事務所通信
2023年11月号『無予告調査!』
コロナ明け後、無予告調査が増えていると言われていますが、弊事務所のクライアントでも、先日、無予告調査がありました。
そこで今回は、『無予告調査!』について、書きたいと思います。
1.調査の事前通知等
原則的に、実地の調査を行う場合は、事前通知をしなければならないとされています。
2.事前通知を要しない場合
納税義務者の申告もしくは過去の調査結果の内容又はその営む事業内容に関する情報その他国税庁等もしくは税関が保有する情報に鑑み、違法又は不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれその他国税に関する調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認める場合、事前通知を要しません。
3.その営む事業内容に関する情報
単に不特定多数の取引先との間において現金決済による取引をしているということのみをもって事前通知を要しない場合に該当するとはいえません。
4.違法又は不当な行為
事前通知をすることにより、事前通知前に行った違法又は不当な行為の発見を困難にする目的で、事前通知後は、このような行為を行わず、又は、適法な状態を作出することにより、結果として、事前通知後に、違法または不当な行為を行ったと評価される状態を生じさせる行為が含まれます。
5.違法又は不当な行為を容易にし、正確な課税標準等または税額等の把握を困難にするおそれ
事前通知をすることにより、納税義務者において、例えば、以下に掲げるようなことが合理的に推認される場合をいいます。
1 |
法第128条第2号又は同条第3号に掲げる行為を行うことを助長する |
2 |
調査の実施を困難にすることを意図し逃亡する |
3 |
調査に必要な帳簿書類その他の物件を破棄し、移動し、隠匿し、改ざんし、変造し、又は偽造する |
4 |
過去の違法又は不当な行為の発見を困難にする目的で、質問検査等を行う時点において適正な記帳又は書類の適正な記載と保存を行っている状態を作出する |
5 |
その使用人その他の従業者もしくは取引先又はその他の第三者に対し、上記1から4までに掲げる行為を行うよう、又は調査への協力を控えるよう要請する(強要し、買収し又は共謀することを含む。) |
6.その他国税に関する調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ
例えば、以下の1から3までに掲げるような場合をいいます。
1 |
事前通知をすることにより、税務代理人以外の第三者が調査立会いを求め、それにより調査の適正な遂行に支障を及ぼすことが合理的に推認される |
2 |
事前通知を行うため相応の努力をして電話等による連絡を行おうとしたものの、応答を拒否され、又は応答がなかった |
3 |
事業実態が不明であるため、実地に臨場した上で確認しないと事前通知先が判明しない等、事前通知を行うことが困難 |
7.最後に
無予告調査といっても、基本的に強制調査ではなく、任意調査ですので、すぐに顧問税理士に連絡してから対応しましょう。
2023年11月29日 國村 年