事務所通信
2023年4月号『第二会社方式とは?』
先日、地元の四国新聞を読んでいると、香川県の企業に関する『第二会社方式』の記事が2つ並んで掲載されていました。
漆塗り家具製造メーカーの『森繁』とエビ煎餅製造販売の『志満秀』です。
そこで今回は、『第二会社方式とは?』について、書きたいと思います。
1.第二会社方式とは?
「第二会社方式」とは、過剰債務を抱えて経営難に陥っている会社から採算性の良い事業だけを会社分割や事業譲渡によって別会社(第二会社)へ分離することで優良事業の存続を図り、不採算事業・過剰債務とともに残された旧会社を清算などしてしまう事業再生手法です。
平成21年6月22日に施行された「改正産業活力再生特別措置法」(「産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法」以下、「改正産活法」)により、第二会社方式による中小企業の事業再生を支援するため「中小企業承継事業再生計画」(第二会社方式による再生計画)を国が認定し、対象企業に各種支援策を与える制度が創設されました。
2.第二会社方式のメリット
第二会社方式のメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
① | 優良な事業だけを残すため事業再生を図りやすい |
② | 税務上のメリットがある |
③ | スポンサーが協力しやすい |
①については、不採算事業のみを消滅させ、優良な事業は新しい会社で継続させることが可能であり、事業継続により、従業員の雇用維持や取引先への債務履行などが可能となります。
②については、債務免除益が発生しても、不採算事業が残る旧会社が清算されるため、回収できない旧会社の債権を税務上の損金として処理でき、相殺できます。
③については、①②などにより、スポンサーが協力しやすくなります。
3.第二会社方式のデメリット
一方、第二会社方式のデメリットとして、以下のようなものが挙げられます。
① | 再度許認可の取得が必要である |
② | 不動産流通税がかかる |
③ | 新会社で資金調達が困難である |
①については、法律上は新たな法人が事業を始めることとなるため、事業を運営するために許認可が必要な場合、新たな法人で許認可を再度取得する必要があります。
②については、不動産の移転が発生する場合、不動産取得税や登録免許税が課税されてしまいます。
③については、新たな法人で運転資金が必要になりますが、旧会社で取引していた金融機関から調達することは困難です。
4.最後に
森繁が第二会社方式を使っているのは知っていましたが、志満秀も使っているところを見ると、香川県でも結構第二会社方式を使っている会社はあるのでしょうね。
今年からコロナ融資の返済が始まるところが多いとは思いますが、第二会社方式を使うことがないように、事業計画を立てて、事業を推し進めていきましょう。
2023年4月26日 國村 年