事務所通信2024年6月

事務所通信

2024年6月号『中小企業投資育成株式会社とは?

『中小企業投資育成株式会社』という株式会社をご存じでしょうか?

おそらく、聞いたこともない方が多いと思いますが、相続制対策や事業承継対策などで使えるのです。

そこで今回は、『中小企業投資育成株式会社とは?』について、書きたいと思います。

1.中小企業投資育成株式会社とは?

中小企業投資育成株式会社とは、『中小企業投資育成株式会社法』に基づき設立された公的な投資育成機関です。

東京中小企業投資育成株式会社(新潟・長野・静岡以東の18都道県)、名古屋中小企業投資育成株式会社(愛知・岐阜・三重・富山・石川の5県)、大阪中小企業投資育成株式会社(福井・滋賀・奈良・和歌山以西の24府県)の3つあります。

ちなみに、株主は、都府県・市・商工会議所・メガバンク・地方銀行・大手生命保険会社・日本取引所グループなどで、監督官庁は経済産業省です。

2.中小企業投資育成株式会社の業務・特徴

中堅・中小企業が発行する株式・新株予約権付社債などの引受けを通じて、優良企業への成長をサポートしています。

投資育成は、自己資金で投資を行っているという性格を背景に、投資先企業の自主性を尊重した友好的・安定株主として、長期にわたり中堅・中小企業の皆様の後方支援を行うため、以下の3つの特徴があります。

・長期安定株主

・経営干渉しない

・良き相談相手

3.利用できる企業の条件

原則として資本金3億円以下の株式会社であること
事業基盤があり安定的な配当を実施できる収益力を有していること
公序良俗に反しない企業、投機的な事業を行っていない企業であること

4.利用後に必要なこと

安定配当の実施(利用前に相談の上決定)
株主総会の開催、投資育成の出席
決算内容、株主総会付議事項の事前説明

5.投資育成制度の活用事例

現経営陣の持株比率が低く、議決権の過半数を確保できていない。株式を買い集める資金もなく、相続発生による更なる株主構成分散も懸念される。

安定株主確保のため、投資育成会社に対して第三者割当増資を実施し、投資育成会社を合わせて議決権の過半数を確保

過去に従業員に株式を持たせていたが、株式を保有したまま退職してしまった。
役員、従業員の議決権比率は合わせても過半数に届かない。

1)社外個人株主の保有株式を自己株式化により整理、2)従業員が株式を保有したまま退職してしまわないよう従業員持株会を新たに組成し、従業員保有株式を従業員持株会に組み入れ、3)自己株式を従業員持株会と投資育成が取得。

6.最後に

先月の従業員持株会と同様、相続税対策や事業承継対策を考えている経営者の方は、投資育成制度の活用を検討してもよいかもしれません。

2024年6月24日 國村 年

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