ファミマTOB価格は高裁も安すぎと判断し非公開化価格設定に影響も!
M&A Onlineによると、伊藤忠商事がファミリーマート(東京都港区)を完全子会社化する際に実施した株式公開買い付け(TOB)の価格を巡る裁判で、東京高裁は先日までに、公正な価格は実際の買い付け価格よりも300円高いとする東京地裁の判断を支持し、ファミリーマート側の抗告を棄却する決定をしました。
TOBに関して公正な価格を裁判所が決定するのは近年ではまれで、親子上場の解消のための非公開化や経営陣が参加する買収(MBO)による株式非公開化に影響を与える可能性があります。
伊藤忠商事は2020年、50.1%を保有していたファミリーマートに対し1株2,300円でTOBを実施しましたが、TOBに応募せずに強制的に株式を買い取られた海外投資家などが、買い取り価格が安すぎるとして東京地裁に公正な価格の決定を求めて申し立てを行いました。
東京地裁は2023年、ファミリーマートが設置した特別委員会が十分に機能していなかったとした上で、2,600円を公正な価格として示しました。
ファミリーマートはこの決定を不服として、東京高裁に抗告していました。
ロイターが閲覧した決定文によると、東京高裁は東京地裁の決定内容を概ね支持しました。
価格水準が不十分といった特別委員会からの意見が尊重されず、TOBが一般に公正と認められる手続きにより行われたと認めることはできないとしました。
TOB価格は、ファミリーマートの特別委員会が選任した財務アドバイザーが算定した企業価値の下限を下回っていたのです。
ファミリーマートは「当社が主張してきた手続きの公正性が認められなかったことは誠に遺憾であり、不服申し立てを行う方針。今後の対応に向けて準備を進めていく」と回答しました。
伊藤忠商事は「ファミリーマートで係争中の案件であり、コメントは差し控える」とした。
経営陣が株式を取得して非上場化したり、親会社が上場子会社を完全子会社化したりする際に実施するTOBでは、なるべく安く株式を取得したい経営陣や親会社と、高値で株式を売却したい少数株主との間で構造的な利益相反が存在します。
大正製薬ホールディングスが実施したMBOについて複数の投資家が価格決定を申し立てるなど、公正な買い取り価格について裁判所に判断を仰ぐ事例が増えています。
しかしながら、2016年以降、裁判所はTOBを巡る公正な価格の判断は行ってきませんでした。
このきっかけとなったのが、ジュピターテレコムTOBに関する2016年の最高裁の決定です。
特別委員会を設置するなど、意思決定が恣意的になることを排除する措置が講じられ、手続きが公正であればTOB価格は尊重されるとしたため、価格に不満を持つ株主側はまず手続きが公正でなかったことを立証しなければならず、価格の審査の前に門前払いとなっていました。
一方、手続きの公正性の審査が特別委員会の設置などといった形式的なものとどまれば、価格の公正さが審理される場が事実上なくなることを懸念する声も出ています。
ファミリーマートのTOBで価格にまで踏み込んだ地裁の判断は、今後の司法判断に影響を与えるとして注目を集めていました。
僕自身も個人的に何度か持っていた株式がMBOによりスクイーズアウトされたことがありますが、少数株主は何もできませんからね。
一方、仕事で上場企業のMBOに携わったことがありますが、株主から質問があった場合にはどう答えるか考えながら、言い換えれば、説明できるようなロジックかどうかを念頭に置いて業務を進めていましたが、その辺りの意識が欠けていたのでしょうか?
この事件の結果は今後のTOBに影響を与えると思いますので、どんな結論になるか楽しみにウォッチしていきたいですね。
ファミマTOB価格は高裁も安すぎと判断し非公開化価格設定に影響を与える可能性があることについて、あなたはどう思われましたか?
ファミマのTOB価格2,300円は不当に安かったのか?
東京地裁が不当に安いと判断した伊藤忠によるファミマTOB価格は本当に安かったのでしょうか?
M&A Onlineによると、ブルームバーグの報道では、東京地裁はファミリーマートの買収対価をめぐり反対株主から提起されていた株式買取価格決定訴訟において、伊藤忠商事による買取価格の2,300円は不当に安く、2,600円とする判決を下したとのことです。
その理由は、企業法務ナビの記事(https://www.corporate-legal.jp/news/5220)によると、ファミリーマートが設置した特別委員会が意見表明書の中で2,300円を「安い」と評しており、これを「妥当でない」と表現していればTOB自体に賛同できなかった可能性があるため、多数株主と少数株主の利害を適切に調整された結果とは言い難いからとのことです。
なお、事件の経緯の概略は、以下のとおりです。
<判決に至った経緯>
伊藤忠商事は、上場子会社であったファミリーマートの完全子会社化を行うことを決定し、2020年7月9日に1株当たり2,300円でTOBを開始しました。
TOBの実施について、伊藤忠商事の2020年7月8日付のプレスリリースでは目的・理由が詳しく記載されていますが、要約すると、「子会社上場を維持していると少数株主との利害対立を避けられず、その調整のため実施できない施策が発生するなどの弊害が大きいので、TOBによる完全子会社化を実施して親子上場を解消し、より抜本的な成長戦略を実施したい」ということになります。
ファミリーマートは同プレスリリースで、伊藤忠グループとの一体性を高めることが競争に勝つために必要であることを理由に、「TOB自体には賛同しつつ、提示された価格が一般株主への投資回収機会の提供という観点では一定の合理性があるため、妥当性を欠くとまでは言えないが、一般株主に対し積極的に応募を推奨できる水準の価格に達しているとまでは言えないため、応募するかどうかは株主の判断に委ねる」とする意見を表明しました。
ファミリーマートはメリルリンチ日本証券に、また、ファミリーマートが設置した特別委員会は、PwCにそれぞれ株式価値算定を依頼し、提示価格の妥当性を検討しています。
結論として、提示価格は両評価書の提示するレンジの範囲内であるため、妥当といえる水準には達しているが、PwCによる評価で採用したDCF法の下限値である2,472円には届いていないこと、また、2010年以降に発表され、非公開化を目的とし、買付規模が500億円以上である他の公開買付けの事例のプレミアム水準と比較して、見劣りするプレミアム水準にとどまることから、十分に高い水準であるとまでは言えない旨記載しています。
その後、TOBに十分な応募があったため、伊藤忠商事は同年11月10日に買収を完了させてファミリーマートを上場廃止とし、その後応募しなかった株主に対して同額の2,300円で株式併合によるスクイーズアウトを実施しました。このスクイーズアウトに反対する株主が、東京地裁に買取価格決定を申し立てました。
そして、東京地裁は冒頭に記載したとおり、特別委員会がプレミアムが不十分としたことを問題視し、「株価が安い」と判断した模様です。
では、TOB価格の2,300円は本当に安かったのでしょうか?
ここから先は、巽 震二氏が、アナリスト目線で検証しています。
ファミリーマートのTOBに関する意見表明のプレスリリースで開示されている提示価格のプレミアムと類似事例の平均値の比較及び類似事例の平均値に基づく株価評価を見ると、類似事例プレミアムは36%~39%で測定期間を通じて大きくはぶれていないのに対し、提示プレミアムは11%~30%と大きくぶれています。
測定期間が長いほどプレミアムが低くなっていますので、これはファミリーマートの株価が6か月間下落トレンドで推移してきたこと、一方で類似事例では6か月間に大きなトレンドがなく概ね持ち合い圏での推移をたどっていたことが読み取れます。
提示価格の2,300円が安かったのかどうかは、この下落トレンドが市場のどのような判断に起因するのかによるといえます。
スタンドアロンの今後の成長が市場の要求水準に届かず、価格訂正が続いている状況であれば、公表前日の株価に30%のプレミアムを付けて損切のチャンスが与えられる一般株主には、有利な価格と考えられます。
そうではなく、コロナ禍という一過性の業績悪化等による下落トレンドに過ぎず、今後スタンドアロンの経営努力で市場の要求水準を満たす利益成長が期待できるのであれば、足元の底値を基準にした公表前日株価に対するプレミアムではなく、6か月平均に対するプレミアムが十分なものでなければ、TOB価格が不当に抑えられたという結論になるでしょう。
そこで、2019年1月からTOB公表までのファミリーマートの株価推移をまずは見てみると、2019年1月~8月は、時折戻りを入れながらも一貫した下落トレンドを描いています。
同期間中、TOPIXは弱いながらも上昇トレンドでしたので、銘柄固有の要因でファンダメンタルな売られ方をしたのであろうと推測されます(上場廃止に伴い、当時の決算説明資料等が公開されなくなってしまいましたので、具体的な要因の分析は現時点では残念ながら困難です)。
その後、一旦株価は底打ちして反転上昇トレンドを10月まで維持しますが、結局そこで頭打ちとなり、再び下落トレンドに入ります。
さらに、2020年2月下旬から発生した新型コロナ第1波の拡大懸念による世界同時株価急落が発生して下落速度が急加速し、下落幅のおよそ半値戻し水準まで来て持ち合いの動きとなりました。
そして、一旦は上放れしたものの反落して持ち合い起点の安値を割れるかどうかというところでTOB公表となりました。
この株価推移からすると、ファミリーマートの株にはファンダメンタルな弱さがあり、市場が要求する利益成長に届かないという判断はおそらく下されていたのであろうと推察されます。
他方で、平均株価の算出期間はコロナショックの影響が非常に強く反映された時期であり、業績が落ち込んでいたとはいえ、果たしてそこまでコロナショックの影響を織り込むことが妥当であったのかという疑問が生じます。
特に3か月平均までは、コロナショック後の株価だけの平均ですが、6か月平均であれば、コロナショック前の株価を含んだ平均となりますので、コロナショックの影響を一定程度調整するのであれば、6か月平均を重視するという考え方になるかと思います。
2020年7月は、世界各地でのロックダウンが解除されはじめ、日本でも緊急事態宣言解除後、Go Toトラベル政策の開始が予定され、また5月にはモデルナワクチンの治験が成功したことが報じられるなど、ワクチン開発の進捗によるコロナ収束の期待も高まり始めた時期ですので、一定程度コロナからの立ち直りを見込んでも良い時期にあったと考えられます。
実際に、意見表明のプレスリリースで開示されている伊藤忠商事にも提出していた株価算定用の事業計画では、営業収益・事業利益は2022/2期にコロナ前の2020/2期を超過し、EBITDAも2025/2期にはほぼ2020/3期と同水準まで回復することを見込んでいます。
フリーキャッシュフローは2020/3期水準を大きく下回る水準が想定されていますが、日々現金売上が生じ、食品等販売期間の短い商品の比率が高いコンビニエンスストアという業態から見て、キャッシュ・コンバージョン・サイクルはそれほど長くないはずですので、利益が回復しているのにフリーCFが大きく減少するというのは設備投資を増加させているからと考えられます。
であるとすれば、長期的には減価償却費の増加を通じでフリーCFが反転増加トレンドになるはずですので、いずれはコロナ前の水準に回復できるとみてよいと思います。
以上から考えると、TOBを公表した7月の時点では、コロナ前水準への回復をある程度見込んだ事業計画が策定されていることから、価格面でもそれを織り込むべきと考えられ、ファミリーマート特別委員会の2,300円は「安い」という意見は合理的であると思います。
他方で、2019年からの大きな下落トレンドを見る限り、ファンダメンタルな株価下落の理由も否定はできなそうですので、あまり高くは買えないという伊藤忠商事サイドの主張も一定の合理性はあろうかと思います。
そうすると、2,600円という判決の水準は、意見表明のプレスリリースにおいてコロナショック前の交渉の初期段階で伊藤忠商事が最初に提示した価格として言及された価格でもあり、また、過去3か月分の平均株価に類似事例プレミアムを乗じた水準とほぼ同じです。
当該3か月間は、コロナショック後の底打ちから業績回復期待による小反発局面を含めた期間でもありますので、コロナからの回復期待の織り込み度合いという点でも落としどころとしてちょうどよい水準のように感じられます。
過去にも「牛角」などの飲食チェーンを運営するレックス・ホールディングスなどで問題になっているとは思いますが、なかなか難しい問題ですね。
こういった訴えられるリスクもありますので、MBOなどをやる際には、かなり慎重にやらないといけないですね。
ファミマのTOB価格2,300円は不当に安かったのか?について、どう思われましたか?
「サザビーリーグ」創業者らの80億円課税処分を「株価の根拠明確でない」との裁決で全額取り消し!
読売新聞によると、生活雑貨ブランド「アフタヌーンティー」などを展開する「サザビーリーグ」(東京都)の創業者らが東京国税局から受けた計約80億円の課税処分について、「国税不服審判所」が全額を取り消す裁決をしたことがわかったようです。
裁決は2022年1月20日付です。
巨額の課税処分の取り消しは異例です。
課税処分の取り消しを受けたのは、創業者の鈴木陸三氏(78)と、森正督会長(73)の資産管理会社「三木家」(東京都)です。
関係者によると、サザビーリーグはかつてジャスダックに上場していましたが、鈴木氏の親族が代表を務める投資会社が株式公開買い付け(TOB)を行い、2011年3月までに非上場化しました。
株を大量保有していた鈴木氏と森氏から、親族に事業を承継した形です
この際、投資会社はTOBの資金調達の一環として新株を発行し、鈴木氏と三木家が1株5万円で計6万株(30億円)を取得しました。
投資会社はTOBに成功してサザビーリーグを吸収合併した後、鈴木氏と三木家から1株8万円で株の一部を買い戻しました。
鈴木氏と三木家は計9億円の売却益について税務申告していました。
これに対し、東京国税局は一連の取引に事業承継時の税負担を軽減する目的がなかったかどうかなどについて調査を行いました。
東京国税局は、サザビーリーグの吸収合併で投資会社の資産は増えており、株の買い戻し価格は1株8万円ではなく「84万円」が相当だと判断しました。
2019年9月、当初申告との差額に当たる計約210億円の申告漏れがあったとして、過少申告加算税を含む計約80億円を追徴しました。
鈴木氏と三木家は追徴を不服とし、2019年12月に国税不服審判所に審査請求しました。
鈴木氏らは審判で「株価は投資会社の定款で定められており、適正だ。株の売却で巨額の利益を得たわけでもない」などと主張しました。
裁決はこれを認め、「国税当局側の主張する株価の根拠は明確でなく、課税処分は違法だ」と結論付けました。
納付済みだった追徴税は、利子に当たる「還付加算金」を上乗せして鈴木氏らに返還されたようです。
鈴木氏らは取材に「審判所の適正な判断に心から安堵している」と文書で回答しています。
一方、東京国税局は「個別事案については回答を差し控える」としています。
なお、サザビーリーグは1972年創業で、人気アパレルブランド「カナダグース」なども販売しており、2021年3月期の連結売上高は851億円です。
また、国税不服審判所は、国税庁に設置され、納税者からの審査請求を受けて国税職員や裁判官が審査を行うところです。
2020年度に審査された2,328件のうち、全面的な課税取り消しは65件(2.8%)で、裁決は行政の最終処分で、国税当局は再調査や提訴ができません。
個人的には、『株価が定款に定められている』というのは、根拠にならないと思います。
あくまで、『時価』ですから。
これが認められると、定款に定めることで、安易に租税回避を図ろうとする人がでてくるのではないかなぁと不安になります。
国税庁が、持って行き方を誤った案件なのではないでしょうか?
「サザビーリーグ」創業者らの80億円課税処分を「株価の根拠明確でない」との裁決で全額取り消されたことについて、どう思われましたか?
サイブリッジ合同会社がカーディナル株式会社(証券コード:7855)に対して山田マーケティング株式会社による公開買付けに関して質問書を送付!
サイブリッジ合同会社(代表:水口翼)は、カーディナル株式会社(代表取締役社長:山田弘直、証券コード:7855)の株主です。
サイブリッジ合同会社は、2021年8月5日に開示された山田マーケティング株式会社(以下「山田マーケティング社」)によるカーディナル株式会社へのいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)の一環として行われる株式公開買付(以下「本公開買付け」)について、本公開買付けに係る買付価格が一般株主に対して十分に配慮された価格ではない可能性があるため、カーディナル株式会社に対して本文記載の内容の質問書を送付しました。
質問書
2021年8月5日付「山田マーケティング株式会社によるカーディナル株式会社株式(証券コード:7855)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」により、山田マーケティング株式会社(以下「公開買付者」といいます。)によるカーディナル株式会社(以下「貴社」といいます。)の普通株式(以下「貴社株式」といいます。)に対する公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)が公表されました。
そして、貴社は、2021年8月5日付け「MBOの実施及び応募の推奨に関するお知らせ」を公表し、本件公開買付けに賛同する意見を表明しております。
一方で、本公開買付けに係る貴社株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)は、普通株式1株につき851円となっており、1株当たりの貴社の純資産額(第54期における1株当たりの純資産額は1,133.53円)を大幅に下回る金額となっております。
そのため、貴社の株主であるサイブリッジ合同会社(以下「サイブリッジ」といいます。)は、本公開買付価格は貴社の一般株主に対して十分に配慮された価格ではない可能性があると考えております。
貴社に対して本事前質問状を提出し、下記の質問に対して、2021年9月1日午後5時までに、貴社のHP上にて回答を公開することを求めます。
万が一、本質問書記載のご質問に対して、了解可能なご回答をいただけなかった場合、サイブリッジは本公開買付価格の見直しの要請をすることを具体的に検討しております。
1.フェアネス・オピニオンの取得について
2021年8月6日付「意見表明報告書」(以下「本意見表明報告書」といいます。)によれば、貴社は、貴社、公開買付者及び不応募合意株主から独立した株式会社プルータス・コンサルティング(以下「プルータス・コンサルティング」といいます。)から本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。
経済産業省の「公正なM&Aのあり方に関する指針」(以下「MA指針」といいます。)においては、「第三者評価機関からフェアネス・オピニオンの取得が行われた場合には、公正性担保措置として積極的に評価されるべきものと考えられる。」とされております。
MA指針において、MBOを実施する際の公正性担保措置の一つとして指摘をされている「フェアネス・オピニオン」をプルータス・コンサルティングから取得しないという判断をされた理由について、具体的にご説明を願います。
2.株価算定方法について
(1)加重平均資本コストの算出について
本意見表明報告書によれば、公開買付者から提示された本公開買付価格に対する意思決定の公正性を担保するために、プルータス・コンサルティングに対し、貴社株式価値の算定を依頼し、株式価値算定書を取得しております。
プルータス・コンサルティングは、貴社株式価値の算定にあたっては市場株価法及びDCF法を算定手法として用いて、算定を行なっております。そして、本意見表明報告書によれば、DCF法での貴社株式価値の算定において、割引率は加重平均資本コスト(以下「WACC」といいます。)とし、WACCは5.288%〜9.214%を採用しております。
WACCの評価プロセスにおいて、必要な算定要素であるベータ値の抽出が必要となりますが、このベータ値は評価対象会社の事業と類似性のある他の上場企業のLeveredベータを収集したうえで業界平均のUnleveredベータを弾き、評価対象会社としてのベータ値を算出するのが一般的であると理解をしております。
この点、本意見表明報告書によれば、プルータス・コンサルティングは、貴社株式価値の算定手法として「適切な類似上場会社を選定することが困難である」ことを理由に、類似会社比較法を不採用としています。
そこで、適切な類似上場会社を選定することが困難な状況の中で、どのようにしてWACCの評価に必要なReleveredベータを抽出したのかをご教示ください。
(2)永久成長率について
第三者算定機関であるプルータス・コンサルティングは、DCF法での貴社株式価値の算定において、永久成長率法を採用した上で、0%の永久成長率を採用しております。
永久成⾧率は、インフレ率、GDP成⾧率、あるいは、過去の企業成⾧率のいずれかを引用することが一般的であると理解をしております。
この点、国内の経済状況をふまえつつ合理的かつ客観的な値を見つけるのは難しいとも思われますが、国際通貨基金は、日本国の2021年から2025年にかけてのインフレ率について0.137%から0.963%と公表しています(「IMF World Economic Outlook Databases(2021年4月)」)。
このような公表情報がある中、貴社株式価値の算定において、永久成⾧率を0%に設定をした理由をご教示ください。
以上
MBOは、対象会社の役員等が出資した会社を通じて対象会社の株式を購入し、非上場化をはかるということですので、役員等に比べ情報力で圧倒的に劣る対象会社の一般株主は、勝手に株主から排除されてしまう結果となります。
それゆえ、一般株主が納得できるような内容でないといけないと思います。
以前、上場会社のMBOの際に、対象会社(上場企業)側の株価算定の仕事に携わったことがありますが、訴訟のリスクもあるため、使用する率などについて、質問があったときにどう回答するかということも考え、文章にしつつ、株価算定の作業を進めたことがあります。
おそらく日本でNo.1のプルータス・コンサルティングなので、明確な理由等を持っていると思いますので、時々バリュエーション業務をやっている僕としてはどのような回答があるのか非常に興味深いです。
また、こういう質問が一般的に行われるようになり、企業側もきちんと株主が理解できるような報告書などの文書を開示するようになるといいなぁと思います。
サイブリッジ合同会社がカーディナル株式会社(証券コード:7855)に対して山田マーケティング株式会社による公開買付けに関して質問書を送付したことについて、どう思われましたか?