事務所通信
2022年12月号『小規模企業共済と経営セーフティ共済の違い!』
今年も12月に小規模企業共済や経営セーフティ共済に入られる方がおられました。
それぞれのメリットは異なります。
そこで今回は、『小規模企業共済と経営セーフティ共済の違い!』について、書きたいと思います。
1.小規模企業共済とは?
国の機関である中小機構が運営する、小規模企業の経営者や役員、個人事業主などのための、積み立てによる退職金制度です。
2.経営セーフティ共済とは?
取引先事業者が倒産した際に、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度です。
3.小規模企業共済のメリット
以下の3つのメリットがあります。
①月々の掛金は1,000~70,000円まで500円単位で自由に設定が可能で、加入後も増額・減額できます。また、確定申告の際は、その全額を課税対象所得から控除できるため、高い節税効果があります。
②共済金は、退職・廃業時に受け取り可能で、満期や満額はありません。共済金の受け取り方は「一括」「分割」「一括と分割の併用」が可能で、一括の場合は退職所得扱いに、分割の場合は、公的年金等の雑所得扱いとなり、税制メリットもあります。
③契約者の方は、掛金の範囲内で事業資金の貸付制度をご利用いただけます。低金利で、即日貸付けも可能です。
4.経営セーフティ共済のメリット
以下の4つのメリットがあります。
①共済金の借入れは、無担保・無保証人で受けられます。共済金貸付額の上限は「回収困難となった売掛金債権等の額」か「納付された掛金総額の10倍(最高8千万円)」の、いずれか少ないほうの金額となります。
②取引先の事業者が倒産し、売掛金などの回収が困難になったときは、その事業者との取引の確認が済み次第、すぐに借り入れることができます。
③掛金月額は5,000円~20万円まで自由に選べ、増額・減額できます。また確定申告の際、掛金を損金(法人の場合)、または必要経費(個人事業主の場合)に算入できます。
④共済済契約を解約された場合は、解約手当金を受け取れます。自己都合の解約であっても、掛金を12か月以上納めていれば掛金総額の8割以上が戻り、40か月以上納めていれば、掛金全額が戻ります(12か月未満は掛け捨てとなります)。
5.小規模企業共済と経営セーフティ共済の違い
小規模企業共済の場合、共済金を一括で受け取ると退職所得、分割で受け取ると雑所得となり、税制上優遇されます。一方、経営セーフティ共済の解約手当金は、法人の場合は益金、個人事業主の場合は事業所得の収入となります。
また、小規模企業共済の掛金は、所得控除となりますが、経営セーフティ共済の掛金は事業の経費となります。
6.最後に
小規模企業共済の掛金は所得控除、経営セーフティ共済は事業の経費ゆえ、経営セーフティ共済は社会保険料を引き下げる効果もありますので、検討に値しますね。
2022年12月27日 國村 年