事務所通信
2017年12月号『エンジェル税制とは?』
創業して間もない元気な企業への投資を応援する制度があります。
その企業へ投資を行った方に対しる税制優遇があるのです。
これが、エンジェル税制です。
そこで今回は、『エンジェル税制とは?』について書きたいと思います。
1.エンジェル税制の仕組み
個人投資家は①投資時点、②株式売却時点のそれぞれの時点において、税制上の優遇措置を受けることができます。
投資時点においては、以下のAとBの優遇措置のいずれかを選択できます。
A | (ベンチャー企業への投資額-2,000円)をその年の総所得金額から控除 ※総所得金額×40%と1,000万円のいずれか低い方が上限 |
B | ベンチャー企業への投資額全額を、その年の他の株式譲渡益から控除 ※控除対象となる投資額の上限なし |
売却時点(売却損失が発生した場合)においては、未上場ベンチャー企業株式の売却により生じた損失を、その年の他の株式譲渡益と通算(相殺)できるだけでなく、その年に通算(相殺)しきれなかった損失については、翌年以降3年にわたって、順次株式譲渡益と通算(相殺)ができます。
また、ベンチャー企業が上場しないまま、破産、解散等をして株式の価値がなくなった場合にも、同様に翌年以降3年にわたって損失の繰越ができます。
なお、投資時点で優遇措置(AまたはB)を受けた場合は、その控除対象金額を取得価額から差し引いて売却損失を計算します。
2.投資方法
エンジェル税制における株式を取得する方法(投資方法)については、以下の3つの方法があります。
それぞれにおいてエンジェル税制の確認申請の方法が異なることに注意して下さい。
・直接投資 |
・認定投資事業有限責任組合経由 |
・証券会社経由 |
3.事前確認制度
資金調達前にベンチャー企業がエンジェル税制の対象か否かについて確認を受けることができる制度があります。
この確認を得ることで、投資家からの投資促進が期待できます。
4.確定申告の流れ
エンジェル税制を利用するためには、まず、ベンチャー企業が都道府県へエンジェル税制適用対象企業であること、投資が行われたこと等の確認申請を行います。
ケースによって異なりますが、申請書・定款・登記事項証明書・株主名簿・投資契約書の写しなどが必要になります。
申請を受けた都道府県は、確認後、ベンチャー企業へ『確認書』を交付します。
この確認書をベンチャー企業は投資家へ提出し、投資家が確認書を確定申告の際に税務署へ提出して手続きが完了します。
5.最後に
現在申請のお手伝いの準備中ですが、書類を揃えるのがなかなか大変です。
また、2016年4月1日より提出窓口が、経済産業局から都道府県に変わっており、以前より確認に時間がかかるようになっていると思われます。
エンジェルがたくさん出てきて、ベンチャー企業に大きく羽ばたいて欲しいですね。
2017年12月25日 國村 年