事務所通信2024年11月

事務所通信

2024年11月号『地籍調査とは?』

先日、地積調査に立ち会いました。

そこで今回は、『地籍調査とは?』について、書きたいと思います。

1.地籍調査とは?

人に戸籍があるように、土地には「地籍」があります。

「地籍」とは一筆ごとの土地に関する記録のことで、登記所(法務局)の土地登記簿に所有者、地番、地目、地積などが記録されており、その地図(公図)が備え付けられています。

地籍が登記所の登記簿や公図に記載されて初めてその土地に関する様々な権利が保護されることになります。 

現在の公図が明治時代初期に作られた地図をもとにしているものが多く、測量技術が現在のように精密でなかったことなどから、土地の境界や面積など不正確なものが少なくなく、土地の位置や境界など、先祖代々言い継がれてきたものも多く、その間にあいまいになったり間違った情報となっているものもあるようです。

地籍調査とは、土地の物理的状況について現地調査をして、その結果に基づき公図や登記簿を修正していく作業です。

2.地籍調査の効果

地籍調査は以下のようなことに役立ちます。

土地境界をめぐるトラブルの未然防止

土地取引の円滑化

災害復旧の迅速な対応

公共事業の円滑化

課税の適正化

まちづくり

3.地籍調査の流れ

地籍調査は以下のような流れで進めます。

1

住民への説明会

2

一筆地調査

3

一筆地測量

4

地籍図の作成・面積の測定/地籍簿の作成

5

成果の閲覧・ 確認

6

登記所への送付/成果の利活用

4.地籍調査でできること・できないこと

地籍調査で以下のようなことができます。

分筆(分割)

合筆(合併)

地目変更

地籍調査で以下のようなことはできません。

所有権移転登録(相続、交換、売買など)

道路(赤線)・水路(青線)

5.筆界未定地

筆界未定地とは、地籍調査の際に、境界(筆界)を確認できなかったため、筆界が決まらないまま処理されてしまった土地です。

境界を確認できない理由としては、筆界について所有者間に紛争があったり、数筆の土地を一区画で利用されていたり、現地で調査を行った際に土地所有者に立ち合ってもらえなかった場合などがあります。

地籍調査の結果、「筆界未定地」となった土地は、所有者の権利が残りますが、原則として、分筆・合筆ができない、地積更正ができない、地目変更ができない、売買や抵当権の設定などが非常に難しくなるなど、事実上動かせない土地となってしまいます。

また、地籍調査終了後に境界が決まっても、測量や登記は土地所有者の個人負担(全額自己負担)となり、多額の費用がかかります。

6.最後に

実際に地籍調査に立ち会いましたが、上記のことを知っていて損はないと感じました。

2024年11月26日 國村 年

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