事務所通信2016年12月

事務所通信

2016年12月号『平成27年からの相続税の増税でどれだけ相続税がかかる方が増えたのか?』

 平成27年1月1日から相続税が増税になりましたが、それまでは、相続税がかかる方は亡くなられた方の4%強でしたが、先日、平成27年分の相続税の申告状況が国税局から公表されました。
 そこで、今回は、『平成27年からの相続税の増税でどれだけ相続税がかかる方が増えたのか?』について書きたいと思います。

1.平成27年からの相続税の主な改正
①基礎控除額の引き下げ
 5,000万円+1,000万円×法定相続人の数が、4割減の3,000万円+600万円×法定相続人の数となりました。
②税率構造の改正
 6区分最高税率50%が、8区分最高税率55%となりました。
③小規模宅地等の特例の拡大
 居住用の宅地等(特定居住用宅地等、限額割合80%)の限度面積が、240㎡から330㎡に拡大されました。
 また、居住用と事業用の宅地等を選択する場合の適用面積が、400㎡までから730㎡までに拡大されました。
 ただし、貸付事業用宅地等についての特例の適用を受けない場合に限ります。

2.被相続人数等
 平成27年中に亡くなられた方(被相続人数)は約129万人(平成26年約127万人)で、このうち相続税の課税対象となった被相続人数は約10万3千人(平成26年約5万6千人)で、課税割合は8.0%(平成26年4.4%)となっており、平成26年より3.6ポイント増加しました。

3.課税価格
 課税価格の合計は14兆5,554億円(平成26年11兆4,766億円)で、被相続人1人当たりでは1億4,126万円(平成26年2億407万円)となっています。

4.税額
 税額の合計は1兆8,116億円(平成26年1兆3,908億円)で、被相続人1人当たりでは1,758万円(平成26年2,473万円)となっています。

5.相続財産の金額の構成比
 相続財産の金額の構成比は、土地38.0%(平成26年41.5%)、現金・預貯金等30.7%(平成26年26.6%)、有価証券14.9%(平成26年15.3%)の順となっています。

6.四国の状況
 高松国税局(エリアは四国4県)も、同様のデータを公表しています。
 平成27 年中に亡くなられた方(被相続人数)は49,045人、このうち相続税の課税対象となった被相続人数は3,024人で、課税割合は6.2%となっており、平成26年より3.1 ポイント増加し、約2倍、課税価格の合計は3,619億2,300万円で、被相続人1人当たりでは1億1,968万円、税額の合計は330億5,400万円で、被相続人1人当たりでは1,093 万円、相続財産の金額の構成比は、現金・預貯金等34.5%、土地30.9%、有価証券14.8%の順となり、初めて現金・預貯金等が土地を上回りました。

7.最後に
 改正前から、相続税がかかる方が1.5倍から2倍くらいになると言われていましたが、そのとおりの結果となりました。
 現金・預貯金等の割合も高くなっていますので、早めに対策をしましょうね。

2016年12月22日 國村 年

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