事務所通信2025年1月

事務所通信

2025年1月号『換価分割!』

遺産を分割する方法は、現物分割、共有分割、代償分割、換価分割の4つあります。

経験上、現物分割が圧倒的に多く、共有分割や代償分割はたまに見かけ、換価分割は珍しいという感じでしょうか。

そこで今回は、『換価分割!』について、取り上げます。

1.換価分割とは?

換価分割とは、相続財産を売却するなどして現金に換え、その現金を相続人同士で分割する方法です。

換価分割は、相続財産の多くが不動産・有価証券などで、相続人が相続財産の保有を必要としない場合に、一般的な遺産分割方法です。

2.換価分割のメリット

換価分割には、以下のようなメリットがあります。

相続人が多くても、公平に遺産分割がしやすい
延納や物納を使わずとも、相続税の納税資金を準備できる
代償分割と違って、自己資金を準備しなくてよい
不動産の実勢価格と比べて相続税評価額の方が低いことが多いため、相続税の節税ができることがある

3.換価分割のデメリット

一方、換価分割には、以下のようなデメリットがあります。

売却を急ぐと、希望額で売却できない可能性がある
譲渡所得税が発生する可能性がある
不動産産売買手数料・印紙代・測量費などが生じる

4.換価分割の手続き

換価分割の手続きは、以下のようになります。

換価分割する相続財産の相続税評価額を算出する

相続人全員で遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成する
遺産分割協議で決めた共同登記か単独登記かに基づき、相続登記を行う
売却方針を協議する
売却先が見つかれば、売買契約書を締結し、売却代金を受領する
売却代金から各種費用を差し引いた金額を、遺産分割協議書に基づき分配する

5.換価分割の税務

相続税の計算の結果、課税されないこともありますが、換価分割の対象となる財産は、相続税の計算上、課税対象となります。

次に、換価分割の対象となる財産を売却した際には、売却代金から取得費や譲渡費用などを差し引いた『譲渡所得』が生じれば、譲渡所得税が課税されます。

この場合、取得費は相続税評価額ではなく、被相続人の取得費を引き継ぎますのでご留意ください。

なお、単独登記の場合、遺産分割協議書で詳細を記載しておけば、贈与税の問題は生じません。

6.最後に

代償分割だけでなく、換価分割もケースによっては有効だと思われますので、検討されてもよいかもしれませんね。

2025年1月27日 國村 年

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