事務所通信2018年10月

事務所通信

2018年10月号『固定資産税評価額は相続税評価額ではない!』

 今年もありがたいことに、相続税の申告業務や相続税対策のお仕事を結構させていただいておりますが、地域柄か土地をたくさん所有されている方が大半です。

 初回の面談時にお話をさせていただいていると、『固定資産税評価額』が『相続税評価額』となると思われている方が非常に多いように感じます。

 特に『田』が多い場合、数10倍の評価となることがあり、それほど高くなることに驚かれる方が結構いらっしゃいます。

 そこで今回は、『固定資産税評価額は相続税評価額ではない!』について、書きたいと思います。

1.固定資産税評価額とは?

 固定資産税評価額とは、固定資産税及び都市計画税、不動産取得税、登録免許税等を算出するための根拠となる土地や建物の評価額のことです。

 その年の1月1日時点の土地及び家屋の所有者に対して4月の終わりごろから5月初めごろに市町村(東京23区の場合は都税事務所)から送付される『固定資産税課税明細書』に記載されています。

 ちなみに、『課税標準額』ではなく『価格』が『固定資産税評価額』です。

2.相続税評価額とは?

 相続税評価額とは、相続、贈与などにより取得した財産に係る評価額です。

 土地の場合、算出方法として、①路線価方式と②倍率方式とがあります。

 路線価方式は、路線価が定められている地域の評価方法で、路線価とは、路線(道路)に面する標準的な宅地の1㎡当たりの価額のことで、千円単位で表示しています。

 路線価方式における土地の価額は、路線価をその土地の形状等に応じた奥行価格補正率などの各種補正率で補正した後に、その土地の面積を乗じて計算します。

 一方、倍率方式は、路線価が定められていない地域の評価方法で、倍率方式における土地の価額は、その土地の固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計算します。

3.固定資産税評価額と相続税評価額の関係

 一般的に、固定資産税評価額は地価公示価格の7割、相続税評価額は地価公示価格の8割の水準にあると言われています。

 これだけでも、約14%(80%÷70%)の開きがあります。

4.相続税評価額の具体例

 例えば、倍率方式を用いる田を所有している場合を考えます。

 平成30年にお亡くなりになった場合、国税庁のホームページから平成30年分の倍率表で、香川県高松市木太町の用途地域以外の田の場合、倍率は『26』となっているので、固定資産税評価額が100,000円だとしても、2,600,000円になってしまい、驚くことになってしまうのです。

 田は、一般的に、宅地と比べて低い評価となる農地評価がなされるため、固定資産税評価額は低くなっているのです。

5.最後に

 固定資産税評価額で計算して相続税がかからないと判断されている方がいるかもしれませんので、固定資産税評価額が相続税評価額ではないことは知っておきましょう。

2018年10月30日 國村 年

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