事務所通信2021年10月

事務所通信

2021年10月号『110万円までは贈与税はかからない制度はなくなるのか?』

2020年12月10日に自民党・公明党が発表した『令和3年度税制改正大綱』に『相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直す』という文言が盛り込まれました。

よって、『令和4年度税制改正大綱』では、贈与税が見直されると考えられます。

そこで今回は、『110万円までは贈与税はかからない制度はなくなるのか?』について、書きたいと思います。

1.暦年課税制度とは?

暦年課税制度とは、一人の人が1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対して贈与税がかかるという制度です。

『110万円までは贈与税はかからない』とよく言われますが、この制度のことです。

2.相続時精算課税制度とは?

相続時精算課税制度とは、原則として60歳以上の父母または祖父母から20歳以上の子または孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。

贈与税の額は、贈与財産の価額の合計額から、複数年にわたり利用できる特別控除額(限度額は2,500万円。ただし、前年以前において既にこの特別控除額を控除している場合は残額が限度額となる。)を控除した後の金額に、一律20%の税率を乗じて算出します。

3.贈与税の見直し

『令和4年度税制改正大綱』はどうなるか分かりませんが、以下のようになるのではないかと個人的には推測しています。

暦年課税制度の廃止

基礎控除額の110万円から60万円の引き下げ

相続前の贈与の加算期間を3年前から5年前、10年前、15年前などに延長

 

4.暦年課税制度の廃止

暦年課税制度を廃止し、相続時精算課税制度へ一本化することが考えられます。

5.基礎控除額の110万円から60万円の引き下げ

基礎控除額を、110万円から2000年までの60万円に引き下げることが考えられます。

ちなみに、110万円は租税特別措置法に規定されており、今なお相続税法では60万円となっています。

6.相続前の贈与の加算期間を3年前から5年前、10年前、15年前などに延長

現在、相続前の3年間に贈与したものはなかったものとして相続税の計算上加算されますが、3年間を5年間、10年間、15年間に延長することが考えられます。

7.最後に

贈与税がどう改正されるかは、我々税理士にとって非常に興味のあるところです。

個人的には、③かなと推測しています。

あとは、改正される場合も、スタートがいつからになるかも重要です。

場合によっては、改正の前に、暦年課税制度を使って贈与をすることもあるでしょう。

どう改正されるか注視したいですね。

2021年10月28日 國村 年

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