事務所通信2016年4月

事務所通信

2016年4月号『寄附をした個人・法人の税務上の取扱い』

 平成28年4月14日以降に発生した平成28年熊本地震において亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆さま、そのご家族の方々に心よりお見舞い申し上げます。
 僕自身もそうですが、現地には行けないものの寄附したいと思っている方はたくさんおられると思います。
 そこで、今回は、『寄附をした個人・法人の税務上の取扱い』について書きたいと思います。

1.熊本県下や大分県下の災害対策本部等へ義援金を支払ったら?
 個人の場合、「特定寄附金」に該当し、寄附金控除の対象となります。
 法人の場合、「国等に対する寄附金」に該当し、その全額が損金の額に算入されます。

2.日本赤十字社の「平成28年熊本地震災害義援金」口座へ義援金を支払ったら?
 個人の場合、「特定寄附金」に該当し、寄附金控除の対象となります。
 法人の場合、「国等に対する寄附金」に該当し、その全額が損金の額に算入されます。
 なお、日本赤十字社へ支払った義援金であっても、例えば、日本赤十字社の事業資金として使用されるなど、最終的に地方公共団体に拠出されるものでないもの(財務大臣が指定する寄附金に該当しないものに限る。)は、特定公益増進法人に対する寄附金に該当し、特別損金算入限度額の範囲内で損金の額に算入されます。

3.被災地域の救援活動等を行っているNPO法人などへ義援金を支払ったら?
 個人の場合、「認定NPO法人等への寄附金」、「一定の要件を満たす公益社団法人・公益財団法人への寄附金(その法人の主たる目的である業務に関連するものに限る。)」は、寄附金控除(所得控除)または寄附金特別控除(税額控除)の対象となります(選択適用)。
 なお、上記以外の寄附金は、寄附金控除等の対象とはなりません。
 法人の場合、「認定NPO法人等への寄附金」、「公益社団法人・公益財団法人への寄附金(その法人の主たる目的である業務に関連するものに限る。)」は、「特定公益増進法人に対する寄附金」に含めて損金算入限度額を計算し(特別損金算入限度額)、その範囲内で損金の額に算入されます。
 なお、上記以外の寄附金は、一般の寄附金として、損金算入限度額の範囲内で損金の額に算入できます。

4.募金団体を通じた義援金は?
 募金を取りまとめる団体(以下「募金団体」という。)が個人・法人から義援金を預かる場合であっても、その義援金が、最終的に地方公共団体に拠出されるものであれば、個人は「特定寄附金」、法人は「国等に対する寄附金」として取り扱われます。

5.被災された取引先に対する寄附は?
 法人が、被災した取引先に対し、被災前の取引関係の維持・回復を目的として、災害を受けた取引先が通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間において支出する災害見舞金は、交際費等に該当せず損金の額に算入されます。

6.最後に
 寄附金以外にも、被災地に『ふるさと納税』を行うことも考えられますが、現地できちんと使われ、一日も早い復興が実現できることを期待しています。

2016年4月25日 國村 年

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