期限となる。

2012年6月18日

配当等の支払調書

  • 手続対象者…利益の配当、剰余金の分配又は基金利息の支払をする法人
  • 提出時期…支払確定日(記名)または支払った日(無記名)から1か月以内
  • 提出方法…支払調書に合計表を添付して提出先に送付または持参
  • 手数料…不要
  • 申請書様式・記載要領…以下のリンクからダウンロード可能
    http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/hotei/annai/23100023.htm

2012年6月4日

法定調書の提出義務者

法定調書とは、所得税法などの規定により税務署に提出が義務づけられている書類をいい、それぞれ様式が定められている。
主な法定調書の提出義務者は、次のとおり。

  • 給与所得の源泉徴収票・給与支払報告書
    俸給、給料、賃金、歳費、賞与などの給与等の支払をする者
  • 退職所得の源泉徴収票・特別徴収票
    役員等に対して退職手当、一時恩給その他これらの性質を有する給与等の支払をする者
    ただし、死亡退職により退職手当等を支払った場合は、相続税法の規定による「退職手当金等受給者別支払調書」を提出することになるので、退職所得の源泉徴収票と特別徴収票は提出する必要はない。
  • 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
    外交員報酬、税理士報酬など所得税法第24条第1項各号並びに所得税法第174条第10号及び租税特別措置法第41条の20に規定されている報酬、料金、契約金及び賞金の支払をする者
  • 不動産の使用料等の支払調書
    不動産不動産の上に存する権利、総トン数20トン以上の船舶、航空機の借受けの対価や不動産の上に存する権利の設定の対価の支払をする法人と不動産業者である個人
  • 不動産等の譲受けの対価の支払調書
    不動産不動産の上に存する権利、総トン数20トン以上の船舶、航空機の譲受けの対価の支払をする法人と不動産業者である個人
  • 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書
    不動産不動産の上に存する権利、総トン数20トン以上の船舶、航空機の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払をする法人と不動産業者である個人

以上の法定調書の提出期限は、例外的な場合を除き、その年の翌年1月31日となっており、また、その提出先は、「給与支払報告書」及び「特別徴収票」を除き、支払事務を取り扱う事務所、事業所等の所在地を所轄する税務署である。

2012年1月19日

給与等の支払状況内訳書

以前は、翌年1月末までに「給与等の支払状況内訳書」を提出していたが、平成22年分から廃止されている。

2012年1月5日

利子等の源泉徴収

源泉徴収は利子等の支払いの際に行うが、支払債務が消滅する一切の行為が含まれる。これには債務免除も含まれる。

ただし、支払者の債務超過の状態が相当期間継続し、その支払をすることができないと認められる場合に行われたものである場合には、源泉徴収は不要である。

2011年12月9日

未払いの役員賞与

業績の悪化などにより、未払いの役員賞与を支払わないこととした場合でも、源泉徴収義務はある。支払確定日から1年を経過した時点で支払いがあったものと見做し、源泉徴収が必要である。
これは、役員賞与をいったん受け取った後に、会社へ役員賞与分を返したものとして扱うからである。

それゆえ、還付もできない。

2011年12月6日

配当の源泉徴収

配当については、支払いの際に所得税を徴収し、翌月10日までに納付する。

ただし、支払確定日から1年を経過した日までにその支払がされない場合には、1年を経過した日に支払があったものとみなす(利子にはこの規定はない。)。

2011年11月18日

2か所以上から給与をもらっている人の源泉徴収

2か所以上から給与をもらっている人の場合、主たる給与を支払う場合の源泉徴収税額は、税額表の「甲欄」で求める。
ここで、主たる給与とは、「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人に支払う給与のことである。

従たる給与を支払う場合の源泉徴収税額は、税額表の「乙欄」で求める。
ここで、従たる給与とは、主たる給与の支払者以外の給与の支払者が支払う給与のことである。

ちなみに、「丙欄」は「日額表」(この他に「月額表」と「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」がある)にだけあり、日雇いの人や短期間雇い入れるアルバイトなどに一定の給与を支払う場合に使う。

2011年10月28日

ホステス報酬に係る源泉所得税

ホステス等に支払う業務の対価については、1回の支払いにつき5,000円にその支払金額の計算期間の日数を乗じて計算した金額を控除した残額に10%の税率を乗じて計算した金額を源泉徴収する。

従来、この場合の「計算期間の日数」については、「営業日数」または「出勤日数」なのか、「支払金額の計算の基礎となった期間の初日から末日までの全日数」であるかの解釈が不明確であった。

しかしながら、2010年3月2日の最高裁判決により、「計算期間の日数」は、「営業日数」または「出勤日数」ではなく、支払金額の計算の基礎となった期間の初日から末日までの全日数であるとの判断が下された。

2011年9月27日

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登録免許税

<事前照会の趣旨・事実関係>

1.事実関係の概要

甲は、自身が認知症及び要介護状態となった場合における財産管理等を目的として、甲の推定相続人のうちの一人である実子乙との間で、甲を委託者兼受益者、乙を受託者及び受益者の死亡により信託が終了したときの残余財産帰属権利者として、所有する建物、宅地(以下、建物と併せて「本件不動産」という。)及び金銭を信託財産(以下「本件信託財産」という。)とする信託契約(以下「本件信託契約」という。)を締結する(以下、本件信託契約に係る信託を「本件信託」という。)。

2.本件信託契約の概要

本件信託は、本件信託財産の管理、処分及び運用によって、甲の生活、介護、療養及び納税等に必要な資金を給付し、甲の幸福な生活及び福祉を確保すること並びに本件信託財産の円滑な承継を目的としている。
本件信託契約の定めにおいて、委託者兼受益者である甲の死亡は、本件信託の終了事由の一つとされており、その場合、甲が有していた本件信託に関する委託者及び受益者としての地位及び権利については、以下(1)及び(2)のとおりとなる。

(1) 本件信託に係る委託者の地位は、残余財産帰属権利者として指定されている乙が取得し、委託者の権利については、相続により承継されることなく消滅する。
(2) 本件信託に係る受益者の地位及び権利は、相続により承継されることなく消滅する。

なお、本件信託の終了に伴い、信託の清算を行う清算受託者については、信託終了時点における受託者が指定されている。
また、甲の死亡により本件信託が終了した場合、本件信託財産については、残余財産帰属権利者として指定されている乙が取得し、甲死亡時点で既に乙が死亡していたときには、乙の子が取得する。
すなわち、甲死亡時点において乙が生存している場合、乙は、本件信託契約に基づき、甲より本件信託に係る委託者の地位を取得するとともに、本件信託に係る清算受託者及び残余財産帰属権利者となる。

3.照会事項

このような契約関係を前提として、甲の死亡により、甲の相続人である乙が本件信託財産を取得する場合、本件信託契約が終了したことに伴う本件不動産に係る所有権移転登記(以下「本件登記」という。)について、登録免許税法第7条《信託財産の登記等の課税の特例》第2項の規定が適用され、相続による所有権の移転の登記とみなして登録免許税が課されると解してよいか、照会する。

<上記の事実関係に対して事前照会者の求める見解となることの理由>

1.法令の規定

登録免許税法第7条第2項(以下「本件特例」という。)は、「信託の信託財産を受託者から受益者に移す場合」(以下「要件1」という。)であって、「当該信託の効力が生じた時から引き続き委託者のみが信託財産の元本の受益者である場合」(以下「要件2」という。)において、「当該受益者が当該信託の効力が生じた時における委託者の相続人(・・・)であるとき」(以下「要件3」という。)と規定していることから、その適用に当たっては、各要件を満たす必要があると考えられる。

2.あてはめ

本件信託契約においては、甲の死亡により本件信託は終了し、受益者の地位及び権利は消滅する。
そして、乙は、委託者の地位を取得するとともに、残余財産帰属権利者として本件信託財産を取得する。
このように、甲の死亡により本件信託は終了し、乙が残余財産帰属権利者として本件信託財産を取得するので、本件登記は上記要件1を満たさないようにも思える。
しかしながら、登録免許税法には「受益者」の定義がないので、乙が「受益者」に当たるか否かについては、信託法の定義にて判断することとなる。
信託法では、「受益者」とは、受益権を有する者をいい、また、「受益権」とは、信託行為に基づいて受託者が受益者に対し負う債務であって信託財産に属する財産の引渡しその他の信託財産に係る給付をすべきものに係る債権及びこれを確保するために信託法の規定に基づいて受託者その他の者に対し一定の行為を求めることができる権利をいう旨規定されている。
そしてまた、信託法では、信託が終了した場合においても、その清算が結了するまで信託はなお存続するものと擬制され、残余財産帰属権利者は当該清算中受益者とみなされる旨が規定されている。
すなわち、残余財産帰属権利者である乙は、本件信託の清算中、受益者とみなされるので、乙は登録免許税法の「受益者」に該当することとなる。
よって、本件登記は、本件信託の清算受託者である乙から、本件信託の受益者乙に対する所有権の移転登記であることから、上記要件1を満たすと解するのが相当である。
また、上記要件2は、本件特例の対象となる信託として、委託者のみが信託財産の元本の受益者となる信託であることをその要件としているところ、本件信託においては、甲が死亡するまでは、委託者甲が受益者であり、また、甲の死亡後は、甲から委託者の地位を取得した乙のみが残余財産帰属権利者(受益者)であることから、同要件についても満たしていると解するのが相当である。
そして、乙は、本件信託契約の効力が生じた時における委託者である甲の相続人であることから、上記要件3についても満たすこととなる。
以上のとおり、本件登記については、本件特例の趣旨にも反しておらず、本件特例に係る各要件を全て満たしているものと解されることから、その適用があるものと考えられる。

<回答内容>

回答年月日
平成30年12月18日

回答者
名古屋国税局審理課長

回答内容
 標題のことについては、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。
ただし、次のことを申し添えます。

(1)ご照会に係る事実関係が異なる場合又は新たな事実が生じた場合は、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあります。

(2)この回答内容は名古屋国税局としての見解であり、事前照会者の申告内容等を拘束するものではありません。

★リンクはこちら ⇒ 信託の終了に伴い、受託者兼残余財産帰属権利者が受ける所有権の移転登記に係る登録免許税法第7条第2項の適用関係について

2019年3月13日


原処分庁が認定した登録免許税の課税標準たる土地の価額は、当該土地に類似する不動産の固定資産課税台帳の登録価格を基礎としたものということはできないとした事例

  • 登録免許税の還付通知をすべき理由がない旨の通知処分
  • 一部取消し
  • 平成30年3月14日裁決

<ポイント>
本事例は、平成27年中にした平成26年12月31日現在の固定資産課税台帳に登録された価格(台帳登録価格)がない土地(本件各土地9の所有権移転登記に係る登録免許税の課税標準について、本件各土地の周辺で、本件各土地と不動産の形状、地積、間口、奥行き、利用状況及び接道状況、土地利用に係る行政上の規制等の内容や固定資産評価に適用される路線価等が類似すると認められる土地の台帳登録価格の1㎡当たりの価格を基礎として、本件各土地の価額を算定するのが相当であるとしたものである。

<要旨>
請求人は、平成27年中にした固定資産課税台帳に登録された価格(台帳登録価格)がない土地(本件各土地)の所有権移転登記(本件登記)に当たり、原処分庁が、登録免許税法施行令附則第3項の規定に基づき近傍宅地(本件近傍宅地:面積が150㎡程度の画地)の価格から認定した価額(登記官認定価額)は過大であり、平成28年度台帳登録価格が、本件登記時の正当な価額であるから、納付した登録免許税は過大になっている旨主張する。

しかしながら、本件各土地に係る登記申請は、平成27年中になされており、用いるべき台帳登録価格は平成26年12月31日現在のものであって、これと異なり、平成28年1月1日を基準日とする平成28年度台帳登録価格を用いる請求人の主張額は、同項第1号の規定に反しており、また、登記官認定価額は、単に本件近傍宅地の固定資産評価の路線価に雑種地等補正をして算定されただけであることがうかがわれ、不動産の形状、地積等の異なる本件各土地に類似する不動産の台帳登録価格を基礎としたものということはできない。

したがって、当審判所が認定した、本件登記の嘱託の日において、本件各土地の周辺で、本件各土地と不動産の形状、地積、間口、奥行き、利用状況及び接道状況、土地利用に係る行政上の規制等の内容や固定資産評価に適用される路線価等が類似すると認められる土地の台帳登録価格の1㎡当たりの価格を基礎として、本件各土地の価額を算定するのが相当である。

★リンクはこちら ⇒ 原処分庁が認定した登録免許税の課税標準たる土地の価額は、当該土地に類似する不動産の固定資産課税台帳の登録価格を基礎としたものということはできないとした事例

2019年1月23日


登録価格のない土地の課税標準について、当該土地の近傍に存する土地の登録価格を基礎として算定した事例 Edit

  • 平成27年3月登記により納付された登録免許税の還付通知をすべき理由がない旨の通知処分
  • 一部取消し
  • 平成28年9月28日裁決

<ポイント>
本事例は、登録価格のない土地の課税標準について、当該土地に類似する土地は当該土地に隣接する土地よりも当該土地の近傍に存する土地(近傍地)であるから、当該近傍地の登録価格を基礎として算定した価額と判断したものである。

<要旨>
請求人は、登録免許税法附則第7条《不動産登記に係る不動産価額の特例》に規定する価額につき、同附則の委任を受けた登録免許税法施行令附則第3項(施行令附則第3項)に規定する固定資産課税台帳に登録された評価額(登録価格)のない土地(本件土地)の登記申請に際し納付した登録免許税額は過大であり、本件土地が合筆・分筆される前の土地(本件土地とおおむね所在地が同じ。)に係る平成27年1月1日現在の登録価格に基づく1㎡当たりの評価額に本件土地の地積を乗じて算定した価額(請求人主張額)を本件土地の登録免許税の課税標準(本件土地課税標準)とするべきである旨主張し、原処分庁は、登記申請に際し、登記機関が認定した価額(本件登記機関認定価額)の基礎とした本件土地に隣接する土地(本件隣接地)は、その立地条件等から本件土地との類似性が極めて高い土地であり、本件登記機関認定価額に誤りはない旨主張する。

しかしながら、本件土地の登記申請が平成27年3月になされていることから、本件登記機関認定価額算定の基準日は、施行令附則第3項第1号の規定により、平成26年12月31日となるため、請求人の主張する平成27年1月1日現在の登録価格を算定の基礎とする請求人主張額をもって、本件土地課税標準とすることはできない。
また、本件隣接地は、本件土地の属する地域の土地利用に係る行政上の規制等の内容や登録価格の算定の基礎となる価格が異なっており、本件土地と類似する土地であるとは認め難く、他方、本件土地の近傍に存する土地(本件近傍地)は、土地利用に係る行政上の規制等の内容や登録価格の算定の基礎となる価格が本件土地と同じである。

したがって、本件隣接地よりも本件土地に類似する土地は、本件近傍地であると認められ、本件近傍地の登録価格を基礎として算定した価額を本件土地課税標準とするのが相当である。

★リンクはこちら ⇒ 登録価格のない土地の課税標準について、当該土地の近傍に存する土地の登録価格を基礎として算定した事例

2017年9月28日

原処分庁が認定した登録免許税の課税標準たる土地の価額は、当該土地に類似する不動産の登録価格を基礎としたものということはできないとして処分の一部を取り消した事例

  • 平成27年2月登記により納付された登録免許税に係る還付通知をすべき理由がない旨の通知処分
  • 一部取消し
  • 平成28年4月7日裁決

<ポイント>
本事例は、平成27年2月にした平成26年12月31日現在の固定資産課税台帳に登録された価格(登録価格)がない土地の所有権移転登記に係る登録免許税の課税標準について、他に当該土地の登記の時における適正な価額とは認められるものがないときは、平成26年度の固定資産評価基準の定めにより計算した価額が当該土地の登記の時の価額として相当なものであると認められるとしたものである。

<要旨>
請求人は、平成27年2月にした平成26年12月31日現在の固定資産課税台帳に登録された価格(登録価格)がない土地(本件土地)の所有権移転登記に当たり、納付した登録免許税は過誤納となっている旨主張し、原処分庁は、登録免許税法施行令附則第3項の規定に基づき付近の土地の登録価格から認定した価額は適正であり、過誤納はない旨主張する。

しかしながら、本件土地の周辺で、本件土地と形状、間口、奥行き、利用状況及び接道状況等が類似する不動産は存在しなかったと認められる上、登記官が認定した価額は、単に近傍の固定資産評価の路線価に雑種地等補正をして算定されただけであるとうかがわれ、これを本件土地に類似する不動産の登録価格を基礎としたものということはできない。

本件の登記申請は、平成27年2月になされており、用いるべき登録価格は平成26年12月31日現在のものであって、これと異なり、平成27年1月1日を基準日とする平成27年度の登録価格を用いる請求人の主張額は、登録免許税法施行令附則第3項第1号の規定に反しており、また、平成27年2月と平成27年1月1日とでは、本件土地の造成工事が完了していたか否かという差異があるから、平成27年度の登録価格をもって直ちに同項所定の登記官が認定する価額とは認められない。

いずれの価額も本件土地の登記の時における適正な価額とは認められないから、平成26年度の固定資産評価基準の定めにより計算した価額が本件土地の登記の時の価額として相当なものであると認められる。

★リンクはこちら ⇒ 原処分庁が認定した登録免許税の課税標準たる土地の価額は、当該土地に類似する不動産の登録価格を基礎としたものということはできないとして処分の一部を取り消した事例

2017年2月28日

火災による損害が反映されていない建物の台帳価格が、登録免許税法第10条第1項に規定する価額(時価)を超えていることから、合理的に算定した価額をもって課税標準とするのが相当であるとした事例

  • 登録免許税の還付通知をすべき理由がない旨の通知処分
  • 一部取消し
  • 平成28年6月8日裁決

<ポイント>
本事例は、火災による損害が反映されていない台帳価格の建物の時価は、経年減点補正率により算定された建物の台帳価格に、市の建物の固定資産評価に係る調査結果に基づき算定した建築時再建築費評点数に占める補正後再建築費評点数の割合を乗ずることで、本来考慮されるべき損害を反映した建物の台帳価格に相当する価額の算出が可能であり、当該価額は、固定資産評価基準に従って適正に算定されたものといえ、登記の時における建物の適正な時価を表したものと認められると判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、所有権移転登記(本件登記)時に課税標準とした建物(本件建物)の固定資産課税の台帳価格(台帳価格)に、過去に生じた火災による損害(本件損害)が反映されていないとしても、台帳価格のある不動産の課税標準の額は、登録免許税法附則第7条《不動産登記に係る不動産価額の特例》、登録免許税法施行令附則第3項の規定により、本件建物の本件登記の時における台帳価格によるべきである旨主張する。

しかしながら、登録免許税法第10条《不動産等の価額》第1項の登録免許税の課税標準たる不動産の価額とは不動産の「時価」をいうところ、時価の設定は基本的に当該不動産の台帳価格によるべきであるものの、台帳価格が何らかの理由により時価を表していない場合には、他の方法により求めた時価を登録免許税の課税標準として採用することができると解するのが相当である。

そこで、本件建物の時価を検討すると、経年減点補正率により算定された本件建物の台帳価格に、市の本件建物の固定資産評価に係る調査結果に基づき算定した建築時再建築費評点数に占める補正後再建築費評点数の割合を乗ずることで、本来考慮されるべき本件損害を反映した本件建物の台帳価格に相当する価額の算出が可能であり、当該価額は、固定資産評価基準に従って適正に算定されたものといえ、本件登記の時における本件建物の適正な時価を表したものと認められる。
そして、本件建物の台帳価格はその時価を上回るから、本件建物の登記に係る課税標準の額は、本件建物の台帳価格とはならず、当該時価によるべきである。

★リンクはこちら ⇒ 火災による損害が反映されていない建物の台帳価格が、登録免許税法第10条第1項に規定する価額(時価)を超えていることから、合理的に算定した価額をもって課税標準とするのが相当であるとした事例

2017年2月27日

原処分庁が認定した登録免許税の課税標準たる土地の価額は、近傍類似の土地の適正な台帳価格を参考として合理的に算定されたものではないとして処分の全部を取り消した事例

  • 平成26年11月登記により納付された登録免許税に係る還付通知をすべき理由がない旨の通知処分
  • 全部取消し
  • 平成28年3月7日裁決

<要旨>
原処分庁は、敷地権付き区分建物に係る請求人及びその配偶者が有する敷地権(本件敷地権)の登記申請(この申請に係る登記を本件登記)において、本件敷地権の目的である各土地(本件各土地)は年の途中で雑種地から宅地に地目が変更されているところ、同申請の添付書類である「固定資産(土地・家屋)評価証明書」には本件各土地の1平方メートル当たりの近傍宅地の類似価額(本件近傍類似価額)が記載されていることから、本件近傍類似価額に基づき本件敷地権に係る登録免許税の課税標準額たる価額を算出すべきである旨主張する。

しかしながら、登録免許税の課税標準額につき、台帳価格のある土地についてはその価格に相当する額とするが、登記簿の記載により現況地目が変更していることが判然としている場合は、近傍類似の土地の固定資産評価額(台帳価格)を参考として定めるとされていることからすると、登記官が認定した課税標準たる土地の価額は、それが近傍類似の土地の適正な台帳価格を参考として合理的に算定されたものであるとすれば、適法であると解するのが相当である。
これを本件についてみると、原処分庁が算出した課税標準たる本件敷地権の価額は、本件近傍類似価額に本件各土地の地積と本件敷地権の割合を乗じて算出したものであり、本件各土地の形状等に応じた固定資産評価基準に定める画地計算法等に基づく補正は行っていないことが認められるところ、このような補正を行っていない原処分庁の本件各土地の価額の算定は、合理的なものと認めることはできない。

したがって、原処分庁が算出した課税標準たる本件敷地権の価額は、本件登記の時における不動産の価額として適正であるとは認められない。

★リンクはこちら ⇒ 原処分庁が認定した登録免許税の課税標準たる土地の価額は、近傍類似の土地の適正な台帳価格を参考として合理的に算定されたものではないとして処分の全部を取り消した事例

2017年1月27日

登録免許税の税率の軽減措置

平成28年度の税制改正により、以下の1から3までの登録免許税の税率の軽減措置について、その適用期限が平成30年3月31日まで2年延長された。

1.特定認定長期優良住宅の所有権の保存登記等の税率の軽減(租税特別措置法第74条)【延長】

 登記の種類  本則  一般住宅(※)  軽減措置
 所有権の保存の登記  0.4%  0.15%  0.1%
 所有権の移転の登記  マンション  2.0%  0.3%  0.1%
 戸建て住宅  2.0%  0.3%  0.2%

2.認定低炭素住宅の所有権の保存登記等の税率の軽減(租税特別措置法第74条の2)【延長】

 登記の種類  本則  一般住宅(※)  軽減措置
 所有権の保存の登記  0.4%  0.15%  0.1%
 所有権の移転の登記  2.0%  0.3%

3.特定の増改築等がされた住宅用家屋の所有権の移転登記の税率の軽減(租税特別措置法第74条の3)【延長】

 登記の種類  本則  一般住宅(※)  軽減措置
 所有権の移転の登記  2.0%  0.3%  0.1%


「一般住宅」欄は、住宅用家屋の所有権の保存登記の税率の軽減(租税特別措置法第72条の2)または住宅用家屋の移転登記の税率の軽減(租税特別措置法第73条)を適用した場合の登録免許税の税率を参考掲載している。

(注)
上記1から3までの軽減措置の適用を受けるには、登記の申請書に住宅用家屋の所在地の市区町村長の証明書(住宅用家屋の床面積が50㎡以上であること等の一定の要件(裏面参照)を満たす旨の証明)を添付の上、当該住宅用家屋の新築または取得後1年以内に登記を受けなければならない。

★リンクはこちら ⇒ 登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ

2016年5月9日

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相続税

事業協同組合の出資持分の価額は財産評価基本通達196に定める評価方法(純資産価額)に基づき評価するのが相当であるとした事例

  • 平成29年4月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和6年4月11日裁決

<ポイント>
本事例は、本件における事業協同組合の出資持分が究極的には当該組合の純資産価額を体現したものといえるものであり、評価に当たって財産評価基本通達196《企業組合等の出資の評価》の定めを適用することが合理的であると判断したものである。

<要旨>
請求人は、その主張する相続により取得した事業協同組合の出資持分(本件持分)の価額は、当該組合の定款(本件定款)に定める脱退組合員の払戻金を根拠として組合員の間でも適正価額として流通していたものであるから、当該価額をもって評価すべき旨主張する。

しかしながら、本件定款に当該組合を脱退した際の払戻金を定めていることを前提としても、当該組合の純資産価額を基礎とした持分の価額が出資額を上回っていれば、その差額は当該組合の内部に留保された状態であり、最終的に解散して清算することになれば、純資産価額に基づく財産が分配されることになるから、本件持分は究極的には当該組合の純資産価額を体現したものといえる。

したがって、本件持分の評価に当たっては、財産評価基本通達196《企業組合等の出資の評価》の定めを適用することが合理的であることに加え、本件持分の譲渡には当該組合の承諾が必要であり、市場を通じた不特定多数の当事者間の自由な取引が行われるものではなく、本件持分の価額が組合員の間において請求人が主張する価額と認識されていたとしても、その価額は当事者間において限定的に形成されたものであって、これを本件持分の時価と認めることはできない。

★リンクはこちら⇒ 事業協同組合の出資持分の価額は財産評価基本通達196に定める評価方法(純資産価額)に基づき評価するのが相当であるとした事例

2025年3月11日


市街化調整区域内に所在する宅地について、「地積規模の大きな宅地」に準じて評価することはできないとした事例

  • 令和2年8月相続開始に係る相続税の各更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の各通知処分
  • 棄却
  • 令和6年3月6日裁決

<ポイント>
本事例は、市街化調整区域のうち都市計画法第34条第12号の規定に基づき開発行為の対象となる宅地は、仮に宅地分譲に係る開発行為が可能な区域に所在していたとしても、財産評価基本通達20-2《地積規模の大きな宅地の評価》に定める「地積規模の大きな宅地」に準じて評価することはできないとしたものである。

<要旨>
請求人らは、相続により取得した各土地(本件各土地)は、市街化調整区域のうち都市計画法第34条第12号の規定に基づき宅地分譲に係る開発行為を行うことができる区域(12号区域)に所在しており、宅地の分割分譲が可能であって、分割分譲に伴う減価が発生する土地であるため、財産評価基本通達20-2《地積規模の大きな宅地の評価》(本件通達)に定める「地積規模の大きな宅地」に準じて評価することができる旨主張する。

しかしながら、本件通達に定める「地積規模の大きな宅地」は、「戸建住宅用地としての分割分譲が法的に可能であり、かつ、戸建住宅用地として利用されるのが標準的である地域に所在する宅地」の範囲をもって定められているところ、都市計画法第34条第12号に相当する開発行為としては、分家に伴う住宅、収用対象事業の施行による移転等による建築物、社寺仏閣、研究施設等の建築物の用に供するものが予定されているのであるから、同号の規定に基づく開発行為の対象となる宅地は、仮に宅地分譲に係る開発行為が可能な区域に所在していたとしても、本件通達が適用対象とする当該範囲に含むべきものではないとしたものと解するのが相当である。

したがって、当該範囲に含まれるとする市街化調整区域のうち都市計画法第34条第10号及び第11号の各規定に基づき宅地分譲に係る開発行為を行うことができる区域に所在する宅地と当該範囲に含まれないとする12号区域に所在する宅地とで本件通達上異なる取扱いを定めていることは合理的なものであって、本件各土地を「地積規模の大きな宅地」に準じて評価することはできない。

★リンクはこちら⇒ 市街化調整区域内に所在する宅地について、「地積規模の大きな宅地」に準じて評価することはできないとした事例

2025年2月27日


取引相場のない株式の価額を国税庁長官の指示を受けて評価した価額によるものとすることが租税法上の一般原則としての平等原則に違反するということはできないとした事例

  • 平成29年7月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和6年3月25日裁決

<ポイント>
本事例は、会社の事業年度の変更及び剰余金の配当が、請求人の相続税の負担を著しく軽減し、これを意図してされたものであり、財産評価基本通達の定める画一的な評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反するため、当該評価による価額を上回る価額とすることに合理的な理由があると判断したものである。

<要旨>
請求人は、原処分庁が、財産評価基本通達(評価通達)6《この通達の定めにより難い場合の評価》の定めに基づき、請求人の祖母(本件被相続人)が保有していた取引相場のない株式(本件株式)の価額を評価通達の定める方法により評価した価額を上回る価額(原処分庁評価額)によるものとしたことが租税法上の一般原則としての平等原則に違反する旨主張する。

しかしながら、①本件株式を発行する会社(本件会社)の事業年度の変更及びその決算期中の剰余金の配当(本件各行為)を行ったことによって、請求人の納付すべき税額は、本件各行為が行われなかった場合に比べて、約50%もの減少となることから、請求人の相続税の負担は著しく軽減されたといえ、また、②請求人は、本件各行為が近い将来発生することが予想される本件被相続人からの相続において請求人の相続税の負担を減じさせるものであることを知り、かつ、これを期待して、本件各行為に係る各々の臨時株主総会を開催し、本件被相続人らと意思を相通じて賛成の議決権を行使したと推認できるから、本件各行為は請求人の租税負担の軽減をも意図して行われたものということができ、上記①及び②の事情の下においては、本件株式の価額について評価通達の定める方法による画一的な評価を行うことが、本件各行為のような行為をせず、又はすることのできない他の納税者と請求人との間に看過し難い不均衡を生じさせ、実質的な租税負担の公平に反するというべきであり、合理的な理由があると認められるから、本件株式の価額を国税庁長官の指示を受けて評価した価額によるものとすることが平等原則に違反するということはできない。

★リンクはこちら⇒ 取引相場のない株式の価額を国税庁長官の指示を受けて評価した価額によるものとすることが租税法上の一般原則としての平等原則に違反するということはできないとした事例

2025年2月26日


戸籍に振り仮名が記載されます

令和5年6月2日、戸籍法(昭和22年法律第224号)の一部改正を含む「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律」(令和5年法律第48号。以下「改正法」といいます。)が成立し、同月9日に公布されました。

従前、戸籍においては、氏名の振り仮名は記載事項とされておらず、戸籍上公証されていませんでしたが、この改正法の施行により、戸籍の記載事項に氏名に加えて、新たにその振り仮名が追加されることになりました。

改正法は、令和7年5月26日に施行予定です。

★リンクはこちら⇒ 戸籍に振り仮名が記載されます

2024年11月20日


相続税申告書第11表の様式改訂(令和6年1月以降相続開始分)

相続税申告書第11表(相続税がかかる財産の明細書)については、不動産や預貯金、有価証券などの全ての財産で同じ様式を使用していたが、令和6年1月以降相続開始分の相続税申告書から、各財産の種類別に所在場所や数量等の記載方法を明確化し、申告書作成に当たっての利便性の向上を図ることを目的として、相続税申告書第11表(相続税がかかる財産の明細書)の様式を分割するなどの改訂を行うこととした。

★リンクはこちら⇒ 相続税申告書第11表の様式改訂(令和6年1月以降相続開始分)

2024年10月3日


請求人が相続により取得した土地について、財産評価基本通達に定める評価方法によるべきではない特別の事情があるとは認められず、固定資産税評価額に基づいて当該通達に従って評価された価額は適正な時価を上回るものではないと事実上推認することができると判断した事例

  • 平成28年6月相続開始に係る相続税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分
  • 棄却
  • 令和5年11月9日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が相続により取得した土地についてした、市街化調整区域内に所在することなどにより財産評価基本通達の定める評価方法によるべきではない特別の事情があるとの主張に対し、固定資産税評価額の算定において市街化調整区域の市場の特性等が考慮されており、当該事情には当たらないと判断したものである。

<要旨>
請求人は、相続により取得した土地(本件各土地)について、①市街化調整区域内に所在し、かつ、既存宅地でない土地であること、②本件各土地の上には被相続人等が建築した建物等(本件各建物)があり、本件各土地を売却するには本件各建物の取壊し費用等を負担することから、財産評価基本通達(評価通達)の定める評価方法によるべきではない特別の事情があるとして、本件各土地の時価は、評価通達の定める評価方法に従って算定すべきではなく、③複数の不動産業者に依頼して得た各査定額を基に、高く見積もっても評価通達の定める評価方法による本件各土地の評価額(本件各通達評価額)の2分の1に相当する金額となるから、本件各通達評価額には相続税法第22条《評価の原則》に規定する時価を上回る違法がある旨主張する。

しかしながら、本件各通達評価額は、適正な時価を算定する方法として一般的な合理性を有している評価通達の定める評価方法により算定されており、①本件各土地が既存宅地でない土地であることの宅地利用上の制限については、評価通達の基礎となる固定資産税評価において減価修正がされ本件各通達評価額の算定過程において考慮されていること、②本件土地の上には相続開始日において本件各建物が存在し、居宅等として使用されている状況にあって、本件各建物の取壊し費用等を本件各土地の価額に反映させるべき事情は見当たらないことから、請求人が主張する事情は、いずれも評価通達の定める評価方法によるべきではない特別な事情に該当しない。

なお、③請求人が本件各土地の時価の根拠として主張する上記各査定額は、客観的な数値及び具体的な算定根拠が明らかではないから、本件各土地の時価と認めることはできない。

したがって、本件各通達評価額は適正な時価を上回るものではないと事実上推認することができるから、相続税法第22条に規定する時価を上回る違法があるとは認められない。

★リンクはこちら⇒ 請求人が相続により取得した土地について、財産評価基本通達に定める評価方法によるべきではない特別の事情があるとは認められず、固定資産税評価額に基づいて当該通達に従って評価された価額は適正な時価を上回るものではないと事実上推認することができると判断した事例

2024年9月13日


相続税及び贈与税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)(改正 令和5年6月23日)

標題のことについて、国税通則法(以下「通則法」という。)第68条第1項若しくは第2項又は第4項の規定の適用に関し留意すべき事項等を下記のとおり定めたから、今後処理するものからこれにより取り扱われたい。

(趣旨)
相続税及び贈与税の重加算税の賦課に関する取扱基準の整備等を図ったものである。

★リンクはこちら⇒ 相続税及び贈与税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)(改正 令和5年6月23日)

2024年8月8


相続税の申告のしかた(令和6年分用)

国税庁は『相続税の申告のしかた(令和6年分用)』をホームページに掲載した。

この「相続税の申告のしかた(令和6年分用)」は、令和6年4月1日現在の法令等に基づいて作成しているもので、原則として、令和6年1月1日から令和6年12月31日までの間に亡くなられた人に係る相続税の申告のしかたなどについて説明したものである。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告のしかた(令和6年分用)

2024年7月5


相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)(令和6年3月21日)

所得税法等の一部を改正する法律(令和5年法律第3号)等の施行に伴い、「相続税法基本通達」(法令解釈通達)及び「租税特別措置法(相続税法の特例関係)の取扱いについて」(法令解釈通達)については、令和5年12月1日付課資2-21ほか2課共同「相続税法基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)により、所要の整備を行ったところであるが、そのあらましについて別添のとおり送付するので、執務の参考とされたい。

なお、単なる条項の異動等その改正の内容が形式的なものについては省略した。

★リンクはこちら⇒ 相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)(令和6年3月21日)

2024年5月2


相続税法第34条第1項が規定する「相続等により受けた利益の価額に相当する金額」の算定に当たり、相続等により取得した財産の価額から控除すべき金額は、相続等により財産を取得することに伴って現実に支払義務が生じた金額と解することが相当であるとした事例

  • 連帯納付義務の各納付通知処分
  • 棄却
  • 令和5年6月21日裁決

<ポイント>
本事例は、連帯納付責任限度額の算定において、相続登記に係る登録免許税は、連帯納付の通知処分時までに現実に納付した税額だけを相続等により取得した財産の価額から控除することが相当であることを明らかにしたものである。

<要旨>
請求人らは、原処分庁がした相続税の連帯納付義務の各納付通知処分(本件各通知処分)について、連帯納付責任の限度額の算定に当たり、相続等により取得した財産の価額から①相続財産の不動産登記を行う場合の司法書士報酬、登録免許税及び印紙税等の各見積額並びに②相続税申告等のための税理士報酬及び本件各通知処分等に対応するための弁護士報酬の各負担額が控除されていないため違法である旨主張する。

しかしながら、相続税法第34条第1項に規定する「相続等により受けた利益の価額に相当する金額」とは、相続人等が現実に取得した利益の価額に相当する金額であって、現実に支払義務が生じた金額を控除した後の金額と解するのが相当である。

そして、相続税法基本通達34-1(本件通達)において、「相続等により受けた利益の価額」とは、相続等により取得した財産の価額から、相続税法第13条に規定する債務控除の額のほか、相続等により取得した財産に係る相続税額及び登録免許税額を控除した後の金額をいう旨定めているところ、①相続財産である不動産は、いずれも相続による権利の移転の登記がされていないため、司法書士報酬等の各見積額は請求人らに現実に支払義務が生じたものとは認められず、②税理士報酬等は、相続税額のように納税義務に基づいて当然に負担が生じるものではないし、登録免許税額のように一般的に生じるものとも言い難いものであり、本件通達に定める債務控除の額等のいずれにも該当しないことから、請求人らの主張する各金額は、連帯納付責任限度額の算定に当たり相続等により取得した財産の価額から控除することはできない。

★リンクはこちら⇒ 相続税法第34条第1項が規定する「相続等により受けた利益の価額に相当する金額」の算定に当たり、相続等により取得した財産の価額から控除すべき金額は、相続等により財産を取得することに伴って現実に支払義務が生じた金額と解することが相当であるとした事例

2024年4月4


相続税法第34条第1項が規定する「相続等により受けた利益の価額に相当する金額」の算定に当たり、相続等により取得した財産の価額から控除すべき金額は、相続等により財産を取得することに伴って現実に支払義務が生じた金額と解することが相当であるとした事例

  • 連帯納付義務の納付通知処分
  • 棄却
  • 令和5年6月21日裁決

<ポイント>
本事例は、連帯納付責任限度額の算定において、相続登記に係る登録免許税は、連帯納付の通知処分時までに現実に納付した税額だけを相続等により取得した財産の価額から控除することが相当であることを明らかにしたものである。

<要旨>
請求人は、原処分庁がした相続税の連帯納付義務の納付通知処分(本件通知処分)について、連帯納付責任の限度額の算定に当たり、相続等により取得した財産の価額から①相続財産の不動産登記を行う場合の司法書士報酬、登録免許税及び印紙税等の各見積額並びに②相続税申告等のための税理士報酬及び本件通知処分等に対応するための弁護士報酬の各負担額が控除されていないため違法である旨主張する。

しかしながら、相続税法第34条第1項に規定する「相続等により受けた利益の価額に相当する金額」とは、相続人等が現実に取得した利益の価額に相当する金額であって、現実に支払義務が生じた金額を控除した後の金額と解するのが相当である。

そして、相続税法基本通達34-1(本件通達)において、「相続等により受けた利益の価額」とは、相続等により取得した財産の価額から、相続税法第13条に規定する債務控除の額のほか、相続等により取得した財産に係る相続税額及び登録免許税額を控除した後の金額をいう旨定めているところ、①相続財産である不動産は、いずれも相続による権利の移転の登記がされていないため、司法書士報酬及び登録免許税等の各見積額は請求人に現実に支払義務が生じたものとは認められず、②税理士報酬等は、相続税額のように納税義務に基づいて当然に負担が生じるものではないし、登録免許税額のように一般的に生じるものとも言い難いものであり、本件通達に定める債務控除の額等のいずれにも該当しないことから、請求人の主張する各金額は、連帯納付責任限度額の算定に当たり相続等により取得した財産の価額から控除することはできない。

★リンクはこちら⇒ 相続税法第34条第1項が規定する「相続等により受けた利益の価額に相当する金額」の算定に当たり、相続等により取得した財産の価額から控除すべき金額は、相続等により財産を取得することに伴って現実に支払義務が生じた金額と解することが相当であるとした事例

2024年3月29


相続開始後にされた修繕工事代金相当額は、相続税の課税価格の計算における債務控除をすることができないと判断した事例

  • 令和元年8月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和5年6月27日裁決

<ポイント>
本事例は、被相続人が生前にした工事請負契約に基づき、相続開始後にされた修繕工事に係る請負代金相当額は、相続開始当時、工事が着工されていないことや、従前どおり賃借人が使用収益していたことなどの現況に照らし、その履行が確実と認められる債務には当たらないと判断したものである。

<要旨>
請求人は、相続により取得した賃貸倉庫に係る修繕工事(本件修繕工事)について、被相続人は、①生前に請負契約を締結していたことから、相続開始日時点に当該請負契約に係る支払債務を負っていたと認められ、また、②民法第606条《賃貸人による修繕等》第1項の規定に基づき、当該賃貸倉庫に係る土間床の修繕義務を負っていたことから、相続税の課税価格の計算上、その請負代金相当額を債務控除することができる旨主張する。

しかしながら、被相続人は、①本件修繕工事の着工日前である相続開始日時点において、その請負代金の支払債務の履行を施工業者から求められる状況になく、その履行の要否すらも不確実な状況にあり、また、②本件修繕工事の着工日までは、従前どおり賃借人が賃貸倉庫を引き続き使用収益していたなどの状況からは、当該賃貸倉庫に係る修繕は、任意の履行が事実上期待されていたにすぎないものであったとみるのが相当であることからすると、当該請負代金の支払債務ないし当該賃貸倉庫に係る修繕義務は、その履行が確実と認められる債務には当たらないというべきであるから、相続税の課税価格の計算上、当該請負代金相当額を債務控除することはできない。

★リンクはこちら⇒ 相続開始後にされた修繕工事代金相当額は、相続税の課税価格の計算における債務控除をすることができないと判断した事例

2024年3月27


令和4年分相続税の申告事績の概要

国税庁は、「令和4年分相続税の申告事績の概要」をホームページに掲載した。

令和4年分における被相続⼈数(死亡者数)は1,569,050⼈(前年対⽐109.0%)だった。

そのうち相続税の申告書の提出に係る被相続⼈数は150,858 ⼈(同112.4%)、その課税価格の総額は20兆6,840 億円(同111.3%)、申告税額の総額は2兆7,989億円(同114.6%)だった。

★リンクはこちら⇒ 令和4年分相続税の申告事績の概要

2024年2月16


「相続税申告書の代理送信等に関するQ&A」の改訂

国税庁は、「相続税申告書の代理送信等に関するQ&A」を改訂した。

★リンクはこちら⇒ 「相続税申告書の代理送信等に関するQ&A」の改訂

2024年2月2


自宅の庭園設備について、評価通達92《附属設備等の評価》の(3)の定めに基づいて評価するのが相当であるとした事例

  • 平成30年9月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和5年3月7日裁決

<ポイント>
本事例は、自宅の庭園設備も、評価通達92《附属設備等の評価》の(3)に定める「庭園設備」として評価することが相当であると判断したものである。

<要旨>
請求人は、被相続人の自宅庭園(本件庭園設備)について、個人宅の庭であり、その立地条件等からしても本件庭園設備を一体として売却できず、また、立木や庭石、灯篭等を個別に売却するとしても買取り価額は低額である上、実際に買手が見つからないことから、交換価値がなく財産評価基本通達(評価通達)は適用されない旨主張する。

しかしながら、評価通達92《附属設備等の評価》の (3)(本件通達)は、「庭園設備」について、家屋の固定資産税評価額に含まれていないことから、金銭に見積もることができる経済的価値のある全てのものが相続税法に規定する財産であることに照らし、家屋とは別に独立した財産として評価すべきであるとしたものと解するのが相当であるところ、本件庭園設備は、家屋とは別異の設備として、複数の業者によって金銭に見積もることができる経済的価値が認められているものであることからして、家屋とは別に独立した財産として評価すべきものである。

また、本件庭園設備は、造園されたものであるから、庭石商の店頭におけるように、立木や庭石、灯篭等を個別に売却することを前提に評価することは相当ではなく、上記のとおり、経済的価値が認められているものである。

よって、本件庭園設備の相続税の課税価格に算入される価額は、本件通達の定める方法によって評価するのが相当である。

★リンクはこちら⇒ 自宅の庭園設備について、評価通達92《附属設備等の評価》の(3)の定めに基づいて評価するのが相当であるとした事例

2024年1月16


「相続税、贈与税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて」の一部改正について(事務運営指針)

平成12年7月3日付課資2-264ほか2課共同「相続税、贈与税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて」(事務運営指針)の一部を下記のとおり改正したから、令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する相続税及び贈与税について処理するものからこれによられたい。

(趣旨)
国税通則法の一部が改正されたことに伴い、所要の整備を図るものである。


別紙「新旧対照表」の「改正前」欄に掲げる部分を「改正後」欄のように改める。

★リンクはこちら⇒ 「相続税、贈与税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて」の一部改正について(事務運営指針)

2023年8月24


相続税の申告書等の様式一覧(令和5年分用)

国税庁は、ホームページに「相続税の申告書等の様式一覧(令和5年分用)」を掲載した。

(注1)
こちらに掲載されている申告書等は、令和5年1月1日から令和5年12月31日までの間に亡くなられた人に係る相続税の申告に使用するものである。

(注2)
「一般用」に「○」が付いている申告書は、一般の場合に使用する申告書となる。
なお、一般の場合とは、相続時精算課税適用者または相続税の納税猶予等の特例の適用を受ける人がいない場合をいう。

詳しくは、「相続税の申告のしかた(令和5年分)」の75ページからの「相続税の申告書の記載例等」をご確認のこと。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告書等の様式一覧(令和5年分用)

2023年8月16


相続税の申告のしかた(令和5年分用)

国税庁は、ホームページに「相続税の申告のしかた(令和5年分用)」を掲載した。

Ⅰ.この冊子をご利用していただく人
この「相続税の申告のしかた(令和5年分用)」は、令和5年4月1日現在の法令等に基づいて作成しているもので、原則として、令和5年1月1日から令和5年12月31日までの間に亡くなられた人に係る相続税の申告のしかたなどについて説明したものです。

Ⅱ.マイナンバー(個人番号)の記載等について
相続や遺贈によって財産を取得した人が、相続税の申告書を提出する際には、申告書にマイナンバーを記載する必要があります。
また、マイナンバーを記載した申告書を提出する際は、税務署で本人確認(番号確認及び身元確認)を行うため、申告書に記載された各相続人等の本人確認書類(108ページ参照)の写しを添付する必要があります(各相続人等のうち税務署の窓口で申告書を提出する方は、ご自身の本人確認書類の写しの添付に代えて、本人確認書類を提示していただいても構いません。)。

Ⅲ.この冊子は、所得税法等の一部を改正する法律(平成21年法律第13号)による改正前の租税特別措置法を「平成21年改正前の租税特別措置法」と表記しています。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告のしかた(令和5年分用)

2023年8月8


令和5年度相続税及び贈与税の税制改正のあらまし

国税庁は、ホームページに「令和5年度相続税及び贈与税の税制改正のあらまし」を掲載した。

令和5年度税制改正により、相続税法及び租税特別措置法の一部が改正された。

0023006-004

★リンクはこちら⇒ 令和5年度相続税及び贈与税の税制改正のあらまし

2023年7月25


相続税の申告のためのチェックシート(令和5年1月以降提出用)

国税庁は、ホームページに「相続税の申告のためのチェックシート(令和5年1月以降提出用)」を掲載した。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告のためのチェックシート(令和5年1月以降提出用)

2023年1月10


令和3事務年度における相続税の調査等の状況

国税庁は、ホームページに「令和3事務年度における相続税の調査等の状況」を掲載した。

令 和 3事務年 度 に お け る相 続 税 の調 査 等 の状 況

★リンクはこちら⇒ 令和3事務年度における相続税の調査等の状況

2022年12月28


令和3年分相続税の申告事績の概要

国税庁は、ホームページに「令和3年分相続税の申告事績の概要」を掲載した。

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★リンクはこちら⇒ 令和3年分相続税の申告事績の概要

2022年12月23


相続税の申告書に計上された預貯金口座から出金された現金並びに配偶者名義及び次男名義の預貯金は、いずれも被相続人に帰属する相続財産とは認められないとした事例

  • 平成30年2月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・全部取消し
  • 令和4年2月15日裁決

<ポイント>
本事例は、相続税の申告書に計上された預貯金の口座から出金された現金並びに配偶者名義及び次男名義の預貯金について、いずれも被相続人の収入を原資とするものと断定することができないことなどを理由として、被相続人に帰属する相続財産とは認められないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、相続税の申告書(本件申告書)に計上されていない現金(本件現金)、被相続人の配偶者(本件配偶者)名義及び次男名義の預貯金(本件預貯金)は、出捐者や被相続人及び本件配偶者の収入比率などからその帰属を判断すると、いずれも被相続人に帰属する財産である旨主張する。

しかしながら、①本件現金の出金元である本件申告書に計上された預貯金口座で管理運用されていた預貯金の原資が特定できないことや、本件配偶者も収入を得ていたと認められることなどからすると、本件現金には被相続人及び本件配偶者の収入が混在している可能性を否定できない中、審判所においても、被相続人及び本件配偶者の収入比率等により本件現金を合理的にあん分することもできず、また、②本件預貯金についても、本件現金と同様、それらの原資を特定することができず、本件配偶者が管理運用しており、被相続人の収入が混在している可能性を否定できない中、被相続人及び本件配偶者の収入比率等により合理的にあん分することができないのであるから、本件申告書に計上された預貯金及び現金の額を超えて、本件現金、本件預貯金が被相続人に帰属する相続財産として存在していたと断定することはできない。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告書に計上された預貯金口座から出金された現金並びに配偶者名義及び次男名義の預貯金は、いずれも被相続人に帰属する相続財産とは認められないとした事例

2022年10月21


評価対象地は、相続開始日において、土壌汚染のある土地と認められ、当該評価対象地の評価に当たり、浄化・改善費用相当額を控除すべきとした事例

  • 平成28年1月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 令和3年10月8日裁決

<ポイント>
本事例は、法令等により土壌汚染の除去等の措置を講ずる義務が生じていない評価対象地について、相続開始日において、土壌汚染対策法所定の基準を超える特定有害物質を地中に含有していたことが認められ、土壌汚染のある土地と認めるのが相当であるとして、当該評価対象地の評価に当たり、浄化・改善費用相当額を控除すべきとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、評価対象地(本件各土地)は法令等により土壌汚染の除去等の措置を講ずる義務が生じておらず、本件各土地の価格形成に影響を及ぼすような土壌汚染は認められないから、本件各土地の評価に当たり、土壌汚染がないものとした場合の評価額から浄化・改善費用相当額を控除する必要はない旨主張する。

しかしながら、本件各土地は、相続開始日において、土壌汚染対策法所定の基準を超える特定有害物質を地中に含有していたことが認められ、土壌汚染のある土地と認めるのが相当であることから、本件各土地の評価に当たり、浄化・改善費用相当額を控除すべきである。

そして、本件各土地及びその周辺の状況や土壌汚染の状況から、本件各土地について最有効使用ができる最も合理的な土壌汚染の除去等の措置は掘削除去であると認められるところ、請求人が主張する土壌汚染対策工事の各見積額(本件各見積額)の算定過程に特段不合理な点は見当たらず、浄化・改善費用の金額として相当であると認められるので、本件各土地の評価に当たり、土壌汚染がないものとした場合の評価額から、浄化・改善費用相当額として本件各見積額の80%相当額を控除して評価するのが相当である。

★リンクはこちら⇒ 評価対象地は、相続開始日において、土壌汚染のある土地と認められ、当該評価対象地の評価に当たり、浄化・改善費用相当額を控除すべきとした事例

2022年9月27


租税調査会研究報告第39号「不動産をめぐる課税上の論点整理」

日本公認会計士協会は、2022年5月19日に開催された常務理事会の承認を受けて「租税調査会研究報告第39号「不動産をめぐる課税上の論点整理」」を公表した。

不動産は一物四価とも言われており、それぞれの場面で使用される時価が複数存在し、「時価」という概念を画一的に決めることが非常に難しいため、その使用する場面に応じて、どちらの「時価」を使うのかを実務家が常に認識した上で処理を行わなければならない。

本研究報告では、相続時における評価の問題点だけではなく、取得・保有・移転時での問題点、民法と税法との関係性など、多岐にわたって検討しており、実務家が日々取り組んでいる課題そのものを整理して報告するものである。

本研究報告が会員の行う業務の参考となれば幸いである。

★リンクはこちら⇒ 租税調査会研究報告第39号「不動産をめぐる課税上の論点整理」

2022年8月29


相続税の申告書等の様式一覧(令和4年分用)

国税庁は、『相続税の申告書等の様式一覧(令和4年分用)』をホームページに掲載した。

こちらに掲載されている申告書等は、令和4年1月1日から令和4年12月31日までの間に亡くなられた人に係る相続税の申告に使用するものである。

「一般用」に「○」が付いている申告書は、一般の場合に使用する申告書となる。

なお、一般の場合とは、相続時精算課税適用者または相続税の納税猶予等の特例の適用を受ける人がいない場合をいう。

詳しくは、「相続税の申告のしかた(令和4年分)」の75ページからの「相続税の申告書の記載例等」をご確認のこと。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告書等の様式一覧(令和4年分用)

2022年7月19


相続税の申告のしかた(令和4年分用)

国税庁は、『相続税の申告のしかた(令和4年分用)』をホームページに掲載した。

この『相続税の申告のしかた(令和4年分用)』は、令和4年4月1日現在の法令等に基づいて作成しているもので、原則として、令和4年1月1日から令和4年12月31日までの間に亡くなられた人に係る相続税の申告のしかたなどについて説明したものである。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告のしかた(令和4年分用)

2022年7月7


特定農業団体に対し農作業の一部を委託した場合

<照会要旨>
相続税の納税猶予の特例適用者が、農業経営基盤強化促進法第4条第3項に規定する農業経営基盤強化促進事業のうち同項第3号に規定する委託を受けて行う農作業の実施を促進する事業を行う特定農業団体に対し特例農地等に係る農作業の一部を委託した場合、相続税の納税猶予の確定事由に該当するか?

<回答要旨>
相続税の納税猶予の特例適用者が、特定農業団体に対し特例適用農地等に係る農作業の一部を委託した場合であっても、その者が農業経営を継続している場合には、納税猶予の確定事由には該当しない(贈与税の納税猶予についても同様である。)。

(注)
1.農作業とは、例えば米であれば、育苗、耕起、代かき、田植え、基肥、追肥、除草、防除、稲刈り、脱穀、乾燥等をいう。
2.実質的に農業経営を委託したと認められる場合は、納税猶予の確定事由に該当する場合があり得る。

(参考)
特定農業団体とは、農業経営の担い手不足が見込まれる地域において、地縁的まとまりをもつ地権者が、当該地域の農地の3分の2以上について農作業を委託することとして合意した任意組織(民法上の組合又は人格なき社団)であり、組合員との契約に基づき、組合員が所有する農地について委託を受けた農作業を集約して行う団体をいう(基盤法23④)。

組合員は、農作業のうち集約可能な作業(例えば米であれば、耕起、代かき、田植え、稲刈り、脱穀)の全部又は一部を特定農業団体へ委託することが可能であり、また、組合員は、特定農業団体との間で農作業の受託契約を締結することにより、特定農業団体が集約化した農作業に従事することも可能である。


特例農地等について農業経営基盤強化促進法第7条第2号に掲げる事業(農地売渡信託等事業)による信託契約を締結した場合の納税猶予期限の確定

<照会要旨>
農業経営基盤強化促進法第7条第2号に掲げる事業(農地売渡信託等事業)とは、同法第8条第1項の承認を受けた農地中間管理機構(受託者)が、離農又は農業経営規模の縮小を希望する農家(委託者・受益者)が所有する農地の売渡信託の引き受けを行い、その委託者に対しその農地等の評価額の7割以内の資金を無利子で貸し付けるものだが、特例農地等について、この信託を設定した場合には納税猶予期限の確定事由となるか?

<回答要旨>
特例農地等についてこの信託の設定があった場合には、委託者から受託者へ当該農地等に係る管理・処分権が移転するから、納税猶予期限の確定事由となる。

★リンクはこちら⇒ 特例農地等について農業経営基盤強化促進法第7条第2号に掲げる事業(農地売渡信託等事業)による信託契約を締結した場合の納税猶予期限の確定

2022年6月29日


特例適用農地の譲渡代金の一部について代替農地の取得の見積承認申請があった場合

<照会要旨>
農地に係る贈与税の納税猶予の特例の適用を受けた者が、特例適用農地を譲渡し、その譲渡代金の一部をもって代替農地を取得する見込みであるため、租税特別措置法第70条の4第15項に規定する見積承認申請をした場合において、同項第1号に規定する「当該承認に係る譲渡等は、なかったものとみなす。」の解釈については、以下の考え方があるがいずれによるべきか?

  • 甲説
    譲渡代金のうち代替農地等の取得について承認を受けた取得価額の見積額に対応する部分の譲渡等に限り譲渡等がなかったものとみなす。
  • 乙説
    代替農地等の取得についての承認を受けた取得価額の見積額が譲渡等の対価の額の全部であるか一部であるかにかかわらず、当該譲渡等の全部について譲渡等がなかったものとみなす。

<回答要旨>
乙説による。

なお、譲渡があった日から1年を経過する日において代替農地等の取得に充てられなかった部分について譲渡があったものとみなされる。

★リンクはこちら⇒ 特例適用農地の譲渡代金の一部について代替農地の取得の見積承認申請があった場合

2022年6月23日


経営移譲年金の受給資格取得のために経営移譲が行われていた場合の相続税の納税猶予の特例の適用

<照会要旨>
父は経営移譲年金(現行:農業者年金基金法の一部を改正する法律(平成13年法律第39号)附則第8条第1項に規定する経営移譲年金)の支給を受けるため、生前にその所有農地の全部について使用貸借権を設定し長男に農業経営の移譲を行っていた。

父について相続が開始し、父所有の当該農地については、長男と二男が分割して相続により取得した。

この場合、両名は相続税の納税猶予の特例の適用を受けることができるか?

<回答要旨>
長男については、取得した農地に自己の使用貸借権が設定されているが、これは相続により取得することによって混同により消滅することとなるので、引き続き農業経営を行うなど一定の要件を満たす限り納税猶予の特例の適用が受けられる。

また、二男についても、取得した農地に設定されている長男の使用貸借権を抹消し、農業経営を開始するなど一定の要件を満たす限り納税猶予の特例の適用が受けられる。

★リンクはこちら⇒ 経営移譲年金の受給資格取得のために経営移譲が行われていた場合の相続税の納税猶予の特例の適用

2022年6月21日


養子縁組前に出生した養子の子の代襲相続権の有無

<照会要旨>
以下の場合、被相続人に相続が開始したときに、G、H及びIは、養子Cの代襲相続人となるか?

<回答要旨>
民法第887条第2項に規定する「被相続人の直系卑属」とは、相続開始前に死亡した被相続人の子を通じて「被相続人の直系卑属」でなければならないと解されるから、G、H及びIは養子Cの代襲相続人とならない。

★リンクはこちら⇒ 養子縁組前に出生した養子の子の代襲相続権の有無

2022年6月15日


⺠法の改正(成年年齢引下げ)に伴う贈与税・相続税の改正のあらまし

国税庁は、ホームページに『⺠法の改正(成年年齢引下げ)に伴う贈与税・相続税の改正のあらまし』を掲載した。

⺠法の改正により、2022年4⽉1⽇から、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられた。

これに伴い、贈与税・相続税の規定における20歳を基準とする要件についても18歳に引き下げる税制改正が⾏われている。

贈与・相続等の時期によって、受贈者や相続人等の年齢に関する要件が異なっているので、留意すること。

★リンクはこちら⇒ ⺠法の改正(成年年齢引下げ)に伴う贈与税・相続税の改正のあらまし

2022年6月13日


仮換地が指定されている相続税の納税猶予の適用を受けている農地等について特定転用を受けた者が、その後の換地処分により清算金の交付を受けた場合の猶予期限の確定処理

<照会要旨>
仮換地が指定されている相続税の納税猶予の特例の適用を受けているA農地について特定転用の承認を受けた者が、その後の換地処分により清算金の交付を受けた場合には、猶予期限の確定処理はどのように行うのか?

<回答要旨>
換地処分は、相続税の納税猶予の特例の猶予期限の確定事由の一つである「譲渡等」に該当することとされているが、仮換地の指定されている場合の特定転用の申請が、将来、換地処分があったときにおいて、当該換地処分により取得する土地を引き続き共同住宅の敷地として使用することを前提として行われている場合には、当該換地処分は猶予期限の確定事由に該当しない。

なお、換地処分に伴って清算金を取得した場合には、清算金に対応する部分(従前地の面積×清算金の額÷従前地の価額)について換地処分が行われた時に譲渡されたものとして、猶予期限の確定処理を行うことになる。

★リンクはこちら⇒ 仮換地が指定されている相続税の納税猶予の適用を受けている農地等について特定転用を受けた者が、その後の換地処分により清算金の交付を受けた場合の猶予期限の確定処理

2022年6月3日


納税猶予の特例の適用を受けている農地等の大半が収用により譲渡されたために農業経営を廃止した場合の利子税の特例

<照会要旨>
贈与税の納税猶予の特例の適用を受けている農地等の約9割が収用交換等により譲渡されたため、農業経営を廃止した場合、その全ての猶予税額に係る利子税について措置法第70条の8第1項《農地等についての贈与税の納税猶予等に係る利子税の特例》の適用を受けることができるか?

<回答要旨>
措置法第70条の8第1項の規定の適用要件は、贈与税の納税猶予の特例の適用を受けている農地等について、特例適用者が、収用交換等による譲渡をしたことにより、措置法第70条の4第35項第2号に掲げる場合に該当することとなった場合に限られている。

そして、同号に掲げる場合に該当することとなった場合とは、同条第4項の規定の適用があった場合、すなわち、その一部が収用交換等により譲渡されたときをいう。

したがって、その農地等のうち収用交換等により譲渡された部分については、措置法第70条の8第1項の規定の適用があるが、譲渡されなかった残余の部分については、同項の規定の適用はない。

★リンクはこちら⇒ 納税猶予の特例の適用を受けている農地等の大半が収用により譲渡されたために農業経営を廃止した場合の利子税の特例

2022年6月2日


未成年者が農業相続人となる場合の農業委員会の証明

<照会要旨>
未成年者が農業相続人となる場合において、農業委員会が証明する「相続税の納税猶予に関する適格者証明書」の「農地等の相続人」欄の記載については、どのようにすればよいか?

<回答要旨>

  • 「住所」欄から「相続開始前において農業に従事した実績の有無」欄までの各欄には、その未成年者の住所等及びその実績を記載する。
  • 「左記の農地等による農業経営の開始年月日」及び「今後引き続き農業経営を行うことに関する事項」欄には、その未成年者に代わり農業経営を行う者についての事項を記載する。
  • 「その他参考事項」欄には、その未成年者に代わり農業経営を行う者の氏名、その未成年者との続柄、その他措置法関係通達70の6-8((農業経営を行う者))後段の取扱いに該当するかどうかの判定上必要な事項を記載するとともに、農地等の相続人である未成年者についての必要な参考事項を記載する。

★リンクはこちら⇒ 未成年者が農業相続人となる場合の農業委員会の証明

2022年5月31日


相続放棄と相続税の納税猶予

<照会要旨>
農業を営む長男が死亡したが、長男には配偶者も子もいないことから、相続人は母親一人である。

母親は、財産を二男に引き継がせることを目的として相続の放棄をし、農業従事者である二男が農地等を相続した場合は、相続税の納税猶予の特例の適用を受けることができるか?

<回答要旨>
長男の相続人である母親が、民法の規定に従い長男の死亡したことを知った時から3か月以内に相続の放棄をした場合には、母親ははじめから相続人とならなかったものとみなされるため、相続人は兄弟である二男となる。

したがって、相続人である二男が農地等を相続した場合には、相続税の納税猶予の特例の適用を受けることができる。

★リンクはこちら⇒ 相続放棄と相続税の納税猶予

2022年5月30日


未成年者が農業相続人となった場合の農業所得の申告

<照会要旨>
未成年者が農業相続人となっており、農業所得はその未成年者に代わって農業経営を行っている親族が申告している。この場合、相続税の納税猶予の特例の適用上、問題はないか?

<回答要旨>
相続または遺贈により農地等を取得した相続人が未成年者に該当し、かつ、その未成年者に代わりその未成年者と住居及び生計を一にする親族が、その未成年者の取得した農地等につき農業経営を行う場合には、当該未成年者が農業経営を行う者に該当するものとして取り扱っているが、この場合において、当該未成年者が所得税の農業所得の申告をしなければならないという要件を課していないことから、相続税の納税猶予の特例の適用上、問題はない。

★リンクはこちら⇒ 未成年者が農業相続人となった場合の農業所得の申告

2022年5月26日


2人以上の者が農地等を共有で相続した場合の納税猶予の特例の可否

<照会要旨>
共同相続人のうち妻と子、兄弟など2人以上の者が遺産分割により共有で農地等を相続した場合において、次に掲げるケースのときに相続税の納税猶予の特例の適用を受けられるのか?
(1)共有者が共に農業を行う場合

(2)共有者のうち一人だけ農業を行う場合

(3)共有者のうち未成年者がいる場合

<回答要旨>
(1)共有者が共に農業を行う場合
相続税の納税猶予の特例の適用要件として農地等を共有で相続した場合を排除していないことから、取得した農業相続人がそれぞれ農業を行うのであれば、それぞれ納税猶予の特例の適用を受けられる。

(2)共有者のうち一人だけ農業を行う場合
相続税の納税猶予の特例の適用要件として相続した農地等において農業経営を行うこととされていることから、農業を行う者は、その取得した農地等の持分について納税猶予の特例の適用を受けられるが、農業を行わない者は、その取得した農地等の持分について納税猶予の特例の適用を受けられない。

(3)共有者のうち未成年者がいる場合
未成年者が農地等を相続した場合には、上記(2)にかかわらず、その未成年者に代わりその未成年者と住居及び生計を一にする親族が、その未成年者の取得した農地等につき農業経営を行う場合には、その未成年者の取得した農地等の持分について納税猶予の特例の適用を受けることができる。

ただし、その未成年者について、次に掲げるいずれかの事由が生じた場合には、その者が自ら農業経営を行うときを除き、その事実が生じた日において農業経営を廃止したものとみなされる。
〔1〕その未成年者が成年に達したこと(引き続き就学している場合を除く。)
〔2〕その未成年者が成年に達した後、就学を了したこと。
〔3〕その未成年者とその未成年者の取得した農地又は採草放牧地につき農業経営を行っているその未成年者の親族とが住居又は生計を一にしないこととなったこと。
〔4〕その未成年者の取得した農地又は採草放牧地につき農業経営を行っていた親族が農業経営を行わないこととなったこと。

★リンクはこちら⇒ 2人以上の者が農地等を共有で相続した場合の納税猶予の特例の可否

2022年5月24日


同一年中に2人の贈与者から農地等の生前一括贈与を受けた場合

<照会要旨>
同一年中に父と母からそれぞれ農地等の生前一括贈与を受け、その各贈与について贈与税の納税猶予の特例の適用を受けたいと考えている。
この場合、
(1)納税猶予税額の計算はどうなるか?

(2)その適用を受けた後、それらの農地等を譲渡した場合の20%の計算はどのように計算するのか?

(3)一方の贈与者が死亡した場合の納税猶予税額の免除額はどのように計算するのか?

<回答要旨>
(1)贈与税の納税猶予の特例の適用に当たっては、納税猶予税額を父と母から受けたそれぞれの農地等の価額の比によりあん分し、父と母からの贈与に係る納税猶予税額を区分して贈与税の納税猶予の特例の適用を受けることになる。

(2)その譲渡等した農地等が父から贈与を受けたものか母から受けたものかの別により、上記(1)で計算した納税猶予税額を基として各人別に計算する。

(3)父の死亡か、母の死亡かの別により、上記(1)により計算した納税猶予税額が免除される。

★リンクはこちら⇒ 同一年中に2人の贈与者から農地等の生前一括贈与を受けた場合

2022年5月16日


貸付農地がある場合の贈与税の納税猶予の適用

<照会要旨>
農地等の生前一括贈与に該当するかどうかを判定する場合、貸し付けられている農地は除外してよいか?

<回答要旨>
贈与税の納税猶予の特例の適用を受けるためには、贈与者が農業の用に供している農地の全部を推定相続人の一人に贈与しなければならない。

したがって、他に貸し付けられている農地は、贈与者の農業の用に供していた農地には該当しないので、一括贈与する必要はない。

★リンクはこちら⇒ 貸付農地がある場合の贈与税の納税猶予の適用

2022年5月13日


農業所得の申告が贈与者以外の者によって行われていた場合

<照会要旨>
農地等を所有する甲は、会社に勤務しているため農業所得の申告は甲の妻名義で申告している。

今回、所有農地の全部を長男に生前一括贈与するつもりだが、この場合、甲は納税猶予の適用上「農業を営む個人」に該当するか?

<回答要旨>
贈与税の納税猶予の適用にあたって、「農業を営む個人」とは、耕作又は養畜の行為を反復、かつ、継続的に行う個人をいうこととされており、農業を営む個人が必ずしも所得税の課税上、農業の事業主となっていることを要件としていないので、農地等の贈与者が会社に勤務するかたわら農業を営んでいる場合には、その農業所得を妻名義で申告しているときであっても、その贈与者は、農業を営む個人に該当するものとして取り扱われている。

したがって、甲から農地等の一括贈与を受ける長男が、一定の要件を満たすものであれば、贈与税の納税猶予の特例の適用を受けることができる。

★リンクはこちら⇒ 農業所得の申告が贈与者以外の者によって行われていた場合

2022年5月12日


同一年中に複数の者に贈与した場合

<照会要旨>
甲は7ヘクタールの農地について30年間にわたって農業経営を行ってきたが、その農地のうち2ヘクタールを○年3月に長男A(引き続き3年以上農業に従事)に、残余の農地を同年10月に次男B(引き続き3年以上農業に従事)にそれぞれ贈与した。

この場合、Bは、贈与税の納税猶予の特例の適用を受けることができるか?

<回答要旨>
贈与税の納税猶予の特例は、農地等の贈与者が贈与をした日の属する年において他に農地等の贈与をしていないことなど条件として認められるものである。

したがって、A・Bの両名はいずれも贈与税の納税猶予の特例を受けることはできない。

★リンクはこちら⇒ 同一年中に複数の者に贈与した場合

2022年5月11日


農地所有適格法人に貸し付けることとなった農地

<照会要旨>
贈与税(相続税)の納税猶予の特例適用者が、農地所有適格法人の常時従事者となり特例農地等をその法人に貸し付けた場合には、租税特別措置法施行令第40条の6第11項第2号(第40条の7第10項)の規定による20%の計算除外を受けることができるか?

<回答要旨>
租税特別措置法施行令第40条の6第11項第2号(第40条の7第10項)の規定は、農地等を農地所有適格法人に「出資」した場合に適用されることから、貸し付けた場合又は譲渡した場合など、出資に該当しない権利の設定又は移転には、その適用がない。

★リンクはこちら⇒ 農地所有適格法人に貸し付けることとなった農地

2022年5月10日


砂利採取中の土地

<照会要旨>
生前一括贈与(相続)により取得した土地のうちに、贈与者(被相続人)が贈与前(相続開始前)に期限1年の契約でA会社に砂利を採取させているものがある。

この土地は、従前から贈与者(被相続人)が耕作しており、その期限徒過後も農地として耕作する予定である。

このような土地について贈与税(相続税)の納税猶予の適用は受けられるか?

<回答要旨>
贈与の時(相続開始の時)において、国又は地方公共団体等の行う事業のため一時的に農業の用に供することができない土地で、かつ、その時期が、例えば、気温、積雪その他の自然条件により概ね農作物の作付ができない期間、連作の害を防ぐため休耕している期間に当たる場合などその土地の農業上の利用を害さないものと認められるものについては、納税猶予の特例対象農地として取り扱っているが、次に掲げるいずれかに該当するものについては、この取扱いをしていない。

(1) その土地が国又は地方公共団体等の行う事業のため一時的に農業に供することができなくなることについて、公共性、緊急性及び非代替性が認められないもの
(2) その土地を国又は地方公共団体等の行う事業のために農業の用に供することができなくなる期間が、その事業のため必要最小限の期間でないもの又はその土地を農業の用に供することができなくなる期間がその事業のため必要最小限の期間であっても、その期間が1年を超えるもの
(3) 一時的な使用後において、その土地が従前の農地又は採草放牧地と同等以上の利用価値を有する農地又は採草放牧地に復元されることが確実であると認められないもの

したがって、照会の砂利採取中の土地について上記のいずれにも該当せず、他の一定の要件を満たす限り、贈与税(相続税)の納税猶予の適用は受けられる。

なお、砂利の採取については、公共事業による骨材需要に応えるため安定的に供給する必要があること及び陸砂利は限られた地域に分布していることなどから、公共性、緊急性及び非代替性があるものと判断できるため上記(1)には抵触しないと考えられる。

★リンクはこちら⇒ 砂利採取中の土地

2022年5月9日


鉄塔の建替え工事のため仮鉄塔の敷地として一時使用されている土地

<照会要旨>
生前一括贈与(相続)により取得した土地のうちに、贈与者(被相続人)が贈与の前(相続開始の前) にA電力会社に対し送電線の鉄塔の建替え工事のため仮鉄塔の敷地として1年6か月間の契約で貸し付けられているものがある。この土地は、当該貸付けの直前において農地であり、贈与者(被相続人)が耕作していた。

このような土地について贈与税(相続税)の納税猶予の適用は受けられるか?

また、贈与税(相続税)の納税猶予の適用を受けている特例適用農地等(特例農地等)を同様に貸し付けた場合はどうか?

<回答要旨>
1.贈与の時(相続開始の時)において、国又は地方公共団体等の行う事業のため一時的に農業の用に供することができない土地で、かつ、その時期が、例えば、気温、積雪その他の自然条件により概ね農作物の作付ができない期間、連作の害を防ぐため休耕している期間に当たる場合などその土地の農業上の利用を害さないものと認められるものについては、納税猶予の特例対象農地として取り扱っているが、次に掲げるいずれかに該当するものについては、この取扱いをしていない。

(1) その土地が国又は地方公共団体等の行う事業のため一時的に農業に供することができなくなることについて、公共性、緊急性及び非代替性が認められないもの
(2) その土地を国又は地方公共団体等の行う事業のために農業の用に供することができなくなる期間が、その事業のため必要最小限の期間でないもの又はその土地を農業の用に供することができなくなる期間がその事業のため必要最小限の期間であっても、その期間が1年を超えるもの
(3) 一時的な使用後において、その土地が従前の農地又は採草放牧地と同等以上の利用価値を有する農地又は採草放牧地に復元されることが確実であると認められないもの

電力会社の行う送電線の鉄塔の建替え工事は、一般に電力需要に対する安定供給を確保するために必要な工事であるため、公共性及び緊急性があるものと判断できることから上記(1)には抵触しない場合もあるが、その土地がその事業のために農業の用に供することができなくなる期間が1年を超えていることから上記(2)に抵触する。

したがって、A電力会社に対し貸し付けられている土地は、納税猶予の対象となる農地に当たらないことから贈与税(相続税)の納税猶予の適用は受けられない。

2.贈与税(相続税)の納税猶予の適用を受けている特例適用農地等(特例農地等)をA電力会社に貸し付けた場合には、上記1と同様の理由により本取扱いの適用はできないことから納税猶予の継続はできないが、一時的道路用地の貸付特例(措置法第70条の4第18項、第70条の6第22項)の適用を受けたときには、納税猶予が継続される。

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2022年5月6日


農業協同組合の受託経営に係る農地

<照会要旨>
農業協同組合の行う受託農業経営事業に係る農地には、同組合のため使用収益権が設定されているが、当該受託農業経営事業から生ずる収益は、委託者の農業所得として取り扱われているので、当該農地は、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に該当するか?

<回答要旨>
贈与税(相続税)の納税猶予の特例の適用要件の一つとして、贈与者(被相続人)がその適用を受ける農地に係る農業経営を行うこととされており、農作業の全部を農業協同組合に委託した場合には、たとえ、所得税の取扱いにおいて受託農業経営事業から生ずる収益が委託者(特例適用者)の農業所得とされていたとしても、その委託に係る農地は、委託者自身が農業を行っているわけではないので、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の適用を受けることができない。

(注)
受託農業経営事業は、「農業協同組合農業経営受託規程例」に基づき、昭和46年から実施されている。
当該事業を行う場合には、当該農地について農地法第3条第1項の規定による使用収益権が設定されるが、受託者はその使用収益の対価を支払うことはなく、一方、受託農業経営事業から生ずる損益は委託者に帰属することとされている。

★リンクはこちら⇒ 農業協同組合の受託経営に係る農地

2022年4月28日


特例農地等の一部を市に寄附した場合の100分の20の判定

<照会要旨>
相続税の特例農地等の一部を市に寄附した場合には、当該農地等の面積は、一般の譲渡があったときと同様に100分の20の判定に含めることとなるか?

<回答要旨>
現行法上、100分の20の判定の対象外とされる譲渡等は、収用等による譲渡のほか租税特別措置法施行令第40条の7第10項に規定する一定のものに限られており、これには地方公共団体等への寄附は含まれていないので、照会意見のとおり、100分の20の判定に含めることとなる。

★リンクはこちら⇒ 相特例農地等の一部を市に寄附した場合の100分の20の判定

2022年4月27日


広大地の判定に当たり、開発許可面積基準を満たさないことをもって直ちに広大地に該当しないとすることはできないとした事例

  • 平成26年11月相続開始に係る相続税の各更正の請求に対する各更正処分・全部取消し
  • 令和3年8月3日裁決

<ポイント>
本事例は、広大地の判定に当たり、開発許可面積基準を指標とすることに合理性はあるものの、当該基準を満たさないことをもって直ちに広大地に該当しないとすることはできず、評価対象地の経済的に最も合理的な使用は道路を開設して戸建住宅の敷地とする開発を行うことであるなどとして、評価対象地は広大地に該当すると判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、財産評価基本通達24-4《広大地の評価》に定める広大地に該当するか否かの判定に当たり、①評価対象地(本件土地)は共同住宅の敷地として利用されており、現に有効利用されていること、②その地域における標準的な宅地の面積に比して著しく地積が広大かについては、指標となる各自治体が定める開発許可を要する面積基準(開発許可面積基準)を満たすか否かにより判断すべきであること、③本件土地は、路地状開発をすることができ、公共公益的施設用地の負担が必要とは認められないことから、本件土地は広大地に該当しない旨主張する。

しかしながら、①その地域における標準的な宅地の使用は、戸建住宅の敷地としての利用であるから、本件土地は、現に宅地として有効利用されているとは認められないこと、②広大地の判定に当たり、開発許可面積基準を指標とすることに合理性はあるものの、当該基準を満たさないことをもって直ちに広大地に該当しないとすることはできないこと、また、③本件土地の経済的に最も合理的な使用は、道路を開設して戸建住宅の敷地とする開発を行うことであると認められることから、広大地に該当する。

★リンクはこちら⇒ 広大地の判定に当たり、開発許可面積基準を満たさないことをもって直ちに広大地に該当しないとすることはできないとした事例

2022年4月26日


相続税の特例農地等の一部について地役権が設定された場合

<照会要旨>
相続税の特例農地等の一部について、K(株)が上空に電線路を架設するため、地役権を設定し、その対価の支払いを特例適用者が受けた場合には、納税猶予の確定事由に該当するか?

<回答要旨>
地役権の設定は、納税猶予の確定事由に該当しない。

★リンクはこちら⇒ 相続税の特例農地等の一部について地役権が設定された場合

2022年4月25日


請求人の夫名義の預金口座から請求人名義の証券口座に金員が入金されたことは、相続税法第9条に規定する対価を支払わないで利益を受けた場合に該当しないとした事例

  • 平成27年分の贈与税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 令和3年7月12日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人の夫名義の預金口座から請求人名義の証券口座に金員が入金されたことは、本件の各事情を考慮すれば、当該請求人名義の証券口座において夫の財産がそのまま管理されていたものと評価するのが相当であるとして、相続税法第9条に規定する対価を支払わないで利益を受けた場合に該当しないと判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の夫名義の預金口座からの金員が入金(本件入金)された請求人名義の証券口座(本件口座)について、①請求人自身の判断で取引を行っていたこと、②本件口座の投資信託の分配金が請求人名義の普通預金口座に入金されていたこと、③当該分配金等を請求人の所得として確定申告がされていたことから、本件入金は、相続税法第9条に規定する対価を支払わないで利益を受けた場合に該当する旨主張する。

しかしながら、①請求人は、本件入金の前後を通じて夫の財産の管理を主体的に行っており、その管理に係る全部の財産について請求人に帰属していたものと認めることはできないから、本件口座において請求人自身の判断で取引を行った事実をもって利益を受けたと認めることはできない上、②分配金等の入金があっても、請求人が私的に費消した事実が認められない本件においては、これを管理・運用していたとの評価の範疇を超えるものとはいえず、③確定申告をしたことは、申告をすれば税金が還付されるとの銀行員の教示に従い深く考えずに行ったものとの請求人の主張が不自然とまではいえず、殊更重要視すべきものとは認められないことなどの各事情を考慮すれば、本件入金によっても、夫の財産は、本件口座においてそのまま管理されていたものと評価するのが相当であるため、本件入金は、請求人に贈与と同様の経済的利益の移転があったものと認めることはできず、相続税法第9条に規定する対価を支払わないで利益を受けた場合に該当しない。

★リンクはこちら⇒ 請求人の夫名義の預金口座から請求人名義の証券口座に金員が入金されたことは、相続税法第9条に規定する対価を支払わないで利益を受けた場合に該当しないとした事例

2022年4月22日


納付すべき相続税額が算出されない配偶者についての納税猶予の適用

<照会要旨>
農地に係る相続税の納税猶予の特例の適用上、被相続人の配偶者が子とともに農地を相続により取得し、農業相続人として配偶者の税額軽減の規定を適用したところ、納付すべき相続税額が算出されず、また、農業相続人でないものとして相続税額を計算した場合においても配偶者の税額軽減の規定が適用されて納付すべき税額が算出されないときでも、その配偶者について納税猶予の特例を認めて差し支えないか?

(注)
その配偶者について納税猶予の特例を適用した場合には、その者が取得した農地の価額は、農業投資価格を適用することができるため、納税猶予税額の総額が増加し、他の農業相続人である子の税負担が減少するメリットがある。

<回答要旨>
配偶者について納税猶予の特例が適用されるのは、次に掲げるいずれかの場合に限られる。
①配偶者が農業相続人であるものとして計算すれば納付すべき相続税額が算出される場合で、かつ、農業相続人以外の者であるものとして計算すれば納付すべき相続税額が算出される場合
②配偶者が農業相続人であるものとして計算すれば納付すべき相続税額が算出されない場合で、かつ、農業相続人以外の者であるものとして計算すれば納付すべき相続税額が算出される場合
③配偶者が農業相続人であるものとして計算すれば納付すべき相続税額が算出される場合で、かつ、農業相続人以外の者であるものとして計算すれば納付すべき相続税額が算出されない場合
したがって、照会の場合の配偶者については、納税猶予の特例は認められない。

★リンクはこちら⇒ 納付すべき相続税額が算出されない配偶者についての納税猶予の適用

2022年4月21日


被相続人が毎年一定額を入金していた請求人名義の預金口座に係る預金は相続財産に含まれないと認定した事例

  • ①平成29年1月相続開始に係る相続税の更正処分及び更正の請求に対する更正処分 一部取消し
  • ②平成29年1月相続開始に係る相続税の過少申告加算税の各賦課決定処分 全部取消し、一部取消し
  • ③平成29年1月相続開始に係る相続税の過少申告加算税の変更決定処分 →却下
  • 令和3年9月17日裁決

<ポイント>
本事例は、被相続人が、毎年一定の金額を当時未成年であった請求人に贈与する旨を記した贈与証を作成した上で、請求人の唯一の法定代理人である母を介し、請求人名義の普通預金口座に毎年入金していたことにつき、当該母が、その贈与証に基づく贈与を受諾し、入金していたものであるから、当該口座に係る預金は請求人に帰属する財産であり、相続財産には含まれないと認定したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の亡父(被相続人)が、毎年一定の金額を当時未成年であった請求人に贈与する旨を記した贈与証(本件贈与証)を作成した上で、請求人の母を介し、請求人名義の普通預金口座(本件預金口座)に平成13年から平成24年までの間、毎年入金していたことについて、請求人の母は、本件贈与証の具体的内容を理解しておらず、被相続人の指示に従い本件預金口座に入金していたにすぎず、当該入金が請求人へ贈与されたものとは認識していないから、被相続人から請求人への贈与は成立しておらず、本件預金口座に係る預金は被相続人の相続財産に含まれる旨主張する。

しかしながら、本件贈与証の内容は、その理解が特別困難なものとはいえない上、請求人の母は、本件贈与証を預かるとともに、被相続人の依頼により本件預金口座へ毎年入金し、本件預金口座の通帳等を口座開設当時から管理していたことからすれば、平成13年当時、請求人の唯一の親権者であった請求人の母は、請求人の法定代理人として、本件贈与証による贈与の申込みを受諾し、その履行として本件預金口座へ毎年入金していたと認めるのが相当であり、また、本件預金口座には、利息を除き、毎年の入金以外に入金はないから、本件預金口座に係る預金は、平成13年の口座開設当初から請求人に帰属するものであって、相続財産には含まれない。

★リンクはこちら⇒ 被相続人が毎年一定額を入金していた未成年の子名義の預金口座に係る預金は相続財産に含まれないと認定した事例

2022年4月20日


修正申告等に係る贈与税(相続税)額の納税猶予に係る加算税

<照会要旨>
贈与税(相続税)の期限内申告に係る修正申告又は更正により増加した税額については、租税特別措置法関係通達70の4-18((修正申告等に係る贈与税額の納税猶予))により特例適用農地等の評価誤り又は計算誤りのみに基づくものだけに限り納税猶予の特例の適用が認められることとされているが、この納税猶予が認められた部分についても加算税が賦課されるか?

<回答要旨>
加算税は、納税猶予の特例の適用が認められる増加した税額についても、一般の例により国税通則法第65条の規定に基づき賦課されることとなる。

★リンクはこちら⇒ 修正申告等に係る贈与税(相続税)額の納税猶予に係る加算税

2022年4月19日


被相続人が毎年一定額を入金していた未成年の子名義の預金口座に係る預金は相続財産に含まれないと認定した事例

  • ①平成29年1月相続開始に係る相続税の更正処分及び更正の請求に対する更正処分 →一部取消し
  • ②平成29年1月相続開始に係る相続税の過少申告加算税の賦課決定処分  →一部取消し
  • ③平成29年1月相続開始に係る相続税の過少申告加算税の変更決定処分 →却下
  • 令和3年9月17日裁決

<ポイント>
本事例は、被相続人が、毎年一定の金額を当時未成年であった嫡出でない子(長女)に贈与する旨を記した贈与証を作成した上で、長女の唯一の法定代理人である母を介し、長女名義の普通預金口座に毎年入金していたことにつき、当該母が、その贈与証に基づく贈与を受諾し、入金していたものであるから、当該口座に係る預金は長女に帰属する財産であり、相続財産には含まれないと認定したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の亡父(被相続人)が、毎年一定の金額を当時未成年であった被相続人の嫡出でない子(長女)に贈与する旨を記した贈与証(本件贈与証)を作成した上で、長女の母を介し、長女名義の普通預金口座(本件預金口座)に平成13年から平成24年までの間、毎年入金していたことについて、長女の母は、本件贈与証の具体的内容を理解しておらず、被相続人の指示に従い本件預金口座に入金していたにすぎず、当該入金が長女へ贈与されたものとは認識していないから、被相続人から長女への贈与は成立しておらず、本件預金口座に係る預金は被相続人の相続財産に含まれる旨主張する。

しかしながら、本件贈与証の内容は、その理解が特別困難なものとはいえない上、長女の母は、本件贈与証を預かるとともに、被相続人の依頼により本件預金口座へ毎年入金し、本件預金口座の通帳等を口座開設当時から管理していたことからすれば、平成13年当時、長女の唯一の親権者であった長女の母は、長女の法定代理人として、本件贈与証による贈与の申込みを受諾し、その履行として本件預金口座へ毎年入金していたと認めるのが相当であり、また、本件預金口座には、利息を除き、毎年の入金以外に入金はないから、本件預金口座に係る預金は、平成13年の口座開設当初から長女に帰属するものであって、相続財産には含まれない。

★リンクはこちら⇒ 被相続人が毎年一定額を入金していた未成年の子名義の預金口座に係る預金は相続財産に含まれないと認定した事例

2022年4月18日


修正申告等による増差税額の納税猶予の適用

<照会要旨>
相続税の申告期限後、農業相続人以外の者の取得した財産について評価誤りがあり、農業相続人の農業投資価格超過額に対応する相続税額が増加することとなった。

この場合、その増加税額については、租税特別措置法関係通達70の6-18により納税猶予の適用を受けることができるか?

<回答要旨>
その増差税額については、納税猶予の対象とすることはできない。

(注)
租税特別措置法関係通達70の6-18の趣旨は、特例適用農地等の評価誤り又は税額計算の誤りにのみに基づいて修正申告又は更正があった場合の増差税額について納税猶予の適用を認めるものである。

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2022年4月15日


被相続人が毎年一定額を入金していた未成年の子名義の預金口座に係る預金は相続財産に含まれないと認定した事例

  • ①平成29年1月相続開始に係る相続税の更正処分及び更正の請求に対する更正処分 一部取消し
  • ②平成29年1月相続開始に係る相続税の過少申告加算税の賦課決定処分 一部取消し
  • ③平成27年分の贈与税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分並びに平成29年1月相続開始に係る相続税の修正申告に基づく過少申告加算税の賦課決定処分 棄却
  • ④平成29年1月相続開始に係る相続税の過少申告加算税の変更決定処分 →却下
  • 令和3年9月17日裁決

<ポイント>
本事例は、被相続人が、毎年一定の金額を当時未成年であった嫡出でない子(長女)に贈与する旨を記した贈与証を作成した上で、長女の唯一の法定代理人である母を介し、長女名義の普通預金口座に毎年入金していたことにつき、当該母が、その贈与証に基づく贈与を受諾し、入金していたものであるから、当該口座に係る預金は長女に帰属する財産であり、相続財産には含まれないと認定したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の亡父(被相続人)が、毎年一定の金額を当時未成年であった被相続人の嫡出でない子(長女)に贈与する旨を記した贈与証(本件贈与証)を作成した上で、長女の母を介し、長女名義の普通預金口座(本件預金口座)に平成13年から平成24年までの間、毎年入金していたことについて、長女の母は、本件贈与証の具体的内容を理解しておらず、被相続人の指示に従い本件預金口座に入金していたにすぎず、当該入金が長女へ贈与されたものとは認識していないから、被相続人から長女への贈与は成立しておらず、本件預金口座に係る預金は被相続人の相続財産に含まれる旨主張する。

しかしながら、本件贈与証の内容は、その理解が特別困難なものとはいえない上、長女の母は、本件贈与証を預かるとともに、被相続人の依頼により本件預金口座へ毎年入金し、本件預金口座の通帳等を口座開設当時から管理していたことからすれば、平成13年当時、長女の唯一の親権者であった長女の母は、長女の法定代理人として、本件贈与証による贈与の申込みを受諾し、その履行として本件預金口座へ毎年入金していたと認めるのが相当であり、また、本件預金口座には、利息を除き、毎年の入金以外に入金はないから、本件預金口座に係る預金は、平成13年の口座開設当初から長女に帰属するものであって、相続財産には含まれない。

★リンクはこちら⇒ 被相続人が毎年一定額を入金していた未成年の子名義の預金口座に係る預金は相続財産に含まれないと認定した事例

2022年4月14日


納税猶予の適用を受ける場合の贈与者の農業に従事していた期間

<照会要旨>
(1)他家(農家)に嫁いだ娘が離婚して実家に戻り農地の贈与を受けた場合において、その娘が他家で農業に従事していた期間は、租税特別措置法施行令第40条の6第6項第2号の「農業に従事」した期間に含まれると解してよろしいか?

(2)租税特別措置法関係通達70の4-11に規定する「農業に関する学科を学んだ期間」の期間中は、受贈者は必ずしも贈与者と住所を一にしている必要はないと解してよろしいか?

<回答要旨>
(1)及び(2)のいずれについても照会意見のとおり解して差し支えない。

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2022年4月13日


被相続人が毎年一定額を入金していた未成年の子名義の預金口座に係る預金は相続財産に含まれないと認定した事例

  • ①平成29年1月相続開始に係る相続税の更正処分及び更正の請求に対する更正処分 →一部取消し
  • ②平成29年1月相続開始に係る相続税の過少申告加算税の各賦課決定処分及び重加算税の各賦課決定処分並びに過少申告加算税の変更決定処分 →一部取消し
  • ③平成29年1月相続開始に係る相続税の過少申告加算税の再変更決定処分及び重加算税の変更決定処分 →却下
  • 令和3年9月17日裁決

<ポイント>
本事例は、被相続人が、毎年一定の金額を当時未成年であった嫡出でない子(長女)に贈与する旨を記した贈与証を作成した上で、長女の唯一の法定代理人である母を介し、長女名義の普通預金口座に毎年入金していたことにつき、当該母が、その贈与証に基づく贈与を受諾し、入金していたものであるから、当該口座に係る預金は長女に帰属する財産であり、相続財産には含まれないと認定したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の亡夫(被相続人)が、毎年一定の金額を当時未成年であった被相続人の嫡出でない子(長女)に贈与する旨を記した贈与証(本件贈与証)を作成した上で、長女の母を介し、長女名義の普通預金口座(本件預金口座)に平成13年から平成24年までの間、毎年入金していたことについて、長女の母は、本件贈与証の具体的内容を理解しておらず、被相続人の指示に従い本件預金口座に入金していたにすぎず、当該入金が長女へ贈与されたものとは認識していないから、被相続人から長女への贈与は成立しておらず、本件預金口座に係る預金は被相続人の相続財産に含まれる旨主張する。

しかしながら、本件贈与証の内容は、その理解が特別困難なものとはいえない上、長女の母は、本件贈与証を預かるとともに、被相続人の依頼により本件預金口座へ毎年入金し、本件預金口座の通帳等を口座開設当時から管理していたことからすれば、平成13年当時、長女の唯一の親権者であった長女の母は、長女の法定代理人として、本件贈与証による贈与の申込みを受諾し、その履行として本件預金口座へ毎年入金していたと認めるのが相当であり、また、本件預金口座には、利息を除き、毎年の入金以外に入金はないから、本件預金口座に係る預金は、平成13年の口座開設当初から長女に帰属するものであって、相続財産には含まれない。

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2022年4月12日


相続税の納税猶予の適用を受けることができる農業相続人

<照会要旨>
農業経営を行っていた被相続人の死亡により、被相続人の孫である甲は被相続人の全財産を包括遺贈により取得した。この場合、甲は農地等についての相続税の納税猶予の特例を適用することができるか?

なお、被相続人の相続人は、長男、長女及び二女である。

<回答要旨>
甲は農業相続人に該当しないため、農地等についての相続税の納税猶予の特例を適用することはできない。

(理由)
相続税の納税猶予の適用を受けられる農業相続人は、被相続人の相続人で、一定の要件に該当することにつき農業委員会が証明した者に限られている。

この場合の相続人は民法第5編第2章の規定による相続人(相続を放棄した者及び相続権を失った者を含まない。)をいうから、照会の被相続人の相続人は、長男、長女及び二女であり、孫甲はこれに該当しない。

★リンクはこちら⇒ 相続税の納税猶予の適用を受けることができる農業相続人

2022年4月11日


対象年の前年以前又は対象年に農地法第5条の許可を受けた農地等の贈与を行った場合の贈与税の納税猶予の適用

<照会要旨>
父親から農地等の贈与を受けたが、贈与を受けた年の前年に弟が父親から農地法第5条第1項本文((農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限))の規定による許可を受けた農地の贈与を受け、相続時精算課税の適用を受けている。この場合、贈与税の納税猶予の特例の適用を受けることができるか?

<回答要旨>
租税特別措置法施行令第40条の6第1項の規定により、贈与者が、①贈与をした日の属する年(以下「対象年」という。)の前年以前において、その農業の用に供していた農地をその者の推定相続人に対し贈与をしている場合であって、その農地について相続時精算課税の適用を受けているとき、又は②対象年において、その贈与以外の贈与により農地等を贈与しているときには、農地等を贈与した場合の贈与税の納税猶予の特例の適用を受けることができないこととされている。

ところで、農地法第5条第1項本文の規定による許可を受けた農地を贈与していた場合に納税猶予の特例の適用を受けることができるかどうかについては、法文上、明らかではない。

しかしながら、平成15年度税制改正において、納税猶予の特例を受ける場合の贈与税について要件を付された趣旨が、農業経営の細分化の防止の観点からであることに鑑みると、既に、農業委員会において、農地等以外のものとすることが許可された農地等までを租税特別措置法施行令第40条の6第1項に規定する農地等に含めて考えることは適当でない。

したがって、贈与を受けた前年に弟が父親から農地の贈与を受け、その農地について相続時精算課税の適用を受けている場合であっても、その農地が農地法第5条第1項本文の規定による許可を受けたものである場合には、贈与税の納税猶予の特例の適用の対象として差し支えない。

★リンクはこちら⇒ 対象年の前年以前又は対象年に農地法第5条の許可を受けた農地等の贈与を行った場合の贈与税の納税猶予の適用

2022年4月7日


調整水田に対する納税猶予の適用

<照会要旨>
調整水田とは、米の生産調整のため、各年ごとの市町村水田営農活性化計画により、農地である水田の全部又は一部について、農家の選択により「水を張ることにより常に水稲の生産力が維持される状態に管理」はするが耕作をしないこととした水田をいうが、この調整水田について、納税猶予の適用を受けることができるか?

<回答要旨>
農地法上、農地とは耕作の目的に供される土地をいい(農地法21)、「耕作の目的に供される土地」には、現に耕作される土地のほか、現に耕作されていない土地のうち現状が耕作し得る状態にあり、通常であれば耕作されていると認められるものも含まれると解されている。

したがって、調整水田についても、客観的にみてその現状が耕作の目的に供されるものと認められるものは特例農地等に該当する。

★リンクはこちら⇒ 調整水田に対する納税猶予の適用

2022年4月5日


レジャー農園の用に供されている農地

<照会要旨>
贈与時(相続開始時)においてレジャー農園の用に供されている農地であっても、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に該当するか?

<回答要旨>
贈与時(相続開始時)においてレジャー農園の用に供されている農地であっても、その農地の所有者が、その農地に係る農業経営を自ら行い、利用者はその農地に係る農作業の一部を行うためにその農園に入園するにすぎない場合には、農作業の一部のみを請け負わせている農地と同様、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に該当する。

★リンクはこちら ⇒ レジャー農園の用に供されている農地

2022年3月30日


市民菜園として貸し付けている農地

<照会要旨>
甲は、所有する農地(都市計画法第8条第1項第14号に掲げる生産緑地地区内にある農地ではない。)の一部をA市の条例による市民菜園として貸し付けている。

この農地について贈与税(相続税)の納税猶予の特例の適用を受けることができるか?

なお、この貸付関係を図示すると次のようになる。
(図)

<回答要旨>
市民菜園としてA市に貸し付けられている農地は、甲の農業の用に供されていた農地に該当しないので、その農地等について贈与税(相続税)の納税猶予の特例の適用を受けることができない。

(注)生産緑地地区内にある農地については、租税特別措置法第70条の6の4第2項第3号に規定する農園用地貸付けに該当する場合には、その農地等について相続税の納税猶予の特例の適用を受けることができる(措法70の6の5)。

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2022年3月28日


納税猶予の特例の適用を受けた休耕地をその後転用した場合

<照会要旨>
贈与時(相続開始時)において農業の用に供されていない農地につき、租税特別措置法関係通達70の4-12((贈与者の農業の用に供している農地又は採草放牧地))に掲げる事由により、やむを得ず一時的に休耕しているものとして取り扱った場合において、その後、当該農地について特例適用者がその農地をその者の農業の用に供しないまま転用した場合、その農地については、当初から納税猶予の適用が受けられなかったことになるのか、又は、転用があった時に猶予期限を確定させることになるのか?

<回答要旨>
納税猶予の規定を適用する時において、租税特別措置法関係通達70の4-12(70の6-13)に該当することから農業の用に供されている農地に含まれるとしたものについて、その後その農地をその者の農業の用に供しないまま転用した場合には、農地の転用があった時に猶予期限が確定することとなる。

★リンクはこちら ⇒ 納税猶予の特例の適用を受けた休耕地をその後転用した場合

2022年3月24日


土地区画整理事業に係る土地

<照会要旨>
土地区画整理事業の完了した地域に所在する土地は、たとえ作物を栽培している場合であっても、農地法第2条第1項に規定する農地には該当しないものと考えてよいか?

<回答要旨>
土地区画整理事業の施行地区は、宅地のほか農地も含まれる場合があり、また、土地区画整理事業における換地は、原則として従前の土地の利用状況に照応して行うことが建前となっているので、土地区画整理事業が完了したからといって直ちにその施行地区内の土地が全て宅地になるわけではないことから、農地法第2条第1項に規定する農地に該当するか否かは、その土地の現況に応じて判断することとなる。

なお、区画整理中の土地で当該事業施行中のため農業の用に供することができない土地について、当該事業を施行する直前において農地である場合には、農地に該当する。

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2022年3月22日


農業の用に供されていた農地

<照会要旨>
次の事例の土地は、相続税の納税猶予の適用上、農業の用に供されていた農地と判断されるか?

(1)甲は、土地区画整理組合の設立準備中の○年4月に死亡した。
(2)その準備中、付近の小学校建設のための埋立てがあり、その残土が生じたので、それを組合設立予定者が引き受け農地の一部を埋め立てた。その農地のうちに、甲の所有地があったが、甲のその農地は相続開始時においては農業の用に供されていなかった。

<回答要旨>
照会の農地は、相続開始時には農業の用に供していないため、租税特別措置法関係通達70の6-13(同通達70の4-12を準用)のやむを得ず一時的に休耕している農地に該当するかどうかが問題となる。

照会の場合、埋立ての目的及び埋立て後の現況(農業の用に供し得る状態にあるのかどうか)について検討し、その農地がやむを得ず一時的に休耕地となっているものであり、かつ、近く農業の用に供されることが明らかである場合には、現に農業の用に供されていた農地として取り扱って差し支えない。

★リンクはこちら ⇒ 農業の用に供されていた農地

2022年3月18日


納税猶予の対象となる農地(2)

<照会要旨>
1.農地は現況主義によって判断すると聞いたのが、登記簿上の地目が宅地であっても農地に該当するものがあるか?

2.純農地に係る耕作権の農業投資価格は、耕作権の割合が50%と定められているので、その農地の農業投資価格による価額の50%相当額と解してよろしいか?

<回答要旨>
1.農地の判定に当たっては現況主義によることとされている。

したがって、登記簿上の地目が田・畑等であっても農地に該当しないものがある一方で、宅地であっても農地に該当するものがある。ただし、宅地の休閑地利用等のための家庭菜園のようなものは農地に該当しない。

2.照会意見のとおりである。

★リンクはこちら ⇒ 納税猶予の対象となる農地(2)

2022年3月16日


納税猶予の対象となる農地(1)

<照会要旨>
次に掲げる土地は、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に該当するか?
(1)温室の敷地
(2)畜舎の敷地
(3)農作業場の敷地
(4)農業のかんがい用ため池
(5)養魚に利用している土地
(6)植木の植栽されている土地

<回答要旨>
(1)温室の敷地
贈与時(相続開始時)において温室の敷地となっている土地は、その土地を従前の農地の状態のまま耕作を継続している場合には農地に該当する。しかし、その敷地を農地以外のものとして直接耕作の用に供しない場合、例えば、温室の敷地をコンクリート等で地固めするなど農地以外のものとした場合には、たとえ、その上に土を盛って作物を栽培しているときであっても、温室の敷地は農地に該当しないことから、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に該当しない。なお、農地法第43条第1項の規定に従い、農業委員会に届け出て農地をコンクリート等で覆い同条第2項に規定する農作物栽培高度化施設の用に供される当該農地については、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に該当する。

(2)畜舎の敷地
贈与時(相続開始時)において畜舎の敷地となっている土地は、農地法第2条第1項に規定する農地又は採草放牧地に該当しないことから、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に当たらない。

(3)農作業場の敷地
贈与時(相続開始時)において農作業場の敷地となっている土地は、農地法第2条第1項に規定する農地又は採草放牧地に該当しないことから、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に当たらない。

(4)農業のかんがい用ため池
贈与時(相続開始時)において農業のかんがい用ため池の用に供されている土地は、農地法第2条第1項に規定する農地又は採草放牧地に該当しないことから、準農地に該当する場合を除き、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に当たらない。

(5)養魚に利用している土地
農地には、現に耕作されている土地のほか、その現状が耕作し得る状態にあり、通常であれば耕作されているものが含まれるので、贈与時(相続開始時)において水田を従前の状態のままで水を張って一時的に稚魚を飼育している場合には、当該土地は農地に該当することから、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に当たる。
ただし、当該土地を通常の水田として利用するのに必要な程度を超えたけいはん(畦畔)の補強、本地の掘削などをして養魚池とした場合には、当該土地は農地に該当しないことから、その特例の対象となる農地に当たらない。

(6)植木の植栽されている土地
贈与時(相続開始時)において植木を育成する目的で苗木を植栽し、かつ、その苗木の育成について肥培管理を行っている土地は、農地に該当することから、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に当たる。
ただし、既に育成された植木を販売目的で販売するまでの間一時的に仮植しておく土地は、たとえ、その間その商品価値を維持するための管理が行われているとしても、農地法第2条第1項に規定する農地に該当しないことから、その特例の対象となる農地に当たらない。

(注)
納税猶予の適用を受けた後において、特例農地等を温室の敷地、畜舎の敷地、かんがい用ため池及び農作業場の敷地として利用するためにその農地等を農地等以外のものにした場合であっても、その転用は措置法令第40条の6第9項(措置法令第40条の7第8項)に規定する事務所、作業場、倉庫その他の施設又は使用人の宿舎の敷地にするための転用に該当するので、猶予期限の確定事由に該当しないことに留意すること。

★リンクはこちら ⇒ 納税猶予の対象となる農地(1)

2022年3月14日


相続開始後3年以内に遺産分割された土地について、租税特別措置法第69条の4の適用を受ける場合の更正の請求の期限は、当該土地の遺産分割の日から4か月以内であるとした事例

  • 平成29年11月相続開始に係る相続税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の各通知処分
  • 棄却
  • 令和3年6月22日裁決

<ポイント>
本事例は、租税特別措置法第69条の4の適用について準用される相続税法第32条第1項に規定する更正の請求は、本件特例対象宅地等の遺産分割の日の翌日から4月以内にしたものに限られるとしたものである。

<要旨>
請求人らは、租税特別措置法第69条の4《小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例》第4項ただし書にある「特例対象宅地等が申告期限から3年以内に分割された」というのは、「全ての相続財産が申告期限から3年以内に分割された」と解釈して、相続税法第32条《更正の請求の特則》第1項の更正の請求を認めるべきであるから、本件の各更正の請求(本件各更正請求)は、相続税法第32条第1項所定の期限内にされたものである旨主張する。

しかしながら、請求人らによって、租税特別措置法第69条の4第1項の規定による特例(本件特例)の対象とした土地(本件土地)は、遺産分割協議書の作成日付の日において遺産分割がされたものと認められるところ、本件各更正請求は、本件特例対象宅地等の価額の計算における本件特例の適用について、申告の時点では未分割であったが、本件土地の遺産分割により「申告期限から3年以内に分割された場合」に該当したことによりされたものであるから、相続税法第32条第1項第1号及び第8号に規定する課税価格及び相続税額が異なることとなったことを知った日についても、本件土地の遺産分割の日(遺産分割協議書が作成された日)であるというべきであり、本件特例の適用についてされる相続税法第32条第1項に規定する更正の請求は、本件土地の遺産分割の日の翌日から4月以内にしたものに限られることとなり、請求人らは、これをしなかったものであるから、その後にされた本件各更正請求が相続税法第32条第1項所定の期限内にされたものに該当することはない。

★リンクはこちら ⇒ 相続開始後3年以内に遺産分割された土地について、租税特別措置法第69条の4の適用を受ける場合の更正の請求の期限は、当該土地の遺産分割の日から4か月以内であるとした事例

2022年3月2日


建物売買に伴い被相続人に生じた債務のうち、当該建物の経済的価値を超える部分については、相続税の債務控除の対象となる「確実と認められるもの」には該当しないとした事例②

  • 平成26年12月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和3年6月17日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が被相続人と生前締結した建物売買契約(売主:請求人、買主:被相続人)に伴い被相続人に生じた売買代金相当額の債務について、当該債務のうち、当該建物の経済的価値(評価通達に基づき算出された評価額)を超える部分は、いずれ混同により消滅させるべき債務を、いわば名目的に成立させたにすぎず、相続開始日現在における消極的財産価値を示すものとはいえないため、相続税の債務控除の対象となる「確実と認められるもの」には該当しないとしたものである。

<要旨>
請求人が、被相続人と生前に締結した売主を請求人、買主を被相続人とする建物売買契約に伴い被相続人に生じた売買代金相当額の債務(本件債務)は、真正に成立した処分証書が存在し、法的に履行が強制されることから、その全額が相続税法第14条第1項に規定する「確実と認められるもの」に該当する旨主張するのに対し、原処分庁は、本件債務は履行を予定していないことから、その全額が「確実と認められるもの」には該当しない旨主張する。

しかしながら、本件債務の発生原因となった建物売買契約は、建物の売買金額と相続税評価額との間に生じる差額により相続税の軽減効果が期待できるとの提案があった上で締結されたことからすると、本件債務のうち、売買対象となった建物(本件建物)の経済的価値(評価通達に基づき算出された評価額)に相当する部分については、相続開始日時点における債務としての消極的経済価値を示しているものの、本件建物の経済的価値を超える部分については、いずれ混同により消滅させるべき債務を、いわば名目的に成立させたにすぎないのであるから、相続開始日時点における債務としての消極的経済価値を示すものとはいえない。

したがって、本件債務のうち、本件建物の経済的価値に相当する部分については、相続税法第14条第1項に規定する「確実と認められるもの」に該当するものの、本件建物の経済的価値を超える部分については、「確実と認められるもの」には該当しない。

★リンクはこちら ⇒ 建物売買に伴い被相続人に生じた債務のうち、当該建物の経済的価値を超える部分については、相続税の債務控除の対象となる「確実と認められるもの」には該当しないとした事例②

2022年2月28日


建物売買に伴い被相続人に生じた債務のうち、当該建物の経済的価値を超える部分については、相続税の債務控除の対象となる「確実と認められるもの」には該当しないとした事例①

  • 平成26年12月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和3年6月17日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が被相続人と生前締結した建物売買契約(売主:請求人、買主:被相続人)に伴い被相続人に生じた売買代金相当額の債務について、当該債務のうち、当該建物の経済的価値(評価通達に基づき算出された評価額)を超える部分は、いずれ混同により消滅させるべき債務を、いわば名目的に成立させたにすぎず、相続開始日現在における消極的財産価値を示すものとはいえないため、相続税の債務控除の対象となる「確実と認められるもの」には該当しないとしたものである。

<要旨>
請求人が、被相続人と生前に締結した売主を請求人、買主を被相続人とする建物売買契約に伴い被相続人に生じた売買代金相当額の債務(本件債務)は、真正に成立した処分証書が存在し、法的に履行が強制されることから、その全額が相続税法第14条第1項に規定する「確実と認められるもの」に該当する旨主張するのに対し、原処分庁は、本件債務は履行を予定していないことから、その全額が「確実と認められるもの」には該当しない旨主張する。

しかしながら、本件債務の発生原因となった建物売買契約は、建物の売買金額と相続税評価額との間に生じる差額により相続税の軽減効果が期待できるとの提案があった上で締結されたことからすると、本件債務のうち、売買対象となった建物(本件建物)の経済的価値(評価通達に基づき算出された評価額)に相当する部分については、相続開始日時点における債務としての消極的経済価値を示しているものの、本件建物の経済的価値を超える部分については、いずれ混同により消滅させるべき債務を、いわば名目的に成立させたにすぎないのであるから、相続開始日時点における債務としての消極的経済価値を示すものとはいえない。

したがって、本件債務のうち、本件建物の経済的価値に相当する部分については、相続税法第14条第1項に規定する「確実と認められるもの」に該当するものの、本件建物の経済的価値を超える部分については、「確実と認められるもの」には該当しない。

★リンクはこちら ⇒ 建物売買に伴い被相続人に生じた債務のうち、当該建物の経済的価値を超える部分については、相続税の債務控除の対象となる「確実と認められるもの」には該当しないとした事例①

2022年2月24日


前住職から請求人への資金移動により相続税法第66条第4項に規定する贈与者である前住職の親族等の相続税の負担が不当に減少する結果になるとは認められないとした事例

<ポイント>
本事例は、前住職から請求人への資金移動は、相続税法第66条第4項に規定する財産の贈与に該当すると認められるものの、前住職及びその親族が、請求人の業務運営、財産運用及び解散した場合の財産の帰属等を事実上私的に支配している事実は認められないことから、相続税法第66条《人格のない社団又は財団等に対する課税》第4項に規定する贈与者である前住職の親族等の相続税の負担が不当に減少する結果となるとは認められないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が相続税法施行令第33条《人格のない社団又は財団等に課される贈与税等の額の計算の方法等》第3項第1号ないし第3号の各要件をいずれも満たしていないことに加え、①前住職から請求人への資金移動(本件資金移動)の時点における請求人の役員の3分の2を前住職及びその親族(前住職ら)で占めており、請求人の業務を自由に裁量できる立場であったこと、②請求人は前住職らに対し、生活費の供与など特別の利益を与えていること、及び③請求人が解散した場合、前住職らに財産が帰属することなどを理由として、前住職から請求人への資金移動により相続税法第66条第4項に規定する贈与者である前住職の親族等の相続税の負担が不当に減少する結果となる旨主張する。

しかしながら、請求人は上記施行令の規定には該当しないものの、①前住職らによる請求人の業務運営及び財産管理については、請求人の総代が相当程度に監督しているものと認められるほか、前住職らが私的に業務運営や財産管理を行っていたとまでは認められないこと、②前住職らが、本件資金移動の時点において、請求人の財産から私的に生活費などの財産上の利益を享受した事実は見当たらないこと、及び③前住職らが恣意的に請求人を解散し、その財産を私的に支配することができるとはいえないことから、本件資金移動は、前住職から請求人への贈与に該当するとしても、本件資金移動により相続税法第66条第4項に規定する前住職の親族等の相続税の負担が不当に減少する結果となるとは認められない。

★リンクはこちら ⇒ 前住職から請求人への資金移動により相続税法第66条第4項に規定する贈与者である前住職の親族等の相続税の負担が不当に減少する結果になるとは認められないとした事例

2022年2月21日


令和2年分相続税の申告事績の概要

令和2年分における被相続人数(死亡者数)は1,372,755人(前年対⽐99.4%)だった。

そのうち相続税の申告書の提出に係る被相続人数は120,372人(同104.4%)で、その課税価格の総額は16兆3,937億円(同103.9%)、申告税額の総額は2兆915億円(同105.9%)だった。

★リンクはこちら ⇒ 令和2年分相続税の申告事績の概要

2022年1月31日


相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)(資産課税課情報第16号 令和3年7月7日 国税庁 資産課税課

所得税法等の一部を改正する法律(令和3年法律第11号)等の施行に伴い、「相続税法基本通達」(法令解釈通達)及び「租税特別措置法(相続税法の特例関係)の取扱いについて」(法令解釈通達)については、令和3年6月24日付課資2-14ほか2課共同「相続税法基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)により、所要の整備を行ったところであるが、そのあらましについて別添のとおり送付するので、執務の参考とされたい。

なお、単なる条項の異動等その改正の内容が形式的なものについては省略した。

★リンクはこちら ⇒ 相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)(資産課税課情報第16号 令和3年7月7日 国税庁 資産課税課)

2021年8月10日


死因贈与契約に基づき権利を取得した請求人らが、自己のために相続の開始があったことを知った日は、「相続債権者・受遺者に対する債権申出催告の公告に係る請求申出期間満了日」ではなく、「被相続人の死亡を知った日」であるとした事例

  • 平成30年4月相続開始に係る相続税の無申告加算税の各賦課決定処分・棄却
  • 令和2年12月14日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人らが被相続人と生前締結した死因贈与契約について、被相続人の相続開始日に、請求人らが死因贈与契約に基づく権利を取得することが確定していたので、請求人らが自己のために相続の開始があったことを知った日は、「(相続人が不存在であったために行われた相続財産管理人による)相続債権者及び受遺者への請求申出の催告に係る公告の請求申出期間満了日」ではなく、「被相続人の死亡を知った日」であるから、請求人らが提出した相続税の申告書は期限後申告書であるとしたものである。

<要旨>
請求人らは、被相続人と生前締結した死因贈与契約について、相続人不存在の場合、相続債権者・受遺者に対する債権申出催告の公告に係る請求申出期間満了日以前は、当該契約に基づく権利は未確定であり、相続税法第27条《相続税の申告書》第1項に規定する「その相続の開始があったことを知った日」は当該催告期間満了日となるから、その翌日から10月を経過する日までに提出した相続税の申告書は期限内申告書である旨主張する。

しかしながら、請求人らは、被相続人に係る相続開始日に、死因贈与契約に基づく権利を取得することが確定し、自己のために相続開始があったことを知ったのであるから、被相続人の死亡を知った日の翌日から10月を経過する日までに相続税の申告書を提出しなければならなかったところ、当該経過する日までに相続税の申告書を提出しなかったのであるから、請求人らが提出した相続税の申告書は期限後申告書である。

★リンクはこちら ⇒ 死因贈与契約に基づき権利を取得した請求人らが、自己のために相続の開始があったことを知った日は、「相続債権者・受遺者に対する債権申出催告の公告に係る請求申出期間満了日」ではなく、「被相続人の死亡を知った日」であるとした事例

2021年8月6日


相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達 課資2-14 課審7-9 課評2-47 令和3年6月24日)

標題のことについては、下記のとおり定めたから、これによられたい。

(趣旨)

所得税法等の一部を改正する法律(令和3年法律第11号)等の施行に伴い、所要の整備を行うものである。

第1
昭和34年1月28日付直資10「相続税法基本通達」(法令解釈通達)について、別紙1の「新旧対照表」の「改正前」欄に掲げる部分を「改正後」欄のように改める。

第2
昭和50年11月4日付直資2-224ほか2課共同「租税特別措置法(相続税法の特例関係)の取扱いについて」(法令解釈通達)について、別紙2の「新旧対照表」の「改正前」欄に掲げる部分を「改正後」欄のように改める。

第3
1 この法令解釈通達による上記第1の改正後の取扱いは、令和3年4月1日以後に贈与又は相続若しくは遺贈により取得をする財産に係る贈与税又は相続税について適用し、同日前については、なお従前の例による。

2 この法令解釈通達による上記第2の改正後の取扱いの適用については、次による。
(1)改正後の〔措置法第70条の2((直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税))関係〕のうち70の2-8の2((既存住宅用家屋等が面積要件及び経過年数基準を満たすことの確認を受けるための書類))については、令和4年1月1日以後に租税特別措置法第70条の2第1項の規定の適用に係る贈与税の申告書を提出する場合について適用する。

(2)改正後の〔措置法第70条の3((特定の贈与者から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例))関係〕については、令和4年1月1日以後に租税特別措置法第70条の3第1項の規定の適用に係る贈与税の申告書を提出する場合について適用する。

(3)上記(1)及び(2)以外の改正後の取扱いについては、令和3年4月1日から適用する。

★リンクはこちら ⇒ 相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達 課資2-14 課審7-9 課評2-47 令和3年6月24日)

2021年7月27日


相続税の申告書等の様式一覧(令和3年分用)

国税庁は、『相続税の申告書等の様式一覧(令和3年分用)』をホームページに掲載した。

こちらに掲載されている申告書等は、令和3年1月1日から令和3年12月31日までの間に亡くなられた人に係る相続税の申告に使用するものである。

「一般用」に「○」が付いている申告書は、一般の場合に使用する申告書となる。

なお、一般の場合とは、相続時精算課税適用者または相続税の納税猶予等の特例の適用を受ける人がいない場合をいう。

詳しくは、「相続税の申告のしかた(令和3年分)」の75ページからの「相続税の申告書の記載例等」をご確認のこと。

★リンクはこちら ⇒ 相続税の申告書等の様式一覧(令和3年分用)

2021年7月14日


相続税の申告のしかた(令和3年分用)

国税庁は、『相続税の申告のしかた(令和3年分用)』をホームページに掲載した。

この「相続税の申告のしかた(令和3年分用)」は、令和3年4月1日現在の法令等に基づいて作成しているもので、原則として、令和3年1月1日から令和3年12月31日までの間に亡くなられた人に係る相続税の申告のしかたなどについて説明したものである。

★リンクはこちら ⇒ 相続税の申告のしかた(令和3年分用)

2021年7月7日


特定の美術品についての相続税の納税猶予及び免除のあらまし(令和3年5月)

国税庁は、『特定の美術品についての相続税の納税猶予及び免除のあらまし(令和3年5月)』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 特定の美術品についての相続税の納税猶予及び免除のあらまし(令和3年5月)

2021年6月11日


取得財産に算入する遺留分減殺請求に基づく価額弁償金につき、相続税法基本通達11の2-10《代償財産の価額》(2)に定める方法により計算すべきとした事例

  • 平成28年2月相続開始に係る相続税の更正の請求に対する更正処分
  • 全部取消し
  • 令和2年8月11日裁決

<ポイント>
本事例は、共同相続人の間で相続税の取得財産の価額に算入又は控除する遺留分減殺請求に基づく価額弁償金の金額について、相続税法基本通達11の2-10《代償財産の価額》(1)ではなく、同通達(2)に定める方法により計算すべきであると判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、遺留分減殺請求訴訟の和解(本件和解)の際に、共同相続人の間で相続税の取得財産の価額に算入又は控除する価額弁償金(本件価額弁償金)の金額について何らかの合意があったと考えるのが自然であるとして、請求人の相続税の取得財産の価額に算入する本件価額弁償金の金額は、相続税法基本通達11の2-10《代償財産の価額》(本件通達)(1)の要件を満たしており、本件通達(2)によるべきとする更正の請求は認められない旨主張する。

しかしながら、訴訟中から申告までの間に直接やり取りをしていた訴訟代理人間において、本件価額弁償金をいくらとして申告するかについて協議がされていないことについては、同人らを含む関係者の答述が一致しており、訴訟中から申告に至るまでの経緯等に照らしても、本件価額弁償金については、その申告額を具体的に協議した事実は認められず、他に申告額についての具体的な協議の事実が認められるような事情もないことからすれば、その協議はなかったと認められるから、本件通達(1)の場合には該当しない。

そして、本件価額弁償金の金額は、対象財産が特定され、かつ、本件和解時に合意された当該対象財産の通常の取引価額を基として決定されたものであるから、本件通達(2)の場合に該当するので、請求人の相続税の取得財産の価額に算入する金額は、本件通達(2)に定める方法により計算すべきである。

★リンクはこちら ⇒ 取得財産に算入する遺留分減殺請求に基づく価額弁償金につき、相続税法基本通達11の2-10《代償財産の価額》(2)に定める方法により計算すべきとした事例

2021年4月16日


イメージデータで提出可能な添付書類(相続税申告)

イメージデータ(PDF形式)による提出が可能な主な添付書類は、次のとおり。

なお、添付書類の名称は、例示として掲げているものであり、送付する添付書類の名称が相違している場合であっても類似するものであれば、イメージデータにより提出することができる。

また、この一覧は、令和2年4月1日現在の法令に基づくものである。

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★リンクはこちら ⇒ イメージデータで提出可能な添付書類(相続税申告)

2021年3月22日


令和元事務年度における相続税の調査等の状況

国税庁は、令和元事務年度における相続税の調査等の状況がまとめ、その概要を報告した。

★リンクはこちら ⇒ 令和元事務年度における相続税の調査等の状況

2021年2月5日


相続税申告書の代理送信等に関するQ&A(改訂)

国税庁資産課税課は、2021年1月に『相続税申告書の代理送信等に関するQ&A』を改訂した。

★リンクはこちら ⇒ 相続税申告書の代理送信等に関するQ&A(改訂)

2021年2月4日


令和元年分相続税の申告事績の概要

国税庁は、令和元年分の相続税の申告事績をまとめ、その概要を報告した。

★リンクはこちら ⇒ 令和元年分相続税の申告事績の概要

2021年2月2日


複数の相続人等がいる場合の相続税の申告書の作成方法(リーフレット)

国税庁は、「複数の相続人等がいる場合の相続税の申告書の作成方法」(リーフレット)をホームページに掲載した。

令和3年度税制改正の大綱において、税務関係書類における押印義務の見直しを行うこととされた趣旨を踏まえ、税制改正前であっても、税務関係書類に押印がなくとも改めて押印を求めないこととし、相続人又は受遺者(以下「相続人等」という。)による相続税申告書への押印についても同様に取り扱う。

このため、2人以上の相続人等がいる場合に相続税の申告書へ押印をしないときは、申告書の提出意思の有無を明らかにするため、申告書第1表及び第1表(続)(以下「第1表等」という。)には共同して提出する方のみを記載して提出すること。

なお、共同して申告書を提出しない相続人等の方は、別途申告書を作成・提出していただく必要がある。

法令上、相続税の申告書は、2人以上の相続人等が共同して提出する場合に一の申告書に連署して提出することとされている。

★リンクはこちら ⇒ 複数の相続人等がいる場合の相続税の申告書の作成方法(リーフレット)

2021年1月29日


相続税の課税財産である土地が、騒音により利用価値が著しく低下している土地に該当するとして、評価上減額すべきとした事例

  • 平成27年2月相続開始に係る相続税の更正の請求に対して平成31年3月6日付でされた更正処分(令和元年8月7日付でされた更正処分によりその一部が取り消された後のもの)
  • 全部取消し
  • 令和2年6月2日

<ポイント>
本事例は、騒音により利用価値が著しく低下している土地に該当するか否かの判断に当たり、評価上適用すべき路線価に騒音要因がしんしゃくされておらず、合理的と認められる方法に基づく騒音測定結果で相当程度の騒音が日常的に発生していることが明らかにされ、固定資産税の評価上も騒音による減価が行われていたことをもって、騒音により利用価値が著しく低下している土地に該当すると判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、相続財産である土地(本件土地)について、請求人が行った列車走行による騒音測定では、騒音による取引金額への影響を確認できないから、国税庁ホームページのタックスアンサー「No.4617 利用価値が著しく低下している宅地の評価」において示された10%減額して評価する取扱い(本件取扱い)を適用することはできない旨主張する。

しかしながら、①本件土地の評価上適用すべき路線価には騒音要因がしんしゃくされていないこと、②本件土地において列車通過時に実際に騒音が生じていること、③本件土地の所在する自治体は、本件土地の固定資産税評価額の算定上、鉄道騒音補正を適用したことが認められるから、本件土地は、騒音により取引金額に影響を受ける宅地に該当すると認められる。

したがって、これらを併せて判断すると、本件土地においては相当程度の騒音が日常的に発生し、騒音により取引金額に影響を受けていたと認めるのが相当であるから、本件土地は、騒音により利用価値が著しく低下している土地に該当するとして、本件取扱いを適用して評価すべきである。

★リンクはこちら ⇒ 相続税の課税財産である土地が、騒音により利用価値が著しく低下している土地に該当するとして、評価上減額すべきとした事例

2021年1月13日


商業施設の敷地等として一体で使用(又は潰れ地が発生しないように区分して使用)することが経済的に最も合理的であると認められるため、広大地に該当しないとした事例

  • 平成26年3月相続開始に係る更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の各通知処分及び重加算税又は過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和2年3月17日裁決

<ポイント>
本事例は、本件地域に存する土地の経済的に最も合理的な使用は、幹線道路沿いの駐車場を備えた商業施設(いわゆるロードサイド店舗)の敷地としての使用であると認められ、A土地は、地積が大きく、駐車場を備えた商業施設の敷地として使用することが可能な土地であり、現に、相続前から駐車場を備えた商業施設の敷地として一体で使用されていることからすると、A土地の経済的に最も合理的な使用は駐車場を備えた商業施設の敷地として一体で使用することであり、潰れ地が生じない場合に該当すると判断したものである。

<要旨>
請求人らは、相続により取得したA土地及びB土地(本件各土地)について、いずれも財産評価基本通達(平成29年9月20日付課評2-46ほかによる改正前のもの)24-4《広大地の評価》(広大地通達)に定める広大地に該当する旨主張する。

しかしながら、請求人らの主張する広大地通達に定める「その地域」は、交通量の多い幹線道路沿いの地域と当該道路沿いでない地域を一つの地域とし、また、用途地域、建蔽率及び容積率がいずれも異なる二つの地域を一つの地域としていることから、広大地通達の趣旨に照らして、ある特定の用途に供されることを中心としたひとまとまりの地域と認めることはできない。

そして、当審判所が認定した「その地域」(本件地域)における宅地の標準的な使用である駐車場を備えた商業施設の敷地5画地の平均地積は1,190㎡程度であることからすると、本件地域における「標準的な宅地の地積」は1,190㎡程度であると認められるから、B土地(1,190.61㎡)は広大地通達に定める標準的な地積に比して著しく地積が広大な土地とは認められず、また、本件地域に存する土地の経済的に最も合理的な使用は、幹線道路沿いの駐車場を備えた商業施設(いわゆるロードサイド店舗)の敷地としての使用であると認められ、A土地(2213.77㎡)は、地積が大きく、駐車場を備えた商業施設の敷地として使用することが可能な土地であり、現に、相続前から駐車場を備えた商業施設の敷地として一体で使用されていることからすると、A土地の経済的に最も合理的な使用は駐車場を備えた商業施設の敷地として一体で使用することであり、潰れ地が生じない場合に該当する。

したがって、本件各土地はいずれも広大地通達に定める広大地に該当しない。

なお、B土地の評価に当たり、適用する奥行価格補正率が誤っていたため、原処分の一部を取り消した。

★リンクはこちら ⇒ 商業施設の敷地等として一体で使用(又は潰れ地が発生しないように区分して使用)することが経済的に最も合理的であると認められるため、広大地に該当しないとした事例

2020年11月11日


死亡退職金の課税時期

<照会要旨>
相続税法第3条第1項第2号の規定は、「被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものの支給を受けた場合」と規定しているが、死亡退職金の課税時期は、死亡退職金の支給が確定した時か、それとも当該死亡退職金の支払いがあった時のいずれか?

<回答要旨>
死亡退職金の支給の確定があれば、死亡退職金の支払請求権(債権)という財産を取得したことになるため、その時点において相続税の課税原因が発生しているというべきである。相続税法第3条の規定は、相続財産とみなされる財産を擬制しているに過ぎず、課税時期については、定めていないと解される。

したがって、死亡退職金については、死亡後3年以内にその支給が確定すれば、実際の支払いが3年以内であるかどうかを問わず相続税が課税されることになる。

★リンクはこちら ⇒ 死亡退職金の課税時期

2020年10月14日


建物更生共済契約に係る課税関係

<照会要旨>
甲は、乙所有の建物の共済を目的とする建物更生共済に加入し、掛金を負担していた。

甲又は乙について相続が開始した場合、建物更生共済契約に関する相続税の課税関係はどのようになるか?

[契約関係]

共済契約者(掛金負担者) 甲(長男)
被共済者(建物所有者) 乙(父)
満期共済金受取人

<回答要旨>
共済契約者甲について相続が開始した場合には、建物更生共済契約の約款によれば、共済契約者の相続人に契約が承継されることとなっていることから、建物更生共済契約に関する権利が甲の本来の相続財産として相続税の課税対象となり、その評価額は、相続開始時における解約返戻金相当額となる。

また、乙について相続が開始した場合、当該共済契約に関して相続税の課税対象となるものはない。

なお、満期時に取得する満期共済金は、満期共済金受取人の一時所得の課税対象となる。

★リンクはこちら ⇒ 建物更生共済契約に係る課税関係

2020年10月7日


死亡退職金を辞退した場合

<照会要旨>
A㈱は、社長が死亡したため、株主総会及び取締役会の決議に基づき死亡退職金として1億円をその遺族に支払っていたが、その後、遺族から退職金受領を辞退したい旨の申し入れがあり、1億円が返還された。

この場合、相続税の課税はどのようになるのか?

<回答要旨>
社長の遺族が受領した退職金1億円は、その支給について正当な権限を有する株主総会及び取締役会の決議に基づいて支給されたものであることから、受領した退職金を返還したとしても相続税が課税されることにかわりはない。

ただし、返還理由がその退職金の支給決議が無効又は取り消し得べきものであった場合において、その無効が確認されまたは取り消しがなされたことが、権限を有する機関の議事録等から明らかであれば、相続税の課税対象とはならない。

★リンクはこちら ⇒ 死亡退職金を辞退した場合

2020年10月2日


未支給の国民年金に係る相続税の課税関係

<照会要旨>
老齢基礎年金(国民年金)の給付の受給権者が死亡した場合に、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給されていない年金がある場合には、その者の配偶者(内縁の配偶者を含む。)、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の三親等内の親族であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものが、「自己の名」で、その未支給の年金の支給を請求することができることとされている(国民年金法191)。

老齢基礎年金の受給権者の相続開始時に当該死亡した受給権者に係る未支給年金がある場合に、当該死亡した受給権者に係る当該未支給年金を配偶者等が請求することができる権利(以下「未支給年金請求権」という。)は相続税の課税対象となる財産に含まれるか?

<回答要旨>
未支給年金請求権については、当該死亡した受給権者に係る遺族が、当該未支給の年金を自己の固有の権利として請求するものであり、死亡した受給権者に係る相続税の課税対象にはならない。

なお、遺族が支給を受けた当該未支給の年金は、当該遺族の一時所得に該当する。

(理由)
1.国民年金法に基づく未支給年金請求権の相続性については、最高裁判決(平成7年11月7日)において、その相続性を否定している。
すなわち、国民年金法第19条の規定については、同条が未支給年金の支給請求することのできる者の範囲及び順位について民法の規定する相続人の範囲及び順位決定の原則とは異なった定め方をしており、これは民法の相続とは別の被保険者の収入に依拠していた遺族の生活保障を目的とした立場から未支給の年金給付の支給を一定の遺族に対して認めたものと解されているものである。
したがって、未支給年金請求権を本来の相続財産として相続税の課税対象となると解することはできない。

2.また、未支給年金請求権は、国民年金法の規定に基づき一方的に付与されるものであることから契約に基づかない権利(請求権)であるが、相続税法第3条第1項第6号に規定する「これに係る一時金」には、継続受取人が受給を受けるべき「定期金が特別に又は選択的に一時金とされる場合の一時金のみが含まれる」こととされている趣旨からすると、照会の場合の未支給年金については、定期金ではなく最初から一時金のみを支給するものであるため、同号に規定するみなし相続財産にも該当しない。

3.以上のことから、未支給年金請求権については、死亡した受給権者に係る遺族が、当該未支給の年金を自己の固有の権利として請求するものであり、死亡した受給権者に係る相続税の課税対象にはならない。
なお、遺族が支給を受けた当該未支給の年金は、所得税基本通達34-2により、当該遺族の一時所得に該当する。

★リンクはこちら ⇒ 未支給の国民年金に係る相続税の課税関係

2020年9月2日


支払期日未到来の既経過家賃と相続財産

<照会要旨>
アパートの賃貸を業務としている者が本年4月24日に死亡した。

賃貸借契約において、そのアパートの賃貸料の支払期日は、毎月の末日とする旨が明定されており、その契約に従って賃貸料が支払われてきた。未収家賃はない。

この場合、4月分の家賃は、4月30日に相続人が収受したが、その家賃のうち4月1日から24日までの期間に対応する既経過分の家賃については、相続税の課税価格に算入する必要があるか?

<回答要旨>
死亡した日においてその月の家賃の支払期日が到来していない場合は、既経過分の家賃相当額を相続税の課税価格に算入しなくて差し支えない。

★リンクはこちら ⇒ 支払期日未到来の既経過家賃と相続財産

2020年8月31日


相続税の申告書等の様式一覧(令和2年分用)

国税庁は『相続税の申告書等の様式一覧(令和2年分用)』をホームページに掲載した。

こちらに掲載されている申告書等は、令和2年1月1日から令和2年12月31までの間に亡くなられた人に係る相続税の申告に使用するものである。

「一般用」に「○」が付いている申告書は、一般の場合に使用する申告書となる。

なお、一般の場合とは、相続時精算課税適用者又は相続税の納税猶予等の特例の適用を受ける人がいない場合をいう。

詳しくは、『相続税の申告のしかた(令和2年分)』の75ページからの「相続税の申告書の記載例等」をご確認のこと。

★リンクはこちら ⇒ 相続税の申告書等の様式一覧(令和2年分用)

2020年7月13日


相続税の申告のしかた(令和2年分用)

国税庁は『相続税の申告のしかた(令和2年分用)』をホームページに掲載した。

この『相続税の申告のしかた(令和2年分用)』は、令和2年4月1日現在の法令等に基づいて作成しているもので、原則として、令和2年1月1日から令和2年12月31日までの間に亡くなられた人に係る相続税の申告のしかたなどについて説明したものである。

なお、この申告のしかたでは、所得税法等の一部を改正する法律(平成21年法律第13号)による改正前の租税特別措置法を「平成21年改正前の租税特別措置法」と、所得税法等の一部を改正する法律(平成30年法律第7号)による改正前の租税特別措置法を「平成30年改正前の租税特別措置法」と、租税特別措置法施行令等の一部を改正する政令(平成22年政令第58号)による改正前の租税特別措置法施行令を「平成22年改正前の租税特別措置法施行令」と、租税特別措置法施行規則の一部を改正する省令(平成22年財務省令第17号)による改正前の租税特別措置法施行規則を「平成22年改正前の租税特別措置法施行規則」と表記している。

★リンクはこちら ⇒ 相続税の申告のしかた(令和2年分用)

2020年7月8日


評価対象土地はマンション適地と認められることから広大地には該当しないが、当該土地の評価に当たり控除すべき土壌汚染の浄化費用に相当する金額は、土壌汚染対策工事見積金額の80%とするのが相当であると判断した事例

  • 平成27年1月相続開始に係る相続税の更正処分
  • 一部取消し
  • 令和元年11月12日裁決

<ポイント>
本事例は、評価対象土地はマンション適地であると認められることから広大地には該当しないが、当該土地の評価に当たり控除すべき土壌汚染の浄化費用に相当する金額は、土壌汚染対策工事を単独で行うのではなく、当該土地に新築する建物の建築工事を並行して行うという事情の下における土壌汚染対策工事費用の金額とするのは相当ではなく、当該土地を評価するに際し減額すべき金額は、公正に算出された土壌汚染対策工事費用見積金額の80%相当額とすることが相当と認めたものでる。

<要旨>
請求人らは、その地域に存するマンションの棟数は少なく、マンション建築の進行度合いが遅いこと及び同地域におけるマンションの敷地の占有割合も大きくないことからすると、評価対象土地(本件土地)は、明らかにマンションの敷地に適しているとは認めらないから、マンション適地に該当しない旨主張する。

しかしながら、その地域における大規模な土地については、主としてマンションが建築されている上に、相続の開始時の前年にもマンションが建築されていること、本件土地はマンションの建築に係る規制が厳しくない地域に存し、都心への交通接近性、公共施設及び商業施設への接近性に優れていることなどからすると、本件土地はマンション適地であると認められる。

また、原処分庁は、本件土地の評価につき控除すべき土壌汚染の浄化費用に相当する金額は、請求人らが実際に負担した土壌汚染対策工事費用の金額の80%相当額とすべきであり、実額が明らかである以上、請求人らが主張する土壌汚染対策工事費用の見積金額の80%相当額を減額することは相当でない旨主張する。

しかしながら、当該実額は本件土地に新築する建物の建築業者に同建物の建築工事と本件土地の土壌汚染対策工事を並行して行わせることにより、重複工事部分の費用を節減させて行うという事情の下における土壌汚染対策工事費用の金額であるから、本件土地の評価につき、減額する金額として相当でない。

そして、請求人らの主張する土壌汚染対策工事費用の見積金額は公正に算出された適正なものと認められるから、本件土地を評価するに際し減額すべき土壌汚染の浄化費用の金額は当該見積金額の80%相当額とすることが相当であって、原処分の一部を取消すべきである。

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2020年7月2日


租税調査会研究報告第36号「我が国の資産課税の在り方に関する論点整理」の公表について

日本公認会計士協会は、2020年1月16日に開催された常務理事会の承認を受けて「租税調査会研究報告第36号「我が国の資産課税の在り方に関する論点整理」」を公表した。

法人税や所得税が独立の税体系であることに比して、資産税とはそもそも概念的であり独立の税体系ではなく、多層的かつ複雑な領域であると言える。そのため、実務においては、国税と地方税とを交差する多層的な税目間の比較を含む深い理解と経験が必要とされる。

そこで、本研究報告は、将来の税体系の整理に資することを一義的な目的としつつ、実務家の直面する複雑な課題について共有するという観点も含めて論点整理を行い、その結果を報告するものである。

本研究報告が会員の行う業務の参考となれば幸いである。

★リンクはこちら ⇒ 租税調査会研究報告第36号「我が国の資産課税の在り方に関する論点整理」の公表について

2020年6月4日


同族会社が所有する建物の敷地について、当該会社の借地権が存すると判断した事例

  • 平成26年4月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 全部取消し、一部取消し、棄却
  • 令和元年8月19日裁決

<ポイント>
本事例は、同族会社が所有する建物の敷地(本件敷地)について、当該会社が医療法人からの転貸ではなく、直接被相続人らから借りていると認められること、また、将来、当該会社が本件敷地に係る借地権を無償で返還するというような特別な事情も存しないことから、当該会社の借地権が存すると認めたものである。

<要旨>
原処分庁は、被相続人らは、同族会社(本件会社)が所有する登記された建物の敷地(本件敷地)を含む全ての土地(本件土地)を医療法人に賃貸しているから、本件敷地は、医療法人が本件会社に更に賃貸(転貸)したものというべきであり、また、被相続人ら及び医療法人は、土地の無償返還に関する届出書を原処分庁へ提出しているから、本件敷地の評価は、自用地としての価額の80%で評価することとなる旨主張する。

しかしながら、本件会社は、権利金の支払はしていないものの、本件敷地の上に、昭和55年8月に上記の建物を建築した後、直接被相続人らから無償又は有償で本件敷地を借りていたと認められ、また、本件会社が被相続人らに対し、将来、本件敷地に係る借地権を無償で返還するというような特別の事情も存しないことからすれば、本件敷地については、本件会社の借地権が存すると認めるのが相当である。

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2020年5月22日


遺言書情報証明書及び遺言書保管事実証明書の見本について

法務省は、遺言書情報証明書及び遺言書保管事実証明書の見本を公表した。

<遺言書情報証明書>

<遺言書保管事実証明書>

・請求人の資格が「相続人」で,遺言書が保管されている場合

・請求人の資格が「相続人以外」で,遺言書が保管されていない場合

遺言書情報証明書はこちら ⇒ 遺言書情報証明書

★遺言書保管事実証明書(請求人の資格が「相続人」で,遺言書が保管されている場合)はこちら ⇒遺言書保管事実証明書(請求人の資格が「相続人」で,遺言書が保管されている場合)

★遺言書保管事実証明書(請求人の資格が「相続人以外」で,遺言書が保管されていない場合)はこちら ⇒ 遺言書保管事実証明書(請求人の資格が「相続人以外」で,遺言書が保管されていない場合)

2020年5月21日


相続により取得した各土地は借地権の目的となっている宅地には該当しないと判断した事例

  • 平成27年12月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和元年9月17日裁決

<ポイント>
本事例は、相続により取得した各土地について、貸借関係における権利金の有無、支払地代の水準、貸主と借主との関係及びその契約の経緯や趣旨を総合的に考慮すると、使用貸借契約に基づくものと認めるのが相当であるため、当該各土地は借地権の目的となっている宅地には該当しないと判断したものである。

<要旨>
請求人らは、それぞれが相続した被相続人所有の土地(本件各土地)について、被相続人と請求人らとの間で本件各土地上の請求人らのそれぞれの建物の所有を目的とした各土地賃貸借契約(本件各土地契約)を締結していたところ、請求人らは本件各土地契約に基づく地代に係る金員(本件各支払金員)を被相続人に対してそれぞれ支払っており、その年額は本件各土地に係る固定資産税及び都市計画税(固定資産税等)の額をそれぞれ上回っていたのであるから、使用貸借に係る土地についての相続税及び贈与税の取扱いについての1《使用貸借による土地の借受けがあった場合》の定めによって、本件各土地契約は使用貸借に係るものではないなどとして、本件各土地は借地権の目的となっている土地である旨主張する。

しかしながら、①請求人らによる本件各土地の使用は、本件各支払金員の支払が開始する以前においては使用貸借によるものであって、その後においても、請求人らと被相続人との間で権利金の授受はないこと、②本件各支払金員の額は固定資産税等の額と同程度であること、③本件各支払金員の年額は被相続人が第三者に対して賃貸していた本件各土地の近隣の駐車場用地の賃料の年額に比して低廉であること、④被相続人と請求人らは親子関係にあることなどから客観的に判断すると、本件各支払金員は本件各土地の使用収益に対する対価であるとは認められず、請求人らは使用貸借契約に基づき使用収益したものと認めるのが相当であることから、本件各土地は借地権の目的となっている土地であると認めることはできない。

なお、本事例においては、一部の土地について、評価単位を見直したところにより評価したことに伴い、原処分の一部を取り消している。

★リンクはこちら ⇒ 相続により取得した各土地は借地権の目的となっている宅地には該当しないと判断した事例

2020年5月20日


被相続人名義の口座に入金された金員の合計額の一部は、請求人らの亡父から贈与されたものではなく、贈与により取得した財産には当たらないと判断した事例

  • 平成26年分の贈与税の決定処分
  • 一部取消し
  • 令和元年9月24日裁決

<ポイント>
本事例は、被相続人名義の口座に入金された金員の合計額の一部については、その原資は請求人らの亡父の預金口座から同人の意思に基づき出金された金員であると認められ贈与により取得した財産に当たるが、その余の金員の原資は請求人らの亡父に帰属していたとは認められず、贈与により取得した財産には当たらないと判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、被相続人(本件被相続人)名義の口座(本件被相続人口座)に入金された金員の合計額(本件金員)は、請求人らの亡父が本件被相続人に贈与したものであるから、相続税法(平成27年法律第9号による改正前のもの)第2条の2《贈与税の課税財産の範囲》第1項に規定する贈与により取得した財産に当たる旨主張し、請求人らは、請求人らの亡父が本件被相続人に本件金員を贈与する旨の意思表示をしたとする客観的証拠はないことから、本件金員は、同項に規定する贈与により取得した財産に当たらない旨主張する。

しかしながら、本件金員の一部については、その原資が請求人らの亡父の預貯金から同人の意思に基づき出金された金員であり、本件被相続人口座に当該出金された金員と同額が入金された後に本件被相続人口座から本件被相続人の老人ホームの利用料が支払われていることなどから、同項に規定する贈与により取得した財産に当たるが、本件金員から左記の贈与により取得したと認められる金員を差し引いた残部については、その原資が請求人らの亡父に帰属していたと認めることはできないことから、同項に規定する贈与により取得した財産に当たらない。

★リンクはこちら ⇒ 被相続人名義の口座に入金された金員の合計額の一部は、請求人らの亡父から贈与されたものではなく、贈与により取得した財産には当たらないと判断した事例

2020年5月18日


相続税法基本通達の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)(令和2年2月21日 資産評価企画官情報第1号 資産課税課情報第6号 管理運営課情報第1号 国税庁資産評価企画官 資産課税課 管理運営課)

所得税法等の一部を改正する法律(平成31年法律第6号)の施行等に伴い、「相続税法基本通達」(法令解釈通達)については、令和2年2月12日付課評2-5ほか3課共同「相続税法基本通達の一部改正について」(法令解釈通達)により、所要の整備を行ったところであるが、そのあらましについて別添のとおり送付するので、執務の参考とされたい。

【第23条の2(配偶者居住権等の評価)関係】
【第43条(物納財産の収納価額等)関係】

★リンクはこちら ⇒ 相続税法基本通達の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)(令和2年2月21日 資産評価企画官情報第1号 資産課税課情報第6号 管理運営課情報第1号 国税庁資産評価企画官 資産課税課 管理運営課)

2020年4月22日


請求人の主張する各種事情によっても、相続により取得した土地の財産評価基本通達の定めに従った原処分庁の評価額は時価であるとの推認を覆されないから、不動産販売業者が試算した価格によって評価することはできないとした事例

  • 平成27年7月相続開始に係る相続税の①更正処分及び②過少申告加算税の賦課決定処分
  • ①棄却、②一部取消し
  • 令和元年5月29日裁決

<ポイント>
本事例は、評価通達の定めに従って相続財産を評価したものと認められる場合には、当該評価額は事実上の時価と推認され、請求人において当該評価額が当該財産の客観的交換価値を上回るものであることを主張立証するなどして、上記推認を覆すことがない限り、当該評価額を時価と認めるのが相当であると判断したものである。

<要旨>
請求人は、相続により取得した土地(本件土地)について、原処分庁が財産評価基本通達(評価通達)の定めに従って評価した価額(本件通達評価額)は、本件土地の客観的交換価値に影響を及ぼす各事情を看過しており、請求人が売買価格の見積りを依頼した不動産販売業者が試算した価格を上回ることから、時価を上回る違法がある旨主張する。

しかしながら、評価通達の定めに従って相続財産を評価したものと認められる場合には、当該評価額は事実上の時価と推認され、請求人において当該評価額が当該財産の客観的交換価値を上回るものであることを主張立証するなどして、上記推認を覆すことがない限り、当該評価額を時価と認めるのが相当である。

この点、本件通達評価額は、評価通達の定めに従っており、時価と推認されるところ、請求人の主張する各事情は、本件土地の客観的交換価値に影響を及ぼす事情とは認められず、不動産販売業者の試算価格も本件土地の客観的交換価値とは認められないことからすれば、本件通達評価額が時価であることの推認は覆えることはなく、本件通達評価額に時価を上回る違法はないが、原処分庁のした過少申告加算税の賦課決定処分は、過少申告加算税の加重分の計算に誤りがあることから、その一部を取り消すべきである。

★リンクはこちら ⇒ 請求人の主張する各種事情によっても、相続により取得した土地の財産評価基本通達の定めに従った原処分庁の評価額は時価であるとの推認を覆されないから、不動産販売業者が試算した価格によって評価することはできないとした事例

2020年4月13日


請求人が受贈した現金に係る贈与者は、被相続人の配偶者ではなく被相続人であると判断した事例

  • 平成27年7月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和元年6月17日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人甲が受贈した現金に係る贈与者について、当該現金の原資、被相続人の配偶者から請求人甲へ贈与した旨記載された「贈与契約書」は事後的に作成されたものと認められることなどから、被相続人の配偶者ではなく、被相続人であると判断したものである。

<要旨>
請求人らは、請求人甲が受贈した現金(本件現金贈与)に係る贈与者は、被相続人ではなく、被相続人の配偶者(本件配偶者)であり、本件現金贈与に係る贈与契約は、本件配偶者と請求人甲との間で成立していたものである旨主張し、当該主張に沿う証拠として、本件配偶者から請求人甲へ贈与した旨記載された「贈与契約書」と題する書面(本件書面)を当審判所に提出した。

しかしながら、①請求人甲の預金口座に入金された本件現金贈与に係る原資は、被相続人の固有の財産である預金口座から出金された現金であること、②被相続人は、本件現金贈与に係る現金を贈与する旨の明確な意思を有していたこと、③本件書面は、本件現金贈与に際して作成されたものではなく、事後的に作成されたものと認められることなどからすれば、本件現金贈与に係る贈与者は、被相続人であり、本件現金贈与に係る贈与契約は、被相続人と請求人甲との間で成立していたものと認められる。

★リンクはこちら ⇒ 請求人が受贈した現金に係る贈与者は、被相続人の配偶者ではなく被相続人であると判断した事例

2020年4月9日


個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予及び免除に関する質疑応答事例について(情報)

国税庁は、『個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予及び免除に関する質疑応答事例について(情報)』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予及び免除に関する質疑応答事例について(情報)

2020年4月8日


被相続人が生前に解除した建築工事請負契約に基づく約定違約金等は、相続開始日現在、現に存しその履行が確実であったと認めるのが相当であると判断した事例

  • 平成25年8月相続開始に係る相続税の①各更正の請求に対する各通知処分及び更正処分、②各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
  • ①却下、棄却、②一部取消し
  • 平成31年4月19日裁決

<ポイント>
本事例は、被相続人が生前に解除した建築請負契約に基づく約定違約金は相続開始日に現に存し、その履行を免れないものであり、原処分庁が指摘する審査請求人らも支払を拒否して係争中であったことは、請求人が他の事由により請負業者に対して損害賠償を求めたものであって、そのことをもって当該約定違約金の支払義務が消滅等するものではないから、履行が確実な債務であったと認めるのが相当であると判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、被相続人が生前に解除した建築工事請負契約に基づく約定違約金等について、被相続人に支払う意思はなく、相続人である審査請求人も支払を拒否して係争中であったことをもって、確実な債務ではない旨主張する。

しかしながら、相続税の課税価格から控除する債務は、相続開始当時の現況に照らし、債務が現に存するとともに、その履行が確実と認められるものをいうと解されるところ、当該約定違約金等は、相続開始日に現に存し、その履行を免れないものであるから、履行が確実な債務であったと認めるのが相当であり、債務者の履行の意思によってその確実性の判断を異にするものとは解されず、また、原処分庁が指摘する「係争」は、審査請求人が請負者側の説明義務違反等を理由として損害賠償を求めたものであり、そのことをもって当該約定違約金等の支払義務が消滅したり、履行の確実性が失われたりするものではないから、原処分庁の主張はいずれも採用できず、当該約定違約金等は相続税の課税価格から控除する債務に当たる。

★リンクはこちら ⇒ 被相続人が生前に解除した建築工事請負契約に基づく約定違約金等は、相続開始日現在、現に存しその履行が確実であったと認めるのが相当であると判断した事例

2020年4月7日


請求人の父(甲)の預金口座から請求人の預金口座に入金された資金は、請求人が甲の指示に基づき会議等に出席するための交通費等を支弁する目的のものであったと認められ、甲から請求人への贈与があったと認めることはできないと判断した事例

  • 平成23年分の贈与税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分並びに平成24年分の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 令和元年6月27日裁決

<ポイント>
請求人の父(甲)の預金口座から請求人の預金口座への資金移動は、甲又は請求人の母が行っており、請求人は甲の指示に基づき、医療専門団体の会議等へ月1~2回程度出席していた旨申述し、会議に出席するための交通費等の支払が請求人の口座から支払われている等の事実からすれば、甲は甲の指示に基づき、請求人が会議に出席する際に要する交通費等の費用を支弁する目的で甲の預金口座から請求人の預金口座に資金を移動していたとみるのが自然であり、当該資金移動により、請求人が甲から贈与により財産を取得したものとは認められないと判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の父(甲)の預金口座から出金された金銭が請求人の預金口座(本件請求人口座)に入金されたこと(本件資金移動)について、請求人と甲との間で金銭消費貸借契約が締結された事実及び請求人が主張する本来甲が従事すべき医療業務に請求人が代理人として従事した際に立て替えて支払った費用の精算等の事実は認められないから、請求人と甲との間には、民法第549条《贈与》に規定する贈与契約の要件事実について黙示の合意があったと認めるのが相当であり、請求人は、本件資金移動により、甲からの贈与により財産を取得したものといえる旨主張する。

しかしながら、本件資金移動について、請求人と甲との間で金銭消費貸借契約が締結されていた事実は認められないものの、本件資金移動に係る出金及び入金の各手続は、甲又は請求人の母により行われていると認められ、請求人は、原処分庁所属の調査担当職員に対して、甲の指示により月1回から2回程度の頻度で医療専門団体の会議に出席していた旨申述し、本件請求人口座から交通費等の支払がされていることなどを併せ考慮すれば、甲は、当該会議に出席した際の交通費等を支弁する目的で本件資金移動をしていたとみるのが自然であり、請求人に、本件資金移動によって贈与と同様の経済的利益が生じていたと認めることはできないから、請求人は甲からの贈与により財産を取得したと認めることはできない。

★リンクはこちら ⇒ 請求人の父(甲)の預金口座から請求人の預金口座に入金された資金は、請求人が甲の指示に基づき会議等に出席するための交通費等を支弁する目的のものであったと認められ、甲から請求人への贈与があったと認めることはできないと判断した事例

2020年4月3日


被相続人名義の預貯金は請求人の固有財産ではなく、被相続人に帰属する相続財産であると判断した事例

  • 平成27年11月相続開始に係る相続税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成31年4月19日裁決

<ポイント>
本事例は、被相続人名義の預貯金の相続開始時における帰属について、その名義のみならず、当該預貯金の原資の出捐者、管理及び運用状況等を総合考慮して判断したものである。

<要旨>
請求人は、亡母名義の預貯金(本件預貯金)について、請求人が亡母(本件被相続人)に預けた金員を原資として運用し形成されたものであり、請求人の固有財産である旨主張する。

しかしながら、①本件預貯金の名義は、いずれも本件被相続人であること、②本件被相続人が、各口座を開設し、各金融機関への届出住所等の変更手続を行い、各口座で使用された印鑑を管理していたと認められること、③本件被相続人が負担すべき公租公課等が口座振替により支払われていること及び④本件預貯金の金融機関の窓口での入出金手続は本件被相続人によりされているなどからすれば、各口座の管理運用は本件被相続人が行っていたと認められる。

また、⑤本件各預貯金の原資は、大部分が本件被相続人の別の預金、共済の満期金、公的年金等であること、⑥請求人の主張の根拠となる証拠は、請求人の答述しかなく、他にこれを裏付ける証拠は存在しないことを考え併せれば、本件預貯金は請求人の固有財産ではなく、本件被相続人に帰属する相続財産であると認められる。

なお、相続開始時において、本件被相続人が所有していた不動産に係る未納となっていた固定資産税額があり、これは相続税法第13条第1項第1号に規定する相続財産の価額から控除される本件被相続人の債務に該当すると認められたため、原処分の一部を取り消した。

★リンクはこちら ⇒ 被相続人名義の預貯金は請求人の固有財産ではなく、被相続人に帰属する相続財産であると判断した事例

2020年3月30日


日本赤十字社への遺贈・相続財産等の寄付

近年、「自分が亡くなった後、これまで築いた財産の一部を赤十字に寄付したい」といったご相談や、大切な方を亡くされたご遺族から、「故人の遺産を社会のために役立ててほしい」という申し出が多いようである。

日本赤十字社では、このような尊いご意思に応えるために、遺贈(遺言によるご寄付)、相続財産等の寄付を承っている。

遺産・相続財産のご寄付については、下記リンクのパンフレット及び関連ページ(「遺贈(遺言による寄付)」、「相続財産からのご寄付」、「よくあるご質問」等)を参照のこと。

質問・不明点等があれば下記担当まで連絡のこと。
<担当窓口>
日本赤十字社 遺贈・相続寄付ご相談窓口
TEL: 03-3437-7082 FAX: 03-3432-5507

★リンクはこちら ⇒ 日本赤十字社への遺贈・相続財産等の寄付

2020年3月19日


相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)(令和元年11月5日)

所得税法等の一部を改正する法律(平成31年法律第6号)等の施行等に伴い、「相続税法基本通達」(法令解釈通達)及び「租税特別措置法(相続税法の特例関係)の取扱いについて」(法令解釈通達)については、令和元年7月2日付課資2-10ほか2課共同「相続税法基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)により、所要の整備を行ったところであるが、そのあらましについて別添のとおり送付するので、執務の参考とされたい。

なお、単なる条項の異動等その改正の内容が形式的なものについては省略した。

★リンクはこちら ⇒ 相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)(令和元年11月5日)

2020年2月10日


令和元年分贈与税の申告書等の様式一覧

国税庁は、『令和元年分贈与税の申告書等の様式一覧』をホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら ⇒ 令和元年分贈与税の申告書等の様式一覧

2020年1月7日


令和元年分贈与税申告のしかた

国税庁は、『令和元年分贈与税申告のしかた』をホームページに掲載した。

  • この冊子は、一般的な事項を説明している。この「贈与税の申告のしかた」において、「令和元年分」とあるのは、平成31年1月1日から令和元年12月31日までの期間に係る年分をいう。
  • 令和元年分の贈与税の申告書の受付は、令和2年2月3日(月)から同年3月16日(月)までである。
  • 令和元年分の贈与税の納期限は、令和2年3月16日(月)である。

 ★リンクはこちら ⇒ 令和元年分贈与税申告のしかた

2019年12月23日


相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)(資産課税課情報 第17号 令和元年11月5日 国税庁資産課税課)

所得税法等の一部を改正する法律(平成31年法律第6号)等の施行等に伴い、「相続税法基本通達」(法令解釈通達)及び「租税特別措置法(相続税法の特例関係)の取扱いについて」(法令解釈通達)については、令和元年7月2日付課資2-10ほか2課共同「相続税法基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)により、所要の整備を行ったところであるが、そのあらましについて別添のとおり送付するので、執務の参考とされたい。

なお、単なる条項の異動等その改正の内容が形式的なものについては省略した。

 ★別添はこちら ⇒ 別添

2019年11月21日


相続税申告のe-Taxが始まります

国税庁は『相続税申告のe-Taxが始まります』をホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら ⇒ 相続税申告のe-Taxが始まります

2019年11月5日


直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税に関するQ&A(令和元年8月)

国税庁は『直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税に関するQ&A(令和元年8月)』をホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら ⇒ 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税に関するQ&A(令和元年8月)

2019年10月28日


直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税に関するQ&A(令和元年8月)

国税庁は『直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税に関するQ&A(令和元年8月)』をホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら ⇒ 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税に関するQ&A(令和元年8月)

2019年10月18日


相続税申告書の代理送信等に関するQ&A

国税庁は『相続税申告書の代理送信等に関するQ&A』をホームページに掲載した。

相続税の申告書は、2019年10月1日(火)午前0時から、e-Taxによる提出(送信)が可能となっている。

また、2019年分の申告(2019年1月1日以降に相続等により財産を取得した人の申告)からe-Taxの対象となる。

(注)
2018年以前の年分の申告(2018年12月31日以前に相続等により財産を取得した人の申告)をe-Taxにより行うことはできない。

従来どおり書面による申告が必要である。

 ★リンクはこちら ⇒ 相続税申告書の代理送信等に関するQ&A

2019年10月15日


請求人らが相続により取得した土地のうち、集合住宅の敷地の用に供されている土地は開発行為を了し、既に有効利用されていることから、財産評価基本通達24-4《広大地の評価》に定める広大地には該当しないが、被相続人の居宅の敷地の用に供されている土地は、開発行為を想定した場合、公共公益的施設用地の負担が必要と認められるから当該広大地に該当すると判断した事例

  • 平成24年6月相続開始の相続税の各更正の請求に対する各更正処分
  • 一部取消し
  • 平成30年9月20日裁決

<ポイント>
本事例は、集合住宅の敷地の用に供されている土地については、集合住宅の入居率や利用可能期間からすれば、近い将来新たな開発行為を行う必要は認められず、集合住宅の敷地として既に有効利用されているといえるから広大地には該当せず、一方、被相続人の居宅の敷地の用に供されていた土地については、合理的な開発を行うことを想定した場合、公共公益的施設用地の負担が必要であると認められるから広大地に該当すると判断したものである。

<要旨>
請求人らは、相続により取得した集合住宅(本件集合住宅)の敷地の用に供されている土地(本件1土地)及び被相続人の居宅の敷地の用に供されていた土地(本件2土地)の所在する周辺地域における標準的使用は戸建住宅の敷地であるから、本件1土地及び本件2土地は財産評価基本通達24-4(平成29年9月20日付課評2-46ほかによる改正前のもの)《広大地の評価》に定める広大地(広大地)に該当する旨主張する。

しかしながら、本件1土地上に存する本件集合住宅は、入居率100%を実現していたと認められる上、今後相当の期間利用することができるものと認められることからすると、近い将来において新たな開発行為を行う必要があるなどの特段の事情は認められないから、本件1土地は本件集合住宅の敷地として現に有効に利用されているといえ広大地には該当しない。

一方、本件2土地については、原処分庁が主張する開発想定図によれば、本件私道に隣接する各土地に道路を拡幅したとしても、①集合住宅の入居者の駐車場の移設が必要となること、②道路用地に本件土地を取得した相続人以外の相続人の所有権が及ぶこと、③借家人の立ち退きが必要となることなどが考えられ、これらの事情を考慮すると原処分庁の開発想定図は合理性があるものとは認められず、請求人らが主張する開発想定図は、本件土地の所有者以外の者の所有権や賃借権を侵害するような事情はないことなどを考慮すると、合理性があるものと認められ、本件土地を開発する場合、公共公益的施設用地の負担が必要であることから、本件2土地は広大地に該当する。

 ★リンクはこちら ⇒ 請求人らが相続により取得した土地のうち、集合住宅の敷地の用に供されている土地は開発行為を了し、既に有効利用されていることから、財産評価基本通達24-4《広大地の評価》に定める広大地には該当しないが、被相続人の居宅の敷地の用に供されている土地は、開発行為を想定した場合、公共公益的施設用地の負担が必要と認められるから当該広大地に該当すると判断した事例

2019年8月30日


被相続人の生前に解除された借地契約の約定により請求人らが負うこととなった建物を収去して土地を明け渡す債務は、相続開始日に現に存し、その履行が確実であったと認められるから、債務控除の対象となると判断した事例

  • 平成23年5月相続開始に係る相続税の更正処分
  • 一部取消し
  • 平成30年7月9日裁決

<ポイント>
本事例は、被相続人の生前に解除された借地契約の約定により請求人らが負うこととなった建物を収去して土地を明け渡す債務は、相続開始日に現に存し、その履行が確実であったと認められるところ、請求人らが負担した建物収去費用の根拠となった見積書については、その算定根拠が不正確ないし不明なものがあり、経済合理性を欠くものであるが、請求人らが別途依頼していた他の業者が作成した見積書は、経済合理性にかなうものと認められるから、当該他の業者が作成した見積書の金額をもって、債務控除の対象となる金額とするのが相当であるとしたものである。

<要旨>
被相続人の生前に解除された借地契約の約定により請求人らが負うこととなった建物収去及び土地明渡しに係る債務(本件債務)について、原処分庁は、土地明渡しに係る債務については確実な債務であるが、当該土地明渡しに要する金額は零円であり、建物収去に係る債務については建物を収去することなく現状有姿で引き渡すことも選択可能であったから、確実な債務ではなく、いずれも相続税の課税価格の計算上控除すべき債務には当たらないと主張し、請求人らは、本件債務は相続開始時に現に存し、確実と認められる債務であるから、控除すべき債務であると主張する。

しかしながら、本件債務は、相続開始日に現に存し、その履行が確実な債務であったと認められるのであり、原処分庁の主張するところは、確実な債務の履行手段であって、これは相続開始後の事情というほかないから、相続税法第22条《評価の原則》が「控除すべき債務の金額は、その時の現況による」旨規定している趣旨に照らし、採用できない。

なお、請求人らが負担した建物収去費用の根拠となった見積書については、算定根拠が不正確ないし不明なものがあり、経済合理性を欠く内容であるから、当該見積書を算定根拠とした金額を控除すべき債務の金額としては採用できず、他方、請求人らが別途見積りをしていた他の業者による見積書は詳細かつ正確なものであり、経済合理性にかなうものと認められるから、当該見積書の見積金額をもって控除すべき債務の金額とするのが相当であり、原処分については、その一部を取り消すべきである。

 ★リンクはこちら ⇒ 被相続人の生前に解除された借地契約の約定により請求人らが負うこととなった建物を収去して土地を明け渡す債務は、相続開始日に現に存し、その履行が確実であったと認められるから、債務控除の対象となると判断した事例

2019年8月29日


相続人名義預金に入金された資金及び上場株式の購入資金の運用から生じた化体財産は、過去に被相続人から相続人に贈与があったと認められるため、これらの資金に相当する預け金返還請求権は相続財産には当たらないとした事例

  • 平成26年12月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 平成30年8月22日裁決

<ポイント>
本事例は、被相続人から相続人名義の銀行口座に入金された資金及び上場株式の購入資金の合計(本件資金)について、その化体財産が過去に被相続人から相続人に贈与により移転したものとみるのが相当であることからすると、被相続人は、相続開始日において、相続人に対して本件資金相当額の預け金返還請求権を有しているとは認められないため、相続財産に当たらないと判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、相続人(本件相続人)名義の銀行口座(本件預金口座)に入金された資金及び上場株式の購入資金の合計(本件資金)について、本件資金の原資(本件資金となる直前の財産)は、被相続人(本件被相続人)に帰属するものと認められ、本件被相続人と本件相続人との間で、贈与やその他の債権債務関係があったとは認められないことからすると、本件被相続人は、本件相続人に対し、本件資金相当額の預け金返還請求権を有している旨主張する。

しかしながら、①本件資金及び本件資金の原資の管理運用は、本件被相続人が行っていたものであり、そうであれば、本件資金を本件預金口座に入金したり、その後、本件相続人名義の上場株式の購入資金に充てたりしたことは、財産の管理運用の一環として、本件相続人の名義で本件被相続人が実質的に行っていたものと認められること、②平成18年頃に本件資金の運用から生じた化体財産は本件被相続人から本件相続人に贈与されていたことからすれば、そもそも本件資金相当額の預け金返還請求権の存在はおろか発生していたとすらいえない。

したがって、本件被相続人は、相続開始日において、本件相続人に対し、本件資金相当額の預け金返還請求権を有しているとは認められない。

 ★リンクはこちら ⇒ 相続人名義預金に入金された資金及び上場株式の購入資金の運用から生じた化体財産は、過去に被相続人から相続人に贈与があったと認められるため、これらの資金に相当する預け金返還請求権は相続財産には当たらないとした事例

2019年8月28日


相続税の申告書等の様式一覧(令和元年分用)

国税庁は、『令和元年版 法人税申告書・地方法人税申告書の記載の手引』をホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら ⇒ 相続税の申告書等の様式一覧(令和元年分用)

2019年8月21日


相続税の申告のしかた(令和元年分用)

国税庁は、『相続税の申告のしかた(令和元年分用)』をホープページに掲載した。

これは、平成31年4月1日現在の法令等に基づいて作成しているもので、原則として、平成31年1月1日から令和元年12月31日までの間に亡くなられた人に係る相続税の申告のしかたなどについて説明したものである。

なお、この申告のしかたでは、所得税法等の一部を改正する法律(平成21年法律第13号)による改正前の租税特別措置法を「平成21年改正前の租税特別措置法」と、所得税法等の一部を改正する法律(平成30年法律第7号)による改正前の租税特別措置法を「平成30年改正前の租税特別措置法」と、租税特別措置法施行令等の一部を改正する政令(平成22年政令第58号)による改正前の租税特別措置法施行令を「平成22年改正前の租税特別措置法施行令」と、租税特別措置法施行規則の一部を改正する省令(平成22年財務省令第17号)による改正前の租税特別措置法施行規則を「平成22年改正前の租税特別措置法施行規則」と表記している。

 ★リンクはこちら ⇒ 相続税の申告のしかた(令和元年分用)

2019年8月7日


老人ホームに入居中に自宅を相続した場合の小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(租税特別措置法第69条の4)の適用について

1.事前照会の趣旨及び事実関係

(1)被相続人甲は、平成29年4月、X有料老人ホーム(老人福祉法第29条≪届出等≫第1項に規定する有料老人ホームに該当する。)に入居した。

(2)被相続人甲は、平成29年6月、X有料老人ホームに入居する直前において居住の用に供していた家屋(以下「本件家屋」という。)及びその敷地の用に供されていた宅地等(以下「本件宅地等」という。)を、Y有料老人ホームに入居(平成28年7月)していた配偶者乙から相続により取得した。

(3)被相続人甲は、平成30年2月、本件家屋に戻ることなく死亡した。
 なお、本件家屋は、被相続人甲がX有料老人ホームに入居した後は、空家となっていた。

(4)被相続人甲は、死亡する前に介護保険法第19条≪市町村の認定≫第1項に規定する要介護認定を受けている。

(5)このような事実関係を前提として、本件家屋及び本件宅地等を長男丙が相続により取得した場合において、丙は本件宅地等について租税特別措置法第69条の4第1項に規定する被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当するとして、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(措法69の4)(以下「本件特例」という。)の適用を受けることができると解してよいか、照会する。

 なお、丙は、本件特例に係る他の要件を満たしている。

 参考として、相続関係図及び時系列は以下のとおりとなる。

【相続関係図】
相続関係図

【時系列】
時系列

2.照会者の求める見解となることの理由

(1)本件において、被相続人甲はX有料老人ホームへの入居前に、本件宅地等を居住の用に供していたが、X有料老人ホームに入居中に本件家屋及び本件宅地等を相続により取得し、その後本件家屋に戻ることなく死亡した。

 被相続人の居住の用に供されていた宅地等で一定のものについては、本件特例の対象となるところ、相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった宅地等であっても、租税特別措置法施行令第40条の2≪小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例≫第2項に定める事由(要介護認定又は要支援認定等を受けていた被相続人が同項の住居又は施設(以下「有料老人ホーム等」という。)に入居又は入所(以下「入居等」という。)していたこと)により居住の用に供されなくなる直前に被相続人の居住の用に供されていた宅地等(被相続人が有料老人ホーム等に入居等した後に、事業の用又は新たに被相続人等以外の者の居住の用に供されている場合を除く。)については、本件特例の対象となる宅地等に該当するとされている(措法69の4①)。

 被相続人が有料老人ホーム等に入居等する直前において宅地等の所有者であればその宅地等が本件特例の対象となる宅地等に当たることは明らかだが、本件における被相続人甲は、X有料老人ホーム入居の直前においては本件宅地等を居住の用に供していたものの本件宅地等の所有者ではなく、本件宅地等を取得した後はこれを居住の用に供していない場合であっても、本件宅地等が本件特例の対象となると解してよいか疑義が生じるところである。

(2)上記事由により相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった宅地等が、本件特例の対象となる居住の用に供されていた宅地等に該当するか否かについては、被相続人が有料老人ホーム等に入居等して居住の用に供されなくなった直前の利用状況で判定することとされているが、その時において被相続人が宅地等を所有していたか否かについては、法令上特段の規定は設けられていない。

(3)したがって、本件宅地等は、被相続人甲がX有料老人ホームに入居し居住の用に供されなくなった直前において、被相続人甲の居住の用に供されていたものであることから、その時において被相続人甲が本件宅地等を所有していなかったとしても本件特例の対象となる宅地等に該当すると解され、丙は本件特例の適用を受けることができるものと考える。

3.回答

回答年月日 平成30年12月7日

回答者 東京国税局審理課長

回答内容

標題のことについては、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。

ただし、次のことを申し添えます。

(1)ご照会に係る事実関係が異なる場合又は新たな事実が生じた場合は、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあります。

(2)この回答内容は東京国税局としての見解であり、事前照会者の申告内容等を拘束するものではありません。

 ★リンクはこちら ⇒ 老人ホームに入居中に自宅を相続した場合の小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(租税特別措置法第69条の4)の適用について

2019年3月26日


「教育用財産に対する相続税の非課税制度における幼稚園等事業経営者に係る家事充当金限度額の認定基準等について」の一部改正について(法令解釈通達)

平30.12.27 課資2-21

 この法令解釈通達では、平成31年分以後に適用する個人立幼稚園又は個人立幼保連携型認定こども園(以下「幼稚園等」という。)の教育用財産に対する相続税の非課税制度(相続税法第12条第1項第3号、相続税法施行令附則第4項)における幼稚園等の事業経営者の家事充当金限度額の認定基準額及びその者の親族等の適正給与額の判定基準額の改正について定めている。


幼稚園等の事業経営者の家事充当金限度額の認定基準額は、幼稚園等に入園している幼児又は園児の数(以下、「幼児数」という。)により算定することとしている。

幼児数560人以下の幼稚園等
については
「家事充当金限度額の規模別基準額」又は「家事充当金限度額の幼児又は園児一人当たりの基準単価を用いて計算した基準額」のいずれか高い方の金額
幼児数560人超の幼稚園等
については
 「家事充当金限度額の幼児又は園児一人当たりの基準単価を用いて計算した基準額」

「家事充当金限度額の幼児又は園児一人当たりの基準単価を用いて計算した基準額」は、次の算式により計算する。

A+B×(幼児数-240人)

なお、上記算式における符号は次のとおり。

A…別紙1「家事充当金限度額の規模別基準額」に掲げる幼児数規模別区分の「280人以下」の欄の地域区分に応ずる金額

B…別紙2「家事充当金限度額の幼児又は園児一人当たりの基準単価」に掲げる地域区分に応ずる金額


課資2-21
平成30年12月27日

各国税局長 殿
沖縄国税事務所長 殿

国税庁長官

「教育用財産に対する相続税の非課税制度における幼稚園等事業経営者に係る家事充当金限度額の認定基準等について」の一部改正について(法令解釈通達)

昭和51年6月7日付直資2-219「教育用財産に対する相続税の非課税制度における幼稚園等事業経営者に係る家事充当金限度額の認定基準等について」(法令解釈通達)について、その一部を下記のとおり改正したから、平成31年分以後の家事充当金限度額の認定等について適用されたい。

(趣旨)
一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律(平成30年法律第82号) による国家公務員の給与の改正等に伴い、家事充当金限度額の認定基準等について所要の改定を行ったものである。

1.別紙1「家事充当金限度額の規模別基準額」を次のように改める。

別紙1

家事充当金限度額の規模別基準額
幼児数規模別区分
地域区分
280人以下 280人超
400人以下
400人超
560人以下
地域手当支給地域 地域手当20%
支給地域
千円 千円 千円
8,960 10,730 13,420
地域手当16%
支給地域
8,660 10,370 12,970
地域手当15%
支給地域
8,590 10,280 12,860
地域手当12%
支給地域
8,360 10,010 12,520
地域手当10%
支給地域
8,210 9,830 12,300
地域手当6%
支給地域
7,920 9,480 11,850
地域手当3%
支給地域
7,690 9,210 11,520
その他地域
(地域手当の支給なし)
7,470 8,940 11,180
(注) 1 「幼児数規模別区分」の各欄は、その幼稚園等に入園している幼児数に応ずる欄を使用する。
2 「地域区分」の欄における「地域手当支給地域」の各欄は、その幼稚園等の所在する人事院規則9-49 ((地域手当))第3条により定められた別表第一(第二条、第三条関係)の支給地域及び人事院規則9-49附則第2条各号に定められた級地の区分に応じた割合を使用し、「その他地域(地域手当の支給なし)」の欄は、地域手当支給地域に該当しない地域について使用する(別紙2及び別紙3において同じ。)。

2.別紙2「家事充当金限度額の幼児又は園児一人当たりの基準単価」を次のように改める。

別紙2

家事充当金限度額の幼児又は園児一人当たりの基準単価
地域区分 幼児又は園児一人当たりの基準単価
地域手当支給地域 地域手当20%
支給地域
18,810
地域手当16%
支給地域
18,180
地域手当15%
支給地域
18,030
地域手当12%
支給地域
17,560
地域手当10%
支給地域
17,240
地域手当6%
支給地域
16,620
地域手当3%
支給地域
16,150
その他地域
(地域手当の支給なし)
15,680

3.別紙3「事業経営者の親族等の適正給与額の判定基準額(教諭)」を次のように改める。

別紙3

事業経営者の親族等の適正給与額の判定基準額(教諭)
在職期間区分
地域区分
4年未満 4年以上
6年未満
6年以上
8年未満
8年以上
10年未満
地域手当支給地域

地域手当20%
支給地域

千円 千円 千円 千円
4,520 4,830 5,220 5,450
地域手当16%
支給地域
4,370 4,670 5,050 5,270
地域手当15%
支給地域
4,330 4,630 5,000 5,220
地域手当12%
支給地域
4,220 4,500 4,870 5,090
地域手当10%
支給地域
4,140 4,420 4,790 5,000
地域手当6%
支給地域
3,990 4,260 4,610 4,810
地域手当3%
支給地域
3,880 4,140 4,480 4,680
その他地域
(地域手当の支給なし)
3,770 4,020 4,350 4,540

(注)「在職期間区分」の各欄は、事業経営者の親族等である教諭がその幼稚園等に在職している期間に応ずる欄を使用する。

 ★リンクはこちら ⇒ 「教育用財産に対する相続税の非課税制度における幼稚園等事業経営者に係る家事充当金限度額の認定基準等について」の一部改正について(法令解釈通達)

2019年3月22日


贈与税の申告をする場合は、インターネットで申告ができます!(リーフ)

国税庁は、『贈与税の申告をする場合は、インターネットで申告ができます!』(リーフ)を作成した。

  • STEP1 「確定申告書等作成コーナー」ヘアクセス
  • STEP2 申告書を作成
  • STEP3 申告書を提出

 ★リンクはこちら ⇒ 贈与税の申告をする場合は、インターネットで申告ができます!(リーフ)

2019年1月10日


平成30年度税制改正により農地等の納税猶予制度が変わりました!!(リーフレット)

平成30年度税制改正により、農地等についての贈与税・相続税の納税猶予制度が改正された。
このリーフレットでは、主な改正の概要を掲載している。

<改正項目>
1 都市農地の貸付けの特例の創設【相続税】
生産緑地地区内の農地について、①認定都市農地貸付け(農業者向けの貸付け)または②農園用地貸付け(市民農園向けの貸付け)を行った場合にも納税猶予を継続

2 適用対象地域等の見直し【相続税・贈与税】
三大都市圏の特定市に所在する①特定生産緑地である農地等及び②田園住居地域内にある農地を納税猶予の適用対象に追加等

3 納税猶予期限及び免除事由の見直し【相続税】
三大都市圏の特定市以外の生産緑地地区内の農地等について、20年免除から終身営農に

4 農地法の改正に伴う農地の定義の見直し【相続税・贈与税】
水耕栽培を行う農業用ハウスにするなど、農地の全面をコンクリートで覆った場合についても引き続き「農地」とする見直し

 ★リンクはこちら ⇒ 平成30年度税制改正により農地等の納税猶予制度が変わりました!!

2019年1月7日


相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)(2018年10月5日)

所得税法等の一部を改正する法律(平成30年法律第7号)等の施行等に伴い、「相続税法基本通達」(法令解釈通達)、「贈与税の非課税財産(公益を目的とする事業の用に供する財産に関する部分)及び持分の定めのない法人に対して財産の贈与等があった場合の取扱いについて」(法令解釈通達)及び「租税特別措置法(相続税法の特例関係)の取扱いについて」(法令解釈通達)については、平成30年7月3日付課資2-9ほか2課共同「相続税法基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)により、所要の整備を行ったところであるが、そのあらましについてリンクのとおり送付するので、執務の参考とされたい。

なお、単なる条項の異動等その改正の内容が形式的なものについては省略している。

 ★リンクはこちら ⇒ 相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)(2018年10月5日)

2018年11月27日


相続税の申告書等の様式一覧(平成30年分用)

国税庁は、『相続税の申告書等の様式一覧(平成30年分用)』をホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら ⇒ 相続税の申告書等の様式一覧(平成30年分用)

2018年7月26日


相続税の申告のしかた(平成30年分用)

国税庁は、『相続税の申告のしかた(平成30年分用)』をホームページに掲載した。

目次は以下のとおり。
➊ 相続税のあらまし
1 相続税とはどのような税金でしょうか
2 相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与とはどのようなことでしょうか
➋ 相続税の申告
1 どのような人が相続税の申告をする必要があるのでしょうか
2 相続税の申告書は、いつまでに、どこに提出するのでしょうか
Q&A 私は相続税の申告書の提出が必要ですか?
3 相続税は、どのような財産にかかるのでしょうか
Q&A 家族名義の財産は?
Q&A 相続税の課税対象となる生命保険金(退職手当金等)の金額は?
4 相続税は、どのように計算するのでしょうか
(1) 相続税額の計算方法について
Q&A 相続税額の計算方法は?
(2) 税額控除のあらまし
Q&A 配偶者は相続税が軽減される?
(3) 相続財産の評価のあらまし
Q&A 不動産の評価方法は?
Q&A 居住用宅地や事業用宅地について、どのような特例があるのですか?
(4) 小規模宅地等の特例
(5) 特定計画山林の特例
(6) 特定受贈同族会社株式等に係る特定事業用資産の特例
(7) 小規模宅地等の特例及び特定計画山林の特例の併用等
(8) 農地等についての相続税の納税猶予及び免除等
(9) 非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例等
(10) 山林についての相続税の納税猶予及び免除
(11) 医療法人の持分についての相続税の納税猶予及び免除・税額控除
5 相続税の申告期限前に災害により相続財産に被害を受けた場合には相続税が軽減されるのでしょうか
6 提出した申告書を訂正する必要がある場合は、どうすればよいのでしょうか
(参考) 社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)の導入に伴うマイナンバー(個人番号)の記載について
➌ 相続税の納付
1 相続税はどのように納めるのでしょうか(金銭納付)
Q&A 相続税の納付は?
Q&A 相続税の還付金の受取方法は?
2 連帯納付義務とは、どのような義務でしょうか
3 金銭納付が困難な場合は、どうすればよいのでしょうか(延納及び物納)
➍ 相続税の申告書の記載例
1 申告書の記載の順序について
2 具体的な記載例について
Q&A 具体的な相続税額は?
(参考) 相続税の申告の際に提出していただく主な書類

 ★リンクはこちら ⇒ 相続税の申告のしかた(平成30年分用)

2018年7月12日


相続税の申告書の添付書類の範囲が広がりました(平成30年4月1日以後に提出する申告書から適用)

これまで、相続税の申告書には①の書類を添付しなければならないこととされていたが、平成30年4月1日以後は、①の書類に代えて、②または③のいずれかの書類を添付することができるようになった(引き続き、①の書類も添付できる。)。

「戸籍の謄本」で被相続人の全ての相続人を明らかにするもの
図形式の「法定相続情報一覧図の写し」(子の続柄が、実子または養子のいずれであるかが分かるように記載されたものに限る。)(注)
①または②をコピー機で複写したもの


(注)
被相続人に養子がいる場合には、その養子の戸籍の謄本または抄本(コピー機で複写したものも含む。)の添付も必要である。

 ★リンクはこちら ⇒ 相続税の申告書の添付書類の範囲が広がりました(平成30年4月1日以後に提出する申告書から適用)

2018年4月19日


本件各土地は利用価値が著しく低下していると認められることから、財産評価額から10%を減額して評価すべきであり、本件意見価額は客観的な根拠が何ら示されておらず、請求人の主張には理由がないとした事例

  • 平成26年7月相続開始に係る相続税の更正の請求に対する通知処分 →一部取消し
  • 平29年4月7日裁決

<ポイント>
本事例は、本件各土地の現況を的確に確認した上で、本件各土地は一体として利用されているとは認められず、畑と宅地ごとにそれぞれ一の評価単位として評価すべきであること、また、本件各土地は利用価値が著しく低下しているから、本件各土地の財産評価額から10%を減額して評価することが相当であるとしたものである。

<要旨>
請求人が、相続で取得した畑及び各宅地(本件各土地)の評価は不動産業者の作成した意見書による価額(本件意見価額)によるべきであるとして更正の請求をしたことに対し、原処分庁が、更正をすべき理由がない旨の通知処分をしたところ、請求人は、本件各土地の評価に当たって、本件各土地が無道路地であり、がけ地を含む上、公道から本件各土地まで重機が届かないという制約のために本件各土地の上の建物を取り壊すことができないなどの事情を考慮すべきであるから、本件意見価額を踏まえると、財産評価基本通達の定めにより算定した価額(財産評価額)からの減額割合を60%とすべきである旨主張する。

しかしながら、本件意見価額は、本件各土地の周辺の取引相場の裏付けを欠く上、具体的な数値や客観的な根拠が何も示されておらず、適正な時価を示しているとはいえないため、請求人の主張には理由がない。

なお、本件各土地は、本件各土地の周辺の一連の土地との高低差を比較検討すると著しい高低差があり、その利用価値が付近にある他の土地の利用状況からみて著しく低下していると認められることから、国税庁ホームページのタックスアンサー「No.4617 利用価値が著しく低下している宅地の評価」の取扱いにより、本件各土地の財産評価額から10%を減額して評価するのが相当である。

また、本件各土地は一体の土地として利用されているとは認められないことから、畑と宅地ごとにそれぞれ一の評価単位として評価すべきである。

 ★リンクはこちら ⇒ 本件各土地は利用価値が著しく低下していると認められることから、財産評価額から10%を減額して評価すべきであり、本件意見価額は客観的な根拠が何ら示されておらず、請求人の主張には理由がないとした事例

2018年3月26日


相続財産のうち一部の不動産については、財産評価基本通達によらないことが相当と認められる特別の事情があると認められることから、ほかの合理的な時価の評価方法である不動産鑑定評価に基づいて評価することが相当であるとした事例

  • 平成24年6月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分 →棄却
  • 平成29年5月23日裁決

<ポイント>
本事例は、被相続人による各不動産の取得から借入れまでの一連の行為は、他の納税者との間での租税負担の公平を著しく害し、富の再分配機能を通じて経済的平等を実現するという相続税の目的に反するものであるから、各不動産について、財産評価基本通達に定める評価方法を画一的に適用するという形式的な平等を貫くことによって、かえって実質的な租税負担の公平を著しく害することが明らかであり、財産評価基本通達によらないことが相当と認められる特別の事情があると認められると判断したものである。

<要旨>
請求人らは、相続財産のうち一部の不動産(本件各不動産)については、財産評価基本通達(評価通達)に定める評価方法によらないことが相当と認められる特別の事情がないから、評価通達6《この通達の定めにより難い場合の評価》を適用することはできず、評価通達に定める評価方法により評価すべきである旨主張する。

しかしながら、被相続人による本件各不動産の取得から借入れまでの一連の行為は、被相続人が、多額の借入金により不動産を取得することで相続税の負担を免れることを認識した上で、当該負担の軽減を主たる目的として本件各不動産を取得したものと推認されるところ、結果としても、本件各不動産の取得に係る借入金が、本件各不動産に係る評価通達に定める評価方法による評価額を著しく上回ることから、本件不動産以外の相続財産の価額からも控除されることとなり、請求人らが本来負担すべき相続税を免れるものである。
このような事態は、相続税負担の軽減策を採らなかったほかの納税者はもちろん、被相続人が多額の財産を保有していないために同様の軽減策によって相続税負担の軽減という効果を享受する余地のないほかの納税者との間での租税負担の公平を著しく害し、富の再分配機能を通じて経済的平等を実現するという相続税の目的に反するものであるから、本件各不動産について、評価通達に定める評価方法を画一的に適用するという形式的な平等を貫くことによって、かえって実質的な租税負担の公平を著しく害することが明らかであり、評価通達によらないことが相当と認められる特別の事情があると認められることから、ほかの合理的な時価の評価方法である不動産鑑定評価に基づいて評価することが相当である。

 ★リンクはこちら ⇒ 相続財産のうち一部の不動産については、財産評価基本通達によらないことが相当と認められる特別の事情があると認められることから、ほかの合理的な時価の評価方法である不動産鑑定評価に基づいて評価することが相当であるとした事例

2018年3月23日


土地上に建物を有していた被相続人が当該土地の所有者に対し地代として支払っていた金員は、当該土地の使用収益に対する対価であると認められないから、被相続人が当該土地上に借地権を有していたとは認めることはできないとした事例

  • 平成24年10月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 平成29年1月17日裁決

<ポイント>
本事例は、土地上に建物を有していた被相続人が当該土地の所有者に対し地代として支払っていた金員が、当該土地の固定資産税等年税額を超えていたものの、その他の事実関係からすると、かかる事情のみでは、当該金員が本件土地の使用収益に対する対価であるとは認めるに足りないというべきであるとして、被相続人が当該土地上に借地権を有していたとは認めることはできないと判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、①本件土地上に建物を有していた被相続人が、本件土地の所有者である請求人に対し地代として金員(本件金員)を支払っていたこと、②請求人は本件金員を不動産所得に係る地代収入として所得税の確定申告をしたこと、③本件土地に係る各年度の固定資産税相当額及び都市計画税相当額の合計額(固定資産税等年税額)は変動するにもかかわらず本件金員の額が一定であり、請求人と被相続人との間において本件土地に係る通常の必要費を負担することを約していたとは認められないこと、④本件金員の年額は、本件土地に係る相続開始年度の固定資産税等年税額に本件建物に係る被相続人の持分を乗じた金額を優に上回るから、使用貸借通達からも使用貸借とみる余地はないことなどを理由に、被相続人は本件土地上に借地権を有していた旨主張する。

しかしながら、①被相続人による本件土地の使用収益は、本件金員の支払が開始する以前(本件土地を請求人が被相続人の父から相続により取得したとき以前)においては使用貸借契約に基づくものであったと認められること、②本件金員の支払開始に当たり、請求人と被相続人との間で契約書が作成されたなどの事情は見当たらないこと、③本件金員の支払開始の経緯や本件金員の算定根拠も明らかではないこと、さらに、④被相続人と請求人は親子であり、本件金員の支払が開始された当時、請求人が未成年者であったことを併せ考慮すると、本件金員が本件土地の使用収益に対する対価であると認めるに足りないというべきであるから、被相続人による本件土地の使用収益は使用貸借契約に基づくものであったと認めるのが相当であり、被相続人が本件土地上に借地権を有していたとは認めることはできない。

 ★リンクはこちら ⇒ 土地上に建物を有していた被相続人が当該土地の所有者に対し地代として支払っていた金員は、当該土地の使用収益に対する対価であると認められないから、被相続人が当該土地上に借地権を有していたとは認めることはできないとした事例

2018年1月12日


平成29年分贈与税の申告書等の様式一覧

国税庁は、『平成29年分贈与税の申告書等の様式一覧』をホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら ⇒ 平成29年分贈与税の申告書等の様式一覧

2017年12月21日


平成29年分贈与税の申告のしかた

国税庁は、『平成29年分贈与税の申告のしかた』をホームページに掲載した。

  • 平成29年分の贈与税の申告書の受付は、平成30年2月1日(木)から3月15日(木)までである。
  • 平成29年分の贈与税の納期限は、平成30年3月15日(木)である。

 ★リンクはこちら ⇒ 平成29年分贈与税の申告のしかた

2017年12月14日


使用貸借により貸し付けている土地の評価単位について判断した事例 Edit

  • 平成23年6月相続開始に係る相続税の各更正の請求に対する各更正処分
  • 一部取消し、棄却
  • 平成28年12月20日裁決

<ポイント>
本事例は、所有する土地(雑種地)の一部を自ら使用し、他の部分を使用貸借により宅地又は雑種地として貸し付けている場合に、地目が相違しても、その全体を一団の雑種地として評価するのが相当であると判断したものである。

<要旨>
請求人らは、テニスクラブ(本件テニスクラブ)の敷地の一部として利用している各土地の価額は、本相続財産以外の土地を含む本件テニスクラブの敷地として利用されていた土地全体を一つの「評価単位」として財産評価基本通達24-4《広大地の評価》(本件通達)に定める広大地補正率を適用すべきである旨、及びf市との締結に基づく各協定書において、開発行為を行おうとした場合に制約を受けたことを理由にその協定に関する区域を一つの評価単位として、居宅として利用されていた土地(本件B区画)及び駐車場として利用されていた土地(本件C区画)を評価する際に、本件通達に定める広大地補正率を適用して評価すべきである旨主張する。

しかしながら、土地の評価単位は、原則として、遺産分割後の取得者ごとに区分した後、利用の単位となっている土地ごとに判定した評価単位を基に評価すべきであり、本件の場合、取得者別、利用の単位別に区分した4区画の土地をもって、それぞれを一つの評価単位として評価すべきである。
また、本件B区画及び本件C区画について、協定を締結したとの事実関係を前提としても、本件通達の定めに照らし、何ら影響を及ぼすものではない。

したがって、請求人らの各主張は認めることはできない。

なお、本件に係る各相続財産の土地の評価単位の認定につき、当該土地の使用貸借に係る利用状況などに照らせば、使用貸借に基づく権利は、貸主、借主間の人的なつながりのみを基盤とするもので借主の権利が極めて弱いことから、自己の所有する雑種地の一部を自ら使用し、他の部分を使用貸借により宅地又は雑種地として貸し付けている場合には、たとえ地目が相違しても、その全体を一団の雑種地として評価するのが相当であり、また、同様に、自己の所有する宅地又は雑種地に隣接する宅地又は雑種地を使用貸借により借り受け、自己の所有する宅地又は雑種地と一体として利用している場合であっても、所有する宅地又は雑種地のみを1画地の宅地又は一団の雑種地として評価するのが相当である。

★リンクはこちら⇒ 使用貸借により貸し付けている土地の評価単位について判断した事例

2017年11月28日

青地(旧水路)により分断されている2つの土地についてその利用状況等から1つの評価単位とすると判断した事例 Edit

  • 平成24年11月相続開始に係る相続税の再更正処分及び更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成28年12月7日裁決

<ポイント>
本事例は、青地(旧水路)により分断されている2つの土地についてその利用状況等(物理的及び法的)から1つの評価単位として取り扱うのが相当であると判断した上で、各土地を評価するに当たっては、まず青地部分の土地を含む各土地全体の評価額を算出し、その後、当該評価額から青地部分の土地の価額を控除して評価するのが相当であると判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、本件1土地(生産緑地)と本件2土地(生産緑地)は、市が所有する青地(旧水路)により分断されており、各土地は別個の評価単位として取り扱うべきである旨主張する。

しかしながら、相続開始日において、①本件1土地と本件2土地との間には青地が介在していたものの、当該青地は全て埋め立てられており、水路としての機能を失っていたこと、②本件1土地及び本件2土地は、青地部分の土地を含めて一体の畑として耕作されていたこと、③市は、本件1土地、本件2土地及び青地部分の土地を一体の生産緑地地区に定める都市計画を決定していたことなどの各事実が認められる。

したがって、本件1土地及び本件2土地の各土地は、物理的にも法的にも分断されておらず、また、その利用も一体であったと認められるため、一団の生産緑地、すなわち1つの評価単位として取り扱うのが相当である。
そして、本件1土地及び本件2土地の各土地を評価するに当たっては、まず青地部分の土地を含む各土地全体の評価額を算出し、その後、当該評価額から青地部分の土地の価額を控除して評価するのが相当であり、その場合、①当該青地部分の土地の売買が成立し得るのは請求人らと市の間に限定されること、②市が当該青地部分の土地を請求人らに売却した場合の売買代金である払下げ費用相当額は、国有財産評価基準によりその算定方法が画一的に決められていることからすると、青地部分の土地の価額については、相続開始日において当該青地が請求人らに払い下げられたとした場合の払下げ費用相当額とするのが相当である。

★リンクはこちら⇒ 青地(旧水路)により分断されている2つの土地についてその利用状況等から1つの評価単位とすると判断した事例

2017年11月24日

家族名義預金の一部は相続財産に当たらないと判断した事例 Edit

平成24年2月相続開始に係る相続税の

  • ①各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分 棄却・一部取消し
  • ②決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分 一部取消し
  • 平成28年11月8日裁決

<ポイント>
本事例は、相続財産と認定された家族名義預金の一部については、その原資、管理及び運用の実態から相続財産に当たらないと判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、被相続人の子(P1)の配偶者(P5)名義の各貯金(P5名義各貯金)及びP1とP5の子(P10)名義の各定期預金(P10名義定期預金1及びP10名義定期預金2)について、P5及びP10に当該各預貯金を形成する資力があったとは認められず、また、当該各預貯金の管理及び運用は、被相続人及び被相続人の配偶者が共同して行っていたと認められ、そのほかに贈与があったと認められる事実もないことから、当該各預貯金は被相続人に帰属する相続財産である旨主張する。

しかしながら、P5名義各貯金及びP10名義定期預金1の原資は、いずれもP5名義の普通預金口座(P5名義口座)から引き出された金員、又はP5名義口座から引き出された金員を原資とする貯金の払戻金であると認められるところ、①P5名義口座においては、公共料金等の支払のほか小口の入出金が大半を占めていること、②当該口座はP1とP5が婚姻後早々に設定されたものであり、その印鑑票の筆跡はP5のものであること、③P1が生活費等の名目で受け取った金員はP5が管理していたこと及び④当該口座の通帳はP5が管理していたことなどの事実に照らせば、P5名義口座の預金はP5又はP1に帰属する財産であると認められ、P5名義口座から引き出された金員を原資とするP5名義各貯金及びP10名義定期預金1の出捐者が被相続人であるとは認められない。
また、P10名義定期預金2については、P1を受取人とする保険の満期保険金を原資とするものであり、当該満期保険金をP1以外の者が受け取ったと認めるに足る事情や証拠資料もない以上、当該定期預金の出捐者はP1であると認められる。

そうすると、P5名義各貯金、P10名義定期預金1及びP10名義定期預金2の出捐者が被相続人であるとは認められず、他に当該各預貯金について、被相続人に帰属する財産であることを裏付ける事情や証拠資料も存しないから、P5名義各貯金、P10名義定期預金1及びP10名義定期預金2は本件相続に係る相続財産と認めることはできない。

★リンクはこちら⇒ 家族名義預金の一部は相続財産に当たらないと判断した事例

2017年11月20日

相続税の申告のしかた(平成29年分用) Edit

国税庁は、『相続税の申告のしかた(平成29年分用)』を、ホームページに掲載した。

相続税は、個人が被相続人(亡くなられた人のことをいう。)の財産を相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって取得した場合に、その取得した財産の価額を基に課される税金である。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告のしかた(平成29年分用)

2017年9月22日

相続税の申告書等の様式一覧(平成29年分用)

国税庁は、相続税の申告書等の様式一覧(平成29年分用)を、ホームページに掲載した。

(注)
「一般用」に「○」が付いている申告書は、一般の場合に使用する申告書となる。
なお、一般の場合とは、相続時精算課税適用者又は相続税の納税猶予等の特例の適用を受ける人がいない場合をいう。
詳しくは、「相続税の申告のしかた(平成29年分)」の53ページからの「相続税の申告書の記載例 等」をご確認のこと。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告書等の様式一覧(平成29年分用)

2017年7月18日

法定相続情報証明制度

法務省は、所有者不明土地問題、空き家問題等の改善を図るため、相続登記促進策として「法定相続情報証明制度」を新設し、平成29年5月29日より運用を開始する。

現在,相続手続では,お亡くなりになられた方の戸除籍謄本等の束を,相続手続を取り扱う各種窓口に何度も出し直す必要がある。

法定相続情報証明制度は,登記所(法務局)に戸除籍謄本等の束を提出し,併せて相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)を出せば,登記官がその一覧図に認証文を付した写しが無料で交付される。
その後の相続手続は,法定相続情報一覧図の写しを利用いただくことで,戸除籍謄本等の束を何度も出し直す必要がなくなる。

★リンクはこちら⇒ 「法定相続情報証明制度」が始まります!

2017年5月26日

非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予及び免除の特例のあらまし(平成29年5月)

国税庁は、「非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予及び免除の特例のあらまし(平成29年5月)」をホームページに掲載した。

<非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例>
後継者である相続人等が、相続等により、円滑化法の認定を受ける非上場会社の株式等を被相続人(先代経営者)から取得し、その会社を経営していく場合には、その後継者が納付すべき相続税のうち、その株式等(一定の部分に限る。)に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税が猶予され、後継者の死亡等により、納税が猶予されている相続税の納付が免除される。

<非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例>
後継者である受贈者が、贈与により、円滑化法の認定を受ける非上場会社の株式等を贈与者(先代経営者)から全部又は一定以上取得し、その会社を経営していく場合には、その後継者が納付すべき贈与税のうち、その株式等(一定の部分に限る。)に対応する贈与税の全額の納税が猶予され、先代経営者の死亡等により、納税が猶予されている贈与税の納付が免除される。

★リンクはこちら⇒ 非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予及び免除の特例のあらまし(平成29年5月)

2017年5月22日

本件土地の想定整形地の間口距離、奥行距離は、建築計画概要書の写しにある配置図によれば、原処分庁が主張するものとは異なるとした事例

平成24年4月相続開始に係る相続税の

  • 各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分 一部取消し
  • 各更正処分 棄却

平成28年5月6日裁決

<要旨>
原処分庁は、請求人らが相続により取得した東側と西側でそれぞれ道路に接する不整形な土地(本件土地)について、財産評価基本通達20《不整形地の評価》にいう「想定整形地」の間口距離は50.35m、奥行距離は35.0mであるから、本件土地の評価につき適用すべき同通達に定める不整形地補正率は0.98となる旨主張する。

しかしながら、建築計画概要書の写しにある配置図によれば、本件土地に係る想定整形地の間口距離は50.50m、奥行距離は35.28mであるから、本件土地の評価につき適用すべき同通達に定める不整形地補正率は0.97となる。

★リンクはこちら⇒ 本件土地の想定整形地の間口距離、奥行距離は、建築計画概要書の写しにある配置図によれば、原処分庁が主張するものとは異なるとした事例

2017年2月24日

被相続人は、生前、不動産を売却していないから、当該売却に係る代金債権は発生していないと判断した事例

  • 平成23年3月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 平成28年6月28日裁決

<ポイント>
本事例は、不動産に係る親子間の売買契約書は存在するが、当該売買契約書は、実体を伴わない架空の内容を記載した契約書であると認めるのが相当であり、当該売買に係る代金債権は発生していないと判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、被相続人は、生前、子に対して、不動産(本件不動産)を売却しているところ、相続開始時点において、本件不動産の売買に関する契約書(本件売買契約書)記載の代金が支払われていなかったことから、被相続人は、上記代金に相当する債権(本件代金債権)を有していた旨主張する。

しかしながら、本件売買契約書は存在するものの、本件売買契約書の作成に、買主とされる子が関与していないこと、本件売買契約書において、所有権移転登記手続は、売買代金全額の支払と引替えに行うとされているが、現在に至るまで売買代金は全く支払われておらず、そうであるのに、所有権移転登記が完了しているのは不自然であること、子が請求人との間で作成した金銭消費貸借契約書記載の金員を受け取っておらず、当該金員の返済もしていないこと、請求人及び子の間では、本件不動産の子の所有名義は便宜上のものであり、真実は請求人が所有者であることを確認する旨の合意書が作成されていること、子が本件不動産の所有者としてこれを管理、支配している形跡がうかがわれないことの事情に照らせば、本件売買契約書は、実体を伴わない架空の内容を記載した契約書であるものと認めるのが相当であり、したがって、本件代金債権は発生していないというべきである。

★リンクはこちら⇒ 被相続人は、生前、不動産を売却していないから、当該売却に係る代金債権は発生していないと判断した事例

2017年2月23日

請求人らが相続により取得した土地の一部は、財産評価基本通達24-4に定める広大地に当たるとして処分の一部を取り消した事例

平成23年4月相続開始に係る相続税の各更正処分(各更正の請求に対してされた各再更正処分をあわせ審理)及び過少申告加算税の各賦課決定処分(各変更決定処分後のもの)
一部取消し
平成28年2月29日裁決

<要旨>
4区画の各土地(本件各土地)の財産評価基本通達24-4《広大地の評価》(本件通達)の適用につき、原処分庁は、本件各土地のうち3区画の各土地(本件1ないし3土地)の本件通達に定める「その地域」(本件地域)は、財産評価基本通達14-2《地区》(6)の中小工業地区として定められた地域(原処分庁主張地域)であり、本件1ないし3土地は、いずれも原処分庁主張地域の標準的な宅地の地積と同程度であるから、本件通達の適用はない旨主張し、請求人らは本件各土地の本件地域は、道路等の施設の状況等を勘案した住居表示を基本単位とする地域(請求人ら主張地域)であり、本件各土地は、いずれも、請求人ら主張地域の標準的な宅地の地積に比して広大な土地で、かつ、開発に当たっては公共公益的施設用地の負担が必要な土地であるから、本件通達の適用はある旨主張する。

しかしながら、本件各土地の本件地域は、本件1ないし3土地と同土地の以外の土地(本件4土地)で相違し、本件1ないし3土地の本件地域は、原処分庁主張地域を含んだより広範な地域(審判所認定地域①)であり、また、本件4土地の本件地域は、請求人ら主張地域のうち河川により分断された地域(審判所認定地域②)であると認められる。
そして、本件1ないし3土地は、いずれも、審判所認定地域①の標準的な宅地の地積に比して広大な土地で、かつ、開発に当たっては公共公益的施設用地の負担が必要な土地であるから、本件通達の適用はある一方で、本件4土地は、審判所認定地域②の標準的な宅地の地積と同程度であるから、本件通達の適用はない。

★リンクはこちら⇒ 請求人らが相続により取得した土地の一部は、財産評価基本通達24-4に定める広大地に当たるとして処分の一部を取り消した事例

2017年1月26日

請求人らが相続により取得した土地は、財産評価基本通達24-4に定める広大地に当たるとして処分の全部を取り消した事例

平成25年6月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
全部取消し
平成28年2月9日裁決

<要旨>
原処分庁は、請求人ら以外の第三者が所有する位置指定道路(本件位置指定道路といい、その所有者らを本件私道所有者らという。)に接する土地(本件土地)について、都市計画法第4条《定義》第12項に規定する開発行為(開発行為)を行うとした場合、本件私道所有者らの同意を要するとしても、そのような事情は本件土地自体に起因する客観的な事情ではないから財産の評価に当たって考慮されず、本件位置指定道路を利用した開発行為を行うことが経済的に最も合理的であり、当該開発行為においては、公共公益的施設用地の負担は必要ないので、本件土地は、財産評価基本通達24-4《広大地の評価》に定める広大地(広大地)に該当しない旨主張する。

しかしながら、本件位置指定道路は、本件私道所有者らが所有するもので、被相続人及び請求人らは本件位置指定道路に係る権利を何ら有していない。
そのため、本件位置指定道路を利用した開発の可否は、本件私道所有者らの意向に左右されるものであるところ、本件土地については、請求人らの主張するように、本件土地の敷地内に新たな道路を開設して行う開発方法が想定でき、その開発の方法が十分合理性を有するものである以上、このような場合にまで、第三者の所有に係る土地を利用しての開発方法を想定することに合理性があるとはいえない。
そして、請求人らの主張する開発方法においては、公共公益的施設用地の負担が必要であると認められるから、本件土地は広大地に該当する。

★リンクはこちら⇒ 請求人らが相続により取得した土地は、財産評価基本通達24-4に定める広大地に当たるとして処分の全部を取り消した事例

2017年1月25日

平成28年10月~12月分の基準年利率

平成28年10月~12月分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-3)が公表された。

平成28年10月~12月中に相続、遺贈または贈与により取得した財産を評価する場合における財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56、直審(資)17)4-4に定める「基準年利率」が下記のリンクのとおり定められたので、これによる必要がある。

なお、平成29年1月分以降については、基準年利率を定めた都度通達される。

短期と中期は横這いであるが、長期は9月から0.05%であったが、12月から0.1%に上昇している。

★リンクはこちら⇒ 「平成27年分の基準年利率について」(法令解釈通達)(課評2-3)

2017年1月24日

平成28年11月及び12月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-1)が公表された。

今回は平成28年11月及び12月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

贈与税の申告があるためだと思われるが、11月及び12月分については公表が早く、また、文書の日付とホームページへの掲載には、ほとんどタイムラグはない。
毎回そうして欲しいものである。

★リンクはこちら⇒ 「平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」(法令解釈通達)(課評2-1)

2017年1月23日

米国e州f市に所在する不動産について、その時価をe州遺産税の申告に当たりe州税務当局により是認された鑑定価額により評価した原処分を相当と認めた事例

平成22年3月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
棄却
平成28年2月4日裁決

<ポイント>
本事例は、e州遺産税等の適正市場価額とは、相続税法第22条に規定する時価と基本的に同義の価額を指向するものであるとし、対象不動産の鑑定価額を基にしたe州遺産税の申告がe州税務当局によって是認されていることから、同鑑定価額は客観的交換価値を表すものであり、対象不動産の時価と認められると判断したものである。

<要旨>
請求人らは、米国e州f市に所在する不動産17物件(本件対象不動産)の価額について、f市財産税の算定の基礎となる財産税評価額(本件財産税評価額)は、財産評価基本通達(評価通達)5-2《国外財産の評価》に定める売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価した価額であるから、本件財産税評価額から借家権として当該価額に30%の割合を乗じた金額を控除した価額が、本件対象不動産の価額である旨主張する。

しかしながら、請求人らは、被相続人に係るe州遺産税について、e州認定の鑑定人による鑑定価額(本件鑑定価額)を本件対象不動産の価額として申告しているところ、米国内国歳入法等に規定するe州遺産税における財産の価額である適正市場価額と相続税法第22条《評価の原則》に規定する時価とは同義の価額を指向するものと認められること、本件鑑定価額の算定手順に別段不合理な点は認められないこと、e州遺産税の申告がe州税務当局により是認されていることから、本件鑑定価額は相続税法第22条に規定する時価と認められる。
一方で、本件財産税評価額は、収益方式によって評価されており、売買実例価額と比較して大幅に低い価額であること、財産税評価額に関する公的報告書等においても、財産税評価額が相当低額であり市場価格との相関関係が見出せない状況である旨の指摘がされていること等から、相続税法第22条に規定する時価とは認められない。
また、借家権の控除は認められるべきとする点については、本件対象不動産は評価通達に定める評価方法に準じて評価することができない財産であるから、借家権の控除に関してのみ評価通達に準じて評価することを許容すべき理由はない。

以上のことから、本件対象不動産の価額は、本件鑑定価額によることが相当である。

★リンクはこちら⇒ 米国e州f市に所在する不動産について、その時価をe州遺産税の申告に当たりe州税務当局により是認された鑑定価額により評価した原処分を相当と認めた事例

2017年1月20日

平成28年分贈与税の申告のしかた

国税庁は、ホームページに『平成28年分贈与税の申告のしかた』を掲載した。

この冊子は、一般的な事項を説明している。

  • 平成28年分の贈与税の申告書の受付は、平成29年2月1日(水)から同年3月15日(水)まで
  • 平成28年分の贈与税の納期限は、平成29年3月15日(水)

★リンクはこちら⇒ 平成28年分贈与税の申告のしかた

2017年1月12日

平成28年分贈与税の申告書等

国税庁は、ホームページに『平成28年分贈与税の申告書等』を掲載した。

★リンクはこちら⇒ 平成28年分贈与税の申告書等

2016年12月16日

平成28年9月及び10月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-49)が公表された。

今回は平成28年9月及び10月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

相変わらず、文書の日付とホームページへの掲載には、タイムラグがある。

★リンクはこちら⇒ 「平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」(法令解釈通達)(課評2-49)

2016年12月1日

贈与税の申告は国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」で

国税庁は、『贈与税の申告は国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」で』(チラシ)を作成した。

★リンクはこちら⇒ 贈与税の申告は国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」で

2016年12月1日

パンフレット「あなたと歩む成年後見制度(税理士は財産管理の専門家です)」

日本税理士会連合会(いわゆる日税連)成年後見支援センターは、パンフレット「あなたと歩む成年後見制度(税理士は財産管理の専門家です)」を作製した。

このパンフレットは、成年後見制度の仕組みと税理士の役割などを分かりやすく説明したものである。

★リンクはこちら⇒ パンフレット「あなたと歩む成年後見制度(税理士は財産管理の専門家です)」

2016年11月22日

平成28年7月~9月分の基準年利率

平成28年7月~9月分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-46)が公表された。

平成28年7月~9月中に相続、遺贈または贈与により取得した財産を評価する場合における財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56、直審(資)17)4-4に定める「基準年利率」が下記のリンクのとおり定められたので、これによる必要がある。

なお、平成28年10月分以降については、基準年利率を定めた都度通達される。

短期と中期は横這いであるが、長期は5月から0.01%であったが、9月から0.05%となっている。

★リンクはこちら⇒ 「平成28年分の基準年利率について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-46)

2016年10月18日

平成28年7月及び8月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-44)が公表された。

今回は平成28年7月及び8月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

相変わらず、文書の日付とホームページへの掲載には、タイムラグがある。

★リンクはこちら⇒ 「平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」(法令解釈通達)(課評2-44)

2016年10月18日

評価対象地は、道路等の公共公益的施設用地の負担が必要であるとは認められないから、財産評価基本通達24-4に定める広大地に該当しないとした事例

平成23年11月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
一部取消し
平成27年11月25日裁決

<ポイント>
本事例は、評価対象地について道路等の公共公益的施設用地の負担を必要としない開発想定図は接道状況を踏まえた経済的に合理的な開発想定図と認められ、道路の接続状況が評価対象地と明らかに異なる開発事例は評価に当たり比較すべき開発事例とは認められず、また、評価対象地の相続開始日後の開発形態のみにより経済的に最も合理的と認められる開発であるか否かを判断することは相当でないと判断したものである。

<要旨>
請求人らは、財産評価基本通達24-4《広大地の評価》(広大地通達)に定める開発行為を行うとした場合における公共公益的施設用地の負担が必要か否かの判断について、分譲が販売である以上、購入者側のニーズや需要という経済的合理性に応えた上でのものでなければならず、請求人らが相続により取得した土地(本件土地)は、請求人らの開発想定図又は分譲完了直前図のように道路を設置することにより、宅地としての財産価値が高まり、経済的に最も合理的な分譲ができることから、広大地通達に定める広大地に該当する旨主張する。

しかしながら、①本件土地について道路等の公共公益的施設用地の負担を必要としない原処分庁の開発想定図は、本件土地の広大地通達に定めるその地域(本件地域)における標準的な宅地の地積に、本件土地がその四方を幅員約6mないし約8mの公道に面している接道状況を踏まえたものであり、同図の各区画には、間口距離、奥行距離及びその形状も特段不合理とする点は認められないこと、②本件土地の所在する地域及びその周辺地域において、相続開始日前おおむね10年以内に行われた戸建住宅用地としての開発は4事例が認められ、いずれも道路の設置を伴う開発であるところ、これら開発事例の土地は公道と面していないなど道路の接続状況が本件土地と明らかに異なるとして、いずれも本件土地の評価に当たり比較すべき開発事例とは認められないことからすると、本件土地は、戸建住宅の敷地として都市計画法第4条第12項に規定する開発行為を行うとした場合に道路等の公共公益的施設用地の負担が必要であるとは認められないから、広大地通達に定める広大地に該当しない。
また、本件土地は、相続開始日から約1年5か月を経過した頃に実際に道路が設置された開発が行われているが、本件土地の相続開始日後の開発形態のみにより、本件土地について相続開始日において開発行為を行うとした場合に道路の設置を伴う開発が経済的に最も合理的と認められる開発であるか否かを判断することは相当でない。

★リンクはこちら⇒ 評価対象地は、道路等の公共公益的施設用地の負担が必要であるとは認められないから、財産評価基本通達24-4に定める広大地に該当しないとした事例

2016年10月13日

後見ポータルサイト

裁判所は、『後見ポータルサイト』を開設した。

ここでは,成年後見制度の利用を検討されている方に向けて,後見制度についての説明や手続の流れ,申立てに必要な書式や資料等を紹介している。

  • 成年後見制度について
  • 未成年後見制度について
  • 後見制度支援信託について
  • 後見監督について
  • 資料・ビデオ
  • よくある質問
  • 手続案内及び各種書式
  • 各地の裁判所一覧

★リンクはこちら⇒ 後見ポータルサイト

2016年8月29日

平成28年5月及び6月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-23)が公表された。

今回は平成28年5月及び6月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

相変わらず、文書の日付とホームページへの掲載には、タイムラグが2、3週間くらいあるが、なぜすぐにホームページに掲載しないのだろうか?

★リンクはこちら⇒ 「平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」(法令解釈通達)(課評2-39)

2016年8月24日

平成28年3月及び4月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-30)が公表された。

今回は平成28年3月及び4月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

相変わらず、文書の日付とホームページへの掲載には、タイムラグが2、3週間くらいある。

★リンクはこちら⇒ 「平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」(法令解釈通達)(課評2-30)

2016年8月23日

相続税の申告書作成時の誤りやすい事例集(平成28年分用)

国税庁は、『相続税の申告書作成時の誤りやすい事例集(平成28年分用)』を作成した。
この事例集は、相続税申告書を作成するに当たって、誤りやすい項目について事例形式で紹介したものである。
「小規模宅地等の特例」と「配偶者の税額軽減」を適用した相続税申告書の記載例(平成28年分用)と併せてご覧いただくと良い。
 http://www.nta.go.jp/souzoku-tokushu/sozoku-shinkokukisairei28.pdf

また、相続税の申告書が正しく作成されるよう一般に誤りやすい事項をまとめた「相続税の申告のためのチェックシート(平成28年分以降用)」も利用すること。
 http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/sozoku/checksheet2015/pdf/28-01.pdf

 ★リンクはこちら⇒ 相続税の申告書作成時の誤りやすい事例集(平成28年分用)(既に削除済み)

<追加 平成29年4月1日現在>

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告書作成時の誤りやすい事例集(平成29年4月1日現在)

2016年8月16日

相続税の申告のしかた(平成28年分用)

国税庁は、『相続税の申告のしかた(平成28年分用)』を公表した。

相続税は、個人が被相続人(亡くなられた人のことをいう。)の財産を相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって取得した場合に、その取得した財産の価額を基に課される税金である。

(1)相続
相続は、原則として、死亡によって開始する。
そして、相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に関する一切の権利義務を承継することになる(扶養を請求する権利や文化功労者年金を受ける権利など被相続人の一身に専属していたものは、承継されない。)。
(2)遺贈
遺贈とは、被相続人の遺言によってその財産を移転することをいう。
(注)
 贈与をした人が亡くなることによって効力を生じる贈与(これを死因贈与という。)については、相続税法上、遺贈として取り扱われる。
(3)相続時精算課税に係る贈与
相続時精算課税とは、贈与時に贈与財産に対する贈与税を納付し、贈与者が亡くなったときにその贈与財産の価額と相続や遺贈によって取得した財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納付した贈与税に相当する金額を控除した額をもって納付すべき相続税額とする制度(相続時に精算)で、その贈与者から受ける贈与を「相続時精算課税に係る贈与」という。
贈与により財産を取得した人が、この制度の適用を受けるためには、一定の要件の下、原則として贈与税の申告期限までに贈与税の申告書とともに「相続時精算課税選択届出書」を税務署に提出する必要がある。
この届出書を提出した人を「相続時精算課税適用者」という。

(4)相続人
民法では、相続人の範囲と順位について以下のとおり定めている。
ただし、相続を放棄した人や相続権を失った人は初めから相続人でなかったものとされる。
イ.被相続人の配偶者は、常に相続人となる。
(注)
 配偶者とは、婚姻の届出をした夫または妻をいい、内縁関係にある人は含まれない。
ロ.以下の人は、以下の順序で配偶者とともに相続人となる。

(イ) 被相続人の子(子が被相続人の相続開始以前に死亡しているときや相続権を失っているときは、孫(直系卑属)が相続人となる。)
(ロ) 被相続人に子や孫(直系卑属)がいないときは、被相続人の父母(父母が被相続人の相続開始以前に死亡しているときや相続権を失っているときは、祖父母(直系尊属)が相続人となる。)
(ハ) 被相続人に子や孫(直系卑属)も父母や祖父母(直系尊属)もいないときは、被相続人の兄弟姉妹(兄弟姉妹が被相続人の相続開始以前に死亡しているときや相続権を失っているときは、おい、めい(兄弟姉妹の子)が相続人となる。)

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告のしかた(平成28年分用)

2016年8月8日

相続税の申告書等の様式一覧(平成28年分用)

国税庁は、『相続税の申告書等の様式一覧(平成28年分用)』を公表した。

個人的には、路線価の公表に合わせて公表されるが、税務用のソフトの対応は数か月後になるので、早く相続税の申告をしたいと思っていてもできない方がいるので、7月1日ではなく、もっと早く出してほしいと思う。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告書等の様式一覧(平成28年分用)

2016年8月4日

平成28年4月~6月分の基準年利率

平成28年4月~6月分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-37)が公表された。

平成28年4月~6月中に相続、遺贈または贈与により取得した財産を評価する場合における財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56、直審(資)17)4-4に定める「基準年利率」が下記のリンクのとおり定められたので、これによる必要がある。

なお、平成28年7月分以降については、基準年利率を定めた都度通達される。

短期と中期は横這いであるが、長期は1月0.5%、2月0.25%、3月0.1%、4月0.05%、5・6月0.01%と、マイナス金利の影響で大幅に下落している。

★リンクはこちら⇒ 平成28年分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-37)

2016年7月29日

割引発行の公社債の評価

平成25年度税制改正において、公社債等に係る所得に対する所得税の課税方式が見直され、平成28年1月1日以後に発行される割引発行の公社債の償還差益に係る源泉徴収は、発行時ではなく償還時に行うこととされたことから、割引発行の公社債の評価について、割引発行の公社債の差益金額につき源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額がある場合には、その金額を控除した金額によって評価する所要の改正を行った。

1.従来の取扱い
割引発行の公社債の評価については、以下に掲げる区分に従い、原則として市場価額を基に評価することとしている。

(1) 金融商品取引所に上場されている割引発行の公社債
(2) 日本証券業協会において売買参考統計値が公表される銘柄として選定された割引発行の公社債(金融商品取引所に上場されている割引発行の公社債及び割引金融債を除く。)
(3) (1)または(2)に掲げる割引発行の公社債以外の割引発行の公社債

2.通達改正の概要等
(1)税制改正の概要(公社債等に係る所得に対する課税方式の見直し)
従来、割引債の償還差益に係る所得に対する課税については、割引債の発行時に源泉徴収することとされており、個人については他の所得と分離して源泉徴収のみで課税が終了する源泉分離課税とされ、割引債の譲渡所得は非課税とされていたが、平成25年度税制改正により、割引債を含む公社債の譲渡による譲渡所得に対して所得税を課税することとされたことに伴い、平成28年1月1日以後に発行される割引債の償還差益に係る所得税の源泉徴収については発行時ではなく、利付公社債の利子と同様に償還時に行うこととされた。

(2)通達改正の概要
従来、割引発行の公社債の償還差益に係る所得税相当額は発行時に源泉徴収されていたため、評価通達上、当該所得税相当額に係る取扱いは明記されていない。
今般の改正を受けて、割引発行の公社債の償還差益に係る源泉所得税相当額が、発行時ではなく償還時に源泉徴収がなされる場合が生じることとなることから、このような場合の償還差益に係る源泉所得税相当額については、評価上、考慮する必要があるものと考えられる。
そこで、割引発行の公社債の評価について、差益金額につき源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額がある場合には、その差益金額につき源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額を控除した金額によって評価することとした。

(3)適用時期
平成28年1月1日以後に相続、遺贈または贈与により取得した財産の評価に適用することとした。

★リンクはこちら⇒ 割引発行の公社債の評価

2016年7月25日

利付公社債の評価等

平成25年度税制改正において、公社債等に係る所得に対する道府県民税の課税方式が見直され、平成28年1月1日以後に受ける特定公社債等の利子等に係る所得については、利子割の課税対象から除外した上で、配当割の課税対象とされたことから、利付公社債の評価等について、「源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額」に含むこととしている「特別徴収されるべき道府県民税」に利子割の額のみならず配当割の額に相当する金額も含まれるよう所要の改正を行った。

1.従来の取扱い
利付公社債については、以下の(1)から(3)に分類した上で、各々以下のとおり評価することとしている。

(1)金融商品取引所に上場されているもの
金融商品取引所の公表する課税時期の最終価格+源泉所得税額相当額()控除後の既経過利息の額
()
源泉所得税額相当額には、特別徴収されるべき道府県民税の利子割の額に相当する金額を含む。以下(2)及び(3)について同じ。

(2)日本証券業協会において売買参考統計値が公表される銘柄として選定されたもの((1)に該当するものを除く。)
日本証券業協会から公表された課税時期の平均値+源泉所得税額相当額控除後の既経過利息の額

(3)(1)または(2)に掲げる以外のもの
発行価額+源泉所得税額相当額控除後の既経過利息の額

2.通達改正の概要等
(1)税制改正の概要(公社債等に係る所得に対する課税方式の見直し)
平成25年度税制改正により、地方税(道府県民税)に関し、平成28年1月1日以後に受ける特定公社債等()の利子等に係る所得については、利子割の課税対象から除外した上で、配当割の課税対象とされた。
()
特定公社債等とは、特定公社債(特定公社債とは、国債、地方債、外国国債、公募公社債、上場公 社債などの一定の公社債をいう。)、公募公社債投資信託の受益権、証券投資信託以外の公募投資信託 の受益権及び特定目的信託(その社債的受益権の募集が公募により行われたものに限る。)の社債的受益権のことをいう。

(2)通達改正の概要
利付公社債については、上記⑴の税制改正により、平成28年1月1日以後に受ける利子等に係る所得に対して課される道府県民税に関し、利子割に加えて配当割が含まれることとされたことから、利付公社債の評価について「源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額」に含むこととしている「特別徴収されるべき道府県民税」に、配当割も含まれるよう、「特別徴収されるべき道府県民税の利子割の額に相当する金額」を「特別徴収されるべき道府県民税の額に相当する金額」と改正することとした。
また、評価通達において「源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額」を控除することとしている他の財産についても同様に取り扱うことを明確にした。

(3)適用時期
平成28年1月1日以後に相続、遺贈または贈与により取得した財産の評価に適用することとした。

★リンクはこちら⇒ 利付公社債の評価等

2016年7月21日

取引相場のない株式等の評価(純資産価額方式における法人税額等相当額)

平成28年度税制改正において、法人税率の改正が行われたことに伴い、純資産価額方式における「評価差額に対する法人税額等に相当する金額」の算定に用いる「法人税(地方法人税を含む。)、事業税(地方法人特別税を含む。)、道府県民税及び市町村民税の税率の合計に相当する割合」を38%から37%に改正するなど所要の改正を行った。

1.従来の取扱い
取引相場のない株式等を評価する場合の純資産価額方式は、次の算式により計算することとしている。
 (算式)
純資産価額=【総資産価額()-負債の合計額-評価差額に対する法人税額等に
相当する金額】÷発行済株式数
相続税評価額による総資産価額
この場合の「評価差額に対する法人税額等に相当する金額」は、「相続税評価額による純資産価額」から「帳簿価額による純資産価額」を控除した残額に「法人税(地方法人税を含む。)、事業税(地方法人特別税を含む。)、道府県民税及び市町村民税の税率の合計に相当する割合」(以下「法人税率等の合計割合」という。)として「38%」を乗じて計算した金額としていた。

2.通達改正の概要等
(1)法人税の税率の改正の内容
平成28年度税制改正により、法人税率が23.9%から23.4%()に引き下げられ、平成28年4月1日以後に開始する事業年度から適用することとされた。
()
所得税法等の一部を改正する法律第2条に基づく改正後の法人税率は23.2%であるが、同法附則第26条により、平成28年4月1日から平成30年3月31日までに開始する事業年度における法人税率は23.4%とされている。

(2)通達改正の概要
上記(1)の改正により、「法人税率等の合計割合」の根拠となる税率が変わることから、「法人税率等の合計割合」を「38%」から「37%」に改正することとした。

(3)明細書通達の改正
本改正に伴い、次の評価明細書における「評価差額に対する法人税額等相当額」欄について改正した。

  • 「第5表 1株当たりの純資産価額(相続税評価額)の計算明細書」
  • 「第8表 株式保有特定会社の株式の価額の計算明細書(続)」

(4)適用時期
平成28年4月1日以後に相続、遺贈または贈与により取得した取引相場のない株式等の評価に適用することとした。

★リンクはこちら⇒ 取引相場のない株式等の評価(純資産価額方式における法人税額等相当額)

2016年7月19日

被相続人が米国f州にジョイント・テナンシーの形態で所有していた不動産について、生存合有者(ジョイント・テナンツ)が取得した被相続人の持分は、みなし贈与財産に該当し、相続税の課税価格に加算されるとした事例

①平成21年12月相続開始に係る相続税の過少申告加算税の変更決定処分
②平成21年12月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
③平成21年12月相続開始に係る相続税の過少申告加算税の各賦課決定処分
①全部取消し
②一部取消し
③棄却
平成27年8月4日裁決

<要旨>
請求人らは、ジョイント・テナンシーの形態により被相続人が米国f州に所在する不動産(本件不動産)について有する持分は、我が国における共有財産ではないから、相続税の課税価格に算入されるべきものではない旨主張する。

しかしながら、被相続人及び請求人P2がジョイント・テナンシーの形態で所有している本件不動産については、ジョイント・テナンツ(合有者)の一人である被相続人が死亡したことにより、その権利は、相続されることなく、生存者への権利の帰属(サバイバー・シップ)の原則に基づいて、残りのジョイント・テナンツである請求人P2の権利に吸収されたものと認められる。
そして、サバイバー・シップの原則により請求人P2の権利が増加した時に対価の授受があった事実は認められないから、生存者である請求人P2は相続税法第9条《贈与又は遺贈により取得したものとみなす場合―その他の利益の享受》に規定する「対価を支払わないで利益を受けた場合」に該当すると認められるところ、この権利の増加は、同条により、請求人P2が被相続人から贈与により取得したものとみなされる。
さらに、この権利の増加につき、請求人P2には、相続税法第19条《相続開始前3年以内に贈与があった場合の相続税額》第1項が適用されることとなる。

したがって、被相続人がジョイント・テナンシーの形態で所有する本件不動産の持分については、請求人P2が被相続人から贈与により取得したものとみなされ、本件不動産の価額の2分の1に相当する部分の金額については、相続税の課税価格に加算すべきものと認められる。

★リンクはこちら⇒ 被相続人が米国f州にジョイント・テナンシーの形態で所有していた不動産について、生存合有者(ジョイント・テナンツ)が取得した被相続人の持分は、みなし贈与財産に該当し、相続税の課税価格に加算されるとした事例

2016年7月8日

登録された車両は、請求人の父がその資金の全額を拠出しており、贈与に当たるとして行われた贈与税の決定処分について、請求人に対する贈与の事実はないとして、贈与税の決定処分の全部を取り消した事例

平成20年分贈与税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分
全部取消し
平成27年9月1日裁決

<ポイント>
本事例は、取得資金の拠出者以外の名義で登録された財産について、相続税法基本通達9-9に基づく贈与税課税の課否を問題としたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の父(父)が請求人の名義で新たに購入した車両(本件車両)は、相続税法基本通達(相基通)9-9《財産の名義変更があった場合》により、原則として贈与として取り扱われるべきものである旨、及び本件車両の名義を請求人として登録したことが過誤に基づき、又は軽率にされたものであり、かつ、それが取得者等の年齢その他により当該事実を確認できるに足る証拠は認められないから、昭和39年5月23日付直審(資)22、直資68「名義変更等が行われた後にその取消し等があった場合の贈与税の取扱いについて」(本件通達)の5を適用することはできない旨主張する。

しかしながら、相基通9-9は、反証があれば、贈与として取り扱わない場合があるところ、本件においては、父は購入特典の利用のために、請求人の名義を使用したことが認められ、これに加えて、①父が本件車両を請求人に贈与する動機はなかったと認められること、②請求人への贈与の事実を疑わせる事情が存在すること、③父は、本件車両の取得資金を出捐し、売却に際してはその売却代金を自ら受領・費消するとともに、その間本件車両に係る維持管理費用を全て負担していたことなどの諸事情を総合すると、本件車両の贈与の不存在について反証がされているといえる。

したがって、請求人は本件車両の贈与を受けたとは認められない。
なお、本件通達は、相基通9-9の要件を満たしているにも関わらず課税庁の立場から贈与として取り扱わない場合を類型化したものにすぎず、相手方による反証はこれに限定されるものではないところ、本件においてはその反証がされている。

★リンクはこちら⇒ 登録された車両は、請求人の父がその資金の全額を拠出しており、贈与に当たるとして行われた贈与税の決定処分について、請求人に対する贈与の事実はないとして、贈与税の決定処分の全部を取り消した事例

2016年7月6日

平成28年度路線価の公表

2016年7月1日に、国税庁が、『平成28年度の路線価』を公表した。

我がうどん県は、24年連続下落である。

個人的には、路線価が出ないと相続税の申告ができない方がいるので、7月1日ではなく、もっと早く出してほしいと思う。

★リンクはこちら⇒ 平成28年分財産評価基準書 路線価図・評価倍率表

2016年7月5日

平成28年1月~3月分の基準年利率

平成28年1月~3月分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-25)が公表された。

平成28年1月~3月中に相続、遺贈または贈与により取得した財産を評価する場合における財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56、直審(資)17)4-4に定める「基準年利率」が下記のリンクのとおり定められたので、これによる必要がある。

なお、平成28年4月分以降については、基準年利率を定めた都度通達される。

平成27年と比べると、短期は横這いであるが、中期は下落後横這い、長期は大幅に下落している。

★リンクはこちら⇒ 平成28年分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-25)

2016年6月24日

平成28年1月、2月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-23)がようやく公表された。

今回は平成28年1月及び2月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

そもそも1月分と2月分が6月に公表されるというのはあまりにも遅すぎると思われるが、相変わらず、文書の日付とホームページへの掲載には、タイムラグが3週間くらいある。

★リンクはこちら⇒ 「平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」(法令解釈通達)(課評2-23)

2016年6月23日

相続税の申告要否判定コーナー

国税庁は、リーフレット『「相続税の申告要否判定コーナー」をご利用ください』(平成28年5月)をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告要否判定コーナー

2016年5月11日

「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部改正

平成2年12月27日付直評23ほか1課共同「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部をリンクのとおり改正し、平成28年4月1日以後に相続、遺贈または贈与により取得した財産の評価から適用することとしたから、これによられたい。

(注)
リンクの別紙のうち、アンダーラインを付した部分が改正部分である。

★リンクはこちら⇒ 「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-12・課資2-6・課審7-3)

2016年5月11日

平成28年分の路線価図等の公開予定日

平成28年分の路線価図等は、7月1日(金)10時に公開することを予定とのこと。

公開初日から数日間は、アクセス集中により閲覧しにくい状態となることがある。

★リンクはこちら⇒ 平成28年分の路線価図等の公開予定日について

2016年4月26日

平成27年11月、12月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成27年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-1)が公表された。

今回は平成27年11月及び12月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成27年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-1)

2016年1月25日

平成27年10月~12月分の基準年利率

平成27年10月~12月分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-3)が公表された。

平成27年10月~12月中に相続、遺贈または贈与により取得した財産を評価する場合における財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56、直審(資)17)4-4に定める「基準年利率」が下記のリンクのとおり定められたので、これによる必要がある。

短期・中期・長期ともに、横這いである(それぞれ、0.01%、0.05%、0.5%)。

★リンクはこちら⇒ 平成27年分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-13 平成27年5月12日 (最終改正)平成28年1月12日 課評2-3)

2016年1月21日

平成27年分贈与税の申告書等の様式一覧

国税庁は、『平成27年分贈与税の申告書等の様式一覧』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ 平成27年分贈与税の申告書等の様式一覧

2015年12月25日

住宅取得等資金の贈与と住宅借入金等特別控除との関係

<照会要旨>
私は、新築の店舗兼住宅を取得するに当たり、父から金銭の贈与を受ける予定である。
この贈与については、租税特別措置法第70条の2の規定の適用を受けたいと考えている。
ところで、この非課税制度には、取得した新築住宅の床面積が50平方メートル以上240平方メートル未満でなければならいないという基準が設けられているところ、私が取得しようとしている店舗兼併用住宅の床面積は、店舗として使用する部分が150平方メートル、住宅として使用する部分の床面積は100平方メートルとなっている。
このように、取得しようとしている新築の店舗兼住宅の全体の床面積は250平方メートルあり、この新築の店舗兼住宅は、上記の床面積基準に該当しない新築住宅であるとも考えられるが、住宅として使用する部分の床面積だけ見れば、上記の床面積基準に該当するため、非課税制度の適用を受けるための他の要件を満たしていれば、父からの金銭の贈与については、この非課税制度の適用があると考えるがいかがか。

<回答要旨>
この金銭の贈与について、非課税制度の適用はない。

非課税制度の床面積基準の判定は、贈与を受けた者の居住の用以外の用に供されている部分も含めた家屋全体の床面積で行うことになる。

★リンクはこちら⇒ 住宅取得等資金の贈与と住宅借入金等特別控除との関係

2015年12月18日

店舗兼住宅を取得した場合の床面積要件

<照会要旨>
私は、新築の店舗兼住宅を取得するに当たり、父から金銭の贈与を受ける予定である。
この贈与については、租税特別措置法第70条の2の規定の適用を受けたいと考えている。
ところで、この非課税制度には、取得した新築住宅の床面積が50平方メートル以上240平方メートル未満でなければならいないという基準が設けられているところ、私が取得しようとしている店舗兼併用住宅の床面積は、店舗として使用する部分が150平方メートル、住宅として使用する部分の床面積は100平方メートルとなっている。
このように、取得しようとしている新築の店舗兼住宅の全体の床面積は250平方メートルあり、この新築の店舗兼住宅は、上記の床面積基準に該当しない新築住宅であるとも考えられるが、住宅として使用する部分の床面積だけ見れば、上記の床面積基準に該当するため、非課税制度の適用を受けるための他の要件を満たしていれば、父からの金銭の贈与については、この非課税制度の適用があると考えるが如何か。

<回答要旨>
この金銭の贈与について、非課税制度の適用はない。

非課税制度の床面積基準の判定は、贈与を受けた者の居住の用以外の用に供されている部分も含めた家屋全体の床面積で行うことになる。

★リンクはこちら⇒ 店舗兼住宅を取得した場合の床面積要件

2015年12月18日

老人ホームに入所していた被相続人が要介護認定の申請中に死亡した場合の小規模宅地等の特例

<照会要旨>
老人ホームに入所していた被相続人が、要介護認定の申請中に亡くなったが、相続開始の時において要介護認定を受けていなかった。
この場合において、相続の開始後に被相続人に要介護認定があったときには、租税特別措置法施行令第40条の2第2項第1号に規定する要介護認定を受けていた被相続人に該当するものと考えてよいか。

<回答要旨>
照会のとおりで差し支えない。

1.税法の規定
租税特別措置法第69条の4第1項に規定する居住の用に供することができない事由の一つとして、介護保険法第19条第1項に規定する要介護認定又は同条第2項に規定する要支援認定(以下「要介護認定等」という。)を受けていた被相続人が、租税特別措置法施行令第40条の2第2項第1号イに規定する特別養護老人ホーム等に入所していたことが定められている。
「租税特別措置法(相続税の特例関係)の取扱いについて(法令解釈通達)」69の4-7の2《要介護認定等の判定時期》で、この要介護認定等を受けていたかどうかは、その被相続人が、その被相続人の相続の開始の直前においてその要介護認定等を受けていたかにより判定することとしている。

2.介護保険法の規定
介護保険法では、要介護認定等の申請を受けた市町村は、被保険者の心身の状況等を調査し、その調査の結果を認定審査会に通知し、審査及び判定を求め、認定審査会の審査判定の結果に基づき認定を行った場合には、被保険者に通知しなければならないとされている(介護保険法第27条①~⑦、第32条①~⑥)。
また、市町村は上記の申請のあった日から30日以内にその申請に対する処分を行わなければならないとされ、市町村が要介護認定等を行った場合には、その効力は、申請のあった日にさかのぼって生ずるものとされている(介護保険法第27条⑧⑪、第32条⑦)。

3.相続開始の日以後に要介護認定等があった場合
老人ホームに入所していた被相続人が要介護認定等の申請中に相続が開始した場合で、その被相続人の相続開始の日以後に要介護認定等があったときには、要介護認定等はその申請のあった日にさかのぼってその効力が生ずることとなる。
要介護認定等が行われる場合、市町村は、被相続人の生前に心身の状況等の調査を行っていることから、被相続人が、相続の開始の直前において介護又は支援を必要とする状態にあったことは明らかであると認められる。

したがって、被相続人は相続の開始の直前において要介護認定等を受けていた者に該当するものとして差し支えない。

★リンクはこちら⇒ 老人ホームに入所していた被相続人が要介護認定の申請中に死亡した場合の小規模宅地等の特例

2015年12月16日

平成27年9月、10月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成27年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-41)が公表された。

いつも思うが、法令解釈通達の日付とホームページ公表日に半月くらいの差があるのはなぜなのだろうか?。

今回は平成27年9月及び10月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成27年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-41)

2015年12月15日

相当の地代を支払っている場合の借地権は、贈与財産である株式の純資産価額の計算上、株式の発行会社の資産の部に算入するとした事例

平成24年分贈与税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
一部取消し
平成27年3月25日裁決

<ポイント>
本事例は、同族会社に土地を貸し付けている当該同族会社の同族関係者が、当該同族会社の株式を贈与した場合においても、相当地代通達6の注書の適用があるとしたものである。

<要旨>
請求人は、実父(父H)から贈与により取得した同族会社(本件同族会社)の株式(本件株式)の評価に当たり、「相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて」(昭和60直資2-58ほか)(60年通達)の6の注書及び「相当の地代を収受している貸宅地の評価について」(昭和43直資3-22ほか)は、いずれも相続税の課税上のみの取扱いであるから、20%の借地権相当額を本件同族会社の純資産価額に算入すべきではない旨主張する。

しかしながら、60年通達の6の注書は、生前贈与の場合にも及ぼすべきであると考えられるところ、より一般的にいうなら、同族会社の株式を贈与する同族関係者からみて、相当程度年下の第1順位の推定相続人が受贈者である場合には、当該会社に借地権が設定されている土地の所有者との関係次第で、60年通達の注書の取扱いにより借地権相当額を当該会社の純資産価額に算入すべき場合があるということになる。

本件においては、本件株式の贈与者である父Hが所有する土地を、相当の地代を収受して父Hが同族関係者となっている本件同族会社に貸し付けている状況において、本件株式を同人の実子である請求人に贈与していることから、本件株式の評価に当たり、借地権の価額を本件同族会社の純資産価額に算入することは相当である。

★リンクはこちら⇒ 相当の地代を支払っている場合の借地権は、贈与財産である株式の純資産価額の計算上、株式の発行会社の資産の部に算入するとした事例

2015年11月18日

平成27年7月~9月分の基準年利率

平成27年7月~9月分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-39)が公表された。

平成27年7月~9月中に相続、遺贈または贈与により取得した財産を評価する場合における財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56、直審(資)17)4-4に定める「基準年利率」が下記のリンクのとおり定められたので、これによる必要がある。

  • 短期は、横這い(0.01%)。
  • 中期も、7月に上昇した(0.05%→0.1%)が、8月には元に戻っている。
  • 長期は、9月に下落した(0.75%→0.5%)。

★リンクはこちら⇒ 平成27年分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-39)

2015年10月28日

平成27年7月、8月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成27年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-37)が公表された。

いつも思うが、法令解釈通達の日付とホームページ公表日に半月くらいの差があるのはなぜなのだろうか?

今回は平成27年7月及び8月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成27年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-37)

2015年10月27日

農業経営基盤強化促進法に基づく農用地利用集積計画の公告により賃借権が設定されている農地の評価

<照会要旨>
農業経営基盤強化促進法に基づく農用地利用集積計画の公告により賃借権が設定されている農地はどのように評価するのか?

<回答要旨>
農業経営基盤強化促進法に基づく農用地利用集積計画の公告により賃借権が設定されている農地の価額は、その農地の自用地としての価額からその価額に100分の5を乗じて計算した金額を控除した価額によって評価する。
(理由)
農業経営基盤強化促進法に基づく農用地利用集積計画の公告により設定されている賃借権に係る農地の賃貸借については、農地法第17条(農地又は採草放牧地の賃貸借の更新)本文の賃貸借の法定更新などの適用が除外されており、いわゆる耕作権としての価格が生じるような強い権利ではない。
そのため、この農用地利用集積計画の公告により賃借権が設定されている農地の価額は、その農地の自用地としての価額から、その価額に100分の5を乗じて計算した金額を控除した価額によって評価する。
(注)
なお、その賃貸借に基づく賃借権の価額(その農地の自用地としての価額の100分の5相当額)については、相続税または贈与税の課税価格に算入する必要はない。

★リンクはこちら⇒ 農業経営基盤強化促進法に基づく農用地利用集積計画の公告により賃借権が設定されている農地の評価

2015年9月29日

相続税の申告のためのチェックシート(平成27年分以降用)

国税庁は、相続税の申告のためのチェックシート(平成27年分以降用)を公表した。

このチェックシートは、相続税の申告書が正しく作成されるよう、一般に誤りやすい事項をまとめたものである。

国税庁は、申告書作成に際して、このチェックシートでチェックのうえ、申告書に添付して提出するようお願いしている。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告のためのチェックシート(平成27年分以降用)

2015年9月15日

担保物の一部に対する強制換価手続が相続税法第40条第2項に規定する「強制換価手続が開始されたとき」に該当するとした事例

相続税の延納許可の取消処分
棄却 平成26年11月25日裁決

<要旨>
請求人は、原処分庁が行った延納許可の取消処分(本件取消処分)について、相続税法第40条《延納申請に係る徴収猶予等》第2項の「延納税額に係る担保物につき国税徴収法第2条《定義》第12号に規定する強制換価手続が開始されたとき」とは、延納許可に係る担保物全てについて強制換価手続が開始されたときをいうことから、複数の担保物の一部のみに強制換価手続が開始されたことをもってなされた本件取消処分は適切な弁明聴取を欠いた違法な処分である旨主張する。

しかしながら、延納許可に係る担保物の一部について第三者による強制換価手続が開始された場合においても、弁明の聴取を行っていては、当該強制換価手続によって担保物の一部が換価され、延納税額等の徴収を確保できなくなるおそれがあることから、相続税法第40条第2項に基づき、弁明を聴取することなく延納許可を取り消すことができる。

したがって、適切な弁明聴取が行われたか否かについて判断するまでもなく、本件取消処分が適切な弁明聴取を欠くことを理由に違法な処分であるとはいえない。

★リンクはこちら⇒ 「担保物の一部に対する強制換価手続が相続税法第40条第2項に規定する「強制換価手続が開始されたとき」に該当するとした事例

2015年9月8日

平成27年5月、6月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成27年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-32)が公表された。

いつも思うが、法令解釈通達の日付とホームページ公表日に半月くらいの差があるのはなぜなのだろうか?。

今回は平成27年5月及び6月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成27年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-32)

2015年8月20日

相続税の申告書等の様式一覧(平成27年分用)

国税庁は、『相続税の申告書等の様式一覧(平成27年分用)』をホームページに公表した。

個人的には、公表があまりにも遅すぎると思う。

なぜなら、7月1日に公表すると、それに対応して申告ソフトメーカーが、申告ソフトをバージョンアップするため、申告ソフトが使えるようになるまで2か月くらいかかってしまう。
国税庁は、例えば、1月1日に亡くなっても11月1日までに申告すれば良いと考えているのかもしれないが、世の中には早く申告をしたいと考えている方もたくさんいらっしゃるのである。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告書等の様式一覧(平成27年分用)

2015年7月29日

平成27年4月~6月分の基準年利率

平成27年4月~6月分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-23)が公表された。

平成27年4月~6月中に相続、遺贈または贈与により取得した財産を評価する場合における財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56、直審(資)17)4-4に定める「基準年利率」が下記のリンクのとおり定められたので、これによる必要がある。
短期は、4月に上昇した(0.01%→0.05%)が、5月には元に戻っている。
中期も、4月に上昇した(0.05%→0.1%)が、5月には元に戻っている。
長期は、6月から上昇している(0.5%→0.75%)。

★リンクはこちら⇒ 「平成27年分の基準年利率について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-23 平成27年7月1日)

2015年7月17日

相続税の申告の仕方(平成27年分用)

国税庁は、『相続税の申告の仕方(平成27年分用)』を作成した。

内容は、以下のとおり。
1.相続税のあらまし
2.相続税の申告
3.相続税の納付
4.相続税の申告書の記載例

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告の仕方(平成27年分用)

2015年7月16日

相続税の申告要否判定コーナー

国税庁は、相続税の申告要否判定コーナーをホームページ上に設けた。
相続税の申告要否判定コーナーは、

  • 相続財産の金額などを入力することにより、相続税の申告のおおよその要否を判定するものである。
  • 相続税の申告書を作成するものではないので、留意すること。
  • 税務署から「相続税についてのお尋ね」が届いた方が、税務署への回答を作成する場合にも利用することができる。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告要否判定コーナー

2015年7月9日

「父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし」など

国税庁は、「父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし」などについてをホームページに掲載した。

このページでは、平成27年度税制改正において創設された「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」に関する情報を掲載している。

★リンクはこちら⇒ 「父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし」などについて

2015年7月6日

平成27年度分の路線価図等

国税庁が、2015年7月1日に『平成27年分の路線価図等』を公表した。

この財産評価基準は、平成27年度中に相続、遺贈または贈与により取得した財産に係る相続税及び贈与税の財産を評価する場合に適用する。
ただし、法令で別段の定めのあるもの及び別に通達するものについては、それによる。

★リンクはこちら⇒ 財産評価基準書(平成27年分)

2015年7月2日

平成27年3月、4月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成27年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-18)が公表された。

いつも思うが、法令解釈通達の日付とホームページ公表日に半月くらいの差があるのはなぜなのだろうか?

今回は平成27年3月及び4月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成27年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-18)

2015年7月1日

インターネット番組『相続税の申告要否判定コーナーを利用した申告要否の確認』

国税庁は、インターネット番組『相続税の申告要否判定コーナーを利用した申告要否の確認』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ インターネット番組『相続税の申告要否判定コーナーを利用した申告要否の確認』

2015年6月30日

平成27年1月、2月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成27年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-15)がようやく公表された。

今回は平成27年1月及び2月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

個人的には、1月と2月のものが、6月に公表されるのはあまりにも遅すぎると思う。
もっと早く公表して欲しい。

★リンクはこちら⇒ 「平成27年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」(法令解釈通達)(課評2-15)

2015年6月17日

相続税の小規模宅地等の特例について、特例適用対象土地を取得した相続人全員の同意を証する書類の提出がないことから、同特例の適用はないとした事例

平成22年2月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
棄却 平成26年8月8日裁決

<要旨>
請求人は、同人に相続させる旨の遺言により相続した宅地について、①他の相続人は、遺言無効確認等訴訟が終了したときには、当該宅地に租税特別措置法(平成22年法律第6号による改正前のもの)第69条の4《小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例》第1項の規定(本件特例)を適用することに反対していない、②遺言書の効力について訴訟で争われている場合には、当該宅地を選択特例対象宅地等とすることについて相続人全員の同意を必要とすることは、不可能なことを要求するものであるなどとして、当該宅地には、相続人全員の同意を証する書類の提出がなくても本件特例の適用が認められるべきである旨主張する。

しかしながら、本件特例を適用するためには、租税特別措置法施行令(平成22年政令第58号による改正前のもの)第40条の2《小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例》第3項第3号により、特例対象宅地等のうち本件特例の適用を受けるものの選択について、当該特例対象宅地等を取得した全ての個人の同意を証する書類の提出が必要とされているところ、請求人は、当該宅地につき特例対象宅地等を取得した全ての個人の同意を証する書類を提出していないから、当該宅地に本件特例を適用することはできない。
なお、請求人の主張するような個別事情がある場合において、例外的に同意を証する書類の提出が必要でないとする規定はなく、また、租税特別措置法の規定をみだりに拡張解釈することは許されない。

★リンクはこちら⇒ 相続税の小規模宅地等の特例について、特例適用対象土地を取得した相続人全員の同意を証する書類の提出がないことから、同特例の適用はないとした事例

2015年6月9日

平成27年1月~3月分の基準年利率

平成27年1月~3月分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-13)が公表された。

平成27年1月~3月中に相続、遺贈または贈与により取得した財産を評価する場合における財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56、直審(資)17)4-4に定める「基準年利率」が下記のリンクのとおり定められたので、これによる必要がある。
なお、平成27年4月分以降については、基準年利率を定めた都度通達される。

短期と長期は横這いであるが、中期は上昇している。

★リンクはこちら⇒ 平成27年分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-13)

2015年5月29日

「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部改正

平成2年12月27日付直評23ほか1課共同「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部をリンクのとおり改正し、平成27年4月1日以後に相続、遺贈または贈与により取得した財産の評価から適用することとしたから、これによられたい。

★リンクはこちら⇒ 「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部改正(課評2-7 課資2-3 課審7-4 平成27年4月3日)

2015年5月26日

評価差額に対する法人税額等に相当する金額の40%から38%への引き下げ

昭和39年4月25日付直資56ほか1課共同「財産評価基本通達」の一部が下記のとおり改正され、平成27年4月1日以後に相続、遺贈または贈与により取得した財産の評価に適用することとされたから、これによられたい。

(趣旨)
所得税法等の一部を改正する法律(平成27年法律第9号)の施行等に伴い、所要の改正を行うものである。

★リンクはこちら⇒ 「昭和39年4月25日付直資56ほか1課共同「財産評価基本通達」の一部改正(課評2-5 課資2-2 課審7-2 平成27年4月3日)

2015年5月22日

父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし

国税等のホームページで、平成27年度税制改正において創設された「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」に関する情報を掲載している。

★リンクはこちら⇒ 「父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし」などについて

2015年5月7日

共同相続人や遺産の範囲は確定しており、客観的に遺産分割ができ得る状態であったから、請求人が行った相続税の申告期限から3年以内に遺産が分割されなかったことについてのやむを得ない事由の承認申請を却下した処分は適法であるとした事例

平成21年4月相続開始に係る相続税について遺産が未分割であることにつきやむを得ない事由がある旨の各承認申請の各却下処分
棄却 平成26年6月2日裁決

<要旨>
請求人らは、本件相続に係る財産が本件相続に係る申告期限の翌日から3年を経過する日(本件申告期限3年経過日)までに分割されなかったことにつき、租税特別措置法施行令(平成22年3月政令第58号による改正前のもの)第40条の2《小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例》第11項の規定により準用される相続税法施行令第4条の2《配偶者に対する相続税額の軽減の場合の財産分割の特例》第1項第4号に規定する「税務署長においてやむを得ない事情があると認められる場合」に該当する旨主張する。

しかしながら、同号に規定する「税務署長においてやむを得ない事情があると認められる場合」に該当するか否かは、相続に係る財産が当該相続に係る相続税の申告期限の翌日から3年を経過する日において、客観的に遺産分割ができないと認められる状態にあったといえるか否かにより行うことが相当であるところ、本件申告期限3年経過日の前に本件相続に係る共同相続人の範囲や本件相続に係る遺産の範囲は確定していたことが認められ、また、請求人らの遺産分割協議において協議された事項は、①別件第一次相続により取得した預金の一部に係る返済の問題、②本件相続に係る遺産のうち賃貸不動産からの収入の清算等の問題、③本件相続に係る代償金の額の問題(本件相続に係る代償金の額の決定に当たり、その対象不動産の評価額は算定されていたにもかかわらず、当該価額に納得しない者がいた。)であったと認められる。

そうすると、本件においては、本件申告期限3年経過日において、客観的に遺産分割ができないと認められる状態にあったとはいえないから、本件申告期限3年経過日までに分割されなかったことにつき、同号に規定する「税務署長においてやむを得ない事情があると認められる場合」には該当しない。

★リンクはこちら⇒ 共同相続人や遺産の範囲は確定しており、客観的に遺産分割ができ得る状態であったから、請求人が行った相続税の申告期限から3年以内に遺産が分割されなかったことについてのやむを得ない事由の承認申請を却下した処分は適法であるとした事例

2015年4月24日

相続税法第34条第6項に規定する連帯納付義務の納付通知処分が適法であるとした事例

連帯納付義務の納付通知処分
棄却 平成26年6月25日裁決

<要旨>
請求人は、本来の納税義務者には滞納相続税を納付できる十分な資力等があり、同人から徴収することが極めて容易であるにもかかわらず、原処分庁が請求人に対して恣意的に相続税法第34条《連帯納付の義務等》第6項に規定する連帯納付義務の納付通知処分を行ったことは徴収権の濫用に当たる旨主張する。

しかしながら、同法第34条第1項に規定する連帯納付義務は補充性を有しないのであって、連帯納付義務者は第二次納税義務等のように本来の納税義務者に滞納処分を執行しても徴収すべき額に不足すると認められる場合に限って納付義務を負担するというものではない。

したがって、原処分庁が徴収手続を怠った結果、本来の納税義務者から滞納相続税を徴収することができなくなったという事実があったとしても、同人又は第三者の利益を図る目的をもって恣意的に当該滞納相続税の徴収を行わず、他の相続人に対して徴収処分をしたというような事情がない限り、徴収権の濫用には当たらない。
本件の場合、このような事情は認められないことから、請求人の主張は採用することができない。

★リンクはこちら⇒ 相続税法第34条第6項に規定する連帯納付義務の納付通知処分が適法であるとした事例

2015年4月22日

相続財産である貸家の空室部分は、一時的に賃貸されていなかったものではないため、評価額の減額は認められないとした事例

平成21年8月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
棄却 平成26年4月18日裁決

<要旨>
請求人らは、相続財産である貸家(本件各貸家)について、賃貸の意図をもって経常的に維持・管理を行い、賃借人の募集業務を継続して行っていることなどを理由に、相続開始日において現に賃貸されていない各独立部分(本件各独立部分)は、財産評価基本通達26《貸家建付地の評価》の(注)2に定める「課税時期において、一時的に賃貸されていなかったと認められるもの」に該当するから、同通達に定める賃貸割合を100%として、本件各貸家及びその敷地を評価すべきである旨主張する。

しかしながら、相続税法第22条《評価の原則》に規定する時価とは、相続により財産を取得した日における客観的な交換価値をいうことからすれば、各独立部分を有する家屋の全部又は一部が貸し付けられているかどうかについては、課税時期の現況に基づいて判断するのが原則である。
その上で、同通達26の(注)2が、例外として、賃貸割合の算出に当たり、賃貸されている各独立部分には、継続的に賃貸されていた各独立部分で、課税時期において、一時的に賃貸されていなかったと認められるものを含むこととして差し支えない旨定めているのである。
本件各独立部分については、相続開始日の前後の空室期間は、最も長いもので8年間、最短のもので4か月を超える期間に及んでいることから、「課税時期において、一時的に賃貸されていなかったと認められるもの」に該当しない。

したがって、同通達に定める賃貸割合を100%として、本件各独立部分及びその敷地を評価することはできない。

★リンクはこちら⇒ 相続財産である貸家の空室部分は、一時的に賃貸されていなかったものではないため、評価額の減額は認められないとした事例

2015年4月21日

贈与財産である宅地について、借地権の存する土地として評価するのが相当とした事例

①平成21年分の贈与税の更正処分 ②平成21年分の贈与税に係る過少申告加算税の賦課決定処分
①一部取消し ②全部取消し 平成26年5月9日裁決

<ポイント>
本事例は、贈与により取得した土地について、当該土地には借地権があるため、自用地としての価額から借地権の価額を控除して評価すべきであるとの請求人の主張を認め、処分の一部を取り消したものである。
なお、本事例は相続税法第21条の9《相続時精算課税の選択》第1項の適用事案である。

<要旨>
原処分庁は、請求人が母からの贈与(本件贈与)により取得した各土地(本件土地)について、請求人が代表者であるJ社が建築した建物(本件建物)は、本件贈与時前に滅失し、滅失後はJ社によって本件土地に建物は再建されていないことから、本件贈与時には、本件土地に係る借地権(本件借地権)は滅失している旨主張する。

しかしながら、借地法(大正10年法律第49号、平成4年8月1日廃止前のもの)第2条《借地権の存続期間》第1項ただし書は、建物がその期間満了前に朽廃したときは借地権は消滅する旨規定され、滅失はこれと区分され、建物が滅失したことのみをもって借地権は消滅しないと解されていることから、この点についての原処分庁の主張は採用できない。
J社は、遅くとも昭和63年から本件贈与時まで、本件土地の地代を支払っていたことが認められ、また、母は、亡父から本件土地を相続してから本件贈与時までの間に、J社が本件土地の使用を継続することに対して何ら異議を述べておらず、一方、J社は本件土地を継続して使用していたことが認められることからすると、遅くとも昭和63年に、J社と亡父の間には、本件土地に係る本件建物の所有を目的とする賃貸借契約が成立するとともに、母が亡父から本件土地を相続してから本件贈与時まで、同契約は継続しているものと認められる。

したがって、本件贈与時には本件借地権は存在したものと認められる。

★リンクはこちら⇒ 贈与財産である宅地について、借地権の存する土地として評価するのが相当とした事例

2015年4月17日

所有する宅地とその宅地に隣接する相当の地代を支払って借り受けている借地権は、一体で評価することが相当であるとした事例

平成22年8月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
棄却 平成26年4月22日裁決

<ポイント>
本事例は、所有する宅地に隣接する宅地を相当の地代を支払い借り受けている場合において、相当の地代を支払って借り受けている借地権の価額は零と評価されるが、当該借地権は土地を専属的に利用できる権利であるから、所有する宅地と当該借地権が一体で利用されている場合には、これらを併せた全体を評価単位(1画地の宅地)として一体で評価することが相当であるとしたものである。

<要旨>
請求人らは、相続により取得し、隣接する各借地(本件各借地)とともに貸家の敷地として利用していた宅地(本件宅地)の価額について、本件各借地に係る借地権は、相当の地代の支払により、その価額が零とされ財産的価値がないものであるから、財産的価値がない使用借権が設定された場合と同様に、本件宅地のみを財産評価基本通達7-2《評価単位》(1)に定める評価単位(1画地の宅地)として評価すべきと主張する。

しかしながら、本件各借地に係る借地権は、借地借家法上の借地権であり、被相続人は、本件各借地を継続的かつ専属的に利用できる権利を有し、相続開始日において、本件宅地と本件各借地を併せて、貸家の敷地としてその全体を一体として利用していたものであるから、借主の死亡が終了原因とされ、人的つながりのみを基盤とする使用借権が設定された場合と同一にみることはできないので、本件宅地の価額は、隣接する本件各借地と併せた全体を評価単位(1画地の宅地)として評価することが相当である。

★リンクはこちら⇒ 所有する宅地とその宅地に隣接する相当の地代を支払って借り受けている借地権は、一体で評価することが相当であるとした事例

2015年4月15日

平成26年10月~12月分の基準年利率

平成26年5月15日付課評2-13「平成26年分の基準年利率について」(法令解釈通達)について、平成26年10月分から12月分の基準年利率が定められ、リンクのとおり改正されたので、これによる必要がある。

長期は変化はないが、短期と中期は下がっている。

★リンクはこちら⇒ 「平成26年分の基準年利率について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-1)

2015年1月23日

平成26年11月、12月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成26年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-3)が公表された。

今回は平成26年11月及び12月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成26年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-3)

2015年1月22日

平成26年分贈与税の申告書等の様式一覧・平成26年分贈与税の申告のしかた

国税庁は、「平成26年分贈与税の申告書等の様式一覧・平成26年分贈与税の申告のしかた」をホームページに掲載した。
これは、贈与税の申告書及び申告のしかた並びに添付書類等について掲載している。

贈与税の申告書は、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までの間に提出すること。
なお、提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限となる。

★リンクはこちら⇒ 平成26年分贈与税の申告書等の様式一覧・平成26年分贈与税の申告のしかた

2014年12月22日

平成26年9月、10月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成26年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-51)が公表された。

今回は平成26年9月及び10月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成26年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-51)

2014年12月17日

相続税の申告要否の簡易判定シート(平成27年分用)

国税庁は、『相続税の申告要否の簡易判定シート(平成27年分用)』を作成した。
これは、法定相続人の数及びおおよその財産価額を入力することにより、相続税の申告の要否を確認するものである。
利用の際は、『相続税のあらまし(平成27年分用)』と併せて利用すること。

なお、入力したおおよその財産価額を基に申告の要否を確認するので、確認結果は、あくまでも目安(概算)となることに留意すること。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告要否の簡易判定シート(平成27年分用)

2014年12月11日

相続税のあらまし(平成27年分用)

国税庁は、『相続税のあらまし(平成27年分用)』を作成した。
これは、相続税の仕組みを簡単に説明したものである。

(注)
この相続税のあらましは、平成26年4月1日現在の法律等に基づいて作成している。
また、平成26年分以前は、相続税の基礎控除額などが異なるので、注意すること。

★リンクはこちら⇒ 相続税のあらまし(平成27年分用)

2014年12月9日

農地中間管理機構に賃貸借により貸し付けられている農地の評価

【照会要旨】
農地中間管理機構に賃貸借により貸し付けられている農地はどのように評価するのか?

【回答要旨】
農地中間管理事業の推進に関する法律第2条第4項に規定する農地中間管理機構に賃貸借により貸し付けられている農地の価額は、その農地の自用地としての価額からその価額に100分の5を乗じて計算した金額を控除した価額によって評価する。
(注)
農地法第3条第1項第14号の2の規定に基づき貸し付けられている農地のうち、賃貸借期間が10年未満のものを除く。
(理由)
農地中間管理機構に貸し付けられている農地の賃貸借については、農地法第17条(農地または採草放牧地の賃貸借の更新)本文の賃貸借の法定更新の規定の適用が除外され、また、同法第18条(農地または採草放牧地の賃貸借の解約等の制限)第1項本文の規定の適用が除外されるなど、いわゆる耕作権としての価格が生じるような強い権利ではない。
このため、農地中間管理機構に賃貸借により貸し付けられている農地の価額は、その農地の自用地としての価額から、その価額に100分の5を乗じて計算した金額を控除した価額によって評価する。
なお、農地法第3条第1項第14号の2の規定に基づき農地中間管理機構に貸し付けられている農地のうち、賃貸借期間が10年未満のものについては、農地法第17条本文及び同法18条第1項本文の規定が適用されるので、耕作権の目的となっている農地として評価する。
(注)
農地中間管理事業の推進に関する法律に基づく農用地利用配分計画の認可の公告により設定された賃借権の価額については、相続税または贈与税の課税価格に算入する必要はない。

2014年11月27日

老人ホームへの入所により空家となっていた建物の敷地についての小規模宅地等の特例(平成26年1月1日以後に相続または遺贈により取得する場合の取扱い

【照会要旨】
被相続人は、介護保険法に規定する要介護認定を受け、居住していた建物を離れて特別養護老人ホーム(老人福祉法第20条の5)に入所したが、一度も退所することなく亡くなった。
被相続人が特別養護老人ホームへの入所前まで居住していた建物は、相続の開始の直前まで空家となっていたが、この建物の敷地は、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当するのか?

【回答要旨】
照会のケースにおける、被相続人が所有していた建物の敷地は、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当することになる。
(理由)
平成25年度の税制改正において、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった宅地等の場合であっても、①被相続人が、相続の開始の直前において介護保険法等に規定する要介護認定等を受けていたこと及び②その被相続人が老人福祉法等に規定する特別養護老人ホーム等(以下「老人ホーム等」という。)に入居または入所(以下「入居等」という。)していたことという要件を満たすときには、その被相続人により老人ホーム等に入居等をする直前まで居住の用に供されていた宅地等(その被相続人の特別養護老人ホーム等に入居等後に、事業の用または新たに被相続人等(被相続人またはその被相続人と生計を一にしていた親族をいう。以下同じ。)以外の者の居住の用に供されている場合を除く。)については、被相続人等の居住の用に供されていた宅地等に当たることとされた。

なお、この改正後の規定は、平成26年1月1日以後に相続または遺贈により取得する場合について適用されている。
(注)
被相続人が介護保険法等に規定する要介護認定等を受けていたかどうかは、その被相続人が、その被相続人が相続の開始の直前において要介護認定等を受けていたかにより判定する。
したがって、老人ホーム等に入居等をする時点において要介護認定等を受けていない場合であっても、その被相続人が相続の開始の直前において要介護認定等を受けていれば、老人ホーム等に入居等をする直前まで被相続人の居住の用に供されていた建物の敷地は、相続の開始の直前においてその被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当することになる。

2014年11月25日

平成26年7月~9月分の基準年利率

平成26年中に相続、遺贈または贈与により取得した財産を評価する場合における財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56ほか1課共同)4-4に定める「基準年利率」であるが、平成26年5月15日付課評2-13「平成26年分の基準年利率について」(法令解釈通達)について、平成26年7月分から9月分の基準年利率が定められ、リンクのとおり定められたので、これによる必要がある。

短期・中期・長期ともに横バイである。

★リンクはこちら⇒ 「平成26年分の基準年利率について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-46)

2014年10月22日

平成26年7月、8月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成26年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-44)が公表された。

今回は平成26年7月及び8月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成26年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-44)

2014年10月20日

平成26年4月~6月分の基準年利率

平成26年中に相続、遺贈または贈与により取得した財産を評価する場合における財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56ほか1課共同)4-4に定める「基準年利率」であるが、平成26年5月15日付課評2-13「平成26年分の基準年利率について」(法令解釈通達)について、平成26年4月分から6月分の基準年利率が定められ、リンクのとおり定められたので、これによる必要がある。

短期・中期・長期ともに下落傾向である。

★リンクはこちら⇒ 「平成26年分の基準年利率について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-29)

2014年10月17日

平成26年5月、6月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成26年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-37)が公表された。

今回は平成26年5月及び6月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成26年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-37)

2014年10月16日

相続税の申告のためのチェックシート(平成26年分以降用)

国税庁は、相続税の申告のためのチェックシート(平成26年分以降用)を公表した。
このチェックシートは、相続税の申告書が正しく作成されるよう、一般に誤りやすい事項をまとめたものである。
申告書作成に際しては、このチェックシートでチェックのうえ、申告書に添付して提出するよう呼びかけている。

なお、「(平成26年1月1日以降用)非上場株式等についての相続税の納税猶予の特例のチェックシート」も別途用意されている。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告のためのチェックシート(平成26年分以降用)

2014年10月2日

評価倍率表(一般の土地等用)の説明(牧場、池沼欄)

評価倍率は、路線価が定められていない地域の土地等を評価する場合に用いる。

音順 町(丁目)又は大字名 適用
地域名
借地権
割合
固定資産税評価額に乗ずる倍率等
宅地 山林 原野 牧場 池沼

牧場、池沼欄には、その地域の「牧場」及び「池沼」の価額を評価する場合における評価方式及び固定資産税評価額に乗ずる倍率を記載している。

2014年8月28日

評価倍率表(一般の土地等用)の説明(原野欄)

評価倍率は、路線価が定められていない地域の土地等を評価する場合に用いる。

音順 町(丁目)又は大字名 適用
地域名
借地権
割合
固定資産税評価額に乗ずる倍率等
宅地 山林 原野 牧場 池沼

原野欄には、その地域の「原野」の価額を評価する場合における原野の分類、評価方式及び固定資産税評価額に乗ずる倍率を記載している。

なお、原野の分類等は、以下に掲げる略称を用いて記載している。

原野の分類等 略称
純原野
中間原野
市街地原野 比準又は市比準

(注)
「比準」及び「市比準」と表示してある地域は、付近の宅地の価額に比準(「宅地比準方式」という。)して評価する地域である。

2014年8月27日

評価倍率表(一般の土地等用)の説明(山林欄)

評価倍率は、路線価が定められていない地域の土地等を評価する場合に用いる。

音順 町(丁目)又は大字名 適用
地域名
借地権
割合
固定資産税評価額に乗ずる倍率等
宅地 山林 原野 牧場 池沼

山林欄には、その地域の「山林」の価額を評価する場合における山林の分類、評価方式及び固定資産税評価額に乗ずる倍率を記載している。

なお、山林の分類等は、以下に掲げる略称を用いて記載している。

山林の分類等 略称
純山林
中間山林
市街地山林 比準又は市比準

(注)
「比準」及び「市比準」と表示してある地域は、付近の宅地の価額に比準(「宅地比準方式」という。)して評価する地域である。

2014年8月26日

評価倍率表(一般の土地等用)の説明(田、畑欄)

評価倍率は、路線価が定められていない地域の土地等を評価する場合に用いる。

音順 町(丁目)又は大字名 適用
地域名
借地権
割合
固定資産税評価額に乗ずる倍率等
宅地 山林 原野 牧場 池沼

田、畑欄には、その地域の「田」、「畑」の価額を評価する場合における農地の分類、評価方式及び固定資産税評価額に乗ずる倍率を記載している。

なお、農地の分類等は、以下に掲げる略称を用いて記載している。

農地の分類等 略称
純農地
中間農地
市街地周辺農地 周比準
市街地農地 比準又は市比準

(注)
「比準」、「市比準」及び「周比準」と表示してある地域は、付近の宅地の価額に比準(「宅地比準方式」という。)して評価する地域である。

2014年8月25日

評価倍率表(一般の土地等用)の説明(宅地欄)

評価倍率は、路線価が定められていない地域の土地等を評価する場合に用いる。

音順 町(丁目)又は大字名 適用
地域名
借地権
割合
固定資産税評価額に乗ずる倍率等
宅地 山林 原野 牧場 池沼

宅地欄には、その町(丁目)又は大字の地域の「宅地」の価額を評価する場合における固定資産税評価額に乗ずる倍率を記載しているが、「路線」と表示してあるのは、その地域が路線価地域であることを示している。

ただし、農用地区域又は市街化調整区域内に存する農業用施設用地の価額は、財産評価基本通達24-5(農業用施設用地の評価)の定めによって評価する。

2014年8月22日

評価倍率表(一般の土地等用)の説明(借地権割合欄)

評価倍率は、路線価が定められていない地域の土地等を評価する場合に用いる。

音順 町(丁目)又は大字名 適用
地域名
借地権
割合
固定資産税評価額に乗ずる倍率等
宅地 山林 原野 牧場 池沼

借地権割合欄には、倍率地域におけるその町(丁目)又は大字の地域につき、「借地権」の価額を評価する場合の借地権割合を掲げている。

(注)
路線価地域の借地権割合については、路線価図を参照のこと。
なお、例えば路線価地域で2路線以上に面する場合の借地権割合又は路線価地域と倍率地域が接続する地域の借地権割合は、原則として、路線価地域の正面路線価に表示してある借地権割合による。

2014年8月21日

評価倍率表(一般の土地等用)の説明(適用地域名欄)

評価倍率は、路線価が定められていない地域の土地等を評価する場合に用いる。

音順 町(丁目)又は大字名 適用地域名 借地権
割合
固定資産税評価額に乗ずる倍率等
宅地 山林 原野 牧場 池沼

適用地域名欄に、「全域」とある場合には、その町(丁目)又は大字の全域が路線価地域又は倍率地域であることを示している。
また、「一部」又は「路線価地域」とある場合には、その町(丁目)又は大字の地域に路線価地域と倍率地域が存在することを示している。
したがって、この場合には、路線価図により、その評価しようとする土地等が路線価地域又は倍率地域のいずれに所在するかを確認する必要がある。

2014年8月12日

評価倍率表(一般の土地等用)の説明(町(丁目)又は大字名欄)

評価倍率は、路線価が定められていない地域の土地等を評価する場合に用いる。

音順  町(丁目)
又は大字名
適用
地域名
借地権
割合
固定資産税評価額に乗ずる倍率等
宅地 山林 原野 牧場 池沼

町(丁目)又は大字名欄には、市区町村ごとに、町(丁目)又は大字名を五十音順に記載している。

2014年8月11日

財産評価基本通達の一部改正について」通達のあらまし(受益証券発行信託証券等の評価)

1.通達制定の趣旨
金融商品取引所に上場されている受益証券発行信託の受益証券(注)(「ETN」と呼称される「指標連動証券」等)が近時増加していることから、その評価方法を明らかにした。
(注)
「受益証券発行信託」は、1又は2以上の受益権を表示する証券(受益証券)を発行する旨の定めがある信託をいう(信託法185①)。
受益証券発行信託の受益証券のうち、ETN(指標連動証券)は、その価額が株価指数・商品指数等の特定の指標に連動し、発行者がその信用力を基に発行する債券である。

2.通達の内容
金融商品取引所に上場されている受益証券発行信託の受益証券については、①上場株式と同様に、金融商品取引所において取引され、日々の取引価格及び最終価格の月平均額が公表されていること、②上場株式における権利落又は配当落に相当する事象が生じることから、評価通達169から評価通達172までの定めに準じて評価することとした。
また、金融商品取引所に上場されている受益証券発行信託の受益証券については、株式に係る配当期待権に相当する金銭分配期待権が生じることから、この金銭分配期待権の価額について、評価通達193の定めに準じて評価することとした。

2014年7月17日

財産評価基本通達の一部改正について」通達のあらまし(証券投資信託受益証券の評価)

1.従来の取扱い
金融商品取引所に上場されている証券投資信託の受益証券については、評価通達169及び評価通達171の(1)の定めに準じて評価することとしていた。

2.通達改正の概要
金融商品取引所に上場されている証券投資信託の受益証券については、上場株式における権利落又は配当落に相当する事象が生じることから、これらを評価方法に反映させるため、評価通達170、評価通達171の⑵及び⑶並びに評価通達172の定めに準じて評価することとした。
また、金融商品取引所に上場されている証券投資信託の受益証券については、株式に係る配当期待権に相当する金銭分配期待権が生じることから、この金銭分配期待権の価額について、評価通達193の定めに準じて評価することとした。

2014年7月15日

財産評価基本通達の一部改正について」通達のあらまし(上場新株予約権の評価)

1.通達制定の趣旨
上場会社が、既存株主全員に対して新株予約権無償割当て(会社法277)を行い、その新株予約権自体が金融商品取引所に上場される事例が近時増加していることから、その評価方法を明らかにした。

(参考) 新株予約権の上場の概要
新株予約権の上場は、一般的に、上場会社が、ライツ・オファリングと呼ばれる新株予約権を利用した資金調達方法を採用する場合に行われる。
ライツ・オファリングとは、上場会社である発行会社が、既存株主全員に対して新株予約権無償割当てを行い、割当てを受けた既存株主が新株予約権を行使して所定の権利行使価額を払い込むことにより発行会社から上場株式の交付を受け、この払い込まれた金銭が発行会社の調達資金となる仕組みによる資金調達方法である。
また、この新株予約権が上場されることから、新株予約権の割当てを受けた既存株主は、新株予約権を行使する代わりに、これを市場で売却することによってその対価を取得することもできる。

2.通達の内容
新株予約権無償割当てにより株主に割り当てられた新株予約権のうち、①金融商品取引所に上場されているもの及び②上場廃止後権利行使期間内にあるものを「上場新株予約権」と定義し(注)、以下の区分に従い、それぞれ以下のように評価することとした。
(注)
上場新株予約権の評価を新設することに伴い、ストックオプションの定義から上場新株予約権に該当するものを除く改正を行った。

(1)新株予約権が上場期間内にある場合
その新株予約権が上場されている金融商品取引所の公表する課税時期の最終価格(注1)と上場期間中の新株予約権の毎日の最終価格の平均額(注2)のいずれか低い価額によって評価する(負担付贈与または個人間の対価を伴う取引により取得した場合を除く(注3)。)。
(注1)
課税時期に金融商品取引所の公表する最終価格がない場合には、課税時期前の最終価格のうち、課税時期に最も近い日の最終価格とする。
(注2)
上場新株予約権の評価に当たっては、①上場株式の評価と同様に、一時点における需給関係による偶然性を排除して評価する必要があること、及び②上場新株予約権の上場期間が2か月程度と比較的短期間であることを考慮し、課税時期における最終価格に加え、上場期間中の毎日の最終価格の平均額を採用することとした。
(注3)
負担付贈与等による財産の取得は、一般の売買取引に準じた対価を伴う経済取引行為であるため、一般の相続や贈与による財産の取得のような偶発的な無償取得であること等に配慮した評価上のしんしゃくは不要であると考えられることから、負担付贈与等により取得した上場新株予約権については、原則的な評価方法である課税時期における最終価格によることとした。

(2)上場廃止された新株予約権が権利行使期間内にある場合
課税時期におけるその目的たる株式の価額から権利行使価額を控除した金額に、新株予約権1個の行使により取得できる株式数を乗じて計算した金額(その金額が負数のときは、0とする。)によって評価する。
ただし、権利行使期間内に権利行使されなかった新株予約権について、発行法人が事前に定めた算定式に基づく価格により取得する旨の条項が付されている場合には、上記の金額と取得条項に基づく取得価格のいずれか低い金額によって評価する。

2014年7月10日

財産評価基本通達の一部改正について」通達のあらまし(気配相場等のある株式の評価)

1.従来の取扱い
「気配相場等のある株式」のうち、「公開途上にある株式」については、以下のいずれかに該当する株式をいうこととしていた。

(1) 金融商品取引所が内閣総理大臣に対して株式の上場の届出を行うことを明らかにした日から上場の日の前日までのその株式(登録銘柄を除く。)
(2) 日本証券業協会が株式を登録銘柄として登録することを明らかにした日から登録の日の前日までのその株式(店頭管理銘柄を除く。)

また、公開途上にある株式の公開価格については、金融商品取引所または日本証券業協会の内規によって行われる入札により決定される入札後の公募等の価格をいうこととしていた。

2.通達改正の概要
公開途上にある株式に該当する期間の始期について、株式取引の実態を踏まえ、「金融商品取引所が内閣総理大臣に対して株式の上場の届出を行うことを明らかにした日」から「金融商品取引所が株式の上場を承認したことを明らかにした日」に改めた。
また、公開途上にある株式の公開価格については、現在、入札方式とブックビルディング方式(注)のいずれかの方法により決定されていることから、株式の公開価格の定義を「金融商品取引所又は日本証券業協会の内規によって行われるブックビルディング方式又は競争入札方式のいずれかの方式により決定される公募等の価格」に改めた。

(注)「ブックビルディング方式」は、機関投資家の意見を基に仮条件を決定し、この仮条件を基に投資家が提示した価格、購入株式数により公開価格を決定する方式である。

2014年7月8日

平成26年分路線価

2014年7月1日に路線価が発表された。

我が香川県は22年連続下落のようである。高松市の最高路線価も1992年の445万円から2014年は31万円となっており、7%以下になっている。

路線価とは、1月1日時点の路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額(千円単位で表示している。)のことであり、路線価が定められている地域の土地等を評価する場合に用いる。
なお、路線価が定められていない地域については、その市区町村の「評価倍率表」を閲覧のこと。
相続税または贈与税の申告に際し、路線価の設定されていない道路のみに接している宅地の評価をするために、特定路線価の設定の申出が必要となる場合がある。

ちなみに、路線価は、不動産鑑定士による鑑定評価や売買実績を参考にしており、公示価格の8割程度と言われている。

★リンクはこちら⇒ 平成26年分の路線価図等

2014年7月2日

平成26年3月、4月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成26年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-26)が公表された。

1週間ほど前に、1月及び2月分が公表されたが、なぜ同時の公表でないか疑問ではある。

今回は平成26年3月及び4月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成26年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-23)

2014年6月25日

子の結婚式及び披露宴の費用を親が負担した場合、贈与税の課税対象となるか?

結婚式・披露宴の費用を誰(子(新郎・新婦)、その親(両家))が負担するかは、その結婚式・披露宴の内容、招待客との関係・人数や地域の慣習などによって様々であると考えられるが、それらの事情に応じて、本来費用を負担すべき者それぞれが、その費用を分担している場合には、そもそも贈与には当たらないことから、贈与税の課税対象とならない。

2014年6月24日

数年間分の「生活費」または「教育費」を一括して贈与を受けた場合、贈与税の課税対象となるか?

贈与税の課税対象とならない生活費または教育費は、生活費または教育費として必要な 都度直接これらの用に充てるために贈与を受けた財産である。

したがって、数年間分の生活費または教育費を一括して贈与を受けた場合において、その財産が生活費または教育費に充てられずに預貯金となっている場合、株式や家屋の購入費用に充てられた場合等のように、その生活費または教育費に充てられなかった部分については、贈与税の課税対象となる。

(注)
「教育費」については、別途、「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税(措法第70条の2の2)」が設けられている。

2014年6月19日

平成26年1月、2月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成26年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-21)がようやく公表された。

今回は平成26年1月及び2月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成26年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-21)

2014年6月18日

財産評価基本通達の一部改正(法令解釈通達)

昭和39年4月25日付直資56ほか1課共同「財産評価基本通達」の一部を下記のとおり改正し、平成26年1月1日以後に相続、遺贈または贈与により取得した財産の評価に適用することとなったので、これによる必要がある。

<趣旨>
最近の立木価格の実態に即して所要の改正を行うものである。

<記>
別表2「主要樹種の森林の立木の標準価額表等」に定める「6 標準伐期にある森林の立木の標準価額表」をリンクのとおり改める。

★リンクはこちら⇒ 財産評価基本通達の一部改正について(法令解釈通達)

2014年6月5日

平成26年1月~3月分の基準年利率

平成26年中に相続、遺贈または贈与により取得した財産を評価する場合における財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56ほか1課共同)4-4に定める「基準年利率」であるが、平成26年5月15日付課評2-13「平成26年分の基準年利率について」(法令解釈通達)について、平成26年1月分から3月分の基準年利率が定められ、リンクのとおり定められたので、これによる必要がある。

短期・中期・長期ともに下がっている。

★リンクはこちら⇒ 平成26年分の基準年利率について(法令解釈通達)

2014年6月3日

平成26年分の路線価図等の閲覧

相続税・贈与税の土地などの評価に用いる平成26年分の路線価図等の閲覧は、7月1日(火)からを予定している。

  • 路線価図等は、自宅などでインターネットにより閲覧できる。
    国税庁ホームページでは、全国の過去3年分の路線価図等が閲覧できる。
    http://www.rosenka.nta.go.jp/index.htm
  • 全国の国税局・税務署でもパソコンにより閲覧できる。
    ただし、混雑時はお待ちいただく場合がある。

2014年5月26日

相続税法施行令第8条第1号に規定する判決は、請求人が訴訟当事者である判決に限られるとした事例

<要旨>
請求人は、共同相続人Eが原告となって提起した、相続財産として申告していた貸付金のうち原告の法定相続分に相当する金員の支払を求める貸金請求訴訟において、当該貸付金の存在を認めることはできないとして原告の請求を棄却する旨の判決(本件判決)が確定し、本件判決は相続税法施行令(平成17年政令第37号による改正前のもの)第8条《更正の請求の対象となる事由》第1号に規定する判決に該当するから、相続税法(平成16年法律第147号による改正前のもの)第32条《更正の請求の特則》第5号の規定に基づいて行った更正の請求を認めるべきである旨主張する。

しかしながら、国税通則法第23条《更正の請求》第2項第1号は、判決が確定したことを要件としており、同号に規定する判決は、更正の請求をする者が訴訟当事者である判決に限られるものと解されるところ、相続税法施行令第8条第1号が、平成15年度税制改正により相続税法第32条の更正の請求の特則事由として追加された改正趣旨は、同号の事由が、国税通則法第23条第2項の規定により、期限なしに更正の請求ができる事由であることから、税額の減額には対応できるが、その影響で他の相続人の税額が増加することとなる場合の増額の処分を可能とする規定が国税通則法にはないため、相続税法第32条においてこれを更正の請求の特則事由として特記することにより、相続税法第35条《更正及び決定の特則》第3項の規定による他の相続人に対する増額処分も可能とするためであると解されることからすれば、相続税法施行令第8条第1号に規定する判決は、国税通則法第23条第2項第1号に規定する判決と同義のものといえるから、更正の請求をする者が訴訟当事者である判決に限られるものと解される。これを本件についてみると、本件判決は、共同相続人Eが提起した貸金請求事件の判決であり、請求人が訴訟当事者ではない判決であるから、請求人にとって相続税法施行令第8条第1号に規定する判決には該当しない。

★リンクはこちら⇒ 相続税法施行令第8条第1号に規定する判決は、請求人が訴訟当事者である判決に限られるとした事例

2014年5月23日

請求人らの主張する鑑定評価額は、相続開始日現在の時価を表しているとは認められないことから、財産評価基本通達に定める評価方法により評価することが相当であるとした事例

<要旨>
請求人らは、請求人らの一人が相続により取得した土地(本件土地)について、請求人らの依頼による鑑定評価額(本件鑑定評価額)は、本件相続開始日における本件土地の時価であり、財産評価基本通達(評価通達)による評価額は本件鑑定評価額を上回っているから、評価通達の定めによらないことが正当と認められる特別の事情があるので、本件土地の価額は、本件鑑定評価額に基づき評価すべきである旨主張する。

しかしながら、本件鑑定評価額は、開発法による価格を重視し、比準価格を比較考量して決定されているところ、まる1比準価格及び規準価格の試算において考慮されている減価40%(当該宅地の画地規模が大きいことに伴い市場参加者が限定されることによる減価)の必要性が認められないこと、まる2開発法による価格は上記まる1の減価40%を除いて試算した比準価格及び規準価格と大きく乖離することから、いずれの試算価格も合理性が認められないので、本件鑑定評価額は、本件相続開始日における本件土地の客観的交換価値を表しているとは認められない。したがって、本件土地の価額について、評価通達の定めによらないことが正当と認められる特別の事情はないといえるので、本件土地の価額は、評価通達に定められた評価方法により評価すべきである。

 ★リンクはこちら⇒ 請求人らの主張する鑑定評価額は、相続開始日現在の時価を表しているとは認められないことから、財産評価基本通達に定める評価方法により評価することが相当であるとした事例

2014年5月19日

「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部改正について(法令解釈通達)

平成2年12月27日付直評23ほか1課共同「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部を別紙1及び別紙2のとおり改正し、別紙1については、平成26年4月1日以後に相続、遺贈または贈与により取得した財産の評価から適用することとし、別紙2については、平成26年10月1日以後に相続、遺贈または贈与により取得した財産の評価に適用することとなった。

なお、リンクの別紙1及び2のうち、アンダーラインを付した部分が改正部分である。

★リンクはこちら⇒ 「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部改正について(法令解釈通達)

2014年5月7日

請求人が被相続人から承継した連帯保証債務は、相続税法第14条第1項に規定する「確実と認められるもの」には当たらず、債務控除の対象とならないとした事例

<要旨>
請求人は、相続税法第14条《控除すべき債務》第1項に規定する「確実と認められるもの」について、主たる債務者が弁済不能で保証債務の履行が必要であり、保証債務履行後の求償権の行使が不可能であるという条件が相続開始日に現実に存在しているだけでなく、相続開始日における主たる債務者の財産状態や信用能力を客観的に観察した結果、当該条件に該当する事実が潜在的に存在する場合にも、保証債務は同項に規定する「確実と認められるもの」に当たるという解釈を前提に、本件における被相続人(本件被相続人)が代表社員に就任したN社及びQ社(本件各会社)の金融機関からの借入れに係る本件被相続人の各連帯保証債務は、同項に規定する「確実と認められるもの」に当たる旨主張する。

しかしながら、保証債務が相続税法第14条第1項に規定する「確実と認められるもの」に該当するのは、相続開始時点を基準として、主たる債務者がその債務を弁済することができないため保証人がその債務を履行しなければならない場合で、主たる債務者に求償しても補填を受ける見込みがないことが客観的に認められる場合に限られることからすると、請求人の同項に規定する「確実と認められるもの」の解釈は、保証債務一般の性質を述べるものであって、正当な解釈とはいえない。本件各会社は、本件被相続人の相続開始日において、債務超過の状況にはなく、また、各金融機関に対して弁済条件に従った返済を行っていることなどからすると、本件各会社が債務を弁済することができないため、保証人である本件被相続人がその債務を弁済しなければならい場合であったとは認められない。

★リンクはこちら⇒ 請求人が被相続人から承継した連帯保証債務は、相続税法第14条第1項に規定する「確実と認められるもの」には当たらず、債務控除の対象とならないとした事例

2014年4月25日

遺留分減殺請求により、価額弁償金を受領した場合の相続税の課税価格に算入すべき価額は、相続税基本通達11の2-10(2)に定める要件を充足した場合には、同(2)に定める計算方法を準用して評価することが相当であるとした事例

<要旨>
原処分庁は、請求人が提起した遺留分減殺請求訴訟(本件訴訟)の判決(本件確定判決)において、①価額弁償の対象となった不動産(本件分割対象不動産)は特定されているが、②価額弁償金の額は、価額弁償の時ではなく、相続開始日における本件分割対象不動産の通常の取引価額を基に決定されていることから、相続税法基本通達11の2-10《代償財産の価額》(2)の定めは適用できない旨主張する。
しかしながら、遺留分減殺請求訴訟において、受贈者又は受遺者が遺留分権利者に対し事実審口頭弁論終結前に裁判所が定めた価額により民法第1041条《遺留分権利者に対する価額による弁償》の規定による遺留分の価額の弁償をなすべき旨の意思表示をした場合、相続税法基本通達11の2-10 (2)を準用する際に用いる上記まる2の「価額弁償の時」とは、「事実審口頭弁論終結の時」と解されるところ、本件確定判決において、本件分割対象不動産の価額につき、「この価額は、請求人提出の相続開始日を価格時点とする不動産鑑定評価書等における価額であり、現時点で、同価額と異なる証拠はないことから、同証拠により価額を認定する」旨判示されていることからすると、本件確定判決において認定された「現時点」の価額は、本件訴訟の控訴審の口頭弁論終結の時を基準日とする価額であると認められ、また、その価額は、その基準日における通常の取引価額であると認められる。

そうすると、本件確定判決は、価額弁償の対象となった財産の価額弁償の時における通常の取引価額を基に価額弁償金の金額を決定しているということができるから、相続税基本通達法11の2-10(2)の定めを適用することが相当である。

★リンクはこちら⇒ 遺留分減殺請求により、価額弁償金を受領した場合の相続税の課税価格に算入すべき価額は、相続税基本通達11の2-10(2)に定める要件を充足した場合には、同(2)に定める計算方法を準用して評価することが相当であるとした事例

2014年4月16日

贈与税の課税対象とならない生活費または教育費に充てるために贈与を受けた財産のうち「通常必要と認められるもの」とは、どのような財産をいうのか?

贈与税の課税対象とならない生活費または教育費に充てるために贈与を受けた財産のうち「通常必要と認められるもの」とは、贈与を受けた者(被扶養者)の需要と贈与をした者(扶養者)の資力その他一切の事情を勘案して社会通念上適当と認められる範囲の財産をいう。

2014年4月10日

「平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正

平成25年6月3日付課評2-24「平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」(法令解釈通達)の別紙「類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目株価等(平成25年分)」の「A(株価)」欄の12月分については、平成26年1月8日付課評2-3「『平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について』の一部改正について」(法令解釈通達)において定めているところである。

今回、一部の業種目に係る「A(株価)」欄の12月分の金額について誤りがあることが確認されたため、その訂正を行っている(具体的な内容については、平成26年3月17日付課評2-6の一部改正通達をご覧のこと。)。

平成25年12月中に相続または贈与により取引相場のない株式を取得した方については、類似業種比準価額の計算上、①平成25年12月の類似業種の株価、②平成25年11月の類似業種の株価、③平成25年10月の類似業種の株価、④平成24年の類似業種の平均株価(前年平均株価)のうち最も低い株価を類似業種の株価として用いることとなるが、訂正後の平成25年12月の類似業種の株価を基にした場合であっても、121業種目の全てについて、訂正前と同様、平成24年の類似業種の平均株価(前年平均株価)が最も低くなることが確認されたため、今回の改正による影響はない

なお、ご不明な点等があれば、国税庁課税部資産評価企画官審理係まで問い合わせること。

『改正』ではなく、『訂正』のように思いますね。

★リンクはこちら⇒ 「平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正

2014年4月3日

「平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)

平成25年6月3日付課評2-24「平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」(法令解釈通達)の別紙「類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目株価等(平成25年分)」の「A(株価)」欄の12月分については、平成26年1月8日付課評2-3「『平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について』の一部改正について」(法令解釈通達)において定めているところであるが、その金額のうち一部の業種目に対応するものをリンクのとおり改正したから、これによられたい。

★リンクはこちら⇒ 新旧対照表

2014年4月2日

子が居住する賃貸住宅の家賃等を親が負担した場合、贈与税の課税対象となるか?

扶養義務者相互間において生活費に充てるために贈与を受けた場合に、贈与税の課税対象とならない「生活費」とは、その者の通常の日常生活を営むのに必要な費用(教育費を除く。)をいい、通常の日常生活を営むのに必要な費用に該当するかどうかは、贈与を受けた者(被扶養者)の需要と贈与をした者(扶養者)の資力その他一切の事情を勘案して社会通念上適当と認められる範囲かどうかで判断することとなる。

したがって、子が自らの資力によって居住する賃貸住宅の家賃等を負担し得ないなどの事情を勘案し、社会通念上適当と認められる範囲の家賃等を親が負担している場合には、贈与税の課税対象とならない。

2014年3月31日

出産に当たって子が親から検査・検診、分娩・入院に要する費用について贈与を受けた場合、贈与税の課税対象となるか?

扶養義務者相互間において生活費に充てるために贈与を受けた場合に、贈与税の課税対象とならない「生活費」とは、その者の通常の日常生活を営むのに必要な費用(教育費を除く。)をいい、治療費、養育費その他これらに準ずるもの(保険金または損害賠償金により補てんされる部分の金額を除く。)も含まれる。
したがって、出産に要する費用で、検査・検診代、分娩・入院費に充てるために贈与を受けた場合には、これらについては治療費に準ずるものであることから、(保険等により補てんされる部分を除き、)贈与税の課税対象とならない。

また、新生児のための寝具、産着等ベビー用品の購入費に充てるため金銭の贈与を受けた場合についても、生まれてくる子供が通常の日常生活を営むのに必要なものの購入費に充てられている部分については、贈与税の課税対象とならない。

(注)
個人から受ける出産祝の金品は、社交上の必要によるもので贈与をした者と贈与を受けた者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税の課税対象とならない。

2014年3月27日

婚姻に当たって子が親から金品の贈与を受けた場合、贈与税の課税対象となるか?

婚姻に当たって、子が親から婚姻後の生活を営むために、家具、寝具、家電製品等の通常の日常生活を営むのに必要な家具什器等の贈与を受けた場合、またはそれらの購入費用に充てるために金銭の贈与を受け、その全額を家具什器等の購入費用に充てた場合等には、贈与税の課税対象とならない。

なお、贈与を受けた金銭が預貯金となっている場合、株式や家屋の購入費用に充てられた場合等のように、その生活費(家具什器等の購入費用)に充てられなかった部分については、贈与税の課税対象となる。

(注1)
子が親から金品を受け取った場合は、原則として贈与税の課税対象となる。
ただし、扶養義務者相互間において生活費に充てるために贈与を受けた財産のうち通常必要と認められるものであり、必要な都度直接生活費に充てるために贈与を受けた財産については、贈与税の課税対象とならない。
(注2)
個人から受ける結婚祝等の金品は、社交上の必要によるもので贈与をした者と贈与を受けた者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税の課税対象とならない。

2014年3月25日

増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない家屋の評価

<照会要旨>
所有する家屋について増改築を行いましたが、家屋の固定資産税評価額が改訂されていないため、その固定資産税評価額が増改築に係る家屋の状況を反映していない。
このような家屋は、どのように評価するのか。

<回答要旨>
増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない場合の家屋の価額は、増改築等に係る部分以外の部分に対応する固定資産税評価額に、当該増改築等に係る部分の価額として、当該増改築等に係る家屋と状況の類似した付近の家屋の固定資産税評価額を基として、その付近の家屋との構造、経過年数、用途等の差を考慮して評定した価額(ただし、状況の類似した付近の家屋がない場合には、その増改築等に係る部分の再建築価額から課税時期までの間における償却費相当額を控除した価額の100分の70に相当する金額)を加算した価額(課税時期から申告期限までの間に、その家屋の課税時期の状況に応じた固定資産税評価額が付された場合には、その固定資産税評価額)に基づき財産評価基本通達89(家屋の評価)または93(貸家の評価)の定めにより評価する。
なお、償却費相当額は、財産評価基本通達89-2(文化財建造物である家屋の評価)の(2)に定める評価方法に準じて、再建築価額から当該価額に0.1を乗じて計算した金額を控除した価額に、その家屋の耐用年数(減価償却資産の耐用年数等に関する省令に規定する耐用年数)のうちに占める経過年数(増改築等の時から課税時期までの期間に相当する年数(その期間に1年未満の端数があるときは、その端数は、1年とする。))の割合を乗じて計算する。

★リンクはこちら⇒ 増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない家屋の評価

2014年3月19日

贈与税の課税対象とならない「教育費」には、どのようなものがあるのか?

贈与税の課税対象とならない「教育費」とは、子や孫(被扶養者)の教育上通常必要と認められる学資、教材費、文具費、通学のための交通費、学級費、修学旅行参加費等をいい、義務教育に係る費用に限らない。

(注)
個人から受ける入学祝等の金品は、社交上の必要によるもので贈与をした者と贈与を受けた者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税の課税対象とならない。

2014年3月13日

扶養義務者(父母や祖父母)から生活費または教育費の贈与を受けたが贈与税の課税対象となるか?

扶養義務者相互間において生活費または教育費に充てるために贈与を受けた財産のうち「通常必要と認められるもの」については、贈与税の課税対象とならない。

(注1)
「扶養義務者」とは、以下の者をいう。

 配偶者
 直系血族及び兄弟姉妹
 家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった三親等内の親族
 三親等内の親族で生計を一にする者

なお、扶養義務者に該当するかどうかは、贈与の時の状況により判断する。

(注2)
「生活費」とは、その者の通常の日常生活を営むのに必要な費用(教育費を除く。)をいう。また、治療費や養育費その他これらに準ずるもの(保険金または損害賠償金により補てんされる部分の金額を除く。)を含む。

(注3)
「教育費」とは、被扶養者(子や孫)の教育上通常必要と認められる学資、教材費、文具費等をいい、義務教育費に限られない。

2014年3月5日

平成25年10月~12月分の基準年利率

平成26年1月6日付課評2-1「平成25年分の基準年利率について」(法令解釈通達)について、平成25年10月分から12月分の基準年利率が定められ、リンクのとおり改正されたので、これによる必要がある。

短期と長期は変化はないが、中期は下がっている。

★リンクはこちら⇒ 「平成25年分の基準年利率について」の一部改正について(法令解釈通達)

2014年1月24日

平成25年11月、12月分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-3)が公表された。

今回は平成25年11月及び12月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-3)

2014年1月23日

平成25年分の所得税における未分割遺産から生ずる不動産所得に係る取扱い

平成13年7月に相続が開始した被相続人の遺産について、民法第900条第4号ただし書の規定のうち「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1」とするとの部分(民法第900条第4号ただし書前段。以下「嫡出に関する規定」という。)を適用して遺産の分割をすべきかが争われていた遺産分割審判に係る特別抗告事件において、最高裁判所は、平成25年9月4日付の最高裁決定において、嫡出に関する規定は「違憲」との判断(以下「違憲決定」という。)をしたところである。
また、民法の一部を改正する法律(平成25年法律第94号。以下「民法改正法」という。)により、嫡出に関する規定が削除されたところである。
標題のことについては、当該違憲決定及び民法改正法を踏まえ、下記のとおり取りまとめられた。
(注)
民法改正法は、平成25年12月11日に公布・施行され、平成25年9月5日以後に開始された相続について適用することとされている。以下、民法改正法による改正前の民法を「旧民法」、改正後の民法を「新民法」という。

  1. 未分割遺産から生ずる不動産所得の収入金額
    未分割遺産から生ずる不動産所得の収入金額については、以下の区分に応じ、それぞれ以下のとおり取り扱う。
    (1)平成25年9月5日以後に開始された相続の場合
    新民法第900条第4号の規定を適用した相続分に応じて各相続人に帰属する。
    (2)平成25年9月4日以前に開始された相続の場合
    旧民法第900条第4号の規定を適用した相続分に応じて各相続人に帰属する。
    (3)(2)のうち、平成13年7月から平成25年9月4日までの間に開始された相続の場合
    不動産所得の総収入金額の収入すべき時期に応じ、以下のとおり取り扱う。
    ①その収入すべき時期が平成25年9月4日以前である賃貸料等
    旧民法第900条第4号の規定を適用した相続分に応じて各相続人に帰属する。
    ②その収入すべき時期が平成25年9月5日以後である賃貸料等
    嫡出に関する規定がないものとして旧民法第900条第4号の規定を適用した相続分に応じて各相続人に帰属する。
  2. 供託された賃貸料等に係る調整
    上記1の(3)の場合において、未分割遺産から生ずる不動産の賃貸料等が供託され、当該供託に係る供託金の全部または一部についての払渡請求が、平成25年9月5日以後に行われたときは、嫡出に関する規定がないものとして旧民法第900条第4号の規定を適用した相続分により払渡しが行われることとされている(法務省民事局に確認済)。
    このため、その収入すべき時期が平成25年9月4日以前である賃貸料等について供託されている場合には、当該賃貸料等について各相続人が不動産所得の総収入金額に算入した金額の合計額と各相続人に帰属する供託金の額に差額が生じることとなるが、この差額については、平成25年分の不動産所得に係る総収入金額又は必要経費に算入する。

(参考)未分割遺産から生ずる不動産所得の取扱い
相続財産について遺産分割が確定していない場合、その相続財産は各共同相続人の共有に属するものとされ、その相続財産から生ずる所得は、各共同相続人にその相続分に応じて帰属するものとされているところ、未分割遺産から生ずる不動産所得については、遺産分割が確定するまでの間は、各相続人にその法定相続分に応じて帰属することとなる。
遺産分割協議が整い、分割が確定した場合であっても、その効果は未分割期間中の所得の帰属に影響を及ぼさない。

2014年1月10日

平成25年分贈与税の申告書等の様式一覧

国税庁が、『平成25年分贈与税の申告書等の様式一覧』を公表した。

★リンクはこちら⇒ 平成25年分贈与税の申告書等の様式一覧

2014年1月9日

平成25年分贈与税の申告のしかた

国税庁が、『平成25年分贈与税の申告のしかた』を公表した。

★リンクはこちら⇒ 平成25年分贈与税の申告のしかた

2014年1月7日

平成25年9月、10月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-41)が公表された。

今回は平成25年9月及び10月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「「平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-41)

2013年12月19日

被相続人の直系卑属である者が養子となっている場合の相続税の2割加算

<照会要旨>
被相続人甲の子Aの子B(甲の孫)が、甲の養子になっている場合、Bは相続税額の加算の規定の対象となる者に該当するか。

<回答要旨>
相続税の加算の対象となるのは、被相続人の一親等の血族及び配偶者以外の者とされているが、この「一親等の血族」には、被相続人の直系卑属である者であって、その被相続人の養子となっている者は含まないこととされている(相続税法第18条第2項)。
したがって、Bは、相続税の加算の対象となる。
ただし、甲の子A(Bの親)が甲の相続開始以前に死亡し、または相続権を失ったため、BがAの代襲相続人となっている場合は、Bは、相続税の加算の対象とはならない。

2013年11月28日

平成25年7月、8月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-39)が公表された。

今回は平成25年7月及び8月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-39)

2013年10月28日

平成25年7月~9月分の基準年利率

平成25年10月3日付課評2-37「平成25年分の基準年利率について」(法令解釈通達)について、7月分から9月分の基準年利率が定められ、リンクのとおり改正されたので、これによる必要がある。

短期・中期・長期とも変化はない。

★リンクはこちら⇒ 「平成25年分の基準年利率について」の一部改正について(法令解釈通達)

2013年10月22日

贈与税の申告はe-Taxで(平成25年10月)

国税庁は、HPに『贈与税の申告はe-Taxで(チラシ)(平成25年10月)』を掲載した。

★リンクはこちら⇒ 贈与税の申告はe-Taxで(平成25年10月)(既に削除済み)

2013年10月15日

相続税法における民法第900条第4号ただし書前段の取扱いについて(平成25年9月4日付最高裁判所の決定を受けた対応)

平成25年9月4日付最高裁判所の決定(以下「違憲決定」という。)を受け、その趣旨を尊重し、平成25年9月5日以後、申告(期限内申告、期限後申告及び修正申告をいう。)または処分により相続税額を確定する場合(平成13年7月以後に開始された相続に限る。)においては、「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1」とする民法第900条第4号ただし書前段(以下「嫡出に関する規定」という。)がないものとして民法第900条第4号の規定を適用した相続分に基づいて相続税額を計算する。

なお、この取扱いに係る留意事項は、以下のとおり。
1.平成25年9月4日以前に相続税額が確定している場合
違憲決定では、嫡出に関する規定についての違憲判断が「確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼすものでない」旨の判示がなされていることに鑑み、平成25年9月4日以前に、申告または処分(以下「申告等」という。)により相続税額が確定している場合には、嫡出に関する規定を適用した相続分に基づいて相続税額の計算を行っていたとしても、相続税額の是正はできない。
また、嫡出に関する規定を適用した相続分に基づいて、相続税額の計算を行っていることのみでは、更正の請求の事由には当たらない。

2.平成25年9月5日以後に相続税額が確定する場合
(1)平成25年9月4日以前に確定していた相続税額が異動する場合

  • 更正の請求または修正申告の場合
    平成25年9月4日以前に、申告等により相続税額が確定している場合において、同年9月5日以後に、相続人が、財産の申告漏れ、評価誤りなどの理由により、更正の請求書(更正の申出書を含む。)(国税通則法第23条)もしくは修正申告書(国税通則法第19条)を提出する場合または相続税法第32条第1項に掲げる事由により更正の請求書もしくは修正申告書(相続税法第31条)を提出するときには、改めて相続税額を確定する必要がある。これらの新たに確定すべき相続税額の計算に当たっては、嫡出に関する規定がないものとして民法第900条第4号の規定を適用した相続分に基づいて、更正の請求または修正申告に係る相続税額を計算する。
  • 更正または決定の場合
    平成25年9月4日以前に、申告等により相続税額が確定している場合において、同年9月5日以後に、税務署長が、財産の申告漏れ、評価誤りなどの理由により、更正または決定を行うときには、上記イと同様、新たに確定すべき相続税額の計算に当たっては、嫡出に関する規定がないものとして民法第900条第4号の規定を適用した相続分に基づいて、更正または決定に係る相続税額を計算する。

(2)平成25年9月5日以後に新たに相続税額が確定する場合

  • 期限内申告または期限後申告の場合
    平成25年9月5日以後に、相続税の期限内申告書または期限後申告書を提出する場合には、嫡出に関する規定がないものとして民法第900条第4号の規定を適用した相続分に基づいて、期限内申告または期限後申告に係る相続税額を計算する。
  • 決定の場合
    相続税の申告書を提出する義務があると認められる相続人が、当該申告書を提出していなかったことが明らかとなった場合には、嫡出に関する規定がないものとして民法第900条第4号の規定を適用した相続分に基づいて、決定に係る相続税額を計算する。

★リンクはこちら⇒ 相続税法における民法第900条第4号ただし書前段の取扱いについて(平成25年9月4日付最高裁判所の決定を受けた対応)

2013年10月4日

相続税の申告のしかた(平成25年分用)

国税庁は、相続税の申告のしかた(平成25年分用)を公表した。

主な内容は、以下のとおり。

  • 相続税のあらまし
  • 相続税の申告
  • 相続税の納付
  • 相続税の申告書の記載例

リンクはこちら⇒ 相続税の申告のしかた(平成25年分用)

2013年8月22日

平成25年5月、6月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-34)が公表された。

今回は平成25年5月及び6月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

リンクはこちら⇒ 「平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-34)

2013年8月20日

中小企業の経営者に関係する相続税制と手続について

日本公認会計士協会は、平成25年6月4日に開催した常務理事会の承認を受けて「租税調査会研究報告第27号『中小企業の経営者に関係する相続税制と手続について』」を公表した。
本研究報告は、平成23年9月20日付けの諮問事項「中小企業の経営者に関係する税制について調査研究されたい。」に対するものである。

平成22年度税制改正において小規模宅地の特例の改正が行われるとともに、平成23年度税制改正大綱において相続税の基礎控除の引下げ、役員報酬の給与所得控除の削減等が盛り込まれるなど課税の強化が図られており、中小企業の経営者を取り巻く課税環境が変化してきている。
このような状況の中、公認会計士は、中小企業経営者の一支援者として、また、税の専門家として、相続税制の知識が必要となってくると考えられる。
本研究報告では、特に中小企業経営者に関連して問題となりやすい相続税制上の問題について、従前の相続税、贈与税の節税の議論ではなく、中小企業の経営者を取り巻く環境の変化を考慮した事業承継に係る様々な論点について検討を行った。
本研究報告が、我が国の中小企業の経営者を取り巻く環境の変化に伴って生じる事業承継に絡んだリスク対応に利用いただけると幸いである。

リンクはこちら⇒ 中小企業の経営者に関係する相続税制と手続について

2013年7月30日

平成24年度の相続税の物納申請・処理等の状況

国税庁は、『相続税の物納処理状況等(平成3年度から平成24年度)』と『相続税の延納処理状況等(平成3年度から平成24年度)』を公表した。

物納も延納も減少している。

物納のリンクはこちら⇒ 相続税の物納処理状況等(平成3年度から平成24年度)
延納のリンクはこちら⇒ 相続税の延納処理状況等(平成3年度から平成24年度)

2013年7月24日

平成25年4月~6月分の基準年利率

平成25年7月1日付課評2-32「平成25年分の基準年利率について」(法令解釈通達)について、4月分から6月分の基準年利率が定められ、リンクのとおり改正されたので、これによる必要がある。

短期・中期・長期とも上昇傾向にある。

リンクはこちら⇒ 「平成25年分の基準年利率について」の一部改正について(法令解釈通達)

2013年7月18日

平成25年分路線価

2013年7月1日に路線価が発表された。

我が香川県は21年連続下落のようである。高松市の最高路線価も1992年の445万円から2011年は31万円となっており、7%以下になっている。

路線価とは、1月1日時点の路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額(千円単位で表示している。)のことであり、路線価が定められている地域の土地等を評価する場合に用いる。
なお、路線価が定められていない地域については、その市区町村の「評価倍率表」を閲覧のこと。
相続税または贈与税の申告に際し、路線価の設定されていない道路のみに接している宅地の評価をするために、特定路線価の設定の申出が必要となる場合がある。
路線価は、不動産鑑定士による鑑定評価や売買実績を参考にしており、公示価格の8割程度と言われている。

リンクはこちら⇒ 平成25年分路線価図(既に削除済み)

2013年7月2日

平成25年3月、4月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-26)が公表された。

半月ほど前に、1月及び2月分が公表されたが、なぜ同時の公表でないか疑問ではある。

今回は平成25年3月及び4月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

リンク先は以下のとおりである。
「平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-26)

2013年6月27日

平成25年1月、2月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-24)がようやく公表された。

今回は平成25年1月及び2月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

リンク先は以下のとおりである。
「平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-24)

2013年6月14日

「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部改正(法令解釈通達)(平成25年5月27日)

平成2年12月27日付直評23ほか1課共同「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部を改正し、平成25年5月27日以後に相続、遺贈または贈与により取得した財産の評価から適用することになったので、今後はこれによる。

大会社の株式保有割合による株式保有特定会社の判定基準について、大会社も、従来の25%以上から50%以上となった。

「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部改正について(法令解釈通達)

2013年6月7日

財産評価基本通達の一部改正(法令解釈通達)(平成25年5月27日)

昭和39年4月25日付直資56ほか1課共同「財産評価基本通達」の一部が以下のとおり改正され、相続、遺贈または贈与により取得した財産の評価に適用することになったので、今後はこれによることになる。

<趣旨>
財産評価基本通達189*10(2)における大会社の株式保有割合による株式保有特定会社の判定基準について東京高等裁判所平成25年2月28日判決があったことを受け、現下の上場会社の株式等の保有状況等に基づき、所要の改正(大会社も、従来の25%以上から50%以上へ)を行うものである。

財産評価基本通達の一部改正について(法令解釈通達)

2013年6月5日

平成25年1月~3月分の基準年利率

平成25年5月16日付課評2-16「平成25年分の基準年利率について」(法令解釈通達)について、1月分から3月分の基準年利率が定められ、リンクのとおり改正されたので、これによる必要がある。

また、4月分以降については、基準年利率を定めた都度通達される。

なお、複利も同様である。

平成25年分の基準年利率について(法令解釈通達)

2013年6月3日

教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置のQ&A(追加)

2013年4月1日から2015年12月31日までに教育資金を一括贈与した場合に贈与税が非課税措置となることが、平成25年度税制改正で決まったが、文部科学省がQ&Aを追加した(13問⇒28問)。

教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置について

2013年5月20日

仙台国税局管内の平成24年分の評価倍率表の訂正

平成24年7月2日(月)から国税庁ホームページに掲載している平成24年分の路線価図及び評価倍率表のうち、仙台国税局管内の評価倍率表の一部(岩手県・宮城県・福島県の一部)について誤りがあり、訂正されている。

具体的な内容については、路線価図等の正誤表を参照のこと。
仙台国税局管内の平成24年分の評価倍率表の訂正について

2013年5月9日

平成25年分の路線価図等の閲覧

相続税・贈与税の土地などの評価に用いる平成25年分の路線価図等の閲覧は、平成25年7月1日(月)から予定されている。

路線価図等は、自宅などでインターネットにより閲覧できる。国税庁ホームページでは、全国の過去3年分の路線価図等が閲覧できる。
国税庁ホームページ『路線価図』

また、全国の国税局・税務署でもパソコンにより閲覧できる。

2013年4月25日

直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税に関するQ&A

所得税法等の一部を改正する法律(平成25年法律第5号)、租税特別措置法施行令の一部を改正する政令(平成25年政令第114号)及び租税特別措置法施行規則の一部を改正する省令(平成25年財務省令第21号)により、創設された「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」について、国税庁がQ&Aを取りまとめた。

直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税に関するQ&A

2013年4月23日

教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置のQ&A

2013年4月1日から2015年12月31日までに教育資金を一括贈与した場合に贈与税が1500万円まで非課税措置となることが、平成25年度税制改正で決まったが、文部科学省がQ&Aを公表した。

教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置について

2013年4月5日

財産評価基本通達の一部改正(案)に対する意見公募手続の実施

先日の高裁の判決を受けて、国税庁が財産評価基本通達を改正しようとしている。

パブコメの期間は、2013年4月2日から5月1日である。

<改正の背景>
取引相場のない株式の発行会社の中には、類似業種比準方式における標本会社である上場会社に比べて、資産構成が著しく株式等に偏った会社が見受けられる。このような会社の株式については、一般の評価会社に適用される類似業種比準方式により適正な株価の算定を行うことが期し難いものと考えられることから、財産評価基本通達では、株式保有割合(評価会社の有する各資産の価額の合計額のうちに占める株式等の価額の合計額の割合)が25%以上である大会社を株式保有特定会社とし、その株式の価額を類似業種比準方式ではなく、原則として純資産価額方式で評価することとしている。
ところで、平成25年2月28日東京高等裁判所判決(以下「高裁判決」という。)において、この株式保有特定会社の株式の価額を原則として純資産価額方式により評価すること自体は合理的であると認められるものの、平成9年の独占禁止法の改正に伴って会社の株式保有に関する状況が、株式保有特定会社に係る評価通達の定めが置かれた平成2年の通達改正時から大きく変化していることなどから、株式保有割合25%という数値は、もはや資産構成が著しく株式等に偏っているとまでは評価できなくなっていたといわざるを得ないと判断された。
このため、現下の上場会社の株式等の保有状況に基づき、通達における大会社の株式保有割合による株式保有特定会社の判定基準(以下「大会社の判定基準」という。)を改正するものである。
(注)
高裁判決においては、株式保有割合に加えて、その企業としての規模や事業の実態等を総合考慮して判断するとしているが、これは、現行の「大会社の判定基準」(25%以上)が合理性を有していたものとはいえないことを前提としているためであり、「大会社の判定基準」が合理性を有するものであれば、企業としての規模や事業の実態等を総合考慮することまでを求めるものではないと解される。

<改正案の概要>
「大会社の判定基準」について、「25%以上」を「50%以上」に改正する。
なお、改正後の通達は、相続税または贈与税について、改正後に納税者の方が申告する場合または税務署長が更正・決定する場合における財産の評価に適用することとする。

2013年4月4日

平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について(法令解釈通達)(課評2-4)が公表された。

平成24年分の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一又は類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

「平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)

2013年1月23日

平成24年10月~12月分の基準年利率

平成24年5月22日付課評2-18「平成24年分の基準年利率について」(法令解釈通達)について、10月分から12月分の基準年利率が定められ、リンクのとおり改正されたので、これによる必要がある。
なお、複利も同様である。

「平成24年分の基準年利率について」の一部改正について(法令解釈通達)

2013年1月22日

住宅取得等資金の贈与税の非課税の住宅用の家屋の新築もしくは取得または増改築等の要件

住宅取得等資金の贈与税の非課税の住宅用の家屋の新築もしくは取得または増改築等の要件は以下のとおり。

「住宅用の家屋の新築」には、その新築とともにするその敷地の用に供される土地等または住宅の新築に先行してするその敷地の用に供されることとなる土地等の取得を含み、「住宅用の家屋の取得または増改築等」には、その住宅の取得または増改築等とともにするその敷地の用に供される土地等の取得を含む。
また、対象となる住宅用の家屋は日本国内にあるものに限られる。

(1)新築または取得の場合の要件

  1. 新築または取得した住宅用の家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)が50㎡以上240㎡以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること。
  2. 取得した住宅が次のいずれかに該当すること。
    ①建築後使用されたことのない住宅用の家屋
    ②建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、その取得の日以前20年以内(耐火建築物の場合は25年以内)に建築されたもの
    (注)耐火建築物とは、登記簿に記録された家屋の構造が鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造などのものをいう。
    ③建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、耐震基準(耐震等級(構造躯く体の倒壊等防止)1相当以上であること)に適合するものであることにつき、「耐震基準適合証明書」または「住宅性能評価書の写し」により証明がされたもの
    (注)家屋の取得の日前2年以内にその証明のための家屋の調査が終了したまたは評価されたものに限る。

(2)増改築等の場合の要件

  1. 増改築等後の住宅用の家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)が50㎡以上240㎡以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること。
  2. 増改築等の工事が、自己が所有し、かつ、居住している家屋に対して行われたもので、一定の工事に該当することについて「確認済証の写し」、「検査済証の写し」または「増改築等工事証明書」により証明されたものであること。
  3. 増改築等の工事に要した費用の額が100万円以上であること。
    (注)増改築等の工事の部分に居住の用以外の用に供される部分がある場合には、増改築等の工事に要した費用の額の2分の1以上が、自己の居住の用に供される部分の工事に充てられていなければならない。
    (注)「新築」には、贈与を受けた年の翌年3月15日において屋根(その骨組みを含む。)を有し、土地に定着した建造物として認められる時以後の状態にあるものが含まれる。また、「増改築等」には、贈与を受けた年の翌年3月15日において増築または改築部分の屋根(その骨組みを含む。)を有し、既存の家屋と一体となって土地に定着した建造物として認められる時以後の状態にあるものが含まれる。
    なお、「取得」の場合には、これらの状態にあるものが含まれないので、贈与を受けた住宅取得等のための金銭を建売住宅または分譲マンションの取得の対価に充てている場合でも、贈与を受けた年の翌年3月15日までにその引渡しを受けていなければ、新非課税制度の適用を受けることはできない。

2013年1月15日

住宅取得等資金の贈与税の非課税の受贈者の要件

住宅取得等資金の贈与税の非課税の受贈者の要件は以下のとおり。

  1. 贈与を受けた時に日本国内に住所を有していること。
    (注)
    贈与を受けた時に日本国内に住所を有しない方でも、以下のa 及びb に該当する場合は対象となる。
    a 贈与を受けた時に日本国籍を有していること。
    b 受贈者または贈与者がその贈与前5年以内に日本国内に住所を有したことがあること。
  2. 贈与を受けた時に贈与者の直系卑属(贈与者は受贈者の直系尊属)であること。
    (注)
    配偶者の父母(または祖父母)は直系尊属には当たらないが、養子縁組をしている場合は直系尊属に当たる。
  3. 贈与を受けた年の1月1日において、20歳以上であること(平成24年の贈与については平成4年1月2日以前に生まれた方、平成25年の贈与については平成5年1月2日以前に生まれた方、平成26年の贈与については平成6年1月2日以前に生まれた方となる。)。
  4. 贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下であること。
  5. 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築もしくは取得または増改築等をすること。
    (注)
    受贈者が「住宅用の家屋」を所有する(共有持分を有する場合も含まれる。)ことにならない場合は、この新非課税制度の適用を受けることはできない。
  6. 贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住することまたは同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること。
    (注)
    贈与を受けた年の翌年12月31日までにその家屋に居住していないときは、新非課税制度は適用されず、修正申告が必要となる。
  7. 自己の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある方から住宅用の家屋の新築もしくは取得または増改築等をしたものではないこと。
  8. 平成23年分以前の年分において、旧非課税制度(平成22・24年の各税制改正前の「住宅取得等資金の贈与税の非課税」のことをいう。以下同じ。)の適用を受けたことがないこと。

2012年1月11日

省エネ等住宅

省エネ等住宅とは、省エネ等基準(省エネルギー対策等級4相当であること、耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上であることまたは免震建築物であることをいう。)に適合する住宅用の家屋であることにつき、以下のいずれかの証明書などを贈与税の申告書に添付することにより証明がされたものをいう。

  • 住宅性能証明書・建設住宅性能評価書の写し
  1. 新築をした住宅用の家屋
  2. 建築後使用されたことのない住宅用の家屋
  3. 建築後使用されたことのある住宅用の家屋(注1)
  4. 増改築等をした住宅用の家屋(注2)
  • 長期優良住宅認定通知書の写し及び認定長期優良住宅建築証明書など
  1. 新築をした住宅用の家屋
  2. 建築後使用されたことのない住宅用の家屋(注1)
    建築後使用されたことのある住宅用の家屋の場合は、その取得の日前2年以内または取得の日以降にその証明のための家屋の調査が終了したまたは評価されたものに限る。
    (注2)
    住宅用の家屋の増改築等をした場合に、省エネ等基準に適合させるための工事であることについての証明がされた「増改築等工事証明書」を、「住宅性能証明書」または「建設住宅性能評価書の写し」に代えることができる。
    (注3)
    上記の証明書などの発行については、国土交通省または地方整備局に尋ねること。

2013年1月10日

住宅取得等資金の贈与税の非課税

平成24年1月1日から平成26年12月31日までの間に父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築もしくは取得または増改築等の対価に充てるための金銭(以下「住宅取得等資金」という。)を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、以下の表の非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となる。

  • 受贈者ごとの非課税限度額
     住宅の種類  平成24年  平成25年  平成26年
     省エネ等住宅  1,500万円  1,200万円  1,000万円
     上記以外の住宅  1,000万円  700万円  500万円

    (注)
    最初に新非課税制度の適用を受けようとする住宅取得等資金の贈与を受けた年分に係る金額が受贈者ごとの非課税限度額となる。
    なお、既に新非課税制度の適用を受けて贈与税が非課税となった金額がある場合には、その金額を控除した残額が非課税限度額となる。

2013年1月9日

平成24年9月、10月分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-50)が公表された。

今回は平成24年9月及び10月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

リンク先は以下のとおりである。
「平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-50)

2012年12月20日

平成24年分贈与税の申告のしかた

平成24年分の贈与税の申告の相談及び申告書の受付は、平成25年2月1日(金)から平成25年3月15日(金)までである。
贈与税の申告書は、受贈者の住所地の所轄税務署長に提出しなければならない。
申告書は、郵便や信書便による送付、または税務署の時間外収受箱への投函により、提出することもできる。
これらのことが記載された『平成24 年分贈与税の申告のしかた』が、国税庁のHPに掲載されている。
平成24年分贈与税の申告のしかた

2012年12月19日

遺言書の内容と異なる遺産分割をした場合は…

相続人の1人に全部の遺産を与える旨の遺言書がある場合に、相続人全員で遺言書の内容と異なった遺産分割をしたときには、受遺者である相続人が遺贈を事実上放棄し、共同相続人間で遺産分割が行われたとみるのが相当である。
したがって、各人の相続税の課税価格は、相続人全員で行われた分割協議の内容によることとなる。
なお、受遺者である相続人から他の相続人に対して贈与があったものとして贈与税が課されることにはならない。

2012年11月12日

代償分割が行われた場合の相続税の計算は…

代償分割とは、遺産の分割に当たって共同相続人などのうちの1人または数人に相続財産を現物で取得させ、その現物を取得した人が他の共同相続人などに対して債務を負担するもので現物分割が困難な場合に行われる方法である。

1.この場合の相続税の課税価格の計算は、以下のとおりとなる。

  • 代償財産を交付した人の課税価格は、相続または遺贈により取得した現物の財産の価額から交付した代償財産の価額を控除した金額
  • 代償財産の交付を受けた人の課税価格は、相続または遺贈により取得した現物の財産の価額と交付を受けた代償財産の価額の合計額

2.この場合の代償財産の価額は、代償分割の対象となった財産を現物で取得した人が他の共同相続人などに対して負担した債務の額の相続開始の時における金額になる。
ただし、代償財産の価額については、以下の場合には、それぞれ以下のとおりとなる。

  • 代償分割の対象となった財産が特定され、かつ、代償債務の額がその財産の代償分割の時における通常の取引価額を基として決定されている場合には、その代償債務の額に、代償分割の対象となった財産の相続開始の時における相続税評価額が代償分割の対象となった財産の代償分割の時において通常取引されると認められる価額に占める割合を掛けて求めた価額となる。
  • 共同相続人及び包括受遺者の全員の協議に基づいて、上記で説明した方法に準じた方法または他の合理的と認められる方法により代償財産の額を計算して申告する場合には、その申告した額によることが認められる。

2012年11月5日

相続人の中に養子がいる時は…

1.相続税の計算をする場合、以下の4項目については、法定相続人の数を基に行う。

  • 相続税の基礎控除額
  • 生命保険金の非課税限度額
  • 死亡退職金の非課税限度額
  • 相続税の総額の計算

2.これらの計算をするときの法定相続人の数に含める被相続人の養子の数は、一定数に制限されている。

  • 被相続人に実の子供がいる場合…一人まで
  • 被相続人に実の子供がいない場合…二人まで
    ただし、養子の数を法定相続人の数に含めることで相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合、その原因となる養子の数は、上記の養子の数に含めることはできない。

3.なお、以下のいずれかに当てはまる人は、実の子供として取り扱われるので、すべて法定相続人の数に含まれる。

  • 被相続人との特別養子縁組により被相続人の養子となっている人
  • 被相続人の配偶者の実の子供で被相続人の養子となっている人
  • 被相続人と配偶者の結婚前に特別養子縁組によりその配偶者の養子となっていた人で、被相続人と配偶者の結婚後に被相続人の養子となった人
  • 被相続人の実の子供、養子または直系卑属が既に死亡しているか、相続権を失ったため、その子供などに代わって相続人となった直系卑属。
    なお、直系卑属とは子供や孫のことである。

2012年10月31日

平成24年7月、8月分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-46)が公表された。

今回は平成24年7月及び8月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

リンク先は以下のとおりである。
「平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-46)

2012年10月26日

相続人の範囲と法定相続分は…

相続人の範囲や法定相続分は、民法で以下のとおり定められている。

(1)相続人の範囲
死亡した人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の人は、以下の順序で配偶者と一緒に相続人になる。

  • 第1順位
    死亡した人の子供
    その子供が既に死亡しているときは、その子供の直系卑属(子供や孫など)が相続人となる。子供も孫もいるときは、死亡した人により近い世代である子供の方を優先する。
  • 第2順位
    死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)
    父母も祖父母もいるときは、死亡した人により近い世代である父母の方を優先する。
    第2順位の人は、第1順位の人がいないとき相続人になる。
  • 第3順位
    死亡した人の兄弟姉妹
    その兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子供が相続人となる。
    第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人もいないとき相続人になる。
    なお、相続を放棄した人は初めから相続人でなかったものとされる。
    また、内縁関係の人は、相続人に含まれない。

(2)法定相続分

  • 配偶者と子供が相続人のケース
    配偶者1/2 子供(2人以上のときは全員で)1/2
  • 配偶者と直系尊属が相続人のケース
    配偶者2/3 直系尊属(2人以上のときは全員で)1/3
  • 配偶者と兄弟姉妹が相続人のケース
    配偶者3/4 兄弟姉妹(2人以上のときは全員で)1/4

なお、子供、直系尊属、兄弟姉妹がそれぞれ2人以上いるときは、原則として均等に分ける。
また、民法に定める法定相続分は、相続人の間で遺産分割の合意ができなかったときの遺産の取り分であり、必ずこの相続分で遺産の分割をしなければならないわけではない。

2012年10月24日

平成24年7月~9月分の基準年利率

平成24年5月22日付課評2-18「平成24年分の基準年利率について」(法令解釈通達)について、7月分から9月分の基準年利率が定められ、リンクのとおり改正されたので、これによる必要がある。

なお、複利も同様である。

「平成24年分の基準年利率について」の一部改正について(法令解釈通達)

2012年10月18日

相続財産から控除できる葬式費用

相続税を計算するときは、一定の相続人及び包括受遺者が負担した葬式費用を遺産総額から差し引く。

1.葬式費用となるもの
遺産総額から差し引く葬式費用は、通常以下のようなものである。

  • 死体の捜索又は死体や遺骨の運搬にかかった費用
  • 遺体や遺骨の回送にかかった費用
  • 葬式や葬送などを行うときやそれ以前に火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用(仮葬式と本葬式を行ったときにはその両方にかかった費用が認められる。
  • 葬式などの前後に生じた出費で通常葬式などにかかせない費用(例えば、お通夜などにかかった費用がこれにあたる。)
  • 葬式に当たりお寺などに対して読経料などのお礼をした費用

2.葬式費用に含まれないもの
以下のような費用は、遺産総額から差し引く葬式費用には該当しない。

  • 香典返しのためにかかった費用
  • 墓石や墓地の買入れのためにかかった費用や墓地を借りるためにかかった費用
  • 初七日や法事などのためにかかった費用

2012年10月16日

離婚して財産をあげたら…

夫婦が離婚したとき、相手方の請求に基づいて一方の人が相手方に財産を渡すことを財産分与という。
財産分与が土地や建物などで行われたときは、分与した人に譲渡所得の課税が行われる。
この場合、分与した時の土地や建物などの時価が譲渡所得の収入金額となる。

2012年10月4日

離婚して財産をもらったら…

離婚により相手方から財産をもらった場合、通常、贈与税が課税されることはない。
これは、相手方から贈与を受けたものではなく、夫婦の財産関係の清算や離婚後の生活保障のための財産分与請求権に基づき給付を受けたものと考えられるからである。
ただし、以下のいずれかに当てはまる場合には贈与税が課税される。

  • 分与された財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額やその他すべての事情を考慮してもなお多過ぎる場合
    この場合は、その多過ぎる部分に贈与税が課税される。
  • 離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合
    この場合は、離婚によってもらった財産すべてに贈与税が課税される。

分与を受けた人は、分与を受けた日にその時の時価で土地や建物を取得したことになる。
したがって、将来、分与を受けた土地や建物を売った場合には、財産分与を受けた日を基に、長期譲渡になるか短期譲渡になるかを判定することになる。

2012年10月3日

非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予の特例のあらまし(平成24年8月)

非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予の特例のあらまし(平成24年8月)が公表された。
内容は以下のとおり。

  • 非上場株式等についての相続税の納税猶予の特例
  1. 特例の要件や申告手続などの流れ
  2. 納税が猶予される相続税などの計算方法
  • 非上場株式等についての贈与税の納税猶予の特例
  1. 特例の要件や申告手続などの流れ
  2. 納税が猶予される贈与税などの計算方法
    (参考)手続書類一覧表

非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予の特例のあらまし(平成24年8月)

2012年9月5日

平成24年5月、6月分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-40)が公表された。

今回は平成24年5月及び6月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

リンク先は以下のとおりである。
「平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-40)

2012年8月24日

相続税法基本通達の一部改正(平成24年)

経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律(平成23年法律第14号)及び租税特別措置法等の一部を改正する法律(平成24年法律第16号)等の施行等に伴い、相続税及び贈与税の延納及び物納に関する法令の改正等に係るものについて、所要の整備が行われた。

新旧対照表は、以下のリンクから。
新旧対照表

2012年8月3日

相続税の申告の仕方(平成24年分用)

相続税の申告の仕方(平成24年分用)が作成された。

目次は、以下のとおり。

  • 相続税のあらまし
  • 相続税の申告
  • 相続税の納付
  • 相続税の申告書の記載例

国税庁のHPは、以下のとおり。
相続税の申告の仕方(平成24年分用)   

2012年8月2日

平成24年4月~6月分の基準年利率

平成24年5月22日付課評2-18「平成24年分の基準年利率について」(法令解釈通達)について、4月分から6月分の基準年利率が定められ、リンクのとおり改正されたので、これによる必要がある。

なお、複利も同様である。

「平成24年分の基準年利率について」の一部改正について(法令解釈通達)

2012年7月24日

「庭内神し」の敷地等に係る相続税法第12条第1項第2号の相続税の非課税規定の取扱いの変更

「庭内神し(ていないしんし、もしくは、ていないじんし)」の敷地については、「庭内神し」とその敷地とは別個のものであり、相続税法第12条第1項第2号の相続税の非課税規定の適用対象とはならないものと取り扱ってきた。
しかし、「庭内神し」の設備とその敷地、附属設備との位置関係やその設備の敷地への定着性その他それらの現況等といった外形や、その設備及びその附属設備等の建立の経緯・目的、現在の礼拝の態様等も踏まえた上でのその設備及び附属設備等の機能の面から、その設備と社会通念上一体の物として日常礼拝の対象とされているといってよい程度に密接不可分の関係にある相当範囲の敷地や附属設備である場合には、その敷地及び附属設備は、その設備と一体の物として相続税法第12条第1項第2号の相続税の非課税規定の適用対象となるものとして取り扱うことに改められた。

(注)
「庭内神し」とは、一般に、屋敷内にある神の社や祠等といったご神体を祀り日常礼拝の用に供しているものをいい、ご神体とは不動尊、地蔵尊、道祖神、庚申塔、稲荷等で特定の者または地域住民等の信仰の対象とされているものをいう。

この変更後の取扱いは、既に相続税の申告をされた方であっても、相続した土地の中に変更後の取扱いの対象となるものがある場合には適用がある。

2012年7月18日

平成24年3月、4月分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-24)が公表された。

前回はなぜか平成24年1月および2月分だけであったが、今回は平成24年4月分までの相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

リンク先は以下のとおりである。
「平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-30)

2012年7月10日

平成24年分の路線価図等

本日(7月2日)から閲覧可能となった。

路線価等は販売もされているが、全国の国税庁・税務署でパソコンにより閲覧でき、自宅などからインターネットでも過去3年分の閲覧ができる。

国税庁の路線価図等に関するページは、以下のとおり。
路線価図・評価倍率表

2012年7月2日

平成24年1月~3月分の基準年利率

平成24年1月~3月分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-18)が公表された。

平成24年1月~3月中に相続、遺贈または贈与により取得した財産を評価する場合における財産評価基本通達4-4に定める「基準年利率」が下記のリンクのとおり定められたので、これによる必要がある。
なお、平成24年4月分以降については、基準年利率を定めた都度通達される。

平成24年分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-18)

2012年6月29日

平成24年1月、2月分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について(法令解釈通達)(課評2-24)が公表された。

平成24年1月および2月分の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

リンク先は以下のとおりである。
平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について(法令解釈通達)(課評2-24)

2012年6月28日

贈与税の電子申告

従来、贈与税については電子申告できなかったが、平成24年分の申告から利用できる。

2012年6月22日

固定資産税評価額が付されていない家屋の評価

固定資産税評価額が付されていない家屋の評価としては、以下のようなものが考えられる。

  1. 申告書を提出するまでの間に、固定資産税評価額が付された場合には、その固定資産税評価額により評価する。
  2. その家屋の付近にある状況の類似した家屋の固定資産税評価額を基とし、その評価対象である家屋と付近にある類似家屋との構造、経過年数、用途等の差を考慮して評定した価額により評価する。
  3. 付近に類似する家屋がないときは、その家屋の再建築価額から経過年数に応ずる減価償却費累計額おもしくは減価額を控除した価額に70%を乗じた金額によって評価する。

2012年6月11日

負担付贈与

負担付贈与とは、受贈者に一定の債務を負担させることを条件にした財産の贈与をいう。例えば、1億円の土地を贈与する際に借入金6千万円も負担させるようなケースである。

個人から負担付贈与を受けた場合は、贈与財産の価額から負担額を控除した価額に課税されることになる。
この場合の課税価格は、贈与された財産が土地や借地権などである場合及び家屋や構築物などである場合には、一般的に評価額が低いとされる相続税評価額ではなく、その贈与の時における通常の取引価額に相当する金額から負担額を控除した価額によることになっていることに留意すべきである。
また、贈与された財産が上記の財産以外のものである場合は、その財産の相続税評価額から負担額を控除した価額となる。

なお、負担付贈与があった場合においてその負担額が第三者の利益に帰すときは、第三者は負担額に相当する金額を贈与により取得したことになる。

2012年6月8日

使用貸借の宅地の評価単位

所有する宅地の一部を自ら使用し、他の部分を使用貸借により貸し付けている場合には、その全体を1画地の宅地として評価する。また、自己の所有する宅地に隣接する宅地を使用貸借により借り受け、自己の所有する宅地と一体として利用している場合であっても、所有する土地のみを1画地の宅地として評価する。
なお、使用貸借に係る使用借権の価額は、零として取り扱い、使用貸借により貸し付けている宅地の価額は自用地価額で評価することに留意が必要である。

2012年6月6日

山林及び山林の上に存する権利の評価

山林の評価は、以下に掲げる区分に従い、それぞれ以下に掲げる方式によって行う。

  1. 純山林及び中間山林(通常の山林と状況を異にするため純山林として評価することを不適当と認めるものに限る。以下同じ。)
    …倍率方式
  2. 市街地山林
    …比準方式または倍率方式
  • 純山林の価額
    その山林の固定資産税評価額に、地勢、土層、林産物の搬出の便等の状況の類似する地域ごとに、その地域にある山林の売買実例価額、精通者意見価格等を基として国税局長の定める倍率を乗じて計算した金額によって評価する。
  • 中間山林の価額
    その山林の固定資産税評価額に、地価事情の類似する地域ごとに、その地域にある山林の売買実例価額、精通者意見価格等を基として国税局長の定める倍率を乗じて計算した金額によって評価する。
  • 市街地山林の価額
    その山林が宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額から、その山林を宅地に転用する場合において通常必要と認められる1㎡当たりの造成費に相当する金額として、整地、土盛りまたは土止めに要する費用の額がおおむね同一と認められる地域ごとに国税局長の定める金額を控除した金額に、その山林の地積を乗じて計算した金額によって評価する。
    ただし、その市街地山林の固定資産税評価額に地価事情の類似する地域ごとに、その地域にある山林の売買実例価額、精通者意見価格等を基として国税局長の定める倍率を乗じて計算した金額によって評価することができるものとし、その倍率が定められている地域にある市街地山林の価額は、その山林の固定資産税評価額にその倍率を乗じて計算した金額によって評価する。
    なお、その市街地山林について宅地への転用が見込めないと認められる場合には、その山林の価額は、近隣の純山林の価額に比準して評価する。

(注1)
「その山林が宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額」は、その付近にある宅地について財産評価基本通達11(評価の方式)に定める方式によって評価した1㎡当たりの価額を基とし、その宅地とその山林との位置、形状等の条件の差を考慮して評価する。
(注2)
「その市街地山林について宅地への転用が見込めないと認められる場合」とは、その山林を本項本文によって評価した場合の価額が近隣の純山林の価額に比準して評価した価額を下回る場合、またはその山林が急傾斜地等であるために宅地造成ができないと認められる場合をいう。

2012年6月5日

三方または四方路線影響加算

三方または四方に路線がある宅地の価額は、財産評価基本通達16≪側方路線影響加算≫及び前項に定める方法を併用して計算したその宅地の価額にその宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価する。

2012年6月1日

側方路線価影響加算

正面と側方に路線がある宅地(以下「角地」という。)の価額は、以下の1.及び2.に掲げる価額の合計額にその宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価する。

  1. 正面路線(原則として、前項の定めにより計算した1㎡当たりの価額の高い方の路線をいう。以下同じ。)の路線価に基づき計算した価額
  2. 側方路線(正面路線以外の路線をいう。)の路線価を正面路線の路線価とみなし、その路線価に基づ き計算した価額に付表2「側方路線影響加算率表」 に定める加算率を乗じて計算した価額

2012年5月30日

奥行価格補正

一方のみが路線に接する宅地の価額は、路線価にその宅地の奥行距離に応じて奥行価格補正率を乗じて求めた価額にその宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価する。

2012年5月29日

特定路線価

路線価地域内において、相続税、贈与税または地価税の課税上、路線価の設定されていない道路のみに接している宅地を評価する必要がある場合には、当該道路を路線とみなして当該宅地を評価するための路線価(以下「特定路線価」という。)を納税義務者からの申出等に基づき設定することができる

特定路線価は、その特定路線価を設定しようとする道路に接続する路線及び当該道路の付近の路線に設定されている路線価を基に、当該道路の状況、前項に定める地区の別等を考慮して税務署長が評定した1㎡当たりの価額とする。

2012年5月28日

地区

路線価方式により評価する地域(以下「路線価地域」という。)については、宅地の利用状況がおおむね同一と認められる一定の地域ごとに、国税局長が以下に掲げる地区を定めている。
(1)ビル街地区
(2)高度商業地区
(3)繁華街地区
(4)普通商業・併用住宅地区
(5)普通住宅地区
(6)中小工場地区
(7)大工場地区

なお、どれに該当するかについては、路線価図の上の方を見れば把握できる。

2012年5月25日

路線価

路線価は、宅地の価額がおおむね同一と認められる一連の宅地が面している路線(不特定多数の者の通行の用に供されている道路をいう。以下同じ。)ごとに設定される。
路線価は、路線に接する宅地で以下に掲げるすべての事項に該当するものについて、売買実例価額、公示価格(地価公示法(昭和44年法律第49号)第6条≪標準地の価格等の公示≫の規定により公示された標準地の価格をいう。以下同じ。)、不動産鑑定士等による鑑 定評価額(不動産鑑定士または不動産鑑定士補が国税局長の委嘱により鑑定評価した価額をいう。以下同じ。)、精通者意見価格等を基として国税局長がその路線ごとに評定した1㎡当たりの価額とする。
(1)その路線のほぼ中央部にあること。
(2)その一連の宅地に共通している地勢にあること。
(3)その路線だけに接していること。
(4)その路線に面している宅地の標準的な間口距離及び奥行距離を有するく形または正方形のものであるこ と。

(注)
(4)の「標準的な間口距離及び奥行距離」には、それぞれ付表1「奥行価格補正率表」に定める補正率(以下「奥行価格補正率」という。)及び付表6「間口狭小補正率表」に定める補正率(以下「間口狭小補正率」という。)がいずれも1.00であり、かつ、付表7「奥行長大補正率表」に定める補正率(以下「奥行長大補正率」という。)の適用を要しないものが該当する。

2012年5月24日

宅地及び宅地の上に存する権利の評価の方式

宅地の評価は、原則として、以下の区分に従い、それぞれ以下に掲げる方式によって行う。

  • 市街地的形態を形成する地域にある宅地…路線価方式
  • 上記以外の宅地…倍率方式

路線価方式とは、その宅地の面する路線に付された路線価を基とし、財産評価基本通達15≪奥行価格補正≫から20-5≪容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価≫までの定めにより計算した金額によって評価する方式をいう。

倍率方式とは、固定資産税評価額(地方税法第381条≪固定資産課税台帳の登録事項≫の規定により土地課税台帳もしくは土地補充課税台帳(同条第8項の規定により土地補充課税台帳とみなされるものを含む。)に登録された基準年度の価格または比準価格をいう。以下この章において同じ。)に国税局長が一定の地域ごとにその地域の実情に即するように定める倍率を乗じて計算した金額によって評価する方式をいう。

2012年5月23日

間口が狭小な宅地等の評価

以下に掲げる宅地(不整形地及び無道路地を除く。)の価額は、財産評価基本通達15≪奥行価格補正≫の定めにより計算した1㎡当たりの価額にそれぞれ以下に掲げる補正率表に定める補正率を乗じて求めた価額にこれらの宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価する。
この場合において、地積が大きいもの等にあっては、近傍の宅地の価額との均衡を考慮し、それぞれの補正率表に定める補正率を適宜修正することができる。

(1)間口が狭小な宅地 付表6「間口狭小補正率表」
(2)奥行が長大な宅地 付表7「奥行長大補正率表」

2012年5月22日

不整形地の評価

不整形地(三角地を含む。以下同じ。)の価額は、以下の(1)から(4)までのいずれかの方法により財産評価基本通達15≪奥行価格補正≫から18≪三方又は四方路線影響加算≫までの定めによって計算した価額に、その不整形の程度、位置及び地積の大小に応じ、付表4「地積区分表」に掲げる地区区分及び地積区分に応じた付表5「不整形地補正率表」に定める補正率(以下「不整形地補正率」という。)を乗じて計算した価額により評価する。

(1)不整形地を区分して求めた整形地を基として計算する方法
画像の説明

(2)不整形地の地積を間口距離で除して算出した計算上の奥行距離を基として求めた整形地により計算する方法
画像の説明
(注)ただし、計算上の奥行距離は、不整形地の全域を囲む、正面路線に面するく形または正方形の土地(以下「想定整形地」という。)の奥行距離を限度とする。

(3)不整形地に近似する整形地(以下「近似整形地」という。)を求め、その設定した近似整形地を基として計算する方法
画像の説明
(注)近似整形地は、近似整形地からはみ出す不整形地の部分の地積と近似整形地に含まれる不整形地以外の部分の地積がおおむね等しく、かつ、その合計地積ができるだけ小さくなるように求める((4)において同じ。)。

(4)近似整形地(①)を求め、隣接する整形地(②)と合わせて全体の整形地の価額の計算をしてから、隣接する整形地(②)の価額を差し引いた価額を基として計算する方法
画像の説明

2012年5月21日

無道路地の評価

無道路地の価額は、実際に利用している路線の路線価に基づき財産評価基本通達20≪不整形地の評価≫の定めによって計算した価額からその価額の100分の40の範囲内において相当と認める金額を控除した価額によって評価する。この場合において、100分の40の範囲内において相当と認める金額は、無道路地について建築基準法(昭和25年法律第201号)その他の法令において規定されている建築物を建築するために必要な道路に接すべき最小限の間口距離の要件(以下「接道義務」という。)に基づき最小限度の通路を開設する場合のその通路に相当する部分の価額(路線価に地積を乗じた価額)とする。

(注)

  • 無道路地とは、道路に接しない宅地(接道義務を満たしていない宅地を含む。)をいう。
  • 財産評価基本通達20≪不整形地の評価≫の定めにより、付表5「不整形地補正率表」の(注)3の計算をするに当たっては、無道路地が接道義務に基づく最小限度の間口距離を有するものとして間口狭小補正率を適用する。

2012年5月18日

倍率方式

相続税や贈与税を計算するときに、相続や贈与などにより取得した土地や家屋を評価する必要がある。
土地は、原則として宅地、田、畑、山林などの地目ごとに評価する。

土地の評価方法には、路線価方式倍率方式がある。

倍率方式は、路線価が定められていない地域の評価方法である。
倍率方式における土地の価額は、その土地の固定資産税評価額(都税事務所、市区役所または町村役場で確認できる。)に一定の倍率を乗じて計算する。
路線価図及び評価倍率表は、国税庁のホームページで閲覧できる。

なお、平成24年分の路線価図等の閲覧は、7月2日(月)から予定されている。

2012年5月11日

路線価方式

相続税や贈与税を計算するときに、相続や贈与などにより取得した土地や家屋を評価する必要がある。
土地は、原則として宅地、田、畑、山林などの地目ごとに評価する。

土地の評価方法には、路線価方式倍率方式がある。

路線価方式は、路線価が定められている地域の評価方法である。

路線価とは、路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額のことで、千円単位で表示している。
路線価方式における土地の価額は、路線価をその土地の形状等に応じた奥行価格補正率などの各種補正率で補正した後に、その土地の面積を乗じて計算する。

2012年5月10日

平成22年分の相続税の申告の状況について

東日本大震災の影響もあってか、『平成22年分の相続税の申告の状況について』がようやく公表された。
これによると、主なものは以下のとおり。

  • 被相続人数
    …約120万人(平成21年は約114万人)
  • 課税価格
    …10兆4,470億円で、被相続人1人当たり2億1,006万円(平成21年は、それぞれ10兆1,072億円、2億1,765万円)
  • 税額
    …1兆1,754億円で、被相続人1人当たり2,363万円(平成21年は、それぞれ1兆1,618億円、2,502万円)
  • 相続財産の金額の構成比
    …土地48.4%、現預金等23.2%、有価証券12.1%(平成21年はそれぞれ、49.7%、22.3%、12.0%)

2012年5月2日

平成24年分の路線価図等の閲覧

相続税・贈与税の土地などの評価に用いる平成24年分の路線価図等の閲覧は、7月2日(月)から予定されている。

路線価図等は、自宅などでインターネットにより閲覧できる。

国税庁のホームページでは、全国の過去3年分の路線価図等を見ることができる。リンク先は以下のとおり。
http://www.rosenka.nta.go.jp

また、全国の国税局・税務署でパソコンにより閲覧できる。

2012年4月25日

配当還元方式

配当還元方式は、その株式を所有することによって受け取る1年間の配当金額を、一定の利率(10%)で還元して元本である株式の価額を評価する方法である。

算式は、以下のとおり。
(その株式に係る年配当金額÷10%)×(その株式の1株当たりの資本金等の額÷50円)

ここで、その株式に係る年配当金額は、直前期末以前2年間の配当金額÷1株当たりの資本金の額を50円とした場合の発行済株式数となる。
なお、年配当金額が2円50銭未満となる場合は2円50銭となる。

2012年4月19日

併用方式

類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式は、類似業種比準方式と純資産価額方式のそれぞれの方式により評価した価額にそれぞれ一定の割合(Lの割合(類似業種比準価額の割合))を加味して評価額を求める方式をいう。

算式は、以下のとおり。
類似業種比準価額×L+1株当たりの純資産価額×(1-L)

Lの割合は、

  • 中の大会社…0.9
  • 中の中会社…0.75
  • 小の中会社…0.6
  • 小会社…0.5
  • 比準要素数1の会社…0.25

2012年4月18日

類似業種比準方式

類似業種比準方式とは、類似業種の平均株価並びに1株当たりの配当金額、年利益金額及び純資産価額の3つの要素を類似業種と比準して計算する方法である。
具体的な計算式は、次のとおり。

A×(b/B+c/C×3+d/D)/5×0.7(大会社の場合。中会社は0.6、小会社は0.5)

A:類似業種の株価
B:類似業種の1株当たりの配当金額
C:類似業種の1株当たりの年利益金額
D:類似業種の1株当たりの純資産価額
b:評価会社の直前期末以前2年間における1株当たりの年配当金額
c:評価会社の直前期末以前1年(または2年)間における1株当たりの年利益金額
d:評価会社の直前期末における1株当たりの純資産価額

なお、A・B・C・Dは国税庁から公表されている。

2012年4月17日

純資産価額方式

純資産価額方式とは、課税時期における純資産を基に計算する評価方法である。
計算方法は以下のとおり。

  • 課税時期における評価会社が所有する各資産を相続税評価額により評価した価額の合計額(総資産価額)から、課税時期における各負債を相続税評価額に基づき評価した金額の合計額(総負債価額)を差し引き、相続税評価額による純資産価額を算定する。
  • 相続税評価額による純資産価額から、帳簿価額の純資産を差し引くことで評価差額を求め、これに42%(平成24年4月から。平成22年10月~平成24年3月は45%)を乗じた金額(評価差額に対する法人税等相当額)を算定する。
  • 相続税評価額による純資産価額から評価差額に対する法人税等相当額を控除して法人税等相当額控除後の純資産価額を計算し、課税時期における発行済株式数で除して1株当たりの純資産の金額を求める。

2012年4月16日

農地の相続税の納税猶予

農業を営んでいた被相続人または特定貸付けを行っていた被相続人から相続人が一定の農地等を相続し、農業を営む場合または特定貸付けを行う場合には、農地等の価額のうち農業投資価格による価額を超える部分に対応する相続税額については、その相続した農地等について相続人が農業を営んでいるまたは特定貸付けを行っている限り、その納税が猶予される。これが、『農業後継者が農地等の相続を受けた場合の納税猶予の特例』と呼ばれるものである。

この場合の農地等納税猶予税額は、以下のいずれかに該当することとなった場合には、その納税が免除される。

  • 特例の適用を受けた相続人が死亡
  • 特例の適用を受けた相続人が、この特例の適用を受けている農地等の全部を贈与税の納税猶予が適用される生前一括贈与
  • 特例の適用を受けた相続人が相続税の申告期限から農業を20年間継続(市街化区域内農地等に対応する農地等納税猶予税額の部分に限る。)

<特例を受けるための要件>
この特例を受けることができるのは、以下の要件に該当する場合である。

a.被相続人の要件
次のいずれかに該当する人

  • 死亡の日まで農業を営んでいた
  • 農地等の生前一括贈与をした
    死亡の日まで受贈者が贈与税の納税猶予または納期限の延長の特例の適用を受けていた場合に限られる。
  • 死亡の日まで相続税の納税猶予の適用を受けていた農業相続人または農地等の生前一括贈与の適用を受けていた受贈者で、障害、疾病などの事由により自己の農業の用に供することが困難な状態であるため賃借権等の設定による貸付けをし、税務署長に届出た
  • 死亡の日まで特定貸付けを行っていた

b.農業相続人の要件
被相続人の相続人で、以下のいずれかに該当する人

  • 相続税の申告期限までに農業経営を開始し、その後も引き続き農業経営を行うと認められる
  • 農地等の生前一括贈与の特例の適用を受けた受贈者で、特例付加年金または経営移譲年金の支給を受けるためその推定相続人の1人に対し農地等について使用貸借による権利を設定して、農業経営を移譲し、税務署長に届出た
    贈与者の死亡の日後も引き続いてその推定相続人が農業経営を行うものに限る。
  • 農地等の生前一括贈与の特例の適用を受けた受贈者で、障害、疾病などの事由により自己の農業の用に供することが困難な状態であるため賃借権等の設定による貸付けをし、税務署長に届出た
    贈与者の死亡後も引き続いて賃借権等の設定による貸付けを行うものに限る。
  • 相続税の申告期限までに特定貸付けを行った

c.特例農地等の要件
以下のいずれかに該当するものであり、相続税の期限内申告書にこの特例の適用を受ける旨が記載されたもの。

  • 被相続人が農業の用に供していた農地等で相続税の申告期限までに遺産分割された
  • 被相続人が特定貸付けを行っていた農地または採草放牧地で相続税の申告期限までに遺産分割された
  • 被相続人が営農困難時貸付け(注)を行っていた農地等で相続税の申告期限までに遺産分割された
  • 被相続人から生前一括贈与により取得した農地等で被相続人の死亡の時まで贈与税の納税猶予または納期限の延長の特例の適用を受けていた
  • 相続や遺贈によって財産を取得した人が相続開始の年に被相続人から生前一括贈与を受けていた農地等

2012年3月16日

農地の贈与税の納税猶予

農業を営んでいる人が、農業の用に供している農地の全部並びに採草放牧地及び準農地の一定部分をその農業を引き継ぐ推定相続人の1名に贈与した場合には、その贈与を受けた人(受贈者という。)に課税される贈与税については、その贈与を受けた農地等について受贈者が農業を営んでいる限り、その納税が猶予される制度がある。
これが、『農業後継者が農地等の贈与を受けた場合の納税猶予の特例』と呼ばれるものである。

この制度による納税猶予税額は、受贈者または贈与者のいずれかが死亡した場合には、その納税が免除される。
ただし、贈与者の死亡により農地等納税猶予税額の納税が免除された場合には、特例の適用を受けて納税猶予の対象になっていた農地等(特例農地等という。)は、贈与者から相続したものとみなされて相続税の課税対象となる。

<特例を受けるための要件>
1.贈与者の要件
a 農地等を贈与した日まで引き続き3年以上農業を営んでいた者であること。
b 以下に掲げる場合に該当しない者であること。

  • 贈与をした年の前年以前において、贈与者の農業の用に供していた農地をその者の推定相続人に対し贈与をしている場合であって、その農地が相続時精算課税の適用を受けているとき
  • 贈与をした年において、その贈与以外の贈与により農地及び採草放牧地並びに準農地の贈与をしている場合
  • 過去に、この納税猶予の特例の適用を受ける贈与を行っている場合

2.受贈者の要件
a 贈与者の推定相続人であること。
b 以下の要件に該当するものとして農業委員会が証明した者であること。

  • 贈与により農地等を取得した日における年齢が18歳以上であること
  • 贈与により農地等を取得した日まで引き続き3年以上農業に従事していたこと
  • 贈与により農地及び採草放牧地を取得した後、速やかにその農地及び採草放牧地について農業経営を行うと認められること
    なお、贈与を受けた農地等について、この特例の適用を受ける場合には、その農地等については、相続時精算課税の適用を受けることはできない。

3.特例農地等の要件
以下のすべてに該当するものであり、贈与税の期限内申告書にこの特例の適用を受ける旨が記載されたものであること。

  • 贈与者が農業の用に供している農地等であること
  • 贈与者が農業の用に供している農地の全部と採草放牧地及び準農地の面積の3分の2以上であること

    2012年3月15日

農地の評価

財産評価上、農地は以下の4つに分けられる。

  • 純農地
  • 中間農地
  • 市街地周辺農地
  • 市街地農地

それぞれの評価は、以下のとおり。

  • 純農地及び中間農地…倍率方式
    ここで、倍率方式とは、その農地の固定資産税評価額に、国税局長が定める一定の倍率を乗じて評価する方法をいう。
  • 市街地周辺農地…その農地が市街地農地であるとした場合の価額の80%に相当する金額
  • 市街地農地…宅地比準方式または倍率方式
    ここで、宅地比準方式とは、その農地が宅地であるとした場合の価額からその農地を宅地に転用する場合にかかる造成費に相当する金額を控除した金額により評価する方法をいう。

2012年3月14日

住民票

相続時精算課税制度を選択した時に、住民票が添付書類として必要になる。

住民票は市町村などで作成される住民に関する記録である。
住民票に記載されている主なものは、以下のとおり。

  • 氏名
  • 出生の年月日
  • 男女の別
  • 世帯主の氏名、世帯主との続き柄
  • 戸籍の表示
  • 住民となった年月日
  • 住所を定めた年月日
  • 前住所
  • 転出先の住所

2012年3月13日

戸籍謄本と戸籍妙本

相続時精算課税制度を選択した時に、戸籍の謄本または妙本が添付書類として必要になる。

戸籍謄本とは、戸籍原本に記載されている人全部を複写したもので、全部事項証明ともいう。

戸籍抄本とは、戸籍原本から必要とする人の部分だけを複写したもので、個人事項証明ともいう。

2012年3月12日

戸籍の附票

相続時精算課税制度を選択した時に、戸籍の附票が添付書類として必要になる。

戸籍は、市町村などで作成される該当市区町村に本籍がある者の住所履歴に関する記録である。
一方、住民票は住所の異動や世帯の構成、戸籍が出生・死亡・結婚などの身分事項の記録である。
この2つを結びつけるものが戸籍の附票である。
戸籍の附票の記載事項は以下の4つである。

  • 戸籍の表示(=本籍および筆頭者)
  • 氏名
  • 住所
  • 住所を定めた年月日

戸籍の附票は本籍地が管理する記録である。よって、市区町村をまたいで住所が変わったとしても、戸籍が変わっていなければ、1つの戸籍の附票の中にすべての住所履歴が記録される。一方、戸籍が変わった場合、別の戸籍の附票で住所履歴の確認をすることになる。

2012年3月8日

贈与税の納付方法

贈与税の納付方法については、以下の方法がある。

  • 現金で納付 現金に納付書を添えて、金融機関(日本銀行歳入代理店)または住所地等の所轄の税務署の納税窓口で納付する。
  • e-Taxで納付 自宅等からインターネットを利用して納付できる。
  • コンビニで納付 平成20年1月21日から国税をコンビニエンスストアで納付することができる。

一方、一度に多額の納税をすることが難しい場合もあり、そのような方のために延納という納税方法がある。この延納は一定の条件のもとに、5年以内の年賦により納税する方法である。
(1)延納の要件
延納を受けるには、以下の3つのすべてに当てはまることが必要である。

  • 申告による納付税額が10万円を超えていること
  • 金銭で一度に納めることが難しい理由があること
  • 担保を提供すること。ただし、延納税額が50万円未満で延納期間が3年以下の場合、担保は不要。

(2)延納するための手続
延納しようとする贈与税の納期限または納付すべき日(延納申請期限)までに、延納申請書に担保提供関係書類を添付して所轄税務署長に提出することが必要である。
税務署長は延納申請書に基づいて延納の許可または却下をすることになる。なお、延納できることになった税金には年率6.6%の利子税がかかる。
ただし、平成12年1月1日以後の期間に対応する延納税額にかかる利子税の割合については以下の特例が設けられている。
贈与税の延納利子税の割合について、各分納期間の開始の日の属する月の2ヵ月前の月の末日の日本銀行の定める基準割引率に4%を加算した割合(以下「延納特例基準割合」という。)が7.3%に満たない場合には、その分納期間においては現行の利子税の割合に延納特例基準割合が7.3%に占める割合を乗じて計算した割合(以下「延納特例割合」という。)となる。

2012年3月7日

贈与税の申告期限

贈与税の申告と納税は、原則として、受贈者が、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までにすることになっている。

贈与税の申告書の提出先は、原則として、受贈者の住所を所轄する税務署である。

2012年3月6日

基準年利率

基準年利率は、著作権や営業権などの財産評価を行う際に使用される利率である。
また、財産評価基本通達4-4によると、日本証券業協会において売買参考統計値が公表される利付国債に係る複利利回りを基に計算した年利率によることとし、その率は、短期(3年未満)、中期(3年以上7年未満)及び長期(7年以上)に区分し、各月ごとに別に定めるものとされている。

この「平成23年分の基準年利率について」の一部改正について(法令解釈通達)が国税庁より公表されている。

2012年1月25日

類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

取引相場のない株式評価方法の原則的評価方法の一つに類似業種比準方式がある。
これは、事業内容が類似する上場企業の株価を基に、評価を行う自社の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額の3要素(比準要素)を比較することで株価を算定する方法である。

この算定に用いる、平成23年度の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等が国税庁より公表されている。

2012年1月24日

相続を放棄した場合の相続開始前3年以内の贈与

相続を放棄して遺産を相続しておらず、かつ、遺贈による財産の取得もない場合、相続税の申告につき、相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産を、課税価格に含めなくてよい。

なお、相続時精算課税を適用している場合は、課税価格に含める必要がある。

2011年11月24日

香川県の2010事務年度の相続税の税務調査の調査結果

高松国税局が2011年11月21日に発表した香川県の2010事務年度(2010年7月~2011年6月)の相続税の税務調査の調査結果の特徴は以下のとおり。

  • 申告漏れ件数は、152件(前期比1.3%増)。
  • 申告漏れ総額は、47億円(前期比31.9%増)。6年ぶりの増加。
  • 重加算税を課されたのは、16件、4億円。
  • 現金などの資産を相続したにも関わらず、まったく申告しない無申告事案が増加。
  • 申告漏れで多いのは、現金・預貯金、土地、有価証券。

2011年11月22日

著作権の評価

著作者の別に一括して以下の算式によって計算した金額によって評価する。なお、個々の著作物に係る著作物を評価する場合は、その著作物ごとに計算する。

年平均印税収入の額×0.5×評価倍率

ここで、年平均印税収入の額は、課税時期の属する年の前年以前3年間の印税収入の額の年平均額とする。

また、評価倍率は、著作物に関し精通している者の意見等を基として推算したその印税収入期間に応ずる基準年利率による複利年金現価率とする。

2011年11月16日

特許権の評価

権利に基づき将来受ける補償金の額の基準割引率による複利現価の額の合計額による。
具体的には、第n年目の補償金年額×n年後の基準年利率による複利原価率を、1年目からn年目まで足したものとなる。

補償金を受ける期間は、課税時期から特許法第67条に規定する特許権の存続期間が終了する時期までの年数の範囲内において推算した年数とする。

なお、実用新案権、意匠権及びそれらの実施権も同様の評価を行う。

2011年11月9日

小規模宅地等の評価減の特例の平成22年改正

平成22年4月1日以後の相続または遺贈から、以下のものが適用されている。

  • 配偶者と別居親族(一定の者に限る)を除き、相続税の申告期限までに所有または事業もしくは居住を継続しないと適用対象とならない。
  • 1つの宅地等につき共同相続があった場合、取得した者ごとに適用要件の判定を行う。
  • 1棟の建物に特定居住用宅地等の要件を満たす部分とそれ以外の部分がある場合、それぞれの用途ごとに適用要件の判定を行う。
  • 特定居住用宅地等は、主として居住の用に供されていた1つの宅地等に限られることが明確化された。

2011年10月27日

特別養子縁組

特別養子縁組とは、養子が戸籍上も実親との親子関係を断ち切り、養親が養子を実子と同じ扱いにする縁組のことをいう。この場合における養子を特別養子という。

実子として取り扱われ、人数制限からは外れ、「法定相続人の数」に含めることができる。

2011年10月26日

普通養子とは?

養子縁組とは、親子関係にない者を、法律上親子関係があるとすることである。

養子縁組には、以下の2つがある。

  • 普通養子縁組
  • 特別養子縁組

普通養子縁組とは、養子が実親との親子関係を残したまま、養親との親子関係を作る二重の親子関係となる縁組のことをいう。
この場合における養子を普通養子という。

養親の相続権のみならず、実親の相続権もある。

2011年10月25日

養子と相続税

相続税対策として養子縁組をしているケースがある。

例えば、孫を養子とした場合、2割加算となるものの、基礎控除額などの計算上、法定相続人の人数に含まれるため、相続税対策として養子を用いるのであるが、無制限に認められているわけではない。
以下のような制限がある。

  • 被相続人に実子がいる場合…1人まで
  • 被相続人に実子がいない場合…2人まで

ただし、養子を法定相続人に含めることにより、相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合、含めることはできない。

2011年10月24日

二世帯住宅における小規模宅地等の特例

  • 構造上区分されていないケース

同居親族に該当するため、居住継続要件および所有継続要件(配偶者を除く。)を満たせば、特例を使うことができる。

  • 構造上区分されているケース

措置法通達69の4-21のなお書きにより、みなし同居親族として申告することを選択できる。
なお、1棟の建物のうち、1つの独立部分に被相続人が居住し、他の独立部分に被相続人の親族が居住し、以下の要件をすべて満たすケースは、その親族は非相続人の同居親族とみなされる。
①その建物1棟全部を被相続人または被相続人の親族が所有していた。
②被相続人の配偶者または被相続人が居住の用に供していた独立部分に共に起居していた親族等がいなかった。
③その親族について、同居親族として申告をした。

2011年10月21日

各独立部分とは?

「各独立部分」については、相続税法上定義はない。

地価税法施行令9条1項1号では「各独立部分」ということばが使われており、地価税法取扱通達7-20で、「建物の構成部分である隔壁、扉、階層(天井及び床)等によって他の部分と完全に遮断されている部分で、独立した出入口を有するなど独立して住居その他の用途に供することができるものをいい、~」とある。

なお、区分所有権の登記がされているかどうかは考慮しなくてよい。

2011年10月20日

同居親族とは?

同居親族については、租税特別措置法通達69の4-21に定義があり、その家屋で被相続人と共に起居していた親族をいう。

また、1棟の建物が各独立部分に区別されており、被相続人がそのうちの独立部分の1つに居住していた場合には、被相続人が居住の用に供していた独立部分において、被相続人と共に起居していた親族が同居親族となる。

なお、1棟の建物のうち、1つの独立部分に被相続人が居住し、他の独立部分に被相続人の親族が居住し、以下の要件をすべて満たすケースは、その親族は非相続人の同居親族とみなされる。
①その建物1棟全部を被相続人または被相続人の親族が所有していた。
②被相続人の配偶者または被相続人が居住の用に供していた独立部分に共に起居していた親族等がいなかった。
③その親族について、同居親族として申告をした。

2011年10月19日

生計を一とは?

最近、相続税法の改正により改正が予想される生命保険金など、「生計を一」ということが重要になるケースがあるが、相続税法には定義はなく、所基通2-47を判断基準として判定することになると思われる。

財布が一つであることと言われるが、同居は必ずしも必要ではなく、別居していても該当するケースがある。
例えば、お子様が大学生で、親元を離れてアパート等を借りて住んでおり、親からの仕送りによって生活しているようなケースである。

2011年10月18日

相続税法上の行為計算否認規定

法人税法上、以下の3つの行為計算否認規定があり、

①同族会社等の行為計算否認(法人税法132条)
②組織再編成に係る行為計算否認(法人税法132条の2)
③連結法人に係る行為計算否認(法人税法132条の3)

所得税法上も、以下の行為計算否認規定があるが、

同族会社等の行為計算否認(所得税法157条)

相続税法にも、以下の行為計算否認規定がある。

同族会社等の行為計算否認(相続税法64条)

その一方で、財産評価基本通達第6項に、「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。」とあり、どちらが適用されるのか不明確であると考えられる。

2011年9月14日

贈与税の基礎控除額

一般的に、110万円以下だと無税ということ、つまり贈与税の基礎控除額は110万円ということはよく知られているが、相続税法上は60万円となっている(相法21の5)。

110万円というのは、租税特別措置法に定められているのである(措法70の2の2)。

ちなみに110万円となったのは平成13年からであり、その前は60万円だった。

2011年8月3日

住所

相続税法上、住所の具体的な規定はなく、民法22条の住所(各人の生活の本拠をその者の住所とする。)を借用することになる。

住所が複数ある場合もありうると考えられるが、判例上、民法上の住所は単一である。

2011年7月29日

武富士事件

今年に入って大変興味のある訴訟の判決が出た。2011年2月18日、最高裁の判決により、武富士側が勝訴したのである。

武富士株を保有するオランダ法人の株式を両親から香港に住む子供へ贈与した案件であり、住所が争点となった。

武富士側の勝訴となったものの、残念ながら、判決で住所の具体的な判断は示されていない。

ただし、最近、国側が敗訴する事例が増えているようである。租税法律主義が徹底されてきているということであろう。

2011年7月28日

路線価

2011年7月1日に路線価が発表された。
我が香川県は19年連続下落のようである。高松市の最高路線価も1992年の445万円から2011年は37万円となっており、10分の1以下になっている。

路線価とは、1月1日時点の主要道路に面した1㎡当たりの土地評価額で、相続税や贈与税の評価に用いられ、基準となる標準地点の路線価を定め、周辺の路線価を決定する。
不動産鑑定士による鑑定評価や売買実績を参考にしており、公示価格の8割程度と言われている。

2011年7月4日

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国税通則法

消費税の申告納税義務を免れることを積極的に意図し、収支内訳書等に過少な記載を行って免税事業者であると装い続けたことは仮装隠蔽行為に該当すると判断した事例

  • ①平成27年1月1日から同年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の決定処分
  • ②平成28年1月1日から令和元年12月31日までの消費税及び地方消費税の各決定処分
  • ③平成27年1月1日から令和3年12月31日までの消費税及び地方消費税の重加算税の各賦課決定処分
  • ①一部取消し、②③棄却
  • 令和6年4月23日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人による継続した収支内訳書等の過少記載行為は、消費税の申告納税義務を免れることを積極的に意図して免税事業者であることを装い続けたものであり、仮装隠蔽行為に該当するとしたものである。

<要旨>
請求人は、①請求人による消費税等の認識ある無申告は無申告行為そのものであることや、②何ら根拠のない収入金額及び必要経費の額を収支内訳書に記載することは、過少申告行為そのものであって、隠蔽行為又は仮装行為に該当せず、特段の行動に当たるとも評価できない旨主張する。

しかしながら、請求人は、何ら根拠のない収入金額等を収支内訳書に記載したのではなく、課税期間に係る基準期間の売上げが1,000万円以下となれば、消費税等の申告義務を負わないと認識した上で、平成25年以降比較的長期間にわたって、消費税等の申告納税義務を免れることを積極的に意図し、故意に事業所得の総収入金額が1,000万円を超えないように所得税等の確定申告書及び収支内訳書に過少な収入金額を記載して原処分庁に提出することで、課税標準等の計算の基礎となるべき事実である、基準期間中における課税資産の譲渡等の対価の額を故意に脱漏し、課税期間において消費税法上の免税事業者であることを装い続け、本件の各課税期間の消費税等の確定申告をしなかったのであるから、かかる行為は隠蔽又は仮装と評価すべき行為であり、単なる無申告行為や過少申告行為そのものと評価することはできない。

★リンクはこちら⇒ 消費税の申告納税義務を免れることを積極的に意図し、収支内訳書等に過少な記載を行って免税事業者であると装い続けたことは仮装隠蔽行為に該当すると判断した事例

2025年3月10日


他人による確定申告書の作成・提出について、国税通則法第24条の「納税申告書の提出があった場合」に該当するとした事例

  • 平成28年分から令和2年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和6年4月15日裁決

<ポイント>
本件は、納税義務者以外の者による納税申告について、納税義務者が明示又は黙示に当該納税申告をする権限を与えていたとは認められないものの、納税義務者が、当該納税申告について追認していると認められるとしたものである。

<要旨>
請求人は、請求人名義の納税申告書は、他人が成りすまして提出されたものであり、当該納税申告は無効であるため、国税通則法第24条《更正》に規定する納税申告書を提出した場合に該当しない旨主張する。

しかしながら、納税義務者以外の者が申告書を作成及び提出した場合であっても、その者が納税義務者から明示又は黙示に当該申告行為をする権限を与えられている場合や、納税義務者が当該申告行為を追認した場合は、その納税申告は有効となると解されるところ、請求人は、明示又は黙示に当該納税申告をする権限を与えていたとは認められないが、権限なくされた他人による当該納税申告を当該納税申告書が提出された後に追認したと認められるから、当該納税申告は有効となり、当該納税申告書の提出は、同条の納税申告書を提出した場合に該当する。

★リンクはこちら⇒ 他人による確定申告書の作成・提出について、国税通則法第24条の「納税申告書の提出があった場合」に該当するとした事例

2025年3月6日


請求人は、会計伝票等を捨てることで、故意に真実の本件各年分の本件事業に係る売上金額及び必要経費を隠匿し、かつ、故意に真実の本件各課税期間に係る課税売上高を隠匿したといえるとして、国税通則法第68条第2項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があったとした事例

  • 平成27年分から令和3年分までの所得税及び復興特別所得税並びに平成27年課税期間から令和3年課税期間までの消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和6年3月25日裁決

<ポイント>
本事例は、無申告加算税に代えて課される重加算税の課税等要件に係る主観的要件について、法令解釈の上、具体的にその該当性に係る事実認定をしたものである。

<要旨>
請求人は、請求人には税務に関する相応の知識がなく、事業に係る売上金額は概算で把握していたにとどまり、本件事業に利益があったとは認識しておらず、帳簿書類等を作成せず、各会計伝票、感染拡大防止対策協力金に係る支払決定通知書及び事業に関する支払に係る領収書等(各会計伝票等)を保存せずに廃棄していたのは、ひとえに請求人の無知が招いた結果であり、意図的に申告をしなかったのではないから、請求人には国税通則法(令和4年法律第4号による改正前のもの)第68条《重加算税》第2項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実はなかった旨主張する。

しかしながら、請求人は、青色申告に係る帳簿の備付け、記録及び保存をしていなかった上、各会計伝票等を保管することなく全て捨てることで、各年分の事業に係る売上金額(雑収入を含む。)及び必要経費の金額を不明にしていたところ、請求人自身、当該各会計伝票等を捨てることで、各年分の事業に係る売上金額及び必要経費の金額を不明になることを認識していたといえるから、故意に真実の各年分の事業に係る売上金額(雑収入を含む。)及び必要経費を隠匿し、かつ、故意に真実の各課税期間に係る課税売上高を隠匿したというべきであり、「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があったと認められる。

★リンクはこちら⇒ 請求人は、会計伝票等を捨てることで、故意に真実の本件各年分の本件事業に係る売上金額及び必要経費を隠匿し、かつ、故意に真実の本件各課税期間に係る課税売上高を隠匿したといえるとして、国税通則法第68条第2項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があったとした事例

2025年2月19日


請求人の従業員が工事業者と通謀して虚偽の工事完了日を記載した工事完了報告書等を作成した行為は、事実の仮装に該当するところ、当該従業員の行為は、請求人の行為と同視でき、重加算税の賦課要件を満たすとした事例

  • 令和2年4月1日から令和3年3月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和6年1月10日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人の従業員がした仮装行為について、同従業員の地位・権限は一使用人として限定されたものであったが、同行為は、請求人から付与された権限の範囲内において行われたものであり、請求人が不正の事実を把握して是正措置を講ずることは可能であったと認められ、また、請求人における管理・監督体制が十分であったとは認められないことからすれば、請求人の行為と同視できるとしたものである。

<要旨>
請求人は、請求人の従業員(本件従業員)が工事業者と通謀して虚偽の工事完了日を記載した工事完了報告書等を作成した行為(本件行為)は、事実の仮装に該当するが、①本件従業員は、請求人の一使用人として限定的な地位・権限を有していたにすぎないこと、②本件行為は、本件従業員の独断的な不正行為であったこと、③請求人は、本件従業員に対して一定の管理・監督を行っていたことなどから、本件行為を請求人の行為と同視することはできない旨主張する。

しかしながら、本件従業員の地位・権限は一使用人として限定されたもので、また、本件従業員による本件行為は、本件従業員が自身の業務負荷の増大を避けるための独断的な行為ではあるものの、本件行為は、請求人から付与された権限の範囲内において行われたものであり、請求人が不正の事実を把握して是正措置を講ずることは可能であったと認められ、また、請求人における管理・監督体制が十分であったとは認められない。

以上の点を総合考慮すれば、本件行為を納税者たる請求人の行為と同視することができると判断するのが相当である。

★リンクはこちら⇒ 請求人の従業員が工事業者と通謀して虚偽の工事完了日を記載した工事完了報告書等を作成した行為は、事実の仮装に該当するところ、当該従業員の行為は、請求人の行為と同視でき、重加算税の賦課要件を満たすとした事例

2025年2月18日


財産債務調書に、有価証券の種類別にまとめて用途、所在等が記載され、その銘柄及び数量等の記載がない場合は、「重要なものの記載が不十分であると認められる場合」に該当して財産債務に係る過少申告加算税等の特例による加重措置の対象となるとした事例

  • ①令和3年分の所得税及び復興特別所得税に係る過少申告加算税の賦課決定処分
  • ②過少申告加算税の変更決定処分
  • ①却下及び棄却、②却下
  • 令和6年2月7日裁決

<ポイント>
本事例は、財産債務に係る過少申告加算税等の特例による加算税の対象となる「重要なものの記載が不十分であると認められる場合」に該当するか否かの判断は財産債務調書の記載自体から行うべきであり、財産債務調書以外の書類の記載や調査の際に確認できる事項を加味してこれを判断すべきではないとしたものである。

<要旨>
請求人は、修正申告(本件修正申告)の基因となった有価証券(本件有価証券)について、①請求人が提出した財産債務調書(本件財産債務調書)に本件有価証券の銘柄の記載はないものの、種類別、用途別、所在別に記載され、財産の価額も一括で記載されていること、②本件財産債務調書に一括で記載されている価額と証券会社が発行した残高報告書に記載されている残高が一致するため本件有価証券を容易に特定できること、③令和4年法律第4号による改正前の内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第6条の3《財産債務に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例》第2項第2号に規定する重要なものの記載が不十分であると認められる場合に該当するか否かは、調査の際に、銘柄ごとの区分ができ、残高が一致することが確認できればいいことなどから、本件修正申告による過少申告加算税の計算において、同項の規定による加重措置は適用されず、むしろ同条第1項の規定による軽減措置が適用される旨主張する。

しかしながら、加算税の加重措置及び軽減措置の適用の可否の判断は、財産債務調書の記載内容自体から行うべきであるところ、本件財産債務調書には、本件有価証券の銘柄及び数量の記載がないため、本件財産債務調書の記載内容からは本件有価証券を特定することは困難であると認められる。

したがって、本件財産債務調書の記載は同号に規定する重要なものの記載が不十分であると認められる場合に該当し、過少申告加算税の計算において加重措置が適用され、軽減措置は適用されない。

★リンクはこちら⇒ 財産債務調書に、有価証券の種類別にまとめて用途、所在等が記載され、その銘柄及び数量等の記載がない場合は、「重要なものの記載が不十分であると認められる場合」に該当して財産債務に係る過少申告加算税等の特例による加重措置の対象となるとした事例

2025年2月17日


各更正通知書に添付された各別表から算出される金額と当該各更正通知書に記載された金額とが不一致である場合において理由の提示に不備があると判断した事例

  • 平成28年12月1日から平成29年11月30日まで、平成29年12月1日から平成30年11月30日まで、平成30年12月1日から令和元年11月30日まで及び令和元年12月1日から令和2年11月30日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 令和5年12月15日裁決

<ポイント>
本事例は、各更正通知書に添付された各別表から算出される控除対象仕入税額の減少額と当該各更正通知書に記載された控除対象仕入税額の減少額とが不一致である場合において、当該各別表に記載のどの部分が課税仕入れと認められなかったのかが判別できないことから、理由の提示に不備があると判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、各更正通知書に記載された処分の理由には不利益処分の根幹部分をなす事実関係が明示されており、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与えるという行政手続法第14条《不利益処分の理由の提示》第1項本文の法の趣旨に反するものではないから、各更正処分の理由の提示に不備はない旨主張する。

しかしながら、当該各更正通知書に添付された各別表に記載された金額から算出される控除対象仕入税額の減少額と当該各更正通知書に記載された控除対象仕入税額の減少額とは一致しておらず(本件不一致)、本件不一致は当該各別表中の一部の取引について原処分庁が請求人の仕入税額控除の対象と認めた金額(本件差額)があるために生じたものであるところ、当該各更正通知書に、本件差額に係る記載がないことにより、当該各別表を含む当該各更正通知書の記載だけでは、請求人において本件差額の存在さえ知ることができず、また、当該各別表に記載のどの部分が課税仕入れとして認められなかったのか判別することもできないため、不服の有無を判断することができない。

そうすると、当該各更正通知書は、各更正処分の全体について、原処分庁の判断過程を逐一検証し得る程度の更正の理由の記載があるとは認められず、原処分庁の恣意抑制及び不服申立ての便宜という趣旨目的を充足する程度に具体的に更正の根拠を明示したものと評価することはできないから、当該各更正処分は、その理由の提示に不備があり、違法である。

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2024年8月30日


請求人がした修正申告書の提出は、通則法第65条第5項(令和4年法律第4号による改正前のもの)の「その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない場合において、その申告に係る国税についての調査通知がある前に行われたもの」に該当しないとした事例

  • 平成29年分から令和2年分の所得税及び復興特別所得税に係る過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和5年12月7日裁決

<ポイント>
本事例は、いわゆる更正の予知の判断枠組みにつき「税務職員がその申告に係る国税についての調査に着手してその申告が不適正であることを発見するに足るかあるいはその端緒となる資料を発見し、これによりその後の調査が進行し先の申告が不適正で申告漏れの存することが発覚し更正に至るであろうということが客観的に相当程度の確実性をもって認められる段階に達した後に、納税者がやがて更正に至るべきことを認識した上で修正申告を決意し修正申告書を提出したものでない」か否かにより判断するとした上で、その該当性については、調査の内容・進捗状況、それに関する納税者の認識、修正申告に至る経緯、修正申告と調査の内容との関連性等の事情を総合考慮して判断すべきとしたものである。

<要旨>
請求人は、原処分庁所属の調査担当職員(本件調査担当者)が、請求人に対して、調査又は行政指導の行為のいずれの事務として行うかを明示していないから、国税通則法第65条《過少申告加算税》第5項に規定する「調査」があったとはいえないため、修正申告書(本件修正申告書)の提出が、同項に規定する「その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない場合」に該当する旨主張する。

しかしながら、本件調査担当者は、請求人が勤務する法人の親会社から受けたインセンティブ報酬(本件報酬)が記載された資料の内容と請求人の確定申告書の記載内容とを比較検討することにより、本件報酬に係る給与所得の申告金額が計上されていないことをあらかじめ確認した上で、請求人に本件報酬を確認する旨の電話連絡(本件電話)をしたと推認され、これらの行為は本件調査担当者の課税標準等又は税額等を認定するに至る一連の判断過程であると認められるから、同項に規定する「調査」があった場合に該当すると認められる。

そして、調査の内容・進捗状況、調査の内容・進捗状況に関する請求人の認識、修正申告に至る経緯、修正申告と調査の内容との関連性に係る各事情からすれば、修正申告の時点において、本件調査担当者による調査は、その後の調査が進行し確定申告が本件報酬を計上しない不適正なものであることが発覚し更正に至るであろうということが客観的に相当程度の確実性をもって認められる段階に達していたというべきであり、また、請求人は、本件電話を受けてから税理士に依頼し、修正申告していることから、やがて更正に至るべきことを認識した上で修正申告を決意し修正申告書を提出したものと認められる。

したがって、本件修正申告書の提出は、「調査があつたことにより更正があるべきことを予知してされたものではない場合」に該当しない。

★リンクはこちら ⇒ 請求人がした修正申告書の提出は、通則法第65条第5項(令和4年法律第4号による改正前のもの)の「その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない場合において、その申告に係る国税についての調査通知がある前に行われたもの」に該当しないとした事例

2024年8月28日


国外財産又は財産債務に係る過少申告加算税等の特例による加重措置の対象となる「重要なものの記載が不十分であると認められる場合」は、国外財産調書又は財産債務調書の記載内容により判断すべきとした事例

  • 令和2年分の所得税及び復興特別所得税に係る過少申告加算税の賦課決定処分
  • 令和元年分から令和3年分の所得税及び復興特別所得税に係る過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和5年12月7日裁決

<ポイント>
本事例は、確定申告書の内容等から国外財産調書又は財産債務調書に記載すべき財産が特定できる場合であっても、納税者が提出した国外財産調書又は財産債務調書の記載内容から当該財産の特定が困難なときは、国外財産又は財産債務に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例による加重措置が適用されるとしたものである。

<要旨>
請求人は、請求人がした修正申告(本件修正申告)の基因となった財産(本件財産)から生ずる所得について確定申告をしていたことや、原処分庁所属の調査担当職員から本件財産について確認があったことなどからすると、本件財産は既に特定済みであるため、本件修正申告による過少申告加算税は、令和4年法律第4号による改正前の内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律(国送法)第6条《国外財産に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例》第3項又は第6条の3《財産債務に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例》第2項の規定(加算税加重措置)により加算税の額が加算されることとなる国外財産調書又は財産債務調書に記載すべき事項のうち重要なものの記載が不十分である場合には該当しない旨主張する。

しかしながら、加算税加重措置の適用の可否の判断は、国外財産調書又は財産債務調書の記載内容から行うべきであるところ、請求人が提出したこれらの調書には本件財産に係る記載事項に誤りや記載漏れがあり、その記載内容からは本件財産の特定が困難であると認められる。

したがって、当該記載内容は、国送法第6条第3項第2号又は第6条の3第2項第2号に規定する「記載すべき事項のうち重要なものの記載が不十分である」ものと認められるから、修正申告に係る過少申告加算税について加算税加重措置が適用される。

★リンクはこちら ⇒ 国外財産又は財産債務に係る過少申告加算税等の特例による加重措置の対象となる「重要なものの記載が不十分であると認められる場合」は、国外財産調書又は財産債務調書の記載内容により判断すべきとした事例

2024年8月26日


請求人が、工事代金の一部が申告漏れとなったことについて、課税標準等又は税額等の計算の基礎となる事実について、隠匿あるいは故意に脱漏したとまでは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 令和2年1月1日から令和3年12月31日までの各事業年度の法人税に係る重加算税の賦課決定処分
  • 令和2年1月1日から令和3年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 令和5年12月4日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人の取締役が、申告漏れとなっていた現金での受領に係る工事代金について、領収証を故意又は過失により発行しなかったか、その控えを故意又は過失により破棄したものと認められるものの、故意に領収証を発行しなかったこと、あるいはその控えを故意に破棄したことなどにより、故意に帳簿に記載しなかったことを裏付ける証拠はないとして、国税通則法第68条第1項に規定する「隠蔽」に該当するとは認められない旨判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が現金で受領した工事代金(本件工事代金)について、請求人の取締役が請求人に帰属する金員と認識して受領した上で帳簿に記載せず、個人的に費消したと認められ、請求人も修正申告において取締役に対する役員賞与を支出したとして追認していることから、これらの行為は故意であり、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する「隠蔽」に該当する旨主張する。

しかしながら、請求人が領収証の控えが存在しながら帳簿に記載しなかったことをうかがわせる証拠はないことから、本件工事代金が帳簿に記載されていなかったのは、請求人が本件工事代金に係る領収証を故意又は過失により発行しなかったか、その控えを故意又は過失により破棄したものと認められるところ、取締役の申立てからは過失により本件工事代金に係る領収証を発行しなかった事実は認められるものの、故意に領収証を発行しなかったこと、あるいは、領収証の控えを故意に破棄したことなどにより、故意に帳簿に記載しなかったことを裏付ける証拠は見当たらない。

また、取締役が本件工事代金を個人的に費消したと取り扱われても仕方ない旨申し立てたことや、請求人が本件工事代金相当額を修正申告で役員賞与の取扱いをしたことは認められるものの、取締役が自らの所持金と混同するなどにより本件工事代金を個人的に費消した可能性を否定できず、請求人に帰属する金員と認識した上で個人的に費消したと認める証拠もない。そうすると、請求人が課税標準等又は税額等の計算の基礎となる事実について、隠匿あるいは故意に脱漏したとまでは認められない。

★リンクはこちら ⇒ 請求人が、工事代金の一部が申告漏れとなったことについて、課税標準等又は税額等の計算の基礎となる事実について、隠匿あるいは故意に脱漏したとまでは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2024年8月22日


請求人がした青色申告承認申請書の提出期限の延長申請に関し、原処分庁が先にした同延長申請の承認を取り消した処分について、請求人が青色申請を期限までにすることができなかったことに通則法第11条規定の「災害その他やむを得ない理由」はなく、同承認は同条に適合しないにもかかわらずされたものだから、同取消処分が適法とした事例

  • 災害による申告、納付等の期限延長申請の承認取消処分
  • 棄却
  • 令和5年11月15日裁決

<ポイント>
本事例は、原処分庁が先にした青色申告承認申請書の提出期限の延長申請についての承認処分について、当該延長承認の要件を満たさないことから、職権で取り消したことが適法と判断したものである。

<要旨>
請求人は、「新型コロナウイルスによる外出自粛の影響で提出が遅れました」と記載した青色申告承認申請書(本件青色申請書)の提出が提出期限後となったのは、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言や自治体の外出自粛要請を受けて外出自粛等をしていたためであり、これらの事情は、国税通則法第11条《災害等による期限の延長》に規定する「災害その他やむを得ない理由により、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限までにこれらの行為をすることができないと認めるとき」に該当するから、原処分庁が、上記記載による同申請書の提出期限の延長申請に係る承認(本件延長承認)を後日取り消した処分(本件取消処分)は違法である旨主張する。

しかしながら、本件取消処分の適否を判断するに当たっては、本件延長承認がされた時点における事情に照らし、本件延長承認に違法等が認められるか否かを審理判断すべきであり、具体的には、本件延長承認が国税通則法第11条に適合するものであったか否かを検討すべきであるところ、本件青色申請書の提出が提出期限後になったのは、提出期限後になって特別償却の適用を受けるために青色申告の承認を受けようとしたという理由によるものであり、新型コロナウイルスの感染拡大を理由とするものではないから、「災害その他やむを得ない理由により、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限までにこれらの行為をすることができないと認めるとき」には該当しない。

★リンクはこちら ⇒ 請求人がした青色申告承認申請書の提出期限の延長申請に関し、原処分庁が先にした同延長申請の承認を取り消した処分について、請求人が青色申請を期限までにすることができなかったことに通則法第11条規定の「災害その他やむを得ない理由」はなく、同承認は同条に適合しないにもかかわらずされたものだから、同取消処分が適法とした事例

2024年8月20日


給与を返還した場合には源泉徴収の規定により正当に徴収された又はされるべき所得税等の額も減少するとした事例

  • ①平成28年分の所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対する理由なし通知処分
  • ②平成29年分の所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対する理由なし通知処分
  • ①一部取消し
  • ②棄却
  • 令和5年4月12日裁決

<ポイント>
本事例は、給与の返還に伴って源泉徴収の規定により正当に徴収された又はされるべき所得税等の額が減少した場合には、その減少後の正当に徴収された又はされるべき所得税等の額を超える金額を算出所得税額から控除し、又は還付を受けることはできないとしたものである。

<要旨>
請求人は、役員給与につき源泉徴収された所得税等(本件各源泉所得税)について、当該役員給与を一部返還したことにより過大となったにもかかわらず、源泉徴収義務者が源泉徴収税額の精算をしない場合には、源泉徴収義務者が請求人に役員給与を支払う際に徴収した源泉所得税を国は収納し利益を得ているのであるから、所得税法(平成31年法律第6号による改正前のもの)第120条《確定所得申告》第1項第5号の「源泉徴収された又はされるべき所得税の額」は、実際に源泉徴収された所得税等の額と解するのが相当であり、請求人は、本件の各更正の請求により本件各源泉所得税の額の還付を受けることができる旨主張する。

しかしながら、同号にいう「源泉徴収をされた又はされるべき所得税の額」とは、所得税法の源泉徴収の規定に基づき正当に徴収をされた又はされるべき所得税等の額を意味するものであり、役員給与が減額された以上、源泉徴収の規定により正当に徴収された又はされるべき所得税等の額も減少するのであるから、請求人が主張する事情があったとしても、請求人は、本件の各更正の請求において、本件各源泉所得税の額のうち、「正当に徴収された又はされるべき所得税等の額」を超える金額を算出所得税額から控除し、又は還付を受けることはできない。

なお、原処分庁は、請求人の源泉徴収による所得税等の額は原処分庁ではなく源泉徴収義務者が再計算すべきものであり、また、請求人は源泉徴収義務者が発行した訂正後の源泉徴収票又はこれに代わる書類を提出していないから、源泉徴収義務者によって再計算された請求人の給与所得に係る源泉徴収された所得税等の額や所得控除の額を確認することができない旨主張する。

しかしながら、所得税法第120条第1項第5号の「正当に徴収された又はされるべき所得税等の額」の意味を踏まえると、請求人が本件の各更正の請求に関して提出した資料から正当に徴収されるべき所得税等の額が計算できる場合には、その計算をした所得税等の額を基に確定申告書に記載された納付すべき税額が過大となっているか否かを判断することが相当である。

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2024年3月25日


実地の調査に係る手続に原処分を取り消すべき違法又は不当は認められないとした事例

  • ①平成26年分から令和2年分までの所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに重加算税の各賦課決定処分
  • ②平成26年1月1日から平成30年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに重加算税の各賦課決定処分
  • ③平成31年1月1日から令和2年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
  • ①②③棄却
  • 令和5年5月18日裁決

<ポイント>
本事例は、原処分庁が、その保有する情報及び請求人の確定申告書の記載内容から売上除外を想定し、原始記録及び帳簿書類等の保全のために国税通則法第74条の10《事前通知を要しない場合》に規定する事前通知を要しない場合に該当すると判断したことに、裁量権の逸脱又はその濫用は認められないことから、違法又は不当はないとしたものである。

<要旨>
請求人は、原処分庁が国税通則法第74条の10《事前通知を要しない場合》に規定する要件に該当しないにもかかわらず、請求人に対して無予告無通知で調査を行ったことから、原処分を取り消すべき違法又は不当がある旨主張する。

しかしながら、原処分庁は、把握していた情報及び請求人の確定申告書の記載内容から売上除外等が想定され、事前通知をすることで請求人が売上げに係る原始記録及び帳簿書類等を破棄するなど不正取引の把握を困難にするおそれがあると認められたため事前通知を要しない場合に該当すると判断したものであり、その判断に全く事実に基づかず明白に合理性に欠けるなど裁量権の範囲を超え、又はその濫用があったとは認められないことから、事前通知をしなかったことに違法又は不当はない。

また、請求人は、請求人から国税通則法第74条の11《調査の終了の際の手続》第2項に規定する調査結果の内容の説明(調査結果説明)を受けることについての同意を受けた代理人税理士(本件税理士)に調査結果説明を行えなかったのであれば、原処分庁は、他の代理人税理士に調査結果説明をすべきであり、調査結果説明がないまま行われた原処分には取り消すべき違法がある旨主張する。

しかしながら、原処分庁は、本件税理士に対して相当の回数、調査結果説明をするために連絡を試みており、本件税理士がこれに応じなかったことは、その機会を自ら放棄したものと認められることから、調査結果説明がなかったことについて、原処分の取消事由となる違法があるとは認められない。

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2024年3月21日


請求人が、インターネット販売に係る売上げを隠蔽し又は売上げが請求人に帰属しないかのごとく取引名義を仮装したとは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • ①平成26年分及び平成27年分の所得税及び復興特別所得税に係る無申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
  • ②平成28年分から令和2年分の所得税及び復興特別所得税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • ③平成27年1月1日から平成27年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税に係る無申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
  • ④平成28年1月1日から令和2年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • ①③全部取消し、②④一部取消し
  • 令和5年1月27日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、インターネット販売の出品者プロフィール画面に実在しない会社名や親族の名前を記載していたものの、請求人自身がネット販売を行っていることを示す行動をし、商品の仕入れにおいて請求人の実名で取引を行っていたことなどから、国税通則法第68条第2項に規定する隠蔽又は仮装の事実があったとは認められない旨判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が、インターネット販売(本件ネット販売)において、出品者プロフィール画面に実在しない会社名や親族の名前を記載するなどして、取引名義を仮装することにより、本件ネット販売を行っていた事実を隠蔽した行為は、国税通則法第68条《重加算税》第2項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する旨主張する。

しかしながら、請求人は、出品者プロフィール画面に請求人の携帯電話番号を表示するなど顧客に対して、請求人自身が本件ネット販売を行っていることを示す行動をしていること、商品の仕入れや売上代金の回収において、一貫して、請求人の実名で取引を行い、請求人名義の口座を用いていたことからすると、商品の出品の段階において、請求人の親族の氏名などを記載していたことをもって、直ちに請求人が本件ネット販売を行っていることを隠したなどと評価することはできない。

そうすると、請求人は、商品の仕入れから売上代金の回収までの本件ネット販売における取引の各段階において、本件ネット販売の取引上の名義に関し、あたかも請求人以外の者が取引を行っていたかのごとく装い、故意に事実をわい曲するなどの仮装行為を行っていた又は請求人に帰属する本件ネット販売の売上げを秘匿する等の隠蔽行為を行っていたとは認めることはできないから、「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があったとは認められない。

★リンクはこちら ⇒ 請求人が、インターネット販売に係る売上げを隠蔽し又は売上げが請求人に帰属しないかのごとく取引名義を仮装したとは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2023年12月22日


請求人が不動産の売買取引及び不動産の売買の仲介取引に関し、各取引の存在を把握し当該所得金額等も含め申告すべきことを認識しながら、これを申告しないことを意図し、これらを除外した収支内訳書の下書を作成して、それを提示して税務相談し、その結果に基づき確定申告をしたことなどから、隠蔽又は仮装が認められるとした事例

  • 平成29年分から令和2年分の所得税及び復興特別所得税に係る重加算税の各賦課決定処分、平成29年1月1日から令和2年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和5年2月8日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、一部の取引に係る所得金額等を申告すべきことを認識しながら、意図的にこれを除外した収支内訳書の下書を作成して税務相談し、その結果に基づき確定申告をしたことなどの諸事情から、国税通則法第68条第1項及び第2項に規定の事実の隠蔽又は仮装が認められるとして、同条該当性を認めたものである。

<要旨>
請求人は、主たる業務である不動産賃貸の仲介の収支を管理する業績管理表実績と題する表(本件業績管理表)は、請求人の事業全部に係る帳簿書類ではないことから、同表に不動産の売買取引(本件売買取引)及び不動産の売買仲介取引(本件売買仲介取引)に関する記載がないとしても内容虚偽の帳簿書類の作成に当たらず、これらの取引の申告をしないことを意図したものではないから、国税通則法(通則法)第68条《重加算税》第1項及び第2項に規定する事実の隠蔽又は仮装に当たらない旨、また、これらの取引の申告をしない意図をうかがい得る特段の行動もしていない旨主張する。

しかしながら、本件売買取引に関しては、請求人は、同取引の帳簿書類たる売買計算表を作成して利益を把握しており、同表により算出した本件各売買取引に係る所得金額等も含めて申告すべきであると知りながら、これを申告しないことを意図して、本件業績管理表のみに基づいて、本件売買取引に係る収入金額等を除外した内容虚偽の収支内訳書の下書を作成し、税務署での申告相談に、本件売買取引に係る書類を一切持参せず、対応した職員に同下書を提示して相談した上で、その結果に基づいて、所得金額等を意図的に過少に記載して確定申告をしたと認められるから、通則法第68条各項に規定する隠蔽又は仮装が認められる。

また、本件売買仲介取引に関しては、請求人は、仲介手数料収入についての申告の必要性を認識していたと推認できること、本件売買仲介取引に関する収支の記録が存在しないのは、本件売買仲介取引に係る所得金額等を申告する意図がなかったことに起因すると認められること、前記申告相談の際に、対応した職員に対し、本件売買仲介取引に係る所得について何も明らかにしていないこと、調査の当初の言動は、本件売買仲介取引を隠蔽する意図に基づくものと推認できることからすると、当初から申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動があったと認められ、同各項に規定する隠蔽又は仮装が認められる。

★リンクはこちら ⇒ 請求人が不動産の売買取引及び不動産の売買の仲介取引に関し、各取引の存在を把握し当該所得金額等も含め申告すべきことを認識しながら、これを申告しないことを意図し、これらを除外した収支内訳書の下書を作成して、それを提示して税務相談し、その結果に基づき確定申告をしたことなどから、隠蔽又は仮装が認められるとした事例

2023年12月21日


特定記録郵便により発送された処分に係る通知書は、配達完了の記録がされた日に納税者がその通知書を了知し得る客観的状態になり、送達されたものとなるとした事例

  • 令和元年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
  • 却下
  • 令和5年2月22日裁決

<ポイント>
本事例は、処分に係る通知書が特定記録郵便により発送された場合には、その通知書は、その配達が完了した旨が記録された日に請求人の支配下に入ってその内容を了知し得る状態に置かれたものと評価でき、同日に送達されたと認められるとしたものである。

<要旨>
請求人は、原処分に係る通知書(本件通知書)を受け取った日からすれば、本審査請求は、不服申立てをすることができる期間内にされたものである旨主張する。

しかしながら、本件通知書は、特定記録郵便により請求人の住所に発送されているところ、本件通知書が返戻された事実はなく、当審判所の調査の結果によっても本件通知書が誤配達されたこと等をうかがわせる証拠は見当たらないことからすると、その配達が完了した旨が記録された日に送達を受けるべき請求人の住所に設置された郵便受箱に配達されたと認められ、同日に請求人の支配下に入ってその内容を了知し得る状態に置かれたものと評価できるから、本件通知書は、同日に請求人に送達されたと認められる。

そうすると、本審査請求は、本件通知書が送達された日の翌日から起算して3月を経過した後にされたものであり、また、請求人が法定の不服申立期間内に本審査請求をしなかったことについて、国税通則法第77条《不服申立期間》第1項ただし書に規定する正当な理由があるといえる事情は認められないから、本審査請求は、不服申立てをすることができる期間を経過した後にされた不適法なものである。

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2023年12月20日


法律の規定に不備がある旨の主張は採用できないとした事例

  • 平成28年分から平成30年分までの所得税及び復興特別所得税の各決定処分及び無申告加算税の各賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和4年11月2日裁決

<ポイント>
本事例は、先物取引等の全取引期間における損益の通算を認めないなどの現行の法律の規定には不備がある旨の請求人の主張は採用できないとしたものである。

<要旨>
請求人は、原処分について、国税に関する法律に基づいて実施された処分であることを認める一方、先物取引や株式の譲渡取引の各損益が、各取引を実施した全ての期間の損益を通算してそれぞれ赤字となる場合には、先物取引の差金等決済に係る損失や上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除が認められる3年を超える期間であっても通算をそれぞれ認めるべきであり、また、先物取引の損益と株式譲渡の損益の間でも通算を認めるべきであるから、このような取扱いのない現行の法律には不備がある旨主張する。

しかしながら、審判所は、原処分庁が行った処分が違法又は不当なものであるか否かを判断する機関であって、その処分の基となった法令自体の適否又は合理性を判断することはその権限に属さないことであるので、請求人が主張する点については、当審判所の審理の限りではない。

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2023年12月6日


請求人が法定申告期限までに申告書を提出しなかったことについて、仮装又は隠蔽に該当する事実はなかったとして重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成28年分から平成30年分までの所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和4年9月9日裁決

<ポイント>
本事例は、土地と建物が一括して売買され、当該売買契約において定められた土地及び建物それぞれの価額がその客観的な価値と比較して著しく不合理なものである場合には、所得税法施行令第126条第1項第1号イにいう「当該資産の購入の代価」は、合理的な基準により算定するのが相当であると判断したものである。

<要旨>
請求人は、土地及び建物を一括で3物件(本件3物件)買い受けて貸付けの用に供したところ、各売買契約書に記載された土地及び建物の各価額(本件各内訳価額)は第三者間での相対の商取引において合意された価額であって合理的な価額といえるから、当該各建物に係る所得税法施行令第126条《減価償却資産の取得価額》第1項に規定する「当該資産の購入の代価」は、本件各内訳価額に基づいて算定すべきである旨主張する。

しかしながら、固定資産税評価額は一般的に適切な時価を反映しているといえるところ、本件3物件の各売買代金総額は各固定資産税評価額総額を上回るのに対し、各建物価額はその固定資産税評価額を大きく上回る一方、各土地価額はその固定資産税評価額と同様か又は下回っている。

本件においてそのような評価とすべき事情は見当たらず、本件各内訳価額に係る各建物価額は、各売買代金総額から過剰に価額が配分されたものというべきであり、客観的な価値と比較して著しく不合理なものである。

そして、売主が土地及び建物を一括して譲渡する場合、建物の購入の代価について、売買代金総額を土地及び建物の各固定資産税評価額の価額比によりそれぞれあん分して算定することは、一般的には合理的な基準による算定であるといえるところ、本件各内訳価額に係る各建物価額についてはいずれも上記の不合理な場合に該当し、また、本件3物件の各固定資産税評価額が適正な時価を反映しているとはいえないような事情もないから、本件3物件に係る各建物の購入の代価は、本件3物件の各売買代金総額を土地及び建物の各固定資産税評価額比によりそれぞれあん分して算定すべきである。

なお、本件3物件のうち2物件の各建物に係る取得価額に加算すべき仲介手数料の金額等及び本件3物件の各仲介手数料に係る繰延消費税額等について、いずれも計算誤りがあると認められるため、原処分はその一部を取り消すべきである。

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2023年5月22日


請求人の母が相続財産の一部の株式を申告していなかったことについて、隠蔽、仮装に該当する事実があると認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成29年11月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和4年6月24日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が相続税の申告書を作成するための資料収集等を委任していた請求人の母が申告漏れとなっていた株式を当初申告の相続財産に含めなかったことについて、国税通則法第68条第1項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があったとは認められず、請求人についても、「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があるとは認められないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、被相続人の相続に係る相続税の申告書(本件申告書)に被相続人の名義の株式の一部等が計上されていないことについて、請求人の母(本件母)に国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があり、請求人が本件申告書を作成するための資料収集等を本件母に委任し、請求人にはその選任及び監督につき過失がないとする特段の事情はなく、請求人は本件母と同視可能である者と認められることから、請求人にも、国税通則法第68条第1項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があった旨主張する。

しかしながら、本件母が、隠蔽の行為そのものであるとか、当初から相続財産を過少に申告することを意図した上、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたとは認められないことから、本件母に「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実はなく、請求人についても、「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実はないといわざるを得ない。

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2023年1月17日


請求人が相続財産の一部の株式を申告していなかったことについて、隠蔽の行為そのものであるとか、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成29年11月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和4年6月24日裁決

<ポイント>
本事例は、申告漏れとなっていた株式について、申告書提出前後の請求人の行為や言動に鑑みると、その銘柄、株式数等を記載したノート等を関与税理士に提出しなかったことをもって、国税通則法第68条第1項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があったとみることは困難であり、また、当該事実につき過少申告の意図を外部からもうかがい得る特段の行動に該当するものとも認められないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人自らが銘柄、株式数及び配当金額等を2冊のノート(本件各ノート)に記載しながら、被相続人の相続に係る相続税の申告書(本件申告書)に計上されなかった被相続人名義等の株式(本件株式)について、被相続人の相続財産である旨を十分認識していたにもかかわらず、関与税理士(本件税理士)に本件各ノートを含む本件株式に係る資料等を渡さずに本件税理士をして本件株式を計上しない本件申告書を作成、提出させたのであるから、請求人には、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があった旨主張する。

しかしながら、請求人は、本件税理士から株式については証券会社から残高証明書等を取得して提出するよう指示を受け、当該指示のとおりに証券会社から残高証明書等を取得して提出していたため、本件株式についても本件申告書に計上されていると思い込んでいた可能性等が否定できない。

また、本件各ノートは、その記載状況からみて、請求人の単なる備忘メモ的なものとして使用されていたと考えられ、請求人が、本件税理士を含む第三者に提出する目的で本件各ノートを作成したものではないと推認できること、請求人は、相続税の調査の際に、原処分庁所属の調査担当職員に自ら本件各ノートを提出したことなどに鑑みると、本件各ノート等の資料を本件税理士に提出しなかった行為について、隠蔽の行為そのものであるとか、当初から過少申告をすることを意図した上で、過少申告の意図を外部からもうかがい得る特段の行動に該当するものと認めるに足る事情はないから、「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実はないといわざるを得ない。

★リンクはこちら ⇒ 請求人が相続財産の一部の株式を申告していなかったことについて、隠蔽の行為そのものであるとか、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2023年1月13日


請求人が相続財産の一部の貯金のみを申告していなかったことについて、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成30年11月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和4年5月10日裁決

<ポイント>
本事例は、申告漏れとなっていた貯金について、相続税の申告からあえて当該貯金のみを除外する意図が請求人にあったものとは認められない上、他の預貯金とは異なり残高証明書の発行依頼をしなかったことが故意によるものとは認め難く、また、請求人が、申告書の作成を依頼した会計事務所に対し当該貯金の存在を故意に伝えなかったと認めることもできないとして、当初から相続財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと評価すべき事情は認められないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、申告漏れとなっていた貯金(本件貯金)について、請求人が被相続人名義の預貯金のうち本件貯金についてのみ残高証明書を取得することなく相続手続を行うという特異な行動をしていること、及び請求人が本件貯金の存在を認識していたにもかかわらず、これを相続税の申告書の作成を依頼した会計事務所(本件会計事務所)に対して伝えていないことが、請求人の当初から相続財産を過少に申告する意図を外部からもうかがい得る特段の行動であり、請求人には国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があった旨主張する。

しかしながら、相続税の申告からあえて本件貯金のみを除外しようとする意図が請求人にあったものとは認められない上、請求人が訪れた金融機関における貯金の一般的な相続手続などからすると請求人が誤解や失念により本件貯金の残高証明書を取得しなかった可能性も否定できないから、請求人が本件貯金についてのみ特異な行動をしたと断ずることはできず、本件貯金の残高証明書の発行依頼をしなかったことは故意によるものとは認めがたく、また、請求人が本件会計事務所に対して本件貯金の存在を故意に伝えなかったと認めることもできないから、請求人の一連の行為において当初から相続財産を過少に申告する意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたものと評価すべき事情は認められない。

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2023年1月11日


請求人が生命保険金を含めずに所得税等の確定申告をしたことについて、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 令和元年分の所得税及び復興特別所得税に係る重加算税賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和4年4月15日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、生命保険金等の存在や申告の必要性を一旦は認識していたものの、確定申告時にその存在や申告の必要性を直ちに認識していたとまではいえず、当初から当該生命保険金等を申告しないことを意図していたとはいえない上、請求人が、過少申告の意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたとも認められないことから、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する重加算税の賦課要件は充足しないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が生命保険会社から振り込まれた保険契約に基づく一時金及び定期支払金(本件一時金等)を含めずに所得税及び復興特別所得税(所得税等)の確定申告(本件確定申告)をしたことについて、請求人が、本件一時金等が課税の対象となることを十分に認識しながら申告書の作成を補助した請求人の親族に本件一時金等が振り込まれた預金口座の通帳を提示しなかったことや、本件一時金等の支払明細等を廃棄したことは、当初から所得を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をした場合に当たるから、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する重加算税の賦課要件を満たす旨主張する。

しかしながら、請求人は、上記保険の取扱代理店である銀行の担当者から、上記一時金についての課税関係の説明を受け、上記支払明細等の送付を受けていたことから、本件一時金等の存在や申告の必要性を一旦認識することができたものと認められるが、過去5年間のうち一度しか所得税等の確定申告をしておらず、本件確定申告についても、金地金の売却利益について申告が必要である旨記載された税務署からのお知らせが届いたことを動機として行ったものであり、遺族年金を含めて申告するなど、請求人に確定申告の経験や税務の知識が豊富にあったとはいえないこと、上記説明が口頭により行われていた上、同説明があったのは本件確定申告の時点から約1年以上も前で、上記支払明細等の送付も本件確定申告の時点から9か月以上前であったことなどからすれば、請求人が、本件確定申告の時点において、本件一時金等の存在や申告の必要性を直ちに認識していたとまではいえず、請求人が本件一時金等を申告しないことを意図していたとはいえない。

また、請求人が親族に本件通帳を提示しなかったことについては、請求人が親族に申告書の作成の補助を依頼した際のやり取りが不明であること、上記支払明細等を破棄したことについても、意図的に廃棄したとは認められないことから、これらをもって、請求人が過少申告の意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたとは認められない。

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2022年12月22日


隠蔽仮装行為の始期に関する請求人の申述は信用できず、そのほかに隠蔽仮装行為の始期を示す証拠や請求人によって隠蔽仮装行為がなされたことを示す証拠もないから、請求人に隠蔽仮装の行為があったとは認められないとして、重加算税の賦課決定処分等を取り消した事例

  • ①平成24年分の所得税並びに平成25年分、平成26年分及び平成27年分の所得税及び復興特別所得税に係る過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
  • ②平成24年1月1日から平成27年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • ③平成24年分の所得税並びに平成25年分、平成26年分及び平成27年分の所得税及び復興特別所得税の各更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の各通知処分
  • ④平成24年1月1日から平成27年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の各通知処分
  • ⑤平成24年分の所得税並びに平成25年分、平成26年分及び平成27年分の所得税及び復興特別所得税の各修正申告の取消しを求める請求
  • ⑥平成24年1月1日から平成27年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各修正申告の取消しを求める請求
  • ①② 全部取消し、一部取消し
  • ③④ 棄却
  • ⑤⑥ 却下
  • 令和3年6月22日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人の行った隠蔽仮装行為(伝票を意図的に廃棄し、売上金額を過少に記載した日計表の作成)の始期について、請求人が争う年分及び課税期間の初年である旨の請求人の申述は信用性がなく、そのほかに、始期が同年と認める証拠はなく、また、同年分及び同課税期間において、他に請求人が隠蔽仮装行為を行ったことを示す証拠がないとして、隠蔽又は仮装に該当する事実は認められないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人は、事業に係る正しい売上金額を把握していたにもかかわらず、真実の売上金額を記載した売上メモ及び伝票を意図的に廃棄し、売上金額を過少に記載した日計表を商工会に提示することにより、売上げの一部を故意に申告していなかった旨主張する。

しかしながら、請求人は、調査担当職員による質問の当初、隠蔽仮装行為の始期について、曖昧な申述にとどまっていたことなどからすれば、同始期に関して、明確な記憶を持っておらず、その記憶は曖昧なものであったと認められる。

そして、隠蔽仮装行為の始期に関する請求人の申述は、自発的な申述をしたのではなく調査担当職員の教示に沿う形で申述した程度にすぎず、客観的事実とも整合せず、不自然であるともいえ、直ちに信用できない。

また、そのほかに隠蔽仮装行為の始期を示す証拠や請求人によって隠蔽仮装行為がなされたことを示す証拠もないから、請求人に、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があったとは認められない。

また、隠蔽又は仮装の具体的事実や開始時期を特定できない本件において、他に何らかの偽計その他の工作を伴う不正の行為があったと認めるに足る証拠もないから、請求人には国税通則法第70条《国税の更正、決定等の期間制限》第4項に規定する「偽りその他不正の行為」に該当する事実があったとは認められない。

さらに、更正の請求では、納税者側において売上金額が過大であることの立証をすべきであるところ、請求人から提出された資料等では、修正申告書に記載された売上金額が過大であるとは認められない。

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2022年2月10日


当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成29年6月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和3年6月25日裁決

<ポイント>
本事例は、相続税の申告書の作成を依頼した税理士からの質問に対して請求人がした回答が、同税理士の質問を誤解して回答した可能性を否定できず、故意に虚偽の事実を説明したものとは認められないとして、かかる回答をしたことをもって、請求人が、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が、被相続人が締結していた各建物更生共済契約(本件各共済契約)に関する権利(本件各権利)を相続税の課税財産として申告する必要があると認識していながら、税理士(本件税理士)に対して本件各共済契約は掛け捨て型のものであると故意に虚偽の説明をし、本件税理士に相続税の課税財産として申告すべき損害保険契約に関する権利はないとの誤解を生じさせた上、本件税理士に本件各権利の存在を一切告げなかったことは、当初から相続財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動に当たり、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定の隠蔽又は仮装の行為が認められる旨主張する。

しかしながら、本件税理士の請求人に対する質問の文言からすれば、請求人の「共済は掛け捨てに移行している」旨の回答は、本件税理士の質問の趣旨を誤解してなされた可能性があり、実際に建物更生共済契約から掛け捨ての損害保険へと移行されたものもあることからすれば、必ずしも虚偽であるとまではいえない。

また、請求人が本件税理士に預けた各普通貯金通帳の中には本件各共済契約に係る共済掛金の支払が確認できるものもあることからすれば請求人が本件税理士に対して本件各権利を秘匿しようという意図があったとまで認めることはできない。

したがって、請求人が本件税理士に対して故意に虚偽の説明をしたものと認めることはできず、請求人が本件税理士に当該回答をした事実をもって、請求人が、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと認めることはできないから、国税通則法第68条第1項に規定の隠蔽又は仮装の行為があったということはできない。

★リンクはこちら ⇒ 当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2022年2月8日


請求人が、被相続人の借入金が存在しないのに存在するかのように仮装していたとは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成29年8月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和3年6月3日裁決

<ポイント>
本事例は、相続税の課税価格の計算上債務控除していた被相続人の請求人からの借入金について、実際に被相続人が請求人から借り入れることとなった経緯が認められ、金銭借用証書の表題の記載からしても借入れが不自然とはいえないことや、当時、被相続人が意思能力に欠ける状態であったとは認定できず同借入れを否定する事情もないなどとして、同借入金がなかったと認めることはできないとして国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定の仮装に該当する事実があったとは認められないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が相続税の申告において相続税の課税価格の計算上債務控除をしていた被相続人の請求人からの借入金は、請求人から被相続人ヘ直接送金されておらず、十分な金額の預貯金を有する被相続人が請求人から借り入れする必要も認められないこと等から、借入金が存在しないにもかかわらず、あたかも当該借入金が存在したかのように装って金銭借用証書を作成したことが事実の仮装行為に該当し、国税通則法第68条《重加算税》第1項所定の重加算税の賦課要件を満たす旨主張する。

しかしながら、①被相続人の土地の購入資金に係る信用金庫からの融資がとん挫し、請求人が代わりに被相続人に対し金員を貸し付けることとなった経緯が認められ、金銭借用証書の表題に一時的な貸付けであることを意味する「一時」と付されていること等からすれば、請求人が被相続人に同金員の貸付けをしたとしても不自然とはいえないこと、②暫定的に請求人から被相続人に対する貸付けが行われた可能性があるから、請求人から被相続人に直接送金されていないことをもって直ちに被相続人の請求人からの借入れがなかったとはいえないこと、③同金員の貸付けについて被相続人の了解を得ていたことを否定する事情もないことからすれば、被相続人の請求人に対する借入金が存在しなかったとはいえず、請求人が金銭借用証書を作成して、存在しない債務を実際に存在するかのように仮装していたとは認められないから、請求人に国税通則法第68条第1項の「仮装」があったとは認められない。

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2022年2月4日


所有者を被相続人の孫とする登記がなされているなど家屋に係る相続税の申告以前の状況からすると、相続税の申告において請求人が当該家屋を申告しなかったことにつき国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由が認められるとした事例

  • 平成29年7月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和3年6月24日裁決

<ポイント>
本事例は、相続財産と認められる家屋について、①相続開始前に当該家屋の登記上の所有者が被相続人から同人の孫に名義変更されていたこと、②請求人自身が関与税理士として当該家屋の売買に係る譲渡所得の申告を行っていること、③上記①の名義変更以前から当該家屋に被相続人は居住しておらず同人の孫が居住していたことなどの理由から、相続税の申告において当該家屋を申告しなかったことにつき国税通則法第65条第4項所定の「正当な理由」があると認められるとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、相続開始時点において被相続人(本件被相続人)の孫(本件孫)名義となっていた家屋(本件家屋)について、本件被相続人や共同相続人らの各預金口座等を調査すれば、本件家屋の売買代金が実質的に支払われておらず、本件被相続人と本件孫との間の当該家屋に係る売買契約が成立していないことを確認できたのであるから、本件家屋が被相続人に帰属する財産であることを把握することは可能であったにもかかわらず、その確認を怠った請求人には国税通則法第65条《過少申告加算税》第4項に規定する「正当な理由」は認められない旨主張する。

しかしながら、前述するとおり、相続開始時点において本件家屋の登記上の名義は本件孫名義であり、請求人自身が関与税理士として本件家屋の売買に係る譲渡所得の申告を行っていたことに加え、当該売買以前から本件家屋には、本件被相続人ではなく譲受人である本件孫が居住していたことからすると、請求人は、本件家屋に係る本件被相続人と本件孫との間の売買契約が有効に成立し、本件家屋の所有権が本件孫に移転したと誤信せざるを得ない事情があったといわざるを得ない。

加えて、本件家屋の売買代金が実質的に支払われていないことを把握し得た時点が、相続税の申告期限後であったことを併せ考えれば、請求人が本件家屋について申告しなかったことにより相続税の申告が過少申告となったことにつき、真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり、過少申告加算税の趣旨に照らしてもなお請求人に過少申告加算税を賦課することは不当又は酷であって、請求人には「正当な理由」があったと認められる。

★リンクはこちら ⇒ 所有者を被相続人の孫とする登記がなされているなど家屋に係る相続税の申告以前の状況からすると、相続税の申告において請求人が当該家屋を申告しなかったことにつき国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由が認められるとした事例

2022年2月2日


第三者が何ら根拠のない金額を必要経費として記載した試算表を作成した行為は、過少申告行為とは別の隠ぺい又は仮装行為に該当しないとした事例

  • 平成29年分及び平成30年分の所得税及び復興特別所得税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和3年3月24日裁決

<ポイント>
本事例は、第三者が何ら根拠のない金額を必要経費として記載した試算表は、当該第三者が請求人の確定申告書を作成するためだけの一時的な補助資料の域を出るものではなく、その作成が、過少申告行為とは別の隠ぺい又は仮装行為に該当すると認めることは困難であるから、重加算税の賦課要件を満たさないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の申告書を作成した第三者が、何ら根拠のない金額を必要経費として記載した試算表(本件各試算表)を作成した上で、それを基に作成した確定申告書を提出したことは、請求人の事業所得に係る必要経費の計上について、過少申告行為とは別の隠ぺい又は仮装行為であり、重加算税の賦課要件を満たしている旨主張する。

しかしながら、当該第三者は、本件各試算表を使用して確定申告書を作成した後には、本件各試算表を保存しておくことなく、不要なものとして処分しており、また、請求人を含む他者に見せることもなかったものである。

そうすると、本件各試算表は、当該第三者が確定申告書を作成するためだけの一時的な補助資料の域を出るものではなく、その作成が、過少申告行為とは別の隠ぺい又は仮装行為に該当すると認めることは困難であるから、重加算税の賦課要件を満たさない。

★リンクはこちら ⇒ 第三者が何ら根拠のない金額を必要経費として記載した試算表を作成した行為は、過少申告行為とは別の隠ぺい又は仮装行為に該当しないとした事例

2021年11月11日


第三者が何ら根拠のない金額を必要経費として記載した試算表を作成した行為は、過少申告行為とは別の隠ぺい又は仮装行為に該当しないとした事例

  • 平成29年分の所得税及び復興特別所得税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和3年3月24日裁決

<ポイント>
本事例は、第三者が何ら根拠のない金額を必要経費として記載した試算表は、当該第三者が請求人の確定申告書を作成するためだけの一時的な補助資料の域を出るものではなく、その作成が、過少申告行為とは別の隠ぺい又は仮装行為に該当すると認めることは困難であるから、重加算税の賦課要件を満たさないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の申告書を作成した第三者が、何ら根拠のない金額を必要経費として記載した試算表(本件試算表)を作成した上で、それを基に作成した確定申告書を提出したことは、請求人の事業所得に係る必要経費の計上について、過少申告行為とは別の隠ぺい又は仮装行為であり、重加算税の賦課要件を満たしている旨主張する。

しかしながら、当該第三者は、本件試算表を使用して確定申告書を作成した後には、本件試算表を保存しておくことなく、不要なものとして処分しており、また、請求人を含む他者に見せることもなかったものである。

そうすると、本件試算表は、当該第三者が確定申告書を作成するためだけの一時的な補助資料の域を出るものではなく、その作成が、過少申告行為とは別の隠ぺい又は仮装行為に該当すると認めることは困難であるから、重加算税の賦課要件を満たさない。

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2021年11月10日


当初から相続財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動があったものと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成29年8月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和3年3月23日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、みなし相続財産である死亡保険金の申告漏れに関し、当該死亡保険金の存在を税理士に伝えなかったことをもって、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたとまではいえないことから、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する重加算税の賦課要件は充足しないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が、自身が支払を受けた2口の死亡保険金のいずれもが相続税の課税対象であることを理解しながら、そのうちの1口の死亡保険金(本件保険金)に関する資料を税理士に交付せず、本件保険金を含めない申告書を当該税理士に作成・提出させたことは、当初から財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたといえるから、重加算税の賦課要件を充足する旨主張する。

しかしながら、請求人及び被相続人が受けた本件保険金を扱う銀行の担当者の説明によると、請求人は、本件保険金が相続税の課税の対象とならないものと誤解した可能性が否定できず、この誤解に基づいて、本件保険金の存在を税理士に伝えなかった可能性も否定できない。

また、請求人は、調査の初日に本件保険金の入金事績が記録された請求人名義の銀行口座に係る通帳を原処分庁の調査担当職員に提示するなど、本件保険金の入金の事実を調査担当職員に対して隠そうとはしていなかったことが認められ、この事実は、上記誤解があった可能性を高める事実といえる。

したがって、請求人が本件保険金の存在を税理士に伝えなかったことをもって、請求人が当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたとまではいえず、重加算税の賦課要件は充足しない。

★リンクはこちら ⇒ 当初から相続財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動があったものと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2021年11月9日


当初から相続財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動があったものと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成29年12月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和3年3月1日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、みなし相続財産である死亡保険金の申告漏れに関し、その存在を一旦は認識していたものの、申告までの間に失念等した可能性を直ちには否定できず、また、請求人が、当初から当該死亡保険金をあえて申告から除外することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたともいえないことから、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する重加算税の賦課要件は充足しないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、申告漏れとなっていた死亡保険金(本件死亡保険金)について、請求人が、自身でその支払請求手続を行ったこと、原処分庁の調査担当職員に本件死亡保険金の存在を伝えなかったことなどから、本件死亡保険金の存在を認識しつつ、それをあえて申告していないから、過少に申告する意図を有していたといえ、また、本件死亡保険金の存在を関与税理士等に説明せず、関係資料の提示もしなかった行為は、本件死亡保険金を相続税の申告財産から除外するという過少申告の意図を外部からもうかがい得る特段の行動に該当するものとして、重加算税の賦課要件を充足する旨主張する。

しかしながら、請求人が当初は生命保険契約に係る申告すべき保険金は同じ保険会社の別件の申告済の保険金(本件申告済保険金)のみであると誤認していたことに加えて、本件申告済保険金及び本件死亡保険金の請求手続は、請求人が仕事で多忙な中でその合間に行われたものであることなどからすると、請求人が、本件死亡保険金について、その存在及び申告が必要な相続財産であることを一旦認識したものの、相続税の申告までの間に、本件死亡保険金の存在とこれについても申告が必要であることを失念ないし誤認した可能性を直ちに否定することはできない。

さらに、関与税理士等とのやりとりの経過等を見ても、請求人が当初から本件死亡保険金をあえて申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたともいえないため、重加算税の賦課要件は充足しない。

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2021年11月8日


みなし相続財産に該当する生命保険金が申告漏れとなったことにつき、請求人が殊更過少な相続税申告書を提出したとは認められないとした事例

  • ①平成29年3月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分 → 一部取消し
  • ②平成29年3月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分 → 全部取消し
  • 令和3年2月5日裁決

<ポイント>
本事例は、相続税の重加算税を賦課する場合の殊更過少な相続税申告書を提出したか否かの認定に当たっては、請求人や税理士の証言の一部分をもって判定するのではなく、その証言内容を裏付けるに足る事情の存在を含めて判定すべきとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が一部の生命保険金について相続税の申告すべき財産であることを十分認識していたにもかかわらず、関与税理士に対してその存在を殊更に秘匿したことなどに照らせば、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する重加算税の賦課要件を満たす旨主張する。

しかしながら、同税理士は関係資料等の提出時や申告書の作成時に請求人に対して具体的な確認等をしていなかった上、その他に、請求人が同税理士に対して殊更にその存在を秘匿したと裏付けるに足りる事情も存在しないことなどに照らせば、請求人が当初から過少申告を意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたような場合に該当するとまでは認められないから、同項に規定する重加算税の賦課要件を満たすとはいえない。

★リンクはこちら ⇒ みなし相続財産に該当する生命保険金が申告漏れとなったことにつき、請求人が殊更過少な相続税申告書を提出したとは認められないとした事例

2021年11月5日


源泉所得税の納付が法定納期限後になったことについて、その納付が、告知があるべきことを予知してされたものではないと認められた事例

  • 平成31年1月分の源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の不納付加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和3年1月20日裁決

<要旨>
原処分庁は、請求人が法定納期限を徒過して源泉所得税等を納付したことについて、当該納付は調査担当職員が実地調査の日程調整を依頼した際に行った源泉徴収義務の存否に関する発言(本件発言)を起因としたものであり、その後の調査が進行すれば告知に至るであろうことを予知して行ったものであるから、国税通則法第67条《不納付加算税》第2項に規定する「当該国税についての調査があったことにより当該告知があるべきことを予知してされたものでないとき」に該当しない旨主張する。

しかしながら、当該規定の適用に係る判断に当たっては、調査の内容・進捗状況、それに関する納税者の認識、納付に至る経緯、納付と調査の内容との関連性等の事情を総合考慮して判断するのが相当であるところ、調査担当職員が署内調査を行い、実地調査の日程調整を依頼した時点では、その後の調査の進行により、やがて納税の告知に至る可能性が高い状況にあったといえるものの、本件発言からは、具体的な取引内容や調査対象期間も示されず、そのため、請求人は署内調査の内容・進捗状況を具体的に認識していないと認められ、さらに、請求人が当該納付を自主的に行ったと認められるから、当該納付と署内調査との関連性も乏しいと言わざるを得ない。

したがって、当該納付は、同項に規定する「当該国税についての調査があったことにより当該国税について当該告知があるべきことを予知してされたものでないとき」に該当する。

★リンクはこちら ⇒ 源泉所得税の納付が法定納期限後になったことについて、その納付が、告知があるべきことを予知してされたものではないと認められた事例

2021年11月4日


外国子会社合算税制に係る所得が無申告であった者に対する無申告加算税の賦課決定処分において、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第6条《国外財産に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例》第2項を適用したことを適法とした事例 

  • 平成25年分から平成29年分の所得税等の決定処分等及び無申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和3年3月26日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、外国子会社合算税制に係る所得の基因となる外国子会社の株式を記載した国外財産調書を提出していなかった場合において、原処分庁が、当該所得に係る無申告加算税の賦課決定処分を行う際に内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第6条第2項の加重措置を適用したことは適法と判断したものである。

<要旨>
請求人は、平成27年12月31日、平成28年12月31日及び平成29年12月31日において、その価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を有していたと認められるから、平成27年分から平成29年分までにつき、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律(国送法)第5条《国外財産調書の提出》第1項本文に規定する国外財産調書の提出義務があったにもかかわらず、これらをいずれも法定提出期限内に提出しなかったと認められる。

したがって、上記各年分の無申告加算税の金額につき、国税通則法第66条《無申告加算税》並びに国送法第6条《国外財産に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例》第2項の規定に基づいて計算すると、いずれも原処分の各金額と同額となるから、本件の無申告加算税の各賦課決定処分は、いずれも適法である。

★リンクはこちら ⇒ 外国子会社合算税制に係る所得が無申告であった者に対する無申告加算税の賦課決定処分において、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第6条《国外財産に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例》第2項を適用したことを適法とした事例 

2021年11月2日


予納制度を利用した納税のご案内

1.予納制度とは
予納とは、調査等により近日中(おおむね6か月以内)に納付すべき税額の確定が見込まれる場合に、修正申告書等を提出する前であっても、その納付すべき税額の見込金額を、税務署長に申し出て、あらかじめ納付(予納)することができる制度である。

期限内申告書においては、おおむね12か月以内に納付すべき税額が確定することが確実な国税について、あらかじめ税務署長に申し出ることで予納することができる。

予納した場合には、予納の目的となる申告書等の提出を行う前(納期限前)に、その還付を求めることはできないので注意すること。

2.予納のメリット
予納をすると、延滞税の計算は納付された日までとなるので、延滞税の額が少なくなる場合がある()。

(注1)法定申告期限から1年以内に修正申告等を行う場合は、延滞税の計算は予納した日までとなり、延滞税の額が少なくなる。

(注2)法定申告期限から1年を経過して修正申告等を行う場合は、除算期間がない場合に限り、延滞税の額が少なくなる。

(参考)
●予納した額が、修正申告等により確定した税額よりも少ない場合
予納した額は修正申告等により確定した本税に充てられ、残りの本税、加算税、延滞税については、別途納付する必要がある。

●予納した額が、修正申告等により確定した税額よりも多い場合
予納した額を修正申告等により確定した本税に充てた残額については、順次、他の未納の国税に充てられ、納め過ぎた額については還付される。

不明な点があれば、税務署の管理運営(担当)部門に問い合せること。

★リンクはこちら ⇒ 予納制度を利用した納税のご案内

2021年9月14日


公売処分の取消請求において、国税徴収法上、土地の差押手続は土地の地番ごとに行うより他なく、差押処分の効力も当該地番の土地にしか及ばないから、公売不動産の隣接地所有者である請求人は、当該隣接地の所有権を主張する者にとどまり、差押えに係る財産について所有権を主張していないこととなり、したがって、請求人適格は認められないとした事例

  • 公売公告処分・最高価申込者の決定処分
  • 却下
  • 令和2年12月22日裁決

<ポイント>
本事例は、公売不動産の隣接地所有者が公売不動産の一部について所有権を有していると主張する審査請求において、請求人は、「差押えに係る財産について所有権を主張する者」には該当せず、したがって、請求人適格はないと判断したものである。

<要旨>
請求人は、公売不動産の隣接地の実質所有者は請求人であり、当該隣接地の一部が公売不動産に含まれているため、請求人の権利が侵害されていると主張する。

しかしながら、国税通則法第75条《国税に関する処分についての不服申立て》第1項は、国税に関する法律に基づく処分に不服がある者は、不服申立てをすることができる旨規定しており、この者とは、その処分によって直接自己の権利又は法律上の利益を侵害された者であることを要すると解される。

また、国税徴収法第89条《換価する財産の範囲等》第1項の規定では、公売処分は、差し押さえた財産について行うものであるところ、差押処分の効力は、嘱託登記により差押登記が付された地番以外の土地に及ぶと解することはできず、当該地番の土地にしか発生しないことから、公売処分もまた、公法上の一筆の土地を対象として行われることとなる。

そうすると、差押処分で特定された地番の土地に、請求人が所有する公売不動産の隣接地の地番の土地が含まれることは法律上あり得ないことから、請求人は、公売処分によって直接自己の権利又は法律上の利益が侵害された者とは認められず、国税に関する法律に基づく処分に不服がある者に該当しない。

★リンクはこちら ⇒ 公売処分の取消請求において、国税徴収法上、土地の差押手続は土地の地番ごとに行うより他なく、差押処分の効力も当該地番の土地にしか及ばないから、公売不動産の隣接地所有者である請求人は、当該隣接地の所有権を主張する者にとどまり、差押えに係る財産について所有権を主張していないこととなり、したがって、請求人適格は認められないとした事例

2021年7月30日


原処分庁に所属する職員が原処分に係る各通知書を歯科医院を営む請求人の自宅兼事業所に持参した際に、請求人が診療中であり対応することができないとして各通知書を受け取らなかった事情は、国税通則法第12条《書類の送達》第5項第2号に規定する「正当な理由」には該当しないとした事例 

  • ①平成27年分の所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分
  • ②平成25年分、平成26年分、平成27年分及び平成28年分の所得税及び復興特別所得税の過少申告加算税の各賦課決定処分
  • ③平成24年分の所得税の更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
  • ④平成25年分、平成26年分、平成27年分及び平成28年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
  • ⑤平成28年1月1日から平成28年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の過少申告加算税の賦課決定処分
  • ⑥平成28年1月1日から平成28年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和2年12月21日裁決

<ポイント>
本事例は、国税通則法の送達に関する規定の趣旨を紐解き、その趣旨に照らせば、受送達者が診療中であったとしても、送達場所におり、原処分庁職員が交付送達のため来訪したことを現に認識していた場合には、(法が、その診療終了を待って出会送達をすることや、再度の送達を行うことまでを求めていると解することは困難であるとして)差置送達を行うことができると判断したものである。

<要旨>
請求人は、原処分庁に所属する職員が原処分に係る各通知書を自宅兼事業所に持参した際、歯科医師として診療中であり対応することができなかったから、国税通則法第12条《書類の送達》第5項第2号に規定する「正当な理由」に該当するため、原処分庁が差置送達を行ったことは同条に規定する差置送達の要件に該当しないから、原処分を取り消すべき違法がある旨主張する。

しかしながら、差置送達は、書類の送達を受けるべき者等が送達すべき場所にいない場合、又はこれらの者が正当な理由がなく書類の受領を拒んだ場合に行うことができる送達方法であり、差置送達の制度が認められた趣旨に照らせば、請求人の診療中であるという事情は、国税通則法第12条第5項第2号に規定する「正当な理由」には該当しないと解すべきであるから、原処分庁による差置送達は法令上の要件を満たしたものであるから、原処分庁が差置送達を行ったことにつき、原処分を取り消すべき違法はない。

★リンクはこちら ⇒ 原処分庁に所属する職員が原処分に係る各通知書を歯科医院を営む請求人の自宅兼事業所に持参した際に、請求人が診療中であり対応することができないとして各通知書を受け取らなかった事情は、国税通則法第12条《書類の送達》第5項第2号に規定する「正当な理由」には該当しないとした事例 

2021年7月29日


役務提供のない支払手数料を計上したことに事実の仮装は認められないとした事例

  • 平成27年6月1日から平成28年5月31日までの事業年度の法人税の重加算税の賦課決定処分、平成27年6月1日から平成28年5月31日までの課税事業年度の地方法人税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和2年9月4日裁決

<要旨>
原処分庁は、請求人の実質経営者である元代表者が、役務の提供がないことを認識していたにもかかわらず、関与税理士に指示して、不動産仲介業者に対する役務提供の対価(本件金員)を支払手数料勘定に計上させたことが、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する「事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し」に該当する旨主張する。

しかしながら、請求人と不動産仲介業者との間で複数の不動産取引を共同事業として行う目論見書が作成されていたことなどからすれば、元代表者が本件金員を支払う必要があると認識していた可能性が否定できない。

そして、当審判所の調査によっても、元代表者が本件金員を支払う必要がないことを認識した上で本件金員を支払手数料勘定に計上させたと認定する証拠は見当たらず、その他仮装と評価すべき行為を認めるに足りる証拠もない。

したがって、本件において認定される事実のみからは、請求人に、国税通則法第68条第1項に規定する「隠ぺいし、又は仮装し」に該当する事実があったものとして同項を適用することはできない。

★リンクはこちら ⇒ 役務提供のない支払手数料を計上したことに事実の仮装は認められないとした事例

2021年4月14日


滞納法人の代表者である請求人の実印が押なつされた納税保証書は、請求人の同意もなく従業員によって作成、提出されたものであって、無効であるとの請求人の主張に対し、請求人に納税保証をする意思が認められるとした事例

  • 納付告知処分
  • 棄却
  • 令和2年7月1日裁決

<ポイント>
本事例は、納税保証書の真正な成立について、請求人から、いわゆる二段の推定における請求人の意思に基づくことの反証がされたところ、納税保証書の作成時の請求人の実印の保管状況等や、滞納法人の従業員に請求人の実印を冒用すべき理由があるか、納税保証書提出後に請求人が徴収職員に自らが保証人であることを自認する言動をしていたかを認定した上で、関係人の答述の信用性を評価し、判断したものである。

<要旨>
滞納法人の代表者である請求人は、請求人が滞納国税(本件滞納国税)を納税保証する旨が記載された納税保証書(本件保証書)について、滞納法人の従業員が請求人の印章を無断で使用してこれを作成したものであり、請求人が当該従業員やその他の第三者にこの作成を指示したことがなく、請求人の同意なく提出されたものであることから、当該納税保証は無効であり、これを前提とする納付告知処分は違法である旨主張する。

しかしながら、私文書中の印影が本人又は代理人の印章によって顕出された事実が確定された場合には、反証がない限り、当該印影は本人又は代理人の意思に基づいて成立したものと推定されるところ、請求人にこれを覆すべき反証はなく、また、本件保証書の提出後、請求人自身が保証人であることを自認する言動を繰り返していたことからすれば、請求人は本件滞納国税について納税保証をしたと認められる。

★リンクはこちら ⇒ 滞納法人の代表者である請求人の実印が押なつされた納税保証書は、請求人の同意もなく従業員によって作成、提出されたものであって、無効であるとの請求人の主張に対し、請求人に納税保証をする意思が認められるとした事例

2021年4月12日


相続放棄の申述をした請求人に対して、原処分庁が相続放棄の無効を前提として行った不動産の差押処分について、相続人である請求人の口座に振り込まれた被相続人の顧問料相当額を引き出した事実は法定単純承認事由となる相続財産の処分に該当しないとした事例

  • 不動産の差押処分
  • 全部取消し
  • 令和2年4月17日裁決

<ポイント>
本事例は、法定単純承認事由となる相続財産の処分がされたか否かについて、請求人及び関係者の答述並びに帳簿等の広範囲な証拠に基づき、請求人が相続財産を費消(処分)したと認められるか否か、総合的かつ慎重に認定し、相続放棄の申述が有効であると判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、①請求人名義の金融機関の口座(本件口座)に振り込まれた金員(本件金員)は、請求人の配偶者(本件被相続人)と本件金員の支払者との間の委任契約(本件委任契約)に基づき、本件被相続人に対する未払報酬が請求人名義の本件口座に振り込まれたもので、相続財産に該当するところ、請求人が本件金員を受領、出金及び返納した行為は、いずれも民法第921条《法定単純承認》第1号に規定する相続財産の「処分」に該当する旨、②請求人名義の土地及び建物(本件各不動産)の取得資金は、本件被相続人が出捐し、又は本件被相続人の意思により関係会社等が支出していることから、本件各不動産は本件被相続人に帰属する財産であり相続財産に該当するところ、請求人が本件各不動産について、同条第3号に規定する「隠匿」及び同条第1号に規定する「処分」に該当する行為をしている旨、上記①及び②の事実は法定単純承認事由に該当するから、請求人の相続放棄は認められず、請求人は本件被相続人の納付義務を承継する旨主張する。

しかしながら、①については、本件金員が相続財産に該当することが認められるものの、本件金員が本件委任契約に基づいて本件口座に振り込まれたものにすぎず、請求人が出金した本件金員を一部でも費消した事実は認められないこと、請求人が振込名義人あてに送金したのは相続放棄の申述が受理された後であることから、これらはいずれも相続財産の処分には該当しないこと、②については、本件各不動産が本件被相続人に帰属する財産であることを認めるに足りる証拠はなく、相続財産に該当すると認められないことから、本件金員及び本件各不動産について、請求人に法定単純承認事由に該当する事実はなく、請求人の相続放棄の申述は有効であり、請求人は本件被相続人の納付義務を承継しない。

★リンクはこちら ⇒ 相続放棄の申述をした請求人に対して、原処分庁が相続放棄の無効を前提として行った不動産の差押処分について、相続人である請求人の口座に振り込まれた被相続人の顧問料相当額を引き出した事実は法定単純承認事由となる相続財産の処分に該当しないとした事例

2020年12月22日


翌事業年度に計上すべき本件修繕費の完了日を仮装したとまではいえないとした事例 

  • 平成29年4月1日から平成30年3月31日までの事業年度の法人税の重加算税の賦課決定処分
  • 平成29年4月1日から平成30年3月31日までの課税事業年度の地方法人税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和2年3月10日裁決

<ポイント>
本事例は、翌事業年度に計上すべき本件修繕費について、施行業者が発行した請求書の納品日欄に本件事業年度内の日付が記載されていたことをもって仮装行為に該当するとまでは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人代表者が翌事業年度に計上すべき本件修繕費について、本件事業年度に修繕工事が開始しておらず、本件修繕費を損金の額に算入できないことを認識した上で、施工業者に依頼して納品日欄に本件事業年度内の日付を記載した請求書を発行させ、本件修繕費を損金の額に算入したことが仮装行為に該当する旨主張する。

しかしながら、施工業者は事業年度内に施工に向けた準備を行っていることから、請求人代表者から依頼されて施工業者が本件事業年度内の日付の請求書を発行しても不自然とまでは言い切れず、請求書の納品日欄についてもシステムの便宜上入力された可能性を否定できない。

また、請求書の納品日欄に記載された日付が修繕工事の完了日を示すと認めるに足る証拠もなく、請求人代表者が施工業者に対し請求書の納品日欄の日付を修繕工事の完了日として記載するよう依頼したことを示す証拠もない。

加えて、請求人代表者は入出金に係る会計伝票を作成するにとどまり、本件修繕費のような未払金に関する会計伝票は作成しておらず税務代理人が会計処理を行ったものであり、請求人代表者に本件修繕費を本件事業年度の損金の額に算入できないとの認識があったとまでは認められない。

したがって、本件修繕費を本件事業年度の損金の額に算入したことにつき、仮装の行為があるとは認められない。

★リンクはこちら ⇒ 翌事業年度に計上すべき本件修繕費の完了日を仮装したとまではいえないとした事例 

2020年11月5日


請求人が法定申告期限までに法人税及び消費税等の申告をしなかったことについて、国税通則法第68条第2項の重加算税の賦課要件を満たしているとはいえないとした事例

  • 平成24年12月1日から平成25年11月30日まで、平成25年12月1日から平成26年11月30日まで、平成26年12月1日から平成27年11月30日まで、平成27年12月1日から平成28年11月30日まで及び平成28年12月1日から平成29年11月30日までの各事業年度の法人税の重加算税の各賦課決定処分
  • 平成24年12月1日から平成25年11月30日まで及び平成25年12月1日から平成26年11月30日までの各課税事業年度の復興特別法人税の重加算税の各賦課決定処分
  • 平成26年12月1日から平成27年11月30日まで、平成27年12月1日から平成28年11月30日まで及び平成28年12月1日から平成29年11月30日までの各課税事業年度の地方法人税の重加算税の各賦課決定処分
  • 平成25年12月1日から平成26年11月30日まで、平成27年12月1日から平成28年11月30日まで及び平成28年12月1日から平成29年11月30日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の重加算税の各賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和2年2月13日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人には、申告期限までに申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動があったと認めるに足る事実はなく、国税通則法第68条第2項の重加算税の賦課要件は満たさないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が、所得金額を容易に把握できたにもかかわらず、申告をせず、調査において書類提示を拒否したなどの行為は、申告すべき所得金額及び納付すべき税額が生ずることを明確に認識していながら確定的な意思に基づいて無申告を貫いたものであって、当該行為は、当初から課税標準等及び税額等を法定申告期限までに申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたものと認められることから、その意図に基づき法定申告期限までに法人税及び地方法人税(法人税等)の確定申告書を提出しなかったことは、国税通則法第68条《重加算税》第2項に該当する旨主張する。

しかしながら、請求人は、法定申告期限までに法人税等の確定申告書の提出が必要であったことを認識しながら、確定申告書を提出しなかったことは認められるものの、調査の開始当初においては質問調査や書類の提示要請に応じるとともに、調査の開始当初から事業に関連する支出の存在を主張し所得が生じていないと認識していた可能性を否定できないことから、無申告行為そのものとは別に、請求人が当初から法定申告期限までに申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をとったとは言い難い。

したがって、請求人に国税通則法第68条第2項に該当するとは認められない。

★リンクはこちら ⇒ 請求人が法定申告期限までに法人税及び消費税等の申告をしなかったことについて、国税通則法第68条第2項の重加算税の賦課要件を満たしているとはいえないとした事例

2020年11月4日


当初から過少申告及び無申告を意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づき、所得税等については過少申告をし、消費税等については期限内に確定申告書を提出しなかったと認定した事例

  • 平成23年分から平成29年分の所得税等に係る重加算税の各賦課決定処分及び平成23年課税期間から平成29年課税期間の消費税等の各重加算税賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和2年2月19日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、事業所得の金額を正確に把握していたにもかかわらず、収入金額を1,000万円を下回るように調整して極めて過少な所得金額を記載した所得税等の確定申告書を長年にわたり継続的に提出し続け、調査の際にも、調査担当者に対し、帳簿書類の存在を秘し、事後的に作成した虚偽の帳簿書類を複数回提示したことなどが認められ、これらの一連の行為によれば、請求人は、重加算税の賦課要件を満たすとしたものである。

<要旨>
請求人は、確定申告書に誤りがあったのは勘違いや集計誤りを原因とするものにすぎず、故意に多額の所得を脱漏したのではなく、また、請求人に対する調査(本件調査)の際に請求人の行う事業(本件事業)に係る帳簿書類を隠したこともないから、国税通則法第68条《重加算税》第1項又は第2項に規定する重加算税の賦課要件を満たさない旨主張する。

しかしながら、請求人は、本件事業において収入に係る帳簿書類の作成・保存、経費に係る支払、収入が入金される口座の管理等を自ら行うなどしていることからすれば、事業所得の金額を正確に把握していたといえ、それにもにもかかわらず、請求人は、7年もの長期間にわたって収入金額を1,000万円を下回るように調整して極めて過少な所得金額を記載した確定申告を継続的に提出し続けていたものと認められる。

そして、請求人は、調査に際しても真実の総収入金額が容易に判明する帳簿書類の存在を秘しただけではなく、事後的に虚偽の帳簿書類を複数回作成し、本件調査の担当者に提示するなどしており、このことは真実の所得の調査解明に困難を伴う状況を作出し真実の所得金額を隠蔽しようという確定的な意図の下に、隠蔽のための具体的な工作を行い、真実の所得金額を隠蔽する態度、行動をできる限り貫こうとしたと評価せざるを得ない。

以上のような請求人の一連の行為によれば、請求人が、当初から所得を過少に申告する確定的な意図を有し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき過少申告をしたような場合などに該当する。

★リンクはこちら ⇒ 当初から過少申告及び無申告を意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づき、所得税等については過少申告をし、消費税等については期限内に確定申告書を提出しなかったと認定した事例

2020年10月30日


請求人が法定申告期限までに相続税の申告をしなかったことについて、国税通則法第68条第2項の重加算税の賦課要件を満たしているとはいえないとした事例

  • 平成28年11月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和元年12月18日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が相続財産を過少に記載したお尋ね文書を提出しているものの、そのことのみをもって、国税通則法第68条第2項の重加算税の賦課要件は満たさないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が意図的に「相続についてのお尋ね」と題する文書(本件お尋ね文書)に虚偽の記載をしてこれを提出したなどとして、国税通則法第68条《重加算税》第2項に規定する重加算税の賦課要件を満たす旨主張する。

しかしながら、当審判所に提出された証拠資料等を精査しても、請求人が本件お尋ね文書に意図的に虚偽の記載をしてこれを提出したことなどを裏付けるに足りる証拠は存在せず、また、請求人が当初から相続税を申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたなどとも認められないことからすれば、同項に規定する重加算税の賦課要件を満たしていない。

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2020年6月26日


当初から法定申告期限までに申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたとは認められないとして重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成27年4月1日から平成28年3月31日までの事業年度の法人税の決定処分及び重加算税の賦課決定処分、平成27年4月1日から平成28年3月31日までの課税事業年度の地方法人税の決定処分及び重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和元年11月20日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が法定申告期限までに申告書の提出が必要であったことを認識しながら、これをしなかったことが認められるものの、調査の開始当初においては質問調査や書類の提示要請に応じるとともに、請求人が支出の存在を主張し所得が生じていないと認識していた可能性があることを否定できないことから、請求人が当初から法定申告期限までに申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと評価することはできないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が、所得金額を容易に把握できたにもかかわらず、申告をせず、調査において書類提示を拒否したなどの行為は、申告すべき所得金額及び納付すべき税額が生ずることを明確に認識していながら確定的な意思に基づいて無申告を貫いたものであって、当該行為は、当初から課税標準等及び税額等を法定申告期限までに申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたものと認められることから、その意図に基づき法定申告期限までに法人税及び地方法人税(法人税等)の確定申告書を提出しなかったことは、国税通則法第68条《重加算税》第2項に規定する事実の隠蔽又は仮装に該当する旨主張する。

しかしながら、請求人は、法定申告期限までに法人税等の確定申告書の提出が必要であったことを認識しながら、これをしなかったことは認められるものの、調査の開始当初においては質問調査や書類の提示要請に応じるとともに、調査の開始当初から事業に関連する支出の存在を主張し所得が生じていないと認識していた可能性を否定できないことから、無申告行為そのものとは別に、請求人が当初から法定申告期限までに申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をとったとはいい難い。

したがって、請求人に国税通則法第68条第2項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」と評価すべき行為があるとは認められない。

★リンクはこちら ⇒ 当初から法定申告期限までに申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたとは認められないとして重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2020年6月24日


請求人の従業員が、架空の請求書を作成して請求人に交付した一連の行為は、請求人による行為と同視できないとした事例

  • ①平成27年4月1日から平成28年3月31日まで及び平成28年4月1日から平成29年3月31日までの各事業年度の法人税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • ②平成27年4月1日から平成28年3月31日までの課税事業年度の地方法人税に係る重加算税の賦課決定処分
  • ③平成28年4月1日から平成29年3月31日までの課税事業年度の地方法人税に係る重加算税の賦課決定処分
  • ④平成27年4月1日から平成28年3月31日まで及び平成28年4月1日から平成29年3月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • ②全部取消し、①③④一部取消し
  • 令和元年10月4日裁決

<ポイント>
本事例は、従業員による行為は仮装行為に該当し、請求人による当該従業員への管理・監督が十分ではなかったものと認定したものの、当該従業員の地位・権限や行為態様等からは請求人の行為と同視できないと認定したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の従業員(本件従業員)が行った金員の詐取を目的とした仮装行為(本件仮装行為)について、法人の従業員の業務に関連する行為は、当該法人の活動領域内の行為として自己の行為の一部分とみることができるから、従業員の行為が納税者である法人の行為と同視できないといえるような特段の事情がない限り、請求人に国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実がある旨主張する。

しかしながら、①本件従業員は、請求人の経営に参画することや、経理業務に関与することのない一使用人であったと認められ、②本件仮装行為は、請求人の業務の一環として行われたものではなく、本件従業員が私的費用に充てるための金員を請求人から詐取するために独断で行ったものであると認められる。

一方、③請求人においては、一定の管理体制が整えられていたものの、本件仮装行為のような詐取行為を防止するという点では、管理・監督が十分であったとは認められない。

もっとも、職制上の重要な地位に従事せず、限られた権限のみを有する一使用人が、独断で請求人の金員を詐取したという事件の事情に鑑みれば、本件従業員に対する請求人の管理・監督が十分ではなく、本件仮装行為を発覚できなかったことをもって、本件仮装行為を請求人の行為と同視することは相当ではない。

したがって、以上の点を総合考慮すれば、本件従業員による本件仮装行為を納税者たる請求人の行為と同視することはできないと判断するのが相当であり、同項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があるとは認められない。

★リンクはこちら ⇒ 請求人の従業員が、架空の請求書を作成して請求人に交付した一連の行為は、請求人による行為と同視できないとした事例

2020年6月22日


相続財産の一部につて、相続人がその存在を認識しながら申告しなかったとしても、重加算税の賦課要件は満たさないとした事例

  • 平成27年4月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和元年11月19日裁決

<要旨>
原処分庁は、請求人の亡母(本件相続人)が、当初申告において計上していなかった相続財産の一部である被相続人名義の預金(本件預金)について、その存在を知りながら関与税理士に伝えなかったことは、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する隠ぺい又は仮装の行為に当たる旨主張する。

しかしながら、本件相続人が本件預金の存在を関与税理士に伝えなかったことは認められるものの、本件相続人が本件預金を相続財産であることを認識した上で、あえて関与税理士に本件預金の存在を伝えなかったとまで認めることはできず、また、本件相続人は、本件預金を原処分庁が容易に把握し得ないような他の金融機関や本件相続人名義以外の口座などに入金したのではなく、本件預金の口座と同じ金融機関の本件相続人名義の口座に入金し、調査日現在においても当該口座を解約していなかったことからすると、原処分庁をしてその発見を困難ならしめるような意図や行動をしているとは認められないから、本件預金を故意に当初申告の対象から除外したものとまでは認め難い。

したがって、本件相続人が、相続税を当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたものと認めることはできないから、国税通則法第68条第1項に規定する隠ぺい又は仮装の行為に当たるとは認められない。

★リンクはこちら ⇒ 相続財産の一部につて、相続人がその存在を認識しながら申告しなかったとしても、重加算税の賦課要件は満たさないとした事例

2020年6月19日


取引先と通謀して検収書に虚偽の検収日を記載した事実は認められないと判断した事例

  • ①平成28年4月1日から平成29年3月31日までの事業年度の法人税に係る重加算税の賦課決定処分
  • ②平成28年4月1日から平成29年3月31日までの課税事業年度の地方法人税に係る重加算税の賦課決定処分
  • ③平成28年4月1日から平成29年3月31日までの課税期間に係る消費税及び地方消費税に係る重加算税の賦課決定処分
  • ①②③一部取消し
  • 令和元年7月2日裁決

<要旨>
原処分庁は、請求人の従業員(本件従業員)が平成29年3月20日時点において、手書き図面のデータ化に係る役務の提供が完了していないにもかかわらず、本件検収書に同日を検収日として記載して事実を仮装した行為は、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する事実の仮装に該当する旨主張する。

しかしながら、請求人は、検収日に、手書き図面の電子データ化がされた図面をまとめたファイルの納品を受けており、本件従業員は、当該ファイルが納品された時点で役務の提供が実質的に完了しているとの認識の下、本件検収書に検収日を記載したものと認められることから、本件従業員が意図的に本件検収書に虚偽の検収日を記載したとはいえないため、請求人に同項に規定する事実の仮装があったとは認められない。

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2020年4月24日


債権差押処分における被差押債権の不存在又は消滅の主張は債権差押処分の違法又は無効事由と認められないとした事例

  • 不動産の差押処分
  • 棄却
  • 令和元年5月14日裁決

<ポイント>
本件は、滞納者や第三債務者による、被差押債権の不存在又は消滅を理由とする差押処分の違法又は無効の主張は、不存在又は消滅が明らかであるような事情、あるいは徴収権の濫用と認められる等の事情が無い限り、認められないと解されるとしたものである。

<要旨>
請求人は、請求人が有する保証金の返還請求権(本件被差押債権)の差押処分(本件差押処分)時において、本件被差押債権は既に消滅しており存在しなかったから、本件差押処分は違法又は無効であり、滞納国税の徴収権の消滅時効は、本件差押処分によって中断していない、したがって、不動産差押処分時において滞納国税の徴収権は時効により消滅している旨主張する。

しかしながら、被差押債権の存在を滞納処分による債権差押処分の要件とする旨の規定は存在せず、また、仮に滞納処分による債権差押処分を行った場合に被差押債権が存在せず又は既に消滅していたとしても、それは結果的に債権差押処分の執行が功を奏しなかったというだけにすぎず、権利者による権利行使がなされたことに変わりはない。

したがって、仮に本件被差押債権が消滅しており存在しなかったとしても、そのことによって本件差押処分が違法又は無効になるものではないことから、滞納国税の徴収権の消滅時効は、本件差押処分によって中断している。

★リンクはこちら ⇒ 債権差押処分における被差押債権の不存在又は消滅の主張は債権差押処分の違法又は無効事由と認められないとした事例

2020年2月27日


収支内訳書に虚偽記載があったものの、隠ぺい仮装があったとは認められないと判断した事例

  • ①平成24年課税期間の消費税等に係る重加算税の賦課決定処分
  • ②平成25年から平成28年の各課税期間の消費税等に係る重加算税の各賦課決定処分
  • ③平成24年分の所得税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分
  • ④平成25年分から平成28年分の各年分の所得税等の各更正処分並びに重加算税の各賦課決定処分
  • ⑤平成24年課税期間の消費税等の更正処分並びに無申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
  • ⑥平成25年から平成28年の各課税期間の消費税等の各更正処分並びに無申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
  • ⑦平成25年4月から平成29年9月の各月分の源泉徴収に係る所得税等の各納税告知処分並びに不納付加算税の各賦課決定処分(平成25年7月及び平成29年9月の各月分は各納税告知処分のみ、平成25年12月、平成26年12月、平成27年12月及び平成28年12月の各月分は不納付加算税の各賦課決定処分のみ)
  • ①③⑤全部取消し
  • ②④⑥一部取消し
  • ⑦棄却
  • 令和元年6月24日裁決

<ポイント>
本事例は、売上金額の一部とそれに対応する必要経費の金額を含めなかったほか、適当な金額を記載した収支内訳書を作成したことについて、請求人に当初から過少申告の意図があったと認められるものの、隠ぺい仮装と評価すべき行為とは認められず重加算税の賦課要件を満たさないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が、過少申告の意図に基づき①売上金額が1,000万円を超えないように調整した過少な売上金額を算出するためのメモ(本件売上メモ)を請求人の妻に作成させたこと、②本件売上メモに基づいて算定した過少な売上金額を収支内訳書に記載したこと、③所得税等の確定申告をした後に、本件売上メモを廃棄したこと、④申告した売上金額は、請求人の事業に係る総収入金額の半分以下の金額であったこと、⑤除外した売上金額に対応する経費が毎年合計600万円以上ありながら、収支内訳書に必要経費の金額として計上しなかったことという一連の行為は、国税通則法第68条《重加算税》第1項及び第2項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する行為又は過少申告の意図を外部からもうかがい得る特段の行動に該当し、重加算税の賦課要件を満たす旨主張する。

しかしながら、請求人には、過少申告の意図があったことは認められるものの、上記①ないし③の本件売上メモについては、作成及び廃棄の事実が認められないこと、上記④及び⑤については、請求人が本件従業員分の売上げや費用の存在を認識しつつこれらを本件各収支内訳書に計上せず、過少の申告をしたというだけでは、隠蔽又は仮装の行為があったということはできないことから、原処分庁が主張する請求人の行為は、「隠蔽し、又は仮装し」に該当する行為又は過少申告の意図を外部からもうかがい得る特段の行動とは認められず、重加算税の賦課要件を満たさない。

★リンクはこちら ⇒ 収支内訳書に虚偽記載があったものの、隠ぺい仮装があったとは認められないと判断した事例

2020年2月25日


当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたとは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成24年分の所得税等に係る重加算税の賦課決定処分、平成25年分から平成28年分に係る所得税及び復興特別所得税に係る重加算税の各賦課決定処分、平成26年1月1日から平成26年12月31日まで、平成27年1月1日から平成27年12月31日まで及び平成28年1月1日から平成28年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成31年4月9日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人の意思によって提出されたと認められる内容虚偽の住民税申告書は1年分に限られ、また、請求人の電話答弁を虚偽であると評価することもできないことから、請求人が当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からうかがい得る特段の行動をしたと評価することはできないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、個人で事業を営む請求人が、調査年分に係る所得税等及び消費税等の各確定申告書を各法定期限までに提出していなかったことについて、請求人が、確定申告の必要性を認識した上で、①自らの収入金額及び所得金額を零円とした虚偽の住民税申告書を提出したこと(本件各住民税申告)、及び②原処分庁の調査担当職員からの電話に対し、会社員である旨の虚偽の答弁をしたこと(本件電話答弁)は、請求人が、当初から所得税等の申告をしないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと評価できるから、国税通則法第68条《重加算税》第2項に規定する「隠ぺいし、又は仮装し」に該当する旨主張する。

しかしながら、本件各住民税申告のうち請求人の意思によって提出されたと認められるのは1年分にとどまるものであり、かつ、それが直接原処分庁に対してなされたものではないことから、仮に請求人が所得税等の確定申告の必要性を認識していたとしても、当該1年分の住民税の申告のみをもって、請求人が、当初から所得税等の申告をしないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと評価することはできない。

また、本件電話答弁については、本件電話答弁時の状況からすれば、社会通念に照らして不合理ではなく、当時の請求人が給与を得ていた事実を併せ考えれば、請求人が、当初から所得税等の申告をしないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと評価することはできない。

さらに、原処分庁が作成した質問応答記録書の内容は、請求人の本件各住民税申告書の提出の動機に係る申述が不自然かつ不合理であり、重要な部分に関する解明が不足しているため信用できない。

したがって、請求人に国税通則法第68条《重加算税》第2項に規定する「隠ぺいし、又は仮装し」と評価すべき行為があるとは認められない。

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2020年2月21日


個人名義のクレジットカードにより支払われた飲食店等に対する支出について、請求人代表者の個人的な飲食等にかかる金額であるとは言い切れないから、請求人に仮装をした事実は認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • ①平成25年7月1日から平成26年6月30日まで、平成26年7月1日から平成27年6月30日まで及び平成27年7月1日から平成28年6月30日までの各事業年度の法人税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • ②平成25年7月1日から平成26年6月30日までの課税事業年度の復興特別法人税に係る重加算税の賦課決定処分
  • ③平成27年7月1日から平成28年6月30日までの課税事業年度の地方法人税に係る重加算税の賦課決定処分
  • ④平成25年7月1日から平成26年6月30日まで、平成26年7月1日から平成27年6月30日まで及び平成27年7月1日から平成28年6月30日までの各課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • ①②④ ⇒ 一部取消し
  • ③   ⇒ 全部取消し
  • 平成30年9月21日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人会社の代表取締役がその個人名義のクレジットカード等を用いて、飲食店で飲食したことについて、原処分庁の職員の調査を受けて、交際費勘定等に計上した費用は損金の額に算入されないなどとして法人税等の修正申告を提出したところ、原処分庁は、当該費用は代表取締役の個人的な飲食等の費用であることを認識しながら損金の額に算入したという隠ぺい又は仮装の事実があったとして法人税等の重加算税の賦課決定処分をしたことについて、代表者がそのような認識をしていたとは認められないことを理由として、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が交際費勘定等(本件費用勘定)に計上し、損金の額に算入していた飲食等代金(本件飲食等代金)について、請求人の代表者(本件代表者)が、本件飲食等代金は請求人の業務に関連するものではなく、本件代表者が一人で飲食したものや知人との飲食に係るものである上、個人で飲食等をした代金であると申述(本件申述)していることから、請求人は、本件飲食等代金が費用として計上できないものと認識しながら、その全部又は一部を損金の額に算入し、そのことが隠蔽又は仮装の事実に該当する旨主張する。

しかしながら、本件申述は、本件飲食等代金について概括的に述べたものであり、個々の支出について言及したものではなく、具体性が乏しい上、その内容を裏付ける客観的証拠は認められず、また、本件代表者が、本件飲食等代金が個人的な飲食等に係る金額であることを認識しながら、当該金額を本件費用勘定に計上したとする仮装の事実が認めるに足りる証拠もないことからすれば、本件飲食等代金を本件費用勘定に計上したことに隠蔽又は仮装の事実は認められない。

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2020年2月19日


当初から過少申告及び無申告を意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づき、所得税等については過少申告をし、消費税等については期限内に確定申告書を提出しなかったと認定した事例

  • ①平成25年分の所得税及び復興特別所得税に係る重加算税の賦課決定処分及び平成25年1月1日から平成25年12月31日までの消費税及び地方消費税に係る重加算税の賦課決定処分 ⇒ 一部取消し
  • ②平成26年分ないし平成28年分の所得税及び復興特別所得税に係る重加算税の各賦課決定処分 ⇒ 棄却
  • ③平成26年1月1日から平成28年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分 ⇒ 棄却
  • 平成31年4月23日裁決

<ポイント>
本件は、平成26年分ないし平成28年分については請求人が、正当に申告すべき収入金額等を認識した上で、真実の所得金額よりも大幅に少なく偽った所得金額を申告する目的で、メモを作成し、そのメモに基づいて所得金額を大幅に偽った収支内訳書を作成して過少申告行為を継続的に行っていたものであり、これら一連の行為は、請求人が当初から所得を過少に申告する意図を有し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動と認めることができるとした一方、平成25年分については、上記特段の行動が認められないとしたものである。

<要旨>
請求人は、外注費に相当する金額は請求人の収入金額を構成しないとの誤解により収入金額を過少に申告したものであるから、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」た事実はない旨主張する。

しかしながら、請求人は3年間にわたり、多額の所得を継続的に過少に申告しており、作成したメモの状況とあいまって、当初から所得を過少に申告する意図があったと認められる。

そして、請求人の事業における関係書類の作成及び外注先への支払の状況を踏まえれば、請求人は収入及び外注費のおおよその金額を認識していたと認められるところ、平成26年分においては、当該認識に沿う主要な売上先に係る売上金額及び外注費等の実額が記載されたメモを作成し、また、その後の平成27年分及び平成28年分においては、申告準備段階において事実とは異なる申告すべき金額を記載したメモを作成し、これらを相談会場に持参し、真実の所得を大幅に下回る金額を記載するなど所得金額を少なく偽った収支内訳書を作成し、所得税等の申告をしていたものである。

これら一連の行為は、請求人が外部からうかがい得る特段の行動をしたものと評価することができ、重加算税の賦課要件を満たすものである。

もっとも、平成25年分はメモの作成は認められず、収支内訳書の記載状況からするとその過少申告の形態がこれ以外の各年分と異なることが認められるから、重加算税の賦課要件を満たすとはいえない。

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2020年2月13日


請求人の取締役が、外注先に対して架空の請求書を発行するよう依頼した行為は、請求人による行為と同視できるとした事例

  • 平成25年1月1日から平成25年12月31日まで、平成26年1月1日から平成26年12月31日まで、平成27年1月1日から平成27年12月31日まで、平成28年1月1日から平成28年12月31日まで及び平成29年1月1日から平成29年12月31日までの各事業年度の法人税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • 平成25年1月1日から平成25年12月31日まで及び平成26年1月1日から平成26年12月31日までの各課税事業年度の復興特別法人税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • 平成27年1月1日から平成27年12月31日まで、平成28年1月1日から平成28年12月31日まで及び平成29年1月1日から平成29年12月31日までの各課税事業年度の地方法人税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • 平成25年1月1日から平成25年12月31日まで、平成26年1月1日から平成26年12月31日、平成27年1月1日から平成27年12月31日まで、平成28年1月1日から平成28年12月31日まで及び平成29年1月1日から平成29年12月31日までの各課税期間の消費税等に係る重加算税の各賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和元年6月20日裁決

<ポイント>
本事例は、代表取締役以外の取締役による行為を、当該取締役の業務内容、地位・権限等から請求人の仮装行為と認定した事例である。

<要旨>
請求人は、国税通則法第68条《重加算税》第1項は、隠蔽又は仮装の主体を納税者と規定していることから、専務取締役(本件専務)が外注先業者に対して架空の請求書を発行するよう依頼した行為(本件仮装)を請求人の行為と同視できないのであるから、同項の規定は適用できない旨主張する。

しかしながら、法人が納税義務者である場合、代表者自身が隠蔽又は仮装した場合に限らず、法人内部において相応の地位と権限を有する者が、その権限に基づき、法人の業務として行った隠蔽又は仮装であって、全体として納税者たる法人の行為と評価できるものについては、納税者自身による行為と同視されると解するのが相当である。

本件専務は、常務取締役又は専務取締役として対外的な営業業務を行っていたこと、請求人の他の営業担当者に対して営業方法を指導する立場にあったこと、請求人の営業利益の大部分を占める業績があり、代表者に次ぐ報酬を得ていたことから、大きな影響力を有する地位にあったと認められ、また、代表者は取引先との取引の詳細な内容まで把握しておらず、本件専務は、代表者から取引先との交渉を一任されていたことからすると、本件専務は、取引先の選定及び取引内容を確定する権限があったと認められる。

そうすると、本件仮装は、上記のような地位及び権限に基づき、請求人の業務として行われた行為であると認められ、請求人において本件仮装を防止するための措置を講じたとも認められず、全体として請求人の行為と評価できる。

したがって、本件仮装は納税者である請求人による行為と同視でき、請求人が事実を仮装したものと認められる。

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2020年2月13日


売上金額を脱漏する目的で、取引先に依頼し、決済方法を変更したなどの事実があったとは認められないとして重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • ①平成27年6月1日から平成28年5月31日までの法人税の重加算税の賦課決定処分
  • ②平成26年6月1日から平成27年5月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の重加算税の賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 平成31年2月7日裁決

<ポイント>
本事例は、原処分庁が主張する売上金額を脱漏する目的で、取引先に依頼し、決済方法を変更した事実は認められず、国税通則法第68条第1項に規定する隠ぺいの事実は認められないとの判断をしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の代表者(本件代表者)は銀行振込みでなければ売上げに計上されないことを認識した上で、取引先に決済方法を銀行振込みから小切手に変更するよう依頼して、請求人の売上げを脱漏したのだから、その行為は国税通則法(平成28年法律第15号による改正前のもの)(通則法)第68条《重加算税》第1項に規定する事実の隠ぺいに該当する旨主張する。

しかしながら、決済方法が銀行振込みから小切手に変更されたのは、当該取引先の事情によるものであり、本件代表者が当該取引先に対して決済方法の変更を依頼した事実が確認できず、また、その他の証拠においても、本件代表者が売上代金を銀行振込みされなければ売上げに計上されないと認識していたことを裏付ける証拠も認められないことから、請求人に通則法第68条第1項に規定する事実の隠ぺいがあったとは認められない。

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2020年1月10日


過去の事業年度における仮装経理について、修正の経理を行わず、当事業年度の実際の材料仕入高を水増しした材料仕入高により帳簿書類を作成したことは、仮装に該当するとした事例

  • 平成21年8月1日から平成22年7月31日まで、平成22年8月1日から平成23年7月31日まで、平成23年8月1日から平成24年7月31日まで、平成24年8月1日から平成25年7月31日まで、平成25年8月1日から平成26年7月31日まで、平成26年8月1日から平成27年7月31日まで及び平成27年8月1日から平成28年7月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分、平成21年8月1日から平成22年7月31日まで、平成22年8月1日から平成23年7月31日まで、平成23年8月1日から平成24年7月31日まで、平成26年8月1日から平成27年7月31日まで及び平成27年8月1日から平成28年7月31日までの各事業年度の法人税の重加算税の各賦課決定処分、平成23年8月1日から平成24年7月31日まで、平成26年8月1日から平成27年7月31日まで及び平成27年8月1日から平成28年7月31日までの各事業年度の法人税の過少申告加算税の各賦課決定処分、平成27年8月1日から平成28年7月31日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分並びに平成21年8月1日から平成22年7月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 平成31年3月1日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、材料仕入高の水増し計上について、過去の事業年度における仮装経理の「修正の経理」として行った旨主張するが、当該仮装経理の金額を任意の金額で各事業年度に分けて材料仕入高を水増し計上することによって損金に算入したものであって、「修正の経理」の手続によらずに行ったものであるとしたものである。

<要旨>
請求人は、請求人が各事業年度の損金の額に算入した材料仕入高は、過去の事業年度における仮装経理の「修正の経理」であるから、国税通則法(平成28年法律第15号による改正前のもの)第68条《重加算税》第1項に規定する「隠ぺいし、又は仮装し」に該当する事実はない旨主張する。

しかしながら、請求人の代表取締役は、各事業年度において、実際とは異なる水増しした材料仕入高により帳簿書類が作成されていたことを認識していたと認められ、当該認識の下で請求人が水増しした材料仕入高を帳簿書類に計上したことは、行為の意味を理解しながら故意に事実をわい曲したものということができ、仮装したものというべきであるから、国税通則法第68条第1項に規定する「隠ぺいし、又は仮装し」に該当する。

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2020年1月8日


国税の担保の処分においても民法第389条第1項の適用があるとした事例

  • 担保物処分のための差押処分
  • 棄却
  • 平成31年2月5日裁決

<ポイント>
本事例は、国税を担保するために抵当権が設定された後に当該担保不動産上に建物が築造された場合には、当該担保不動産及び当該建物を一括して公売するために、国税通則法第52条第1項及び民法第389条第1項の規定に基づく担保権の実行として当該建物を差し押さえることができるとしたものである。

<要旨>
請求人は、滞納国税(本件滞納国税)を徴収するためには、本件滞納国税を担保するための抵当権が設定された各不動産(本件各不動産)の差押えで十分であるなどとして、当該抵当権の設定後に当該各不動産上に築造された請求人の物置(本件物置)に対する差押処分(本件差押処分)は違法である旨主張する。

しかしながら、民法第389条《抵当地の上の建物の競売》第1項は、民事執行における競売手続において、土地利用権のない建物の存続を図る形で売却することにより社会経済的損失を回避するとともに、競売手続の円滑な運営を目的として、土地の抵当権に内在する換価権を建物に拡大したものと解される。

そして、かかる要請は、滞納処分における公売手続においても当てはまると解され、また、国税を担保するために設定された抵当権であっても、当該抵当権に内在する換価権の及ぶ範囲については実体法である民法に委ねていると解するのが相当であることからすると、国税の担保の処分においても民法第389条第1項が適用されると解される。

そうすると、本件差押処分は、国税通則法第52条《担保の処分》第4項の規定に基づき行われたものではなく、本件各不動産及び本件物置を一括して公売に付すために同条第1項及び民法第389条第1項に基づく担保権の実行として行われたものであって、担保として提供された財産の処分の代金を滞納国税等に充ててなお不足があると認めることを要件とするものではないから、本件差押処分は適法である。

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2019年12月27日


換価代金等の配当処分の取消しを求める審査請求は、換価代金等の交付期日が経過し、換価代金等の交付が終了した後においても不服申立ての利益が認められるとした事例

  • 配当処分
  • 棄却
  • 平成30年10月29日裁決

<ポイント>
本事例は、税務署長は、配当処分の取消しにより、再度適法な配当処分をすべき地位に置かれることになることから、換価代金等の配当処分の取消しを求める審査請求は、換価代金等の交付期日が経過し、換価代金等の交付が終了した後においても不服申立ての利益が認められるとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、配当処分(本件配当処分)は、換価代金等の交付期日に配当が実施され、その効力が消滅していること、処分の効力が消滅した後において、処分の取消しによって得られる実益がないことから、本審査請求は不服申立ての利益を欠く不適法なものである旨主張する。

しかしながら、換価代金等の交付期日が経過し、換価代金等の交付が終了すると、配当処分はその目的を完了して処分の効力が消滅したと解されるが、その場合であっても、配当処分の取消しにより、税務署長は、再度適法な配当処分をすべき地位に置かれることになると解されるから、処分の名宛人は、配当金額の交付を受け得るべき地位を回復することとなり、処分の取消しによって回復すべき法律上の利益を有するということができる。

したがって、請求人は、換価代金等が交付された後においても、本件配当処分の取消しを求めるにつき不服申立ての利益を有するから、本審査請求は適法なものである。

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2019年11月20日


当初から相続財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動があったものと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成27年2月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成30年10月2日裁決

<ポイント>
本事例は、各共済契約に係る権利及び出資金を相続財産として申告しなかったことについて、相続税を当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたものとは認めることができないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が各共済契約について、①関与税理士(本件税理士)からの指示に基づき解約返戻金相当額等証明書を取得したこと、②被共済者等の名義を請求人に変更したこと、また、出資金については、③払戻請求を行ったことなどの各手続等(本件手続等)を行ったにもかかわらず、本件税理士に各共済契約及び出資金の存在を一切伝えなかったことは、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する隠ぺい又は仮装の行為に該当する旨主張する。

しかしながら、請求人が行った本件手続等は相続により財産を取得した相続人が通常行う手続と外形上何ら異なるものではないこと、さらに、上記各共済契約のうち満期共済契約の返戻金及び上記出資金の払戻金が相続財産として申告されている貯金の解約金の入金口座と同一の口座に入金されていることからすれば、請求人が本件税理士に各共済契約及び出資金の存在を一切伝えなかったとしても、請求人が当初から相続財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づく過少申告をしたとは認められない。

したがって、請求人に通則法第68条第1項に規定する隠ぺい又は仮装の行為があったとは認められない。

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2019年11月18日


消費税の課税を免れるため売上金額を調整した行為が事実の隠ぺい又は仮装に当たるとした事例

  • ①平成21年分の所得税に係る重加算税の賦課決定処分(再調査決定により過少申告加算税相当額を超える部分が取り消された後のもの。以下②及び④において同じ。) →全部取消し
  • ②平成22年分及び平成24年分の所得税に係る重加算税の各賦課決定処分 →棄却
  • ③平成23年分の所得税に係る重加算税の各賦課決定処分 →棄却
  • ④平成25年分から平成27年分までの所得税及び復興特別所得税に係る重加算税の賦課決定処分 →棄却
  • ⑤平成21年1月1日から平成27年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分 →棄却
  • ⑥平成23年分の所得税及び平成23年1月1日から平成23年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の各更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の各通知処分 →棄却
  • 平成30年12月4日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、消費税の課税事業者にならないようにする目的で、各取引先に対する売上金額を集計した表を調整して、事業所得の売上金額を1,000万円以下に減額して所得税等の申告をしたとして、国税通則法第68条《重加算税》に規定する「事実の隠蔽又は仮装」に当たるとしたものである。

<要旨>
請求人は、各取引先に対する各月の売上金額等を集計した年次の集計表(本件年次集計表)は決算時のメモでありこれに基づく申告等を行っていないのであるから、各年次の本件年次集計表の作成は税額計算の基礎となる事実についての隠ぺい又は仮装に当たらない旨主張する。

しかしながら、請求人は、消費税等の課税事業者にならないようにする目的で、売上金額を1,000万円以下に減額して所得税等の申告をすることとし、本件年次集計表において、丸印や下線を付すなどして売上金額の合計が1,000万円以下になるように調整したものと認められ、このような調整は、調整後の金額のみ申告すれば足りるかのように装うとともに、消費税等の納税義務が無いかのように装うという隠ぺい又は仮装と評価すべき行為であり、請求人は、当該調整後の金額を収支内訳書に転記して所得税等の申告をしたものと認められ、このような事実は、国税通則法第68条《重加算税》第1項又は第2項に規定する「事実の隠蔽又は仮装」に当たる。

なお、平成21年分の所得税については、偽りその他不正の行為により売上に加算されなかった金額を上回る必要経費の認容により、同年分の偽りその他不正の行為に係る所得金額は零円となり、請求人は、国税通則法第70条《国税の更正、決定等の期間制限》第4項第1号に規定する偽りその他不正の行為により所得税を免れたものとはいえないことから、同年分の重加算税の賦課決定処分(再調査決定により過少申告加算税相当額を超える部分が取り消された後のもの)については5年を超えて行うことはできず、本件はこれを超えていることからその全部が取り消されるものである。

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2019年11月14日


当初から所得を過少に申告することを意図していたと認めることはできないとして、重加算税の賦課要件を満たさないとした事例

  • 平成27年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成30年9月27日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人らは、譲渡した土地の全てに居住用財産の譲渡所得の特別控除を適用できるものと誤解し、確定申告をした可能性があるといわざるを得ず、当初から所得を過少に申告することを意図していたと認めることはできないとして、重加算税の賦課要件を満たさないと判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、①請求人らが譲渡した土地(本件土地)のうちの一部のみが租税特別措置法(平成28年法律第15号による改正前のもの)第35条《居住用財産の譲渡所得の特別控除》第1項の規定(本件特例)の適用対象となることを認識していたにもかかわらず、本件土地の全てに本件特例を適用して所得税等の確定申告書を提出していたこと、②税理士に対する申告前の相談の際、本件土地及びその土地上の3棟の建物(本件各建物)に係る具体的な資料を提示しなかったこと、③請求人らに対する調査(本件調査)の際、調査担当職員に対し、虚偽の答弁をしたことなどから、請求人らが、当初から所得を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと認められ、国税通則法(平成28年法律第15号による改正前のもの)第68条《重加算税》第1項及び第2項に規定する賦課要件を充足する旨主張する。

しかしながら、請求人らは、本件調査の際、本件各建物のうち請求人らが日常生活を営んでいた建物(本件母屋)以外の2棟の建物(本件各別棟)は譲渡直前において物置として利用していた旨を一貫して述べていること、本件各建物の各居宅は物置として利用していたと認められることなどからすると、請求人らは、本件各別棟を物置として利用していれば、本件土地の全てに本件特例を適用できるものと誤解し、確定申告をした可能性があるといわざるを得ない。
したがって、当初から所得を過少に申告することを意図していたと認めることはできない。

また、請求人らは、確定申告時点では税理士に関与を依頼しておらず、調査の際の請求人らの答弁が虚偽であると認めるに足る証拠などもないことから、重加算税の賦課要件を充足するとは認められない。

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2019年7月29日


第三者が作成した内容虚偽の確定申告書の作成行為について、請求人の行為と同視することはできないとした事例

  • 平成27年分の所得税及び復興特別所得税に係る重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成30年9月3日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が不動産を購入する際、その不動産販売を代理した法人の従業員が不動産の取得時期等について、事業年度の異なった確定申告書等を作成し、請求人が当該申告書等に押印をして原処分庁に提出をしたところ、当該法人の従業員の行為は請求人の行為と同視することはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の不動産購入の販売代理をした法人の従業員ら(本件従業員ら)が作成して請求人が提出した内容虚偽の確定申告書等(本件申告書等)について、請求人が本件従業員らにこれらの作成を持ちかけた、そうでなかったとしても、これらに請求人が押印し提出したものであり本件従業員らの行為は請求人の行為と同視できることなどを理由に、重加算税の賦課要件を満たす旨主張する。

しかしながら、請求人は、本件従業員らに対し本件申告書等の作成を持ちかけた事実は認められず、また、請求人が本件従業員らにより虚偽の内容の本件申告書等を作成した行為を追認したことはもとより、本件申告書等に事実と異なる内容が記載されていることを認識していたとか、それを予想することができたとは認められず、本件従業員らの行為は請求人の行為と同視することはできないから、重加算税の賦課要件を満たすとはいえない。

 ★リンクはこちら ⇒ 第三者が作成した内容虚偽の確定申告書の作成行為について、請求人の行為と同視することはできないとした事例

2019年7月25日


差押財産が自己に帰属するものではないことを理由として差押処分の取消しを求めることはできないとした事例

  • 差押処分
  • 棄却
  • 平成30年6月19日裁決

<ポイント>
本事例は、差押財産が自己に帰属するものではないとの請求人の主張は、「自己の法律上の利益に関係のない違法」(行政事件訴訟法第10条第1項)を主張するものであるから、差押処分の取消しを求めることはできないとしたものである。

<要旨>
審査請求は、違法又は不当な処分によって侵害された不服申立人の権利利益の救済を図るものであることから、自己の法律上の利益に関係のない違法を審査請求の理由とすることはできないと解するのが相当である。

請求人は、差し押さえられた財産は自己に帰属する財産ではないから差押処分(本件差押処分)は違法である旨主張するが、仮にそのような事実があったとしても、本件差押処分によって不利益を受けるのはその財産の真正な帰属者であって、請求人は本件差押処分によって何らの影響も受けないのであるから、結局、請求人がかかる事実を違法であると指摘することは自己の法律上の利益に関係のない違法を主張するものにほかならない。

したがって、差押財産が自己に帰属するものではないことを理由として本件差押処分の取消しを求めることはできない。

 ★リンクはこちら ⇒ 差押財産が自己に帰属するものではないことを理由として差押処分の取消しを求めることはできないとした事例

2019年4月19日


課税負担を軽減する目的で兄弟会社に対する債務引受による債権放棄を行ったとしても、直ちにその経済的利益の額は寄附金の額とはならないことから、確定申告が事実を隠ぺい又は仮装をしたものとはいえないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成24年3月1日から平成25年2月28日まで及び平成25年3月1日から平成26年2月28日までの各事業年度の法人税に係る重加算税の各賦課決定処分、平成25年3月1日から平成26年2月28日までの課税事業年度の復興特別法人税に係る重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成30年5月31日裁決

<ポイント>
本事例は、いわゆる兄弟会社において、その債務を引き受けたことによる債権放棄をして貸倒損失として損金の額に算入したことについて、請求人が課税軽減目的を有していたからといって、法人税基本通達9-4-1によれば、兄弟会社の債務引受等であっても相当の理由がある場合には寄附金の額に該当しないことから、直ちに請求人が計上した貸倒損失について寄附金の額に該当すると認識していたとは認められないことを理由として、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人がいわゆる兄弟会社(本件分割法人)の債務を引受け、当該債務引受けによる債権を放棄して貸倒損失として損金の額に算入したことについて、請求人における課税負担を軽減する目的で、本件分割法人の解散、請求人による債務引受けや債権放棄、本件分割法人の特別清算などの一連の行為(本件分割法人整理)を検討したことなどからすると、請求人は当初から所得を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づいて法人税の確定申告(本件確定申告)をしたから、本件確定申告は事実を隠ぺい又は仮装したところに基づくものである旨主張する。

しかしながら、法人税基本通達9-4-1《子会社等を整理する場合の損失負担等》によれば、兄弟会社の債務引受け等であっても、そのことについて相当の理由があると認められる場合には、その債務引受け等により供与する経済的利益の額は、寄附金の額に該当しないことから、支援者が課税負担を軽減する目的で当該債務引受け等を行ったことのみをもって、直ちに当該債務引受け等により供与する経済的利益の額が、寄附金となるものではないというべきであり、原処分庁が主張する本件分割法人整理に係る上記各事実をもって、直ちに請求人が計上した貸倒損失について寄附金の額に該当することを認識していたとは認められず、その他、請求人にそのような認識があったことを認めるに足りる証拠はないから、本件確定申告は、事実を隠ぺい又は仮装したところに基づくものであるとは認められない。

 ★リンクはこちら ⇒ 課税負担を軽減する目的で兄弟会社に対する債務引受による債権放棄を行ったとしても、直ちにその経済的利益の額は寄附金の額とはならないことから、確定申告が事実を隠ぺい又は仮装をしたものとはいえないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2019年4月16日


更正の請求を提出することができる者は、納税申告書を提出した者に限られ、第三者が債権者代位権又は取消権の行使として、更正の請求を提出することはできないとした事例

  • 平成24年分贈与税に係る更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分
  • 棄却
  • 平成30年6月22日裁決

<ポイント>
本事例は、国税通則法第23条第1項は、更正の請求をすることができる者として、納税申告書を提出した者と規定しており、その趣旨は、申告納税方式では、納付すべき税額は課税要件に関する事実関係に最も通じている納税者自らの申告により確定することが原則とされており、その税額が過大であった場合の是正手続も、納税申告書を提出した納税者自らが行うことが申告納税方式に適合するからであると解されるとしたものである。

<要旨>
請求人らは、贈与税の申告書を提出した者に対し有する金銭債権を保全するため、債権者代位権又は取立権の行使として、更正の請求をすることができる旨主張する。

 しかしながら、国税通則法(平成27年法律第9号による改正前のもの)第23条《更正の請求》第1項は、更正の請求をすることができる者として納税申告書を提出した者と規定しており、その趣旨は、申告納税方式では、納付すべき税額は課税要件に関する事実関係に最も通じている納税者自らの申告により確定することが原則とされており、その税額が過大であった場合の是正手続も、納税申告書を提出した納税者自らが行うことが申告納税方式に適合するからであると解される。

 また、納税者の債権者等の第三者が更正の請求をすることができるとすると、更正をした場合には納税者の課税標準等又は税額等に係る情報を当該第三者に知らせることになり、国税通則法第126条及び国家公務員法第100条《秘密を守る義務》第1項に規定する守秘義務に抵触することとなるが、その解除を規定した法令は存在しない。

 したがって、国税通則法は更正の請求をすることができる者を、納税申告書を提出した者に限定していると解するのが相当である。

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2019年4月4日


当初から相続税を過少に申告する意図を有していたと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • ①平成26年分の所得税等の修正申告に係る重加算税の賦課決定処分 → 一部取消し
  • ②平成26年分の所得税等の更正処分 → 棄却
  • ③平成26年分の所得税等の重加算税の賦課決定処分 → 一部取消し
  • 平成30年3月7日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が農地の借主(本件借主)に支払った金員(本件金員)について、譲渡費用に該当しないことを認識していたことを認めるに足りる証拠はないから、本件借主に本件金員に係る領収証の名目を離農補償金と書き直させたことは、隠ぺいまたは仮装をしたものとはいえないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が農地の借主(本件借主)に支払った金員(本件金員)について、譲渡費用にならないことを認識しながら、領収証の名目を離農補償金と書き直させたことは、国税通則法第68条《重加算税》第1項にいう隠ぺい、仮装に当たると主張する。

しかしながら、請求人が本件借主に農地法上の耕作権がないことを知っていたとしても、そのことをもって直ちに、本件借主との間の貸借状態解消のために支払った本件金員が譲渡費用にならないことまで認識していたとはいい難い。

また、その他、請求人が本件金員が譲渡費用に該当しないことを認識していたことを認めるに足りる証拠はないから、請求人が同項にいう隠ぺいまたは仮装をしたものとはいえない。

 ★リンクはこちら ⇒ 当初から相続税を過少に申告する意図を有していたと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2019年1月15日


支払った金員に係る領収証の名目を書き直させた行為は、当該金員が譲渡費用に該当しないことを認識していたと認めるに足りる証拠はないから隠ぺい又は仮装をしたものとはいえないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • ①平成26年分の所得税等の修正申告に係る重加算税の賦課決定処分 → 一部取り消し
  • ②平成26年分の所得税等の更正処分 → 棄却
  • ③平成26年分の所得税等の重加算税の賦課決定処分 → 一部取り消し
  • 平成30年3月7日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が農地の借主(本件借主)に支払った金員(本件金員)について、譲渡費用に該当しないことを認識していたことを認めるに足りる証拠はないから、本件借主に本件金員に係る領収証の名目を離農補償金と書き直させたことは、隠ぺい又は仮装をしたものとはいえないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が農地の借主(本件借主)に支払った金員(本件金員)について、譲渡費用にならないことを認識しながら、領収証の名目を離農補償金と書き直させたことは、国税通則法第68条《重加算税》第1項にいう隠ぺい、仮装に当たると主張する。

しかしながら、請求人が本件借主に農地法上の耕作権がないことを知っていたとしても、そのことをもって直ちに、本件借主との間の貸借状態解消のために支払った本件金員が譲渡費用にならないことまで認識していたとはいい難い。

また、その他、請求人が本件金員が譲渡費用に該当しないことを認識していたことを認めるに足りる証拠はないから、請求人が同項にいう隠ぺい又は仮装をしたものとはいえない。

 ★リンクはこちら ⇒ 支払った金員に係る領収証の名目を書き直させた行為は、当該金員が譲渡費用に該当しないことを認識していたと認めるに足りる証拠はないから隠ぺい又は仮装をしたものとはいえないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2018年11月29日


当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動があったことをうかがわせる事情は見当たらないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成27年5月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成30年2月6日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人らが、相続手続等を依頼した弁護士に対し、法定申告期限前に相続財産の内容等が記録されているUSBメモリを交付していたと認められるなどとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人らは、有価証券及び現金預貯金等を相続財産として申告しなければならないことを十分認識していたにもかかわらず、相続手続等を依頼した弁護士(本件弁護士)に対し、相続税を安くする目的で相続財産の内容等が記録されているUSBメモリ(本件USBメモリ)を交付せず、また、請求人らが相続開始直前に被相続人の預金口座から出金した現金(本件現金)の存在も伝えなかったのであり、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づき過少申告をしたものと認められるから、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する重加算税の賦課要件を満たす旨主張する。

しかしながら、請求人らは、本件弁護士に対して法定申告期限前に本件USBメモリを交付していたものと認められ、また、本件現金の存在を本件弁護士に秘匿するためにその事実を伝えなかったと評価することはできず、その他、当審判所の調査及び審理の結果によっても、請求人らに、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動があったことをうかがわせる事情は見当たらないから、同項に規定する重加算税の賦課要件は満たさない。

 ★リンクはこちら ⇒ 当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動があったことをうかがわせる事情は見当たらないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2018年11月22日


税理士交付用として相続財産の一覧表を作成した行為は隠ぺい又は仮装の行為に当たらないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成26年5月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成30年1月30日裁決

<ポイント>
本事例は、相続税の申告に当たり請求人が税理士へ交付した相続財産の一覧表は、あえて相続財産の一部を記載せずに作成されたものと推認することはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人は、相続財産を正確に把握していたにもかかわらず、あえて一部の保険金(本件各無申告保険金)及び遺族一時金(本件遺族一時金)を記載せずに相続財産の一覧表(本件税理士提出用一覧表)を作成し、相続税の申告に当たってこれを税理士に交付したものであり、請求人が本件税理士提出用一覧表を作成した行為は、国税通則法第68条《重加算税》第2項に規定する隠ぺい行為に当たる旨主張する。

しかしながら、本件各無申告保険金及び本件遺族一時金が振り込まれた請求人名義の各口座は、いずれも原処分庁においてその存在を容易に把握し得るものであることに加え、本件税理士提出用一覧表は上書入力を繰り返し行ったために本件遺族一時金の記載が消えてしまった旨の請求人の説明は、一応合理的であることなどからすれば、請求人が、あえて本件各無申告保険金及び本件遺族一時金を記載せずに本件税理士提出用一覧表を作成したとの事実を推認することはできず、ほかにこの事実を認めるに足りる証拠はない。

したがって、請求人が本件税理士提出用一覧表を作成した行為は、同項に規定する隠ぺいまたは仮装の行為に当たらない。

 ★リンクはこちら ⇒ 税理士交付用として相続財産の一覧表を作成した行為は隠ぺい又は仮装の行為に当たらないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2018年11月16日


当初から申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき期限内申告書を提出しなかったものと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成27年分の所得税及び復興特別所得税に係る重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成30年1月11日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、換地不交付に対する清算金を受領した事実を秘匿するため、あえて当該清算金に係る書類を確定申告会場へ持参しなかったとの事実を認めることはできないなどとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が、土地区画整理組合から受領した換地不交付に対する清算金(本件清算金)について、確定申告をしなければならないことを十分認識していたにもかかわらず、原処分に係る調査において、本件清算金を受領した事実を秘匿するためにあえて本件清算金に係る書類を確定申告会場へ持参しなかった旨申述していることなどからすれば、当初から課税標準等及び税額等を申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき期限内申告書を提出しなかったものと認められる旨主張する。

しかしながら、請求人の当該申述の内容は、合理性、具体性に乏しく、審判所の調査及び審理の結果によってもこれを裏付ける客観的な証拠は認められず、請求人が本件清算金を受領した事実を秘匿するためにあえて本件清算金に係る書類を確定申告会場へ持参しなかったとの事実を認めることはできないなど、請求人が、当初から申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき期限内申告書を提出しなかったものと認めることはできない。

 ★リンクはこちら ⇒ 当初から申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき期限内申告書を提出しなかったものと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2018年10月25日


このまま申告しなければやがて決定されるであろうとの認識の下で期限後申告書を提出したとは認められないとして、無申告加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成26年12月相続開始に係る相続税の無申告加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成30年1月29日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、相続税の申告及び納付を決意した後、原処分庁所属の職員との申告相談を経て期限後申告書を提出したものと認められるとして、無申告加算税の賦課決定処分の一部を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、原処分庁所属の職員(本件職員)は、請求人に対し、相続税に係る調査の事前通知をした上で当該調査を行う旨説明したほか、調査結果の内容の説明とともに期限後申告を勧奨しており、請求人は、調査があったことを認識し、期限後申告をしなければやがて決定されるであろうことを認識することができたものと認められるから、請求人が提出した期限後申告書(本件期限後申告書)は、国税通則法第66条《無申告加算税》第5項に規定する「決定があるべきことを予知してされたものでないとき」に該当しない旨主張する。

しかしながら、請求人は、請求人の母と本件職員との間で行われた請求人の相続税に関する相談結果を契機として、相続税の申告及び納付を決意し、その後、本件職員との申告相談を経て本件期限後申告書を提出したものと認められるから、請求人が、このまま申告しなければやがて決定されるであろうとの認識の下で本件期限後申告書を提出したとは認められず、そもそも本件期限後申告書の提出に至るまで、相続税に関する調査を受けていたとの認識を有していたとも認められない。

したがって、本件期限後申告書の提出は、同項に規定する「決定があるべきことを予知してされたものでないとき」に該当する。

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2018年10月19日


徴収担当職員から、再三再四、預金通帳の提示を求められたにもかかわらず、請求人が預金通帳を一切提示しなかったことは、帳簿書類その他の物件の検査を拒んだものと認められるとして、納税の猶予の不許可事由に該当するとした事例

  • 納税の猶予不許可処分、督促処分
  • 棄却
  • 平成30年1月9日裁決

<要旨>
請求人は、請求人がした納税の猶予の申請(本件猶予申請)につき、原処分庁が、国税通則法第46条の2《納税の猶予の申請手続等》第10項第2号に該当する事実があるとして不許可処分をしたのに対し、徴収担当職員から提示を求められた預金通帳については元関与税理士法人から返却されなかったため提示できなかったものであって、徴収担当職員の検査を拒んだり、妨げたり、忌避したりしてはいない旨主張する。

しかしながら、原処分庁は、本件猶予申請に係る事項を明らかにするため、預金口座の状況を調査する必要があったと認められるところ、請求人は、徴収担当職員から、再三再四、預金通帳の提示を求められたにもかかわらず、預金通帳を一切提示しなかったのであり、請求人は、徴収担当職員による帳簿書類その他の物件の検査を拒んだものと認められる。

また、仮に、請求人が主張するように、元関与税理士法人が請求人の所有する預金通帳を返却していないとしても、請求人は、預金通帳を発行した金融機関に対して、預金通帳の再発行の手続や預金口座の異動履歴状況の分かるものの発行の手続をすれば、預金通帳その他預金口座の状況を証する書類を容易に取得できるのであるから、所有する預金通帳の提示を求められた請求人が、上記各手続をせずに、預金通帳その他預金口座の状況を証する書類の提示をしないことは、徴収担当職員の検査を拒んだものといわざるを得ない。

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2018年10月17日


国税を担保するために抵当権が設定された後に当該担保不動産上に築造された建物について原処分庁が行った差押処分は、国税通則法第52条第4項に規定する「なお不足があると認めるとき」にされたものではないとして取り消した事例

  • 不動産の差押処分
  • 全部取消し
  • 平成29年10月16日裁決

<ポイント>
本事例は、国税を担保するために抵当権が設定された後に当該担保不動産上に築造された建物についての差押えは、国税通則法第52条第4項に規定する「なお不足があると認めるとき」の要件を充足する必要があるとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の国税を担保するため抵当権が設定された各担保不動産(本件各担保不動産)上に、抵当権の設定後に築造された請求人の建物(本件建物)に対して行った国税徴収法第47条《差押の要件》第1項第1号に基づく差押処分(本件差押処分)は、国税通則法第52条《担保の処分》第4項に規定する「なお不足があると認めるとき」になされたものではないが、抵当権の設定後に抵当地に築造された建物を抵当地とともに競売できる旨を定めた民法第389条《抵当地の上の建物の競売》第1項の規定に照らせば、許容されるべきである旨主張する。

しかしながら、国税の担保の処分においても民法第389条第1項が適用されると解する余地はあるが、その場合であっても、抵当権の設定後に抵当地に築造された建物を抵当地とともに公売するための差押えは、担保権の実行である以上、国税通則法第52条第1項に基づく担保物処分のための差押えとして行うものであり、国税徴収法第47条第1項第1号に基づいてなされた本件差押処分は、国税通則法第52条第4項の「なお不足があると認めるとき」になされたものではないから、違法である。

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2018年7月9日


国税徴収法第153条第1項各号に該当する事実がいずれも認められないことから、滞納処分の停止の取消処分は適法であると認めた事例

  • ①滞納処分の停止取消処分 →棄却
  • ②債権の差押処分 →棄却
  • 平成29年7月25日裁決

<要旨>
請求人は、原処分庁がした滞納処分の停止取消処分(本件停止取消処分)は、請求人には滞納処分の執行等をすることができる財産がなく、また、請求人の収入額は最低賃金にも満たないから、国税徴収法第153条《滞納処分の停止の要件等》第1項第1号及び同項第2号に該当する事実があるにもかかわらず行われた違法な処分である旨主張する。

しかしながら、請求人は、本件停止取消処分時において供託金払渡請求権(本件払渡請求権)を有していたと認められ、本件払渡請求権は差押えの対象となる将来生ずべき債権であると認められる以上、請求人に国税徴収法第153条第1項第1号に該当する事実はない。
また、請求人は、妻の扶養親族であるが、自らも就労して収入を得ており、請求人の属する世帯は、それなりの収入がある一方、定期的に多額の支出があるとは認められず、生活が窮迫しているとは認められないことを考慮すると、本件払渡請求権に対して滞納処分を執行したとしても、生活保護法の適用を受けなければ生活を維持できない程度の状態に直ちに陥ることはないと認められ、請求人に国税徴収法第153条第1項第2号に該当する事実もない。

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2018年6月29日


当初から所得を過少に申告する意図を有していたと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • ①平成22年分の所得税に係る過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分 →全部取消し
  • ②平成23年分から平成26年分の所得税等に係る重加算税の各賦課決定処分 →一部取消し
  • ③平成22年1月1日から平成22年12月31日までの課税期間の消費税等に係る重加算税の賦課決定処分 →全部取消し
  • ④平成23年1月1日から平成26年12月31日までの各課税期間の消費税等に係る重加算税の各賦課決定処分 →一部取消し
  • 平成29年8月23日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が当初から所得を過少に申告する意図を有していたことを推認させるものとまではいえず、その他、請求人の上記意図を認めるに足りる証拠はないとして、重加算税の賦課要件を満たさないと判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が、①特定の取引先(本件取引先)からの報酬等(本件収入)が請求人の事務所名義の預金口座(本件預金口座)に入金されていたと認識していたにもかかわらず、関与税理士に対し、本件預金口座に係る通帳(本件通帳)を提示しておらず、また、②調査担当職員から本件収入の申告漏れを指摘されるまで、調査担当職員に対して本件通帳を提示しなかったことからすると、請求人は、当初から所得を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたものと認められるから、重加算税の賦課要件を満たす旨主張する。

しかしながら、請求人は、①本件取引先が源泉徴収を行った後、本件収入は本件預金口座以外の預金口座に振り込まれているとの誤解の下、関与税理士に対し、手持ちの源泉徴収票及び支払調書に加えて本件通帳以外の通帳を提示することにより、本件収入についても適正に申告していると誤解していたものと考える余地があり、また、②調査担当職員に対して本件預金口座の存在を殊更隠ぺいしようとしたとは考え難く、本件通帳以外の通帳を提示すれば問題ないと考えて本件通帳を提示しなかったものとみる余地があるから、原処分庁が主張する事情は、請求人が当初から所得を過少に申告する意図を有していたことを推認させるものとまではいえず、その他、請求人の上記意図を認めるに足りる証拠もないから、重加算税の賦課要件を満たさない。

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2018年5月16日


期限後申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について決定があるべきことを予知してされたものでないとした事例

  • ①平成23年分及び平成24年分の所得税に係る無申告加算税の各賦課決定処分 →全部取消し
  • ②平成25年分及び平成26年分の所得税及び復興特別所得税に係る無申告加算税の各賦課決定処分 →一部取消し
  • 平成29年9月26日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が行った期限後申告書の提出は、調査の内容・進捗状況、それに関する請求人の認識、期限後申告に至る経緯、期限後申告と調査の内容との関連性の事情を総合考慮して判断した結果、国税通則法第66条《無申告加算税》第5項に規定する「決定があるべきことを予知してされたものでない」ことに該当するとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、調査担当職員(本件調査担当職員)が、請求人の配偶者の所得税に係る調査(本件調査)において、請求人名義の不動産から生じる不動産所得が当該配偶者の所得として申告され、請求人が申告していない事実を把握し、請求人の所得税の課税標準等又は税額等を認定するために税理士(本件税理士)に質問を行ったのであるから、本件調査後の期限後申告書(本件期限後申告書)の提出は国税通則法第66条《無申告加算税》第5項(平成28年法律第15号による改正前のもの。)に規定する「決定があるべきことを予知してされたものでないとき」に該当しない旨主張する。

しかしながら、「決定があるべきことを予知してされたものでない」ことは、調査の内容・進捗状況、それに関する納税者の認識、期限後申告に至る経緯、期限後申告と調査の内容との関連性の事情を総合考慮して判断すべきところ、請求人は、本件調査に応じた本件税理士を通じて請求人の所得税に係る調査を認識したものの、本件調査とは別の契機により不動産の名義どおりに申告をやり直したいとの申出を行い、期限後申告を行ったのであるから、本件期限後申告書の提出は「決定があるべきことを予知してされたものでない」ことに該当する。

その結果、納付すべき税額に5%を乗じて計算した無申告加算税の額が5,000円未満となった年分は処分の全部を、その他の年分は上記5%相当額を超える部分につき処分の一部をそれぞれ取り消すことが相当である。

 ★リンクはこちら ⇒ 期限後申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について決定があるべきことを予知してされたものでないとした事例

2018年5月9日


内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第6条第2項の規定は国税通則法第65条第5項の規定の適用がある修正申告書にも適用されるとした事例

  • 平成26年分の所得税及び復興特別所得税に係る過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 平成29年9月1日裁決

<ポイント>
本事例は、更正を予知せずにされた修正申告書であっても、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第6条第2項の規定に基づく過少申告加算税は課されるとしたものである。

<要旨>
請求人は、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律(国送法)第6条《国外財産に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例》第2項の規定は、国税通則法(通則法)第65条《過少申告加算税》第5項の規定が適用される請求人の修正申告書(本件修正申告書)には適用されない旨主張する。

 しかしながら、国送法第6条第2項は、通則法第65条の規定の適用がある場合に過少申告加算税を加重する旨規定しており、同条第5項の規定の適用がある場合を除く旨規定しているものではない上、同項の規定の適用がある修正申告書にも国送法第6条第2項の適用があると解することは、同条第1項及び第2項の規定の趣旨とも整合する。

 したがって、国送法第6条第2項の規定は、通則法第65条第5項の規定の適用がある修正申告書にも適用されると解するのが相当であるから、本件修正申告書についても国送法第6条第2項の規定は適用される。

 ★リンクはこちら ⇒ 内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第6条第2項の規定は国税通則法第65条第5項の規定の適用がある修正申告書にも適用されるとした事例

2018年4月18日


請求人は、特定株式の移転の日において、K国の居住者であり、当該特定株式の移転に係るみなし譲渡益は、日本国政府とK国政府との租税協定の規定により、K国に課税権があるとし所得税の更正の請求をしたのに対し、原処分庁がした更正をすべき理由はないとの通知処分は適法であるとした事例

  • 所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分
  • 棄却
  • 平成29年8月22日裁決

<ポイント>
本事例は、特定株式の移転に係るみなし譲渡益のうち、請求人が日本国の居住者であったときに、新株予約権を行使したことにより生じた権利行使益については、日本国政府とK国政府との租税協定による制限を受けず、国内法の規定により、国内源泉所得として課税を受けることとなると判断したものである。

<要旨>
請求人は、新株予約権の行使により取得した株式に係る租税特別措置法第29条の2《特定の取締役等が受ける新株予約権等の行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税等》第4項の規定により譲渡とみなされるもの(本件みなし譲渡)のうち、同条第1項に規定する経済的利益(本件権利行使益)については、本件みなし譲渡の全てが株式の保有によって生じた値上がり益、すなわち株式譲渡益と考えるのが相当であり、また、請求人は同条第4項に規定する特定株式の移転の日においてK国の居住者であるから、本件権利行使益は、日本国政府とK国政府との租税協定(本件協定)の規定が適用され、K国に課税権がある旨主張する。

しかしながら、本件みなし譲渡に係る譲渡所得は、所得税法第161条《国内源泉所得》第1号に規定する資産の譲渡により生ずる国内源泉所得であるから、租税特別措置法第37条の12《恒久的施設を有しない非居住者の株式等の譲渡に係る国内源泉所得に対する課税の特例》第1項の規定により、その全体について15%の税率を適用して分離課税の対象になるところ、この国内法上の課税関係が本件協定上受ける制限についてみると、本件みなし譲渡に係る譲渡所得のうち本件権利行使益は、請求人が内国法人であるF社から付与を受けた新株予約権を日本国の居住者である時に行使することにより生じたものであるから、本件権利行使益に係る日本国の課税権については、本件協定による制限を受けないことになり、同項に基づいて15%の税率で分離課税の対象となる。

したがって、本件権利行使益については、国内法の規定により、国内源泉所得として日本国で課税を受けることになる。

 ★リンクはこちら ⇒ 請求人は、特定株式の移転の日において、K国の居住者であり、当該特定株式の移転に係るみなし譲渡益は、日本国政府とK国政府との租税協定の規定により、K国に課税権があるとし所得税の更正の請求をしたのに対し、原処分庁がした更正をすべき理由はないとの通知処分は適法であるとした事例

2018年4月13日


催告後6か月以内にされた承認によっても、民法第153条が規定する催告による時効中断効が生じるとした事例

  • ①第二次納税義務の納付告知処分 →棄却
  • ②不動産の差押処分 →棄却
  • 平成29年5月29日裁決

<ポイント>
本事例は、催告後6か月以内にされた承認によっても、民法第153条が規定する催告による時効中断効が生じると解するのが相当であるとしたものである。

<要旨>
請求人は、滞納者(本件滞納者)の滞納国税(本件滞納国税)に係る債務の承認によって催告による時効中断の効力が生じるとする原処分庁の民法第153条《催告》の解釈は誤っており、本件滞納国税の徴収権の時効は中断していない旨主張する。

しかしながら、民法第153条は、債権者の催告について、債権者が正規の中断事由によって補強することにより時効中断の効力を認めるものであって、正規の中断手続をとるのが遅れることにより時効が完成するのを防ぐ便法として機能することを期待して定められたものと解され、債権者の催告について、債務者の行為による正規の中断事由である承認を、債権者の行為による正規の中断事由と区別する理由はないというべきであるから、催告後6か月以内にされた承認によっても、民法第153条が規定する催告による時効中断効が生じると解すべきである。

これを本件についてみると、本件滞納者の行った承認は、原処分庁が差押予告書(本件差押予告書)の送達によって行った本件滞納国税についての催告後6か月以内にされたものであるから、当該承認によって、本件差押予告書による催告の時効中断の効力が生じたものと認めるのが相当である。

 ★リンクはこちら ⇒ 催告後6か月以内にされた承認によっても、民法第153条が規定する催告による時効中断効が生じるとした事例

2018年3月6日


収入金額の一部が計上されていない試算表を作成した行為は、隠ぺい、仮装と評価すべき行為に該当するとは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • ①平成25年分の所得税及び復興特別所得税の重加算税の賦課決定処分 ⇒  一部取消し
  • ②平成25年1月1日から平成25年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の重加算税の賦課決定処分 ⇒ 一部取消し
  • 平成29年5月29日裁決

<ポイント>
本事例は、一部の業務に係る収入金額を除く一方当該業務に係る必要経費の一部を加えて作成された試算表は、確定申告義務が生じないことの説明資料として作成されたものとは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人は、建築設計業務のほか風俗業を営むことによって多額の利益が生じていることを認識しつつ、風俗業を行っていた複数の店舗のうちの一部の店舗に係る業務(本件独自業務)について、その収入金額を除く一方必要経費の一部を加えた試算表(本件試算表)を作成しているところ、本件試算表は、本件独自業務に係る収入金額を除外するともに、本件独自業務以外の業務において損失が生じているという虚偽の内容を記載することにより、所得金額が生じていないという状況を意図的に作出し、確定申告義務がないことの説明資料として作成されたものといえるから、請求人は、本件独自業務に基因する事業所得の金額を隠ぺいして確定申告書を提出しなかったものと認められる旨主張する。

しかしながら、本件試算表は、請求人が顧問契約の締結を検討していた税理士法人(本件税理士法人)によって作成されたものであるところ、請求人は、本件独自業務に係る売上げを記載した手帳の提示などをせず、本件税理士法人に試算表を作成させたと認められるものの、その後原処分調査までの間に、本件税理士法人に対して本件独自業務を行っていることを述べていることや、原処分調査の際、自ら進んで本件試算表を示して確定申告義務がないとの説明をしたこともなかったことなどを考慮すると、本件独自業務に係る収入金額を申告しないという意図を有していたとか、所得金額が生じない状況を意図的に作出したものとは認められず、本件試算表の作成は、請求人による隠ぺい、仮装と評価すべき行為に該当するとは認められない。

 ★リンクはこちら ⇒ 収入金額の一部が計上されていない試算表を作成した行為は、隠ぺい、仮装と評価すべき行為に該当するとは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2018年2月23日


相続税の法定申告期限までに判明した相続財産のみでも、遺産に係る基礎控除を超える場合には、その把握した相続財産に係る期限内申告書を提出しなかった場合、国税通則法第66条《無申告加算税》第1項ただし書に規定する「正当な理由」はないとした事例

  • 平成27年9月相続開始に係る相続税の無申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 平成29年6月15日裁決

<ポイント>
本事例は、相続税の法定申告期限までに判明した相続財産だけで遺産に係る基礎控除を超える場合、相続税の期限内申告書を提出しなければならないと解するのが相当であり、全ての相続財産を反映した相続税の申告書を作成できなかったとしても、「正当な理由」には該当しないと判断したものである。

<要旨>
請求人らは、期限内申告書を提出しなかったのは、法定申告期限において、被相続人が受け取るべき損害賠償金の額が確定しておらず、全ての相続財産を反映した相続税の申告書を作成することができなかったためであるから、国税通則法第66条《無申告加算税》第1項ただし書に規定する「正当な理由」がある旨主張する。

しかしながら、納税者が相続財産の全容を把握するため、種々の調査をし、情報入手の努力をした結果、法定申告期限までに相続財産の一部しか判明しなかったとしても、その判明した部分だけで遺産に係る基礎控除額を超える場合には、納税者は、判明した相続財産につき期限内申告書を提出しなければならず、納税者が、法定申告期限までに把握した相続財産の価額が遺産に係る基礎控除額を超えることによって相続税の申告書の提出を要すると認識し、又は認識し得た場合において、その把握した相続財産に係る期限内申告書を提出しなかった場合には、同項ただし書に規定する「正当な理由」があるとは認められないと解するのが相当であるところ、請求人らは、法定申告期限までに、相続税の申告について相談した税理士から相続税の申告が必要である旨の説明を受けるとともに、相続した土地の価額のみで基礎控除額を超えることを認識していたのであるから、相続税の申告が必要であることを認識していたものと認められる。

したがって、請求人らが期限内申告書を提出しなかったことについて、同項ただし書に規定する「正当な理由」があるとは認められない。

 ★リンクはこちら ⇒ 相続税の法定申告期限までに判明した相続財産のみでも、遺産に係る基礎控除を超える場合には、その把握した相続財産に係る期限内申告書を提出しなかった場合、国税通則法第66条《無申告加算税》第1項ただし書に規定する「正当な理由」はないとした事例

2018年2月16日


当初から所得を過少に申告する意図を有していたと認められるものの、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動を認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成19年分から平成24年分までの所得税並びに平成25年分の所得税及び復興特別所得税の重加算税の各賦課決定処分、平成19年1月1日から平成25年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の重加算税の各賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成28年7月4日裁決

<ポイント>
本事例は、事業所得を秘匿した内容虚偽の所得税の確定申告書の提出など、当初から所得を過少に申告することを意図して行われたものと認められるものの、請求人が事業所得を秘匿するためにあえて帳簿を作成しなかったとまでは断定し難い上、請求人の営む事業に関するその余の行為においても、過少申告の意図を外部からもうかがい得る特段の行動を見いだすことはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人は、請求人の営む事業(本件事業)で多額の利益が生じており、当該利益は帳簿書類を作成し確定申告をすべき金額であることを十分に認識していながら、債務弁済や利殖のために税を免れることを意図し、その意図に基づいて本件事業に係る帳簿書類をあえて作成せずに、7年間にわたって本件事業に係る多額の収入金額を一切記載しない内容虚偽の所得税等の確定申告を行うとともに、消費税等についてあえて申告していなかったものと認められるのであって、これら請求人の一連の行為は、請求人が当初から所得を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき過少申告等をしたものと認められるから、請求人は、国税通則法第68条《重加算税》第1項及び第2項に規定する課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部の隠ぺいを行った旨主張する。

しかしながら、請求人が、所得税等の確定申告に際し、本件事業に係る所得を全て秘匿して、給与所得及び株式等に係る譲渡所得等のみを記載した内容虚偽の確定申告書を提出し、本件事業に係る所得を申告しなかったこと、また、本件事業に係る収入等につき消費税等の申告をしなかったことは、当初から所得を過少に申告する意図、又は法定申告期限までに申告しないことを意図して行われたものと認めるのが相当であるものの、請求人が本件事業に関する正当な収入金額、必要経費及び所得金額を秘匿するためにあえて帳簿を作成しなかったとまでは断定し難い上、審判所の調査によっても、本件事業に関する請求人のその余の行為において、過少申告等の意図を外部からもうかがい得る特段の行動などを見いだすことはできない。

したがって、原処分庁が主張する請求人の行為は、過少申告等の意図を外部からもうかがい得る特段の行動とは評価することができないものであり、請求人の所得税等及び消費税等について、重加算税を賦課することはできないものといわざるを得ない。

★リンクはこちら ⇒ 当初から所得を過少に申告する意図を有していたと認められるものの、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動を認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2017年8月9日

当初から過少申告及び無申告を意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づき、所得税等については過少申告をし、消費税等については期限内に確定申告書を提出しなかったと認定した事例

  • 平成21、22、24年分の所得税並びに平成25年分の所得税及び復興特別所得税に係る重加算税の各賦課決定処分 棄却
  • 平成21年1月1日から平成24年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分 棄却
  • 平成28年9月30日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、消費税等の負担を免れるため、長年にわたり、農産物等の販売金額を過少に記載した下書用の収支内訳書を作成し、これを市の申告相談で市職員に提示することにより、同職員をして販売金額を過少に記載した収支内訳書及び確定申告書を作成させ続けていたとして、重加算税の賦課要件を満たすとしたものである。

<要旨>
請求人は、自身が下書用の収支内訳書を作成した行為は単なる過少申告行為であり、隠ぺいしようという確定的な意図の下に行った申告ではなく、隠ぺい又は仮装に該当する行為はないから、国税通則法第68条《重加算税》第1項及び第2項に規定する重加算税の賦課要件は満たされない旨主張する。

しかしながら、請求人は、消費税等の負担を免れるため、7年間という長期間にわたり、農産物及び肉用牛(農産物等)の販売年間取引実績表等によってその販売金額の合計額が1千万円を超えていることを認識していたにもかかわらず、その合計額が1千万円を超えないよう、農産物等の販売金額を過少に記載した下書用の収支内訳書を作成し、これを市の申告相談で市職員に提示することによって、同職員をして農産物等の販売金額を過少に記載させ、その合計額がいずれも1千万円以下となる収支内訳書及び確定申告書を作成させ続けていたものと認められる。

したがって、請求人は、当初から過少申告及び無申告を意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づき、所得税等については過少申告をし、消費税等については期限内に確定申告書を提出しなかったと認められるのであるから、国税通則法第68条第1項又は第2項に規定する重加算税の賦課要件を満たすというべきである。

★リンクはこちら ⇒ 当初から過少申告及び無申告を意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づき、所得税等については過少申告をし、消費税等については期限内に確定申告書を提出しなかったと認定した事例

2017年8月7日

e-Taxソフト等のメンテナンス終了について

国税庁が提供しているe-Taxソフト等について、e-Taxソフト等と組み合わせているインストール用ファイルに不具合が発見されたためメンテナンスを実施していたが、平成29年6月23日(金)に全てのインストール用ファイルのメンテナンスが終了した。
詳細は「ダウンロード再開対象一覧」をご覧のこと。

e-Taxソフト等をご利用になる場合は、最新版のインストーラをダウンロードすること。

【平成29年6月6日以前からe-Taxをご利用いただいている方へ】
6月6日(火)以前に、e-Taxソフト等をインストールされた方で、新たにe-Tax ソフトをインストールまたはバージョンアップしてe-Taxを利用する場合には、既にパソコンに保存されているインストール用ファイル(削除対象ファイル一覧)は実行せずに、確実に削除いただいた上で、6月12日(月)以降、e-Taxホームページから提供される最新版の「e-Taxソフト(共通プログラム)インストーラ」等をダウンロードまたはバージョンアップすること。

★リンクはこちら ⇒ e-Taxソフト等のメンテナンス終了について

2017年6月26日

相続財産である各預金口座を隠ぺいし、秘匿しようという確定的な意図、態勢の下に、計画的に相続税の申告書を提出しなかったとまではいえないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成24年11月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成28年4月25日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、相続に関する原処分庁の照会に対して被相続人名義の各預金口座の存在を回答せず、相続税調査の初期においても上記回答に沿った申述するなど、当該各預金口座の存在を隠した事実は認められるものの、これらの行為をもって、隠ぺい又は仮装の行為と評価することは困難であるなどとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、被相続人が、生前、同人名義の各預金口座の存在を原処分庁に容易に知り得ない状況を作出するとともに、請求人に対して当該各預金口座は申告する必要はないと指示しており、請求人が、その意図を十分に理解して、当該各預金口座を記載しない「相続についてのお尋ね」(本件お尋ね回答書)を原処分庁に提出するとともに、原処分庁所属の職員に対しても、その記載に沿った申述を行った後、その存在を把握されるに至って、当該職員から指摘された口座についてのみ段階的にこれを認める行為を繰り返したのであるから、国税通則法第68条《重加算税》第2項に規定する隠ぺい又は仮装の事実がある旨主張する。

しかしながら、無申告加算税に代えて重加算税を課す場合、法定申告期限の前後を含む、外形的、客観的な事情を合わせ考えれば、真実の相続財産を隠ぺいし、秘匿しようという確定的な意図、態勢の下に、計画的に納税申告書を提出しなかったときには、重加算税の賦課要件を満たしていると解するのが相当である。
これを本件についてみると、請求人は、相続税の法定申告期限後において、当初、当該各預金口座の存在を隠す申述をしているものの、当該職員から指摘されるとその存在を認めており、当該各預金口座を隠す態度を一貫していたとはいえない上、当該各預金口座が発見されるのを防止するなど積極的な措置を行っていないことからすれば、本件お尋ね回答書の提出及び当該各預金口座を隠していたことを、隠ぺい又は仮装と評価するのは困難である。
そして、このほか、請求人が、法定申告期限の前後において、積極的な隠ぺい又は仮装の行為を行っていないことからすれば、法定申告期限経過時点において、相続税の調査が行われた場合には、積極的な隠ぺい又は仮装の行為を行うことを予定していたと推認することはできない。

したがって、請求人は、当該各預金口座を隠ぺいし、秘匿しようという確定的な意図、態勢の下に、計画的に相続税の申告書を提出しなかったとまではいえないから、重加算税の賦課要件を満たさない。

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2017年2月13日

太陽光発電設備の引渡しを受けた日を仮装したと認めることはできないとした事例

  • 平25.4.1~平26.3.31の課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成28年4月19日裁決

<ポイント>
本事例は、太陽光発電設備に係る請求書を請求人が作成したことについて争いはなく、その請求書の欄外に工事完了は課税期間の末日までとする旨記載されていたとの事実関係の下、請求人がこのような請求書を作成したことをもって太陽光発電設備の引渡しを受けた日を仮装したとはいえないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が太陽光発電設備の取得費を課税仕入れの対価の額に含めたことについて、請求人は、課税期間内に太陽光発電設備の設置工事(本件工事)が完了しないことを十分認識していたにもかかわらず、本件工事が課税期間の末日である平成26年3月31日までに完了する旨記載した内容虚偽の請求書(本件請求書)を作成したのであるから、太陽光発電設備の引渡しを受けた日を仮装したものというべきである旨主張する。

しかしながら、本件請求書は、飽くまで本件工事の代金を請求する書面であって、太陽光発電設備の引渡しに係る書面ではない上、本件請求書が平成26年1月31日付で作成されていることからすれば、「工事完了は3月31日までとする」との記載は、工事完了の予定日が記載されたものとみるほかなく、請求人が本件請求書を作成したことをもって太陽光発電設備の引渡しを受けた日を仮装したと認めることはできない。

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2017年2月10日

死亡保険金の一部を故意に相続税の申告の対象から除外したものとまでは認め難いとした事例

平成24年9月相続開始に係る

  • 相続税の重加算税の賦課決定処分 一部取消し
  • 更正処分及び重加算税の賦課決定処分 全部取消し
  • 平成28年5月20日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が死亡保険金の一部を申告しなかったことについて、相続税を当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたものと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人は、11口の死亡保険金を自ら受領しそのうち4口は当初申告しており、これらの死亡保険金全てを相続税額の計算の基礎とすべきことを認識していたと認められるから、その余の7口の死亡保険金(本件各無申告保険金)を受領した事実を隠ぺいする意図があったと推認されることや、調査担当職員に対し、本件各無申告保険金についても申告したと認識していた旨の虚偽の申述をしたことなどを総合考慮すると、本件各無申告保険金を当初申告から除外したことは、課税要件事実を隠ぺいしたところに基づくものである旨主張する。

しかしながら、請求人は、本件各無申告保険金をいずれも請求人名義の預金口座への振込送金により受領した上、調査の際には、調査担当職員からの求めに応じて、当該預金口座に係る預金通帳等を逡巡なく提示しているのであって、本件各無申告保険金の発見を困難ならしめるような意図や行動はうかがわれない。
また、請求人が、調査担当職員から本件各無申告保険金の申告漏れを指摘されると、特段の抗弁をすることなく当該事実を認めており、修正申告の勧奨に応じて遅滞なく修正申告をしていることにも照らせば、本件各無申告保険金を故意に当初申告の対象から除外したものとまでは認め難い。

これらによれば、請求人が、相続税を当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたものと認めることはできないから、本件各無申告保険金を当初申告の対象に含めなかったことが、課税要件事実の隠ぺい、仮装に基づく過少申告であるとは認められない。

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2017年2月9日

生命保険金及び生命保険契約に関する権利の一部を故意に相続税の申告の対象から除外したものとは認め難いとした事例

平成24年12月相続開始に係る相続税の

  • 重加算税の賦課決定処分 一部取消し
  • 更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分 全部取消し
  • 平成28年5月13日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が生命保険金等の一部を申告しなかったことについて、相続税を当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたものとは認めることができないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が、生命保険金及び生命保険契約上の権利が相続税の計算の基礎となる財産であることを十分に認識しながら、生命保険契約の一部のみを申告した一方、関与税理士に対して5口の保険契約(本件各保険)に関する書類を提出せず、これらを申告しなかったことは、当初から課税標準等を過少に申告することを意図して、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をし、その意図に基づく過少申告をしたものと認められる旨主張する。

しかしながら、請求人は、本件各保険の契約締結に関与していないこと、相続開始の約4か月後に保険会社から教示を受けるまでは、本件各保険の2口について、相続に起因する保険金の支払請求手続ないし契約者等の変更手続の必要性を認識しておらず、保険会社から促されて受動的にこれらの手続を行ったものとみられること、当初申告後に保険会社から連絡を受けるまでは、本件各保険の3口の存在を認識していなかったことがうかがわれることに加え、当初申告書の作成過程で関与税理士に対し相続財産の計上漏れを指摘して訂正を求めるなど、正確な申告を行う姿勢を示していたこと、原処分庁の調査担当職員から本件各保険の申告漏れを指摘された後、遅滞なく修正申告に応じていることに照らせば、請求人が、本件各保険を故意に当初申告の対象から除外したものとは認め難い。

したがって、請求人が、相続税を当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたものとは認めることができない。

 ★リンクはこちら ⇒ 生命保険金及び生命保険契約に関する権利の一部を故意に相続税の申告の対象から除外したものとは認め難いとした事例

2017年2月8日

相続財産である現金の申告漏れについては、過少申告の意図を外部からもうかがい得る請求人の行為の結果としてなされたものと認定した事例

  • 平成24年10月相続開始に係る相続税の過少申告加算税及び重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成28年4月19日裁決

<ポイント>
本事例は、相続財産である現金の申告漏れについて、請求人は、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づく過少申告をしたものと認められるとして、重加算税の賦課要件である「隠ぺい」によると判断したものである。

<要旨>
請求人は、関与税理士に対し、現金の存在及びその大まかな額の分かる資料を提出しており、申告すべき現金の額について関与税理士の税務的な判断に任せていたことから、重加算税の賦課要件である「隠ぺい」といわれるような行為はなかった旨主張する。

しかしながら、請求人は、被相続人の財産を管理しており、相続開始日における多額の現金が相続財産に当たることを知っていたことなどから、当初から現金を過少に申告することを意図し、その意図に基づき多額の現金の存在につき関与税理士に敢えて秘匿し、手元に残っていた現金は存在しない旨を示す書面を関与税理士に提出するなどして、その結果、関与税理士に現金を過少に記載した申告書を作成させて原処分庁に提出したものである。

したがって、請求人は、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づく過少申告をしたものと認められるから、現金に関する申告漏れについては、重加算税の賦課要件である「隠ぺい」によるものと認められる。

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2017年2月6日

請求人に対する決定処分は、違法な調査に基づいて行われたものではないとされた事例

  • 平成21年分所得税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分並びに平成25年分所得税及び復興特別所得税に係る無申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 平成28年5月20日裁決

<ポイント>
本事例は、先物取引の差金等決済に係る損失の繰越しのみを求めるための申告書を提出できる期限は、その申告書を提出することができる日から5年を経過する日までとした申告指導等に誤りはないとしたものである。

<要旨>
請求人は、原処分庁の行った平成21年分の所得税の決定処分(本件決定処分)は、①国税通則法(通則法)第74条の11《調査の終了の際の手続》第2項に規定する調査結果の説明を口頭で行っていないなど、調査終了の際の手続が不十分であること、②平成20年分の所得税につき、少なくとも法定申告期限から7年間は期限後申告が可能であったにもかかわらず、原処分庁が請求人に対して、法定申告期限から5年間が期限後申告書を提出できる期限であるとの指導(本件申告指導)をし、請求人は、不当な本件申告指導により、平成20年分の所得税の期限後申告書の提出を制限され、結果、平成21年分の所得税において、前年分の先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除が不可能な状態を強いられ、その後に本件決定処分がなされたという事情があることから、通則法第25条《決定》に基づく適法な調査によるものとはいえず、取り消されるべきである旨主張する。

しかしながら、上記①の主張について、本件における調査手続には、課税処分を取り消すべき違法な点はなく、また、上記②の主張について、請求人の平成20年分の所得税の期限後申告書は、その申告書を提出できる日から5年を経過する日が提出できる期限であると解されるところ、本件申告指導を行った時点において、既に当該期限を経過していたのであるから、本件申告指導により平成20年分の期限後申告を行う権利を制限されたとする請求人の主張はその前提を欠く。

したがって、本件決定処分は、通則法第25条に規定する「調査」に基づいて適法に行われたものであり、取り消すべき違法はない。

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2017年2月2日

重加算税の額の基礎となる税額は、過少申告加算税の基礎となるべき税額から、その税額の基礎となるべき税額で隠ぺいし、又は仮装されていない事実に基づく税額を控除した税額となるところ、控除後の税額は零となることから、過少申告加算税の額を超える部分の金額は違法であるとした事例

平22.7.1から平23.6.30までの事業年度の法人税に係る重加算税の賦課決定処分
一部取消し
平成28年2月4日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が当初申告において組合損益に架空経費を計上し、これを基に組合損益の分配額を計上していたが、更正処分においては、組合損益の分配割合は零と認定され、この分配割合の変更については隠ぺい又は仮装の事実はないことから、重加算税の基礎となる税額は零と計算されるとしたものである。

<要旨>
請求人は、組合事業に係る組合損益の分配割合につき、更正処分においては当該組合事業に係る不動産の登記名義の割合を用いて算定しているところ、重加算税賦課決定処分においては、架空雑費(本件雑費)の金額を各組合員の出資金額の割合を用いて算定しており、計算方法の一貫性を欠くと主張する。

しかしながら、請求人は本件雑費を含む組合損益を本件雑費の割合(本件雑費割合)に応じて各組合員に分配した損益分配表に基づいて申告したのであるから、原処分庁が本件雑費を各組合員に割り付けるに当たり、本件雑費割合をよりどころとしたこと自体は何ら不合理ではない。
もっとも、国税通則法第68条《重加算税》第1項括弧書及び同法施行令第28条《重加算税を課さない部分の税額の計算》第1項の規定により、重加算税の計算の基礎となる税額は、増差税額全体から隠ぺい又は仮装されていない事実のみに基づいて更正があったものとした場合の納付すべき税額を控除して算出するとされているところ、損益の分配割合に誤りがあったことについては、隠ぺい又は仮装は認められないため、①「更正処分に基づく増差税額全体」から②「損益の分配割合に誤りがあったことのみに基づいて更正があったものとして算出した税額」を控除して計算することとなるが、①と②は同額であることから、重加算税の計算の基礎となる税額は零円となる。したがって、増差税額の全部が過少申告加算税の賦課対象となり、これを前提に請求人の加算税額を計算すると原処分額が過大となるから、当該過大部分は違法である。

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2016年11月30日

無申告加算税に代えてなされた重加算税の賦課決定処分につき、事実を隠ぺいし、その隠ぺいされたところに基づき法定申告期限までに申告書を提出しなかったものとは認められないとして、同処分を全部あるいは一部取り消した事例

平成24年3月相続開始に係る相続税の
①更正処分及び無申告加算税の賦課決定処分
②重加算税の賦課決定処分
①全部取消し・②一部取消し
平成28年3月30日裁決

<要旨>
原処分庁は、原処分に係る調査時の被相続人の子ら(本件子ら)の申述等を根拠に、本件子らの間では、遅くとも法定申告期限までに、相続税の申告をしない旨の合意が成立しており、かかる合意に基づき、法定申告期限までに申告書を提出しなかったものであるから、請求人らが、事実を隠ぺい又は仮装し、その隠ぺい又は仮装したところに基づき法定申告期限までに申告書を提出しなかったことは明らかである旨主張する。

しかしながら、本件子らの申述等を含む本件の全証拠を総合しても、本件子らの間で、法定申告期限までに相続税の申告をしない旨の意思の合致があったとはにわかに認め難い。
また、本件子らには、事前通知後、原処分庁の調査に積極的には協力しない旨の漠然とした合意が形成されていたことが認められ、調査の際、被相続人が証券会社との取引があった事実を秘匿するため、虚偽の答弁や香典メモの破棄行為という明らかな証拠隠滅行為に及んだことなど、相続財産を隠ぺいし、相続税を無申告で済ませようとする意図をうかがわせる一定の事情が認められるが、これらの事情は、いずれも、法定申告期限から約1年8月が経過した後の調査時点における言動等であって、事前準備を要するような計画的なものではなく、とっさにとった行動とも評価し得るものであり、その後直ちに証券会社との取引の事実を認め、遅滞なく期限後申告に応じていることから、相続財産を隠ぺいする態度、行動をできる限り貫こうとしたとまではいえない。

したがって、請求人らが、相続税を申告しない意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき法定申告期限までに申告書を提出しなかったとまでは認められないから、事実を隠ぺい又は仮装し、その隠ぺい又は仮装したところに基づき、法定申告期限までに申告書を提出しなかったものとは認められない。

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2016年11月28日

納税の猶予不許可処分をした原処分庁の判断に裁量権の範囲の逸脱又は濫用があったと認めることはできないとした事例

納税の猶予不許可処分
棄却
平成28年1月13日裁決

<要旨>
請求人は、納税の猶予の申請を許可するか否かは納税者の事業実態として納税を困難にしている事実の存否により判断されるべきところ、請求人には当該事実が存在し、国税通則法第46条《納税の猶予の要件等》第2項第5号の要件を充足していたとして、原処分庁が納税の猶予を不許可とした処分(本件不許可処分)には裁量権の範囲の逸脱又は濫用があり、違法である旨主張する。

しかしながら、納税の猶予の許否は税務署長の裁量的判断に委ねられていると解するのが相当であるところ、当該裁量基準を示した「納税の猶予等の取扱要領」(猶予取扱要領)の定めが合理性を有するものである場合には、税務署長の判断が当該取扱要領の定めに従っている限り、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとの評価を受けることはない。

これを本件についてみると、本件に関する猶予取扱要領の定めは合理的であり、当該定めに従えば、請求人には国税通則法第46条第2項第5号(第4号類似)に該当する事実があったということはできないから、本件不許可処分をした原処分庁の判断に、裁量権の範囲の逸脱又は濫用があったと認めることはできない。

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2016年11月25日

異議申立て時には存在していなかった処分が、異議決定までになされた場合には、その時点で異議申立ての対象とされた「処分」が存在するに至ったのであるから、それ以降、当該異議申立ては適法なものとなり、異議申立て固有の瑕疵は治癒されたものと解するのが相当であるとした事例

売却決定処分、公売公告
棄却、却下
平成27年12月1日裁決

<要旨>
原処分庁は、不動産等の売却決定処分(本件売却決定処分)に対する異議申立ては、異議申立ての時点で存在しない「処分」を対象とするものであって、明らかに不適法である旨主張するが、異議申立ての対象とされた本件売却決定処分が、異議申立てについての決定がされるまでになされた場合には、その時点で異議申立ての対象とされた「処分」が存在するに至ったのであるから、それ以降、当該異議申立ては適法なものとなり、異議申立て固有の瑕疵は治癒されたものと解するのが相当である。

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2016年10月6日

相続財産である家族名義預金を申告せず、税務調査においても根拠のない答弁を行った納税者について、国税通則法第68条に規定する重加算税の賦課要件を満たすとした事例

平成23年8月相続開始に係る相続税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分
一部取消し・棄却
平成27年10月2日裁決

<要旨>
請求人らは、被相続人の子名義の定期預金11口(本件各定期預金)は被相続人が生前に被相続人の子供ら(本件子供ら)に贈与したものであり、これを申告しなかったことにつき、隠ぺい又は仮装行為は存しない旨主張する。

しかしながら、被相続人の妻(本件妻)は、本件各定期預金を相続財産と認識しながら、これを関与税理士に告げず、本件各定期預金の記載がない遺産分割協議書を添付して相続税の過少申告を行い、その後の税務調査においても、本件各定期預金が、被相続人の生前既に贈与されたものであるなどとする根拠のない申述をして、真実の相続財産を隠ぺいする態度を貫こうとしたものである。
このような行為は、当初から相続財産を過少に申告することを意図した上で、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告を行ったものと認められる。
また、本件子供らは、相続財産の調査、申告を本件妻に委任していたが、本件各定期預金のうちそれぞれの名義の定期預金が相続財産であることを認識しながら、これを関与税理士に告げず、本件妻とともに相続税の過少申告を行っており、かつ、本件子供らに受任者である本件妻の選任及び監督に過失がないと認められる特段の事情はないから、本件子供らは、本件各定期預金の全部の隠ぺいがあったと認められる。

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2016年10月5日

請求人の法定申告期限経過前の行為及び調査に対する虚偽答弁、虚偽証拠の提出を総合判断すると、本件では、隠ぺい仮装があったと認めることができ、無申告加算税に代わる重加算税の賦課要件を充足すると認定した事例

①平成18年分~平成24年分の所得税の各更正処分
②平成18年分、平成20年分及び平成22年分の所得税の重加算税の各賦課決定処分
③平成19年分、平成21年分、平成23年分及び平成24年分の所得税の重加算税の各賦課決定処分
④平20.1.1~平22.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各決定処分並びに無申告加算税の各賦課決定処分
⑤平23.1.1~平24.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各決定処分並びに重加算税の各賦課決定処分
①③④⑤棄却 ②一部取消し
平成27年10月30日裁決

<要旨>
請求人は、法定申告期限までに所得税の確定申告書を提出しなかったのは請求人の税知識の不足により失念していたからであり、請求人は外国人研修・技能実習制度の送出し機関であるK社の従業員であるから、原処分庁の前回の調査結果に従って、K社から証明書の交付を受けた上で給与所得等に係る所得税の期限後申告書を提出しているなどとして、当該期限後申告書の提出並びに原処分庁の今回の調査に基づく更正について、重加算税の賦課要件を満たさない旨主張する。

しかしながら、架空名義の利用や資料の隠匿等の積極的な行為が存在しない場合であっても、納税者が当初から課税標準等及び税額等を申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき期限内申告書を提出しなかった場合には、重加算税の賦課要件が満たされると解するのが相当であるところ、請求人は、自身が事業主体であったにもかかわらず、①当該事業から生ずる収入を、K社の肩書が付された口座に振込入金させた上で毎月ほぼ全額を現金で出金し、金員の流れを容易に把握できないようにすることによって、K社に帰属するものであると装い、②多額の事業収入を得ていながら5年間にわたり無申告を続け、③原処分庁の前回調査を受けても、K社に内容虚偽の証明書を作成・提出させるなどの工作を行って、事業主体は飽くまでK社にあり自身は給与を得ていたと装うなどしていることからすると、請求人は、当初から課税標準等及び税額等を申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたといえるから、その意図に基づき期限内申告書を提出しなかったことについては、国税通則法第68条《重加算税》第2項に規定する重加算税の賦課要件を満たすというべきである。

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2016年8月2日

原処分庁は、被相続人が各同族会社に対する債権を放棄していないのに、各同族会社の(実質的)経営者である請求人が債権放棄があったとする経理処理をした上で相続財産からこれら債権を除外して相続税の申告をしたとして重加算税を賦課したが、上記債権の一部は被相続人が実際に債権放棄をした可能性が認められるとして、原処分庁の事実認定を否定した事例

平成23年12月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
一部取消し
平成27年10月1日裁決

<要旨>
原処分庁は、請求人は各同族会社(本件各会社)の経理処理を自由にできる自身の立場を利用して、被相続人からの債務免除等の事実がないにもかかわらず、本件各会社の帳簿において事実に基づかない各仕訳を行い、被相続人からの借入金の帳簿上の残高を減少させたものと認められるから、請求人のこのような行為は、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する「納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し」たことに該当する旨主張する。

しかしながら、請求人と被相続人との間で請求人が答述するような協議があった可能性を十分に認めることができることを前提にすると、当該各仕訳の一部は、当該借入金の額を減少させるという被相続人の意思に基づき行われた可能性が十分に認められることから、当該各仕訳に係る請求人の行為は、相続税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実を隠ぺいし、故意に脱漏し、あるいは故意にわい曲したものであるとまでは認められない。

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2016年7月27日

収支内訳書に虚偽記載をしただけでは、隠ぺい仮装があったとは認められないと判断した事例

①平成20年分~平成23年分の所得税の重加算税の各賦課決定処分
②平21.1.1~平23.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の重加算税の各賦課決定処分
③平成22年分の所得税の過少申告加算税の賦課決定処分
④平21.1.1~平23.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の無申告加算税の各賦課決定処分

①②一部取消し ③④棄却 平成27年7月1日裁決

<要旨>
原処分庁は、請求人が、過少申告の意図に基づき、①得意先に対する売上金額を記載したメモの一部を破棄したこと、②平成18年分の所得税額を試算した際のメモと同様の原処分に係る各年分のメモを破棄したこと、③正確な収入金額等を容易に確認できたにもかかわらず、収支内訳書に根拠のない額を記載したことという一連の行為は、当初から所得等を過少に申告する意図であったことを外部からもうかがい得る特段の行動に当たり、重加算税の賦課要件を充足する旨主張する。

しかしながら、請求人に過少申告の意図があったことは認められるものの、上記①のメモについては、売上金は全て振り込まれ、しかもその入金のあった預金口座の通帳は保存されていたこと等からすると、請求人は当該メモ書を保存する必要がなくなったから廃棄した可能性が十分に考えられること、上記②のメモについては、そのようなメモを作成していた事実が認められないこと、上記③については、収支内訳書に根拠のない額を記載する行為は過少申告行為そのものであることから、原処分庁が主張する請求人の行為は、当初から所得等を過少に申告する意図であったことを外部からもうかがい得る特段の行動には当たらず、重加算税の賦課要件を充足しない。

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2016年5月23日

事前通知なし調査について争われた事例

①平成22年分~平成23年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
②平成24年分の所得税の更正処分
③平成24年分の所得税の過少申告加算税の賦課決定処分
④平20.1.1~平24.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに無申告加算税の各賦課決定処分
①②一部取消し、③④棄却 平成27年7月21日裁決

<ポイント>
本事例は、質問検査権の行使を行っていなければ、事前通知なく納税者方に赴いても違法にはならないとしたものである。

<要旨>
請求人は、原処分に係る調査の担当職員(本件調査担当者)が請求人の自宅兼事業所に臨場(本件臨場)する前に請求人に対し、国税通則法第74条の9《納税義務者に対する調査の事前通知等》第1項に規定する通知(事前通知)をしなかったことが、原処分を取り消すべき事由に該当する旨主張する。

しかしながら、本件調査担当者は、本件臨場において、事前連絡をしないで請求人の自宅兼事業所を訪れ、請求人であることを確認した上で、身分証明書と質問検査章を提示し、所属と氏名を述べ、税務調査のために来訪した旨を伝えているが、請求人の課税標準等を認定する目的で、請求人に質問し、又はその事業に関する帳簿、書類その他その調査事項に関連性を有する物件の検査をした事実は認められず、質問検査権の行使を行ってはいないから、本件臨場の前に請求人に対し事前通知をしなかったことは、原処分を取り消すべき事由には該当しない。

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2016年5月20日

処分理由の提示が争われた事例

平成22年11月相続開始に係る相続税の更正処分
棄却 平成27年9月28日裁決

<ポイント>
本事例は、処分通知書に記載すべき理由は、行政庁の不服申立ての抑制及び不服申立ての便宜という理由提示の制度趣旨を充足する程度に記載すれば不備はないとしたものである。

<要旨>
請求人は、相続税の更正処分に係る通知書(本件通知書)に記載された処分理由には、課税価格に加算される本件他の相続人らの相続時精算課税適用財産及び歴年課税分の贈与財産(本件贈与財産)の価額のそれぞれの合計額が記載されているものの、その明細が記載されておらず、かかる記載内容では、処分の基礎となる具体的な事実を知りえず、不服申立ての便宜を図った行政手続法第14条《不利益処分の理由の提示》の理由提示の趣旨に反することから、原処分を取り消すべき違法がある旨主張する。

しかしながら、本件贈与財産の課税価格の合計額への加算に係る提示理由には、本件贈与財産について、それぞれ合計額が記載されているところ、本件贈与財産の合計額が分かれば、課税価格の合計額を算出することができるのであるから、当該記載により、原処分庁が相続税額を算出した過程を示したものといえる上に、そもそも、課税庁は、相続時精算課税適用財産の価額及び暦年課税分の贈与財産の価額を課税価格の合計額に加算するに当たっては、他の共同相続人等から提出された申告書の記載又は同人等に対する更正処分の内容等を基に相続税額の計算をするのであるから、この点に課税庁の恣意が入り込む余地は乏しく、合計額のみの記載であっても、行政庁の恣意抑制という見地から欠けるところはない。
さらに、相続時精算課税適用財産の価額及び暦年課税分の贈与財産の価額については、それぞれの合計額が記載されていれば、納税者は課税価格の合計額を算出することが可能であり、記載された合計額と納税者が認識しているこれらの合計額とを比較して、不服申立ての要否を判断することが可能といえるから、処分の名宛人の不服申立ての便宜という見地からも欠けるところはない。

したがって、本件通知書に記載された処分理由は、理由提示の趣旨目的を充足する程度に処分の理由を具体的に明示したものと認めることができ、行政手続法第14条第1項本文の要求する理由提示として不備はないから、原処分を取り消すべき違法はない。

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2016年5月18日

帳簿を作成していない青色申告事業者に対する更正処分の理由付記の程度について、帳簿書類の記載自体を否認することなしに更正をする場合に該当することから、理由付記制度の趣旨目的を充足する程度に記載すればよいとした事例

①平成17年分、平成19年分、平成22年分及び平成23年分の所得税の各更正処分並びに重加算税の各賦課決定処分
②平成18年分、平成20年分及び平成21年分の所得税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
③平20.1.1~平20.12.31、平22.1.1~平23.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各決定処分並びに無申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
棄却 平成27年3月30日裁決

<要旨>
請求人は、青色申告者である請求人に対する所得税の更正処分(本件所得税更正処分)に係る通知書(本件更正通知書)には、調査による計数上の記載や処分の結果のみが記載されているだけで、原処分庁の判断根拠が全く記載されておらず、本件更正通知書の理由付記には、本件所得税更正処分を取り消すべき不備がある旨主張する。

しかしながら、請求人は、請求人の事業所得を生ずべき業務について、集計表等を作成するだけで日々の取引を記録する帳簿を作成していないことから、本件所得税更正処分は、帳簿書類の記載自体を否認することなしに更正をする場合に該当するところ、原処分庁は、本件更正通知書において、事業所得に係る総収入金額については取引先ごとに取引期間及び年間の売上金額を一覧表で明らかにしており、必要経費については計上漏れとして認定した仕入金額等の支払先及び年間の支払合計金額などを記載していることからすれば、本件更正通知書に記載された理由は、原処分庁の恣意抑制及び納税者の不服申立ての便宜という理由付記制度の趣旨目的を充足する程度に具体的な記載がされていると認められることから、本件所得税更正処分を取り消すべき不備はない。

 ★リンクはこちら ⇒ 帳簿を作成していない青色申告事業者に対する更正処分の理由付記の程度について、帳簿書類の記載自体を否認することなしに更正をする場合に該当することから、理由付記制度の趣旨目的を充足する程度に記載すればよいとした事例

2015年10月19日

調査手続の違法は修正申告の効果に影響を及ぼさないと判断した事例

①平成20年分、平成21年分及び平成24年分の所得税に係る重加算税並びに平成19年分の所得税に係る過少申告加算税並びに平21.1.1~平21.12.31の課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分
②平成18年分~平成21年分、平成23年分及び平成24年分の所得税の各修正申告並びに平18.1.1~平18.12.31及び平21.1.1~平23.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各期限後申告
①棄却 ②却下 平成27年3月26日裁決

請求人は、原処分に係る調査担当職員(本件調査担当職員)が行った調査につき、①国税通則法第74条の9《納税義務者に対する調査の事前通知等》第1項に規定する調査対象期間の説明並びに同法第74条の11《調査の終了の際の手続》第2項及び第3項に規定する調査結果の内容の説明や法的効果の教示がなかったことから調査手続に違法があったこと及び②調査対象期間の説明及び調査結果の内容の説明がなかったため、どのような内容か分からない修正申告書及び期限後申告書(本件各修正申告書等)に署名押印して修正申告及び期限後申告(本件各修正申告等)をしたものであり錯誤があったことから、本件各修正申告等は調査手続の違法または錯誤により無効である旨主張する。

しかしながら、そもそも調査手続の違法は、それのみを理由として修正申告及び期限後申告の有効性に影響を及ぼすものではないと解されるから、たとえ調査手続に違法があったとしてもそのことのみで修正申告及び期限後申告が無効となることはない。
また、本件各修正申告書等には、請求人の署名押印がされていることから、本件各修正申告等が請求人の意思に基づいて行われたとの推定ができるところ、①修正申告書及び期限後申告書は具体的な納税義務を発生させるものであるから、内容を確認しないで署名押印をすることは通常あり得ないこと、②本件調査担当職員は調査期間中に調査対象となる税目と年分を請求人に伝えていると認められるから、請求人は調査対象期間を認識していたこと並びに③本件調査担当職員は請求人に調査結果の内容の説明を行ったと認められるから、請求人は調査結果の内容を知っていたと認められ、これらを総合すると、請求人は、税目、年分を認識した上で本件各修正申告書等に署名押印し提出したと認められるのであって、錯誤があったとは認められず、本件各修正申告等は無効とならない。

 ★リンクはこちら ⇒ 調査手続の違法は修正申告の効果に影響を及ぼさないと判断した事例

2015年10月15日

事前通知に関し調査の単位を明らかにした事例

平成22年分~平成24年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
一部取消し 平成26年11月13日裁決

<ポイント>
本事例は、国税通則法第74条の9《納税義務者に対する調査の事前通知等》の調査は税目と課税期間によって特定される納税義務に係る調査を一の調査とみるべきであることを明らかにしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人に対し、平成24年中に平成21~23年分の所得税の調査(当初調査)を開始しているところ、平成24年分の調査は、当初調査の対象年分に追加したものであるから、平成25年1月1日前から引き続き行われている調査に該当し、経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律の附則第39条《当該職員の質問検査等に関する経過措置》第3項の規定により、国税通則法第74条の9《納税義務者に対する調査の事前通知等》第1項の適用はない旨主張し、一方、請求人は、平成24年分の調査は、改正国税通則法施行後に開始されたものであり、同法第74条の9第1項の事前通知が必要であったにもかかわらず、調査担当職員は、電話で「平成24年分の調査を行います。」とのみ通知しただけで、その後においても、改正後の国税通則法に則って通知が行われていないことから、平成24年分の調査は必要な手続要件を満たしておらず、違法である旨主張する。

しかしながら、調査は、納税義務者について税目と課税期間によって特定される納税義務に関してなされるものであるから、当該納税義務に係る調査を一の調査とみるべきであり、請求人に対する平成24年分の調査は、独立した一の調査となり、平成25年1月1日前から引き続き行われている調査には該当せず、国税通則法第74条の9第1項の適用があると認められる。
一方、調査担当職員は、調査の対象税目及び調査の対象期間に加えて、調査の開始時期、調査の場所、調査の目的及び調査の対象となる帳簿書類を請求人に対し通知していると認められ、請求人に対して平成24年分の所得税の調査を行う旨の通知しか行われていないとはいえない。

そうすると、平成24年分の調査の事前通知については、国税通則法第74条の9第1項の適用があるところ、調査担当職員は、同条同項の規定に沿った事前通知を行っており、調査手続に違法とすべき点はない。

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2015年7月28日

滞納法人の破産管財人から債権譲渡の否認を求める訴訟が提起されたことは、国税通則法第77条第3項の「やむを得ない理由」には当たらないとした事例

譲渡担保権者の物的納税責任に関する各告知処分及び債権の各差押処分
却下 平成26年10月22日裁決

<要旨>
国税通則法第77条《不服申立期間》第1項は、不服申立ては、処分があったことを知った日(処分に係る通知を受けた場合には、その受けた日)の翌日から起算して2月以内にしなければならない旨規定するところ、請求人の審査請求は、同項所定の不服申立期間が経過した後に行われたものであり、また、請求人の主張する、訴訟中であることは同条第3項の「やむを得ない理由があるとき」に、徴収担当職員の「全て終了した時点で連絡してもらえば結構です。」との発言は同条第6項の「誤って法定の期間より長い期間を不服申立期間として教示した場合」にそれぞれ当たらないことから、請求人の審査請求は、法定の不服申立期間を経過した後に行われた不適法なものである。

★リンクはこちら⇒ 滞納法人の破産管財人から債権譲渡の否認を求める訴訟が提起されたことは、国税通則法第77条第3項の「やむを得ない理由」には当たらないとした事例

2015年7月23日

輸入貨物に係る消費税及び地方消費税の申告につき、意図的に過少申告することを認識した上で、正規の価格を示す書類を隠匿したものとは認められないと認定した事例

輸入申告に係る消費税及び地方消費税に係る重加算税の賦課決定処分
全部取消し 平成26年10月9日裁決

<ポイント>
本事例は、貨物の輸出者から送付されたインボイスに記載された貨物の価格が本来の価格に比し著しく低い金額であったため、輸入貨物に係る消費税等の申告が過少申告になったのであるが、かかる過少申告に事実の隠ぺいは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が、機械部品(本件貨物)の輸入に際し、本件貨物の課税価格が輸出者から受領した各書類(本件各書類)に記載された金額であることを認識し、また、本件貨物に係るインボイス(本件インボイス)に記載された金額が現実に支払う金額より著しく過少であり、本件インボイスが課税価格の決定のための資料として不十分であることを認識していたにもかかわらず、本件貨物の輸入申告手続を依頼した通関業者(本件通関業者)に対して本件インボイスのみを送付し、あえて本件各書類を送付しなかったことは書類の隠匿に該当し、さらに、請求人にはこのことが事実を隠ぺいする行為であるとの認識があったのであるから、事実の隠ぺいがあったと認められる旨主張する。

しかしながら、請求人が本件インボイスを本件貨物の輸入申告手続に必要な書類と判断し、本件インボイスのみを本件通関業者に送付したとしても不自然な行動であったとは認められず、また、請求人が本件通関業者が作成する本件貨物の輸入に係る申告書の記載内容を意識した上で本件インボイスのみを送付したとまでは認められない。
さらに、請求人が、本件の調査担当者に対し、本件インボイスのみならず、本件貨物の課税価格が記載された本件各書類も提示していたことを併せ考慮すると、請求人が本件通関業者に対し本件各書類を送付せず、本件インボイスのみを送付したことをもって、事実の隠ぺいがあったとは認められない。

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2015年7月21日

役務の提供等の完了前に請求書の発行を受ける等、通常と異なる処理を行った行為は、事実を仮装したものと認めた事例

①平23.2.1~平24.1.31の事業年度の法人税に係る重加算税の賦課決定処分
②4平23.2.1~平24.1.31の課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の賦課決定処分
①棄却 ②一部取消し 平成26年10月28日裁決

<要旨>
請求人は、翌期の経費として計上すべき修繕工事等の費用及び備品等の購入費用を当期の経費として計上したことについて、単なる経理処理の誤りで、修繕工事等の一部は事業年度末までに役務の提供が完了しており、また、修繕工事等の費用及び備品等の購入費用が翌事業年度に支払われていることなどからすると、帳簿書類の虚偽記載等には該当しないから、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する事実を仮装したものではない旨主張する。

しかしながら、事業年度末までに役務の提供が完了していないにもかかわらず、修繕工事等の役務の提供や備品等の引渡しの完了より前に請求書の発行を受ける等、通常と異なる処理を行うことにより故意に事実をわい曲した請求人の行為は、事実を仮装したものと認められる。
なお、修繕工事等の一部は事業年度末までに役務が完了していることから、当該完了部分については、事実を仮装したものとは認められない。

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2015年7月15日

被相続人の妻が被相続人の財産内容を開示しなかった等の事情は、相続人間の主観的事情にすぎないから、期限内申告書の提出がなかったことについて、国税通則法第66条第1項ただし書の「正当な理由」があるとは認められないと認定した事例

平成20年3月相続開始に係る相続税の無申告加算税の賦課決定処分
一部取消し 平成26年11月7日裁決

<要旨>
請求人は、亡弟(本件被相続人)の相続(本件相続)に係る亡父の相続税の納付義務を承継しているところ、1亡父は、本件被相続人の相続財産の全てを管理していた本件被相続人の妻に対して、相続税法第3条《相続又は遺贈により取得したものとみなす場合》第1項各号に規定する財産(みなし相続財産)を含む相続財産の全容を把握するための明細の提示を依頼したが応じてもらえず、また、2本件被相続人の妻が申し立てた遺産分割調停に係る遺産目録等にはみなし相続財産が記載されていなかったが、記載された財産等に基づいて本件相続に係る相続税の課税価格を計算すると課税価格は基礎控除額を下回ることとなったことから、亡父が相続税の期限内申告書を提出しなかったことについて、国税通則法第66条《無申告加算税》第1項ただし書に規定する「正当な理由があると認められる場合」に該当する旨主張する。

しかしながら、請求人が主張する上記1の事情は、相続人相互の人間関係に基因する事情であり、また、上記2の事情は、相続人相互の人間関係によりみなし相続財産の確認ができなかったが、亡父がみなし相続財産を課税価格に加えないことを自己判断して課税価格を計算した結果、課税価格が基礎控除額以下になったというものであるから、相続人相互の人間関係を前提とした亡父の自己判断に係る事情といえる。

そうすると、請求人が主張する事情は、亡父を含む相続人間の主観的事情にすぎず、亡父が相続税の期限内申告書を提出しなかったことについて、真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があったということはできないから、国税通則法第66条第1項ただし書に規定する「正当な理由があると認められる場合」に該当しない。

★リンクはこちら⇒ 被相続人の妻が被相続人の財産内容を開示しなかった等の事情は、相続人間の主観的事情にすぎないから、期限内申告書の提出がなかったことについて、国税通則法第66条第1項ただし書の「正当な理由」があるとは認められないと認定した事例

2015年7月13日

請求人が主張していない行政手続法第14条に基づく理由の提示につき、審判所の調査の結果、理由の提示に不備があったと認定した事例

①平18.9.1~平19.8.31までの事業年度以後の法人税の青色申告の承認の取消処分
②平19.9.1~平20.8.31、平21.9.1~平22.8.31、平23.9.1~平24.8.31の各事業年度の法人税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分
③平19.9.1~平20.8.31、平21.9.1~平22.8.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分
④平18.9.1~平19.8.31、平20.9.1~平21.8.31の各事業年度の法人税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分、平22.9.1~平23.8.31の事業年度の法人税の更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
⑤平18.9.1~平19.8.31、平20.9.1~平21.8.31、平23.9.1~平24.8.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分、平19.9.1~平20.8.31、平21.9.1~平22.8.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の重加算税の各賦課決定処分、平22.9.1~平23.8.31の課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
①④⑤棄却 ②③一部取消し 平成26年12月10日裁決

<要旨>
原処分庁は、所得の金額の計算上、法人税の確定申告書において損金の額に算入していた青色欠損金額(当期控除額)を加算されることが更正通知書(本件通知書)に示されていないことについて、当期控除額を加算する理由(本件理由)は、青色申告の承認の取消処分に伴うものであり、法文の規定上明らかであることから、請求人においても容易に認識でき、理由の提示不備の違法はない旨主張する。

しかしながら、行政手続法第14条《不利益処分の理由の提示》第1項本文が、不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは、名宛人に直接に義務を課し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものと解されることから、更正処分をする際は、当該更正通知書自体に法の要求する程度にその理由を示す必要がある。

よって、本件通知書は、本件理由の提示がなく、本件通知書自体から当期控除額を所得金額に加算する旨を特定し得る程度の理由を示していないことは明らかであるから、本件理由の提示不備の違法があると判断するのが相当である。
なお、本件通知書は、本件理由の提示のないことが更正処分全体の理由の提示を不備なものとする程度に至るとは認められず、また、他に更正処分に係る理由の提示に不備があるとも認められない。

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2015年7月10日

国税通則法改正に伴うe-Taxを利用した税務代理権限証書の提出

平成27年3月31日に公布された国税通則法の改正を含む「所得税法等の一部を改正する法律」により、税務代理権限証書の様式が改訂される。e-Taxソフトでは、6月15日から順次、新様式の税務代理権限証書(平成27年7月1日以後適用分)の提供が開始されるので、下記のとおり対応のこと。
なお、e-Taxソフト以外の電子申告ソフト等を使用している場合は、各ソフトウェア会社に確認のこと。

1.平成27年6月15日~30日
6月30日までは現行様式の税務代理権限証書を提出する必要がある。
e-Taxソフトでは、税務代理権限証書の提出は、申告書の添付書類として提出する方法と、申請・届出の手続として個別に提出する方法がある。
6月15日以降、下記手続では、申告書に添付書類として選択できる税務代理権限証書が新様式のみとなる。
したがって、6月15日~30日の間は、申告書の添付書類として新様式の税務代理権限証書は選択せずに、「申請・届出」手続の中にある現行様式の税務代理権限証書を選択し、個別に提出すること。

区分 手続
個人申請 所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請
法人申告 法人税(単体申告)、復興特別法人税(単体申告)、消費税(一般・法人)(簡易・法人)(中間・法人)

なお、「申請・届出」手続の中の個別提出による税務代理権限証書は、6月15日以降、現行様式と新様式が選択可能になる。

2.平成27年7月1日以降
7月1日以降は、新様式の税務代理権限証書を提出する必要があるが、各手続において添付書類として新様式の税務代理権限証書を選択できるようになる時期が異なる。
下記サービス開始予定日までは、「申請・届出」手続の中にある新様式の税務代理権限証書を選択して個別に提出すること。

サービス

開始予定日
区分 手続
平成27年9月 申請 税理士法関係申請
個人申告 消費税(一般・個人)(簡易・個人)
法人申告 法人税(連結申告)、法人税(個別帰属額届出書)、復興特別法人税(連結申告)
平成28年1月 申請 納税証明書の交付請求、納税の猶予の申請(H26はH27.3サービス開始)、審査請求事務手続き(H26はH26.9サービス開始)
個人申告 所得税及び復興特別所得税申告、贈与税申告(暦年課税)(相続時精算課税)、消費税(中間・個人)
個人申請 申告所得税事務手続、法定資料事務手続、資産税事務手続、異議申立事務手続
法人申告 酒税納税申告(H26はH26.9サービス開始)、印紙税納税申告(H26はH26.9サービス開始)
法人申請 法人税事務手続(H26はH27.3サービス開始)、源泉所得税事務手続(H26はH27.3サービス開始)、酒税事務手続(H26はH27.3サービス開始)、諸税事務手続(H26はH27.3サービス開始)


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 国税通則法改正に伴うe-Taxを利用した税務代理権限証書の提出

2015年6月25日

原処分庁が請求人の所得区分及び必要経費を否認して更正処分をした事案について、必要経費性を否認する支出を特定していない理由の提示に不備があると判断した事例

平成21年分~平成23年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
一部取消し 平成26年9月1日裁決

<ポイント>
本事例は、支出の必要経費性を否認して更正処分をする場合、更正通知書に記載する理由には、否認する支出を特定して記載しなければならないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、更正通知書に記載された処分の理由は行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与えるという行政手続法第14条《不利益処分の理由の提示》第1項本文の法の趣旨が求める程度に記載されていると認められるからその記載に不備はない旨主張する。

しかしながら、更正通知書に記載された必要経費該当性の判断に係る理由のうち旅費交通費及び新聞図書費の一部の費用が必要経費に該当しない旨の理由の記載については、当該必要経費として認められない費用がどの費用(あるいは費用の一部)であるかが特定されておらず、当該費用の内容すら理解できないものであって、要件該当性をおよそ判断できないものであり、摘示された事実からは更正の理由を検証し、その適否について検討することはできない。

そうすると、上記記載が行政手続法第14条第1項の法の趣旨目的を充足する程度に具体的に根拠を明示したとは評価できないから、これらの理由の記載には不備がある。

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2015年5月25日

異議審理手続において異議審理庁が原処分の理由を追加した事案で、原処分庁の手続に違法、不当がないとした事例

平成21年分及び平成22年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
棄却 平成26年8月1日裁決

<要旨>
請求人は、異議申立てに係る審理は、争点主義を採用し、納税者が違法であると主張している争点についてだけ審理・判断を行うべきであるのに、異議審理庁が異議決定において、新たに、原処分では争いがなかった請求人の不動産所得の金額を算定し、総所得金額が原処分を上回るから原処分は適法であるとして棄却したことは、原処分を取り消すべき不当な事由に当たると主張する。

しかしながら、審査請求の対象は原処分であり、裁決は、原処分が違法又は不当であるときにこれを取り消すものであるところ、異議申立ての審理・判断に仮に瑕疵があったとしても、それは原処分に対する不服申立手続において生じた原処分後の事情であって、そのことによって原処分それ自体が違法又は不当となることはないから、原処分を取り消す理由とはなり得ない。
なお、原処分は、行政手続法第14条《不利益処分の理由の提示》に規定する理由の提示に欠けるところはなく、また、原処分庁が原処分の理由と異なる理由を審査請求で主張することにつき、これを制限する法令はなく、審判所がこれを審理することは、当事者の主張(争点)を審理の対象とするものであるから、争点主義的運営にも反するものではない。

★リンクはこちら⇒ 異議審理手続において異議審理庁が原処分の理由を追加した事案で、原処分庁の手続に違法、不当がないとした事例

2015年5月21日

原処分庁が、請求人自身の面接を経ずに無申告加算税の賦課決定処分をした事案について、国税通則法第66条第5項の「調査」は、机上調査も含む広い概念であることを明らかにした事例

平成24年分の贈与税に係る無申告加算税の賦課決定処分
棄却 平成26年7月28日裁決

<ポイント>
本事例は、国税通則法第66条《無申告加算税》第5項に規定する「その提出が、その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について…決定があるべきことを予知してされたものでないとき」の「調査」の意義について明らかにしたものである。

<要旨>
請求人は、国税通則法(通則法)第66条《無申告加算税》第5項に規定する「調査」とは、外部から認識することができる面接調査、すなわち質問検査権の行使をすることであり、部内資料の収集のような手続は「調査」には当たらない旨、また、この点をおくとしても、原処分庁の担当職員(本件担当者)は、請求人の代わりに税務署を訪れた税理士(本件税理士)に税務代理権限証書を提出させていないので、面接時には、本件税理士が請求人に代理して本件担当者の質問調査権の行使を受けたことにならないから、請求人に対する「調査」があったとは認められない旨主張する。

しかしながら、通則法第66条第5項に規定する「調査」とは、課税庁が行う課税標準等又は税額等を認定するに至る一連の判断過程の一切を意味し、課税庁の証拠書類の収集、証拠の評価あるいは経験則を通じての課税要件事実の認定、租税法その他の法令の解釈適用を経て決定に至るまでの思考、判断を含む包括的な概念であり、税務調査全般を指すものと解されるところ、①原処分庁の職員は、署内資料の検討等により、請求人の贈与税の申告が必要であると見込まれると判断していること、②本件担当者は、請求人の贈与税の申告について、本件税理士に面談し、資料の交付や説明をしていることなどが認められるから、これら一連の行為は、課税庁が行う課税標準等又は税額等を認定するに至る一連の判断過程であると認められる。
また、面接時には、本件税理士が請求人に代理して本件担当者の質問調査権の行使を受けたことにならないという点については、請求人の本件税理士への連絡、本件税理士と本件担当者の面接の状況等からすると、少なくとも、本件税理士が、請求人に係る贈与税の申告の要否についての税務署での面接において、請求人に代理又は代行して応答し、面接の内容を請求人に報告するという内容の委任契約が成立していたものと認められる。

以上のことから、本件においては、通則法第66条第5項に規定する「調査」があったと認められる。

★リンクはこちら⇒ 原処分庁が、請求人自身の面接を経ずに無申告加算税の賦課決定処分をした事案について、国税通則法第66条第5項の「調査」は、机上調査も含む広い概念であることを明らかにした事例

2015年5月19日

新賃借人が旧賃借人の敷金を承継することを賃貸人が承諾した等の特段の事情がある場合、敷金返還請求権は新賃借人に承継され、新賃借人が目的物を明け渡した時に、新賃借人に対する被担保債権を控除した残額について発生するところ、原処分庁は敷金返還請求権の取立てを完了していることから、差押処分は消滅しているとした事例

各敷金返還請求権の各差押処分
却下 平成26年4月23日採決

<要旨>
原処分庁が行った各敷金返還請求権(本件各敷金返還請求権)の各差押処分(本件各差押処分)について、本件各敷金返還請求権は、旧賃借人である滞納法人から新賃借人である請求人に承継することを賃貸人が承諾した等の特段の事情があることから、滞納法人から請求人に承継され、請求人が目的物を明け渡した時に、請求人の被担保債権を控除した残額につき発生するものである。
そして、本件各敷金返還請求権は、既に原処分庁が取立てを完了していることが認められ、本件各差押処分はその目的を完了して消滅している。
ところで、行政処分の取消しを求めるについて、その取消しを求める処分の効力が現に存在していることが必要であるところ、本件各差押処分は上述のとおりその目的を完了して消滅している。

したがって、請求人には、本件各差押処分の取消しを求める法律上の利益はなく、本件各差押処分に対する審査請求は、請求の利益を欠く不適法なものである。

★リンクはこちら⇒ 新賃借人が旧賃借人の敷金を承継することを賃貸人が承諾した等の特段の事情がある場合、敷金返還請求権は新賃借人に承継され、新賃借人が目的物を明け渡した時に、新賃借人に対する被担保債権を控除した残額について発生するところ、原処分庁は敷金返還請求権の取立てを完了していることから、差押処分は消滅しているとした事例

2015年3月27日

請求人が、法定申告期限までに相続税の申告書を提出しなかったことについて、国税通則法第68条第2項の重加算税の賦課要件を満たしているとはいえないとした事例

平成23年4月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
一部取消し 平成26年4月17日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人は相続財産を過少に記載したお尋ね書の回答を提出しているものの、そのことのみをもって、「相続財産について申告をしない意図を外部からもうかがい得る特段の行動」と評価することはできないとして、重加算税の賦課要件を満たさないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が、基礎控除額を超える相続財産の存在を認識しながら、「相続についてのお尋ね」(お尋ね書)に一部の財産のみを記載し、遺産総額が基礎控除額以下であるから、申告は不要と思っているとして、お尋ね書を原処分庁に対して提出したことは、「隠ぺい、仮装と評価すべき行為」又は「相続財産を申告しないとの意図を外部からもうかがい得る特段の行動」と認められる旨主張する。

しかしながら、お尋ね書の提出は、相続税の申告をすべきことを知りながらこれをしなかったこと(認識ある無申告)と同等の行為と評価することができ、無申告行為そのものとは別に、「隠ぺい、仮装と評価すべき行為」をしたものと認めることはできない。
また、お尋ね書は、課税庁が、申告の要否を確認する趣旨で、納税者に対して提出を求める書面であるところ、お尋ね書には金額の記載のないものを含めれば、基礎控除額を超える相続財産の記載があり、原処分庁として、請求人が申告義務を有することを十分に予想することができたものといえるから、お尋ね書を提出したことをもって、「相続財産を申告しないとの意図を外部からもうかがい得る特段の行動」と評価することはできない。

★リンクはこちら⇒ 請求人が、法定申告期限までに相続税の申告書を提出しなかったことについて、国税通則法第68条第2項の重加算税の賦課要件を満たしているとはいえないとした事例

2015年3月26日

被相続人の遺産を構成しないことを確認する和解は、国税通則法第23条第2項第1号に規定する判決等に当たるとした事例

平成21年11月相続開始に係る相続税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分
全部取消し 平成26年5月13日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が当事者となっている訴訟に関して成立した裁判上の和解が、いわゆる「馴れ合い訴訟」の結果であるとはいえないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、受遺者である請求人が被相続人から遺贈により取得したとして相続税の修正申告に計上した各土地(本件各土地)について、請求人、R社及び相続人の間で成立した、平成13年頃に被相続人からR社に譲渡されたもので被相続人の遺産を構成しない旨を確認した裁判上の和解(本件和解)は、当事者が租税回避目的等から馴れ合いと評価されるような和解をしたにすぎず、国税通則法第23条《更正の請求》第2項第1号かっこ書に規定する和解に該当しない旨主張する。
しかしながら、①本件各土地の一部には請求人の兄名義の居宅が存在すること、②平成13年にR社を権利者とする所有権移転請求権仮登記がされていること、③売買代金に相当する金員が貸付金名目でR社等から被相続人に交付されていることからすれば、本件各土地が、被相続人の遺産を構成しないことを確認した本件和解の内容について、証拠等からうかがわれる客観的事実関係に明らかに反していると認めるに足らない。
そうすると、本件和解は、相続開始時に所有権の帰属に関して当事者間に争いのあった本件各土地について、平成13年頃に被相続人からR社に対して譲渡されていたことが相応の根拠をもって認められ、実質的にみても客観的、合理的根拠を欠くということはできない。

したがって、本件和解は、国税通則法第23条第2項第1号かっこ書に規定する和解に該当するというべきである。

★リンクはこちら⇒ 被相続人の遺産を構成しないことを確認する和解は、国税通則法第23条第2項第1号に規定する判決等に当たるとした事例

2015年3月25日

振替納税の留意点

振替納税については、以下の点に留意すること。

  • 贈与税については、振替納税の制度がないので、インターネット等を利用して電子納税するか、現金で納付すること。
  • 転居等により所轄税務署が変わった場合や既に振替納税で指定している金融機関や口座を変更する場合には、新たに振替納税(変更)の手続が必要となる。
  • インターネット専用銀行等の一部金融機関及びインターネット支店等の一部店舗では振替納税が利用できないので、利用の可否については取引先の金融機関に確認のこと。

★リンクはこちら⇒ 税金の納付

2015年3月5日

振替納税の手続き

<概要>
申告所得税及び復興特別所得税消費税及び地方消費税(個人事業者)の振替納税を利用する場合の手続である。
申告所得税及び復興特別所得税の場合は、期限内に申告された確定申告(3期)分及び延納分並びに予定納税(1期、2期)分が振替納税の対象となる。
消費税及び地方消費税の場合は、期限内に申告された確定申告分及び中間申告分が振替納税の対象となる。

<手続対象者>
個人の方で申告所得税及び復興特別所得税または(並びに)消費税及び地方消費税を預貯金口座から自動振替により納付したい方
振替納税を利用している方のうち転居等により申告書の提出先税務署が変わった方

<提出時期>
振替納税したい申告所得税及び復興特別所得税消費税及び地方消費税の納付の期限まで

<提出方法>
預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書を作成のうえ、提出先に持参または送付のこと。
(注)
インターネット専用銀行等の一部金融機関、及びインターネット支店等の一部店舗では振替納税が利用 できないので、利用の可否については取引先の金融機関に確認すること。

<部数>
預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書を1部提出

★リンクはこちら⇒ 申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税(個人事業者)の振替納税手続

2015年3月4日

偽りその他不正の行為が認められないとして処分を取り消した事例

平成17年分~平成23年分の所得税に係る過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分、平18.1.1~平23.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税に係る過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分・全部取消し
平成26年1月17日裁決

<要旨>
原処分庁は、平成17年分の売上金額の一部を隠ぺい又は仮装行為に基づく申告漏れと認定しているが、当該隠ぺい又は仮装行為に基づく申告漏れに対応する所得金額は異議決定により算出されないとしたから、それに対応する所得税額は存在しない。

そうすると、平成17年分の所得税の修正申告により納付すべき税額は、平成17年分の売上金額の残部(上記売上金額の一部以外の部分)の申告漏れに係るものであると認められる。

ところで、国税通則法第70条《国税の更正、決定等の期間制限》第4項は、納税者が「偽りその他不正の行為」により国税を免れた場合の加算税の賦課決定の除斥期間を7年と規定しているところ、当審判所が上記申告漏れの態様を調査した結果によれば、平成17年分の売上金額の残部が申告漏れとなったことについて、請求人が自らに帰属しないような外形を作出したとか、本件調査において、請求人が真実の所得を秘匿するため、虚偽の資料を作成し又は領収証の控えつづりを秘匿するなどして、これらの申告漏れが発覚し難い状況を作出したとかの事実を認めることはできず、請求人が平成17年分の所得税の賦課徴収を不能又は困難にするような何らかの偽計その他の工作を伴う不正な行為を行ったとはいえないから、平成17年分の売上金額の残部の申告漏れに係る行為は、国税通則法第70条第4項に規定する「偽りその他不正の行為」には該当しないというべきである。

★リンクはこちら⇒ 偽りその他不正の行為が認められないとして処分を取り消した事例

2014年12月16日

従業員からの預り金及び当該預り金を返還しないこととした事実が帳簿書類に記載されていないことにつき仮装隠ぺいの事実は認められないとした事例

平16.11.1~平23.10.31の各事業年度の法人税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分・全部取消し
平成26年2月21日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が従業員からの預り金を返還しないこととしたことについて、そもそも請求人は収益に計上すべきとの認識を有していなかったと認められるとし、これを故意に帳簿書類に計上しなかったとか、預り金を返還しないこととなった事実を隠ぺいしたなどの証拠は認められず、当該収益(雑収入)の計上漏れは単なる過少申告に該当するとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が、従業員からの預り金(その1)及び預り金(その2)を当該従業員に対し返金しないこととしたという雑収入発生の事実を帳簿書類に記載せず、また、雑収入発生の事実を裏付ける資料(本件資料)を関与税理士に提示せずに請求人代表者の机の引出し内に管理していた行為は、国税通則法第68条《重加算税》が規定する「隠ぺい又は仮装」の行為に該当する旨主張する。
しかしながら、当審判所の調査の結果によれば、預り金(その1)に関しては、請求人に雑収入発生の事実を認めることができない以上、請求人に「隠ぺい又は仮装」の行為を認めることはできず、また、預り金(その2)に関しては、請求人に雑収入発生の事実を認めることができるところ、当該事実を帳簿書類に記載していないものの、本件資料が請求人代表者の机の引出し内に管理されていた事実のみをもって、請求人が雑収入発生の事実を「隠ぺい」したとは認めることはできないし、その他請求人が雑収入計上漏れの事実を故意に帳簿書類に記録せずに「隠ぺい」したと見受けられる証拠はなく、そもそも、請求人は収益が実現したとの認識を有していなかったと認められるから、請求人に「隠ぺい又は仮装」の行為を認めることはできない。

★リンクはこちら⇒ 従業員からの預り金及び当該預り金を返還しないこととした事実が帳簿書類に記載されていないことにつき仮装隠ぺいの事実は認められないとした事例

2014年12月10日

税務代理をお願いしている税理士はいないが、日頃、記帳事務を手伝ってもらっている方(記帳補助者)がいる。

その方に調査の現場に立ち会ってもらうことはできるか?

調査に立ち会って、税務当局に対して納税者の方の代わりに調査につき主張・陳述を行うことは税務代理行為に当たるため、原則として、税務代理人しか行うことはできない。
また、単に調査に立ち会うだけであっても、第三者が同席している状態で調査を行うことで調査担当者に課せられている守秘義務に抵触する可能性がある場合には、税務代理人以外の第三者の立会いはお断りしている。
ただし、その方が、日頃、納税者の方の記帳事務等を担当しているような場合には、調査を円滑に進めるために、調査担当者が必要と認めた範囲で調査に同席いただくことはある。

2014年12月2日

調査の過程で、事前通知を受けた税目・課税期間以外にも調査が及ぶこととなった場合には、調査の対象を拡大する旨や理由は説明してもらえるのか?

また、調査の対象が拡大することに対して納得できない場合には、不服を申し立てられるか?

実地の調査を行う過程で、把握された非違と同様の誤りが事前通知をした調査対象期間より以前にも発生していることが疑われる場合のように、事前通知した事項以外の事項について非違が疑われた場合には、事前通知した事項以外の事項について調査を行うことがある。
この場合には、納税者に対し、調査対象に追加する税目、課税期間等について説明し理解と協力を得た上で行うが、当初の調査の場合と同様、追加する理由については説明することはない。
また、調査を行うこと自体は不服申立てを行うことのできる処分には当たらないので、仮に事前通知事項以外の事項を調査することの必要性について納得できない場合でも、不服申立てを行うことはできない。

2014年11月26日

「記帳・帳簿等の保存が十分でない白色申告者に対しては、その記帳・帳簿等の保存状況に応じて理由を記載する」(平成23年度税制改正大綱)とあるが、どのように記載されるのか?

理由の記載に当たっては、記帳や帳簿等の保存が十分な事業所得者等の場合には、帳簿等と対比して、具体的な取引内容を明らかにして、根拠を示すことになる一方で、記帳・帳簿等の保存が十分でない白色申告者に対しては、例えば、勘定科目ごとに申告漏れ総額を根拠とともに示すなど、平成23年度税制改正大綱の趣旨等を踏まえ、記帳や帳簿等の保存の程度に応じて、納税者がその記載内容から了知し得る程度に理由附記することとしている。

2014年11月26日

国税通則法の改正により処分の理由附記の対象が拡大されたとのことだが、具体的にはこれまでとどのような違いがあるのか?

これまで処分の理由附記は、所得税及び法人税の青色申告者に対する更正処分など一定の処分が対象とされていたが、今般の国税通則法の改正により、理由附記の対象が、国税に関する法律に基づく申請に対する拒否処分または不利益処分全体に拡大された。
したがって、今後は、例えば、白色申告者等に対する更正処分を行う場合(推計による更正の場合を含む。)にも、理由が附記されることになる。
また、加算税の賦課決定については、従来は青色申告者に対する場合でも理由附記の対象とはなっていなかったが、今後は白色申告者等に対する場合を含め理由が附記されることとなる。

なお、この理由附記の対象が拡大される時期は、原則として、平成25年1月1日以後に行われる更正処分や加算税の賦課決定処分から対象となるが、個人の白色申告者等に対しては経過措置があり、個人の白色申告者等のうち、①平成20年から25年までのいずれかの年において記帳義務・記録保存義務があった方等は平成25年1月から、②それ以外の方は平成26年1月から、理由附記を実施することとされている。

(参考)
平成23年度税制改正大綱においては、個人の白色申告者等に対する更正等に係る理由附記について、「平成25年1月以後、現行の白色申告者に係る記帳義務・記録保存義務の水準と同程度の記帳・記録保存を行っている者については、運用上、平成25年1月以後、理由附記を実施するよう努めることとします。」とされているところである。
この「運用上の対応」として、平成20年から25年までのいずれかの年において記帳義務・記録保存義務があった方に加えて、平成25年1月1日以後の現況により、現行の記帳義務・記録保存義務の内容を充足していると認められる方に対する更正等に係る理由附記については、平成25年1月から実施することとしている。

2014年11月21日

過去に調査対象となった税目・課税期間について再調査が行われる場合、なぜ再調査が行われるのかについて説明してもらえるのか?

過去に調査を行った税目・課税期間であっても、例えば、取引先の税務調査により非違につながる情報を把握した場合には、再度、同じ税目・課税期間について調査を行うことがある。

このような場合には、再調査することにつき原則として事前通知を行うが、当初の調査の場合と同様、再調査を行う理由については説明することはない。

2014年11月19日

実地の調査が終了し、「更正決定等をすべきと認められない」旨を通知する書面を受け取ったが、今後は調査を受けることはないのか?

ある税目・課税期間について調査を行った場合には、調査の結果、更正決定等をすべきと認められなかったか否かにかかわらず、原則として、その税目・課税期間について再度の調査を実施することはない。

ただし、例えば、調査終了後に行われた取引先の税務調査で、当初の調査の際には把握されていなかった非違があることが明らかになった場合のように、法令上定められている「新たに得られた情報に照らして非違があると認めるとき」との要件に該当する場合は、既に調査の対象となった税目・課税期間であっても再調査を実施することがある。

2014年11月17日

税務代理をお願いしている税理士がいるので、調査結果の内容の説明等はその税理士に対して行ってほしいのだが、何か手続は必要か?

調査結果の内容の説明等は、納税者に税務代理人がいる場合でも、原則として、納税者の方に対して行うが、納税者の同意があれば、税務代理人に対してのみ説明等を行うこともある。
したがって、税務代理人のみへの説明等を希望する場合には、調査担当者に対し、電話または対面によりその旨を伝えるか、税務代理人を通じて税務代理人への説明を同意する書面を提出することが必要になる。

なお、納税者に調査結果の内容の説明を行う場合でも、税務代理人の同席のもとに調査結果の内容の説明を行うことや、別途、税務代理人にも調査結果の内容の説明を行うことも可能である。

2014年11月13日

調査が終了し、修正申告の勧奨を受けた際に、修正申告をすると不服の申立てはできないが、更正の請求をすることはできる旨の説明を受けた。これはどういう意味か?

不服申立ては、税務当局が行った更正等の処分の課税標準等または税額等が過大であると納税者が考える場合に、税務当局に対し処分の取消しなどを求めるための手段である。
一方、更正の請求は、納税者が行った申告の課税標準等または税額等が過大であったと納税者が考える場合に、当局に対し、申告した課税標準等または税額等を減額する更正を行うことを求めるための手段である。
例えば、いったんは調査結果の内容説明に納得して修正申告を行ったものの、その後にその修正申告に誤りがあると考えられる場合、その修正申告は税務当局の処分によるものではないので、不服申立てという手段はとれないが、一定期間内であれば、更正の請求という手段をとることはできる。

なお、更正の請求に際しては、例えば、正しいと考える税額や更正の請求をする理由など法令で定められた事項を「更正の請求書」に記載するとともに、請求の理由の基礎となる「事実を証明する書類」を併せて提出する必要があるので、留意すること。

2014年11月11日

調査結果の内容説明を受けた後、調査担当者から修正申告を行うよう勧奨されたが、勧奨には応じなければいけないか? 

また、勧奨に応じないために不利な取扱いを受けることはないか?

調査の結果、更正決定等をすべきと認められる非違がある場合には、その内容を説明する際に、原則として、修正申告(または期限後申告)を勧奨することとしている。
これは、申告に問題がある場合には、納税者の方が自ら是正することが今後の適正申告に資することとなり、申告納税制度の趣旨に適うものと考えられるためである。

この修正申告の勧奨に応じるかどうかは、あくまでも納税者の方の任意の判断であり、修正申告の勧奨に応じない場合には、調査結果に基づき更正等の処分を行うこととなるが、修正申告の勧奨に応じなかったからといって、修正申告に応じた場合と比較して不利な取扱いを受けることは基本的にはない。

なお、修正申告を行った場合には、更正の請求をすることはできるが、不服申立てをすることはできないので、こうした点を理解した上で修正申告を行うこと。

2014年11月6日

更正決定等をすべきと認める場合は調査結果の内容が説明されることとなっているが、その内容を記載した書面をもらうことはできるのか?

調査の結果、更正決定等をすべきと認められる非違がある場合には、納税者に対し、更正決定等をすべきと認める額やその理由など非違の内容を説明しする。
法令上は説明の方法は明示されておらず、説明は原則として口頭で行うが、必要に応じて、非違の項目や金額を整理した資料など参考となるものを示すなどして、納税者に正しく理解してもらえるよう十分な説明を行うとともに、納税者から質問等があった場合には分かりやすい説明に努める。

なお、調査が電話等によるもので、非違の内容が書面での説明でも十分に理解できるような簡易なものである場合には、納税者にその内容を記載した書面を送付することにより調査結果の内容説明を行うこともあるが、納税者からの要望に応じて調査結果の内容を記載した書面を交付することはない。

2014年11月4日

取引先等に対する調査を実地の調査として行う場合には、事前通知は行われないのか?

税務当局では、取引先など納税者以外に対する調査を実施しなければ納税者の申告内容に関する正確な事実の把握が困難と認められる場合には、その取引先等に対しいわゆる反面調査を実施することがある。
いわゆる反面調査の場合には、事前通知に関する法令上の規定はないが、運用上、原則として、あらかじめその対象者へ連絡を行うこととしている。

(注)
一部の間接諸税については、納税者以外に対する調査の場合でも、原則として事前通知を行うことが法令上規定されている。

2014年10月31日

実地の調査以外の調査が行われる場合には、調査の対象となる税目・課税期間や調査の目的等についての説明は受けられないのか?

税務当局では、実地の調査以外にも、税務署に来てもらい申告内容を確認するなどの方法で調査を行う場合がある。
このような実地の調査以外の調査を行う場合は、法令上は事前通知は求められていないが、運用上の対応として、来署等を依頼するための連絡の際などに、調査の対象となる税目・課税期間や調査の目的等を説明することとしている。

2014年10月29日

事前通知なしに実地の調査が行われた場合、事前通知が行われなかった理由の説明はあるか?

また、事前通知をしないことに納得できない場合には不服を申し立てられるか?

法令上、事前通知を行わないこととした理由を説明することとはされていない。
ただし、事前通知が行われない場合でも、運用上、調査の対象となる税目・課税期間や調査の目的などについては、臨場後速やかに説明することとしている。
また、事前通知をしないこと自体は不服申立てを行うことのできる処分には当たらないので、事前通知が行われなかったことについて納得できない場合でも、不服申立てを行うことはできない。

2014年10月27日

実地の調査が行われる場合には必ず事前通知がなされるのか?

実地の調査を行う場合には、原則として、調査の対象となる納税者に対して、調査開始前に相当の時間的余裕を置いて電話等により実地の調査を行う旨、調査を開始する日時・場所や調査の対象となる税目・課税期間、調査の目的などを通知する。
ただし、法令の規定に従い、申告内容、過去の調査結果、事業内容などから、事前通知をすると、①違法または不当な行為を容易にし、正確な課税標準等または税額等の把握を困難にするおそれ、または、②その他、調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると判断した場合には、事前通知をしないこともある。

なお、事前通知が行われない場合でも、運用上、調査の対象となる税目・課税期間や調査の目的などについては、臨場後速やかに説明することとしている。

2014年10月24日

事前通知の際には調査に要する時間や日数、臨場する調査担当者の人数は教えてもらえるのか?

調査に要する時間や日数は調査開始後の状況により異なるので、事前通知の時点であらかじめ知らせることは困難であることを理解願いたい。

なお、調査の臨場が複数回に及ぶこととなる場合には、調査開始後に納税者の都合を尋ねたところで、次回以降の臨場日などを調整する。

また、調査開始日時に複数の調査担当者が臨場する場合は、事前通知に際し、調査担当者を代表する者の氏名・所属官署に加え、臨場予定人数も併せて連絡することとしている。

2014年10月14日

事前通知の際にはなぜ実地の調査が必要なのかについても説明してもらえるのか?

法令上、調査の目的(例えば、提出された申告書の記載内容を確認するため)については事前通知すべきこととされているが、実地の調査を行う理由については、法令上事前通知すべき事項とはされていないので、これを説明することはない。

2014年10月10日

事前通知を受けた調査開始日時についてはどのような場合に変更してもらえるのか?

税務調査の事前通知に際しては、あらかじめ納税者や税務代理人の都合を尋ねることとしているので、その時点で都合が悪い日時が分かっている場合には、申し出れば良い。
申し出のあった都合や申告業務、決算業務等の納税者や税務代理人の事務の繁閑にも配慮して、調査開始日時を調整することとしている。
また、事前通知後においても、通知した日時について、例えば、一時的な入院、親族の葬儀、業務上やむを得ない事情が生じた場合等には、申し出れば変更を協議する。

なお、例示した場合以外でも、理由が合理的と考えられれば変更を協議するので、調査担当者まで申し出ること。

2014年10月8日

税務代理をお願いしている税理士がいるので、事前通知についてはその税理士に行うようお願いしたいのだが、何か手続が必要なのか?

平成26年7月1日以後に行う事前通知については、納税者の事前の同意がある場合には、税務代理権限証書を提出している税理士等(以下「税務代理人」という。)に行えば足りることとされた。
この場合には、税務代理人が税務署に提出する税務代理権限証書に、納税者の同意を記載しておく必要がある。
詳細については、ご自身の税務代理人に尋ねること。

なお、この同意が記載されていない場合には、納税者と税務代理人の双方に事前通知を行うこととなる。

2014年10月6日

事前通知は、調査の何日くらい前に行われるのか?

実地の調査を行う場合の事前通知の時期については、法令に特段の規定はなく、また、個々のケースによって事情も異なるので、何日程度前に通知するかを一律に示すことは困難だが、調査開始日までに納税者が調査を受ける準備等をできるよう、調査までに相当の時間的余裕を置いて行うこととしている。

2014年10月3日

希望すれば、事前通知を書面で行ってもらうことはできるか?

実地の調査の事前通知の方法は法令上は規定されておらず、原則として電話により口頭で行うこととしている。
また、通知の際には、通知事項が正確に納税者に伝わるように丁寧に行うこととしている。

なお、電話による事前通知が困難と認められる場合は、税務当局の判断で書面によって事前通知を行う場合もあるが、納税者からの要望に応じて事前通知内容を記載した書面を交付することはない。

税理士としては、なぜ書面を交付しないのか違和感を感じるところである。

2014年10月1日

留置き(預かり)に応じた場合でも、申し出れば直ちに返還してもらえるか? 

また、返還を求めたにもかかわらず返還されない場合、不服を申し立てられるか?

法令上、留め置いた帳簿書類等については、留め置く必要がなくなったときは遅滞なく返還すべきこととされている。
また、帳簿書類等の提出をされた方から、お預かりしている帳簿書類等を業務で使用する必要がある等の理由で返還を求められた場合には、特段の支障がない限り速やかに返還するが、例えば、留め置いた書類が大量にあり、そのコピーに時間がかかる場合のように、直ちに返還すると調査の適正な遂行に支障がある場合には、しばらく返還をお待ちいただくこともある。

なお、返還をお待ちいただく場合には、引き続き留置きをさせていただく旨とその理由を説明するが、これに納得できないときは、留置き(預かり)を行っている職員が税務署に所属する職員である場合には、税務署長に異議を申し立てることができる。

2014年9月29日

税務調査の担当者から、提出した帳簿書類等の留置き(預かり)を求められたが、その必要性について納得ができなくても、強制的に留め置かれることはあるのか?

税務調査において、例えば、納税者の事務所等に十分なスペースがない場合や検査の必要がある帳簿書類等が多量なため検査に時間を要する場合のように、調査担当者が帳簿書類等を預かって税務署内で調査を継続した方が、調査を円滑に実施する観点や納税者の方の負担軽減の観点から望ましいと考えられる場合には、帳簿書類等の留置き(預かり)をお願いすることがある。

帳簿書類等の留置き(預かり)は、帳簿書類等を留め置く必要性を説明した上、留め置く必要性がなくなるまでの間、帳簿書類等を預かることについて納税者の理解と協力の下、その承諾を得て行うものなので、承諾なく強制的に留め置くことはない。

2014年9月26日

X年度の税務調査を行うという事前通知を受け、調査の過程でX年度よりずっと以前の帳簿書類等を提示するよう求めらたが、これはX年度以外の税務調査を行っていることにならないか?

例えば、X年度の減価償却費の計上額が正しいかどうかを確認するため、その資産の取得価額を確認するために取得年度の帳簿書類等を検査する必要があるといった場合のように、調査担当者がX年度の申告内容を確認するために必要があると判断したときには、X年度以外の帳簿書類等の提示等をお願いすることがある。

これはあくまでもX年度の調査であって、X年度以外の調査を行っているわけではない。

2014年9月24日

調査対象となる納税者について、医師、弁護士のように職業上の守秘義務が課されている場合や宗教法人のように個人の信教に関する情報を保有している場合、業務上の秘密に関する帳簿書類等の提示・提出を拒むことはできるか?

調査担当者は、調査について必要があると判断した場合には、業務上の秘密に関する帳簿書類等であっても、納税者の理解と協力の下、その承諾を得て、そのような帳簿書類等を提示・提出してもらう場合がある。
いずれの場合においても、調査のために必要な範囲でお願いしているものであり、法令上認められた質問検査等の範囲に含まれるものである。

なお、調査担当者には、調査を通じて知った秘密を漏らしてはならない義務が課されている。

2014年9月22日

法人税の調査の過程で帳簿書類等の提示・提出を求められることがあるが、対象となる帳簿書類等が私物である場合には求めを断ることができるか?

法令上、調査担当者は、調査について必要があるときは、帳簿書類等の提示・提出を求め、これを検査することができるものとされている。
この場合に、例えば、法人税の調査において、その法人の代表者名義の個人預金について事業関連性が疑われる場合にその通帳の提示・提出を求めることは、法令上認められた質問検査等の範囲に含まれるものと考えられる。

なお、調査担当者は、その帳簿書類等の提示・提出が必要とされる趣旨を説明し、理解を得られるよう努めている。

2014年9月18日

税務調査時の帳簿書類等の提示・提出の求めに対して、正当な理由なく応じない場合には罰則が科されるとのことだが、どのような場合に正当な理由があるとされるのか?

どのような場合が正当な理由に該当するかについては、個々の事案に即して具体的に判断する必要があり、最終的には裁判所が判断することとなるから、確定的なことは答えられないが、例えば、提示・提出を求めた帳簿書類等が、災害等により滅失・毀損するなどして、直ちに提示・提出することが物理的に困難であるような場合などがこれに該当するものと考えられる。

2014年9月16日

税務調査で提示・提出を求められた帳簿書類等の物件が電磁的記録である場合には、どのような方法で提示・提出すればよいのか?

帳簿書類等の物件が電磁的記録である場合には、提示については、その内容をディスプレイの画面上で調査担当者が確認し得る状態にして示すことになる。

一方、提出については、通常は、電磁的記録を調査担当者が確認し得る状態でプリントアウトしたものを渡すことになる。
また、電磁的記録そのものを提出する必要がある場合には、調査担当者が持参した電磁的記録媒体への記録の保存(コピー)をお願いする場合もある。

(注)提出した電磁的記録については、調査終了後、確実に廃棄(消去)することとしている。

2014年9月12日

税務調査時に提出される物件が、調査の過程で調査担当者に提出するために新たに作成された写しである場合には、留置きには当たらないとのことだが、自己の事業の用に供するために調査前から所有している物件が写しである場合(取引書類の写しなど)であっても、留置きには当たらないのか?

調査の過程で調査担当者に提出するために新たに作成した帳簿書類等の写し(コピー)の提出を受けても留置きには当たらないこととしているのは、通常、そのような写し(コピー)は返還を予定しないものであるためである。

他方、納税者の方が事業の用に供するために保有している帳簿書類等の写し(コピー)を預かる場合は、返還を予定しないものとは言えないから、留置きの手続により預かることとなる。

2014年9月11日

税務調査時に、正当な理由がないのに帳簿書類等の提示・提出の求めに応じなければ罰則が科されるということだが、そうなると事実上は強制的に提示・提出が求められることにならないか?

税務調査時に、帳簿書類等の提示・提出をお願いしたことに対し、正当な理由がないのに提示・提出を拒んだり、虚偽の記載をした帳簿書類等を提示・提出した場合には、罰則(1年以下の懲役または50万円以下の罰金)が科されることがあるが、税務当局は、罰則があることをもって強権的に権限を行使することは考えておらず、帳簿書類等の提示・提出をお願いする際には、提示・提出が必要とされる趣旨を説明し、納税者の理解と協力のもと、その承諾を得て行うこととしている。

2014年9月10日

税務署の担当者から電話で申告書の内容に問題がないか確認して、必要ならば修正申告書を提出するよう連絡を受けたが、これは調査なのか?

調査は、特定の納税者の方の課税標準等または税額等を認定する目的で、質問検査等を行い申告内容を確認するものだが、税務当局は、税務調査の他に、行政指導の一環として、例えば、提出された申告書に計算誤り、転記誤り、記載漏れ及び法令の適用誤り等の誤りがあるのではないかと思われる場合に、納税者に対して自発的な見直しを要請した上で、必要に応じて修正申告書の自発的な提出を要請する場合がある。

このような行政指導に基づき、納税者が自主的に修正申告書を提出された場合には、延滞税の納付が必要な場合はあるが、過少申告加算税は賦課されない(当初申告が期限後申告の場合は、無申告加算税が原則5%賦課される。)。

なお、税務署の担当者は、納税者に調査または行政指導を行う際には、具体的な手続に入る前に、いずれに当たるのかを納税者に明示することとしている。

2014年9月9日

平成25年1月から税務調査の手続を定めた国税通則法の規定が施行されたことにより、税務調査は変わったのか?

今般の改正は、税務調査手続の透明性及び納税者の予見可能性を高め、調査に当たって納税者の方の協力を促すことで、より円滑かつ効果的な調査の実施と、申告納税制度の一層の充実・発展に資する等の観点から、調査手続に関する従来の運用上の取扱いを法令上明確化するものであり、基本的には、税務調査が従来と比べて大きく変化することはない。
国税庁は、法改正の趣旨を踏まえた上で、調査の実施に当たっては法令に定められた税務調査手続を遵守するとともに、調査はその公益的必要性と納税者の方の私的利益とのバランスを踏まえ、社会通念上相当と認められる範囲内で、納税者の方の理解と協力を得て行うものであることを十分認識し、その適正な遂行に努めることとしている。

【参考】国税通則法改正の概要
(1)税務調査手続の明確化
税務調査手続について、以下のとおり、現行の運用上の取扱いが法令上明確化された。

  • 税務調査に先立ち、課税庁が原則として事前通知を行うこととされた。
    ただし、課税の公平確保の観点から、一定の場合には事前通知を行わないこととされた。
  • 課税庁の説明責任を強化する観点から、調査終了時の手続が整備された。
  • 納税者から提出された物件の預かりの手続のほか、課税庁が帳簿書類その他の物件の「提示」「提出」を求めることができることが法令上明確化された。

〔平成25年1月1日以後に新たに納税者に対して開始する調査について適用(ただし、納税者から提出された物件の預かりの手続については、平成25年1月1日以後に提出された帳簿書類その他の物件から適用)。〕

(2)更正の請求期間の延長等
納税者が申告税額の減額を求めることができる「更正の請求」の期間(改正前:原則1年)が5年に延長された。
併せて、課税庁による増額更正の期間(改正前:原則3年)が5年に延長された。
〔平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する年(度)分について適用。〕

(3)処分の理由附記等
全ての処分(申請に対する拒否処分及び不利益処分)について理由附記を実施することとされた。
〔平成25年1月1日以後に行う処分から実施。〕
ただし、現在記帳・帳簿等保存義務が課されていない個人の白色申告者に対する理由附記については、記帳・帳簿等保存義務の拡大と併せて実施することとされた。
〔平成26年1月1日以後に行う処分から実施。〕

2014年9月8日

課税仕入れに係る支払対価の額に翌課税期間に納品されたパンフレット等の制作費を含めたことについて、隠ぺい仮装の行為はないとした事例

<要旨>
原処分庁は、請求人の会計処理が、請求書をもって納品があったものとみなして行われていたところ、請求人が、パンフレットの納品前に、取引先に対して請求書の発行を依頼したことは、通謀による虚偽の証ひょう書類の作成に当たり、また、当該課税期間内に納品されないこととなったにもかかわらず、あえて課税仕入れに係る支払対価の額から除かなかったことは、帳簿書類の意図的な集計違算に当たるから、請求人がパンフレットの製作費を当該課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に含めたことについて、隠ぺいまたは仮装の行為がある旨主張する。

しかしながら、請求人は、パンフレットの納品時に納品書を受領しており、当該請求書は前払いを求める書類として作成を依頼したもので納品の事実を示す書類として受領したものとはいえず、また、当該請求書に虚偽の記載もないのであって、通謀による虚偽の証ひょう書類の作成があったとはいえない。また、納品されないこととなったにもかかわらず課税仕入れに係る支払対価の額から除かなかったのは、単に請求人の会計処理を行う部署において納品の事実の確認を怠っていたことによるものであって、これをもって隠ぺいまたは仮装と評価すべき行為をしたともいえない。したがって、請求人が当該パンフレットの製作費を当該課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に含めたことについて、隠ぺいまたは仮装の行為があったとは認められない。

★リンクはこちら⇒ 課税仕入れに係る支払対価の額に翌課税期間に納品されたパンフレット等の制作費を含めたことについて、隠ぺい仮装の行為はないとした事例

2014年5月20日

事前通知関係の国税通則法等の改正

国税通則法の改正を含む「所得税法等の一部を改正する法律」(平成26年法律第10号)が、平成26年3月20日に成立し、同年3月31日に公布された。

平成23年12月の国税通則法の改正では、調査の事前通知については、納税者の方と税務代理人の双方に対して通知することとされていたが、この改正により、平成26年7月1日以後に行う事前通知については、税務代理権限証書に、納税者の方の同意が記載されている場合には、税務代理人に対してすれば足りることとされた。

国税庁では、この改正を踏まえ、平成24年9月に策定した法令解釈通達、事務運営指針及び質疑応答集(FAQ)を改正した。

国税通則法等の改正に併せて、税務代理権限証書の様式も改訂された。
平成26年7月1日以後に税務代理権限証書を提出する場合は、改訂後の様式を使用すること。

★リンクはこちら⇒ 事前通知関係の国税通則法等の改正

2014年5月15日

出張日の記載のない請求書に基づいて計上した旅行費用について、事実の仮装は認められないとした事例

<ポイント>
本事例は、請求人が、出張日の記載がなく、旅行業者が通常使用する書式と相違する請求書(本件各旅費請求書)に基づき、翌事業年度に行われる旅行費用を繰上計上していたところ、当該費用は支払われ、当該出張は実施されており、また、旅行業者の側に別の書式を使用せざるを得ない合理的な理由があり、本件各旅費請求書に単に出張日の記載がないのみであって、事実と異なる出張日を記載した、あるいは、出張日を隠ぺいした事実はないから、本件各旅費請求書は、虚偽の証ひょう書類とはいえないとして、重加算税の一部を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が旅行費用(本件各旅行費用)を前倒し計上したことについて、旅行業者が通常使用する書式と相違する請求書(本件各旅費請求書)を使用したこと及び本件各旅費請求書に出張日を表記させなかったことなどから、本件各旅費請求書が、請求人代表者と相手先との通謀によって作成された虚偽の証ひょう書類に該当する旨主張する。

しかしながら、本件各旅費請求書の発行経緯に不自然な点は認められず、本件旅行費用は旅行業者に支払われ、旅行も実施されており、本件各旅行費用の計上に際し請求人が旅行業者と通謀の上本件各旅行請求書を発行させた等の事実を推認する証拠は見受けられず、請求人がそれらの計上に際し、事実を隠ぺいした、または事実を仮装したと評価すべき行為を行ったことは認められない。

★リンクはこちら⇒ 出張日の記載のない請求書に基づいて計上した旅行費用について、事実の仮装は認められないとした事例

2014年5月12日

源泉所得税の期限後納付について、期限内納付の意思があったと認められる場合に該当しないとした事例

<要旨>
請求人は、形式的審査義務のみを負う源泉徴収義務者において、年末調整における従業員の住宅借入金等特別税額控除額(本件控除額)が過大となったことに気づくことは極めて困難であり、源泉徴収義務者の責めに帰すべき事由がないから、平成23年12月分の源泉所得税の不足額を法定納期限後に自主納付(本件自主納付)したことは国税通則法第67条《不納付加算税》第1項ただし書に規定する「正当な理由があると認められる場合」に該当し、平成24年7月分の源泉所得税の期限後納付について国税通則法第67条第3項が適用される旨主張する。

しかしながら、源泉徴収義務者として従業員から提出された事項に関して通常程度の注意ないし確認等を行いさえすれば適切に本件控除額の計算を行うことができたと認められるから、本件控除額が過大になったことについて、請求人の責めに帰すべき事由があるというべきであり、「正当な理由があると認められる場合」には該当しない。そうすると、本件自主納付は、国税通則法施行令第27条の2《期限内申告書を提出する意思等があったと認められる場合》第2項に規定する場合に該当せず、平成24年7月分の源泉所得税の期限後納付について、国税通則法第67条第3項の規定は適用されない。

★リンクはこちら⇒ 源泉所得税の期限後納付について、期限内納付の意思があったと認められる場合に該当しないとした事例

2014年4月21日

ゆうメールによる納税申告書の提出に国税通則法第22条の適用はないとした事例

<要旨>
請求人は、ゆうメールにより提出した所得税の確定申告書(本件確定申告書)について、国税通則法第22条《郵送等に係る納税申告書等の提出時期》の規定が適用される旨主張する。
しかしながら、租税法が私法上の概念を特段の定義なく用いている場合には、私法上の概念と同じ意義に解することが、租税法律主義や法的安定性の確保に資するところ、国税通則法第22条は、「郵便」及び「郵便物」と規定し、同法上にその定義規定を置いておらず、郵便法上の「郵便」及び「郵便物」と別意に解すべきことが国税通則法の明文またはその趣旨から明らかであるなどの事情も認められない。
かえって、国税通則法第22条は、郵便及び信書便が郵便法または信書便法の規定に従って配達されるため紛失する可能性が低いことなどの事情を考慮し、また、納税者と関係税務官庁との地理的間隔の差異に基づく不公平を是正する必要性も勘案して、特に郵便または信書便により提出された納税申告書等については、民法上の到達主義の原則を緩和するものであることなどに照らせば、国税通則法第22条の「郵便」及び「郵便物」は、郵便法上の「郵便」及び「郵便物」と同じ意義に解するのが相当である。
そして、郵便法第68条《郵便約款》に基づき定められた内国郵便約款及びゆうメールについて定めるポスパケット約款によれば、ゆうメールによる役務の提供は、荷物の運送であって、郵便法上の「郵便」には該当しない。

したがって、ゆうメールによる本件確定申告書の提出について、国税通則法第22条《郵送等に係る納税申告書等の提出時期》の規定は適用されない。

★リンクはこちら⇒ ゆうメールによる納税申告書の提出に国税通則法第22条の適用はないとした事例

2014年4月11日

平成26年の延滞税の割合

<平成26年1月1日以降>

  1. 納期限までの期間及び納期限の翌日から2月を経過する日までの期間については、年「7.3%」と「特例基準割合(※)+1%」のいずれか低い割合を適用することとなり、下表1の割合が適用される。
  2. 納期限の翌日から2月を経過する日の翌日以後については、年「14.6%」と「特例基準割合(※)+7.3%」のいずれか低い割合を適用することとなり、下表2の割合が適用される。

※特例基準割合とは、各年の前々年の10月から前年の9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合をいう。

 期間  割合1  割合2
 平成26年1月1日~平成26年12月31日  2.9%  9.2%

(参考)
利子税(所得税法第131条、136条、法人税法第75条、75条の2及び相続税法第51条の2、52条4項、53条に係る利子税)及び還付加算金の割合

 期間  割合
 平成26年1月1日~平成26年12月31日  1.9%

<平成25年12月31日以前>

  1. 納期限までの期間及び納期限の翌日から2月を経過する日までの期間の延滞税の割合は、原則として年7.3%の割合が適用される。
    ただし、平成12年1月1日以後の延滞税の割合(年7.3%部分)については、年「7.3%」と「特例基準割合(前年の11月30日の日本銀行が定める基準割引率+4%)」のいずれか低い割合を適用することとなり、下表のとおりとなる。
  2. 納期限の翌日から2月を経過した日以後の延滞税の割合は、年14.6%が適用される。
     期間  割合
     平成11年12月31日以前  7.3%
     平成12年1月1日~平成12年12月31日  4.5%
     平成13年1月1日~平成13年12月31日  4.5%
     平成14年1月1日~平成14年12月31日  4.1%
     平成15年1月1日~平成15年12月31日  4.1%
     平成16年1月1日~平成16年12月31日  4.1%
     平成17年1月1日~平成17年12月31日  4.1%
     平成18年1月1日~平成18年12月31日  4.1%
     平成19年1月1日~平成19年12月31日  4.4%
     平成20年1月1日~平成20年12月31日  4.7%
     平成21年1月1日~平成21年12月31日  4.5%
     平成22年1月1日~平成22年12月31日  4.3%
     平成23年1月1日~平成23年12月31日  4.3%
     平成24年1月1日~平成24年12月31日  4.3%
     平成25年1月1日~平成25年12月31日  4.3%

    (参考)
    利子税(所得税法第131条、136条、法人税法第75条、75条の2及び相続税法第51条の2、52条4項、53条に係る利子税)及び還付加算金の割合は、延滞税の割合(年7.3%部分)と同様の割合が適用される。

2014年1月22日

ダイレクト納付

<ダイレクト納付とは>
ダイレクト納付とは、事前に税務署に届出をしておけば、e-Taxを利用して電子申告等をした後に、届出をした預貯金口座からの振替により、即時または指定した期日に納付することができる電子納税の納付手段である。

<ダイレクト納付のメリット>
ダイレクト納付は、税務署や金融機関に出向くことなく、自宅やオフィスなどから納付が可能なほか、その他の電子納税にはない以下のようなメリットがある。

  • インターネットバンキングの契約が不要。
  • 期日を指定して納付することが可能。
  • 税理士が納税者に代わって納付手続を行うことが可能。

<対象となる税目>
電子申告等が可能な税目(源泉所得税法人税消費税及び地方消費税、申告所得税、贈与税、酒税、印紙税など)が対象となる。

  • 特に利用回数の多い手続に便利である(源泉所得税の毎月納付手続等。)。
  • e-Taxに納付情報登録をすれば、上記にかかわらず全ての税目にダイレクト納付が利用できる。

<ダイレクト納付の利用のために>

  • e-Taxの利用開始手続が必要となるほか、ダイレクト納付利用届出書を所轄の税務署に書面で提出する必要がある。
  • ダイレクト納付が利用可能な金融機関については、国税庁ホームページ(www.nta.go.jp)の「利用可能金融機関一覧」で確認のこと。
  • ダイレクト納付利用届出書を提出してから利用可能となるまで、1か月程度かかる。
  • ダイレクト納付を行う際には、預貯金口座の残高に注意すること。

★リンクはこちら⇒ 簡単・便利なダイレクト納付

2013年9月19日

国税審判官(特定任期付職員)の採用(平成25 年7月)

国税不服審判所では、国税審判官への外部登用の工程表(平成22年12月17日公表)に基づき、平成25年7月10日付で13名(弁護士5名・税理士6名・公認会計士2名)の民間専門家を国税審判官(特定任期付職員)として採用した。

平成25年度の採用者数は、本年4月1日付で採用した4名との合計で17名となった。

なお、民間専門家から登用した国税審判官の在籍者数(平成25年7月10日現在)は、50名となった。

リンクはこちら⇒ 国税審判官(特定任期付職員)の採用(平成25 年7月)

2013年8月15日

審査請求よくある質問-Q&A-(審査請求をより知りたい方へ)(平成25年7月)

国税不服審判所は、パンフレット『審査請求よくある質問-Q&A-(審査請求をより知りたい方へ)(平成25年7月)』を発行した。

 ★リンクはこちら⇒ 審査請求よくある質問-Q&A-(審査請求をより知りたい方へ)(既に削除済み)

<追加 平成29年8月に改訂>

 ★リンクはこちら⇒ 審査請求よくある質問-Q&A-(審査請求をより知りたい方へ)(平成29年8月)

2013年8月13日

相続税の申告時の外国人の押印は…

申告書には、その氏名及び住所または居所を記載し、押印しなければならない。
ただし、外国人の場合、署名だけで足りる。

2012年11月19日

利子税の納付が遅くなったら…

利子税は本税の延納の期間の日数に応じてかかるため、利子税の納付が遅くなっても延滞税はかからない。

2012年11月14日

修正申告を行った場合の延滞税のかかる期間は…

原則として、延滞税がかかるのは1年間だけである。

本来、修正申告を行った場合、法定納期限の翌日以降の期間について延滞税がかかるが、偽りや不正行為等によらない場合、法定申告期限の1年後の翌日から修正申告書を提出したまでの期間は、延滞税の計算の期間に含めない。
ただし、修正申告書を提出した日以後の期間については、延滞税がかかる。

2012年11月9日

税の役割と税務署の仕事

国税庁が、取組紹介ページ「税の役割と税務署の仕事」を開設した。
動画やPDFのものとがある。

リンク先は以下のとおり。
税の役割と税務署の仕事

2012年11月8日

いつまで還付は受けることができるのか…

更正の請求により還付を受けることができる。
ただし、いつまでも更正の請求をできるわけではなく、過年度の納付税額が計算ミスなどにより過大であった場合には、法定納期限から5年以内であれば可能である。言い換えれば、5年で時効により消滅する。
なお、納付税額がない場合、翌年の1月1日から還付申告書が提出できるため、翌年の1月1日が時効の起算日となる。

2012年10月10日

還付加算金はどうやって計算するのか…

還付加算金の額を計算する場合において、その計算の基礎となる還付金等の額に10,000円未満の端数があるとき、またはその還付金等の額の全額が10,000円未満であるときは、その端数金額またはその全額を切り捨てる。
その計算の結果、還付加算金の確定金額に100円未満の端数があるとき、またはその全額が1,000円未満であるときは、その端数金額またはその全額を切り捨てる。

2012年10月9日

コンビニ納付

平成20年1月21日から、国税をコンビニエンスストアで納付することができるようになっている(以下「コンビニ納付」という。)。

  1. コンビニ納付利用の条件
    国税のコンビニ納付には、バーコード付納付書が必要である。
    バーコード付納付書は、納付金額が30万円以下で、次のような場合に所轄の税務署で発行する。
  • 確定した税額を期限前に通知する場合(所得税の予定納税等)
  • 督促・催告を行う場合(全税目)
  • 賦課課税方式による場合(各種加算税)
  • 確定した税額について納税者から納付書の発行依頼があった場合(全税目)
  1. 利用可能なコンビニエンスストア
    エブリワン、くらしハウス、ココストア、コミュニティ・ストア、サークルK、サンクス、スリーエイト、スリーエフ、セーブオン、生活彩家、セイコーマート、セブン-イレブン、デイリーヤマザキ、ファミリーマート、ポプラ、ミニストップ、ヤマザキデイリーストア、ローソン

2012年10月2日

納税環境整備に関する国税通則法等の改正

納税環境整備に関する国税通則法の改正を含む「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律」(平成23年法律第114号)が、平成23年11月30日に成立し、同年12月2日に公布された。
この改正により、調査手続の透明性と納税者の方の予見可能性を高めるなどの観点から、税務調査手続について現行の運用上の取扱いが法令上明確化されるとともに、全ての処分(申請に対する拒否処分及び不利益処分)に対する理由附記の実施及び記帳義務の拡大等が定められ、税務調査手続の法定化及び理由附記の実施に係る規定については、平成25年1月1日から施行することとされている。

  • 法令解釈通達の制定等について
    今般の改正により、国税通則法において法定化された税務調査手続に係る規定については、国税通則法第7章の2(第74条の2から第74条の13)に「国税の調査」として設けられており、国税庁では、これらの規定の取扱い等を定めるため、法令解釈通達を制定した。
    併せて、今般の法改正の趣旨を踏まえ、法令を遵守した適正な調査が行われるよう「調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等について」を定め、職員に対して指示している。
    また、税務調査手続について、一般の納税者や税理士を対象とした質疑応答集(FAQ)を作成した。
  • 税務調査手続等の先行的取組の実施について
    法定化された税務調査手続等は、原則として、平成25年1月1日以後に開始する調査から適用されることとなるが、国税庁では、法施行後における税務調査手続等を円滑かつ適切に実施する観点から、平成24年10月1日以後に開始する調査から、法施行後に実施することとなる一部の手続について、先行的に取り組むことを予定している。
  • 更正の請求期間の延長等について
    今般の改正により、平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する国税について、更正の請求ができる期間が原則として法定申告期限から5年に延長された。
  • 処分の理由附記について
    今般の改正により、処分の適正化と納税者の予見可能性を高める観点から、原則として、平成25年1月1日以後、国税に関する法律に基づく申請に対する拒否処分や不利益処分を行う場合には、理由附記を実施することとなる。
    【申請に対する拒否処分】
    更正の請求に対して更正をすべき理由がない旨の通知、青色申告承認申請の却下などの処分が該当する。
    【不利益処分】
    更正、決定、加算税賦課決定、督促、差押えなどの処分が該当する。
  • 個人で事業を行っている方の帳簿の記載・記録の保存について
    今般の改正により、事業所得、不動産所得又は山林所得を有する白色申告の方に対する現行の記帳・帳簿等の保存制度について、平成26年1月から対象となる方が拡大される。
    ※現行の記帳・帳簿等の保存制度の対象者は、白色申告の方のうち前々年分あるいは前年分の事業所得等の金額の合計額が300万円を超える方である。

2012年9月14日

所得税の確定申告の還付加算金はいつからいつまで発生するのか…

当該還付金に係る国税の納付があった日(その日が当該国税の法定納期限前である場合には、当該法定納期限)の翌日からその還付のための支払決定の日またはその充当の日(同日前に充当をするのに適することとなった日がある場合には、その適することとなったた日)までの期間(他の国税に関する法律に別段の定めがある場合には、その定める期間)の日数に応じ、その還付し、または充当すべき金額に加算する。

2012年9月11日

期限後申告の場合、無申告加算税は…

無申告の場合、納付すべき税額に15/100の割合を乗じて計算した金額に相当する無申告加算税が課せられる。ただし、期限内申告書の提出がなかったことについて正当な理由があると認められる場合は、この限りでない。
なお、期限後申告書または修正申告書の提出があった場合において、その提出が、その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について更正または決定があるべきことを予知してされたものでないときは、当該納付すべき税額に5/100の割合を乗じて計算した金額とする。

期限後申告書の提出があった場合において、その提出が期限内申告書を提出する意思があったと認められる場合として政令で定める場合(期限後申告書の提出があった日の前日から起算して5年前の日までの間に、当該期限後申告書に係る国税の属する税目について、無申告加算税または重加算税を課されたことがない場合
)に該当してされたものであり、かつ、当該期限後申告書の提出が法定申告期限から2週間を経過する日までに行われたものであるときは、適用しない。

2012年8月30日

延滞税の割合

以下の場合には、延滞税を納付しなければならない。

  • 期限内申告書を提出した場合において、当該申告書の提出により納付すべき国税をその法定納期限までに完納しないとき。
  • 期限後申告書若しくは修正申告書を提出し、または更正もしくは決定を受けた場合において、期限後申告等による納付の規定により納付すべき国税があるとき。
  • 納税の告知を受けた場合において、当該告知により納付すべき国税をその法定納期限後に納付するとき。
  • 予定納税に係る所得税をその法定納期限までに完納しないとき。
  • 源泉徴収による国税をその法定納期限までに完納しないとき。

延滞税の額は、国税の法定納期限の翌日からその国税を完納する日までの期間の日数に応じ、その未納の税額に年14.6%の割合を乗じて計算した額とする。
ただし、納期限までの期間または納期限の翌日から2か月を経過する日までの期間については、その未納の税額に年7.3%の割合を乗じて計算した額とするが、現在は、特例基準割合(ちなみに、平成22年1月1日から平成24年12月31日までの期間の特例基準割合は4.3%)による。

2012年8月17日

譲渡所得を申告したあとに契約が解除されたら…

更正の請求が可能である。

納税申告書を提出した者または決定を受けた者は、以下のいずれかに該当する場合(納税申告書を提出した者については、それぞれ定める期間の満了する日が前項に規定する期間の満了する日後に到来する場合に限る。)には、それぞれに定める期間において、その該当することを理由として更正の請求をすることができる。

  1. その申告、更正または決定に係る課税標準等または税額等の計算の基礎となった事実に関する訴えについての判決(判決と同一の効力を有する和解その他の行為を含む。)により、その事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定したとき。
    …その確定した日の翌日から起算して2か月以内
  2. その申告、更正または決定に係る課税標準等または税額等の計算に当たってその申告をし、または決定を受けた者に帰属するものとされていた所得その他課税物件が他の者に帰属するものとする当該他の者に係る国税の更正または決定があつたとき。
    …当該更正または決定があった日の翌日から起算して2か月以内
  3. その他当該国税の法定申告期限後に生じた前二号に類する政令で定めるやむを得ない理由があるとき。
    …当該理由が生じた日の翌日から起算して2か月以内

政令は、以下のとおり。

  1. その申告、更正または決定に係る課税標準等(修正申告に規定する課税標準等をいう。以下同じ。)または税額等の計算の基礎となった事実のうちに含まれていた行為の効力に係る官公署の許可その他の処分が取り消されたこと。
  2. その申告、更正または決定に係る課税標準等または税額等の計算の基礎となった事実に係る契約が、解除権の行使によって解除され、もしくは当該契約の成立後生じたやむを得ない事情によって解除され、または取り消されたこと。
  3. 帳簿書類の押収その他やむを得ない事情により、課税標準等または税額等の計算の基礎となるべき帳簿書類その他の記録に基づいて国税の課税標準等または税額等を計算することができなかった場合において、その後、当該事情が消滅したこと。
  4. わが国が締結した所得に対する租税に関する二重課税の回避または脱税の防止のための条約に規定する権限のある当局間の協議により、その申告、更正または決定に係る課税標準等または税額等に関し、その内容と異なる内容の合意が行われたこと。
  5. その申告、更正または決定に係る課税標準等または税額等の計算の基礎となった事実に係る国税庁長官が発した通達に示されている法令の解釈その他の国税庁長官の法令の解釈が、更正または決定に係る審査請求もしくは訴えについての裁決もしくは判決に伴って変更され、変更後の解釈が国税庁長官により公表されたことにより、当該課税標準等または税額等が異なることとなる取扱いを受けることとなったことを知ったこと。

2012年8月7日

減価償却不足を理由とする更正の請求はできるか…

減価償却不足を理由とする更正の請求はできない
減価償却は任意であり、未計上や償却不足なのは、法人の判断によるものだからである。

更正の請求ができるのは、以下の場合である。
①申告書に記載した課税標準等もしくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったたことまたは計算に誤りがあったことにより、申告書の提出により納付すべき税額が過大であるとき。
②前号に規定する理由により、申告書に記載した純損失等の金額が過少であるとき、または申告書に純損失等の金額の記載がなかつたとき。
③①に規定する理由により、当該申告書に記載した還付金の額に相当する税額(当該税額に関し更正があった場合には、当該更正後の税額)が過少であるとき、または当該申告書(当該申告書に関し更正があった場合には、更正通知書)に還付金の額に相当する税額の記載がなかつたとき。

2012年8月1日

修正申告の納付期限は…

修正申告の納付期限は、修正申告書提出日までである。

また、修正申告に伴う過少申告加算税、無申告加算税、重加算税については、賦課決定通知書が発せられた日の翌日から1か月以内に納付しなければならない。

2012年7月31日

申告期限までに申告書を提出しないと…

申告書は法定申告期限までに税務署長に提出しなければならないが、提出期限後においても、決定(税務署長が、申告書を提出する義務があると認められる者が申告書を提出しなかった場合に、その調査により、申告書に係る課税標準等及び税額等を決定すること)があるまでは、納税申告書を税務署長に提出することができる。

ただし、無申告加算税(原則として、納付すべき税額に対し、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算した金額。なお、税務調査を受ける前に自主的に期限後申告をした場合には、5%の割合を乗じて計算した金額に軽減される。)が課され、各種特典の認められている青色申告の承認が取り消される可能性がある。

2012年7月17日

申告書を納税地以外の税務署に提出してしまったら…

例えば、事務所を移転した場合など、納税地が変更になったにもかかわらず、以前の納税地の税務署に申告書を提出してしまった場合、現在の納税地の税務署に申告書を提出する必要はない。

ちなみに、申告書を受けとった税務署は、本来の税務署に申告書を送付するとともに、その旨を納税者に通知する必要がある。

2012年7月13日

やむを得ない理由

国税通則法第11条によると、
『国税庁長官、国税不服審判所長、国税局長、税務署長又は税関長は、災害その他やむを得ない理由により、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限までにこれらの行為をすることができないと認めるときは、政令で定めるところにより、その理由のやんだ日から二月以内に限り、当該期限を延長することができる。』
とある。

この条の「災害その他やむを得ない理由」とは、国税に関する法令に基づく申告、申請、請求、届出、その他書類の提出、納付または徴収に関する行為(以下、この条関係において「申告等」という。)の不能に直接因果関係を有するおおむね以下に掲げる事実をいい、これらの事実に基因して資金不足を生じたため、納付ができない場合は含まない。

  1. 地震、暴風、豪雨、豪雪、津波、落雷、地すべりその他の自然現象の異変による災害
  2. 火災、火薬類の爆発、ガス爆発、交通と絶その他の人為による異常な災害
  3. 申告等をする者の重傷病その他の自己の責めに帰さないやむを得ない事実

2012年6月21日

期間の計算

税務の世界では、2ヶ月以内など期間が重要になってくるが、国税通則法第10条によると、以下のようになっている。

国税に関する法律において日、月又は年をもつて定める期間の計算は、次に定めるところによる。
一 期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるとき、又は国税に関する法律に別段の定めがあるときは、この限りでない。
二 期間を定めるのに月又は年をもつてしたときは、暦に従う。
三 前号の場合において、月又は年の始めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、最後の月にその応当する日がないときは、その月の末日に満了する。
2  国税に関する法律に定める申告、申請、請求、届出その他書類の提出、通知、納付又は徴収に関する期限(時をもつて定める期限その他の政令で定める期限を除く。)が日曜日、国民の祝日に関する法律 (昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日その他一般の休日又は政令で定める日に当たるときは、これらの日の翌日をもつてその期限とみなす。

ちなみに、この条第2項の「一般の休日」とは、日曜日、国民の祝日以外の全国的な休日をいうものとする。
なお、官庁における年末の休暇(明治6年太政官布告第2号「休暇日ノ件」に定める12月29日から同月31日までをいう。)は、この条の「一般の休日」には該当しないが、年始の休暇(同布告に定める1月2日および3日をいう。)は、この条の「一般の休日」に該当する(昭和43.1.30最高判、昭和33.6.2最高判)。

2012年6月19日

申告書等への自署押印

国税に関する法律に基づき税務署長その他の行政機関の長またはその職員に申告書、申請書、届出書その他の書類を提出する者は、当該書類にその氏名(法人については、名称。)及び住所または居所記載しなければならない。
この場合において、その者が法人であるとき、納税管理人もしくは代理人(代理の権限を有することを書面で証明した者に限る。)によって当該書類を提出するとき、または不服申立人が総代を通じて当該書類を提出するときは、その代表者(人格のない社団等の管理人を含む。次項において同じ。)、納税管理人若しくは代理人または総代の氏名及び住所または居所をあわせて記載しなければならない。

  • 当該書類を提出する者が法人である場合 当該法人の代表者
  • 納税管理人または代理人によつて当該書類を提出する場合 当該納税管理人または代理人
  • 不服申立人が総代を通じて当該書類を提出する場合 当該総代
  • 上記に掲げる場合以外の場合 当該書類を提出する者

ただし、記載ではなく自署となっているのは法人税法第151条(以下、参照)だけであり、法人の場合は自署押印が必要となる。

法人の提出する法人税申告書等(第二条第三十号から第三十四号まで(定義)に掲げる申告書及びこれらの申告書に係る修正申告書(第三項及び第五項において「法人税申告書」という。)並びに第八十一条の二十五第一項(連結子法人の個別帰属額等の届出)に規定する個別帰属額等を記載した同項に規定する書類(当該個別帰属額等に異動があつた場合に提出する同条第二項に規定する書類を含む。)をいう。以下この条において同じ。)には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める者(当該者が法人である場合には、当該者の職務を行うべき者)が自署し、自己の印を押さなければならない。
一 法人の代表者(人格のない社団等で代表者の定めがなく、管理人の定めがあるものにあつては、管理人。以下この項において同じ。)が一人である場合 当該代表者
二 法人の代表者が二人以上ある場合(次号に掲げる場合を除く。) これらの者のうち社長、理事長、専務取締役、常務取締役その他の者でその法人税申告書等の作成の時においてその法人の業務を主宰しているもの
三 二人以上の者が共同して法人を代表する場合 その全員
2 法人税申告書等には、前項の代表者のほか、法人の役員及び職員のうちその法人税申告書等の作成の時においてその法人の経理に関する事務の上席の責任者である者が自署し、自己の印を押さなければならない。
3 外国法人の提出する法人税申告書については、第一項の規定によりその法人税申告書に自署し、自己の印を押すべき者は、国内において行う事業又は国内にある資産の経営又は管理の責任者とし、前項の規定によりその法人税申告書に自署し、自己の印を押すべき者は、当該事業又は資産に係る経理に関する事務の上席の責任者とする。
4 第四条の七(受託法人等に関するこの法律の適用)に規定する受託法人が法人税申告書等を提出する場合において、当該受託法人が同条第三号の規定により会社とみなされる個人であるときは、第一項の規定によりその法人税申告書等に自署し、自己の印を押すべき者は、当該個人とする。
5 前各項の規定による自署及び押印の有無は、法人税申告書の提出による申告の効力に影響を及ぼすものと解してはならない。

2012年6月15日

申告書などの郵送による提出

納税申告書(当該申告書に添付すべき書類その他当該申告書の提出に関連して提出するものとされている書類を含む。)その他国税庁長官が定める書類が郵便または信書便により提出された場合には、その郵便物または信書便物の通信日付印により表示された日(その表示がないとき、またはその表示が明瞭でないときは、その郵便物または信書便物について通常要する送付日数を基準とした場合にその日に相当するものと認められる日)にその提出がされたものとみなされる(いわゆる発信主義)。

ただし、郵便の業務は、郵便法の定めるところにより、郵便事業株式会社(以下、「会社」という。)が行うことになっており、以下のように定められているため、宅配便やメール便は使えないことには留意すべきである。

  • 会社以外の者は、何人も、郵便の業務を業とし、また、会社の行う郵便の業務に従事する場合を除いて、郵便の業務に従事してはならない。ただし、会社が、契約により会社のため郵便の業務の一部を委託することを妨げない。
  • 会社(契約により会社から郵便の業務の一部の委託を受けた者を含む。)以外の者は、何人も、他人の信書(特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書をいう。以下同じ。)の送達を業としてはならない。二以上の人又は法人に雇用され、これらの人又は法人の信書の送達を継続して行う者は、他人の信書の送達を業とする者とみなす。
  • 運送営業者、その代表者又はその代理人その他の従業者は、その運送方法により他人のために信書の送達をしてはならない。ただし、貨物に添付する無封の添え状又は送り状は、この限りでない。
  • 何人も、第二項の規定に違反して信書の送達を業とする者に信書の送達を委託し、又は前項に掲げる者に信書(同項ただし書に掲げるものを除く。)の送達を委託してはならない。

2012年6月7日

不納付加算税とは?

不納付加算税とは、源泉徴収等による国税が法定納付期限内に完納されなかった場合に課される附帯税のことである。

納付税額の10%の割合で課税される。ただし、調査などが予想される前に納付を行った場合には、5%の割合でよい。5,000円未満の場合は、徴収されない。

2011年9月30日

無申告加算税とは?

無申告加算税とは、期限内に確定申告書の提出をしていないが、納付すべき税額があった場合に課される附帯税のことである。

納付税額の15%の割合で課税される。ただし、更正または決定があると予想される前に申告を行った場合には、5%の割合でよい。5,000円未満の場合は、徴収されない。

2011年9月28日

利子税とは?

利子税とは、会計監査人(公認会計士または監査法人)の監査を受けなければならない等の理由により申告期限を延長した場合に課される附帯税である。

附帯税はいくつかあるが、このうち利子税は利息の性格を持っているため、利子税のみは損金に算入できる。

納税を延長した本税に対し、その延長された日数に応じ、原則、7.3%の割合で課税される。ただし、1,000円未満の場合は課税されない。

なお、会計監査人の監査のためなどの理由により申告期限を延長している場合であっても、利子税を支払うのを避けるため、仮の金額で通常の申告期限内に納付しておくのが一般的である。

2011年9月26日

重加算税とは?

重加算税とは、過少申告加算税などが課される場合において、仮装・隠ぺいにより申告している場合にその過少申告加算税などに代えて課される附帯税のことである。

過少申告加算税に代えて課される場合は、追加本税の35%、
無申告加算税に代えて課される場合は、納付税額の40%、
不納付加算税に代えて課される場合は、納付税額の35%
の割合で課される。ただし、5,000円未満の場合は課税されない。

国税庁が公表している、『法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)』によると、仮装・隠ぺいとは、例えば、以下のような場合をいうとされている。

(1)いわゆる二重帳簿を作成している。

(2)次に掲げる事実(以下「帳簿書類の隠匿、虚偽記載等」という。)がある。

帳簿、原始記録、証ひょう書類、貸借対照表、損益計算書、勘定科目内訳明細書、棚卸表その他決算に関係
のある書類(以下「帳簿書類」という。)を、破棄又は隠匿している

帳簿書類の改ざん(偽造及び変造を含む。以下同じ。)、帳簿書類への虚偽記載、相手方との通謀による虚偽
の証ひょう書類の作成、帳簿書類の意図的な集計違算その他の方法により仮装の経理を行っている

帳簿書類の作成又は帳簿書類への記録をせず、売上げその他の収入(営業外の収入を含む。)の脱ろう又は
棚卸資産の除外をしている

(3)特定の損金算入又は税額控除の要件とされる証明書その他の書類を改ざんし、又は虚偽の申請に基づき当該
書類の交付を受けている。

(4)簿外資産(確定した決算の基礎となった帳簿の資産勘定に計上されていない資産をいう。)に係る利息収入、
賃貸料収入等の果実を計上していない。

(5)簿外資金(確定した決算の基礎となった帳簿に計上していない収入金又は当該帳簿に費用を過大若しくは架空
に計上することにより当該帳簿から除外した資金をいう。)をもって役員賞与その他の費用を支出している。

(6)同族会社であるにもかかわらず、その判定の基礎となる株主等の所有株式等を架空の者又は単なる名義人に
分割する等により非同族会社としている。

なお、『連結法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)』も公表されている。

2011年9月22日

過少申告加算税とは?

過少申告加算税とは、期限内に確定申告書を提出した後、修正申告書の提出または更正によって追加税額が生じた場合に課税される附帯税のことである。

なお、修正申告書の提出による場合には、調査があったことにより更正のあることを予想して修正申告書を提出した場合以外だと過少申告加算税は課されない。

原則として、追加分の本税の10%の割合で課税される。5,000円未満の場合は、徴収されない。

ただし、追加納付税額のうち、期限内納付税額または50万円のいずれか多い金額を超える部分については、15%の割合で課税される。

2011年9月20日

延滞税とは?

延滞税とは、法定納期限までに税金を納付しなかった場合に課される附帯税のことである。

納期限までの期間及び納期限の翌日から2月を経過する日までの期間の延滞税の割合は、原則として年7.3%の割合が適用される。ただし、平成12年1月1日以後の延滞税の割合(7.3%部分)については、年「7.3%」と「前年の11月30日において日本銀行が定める基準割引率+4%」のいずれか低い割合を適用することとなる。
ちなみに、平成23年(2011年)の場合、4.3%である。

なお、期限申告書の提出後1年以上経過して修正申告又は更正があった場合(重加算税が課された場合を除く。)には法定納期限から1年を経過する日の翌日から修正申告書を提出した日又は更正通知書を発した日までは延滞税の計算期間から控除される。
また、期限申告書の提出後1年以上経過して修正申告又は更正があった場合(重加算税が課された場合を除く。)には、その申告書提出後1年を経過する日の翌日から修正申告書を提出した日又は更正通知書を発した日までは延滞税の計算期間から控除される。

2011年9月15日

附帯税

附帯税には、以下のものがある。

  • 延滞税(国税通則法60条)
  • 利子税(国税通則法64条)
  • 過少申告加算税(国税通則法65条)
  • 無申告加算税(国税通則法66条)
  • 不納付加算税(国税通則法67条)
  • 重加算税(国税通則法68条)

    2011年9月13日

国税通則法の名称変更

国税通則法(こくぜいつうそくほう)は、昭和37年に創設され、国税の納付義務の確定、納付、徴収、還付、附帯税、更正、決定、不服審査、訴訟など共通事項をまとめた法律である。

今回、東日本大震災の影響でまだ改正はされていないが、平成23年税制改正で、「国税に係る共通的な手続並びに納税者の権利及び義務に関する法律」(略称は、「国税手続法」が現在のところ使われている。)となる予定であった。

略称を使わなくてもよいような、もっとシンプルな名称ではダメなのだろうか。

2011年9月1日

本税と延滞税のどちらが優先されるか?

申告・納税が遅れ、本税と延滞税を支払わないといけないような場合などに、本税に満たない額しか支払わなかったとしたら、どうなるのか?

本税の一部が支払われたとされる。本税には延滞税がかかるので、本税が優先されるということは納税者有利となっている。

還付の場合も同様に、本税が優先される。

2011年8月9日

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所得税

特定口座内で譲渡した上場株式等の取得費を概算取得費とすることはできないとした事例

  • 令和元年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和6年4月22日裁決

<ポイント>
本事例は、特定口座内で譲渡した上場株式等の取得費については、当該特定口座内における当該上場株式等の受入れに係る記録を基礎として金融商品取引業者等において当該上場株式に関する固有の計算方法により一元的に計算されることを予定しているのであって、納税者が申告するに当たり概算取得費とすることはできないとしたものである。

<要旨>
請求人は、①源泉徴収選択口座に係る特定口座内保管上場株式等の譲渡所得の金額を申告するに当たり、租税特別措置法第37条の11の3《特定口座内保管上場株式等の譲渡等に係る所得計算等の特例》第1項が特定口座内保管上場株式等の譲渡による譲渡所得の金額とそれ以外の株式等の譲渡による譲渡所得の金額とを区分して、これらの金額を計算する旨規定したのは、特定口座創設の趣旨等からすれば、投資家の所得計算の負担を軽減するために金融商品取引業者等が計算を代行したにすぎないから、納税者が確定申告において取得費等を含めて譲渡所得の金額を再計算することができる旨、②租税特別措置法関係通達(措置法通達)37の11の3-14《株式等に係る譲渡所得等の課税の特例に関する取扱い等の準用》は計算代行者である金融商品取引業者等の計算等に関する定めであって、納税者が概算取得費を譲渡所得に係る取得費として譲渡所得の金額を計算することは妨げられない旨それぞれ主張する。

しかしながら、①特定口座内保管上場株式等の譲渡による譲渡所得の金額の計算上取得費に算入する金額は、当該上場株式等の特定口座への受入れに係る記録を基礎として金融商品取引業者等が固有の計算方法により一元的に計算することが予定されており、②措置法通達37の11の3-14が、概算取得費による取得費を認める旨を定めた措置法通達37の10・37の11共-13《株式等の取得価額》を準用していないのは、特定口座内保管上場株式等の譲渡による譲渡所得の金額の計算に当たり、概算取得費を取得費とすることを認めない趣旨であると解すべきであるから、納税者が源泉徴収選択口座に係る特定口座内保管上場株式等の譲渡による譲渡所得の金額を申告するに当たり、概算取得費を取得費とすることはできない。

★リンクはこちら⇒ 特定口座内で譲渡した上場株式等の取得費を概算取得費とすることはできないとした事例

2025年3月7


未経過固定資産税等相当額は、譲渡所得の金額の計算上、総収入金額に算入されるとした事例

  • ①令和3年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • ②令和3年1月1日から令和3年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • ①②棄却
  • 令和6年2月13日裁決

<ポイント>
本事例は、不動産の譲渡に際して買主から売主に支払われた未経過固定資産税等相当額について、譲渡所得の課税の趣旨及び固定資産税等の納税義務者の規定内容から検討し、譲渡所得の金額の計算上、総収入金額に算入されるとしたものである。

<要旨>
請求人は、請求人が譲渡した土地建物(本件土地建物)に課された固定資産税及び都市計画税(固定資産税等)のうち本件土地建物の引渡日からその年の12月31日までの期間に対応する固定資産税等に相当する額(本件未経過固定資産税等相当額)は、売主である請求人に納税義務はなく、本来買主が負担すべきものを請求人が立て替えているにすぎないものであることなどから、譲渡所得の金額の計算上、総収入金額には算入されない旨主張する。

しかしながら、譲渡所得に対する課税の趣旨からすると、資産の譲渡の対価として収入すべき金額については、その名目いかんにかかわらず、譲渡所得の金額の計算上、総収入金額に算入されるべきであると解するのが相当である。

また、固定資産税等は、その賦課期日である毎年1月1日現在における固定資産の所有者に対して課されるものであって、賦課期日後に当該固定資産の所有者に異動が生じたとしても、新たな所有者が当該固定資産のその年の固定資産税等の納税義務を負担するものではないから、本件土地建物の売買契約における固定資産税等の負担及び清算に関する定めは、新たな債権債務関係を発生させる合意内容の一つというべきである。

したがって、当該合意に基づいて買主から請求人に支払われた本件未経過固定資産税等相当額は、本件土地建物の譲渡の対価の一部であると認められることから、請求人の譲渡所得の金額の計算上、総収入金額に算入されることとなる。

★リンクはこちら⇒ 未経過固定資産税等相当額は、譲渡所得の金額の計算上、総収入金額に算入されるとした事例

2025年2月20


令和6年分確定申告特集

国税庁は、『令和6年分確定申告特集』をホームページに公開した。

★リンクはこちら⇒ 令和6年分確定申告特集

2025年2月4


定額減税特設サイト『確定申告に関する情報』

国税庁は、定額減税特設サイト『確定申告に関する情報』をホームページに公開しました。

このページでは、定額減税の実施を踏まえた、令和6年分所得税の確定申告に関する情報を掲載しています。

定額減税制度の概要は以下のとおりです。

詳細については、「定額減税について(制度の概要)」をご確認ください。

<定額減税の対象となる方>
定額減税の対象者は、令和6年分所得税の納税者である居住者で、令和6年分の所得税に係る合計所得金額が1,805万円以下である方(給与収入のみの方の場合、給与収入が2,000万円以下(注)である方)です。

(注)子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除の適用を受ける方は、2,015万円以下となります。

<定額減税額(令和6年分特別税額控除の額)>
特別控除の額は、次の金額の合計額です。

ただし、その合計額がその人の所得税額を超える場合には、控除される金額は、その所得税額が限度となります。

所得税 個人住民税
本人分 3万円 1万円
同一生計配偶者または扶養親族 1人につき3万円 1人につき1万円

★リンクはこちら⇒ 定額減税特設サイト『確定申告に関する情報』

2025年1月29


税務相談チャットボットで所得税(令和6年分)の相談を開始

国税庁は、税務相談チャットボットで所得税(令和6年分)の相談を開始した。

★リンクはこちら⇒ 税務相談チャットボットで所得税(令和6年分)の相談を開始

2025年1月27日


令和6年分確定申告期の確定申告会場のお知らせ

既に約9割の方が、確定申告会場に来場せずに確定申告しています。
ご自宅から申告できるe-Taxをご利用ください。
確定申告書の作成はこちらから

令和6年分確定申告期における確定申告会場は下記のとおりです。
確定申告の相談及び申告書の受付は、令和7年2月17日(月)から3月17日(月)までです。
確定申告会場への入場には整理券が必要です(申告書等の提出のみの場合は不要です。)。
入場整理券の詳細についてはこちら

確定申告会場は混雑が予想されます。
特に、確定申告期限間際は大変な混雑が予想されますので、来場される場合はお早目にお越しください。
税務署の閉庁日(土・日曜・祝日等)は、相談及び申告書の受付は行っておりません。
ただし、一部の会場では、3月2日(日)に確定申告の相談及び申告の受付を行います。
当日の会場は、大変混雑が予想されますので、国税庁HPのチャットボット(ふたば)や確定申告コールセンター(3月2日(日)にも開設)もぜひご利用ください。

★リンクはこちら⇒ 令和6年分確定申告期の確定申告会場のお知らせ

2025年1月23日


所得金額調整控除

所得金額調整控除とは、一定の給与所得者の総所得金額を計算する場合に、一定の金額を給与所得の金額から控除するというものです。

所得金額調整控除には、次の子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除または給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除のとおり、2種類の控除があります。

このうち、子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除は、年末調整において適用することができます。

<子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除>
その年の給与等の収入金額が850万円を超える居住者で、(1)のイからハのいずれかに該当する者の総所得金額を計算する場合に、(2)の所得金額調整控除額を給与所得から控除するものです。
(1)適用対象者

本人が特別障害者に該当する者
年齢23歳未満の扶養親族を有する者
特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族を有する者

(2)所得金額調整控除額

{給与等の収入金額(1,000万円超の場合は1,000万円) - 850万円}×10%=控除額

1円未満の端数があるときは、その端数を切り上げます。

年末調整においてこの控除の適用を受けようとする給与所得者は、その年最後に給与等の支払を受ける日の前日までに、給与の支払者に所得金額調整控除申告書を提出する必要があります。

(注)
この控除は、扶養控除と異なり、同一生計内のいずれか一方のみの所得者に適用するという制限がありません。

したがって、例えば、夫婦ともに給与等の収入金額が850万円を超えており、夫婦の間に1人の年齢23歳未満の扶養親族である子がいるような場合には、その夫婦双方が、この控除の適用を受けることができます。

<給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除>
その年において、次の(1)に該当する者の総所得金額を計算する場合に、(2)の所得金額調整控除額を給与所得から控除するものです(注)
(1)適用対象者
その年分の給与所得控除後の給与等の金額と公的年金等に係る雑所得の金額がある居住者で、その合計額が10万円を超える者

(2)所得金額調整控除額

{給与所得控除後の給与等の金額(10万円超の場合は10万円)+公的年金等に係る雑所得の金額(10万円超の場合は10万円)}-10万円=控除額(注)

(注)
上記の「子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除」の適用がある場合はその適用後の給与所得の金額から控除します。

★リンクはこちら⇒ 所得金額調整控除

2024年12月27日


確定申告書等の様式・手引き等(令和6年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)

国税庁は、『確定申告書等の様式・手引き等(令和6年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ 確定申告書等の様式・手引き等(令和6年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)

2024年12月24日


令和6年分確定申告特集(準備編)

国税庁は、『令和6年分確定申告特集(準備編)』をホームページに公開した。

★リンクはこちら⇒ 令和6年分確定申告特集(準備編)

2024年12月20日


「外国税額控除に関する明細書」の様式誤り等に関するお知らせ

外国税額控除の適用を受ける方は、「外国税額控除に関する明細書」を申告書等に添付する必要があるところ、今般、国税庁において定める明細書に誤り(※)があり、分配時調整外国税相当額控除の適用を受ける方が当該明細書に沿って外国税額控除の金額を計算すると、外国税額控除の金額が過大に算出される場合があることが判明しました。

また、国税庁ホームページ「確定申告書等作成コーナー」においても、同様の誤りがある明細書が作成されるプログラムとなっていました(以下、様式の誤りとあわせて「様式誤り等」といいます。)。

(※)
具体的には、分配時調整外国税相当額控除の適用を受ける方の外国税額控除の控除限度額の計算の基礎となる所得税及び復興特別所得税の金額は、それぞれ分配時調整外国税相当額控除の金額を控除した後の金額となるにもかかわらず、当該明細書では、同控除を控除する前の金額を記載するよう誤った案内をしていました。

是正を要すると見込まれる納税者の方に対しては、所轄の税務署から、ご自身の申告内容の見直し、申告誤りのあった内容の是正と不足分の税額の納付を行っていただくことをお願いすることとしています。

国税庁においては、今後、納税者の方に誤りのない申告をしていただけるように、様式の改訂に当たっては従来以上に厳格な確認を行うなど、適正申告の実現に努めてまいります。

<ご注意>
不審な電話や振り込め詐欺にご注意ください。

今回の見直しのお願いに際して、税務署から電話でお問合せをする際には、提出いただいた申告書等を基に、その内容をご本人に確認することを原則としています。

税務職員を名乗る者から電話などがあり、その内容について不審に思われた場合には、即答を避け、相手の所属部署、氏名、電話番号を確認した上で、一旦電話を切り、最寄りの税務署の総務課又は国税局の納税者支援調整官までお問い合わせください(国税局・税務署の電話番号は、「税務署の所在地などを知りたい方」をご覧ください。)。

詳しくは、「不審な電話や振り込め詐欺にご注意を」をご覧ください。

★リンクはこちら⇒ 「外国税額控除に関する明細書」の様式誤り等に関するお知らせ

2024年12月19日


病院へ通院するために要した自家用車のガソリン代、高速道路利用料金及び駐車場利用料金は医療費控除の対象となる医療費には該当しないとした事例

  • 平成30年分から令和2年分の所得税及び復興特別所得税の各更正の請求に対する理由なし通知処分
  • 棄却
  • 令和5年11月6日裁決

<ポイント>
本事例は、病院へ通院するために要した自家用車のガソリン代、高速道路利用料金及び駐車場利用料金は、所得税法施行令第207条第3号に掲げる病院、診療所又は助産所へ収容されるための人的役務の提供の対価とは認められないことから、所得税基本通達73-3にいう通院費に該当しないとしたものである。

<要旨>
請求人は、所得税基本通達73-3《控除の対象となる医療費の範囲》(本件通達)は、所得税法施行令第207条《医療費の範囲》第1号に掲げる医師又は歯科医師による診療又は治療の対価にはそれに付随又は関連をする費用として通院費が含まれる旨を明らかにしたものであるから、病院へ通院するために要した自家用車のガソリン代、高速道路利用料金及び駐車場利用料金(本件ガソリン代等)も医師等による診療等を受けるための通院費として、医療費控除の対象となる医療費に該当する旨主張する。

しかしながら、通院費は病院等へ往復するための旅費や交通費であり、医師等による診療行為又は治療行為に対して支出されるものではないため、所得税法施行令第207条第1号に掲げる医師又は歯科医師による診療又は治療の対価に通院費が含まれると解することはできない。

また、本件通達にいう通院費の取扱いは、飽くまで同条第3号に掲げる病院、診療所又は助産所へ収容されるための人的役務の提供の対価の解釈として許容される範囲内に限るものと解することが相当であるところ、本件ガソリン代等は、いずれも商品の購入の対価として支出されたもの又は設備若しくは施設等の利用の対価として支出されたものであり、人的役務の提供の対価とはいえないことから、本件通達にいう通院費に該当しない。

したがって、本件ガソリン代等は医療費控除の対象となる医療費には該当しない。

★リンクはこちら⇒ 院へ通院するために要した自家用車のガソリン代、高速道路利用料金及び駐車場利用料金は医療費控除の対象となる医療費には該当しないとした事例

2024年9月4日


申告所得税及び復興特別所得税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)(改正 令和5年6月23日)

標題のことについて、国税通則法(以下「通則法」という。)第 68 条第1項若しくは第2項又は第4項の規定の適用に関し留意すべき事項等を下記のとおり定めたから、今後処理するものからこれにより取り扱われたい。

(趣旨)
申告所得税及び復興特別所得税の重加算税の賦課に関する取扱基準の整備等を図ったものである。

★リンクはこちら⇒ 申告所得税及び復興特別所得税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)(改正 令和5年6月23日)

2024年8月6日


予定納税とは?

予定納税とは、その年の5月15日現在において確定している前年分の所得金額や税額などを基に計算した金額(予定納税基準額)が15万円以上である場合、その年の所得税及び復興特別所得税の一部をあらかじめ納付するという制度です。

予定納税は、予定納税基準額の3分の1の金額を、第1期分として7月1日から7月31日までに、第2期分として11月1日から11月30日までに納めることになっています(特別農業所得者以外)。

なお、国税通則法の規定による納期限の延長(以下「期限延長」といいます。)により、第1期又は第2期において納付すべき予定納税額の納期限がその年12月31日後となる場合は、当該期限延長の対象となった予定納税額は、ないものとされます。

(注1)
令和●年分の予定納税額は、税務署から送付された「令和●年分所得税及び復興特別所得税の予定納税額の通知書」により確認できます(e-Taxをご利用の方は、メッセージボックスに格納される申告に関するお知らせにより確認することもできます。)。

(注2)
税務署から通知を受けた予定納税額について、実際に納めたかどうかにかかわらず、第1期分と第2期分の合計額(通知書の予定納税額の合計欄の金額)を入力します。

なお、予定納税の減額承認申請をし、税務署から『令和●年分所得税及び復興特別所得税の減額承認の承認通知書』を受け取った方は、減額承認後の予定納税額を入力してください。

★リンクはこちら⇒ 予定納税とは?

2024年6月11日


源泉徴収に係る所得税の算出において、請求人が源泉徴収に係る所得税を負担することを合意したものとは認められないと判断した事例

  • ①平成29年10月、平成30年3月、平成30年6月、平成30年7月、平成30年11月、平成31年1月から令和元年10月まで、令和元年12月から令和3年7月まで、令和3年9月、令和3年10月及び令和3年12月から令和4年3月までの各月分の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分及び不納付加算税の各賦課決定処分(平成30年6月、平成30年7月及び令和元年5月の各月分については各訂正告知処分及び不納付加算税の各変更決定処分後のもの)
  • ②平成30年1月及び令和元年11月の各月分の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分
  • ①②一部取消し、棄却
  • 令和5年8月15日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人がインド法人に支払った金員は「技術上の役務に対する料金」と認められるものの、請求人と支払先法人との間で、請求人が源泉徴収に係る所得税を負担することを合意したものとは認められないとして、源泉徴収に係る所得税の算出においてグロスアップ計算を認めなかったものである。

<要旨>
請求人は、インドに所在する外国法人3社(J社、K社、L社)に対して支払った各金員(本件各支払金)について、①J社はインドの法律に基づき設立されたリミテッド・ライアビリティー・パートナーシップであるから請求人の支店的な存在であり、支払った金員は、J社の維持・管理に必要な資金の送金又は給与で、業務を委託した対価ではないこと、②請求人とK社との契約(本件K社契約)によれば、支払った金員はソフトウエアの譲渡対価であること及び③L社に支払った金員はウェブサイト及びアプリケーションのデザインの対価であり、デザインはコンピュータプログラムとは関係ないことから、それぞれ、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とインド共和国政府との間の条約(日印租税条約)第12条第4項に規定する「技術上の役務に対する料金」に該当しない旨主張する。

しかしながら、①インドの法律上、J社は、請求人とは別個の法的主体であり、かつ、請求人と協働でソフトウエア開発業務を行っていると認められることから、当該開発業務に係る役務は、日印租税条約第12条第4項に規定する「技術的性質の役務」に該当すること、②本件K社契約は、請求人がK社に対してソフトウエアの開発の支援を依頼し、K社は当該開発に関して定義された範囲の業務を行い、対価の最終支払までに当該定義された範囲の業務の全てを完了させ、当該開発に関する全てのソフトウエア等を請求人に引き渡す旨定めた契約であり、これらの業務に係る役務は、同項に規定する「技術的性質の役務」に該当することからソフトウエアの譲渡対価ではないと認められること、及び③同項は、「技術上の役務に対する料金」についてその範囲をプログラミングサービスの提供に限定しておらず、L社が行った役務は、同項に規定する「技術的性質の役務」に該当すると認められることから、本件各支払金は、同項に規定する「技術上の役務に対する料金」に該当する。

ただし、原処分庁は、K社に対する支払金の額について、源泉徴収の対象となるものの支払額が税引手取額で定められているものとして源泉徴収に係る所得税の額を算出する計算(グロスアップ計算)により当該所得税の額を算出しているところ、原処分庁がグロスアップ計算の根拠として掲げる本件K社契約の条項は、本件K社契約の履行に際し、契約違反や第三者からの訴訟等に備えて契約書に盛り込まれる条項であり、請求人が源泉徴収に係る所得税を負担することを合意したものとは認められないから、K社に対する支払金について当該所得税の額をグロスアップ計算により算出することは認められない。

★リンクはこちら⇒ 源泉徴収に係る所得税の算出において、請求人が源泉徴収に係る所得税を負担することを合意したものとは認められないと判断した事例

2024年4月23日


妻の公的年金から特別徴収される介護保険料などの社会保険料控除

<Q>
扶養している私の妻の公的年金から介護保険料が特別徴収されている場合、私の社会保険料に加えて妻の介護保険料についても私が社会保険料控除の適用を受けることができますか?

<A>
介護保険料などの社会保険料が、あなたの妻の公的年金から特別徴収されている場合、その社会保険料を支払ったのは妻になります。

したがって、あなたの妻の社会保険料控除の対象となります。

★リンクはこちら⇒ 妻の公的年金から特別徴収される介護保険料などの社会保険料控除

2024年3月18日


利子所得の収入金額の収入すべき時期

利子所得の収入金額の収入すべき時期は、法第36条第3項に規定するものを除き、それぞれ次に掲げる日によるものとする。

(1) 定期預金(貯金及び令第2条第1号《預貯金の範囲》に掲げる貯蓄金でこれに類するものを含む。)の利子については、次に掲げる日
その契約により定められた預入期間(以下この項において「契約期間」という。)の満了後に支払を受ける利子で、その契約期間が満了するまでの期間に係るものについてはその満了の日、その契約期間が満了した後の期間に係るものについてはその支払を受けた日
契約期間の満了前に既経過期間に対応して支払い又は元本に繰り入れる旨の特約のある利子については、その特約により支払を受けることとなり又は元本に繰り入れられる日
契約期間の満了前に解約された預金の利子については、その解約の日
(2) 普通預金又は貯蓄預金(貯金及び令第2条第1号に掲げる貯蓄金でこれらに類するものを含む。)の利子については、その約定により支払を受けることとなり又は元本に繰り入れられる日。ただし、その利子計算期間の中途で解約された預金の利子については、その解約の日
(3) 通知預金(貯金及び令第2条第1号に掲げる貯蓄金でこれに類するものを含む。)の利子については、その払出しの日
(4) 合同運用信託、公社債投資信託又は公募公社債等運用投資信託の収益の分配のうち、信託期間中のものについては収益計算期間の満了の日、信託の終了又は解約(一部の解約を含む。)によるものについてはその終了又は解約の日
(5) 公社債の利子については、その利子につき支払開始日と定められた日

★リンクはこちら⇒ 利子所得の収入金額の収入すべき時期

2024年3月15日


配当所得の収入金額の収入すべき時期

配当所得の収入金額の収入すべき時期は、法第36条第3項に規定するものを除き、それぞれ次に掲げる日によるものとする。

(1) 法第24条第1項((配当所得))に規定する剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配、金銭の分配又は基金利息(以下この項において「剰余金の配当等」という。)については、当該剰余金の配当等について定めたその効力を生ずる日。ただし、その効力を生ずる日を定めていない場合には、当該剰余金の配当等を行う法人の社員総会その他正当な権限を有する機関の決議があった日。
また、資産の流動化に関する法律第115条第1項《中間配当》の規定による金銭の分配に係る取締役の決定において、特にその決定の効力発生日(同項に規定する一定の日から3か月内に到来する日に限る。)を定めた場合には、当該効力発生日
(2) 法第13条第3項に規定する投資信託(公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託を除く。)の収益の分配のうち、信託期間中のものについては収益計算期間の満了の日、信託の終了又は解約(一部の解約を含む。)によるものについてはその終了又は解約の日
(3) 法第25条《配当等とみなす金額》の規定により配当等とみなされる金額については、それぞれ次に掲げる日
法第25条第1項第1号に掲げる合併によるものについては、その契約において定めたその効力を生ずる日。ただし、新設合併の場合は、新設合併設立会社の設立登記の日。
なお、これらの日前に金銭等が交付される場合には、その交付の日
法第25条第1項第2号に掲げる分割型分割によるものについては、その契約において定めたその効力を生ずる日。ただし、新設分割の場合は、新設分割設立会社の設立登記の日。
なお、これらの日前に金銭等が交付される場合には、その交付の日
法第25条第1項第3号に掲げる株式分配によるものについては、当該株式分配について定めたその効力を生ずる日。ただし、その効力を生ずる日を定めていない場合には、当該株式分配を行う法人の社員総会その他正当な権限を有する機関の決議があった日。
法第25条第1項第4号に掲げる資本の払戻しによるものについては、資本の払戻しに係る剰余金の配当又は法第24条第1項に規定する出資等減少分配がその効力を生ずる日
法第25条第1項第4号に掲げる解散による残余財産の分配によるものについては、その分配開始の日。ただし、その分配が数回に分割して行われる場合には、それぞれの分配開始の日
法第25条第1項第5号に掲げる自己の株式又は出資の取得によるものについては、その法人の取得の日
法第25条第1項第6号に掲げる出資の消却、出資の払戻し、社員その他の出資者の退社若しくは脱退による持分の払戻し又は株式若しくは出資を法人が取得することなく消滅させることによるものについては、これらの事実があった日
法第25条第1項第7号に掲げる組織変更によるものについては、組織変更計画において定めたその効力を生ずる日。ただし、効力を生ずる日前に金銭等が交付される場合には、その交付の日
(4) いわゆる認定配当とされるもので、その支払をすべき日があらかじめ定められているものについてはその定められた日、その日が定められていないものについては現実にその交付を受けた日(その日が明らかでない場合には、その交付が行われたと認められる事業年度の終了の日)

★リンクはこちら⇒ 配当所得の収入金額の収入すべき時期

2024年3月14日


退職所得の収入金額の収入すべき時期

退職所得の収入金額の収入すべき時期は、その支給の基因となった退職の日によるものとする。

ただし、次の退職手当等については、それぞれ次に掲げる日によるものとする。

(1) 役員に支払われる退職手当等で、その支給について株主総会その他正当な権限を有する機関の決議を要するものについては、その役員の退職後その決議があった日。ただし、その決議が退職手当等を支給することだけを定めるにとどまり、具体的な支給金額を定めていない場合には、その金額が具体的に定められた日
(2) 退職給与規程の改訂が既往にさかのぼって実施されたため支払われる新旧退職手当等の差額に相当する退職手当等で、その支給日が定められているものについてはその支給日、その日が定められていないものについてはその改訂の効力が生じた日
(3) 法第31条《退職手当等とみなす一時金》に規定する退職手当等とみなされる一時金については、その一時金の支給の基礎となる法令、契約、規程又は規約により定められた給付事由が生じた日
(4) 引き続き勤務する者に支払われる給与で30-2により退職手当等とされるもののうち、役員であった勤続期間に係るものについては(1)に掲げる日、使用人であった勤続期間に係るものについては次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる日
30-2の(1)に掲げる給与 その支給を受けた日
30-2の(2)に掲げる給与 使用人から役員になった日。
ただし、30-2の(2)のかっこ内の給与については、その制定又は改正の日
30-2の(4)に掲げる給与 その定年に達した日
30-2の(5)に掲げる給与 旧定年に達した日
30-2の(6)に掲げる給与 法人の解散の日
(5) 年金に代えて支払われる一時金で30-4及び31-1により退職手当等とされるものについては、当該退職手当等とされるものの給付事由が生じた日

(注)令第77条《退職所得の収入の時期》の規定が適用される退職手当等の課税年分については、(1)から(5)までに掲げる日にかかわらず、同条の規定によることに留意する。

★リンクはこちら⇒ 退職所得の収入金額の収入すべき時期

2024年3月13日


一時所得の総収入金額の収入すべき時期

一時所得の総収入金額の収入すべき時期は、その支払を受けた日によるものとする。

ただし、その支払を受けるべき金額がその日前に支払者から通知されているものについては、当該通知を受けた日により、令第183条第2項《生命保険契約等に基づく一時金に係る一時所得の金額の計算》に規定する生命保険契約等に基づく一時金又は令第184条第4項《損害保険契約等に基づく満期返戻金等》に規定する損害保険契約等に基づく満期返戻金等のようなものについては、その支払を受けるべき事実が生じた日による。

★リンクはこちら⇒ 一時所得の収入金額の収入すべき時期

2024年3月12日


雑所得の収入金額又は総収入金額の収入すべき時期

雑所得の収入金額又は総収入金額の収入すべき時期は、次に掲げる区分に応じそれぞれ次に掲げる日によるものとする。

(1)法第35条第3項《雑所得》に規定する公的年金等
イ.公的年金等の支給の基礎となる法令、契約、規程又は規約(以下この(1)において「法令等」という。)により定められた支給日

ロ.法令等の改正、改訂が既往にさかのぼって実施されたため既往の期間に対応して支払われる新旧公的年金等の差額で、その支給日が定められているものについてはその支給日、その日が定められていないものについてはその改正、改訂の効力が生じた日

(注)裁定、改定等の遅延、誤びゅう等により既往にさかのぼって支払われる公的年金等については、法令等により定められた当該公的年金等の計算の対象とされた期間に係る各々の支給日によることに留意する。

(2)(1)以外のもの
その収入の態様に応じ、他の所得の収入金額又は総収入金額の収入すべき時期の取扱いに準じて判定した日

★リンクはこちら⇒ 雑所得の収入金額の収入すべき時期

2024年3月11日


山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期

山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は、山林所得又は譲渡所得の基因となる資産の引渡しがあった日によるものとする。

ただし、納税者の選択により、当該資産の譲渡に関する契約の効力発生の日(農地法第3条第1項《農地又は採草放牧地の権利移動の制限》若しくは第5条第1項本文《農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限》の規定による許可(同条第4項の規定により許可があったものとみなされる協議の成立を含む。以下同じ。)を受けなければならない農地若しくは採草放牧地(以下この項においてこれらを「農地等」という。)の譲渡又は同条第1項第6号の規定による届出をしてする農地等の譲渡については、当該農地等の譲渡に関する契約が締結された日)により総収入金額に算入して申告があったときは、これを認める。

(注)
1.山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は、資産の譲渡の当事者間で行われる当該資産に係る支配の移転の事実(例えば、土地の譲渡の場合における所有権移転登記に必要な書類等の交付)に基づいて判定をした当該資産の引渡しがあった日によるのであるが、当該収入すべき時期は、原則として譲渡代金の決済を了した日より後にはならないのであるから留意する。

2.農地等の譲渡について、農地法第3条又は第5条に規定する許可を受ける前又は届出前に当該農地等の譲渡に関する契約が解除された場合(再売買と認められるものを除く。)には、通則法第23条第2項の規定により、当該契約が解除された日の翌日から2月以内に更正の請求をすることができることに留意する。

★リンクはこちら⇒ 山林所得又は譲渡所得の収入金額の収入すべき時期

2024年3月8日


事業所得の総収入金額の収入すべき時期

事業所得の総収入金額の収入すべき時期は、別段の定めがある場合を除き、次の収入金額については、それぞれ次に掲げる日によるものとする。

(1) 棚卸資産の販売(試用販売及び委託販売を除く。)による収入金額については、その引渡しがあった日
(2) 棚卸資産の試用販売による収入金額については、相手方が購入の意思を表示した日。
ただし、積送又は配置した棚卸資産について、相手方が一定期間内に返送又は拒絶の意思を表示しない限り特約又は慣習によりその販売が確定することとなっている場合には、その期間の満了の日
(3) 棚卸資産の委託販売による収入金額については、受託者がその委託品を販売した日。
ただし、当該委託品についての売上計算書が毎日又は1月を超えない一定期間ごとに送付されている場合において、継続して当該売上計算書が到達した日の属する年分の収入金額としているときは、当該売上計算書の到達の日
(4) 請負による収入金額については、物の引渡しを要する請負契約にあってはその目的物の全部を完成して相手方に引き渡した日、物の引渡しを要しない請負契約にあってはその約した役務の提供を完了した日。
ただし、一の契約により多量に請け負った同種の建設工事等についてその引渡量に従い工事代金等を収入する旨の特約若しくは慣習がある場合又は1個の建設工事等についてその完成した部分を引き渡した都度その割合に応じて工事代金等を収入する旨の特約若しくは慣習がある場合には、その引き渡した部分に係る収入金額については、その特約又は慣習により相手方に引き渡した日
(5) 人的役務の提供(請負を除く。)による収入金額については、その人的役務の提供を完了した日。
ただし、人的役務の提供による報酬を期間の経過又は役務の提供の程度等に応じて収入する特約又は慣習がある場合におけるその期間の経過又は役務の提供の程度等に対応する報酬については、その特約又は慣習によりその収入すべき事由が生じた日
(6) 資産(金銭を除く。)の貸付けによる賃貸料でその年に対応するものに係る収入金額については、その年の末日(貸付期間の終了する年にあっては、当該期間の終了する日)
(7) 金銭の貸付けによる利息又は手形の割引料でその年に対応するものに係る収入金額については、その年の末日(貸付期間の終了する年にあっては、当該期間の終了する日)。
ただし、その者が継続して、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる日により収入金額に計上している場合には、それぞれ次に掲げる日
イ.利息を天引きして貸し付けたものに係る利息
その契約により定められている貸付元本の返済日
ロ.その他の利息
その貸付けに係る契約の内容に応じ、36-5の(1)に掲げる日
ハ.手形の割引料
その手形の満期日(当該満期日前に当該手形を譲渡した場合には、当該譲渡の日)

★リンクはこちら⇒ 事業所得の収入金額の収入すべき時期

2024年3月7日


不動産所得の総収入金額の収入すべき時期

不動産所得の総収入金額の収入すべき時期は、別段の定めのある場合を除き、それぞれ次に掲げる日によるものとする。

(1) 契約又は慣習により支払日が定められているものについてはその支払日、支払日が定められていないものについてはその支払を受けた日(請求があったときに支払うべきものとされているものについては、その請求の日)
(2) 賃貸借契約の存否の係争等(未払賃貸料の請求に関する係争を除く。)に係る判決、和解等により不動産の所有者等が受けることとなった既往の期間に対応する賃貸料相当額(賃貸料相当額として供託されていたもののほか、供託されていなかったもの及び遅延利息その他の損害賠償金を含む。)については、その判決、和解等のあった日。ただし、賃貸料の額に関する係争の場合において、賃貸料の弁済のため供託された金額については、(1)に掲げる日

(注)
1.当該賃貸料相当額の計算の基礎とされた期間が3年以上である場合には、当該賃貸料相当額に係る所得は、臨時所得に該当する(2-37参照)。

2.業務を営む賃借人が賃借料の弁済のため供託した金額は、当該賃借料に係る(1)に掲げる日の属する年分の当該業務に係る所得の金額の計算上必要経費に算入することに留意する。

★リンクはこちら⇒ 不動産所得の収入金額の収入すべき時期

2024年3月6日


給与所得の収入金額の収入すべき時期

給与所得の収入金額の収入すべき時期は、それぞれ次に掲げる日によるものとする。

(1) 契約又は慣習その他株主総会の決議等により支給日が定められている給与等(次の(2)に掲げるものを除く。)についてはその支給日、その日が定められていないものについてはその支給を受けた日
(2) 役員に対する賞与のうち、株主総会の決議等によりその算定の基礎となる利益に関する指標の数値が確定し支給金額が定められるものその他利益を基礎として支給金額が定められるものについては、その決議等があった日。ただし、その決議等が支給する金額の総額だけを定めるにとどまり、各人ごとの具体的な支給金額を定めていない場合には、各人ごとの支給金額が具体的に定められた日
(3) 給与規程の改訂が既往にさかのぼって実施されたため既往の期間に対応して支払われる新旧給与の差額に相当する給与等で、その支給日が定められているものについてはその支給日、その日が定められていないものについてはその改訂の効力が生じた日
(4) いわゆる認定賞与とされる給与等で、その支給日があらかじめ定められているものについてはその支給日、その日が定められていないものについては現実にその支給を受けた日(その日が明らかでない場合には、その支給が行われたと認められる事業年度の終了の日)

★リンクはこちら⇒ 給与所得の収入金額の収入すべき時期

2024年3月5日


ひとり親控除とは

ひとり親控除は、納税者が所得税法上のひとり親に該当するときに受けられる所得控除です。

なお、ひとり親控除は令和2年分の所得税から適用できます。

<ひとり親控除の金額>
控除できる金額は35万円です。

<ひとり親控除の対象となる人の範囲>
ひとり親とは、原則としてその年の12月31日の現況で、婚姻をしていないことまたは配偶者の生死の明らかでない一定の人のうち、以下の三つの要件の全てに当てはまる人です。

  • その人と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいないこと。
  • 生計を一にする子(その年分の総所得金額等が48万円以下で、他の人の同一生計配偶者や扶養親族になっていない者)がいること。
  • 合計所得金額が500万円以下であること。

★リンクはこちら⇒ ひとり親控除とは

2024年3月4日


青色事業専従者が事業から給与の支給を受けた場合の贈与税の取扱いについて

(青色事業専従者が事業から給与の支給を受けた場合)
1.青色申告書(所得税法第2条((定義))第1項第39号〔現行=第40号〕に規定する申告書をいう。)を提出することにつき税務署長の承認を受けている者(以下「青色申告者」という。)と生計を一にする配偶者その他の親族(年令15才未満である者を除く。)のうち、もっぱら当該青色申告者の営む事業で不動産所得、事業所得または山林所得を生ずべきものに従事する者(以下「青色事業専従者」という。)が当該事業から給与の支給を受けた場合において、その支給を受けた金額がその年における当該青色事業専従者の職務の内容等にてらし相当と認められる金額をこえるときは、当該青色事業専従者は当該青色申告者からそのこえる金額に相当する金額を贈与により取得したものとする。

(職務の内容等にてらし相当と認められる金額の判定)
2.「1」において、青色事業専従者が従事する事業から支給を受けた給与の金額が当該青色事業専従者の職務の内容等にてらし相当と認められるかどうかは、その年に現実に支給を受けた給与の金額について、当該事業またはその地域における当該事業と同種、同規模の事業に従事する者で、当該青色事業専従者と同性質の職務に従事し、かつ、能力、職務に従事する程度、経験年数その他の給与を定める要因が近似すると認められるものの受ける給与の金額を基として判定するものとする。

★リンクはこちら⇒ 青色事業専従者が事業から給与の支給を受けた場合の贈与税の取扱いについて

2024年2月29日


口座振替により支払った後期高齢者医療制度の保険料に係る社会保険料控除

<Q>
生計を一にする妻の後期高齢者医療制度の保険料を私が口座振替により支払いました。

その保険料について、私が社会保険料控除の適用を受けることができますか?

<A>
後期高齢者医療制度の保険料について、平成21年4月以降の保険料については市区町村等へ一定の手続を行うことにより、年金からの特別徴収に代えて、口座振替により保険料を支払うことが選択できることとされました。

この場合には、口座振替によりその保険料を支払った方(被保険者または被保険者と生計を一にする配偶者その他の親族に限ります。)に社会保険料控除が適用されます。

★リンクはこちら⇒ 口座振替により支払った後期高齢者医療制度の保険料に係る社会保険料控除

2024年2月28日


共働き夫婦の夫が妻の医療費を負担した場合の医療費控除

<Q>
共働き夫婦の夫が妻の医療費を負担した場合には、その医療費は、誰の医療費控除の対象になりますか?

<A>
医療費控除は、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費を支払った場合に適用することとされており、この場合の配偶者その他の親族の範囲については、所得金額の要件は付されていません。

したがって、所得を有する親族のために支払った医療費であっても、その親族が医療費を支払った者と生計を一にする者であるときは、その医療費を支払った者の医療費控除の対象となります。

★リンクはこちら⇒ 共働き夫婦の夫が妻の医療費を負担した場合の医療費控除

2024年2月27日


妻名義で寄附をした場合の寄附金控除

<Q>
専業主婦である私の妻が、寄附を行い、寄附先から妻名義で寄附金の領収書を受領しました。
妻は、収入がないため私の配偶者控除の対象となっていますが、妻名義で支払った寄附金について、私の確定申告において寄附金控除の適用を受けることができますか?

<A>
寄附金控除は、納税義務者である居住者本人または非居住者本人が各年において、特定寄附金を支出した場合に適用をすることができます。

★リンクはこちら⇒ 妻名義で寄附をした場合の寄附金控除

2024年2月26日


納税地等の異動により管轄する税務署が変更になった場合の振替納税

振替納税を利用されている方で、納税地等の異動により管轄する税務署が変更になった場合には、変更後の税務署に新たに口座振替依頼書を提出するか、申告所得税または消費税の申告書の振替継続希望欄に「◯」を記載して提出する、あるいは、「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する申出書」を提出する場合は、振替納税に関する事項欄に表示して変更後の税務署に提出する必要がある。

★リンクはこちら⇒ 納税地等の異動により管轄する税務署が変更になった場合の振替納税

2024年2月22日


新NISAのあらまし

国税庁は、「新NISAのあらまし」をホームページに掲載した。

NISAは、18歳以上(非課税口座を開設する年の1月1日現在)の居住者等が金融機関に開設している非課税口座で取得した上場株式等について、その配当等やその上場株式等を売却したことにより生じた譲渡益が非課税となる制度である。

★リンクはこちら⇒ 新NISAのあらまし

2024年2月5日


確定申告において国外居住親族に係る扶養控除の適用を受ける場合には、法令に規定する書類の添付等をする必要があるとした事例

  • ①平成28年分から令和2年分までの所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • ②平成29年分の所得税及び復興特別所得税に係る還付金の充当処分
  • 棄却
  • 令和5年3月14日裁決

<ポイント>
本事例は、確定申告において国外に居住する親族について扶養控除の適用を受ける場合には、「国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払を必要の都度、各人に行ったことを明らかにするもの」の添付等をする必要があるとしたものである。

<要旨>
請求人は、所得税法施行令第262条《確定申告書に関する書類等の提出又は提示》第3項第2号に規定する送金関係書類の添付等は、所得税法第84条《扶養控除》第1項に規定する扶養控除の適用要件ではなく、国外に居住する親族が所得税法所定の扶養親族であることの立証がなされているのであれば扶養控除の適用がある旨主張する。

しかしながら、国外に居住する親族について扶養控除を適用するためには、法令に規定する書類の添付等をする必要があるところ、請求人から提出された書類はこれに該当しない。

また、その記載内容を踏まえても、当該書類は、所得税法施行規則第47条の2《確定所得申告書に添付すべき書類等》第6項に規定する「国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払を必要の都度、各人に行ったことを明らかにするもの」であるとは言い難い。

したがって、扶養控除の適用はない。

★リンクはこちら⇒ 確定申告において国外居住親族に係る扶養控除の適用を受ける場合には、法令に規定する書類の添付等をする必要があるとした事例

2023年12月27日


貸金返済債務の遅延損害金支払債務は、弁済期を経過した日以後、日々経過するごとに必要経費に算入すべき金額が確定するとした事例

  • ①平成28年分及び平成29年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • ②平成30年分及び令和元年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • ①一部取消し、②棄却
  • 令和5年3月23日裁決

<ポイント>
本事例は、貸金返還債務が約定に従って弁済されない場合に生じる遅延損害金支払債務は、遅滞が生じた日以後、日々経過するごとに所得税基本通達37-2《必要経費に算入すべき費用の債務確定の判定》が定める要件の全てを満たすものと解するのが相当であり、約定に従った弁済がなされない日からその元本の弁済がされる日までの日数に応じて、約定に従った弁済がなされない貸金返還債務の金額に約定で定められた遅延損害金利率を乗じて計算した金額が、その年に債務が確定した遅延損害金支払債務の金額となるとした事例である。

<要旨>
請求人は、貸金返還債務の遅延損害金支払債務は、その弁済の時期や金額等の借主と貸主との合意内容によってその確定時期が左右され、分割払の合意がされた場合は、所得税基本通達37-2の2《損害賠償金の必要経費算入の時期》の注書や法人税基本通達2-1-43《損害賠償金等の帰属の時期》の趣旨に基づき、遅延損害金の必要経費算入時期は、支払った日の属する年となることから、未払遅延損害金の分割払の合意に基づき支払った金額は、当該年分の不動産所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額である旨主張する。

しかしながら、貸金返還債務の遅延損害金支払債務は、①その本質が債務不履行(履行遅滞)に基づく損害賠償債務であるから、債務自体は弁済期を経過した時点で成立するものの、②その元本の弁済がされるまで遅滞が積み重なることで日々給付の金額が増加することから、各日ごとに具体的な給付をすべき原因となる事実が発生しており、③遅延損害金利率と弁済期からの経過日数によりその金額が算出することができるから、遅滞が生じた日以後、日々経過するごとに所得税基本通達37-2《必要経費に算入すべき費用の債務確定の判定》の要件を全て満たすと解するのが相当である。

したがって、約定に従った弁済がなされない日からその元本の弁済がされる日までの日数に応じて、約定に従った弁済がなされない貸金返還債務の金額に約定で定められた遅延損害金利率を乗じて計算した金額が、その年に債務が確定した遅延損害金支払債務の金額となり、当該年分の不動産所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額となるのであって、過年分に発生した遅延損害金支払債務について、弁済時期等の合意がされても、その確定時期は左右されず、弁済した年分の必要経費に算入することはできない。

★リンクはこちら⇒ 貸金返済債務の遅延損害金支払債務は、弁済期を経過した日以後、日々経過するごとに必要経費に算入すべき金額が確定するとした事例

2023年12月26日


破産財団に属する株式に係る剰余金の配当は、強制換価手続による資産の譲渡による所得として非課税とはならないとした事例

  • 令和2年分の所得税及び復興特別所得税の決定処分並びに無申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和5年2月16日裁決

<ポイント>
本事例は、破産財団に属する株式の配当請求権を行使したことにより支払を受ける剰余金の配当は、その権利の行使により資産の帰属主体である地位や所有権が破産者から移転するとは認められないため、強制換価手続による資産の譲渡による所得として非課税とはならないとしたものである。

<要旨>
請求人は、破産手続において破産管財人が破産財団に属する財産の換価や処分をするための手段は、狭義の売買だけではなく、管理処分権に基づく破産法第78条列挙の処分などがあり、所得税法第9条《非課税所得》第1項第10号の規定(本件非課税規定)は、これらの手段を包括的に表現するために、処分や換価の代表的行為である「譲渡」に着目して「資産の譲渡」との名称を用いているのであるから、破産管財人が、破産財団に属する株式を売買する場合のみならず、剰余金の配当請求権を行使して支払を受ける場合も本件非課税規定の「資産の譲渡」に該当する旨主張する。

しかしながら、本件非課税規定の趣旨及び文理に照らすと、「資産の譲渡」とは、資産の帰属主体たる地位や所有権を移転させる行為を指すと解されるところ、請求人が配当請求権を行使して剰余金の配当を受けることにより資産の帰属主体たる地位や所有権が請求人から移転したとは認められないから、当該配当は本件非課税規定の「資産の譲渡」には該当しない。

また、請求人は、請求人の破産管財人(本件破産管財人)が国内において破産財団に属する株式の管理処分権の一環として国外の関連会社の取締役に就任し、その株式の剰余金の配当(本件各配当)に関する政策と実務を決定し、その資金管理や支払をしており、本件各配当の原資も国内にあるから、本件破産管財人が所得税法第181条《源泉徴収義務》第1項に規定する「支払をする者」(支払をする者)に該当することから、本件破産管財人が源泉徴収義務を負う旨主張する。

しかしながら、本件各配当は、本件破産管財人が、破産管財人としての地位に基づき行ったものであり、本件各配当の支払における本件破産管財人と請求人の関係は、直接の債権債務関係に立たないことはもとより、これに準ずるような特に密接な関係にあるということもできないから、本件破産管財人は本件各配当の「支払をする者」に該当しない。よって、本件破産管財人は源泉徴収義務を負わない。

★リンクはこちら⇒ 破産財団に属する株式に係る剰余金の配当は、強制換価手続による資産の譲渡による所得として非課税とはならないとした事例

2023年12月25日


一括して売買された土地及び建物の購入の対価は、合理的な基準によりあん分して算定すべきであるとされた事例

  • ①平成28年分及び平成29年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
  • ②平成30年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • ①棄却、②一部取消し
  • 令和4年11月8日裁決

<ポイント>
本事例は、土地と建物が一括して売買され、その土地及び建物の個別の購入の対価が明らかでない場合、所得税法施行令第126条第1項第1号イにいう「当該資産の購入の代価」は、合理的な基準により算定するのが相当であると判断したものである。

<要旨>
請求人は、国外において一括取得した賃貸用の土地及び建物(本件各物件)に係る売買契約書に売買代金総額しか記載がなかった場合、本件各物件における各土地及び各建物の購入の代価は、請求人が取得した不動産鑑定評価書における各鑑定評価額の割合で区分すべきであり、個別的な事情が捨象され、米国e州(現地)の法令等に反する方法で評価された現地の固定資産税評価額の割合で区分すべきではない旨主張する。

しかしながら、本件各物件については、建物の減価償却費の額の算出に当たり、合理的な方法によって本件各物件の土地及び建物の購入の代価を区分する必要があるところ、現地の固定資産税評価額は、同一の公的機関が同一時期に合理的な評価基準によって請求人が本件各物件の所有権を取得した時点の市場価値を評価したものであると推認され、かかる推認を妨げる特段の事情に当たると評価すべき事実があるとは認められない。

したがって、本件各物件に係る建物の購入の対価を算定するに当たっては、現地の固定資産税評価額の割合によって区分して算定すべきである。

また、原処分庁は、本件各物件のうち平成30年に取得した物件の変更後の固定資産税評価額については、請求人が弁護士を通じて自身に有利になるよう査定官に働きかけ、故意に作出させた可能性が排除できないため、変更前の固定資産税評価額を用いるべき旨主張する。

しかしながら、現地では、固定資産の所有者がその固定資産税評価額に同意できない場合、その評価額の見直しを求める不服申立制度があり、一度評価された固定資産税評価額が事後に変更され得ることは予定されているため、査定官の職権により事後に変更されたことをもって故意に作出させたなどということができない。

したがって、平成30年に取得した物件については、変更後の固定資産税評価額を用いるべきである。

★リンクはこちら⇒ 一括して売買された土地及び建物の購入の対価は、合理的な基準によりあん分して算定すべきであるとされた事例

2023年12月8日


太陽光発電に係る取組が事業所得を生ずべき事業には該当しないとされた事例

  • ①平成28年分から平成30年分までの所得税及び復興特別所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分(平成30年分については、いずれも再調査決定による一部取消し後のもの)
  • ②令和元年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • ①棄却、②一部取消し
  • 令和4年12月14日裁決

<ポイント>
本事例は、審査請求人が、太陽光発電への取組に係る損失の金額を事業所得の金額の計算上生じたものとして所得税等の確定申告をしたところ、当該取組は、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務とはいえず、事業に該当しないとしたものである。

<要旨>
請求人は、請求人が行った太陽光発電への取組については営利性、有償性及び反復継続性を有し、危険負担を負いつつ太陽光発電設備等の規格・規模の検討と選定を行っているなどの諸般の要素に照らし判断すると、所得税法第27条《事業所得》に規定する事業に該当する旨主張する。

しかしながら、請求人は大規模な太陽光発電設備を取得しておらず、請求人の自宅屋根に設置した太陽光設備から生じる売電収入は減価償却費に満たない小規模なものであるから、同設備に係る業務は営利性及び物的設備に乏しく、加えて人的設備も存在しない。

したがって、請求人の太陽光発電への取組は、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務ということができないから、所得税法第27条に規定する事業に該当しない。

なお、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律(国送法)第6条の3《財産債務に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例》第1項の規定による過少申告加算税の軽減措置及び同条第2項の規定による過少申告加算税の加重措置は、いずれも財産又は債務に関して生ずる所得で政令で定めるもの(国送法施行令第12条の3《財産債務に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例の対象となる所得の範囲等》第1項各号及び国送法施行規則第16条《財産債務に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例の対象となる所得の範囲》各号)に対する所得税等に関し更正があり、過少申告加算税が課される場合などに適用されるものであるところ、本件の各更正処分のうち、上記の財産又は債務に関して生ずる所得で同項で定めるものに対する所得税に関し更正があったといえるのは、請求人の不動産所得の金額の計算における青色申告特別控除額に係る更正がされた部分であり、それ以外の部分については、請求人の本件各年分の所得税等に係る各過少申告加算税の額の算定において、上記各措置は適用されない。

★リンクはこちら⇒ 太陽光発電に係る取組が事業所得を生ずべき事業には該当しないとされた事例

2023年12月7日


税務相談チャットボット(年末調整)

個人の方の国税に関する相談は、チャットボット(ふたば)を気軽にご利用ください。

ご質問したいことをメニューから選択するか、自由に文字で入力いただくとAI(人工知能)が自動回答します。

土日、夜間でもご利用いただけます。

★リンクはこちら⇒ 税務相談チャットボット(年末調整)

2023年12月5日


令和5年確定申告分(申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税)の振替納付日

国税庁は、ホームページに『令和5年確定申告分(申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税)の振替納付日』を掲載した

[申告所得税及び復興特別所得税]
[令和5年分]
納期等の区分 納期限(法定納期限) 振替日
予定納税第1期 令和5年7月31日(月) 令和5年7月31日(月)
予定納税第2期 令和5年11月30日(木) 令和5年11月30日(木)
確定申告 令和6年3月15日(金) 令和6年4月23日(火)
確定申告延納 令和6年5月31日(金) 令和6年5月31日(金)

[消費税及び地方消費税]
・個人事業者
[令和5年分]
納期等の区分  納期限(法定納期限) 振替日
確定申告(原則) 令和6年4月1日(月) 令和6年4月30日(火)

・法人事業
確定申告分:課税期間終了日の翌日から2月以内
中間申告分・課税期間の特例適用のある方については、税務署へお尋ねください。

[法人税]
確定申告分:事業年度終了日の翌日から2月以内
中間申告分については、税務署へお尋ねください。

[源泉所得税及び復興特別所得税]
・納期の特例の承認を受けていない場合
源泉徴収の対象となる所得を支払った月の翌月10日
・納期の特例の承認を受けている場合(給与等特定の所得に限ります。)
1月から6月までの支払分: 7月10日
7月から12月までの支払分:翌年1月20日

[相続税]
確定申告分:相続の開始があったことを知った日の翌日から10月以内

[贈与税]
確定申告分:翌年3月15日

[備考]
上記納期限が土曜日、日曜日、国民の祝日・休日の場合は、その翌日が納期限となります。

★リンクはこちら⇒ 令和5年確定申告分(申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税)の振替納付日

2023年12月4日


令和5年分年末調整のための各種様式

国税庁は、ホームページに『令和5年分年末調整のための各種様式』を掲載した。

★リンクはこちら⇒ 令和5年分年末調整のための各種様式

2023年11月30日


令和5年分年末調整控除申告書作成用ソフトウェア

「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア(年調ソフト)」は、従業員の方が、年末調整手続で提出する必要がある控除申告書を、質問に回答していくだけで作成することが可能な国税庁が無料で提供するソフトウェアである。

保険料などの控除証明書等のデータを利用することで、控除額を自動で計算することが可能である。

なお、作成した控除申告書は、ソフトウェアの機能を使用して、データで(又は書面で出力して)勤務先に提出することが可能である。

★リンクはこちら⇒ 令和5年分年末調整控除申告書作成用ソフトウェア

2023年11月29日


年末調整がよくわかるページ(令和5年分)

国税庁は、ホームページに『年末調整がよくわかるページ(令和5年分)』を掲載した。

★リンクはこちら⇒ 所年末調整がよくわかるページ(令和5年分)

2023年11月28日


所得税の過少申告加算税等の取扱いに係る一部改正(事務運営指針)

国税庁は、ホームページに「 所得税の過少申告加算税等の取扱いに係る一部改正(事務運営指針)」を掲載した。

標題のことについて、国税通則法(以下「通則法」という。)第 68 条第1項若しくは第2項又は第4項の規定の適用に関し留意すべき事項等を下記のとおり定めたから、今後処理するものからこれにより取り扱われたい。

(趣旨)
申告所得税及び復興特別所得税の重加算税の賦課に関する取扱基準の整備等を図ったものである。

★リンクはこちら⇒ 所得税の過少申告加算税等の取扱いに係る一部改正(事務運営指針)

2023年8月29日


上場廃止後の株式買取りに係る譲渡申告漏れへの対応について

国税庁は、ホームページに「 上場廃止後の株式買取りに係る譲渡申告漏れへの対応について」を掲載した。

0023006-036

★リンクはこちら⇒ 上場廃止後の株式買取りに係る譲渡申告漏れへの対応について

2023年8月22日


ストックオプションに対する課税(Q&A)(情報)

令和5年度の税制改正においては、税制適格ストックオプションの要件緩和に関する改正が行われたことを踏まえ、今般、「ストックオプションに対する課税(Q&A)」をリンクのとおり取りまとめたので、今後の参考とすること。

★リンクはこちら⇒ ストックオプションに対する課税(Q&A)(情報)

2023年8月3日


一括して売買された土地及び建物の購入の対価は、合理的な基準によりあん分して算定すべきであるとされた事例

  • 平成28年分から平成30年分までの所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和4年9月9日裁決

<ポイント>
本事例は、土地と建物が一括して売買され、当該売買契約において定められた土地及び建物それぞれの価額がその客観的な価値と比較して著しく不合理なものである場合には、所得税法施行令第126条第1項第1号イにいう「当該資産の購入の代価」は、合理的な基準により算定するのが相当であると判断したものである。

<要旨>
請求人は、土地及び建物を一括で3物件(本件3物件)買い受けて貸付けの用に供したところ、各売買契約書に記載された土地及び建物の各価額(本件各内訳価額)は第三者間での相対の商取引において合意された価額であって合理的な価額といえるから、当該各建物に係る所得税法施行令第126条《減価償却資産の取得価額》第1項に規定する「当該資産の購入の代価」は、本件各内訳価額に基づいて算定すべきである旨主張する。

しかしながら、固定資産税評価額は一般的に適切な時価を反映しているといえるところ、本件3物件の各売買代金総額は各固定資産税評価額総額を上回るのに対し、各建物価額はその固定資産税評価額を大きく上回る一方、各土地価額はその固定資産税評価額と同様か又は下回っている。

本件においてそのような評価とすべき事情は見当たらず、本件各内訳価額に係る各建物価額は、各売買代金総額から過剰に価額が配分されたものというべきであり、客観的な価値と比較して著しく不合理なものである。

そして、売主が土地及び建物を一括して譲渡する場合、建物の購入の代価について、売買代金総額を土地及び建物の各固定資産税評価額の価額比によりそれぞれあん分して算定することは、一般的には合理的な基準による算定であるといえるところ、本件各内訳価額に係る各建物価額についてはいずれも上記の不合理な場合に該当し、また、本件3物件の各固定資産税評価額が適正な時価を反映しているとはいえないような事情もないから、本件3物件に係る各建物の購入の代価は、本件3物件の各売買代金総額を土地及び建物の各固定資産税評価額比によりそれぞれあん分して算定すべきである。

なお、本件3物件のうち2物件の各建物に係る取得価額に加算すべき仲介手数料の金額等及び本件3物件の各仲介手数料に係る繰延消費税額等について、いずれも計算誤りがあると認められるため、原処分はその一部を取り消すべきである。

★リンクはこちら⇒ 一括して売買された土地及び建物の購入の対価は、合理的な基準によりあん分して算定すべきであるとされた事例

2023年5月26日


所得税及び復興特別所得税の準確定申告のe-Tax対応について

<概要>
平成30年度税制改正において、令和2年分以降の確定申告時に青色申告特別控除(65万円)の適用を受ける場合には、従前からの要件(正規の簿記の原則による記帳、貸借対照表・損益計算書の添付、期限内申告)に加え、「e-Taxによる電子申告を行う」または「電子帳簿を保存する」ことが要件とされた。

令和2年分以降の所得税及び復興特別所得税の準確定申告(死亡の場合)についても、青色申告特別控除(65万円)の適用が受けられるよう、また利便性向上のためe-Taxでの電子申告に対応した。

(注)国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーから所得税及び復興特別所得税の準確定申告書の作成はできない。e-Taxソフト等を利用すること。

(準確定申告とは)
年の中途で死亡した人の場合は、相続人(包括受遺者を含む。)が、1月1日から死亡した日までに確定した所得金額及び税額を計算して、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告と納税をしなければならない。

これを準確定申告という。

<開始時期>
令和2年1月6日以降に提出される令和2年分以後の所得税及び復興特別所得税の準確定申告書。
(※令和元年分以前の準確定申告書については、電子申告できない。)

<提出書類等>
準確定申告書をe-Taxで提出する場合には、以下の書類の提出が必要である。

番号 提出書類 提出方法
所得税及び復興特別所得税の準確定申告書 ※1 e-Tax(XML形式)
死亡した者の令和_年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表 ※1 e-Tax(XML形式)
準確定申告の確認書 ※2 e-Tax(PDF形式)
委任状 ※3 e-Tax(PDF形式)

※1
①準確定申告書をe-Taxで提出する場合は、相続人が1名の場合でも必ず②付表をe-Tax(XML形式)で提出する必要がある。
※2
相続人が2名以上いる場合は、各相続人が申告内容等を確認し署名した上で、③確認書のイメージデータ(PDF形式)を作成し、e-Taxで送信する必要がある。
※3
相続人が2名以上いる場合で、相続人代表が、その他の相続人が受け取るべき還付金を代表して受け取る場合には、各相続人が申告内容や還付額等を確認した上で、署名した④委任状を提出する必要がある。
(注)
所得の種類等によっては、上記の書類に加え、その他の書類の提出が必要となる場合がある。

<送信方法等>
e-Taxで送信する際に使用するID(利用者識別番号)や電子証明書については、以下のとおり。

申告者 e-Taxで利用するID(利用者識別番号) 添付する電子証明書
相続人代表 ※1 相続人代表のID(1名分のみ) 相続人代表の電子証明書(1名分のみ)
税理士
(代理送信)
税理士のID
相続人代表のID(1名分のみ)
税理士の電子証明書
相続人代表の電子証明書(省略可) ※2

※1
相続人代表がe-Taxで送信する場合は、申告を行う相続人代表の電子証明書の添付が必要となる(相続人代表以外の電子証明書の添付はできない。)。
※2
税理士による代理送信の場合は、税理士の電子証明書を添付すれば、相続人代表の電子証明書の添付は省略できる。

<留意事項>
・国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーから所得税及び復興特別所得税の準確定申告書の作成はできない。e-Taxソフト等を利用し、e-Taxで送信すること。

・準確定申告書の作成に当たって氏名欄については、以下の記載例を参考に入力すること。
【記載例】
(被相続人)国税太郎
または
(被相続人)国税太郎 (相続人)国税花子
全て全角、30文字以内で入力のこと。

★リンクはこちら⇒ 所得税及び復興特別所得税の準確定申告のe-Tax対応について

2023年3月16日


NFTに関する税務上の取扱いについて(FAQ)

このFAQは、NFTに関する税務上の一般的な取扱いについて、質疑応答形式で取りまとめたものである。

NFT(Non-Fungible Token)とは、ブロックチェーン上で、デジタルデータに唯一の性質を付与して真贋性を担保する機能や、取引履歴を追跡できる機能をもつトークンをいう。

この情報は、令和5年1月1日現在の法令・通達等に基づいて作成されている。

この情報は、一般的な取扱いを回答したものであり、納税者の方々が行う具体的な取引等については、この回答と異なる取扱いとなる場合があることには注意すること。

★リンクはこちら⇒ NFTに関する税務上の取扱いについて(FAQ)

2023年1月26日


税務相談チャットボットで所得税(令和4年分)の相談を開始しました

国税庁は、税務相談チャットボット(ふたば)で所得税(令和4年分)の相談を開始した。

<利用可能時間について>
24時間利用できる(メンテナンス時間を除く)。

<相談可能税目について>
・所得税の確定申告に関するご相談(令和4年分)
・インボイス制度に関するご相談
・年末調整に関するご相談(令和4年分)

【参考】今後相談可能となる税目について
・消費税の確定申告に関するご相談(令和4年分)
※令和5年1月30日(月)に相談開始予定である。

★リンクはこちら⇒ 税務相談チャットボットで所得税(令和4年分)の相談を開始しました

2023年1月23日


持分会社の社員の死亡退社に伴う持分払戻請求権の価額相当額のうち、出資した金額を超える部分はみなし配当に該当するとした事例

  • 平成28年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和4年6月2日裁決

<ポイント>
本事例は、持分会社の社員が死亡退社した場合には、その社員の有していた社員権が死亡と同時に持分払戻請求権に転換し、その転換した時点において、持分払戻請求権の価額のうち元本(出資)を超える部分が、所得税法第25条第1項の規定により剰余金の配当等(みなし配当)として当該死亡社員の所得を構成すると判断したものである。

<要旨>
請求人らは、持分会社の社員(本件被相続人)の死亡退社に伴う持分払戻請求権(本件払戻請求権)について、その払戻額を零円とすることが持分会社の総社員による同意で決定されており、相続人である請求人らに対し金銭その他の資産の交付はされていないから、所得税法第25条《配当等とみなす金額》第1項の規定によって配当等とみなされる金額はない旨主張する。

しかしながら、当該持分会社の定款には会社法第608条《相続及び合併の場合の特則》第1項に規定する持分の承継に関する定めがないことからすれば、本件被相続人は死亡退社により本件払戻請求権を取得したものと認められ、本件被相続人が有していた社員権(出資)が本件払戻請求権に転換した時点、すなわち、相続開始日において本件払戻請求権の価額相当額の経済的価値が本件被相続人にもたらされたといえる。

したがって、当該価額相当額のうち、出資に対応する部分の金額を超える金額は、本件被相続人のみなし配当と認められる。

★リンクはこちら⇒ 持分会社の社員の死亡退社に伴う持分払戻請求権の価額相当額のうち、出資した金額を超える部分はみなし配当に該当するとした事例

2023年1月19日


「令和4年分確定申告特集」を開設しました

国税庁は、「令和4年分確定申告特集」を開設した。

★リンクはこちら⇒ 「令和4年分確定申告特集」を開設しました

2023年1月18日


令和5年2月19日(日)及び2月26日(日)に確定申告の相談を行う税務署

一部の税務署では、令和5年2月19日(日)及び2月26日(日)に限り、確定申告の相談・申告書の受付を行う。

令和5年2月19日(日)及び2月26日(日)に、確定申告の相談等を行う税務署等についてはリンク先をご覧のこと。

香川県は、高松税務署のみ。

※道府県内の一部の税務署で閉庁日対応を行う場合、確定申告電話相談センターなどで、広く道府県内の納税者の方々からの電話相談に答えている。

★リンクはこちら⇒ 令和5年2月19日(日)及び2月26日(日)に確定申告の相談を行う税務署

2023年1月5日


令和4年分確定申告期の確定申告会場のお知らせ(高松国税局)

既に85%以上の方が、確定申告会場に来場せずに確定申告している。

自宅から申告できるe-Taxをご利用のこと。

令和4年分確定申告期における確定申告会場は下記リンクのとおり。

令和4年分の所得税等の確定申告の相談及び申告書の受付は、令和5年2月16日(木)から3月15日(水)までである。

確定申告会場への入場には整理券が必要である(申告書等の提出のみの場合は不要。)。

確定申告会場は混雑が予想される。

特に、確定申告期限間際は大変な混雑が予想されるので、来場される場合はお早目に。

税務署の閉庁日(土・日曜・祝日等)は、通常、相談及び申告書の受付は行っていないが、一部の税務署(確定申告会場)においては、2月19日(日)及び2月26日(日)に限り、確定申告の相談及び申告の受付を行う。

★リンクはこちら⇒ 令和4年分確定申告期の確定申告会場のお知らせ(高松国税局)

2022年12月13日


「令和4年分確定申告特集(準備編)」を開設しました

国税庁は、「令和4年分確定申告特集(準備編)」を開設した。

★リンクはこちら⇒ 「令和4年分確定申告特集(準備編)」を開設しました

2022年12月8日


令和4年確定申告分(申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税)の振替納付日を掲載しました

<申告所得税及び復興特別所得税>
[令和4年分]

納期等の区分 納期限(法定納期限) 振替日
予定納税第1期 令和4年8月1日(月) 令和4年8月1日(月)
予定納税第2期 令和4年11月30日(水) 令和4年11月30日(水)
確定申告 令和5年3月15日(水) 令和5年4月24日(月)
確定申告延納 令和5年5月31日(水) 令和5年5月31日(水)

<消費税及び地方消費税>
・個人事業者
[令和4年分]

納期等の区分 納期限(法定納期限) 振替日
確定申告(原則) 令和5年3月31日(金) 令和5年4月27日(木)

・法人事業者
確定申告分:課税期間終了日の翌日から2月以内
中間申告分・課税期間の特例適用のある方については、税務署へお尋ねのこと。

<法人税>
確定申告分:事業年度終了日の翌日から2月以内
中間申告分については、税務署へお尋ねのこと。

<源泉所得税及び復興特別所得税>
・納期の特例の承認を受けていない場合
源泉徴収の対象となる所得を支払った月の翌月10日
・納期の特例の承認を受けている場合(給与等特定の所得に限る。)
1月から6月までの支払分: 7月10日
7月から12月までの支払分:翌年1月20日

<相続税>
確定申告分:相続の開始があったことを知った日の翌日から10月以内

<贈与税>
確定申告分:翌年3月15日

[備考]
上記納期限が土曜日、日曜日、国民の祝日・休日の場合は、その翌日が納期限となる。

★リンクはこちら⇒ 令和4年確定申告分(申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税)の振替納付日を掲載しました

2022年11月14日


帳簿の提出がない場合等の加算税の加重措置に関するQ&A(2022年10月)

令和4年度税制改正により、記帳水準の向上に資する観点から、記帳義務の適正な履⾏を担保し、帳簿の不保存や記載不備を未然に抑⽌するため、過少申告加算税・無申告加算税の加重措置が講じられた。

このQ&Aは、帳簿の提出がない場合等の加算税の加重措置に関して、その概要や適⽤上の留意点等を取りまとめたものである。

(注)2022年10月25日現在の法令等に基づき作成している。

★リンクはこちら⇒ 帳簿の提出がない場合等の加算税の加重措置に関するQ&A(2022年10月)

2022年11月11日


「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)(令和4年10月7日)

標題のことについては、下記のとおり定めたから、これによられたい。

昭和45年7月1日付直審(所)30「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)のうち、別紙「新旧対照表」の「改正前」欄に掲げる部分を「改正後」欄のように改める。

(趣旨)
雑所得の範囲について、明確化を図るものである。

★雑所得の範囲の取扱いに関する所得税基本通達の解説はこちら⇒ 雑所得の範囲の取扱いに関する所得税基本通達の解説

★パブリックコメントからの変更点はこちら⇒ パブリックコメントからの変更点

2022年10月27日


請求人がふるさと納税を行ったことにより各地方公共団体から送付を受けた各返礼品に係る経済的利益の価額は、当該各地方公共団体の評価額によるのが相当であるとした事例

  • ①平成29年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分 ①棄却、②一部取消し
  • ②平成30年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分 →棄却
  • 令和4年2月7日裁決

<ポイント>
本件は、ふるさと納税に係る経済的利益の額は、地方公共団体が謝礼として供与する経済的利益の額であるから、地方公共団体が謝礼のために支出した金額(返礼品調達価格)をその算定の基礎とすることが相当であるとしたものである。

<要旨>
請求人は、請求人の受けたふるさと納税の返礼品(本件各返礼品)について原処分庁が算定した経済的利益の価額(原処分庁認定額)は適正な金額ではなく、その収入すべき時期にも誤りが認められる旨、また、仮に一時所得の金額を計算するとしても、その経済的利益の価額は、事業の広告宣伝のための賞金を受けた場合の評価に関する課税実務上の取扱いに基づき原処分庁認定額に60%を乗じた価額とすべき旨主張する。

しかしながら、ふるさと納税をした個人は地方公共団体からの贈与により返礼品を取得すること、ふるさと納税制度における返礼品の提供が当該個人に対する謝礼であることからすれば、本件各返礼品に係る経済的利益の価額は、地方公共団体が謝礼(返礼品の調達・提供)のために支出した金額(返礼品調達価格)をその算定の基礎とすることが相当である。

そして、通常、地方公共団体が返礼品等をその調達時における時価を超えて調達することはないと考えられ、また、本件において、本件各返礼品が不当に高額又は低額で取引されたといった事情は認められない。

これらのことからすると、返礼品調達価格は、地方公共団体が本件各返礼品を調達した時における返礼品の客観的交換価値を示すものと評価できるから、請求人は、本件各返礼品を取得することにより、本件各返礼品につき返礼品調達価格に相当する経済的利益を得たことになる。

したがって、本件各返礼品に係る経済的利益の価額は、本件各返礼品の返礼品調達価格によるのが相当である。

この点、原処分庁認定額については、その価額及び収入すべき時期の認定に一部誤りがあると認められたものの、返礼品調達価格を基にして算定されたものであるから、原処分庁認定額が適正でない点に関する請求人の主張は理由がない。

また、本件各返礼品はそもそも事業の広告宣伝のための賞品ではないから、当該賞品の評価に関する課税実務上の取扱いに基づいて本件各返礼品を評価すべき旨の請求人の主張を採用することはできない。

★リンクはこちら⇒ 請求人がふるさと納税を行ったことにより各地方公共団体から送付を受けた各返礼品に係る経済的利益の価額は、当該各地方公共団体の評価額によるのが相当であるとした事例

2022年10月13日


請求人が支出したデジタルWEBコンテンツの購入代金等の中には、当該コンテンツの販売のあっせん活動に不可欠と認められる部分の支出があり、当該支出は、客観的にみて、請求人の事業所得を生ずべき業務と直接関係を持ち、かつ、業務の遂行上必要な費用であったといえるから、事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができるとした事例

  • 平成29年分の所得税及び復興特別所得税の更正をすべき理由がない旨の通知処分
  • 一部取消し
  • 令和4年3月4日裁決

<ポイント>
本事例は、デジタルWEBコンテンツの購入代金等のうち、当該コンテンツの販売のあっせん活動に不可欠と認められる部分の支出について、事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができると判断した事例である。

<要旨>
請求人は、連鎖販売取引の方法によりデジタルWEBコンテンツの販売のあっせんを事業(本件事業)として営んでおり、請求人が支払ったデジタルWEBコンテンツの購入代金等(本件支出)は、本件事業を行い、本件事業に係る収入を得るためのものであり、事業所得を生ずべき業務と直接関係を持ち、かつ、業務の遂行上必要な支出であることから所得税法第37条《必要経費》第1項に規定する必要経費に該当する旨主張する。

しかしながら、デジタルWEBコンテンツの購入は、その交換価値が上昇することにより将来的に利益が得られる投機目的にあったと考えられる。

もっとも、本件事業を行うためには、デジタルWEBコンテンツの販売会社の会員として会員登録をして会員IDを取得する必要があり、会員IDを取得するためには、デジタルWEBコンテンツを購入しなければならなかった。

そして、デジタルWEBコンテンツの購入が連鎖販売取引の特定負担として位置づけられていたことからすると、当該購入にはデジタルWEBコンテンツの販売のあっせん活動に不可欠な会員IDを取得するための条件が含まれていたといえる。そうすると、本件支出のうち、会員IDを取得するためにした支出は、客観的にみて本件事業と直接関係を持ち、かつ、本件事業の遂行上必要な費用であると認められるので、本件支出のうち当該部分は、所得税法第37条第1項に規定する必要経費に該当する。

★リンクはこちら⇒ 請求人が支出したデジタルWEBコンテンツの購入代金等の中には、当該コンテンツの販売のあっせん活動に不可欠と認められる部分の支出があり、当該支出は、客観的にみて、請求人の事業所得を生ずべき業務と直接関係を持ち、かつ、業務の遂行上必要な費用であったといえるから、事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができるとした事例

2022年10月11日


海苔養殖業を営む請求人が事業の用に供する全自動乾海苔製造装置等は、耐用年数省令別表第二の「食料品製造業用設備(耐用年数10年)」ではなく「水産養殖業用設備(耐用年数5年)」に該当するとした事例

  • ①平成28年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分
  • ②平成29年分及び平成30年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分
  • ③平成28年分から平成30年分までの所得税及び復興特別所得税の過少申告加算税の各賦課決定処分
  • ①③全部取消し
  • ②一部取消し

<ポイント>
本事例は、耐用年数省令別表第二の機械・装置の業用設備の判定は、請求人の業種ではなく、資産の使用状況等から社会通念に照らし、これが日本標準産業分類によるいずれの業種用として通常使用されているかにより判定すべきとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、海苔養殖業を営む請求人が使用する「全自動乾海苔製造装置」等の設備(本件償却資産)について、耐用年数の適用等に関する取扱通達1-4-2《いずれの「設備の種類」に該当するかの判定》及び同1-4-3《最終製品に基づく判定》の定めに従い、本件償却資産が製造する最終製品は乾海苔であり、乾海苔は水産食料品に該当することは明らかであるとして、本件償却資産は、日本標準産業分類の中分類「09-食料品製造業」の業種用に通常使用されていると認められるから、減価償却資産の耐用年数に関する省令の別表第二《機械及び装置の耐用年数表》の番号1「食料品製造業用設備」に該当する旨主張する。

しかしながら、本件償却資産は、請求人が自家取得した原藻を自宅敷地内作業場において、乾燥させて漁業協同組合へ出荷できる乾海苔にするために、海苔養殖業従事者のみに通常使用されていると認めるのが相当である。

そして、海苔養殖業者が漁業協同組合へ出荷する乾海苔は直ちに食用に供されるものではなく、食用に加工し流通させるのは漁業協同組合から乾海苔を購入した流通業者であることからすれば、乾海苔が水産食料品であることが明らかであるとして、本件償却資産が食料品製造業用として通常使用されていると認めることは困難である。

したがって、本件償却資産は、日本標準産業分類の大分類「B-漁業」の中分類「04-水産養殖業」の業種用として通常使用されていると認められるから、別表第二の番号28「水産養殖業用設備」に該当する。

★リンクはこちら⇒ 海苔養殖業を営む請求人が事業の用に供する全自動乾海苔製造装置等は、耐用年数省令別表第二の「食料品製造業用設備(耐用年数10年)」ではなく「水産養殖業用設備(耐用年数5年)」に該当するとした事例

2022年9月21日


医師が健康診断業務に係る役務の提供の対価として関与先の病院等から受領した報酬は、給与所得の収入に当たるとした事例

  • 平成28年分の所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分、平成29年分及び平成30年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 棄却

<ポイント>
本件は、請求人の健康診断業務に係る収入について、関与先の病院等の指揮命令に服し、空間的、時間的拘束を受けて行った業務ないし労務提供の対価であると認められることから、給与所得に該当するとしたものである。

<要旨>
請求人は、関与先である法人との間の法律関係について、当該法人から業務を請け負って収入を得る事業所得者であることが判決(本件判決)において確定しており、契約内容や業務内容が当該法人と同様である他の法人等(本件法人等)との間でも請求人は事業所得者であるとして、請求人が本件法人等から得た自己の健康診断業務(本件業務)に係る収入により生じた所得(本件所得)は、所得税法第27条《事業所得》第1項に規定する事業所得に該当する旨主張する。

しかしながら、本件業務に係る報酬は、あらかじめ本件法人等との間で従事時間等に応じて決められた対価が支払われるものであり、また、本件法人等から業務に必要な器具等の貸与等及び交通費等の支給を受けていたことからすれば、請求人は、本件業務から一般的に生じ得る危険を負担することはなかったものと認められる。

また、請求人は、本件法人等から業務内容や従事時間及び従事場所などの指定を受けていたことなどからすれば、本件法人等から本件業務について指揮命令や空間的、時間的拘束を受けていたと認められるから、本件所得は、所得税法第28条《給与所得》第1項に規定する給与所得に該当する。

★リンクはこちら⇒ 医師が健康診断業務に係る役務の提供の対価として関与先の病院等から受領した報酬は、給与所得の収入に当たるとした事例

2022年9月15日


請求人が不動産業者との間で締結した不動産売買契約は、「土地及び建物」と「賃貸人の地位」について別個に認識し、それら2つの財産を当該不動産売買契約の目的としたとみるのが相当であり、請求人が受領した売買代金の一部は、「賃貸人の地位」の譲渡の対価として受領した金員であると認められ、貸付けに起因する所得であることから不動産所得に該当するとした事例

  • 平成29年分の所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分
  • 一部取消し

<ポイント>
本事例は、請求人が不動産売買契約に伴い受領した売買代金について、当該不動産売買契約に定められた契約条項の内容や、契約前後の請求人及び売買契約の対象となった不動産の借主の事情を把握し、当該売買に係る契約解釈を的確に行い、請求人が受領した売買代金の一部について「賃貸人の地位」の対価として受領したと判断したものである。

<要旨>
請求人は、賃貸していた不動産の賃借人が送金した金員(本件解約金相当額)は、当該不動産を含む不動産(本件不動産)の売買契約(本件売買契約)に基づく売買代金に含まれており、本件不動産の対価として請求人が譲受人から受領したものであるから譲渡所得に該当する旨主張する。

しかしながら、本件売買契約は、その特約条項によれば、本件不動産の所有権のみならず、本件不動産の賃貸借契約(本件賃貸借契約)に基づく賃貸人たる地位や、本件賃貸借契約の解約申入れに基づき賃借人から支払われる本件解約金相当額を受領する地位も移転させる趣旨のものと認められるところ、①本件解約金相当額の性質は、本件賃貸借契約に基づく中途解約金であること、②本件賃貸借契約が合意解約され、本件解約金相当額が支払われることが本件売買契約の締結より前に確定していたこと、③本件売買契約に付された不動産の価格が解約金とは別に形成されていたこと、及び④本件売買契約における売買代金から本件解約金相当額を除いた金額に相当する価格が、本件不動産の転売価格と均衡することが認められた。

これらの諸事情からすると、本件売買契約は、本件解約金相当額を含む売買代金総額の全てを本件不動産の譲渡対価とする趣旨のものであったとは解し難い。

また、本件売買契約の前に本件賃貸借契約が合意解約され中途解約金が支払われることが確定していた本件では、「賃貸人の地位」の交換価値が、本件不動産そのものの交換価値から独立した「本件解約金相当額を受領する地位」の価値として客観的に把握することができた。これらのことからすれば、請求人と譲受人は、売買された不動産と「賃貸人の地位」について、それぞれ別個の価格を認識し、それら2つの財産を本件売買契約の目的としたとみるのが相当であり、本件解約金相当額は、請求人が「賃貸人の地位」の対価として受領した金額であると認められる。

そして、本件解約金相当額が、本件賃貸借契約が合意解約されることを前提として「残賃貸借期間の賃料の補償」として支払われることが確定したものであり、本件賃貸借契約に基づく賃貸人の地位に包含されるものであることからすると、請求人が受領した本件解約金相当額は、不動産の貸付けに起因して発生した所得であるといえ、不動産所得に該当する。

★リンクはこちら⇒ 請求人が不動産業者との間で締結した不動産売買契約は、「土地及び建物」と「賃貸人の地位」について別個に認識し、それら2つの財産を当該不動産売買契約の目的としたとみるのが相当であり、請求人が受領した売買代金の一部は、「賃貸人の地位」の譲渡の対価として受領した金員であると認められ、貸付けに起因する所得であることから不動産所得に該当するとした事例

2022年9月13日


国税庁ホームページでの所得税等の申告書等作成・e-Taxがますます便利に!

令和4年分確定申告(令和5年1月上旬~)からマイナンバーカードやスマートフォンを利用した申告がさらに便利になる!

国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」では、画面の案内に沿って金額等を入力するだけで、所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税、贈与税の申告書や青色申告決算書・収支内訳書等の作成・e-Taxによる送信(提出)ができる。

また、自動計算されるので計算誤りがない。

以下は、令和4年分確定申告(令和5年1月上旬~)から確定申告書等作成コーナーでサービス開始予定の内容である。

<マイナンバーカードの読み取り回数が1回に!>
令和5年1月からマイナンバーカードを利用して申告される方のマイナンバーカードの読み取り回数が1回になる。

<青色申告決算書・収支内訳書がスマホで作成可能に!>
令和5年1月から青色申告決算書・収支内訳書がスマホで作成可能になる!
また、パソコンの画面もリニューアルする!

<マイナポータル連携による申告書の自動入力対象が拡大!>
マイナポータル連携とは、所得税確定申告手続について、マイナポータル経由で、控除証明書等の必要書類のデータを一括取得し、各種申告書の該当項目へ自動入力する機能である。
令和4年分確定申告からは、新たに医療費通知情報(1年間分)、公的年金等の源泉徴収票及び国民年金保険料控除証明書もマイナポータル連携の対象となる。
詳しくは、マイナポータル連携で確定申告書に自動入力!をご覧のこと。

★リンクはこちら⇒ 国税庁ホームページでの所得税等の申告書等作成・e-Taxがますます便利に!

2022年9月6日


原処分庁が用いた資産負債増減法による事業所得の推計方法において、純資産の増加額の算定に際し基礎とした資産の認定に一部誤りがあるとした事例

  • 平成27年分から平成29年分までの所得税及び復興特別所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 平成28年分の所得税及び復興特別所得税は一部取消し
  • その他は棄却
  • 令和3年8月4日裁決

<ポイント>
本事例は、原処分庁が用いた資産負債増減法による推計において、請求人名義の預金口座への入金額の一部は、子名義の預金口座から引き出された金銭を原資とするものであり、請求人の事業所得を原資とするものではないから、純資産の増加額とは認められないとした事例である。

<要旨>
原処分庁は、原処分庁が請求人の事業所得を算定するに当たって採用した資産負債増減法において、子名義の普通預金口座(本件普通預金口座)から引き出された金銭によって請求人名義の定期預金口座が開設されたとの事実を裏付ける証拠はないことから、減算調整項目(事業外所得)として減算すべき金額はない旨主張する。

しかしながら、本件普通預金口座から合計2,000,000円が引き出された翌日に同額が請求人名義の定期預金口座に入金されたこと、本件普通預金口座に係る通帳等を同居人が管理していること、本件普通預金口座から引き出された2,000,000円が請求人名義の定期預金口座への入金以外に充てられたことをうかがわせる事情がないことなどからすれば、請求人名義の定期預金口座に入金された金銭は本件普通預金口座から引き出された金銭を原資とするものであり、事業所得を原資とするものとはいえない。

★リンクはこちら⇒ 原処分庁が用いた資産負債増減法による事業所得の推計方法において、純資産の増加額の算定に際し基礎とした資産の認定に一部誤りがあるとした事例

2022年4月8日


原処分庁の平均所得率の計算過程において、損失の金額が生じていた類似同業者の所得率はマイナス値で計算すべきとされた事例

  • 平成28年分から平成30年分までの所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分、平成28年1月1日から平成30年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 平成29年分の所得税及び復興特別所得税は一部取消し、その他は棄却
  • 令和3年6月23日裁決

<要旨>
請求人は、原処分庁の所得金額の推計の算出について、①原処分庁の算出基準においては、青色申告の承認を受けた者の確定申告が適切になされたものであって、かつ、請求人の確定申告と比較しうる理由の根拠が示されていないこと、②原処分庁が請求人の所得金額の推計に用いた請求人と業種・業態が類似し事業規模が同程度であると判断した同業者(本件類似同業者)の業態が全く不明であり、原処分庁が所得率の高い同業者だけを選んで推計の基礎に用いた可能性も否定できないこと、及び③本件類似同業者の本件各年分の平均所得率は年分によってかなりの開差があることから、推計の合理性があるとはいえない旨主張する。

しかしながら、原処分庁は、本件類似同業者を抽出するにあたり、業種・業態の類似性、個人又は法人の別、事業所の所在地の接近性、資料の正確性並びに事業規模の類似性等に係る基準を設けてこれらの条件に全て該当する者を抽出したのであるから、当該抽出基準は合理性を有するものであり、また、同業者の抽出過程に原処分庁の恣意が介在したとの事実は認められない。

そして、平均所得率の算出に使用した資料は、いずれも帳簿書類等が整っている青色申告者の決算書であり、その信頼性ないし正確性は高く、さらに本件類似同業者の件数も本件類似同業者の個別性を平均化するに足るということができる。

したがって、本件類似同業者と請求人の間には類似性があり、原処分庁の本件類似同業者の抽出基準及び抽出方法は合理性を有するものであると認められる。

ただし、原処分庁の平均所得率の計算過程において、本件類似同業者のうち1名に損失の金額が生じていたにもかかわらず、その者の所得率を0.00%で計算しているが、その者の所得率を0.00%とすべき特殊な事情は認められないことから、当該所得率は損失の金額で算出したマイナス値で計算すべきである。

★リンクはこちら⇒ 原処分庁の平均所得率の計算過程において、損失の金額が生じていた類似同業者の所得率はマイナス値で計算すべきとされた事例

2022年2月17日


推計による所得税等の課税処分について、原処分庁による推計の必要性が認められ、また、推計の合理性があるとした事例

  • ①平成28年分以降の所得税の青色申告の承認取消処分
  • ②平成27年分から平成29年分までの所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • ③平成27年1月1日から平成27年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
  • ④平成28年1月1日から平成29年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分
  • ①③④棄却、②一部取消し
  • 令和3年6月23日裁決

<ポイント>
本事例は、原処分庁の同業者率による推計方法について、①推計基礎の正確性、②推計方法の最適性及び③推計方法の客観性があり、推計の合理性があるとしたが、類似同業者の一部の減価償却費や必要経費の算定における計算誤りがあったため、更正処分の一部を取り消すのが相当であるとした事例である。

<要旨>
請求人は、請求人の総勘定元帳により、請求人の所得金額を実額で計算することができ、推計の必要性がない旨、また、原処分庁による推計方法は合理性がない旨主張する。

しかしながら、請求人が提出した資料では実額で計算することはできず、本件には推計の必要性があったと認めるのが相当である。

また、推計方法については、原処分庁は、請求人の各年分の総収入金額に類似同業者の平均必要経費率(同業者比率)を用いる方法により請求人の事業所得の金額を算出しているところ、①同業者比率による推計方法については、一般に、業種・業態が類似する同業者にあっては、特段の事情がない限り、経験則上、同程度の同収入金額に対し、同程度の所得が得られると考えられており、請求人の営む事業の場合であっても例外でなく、本件において請求人に特段の事情があるとは認められないこと、②推計の基礎となる総収入金額は正確に把握されていること、③抽出基準に合理性がある上、類似同業者の抽出過程において課税庁の恣意や思惑が介在していないこと、及び④抽出件数も類似同業者の平均値を求める上で合理的であることが認められる。

したがって、原処分庁による推計については、抽出した類似同業者の一部の者の減価償却費や必要経費の算定における計算誤りの部分を除いて、合理性があると判断するのが相当である。

★リンクはこちら⇒ 推計による所得税等の課税処分について、原処分庁による推計の必要性が認められ、また、推計の合理性があるとした事例

2022年2月15日


定年を延長した場合に一部の従業員に対してその延長前の定年に達したときに支払う一時金の所得区分について

<照会>
1.事前照会の趣旨
当社の退職金制度は、退職一時金、確定給付企業年金、確定拠出年金から構成されており、当社の退職給付規則等に定められた方法により計算し、対象者に支給しています(以下、当社から支給される退職一時金を「本件退職一時金」といいます。)。
今般、当社は、安定的に雇用を確保しながら事業を前進させる必要があることに加え、高年齢者安定雇用の確保という社会情勢や労働組合の要望を踏まえ、労働組合との合意により労働協約書等を改定し、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律に基づき満60歳に達した月の末日としていた従業員の定年を、満60歳から満65歳までの間で従業員が選択したいずれかの年齢に達した月の末日に延長することとしました(以下、労働協約書等の改定後の従業員が選択した定年年齢を「選択定年年齢」といい、改定後の定年制度を「本件定年制度」といいます。)。
当社は、これまで、定年年齢(60歳)に達した月の翌月末までに本件退職一時金を支給してきましたが、本件定年制度においては、原則として、選択定年年齢に達した月の翌月末までに本件退職一時金を支給することとしました。しかしながら、本件定年制度の制定前に入社した従業員のうち、満60歳に達した月の翌月末までに一時金の支給を希望する従業員(以下「本件希望者」といいます。)に対しては、選択定年年齢にかかわらず、本件退職一時金の代わりに一時金(以下「本件一時金」といいます。)を支給することとしました。
この本件一時金は、引き続き勤務する従業員に対して支給するものであり、本来の退職所得とはいえませんが、所得税基本通達30-2(5)《引き続き勤務する者に支払われる給与で退職手当等とするもの》に定める給与に該当し、退職所得として取り扱って差し支えないか照会いたします。

2.事前照会に係る取引等の事実関係
(1)本件一時金を支給することとした経緯
本件定年制度の導入に当たり、一部の従業員から、「満60歳を迎えたときに本件退職一時金が支給されることを前提にマイホームローンや子の教育ローンの返済を計画する等の生活設計をしており、本件定年制度が導入され、選択定年年齢を61歳から65歳までのいずれかとすると、本件退職一時金の支給が延長され、不都合が生じること」(以下「本件支給事由」といいます。)を理由として、満60歳の時に本件退職一時金の支給を受けたいとの要望を受けました。
当社としては、本件定年制度の導入前後において、本件退職一時金の支給金額が同額であるにもかかわらず、定年延長の結果、その支給時期が延期されるという不利益が従業員に生じる中で、本件支給事由に係る不都合に対して特に配慮する必要があったことから、本件希望者に対して、満60歳の時に本件一時金を支給することとしました。

(2)本件定年制度について
本件定年制度において、本件退職一時金及び本件一時金は、いずれも満60歳に達した月の末日までの期間を基礎として計算され、定年を延長した期間は計算の基礎に含めません。
また、本件希望者は、満59歳に達した月の末日までに選択定年年齢を選択し、当社が指定した期日(満60歳に達した月の末日の2、3週間前)までに本件一時金の支給希望について、本件支給事由を申請書に記載し、当社に提出します。当社は、これを受け、本件希望者に対して本件一時金を支給します。
そして、本件一時金を支給した後、本件希望者に退職を理由とした一時金を支給することはありません。
なお、確定給付企業年金制度について、加入者の資格喪失の時期(60歳に達した日の翌日)及び老齢給付金の支給を請求できる年齢(60歳以上)に変更はなく、また、確定拠出年金制度についても、加入者の範囲(60歳未満)、加入者の資格喪失の時期(60歳に達したとき)及び老齢給付金の支給を請求できる年齢(60歳以上)に変更はありません。

3.事実関係に対して事前照会の求める見解となることの理由
(1)法令等について
所得税法第30条第1項《退職所得》は、退職所得とは、退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与(以下「退職手当等」といいます。)に係る所得をいう旨規定しています。
また、所得税基本通達30-2(5)は、引き続き勤務する役員又は使用人に対し退職手当等として一時に支払われる給与のうち、①労働協約等を改正していわゆる定年を延長した場合において、②延長前の定年(以下「旧定年」といいます。)に達した使用人に対し旧定年に達する前の勤続期間に係る退職手当等として支払われる給与であり、③その支払をすることにつき相当の理由があると認められるもので、④その給与が支払われた後に支払われる退職手当等の計算上その給与の計算の基礎となった勤続期間を一切加味しない条件の下に支払われるものは、退職手当等とする旨定めています。

(2)本件一時金の所得区分について
上記1及び2(2)のとおり、当社は、労働組合との合意により労働協約等を改定して旧定年を延長し、本件希望者に対して旧定年である満60歳に達した月の末日までを基礎として本件一時金の計算をすることとしていますので、本件一時金は「旧定年に達する前の勤続期間に係る退職手当等として支払われる給与」であると考えます(上記(1)1及び2)。
また、当社は、本件一時金を支給した後、本件希望者に退職を理由とした一時金を支給しないことから、本件希望者に対して旧定年時までの勤続期間を加味した一時金が支給されることもありませんので、本件一時金は、いわゆる打切支給の退職手当等であると考えます(上記(1)4)。
そして、本件一時金は、次のイないしニのことからすると、その支払をすることにつき「相当の理由がある」ものと考えます(上記(1)3)。
したがって、本件一時金は、退職手当等に該当し、退職所得として取り扱って差し支えないものと考えます。
イ.本件一時金は、入社時から、旧定年(満60歳)を迎えたときに本件退職一時金が支給されることを前提に生活設計をしてきた本件希望者の事情を踏まえ、旧定年時において精算を行うものであること。
ロ.本件定年制度導入前後において、本件退職一時金の支給金額が同額であるにもかかわらず、その支給時期が延期されるという不利益が従業員に生じる中で、本件支給事由に係る不都合に対して雇用主として特に配慮する必要があること。
ハ.本件一時金は、本件定年制度導入前に入社した従業員のうち希望者(本件希望者)に対して支給されるものであり、その支給時期も旧定年時に限られていること。
ニ.本件定年制度導入前において、旧定年時(満60歳)に支給されていた本件退職一時金は、長期間勤務したことに対する報償及び旧定年時以後の生活保障としての性格を有するものであるところ、本件一時金もその性格を有するものであることに変わりはないと考えられること。

<回答>
回答年月日
令和3年11月11日

回答者
東京国税局審理課長

回答内容
標題のことについては、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。
ただし、次のことを申し添えます。
1.ご照会に係る事実関係が異なる場合又は新たな事実が生じた場合は、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあります。
2.この回答内容は東京国税局としての見解であり、事前照会者の申告内容等を拘束するものではありません。

★リンクはこちら⇒ 定年を延長した場合に一部の従業員に対してその延長前の定年に達したときに支払う一時金の所得区分について

2022年1月24日


「個人の青色申告の承認の取消しについて」の一部改正について(事務運営指針)

平成12年7月3日付課所4-17ほか3課共同「個人の青色申告の承認の取消しについて」(事務運営指針)の一部を別紙のとおり改正したから、令和4年1月1日以後は、これによられたい。

(注)アンダーラインを付した箇所が、改正した箇所である。

<趣旨>
電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律の一部改正に伴い、所要の整備を図るものである。

★リンクはこちら⇒ 「個人の青色申告の承認の取消しについて」の一部改正について(事務運営指針)

2022年1月19日


令和3年分所得税の確定申告関係書類

国税庁はホームページに『令和3年分所得税の確定申告関係書類』を掲載した。

★リンクはこちら⇒ 令和3年分所得税の確定申告関係書類

2022年1月14日


令和3年確定申告分(申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税)の振替納付日

<申告所得税及び復興特別所得税>
[令和3年分]

納期等の区分 納期限(法定納期限) 振替日
予定納税第1期 令和3年8月2日(月) 令和3年8月2日(月)
予定納税第2期 令和3年11月30日(火) 令和3年11月30日(火)
確定申告 令和4年3月15日(火) 令和4年4月21日(木)
確定申告延納 令和4年5月31日(火) 令和4年5月31日(火)

<消費税及び地方消費税>
・個人事業者
[令和3年分]

納期等の区分 納期限(法定納期限) 振替日
確定申告(原則) 令和4年3月31日(木) 令和4年4月26日(火)

・法人事業者
確定申告分:課税期間終了日の翌日から2月以内
中間申告分・課税期間の特例適用のある方については、税務署へお尋ねください。

<法人税>
確定申告分:事業年度終了日の翌日から2月以内
中間申告分については、税務署へお尋ねください。

<源泉所得税及び復興特別所得税>
・納期の特例の承認を受けていない場合
源泉徴収の対象となる所得を支払った月の翌月10日
・納期の特例の承認を受けている場合(給与等特定の所得に限る。)
1月から6月までの支払分: 7月10日
7月から12月までの支払分:翌年1月20日

<相続税>
確定申告分:相続の開始があったことを知った日の翌日から10月以内

<贈与税>
確定申告分:翌年3月15日

[備考]
上記納期限が土曜日、日曜日、国民の祝日・休日の場合は、その翌日が納期限となる。

★リンクはこちら⇒ 令和3年確定申告分(申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税)の振替納付日

2022年1月12日


令和3年分確定申告期の確定申告会場のお知らせ

既に80%以上の方が、確定申告会場に来場せずに確定申告している。
感染リスクを軽減するため、ご自宅から申告できるe-Taxをご利用ください。
→確定申告書の作成はこちら

令和3年分の所得税等の確定申告の相談及び申告書の受付は、令和4年2月16日(水)から3月15日(火)までである。
確定申告会場への入場には整理券が必要である(申告書等の提出のみの場合は不要である。)。
→入場整理券の詳細についてはこちら

なお、本年は、新型コロナウイルス感染症対策の一環として、一部の税務署(確定申告会場)においては、開設期間を拡大している。

確定申告会場は混雑が予想される。
特に、確定申告期限間際は大変な混雑が予想されるので、来場される場合はお早目にお越しください。

税務署の閉庁日(土・日曜・祝日等)は、通常、相談及び申告書の受付は行っていないが、一部の税務署(確定申告会場)においては、2月20日(日)及び2月27日(日)に限り、確定申告の相談及び申告の受付を行う。

★リンクはこちら⇒ 令和3年分確定申告期の確定申告会場のお知らせ

2021年12月27日


最高裁判所令和3年3月11日判決を踏まえた利益剰余金と資本剰余金の双方を原資として行われた剰余金の配当の取扱いについて

1.最高裁判所令和3年3月11日判決について
最高裁判所令和3年3月11日判決(以下「本件判決」という。)において、利益剰余金と資本剰余金の双方を原資として行われた剰余金の配当(以下「混合配当」といいます。)が行われた場合における「株式又は出資に対応する部分の金額」の計算方法の規定について、次のとおり、一定の限度において、違法なものとして無効である旨判示された。

【本件判決の概要】
混合配当は、その全体が法人税法(平成27年法律第9号による改正前のもの。)24条1項3号(注:現行の法人税法24条1項4号)に規定する資本の払戻しに該当するものというべきである。

株式対応部分金額の計算方法について定める法人税法施行令(平成26年政令第138号による改正前のもの。)23条1項3号(注:現行の法人税法施行令23条1項4号)の規定のうち、資本の払戻しがされた場合の直前払戻等対応資本金額等の計算方法を定める部分は、混合配当につき、減少資本剰余金額を超える直前払戻等対応資本金額等が算出される結果となる限度において、法人税法の趣旨に適合するものではなく、同法の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効というべきである。

2.本件判決を踏まえた今後の取扱い等
(1)本件判決では、上記1のとおり、混合配当に係る株式対応部分金額の計算方法につき、減少資本剰余金額を超える直前払戻等対応資本金額等が算出される結果となる限度において、違法なものとして無効である旨判示されていることから、現行の法人税法施行令23条1項4号及び同様の規定である所得税法施行令61条2項4号について、本件判決に従い、混合配当があった場合に算出される直前払戻等対応資本金額等につき減少資本剰余金額を上限として取り扱う。

(2)上記(1)の取扱いは、過去に遡って適用されるので、上記(1)の取扱いにより直前払戻等対応資本金額等の再計算を行った結果、過去に行った申告内容等に異動が生じた株主等について、納付税額等が過大となる場合には、国税通則法の規定に基づき所轄の税務署に更正の請求を行うことができる。

更正の請求をする場合には、上記の申告内容等の異動事項が分かる書類を併せてご提出ください。

なお、法定申告期限等から5年を経過している法人税又は所得税については、法令上、減額更正を行うことはできないこととされていますので、ご注意ください。

★リンクはこちら⇒ 最高裁判所令和3年3月11日判決を踏まえた利益剰余金と資本剰余金の双方を原資として行われた剰余金の配当の取扱いについて

2021年12月27日


令和3年分確定申告特集(準備編)

国税庁はホームページに『令和3年分確定申告特集(準備編)』を開設した。

★リンクはこちら⇒ 令和3年分確定申告特集(準備編)

2021年12月21日


短期退職手当等Q&A

国税庁は、『短期退職手当等Q&A』を公表した。

所得税法等の一部を改正する法律(令和3年法律第11号)により、役員等以外の者としての勤続年数が5年以下である者に対する退職手当等(短期退職手当等)について、その退職所得金額の計算方法が改正され、令和4年1月1日から施行されることから、短期退職手当等に関する質疑応答事例を取りまとめた。

(注)この資料は、令和3年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成されている。

★リンクはこちら⇒ 短期退職手当等Q&A

2021年11月15日


請求人の事業所得の金額を推計するに当たり、原処分庁が採用した類似同業者の抽出基準及び抽出方法に一応の合理性があるとした事例

  • ①平成26年分、平成28年分、平成29年分及び平成30年分の所得税及び復興特別所得税の各決定処分並びに無申告加算税の各賦課決定処分
  • ②平成27年分の所得税及び復興特別所得税の決定処分
  • ③平成26年1月1日から平成26年12月31日まで、平成27年1月1日から平成27年12月31日まで、平成28年1月1日から平成28年12月31日まで、平成29年1月1日から平成29年12月31日まで及び平成30年1月1日から平成30年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各決定処分並びに無申告加算税の各賦課決定処分
  • ①一部取消し、棄却
  • ②一部取消し
  • ③一部取消し、棄却
  • 令和3年3月4日裁決

<ポイント>
本事例は、推計の基礎数値である収入金額の異動により、審判所の認定額が原処分額を下回ったため、原処分の一部を取り消したものである。

<要旨>
請求人は、請求人の事業は自動車整備業のみで、自動車販売は附帯的に行っているだけであるから、原処分庁が、自動車整備業及び自動車販売業を営む者を類似同業者の抽出基準としていることには合理性がない旨主張する。

しかしながら、請求人は、自動車整備業だけでなく自動車の販売も行っていると認められる以上、原処分庁が、類似同業者の抽出基準において、自動車整備業及び自動車販売業を営む者を請求人の類似同業者としたことは相当である。

なお、請求人の収入金額の異動により、審判所の認定額が原処分額を下回ったため、原処分の一部を取り消した。

★リンクはこちら⇒ 請求人の事業所得の金額を推計するに当たり、原処分庁が採用した類似同業者の抽出基準及び抽出方法に一応の合理性があるとした事例

2021年11月12日


パンフレット「暮らしの税情報」(令和3年度版)

このパンフレットは、令和3年4月1日現在の法令等に基づいて作成されている。

下記リンクの各項目をクリックすると、パンフレットの該当ページがご覧いただける。

パンフレットは、7月中旬頃、各税務署の窓口に設置している。

★リンクはこちら⇒ パンフレット「暮らしの税情報」(令和3年度版)

2021年8月18日


「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達 課個3-9 課法11-22 課審5-2 令和3年6月25日)

標題のことについては、下記のとおり定めたから、これによられたい。

昭和45年7月1日付直審(所)30「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)のうち、別紙「新旧対照表」の「改正前」欄に掲げる部分を「改正後」欄のように改める。

(趣旨)
保険契約等に関する権利の評価の取扱いについて、適正化を図るものである。

★リンクはこちら⇒ 「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達 課個3-9 課法11-22 課審5-2 令和3年6月25日)

2021年7月9日


請求人が経営する診療所の勤務医を診療協力として別病院の診療に従事させたことに伴い当該別病院から支給を受ける協力金は、措置法第10条の5の3第2項第3号(雇用者等給与支給額が増加した場合の所得税額の特別控除)括弧書きに規定する「その給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額」に該当するとした事例

  • 平成29年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和2年7月7日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が雇用する勤務医に対して、(賞与を支給する定めがないにもかかわらず)給与とは別に診療協力回数に応じて支給していた賞与が、租税特別措置法(平成29年法律第4号による改正前のもの)第10条の5の3《雇用者給与等支給額が増加した場合の所得税額の特別控除》(本件特別控除)に規定する「その給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額」に該当すると判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が経営する診療所に勤務する医師(勤務医)を診療協力として別病院の外来患者の診療に従事させたことに伴い当該別病院から請求人が支払を受ける協力金(本件協力金)について、①当該別病院が委託費として経理処理していること、また、②当該別病院の経理担当者が「勤務医の給与に充てるために(請求人に)支払ったものではない」旨証言していることを理由に、本件特別控除に規定する「その給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額」に該当しないから、請求人は本件特別控除の適用を受けることができない旨主張する。

しかしながら、請求人と勤務医との雇用契約に賞与を支給する定めがないにもかかわらず、請求人が勤務医に対して当該診療協力の回数に応じて賞与を支給していたことは、当該勤務医が診療協力に従事し、本件協力金の支払を受けたために他ならないことから、本件協力金は、勤務医に対する賞与に充てるために当該別病院から支払を受けたものと認められる。

したがって、本件協力金は、租税特別措置法第10条の5の3第2項第3号括弧書きに規定する「その給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額」に該当する。

★リンクはこちら⇒ 請求人が経営する診療所の勤務医を診療協力として別病院の診療に従事させたことに伴い当該別病院から支給を受ける協力金は、措置法第10条の5の3第2項第3号(雇用者等給与支給額が増加した場合の所得税額の特別控除)括弧書きに規定する「その給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額」に該当するとした事例

2021年4月15日


イメージデータで提出可能な添付書類(所得税確定申告等)

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★リンクはこちら⇒ イメージデータで提出可能な添付書類(所得税確定申告等)

2021年3月17日


雑所得の業務に係るもの

雑所得は、令和元年度までは公的年金等とその他とに分けられていたが、令和2年度から新規に『業務に係るもの』が加わった。

総収入金額-必要経費=その他の雑所得

(注)
業務に係るものとは、副業に係る収入のうち営利を目的とした継続的なものをいう。
令和4年以後の所得税において、業務に係る雑所得を有する場合で、その年の前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超える方は、現金預金取引等関係書類を保存しなければならないこととされている。

★リンクはこちら⇒ No.1500 雑所得

2021年2月26日


固定資産税の前納奨励金

事業用固定資産に係る前納報奨金は、事業所得として申告する。

また、賃貸不動産に係る前納報奨金は、不動産所得として申告する。

その他、業務用以外の固定資産に係る前納報奨金は、一時所得として申告する。

★リンクはこちら⇒ 固定資産税の前納奨励金

2021年2月9日


令和2年分の申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の申告・納付期限の延長

今般、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言の期間が令和2年分所得税の確定申告期間(令和3年2月16日~3月15日)と重なることを踏まえ、十分な申告期間を確保して確定申告会場の混雑回避の徹底を図る観点から、申告所得税(及び復興特別所得税)、贈与税及び個人事業者の消費税(及び地方消費税)の申告期限・納付期限について、全国一律で令和3年4月15日(木)まで延長することとされた。

これに伴い、申告所得税及び個人事業者の消費税の振替納税を利用している方の振替日についても、下記のとおり延長されることとなった。

<申告期限・納付期限>

税 目 当 初 延 長 後
申 告 所 得 税 令和3年3月15日(月) 令和3年4月15日(木)
個人事業者の消費税  令和3年3月31日(水)
贈   与   税 令和3年3月15日(月)

<振替日>

税 目 当 初 延 長 後
申 告 所 得 税 令和3年4月19日(月) 令和3年5月31日(月)
個人事業者の消費税 令和3年4月23日(金) 令和3年5月24日(月)

確定申告会場については、レイアウト・運営方法を昨年とは大幅に見直しており、換気・消毒・距離確保といった感染症対策や時間指定の入場整理券の導入等により三密回避を徹底することで、安心して相談いただける環境整備を進めている。

なお、令和3年3月16日(火)以降は、会場によっては相談スペースの確保に制約が生じることも予想される。会場での申告相談を希望の方は、申告の準備が整い次第、可能な範囲内でお早めの来場をお願いいしたい。

(参考)確定申告会場への来場を検討されている方へ
また、申告や相談に当たっては、ご自宅等からも e-Tax や電話相談・チャットボットを利用できるので、感染症対策の観点からもぜひ利用してください。

★リンクはこちら⇒ 令和2年分の申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の申告・納付期限の延長

2021年2月8日


国外財産調書制度に関するお知らせ

国税庁は、「国外財産調書制度(FAQ)を更新した。

★リンクはこちら⇒ 国外財産調書制度に関するお知らせ

2021年1月26日


振替依頼書及びダイレクト納付利用届出書(個人)のオンライン提出について

令和3年1月から、個人の方の振替依頼書及びダイレクト納付利用届出書をe-Taxで提出可能となった。

パソコンやスマートフォンからe-Tax(Web版・SP版)にログインし、入力画面に沿って必要事項を入力することにより、振替依頼書等の記入や金融機関届出印の押印なしに、オンラインで振替依頼書等を提出できるようになった。

なお、振替依頼書等のオンライン提出においては、金融機関の外部サイトにより利用者認証を行うので、電子送信時に電子署名及び電子証明書の添付は不要となる。

振替依頼書については、「申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税(個人事業者)の振替納税手続による納付」をご確認のこと。

ダイレクト納付利用届出書については、「ダイレクト納付の手続」をご確認のこと。

★リンクはこちら⇒ 振替依頼書及びダイレクト納付利用届出書(個人)のオンライン提出について

2021年1月21日


財産債務調書制度に関するお知らせ

国税庁は、「財産債務調書制度(FAQ)を更新した。

★リンクはこちら⇒ 財産債務調書制度に関するお知らせ

2021年1月15日


暗号資産に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和2年12月)

暗号資産を売却又は使用することにより生ずる利益については、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分され所得税の確定申告が必要となる。

詳しくは、下記リンクの情報をご確認のこと。

★リンクはこちら⇒ 暗号資産に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和2年12月)

2021年1月14日


入場整理券による申告相談体制への移行のお知らせ

令和2年分確定申告については、確定申告会場の混雑緩和を図るため、確定申告会場への入場には、入場できる時間枠が指定された「入場整理券」が必要となる。

なお、現在実施している事前予約による申告相談は、令和2年12月をもって一時終了し、税務署ごとに順次、入場整理券による申告相談体制に移行していく。

ちなみに、香川県内の各税務署における入場整理券による申告相談体制への移行日は、以下のとおり。

※オンライン事前発行の申込は、令和3年1月12日(火)以降順次開始する。

税務署名 移行日
高松税務署 令和3年1月18日(月)
丸亀税務署 令和3年2月1日(月)
坂出税務署 令和3年2月1日(月)
観音寺税務署 令和3年2月1日(月)
長尾税務署 令和3年2月1日(月)
土庄税務署 令和3年2月1日(月)

★リンクはこちら⇒ 入場整理券による申告相談体制への移行のお知らせ

2021年1月12日


令和2年分確定申告特集

国税庁は、ホームページに「令和2年分確定申告特集」を開設した。

★リンクはこちら⇒ 令和2年分確定申告特集

2021年1月7日


譲渡した土地上に存する2棟の家屋は独立しており、租税特別措置法第35条第1項に規定する特例対象土地は、家屋の建築面積に近似する床面積で按分した居住用家屋の敷地部分に限られるとした事例

  • 平成28年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和2年6月19日裁決

<ポイント>
本事例は、譲渡した土地上の2棟の家屋が2階部分で接合されていたとしても、それぞれ独立した居住用家屋であり、併せて一構えの一の家屋であるとは認められない。

本件特例の対象となる土地に係る譲渡所得の金額は、譲渡した土地の譲渡所得の収入金額に、各家屋の建築面積に近似する床面積の合計に占める本件甲家屋(請求人が所有し居住用に供していた家屋)の建築面積に近似する床面積の割合を乗じて算出することが合理的としたものである。

<要旨>
請求人は、譲渡した土地上に、請求人が所有し居住用に供していた家屋(本件甲家屋)と子が所有する家屋(本件乙家屋)の2棟が存するが、これらの家屋は併せて一構えの一の家屋と認められるから、いずれの家屋の敷地も租税特別措置法第35条《居住用財産の譲渡所得の特別控除》第1項の規定(本件特例)の適用がある旨主張する。

しかしながら、各家屋は、それぞれ、玄関、台所、風呂及び便所を備え、電気、ガス、水道及び固定電話回線の各設備を有し、その規模、構造、間取り、設備等の状況からすれば、各家屋はそれぞれ独立した居住用家屋であることから、併せて一構えの一の家屋であるとは認められず、本件乙家屋敷地について本件特例を適用することはできない。

そして、本件特例の対象となる土地(本件甲家屋の敷地)に係る譲渡所得の金額は、譲渡した土地の譲渡所得の収入金額に、各家屋における各階の登記上の床面積のうち、建築面積に近似する最も広い床面積を、両家屋の各建築面積として用いるのが合理的であり、各家屋の建築面積に近似する床面積の合計に占める本件甲家屋の建築面積に近似する床面積の割合を乗じて算出することが合理的である。

★リンクはこちら⇒ 譲渡した土地上に存する2棟の家屋は独立しており、租税特別措置法第35条第1項に規定する特例対象土地は、家屋の建築面積に近似する床面積で按分した居住用家屋の敷地部分に限られるとした事例

2021年1月5日


請求人と同人が代表である法人との間で締結された請求人所有の土地の賃貸借契約について、契約書に記載された契約期間後まで契約書記載の賃料収入が維持されていたとは認められないとした事例

  • ①平成25年分以後の所得税の青色申告の承認の取消処分 棄却
  • ②平成25年分から平成29年分の所得税及び復興特別所得税の各決定処分並びに無申告加算税の各賦課決定処分 →全部取消し、一部取消し、棄却
  • ③平成25年1月1日から平成29年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各決定処分並びに無申告加算税の各賦課決定処分 →全部取消し、一部取消し、棄却
  • 令和2年4月21日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人と同人が代表である法人との間で締結された請求人所有の土地の賃貸借契約について、当該契約に係る契約書に記載された契約期間後まで当該契約書記載の賃料収入が維持されていたとは認められず、請求人主張額の賃料収入があったと認めるのが相当であり、他方でこれを上回る賃料収入があったことを認めるに足る証拠はないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が同人が代表取締役である法人(本件法人)と過去に請求人所有の土地(本件土地)に係る賃貸借契約(本件契約)を締結し、本件契約に係る契約書に記載された契約期間(本件契約期間)後、本件法人が、本件土地を別法人に転貸する旨の契約を締結して賃料収入を得ていたことからすると、請求人と本件法人は本件契約を更新していたと推認することができるとして、請求人は、本件契約期間後も本件契約に定める賃料の金額を本件法人から賃料収入として得ていた旨主張する。

しかしながら、本件契約期間後の期間における契約書等の客観的証拠はなく、本件契約期間後の期間における契約が、賃料も含めて本件契約の条件と同一内容で更新されたものであったと認めることはできない一方、請求人は本件法人から得た本件土地の賃料収入について、その具体的金額等を当審判所に対し証拠として提出していることからすると、少なくとも同金額の賃料収入があったと認めるのが相当であり、他方で、これを上回る賃料収入があったことを認めるに足る証拠はない。

★リンクはこちら ⇒ 請求人と同人が代表である法人との間で締結された請求人所有の土地の賃貸借契約について、契約書に記載された契約期間後まで契約書記載の賃料収入が維持されていたとは認められないとした事例

2020年12月28日


令和2年分所得税の確定申告関係書類

国税庁は、「令和2年分所得税の確定申告関係書類」をホームページに掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 令和2年分所得税の確定申告関係書類

2020年12月24日


令和2年分確定申告特集(準備編)

国税庁は、「令和2年分確定申告特集(準備編)」を開設した。

★リンクはこちら ⇒ 令和2年分確定申告特集(準備編)

2020年12月17日


チャットボット(ふたば)に質問する

所得税の確定申告や年末調整に関する疑問は、国税庁のチャットボットの税務職員ふたばにお気軽にご相談のこと。

医療費控除や住宅ローン控除など問い合わせが多いご質問について、入力すると自動回答してくれる。

土日、夜間でも利用できる。

チャットボットとは、「チャット(会話)」と「ロボット」を組み合わせた言葉で、ご質問したいことをメニューから選択するか、自由に文字で入力すると、AI(人工知能)を活用して自動で回答する。

<チャットボットの利用可能期間>
・年末調整に関するご相談
令和2年10月28日(水)から令和2年12月28日(月)まで

・所得税の確定申告に関するご相談
令和3年1月12日(火)から
※24時間利用できる(メンテナンス時間を除く)。

<チャットボットの相談範囲>
チャットボットは、以下の相談に対応している。
“年末調整” に関する相談
主に従業員の方が年末調整の各種申告書を作成する際に問合せが多い以下の事項に対応している。
・年末調整の各種申告書の内容、書き方、添付する書類に関すること
・年末調整で適用される控除に関すること
・令和2年分の税制改正に関すること
・転職をした場合や育児休業を取得した場合など、その方の状況に応じて行う年末調整の手続に関すること など

“所得税の確定申告” に関する相談 
・確定申告の手続に関すること
・給与所得、年金の所得に関すること
・配当所得、株式の譲渡所得に関すること
・医療費控除、住宅ローン控除に関すること
・社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除(ふるさと納税)、雑損控除、寡婦・ひとり親控除、勤労学生控除、障害者控除、配偶者(特別)控除、扶養控除、基礎控除に関すること
・e-Taxや確定申告書等作成コーナーの操作に関すること
・令和2年分の税制改正に関すること

★リンクはこちら ⇒ チャットボット(ふたば)に質問する

2020年12月16日


令和2年分確定申告期の確定申告会場のお知らせ

令和2年分の所得税等の確定申告の相談及び申告書の受付は、令和3年2月16日(火)から3月15日(月)までである。

なお、本年は、新型コロナウイルス感染症対策の一環として、一部の税務署(確定申告会場)においては、開設期間を拡大している。

税務署の閉庁日(土・日曜・祝日等)は、通常、相談及び申告書の受付は行っていないが、一部の税務署(確定申告会場)においては、2月21日(日)と2月28日(日)に限り、確定申告の相談及び申告の受付を行う。

<香川県内の確定申告会場(土・日曜・祝日等を除く)>

税務署名 確定申告会場 確定申告会場所在地 開設期間
高松 高松シンボルタワー
(ホール棟1階)展示場
高松市サンポート2番1号 2/16~3/15
丸亀 丸亀税務署 丸亀市大手町二丁目1番23号 2/16~3/15
坂出 坂出税務署 坂出市京町二丁目6番27号
坂出合同庁舎
2/16~3/15
観音寺 観音寺税務署 観音寺市坂本町六丁目2番7号 2/16~3/15
長尾 長尾税務署 さぬき市長尾西871番地1 2/16~3/15
土庄 土庄税務署 小豆郡土庄町甲6192番地2 2/16~3/15

<令和3年2月21日(日)及び2月28日(日)に確定申告の相談等を行う高松国税局内の税務署>

都道府県 税務署名等
徳島県 徳島
香川県  高松 
愛媛県 松山
高知県 高知

★リンクはこちら ⇒ 令和2年分確定申告期の確定申告会場のお知らせ

2020年12月14日


人間ドック等の補助に係る経済的利益について、本件におけるカフェテリアプランは換金性のあるプランとは認められないから、源泉徴収義務はないとした事例

  • 平成28年7月から同年12月まで及び平成29年5月から同年7月までの各月分の各納税告知処分
  • 平成29年1月から同年4月までの各月分の各納税告知処分及び不納付加算税の各賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 令和2年1月20日裁決

<ポイント>
本事例は、財形貯蓄補助金メニューが含まれていることをもって、換金性のあるカフェテリアプランであることにはならないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、本件におけるカフェテリアプラン(本件プラン)には財形貯蓄補助金メニューが含まれており、本件プランは換金性のあるプランと認められ、本件プランにおける各経済的利益(本件各経済的利益)の全てが源泉所得税等の課税対象になるから、請求人の被合併法人であるA社には人間ドック等の補助に係る経済的利益について源泉徴収義務がある旨主張する。

しかしながら、本件プランにおいて、①各使用人が本件各経済的利益として受ける額は、各使用人の職務上の地位や報酬額に比例して異なるものではなく、福利厚生費として社会通念上著しく多額であるとは認められず、②当該財形貯蓄補助金メニューは、各使用人のうち一定の期間内に財形貯蓄をした使用人に対してその補助として金銭が支給されるものであり、何ら要件なく各使用人に付与されたポイントを金銭に換えることを内容とするものとは認められず、③当該財形貯蓄補助金メニュー以外の各メニューについても、一定の要件を充足しなければ補助等を受けられないものであり、自由に品物を選択できるとか、何ら要件なく金銭や商品券等の支給を受けることを選択できることを内容とするものではなく、残ポイントがある場合に当該残ポイントに相当する金銭が支給されるものでもない。

以上のことからすると、本件プランは、ポイントを現金に換えられるなど換金性のあるプランとは認められず、本件各経済的利益については、各使用人が選択した現に受ける補助等の内容に応じて、課税対象となるか判断することになる。

したがって、A社には当該人間ドック等の補助に係る経済的利益について源泉徴収義務はないと認められる。

★リンクはこちら ⇒ 人間ドック等の補助に係る経済的利益について、本件におけるカフェテリアプランは換金性のあるプランとは認められないから、源泉徴収義務はないとした事例

2020年11月6日


請求人が相続により取得した上場株式の譲渡所得に係る取得費は、当該株式の被相続人への名義書換日を取得時期とし、その時期の相場(終値)によって算定することも合理的な取得費の推定方法であると判断した事例

  • 平成28年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分
  • 一部取消し
  • 令和元年11月28日裁決

<ポイント>
本件は、請求人が相続により取得した上場株式の譲渡所得の計算上、控除する取得費に算入する金額は、当該株式の被相続人への名義書換日を確認し、当該名義書換日の終値により算定することも合理性を有する取得価額の把握方法であると判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が相続により取得した上場株式(本件株式)の取得費について、できる限りの調査を尽くしたものの、有償で取得した上場株式等はごく一部であり、大部分の上場株式等の実際の取得価額は判明しなかった旨主張する。

しかしながら、名義書換日が判明している株式については、当該名義書換日を取得時期とし、その時期の相場(終値)で取得価額を算定することも、明確かつ簡便な推定方法として合理的であると解されるから、本件株式の取得費は概算取得費によらず、総平均法に準ずる方法により算定すべきである。

★リンクはこちら ⇒ 請求人が相続により取得した上場株式の譲渡所得に係る取得費は、当該株式の被相続人への名義書換日を取得時期とし、その時期の相場(終値)によって算定することも合理的な取得費の推定方法であると判断した事例

2020年6月29日


新型コロナウイルス感染症に関連して使用人等が使用者から支給を受ける見舞金の所得税の取扱いについて(法令解釈通達)

標題のことについては、下記のとおり定めたから、これによられたい。

なお、この通達による取扱いについては、個々の具体的事案に妥当する処理を図るよう努められたい。

(趣旨)
新型コロナウイルス感染症に関連して使用人等が使用者から支給を受ける見舞金について、所得税法施行令第30条((非課税とされる保険金、損害賠償金等))の規定により非課税所得とされる見舞金に該当するものの範囲を明らかにするものである。

(用語の意義)
1.この通達において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ次に定めるところによる。

(1)新型コロナウイルス感染症
新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号)附則第1条の2第1項((新型コロナウイルス感染症に関する特例))に規定する新型コロナウイルス感染症をいう。
(2)使用人等
役員(法人税法第2条第15号((定義))に規定する役員をいう。)又は使用人をいう。
(3)緊急事態宣言
新型インフルエンザ等対策特別措置法第32条第1項((新型インフルエンザ等緊急事態宣言等))に規定する新型インフルエンザ等緊急事態宣言をいう。
(4)給与等
所得税法第28条第1項((給与所得))に規定する給与等をいう。

(非課税とされる見舞金の範囲)
2.新型コロナウイルス感染症に関連して使用人等が使用者から支給を受ける見舞金のうち次に掲げる要件のいずれも満たすものは、所得税法施行令第30条の規定により非課税所得に該当することに留意する。

(1) その見舞金が心身又は資産に加えられた損害につき支払を受けるものであること
(2) その見舞金の支給額が社会通念上相当であること
(3) その見舞金が役務の対価たる性質を有していないこと

(注)緊急事態宣言が解除されてから相当期間を経過して支給の決定がされたものについては、非課税所得とされる見舞金に該当しない場合があることに留意する。

(心身又は資産に加えられた損害につき支払を受けるもの)
3.上記2(1)の「心身又は資産に加えられた損害につき支払を受けるもの」とは、例えば次のような見舞金が含まれることに留意する。

(1) 使用人等又はこれらの親族が新型コロナウイルス感染症に感染したため支払を受けるもの
(2) 緊急事態宣言の下において事業の継続を求められる使用者の使用人等で次のイ及びロに該当する者が支払を受けるもの(当該緊急事態宣言がされた時から解除されるまでの間に業務に従事せざるを得なかったことに基因して支払を受けるものに限る。)
多数の者との接触を余儀なくされる業務など新型コロナウイルス感染症に感染する可能性が高い業務に従事している者
緊急事態宣言がされる前と比較して、相当程度心身に負担がかかっていると認められる者
(注) 事業の継続が求められる使用者に該当するかどうかの判定に当たっては、新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針(令和2年3月28日新型コロナウイルス感染症対策本部決定)参照
(3) 使用人等又はこれらの親族が新型コロナウイルス感染症に感染するなどしてその所有する資産を廃棄せざるを得なかった場合に支払を受けるもの

(社会通念上相当の見舞金)
4.上記2(2)の「社会通念上相当」であるかどうかについては、次に掲げる事項を勘案して判断することに留意する。

(1) その見舞金の支給額が、使用人等ごとに新型コロナウイルス感染症に感染する可能性の程度や感染の事実(5において「感染の可能性の程度等」という。)に応じた金額となっており、そのことが使用者の慶弔規程等において明らかにされているかどうか。
(2) その見舞金の支給額が、上記(1)の慶弔規程等や過去の取扱いに照らして相当と認められるものであるかどうか。

(役務の対価たる性質を有していないこと)
5.例えば次のような見舞金は、上記2(3)の「役務の対価たる性質を有していない」ものには該当しないことに留意する。

(1) 本来受けるべき給与等の額を減額した上で、それに相当する額を支給するもの
(2) 感染の可能性の程度等にかかわらず使用人等に一律に支給するもの
(3) 感染の可能性の程度等が同じと認められる使用人等のうち特定の者にのみ支給するもの
(4) 支給額が通常の給与等の額の多寡に応じて決定されるもの

★リンクはこちら ⇒ 新型コロナウイルス感染症に関連して使用人等が使用者から支給を受ける見舞金の所得税の取扱いについて(法令解釈通達)

2020年6月17日


租税特別措置法施行令第25条の16第1項第2号所定の「当該譲渡をした資産の当該課税価格の計算の基礎に算入された金額」は本件各土地の相続税の課税価格に算入された価格に基づく金額であるとした事例

  • 平成27年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分
  • 一部取消し
  • 令和元年7月5日裁決

<ポイント>
本事例は、租税特別措置法施行令第25条の16第1項第2号所定の「当該譲渡をした資産の当該課税価格の計算の基礎に算入された金額」は本件各土地の自用地としての価額に借地権割合を乗じた金額ではなく、相続税の課税価格に算入された本件各土地の貸家建付地としての価額に借地権割合を乗じた金額となると判断したものである。

<要旨>
請求人は、各土地(本件各土地)に借地権を設定したのであるから、租税特別措置法施行令第25条の16第1項第2号所定の「譲渡をした資産」は、本件各土地の自用地としての価額に借地権割合を乗じた金額となるのであって、当該金額は、本件各土地の相続税評価額を上回ることとなることから、結局、「譲渡をした資産の当該課税価格の計算の基礎に算入された価額」は、本件各土地の相続税評価額の全額となる旨主張する。

しかしながら、当該課税価格とはあくまで本件各土地に係る相続税の課税価格に算入された価格に基づく金額であって、本件の場合、「当該課税価格の計算の基礎に算入された価額」は貸家建付地評価額である。

また、本件においては、各借地権(本件各借地権)が本件各土地の全体に占める割合(本件割合)と本件土地の周辺地域の借地権割合とを併せ考慮すれば、本件各借地権の設定契約により譲渡したものとみなされる本件各借地権の設定に係る対価は、本件各土地の権利の本件割合相当分に当たるものと認められる。

したがって、「譲渡をした資産の当該課税価格の計算の基礎に算入された価額」として本件各借地権が本件各土地の相続税の課税価格のうちに占める価額とは、本件各土地が相続税の課税価格の計算の基礎に算入された価額すなわち貸家建付地評価額に本件割合を乗じた価額となる。

ただし、譲渡費用の一部が計上漏れとなっていることが認められることから、本件更正処分の一部を取り消すことが相当である。

★リンクはこちら ⇒ 租税特別措置法施行令第25条の16第1項第2号所定の「当該譲渡をした資産の当該課税価格の計算の基礎に算入された金額」は本件各土地の相続税の課税価格に算入された価格に基づく金額であるとした事例

2020年5月15日


労務の対価として相当と認められる金額は、請求人が必要経費に算入した青色事業専従者給与の金額ではなく、類似同業者の青色事業専従者給与額の平均額であるとした事例

  • 平成26年分及び平成28年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和元年9月6日裁決

<ポイント>
請求人が必要経費に算入した青色事業専従者給与の金額は、請求人の類似同業者に従事する青色事業専従者の給与の金額の平均額と比較すると、労務の対価として相当なものとは認められないため、請求人が必要経費に算入した青色事業専従者給与の金額のうちの労務の対価として相当と認められる金額に当たる類似同業者の青色事業専従者給与額の平均額を上回る部分は、事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできないと判断したものである。

<要旨>
請求人は、青色事業専従者である配偶者(本件配偶者)に対して支払った給与の金額(本件青色専従者給与額)が、本件配偶者の労務の性質及びその提供の程度からすれば、労務の対価として相当と認められるもの(適正給与相当額)である旨主張する。

しかしながら、本件配偶者の適正給与相当額は、本件配偶者の労務の性質が、請求人の事業に従事する本件配偶者以外の使用人(本件使用人)とは異なる上、本件配偶者の労務の提供の程度が明らかでないことから、本件使用人の給与の金額と比較してその該当性を検討することは相当でなく、また、本件青色事業専従者給与額は、類似同業者の青色事業専従者(本件類似青色事業専従者)の給与の額の平均額と比較すると、適正給与相当額とは認められず、本件の適正給与相当額は本件類似青色事業専従者の給与の額の平均額と認められるから、本件青色専従者給与額のうち本件類似青色事業専従者の給与の額の平均額を上回る部分は、事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。

なお、一部取消しは、原処分庁が採用した本件類似青色事業専従者の抽出基準の一部が相当でなかったことから、その点を見直した結果である。

★リンクはこちら ⇒ 労務の対価として相当と認められる金額は、請求人が必要経費に算入した青色事業専従者給与の金額ではなく、類似同業者の青色事業専従者給与額の平均額であるとした事例

2020年5月11日


請求人らが賃貸の用に供していた土地の上に存する当該土地の賃借人所有の建物収去のための請求人らの支出は、客観的にみて、請求人らの不動産所得を生ずべき業務と直接関係し、かつ、業務の遂行上必要なものであったといえるから、不動産所得の金額の計算上必要経費に算入することができるとした事例

  • 平成28年分所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 令和元年9月20日裁決

<ポイント>
本事例は、賃貸の用に供していた土地の上に存する当該土地の賃借人所有の建物収去のための請求人らの支出について、不動産所得の金額の計算上必要経費に算入できると判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人らが賃貸していた土地(本件土地)は、賃貸借契約により請求人らの事業の用に供されていない資産であるから、本件土地の上に存する本件土地賃借人所有の各建物(本件各建物)を収去するため請求人らが支出した費用(本件各建物収去費)は、所得税法第45条《家事関連費等の必要経費不算入等》第1項の家事上の経費に該当し、不動産所得の金額の計算上必要経費に算入できない旨主張する。

しかしながら、請求人らは、一連の法的手続を執ることにより賃料を支払わない賃借人から本件土地の明渡しを受け、それと並行して新たな賃借人への貸付けに取り掛かり、また、この間、本件土地を賃貸業務以外の用途に転用したことをうかがわせる事情も認められないことからすれば、本件土地の貸付けに係る業務は、賃貸借契約終了後、本件各建物の収去に至るまで継続していたものと認められる。

加えて、請求人らは、本件土地から収益を得る業務を遂行するには、本件各建物を収去する必要があり、その費用について自らが負担することを想定して上記法的手続を遂行し、本件各建物収去費を支出したところ、実際にも、賃借人は無資力であり、当該支出の時点において、請求又は事後的に求償しても、およそ回収が見込めない状況にあったのであり、客観的にみても、本件各建物収去費は、請求人らにおいて、自ら負担するほかなかったものと認められる。

そうすると、本件各建物収去費の支出は、客観的にみて、請求人らの不動産所得を生ずべき業務と直接関係し、かつ、業務の遂行上必要なものであったといえるから、不動産所得の金額の計算上必要経費に算入することができる。

★リンクはこちら ⇒ 請求人らが賃貸の用に供していた土地の上に存する当該土地の賃借人所有の建物収去のための請求人らの支出は、客観的にみて、請求人らの不動産所得を生ずべき業務と直接関係し、かつ、業務の遂行上必要なものであったといえるから、不動産所得の金額の計算上必要経費に算入することができるとした事例

2020年5月8日


外国法人の事業分割に伴う株式の交付が配当所得に該当するとした事例

  • 平成27年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和元年8月1日裁決

<ポイント>
本事例は、外国法人の事業分割に伴い日本の居住者に交付された株式について、当該事業分割は法人税法第2条第12号の9に規定する分割型分割によるものに当たらず、所得税法第24条第1項に規定する剰余金の配当に該当するとしたものである。

<要旨>
請求人は、自らが株式を保有していた米国法人が事業分割(本件事業分割)し、2社の独立した法人となったことにより、新たに事業を承継した法人の株式(本件株式)の交付を受けたことについて、当該米国法人の事業分割前の株価と事業分割後の米国法人2社の株価の合計額とがほぼ同等であり、当該分割の前後において、全体としての株式の価値の増減は見られないこと、本件事業分割について、米国の課税上、米国法人2社双方の株主が非課税扱いとされていたことからすれば、本件株式の交付により請求人は所得を得ておらず、我が国の所得税法第24条《配当所得》第1項に規定する剰余金の配当に該当しない旨主張する。

しかしながら、本件株式は、当該米国法人の株主としての地位を有する者に対し、当該米国法人の利益剰余金を原資として交付されたものと認められる。

また、米国における課税上の取扱いが我が国の課税上の取扱いに影響を及ぼすことはない。

加えて、本件事業分割は、我が国の会社法上の分割に相当する法的効果を具備するとはいえず、法人税法第2条《定義》第12号の9に規定する分割型分割には当たらないというべきであるから、本件株式の交付は所得税法第24条第1項に規定する剰余金の配当に該当する。

★リンクはこちら ⇒ 外国法人の事業分割に伴う株式の交付が配当所得に該当するとした事例

2020年4月27日


個人が企業発行ポイントを取得又は使用した場合の取扱い

Q
私は、ドラッグストアで商品を購入する際に、同ストアが発行するポイントの付与を受けた。
このポイントは、次回以降の買い物の際に、1ポイント1円に換算して、決済代金の値引きや景品との交換などに使用できるものである。
その後、そのポイントを商品購入の際に使用したが、私が取得又は使用したポイントについて、所得税の確定申告は必要になるか?

A
原則として、確定申告をする必要はない。

<説明>
商品購入に対する通常の商取引における値引きを受けたことによる経済的利益については、原則として課税対象となる経済的利益には該当しないものとして取り扱っている。

一般的に企業が発行するポイントのうち決済代金に応じて付与されるポイントについては、そのポイントを使用した消費者にとっては通常の商取引における値引きと同様の行為が行われたものと考えられるので、こうしたポイントの取得または使用については、課税対象となる経済的利益には該当しないものとして取り扱うこととしている。

(注)ポイント付与の抽選キャンペーンに当選するなどして臨時・偶発的に取得したポイントについては、通常の商取引における値引きと同様の行為が行われたものとは考えられないので、そのポイントを使用した場合には、その使用したポイント相当額を使用した日の属する年分の一時所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。

<参考>
ポイントの使用に関する課税関係は上記のとおりであるが、ポイントを使用して医薬品購入の決済代金の値引きを受けた場合など、所得控除の対象となる支出にポイントを使用したことが明らかな場合には、①ポイント使用後の支払金額を基に所得控除額を計算する方法、②ポイント使用前の支払金額を基に所得控除額を計算するとともに、ポイント使用相当額を一時所得の総収入金額として算入する方法のいずれかの方法により、所得金額及び所得控除額を計算すること。

個人事業者の方が企業発行ポイントを取得または使用した場合の取扱いについては、次の資料を確認のこと。
・企業発行ポイントの使用に係る経理処理
・共通ポイント制度を利用する事業者(加盟店A)及びポイント会員の一般的な処理例
・事業者が商品購入時にポイントを使用した場合の消費税の仕入税額控除の考え方

★タックスアンサー No.1907 個人が企業発行ポイントを取得又は使用した場合の取扱いはこちら ⇒ タックスアンサー No.1907 個人が企業発行ポイントを取得又は使用した場合の取扱い

★企業発行ポイントの使用に係る経理処理はこちら ⇒ 企業発行ポイントの使用に係る経理処理

★共通ポイント制度を利用する事業者(加盟店A)及びポイント会員の一般的な処理例はこちら ⇒ 共通ポイント制度を利用する事業者(加盟店A)及びポイント会員の一般的な処理例

★タックスアンサー No.6480 事業者が商品購入時にポイントを使用した場合の消費税の仕入税額控除の考え方はこちら ⇒ タックスアンサー No.6480 事業者が商品購入時にポイントを使用した場合の消費税の仕入税額控除の考え方

2020年3月31日


請求人主張の推計方法が認められず、原処分庁が採用した推計方法は、一応の合理性があるとした事例

  • 平成22年分から平成24年分の所得税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分、平成25年分から平成28年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分、平成22年1月1日から平成28年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税(過少申告加算税は、平成24年1月1日から平成25年12月31日まで及び平成27年1月1日から平成28年12月31日までの各課税期間に係るもの)及び重加算税の各賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成31年4月24日裁決

<ポイント>
本事例は、原処分庁が採用した推計方法について、請求人が自身の主張する推計方法の方が真実の所得金額に近似するとの主張をしたものの認められず、原処分庁の推計方法は、一応の合理性を有するものと認めたものである。

<要旨>
請求人は、昼営業に係る注文伝票1枚当たりの単価(昼営業伝票単価)に注文伝票の購入枚数から客の注文等を記載する以外に使用した注文伝票の枚数(伝票ロス分)を控除した枚数を乗じて売上金額を算出するという原処分庁が採用した推計方法には合理性がない旨主張する。

しかしながら、①昼営業伝票単価を推計の基礎数値に用いることは、請求人の事業専従者が主に昼営業の売上げを計上しないものとして昼営業に係る注文伝票の一部をレジ入力せず破棄していたこと及び昼営業に係る来客者数が夜営業に係る来客者数を上回る請求人の事業の実態を反映するものであること、②昼営業伝票単価及び注文伝票の購入枚数は、いずれも当該事業における正常な業務の遂行のために作成された資料から正確に把握されること、③請求人の客への飲食物の提供方法である店内飲食、持帰り及び弁当販売の3つの形態のいずれについても必ず注文伝票が作成されており、注文伝票の使用枚数と売上金額とは高い相関関係があると認められること等から、原処分庁が採用した推計方法は、一応の合理性を有する。

また、請求人は、原処分庁が採用した推計方法よりも、おしぼりのレンタル本数及び弁当箱の購入個数から客に提供する以外の用途に使用する数量を控除した数量に、客単価を乗じて売上金額を算出するという推計方法の方が真実の所得金額に近似する旨主張する。

しかしながら、①請求人の主張する推計方法は、夜営業に係る来客者数よりも昼営業に係る来客者数の方が多いという請求人の事業の実態を反映するものではなく、②おしぼりのレンタル本数及び弁当箱の購入数量について、客に提供する以外の用途に使用する数量を認定するに足る具体的な証拠はなく見積りにより算出していることに加え、おしぼりの調理使用分について使用方法が変更されていることからすると、数値の正確性・連続性に欠けるおしぼりのレンタル本数及び弁当箱の購入数量を推計の基礎とすることはできないから、請求人の主張する推計方法の方が真実の所得金額に近似するということはできない。

なお、審判所の伝票ロス分の認定等に伴い、原処分の一部を取り消した。

★リンクはこちら ⇒ 請求人主張の推計方法が認められず、原処分庁が採用した推計方法は、一応の合理性があるとした事例

2020年3月18日


サンゴ漁に係る所得が平均課税の対象となる変動所得に当たるとした事例

  • 平成26年分及び平成27年分の所得税及び復興特別所得税の更正をすべき理由がない旨の各通知処分
  • 全部取消し
  • 令和元年5月28日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人の営むサンゴ漁に係る所得は「漁獲から生ずる所得」として変動所得に該当するとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が営むサンゴ漁について、①宝石サンゴは自ら移動せず水産植物と同様の生態であることや採取された宝石サンゴのほとんどは死滅した枯れ木であることなどから、所得税基本通達2-30《漁獲の意義》に定める「水産動物を捕獲すること」に当たらず、また、②宝石サンゴは他の水産動物とは異なり、天候等の自然現象によって漁獲高が変動しないことを理由に、所得税法第2条《定義》第1項第23号に規定する「漁獲」には該当せず、請求人が営むサンゴ漁に係る所得は変動所得に該当しない旨主張する。

しかしながら、平均課税制度の趣旨や変動所得に係る規定の改正経緯に照らすと、同号に規定する「漁獲」とは、水産物の捕獲又は採取を意味し海草等の水産植物の採取や養殖(水産養殖)はこれに含まれないと解されるところ、宝石サンゴは海中から採れる水産物(生物学上は動物に分類される。)であり、サンゴ漁は水産動物の捕獲又は採取にほかならないから同号に規定する「漁獲」に該当する。

したがって、請求人の営むサンゴ漁に係る所得は、「漁獲から生ずる所得」として変動所得に該当するというべきである。

★リンクはこちら ⇒ サンゴ漁に係る所得が平均課税の対象となる変動所得に当たるとした事例

2020年3月16日


~振替納税をご利用の方へ~口座からの振替日が、申告所得税は5月15日(金)、個人事業者の消費税は5月19日(火)になります

申告所得税及び個人事業者の消費税の振替納税をご利用の方の振替納付日については、申告期限・納付期限が令和2年4月16日(木)に延長されたことに伴い延長することとしていたが、申告所得税は5月15日(金)、個人事業者の消費税は5月19日(火)となった。

1.令和元年分申告所得税及び復興特別所得税

納期等の区分 納期限(延長後) 振替納付日(延長後)
確定申告 令和2年4月16日(木) 令和2年5月15日(金)

2.令和元年分消費税及び地方消費税(個人事業者)

納期等の区分 納期限(延長後) 振替納付日(延長後)
確定申告 令和2年4月16日(木) 令和2年5月19日(火)

※振替納税を初めて利用される方は、令和2年4月16日(木)までに所轄税務署または口座振替を利用する金融機関へ「預貯金口座振替依頼書」を提出していただく必要がある。
なお、振替納税による口座引落しができなかった場合は、令和2年4月17日(金)から延滞税がかかることになる。

3.令和元年分消費税及び地方消費税(個人事業者)の課税期間の3月特例適用分

納期等の区分 納期限(延長後) 振替納付日(延長後)
令和元年10月1日から
令和元年12月31日
令和2年4月16日(木)
令和2年5月19日(火)

4.令和元年分消費税及び地方消費税(個人事業者)の課税期間の1月特例適用分

納期等の区分 納期限(延長後) 振替納付日(延長後)
令和元年12月1日から
令和元年12月31日
令和2年4月16日(木) 令和2年5月19日(火)

5.令和2年分消費税及び地方消費税(個人事業者)の課税期間の1月特例適用分

納期等の区分 納期限(延長後) 振替納付日(延長後)
令和2年1月1日から
令和2年1月31日
令和2年4月16日(木) 令和2年5月19日(火)

(参考)
申告所得税の延納をご利用の場合、延納分の納期限及び振替日は令和2年6月1日(月)であり、変更はない。

★リンクはこちら ⇒ ~振替納税をご利用の方へ~口座からの振替日が、申告所得税は5月15日(金)、個人事業者の消費税は5月19日(火)になります

2020年3月13日


漢方薬等の購入費用が医療費控除の対象となる医療費に該当しないとした事例

  • 平成28年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和元年5月22日裁決

<ポイント>
本事例は、4種の漢方薬等がいずれも「治療又は療養に必要な医薬品」に該当せず、その購入費用は医療費控除の対象となる医療費に該当しないとしたものである。

<要旨>
請求人は、購入した4種の漢方薬等(本件漢方等)は、親族が治療に用いたものとして、いずれも所得税法第73条《医療費控除》第2項及び所得税法施行令第207条《医療費の範囲》第2号に規定する「治療又は療養に必要な医薬品」に該当し、その購入費用は、医療費控除の対象となる医療費に該当する旨主張する。

しかしながら、これらの規定に規定する「医薬品」は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)第2条《定義》第1項に規定する医薬品をいうものと解するのが相当であるところ、本件漢方等のうちの2種の製品については、製薬会社が健康補助食品として製造販売し、その使用目的が食用に限定されたものであること等からすると、同項に規定する「医薬品」に該当しない。

また、その他の2種の製品(本件医薬品)については、薬機法第2条第1項に規定する「医薬品」に該当するものの、虚弱体質や肉体疲労の場合などの滋養強壮を効能効果として、疲労回復や健康維持のために用いられ、医師の処方せんがなくても薬局等で購入可能なものであるところ、請求人提出資料並びに当審判所の調査及び審理の結果によれば、本件医薬品は、請求人の親族の「治療又は療養に必要な医薬品」でなかったというべきである。

したがって、本件漢方等は、いずれも所得税法第73条第2項及び所得税法施行令第207条第2号に規定する「治療又は療養に必要な医薬品」に該当せず、本件漢方等の購入費用は医療費控除の対象となる医療費に該当しない。

★リンクはこちら ⇒ 漢方薬等の購入費用が医療費控除の対象となる医療費に該当しないとした事例

2020年3月11日


期限延長の対象となる主な手続について

今般、政府の方針を踏まえ、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、申告所得税(及び復興特別所得税)、贈与税及び個人事業者の消費税(及び地方消費税)の申告期限・納付期限について、令和2年4月16日(木)まで延長することとされた。

これに伴い、申告所得税及び個人の消費税の振替納税を利用されている方の振替日についても、延長することとされている。

期限延長の対象となる主な手続についても、公表した。

申告・納付等の期限を延長する主な手続は次のとおり。

★リンクはこちら ⇒ 期限延長の対象となる主な手続について

2020年3月10日


社債と題する書面の額面金額と発行価額との差益は貸付金利息であると認められ、期間の経過により直ちに利息債権が発生し収入の原因となる権利が確定するものとした事例

  • 平成28年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和元年5月30日裁決

<ポイント>
本事例は、社債と題する書面の額面金額と発行価額との差益が貸付金利息であると認められ、期間の経過により直ちに利息債権が発生し収入の原因となる権利が確定するものと解されるから、当該差益のその年に対応するものについては、その年分の雑所得に係る総収入金額に算入すべきであるとしたものである。

<要旨>
請求人は、医療法人から発行を受けた社債と題する書面(本件債券)の額面金額と発行価額との差益(本件差益)について、本件債券の契約によると本件債券の償還日までは本件差益の支払を請求することができないから、本件差益の収入すべき時期は、本件債券の償還日である旨主張する。

しかしながら、本件債券の契約は、請求人と当該医療法人との間における当該償還日を弁済期として、請求人が払い込んだ金員(本件払込金)を貸し付けた契約(本件契約)であり、本件差益は、当該医療法人が本件契約成立時から弁済期までの間、本件払込金を使用することの対価、すなわち利息であると認められる。

そして、貸付金利息は、元本利用の対価であって元本が返還されるまで日々発生するものであるから、特段の事情のない限り、現実の支払の有無を問わず、期間の経過により直ちに利息債権が発生し収入の原因となる権利が確定するものと解される。

そうすると、本件差益のその年の1月1日から12月31日までの期間に対応する部分については、その年分の雑所得に係る総収入金額に算入すべきである。

なお、本件利息の計算に当たって、原処分庁は、一定の年複利率を用いて算出していないため、これにより当該総収入金額に算入すべき金額を計算すべきである。

★リンクはこちら ⇒ 社債と題する書面の額面金額と発行価額との差益は貸付金利息であると認められ、期間の経過により直ちに利息債権が発生し収入の原因となる権利が確定するものとした事例

2020年3月4日


申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の申告・納付期限の延長について

現在、全国の税務署においては、納税者の方が円滑かつ正確に申告書を作成していただけるよう、確定申告相談会場を開設し、申告所得税(及び復興特別所得税)、贈与税及び個人事業者の消費税(及び地方消費税)の申告相談に応じている。

今般、政府の方針を踏まえ、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、申告所得税(及び復興特別所得税)、贈与税及び個人事業者の消費税(及び地方消費税)の申告期限・納付期限(※)について、令和2年4月16日(木)まで延長することとした。

これに伴い、申告所得税及び個人の消費税の振替納税をご利用されている方の振替日についても、延長することとしている。

(※)申告期限・納付期限

申告所得税 令和2年2月17日(月)~令和2年3月16日(月)
個人事業者の消費税 令和2年1月6日(月)~令和2年3月 31日(火)
贈与税 令和2年2月3日(月)~令和2年3月16日(月)

なお、マイナンバーカードやお近くの税務署で発行する ID・パスワードがあれば、確定申告会場に出向くことなく、ご自宅等からスマホやパソコンなどでインターネットにより申告(e-Tax)していただくことが可能である。

国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」で、必要な事項を入力して、e-Taxで申告いただければ、医療費の領収書や寄附金の受領証などの書類を提出していただく必要がなく、大変便利である。

また、令和元年分の還付申告については、5年間申告することが可能であり、令和6年12月31日まで申告することが可能である。

(還付申告の例)
・ 給与所得者や公的年金受給者で、医療費控除・寄附金控除(ふるさと納税等)・住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)により還付を受けられる方等

詳細については、国税庁ホームページをご覧のこと。

★リンクはこちら ⇒ 申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の申告・納付期限の延長について

2020年2月28


2020年2月24日(月)及び3月1日(日)に確定申告の相談を行う税務署の一覧

令和元年分の所得税等の確定申告の相談及び申告書の受付は、2020年2月17日(月)から3月16日(月)までである。

税務署の閉庁日(土・日曜・祝日等)は相談及び申告の受付は行っていないが、一部の税務署(確定申告会場)においては、2020年2月24日(月)及び3月1日(日)に限り、日曜日・祝日等でも確定申告の相談及び申告の受付を行っている。

★リンクはこちら ⇒ 2月24日(月)及び3月1日(日)に確定申告の相談を行う税務署の一覧

2020年2月18日


審査請求人が国内に恒久的施設を有しない非居住者期間に国内の金融商品取引業者との間で行った店頭外国為替証拠金取引に係る所得は国内源泉所得に該当するとした事例

  • 平成25年分及び平成26年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 平成27年分の所得税及び復興特別所得税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 平成31年3月25日裁決

<ポイント>
本事例は、審査請求人の店頭外国為替証拠金取引における未決済取引に係る契約上の地位は、所得税法第161条第1号に規定する資産に該当し、当該取引により請求人に生じた所得は、同号にいう資産の運用、保有により生じた所得として、国内源泉所得に該当するとしたものである。

<要旨>
所得税法第161条《国内源泉所得》第1号(本件規定)にいう「資産」とは、「運用、保有若しくは譲渡」による所得を生じさせ得る財産権をいうものと解され、経済的価値を有する契約上の権利や地位などを広く含む概念と解するのが相当であるところ、非居住者期間中に請求人が行った店頭外国為替証拠金取引(本件FX取引)における未決済取引に係る契約上の地位は、差金決済を行うことにより利益又は損失を生じさせ得る財産権として本件規定にいう資産に該当する。

そして、本件規定にいう資産の運用、保有により生ずる所得とは、資産の譲渡による所得以外の所得で、資産の運用又は保有に該当する行為によって生じた所得を広く含むと解するのが相当であるところ、本件FX取引に係る差金決済等に係る所得は、請求人が上記の契約上の地位に係る権利を行使又は保有することにより生じたものであって、これを他に移転したことにより生じたものではないから、本件規定にいう資産の運用、保有により生ずる所得に該当する。

なお、請求人は、本件FX取引のうち、請求人が居住者であった期間に決済された取引については、租税特別措置法第41条の14《先物取引に係る雑所得等の課税の特例》第1項の規定が適用されるべきである旨主張するが、同項にいう金融商品先物取引等の決済とは、差金の授受によってされる行為をいうところ、上記の取引についての決済が行われたのは請求人が国内に恒久的施設を有しない非居住者となった後であるから、当該取引は同項が規定する要件を満たさない。

また、請求人は、「資産の運用、又は保有」に該当する事実についての原処分庁の理由の差替えは請求人に格別の不利益を与えるものとして許されない旨主張するが、本件各更正処分に係る各通知書に記載された理由と本審査請求における原処分庁の主張は、前提となる事実関係を異にするものではなく、その結論に至るまでの考え方を異にするものにすぎず、行政手続法第14条《不利益処分の理由の開示》に規定する制度を全く無意義ならしめ、又はこれを認めることが納税者の正当な利益を害するような特段の事情があるとはいえないから、原処分庁の主張が理由の差替えに当たるとしてもそれが許されないものとはいえない。

 ★リンクはこちら ⇒ 審査請求人が国内に恒久的施設を有しない非居住者期間に国内の金融商品取引業者との間で行った店頭外国為替証拠金取引に係る所得は国内源泉所得に該当するとした事例

2020年1月16日


更正請求期限後においては、更正請求書に記載しなかった事由を通知処分の違法事由として新たに主張することは許されないとした事例

  • 平成23年分の所得税並びに平成23年課税期間の消費税及び地方消費税の各更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の各通知処分
  • 棄却
  • 平成31年3月28日裁決

<ポイント>
本事例は、更正の請求に対する通知処分の取消しを求める審査請求において、更正の請求期限である5年を経過した後に、更正請求書に記載しなかった事由を違法事由として新たに主張できないとしたものである。

<要旨>
請求人は、原処分庁の実地調査に基づき期限後申告した平成23年分の売上げのうちの特定のものについて、金額誤りや収入計上時期に誤りがあり同年分の収入金額が過大であるから更正の請求(本件更正の請求)は認められるべきである旨主張する。
しかしながら、請求人が主張する上記金額誤りや収入計上時期に誤りがあるとは認められない。

また、請求人は、本件更正の請求において更正の請求事由としなかった上記特定の売上げ以外の他の収入についても収入金額が過大である旨を本審査請求において主張する。
しかしながら、当該主張は、更正請求時には主張していなかった事由を審査請求において新たに主張するものであるところ、更正の請求が、法定申告期限から5年以内の請求期限を設け、その理由等を記載した更正請求書を課税庁に提出することを求めていることに鑑みれば、租税法律関係の早期安定及び税務行政の能率的な運営等を図る趣旨から、少なくとも更正請求期限を経過した後においては、更正請求書に記載しなかった事由を通知処分の違法事由として新たに主張することは許されないと解すべきである。

 ★リンクはこちら ⇒ 更正請求期限後においては、更正請求書に記載しなかった事由を通知処分の違法事由として新たに主張することは許されないとした事例

2020年1月14日


令和元年確定申告分(申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税)の振替納付日等

<申告所得税及び復興特別所得税>
[令和元年分]

納期等の区分 法定納期限 振替日
予定納税第1期 令和元年7月31日(水) 令和元年7月31日(水)
予定納税第2期 令和元年12月2日(月) 令和元年12月2日(月)
確定申告 令和2年3月16日(月) 令和2年4月21日(火)
確定申告延納 令和2年6月1日(月) 令和2年6月1日(月)

<消費税及び地方消費税>
・個人事業者
[令和元年分]
納期等の区分 法定納期限 振替日
確定申告(原則) 令和2年3月31日(火) 令和2年4月23日(木)

・法人事業者
確定申告分:課税期間終了日の翌日から2月以内
中間申告分・課税期間の特例適用のある方については、税務署へお尋ねのこと。

<法人税>
確定申告分:事業年度終了日の翌日から2月以内
中間申告分については、税務署へお尋ねのこと。

<源泉所得税及び復興特別所得税>
・納期の特例の承認を受けていない場合
源泉徴収の対象となる所得を支払った月の翌月10日
・納期の特例の承認を受けている場合(給与等特定の所得に限る。)
1月から6月までの支払分: 7月10日
7月から12月までの支払分:翌年1月20日

<相続税>
確定申告分:相続の開始があったことを知った日の翌日から10月以内

<贈与税>
確定申告分:翌年3月15日

<備考>
上記納期限が土曜日、日曜日、国民の祝日・休日の場合は、その翌日が納期限となる。

 ★リンクはこちら ⇒ 令和元年確定申告分(申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税)の振替納付日

2019年12月26日


請求人が証券会社から受領した金員の所得税法上の所得区分は雑所得に該当し、また、請求人が支出した寄附金について税額控除規定と所得控除規定との部分的な選択適用は認められないとした事例

  • 平成28年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分
  • 棄却
  • 平成30年10月1日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が証券会社から受領した金員は役務の対価としての性質を有するから、その所得税法上の所得区分は一時所得ではなく雑所得に該当し、また、請求人が支出した公益社団法人等に対する寄附金については、その一部を税額控除の対象とし、その一部を所得控除の対象とすることはできないとしたものである。

<要旨>
請求人は、証券会社から受領した金員(証券会社が国債の購入者に現金を提供するというキャンペーン(本件キャンペーン)の景品として提供したもの。本件収入)について、労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものとして、一時所得に該当する旨主張する。

しかしながら、本件収入は、偶発的に発生したものではなく、請求人が一定期間内に個人向け国債を証券会社から購入し、その後、当該証券会社の口座を一定期間維持するなど、本件キャンペーンが適用される所定の要件が満たされた結果、請求人に交付されたものであるから、役務の対価としての性質を有するものと認められ、所得税法第34条《一時所得》第1項に規定する「労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないもの」には該当せず、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得のいずれにも該当しないものとして、雑所得に該当する。

また、請求人は、租税特別措置法第41条の18の3《公益社団法人等に寄附をした場合の所得税額の特別控除》第1項の規定(本件税額控除規定)は、所得税法第78条《寄附金控除》第1項の規定(本件寄附金控除規定)の適用を受けるものを除いたものをその対象としていることから、請求人が支出した寄附金のうち、本件寄附金控除規定の適用を受ける寄附金は本件税額控除規定に規定する税額控除対象寄附金には当たらない旨主張する。

しかしながら、個人がある年中に支出した本件税額控除規定第1号及び第2号の規定に該当する特定寄附金のうちから任意のものについて本件寄附金控除規定を適用し、その他の寄附金に本件税額控除規定を適用することはできないというべきであるところ、請求人は、その支出した一方の寄附金について本件税額控除規定を適用したものの他方については本件寄附金控除規定を適用し、租税特別措置法第41条の18の3第2項に規定する申告手続が行われていない。

したがって、本件税額控除規定の適用を受けることはできない。

 ★リンクはこちら ⇒ 請求人が証券会社から受領した金員の所得税法上の所得区分は雑所得に該当し、また、請求人が支出した寄附金について税額控除規定と所得控除規定との部分的な選択適用は認められないとした事例

2019年12月4日


原処分庁による推計計算の過程で、その採用した類似同業者の抽出基準に該当しない者が類似同業者として選定されていたため、更正処分の一部を取り消した事例

  • ①平成24年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • ②平成25年分ないし平成27年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • ③平成24年課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに無申告加算税の賦課決定処分
  • ④平成25年課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
  • ⑤平成26年課税期間の消費税及び地方消費税の決定処分並びに無申告加算税の賦課決定処分(再調査決定によりいずれもその一部が取り消された後のもの)
  • ⑥平成27年課税期間の消費税及び地方消費税の決定処分並びに無申告加算税の賦課決定処分
  • 平成26年分の所得税及び特別復興所得税の更正処分は一部取消し、その他は棄却
  • 平成30年12月13日裁決

<ポイント>
本事例は、原処分庁が請求人の所得金額を推計計算する過程で採用した類似同業者抽出基準は、業種、業態の類似性、事業規模の近似性等の各点で合理性を有しており、その平均所得率を算定する資料の正確性も担保され、類似同業者抽出件数も同業者の個別性を平均化するに足りるものであるから、原処分庁による推計には一応の合理性があると認められるものの、その選定した類似同業者のうちに上記の類似同業者抽出基準に該当しない者が含まれていたたことから、これを除いたところで所得率の平均値を算定し、当該平均所得率をもって請求人の所得金額を算定するのが相当であるとしたものである。

<要旨>
請求人は、原処分庁による税務調査に可能な限り対応しており、また、必要経費に係る集計表及び領収書により必要経費の額を算定することもできるから、本件に推計の必要性はなかった旨、また、原処分庁による推計は、請求人と業態の異なる者を類似同業者とした点で合理性を欠く旨、さらに、調査の際に帳簿の提示を拒否した事実はなく、帳簿を保存していたのであるから、消費税については仕入税額控除の規定が適用されるべきである旨主張する。

しかしながら、本件における調査の経緯からすれば、原処分庁は、請求人の帳簿不提示により、その事業所得の金額を実額で算定することができす、また、請求人の提示した集計表に信用性を認めることはできないから、本件には推計の必要性があったと認めるのが相当である。また、原処分庁がその推計の際に採用した類似同業者抽出基準は、業種、業態の類似性、事業規模の近似性等の各点で合理性を有しており、平均所得率を算定する資料の正確性も担保され、類似同業者抽出件数も同業者の個別性を平均化するに足りるものであるから、原処分庁による推計には一応の合理性があると認められる。

ただし、原処分庁が類似同業者として選定した者のうちに所定の抽出基準に該当しない者が含まれていたため、これを除いた所得率の平均値をもって請求人の所得金額を算定するのが相当である。

さらに、本件における調査の経緯からすると、請求人は適時に提示することが可能なように態勢を整えて帳簿及び請求書等を保存していたものということはできないから、請求人は、消費税法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》第1項に規定する仕入税額控除の適用を受けることはできない。

 ★リンクはこちら ⇒ 原処分庁による推計計算の過程で、その採用した類似同業者の抽出基準に該当しない者が類似同業者として選定されていたため、更正処分の一部を取り消した事例

2019年11月29日


不動産所得(駐車場の賃料)の帰属について、使用貸借契約等が有効に成立したとは認められず、その収益は貸主名義にかかわらず、土地の所有者である請求人に帰属するとした事例

  • ①平成26年分の所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分
  • ②平成26年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 平成30年10月3日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人と子らとの間の使用貸借契約等が請求人の意思に基づいて成立したものとは認められず、その収益は貸主名義(子らの名義)にかかわらず、土地の所有者である請求人に帰属するとしたものである。

<要旨>
請求人は、請求人が所有し、駐車場(本件各駐車場)として賃貸していた土地(本件各土地)について、請求人とその子らとの間において締結した本件各土地を使用貸借する旨の契約(本件各使用貸借契約)及び本件各土地上のアスファルト舗装等を贈与する旨の契約(本件各贈与契約)により、本件各土地の賃貸人としての地位が請求人からその子らにそれぞれ移転したから、本件各駐車場に係る所得は請求人の子らに帰属する旨主張する。

しかしながら、本件各使用貸借契約及び本件各贈与契約に係る各契約書(本件各契約書)には、請求人の意思に基づく署名・押印があるものの、①本件各使用貸借契約及び本件各贈与契約については、本件各土地の所有権を請求人に留保したまま、その使用収益権原のみを相応の対価を発生させることなく請求人の子らに移転する方法として採られたものと認められること、②請求人は、原処分調査において、本件各契約書については一貫して知らない旨申述しており、本件各契約書の作成事実を認識していなかったと認められること、③本件各土地を巡る一連の取引は、請求人の子から相続対策の相談を受けていた税理士法人が企図し、本件各契約書の書式も当該税理士法人が作成したものと認められること等からすると、請求人は、本件各契約書の内容を確認することがなかったため、その内容を全く認識していなかった可能性が高い。

そうすると、本件各契約書に請求人の意思に基づく署名・押印があるとしても、本件各契約書の内容自体が請求人の意思に基づくものとの推定は働かないから、本件各使用貸借契約及び本件各贈与契約が請求人の意思に基づいて成立したものとは認められない。

したがって、本件各駐車場に係る所得は、その貸主名義にかかわらず、いずれも本件各土地の所有者である請求人に帰属するというべきである。

 ★リンクはこちら ⇒ 不動産所得(駐車場の賃料)の帰属について、使用貸借契約等が有効に成立したとは認められず、その収益は貸主名義にかかわらず、土地の所有者である請求人に帰属するとした事例

2019年11月27日


住宅借入金等特別控除制度の適用に関し、その対象とされた住宅の取得は、租税特別措置法(平成28年法律第15号による改正前のもの)第41条《住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除》第5項に規定する特定取得には当たらないとした事例

  • 平成27年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 平成30年7月5日裁決

<ポイント>
本件は、審査請求人がその居住用家屋の取得の際に支払った仲介手数料は、租税特別措置法(平成28年法律第15号による改正前のもの)第41条《住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除》第5項に規定する「住宅の取得等に係る対価の額又は費用の額」には当たらないから、当該家屋の取得は同項に規定する特定取得には該当しないとしたものである。

<要旨>
請求人は、租税特別措置法(平成28年法律第15号による改正前のもの)(措置法)第41条《住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除》第5項に規定する「住宅の取得等に係る対価の額又は費用の額」には定義規定は置かれておらず、請求人が既存住宅(本件住宅)の取得(本件取得)の際に支払った仲介手数料(本件仲介手数料)は同項に規定する住宅の取得等に係る費用の額に含まれるところ、本件仲介手数料には新消費税率による消費税等の額が含まれているから、本件取得は同項に規定する特定取得に該当する旨主張する。

しかしながら、同項に規定する「住宅の取得等に係る対価の額又は費用の額」とは、居住用家屋の新築又は既存住宅の取得に係る対価の額又は増改築等に係る費用の額をいうと解するべきであるから、請求人の主張は採用できない。

そして、請求人は、本件住宅を消費税等の負担なく取得したのであるから、本件取得は、同項に規定する特定取得には該当せず、このことは、本件仲介手数料に含まれる消費税等の額の合計額が新消費税率により課されるべき消費税等の額に相当する税額であるか否かによって左右されない。

 ★リンクはこちら ⇒ 住宅借入金等特別控除制度の適用に関し、その対象とされた住宅の取得は、租税特別措置法(平成28年法律第15号による改正前のもの)第41条《住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除》第5項に規定する特定取得には当たらないとした事例

2019年7月31日


原処分庁が選定した類似同業者の中に選定基準に該当しない事業者が含まれていたと認定した事例

  • ①平成25年分及び平成26年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分 ⇒一部取消し
  • ②平成25年分の所得税及び復興特別所得税の過少申告加算税の賦課決定処分 ⇒全部取消し
  • ③平成27年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分 ⇒全部取消し
  • ④平成25年1月1日から平成25年12月31日まで及び平成26年1月1日から平成26年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分 ⇒棄却
  • ⑤平成27年1月1日から平成27年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の決定処分並びに無申告加算税の賦課決定処分 ⇒棄却
  • 平成30年4月19日裁決

<ポイント>
本事例は、原処分庁が請求人の事業所得の金額等を同業者比率方式に基づき推計により算定したものの、採用した同業者の中に抽出基準に該当しない者が含まれていたことから、原処分庁が採用した同業者の一部を採用せず、所得の金額の一部を取り消したものである。

<要旨>
請求人は、帳簿書類等を提示しなかったのは調査環境を整えようとしなかった原処分庁所属の調査担当職員(本件調査担当職員)に責任があること等から、事業所得の金額の計算上、推計の必要性及び合理性は認められない旨主張する。

しかしながら、本件調査担当職員は、請求人に対し、少なくとも3回にわたって、帳簿書類等の提示又は提示の意思確認をしたものの、請求人はいずれの求めに対しても、調査理由を説明しないことなどを理由に、帳簿書類等を提示しなかったのであり、これらの事実によれば、原処分庁は、やむを得ず、推計の方法により請求人の所得金額を算出したことが認められることから、請求人の事業所得の金額の計算上、推計の必要性があったものと認められる。

また、原処分庁は、請求人の所得金額を同業者比率方式により算定し、採用した同業者(本件同業者)の抽出基準及び抽出方法自体は、一応の合理性を有するものと認められる。

ただし、本件同業者の中に抽出基準に該当しない者が含まれていたことから、これらの者を本件同業者から除外した後の同業者を、推計課税に用いるべき同業者とした結果、所得税等の更正処分が一部取消しとなった。

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2019年6月27日


推計による所得税等の課税処分について、原処分庁による推計にその必要性が認められるとした事例

  • ①平成25年分の所得税及び復興特別所得税の決定処分並びに無申告加算税の賦課決定処分
  • ②平成26年分及び平成27年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • ③平成23年1月1日から平成23年12月31日まで、平成26年1月1日から平成26年12月31日まで及び平成27年1月1日から平成27年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各決定処分並びに無申告加算税の各賦課決定処分
  • 棄却
  • 平成30年6月8日裁決

<ポイント>
本事例は、原処分庁が推計により請求人の所得金額等を算定して課税したところ、原処分庁による推計にはその必要性が認められるほか、その推計方法、総収入金額の正確性、類似同業者の抽出方法の各点においてその合理性が認められるとしたものである。

<要旨>
請求人は、原処分庁による推計にその必要性がない旨主張するが、調査経緯に関する事実によれば、原処分庁としては請求人の所得金額を実額により計算することは不可能又は著しく困難というべきであり、請求人の所得を推計により算定する必要性があると認められる。

なお、原処分庁による推計は、その推計方法、総収入金額の正確性、類似同業者の抽出方法の各点においてその合理性が認められる。

また、請求人は、請求人の一部の取引先(本件取引先)との間の取引は出来高払の取引であるから、原処分庁が当該取引を請負であるとしてその取引額(収入金額)を認定したことは誤りである旨主張する。

しかしながら、本件取引先から請求人が請け負った工事(本件請負工事)は、受注した工事現場ごとに契約金額が決められており、毎月分の出来高に応じて支払がされているもののこれは飽くまで内金としての支払にすぎないから、その対価を収入に計上すべき時期は、目的物の全部を完成して相手方に引渡した日又はその約した役務の提供を完了した日となる。

したがって、原処分庁が認定した総収入金額にも誤りはない。

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2019年6月25日


請求人の取締役が請求人から不正に取得した金員は、請求人が当該取締役に支給した給与等には該当しないとした事例

  • 平成21年12月、平成23年11月、平成23年12月、平成24年3月、平成24年8月から平成24年10月まで及び平成24年12月の各月分の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分及び重加算税の各賦課決定処分
  • 平成25年12月分の源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の納税告知処分
  • 平成25年3月から平成25年8月まで、平成25年11月、平成26年1月から平成27年10月まで、平成27年12月、平成28年2月及び平成28年3月の各月分の源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の各納税告知処分並びに重加算税の各賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 平成30年5月7日裁決

<ポイント>
本事例は、代表者以外の役員が横領により法人の金員を不正に取得した場合に、当該役員が法人経営の実権を掌握し法人を実質的に支配していたとは認められないから、当該金員は当該役員に対する給与等には該当しないとして、源泉所得税等の納税告知処分等を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の取締役(本件役員)が請求人から不正に取得した金員(本件金員)について、①本件役員は請求人の業務において影響力を有していたと認められること及び②経理業務の重要な部分を任されていたと認められることからすると、その地位に基づいて支給されたのであるから、所得税法第28条《給与所得》第1項に規定する給与等に該当する旨主張する。

しかしながら、①本件役員は、法律上請求人の業務執行等を決定する地位にあったとは認められず、事実上もそのような地位にあったことを認めるに足りる証拠はないのであって、本件役員が請求人の業務において影響力を有していたとは認められない。
また、②本件役員の職務内容についての申述などからは、本件役員が経理業務の重要な部分を任されていたとは認められない。

したがって、本件役員が、請求人の経営の実権を掌握し、請求人を実質的に支配していたとは認められないから、本件役員がその地位及び権限に基づいて請求人から本件金員を得たものとは認められず、本件金員は、請求人が本件役員に支給した給与等には該当しない。

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2019年6月24日


原処分庁が請求人に帰属すると認定した所得のうちの一部について、請求人に帰属するとは認められないとした事例

  • ①平成21年分の所得税の更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の賦課決定処分 ⇒全部取消し
  • ②平成22年分の所得税の更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の賦課決定処分 ⇒一部取消し
  • ③平成24年分ないし平成27年分の所得税等の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分 ⇒更正処分は一部取消し及び重加算税の各賦課決定処分は全部取消し、その他は棄却
  • 平成30年5月14日裁決

<ポイント>
本事例は、所得の帰属、重加算税賦課要件の充足性及び更正の期間制限に関する「偽りその他不正の行為」の有無が争点となったものであるが、原処分庁が請求人に帰属すると認定した所得のうちの一部について、名義人に帰属するとの判断がされたため、これに伴い、原処分の一部又は全部を取り消したものである。

<要旨>
請求人は、原処分庁が請求人に帰属すると認定した①請求人が代表権を有する法人から請求人の家族に支給された給与(本件各金員)、②請求人の元妻名義の不動産の賃貸料(本件賃貸料)及び③同妻に支給された個人年金(本件年金)は、いずれもその名義人に帰属する旨主張する。

このうち、本件各金員については、請求人の家族に役務提供等をした事実はなく、また、本件各金員が請求人において開設し、管理していた当該家族名義の預金口座に振り込まれていたことなどからすると、いずれも請求人に帰属すると認められる。

しかし、本件賃貸料については、対象不動産の名義人及び賃貸借契約の貸主名義人はいずれも請求人の元妻であり、当該不動産の取得資金も当該妻の借入れにより賄われていたこと、また、本件年金については、その契約名義人及び受取人がいずれも当該妻であることからすると、これらについては、いずれも請求人の元妻に帰属すると認めるのが相当である。

なお、原処分庁は、請求人が本件賃貸料及び本件年金を元妻の所得であるかのように事実を仮装し、あるいは偽りその他不正の行為により税額の一部を免れたとして、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する重加算税を賦課し、同法第70条《国税の更正、決定等の期間制限》第4項第1号の規定を適用して平成21年分及び平成22年分の所得税の各更正処分をしたが、本件賃貸料及び本件年金はいずれも請求人の元妻に帰属する所得と認められるから、この点について、請求人に隠蔽又は仮装の行為はなく、偽りその他不正の行為によって税額の負担を免れた事実もない。

 ★リンクはこちら ⇒ 原処分庁が請求人に帰属すると認定した所得のうちの一部について、請求人に帰属するとは認められないとした事例

2019年6月14日


関与税理士から損害賠償金を受け取った場合の課税関係について

<事前照会の趣旨>

私は、不動産賃貸業を営んでおり、その所得については不動産所得として申告を行っている。
私は、当該事業に係る消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)について平成○年から簡易課税制度を選択し、申告及び納税を行っていたが、関与税理士から、オフィスビルを取得する日の属する課税期間の初日の前日までに簡易課税制度選択不適用届出書を提出すればオフィスビルの取得に係る消費税等相当額のうち一定の金額の還付を受けることができる旨の説明がなかったため、当該届出書を提出せず、当該還付を受けることができなかった。
関与税理士に私が被った損害に対する賠償を請求したところ、簡易課税制度を適用しないとした場合の消費税等の還付相当額と実際に納付した消費税等の額との合計額を基に算定した一定の金額(以下「本件金額」という。)を同人から受領することになった。
この場合、本件金額は、所得税法上、非課税所得には該当せず、私の不動産所得の金額の計算上、本件金額を受領することが確定した日の属する年分の不動産所得に係る総収入金額に含めるべきものと解してよろしいか照会する。

<事前照会に係る取引等の事実関係>

本件に係る事実関係は、次のとおり。

(1) 私は、不動産賃貸業を営んでおり、平成○年から平成23年までの課税期間分の消費税等の申告においては簡易課税制度(消費税法第37条)を選択していた。
(2) 平成24年に新たにオフィスビルの取得を予定していたため、その旨を関与税理士に説明し、税の取扱いについて相談していた。
平成23年中に簡易課税制度選択不適用届出書を提出すればオフィスビルの取得に係る消費税等相当額のうち一定の金額の還付を受けることができたにもかかわらず、関与税理士は私に対しその説明を行わなかったことから、私は、平成24年1月1日から平成24年12月31日までの課税期間分の消費税等の申告において簡易課税制度の適用を受けたまま申告及び納税を行った。
(3) その後、関与税理士に対し民法第709条《不法行為による損害賠償》に基づき私が被った損害に対する賠償を請求したところ、平成30年○月○日に、関与税理士との間で、本件金額を損害賠償として支払う旨の合意書を締結し、関与税理士から同年中に本件金額を受領した。
(4) 私は、消費税等の経理方式として税抜経理方式を適用しており、本件金額相当額については、所得税法施行令第182条の2《資産に係る控除対象外消費税額等の必要経費算入》の規定に基づき、平成24年分のほか、平成25年分から平成29年分までの各年分に繰り延べて、その全額を不動産所得の金額の計算上必要経費に算入している。

<事前照会者の求める見解となることの理由>

(1)非課税規定の範囲

不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金は非課税とされているが(所法9①十七、所令30二)、その損害賠償金のうち、その損害を受けた者の各種所得の金額の計算上必要経費に算入される金額を補てんするための金額が含まれている場合には、損害賠償金から当該金額を控除した金額に相当する部分が非課税とされる(所令30柱書)。

(2)本件金額の性質

一般に、税理士が作成した確定申告書に誤りがあり修正申告により税金を納めることとなったとしても、本税については本来納めるべき税額を納めたに過ぎないことから損害が生じていることにはならないが、本件では、簡易課税制度を選択するか否かは納税者の選択によるところ、関与税理士の説明不足により簡易課税制度の適用を受けたまま申告及び納税を行った結果、私が支払ったオフィスビルの取得に係る消費税等相当額のうち一定の金額について、原則的な制度(消費税法第30条)を適用すれば還付を受けられたであろう金額につき還付を受けられなくなったため、経済的に損失が生じたといえ、本件金額は、当該損失を補てんするものであることから、所得税法施行令第30条第2号に規定する「不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金」に該当すると考えられる。

しかしながら、税込経理方式又は税抜経理方式の別はあるものの、消費税等の額はその性質上、所得税の課税所得金額の計算に含めるものとされており、その事業者が負担した消費税等の額については必要経費に算入されている(本件については、上表(4)のとおり、本件金額相当額は、平成24年分から平成29年分までの不動産所得の金額の計算上その全額が必要経費に算入されている。)ことからすれば、本件金額は、当該必要経費に算入されている金額をその範囲内で補てんするものであり、所得税法上非課税とされる損害賠償金から除かれることになるものと考えられる。

したがって、本件金額は、私の平成30年分の不動産所得の金額の計算上、総収入金額に算入することとなる。

<回答>

回答年月日
平成30年12月7日

回答者
東京国税局審理課長

回答内容
標題のことについては、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。

ただし、次のことを申し添えます。

(1)ご照会に係る事実関係が異なる場合又は新たな事実が生じた場合は、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあります。

(2)この回答内容は東京国税局としての見解であり、事前照会者の申告内容等を拘束するものではありません。

 ★リンクはこちら ⇒ 関与税理士から損害賠償金を受け取った場合の課税関係について

2019年4月5日


国内勤務期間のない中国の従業員(非居住者)が、税制適格ストックオプションの権利行使による株式の取得に係る経済的利益について、租税特別措置法第29条の2を適用せず、税制非適格ストックオプションとして取り扱うことの可否について

1.事前照会の趣旨

国内勤務期間のない中国の従業員(非居住者)が、租税特別措置法(以下「措置法」という。)第29条の2《特定の取締役等が受ける新株予約権等の行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税等》第1項に規定する要件を満たす新株予約権(以下「税制適格ストックオプション」という。)を、同条第2項の規定に従って権利行使をする場合において、当該権利行使による株式の取得に係る経済的利益について、同条第1項本文の規定を適用せず、同項本文の規定が適用されない新株予約権(以下「税制非適格ストックオプション」という。)として取り扱って差し支えないか?

2.事前照会に係る取引等の事実関係

(1)当社は、グループの業績向上に対する意欲や士気を高めることを目的として、当社及び中国子会社の役員又は従業員(以下「割当対象者」といいう。)に対して、税制適格ストックオプションを付与した(以下、当社が割当対象者に付与した税制適格ストックオプションを「本件ストックオプション」という。)。

(2)割当対象者のうち、中国子会社の従業員で、日本国内における勤務期間がなく日本国内に恒久的施設を有していない者(以下「中国従業員」という。)が、中国の居住者期間中に、措置法第29条の2第2項に規定する誓約を行い、所定の事項を記載した書面を提出した上で、本件ストックオプションの権利行使をする予定である。

(3)中国従業員は、内国法人の役員の資格を有していない。

(4)中国従業員は、本件ストックオプションの権利行使時及び権利行使により取得した当社の株式(以下「本件株式」という。)の譲渡時において、日本国内に恒久的施設を有していない中国の居住者であることを本照会の前提とする。

3.事前照会者の求める見解となることの理由

(1)非居住者に係る税制適格ストックオプションの取扱い 非居住者が税制適格ストックオプションの権利行使により株式を取得した場合、その株式の取得に係る経済的利益(権利行使益)については、その権利行使時に課税されず(措法29の21)、その株式を譲渡した時に国内にある資産の譲渡により生ずる所得として課税される(所法1611三、所令2811四ロ、措令19の314)。

(2)日本国内における勤務期間がなく、日本国内に恒久的施設を有していない中国の従業員(非居住者)がストックオプションの権利行使をした場合の権利行使時及び株式譲渡時の課税関係について

イ.税制適格ストックオプションの場合
 上記(1)のとおり、税制適格ストックオプションの権利行使益は、権利行使時に課税されないことから、税制適格ストックオプションの権利行使により取得した株式を譲渡した場合の譲渡益は、一般に、付与時から権利行使時までの権利行使益部分と権利行使後に生じた株式譲渡益部分で構成されることになる。
そして、この権利行使益部分については、日中租税協定第15条第1項の規定が適用され、日本国内における勤務期間がない場合には、日本に課税権がなく日本において課税はされない。
一方、株式譲渡益部分については、日中租税協定第13条第4項の規定が適用されて日本において課税対象となり、恒久的施設を有しない非居住者の株式等の譲渡に係る国内源泉所得として、15%の税率による申告分離課税の対象となる(所法1611三、所令2811四ロ、措法29の24、7、37の121、措令19の314)。
なお、確定申告の際には、所得税と併せて基準所得税額(所得税額から、所得税額から差し引かれる金額を差し引いた後の金額)に2.1%を掛けて計算した復興特別所得税を申告・納付することになる。

ロ.税制非適格ストックオプションの場合
税制非適格ストックオプションの権利行使により株式を取得した場合、その権利行使益については、上記イと同様、日中租税協定第15条第1項が適用され、日本国内における勤務期間がない場合には、日本において課税されない。
また、税制非適格ストックオプションの権利行使により取得した株式の譲渡に係る所得は、所得税法第161条第1項各号に掲げる国内源泉所得に該当しないため、日本において課税はされない。

(3)中国従業員が本件ストックオプションの権利行使により本件株式を取得した場合において措置法第29条の2第1項本文の規定を適用せず、税制非適格ストックオプションとして取扱うことができるか否かについて

中国従業員が本件株式を譲渡した場合、本件株式に係る譲渡益のうち株式譲渡益部分については、上記(2)イのとおり日本において課税対象となることから、当該譲渡益部分について中国で課税される場合には、日本と中国とで二重課税が生じることとなる。
一方、中国従業員が仮に税制非適格ストックオプションの権利行使により取得した株式を譲渡した場合、その株式に係る譲渡益のうち株式譲渡益部分については、上記(2)ロのとおり日本において課税されないことから、二重課税の問題は生じない。
中国従業員は、中国の居住者期間中に、措置法第29条の2第2項に規定する誓約等を行った上で本件ストックオプションの権利行使をする予定ですが、当該権利行使による経済的利益について措置法第29条の2第1項本文の規定を適用せず、本件ストックオプションを税制非適格ストックオプションとして取り扱うことで、本件株式の譲渡による所得は国内源泉所得に該当しないものとなり、二重課税の問題が解消されるので、このような場合は、本件ストックオプションを税制非適格ストックオプションとして取り扱って差し支えないものと考える。

<回答>

平成30年10月31日 関東信越国税局審理課長

標題のことについては、下記の理由から、貴見のとおり取り扱われるとは限りません。
なお、この回答内容は関東信越国税局としての見解であり、事前照会者の申告内容等を拘束するものではないことを申し添えます。

(理由)
租税特別措置法(以下「措置法」といいます。)第29条の2第1項に規定する要件を満たす新株予約権(以下「税制適格ストックオプション」といいます。)の付与を受けた者が、その付与契約に従って権利行使をした場合の課税関係は、同条第1項本文において、株式の取得に係る経済的利益については所得税を課さないと規定されています。そして、この規定が、措置法第29条の2第2項において、当該権利行使の際に同項に規定する要件を満たした場合に限り適用するとされていることから、同条第1項本文の適用関係は、税制適格ストックオプションの権利行使により株式を取得した時に、同条第2項の要件を満たしているか否かによって判断することになります。
したがって、措置法第29条の2第2項の要件を満たした後に、納税者の選択によって、税制適格ストックオプションを同条第1項本文の規定が適用されないもの(税制非適格ストックオプション)として取り扱うことはできません。
なお、日本国内における勤務期間がなく、日本国内に恒久的施設を有していない中華人民共和国の従業員(日本の非居住者)が、税制適格ストックオプションの権利行使により取得した株式を譲渡した場合に発生する株式譲渡益部分については、日本の国内源泉所得として申告分離課税の対象となりますが、当該株式譲渡益部分が中華人民共和国でも課税される場合には、当該株式譲渡益部分について納付される日本の所得税等の額を、一定の範囲で中華人民共和国の租税の額から控除することとされています(所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定第23条第1項(a))。

 ★リンクはこちら ⇒ 国内勤務期間のない中国の従業員(非居住者)が、税制適格ストックオプションの権利行使による株式の取得に係る経済的利益について、租税特別措置法第29条の2を適用せず、税制非適格ストックオプションとして取り扱うことの可否について

2019年2月28日


外部金融機関を活用した積立貯蓄制度において支給される貯蓄奨励金の課税関係について

1.事前照会の趣旨
当組合は、当組合の加盟会社等の従業員及び役員(以下「従業員等」という。)を組合員として、当該組合員の相互共済福利を目的として組織された共済組合であり、これまで、当該組合員に対して、金銭消費寄託契約により金銭の寄託を受け、利息を支出する、いわゆる社内預金制度(以下「旧制度」という。)を実施していた。
今般、当組合では、当組合の事務軽減及び組合員へのサービス拡充(ATMの利用可能等)を目的として、金融機関の預金等を活用した積立貯蓄奨励金支給規則(以下「本制度」という。)を制定し、旧制度から移行している。
本制度では、金融機関から支払われる預金等の利息とは別に、当組合から組合員に対し一定の奨励金(以下「本件奨励金」という。)を当該金融機関を通じて支給することを予定している。
当組合から組合員に対し支給される本件奨励金は、所得税法上、雑所得に該当し、当組合は、本件奨励金の支払の際に源泉徴収を要しないと解して差し支えないか、照会する。

2.事前照会に係る取引等の事実関係
(1)本制度の概要
イ.本制度の目的
本制度は、組合員の貯蓄の奨励を図ることにより組合員の福祉の増進を目的としている。
ロ.本制度の対象となる貯蓄
本制度の対象となる貯蓄は、当組合との間で一定の契約を締結した金融機関が取り扱う商品のうち、次のもの(以下「積立貯蓄」という。)に限る。
(イ)指定合同運用金銭信託
(ロ)自由金利型定期預金M型
(ハ)当組合が特に認めた上記(イ)及び(ロ)に準拠する貯蓄商品
ハ.本件奨励金の算出
本件奨励金は、組合員が上記ロの要件を満たす口座を有し、かつ、積立貯蓄を決算日(9月25日及び3月25日)に有している場合で、その決算日を含む会計期間()の平均残高に当組合が定める一定の利率を乗じて計算した金額から金融機関から交付された利息の金額を控除した残額を支給することとする。
()会計期間:3月26日~9月25日、9月26日~3月25日
ニ.本件奨励金の支給
本件奨励金の支給日は、決算日の翌営業日とし、金融機関を通じて、金融機関から支払われる預金等の利息とは区分して、当組合から組合員に対する奨励金という名目により支給される。

(2)当組合の概要
イ.当組合の目的及び事業内容
当組合は、組合員の相互共済福利を目的とする組織であり、その目的を達成するために、慶弔見舞金等の贈与、協同生活及び貯蓄の奨励、消費負担の軽減と生活程度の向上、子女教育に対する援助、文化体育活動に対する援助及び指導、住宅建築に対する助成、災害に対する救済、レクリエーションに対する補助等の事業を行う。なお、当組合は、加盟会社等から完全に独立した団体であり、所得税法第2条《定義》第1項第8号に規定する人格のない社団等に該当する。
ロ.組合員から当組合に対する掛金の支出
組合員は、加入の月から、毎月、会社から支給される賃金総額の1%の金額を当組合に対して掛金として支出する。
ハ.加盟会社等から当組合に対する補給金の支出
加盟会社等は、当組合に対し、加盟会社等に勤務する従業員等に係る上記ロの金額の1.15倍相当額を当組合に対して補給金として支出する。

3.事前照会者の求める見解となることの理由
(1)本件奨励金の所得区分
イ.利子所得について
所得税法第23条《利子所得》第1項では、利子所得とは、公社債及び預貯金の利子等に係る所得をいう旨規定している。
この利子について特段定義規定は設けられていないものの、一般的には利息と同義に解し、元本債権から発生する法定果実を指すものと考える。
本件についてみると、組合員は金融機関に対し元本債権を有するものであり、当組合に対して元本債権を有していないことからすれば、当組合から組合員に対して支給される本件奨励金は、元本債権から発生する法定果実には当たらない。したがって、本件奨励金は利子所得に該当しないものと考える。
ロ.給与所得について
所得税法第28条《給与所得》第1項では、給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る所得をいう旨規定している。
本件奨励金は、その支給に当たり補給金とは別に加盟会社等に費用負担を求めるものではなく、当組合の運営資金を原資として組合員に支給するものであり、その給付主体は、形式的にも実質的にも当組合となる。当組合と組合員との間に雇用関係及びこれに類する関係はないことから、本件奨励金は給与所得に該当しないものと考える。
ハ.一時所得について
所得税法第34条《一時所得》第1項では、一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいう旨規定している。
本件奨励金は、本制度に基づき、当組合から組合員に対し一定の貯蓄を有する場合に継続的に支払われることとされていることからすれば、上記の一時の所得に該当しないものと考える。したがって、本件奨励金は一時所得にも該当しないものと考える。
ニ.雑所得について
所得税法第35条《雑所得》第1項では、雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいう旨規定している。
本件奨励金は、上記イからハまでの検討に加え、配当所得、不動産所得、事業所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得に該当しないことは明らかなので、雑所得に該当するものと考える。

(2)源泉徴収の要否
源泉徴収が必要となる支払については、所得税法に限定的に列挙されているところ、本件奨励金は、所得税法に規定されている源泉徴収を要する支払のいずれにも該当しないことから、当組合は本件奨励金の支払の際に、源泉徴収を要しないと考える。

<回答内容>
平成30年10月18日 東京国税局審理課長
標題のことについては、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。
ただし、次のことを申し添えます。
(1)ご照会に係る事実関係が異なる場合又は新たな事実が生じた場合は、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあります。
(2)この回答内容は東京国税局としての見解であり、事前照会者の申告内容等を拘束するものではありません。

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2019年2月26日


税制適格ストックオプションについて、一定の事由が生じた場合には権利行使期間内の一定の期間に限り権利行使ができる旨の条件を付した場合の税務上の取扱いについて

1.事前照会の趣旨
当社は、当社の役員及び従業員を対象に、租税特別措置法(以下「措置法」といいます。)第29条の2《特定の取締役等が受ける新株予約権等の行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税等》第1項各号に掲げる要件(以下「適格要件」という。)を定めた契約(以下「本件付与契約」という。)により新株予約権(以下「本件新株予約権」という。)を付与することを予定している。

措置法第29条の2第1項第1号は、新株予約権等に係る付与契約に、「新株予約権等の行使は、当該新株予約権等に係る付与決議の日後2年を経過した日から当該付与決議の日後10年を経過する日までの間に行わなければならないこと」が定められていること(以下「権利行使期間要件」という。)を適格要件の一つとして掲げているが、本件付与契約においては、権利行使期間要件に加え、一定の事由が生じた場合には、権利行使期間内の一定の期間に限り権利行使ができる旨の行使条件(以下「本件権利行使条件」という。)を付す予定である。

本件付与契約において、本件権利行使条件を付した場合であっても、本件新株予約権は税制適格ストックオプションに該当するものと取り扱ってよろしいか照会する。

2.事前照会に係る取引等の事実関係
本件付与契約に係る「新株予約権割当契約書」には、次のとおり定められている。

(1)権利行使期間
本件新株予約権の行使期間は、付与決議の日後2年を経過した日から当該付与決議の日後10年を経過する日までの間とする。

(2)本件権利行使条件
当社の発行済株式総数の過半数の株式について、同時又は実質的に同時に特定の第三者に移転する旨の書面による合意が、当該株式の各保有者と当該第三者との間で成立した場合又は成立することが合理的に確実と見込まれる場合として当社が本件新株予約権に係る権利者(以下「本件権利者」という。)に通知を行った場合(以下「過半数超譲渡」という。)、本件権利者は、交付を受けた本件新株予約権の全てにつき、別途当社が合理的に指定する期間(以下「過半数超譲渡時行使期間」という。)(注)において、これを行使することができ、本件権利者が当該過半数超譲渡時行使期間の末日までに本件新株予約権の行使を行わなかったときは、本件権利者は、当該期間の末日より後、本件新株予約権を行使することができない。

(注)過半数超譲渡時行使期間は、上記(1)の権利行使期間内における一定の期間を指定しなければならないこととする。

なお、「新株予約権割当契約書」には、上記の(1)及び(2)のほか、措置法第29条の2第1項に規定する税制適格ストックオプションに該当するための要件が全て定められていることを本照会の前提とする。

3.事前照会者の求める見解となることの理由
本件付与契約においては、本件新株予約権の権利行使期間について「付与決議の日後2年を経過した日から当該付与決議の日後10年を経過する日までの間」と定めるとともに、過半数超譲渡があった場合には、本件権利者は過半数超譲渡時行使期間の末日までに限り本件新株予約権の権利行使ができる旨の行使条件を定めている。また、当該過半数超譲渡時行使期間は、本件新株予約権の権利行使期間である「付与決議の日後2年を経過した日から当該付与決議の日後10年を経過する日までの間」で指定しなければならないこととしている。

このため、本件付与契約では、その権利行使について権利行使期間要件が定める期間の範囲内で、更に権利行使できる期間が制限される場合もあることになるが、権利行使期間要件は、文理上、「付与決議の日後2年を経過した日から当該付与決議の日後10年を経過する日までの間」に権利行使しなければならないとしているのみであり、その期間外の期間における権利行使を除外するものに過ぎないものと考えられることから、その権利行使期間要件に定められた期間内であれば、その付与契約において権利行使期間を短く定めたとしても、権利行使期間要件に反することにはならないものと考える。

したがって、本件権利行使条件を本件付与契約に定めたとしても、権利行使期間要件を満たすものと考える。

<回答内容>
平成30年10月18日 東京国税局審理課長

標題のことについては、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。

ただし、次のことを申し添えます。
(1)ご照会に係る事実関係が異なる場合又は新たな事実が生じた場合は、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあります。
(2)この回答内容は東京国税局としての見解であり、事前照会者の申告内容等を拘束するものではありません。

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2019年2月20日


平成30年分の確定申告においてご留意いただきたい事項(平成31年1月)

もうすぐ平成30年分の確定申告が始まる。

国税庁は、平成30年分の確定申告において納税者の方にご留意いただきたい事項について下記のとおり資料を作成した。

1.配偶者(特別)控除が変わります
平成30年分の確定申告から、控除の対象となる配偶者の範囲が拡大されるなど配偶者(特別)控除の内容が大きく変わる。

新しい配偶者(特別)控除の概要については、資料1を参照のこと。

2.スマホ✕確定申告 スマート申告始まります
確定申告書等作成コーナーは、スマートフォンでも操作ができる。
特に、サラリーマンの方の還付申告については、スマートフォンに適したデザインの専用画面を提供している。

スマートフォンによる申告等については、資料2を参照のこと。

3.マイナンバーの記載等をお忘れなく
確定申告書には、「マイナンバーの記載」及び「本人確認書類の提出」が必要である。

本人確認書類の詳細などについては、資料3を参照のこと。

4.医療費控除について
医療費控除の申告においては、医療費の領収書の提出は不要である。
代わりに、医療費控除の明細書の提出が必要である。

医療費控除の申告やセルフメディケーション税制の概要については、資料4を参照のこと。

5.忘れていませんか、その所得 申告漏れにご注意を
 ネットオークションやフリーマーケットアプリなどを利用した個人取引による所得、仮想通貨の売却等による所得、競馬等の払戻金による所得については、原則として確定申告が必要である。

これらの所得の申告についての留意事項については、資料5を参照のこと。

6.住宅ローン控除の誤り等にご注意ください
住宅取得等資金の贈与についての贈与税の非課税特例の適用を受けた場合の「住宅ローン控除額の計算の誤り」やふるさと納税のワンストップ特例を申請された方の「ふるさと納税の申告漏れ」などが見受けられる。
このような申告誤りに注意すること。

これらの詳細については、資料6を参照のこと。

7.「確定申告特集ページ」のご案内
国税庁ホームページでは、ご自宅からの申告をサポートするため、「確定申告特集ページ」を設けているので、申告の際に活用のこと。

8.申告相談会場に関するご案内、確定申告の受付期間及び納期限
申告相談会場の開設は、原則、2月18日となっている。

確定申告の受付期間や納期限・振替日などについては、資料8を参照のこと。

9.QRコードを利用したコンビニ納付
所得税等の納付については、QRコードを利用してコンビニで納付することができる。

納付方法等については、資料9を参照のこと。

2019年2月6日


租税特別措置法第25条第1項の規定の適用について、免税対象となる所得金額の計算方法が争われた事例

  • 平成25年分から平成27年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 棄却
  • 平成30年1月22日裁決

<ポイント>
本事例は、租税特別措置法第25条《肉用牛の売却による農業所得の課税の特例》第1項の規定の適用に当たり、売却損が生じた肉用牛を除外して免税対象飼育牛の売却に係る所得の金額を計算することは許されないとしたものである。

<要旨>
請求人は、租税特別措置法(平成29年法律第4号による改正前のもの)第25条《肉用牛の売却による農業所得の課税の特例》第1項に規定する課税の特例(本件特例)の適用に当たり、免税の対象となる事業所得の金額は、売却損の生じた免税対象飼育牛(売却損牛)を含めずに計算すべきである旨主張する。

しかしながら、同項の規定の文理に照らし、同項に規定する「その売却により生じた事業所得」の金額の計算上、売却損牛に係る収入金額及び必要経費を除外してこれを計算することが許容されていると解する余地はなく、したがって、当該事業所得の金額を計算するに当たっては、個々に売却損が生じたか否かにかかわらず、全ての免税対象飼育牛が対象とされるべきである。

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2019年1月21日


キャストに支払った金員は給与等に該当するとした事例

  • ①平成26年4月、平成26年10月、平成26年12月、平成27年3月から平成27年5月まで及び平成27年7月の各月分の源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の各納税告知処分並びに平成26年10月分の重加算税の賦課決定処分 →一部取消し
  • ②平成26年4月1日から平成27年3月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の賦課決定処分 →一部取消し
  • ③平成26年3月、平成26年5月から平成26年9月まで、平成26年11月、平成27年1月、平成27年2月及び平成27年6月の各月分の源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の各納税告知処分並びに平成26年3月から平成26年9月まで及び平成26年11月から平成27年7月までの各月分の不納付加算税及び重加算税の各賦課決定処分並びに平成26年10月分の不納付加算税の賦課決定処分 →棄却
  • ④平成25年4月1日から平成26年3月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の賦課決定処分 →棄却
  • ⑤平成23年4月1日から平成24年3月31日まで、平成24年4月1日から平成25年3月31日まで、平成25年4月1日から平成26年3月31日まで及び平成26年4月1日から平成27年3月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の各通知処分 →棄却
  • 平成30年1月11日裁決

<ポイント>
本事例は、給与所得とは雇用契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付をいい、とりわけ、給与所得については、給与支給者との関係において何らかの空間的、時間的な拘束を受け、継続的ないし断続的に労務又は役務の提供があり、その対価として支給されるものであるかどうか、いわゆる労務の提供等の従属性が重視されなければならないとして判断したものである。

<要旨>
請求人は、請求人が営むキャバクラ店において接客業務に従事する女性(キャスト)は請求人から時間的、空間的な拘束を受けておらず、営業で必要な費用(携帯電話代金等)を負担しているから、キャストへの支給額(本件支給額)は所得税法第27条《事業所得》第1項に規定する事業所得に該当する旨主張する。

しかしながら、キャストは接客業務に従事するに当たり、請求人との間で、給与体系、勤務時間及び店舗規則などの勤務条件について合意していたこと、請求人はキャストの勤務時間又は接客時間を管理していたこと、キャストは指名客以外の客に対しても店長の指示により接客していたことが認められるから、キャストは入店から退店までの間は請求人の管理下にあったと認められ、請求人から空間的、時間的な拘束を受け、継続的又は断続的に労務又は役務の提供をしていたとみることができる。

そして、キャストが営業のために必要な費用の一部を負担しているとの請求人の主張を考慮しても、本件支給額は接客時間等を基準に各種手当て及びペナルティの有無を勘案して算出されていること、採用後1、2か月間は一定の時給が保証されていること、キャストは客に対する売掛金を回収する責任を負っていなかったことからすれば、キャストは自己の計算と危険において独立して事業を営んでいたものとみることはできない。

以上によれば、本件支給額は、キャストと請求人との雇用契約に基づき、請求人の指揮命令に服して提供した労務の対価であるから、所得税法第28条《給与所得》第1項に規定する給与等に該当する。

ただし、本件支給額に係る源泉所得税の額の計算等に誤りが認められるから、納税告知処分及び重加算税の賦課決定処分の一部を取り消すべきである。

 ★リンクはこちら ⇒ キャストに支払った金員は給与等に該当するとした事例

2019年1月18日


馬券の的中によって得た払戻金に係る所得について、請求人の一連の馬券購入行為をもって一体の経済活動の実態を有するものとはいえないから、営利を目的とする継続的行為から生じた所得とは認められず、一時所得に該当するとした事例

  • ①平成24年分の所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分 →棄却
  • ②平成25年分及び平成26年分の所得税及び復興特別所得税の各更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の各通知処分 →棄却
  • 平成30年3月22日裁決

<要旨>
請求人は、競馬の勝馬投票券(馬券)の的中によって得た払戻金に係る所得(本件競馬所得)は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得として雑所得に該当する旨主張する。

しかしながら、請求人は、馬券を自動的に購入するソフトを使用してインターネットを介して多数回かつ頻繁に馬券を購入していたと認められるものの、請求人による一連の馬券の購入行為は、その損益の状況をみると、確定申告をした各年で大きく変動しているのみならず、そのうちの1年は損失が発生しており、また、請求人は、的中確率が低い反面、一口で高額の払戻金が得られる可能性のある五重勝単勝式勝馬投票法に係る馬券を多数回購入し、その的中による利益が当該損益の額に一定割合を占めるなどしていることからすると、その期間、頻度、購入規模の大きさなどの点を考慮してもなお、客観的にみて多額の利益が恒常的に上がると期待し得る行為であったとは認められない。

加えて、個々の購入馬券の種類やその金額の全てが明らかにされていない以上、請求人が主張する独自の条件設定と計算式に基づき個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をしていたものと認めることはできない。

したがって、請求人による一連の馬券の購入行為をもって一体の経済活動の実態を有するとまではいえないから、本件競馬所得は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得であるとは認められず、また、労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないから、一時所得に該当する。

 ★リンクはこちら ⇒ 馬券の的中によって得た払戻金に係る所得について、請求人の一連の馬券購入行為をもって一体の経済活動の実態を有するものとはいえないから、営利を目的とする継続的行為から生じた所得とは認められず、一時所得に該当するとした事例

2019年1月17日


請求人が支出した自動車関係費等は、不動産貸付業務の遂行上必要であった部分を明らかにすることができないから、必要経費の額に算入することはできないとした事例

  • ①平成24年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分 →一部取消し
  • ②平成25年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分 →一部取消し
  • ③平成26年分の所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対してされた更正処分 →一部取消し
  • ④平成24年1月1日から平成26年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに平成25年1月1日から平成25年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税にかかる過少申告加算税の賦課決定処分 →棄却
  • 平成30年2月1日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が支出した固定資産税、自動車関係費用及び接待交際費を不動産貸付業務の必要経費に算入するためには、当該費用が、客観的にみて、当該業務と直接の関係を持ち、かつ、当該業務の遂行上必要な支出であると認められることが必要であるとしたものである。

<要旨>
請求人は、賃貸している駐車場に係る固定資産税等(本件租税公課)、自動車関係費用(本件自動車関係費用)及び接待交際費(本件接待交際費)について、いずれも不動産所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額に該当する旨主張する。

しかしながら、このうち、本件自動車関係費用は、請求人が取引の記録等に基づき、業務の遂行上直接必要な部分を明らかにしているとはいえず、使用自動車が客観的にみて、業務に供されていたとも認められない。

また、本件接待交際費は、その具体的な支出先等の合理的な説明や証拠の提出もなく、客観的にみて、業務と直接の関係を持ち、業務の遂行上必要な支出とは認められない。

したがって、本件自動車関係費用及び本件接待交際費は、いずれも不動産所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額に該当せず、他方で、請求人が賃貸している駐車場は家事用ではなく、賃貸専用で使用していると認められることから、本件租税公課は、請求人の業務の遂行上必要なものであり、請求人の不動産所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額に該当する。

 ★リンクはこちら ⇒ 請求人が支出した自動車関係費等は、不動産貸付業務の遂行上必要であった部分を明らかにすることができないから、必要経費の額に算入することはできないとした事例

2019年1月16日


株式などをお売りになって確定申告をする場合は、インターネットで申告ができます!(リーフ)

国税庁は、『株式などをお売りになって確定申告をする場合は、インターネットで申告ができます!』(リーフ)を作成した。

  • STEP1 「確定申告書等作成コーナー」ヘアクセス
  • STEP2 申告書を作成
  • STEP3 申告書を提出

 ★リンクはこちら ⇒ 株式などをお売りになって確定申告をする場合は、インターネットで申告ができます!(リーフ)

2019年1月9日


「国外財産調書の提出制度(FAQ)」の更新(平成30年11月)

国税庁は、「国外財産調書の提出制度(FAQ)」を更新した。

仮想通貨及び家庭用動産の取扱いを追加するなどの改訂を行った。

国外財産調書の提出制度は、近年、国外財産の保有が増加傾向にある中で、国外財産に係る課税の適正化が喫緊の課題となっていることなどを背景として、国外財産を保有する方からその保有する国外財産について申告していただく仕組みとして、平成24年度の税制改正により導入され、平成26年1月から施行されている。

具体的には、その年の12月31日においてその価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を保有する居住者の方(非永住者の方を除く。)は、その年の翌年の3月15日までに当該国外財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載した「国外財産調書」を、所轄税務署長に提出しなければならないこととされている。

 ★リンクはこちら ⇒ 「国外財産調書の提出制度(FAQ)」の更新(平成30年11月)

2018年12月21日


仮想通貨に関係する税務上の取扱について(FAQ)

国税庁は、『仮想通貨に関係する税務上の取扱について(FAQ)』を公表した。

このFAQは、仮想通貨に関する税務上の取扱いについて、税目ごとに寄せられた一般的な質問等を取りまとめたものである。

 ★リンクはこちら ⇒ 仮想通貨に関係する税務上の取扱について(FAQ)

2018年12月20日


財産債務調書の提出制度(FAQ)」の更新(平成30年11月)

国税庁は、「財産債務調書の提出制度(FAQ)」を更新した。

財産債務調書制度は、所得税及び復興特別所得税の確定申告書を提出しなければならない方が、その年の総所得金額及び山林所得金額の合計額が2,000万円を超え、かつ、その年の12月31日において価額の合計額が3億円以上の財産または価額の合計額が1億円以上である国外転出特例対象財産を有する場合に、財産の種類、数量及び価額並びに債務の金額などを記載した「財産債務調書」を、翌年の3月15日までに所得税の納税地の所轄税務署長に提出する制度である。

 ★リンクはこちら ⇒ 「財産債務調書の提出制度(FAQ)」の更新(平成30年11月)

2018年12月18日


平成30年確定申告分(申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税)の振替納付日

<主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日>

[申告所得税及び復興特別所得税]  [平成30年分]

納期等の区分 法定納期限 振替日
予定納税第1期 平成30年7月31日(火) 平成30年7月31日(火)
予定納税第2期 平成30年11月30日(金) 平成30年11月30日(金)
確定申告 平成31年3月15日(金) 平成31年4月22日(月)
確定申告延納 平成31年(2019年)5月31日(金) 平成31年(2019年)5月31日(金)

※平成31年5月以降の元号の表示については、便宜上、平成を使用するとともに西暦を併記している。

[消費税及び地方消費税] ・個人事業者  [平成30年分]

納期等の区分 法定納期限 振替日
確定申告(原則) 平成31年4月1日(月) 平成31年4月24日(水)

・法人事業者 確定申告分:課税期間終了日の翌日から2月以内 中間申告分・課税期間の特例適用のある方については、税務署へお尋ねのこと。

[法人税]  確定申告分:事業年度終了日の翌日から2月以内 中間申告分については、税務署へお尋ねのこと。

[源泉所得税及び復興特別所得税] ・納期の特例の承認を受けていない場合 源泉徴収の対象となる所得を支払った月の翌月10日 ・納期の特例の承認を受けている場合(給与等特定の所得に限る。) 1月から6月までの支払分: 7月10日 7月から12月までの支払分:翌年1月20日

[相続税]  確定申告分:相続の開始があったことを知った日の翌日から10月以内

[贈与税]  確定申告分:翌年3月15日

[備考]  上記納期限が土曜日、日曜日、国民の祝日・休日の場合は、その翌日が納期限となる。

 ★リンクはこちら ⇒ 平成30年確定申告分(申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税)の振替納付日

2018年12月13日


「仮想通貨関係FAQ」の公表について

国税庁では、仮想通貨取引に関する所得について、納税者自身による適正な納税義務の履行を後押しする環境整備を図るため、2018年4月以降、6回にわたり「仮想通貨取引等に係る申告等の環境整備に関する研究会」を開催してきたところである。

本研究会では、仮想通貨交換業者を所管する金融庁や仮想通貨関連団体の出席・協力も得つつ、各仮想通貨交換業者の実態等を確認した上で、正確な所得計算のための年間取引報告書などを交換業者から顧客へ提供できるようにするなどの申告利便向上策を検討してきた。

本研究会での議論の結果を踏まえ、簡便に所得計算をすることができる様式や方法、相続時における仮想通貨の評価方法などに加え、研究会以外で国税当局に問合せ等のあった事項をまとめた「仮想通貨関係FAQ」を公表することとした。

また、併せて、納税者が年間取引報告書の内容等に基づき入力することにより、申告に必要な所得金額等が自動計算される「仮想通貨の計算書」を国税庁ホームページで公開する。

これらの施策について、各仮想通貨関連団体を通じて各交換業者や利用者へ周知するなど、仮想通貨取引の適正な申告に向けて取り組んでいく。

国税庁は、このように、納税者自身による適正な納税義務の履行を後押しする環境整備を図り、周知・広報を行うとともに、様々な機会を捉えて課税上有効な資料収集に努め、申告のなかった方も含め、課税上問題があると認められる場合には、様々な方法で是正を促すなど、仮想通貨取引の適正な申告に向けて積極的に取り組んでいく。

 ★リンクはこちら ⇒ 「仮想通貨関係FAQ」の公表について

2018年12月7日


スマホ × 確定申告 スマート申告始まります!

<平成31年(2019年)1月から、「確定申告書等作成コーナー」が変わる>

1.スマートフォン専用の画面を利用できるようになる

スマートフォン・タブレットに最適化したデザインの画面を利用して、所得税の確定申告書が作成できるようになる。

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国税徴収法

公売公告処分は、原処分庁が公売に付した時期の判断において、租税公平主義に反する違法はないと判断した事例

  • 公売公告処分
  • 棄却
  • 令和6年3月11日裁決

<ポイント>
本事例は、公売実施の判断について、滞納整理の経緯、納付状況、差押財産の換価の見込額等を考慮すると、その裁量権の行使が租税公平主義に反しているとは認められないと判断したものである。

<要旨>
請求人は、原処分庁がした公売公告処分(本件公売公告処分)について、同処分に先行して行われた差押処分(本件差押処分)に違法があるから、本件公売公告処分に係る財産のうち、買受申込みがないまま買受申込期間が満了した財産又は買受申込期間満了後に最高価申込者が買受申込みの取消しをした財産についても、当該処分の取消しを求める請求の利益がある旨主張する。

しかしながら、これらの各財産を再び公売するには改めて買受申込期間を定めて公売公告以下の公売手続を踏まなければならないから、本件公売公告処分に係る財産のうち、当該各財産に係る部分はその法的効果を失い、その取消しを求める法律上の利益は消滅したものというべきである。

また、請求人は、徴収法第48条《超過差押及び無益な差押の禁止》第2項の無益な差押えとは、差押時における対象財産の処分予定価額が滞納処分費及び優先債権額の合計額を超える見込みがない場合だけでなく、差押財産の見積価額が分割納付額に満たない場合も含むと広く解釈されるべきであり、そうすると本件差押処分は無益な差押えの禁止に反し違法であるから、これに続く本件公売公告処分は取り消されるべきである旨主張する。

しかしながら、差押えの対象となる財産の価額がその差押えに係る滞納処分費及び優先債権額の合計額を超える見込みのないことが一見して明らかでない限り、直ちに当該差押えが違法となるものではないと解するのが相当であるところ、本件差押処分当時、その対象となる財産の処分予定価額が滞納処分費及び優先債権額の合計額を超える見込みのないことが一見して明らかではないことから、本件差押処分に無益な差押えの禁止に反する違法はない。

おって、請求人は、徴収法に公売をしなければならない旨の規定があるが、実際にそのとおりに行われているわけではなく、滞納国税を完納する目途が立っている場合には公売をしないという基準があるはずであるから、本税が完納となっており、延滞税等も最長でも6年以内の完納の目途が立っていたにもかかわらず行われた本件公売公告処分は、この基準に反し、租税公平主義に反する違法がある旨主張する。

しかしながら、公売の実施については、滞納整理の経緯、納付状況、差押財産の換価の見込額等を踏まえた上での税務署長等の合理的な裁量に委ねられているから、差押財産について公売が一律に実施されるわけではない。

加えて、換価事務提要において、本税が完納で延滞税等も完納の目途が立っている場合には公売をしないという基準は存在せず、本件公売公告処分に関する原処分庁の判断は、換価事務提要の合理性を有する定めに従ったものであるから、租税公平主義に反するものではない。

★リンクはこちら⇒ 公売公告処分は、原処分庁が公売に付した時期の判断において、租税公平主義に反する違法はないと判断した事例

2025年3月5日


滞納者から請求人に対する振込みによる送金は、国税徴収法第39条に規定する無償による譲渡に該当するとした事例

  • 第二次納税義務の納付告知処分
  • 棄却
  • 令和6年1月29日裁決

<ポイント>
本事例は、生活費及び学資の前払としての送金が、社会通念上相当と認められる範囲の金銭の交付とは認められないとしたものである。

<要旨>
請求人は、滞納者(本件亡滞納者)が、生前に請求人に対し行った請求人名義口座への振込みによる金銭の交付(本件金銭交付)は、別居していた請求人に対する将来の生活費及び医学部に進学する子のための学資等である婚姻費用の前払であり、社会通念上相当と認められる範囲の金銭の交付であるから、国税徴収法第39条《無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務》に規定する無償による譲渡に該当しない旨主張する。

しかしながら、本件亡滞納者は、請求人に対し、本件金銭交付に先立ち、相当程度に高額な金銭を送金し、本件金銭交付後も生活費として毎月一定額の送金を継続していること、本件金銭交付に係る金員が、将来的には、子の学資等の原資となるとしても、本件金銭交付の時点においては、学資等として具体的な支払の予定があったとはいえないことからすると、請求人親子と本件亡滞納者が別居し、請求人に収入がなかったために、本件亡滞納者において婚姻費用あるいは生活費及び学資等を負担する必要があったとしても、その前払として本件金銭交付をすべき必要があったとは認められない。

したがって、本件金銭交付は、生活費及び学費等に充てるためにした社会通念上相当と認められる範囲の金銭交付に該当せず、無償による譲渡に該当する。

また、請求人は、本件亡滞納者の各滞納国税(本件各滞納国税)に係る第二次納税義務の納付告知処分(本件納付告知処分)について、本件亡滞納者が、株式の売却代金や相当程度の給与収入を得ていたことからすると、原処分庁が遅滞なく滞納処分を行っていれば、徴収不足を生じることはなかったにもかかわらず、原処分庁が換価の猶予を行って本件亡滞納者の財産の散逸を見過ごしたために徴収不足となったのであるから、本件各滞納国税の徴収不足は、本件金銭交付に基因しない旨主張する。

しかしながら、徴収不足が認められる場合とは、第二次納税義務に係る納付告知処分時の現況において、本来の納税義務者の財産で滞納処分により徴収することのできるものの価額が、同人の滞納国税の総額に満たないと客観的に認められる場合をいうものと解され、さらに、徴収不足が無償譲渡等の処分に基因すると認められるときとは、当該無償譲渡等の処分がなかったならば当該納付告知処分時現在の徴収不足を生じなかったであろうということができる場合をいうものと解するのが相当であるところ、本件各滞納国税の納付義務を承継した相続財産法人は、本件納付告知処分時において徴収不足であると認められ、本件金銭交付に係る金額は、本件各滞納国税の金額を上回ることからすると、本件金銭交付がなかったならば本件納付告知処分時の徴収不足を生じなかったであろうということができるから、本件各滞納国税の徴収不足は本件金銭交付に基因すると認められる。

★リンクはこちら⇒ 滞納者から請求人に対する振込みによる送金は、国税徴収法第39条に規定する無償による譲渡に該当するとした事例

2025年3月4日


役員退職給与の不相当に高額な部分が国税徴収法第39条に規定する無償譲渡等の処分に該当するとした事例

  • 第二次納税義務の納付告知処分
  • 棄却
  • 令和5年12月14日裁決

<ポイント>
本事例は、滞納会社が請求人に役員退職慰労金として支給した金額は、請求人の当該会社における役員としての職務執行及び功労との対価的均衡を著しく欠くものであり、その支給は、国税徴収法第39条に規定する無償譲渡等の処分に該当するとしたものである。

<要旨>
請求人は、原処分庁がした第二次納税義務の納付告知処分について、①過去に、滞納会社(本件滞納会社)から役員退職慰労金として支給を受けた不動産(本件不動産)を本件滞納会社に売却したことにする売買契約(本件売買契約)をしたのは、帳簿上、本件滞納会社の使途不明金を請求人に対する役員貸付金に振り替えた残高を消し込むためであり、本件不動産の所有権は請求人が有したままであったから、本件不動産は、退職慰労金として請求人に譲渡された財産ではない旨、また、②滞納会社が請求人に本件不動産や生命保険契約(本件保険契約)の契約上の地位等を役員退職慰労金として支給したこと(本件支給)は、請求人の役員退職慰労金として相当と認められる金額の範囲内であり、国税徴収法第39条《無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務》に規定する無償譲渡等の処分には該当しない旨主張する。

しかしながら、上記の役員貸付金及びこれと相殺された本件売買契約に基づく売買代金には、いずれも実体があったというべきであることや、本件滞納会社が本件売買契約に沿って、本件不動産の所有権を取得した買主として振る舞っていたことなどからすれば、本件売買契約は、実体のない仮装売買であったとはいえない。

また、国税徴収法第39条の無償譲渡等の処分に該当するかどうかは、平均功績倍率法によって求めた相当とされる役員退職給与の金額と実際に支給された役員退職給与の金額の乖離の程度に加えて、当該役員の職務又は功労の内容、程度、勤務年数のほか当該役員退職給与が支給されるに至った具体的事情等をも考慮した上で判断するのが相当であるところ、本件支給の額は、平均功績倍率法により求められる請求人の役員退職慰労金として相当と認められる金額の7倍を超え、その乖離の程度が大きいことに加え、請求人の主な業務は社員教育であり、本件滞納会社の経営を担っていたとはいえないことや本件支給の決議当時の状況等に鑑みれば、本件支給がされたのは、本件滞納会社が滞納国税の徴収などを回避するためであり、本件支給の額は、本件不動産及び本件保険契約を請求人に得させるために設定されたもので、請求人の職務及び功労と役員退職慰労金の金額との対価的均衡を考慮した上で決定されたものではなかったと認められるから、本件支給は、同条に規定する無償譲渡等の処分に該当する。

★リンクはこちら ⇒ 役員退職給与の不相当に高額な部分が国税徴収法第39条に規定する無償譲渡等の処分に該当するとした事例

2024年9月18日


公売公告処分は、原処分庁が分割納付誓約期間内に公売に付したという時期の判断において、その裁量権の行使が差押財産の換価に関する制度の趣旨・目的に照らして合理性を欠く不当な処分であると判断した事例

  • 公売公告処分
  • 全部取消し
  • 令和5年8月21日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人の自主納付の見込み、公売による換価額、差押財産の公売による請求人への影響等の諸般の事情をも考慮すると、公売に付した時期の判断において、その裁量権の行使が差押財産の換価に関する制度の趣旨・目的に照らして合理性を欠く不当な処分であると判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、差押財産を公売に付すべき時期については、国税の徴収の所轄庁の合理的な裁量に委ねられていると解されており、請求人が所有する各不動産(本件各不動産)の公売公告処分(本件公売公告処分)は、公売に付すべき時期について裁量権の範囲内で合理的に行われたものであるから、違法又は不当な処分ではない旨主張する。

ところで、換価に関する時期の判断に当たっては、滞納者の個々の実情を踏まえ、国税の効果的な徴収に向け、個々の滞納事案における自主納付の見込み、公売による換価額、差押財産の公売による滞納者への影響等諸般の事情をも考慮して判断することが相当と解されるところ、本件は、請求人には自主納付による完納の見込みがないこと、本件各不動産の換価額として相応の金額が見積もられていたこと、本件各不動産の公売が必ずしも請求人の事業の継続を不可能にするものではないことなどの事情があり、これらの事情を考慮すれば、本件各不動産を公売に付する時期について、原処分庁に裁量権の範囲の逸脱又は濫用があったとは認められないから、本件公売公告処分は適法である。

しかしながら、原処分庁の裁量権の行使が、差押財産の換価に関する制度の趣旨・目的に照らし合理性を欠く場合には不当と判断すべきであるところ、本件は、請求人が提出した分割納付誓約書の誓約期間(本件分割納付誓約期間)内に、納付計画どおりの自主納付をする蓋然性が高く、また、本件分割納付誓約期間内に本件各不動産を直ちに換価することで、換価額の下落の回避又は換価額の相対的な価値の維持ができたなどの徴収上有利となる事情がない。

また、原処分庁の徴収担当職員が、本件分割納付誓約期間内に本件各不動産が公売に付されることはないとの請求人の期待を排斥しなかったことにより、本件各不動産の代替土地を確保し得る機会及び期間が事実上なくなり、公売による請求人の事業に対する影響がより大きくなったことなどの事情があり、これらの事情を考慮すれば、本件公売公告処分は、公売に付する時期の判断において、その裁量権の行使が、差押財産の換価に関する制度の趣旨・目的に照らして合理性を欠く不当な処分であるといえる。

★リンクはこちら ⇒ 公売公告処分は、原処分庁が分割納付誓約期間内に公売に付したという時期の判断において、その裁量権の行使が差押財産の換価に関する制度の趣旨・目的に照らして合理性を欠く不当な処分であると判断した事例

2024年4月25日


請求人には国税を一時に納付することにより、その事業の継続を困難にするおそれがあるとは認められないとした事例

  • 換価の猶予不許可処分・棄却
  • 令和4年12月9日裁決

<ポイント>
本事例は、当座資金の額から納付すべき国税の金額を控除した残額はつなぎ資金の額を上回るため、国税を一時に納付することにより事後の決済資金に不足を生じると認められないのであるから、国税徴収法第151条の2第1項に規定する事業の継続を困難にするおそれがあるとは認められないとしたものである。

<要旨>
請求人は、原処分庁が行った換価の猶予不許可処分に対し、コロナ禍が長期間にわたっているため、つなぎ資金の額を1年間の収支状況で考慮すると、国税徴収法第152条《換価の猶予に係る分割納付、通知等》第1項に規定する納付を困難とする金額が算定され、納付すべき国税を一時に納付することにより事業の継続を困難にするおそれがあると主張する。

しかしながら、申請による換価の猶予は納税者救済のための例外的な制度であるから、つなぎ資金は必要最小限度の期間を基礎として計算するものであり、1年間の収支状況を考慮すべきではない。そして、同法第151条の2第1項に規定する事業の継続を困難にするおそれがあると認められる場合とは、事業に不要不急の資産を処分するなど事業経営の合理化を行った後においても、なお国税を一時に納付することにより事後の決済資金に不足を生じ、その結果、滞納者がその事業を休廃止せざるを得ない状態に至るおそれがあると認められる場合をいうものと解されるところ、本件では当座資金の額から納付すべき国税の金額を控除した残額はつなぎ資金の額を上回ることから、国税を一時に納付することにより事後の決済資金に不足が生じるとは認められない。

したがって、請求人には国税を一時に納付することにより、その事業の継続を困難にするおそれがあるとは認められない。

★リンクはこちら ⇒ 請求人には国税を一時に納付することにより、その事業の継続を困難にするおそれがあるとは認められないとした事例

2023年12月15日


会社法第762条の規定に基づく新設分割によって滞納法人の事業を承継した請求人は国税徴収法第38条の規定による第二次納税義務を負うとした事例

  • 第二次納税義務の納付告知処分
  • 一部取消し
  • 令和3年4月12日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が事業を間断なく継続して運営するためには、資産の承継が前提となっており、新設分割と資産譲渡という2つの法形式により事業譲渡が完成したことが認められ、複数の取引による事業譲渡については、いずれの取引により譲渡されたものであっても国税徴収法第38条にいう譲受財産に当たると判断したものである。

<要旨>
請求人は、会社法第762条《新設分割計画の作成》の規定に基づく新設分割(本件新設分割)により滞納法人から事業(本件事業)を譲り受け、本件事業に係る契約上の地位のほか、本件事業に属する消極財産を承継した後、滞納法人が本件新設分割により取得した請求人の全株式を第三者法人に譲渡した上で、本件事業の用に供するための資産(本件資産)である積極財産を時価で譲り受けた(本件資産譲渡)ことから、本件資産が国税徴収法第38条《事業を譲り受けた特殊関係者の第二次納税義務》にいう譲り受けた事業に属する譲受財産に該当せず、請求人が本件資産を譲り受けた時点で同条及び国税徴収法施行令第13条《納税者の特殊関係者の範囲》第1項第5号に規定する特殊関係者に該当しない旨主張する。

しかしながら、本件新設分割において、請求人が本件事業を間断なく継続して運営するためには、本件資産の承継が前提となっており、滞納法人が本件資産譲渡に関する手続を本件新設分割と並行して行っていたことから、本件事業の譲渡は、本件新設分割と本件資産譲渡という2つの法形式により完成したことが認められる。

加えて、近時は事業譲渡が複数の取引により行われることも通常みられ、複数の取引が1つの企業結合を構成している場合には、それらを一体として取り扱うとされていることから、複数の取引による事業譲渡については、いずれの取引により譲渡されたものであっても譲受財産に当たると解するのが自然である。

したがって、本件事業の譲渡は、複数の取引による事業譲渡に当たると認められ、それらの取引の一つである本件資産譲渡により譲渡された本件資産は、国税徴収法第38条にいう譲受財産に該当すると解する。

また、特殊関係者の判定は、本件資産に係る事情を踏まえると、請求人が本件新設分割の時点において特殊関係者であれば足りるというべきであることから、請求人は、国税徴収法第38条及び国税徴収法施行令第13条第1項第5号に規定する特殊関係者に該当する。

ただし、原処分庁が認定した譲受財産には、原処分庁の差押えにより請求人への引渡しが不能となった債権が含まれ、この場合あらかじめ請求人と滞納法人との間において譲渡対価を減額する旨の合意をしていたことから、本件資産譲渡に係る契約の一部を合意解除したものと解され、当該債権は国税徴収法第38条に規定する譲受財産には含まれない。

★リンクはこちら ⇒ 会社法第762条の規定に基づく新設分割によって滞納法人の事業を承継した請求人は国税徴収法第38条の規定による第二次納税義務を負うとした事例

2022年3月8日


令和2年度租税滞納状況について

国税庁は、適正かつ公平な徴収を実現するため、期限内収納の確保に努めるとともに、滞納となったものについては、納税者個々の実情を踏まえながら、法令等に基づき、納税緩和措置の適用や滞納処分を実施するなどして確実な徴収に努めている。

特に、新型コロナウイルス感染症の影響により納税が困難な方に対しては、法令等に基づき、納税の猶予等の納税緩和措置を迅速かつ柔軟に適用するなど、引き続き、適切に対応している。

★リンクはこちら ⇒ 令和2年度租税滞納状況について

2021年8月17日


請求人を所有者とする不実の登記がなされている不動産を滞納法人が請求人に取得させた行為が、国税徴収法第39条《無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務》の第三者に利益を与える処分に該当するとしてされた納付告知処分について、当該不動産があたかも請求人所有の不動産であったかのような会計処理が行われていることをもって不動産の所有権を請求人に取得させたとは認められないと判断した事例

  • 第二次納税義務納付告知処分
  • 全部取消し
  • 令和2年7月28日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人を買主として作成された不動産売買契約書について、処分証書ではないとして契約の成立を否認した上で、仮に契約が成立したと認められるとしても、内心の意思とは異なる意思表示について売主は悪意であったといえるから、民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)第93条《心裡留保》ただし書の規定により無効であるという判断をしたものであり、また、会計処理等によっては不動産の所有権移転が認められず、国税徴収法第39条《無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務》の第三者に利益を与える処分がされたとはいえないと判断したものである。

<要旨>
請求人は、買主を滞納法人とする4月付の売買契約(4月売買契約)は解除合意(本件解除合意)がされ、その後、買主を請求人とする5月付の売買契約(5月売買契約)が成立しており、これを無効とする事情はないから、5月売買契約に基づいて、請求人名義で不実の登記がなされた各不動産(本件各不動産)を取得した旨主張する。

しかしながら、事実関係からすれば、請求人が5月売買契約に係る契約書(5月売買契約書)を作成する意思は有していたとしても、その作成によって、本件各不動産を請求人が買い受ける旨の意思表示がされたものとは認められない。
仮に5月売買契約書等の作成によって、請求人等がこれらの書面に記載されたとおりの意思表示をしたと認められるとしても、事実関係を前提とすれば、内心の意思とは異なる意思表示がされ、これを売主も認識していたといえるから、いずれにしても民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)第93条《心裡留保》ただし書の規定により、5月売買契約等は無効となる。

また、原処分庁は、請求人を所有者とする不実の登記がされた本件各不動産について、①本件各不動産の売買代金を仮払金として計上していた滞納法人が、売買後、これを請求人に対する貸付金に振り替え(本件会計処理)、請求人が、本件各不動産の賃料収入を売買時から遡って計上したこと、②滞納法人の代表者が請求人も支配できる立場にあり、税務調査を切り抜けるためにこれらの会計処理をしたこと等からすれば、本件会計処理の日に本件各不動産の所有権は滞納法人から請求人に移転している旨主張する。

しかしながら、滞納法人は、本件会計処理の日以降も本件各不動産の賃料収入を受領しており、その余の事情を考慮しても、本件各不動産の所有権が請求人に移転したと認めるに足りる証拠もないことから、本件会計処理の日に本件各不動産の所有権が滞納法人から請求人に移転したとは認められない。

★リンクはこちら ⇒ 請求人を所有者とする不実の登記がなされている不動産を滞納法人が請求人に取得させた行為が、国税徴収法第39条《無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務》の第三者に利益を与える処分に該当するとしてされた納付告知処分について、当該不動産があたかも請求人所有の不動産であったかのような会計処理が行われていることをもって不動産の所有権を請求人に取得させたとは認められないと判断した事例

2021年4月23日


滞納法人の売上げを譲り受けたことによる国税徴収法第39条《無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務》に基づく第二次納税義務の納付告知処分の取消請求において、請求人が受けた利益の一部は滞納法人に係る売上げではないとした事例

  • 第二次納税義務の告知処分
  • 一部取消し
  • 令和2年7月9日裁決

<ポイント>
滞納法人の売上除外等に加担した法人の口座へ売上金を振り込ませた後、請求人に当該売上金を現金又は振込みにより無償譲渡したとして告知処分された第二次納税義務について、請求人及び関係者らの答述等の信用性を検討した上で、上記加担した法人の口座に振り込まれた金員の一部は、滞納法人に係る売上げではないとして、当該第二次納税義務の一部を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、滞納法人が各取引先から受け取るべき売上金が、請求人の指示の下、請求人の知人が主宰する法人を発行元とした各請求書に基づき、請求人に交付されたことについて、請求人、滞納法人の代表者及び請求人の知人(請求人ら)が認めていることから、滞納法人から請求人に対して、国税徴収法第39条《無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務》に規定する無償の譲渡があった旨主張する。

しかしながら、一部の取引先について、請求人らから、滞納法人に帰属する売上げを請求したものであるとの具体的な申述はなく、当該取引先から原処分庁への回答書にも、滞納法人に帰属する売上げであるなどの具体的な記載もない。

また、本件の全証拠を検討しても、滞納法人に係る売上げであると断定するに足りる証拠は認められない。

★リンクはこちら ⇒ 滞納法人の売上げを譲り受けたことによる国税徴収法第39条《無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務》に基づく第二次納税義務の納付告知処分の取消請求において、請求人が受けた利益の一部は滞納法人に係る売上げではないとした事例

2021年4月19日


売却決定処分に係る見積価額が時価より著しく低廉であり違法であるとの請求人の主張に対し、売却決定価額と時価(基準価額)とを比較し、低廉ではないと判断した事例

  • 不動産の売却決定処分
  • 棄却
  • 令和元年7月2日裁決

<ポイント>
本事例は、売却決定価額の低廉性の判断においては、売却決定価額と時価(基準価額)を比較するのが相当であり、見積価額の低廉性の主張に対しても、結果として売却決定価額が著しく低廉でない限り、低廉による違法の認定はないと判断したものである。

<要旨>
請求人は、請求人が所有する土地(本件土地)の時価については、少なくとも不動産販売会社による簡易査定価格を下回らないから、本件土地の見積価額(本件見積価額)は時価より著しく低廉であり、時価より著しく低廉な見積価額で公売された場合の売却価額は、見積価額が時価相当額であった場合と比べて当然に低廉となる旨主張する。

しかしながら、公売財産の見積価額は、その財産の時価に相当する基準価額を求めた上、公売の特殊性を考慮し、基準価額からそのおおむね30%程度の範囲内の公売特殊性減価を行い算定することから、時価を相当に下回るのが通常であるところ、公売財産の見積価額が時価より著しく低廉であり、その結果、売却価額も時価より著しく低廉となった場合には、見積価額の決定が最低売却価額の保障をすることにあるという趣旨に反することとなるから、この場合の売却決定処分は違法になると解すべきである。

本件では、本件土地の基準価額に公売特殊性減価(減価率20%)をした額を本件見積価額として決定し、本件土地の売却価額は、本件土地の時価と認められる本件土地の基準価額の約85%に相当する価額であったことから、時価より著しく低廉でないと認められる。

★リンクはこちら ⇒ 売却決定処分に係る見積価額が時価より著しく低廉であり違法であるとの請求人の主張に対し、売却決定価額と時価(基準価額)とを比較し、低廉ではないと判断した事例

2020年6月5日


当初の基準価額から再公売による市場性減価及び公売特殊性減価の上算出した見積価額による最高価申込者決定処分について、減価は徴収法基本通達の範囲内で行われており、合理性を欠くものとは認められないことから、見積価額が時価より著しく低廉であるとは認められず、最高価申込者決定処分も違法なものとはいえないとした事案

  • 最高価申込者決定処分
  • 棄却
  • 令和元年9月19日裁決

<要旨>
請求人は、請求人が所有する土地(本件土地)の最高価申込価額(本件最高価申込価額)は、請求人が任意売却を申し入れた際の金額や本件土地の近隣の土地の販売価格よりも低廉であるため、最高価申込者決定処分は違法である旨主張する。

しかしながら、本件最高価申込価額と同額の公売時見積価額は、国税徴収法(平成30年3月法律第7号による改正前のものをいう。)第98条《見積価額の決定》第1項や国税徴収法基本通達第98条関係2《公売財産の評価》、同3《見積価額の決定》、同通達第107条関係1-2《見積価額の変更》を根拠として、不動産鑑定士による鑑定評価額を基に、期間経過に伴う価格変動を時点修正し、公売において需要がなく公売が不成立となった事実を根拠に市場性減価し、公売が強制売却であること等による公売特殊性減価した上で算出されたものであり、算出過程に不合理な点は認められないから、本件最高価申込価額も公売財産の時価より著しく低廉であるとは認められない。

★リンクはこちら ⇒ 当初の基準価額から再公売による市場性減価及び公売特殊性減価の上算出した見積価額による最高価申込者決定処分について、減価は徴収法基本通達の範囲内で行われており、合理性を欠くものとは認められないことから、見積価額が時価より著しく低廉であるとは認められず、最高価申込者決定処分も違法なものとはいえないとした事案

2020年6月2日


差押処分の前に差押財産を商品売買契約により取得し、引渡しを受け対抗要件を備えたとの請求人の主張について、商品売買契約書により売買の意思表示は認められるものの、売買の意思表示が同契約書作成時にされたとは認められないとした事例

  • 動産の差押処分
  • 棄却
  • 令和元年7月8日裁決

<ポイント>
本事例は、直接証拠として提出された商品売買契約書について、その証拠力の適切な検討を踏まえて、請求人と滞納法人との商品売買契約の成否について、当事者の真意を事実認定のプロセスに則り適切に認定し、書証の区分による判断の枠組みに従い適切な法的構成により判断したものである。

<要旨>
請求人は、原処分庁が差し押さえた各動産のうち動産1(動産1)の所有権は、請求人が徴収職員に提示した商品売買契約書(本件商品売買契約書)による契約(本件商品売買契約)により当該各動産の各差押処分時(本件各差押処分時)までに、滞納法人から請求人に移転している旨主張する。

しかしながら、①本件商品売買契約書によって本件商品売買契約が本件各差押処分より前に成立しているとは認められないこと、②本件商品売買契約書に滞納法人の代表取締役として記名のある者は、本件商品売買契約時において滞納法人の業務について執行する権限を有していないこと、③本件商品売買契約に基づき滞納法人から請求人に対し本件各差押処分より前に動産1の引渡し(占有改定)が行われていたと認められないこと、以上から、本件商品売買契約により本件各差押処分時までに、動産1の所有権が滞納法人から請求人に移転していたとは認められない。

また、請求人は、原処分庁が差し押さえた各動産のうち動産2(動産2)は、請求人から滞納法人に販売を委託したものであるとも主張するが、この主張を認めるに足りる証拠はないことから、本件各差押処分時における、動産2の所有者は滞納法人であると認められる。

★リンクはこちら ⇒ 差押処分の前に差押財産を商品売買契約により取得し、引渡しを受け対抗要件を備えたとの請求人の主張について、商品売買契約書により売買の意思表示は認められるものの、売買の意思表示が同契約書作成時にされたとは認められないとした事例

2020年5月27日


第二次納税義務の受けた利益の額の算定において、無償譲渡した不動産を財産評価通達を参考にして評価することは妥当とはいえないとして、納付告知処分の一部を取り消した事例

  • 第二次納税義務の各納付告知処分
  • 一部取消し
  • 令和元年6月4日裁決

<ポイント>
本事例は、国税徴収法第39条の第二次納税義務における受けた利益の額は、財産処分時等の現況に応じて、客観的な交換価値である通常の取引価額により算出するものとして、国税不服審判所における不動産鑑定評価による認定額を用いて審理をしたものである。

<要旨>
請求人らは、国税徴収法第39条《無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務》の受けた利益の限度の算出に当たり、①仮に、本件贈与者が本件各係争不動産を贈与したこと(本件各贈与)がなかったならば、本件各係争不動産は別件各公売不動産と一緒に公売されていたと想定されるから、広大地評価による減価を考慮して算定すべきである旨、また、②本件建物1は、その贈与当時、賃貸されていたが、耐用年数が経過していることから、建物の取壊費用相当額を減額すべきである旨主張する。

しかしながら、請求人らの主張は、①本件各贈与がなかったという仮定に基づくものにすぎず、実際には本件各贈与が行われており、前提を欠き、②本件建物1の経済的残存耐用年数は6年だったこと、賃貸としての利用が最有効使用であること等から、価額の算定に際し、更地価額から建物の取壊費用相当額を減額するのは合理的ではない。

一方、原処分庁は、譲受財産の価額を財産評価基本通達(評価通達)により算定することは特段不合理ではない旨主張する。

しかしながら、評価通達は、相続税等の課税価格計算の基礎となる財産の評価を定めたものであり、譲受財産の価額の算定に評価通達を適用すべきとする法令等の規定は存在せず、本件では、当審判所が原処分庁とは異なる算定をした本件各係争不動産のうち、建物の一部が隣接地との境界を越えて建っていること、一部の土地上に経済的合理性を有しない賃貸用建物が存在すること、建物の所有者に使用借権があること、一部の土地が共有関係にあることなどを考慮して算定する必要があるにもかかわらず、原処分庁が算定した価額では、これらの事情が適切に考慮されていないから、これらの価額の算定に際して評価通達を参考にするのは妥当とはいえない。

★リンクはこちら ⇒ 第二次納税義務の受けた利益の額の算定において、無償譲渡した不動産を財産評価通達を参考にして評価することは妥当とはいえないとして、納付告知処分の一部を取り消した事例

2020年4月17日


事業の譲受人である請求人は滞納者と同一とみられる場所において事業を営んでいるとされた事例

  • 第二次納税義務の納付告知処分
  • 棄却
  • 平成31年3月26日裁決

<ポイント>
本事例は、タクシー事業における車庫は、タクシー事業を営む者が事業活動を行っていくために、運行管理業務等を行う営業所と同視できる程度に重要かつ必要不可欠な場所であると認められることから、滞納者が車庫として使用していた場所を営業所としてタクシー事業を営んでいる請求人は社会通念上同一の場所と認められる場所で事業を営んでいると認められるとしたものである。

<要旨>
請求人は、国税徴収法(平成28年法律第15号による改正前のもの。徴収法)第38条《事業を譲り受けた特殊関係者の第二次納税義務》に規定する「事業を営んでいる場所」とは、タクシー事業においては、道路運送法第5条《許可申請》第1項第3号に規定する営業所を指すと解するべきであり、車庫は営業所には含まれないから事業を営んでいる場所には当たらず、請求人は同一の場所で事業を営んでいるとはいえない旨主張する。

しかしながら、徴収法第38条の「同一とみられる場所」とは、同一の場所のほか、社会通念上同一の場所と認められる場所をいうと解するのが相当であるところ、請求人は、第二次納税義務の納付告知処分時において、滞納法人が車庫として使用していた場所を営業所としてタクシー事業を営んでおり、同営業所は滞納法人の営業所とは地理的に異なった場所であるが、タクシー事業における車庫は、その確保が事業許可の要件となっているだけでなく、その場所についても営業所と近接していなければならないという制限があるなど、営業所と相互に密接に関連付けて利用・管理され、有機的一体として機能する財産の一部であり、また、車庫に保管されている営業用車両が収益を生み出す基礎となるというタクシー事業の特質に鑑みると、車庫は、タクシー事業を営む者が事業活動を行っていくために、運行管理業務等を行う営業所と同視できる程度に重要かつ必要不可欠な場所であると認められる。

加えて、請求人の営業所は、滞納法人の営業所と、物理的に異なる場所とはいえ県道を挟んだ斜め向かいに位置し、いずれも当該県道に面しているほか、直線距離で42メートルしか離れていないことも踏まえると、請求人の事業と滞納法人の事業は外形的に同一性を有するということができるから、請求人の事業は社会通念上同一の場所と認められる場所で営まれているものと認められる。

 ★リンクはこちら ⇒ 事業の譲受人である請求人は滞納者と同一とみられる場所において事業を営んでいるとされた事例

2020年2月6日


死亡した滞納者からその生前に無償譲渡等の処分により権利を取得した者は死亡後においても第二次納税義務を負うとされた事例

  • 第二次納税義務の納付告知処分
  • 納付催告書による督促処分
  • 一部取消し
  • 平成31年3月18日裁決

<ポイント>
本事例は、納税者の国税の法定納期限の1年前の日以後に同人がその財産につき無償譲渡等の処分を行い、その後死亡した場合には、死亡後の第二次納税義務を負わせるかどうかの判定をしようとする時の現況において、死亡により相続人に承継された国税につき滞納が生じており、滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められ、かつ、その不足することが当該無償譲渡等の処分に基因すると認められるときは、当該無償譲渡等の処分により権利を取得した者は第二次納税義務を負うと解するのが相当であるとしたものである。

<要旨>
請求人は、国税徴収法第39条《無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務》は、滞納者である主たる納税者が贈与等を行った場合の規定であるところ、被相続人から請求人への土地の贈与(本件贈与)は、請求人が被相続人(本件被相続人)から受けたものであって、相続人(本件相続人ら)から受けたものではないため、滞納者である主たる納税者(本件相続人ら)が請求人に対して贈与等を行った事実はなく、本件贈与は、本件被相続人の死亡後においては、国税徴収法第39条に規定する滞納者が行ったとの要件を満たさないから、滞納者であった本件被相続人が行った無償譲渡等の処分により権利を取得した請求人は、本件被相続人の死亡後においては、第二次納税義務を負わない旨主張する。

しかしながら、納税者の国税の法定納期限の1年前の日以後に同人がその財産につき無償譲渡等の処分を行い、その後死亡した場合には、死亡後の第二次納税義務を負わせるかどうかの判定をしようとする時の現況において、死亡により相続人に承継された国税につき滞納が生じており、滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められ、かつ、その不足することが当該無償譲渡等の処分に基因すると認められるときは、当該無償譲渡等の処分により権利を取得した者は第二次納税義務を負うと解するのが相当である。

ただし、本件各納付告知処分に係る納付すべき限度の額はそれぞれ○○○○円とされているところ、本件相続人らは、本件被相続人の死亡により本件被相続人の滞納国税の納付義務を承継している以上、当該納付すべき限度の額については、民法第900条及び第901条の規定によるその相続分によりあん分した額、すなわち、○○○○円を本件相続人らの相続分(2分の1)であん分して計算した額となる。

そうすると、本件各納付告知処分に係る納付すべき限度の額は、それぞれ○○○○円となる。

したがって、本件各納付告知処分は、納付すべき限度の額につき○○○○円を超える部分はいずれも違法となる。

 ★リンクはこちら ⇒ 死亡した滞納者からその生前に無償譲渡等の処分により権利を取得した者は死亡後においても第二次納税義務を負うとされた事例

2020年2月4日


見積価額の適否は、公売公告処分の適法性には影響しないとした事例

  • 公売公告処分
  • 棄却
  • 平成30年10月22日裁決

<ポイント>
本事例は、見積価額は、公売公告事項ではなく、公売公告とは別個独立に公告されることが予定されている上、見積価額の公告は、公売公告がされた後においてもすることができることとされていることから、見積価額の適否は、公売公告処分の適法性には影響しないと判断したものである。

<要旨>
請求人は、公売財産に係る見積価額が低廉であるから、公売公告処分(本件公売公告処分)は違法であり取り消されるべきである旨主張する。

しかしながら、見積価額は、徴収法第95条《公売公告》第1項に規定する公売公告事項ではなく、公売公告とは別個独立に公告されることが予定されている上、見積価額の公告は、公売公告がされた後においてもすることができることとされている。

この点、本件公売公告処分と見積価額公告は同時にされたことが認められるものの、徴収法の定めに鑑みると、法的には、別個独立の公告が同時にされたものと評価するほかないものである。

そうすると、見積価額の適否は、徴収法上、見積価額公告の後に行われることとなっている最高価申込者の決定処分又は売却決定処分の違法事由を構成し得るものの、公売公告処分の適法性には影響せず、本件公売公告処分の違法事由を構成し得ないというべきである。

したがって、請求人は、公売財産に係る見積価額が低廉であることを理由として本件公売公告処分の取消しを求めることはできない。

 ★リンクはこちら ⇒ 見積価額の適否は、公売公告処分の適法性には影響しないとした事例

2019年12月24日


国税徴収法第35条の第二次納税義務の納付告知処分に係る限度額は、同族会社である請求人の発行する株式の適正な時価を反映して算出されたものではないとして、当該納付告知処分の一部を取り消した事例

  • 第二次納税義務の納付告知処分
  • 一部取消し
  • 平成30年5月29日裁決

<ポイント>
本事例は、国税徴収法第35条の第二次納税義務の限度額の算定に当たっては、同族会社の直前の決算期の貸借対照表等の各勘定科目の中に、納付通知書を発した日における金額が明らかとなっている資産又は負債が含まれている場合等には、貸借対照表等の金額に一定の修正を加えて客観的な時価を算定するのが相当としたものである。

<要旨>
原処分庁は、国税徴収法第35条《同族会社の第二次納税義務》の規定に基づき、請求人が負うべき第二次納税義務の限度となる株式(本件株式)の価額を、請求人に納付通知書(本件納付通知書)を発する日の直前の決算期末の貸借対照表(本件貸借対照表)に記載されている金額により算定したことは、国税徴収法基本通達第35条関係の13《資産及び負債の額の計算》に基づいて本件株式の適正な時価を反映させた適法なものである旨主張する。

しかしながら、当該通達が、特に徴収上支障がない場合には、直前の決算期の貸借対照表等を参考とすることを認めているのは、納付通知書を発した日の時価評価を簡便に行えるようにすることを企図するものである一方、飽くまで「参考」とすることができるにとどめているのは、国税徴収法第35条第2項の「当該会社の資産の総額から負債の総額を控除した額」は、同族会社に対し納付通知書を発する時の客観的な時価を標準として計算されるべきものであることを踏まえたものと解され、納付通知書を発する日の直前の決算期の貸借対照表等の各勘定科目の中に、納付通知書を発した日における金額が明らかになっている資産又は負債が含まれている場合や、具体的な経済的価値を有しているとはいい難い資産や、その債務の発生が確実といえないような負債が含まれている場合には、貸借対照表等の金額に一定の修正を加えて、納付通知書を発した日における客観的な時価を算定するのが相当である。

本件においては、現金や預金など本件納付通知書を発した日における金額が明らかとなっている資産等があると認められる以上、一定の修正を加えて本件株式の客観的な時価を算定するのが相当であり、原処分庁が本件貸借対照表に記載されている金額をそのまま用いて算定した本件株式の価額は、適正な時価を反映して算出された適法なものとはいえない。

 ★リンクはこちら ⇒ 国税徴収法第35条の第二次納税義務の納付告知処分に係る限度額は、同族会社である請求人の発行する株式の適正な時価を反映して算出されたものではないとして、当該納付告知処分の一部を取り消した事例

2019年7月18日


国税徴収法第39条における債務免除により受けた利益の額は、債務免除の対象となった債権の額面上の金額と同額であるとした事例

  • 第二次納税義務の納付告知処分
  • 棄却
  • 平成30年6月7日裁決

<ポイント>
本事例は、国税徴収法第39条における債務免除により受けた利益の額とは、債務免除がされた時における債権の客観的時価に相当する価額をいい、当該価額の算定に当たっては、債務者の資産状況、支払能力等の債務者側の事情を踏まえて算定するのが相当であるとしたものである。

<要旨>
請求人は、債務免除(本件債務免除)当時における請求人の財務状況等から、その時点で請求人が破産した場合、一般債権者への配当はなかったこと、また、債務免除前に、事実上支払停止に陥っており支払能力はなかったことを理由に、滞納者が債務免除をした貸付金(本件貸金債権)の本件債務免除の時の価額は零円であるから、請求人が本件債務免除により受けた利益の額は零円である旨主張する。

しかしながら、債権の評価に当たっては、債務者の資産状況、支払能力等の債務者側の事情を踏まえて算定するのが相当であるところ、請求人は、本件債務免除当時、①手形交換所における取引停止処分や法的整理(再生手続、破産手続等)の開始決定及び事業の休廃業等の事実はなく、②事業活動は継続されており、本件債務免除の前後において相当の売上高を計上していたこと、③本件貸金債権の額を大きく上回る流動資産を有していたこと、④本件債務免除は、主要取引銀行に対し、請求人の代表者である滞納者の経営責任を明確にするために行われたものであり、本件貸金債権の回収が不可能又は著しく困難であるとして債務免除が行われたものではないことからすると、本件貸金債権の全部又は一部の回収が不可能又は著しく困難であると見込まれるような特別な事情があったとは認められないから、債務免除により請求人が受けた利益の額は、本件貸金債権の額面上の金額と同額であるとするのが相当である。

 ★リンクはこちら ⇒ 国税徴収法第39条における債務免除により受けた利益の額は、債務免除の対象となった債権の額面上の金額と同額であるとした事例

2019年7月17日


請求人が滞納者から財産分与により取得した財産の価額は不相当に過大ではないから無償譲渡等の処分があったとは認められないとして、国税徴収法第39条の第二次納税義務の告知処分の全部を取り消した事例

  • 第二次納税義務の納付告知処分
  • 全部取消し
  • 平成30年1月11日裁決

<ポイント>
本事例は、離婚に伴う財産分与が民法第768条の規定の趣旨に反して不相当に過大であるか否かは、財産の額や婚姻期間中の状況等の諸事情を考慮して、清算的要素、扶養的要素及び慰謝料的要素に相当する額をそれぞれ算定した上で判断するのが相当であるところ、請求人が滞納者から財産分与により取得した財産の価額は、上記要素に基づき算定した財産分与相当額を下回るものであり、不相当に過大ではないから、国税徴収法第39条に規定する無償譲渡等の処分があったとは認められないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、滞納者(請求人の元夫)から請求人に対する預金債権及び生命保険契約等に係る解約返戻金の支払請求権(本件各債権)の譲渡は、滞納者が営んでいた事業(本件事業)の請求人への引継ぎに伴い無償で譲渡されたものであり、国税徴収法第39条《無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務》に規定する「無償又は著しく低い額の対価による譲渡、債務の免除その他第三者に利益を与える処分」(無償譲渡等の処分)に該当する旨主張する。

しかしながら、本件事業の引継ぎに伴い、滞納者から請求人に対し本件各債権の無償による譲渡があったとは認められず、滞納者と請求人の離婚協議の場で作成された合意書その他の状況等を踏まえると、本件各債権は離婚に伴う財産分与により滞納者から請求人に譲渡されたものと認めることが相当である。

そして、離婚に伴う財産分与が民法第768条《財産分与》の規定の趣旨に反して不相当に過大であるか否かは、財産の額や婚姻期間中の状況等の諸事情を考慮して、清算的要素、扶養的要素及び慰謝料的要素に相当する額をそれぞれ算定した上で判断するのが相当であるところ、請求人が滞納者から財産分与により取得した財産の価額は、上記要素に基づき算定した財産分与相当額を下回るものであり、不相当に過大ではないから、無償譲渡等の処分があったとは認められない。

 ★リンクはこちら ⇒ 請求人が滞納者から財産分与により取得した財産の価額は不相当に過大ではないから無償譲渡等の処分があったとは認められないとして、国税徴収法第39条の第二次納税義務の告知処分の全部を取り消した事例

2019年1月25日


平成30年11月にインターネット公売を実施します。

1.「インターネット公売」とは
インターネット公売は、滞納となった税金を徴収するために差押財産を強制的に売却する公売手続のうち、買受申込みなどの手続について、インターネットを利用して行うものである。

2.インターネット公売(平成30年11月)の実施内容
(1)公売予定財産
自動車、絵画、土地、土地付建物など

(2)日程

公売参加申込受付期間 平成30年10月26日(金)13時~11月6日(火)17時
買受申込期間 平成30年11月16日(金)13時~11月19日(月)13時
最高価申込者の決定日 平成30年11月21日(水)10時
買受代金の納付期限 平成30年12月4日(火)14時

※詳細については、公売情報ホームページまたはヤフー株式会社の「官公庁オークション」をご覧のこと。
※インターネット公売への参加を希望される場合は、公売参加申込受付期間中に参加申込みが必要である。

 ★リンクはこちら ⇒ 平成30年11月にインターネット公売を実施します。

2018年10月29日


平成30年9月にインターネット公売を実施します。

1.「インターネット公売」とは
インターネット公売は、滞納となった税金を徴収するために差押財産を強制的に売却する公売手続のうち、買受申込みなどの手続について、インターネットを利用して行うものである。

2.インターネット公売(平成30年9月)の実施内容
(1)公売予定財産
リゾート会員権、自動車、掛軸、時計、土地、土地付建物など
(2)日程

公売参加申込受付期間 平成30年8月24日(金)13時~9月4日(火)17時
買受申込期間 平成30年9月14日(金)13時~9月18日(火)13時
最高価申込者の決定日 平成30年9月20日(木)10時
買受代金の納付期限 平成30年10月2日(火)14時

※詳細については、公売情報ホームページまたはヤフー株式会社の「官公庁オークション」をご覧のこと。
※インターネット公売への参加を希望される場合は、公売参加申込受付期間中に参加申込みをしてください。

 ★リンクはこちら ⇒ 平成30年9月にインターネット公売を実施します。

2018年8月28日


不服申立ての期限の特例の適用がある換価代金等の配当処分に対する審査請求については、不服申立期間の延長を定めた国税通則法第77条第1項ただし書(正当な理由)の適用はないとした事例

  • 換価代金等の配当処分
  • 却下
  • 平成29年12月6日裁決

<要旨>
国税徴収法第171条《滞納処分に関する不服申立て等の期限の特例》第1項第4号は、換価代金等の配当処分に関し欠陥があることを理由としてする不服申立ては、国税通則法第77条《不服申立期間》の規定にかかわらず、換価代金等の交付期日まででなければすることはできない旨規定しているところ、当該特例が定められた趣旨は、滞納処分手続の安定を図り、かつ、換価手続により権利を取得し、または利益を受けた者の権利、利益を保護しようとすることにあるものと解される。

したがって、換価代金等の配当処分に関し欠陥があることを理由とする審査請求には、国税通則法第77条第1項ただし書(正当な理由があるとき)の適用はないと解するのが相当であり、本審査請求は、法定の不服申立てができる期限を経過した後にされた不適法なものである 。

 ★リンクはこちら ⇒ 不服申立ての期限の特例の適用がある換価代金等の配当処分に対する審査請求については、不服申立期間の延長を定めた国税通則法第77条第1項ただし書(正当な理由)の適用はないとした事例

2018年8月22日


差押財産の公売において、買受勧奨がなかったことにより、最高価申込価額が差押財産の所有者等の期待する価額に達しなかったとしても、そのことによって最高価申込者の決定処分が違法となることはないとした事例

  • 最高価申込者の決定処分
  • 棄却
  • 平成29年12月20日裁決

<ポイント>
本事例は、差押財産の公売において、買受勧奨がなかったことにより、最高価申込価額が差押財産の所有者等の期待する価額に達しなかったとしても、そのことによって最高価申込者の決定処分が違法となることはないとしたものである。

<要旨>
請求人は、原処分庁に対して公売財産の購入希望者の存在を伝えていたにもかかわらず、原処分庁が当該購入希望者に公売に参加するように連絡(買受勧奨)をしなかった結果、当該購入希望者が公売に参加せず、請求人の期待した価額より低廉な価額で最高価申込者の決定処分(本件最高価決定処分)がされたとして、当該決定処分は違法である旨主張する。

しかしながら、国税徴収法第104条《最高価申込者の決定》第1項は、徴収職員は、見積価額以上の入札者等のうち最高の価額による入札者等を最高価申込者として定めなければならない旨規定し、また、見積価額の決定につき、同法第98条《見積価額の決定》第1項は、国税局長は公売財産の価格形成上の事情を適切に勘案するとともに、差押財産を公売するためのものであることを考慮しなければならない旨規定しており、国税徴収法は、これらの規定をもって、最高価申込価額が時価と比し著しく低廉となることを防止し、もって最低売却価額を保障しようとしたものと解される。
また、国税徴収法には、公売公告は国税局の掲示場その他国税局内の公衆の見やすい場所に掲示して行う旨の規定(国税徴収法第95条《公売広告》第2項)は存在するものの、買受勧奨に関する規定は存在しない。

これらのことからすると、最高価申込価額が時価より著しく低廉でない場合には、最高価申込価者の決定処分がその価額の点から違法になることはないから、買受勧奨がなかったことにより、最高価申込価額が公売財産の所有者等の期待する価額に達しなかったとしても、そのことによって最高価申込者の決定処分が違法となることはないと解される。

したがって、買受勧奨の有無が、本件最高価決定処分の適法性に影響を及ぼすことはない。

 ★リンクはこちら ⇒ 差押財産の公売において、買受勧奨がなかったことにより、最高価申込価額が差押財産の所有者等の期待する価額に達しなかったとしても、そのことによって最高価申込者の決定処分が違法となることはないとした事例

2018年8月9日


原処分庁による動産の差押処分が行われた時点において、当該動産は既に第三者へ譲渡されており、第三者対抗要件である引渡しも完了していたとして、当該差押えを取り消した事例

  • 動産の差押処分
  • 全部取消し
  • 平成29年10月18日裁決

<ポイント>
本事例は、原処分庁が行った動産の差押処分につき、当該動産は差押処分の時点で既に第三者へ譲渡されていたところ、第三者対抗要件たる引渡しについては占有改定により完了していたと認定したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人と滞納法人との間で締結された合意書(本件合意書)には、建物(本件建物)の占有移転に係る記載はあるが、本件建物内にあった動産(本件動産)の占有移転に係る記載はなく、本件動産に対する差押処分(本件差押処分)時に、本件動産が請求人の所有物であったことを第三者が知り得るような明示もされていなかったことから、本件動産に係る占有改定の合意があったとはいえない上、本件建物の賃貸人は滞納法人が本件建物の賃借人であると認識していたことからしても、請求人は本件動産の引渡しを受けていない旨主張する。

しかしながら、そもそも動産の引渡しには第三者が知り得るような明示が必要であるとする民法の条文や判例は見当たらないところ、請求人と滞納法人は、関係者への影響を最小限にすべく、事業の承継に必要な本件建物と本件動産を滞納法人から滞りなく請求人に承継させることを企図していたことからすると、請求人と滞納法人が、この企図に反して本件動産のみの占有を移転しないことは考えられず、たとえ、本件合意書にそのことが明示的に記載されていなくとも、本件建物の占有の移転だけでなく、本件建物内に存する本件動産の占有の移転にも合意するとともに、本件動産が現実に引き渡されるまでは本件動産を請求人のために占有することに合意したものと解するべきであり、さらに本件動産の引渡し(占有改定)は、請求人及び滞納法人間でできるものであって、上記認定が賃貸人の認識により左右されるものではないことからしても、請求人は、本件差押処分の前に、占有改定により本件動産の引渡しを受けていたといえるから、原処分庁の主張は採用できない 。

 ★リンクはこちら ⇒ 原処分庁による動産の差押処分が行われた時点において、当該動産は既に第三者へ譲渡されており、第三者対抗要件である引渡しも完了していたとして、当該差押えを取り消した事例

2018年8月7日


国税徴収法第35条の第二次納税義務の告知処分に係る限度額は、同族会社である請求人の発行する株式の適正な時価を反映して算出されたものではないとして、当該告知処分の全部を取り消した事例

  • 第二次納税義務の納付告知処分
  • 全部取消し
  • 平成29年12月13日裁決

<ポイント>
本事例は、国税徴収法第35条の第二次納税義務の限度額の算定に当たっては、同族会社の直前の決算期の貸借対照表等の各勘定科目の中に、その回収が不可能又は著しく困難であると見込まれる債権などのように、額面どおりの経済的価値があるとはいい難い資産や、その債務の発生が確実といえないような負債が含まれている場合には、貸借対照表等の金額に一定の修正を加えて客観的な時価を算出するのが相当であるとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、国税徴収法第35条《同族会社の第二次納税義務》の規定に基づき、請求人の負うべき第二次納税義務の各限度額(本件各限度額)を、請求人の直前の決算期末の貸借対照表に記載されている簿価により算出したことは、国税徴収法基本通達第35条関係の13《資産及び負債の額の計算》に定める「特に徴収上支障がない」場合に該当することから、株式の適正な時価を反映させた適法なものである旨主張する。

しかしながら、当該通達が、特に徴収上支障がない場合には、直前の決算期の貸借対照表等を参考とすることを認めているのは、納付通知書を発した日の時価評価を簡便に行えるようにすることを企図するものである一方、国税徴収法第35条第2項の「当該会社の資産の総額から負債の総額を控除した額」は、同族会社に対し納付通知書を発する時の客観的な時価を標準として計算されるべきものであることを踏まえ、飽くまで「参考」とすることができるにとどめているものと解される。そうであるとすると、直前の決算期の貸借対照表等の各勘定科目の中に、その回収が不可能又は著しく困難であると見込まれる債権などのように、額面どおりの経済的価値があるとはいい難い資産や、その債務の発生が確実といえないような負債が含まれている場合には、貸借対照表等の金額に一定の修正を加えて客観的な時価を算出するのが相当であり、本件各限度額は、請求人の発行する株式の適正な時価を反映して算出された適法なものとはいえない 。

 ★リンクはこちら ⇒ 国税徴収法第35条の第二次納税義務の告知処分に係る限度額は、同族会社である請求人の発行する株式の適正な時価を反映して算出されたものではないとして、当該告知処分の全部を取り消した事例

2018年7月31日


滞納会社が行った生命保険の委託先代理店の変更が国税徴収法第39条の「第三者に利益を与える処分」に当たるとした事例

  • 第二次納税義務の納付告知処分
  • 一部取消し
  • 平成29年12月14日裁決

<ポイント>
本事例は、滞納会社が行った生命保険の委託先代理店の変更により、代理店たる契約上の地位が滞納会社から請求人に譲渡された結果、請求人は滞納会社が行った保険募集業務に係る代理店手数料を受領することとなったことが認められ、当該代理店手数料相当額の利益を受けたと認められるとしたものである。

<要旨>
請求人は、生命保険の代理店業を営む滞納会社(本件滞納会社)には、保険会社との代理店業務委託契約における契約上の地位を第三者に譲渡する権限はないこと、代理店手数料は請求人自らが行った業務の対価として、請求人が受け取るべきものといえることなどを理由に、本件滞納会社から請求人への代理店の変更によって、本件滞納会社から国税徴収法第39条《無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務》に規定する利益は受けていない旨主張する。

しかしながら、本件滞納会社及び請求人による保険会社に対する代理店の継承に係る承認申請等(本件申請)は、代理店としての地位を譲渡する手続を履践する目的で行われたものと認められ、本件申請から保険会社による承認までの一連の行為(本件委託先代理店変更)によって、本件滞納会社の代理店たる契約上の地位(本件契約上の地位)が請求人に譲渡された結果、請求人が代理店手数料を受領することとなったことが認められる。
また、代理店手数料は、保険募集業務の遂行に基づく保険契約の獲得がなければ発生しないものである一方、保険契約の締結に至った場合には、解約等の事象が発生しない限り、保険契約者は契約期間にわたって保険料を支払うこととなるのであるから、当該保険料に係る代理店手数料は、その発生について高度の蓋然性があるということができ、本件契約上の地位には財産的価値が認められる。

したがって、本件契約上の地位は、国税徴収法第39条の処分の対象たる積極財産に該当し、本件委託先代理店変更によって、請求人は、本件契約上の地位を本件滞納会社から無償で譲り受けた結果、本件契約上の地位の評価額に相当する利益を受けたといえることから、本件委託先代理店変更は、国税徴収法第39条に規定する第三者に利益を与える処分に該当するものと認められる。

ただし、原処分庁が算定した納付すべき限度の額の一部については、本件契約上の地位の内容には含まれていない月分の代理店手数料等を考慮して算定されており、当該金額については納付すべき限度の額に含めることはできない。

 ★リンクはこちら ⇒ 滞納会社が行った生命保険の委託先代理店の変更が国税徴収法第39条の「第三者に利益を与える処分」に当たるとした事例

2018年7月27日


請求人は、過払金充当合意を含む基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引につき、二個の貸付取引の存在を主張し、最初の過払金返還請求権について時効による消滅を主張しているが、その全体が一個の貸付取引であると認められ、過払金返還請求権の消滅時効は、本件取引の終了日である最終弁済日から進行するとして、請求人の主張を排斥した事例

  • 第二次納税義務の納付告知処分
  • 一部取消し
  • 平成29年3月24日裁決

<要旨>
請求人は、国税の滞納者との間で行った金銭消費貸借取引(本件取引)は、本件取引1と本件取引2との二つに分かれており、前後二個の貸付取引が成立・存在するためには、原則として二個の基本契約の成立が要求されるところ、本件取引2においても、本件取引1とは法律的同一性を欠く基本契約が締結されていたものであり、本件取引1の終了時から10年を経過し、本件取引1に係る過払金返還債務は時効により消滅している旨主張する。

確かに、本件取引1における最終の弁済から本件取引2の最初の貸付までの期間は約1年11か月であり、本件取引1と本件取引2では、約定利率の変更がされるなどの事実が認められるが、本件取引2の開始日において、基本契約が締結され、契約書が取り交わされた事実は認められず、本件取引1の最終弁済後も、将来において取引を再開し、新たな借入金債務の発生が見込まれる状態にあったことに照らせば、本件取引は、その全体が本件取引に係る基本契約に基づく一個の貸付取引であると認めるのが相当である。過払金充当合意を含む基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引においては、同取引により発生した過払金返還請求権の消滅時効は、同取引が終了した時から進行するものとされており(最高裁平成21年1月22日判決)、したがって、一個の貸付取引である本件取引の終了日は、本件取引(本件取引2)の最終弁済日であり、過払金返還請求権の消滅時効は、同日から進行する。

 ★リンクはこちら ⇒ 請求人は、過払金充当合意を含む基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引につき、二個の貸付取引の存在を主張し、最初の過払金返還請求権について時効による消滅を主張しているが、その全体が一個の貸付取引であると認められ、過払金返還請求権の消滅時効は、本件取引の終了日である最終弁済日から進行するとして、請求人の主張を排斥した事例

2018年1月19日


滞納者から請求人に譲渡された各診療報酬債権は、譲渡担保財産に当たらないと認定した事例

  • ①譲渡担保権者の物的納税責任に関する告知処分 →全部取消し
  • ②債権の各差押処分 →却下
  • ③平成28年2月17日付、平成28年2月23日付及び平成28年3月16日付でされた換価代金等の各配当処分 →却下
  • ④平成28年3月23日付及び平成28年3月24日付でされた換価代金等の各配当処分・①④全部取消し →全部取消し
  • 平成29年3月3日裁決

<ポイント>
本件における滞納者から請求人に対する診療報酬債権の譲渡契約を譲渡担保設定契約とみることは相当でない。

<要旨>
原処分庁は、滞納者(本件滞納者)が将来取得する診療報酬債権(本件各債権)を請求人に一括で譲渡した取引(本件取引)については実質的な買戻権が設定され、売渡担保に相当する法律関係にあると認められ、また、将来の集合債権の譲渡が売買又は譲渡担保のいずれの法的性質を有するかの判断については、契約条件、取引の経済的実質その他の要素を総合的に評価するなど、実質においても担保取引として扱われるべきものかを判断することとなるところ、本件取引における事情を考慮すると、譲渡担保であることが強く推認され、本件各債権は、国税徴収法第24条《譲渡担保権者の物的納税責任》第1項に規定する譲渡担保財産に当たる旨主張する。

しかしながら、譲渡担保設定契約は、法形式に着目すると、①金銭消費貸借契約などに基づく被担保債権が存在することが前提となる譲渡担保設定契約、②担保のための権利の移転につき売買の形式をとるもので、買戻特約付売買の形式をとる譲渡担保設定契約又は再売買の予約の形式をとる譲渡担保設定契約とに大別されるところ、本件取引においては、被担保債権は存在せず、本件取引に係る契約(本件契約)には、買戻特約又は再売買の予約は付されていないことから、本件取引は1及び2のいずれにも該当しない。
また、本件契約には、本件滞納者が、第三債務者に信用不安等が生じた場合に請求人から本件各債権を買い戻す義務の定め及び請求人による本件各債権の処分を禁止又は制限する定めはなく、本件滞納者に本件各債権を買い戻す誘因も認められない。

したがって、本件各債権は譲渡担保財産には当たらない。

 ★リンクはこちら ⇒ 滞納者から請求人に譲渡された各診療報酬債権は、譲渡担保財産に当たらないと認定した事例

2018年1月16日


滞納者が自己の債務弁済に係る事務を請求人に委任していたことからすると、滞納者の預金口座から請求人の預金口座への振込入金は、当該委任に係る事務に関連して行われたものというべきであるから、当該入金をもって国税徴収法第39条が規定する無償譲渡等の処分があったということはできないとした事例

  • 第二次納税義務の納付告知処分
  • 全部取消し
  • 平成28年5月10日裁決

<ポイント>
本事例は、争点の判断に当たり、審理の範囲を原処分庁が主張する間接事実の有無のみに絞ることなく、原処分庁が主張していない間接事実を認定し、当該認定事実から課税等要件の充足を否定したものである。

<要旨>
原処分庁は、滞納者の自宅売却代金(本件売却代金)の一部が滞納者の預金口座から請求人の預金口座に振込入金(本件入金)されたところ、滞納者が請求人に対して本件入金に係る金員の返還を求める意思を示していないこと、請求人が本件入金を自宅のリフォーム費用に充てていることなどから、本件入金は、国税徴収法第39条《無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務》が規定する無償譲渡等の処分に該当する旨主張する。

しかしながら、滞納者が本件売却代金を原資とする滞納者の債務弁済に係る事務を請求人に委任していた事実(本件委任)が認められることからすると、本件入金は、請求人が本件委任に係る事務に関連して行ったものというべきであるから、本件入金をもって国税徴収法第39条が規定する無償譲渡等の処分があったということはできない。

 ★リンクはこちら ⇒ 滞納者が自己の債務弁済に係る事務を請求人に委任していたことからすると、滞納者の預金口座から請求人の預金口座への振込入金は、当該委任に係る事務に関連して行われたものというべきであるから、当該入金をもって国税徴収法第39条が規定する無償譲渡等の処分があったということはできないとした事例

2017年3月2日

平成28年度第4回インターネット公売の実施

1.「インターネット公売」とは
インターネット公売は、滞納となった税金を徴収するために差押財産を強制的に売却する公売手続のうち、買受申込みなどの手続について、インターネットを利用して行うものである。
なお、平成28年度におけるオークションサイトは、一般競争入札で決定したヤフー株式会社の「官公庁オークション」である。

2.インターネット公売(平成29年2月)の実施内容
(1)公売予定財産
自動車、ボート、リゾート会員権、商標権、土地、土地付建物など
(2)日程

 公売参加申込受付期間  平成29年1月27日(金)13時から2月6日(月)17時
 買受申込期間  平成29年2月17日(金)13時から2月20日(月)13時
 最高価申込者の決定日  平成29年2月22日(水)10時
 買受代金の納付期限  平成29年3月6日(月)14時

 ※詳細については、公売情報ホームページ又はヤフー株式会社の「官公庁オークション」を参照のこと。
 ※インターネット公売への参加を希望する場合は、公売参加申込受付期間中に参加申込みをすること。

 ★リンクはこちら ⇒ 平成28年度第4回インターネット公売の実施について

2017年1月31日

訴訟上の和解における停止条件付の支払義務の免除も国税徴収法第39条に規定する「債務の免除」に含まれ、他に特別の事情も認められないことからすると、同条規定の「債務の免除」があったということができるとした事例

第二次納税義務告知処分
棄却
平成28年1月15日裁決

<ポイント>
本事例は、訴訟上の和解における停止条件付の支払義務の免除も国税徴収法第39条に規定する「債務の免除」に含まれると判断した事例である。

<要旨>
請求人は、原処分庁が滞納国税を徴するために請求人に対して行った国税徴収法第39条《無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務》に基づく納付告知処分は裁判上の和解(本件和解)で定められた条項に基づいて滞納法人から支払義務の免除(本件免除)を受けたことを同条に定める「債務の免除」とするものであるが、本件免除に係る本件和解上の条項は、請求人が滞納法人に支払うとされた金額の履行を確保するために設けられたものであり、請求人が期限の利益を喪失した場合を除いて何ら意味を持つものではないから、同条に定める「債務の免除」には該当しない旨主張する。

しかしながら、本件和解は、滞納法人が請求人に対して停止条件付で債務を免除する旨を合意した契約であり、このような契約による免除も国税徴収法第39条の「債務の免除」に含まれると解されるところ、本件免除は同条の制度趣旨に合致するといえるだけの実質を有するものと評価できることから、同条に定める「債務の免除」があったといえる。

 ★リンクはこちら ⇒ 訴訟上の和解における停止条件付の支払義務の免除も国税徴収法第39条に規定する「債務の免除」に含まれ、他に特別の事情も認められないことからすると、同条規定の「債務の免除」があったということができるとした事例

2017年1月30日

猶予の申請の手引

国税庁は、『猶予の申請の手引』をホームページに公表した。

国税をその納期限までに納付していない場合には、納付するまでの日数に応じて延滞税がかかるほか、督促状の送付を受けてもなお納付されない場合には、財産の差押えなどの滞納処分を受けることがある。

ただし、国税を一時に納付することが困難な理由がある場合には、税務署に申請することにより、財産の換価(売却)や差押えなどの猶予が認められる場合がある。

<換価の猶予>
国税を一時に納付することにより事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあると認められる場合に、申請に基づいて差押財産の換価(売却)が猶予される制度である。

<納税の猶予>
災害、病気、事業の休廃業などによって国税を一時に納付することができないと認められる場合や、本来の期限から1年以上経って納付すべき税額が確定した国税を一時に納付することができない理由があると認められる場合に、申請に基づいて納税が猶予される制度である。

 ★リンクはこちら⇒ 猶予の申請の手引(既に削除済み)

<改訂 平成29年9月>

 ★リンクはこちら⇒ 猶予の申請の手引(平成29年9月)

2016年11月4日

国税徴収法第39条が規定する「受けた利益」が取引相場のない株式である場合において、同条の第二次納税義務の限度額の算定に当たり、原処分庁がディスカウント・キャッシュ・フロー法と時価純資産法を併用して当該株式を評価したことに不合理な点は認められないとした事例

第二次納税義務の納付告知処分
一部取消し
平成27年10月28日裁決

<ポイント>
本事例は、国税徴収法第39条が規定する「受けた利益」が取引相場のない株式である場合において、同条の第二次納税義務の限度額の算定に当たり、原処分庁がディスカウント・キャッシュ・フロー法と時価純資産法を併用して当該株式を評価したことに不合理な点は認められないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、滞納法人が同社の100%子会社の株主総会において第三者割当増資による新株の発行に係る議案について議決権を行使したことにより、滞納法人の代表者である請求人が著しく低い価額で当該子会社の新株(本件新株式)を取得したことは、国税徴収法第39条《無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務》に規定する「その他第三者に利益を与える処分」に該当するとして、請求人に第二次納税義務の納付告知処分をした。

これに対して、請求人は、原処分庁が本件新株式の評価に当たって、一般に用いられる相続税の評価方法を準用せず、ディスカウント・キャッシュ・フロー法(DCF法)を加味して評価したことには合理性がなく、そもそも、本件新株式の取得価額は時価相当額であるから、本件新株式を取得したことによって「受けた利益」(時価相当額と取得価額との差額)は生じていない旨主張する。

しかしながら、国税徴収法第39条の第二次納税義務の限度額について、「受けた利益」が金銭以外のものであるときの財産の評価方法として、同法上、相続税の評価方法を適用又は準用する旨の規定はなく、取引相場のない株式の評価に当たり、DCF法と時価純資産法の併用を採用した原処分庁の評価方法に不合理な点は認められず、請求人には本件新株式を取得したことによって「受けた利益」が生じている。

 ★リンクはこちら ⇒ 国税徴収法第39条が規定する「受けた利益」が取引相場のない株式である場合において、同条の第二次納税義務の限度額の算定に当たり、原処分庁がディスカウント・キャッシュ・フロー法と時価純資産法を併用して当該株式を評価したことに不合理な点は認められないとした事例

2016年10月14日

平成28年度第1回インターネット公売の実施

国税局及び税務署が実施するインターネット公売をヤフー株式会社の「官公庁オークション」サイトにおいて行う。

実施日程等は以下のとおり。
【公売方法】
競り売り(オークション)
【対象財産】
動産等(自動車、宝飾品、家具等)
 不動産等(土地、土地付建物、マンション等)
【官公庁オークションサイトへの公開日時】
5月17日(火)午後1時
【公売参加申込期間】
5月17日(火)午後1時から5月25日(水)午後5時
 ※公売参加申込みを行わなければ、インターネット公売には参加できないので、注意すること。
【公売保証金の提供及び必要書類の提出】
○公売保証金の提供期限 クレジットによる場合 5月25日(水)午後5時
現金による場合    6月1日(水)午後2時
○必要書類の提出期限 6月1日(水)午後5時(必着)
 ※公売保証金の提供、必要書類の提出がない場合は、インターネット公売には参加できないので、注意すること。
【買受申込(競り売り)期間】
6月3日(金)午後1時から6月6日(月)午後1時
 ※買受申込みは、ヤフー株式会社の「官公庁オークション」サイトで受け付ける。
【最高価申込者(落札者)の決定日等】
○最高価申込者の決定 6月8日(水)午前10時
○売却決定日     6月8日(水)午前11時(動産等)
6月15日(水)午前9時(不動産等)
○買受代金納付期限  6月20日(月)午後2時

 ★リンクはこちら ⇒ 平成28年度第1回インターネット公売の実施

2016年5月19日

振替納税の領収証書送付取りやめ

現在、国税を口座振替により納付した方には、口座振替の都度、金融機関から領収証書が送付されているが、国税庁は、会計検査院の指摘を踏まえ、国の経費節減の観点から、平成29年1月から領収証書を送付しないこととする予定である。

なお、平成28年12月までは、これまでどおり金融機関から領収証書が送付される。

(注)
平成29年1月以降は、ご希望の方には、これまでの領収証書の送付に代えて、振替結果を証明するなどの対応を予定しているとのこと。

 ★リンクはこちら ⇒ 振替納税の領収証書送付取りやめ

2016年2月8日

平成27年度第4回インターネット公売の実施

国税局及び税務署が実施するインターネット公売をヤフー株式会社の「官公庁オークション」サイトにおいて行う。
実施日程等は以下のとおり。

【公売方法】
競り売り(オークション)

【対象財産】
動産等(自動車、金、骨董品、宝石等)
 不動産等(土地、土地付建物、マンション等)

【官公庁オークションサイトへの公開日時】
1月29日(金)午後1時

【公売参加申込期間】
1月29日(金)午後1時から2月8日(月)午後5時
 ※公売参加申込みを行わなければ、インターネット公売には参加できないので、注意すること。

【公売保証金の提供及び必要書類の提出】
 ○公売保証金の提供期限
クレジットによる場合 2月8日(月)午後5時
現金による場合    2月17日(水)午後2時
 ○必要書類の提出期限 2月17日(水)午後5時(必着)
 ※公売保証金の提供、必要書類の提出がない場合は、インターネット公売には参加できないので、注意すること。

【買受申込(競り売り)期間】
2月19日(金)午後1時から2月22日(月)午後1時
 ※買受申込みは、ヤフー株式会社の「官公庁オークション」サイトで受け付ける。

【最高価申込者(落札者)の決定日等】
 ○最高価申込者の決定 2月24日(水)午前10時
 ○売却決定日 2月24日(水)午前11時(動産等)
3月2日(水)午前9時(不動産等)
 ○買受代金納付期限 3月7日(月)午後2時

 ★リンクはこちら ⇒ インターネット公売の実施について

2016年1月28日

滞納者の詐害の意思の有無は、国税徴収法第39条の第二次納税義務の成立要件ではないとした事例

第二次納税義務の納付告知処分
棄却
平成27年1月19日裁決

<要旨>
請求人は、原処分庁が請求人に対して行った第二次納税義務の納付告知処分(本件告知処分)について、国税徴収法第39条《無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務》の第二次納税義務を課すには詐害の意思が必要であるところ、滞納者が請求人に対して行った土地の持分の贈与(本件譲渡)には詐害の意思はないから、本件譲渡は無償譲渡等の処分に該当しない旨主張する。

しかしながら、同条の規定によれば、滞納者に詐害の意思のあることは同条所定の第二次納税義務の成立要件ではないと解されるから、本件譲渡に詐害の意思がないことを理由に、本件告知処分が違法であるということはできない。

 ★リンクはこちら ⇒ 滞納者の詐害の意思の有無は、国税徴収法第39条の第二次納税義務の成立要件ではないとした事例

2015年11月26日

見積価額が低廉であることを理由として公売公告処分の取消しを求めることはできないとした事例

①公売公告処分 ②見積価額公告
①棄却 ②却下
平成26年8月21日裁決

<要旨>
請求人は、原処分庁が行った公売公告処分(本件公売公告処分)について、当該公売に係る公売財産(本件公売財産)の見積価額が低廉であるから、本件公売公告処分は比例原則に違反し違法である旨主張する。

しかしながら、見積価額公告は、法令上、公売公告処分の後にされることが予定されているところ、かかる見積価額公告の内容いかんによって公売公告処分の適否が左右されることはないと解され、見積価額の適否は、公売公告処分の取消しを求める審査請求において取消理由となり得ない。

したがって、請求人は、本件公売財産の見積価額が低廉であることを理由として本件公売公告処分の取消しを求めることはできない。

 ★リンクはこちら ⇒ 見積価額が低廉であることを理由として公売公告処分の取消しを求めることはできないとした事例

2015年6月22日

第二次納税義務の納付告知処分の「受けた利益の限度」の額は、譲り受けた財産等の価額から無償譲渡等の処分と直接対価性のある支出又は負担を控除した残額であることを明らかにした事例

第二次納税義務の納付告知処分
棄却
平成26年9月9日裁決

<要旨>
請求人は、原処分庁が納税者(本件滞納者)の滞納国税を徴収するために、請求人に対して行った第二次納税義務の納付告知処分の「受けた利益の限度」の額について、請求人は本件滞納者から売掛金債権(本件売掛金債権)を譲り受けたが、請求人が本件滞納者に支出した香典代等(本件香典代等)は、請求人が本件滞納者に利益を与える行為であるから、「受けた利益の限度」の額の算定上、本件香典代等を控除すべきである旨主張する。

しかしながら、第二次納税義務の制度の趣旨に鑑みれば、国税徴収法第39条《無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務》に規定する「受けた利益の限度」の額については、譲り受けた財産の額、免れた債務の額、又は享受した利益の額から、これらと直接の対価関係にあると認められる支出又は負担を控除した残額をいうところ、本件香典代等の支出は、本件売掛金債権の譲渡と直接の対価関係にあるとは認められないことから、請求人の主張には理由がない。

 ★リンクはこちら ⇒ 第二次納税義務の納付告知処分の「受けた利益の限度」の額は、譲り受けた財産等の価額から無償譲渡等の処分と直接対価性のある支出又は負担を控除した残額であることを明らかにした事例

2015年6月19日

猶予の申請の手引き

国税をその納期限までに納付していない場合には、納付するまでの日数に応じて延滞税がかかるほか、督促状の送付を受けてもなお納付されない場合には、財産の差押えなどの滞納処分を受けることがある。
ただし、国税を一時に納付することが困難な理由がある場合には、税務署に申請することにより、財産の換価(売却)や差押えなどが猶予される制度がある。

1.換価の猶予
国税を一時に納付することにより事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがある場合に、申請に基づいて差押財産の換価(売却)が猶予される制度である。

2.納税の猶予
災害、病気、事業の休廃業などによって国税を一時に納付することができないと認められる場合や、本来の期限から1年以上経って納付すべき税額が確定した国税を一時に納付することができない理由があると認められる場合に、申請に基づいて納税が猶予される制度である。

 ★リンクはこちら ⇒ 猶予の申請の手引き(既に削除済み)

<改訂 平成29年9月>

 ★リンクはこちら ⇒ 猶予の申請の手引(平成29年9月)

2015年4月16日

価額弁済者も特段の事情のない限り、差押処分をした国に対し登記なくして対抗することができないことを明らかにした事例

不動産の各差押処分
棄却
平成26年2月19日裁決

<要旨>
請求人らは、原処分庁が、被相続人から請求人らが承継した滞納国税を徴収するため、請求人らが相続によって取得した各不動産の各共有持分を差し押さえた(本件各差押処分)のに対し、当該各不動産の各共有持分は、民法第932条《弁済のための相続財産の換価》ただし書に基づく価額弁済(本件価額弁済)により請求人らのうちの1人が固有財産として取得していることから、本件各差押処分は財産の帰属を誤ってなされた違法又は不当な処分である旨主張する。

しかしながら、民法第177条《不動産に関する物権の変動の対抗要件》は、不動産に関する物権の得喪及び変更について、登記をしなければ、第三者に対抗することができない旨規定しており、滞納処分による差押えの関係においても同条の適用があり、価額弁済者も特段の事情がない限り、差押処分をした国に対し、登記なくして不動産を取得したことを対抗することができないものと解するのが相当である。

もっとも、本件価額弁済の公示に当たっての登記手続において、価額弁済者以外の共同相続人の持分については、価額弁済者へ持分移転登記手続が可能であるが、価額弁済者の持分については、相続人本人が価額弁済をしたことになり、価額弁済者の固有財産に切り替わったことを公示する手段がないが、価額弁済者以外の共同相続人の持分の移転登記を経由することで、価額弁済者の固有財産へと切り替わったことを第三者からみて推測可能なように公示できる以上、移転登記がされていない本件価額弁済に関し、固有財産として取得したことを対抗できないとしても民法第177条の趣旨に反するとまではいうことはできない。

以上のとおりであるから、本件各差押処分が財産の帰属を誤った違法又は不当な処分であるということにはならない。

 ★リンクはこちら ⇒ 価額弁済者も特段の事情のない限り、差押処分をした国に対し登記なくして対抗することができないことを明らかにした事例

2015年2月6日

滞納者の預金口座から出金された金銭が請求人の預金口座に入金されたことは、国税徴収法第39条の無償譲渡には該当しないとした事例

平成25年3月27日裁決

<要旨>
原処分庁は、請求人が、請求人所有の建物の賃借人(本件滞納法人)からの申出により、賃貸借契約(本件賃貸借契約)を賃貸借期間の途中で解約するに当たり、本件滞納法人との間でした、本件滞納法人が請求人に対して敷金(本件敷金)の返還請求権(本件敷金返還請求権)を放棄する旨の合意(本件合意)に基づき、その放棄を受けたことは、本件滞納法人による国税徴収法第39条《無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務》に規定する「債務の免除」に該当する旨主張する。

しかしながら、国税徴収法第39条にいう債務の免除とは、広く第三者に利益を与えるものというと解されるところ、本件合意は、本件滞納法人がその賃借する建物を本件合意で定めたとおり明け渡すことを条件として、本件賃貸借契約の解約によって発生する損害賠償の額を予定し、その損害賠償請求権と本件敷金返還請求権等とを相殺することを定めたものであり、社会通念上、損害賠償の額を予定し、相殺することについて合理的な期待を有すると認められる範囲内にあるから、本件合意による約定は有効と認められ、これにより請求人の損害賠償の額が本件敷金等に相当する額に制限された上、その損害賠償請求権と本件敷金返還請求権等とが相殺されて消滅することとなることからすると、本件合意により請求人が利益を受けたということはできない。

 ★リンクはこちら ⇒ 滞納者の預金口座から出金された金銭が請求人の預金口座に入金されたことは、国税徴収法第39条の無償譲渡には該当しないとした事例

2015年2月6日

平成26年度第3回インターネット公売の実施

平成26年度第3回インターネット公売を実施する。
国税局及び税務署が実施するインターネット公売を楽天オークション株式会社の官公庁オークション」サイトにおいて行う。実施日程等は以下のとおり。

【公売方法】
競り売り(オークション)
【対象財産】
動産等(自動車、酒類、ガラス工芸品等)
 不動産等(土地、土地付建物、マンション等)
【官公庁オークションサイトへの公開日時】
10月31日(金)午後1時
【公売参加申込期間】
10月31日(金)午後1時から11月10日(月)午後5時
※公売参加申込みを行わなければ、インターネット公売には参加できないので、注意すること。
【公売保証金の提供及び必要書類の提出】
○公売保証金の提供期限 クレジットによる場合 11月10日(月)午後5時
現金による場合    11月19日(水)午後2時
○必要書類の提出期限 11月19日(水)午後5時(必着)
※公売保証金の提供、必要書類の提出がない場合は、インターネット公売には参加できないので、注意すること。
【買受申込(競り売り)期間】
11月21日(金)午後1時から11月25日(火)午後1時
※買受申込みは、楽天オークション株式会社の「官公庁オークション」サイトで受け付ける。
【最高価申込者(落札者)の決定日等】
○最高価申込者の決定 11月27日(水)午前10時
○売却決定日     11月27日(木)午前11時(動産等)
12月4日(木)午前9時(不動産等)
○買受代金納付期限  12月9日(火)午後2時

 ★リンクはこちら ⇒ 平成26年度第3回インターネット公売の実施

2014年11月10日

平成26年度第2回インターネット公売の実施

<公売方法>
せり売り(オークション)
<対象財産>
動産等(ダイヤモンド、腕時計、自転車、美術品等)
 不動産等(リゾート会員権、土地付建物等)
<官公庁オークションサイトへの公開日時>
9月5日(金)午後1時
<公売参加申込期間>
9月5日(金)午後1時から9月16日(火)午後5時
※公売参加申込みを行わなければ、インターネット公売には参加できません。
<公売保証金の提供及び必要書類の提出>

公売保証金の提供期限 クレジットによる場合 9月16日(火)午後5時
現金による場合 9月24日(水)午後2時
必要書類の提出期限 9月24日(水)午後5時(必着)
※公売保証金の提供、必要書類の提出がない場合は、インターネット公売には 参加できません。

<買受申込(せり売り)期間>
9月26日(金)午後1時から9月29日(月)午後1時
※買受申込みは、楽天オークション株式会社の「官公庁オークション」サイト で受け付ける。
<最高価申込者(落札者)の決定日等>

最高価申込者の決定 10月1日(水)午前10時
売却決定日 10月1日(水)午前11時(動産等)
10月8日(水)午前9時(不動産等)
買受代金納付期限 10月14日(火)午後2時


★リンクはこちら ⇒
 平成26年度第2回インターネット公売の実施

2014年9月3日

平成26年度第1回インターネット公売の実施

<公売方法>
せり売り(オークション)
<対象財産>
動産等(絵画、美術品等)、自動車、不動産等(土地付建物、マンション等)
<公売参加申込期間>
5月2日(金)午後1時から5月14日(水)午後5時まで
※参加申込を行わない場合はインターネット公売に参加できません。
<買受申込(せり売り)期間>
5月23日(金)午後1時から5月26日(月)午後1時まで

  • 日程の詳細については、リンク先の「お知らせ」に掲載している「インターネット公売の実施日程について」 をご覧のこと。
  • 公売財産は、公売情報のトップ画面「インターネット公売物件を条件で探す」から簡単に検索することができる。
  • インターネット公売への参加に当たっては、公売情報のトップ画面右下の「ネット公売ガイドラインほか」に掲載されている「国税関係インターネット公売ガイドライン」を必ず読むこと。
  • 楽天オークション株式会社の「官公庁オークション」での物件の公開は、5月2日(金)午後1時から行う。
  • 公売財産に関するお問い合わせは、各執行機関(国税局及び税務署)へ。

 ★リンクはこちら ⇒ 平成26年度第1回インターネット公売の実施

2014年5月9日

残余財産の分配後に成立した国税が国税徴収法第34条第1項に規定する「法人に課されるべき、又はその法人が納付すべき国税」に該当するとした事例

<要旨>
請求人は、請求人が株主である解散した法人(本件滞納法人)から残余財産の分配を受けたときには、本件滞納法人は国税を滞納しておらず正当かつ適法に残余財産の分配をしたものであるから、国税徴収法第34条《清算人等の第二納税義務》第1項の要件に該当しない旨主張する。

しかしながら、国税徴収法第34条第1項に規定する「法人に課されるべき、又はその法人が納付すべき国税」とは、法人が結果的に納付しなければならないこととなる全ての国税をいい、解散の時又は残余財産の分配若しくは引渡しの時に成立していた国税に限られないところ、本件滞納法人は、請求人に対し残余財産の分配をしたものと認められ、第二次納税義務の納付告知処分時に国税を滞納していたのであるから、国税徴収法第34条第1項の要件に該当し、請求人は第二次納税義務を負う。

 ★リンクはこちら ⇒ 残余財産の分配後に成立した国税が国税徴収法第34条第1項に規定する「法人に課されるべき、又はその法人が納付すべき国税」に該当するとした事例

2014年4月28日

離婚に伴う財産分与が不相当に過大であるとして国税徴収法第39条に規定する「無償又は著しく低い額の対価による譲渡」があったとした事例

<要旨>
請求人は、離婚に伴い滞納者である夫から財産分与(本件財産分与)として不動産(本件分与財産)を譲り受けたが、本件財産分与は不相当に過大ではないから、国税徴収法第39条《無償又は著しい低額の譲受人等の第二納税義務》が規定する「無償又は著しく低い額の対価による譲渡」に該当しない旨主張する。

しかしながら、離婚における財産分与が同条の「無償又は著しく低い額の対価による譲渡」等の処分に当たるか否かは、夫婦間における諸事情を考慮して清算的要素、扶養的要素及び慰謝料的要素を算定した上で当該財産分与が不相当に過大か否かを判断するのが相当であるところ、本件分与財産の価額は、財産分与相当額の8倍以上であるから、本件財産分与は、国税徴収法第39条が規定する「無償又は著しく低い額の対価による譲渡」に該当する。

 ★リンクはこちら ⇒ 離婚に伴う財産分与が不相当に過大であるとして国税徴収法第39条に規定する「無償又は著しく低い額の対価による譲渡」があったとした事例

2014年4月18日

インターネット公売(2013年9月)の実施

1.インターネット公売とは
インターネット公売は、滞納となった税金を徴収するために差押財産を強制的に売却する公売手続のうち、買受申込みなどの手続について、インターネットを利用して行うものである。
なお、平成25年度におけるインターネット公売は、一般競争入札で決定したヤフー株式会社の「官公庁オークション」で行う。

2.インターネット公売(平成25年9月)の実施内容

  • 公売予定財産(平成25年8月22日現在)
    不動産、腕時計、貴金属や宝石など、合計296件
  • 日程
    公売参加申込受付期間 平成25年9月6日(金)13時~9月17日(火)17時
    買受申込期間 平成25年9月27日(金)13時~9月30日(月)13時
    最高価申込者の決定日 平成25年10月2日(水)10時
    買受代金の納付期限 平成25年10月15日(火)14時



    ※1 詳細については、公売情報ホームページを閲覧のこと。
    ※2 ヤフー株式会社の「官公庁オークション」は、9月6日(金)13時に公開される。
    ※3 インターネット公売への参加を希望する場合は、公売参加申込受付期間中に参加申込みをする必要がある。

 ★リンクはこちら ⇒ インターネット公売の実施について(既に削除済み)

2013年9月2日

平成25年度第1回インターネット公売の実施

1.「インターネット公売」とは
インターネット公売は、滞納となった税金を徴収するために差押財産を強制的に売却する公売手続のうち、買受申込みなどの手続について、インターネットを利用して行うものである。
なお、平成25年度におけるオークションサイトは、一般競争入札で決定したヤフー株式会社の「官公庁オークション」に変わった。ちなみに、平成24年度は楽天オークション株式会社が運営するオークションサイト(「官公庁オークション」)を利用して行っていた。

2.インターネット公売(平成25年5月)の実施内容
(1)公売予定財産(平成25年4月23日現在)
刀、自動車、指輪や那覇市の土地付建物など、合計310物件

(2)日程

  • 公売参加申込受付期間 平成25年5月10日(金)13時から5月20日(月)17時
  • 買受申込期間 平成25年5月30日(金)13時から6月3日(月)13時
  • 最高価申込者の決定日 平成25年6月5日(水)10時
  • 買受代金の納付期限 平成25年6月17日(月)14時

※詳細については、公売情報ホームページを参照のこと。
※ヤフー株式会社の「官公庁オークション」(http://koubai.auctions.yahoo.co.jp/) は、5月10日(金)13時に公開される。
※インターネット公売への参加を希望する場合は、公売参加申込受付期間中に参加申込みが必要である。

2013年5月8日

平成24年度第4回インターネット公売の実施

インターネット公売とは、滞納となった税金を徴収するために差押財産を強制的に売却する公売手続のうち、買受申込みなどの手続について、インターネットを利用して行うものである。
なお、平成24年度において実施するインターネット公売は、一般競争入札で決定した楽天オークション株式会社が運営するオークションサイト(「官公庁オークション」)を利用して行う。

<インターネット公売(平成25年2月)の実施内容>
(1)公売予定財産(平成25年1月8日現在)
腕時計、プリウス、札幌市の区分所有建物や秋田市の土地付建物など、合計318物件

(2)日程

  • 公売参加申込受付期間 平成25年1月25日(金)13時から2月4日(月)17時
  • 買受申込期間 平成25年2月15日(金)13時から2月18日(月)13時
  • 最高価申込者の決定日 平成25年2月20日(水)10時
  • 買受代金の納付期限 平成25年3月4日(月)14時

(3)実施する国税局等(平成25年1月8日現在)
11国税局及び37税務署

※詳細については、公売情報ホームページを閲覧すること。
※楽天オークション株式会社の「官公庁オークション」サイト( http://public.auction.rakuten.co.jp/ )は、1月25日(金)13時に公開される。
※インターネット公売への参加を希望する場合は、公売参加申込受付期間中に参加申込みをする必要がある。

2013年1月24日

平成24年度第3回インターネット公売の実施

1.インターネット公売とは
インターネット公売は、滞納となった税金を徴収するために差押財産を強制的に売却する公売手続のうち、買受申込みなどの手続について、インターネットを利用して行うものである。
なお、平成24年度において実施するインターネット公売は、一般競争入札で決定した楽天オークション株式会社が運営するオークションサイト(「官公庁オークション」)を利用して行う。

2.インターネット公売(平成24年11月)の実施内容
(1)公売予定財産(平成24年10月16日現在)
7カラット超のダイヤモンド、フェラーリやベンツ、札幌市の区分所有建物や秋田市の土地付建物など、合計273物件

(2)日程

  • 公売参加申込受付期間
    平成24年11月2日(金)13時から11月12日(月)17時
  • 買受申込期間
    平成24年11月22日(木)13時から11月26日(月)13時
  • 最高価申込者の決定日
    平成24年11月28日(水)10時
  • 買受代金の納付期限
    平成24年12月10日(月)14時

(3)実施する国税局等(平成24年10月16日現在)
12国税局及び34税務署

※詳細については、公売情報ホームページを参照のこと。
※楽天オークション株式会社の「官公庁オークション」サイト(http://public.auction.rakuten.co.jp/)は、11月2日(金)13時に公開される。
※インターネット公売への参加を希望される場合は、公売参加申込受付期間中に参加申込みが必要である。

2012年11月2日

平成24年度第2回インターネット公売の実施

インターネット公売は、滞納となった税金を徴収するために差押財産を強制的に売却する公売手続のうち、買受申込みなどの手続について、インターネットを利用して行うものである。
なお、平成24年度において実施するインターネット公売は、一般競争入札で決定した楽天オークション株式会社が運営するオークションサイト(「官公庁オークション」)を利用して行う。
インターネット公売(平成24年9月)の実施内容は以下のとおりである。

(1)公売予定財産(平成24年8月22日現在)
腕時計、焼酎等の動産、茨城県龍ケ崎市の土地付建物や大分県別府市の旅館等の不動産など188物件

(2)日程

  • 公売参加申込受付期間 平成24年9月7日(金)13時~9月18日(火)17時
  • 買受申込期間 平成24年9月28日(金)13時~10月1日(月)13時
  • 最高価申込者の決定日 平成24年10月3日(水)10時
  • 買受代金の納付期限 平成24年10月15日(月)14時

(3)実施する国税局等(平成24年8月22日現在)
10国税局及び26税務署

(注1)詳細については、公売情報ホームページを参照
(注2)楽天オークション株式会社の「官公庁オークション」サイト(http://public.auction.rakuten.co.jp/)は、9月7日(金)13時に公開される。
(注3)インターネット公売への参加を希望する場合は、公売参加申込受付期間中に参加申込みをする必要がある。

2012年9月4日

年金保険料滞納の強制徴収

 国税徴収法は、国税収入の確保を目的とする日本の法律である。
具体的には、以下のようなことが定められている。

  • 国税債権と他の債権(地方税に係る債権、被担保債権、私債権)との優先関係の調整
  • 第二次納税義務
  • 滞納処分の手続・猶予・停止

他の法律において、債務が履行されない場合、「~については、国税滞納処分の例により差し押さえる~」といった形で準用されている。
具体的には、地方税法、労働保険徴収法、会社更生法、国民年金法、介護保険法などであるが、厚生労働省が2012年3月22日に、厚生年金保険料を滞納している業者について、国税庁に強制徴収の権限を委任しているが、このようなケースがこれにあたるであろう。

2012年3月23日

国税徴収法

 国税徴収法は、国税の滞納処分その他の徴収に関する手続の執行について必要な事項を定めるものである。

ちなみに、国税通則法は、 国税についての基本的な事項及び共通的な事項を定め、税法の体系的な構成を整備するものである。

2011年9月2日

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記事

贈与税

「資産課税関係の申請、届出等の様式の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)

標題のことについては、平成17年3月22日付課資5-11ほか6課共同「資産課税関係の申請、届出等の様式の制定について」(法令解釈通達)の一部を別紙「新旧対照表」のとおり改正したから、今後これによられたい。

(趣旨)
税制改正等に伴い、所要の整備を図るものである。

★リンクはこちら ⇒ 「資産課税関係の申請、届出等の様式の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)

2025年1月28日


令和6年分贈与税の申告書等の様式一覧

国税庁は、『令和6年分贈与税の申告書等の様式一覧)』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 令和6年分贈与税の申告書等の様式一覧

2025年1月7日


令和6年分贈与税の申告のしかた

国税庁は、『令和6年分贈与税の申告のしかた』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 令和6年分贈与税の申告のしかた

2024年12月18日


非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)に係る災害等に関する措置の概要(令和6年6月)

国税庁は、『非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)に係る災害等に関する措置の概要(令和6年6月)』をホームページに掲載した。

災害により被害を受けた会社又は中小企業信用保険法第2条第5項第1号から第4号までのいずれかの事由(これらの事由と災害を併せて、以下「災害等」といいます。)に該当した会社に係る非上場株式等については、贈与税・相続税の納税猶予及び免除(法人版事業承継税制)の適用に当たり一定の要件のもと、次の措置が講じられています。

⑴納税猶予の免除事由の追加
贈与税・相続税の納税猶予の適用を受けている次の①又は②の者については、経営承継期間等内に破産等した場合でも納税猶予税額が免除されます。
①災害等の発生前に贈与によりその非上場株式等を取得した者
②災害等の発生した日から1年を経過する日の前日までにその非上場株式等を相続又は遺贈(以下「相続等」といいます。)により取得した者

⑵納税猶予期間中の事業継続要件等の緩和
上記⑴①又は②の者については、納税猶予期間中の要件が免除又は緩和されます。

⑶相続税の納税猶予の適用要件の緩和
災害等が発生した日から同日以後1年を経過する日までの間に相続等により取得等したその会社の非上場株式等について後継者が相続税の納税猶予の適用を受ける場合には、その適用要件のうちの一部が不要とされています。

「災害」とは、震災、風水害、冷害、雪害、干害、落雷、噴火その他の自然現象の異変による災害及び火災、鉱害、火薬類の爆発その他の人為による異常な災害並びに害虫、害獣その他の生物による異常な災害をいいます。

★リンクはこちら ⇒ 非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)に係る災害等に関する措置の概要(令和6年6月)

2024年7月24日


年次報告書・継続届出書の「報告基準日」について~申告期限が延長されている場合は報告基準日も延長されます~(令和6年6月)

国税庁は、『年次報告書・継続届出書の「報告基準日」について~申告期限が延長されている場合は報告基準日も延長されます~(令和6年6月)』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 年次報告書・継続届出書の「報告基準日」について~申告期限が延長されている場合は報告基準日も延長されます~(令和6年6月)

2024年7月22日


法人版事業承継税制の適用を受けられている方に~継続届出書の提出について~(令和6年6月)

国税庁は、『法人版事業承継税制の適用を受けられている方に~継続届出書の提出について~(令和6年6月)』をホームページに掲載しました。

●法人版事業承継税制(非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除)の適用を受けられている方は、納税猶予期間中は、
① (特例)経営(贈与)承継期間については毎年
② その期間経過後は3年ごと
一定の書類を添付した継続届出書を所轄の税務署へ提出する必要があります。

(注1)この制度の適用に係る円滑化法の認定(中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律第12条第1項の認定をいいます。以下同じです。)を受けた会社も、(特例)経営(贈与)承継期間内は、毎年、都道府県知事に対し年次報告書を提出し、その確認を受ける必要があります。

(注2)「(特例)経営(贈与)承継期間」とは、原則として、その会社の株式等に係る最初のこの制度の適用に係る贈与税又は相続税の申告期限の翌日から同日以後5年を経過する日までの期間をいいます。

災害等により、国税通則法第11条又は租税特別措置法第69条の8の規定に基づく申告期限の延長(以下「申告期限の延長」といいます。)がされた場合には、その延長後の申告期限となります。

●この「継続届出書」の提出がない場合には、猶予されている贈与税・相続税の全額と利子税を納付する必要があります。

●このパンフレットは、継続届出書の提出に当たり必要となる手続や添付書類等について、その概要を説明したものです。

★リンクはこちら ⇒ 法人版事業承継税制の適用を受けられている方に~継続届出書の提出について~(令和6年6月)

2024年7月17日


相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の特例に関する質疑応答事例について(情報)(令和6年6月20日)

国税庁は、『相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の特例に関する質疑応答事例について(情報)(令和6年6月20日)』をホームページに掲載した。

令和5年度税制改正において創設された相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の特例に関する質疑応答事例を取りまとめたので、執務の参考として送付する。

なお、質疑応答事例は、令和6年4月1日現在の法令等に基づくものである。

<制度の概要>
(問1-1)相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の特例の概要

<適用要件>
(問2-1)適用要件の概要
(問2-2)土地又は建物の範囲
(問2-3)特例の対象となる被害の範囲
(問2-4)継続所有要件の判定(災害発生日前に相続時精算課税適用者が死亡している場合)
(問2-5)災害減免法との重複適用

<想定価額の計算>
(問3-1)想定価額の計算
(問3-2)想定使用可能期間の年数の判定方法

<被災価額及び被災割合の計算>
(問4-1)被災価額の計算(その1):概要
(問4-2)被災価額の計算(その2):被害を受けた部分の価額が明らかでない場合
(問4-3)被災価額の計算(その3):造成工事や増改築があった場合
(問4-4)被災価額の計算(その4):保険金等により補塡される金額が確定していない場合
(問4-5)被災割合の判定(その1):同一の災害により2以上の土地又は建物が被害を受けた場合
(問4-6)被災割合の判定(その2):同一の建物の持分を2以上の贈与により取得した場合
(問4-7)被災割合の判定(その3):承認を受けた後に被災価額に異動があった場合

<相続税の課税価格に加算される金額の計算>
(問5-1)相続税の課税価格に加算される金額の計算(その1):概要
(問5-2)相続税の課税価格に加算される金額の計算(その2):特定贈与者が2人以上いる場合
(問5-3)相続税の課税価格に加算される金額の計算(その3):同一の土地又は建物が2以上の災害により被害を受けた場合
(問5-4)相続税の課税価格に加算される金額の計算(その4):災害発生前に土地の一部を贈与している場合

<特例の適用に関する手続等>
(問6-1)精算課税の災害特例の適用を受けるための手続
(問6-2)承認を受けた後の手続(被災価額の異動届出書の提出)

<その他>
(問7-1)相続税の申告書の提出期限までに承認を受けていない場合の相続税の課税価格に加算される金額等
(問7-2)特定土地等に係る相続税の特例と精算課税の災害特例の重複適用
(問7-3)個人の事業用資産についての贈与税の納税猶予との関係

<記載例>
1 建物が災害により被害を受けた場合の承認申請書等の記載例
2 土地が災害により被害を受けた場合の承認申請書の記載例

★リンクはこちら ⇒ 相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の特例に関する質疑応答事例について(情報)(令和6年6月20日)

2024年7月16日


「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和6年5月)

国税庁は、ホームページに、『「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和6年5月)』を掲載した。

このパンフレットは、次の制度の概要を解説したものである。

  1.  「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」
  2. 「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税選択の特例」
  3. 「災害等に関する税制上の措置」

★リンクはこちら ⇒ 「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和6年5月)

2024年6月25日


一般贈与と特例贈与の両方がある場合の贈与税の計算方法

例えば、財産の贈与を受けた年の1月1日現在において18歳以上の方が、配偶者と自分の両親の両方から贈与を受けた場合などに、この計算となる。

この場合には、以下のとおり計算する。

すべての財産を「一般税率」で計算した税額に占める「一般贈与財産」の割合に応じた税額を計算する。
すべての財産を「特例税率」で計算した税額に占める「特例贈与財産」の割合に応じた税額を計算する。
納付すべき贈与税額は、①と②の合計額である。

(例)
一般贈与財産が100万円、特例贈与財産が400万円の場合の計算
①この場合、まず、合計価額500万円を基に以下のように計算する。
(すべての贈与財産を「一般贈与財産」として税額計算)
500万円-110万円=390万円
390万円×20%-25万円=53万円
(上記の税額のうち、一般贈与財産に対応する税額(一般税率)の計算)
53万円×100万円/(100万円+400万円)=10.6万円…①

次に「特例贈与財産」の部分の税額計算を行う。
②この場合も、まず、合計価額500万円を基に以下のように計算する。
(すべての贈与財産を「特例贈与財産」として税額計算)
500万円-110万円=390万円
390万円×15%-10万円=48.5万円
(上記の税額のうち、特例贈与財産に対応する税額(特例税率)の計算)
48.5万円×400万円/(100万円+400万円)=38.8万円…②

(贈与税額の計算)
③贈与税額=①一般贈与財産の税額+②特例贈与財産の税額
上記の場合 ①10.6万円+②38.8万円=49.4万円…贈与税額

★リンクはこちら ⇒ 一般贈与と特例贈与の両方がある場合の贈与税の計算方法

2024年2月20日


令和5年分贈与税の申告書等の様式一覧

国税庁は、「令和5年分贈与税の申告書等の様式一覧」をホームページに掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 令和5年分贈与税の申告書等の様式一覧

2024年1月30日


令和5年分贈与税の申告のしかた

国税庁は、「令和5年分贈与税の申告のしかた」をホームページに掲載した。

  • 令和5年分の贈与税の申告書の受付は、令和6年2月1日(木)から同年3月15日(金)まで
  • 令和5年分の贈与税の納期限は、令和6年3月15日(金)

★リンクはこちら ⇒ 令和5年分贈与税の申告のしかた

2024年1月26日


父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和5年5月)

国税庁は、「父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和5年5月)」をホームページに掲載した。

<制度の概要>
平成27年4月1日から令和7年3月31日までの間に、18歳以上50歳未満の方(以下「受贈者」といいます。)が、結婚・子育て資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、受贈者の直系尊属(父母や祖父母など。以下「贈与者」という。)から①信託受益権を取得した場合、②書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合又は③書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等で有価証券を購入した場合(以下「結婚・子育て資金口座の開設等」という。)には、その信託受益権又は金銭等の価額のうち1,000万円までの金額に相当する部分の価額については、受贈者が金融機関等の営業所等に結婚・子育て資金非課税申告書の提出等をすることにより、贈与税が非課税となる

なお、契約期間中に贈与者が死亡した場合には、その死亡日における非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額(結婚に際して支払う金銭については、300万円を限度とする。)を控除した残額のうち、一定の計算をした金額(以下「管理残額」という。)を、その贈与者から相続等により取得したものとみなされる

また、結婚・子育て資金口座に係る契約が終了した場合には、非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除(相続等により取得したものとみなされた管理残額がある場合には、その管理残額も控除する。)した残額があるときは、その残額はその契約終了時に贈与があったこととされる

★リンクはこちら ⇒ 父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和5年5月)

2023年7月5日


祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和5年5月)

国税庁は、「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和5年5月)」をホームページに掲載した。

<制度の概要>
平成25年4月1日から令和8年3月31日までの間
に、30歳未満の方(以下「受贈者」という。)が、教育資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、受贈者の直系尊属(祖父母など。以下「贈与者」という。)から①信託受益権を取得した場合、②書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合又は③書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等で有価証券を購入した場合(以下「教育資金口座の開設等」という。)には、その信託受益権等の価額のうち1,500万円までの金額に相当する部分の価額については、受贈者が金融機関等の営業所等に教育資金非課税申告書の提出等をすることにより、贈与税が非課税となる

なお、契約期間中に贈与者が死亡した場合には、原則として、その死亡日における非課税拠出額から教育資金支出額(学校等以外の者に支払われる金銭については、500万円を限度とする。)を控除した残額のうち、一定の計算をした金額(以下「管理残額」という。)を、その贈与者から相続等により取得したものとみなされる

また、教育資金口座に係る契約が終了した場合には、非課税拠出額から教育資金支出額を控除(相続等により取得したものとみなされた管理残額がある場合には、その管理残額も控除する。)した残額があるときは、その残額はその契約終了時に贈与があったこととされる

★リンクはこちら ⇒ 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和5年5月)

2023年6月29日


令和4年分贈与税の申告書等の様式一覧

国税庁は、ホームページに「令和4年分贈与税の申告書等の様式一覧」を掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 令和4年分贈与税の申告書等の様式一覧

2022年12月26日


令和4年分贈与税の申告のしかた

国税庁は、ホームページに「令和4年分贈与税の申告のしかた」を掲載した。

  • この冊子は、一般的な事項を説明している。申告や納税について分からない点があれば、国税庁ホームページをご覧のこと。
  • 令和4年分の贈与税の申告書の受付は、令和5年2月1日(水)から同年3月15日(水)までである。
  • 令和4年分の贈与税の納期限は、令和5年3月15日(水)である。

★リンクはこちら ⇒ 令和4年分贈与税の申告のしかた

2022年12月20日


「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和4年5月)(令和4年11月改訂)を掲載しました

国税庁は、『「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和4年5月)(令和4年11月改訂)』をホームページに掲載した。

このパンフレットは、以下の制度の概要を解説したものである。

  1. 「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」
  2. 「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税選択の特例」
  3. 「災害等に関する税制上の措置」

★リンクはこちら ⇒ 「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和4年5月)(令和4年11月改訂)を掲載しました

2022年12月15日


「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和4年5月)

国税庁は、ホームページに『「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和4年5月)』を掲載した。

このパンフレットは、次の制度の概要を解説したものである。

  1.  住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税
  2.  住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税選択の特例
  3.  災害等に関する税制上の措置

★リンクはこちら ⇒ 「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和4年5月)

2022年8月3日


令和3年分贈与税の申告書等の様式一覧

国税庁はホームページに『令和3年分贈与税の申告書等の様式一覧』を掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 令和3年分贈与税の申告書等の様式一覧

2022年1月17日


令和3年分贈与税の申告のしかた

国税庁はホームページに『令和3年分贈与税の申告のしかた』を掲載した。

この冊子は、一般的な事項を説明している。

申告や納税についてお分かりにならない点がありましたら、税理士もしくは最寄りの税務署にお尋ねのこと。

  • 令和3年分の贈与税の申告書の受付は、令和4年2月1日(火)から同年3月15日(火)までである。
  • 令和3年分の贈与税の納期限は、令和4年3月15日(火)である。

★リンクはこちら ⇒ 令和3年分贈与税の申告のしかた

2021年12月24日


非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし(令和3年5月)

国税庁は、『非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし(令和3年5月)』をホームページに掲載した。

法人版事業承継税制は、後継者である受贈者・相続人等が、円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与または相続等により取得した場合において、その非上場株式等に係る贈与税・相続税について、一定の要件のもと、その納税を猶予し、後継者の死亡等により、納税が猶予されている贈与税・相続税の納付が免除される制度である。

★リンクはこちら ⇒ 非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし(令和3年5月)

2021年6月24日


非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)に係る災害等に関する措置の概要(令和3年5月)

国税庁は、『非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)に係る災害等に関する措置の概要(令和3年5月)』をホームページに掲載した。

災害()により被害を受けた会社または中小企業信用保険法第2条第5項第1号から第4号までのいずれかの事由(これらの事由と災害を併せて、以下「災害等」という。)に該当した会社に係る非上場株式等については、贈与税・相続税の納税猶予及び免除(法人版事業承継税制)の適用に当たり一定の要件のもと、以下の措置が講じられている。

⑴納税猶予の免除事由の追加
贈与税・相続税の納税猶予の適用を受けている以下の①または②の者については、経営承継期間等内に破産等した場合でも納税猶予税額が免除される。
①災害等の発生前に贈与によりその非上場株式等を取得した者
②災害等の発生した日から1年を経過する日の前日までにその非上場株式等を相続または遺贈(以下「相続等」という。)により取得した者

⑵納税猶予期間中の事業継続要件等の緩和
上記⑴①又は②の者については、納税猶予期間中の要件が免除または緩和される。

⑶相続税の納税猶予の適用要件の緩和
災害等が発生した日から同日以後1年を経過する日までの間に相続等により取得等したその会社の非上場株式等について後継者が相続税の納税猶予の適用を受ける場合には、その適用要件のうちの一部が不要とされている。

「災害」とは、震災、風水害、火災、冷害、雪害、干害、落雷、噴火その他の自然現象の異変による災害及び鉱害、火薬類の爆発その他の人為による異常な災害並びに害虫、害獣その他の生物による異常な災害をいう。

★リンクはこちら ⇒ 非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)に係る災害等に関する措置の概要(令和3年5月)

2021年6月22日


「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和3年5月)

国税庁は、『「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和3年5月)』をホームページに掲載した。

平成27年1月1日から令和3年12月31日までの間に父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等(以下「新築等」という。)の対価に充てるための金銭(以下「住宅取得等資金」という。)を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となる。

★リンクはこちら ⇒ 「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和3年5月)

2021年6月18日


個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(個人版事業承継税制)のあらまし(令和3年5月)

国税庁は、『個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(個人版事業承継税制)のあらまし(令和3年5月)』をホームページに掲載した。

令和元年度税制改正により創設された個人版事業承継税制は、青色申告(正規の簿記の原則によるものに限る。)に係る事業(不動産貸付業等を除く。)を行っていた事業者の後継者(※1)として円滑化法の認定を受けた者が、平成31年1月1日から令和10年12月31日まで(※2)の贈与または相続等により、特定事業用資産を取得した場合は、

  1. その青色申告に係る事業の継続等、一定の要件のもと、その特定事業用資産に係る贈与税・相続税の全額の納税が猶予され、
  2. 後継者の死亡等、一定の事由により、納税が猶予されている贈与税・相続税の納税が免除されるものである。

※1
平成31年4月1日から令和6年3月31日までに「個人事業承継計画」を都道府県知事に提出し、確認を受けた者に限る。
※2
先代事業者の生計一親族からの特定事業用資産の贈与・相続等については、上記の期間内で、先代事業者からの贈与・相続等の日から1年を経過する日までにされたものに限る。

★リンクはこちら ⇒ 個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(個人版事業承継税制)のあらまし(令和3年5月)

2021年6月15日


父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和3年5月)

国税庁は、『父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和3年5月)』をホームページに掲載した。

平成27年4月1日から令和5年3月31日までの間に、20歳以上50歳未満の方(以下「受贈者」という。)が、結婚・子育て資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、受贈者の直系尊属(父母や祖父母など。以下「贈与者」という。)から①信託受益権を付与された場合、②書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合又は③書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等で有価証券を購入した場合(以下「結婚・子育て資金口座の開設等」という。)には、信託受益権又は金銭等の価額のうち1,000万円までの金額に相当する部分の価額については、金融機関等の営業所等を経由して結婚・子育て資金非課税申告書を提出することにより贈与税が非課税となる。

契約期間中に贈与者が死亡した場合には、死亡日における非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額(結婚に際して支払う金銭については、300万円を限度とする。)を控除した残額(以下「管理残額」という。)を、贈与者から相続等により取得したこととされる。

また、受贈者が50歳に達することなどにより、結婚・子育て口座に係る契約が終了した場合には、非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除(管理残額がある場合には、管理残額も控除する。)した残額があるときは、その残額はその契約終了時に贈与があったこととされる。

★リンクはこちら ⇒ 父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和3年5月)

2021年6月8日


祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和3年5月)

国税庁は、「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和3年5月)」をホームページに掲載した。

平成25年4月1日から令和5年3月31日までの間に、30歳未満の方(以下「受贈者」という。)が、教育資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、受贈者の直系尊属(祖父母など)から①信託受益権を取得した場合、②書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合または③書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等で有価証券を購入した場合(以下「教育資金口座の開設等」という。)には、その信託受益権等の価額のうち1,500万円までの金額に相当する部分の価額については、金融機関等の営業所等を経由して教育資金非課税申告書を提出することにより、受贈者の贈与税が非課税となる。

なお、契約期間中に贈与者が死亡した場合には、原則として、その死亡日における非課税拠出額から教育資金支出額(学校等以外の者に支払われる金銭については、500万円を限度とする。)を控除した残額のうち、一定の計算をした金額(以下「管理残額」という。)を、贈与者から相続等により取得したこととされる。

また、教育資金口座に係る契約が終了した場合には、非課税拠出額から教育資金支出額を控除(管理残額がある場合には、管理残額も控除する。)した残額があるときは、その残額はその契約終了時に贈与があったこととされる。

★リンクはこちら ⇒ 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和3年5月)

2021年5月25日


貸付自粛制度

貸付自粛制度は、2019年3月29日にスタートした。

<1.貸付自粛制度とは>
ご本人が、自らに浪費の習癖があることやギャンブル等依存症によりご本人やその家族の生活に支障を生じさせるおそれがあること、その他の理由により、ご本人自らを自粛対象者とする旨または法定代理人等または親族のうち一定の範囲の者が、金銭貸付による債務者を自粛対象者とする旨を当全国銀行個人信用情報センターに対して申告することにより、全国銀行個人信用情報センターに貸付自粛情報を登録し、一定期間、当センターの会員に対してその情報を提供する制度である。

<2.情報連携および提供について>
全国銀行個人信用情報センターは受付した申告にもとづく貸付自粛情報を日本貸金業協会に提供し、また、日本貸金業協会が受付した貸付自粛情報の提供を受けることにより、それぞれで受付した申告が当センターに登録されるとともに、日本貸金業協会が指定する個人信用情報機関(㈱日本信用情報機構、㈱シー・アイ・シー)においても登録され、それぞれの会員が利用できるよう情報連携している。
ただし、貸付自粛情報がセンターおよび日本貸金業協会が指定する各情報機関に登録された場合であっても、当該情報は、センターおよび各情報機関の会員による与信判断を拘束するものではない。

<3.貸付自粛情報の登録内容>
貸付自粛情報として登録される内容は以下のとおりである。

  • 氏名
  • 性別
  • 生年月日
  • 住所
  • 自宅電話番号(または携帯電話番号)
  • 勤務先名
  • 勤務先電話番号

<4.貸付自粛情報の登録期間>
貸付自粛申告日(以下、「申告日」という。)から5年を超えない期間

<5.撤回の制限>
貸付自粛の申告をした場合には、原則として申告日から3か月が経過するまで貸付自粛情報を撤回できない。
また、貸付自粛の申告が法定代理人等によるものである場合には、原則として自粛対象者はその貸付自粛情報を取消すことができない。
ただし、貸付自粛の申告が自粛対象者または法定代理人等によるものでない場合には、申告日から3か月が経過しなくても自粛対象者はその貸付自粛情報を取消すことができる。

<6.申告者の範囲>
申告できるのはご本人のみである。
ご家族が手続きすることは原則できない(ただし、以下の法定代理人等の場合を除く。)。

(1) ご本人
(2) ご本人以外の方
i) 法定代理人(親権者、後見人、保佐人、補助人(ただし、補助人にあたっては借財について同意する権限を有する者に限る))
ii) 自粛対象者の配偶者または二親等内の親族
ただし、以下のすべての要件が満たされる必要がある。
1) 自粛対象者の配偶者または二親等内の親族であることを客観的な資料で確認できること
2) 自粛対象者が所在不明であることが客観的な事実により証明できること(家庭裁判所が発行する失踪宣言の審判書等)
3) 自粛対象者の所在不明の原因が、金銭の貸付による金銭債務の負担を原因としている可能性があること
4) 貸付自粛の対応をとることが自粛対象者の生命、身体又は財産の保護のために必要があると認められる場合であること
5) 自粛対象者本人の同意を得ることが困難であること
iii) 自粛対象者と同居する三親等内の親族。ただし、以下の全ての要件が満たされる必要がある。
前項2)~5)までの要件が満たされていること
配偶者または二親等内の親族が申告することが著しく困難と認められること
申告者が自粛対象者と同居する三親等内の親族であることを客観的な資料で確認できること

★リンクはこちら ⇒ 貸付自粛制度

2021年5月18日


イメージデータで提出可能な添付書類(贈与税申告)

イメージデータ(PDF形式)による提出が可能な主な添付書類は、次のとおり。

なお、この一覧は、令和2年4月1日現在の法令に基づくものである。

<添付書類をイメージデータで提出する場合の注意事項>
「相続時精算課税選択届出書」など、電子データ(XML形式)により提出が可能な添付書類については、イメージデータで提出することができない。
なお、電子データにより提出が可能な添付書類は、「利用可能手続(贈与税申告)」でご確認のこと。

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★リンクはこちら ⇒ イメージデータで提出可能な添付書類(贈与税申告)

2021年3月18日


令和2年分贈与税の申告のしかた

国税庁は、「令和2年分贈与税の申告のしかた」をホームページに掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 令和2年分贈与税の申告のしかた

2020年12月25日


令和2年分贈与税の申告書等の様式一覧

国税庁は、「令和2年分贈与税の申告書等の様式一覧」をホームページに掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 令和2年分贈与税の申告書等の様式一覧

2020年12月18日