事務所通信
2011年8月号 『LCCから学ぶゼロからの構築』
我が香川県高松市の高松空港に7月半ばから格安航空会社(LCC)が就航しています。
最も安い席はなんと3,000円であり、1か月の平均搭乗率は86%を超えており、順調な滑り出しのようです。
今回は『LCCから学ぶゼロからの構築』をテーマに書きたいと思います。
1.LCCとは
LCCとは、格安航空会社のことであり、ローコストキャリアのことをいう。
2.日本におけるLCC
日本においては、現在、海外の航空会社数社が就航している。
国内航空会社もこれを指をくわえて傍観しているわけではなく、全日本運輸(ANA)や日本航空(JAL)も、海外のLCCと組んで参入することを公表している。
LCCが増加すると、既存の顧客がLCCに流れていくことが想定されるため積極的には参入したくないようであるが、LCCの成長を見ていると参入せざるをえないのであろう。
3.LCCのコスト削減
LCCは通常の航空会社と比べてかなり安いので、当然コスト削減、別の収益源が必要となってくる。
航空会社によって異なるようであるが、内部的には、以下のようなもの挙げられる。
- 着陸料の安い地方の空港を利用する。
- 機種をしぼる。
- スペースを狭くすることで、座席数を増やす。立席も作ったりする。
- 整備を外部に委託する。
- 乗務員が清掃を行う。
- 乗務員に制服・靴・バッグなどを有償で支給する。
- 訓練にコストがかかるため、他社で資格を取った人を採用したり、訓練を有償としたりする。
- 機体や機内に広告を入れる。
一方、対顧客では、以下のようなものが挙げられる。
- 機内食やドリンクを有償にする。
- 荷物を有償にする。
- 新聞や雑誌を置かない。
- 毛布を有償にする。
- 座席を位置により価格差を設ける。
- 座席指定を有償にする。
- 旅行代理店を用いず、コールセンターも持たず、インターネット予約のみとする。
- マイレージなど他社とのアライアンスは組まない。
4.LCCから学ぶゼロからの構築
上記のようなコスト削減は、既存のものを削っていく発想では生まれてこないようなものが多い。
今までの航空会社では、航空会社の人間にとっても、顧客にとっても、あって当たり前、無償で当たり前と思っているものが多い。
このようなものは、既存の発想は捨て、ゼロから構築しかないとなかなか困難であろう。引き算ではなく、積み上げが必要となる。
そうなると、日本の航空会社が単独で始めるのは無理で、海外のLCCと組むのは当然の結果であろう。
5.最後に
LCCは通常の航空会社の顧客を奪うことになると考えられるが、他の移動手段からのシフト、今まで高価という理由で旅行に行っていなかった人の取り込みも可能となるであろう。
ビジネスは、既存の発想を一切捨ててゼロから構築していくということが非常に重要である。
2011年8月19日 國村 年