事務所通信
2019年6月号『外形標準課税とは?』
最近、相続税・贈与税・所得税・消費税などほとんどの税金の税率が上がっているなか、政府は法人実効税率を30%を切る水準まで引き下げてきました。
ここで、実効税率とは、法人の所得金額に対する法人税、地方法人税、住民税、事業税の額の合計額の割合(合計税率)をいいます。
ただし、実効税率は下がってきているものの、一方で、外形標準課税の拡大が行われているため、喜んではいられません。
そこで今回は、『外形標準課税とは?』について、書きたいと思います。
1.外形標準課税とは?
法人事業税は、大きく分けると「所得割」「付加価値割」「資本割」になります。
そのうち、外形標準課税とは、主に資本金等や、従業員数・事業所の面積などの事業活動規模を基に計算される「付加価値割」及び「資本割」をいうのです。
企業は企業活動を行うにあたって、地方自治体から様々な公共・行政サービスを享受していますが、赤字企業であっても地方行政サービスを受けていることには変わりないため、法人事業税は法人の事業活動規模に従った基準により課されるべきとの考えから、2004年4月から外形標準課税が導入されたのです。
2.外形標準課税の対象となる法人
外形標準課税の対象となる法人は、所得に課税される法人で、事業年度終了の日における資本金の額または出資金の額が1億円を超える法人です。
ただし、公共法人等、特別法人、人格のない社団等、みなし課税法人、投資法人、特定目的会社、一般社団法人及び一般財団法人は除かれます。
なお、外形標準課税の対象となるか否かは、事業年度終了日現在における資本金または出資金の額で判断されますので、期中の増資や減資等は関係ありません。
また、「資本金」のみで判断されることから、資本金等の額(資本金+資本準備金などの金額)は影響しません。
3.外形標準課税の計算方法
外形標準課税は、「所得割」と「付加価値割」、「資本割」の金額を足して計算します。
「所得割」は、所得に税率を乗じて算定します。
「付加価値割」は、企業の「単年度損益」と「収益配分額」の合計額に税率を乗じて算定します。
ここで、「単年度損益」は、繰越欠損金控除前の法人事業税の所得金額であり、「収益配分額」は、報酬給与額・純支払利子・純支払賃借料を足したものです。「報酬給与額」は給料や賞与、手当、退職金等の合計額、「純支払利子」は支払利子から受取利子を引いた額、「純支払賃借料」は土地・家屋の支払賃借料から受取賃借料を引いた額です。
「資本割」は、原則として、「資本金」と「資本準備金」の合計額に税率を乗じて算定します。
4.最後に
外形標準課税の対象となるか否かは、事業年度終了日現在における資本金または出資金の額で判断されますので、減資を検討した方が良いケースもでてきますね。
2019年6月27日 國村 年