事務所通信
2017年9月号『ビットコインを使用した場合の課税関係』
最近、毎日のように『仮想通貨』とか『ビットコイン』といったことばを、目にしたり、耳にしたりします。
これらは、金融商品でないため金融商品取引法の対象ではなく、税法上の取り扱いも明確化されていませんでした。
しかしながら、先日、国税庁が『ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係』というタックスアンサーを公表しました。
そこで今回は、『ビットコインを使用した場合の課税関係』について書きたいと思います。
1.『ビットコイン』とは?
ウィキペディアによると、『ビットコイン』は、サトシ・ナカモト(Satoshi Nakamoto) を名乗る人物によって投稿された論文に基づき、2009年に運用が開始されました。
ビットコインシステムは、ピア・トゥー・ピア(P2P)型のネットワークにより運営され、取引は仲介者なしでユーザ間で直接に行われるものです。
この取引は、ネットワークに参加しているノード(コンピュータ)によって検証され、『ブロックチェーン』と呼ばれる公開分散元帳に記録されていきます。
取引では、通貨単位としてビットコイン (BTC)が使用されます。
2.ビットコインを使用した場合の課税関係
以下のようになっています。
『ビットコインは、物品の購入等に使用できるものですが、このビットコインを使用することで生じた利益は、所得税の課税対象となります。
このビットコインを使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されます。』
これだけですので、『使用』の範囲が明確ではありませんが、現時点では以下のように言われています(今後変わる可能性もあります。)。
ケース | 課税関係 |
---|---|
円に売却 | 売却益(売却額-取得価額)に課税 |
他の仮想通貨と交換 | 取得時から交換時までの値上がり益に課税 |
無償で付与またはマイニング(採掘)で得たものを円に売却または他の仮想通貨と交換 | 売却益(売却額-所得価額(ゼロ?)またはマイニング費用)に課税 |
物品を購入 | 取得時から購入時までの値上がり益に課税 |
売買代金として受取 | 事業所得 |
保有により含み益が発生 | なし |
3.ビットコインの消費税
従来は課税でしたが、2017年7月1日から非課税になっています。
4.最後に
国税庁からタックスアンサーが出されたものの、『使用』の範囲が明確でないこと、ビットコイン以外の仮想通貨はどう取り扱えば良いかなど、現状では、色々不明な点が多くなっています。
仮想通貨の取引をされている方は、今後の動向に注意してくださいね。
2017年9月25日 國村 年