事務所通信2014年6月

事務所通信

2014年6月号 『類似業種の株価等の公表時期』

 取引相場のない株式の贈与を受けたり、相続したりすると、贈与税や相続税の申告が必要になることがありますが、取引相場のない株式の原則的評価方式の1つに、『類似業種比準方式』というものがあります。
これは、国税庁から公表される『類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等』に基づいて評価を行います。
 最近は、ホームページのアクセス解析をしていると、『いつ 平成26年 類似業種比準価額』という検索キーワードが非常に多くなっています。
これには、理由があるのです。
 そこで、今回は、『類似業種の株価等の公表時期』について書きたいと思います。

1.類似業種比準価額方式とは?
 類似業種比準価額方式とは、業種の類似する大会社の平均株価に比準させて、評価会社の株式価格を求める方式です。
 比準要素は、

1株当たりの配当金額
1株当たりの利益金額
1株当たりの純資産価額(帳簿価額)

の3要素です。
 つまり、似た会社の株価及び3要素と、対象会社の3要素を用いて、対象会社の株式価格を求めるのです。

2. 類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等はいつ公表されるのか?
 類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等(株価、1株当たりの配当金額、1株当たりの利益金額、1株当たりの純資産価額(帳簿価額))については、国税庁から公表されます。
 これは、いつ公表されるのでしょうか?
 平成25年を見てみると、以下のようになっています。

対象月 公表月
1月・2月分 平成25年6月
3月・4月分 平成25年6月
5月・6月分 平成25年8月
7月・8月分 平成25年10月
9月、10月分 平成25年12月
11月・12月分 平成26年1月

 上記のとおり、1月から4月に相続が発生したり、贈与を行った場合、相続税額や贈与税額を計算できるのは、6月以降になってしまうのです。
 そのあとは、基本的に、2か月後くらいに2か月分が公表されます。
 特筆すべきは、11月・12月分です。
 翌月の1月に公表されています。
 これは、贈与税の申告と納税の期間が、原則として、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までにすることになっていることが原因です。
 ちなみに、平成26年についても、1月・2月分(6月2日付の文書)が6月16日に、3月・4月分(6月10日付の文書)が6月23日にホームページで公表されています。

3.最後に
 11月及び12月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等については、1月中に公表されているので、1か月以内に公表できるはずです。
 相続税の申告期限はお亡くなりになってから10か月以内ですが、早く相続税額を知りたい方もいるでしょう。
 また、贈与の検討をする場合にも、贈与税がいくらかかるかを知りたい方もいるでしょう。
 よって、現在のようにしばらく経ってからではなく、翌月に公表して欲しいですね。

2014年6月26日 國村 年

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