事務所通信2024年10月

事務所通信

2024年10月号『手形のサイトが60日になる!』

今までは、繊維業は90日、その他の業種は120日を超えるサイトの手形等が、下請法が規制する「割引困難な手形」等に該当するおそれのあるものとされてきました。

ところが、来月から60日になるのです。

そこで今回は、『手形のサイトが60日になる!』について、書きたいと思います。

1.概要

中小企業庁及び公正取引委員会は、1966年以降、業界の商慣習、親事業者と下請事業者との取引関係や金融情勢等を総合的に勘案し、繊維業は90日、その他の業種は120日を超えるサイトの手形等を、下請法が規制する「割引困難な手形」等に該当するおそれのあるものとして指導してきました。

こうした長期の手形等が下請事業者の資金繰りの負担となっていることなどを踏まえ、中小企業庁は、中小企業の取引適正化の重点課題の1つに「支払条件の改善」を位置づけ、業種別の下請ガイドラインや自主行動計画などを通じ、手形等による支払期間の短縮を推進してきました。

2021年3月に、下請法の運用の見直しについて検討を行うこととしていましたが、今般、改めて各業界の商慣行、金融情勢等を総合的に勘案し、意見公募手続を経たうえ、サイトが60日を超える手形等が下請法上の「割引困難な手形」等に該当するおそれがあるものとして、指導の対象とする運用の見直しを公正取引委員会が公表しました。

2.新たな運用の適用開始時期

2024年11月1日以降に交付された手形等につき、新たな運用が適用されます。

3.各団体等への要請

中小企業庁は、公正取引委員会と連名で、各産業の業界団体や、金融機関及びそれを監督する省庁等に対し、以下の内容の要請文を発出しました。

サイトが60日を超える手形等を下請法の割引困難な手形等に該当するおそれがあるものとして指導の対象とする運用が2024年11月1日から始まること。

ファクタリング等の一括決済方式についてはサイトを60日以内とすることに加え、引き続き一括決済方式への加入は下請事業者の自由な意思によること並びに親事業者、下請事業者及び金融機関の間の三者契約によることを徹底すること。

下請法対象外の取引についても手形等のサイトを60日以内に短縮する、代金の支払いをできる限り現金によるものとするなど、サプライチェーン全体での支払い手段の適正化に努めること。とりわけ、建設工事、大型機器の製造など発注から納品までの期間が長期にわたる取引においては、発注者は支払い手段の適正化とともに、前払い比率、期中払い比率をできる限り高めるなど支払条件の改善に努めること。

手形等のサイトの短縮に取り組む事業者からの資金繰り支援の相談に丁寧かつ親身に応じるとともに、事業者の業況や資金需要等を勘案し、事業者に寄り添った柔軟かつきめ細かな資金繰り支援に努めること。

4.最後に

受け取る側は資金繰りが改善、振り出す側は悪化となりますので、ご留意くださいね。

2024年10月25日 國村 年

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