事務所通信2012年8月

事務所通信

2012年8月号 『賞金などには所得税はかかるの?』

 現在、ロンドンオリンピックが開催されており、日本人もたくさんメダルを獲得しています。
 メダルを獲得した場合、財団法人日本オリンピック委員会(いわゆるJOC)から、賞金が支払われます。
 そこで、今回は、『賞金などには所得税はかかるの?』について書きたいと思います。

1.オリンピックの賞金
 メダルを獲得した場合、財団法人日本オリンピック委員会(いわゆるJOC)から、賞金が支払われますが、これについては、所得税は課せられません。
 ちなみに、平成4年に開催されたバルセロナオリンピックにおいて金メダルを獲得した当時中学2年生の岩崎恭子選手に対し支払われたJOCの報奨金が、一時所得に当たるとして課税され、世間の批判を受けたことがきっかけで、平成6年から所得税が課税されないことになったようです。
 なお、所属企業などから支払われた賞金については、賞与などとなり、所得税の対象となりますので、ご留意下さい。

2.ノーベル賞の賞金
 ノーベル基金からノーベル賞として支払われる賞金については、所得税は課税されません。
 よって、物理学賞、化学賞、生理学・医学賞、文学賞、平和賞には、所得税は課税されないのです。
 しかしながら、経済学賞は、正式には、アルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン国立銀行賞であり、ノーベル基金から支払われるものではないため、所得税が課せられるのです。
 ちなみに、過去に、日本人の経済学賞受賞者はいません。

3.宝くじの当選金
 宝くじ(正式名称は、当せん金付証票)は、『当せん金付証票法』という法律に基づいて発行されています。
 この第13条に「当せん金付証票の当せん金品については、所得税を課さない。」と規定されており、宝くじの当選金については、所得税は課されません。

4.競馬の払戻金
 競馬の払戻金については、一時所得として総合課税の対象となります
 一時所得の計算式については、以下のようになります。  

{(払戻金-当たり馬券の購入費)-50万円}×1/2

 なお、競輪や競艇も、競馬と同じく、払戻金は一時所得となります。

5.パチンコの収入
 これについても、競馬と同様に、一般的には、一時所得となります。
 実際に、申告されている方がどれくらいおられるかは想像もつきませんが、本来、申告すべきものです。

6.最後に
 皆さんは、賞金などの税務上の取り扱いについて、あまりご存じでなかったのではないでしょうか。
 おそらく、どなたかがノーベル経済学賞を受賞した暁には、経済学賞だけが課税されることが話題になり、所得税法が改正されるのでしょうね。
 先に改正しておけば良いと思いますが、ノーベル経済学賞を受賞する方が現れる日を楽しみにしています。

2012年8月8日 國村 年

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