事務所通信2024年7月

事務所通信

2024年7月号『相続土地国庫帰属制度の現状!』

土地を相続したものの土地を手放したいと考える方が増加しており、また、土地を望まず取得した所有者の負担感が増しています。

所有者不明土地の発生を抑えるため、相続や遺贈により土地の所有権を取得した方が、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする制度が創設されました。

そこで今回は、『相続土地国庫帰属制度の現状!』について、書きたいと思います。

1.相続土地国庫帰属制度とは?

相続した土地について、「遠くに住んでいて利用する予定がない」、「周りの土地に迷惑がかかるから管理が必要だけど、負担が大きい」といった理由により、土地を手放したいというニーズが高まっています。

このような土地が管理できないまま放置されることで、将来、「所有者不明土地」が発生することを予防するため、相続又は遺贈によって土地の所有権を取得した相続人が、一定の要件を満たした場合に、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする「相続土地国庫帰属制度」が2023年4月27日から創設されました。

2.申請件数

法務省は、相続土地国庫帰属制度の運用状況に関する統計を公開しています。

2024年6月30日現在(以下同じ。)の申請件数は以下のとおりです。

(1)総数2,348件

(2)地目別 田・畑894件、宅地842件、山林360件、その他252件

3.帰属件数

帰属件数は以下のとおりです。

(1)総数564件

(2)地目別 田・畑237件、宅地163件、山林19件、その他145件

4.却下・不承認件数

却下・不承認件数は以下のとおりです。

(1)却下件数10件

(却下の理由)

・8件:現に通路の用に供されている土地

・2件:境界が明らかでない土地

(2)不承認件数17件(1事件1件ではない)

(不承認の理由)

・6件:土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地

・2件:民法上の通行権利が現に妨げられている土地

・1件:所有権に基づく使用又は収益が現に妨害されている土地

・4件:国による追加の整備が必要な森林

・5件:国庫に帰属した後、国が管理に要する費用以外の金銭債務を法令の規定に基づき負担する土地

5.取下げ件数

取下げ件数は、293件です。

(取下げの原因の例)

・自治体や国の機関による土地の有効活用が決定

・隣接地所有者から土地の引き受けの申出

・農業委員会の調整等により農地として活用される見込み

・審査の途中で却下、不承認相当であることが判明

6.最後に

相続したくない土地もあると思いますので、この制度を上手に使いたいものですね。

2024年7月29日 國村 年

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