事務所通信2014年8月

事務所通信

2014年8月号 『平成27年相続税法改正』

 最近、アパート・一戸建てを問わず賃貸住宅、いわゆるおしどり夫婦贈与、一般社団法人の設立など、相続税に関する相談が増えています。
 これは、おそらく、あと4ヶ月ほどになりましたが、来年1月1日から相続税法が大きく改正されるため、新聞や雑誌にも税制改正のことがよく取り上げられていますし、ハウスメーカーも税制改正をセールストークとして賃貸住宅を建てる提案の営業をかけていることが原因だと思われます。
 そこで、今回は、『平成27年相続税法改正』について書きたいと思います。

1.平成27年相続税法改正の主なもの
 平成27年1月1日から相続税法が大きく改正されます。
 そのうち、主なものは以下の3つです。

 遺産に係る基礎控除額の引き下げ 
 相続税の税率の引き上げ 
 小規模宅地等の特例の適用範囲の拡大 

 以下で、詳しく述べることにします。

2. 遺産に係る基礎控除額の引き下げ
  これはご存じの方も多いかもしれませんが、遺産から引くことのできる基礎控除額というものがあり、現在は、5,000万円+1,000万円×法定相続人の数となっています。
 これが、来年からは、40%もカットされ、3,000万円+600万円×法定相続人の数となるのです。
 例えば、法定相続人が奥様とお子様2人の合計3人の場合、現在は、遺産が8,000万円までは相続税がかかりませんが、来年からは、遺産が4,800万円を超えると相続税がかかるようになるのです。
 これは、非常に大きな改正です。

3. 相続税の税率の引き上げ
 現在、相続税の税率は、各法定相続人の取得金額により10%から50%まで6段階となっています。
 これが、来年からは、10%から55%まの8段階となります。
 つまり、区分が詳細になるとともに、最高税率も現在の50%から55%に引き上げられるのです。
 これは、資産家の方にとっては、影響は大きいといえるでしょう。

4.小規模宅地等の特例の適用範囲の拡大
 現在、ご自宅の土地については、240㎡(約70坪)までは80%の評価減(つまり20%の評価で済む。)が認められています。
 これが、来年からは、330㎡(100坪)までに拡大されます。
 また、ご自宅の土地と事業用の土地がある場合、現在は、例えば、ご自宅の土地で240㎡を使ってしまうと、事業用の土地は評価減は認められていません。
 これが、来年からは、ご自宅の土地(330㎡まで80%減)と事業用の土地(貸付事業用を除く、400㎡まで80%減)を併用できることになるのです。
 これらについては、遺産に係る基礎控除額の引き下げや相続税の税率の引き上げと異なり、納税者にとっては有利な改正となっています。

5.最後に
 相続税のかかる方が2倍になるなど、情報が錯綜していることもあり、相続税に不安を感じるのも無理はないと思います。
 不安を感じたら、遠慮なくご相談下さい。
 相続税法改正まであと4ヶ月ほどですよ。

2014年8月28日 國村 年

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