事務所通信
2020年3月号『納税が困難な方には猶予制度があります!』
新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威を振るっています。
それに伴い、例えば、観光業や飲食業などでは売上が激減し、資金繰りに苦しんでおられる方も多いのではないかと思います。
そこで今回は、『納税が困難な方には猶予制度があります!』について、書きたいと思います。
1.申請による換価の猶予の概要
新型コロナウイルス感染症の影響により、国税を一時に納付することができない場 合、一定の要件のすべてに該当するときは、原則として1年以内の期間に限り、税務署に申請することにより換価の猶予が認められます。
もちろん納期限前から大丈夫ですので、お気軽にお電話で所轄の税務署(徴収担当)にご相談ください。
所定の審査の結果、猶予が認められると、以下のようになります。
原則、1年間猶予が認められる(状況に応じて更に1年間猶予される場合がある) |
猶予期間中の延滞税の一部が免除される |
財産の差押えや換価(売却)が猶予される |
2.猶予の要件
要件は、以下のとおりです。
① |
国税を一時に納付することにより、事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあると認められること |
② |
納税について誠実な意思を有すると認められること |
③ |
換価の猶予を受けようとする国税以外の国税の滞納がないこと |
④ |
納付すべき国税の納期限(注1)から6か月以内に申請書が提出されていること |
⑤ |
原則として、担保の提供があること(担保が不要な場合もある) |
(注1)令和元年分の申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の確定申告は、延長された期限(令和2年4月16日)が納期限となります。
(注2)既に滞納がある場合や滞納となってから6月を超える場合であっても、税務署長の職権による換価の猶予が受けられる場合もあります。
3.納税の猶予
更に個別の事情に該当する場合は、他の猶予制度を活用することもできます。
以下のようなケースに該当する場合、納税の猶予が認められることがありますので、税理士や所轄の税務署(徴収担当)にご相談ください。
・災害により財産に相当な損失が生じた |
新型コロナウイルス感染症の患者が発生した施設で消毒作業が行われたことにより、備品や棚卸資産を廃棄した場合 |
・ご本人又はご家族が病気にかかった |
納税者ご本人又は生計を同じにするご家族が病気にかかった場合、国税を一時に納付できない額のうち、医療費や治療等に付随する費用 |
・事業を廃止し、又は休止した |
納税者の方が営む事業について、やむを得ず休廃業をした場合、国税を一時に納付できない額のうち、休廃業に関して生じた損失や費用に相当する金額 |
・事業に著しい損失を受けた |
納税者の方が営む事業について、利益の減少等により、著しい損失を受けた場合、国税を一時に納付できない額のうち、受けた損失額に相当する金額 |
なお、申請に必要な書類等については、ケースにより異なりますので、税理士や最寄りの税務署(徴収担当)にご相談ください。
所定の審査の結果、猶予が認められると、以下のようになります。
原則、1年間猶予が認められる(状況に応じて更に1年間猶予される場合がある) |
猶予期間中の延滞税の全部又は一部が免除される |
財産の差押えや換価(売却)が猶予される |
4.最後に
いつ収束するか分からない状態ですので、資金繰りが楽になるものがあれば積極的に使いたいですね。
2020年3月24日 國村 年