事務所通信2024年4月

事務所通信

2024年4月号『経営者保証を提供しない3つの制度!』

最近、経営者保証を外すことが話題になっています。

そのような中、2024年3月15日から保証料率の上乗せにより経営者保証を提供しないことを選択できる信用保証制度等が開始されました。

そこで今回は、『経営者保証を提供しない3つの制度!』について、書きたいと思います。

1.事業者選択型経営者保証非提供制度

<要件>

次の要件のいずれにも該当すること(*)

過去2年間(法人の設立日から2年経過していない場合は、その期間)において決算書等を申込金融機関の求めに応じて提出していること
直近の決算において代表者への貸付金等がなく、かつ、代表者への役員報酬、賞与、配当等が社会通念上相当と認められる額を超えていないこと
直近の決算において債務超過でない(純資産の額がゼロ以上である)こと又は直近2期の決算において減価償却前経常利益が連続して赤字でないこと
上記①及び②については継続的に充足することを誓約する書面を提出していること
中小企業者が、保証料率の上乗せにより保証人の保証を提供しないことを希望していること

(*)法人の設立後最初の決算が未了の者の場合にあっては①から③までに掲げるものを、法人の設立後最初の2期分の決算が未了の者にあっては③に掲げるものをそれぞれ除く。

<保証料率>

  • 上記の③の要件の両方を満たす場合

信用保証協会所定の保証料率に0.25%上乗せ

  • 上記の③の要件のいずれか一方を満たす場合又は法人の設立後2事業年度の決算がない場合

信用保証協会所定の保証料率に0.45%上乗せ

<保証人>
不要
<対象となる保証>
無担保保険(限度額8,000万円)に係る保証など。
<その他>
原則として、本制度を適用する個別の保証制度等の取扱いに準じる。

2.事業者選択型経営者保証非提供促進特別保証制度

<要件>
前記1.と同じ。
<保証限度額>
8,000万円セーフティネット保証(4号・5号)の場合は、別枠で8,000万円
<保証期間>
・一括返済の場合:1年以内・分割返済の場合:10年以内(据置期間は1年以内)
<保証料率>
前記1.と同じ。
<保証料補助>
保証申込日に応じて、次の補助率に相当する額を国が補助します。

  • 2024年3月15日~2025年3月31日の保証申込分 補助率 0.15%
  • 2025年4月1日~2026年3月31日の保証申込分 補助率 0.10%
  • 2026年4月1日~2027年3月31日保証申込分 補助率 0.05%
<保証人>
不要
<取扱期間>
2027年3月31日まで

3.プロパー融資借換特別保証制度

<要件>
以下の全ての要件を充足する法人

資産超過であること
EBITDA有利子負債倍率(*1)が15倍以内であること
法人・個人の分離がなされていること
申込日(*2)において返済緩和している借入金がないこと

(*1)EBITDA有利子負債倍率=(借入金・社債-現預金)÷(営業利益+減価償却費)

(*2)危機関連保証又はSN保証4号(新型コロナ)の指定期間内の場合は、指定期間の始期の前日でも差し支えない。

<対象資金>
借換資金(プロパー融資のうち、経営者保証を提供している事業資金の借換えに限る。)
<保証限度額>
保証限度額:2億8,000万円(組合等4億8,000万円)申込金融機関における保証限度額は、プロパー融資のうち、経営者保証を提供していない残高の範囲内。
<保証期間>
  • 一括返済の場合:1年以内
  • 分割返済の場合:10年以内(据置期間は1年以内)
<保証料率>
0.45%~1.90%
<保証人>
不要
<取扱期間>
2027年3月31日まで
<その他>
申込金融機関において、次のいずれかの要件を満たす必要があります。

  • 経営者保証を不要とし、かつ、保全のないプロパー融資を実行すること
  • 経営者保証を提供している既往のプロパー融資(本制度による返済部分を除く。)の全部又は一部について経営者保証を解除し、かつ、解除したプロパー融資については保全がないこと

4.最後に

経営者保証を提供しなくてすむ制度が色々とできましたので、ふさわしいものを使っていただきたいですね。

個人的には、普段から会社の状況を見て減価償却費を入れたり入れなかったりしていますが、減価償却前経常利益で考えれば良いということを改めて認識しました。

2024年4月24日 國村 年

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