BLOG(法定後見制度)

家庭裁判所に選任された成年後見補助人のNPO法人が遺産を受領?

 認知症などで判断力が衰えた高齢者らの財産を守る成年後見制度で、神戸市長田区のNPO法人の支援を受けていた男性の自宅所有権が、男性の死後に同法人へと移されていたことが、先日、神戸新聞社の取材で分かったようです。
 生前に作成された公正証書に基づき遺贈されたとみられ、法人側は「正当な手続き」と主張しているようです。
 一方、会員が成年後見人などを務める日本社会福祉士会は、正規の報酬以外の物品や金銭を被後見人らから受け取ることを倫理綱領で禁じており、「法人であっても同様の制限がかかる」とする声もあるようです。

 男性の元支援員らによると、男性の判断能力が衰えたため、ケアマネジャーを通じて相談を受けた同法人が2014年夏ごろ、神戸家庭裁判所から後見制度の補助人に選任されました。
 男性は神戸市北区にある木造2階建ての自宅で1人暮らしをしていましたが、20172月に67歳で病死しました。
 登記簿によると、201789日に男性宅の土地と建物の所有権が同法人に移されていました。

 元支援員らによると、同法人の理事長が201611月、男性の入院先を訪れ、公証人らとともに法的効力のある「公正証書遺言」を作成しました。
 直後に男性が「(遺産は)埼玉のいとこに相続させたい」と元支援員に伝えたため、遺言書を作成しましたが、自筆部分に不備があり、相続は認められませんでした。

 法人の対応が不適切とする元支援員の申し立てを受け、兵庫県社会福祉士会が同会に所属する法人理事長から聞き取りなどを進めているようです。

 理事長は神戸新聞の取材に対し、「個人情報に該当するので答えない。家庭裁判所の監督下で制度にのっとった支援をしている」と説明しているようです。
 同法人を選任した神戸家庭裁判所は、「遺言の対象が元補助人であっても、後見制度に関係なく財産は遺贈される」としています。

 一方、元支援員は、「法人への遺贈が許されるなら、団体への寄付という形で抜け道をつくってしまう」と指摘しています。
 神戸シルバー法律研究会代表幹事の村上英樹弁護士も「法的に遺産が受け取れても利益相反になる可能性が高い。一般的な感覚としては断るべきだ」としています。

 法的にどうかはよく分かりませんが、今回の件は、道義的にどうなのかなぁ?と個人的に思います。
 後見人である弁護士などが横領などの不祥事を起こす現在において、親族なども信頼して任せられるような制度でないと、後見人制度の存在価値自体が崩壊してしまうように思います。
 そろそろ制度を根本的に見直す時期に来ているのではないかと思いますね。

 家庭裁判所に選任された成年後見補助人のNPO法人が遺産を受領していたことについて、どう思われましたか?

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