事務所通信2024年8月

事務所通信

2024年8月号『農地の評価!』

現在、相続税の申告を複数件お手伝いしておりますが、そのうち7~8割の方の相続財産として出てくるのが農地です。

しかし、農地は、相続人の方が思っているより相続税の評価が高いことがほとんどです。

そこで今回は、『農地の評価!』について、書きたいと思います。

1.農地の区分

農地については、農地法などにより宅地への転用が制限されており、また、都市計画などにより地価事情も異なりますので、これらを考慮して、農地の価額は以下の4種類に区分して評価します。

(1) 純農地
(2) 中間農地
(3) 市街地周辺農地
(4) 市街地農地

2.純農地および中間農地の評価

純農地および中間農地の価額は、倍率方式によって評価します。

倍率方式とは、その農地の固定資産税評価額に、国税局長が定める一定の倍率を乗じて評価する方法をいいます。

3.市街地周辺農地の評価

市街地周辺農地の価額は、その農地が市街地農地であるとした場合の価額の80%に相当する金額によって評価します。

4.市街地農地の評価

市街地農地の価額は、宅地比準方式または倍率方式により評価します。

宅地比準方式とは、その農地が宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額からその農地を宅地に転用する場合にかかる通常必要と認められる1㎡当たりの造成費に相当する金額を控除した金額に、その農地の地積を乗じて計算した金額により評価する方法をいいます。

これを算式で示すと、以下のとおりです。

市街地農地の評価額=(その農地が宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額-1㎡当たりの造成費の金額)×地積

上記算式の「その農地が宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額」は、具体的には、路線価方式により評価する地域は、その路線価により、また、倍率地域は、評価しようとする農地に最も近接し、かつ、道路からの位置や形状等が最も類似する宅地の評価額(宅地としての固定資産税評価額×宅地としての評価倍率)を基として計算します。

なお、その農地が宅地であるとした場合において、財産評価基本通達20-2(地積規模の大きな宅地の評価)の定めの適用対象となるとき(同通達21-2(倍率方式による評価)ただし書において同通達20-2の定めを準用するときを含みます。)には、同項の定めを適用して計算します。

また、「1㎡当たりの造成費の金額」は、整地、土盛りまたは土止めに要する費用の額がおおむね同一と認められる地域ごとに、国税局長が定めており、国税庁ホームページで閲覧することができます。

「市街地周辺農地」および「市街地農地」の価額は、「市街地農地等の評価明細書」を使用して評価することができます。

5.最後に

相続税の計算で意外と難しいのが、市街地周辺農地や市街地農地ですので、現地を確認して、慎重に計算しましょう。

2024年8月27日 國村 年

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