事務所通信2024年9月

事務所通信

2024年9月号『地積規模の大きな宅地!』

面積の広い土地があり、多額の相続税がかかるのではないかと心配されている方がいらっしゃるかもしれません。ところが、面積が一定規模以上の土地に対しては、要件を満たせば、減額することが可能なのです。

そこで今回は、『地積規模の大きな宅地!』について、書きたいと思います。

1.地積規模の大きな宅地とは?

地積規模の大きな宅地とは、三大都市圏においては500㎡以上の地積の宅地、三大都市圏以外の地域においては1,000㎡以上の地積の宅地をいいます。

ただし、以下の(1)から(4)のいずれかに該当する宅地は、地積規模の大きな宅地から除かれます。

(1) 市街化調整区域に所在する宅地
(2) 都市計画法の用途地域が工業専用地域に指定されている地域に所在する宅地
(3) 指定容積率が400%(東京都の特別区においては300%)以上の地域に所在する宅地
(4) 財産評価基本通達22-2に定める大規模工場用地

三大都市圏とは、以下の地域をいいます。

(1) 首都圏整備法第2条第3項に規定する既成市街地または同条第4項に規定する近郊整備地帯
(2) 近畿圏整備法第2条第3項に規定する既成都市区域または同条第4項に規定する近郊整備区域
(3) 中部圏開発整備法第2条第3項に規定する都市整備区域

2.地積規模の大きな宅地の評価の対象となる宅地

地積規模の大きな宅地の評価の対象となる宅地は、路線価地域に所在するものについては、地積規模の大きな宅地のうち、普通商業・併用住宅地区および普通住宅地区に所在するものとなります。

また、倍率地域に所在するものについては、地積規模の大きな宅地に該当する宅地であれば対象となります。

3.評価方法

(1)路線価地域に所在する場合

評価額
=路線価×奥行価格補正率×不整形地補正率などの各種画地補正率×規模格差補正率×地積(㎡)

(2)倍率地域に所在する場合

以下に掲げる①の価額と②の価額のいずれか低い価額により評価します。

その宅地の固定資産税評価額に倍率を乗じて計算した価額
その宅地が標準的な間口距離および奥行距離を有する宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額に、普通住宅地区の奥行価格補正率や不整形地補正率などの各種画地補正率のほか、規模格差補正率を乗じて求めた価額に、その宅地の地積を乗じて計算した価額

4.規模格差補正率

規模格差補正率は、以下の算式により計算します(小数点以下第2位未満は切り捨て)。

規模格差補正率
=(A×B+C)÷地積規模の大きな宅地の地積(A)×0.8

上記算式中の「B」および「C」は、地積規模の大きな宅地の所在する地域に応じて、それぞれ以下に掲げる表のとおりです。

(1)三大都市圏に所在する宅地

地積

普通商業・併用住宅地区、普通住宅地区
B C
500㎡以上1,000㎡未満 0.95 25
1,000㎡以上3,000㎡未満 0.90 75
3,000㎡以上5,000㎡未満 0.85 225
5,000㎡以上 0.80 475

(2)三大都市圏以外の地域に所在する宅地

地積

普通商業・併用住宅地区、普通住宅地区
B C
1,000㎡以上3,000㎡未満 0.90 100
3,000㎡以上5,000㎡未満 0.85 250
5,000㎡以上 0.80 500

5.最後に

2018年に新設された、通常の土地より大きな土地については評価減ができるというものですから、適用できるものについてはきちんと適用しましょう。

2024年9月27日 國村 年

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