事務所通信2017年7月

事務所通信

2017年7月号『事業承継税制が使いやすくなった!』

 2011年7月1日に開業しましたので、先月末で開業後丸6年が経ち、今月から7年目に突入しました。
 これもひとえに皆様のおかげです。
 今後ともよろしくお願いいたします。
 平成29年度税制改正のうち資産税では、類似業種比準価額の計算方法の改正がクローズアップされることが多いですが、『事業承継税制』の改正もインパクトが大きいと考えられます。
 そこで、今回は、『事業承継税制が使いやすくなった!』について書きたいと思います。

1.事業承継税制とは?
 事業承継税制とは、後継者が経済産業大臣の認定を受けた非上場会社の株式等を先代経営者から相続または贈与により取得した場合において、一定の要件を満たすことにより相続税・贈与税の納税が猶予されるという特例制度です。
 後継者が納付すべき相続税のうち、相続等により取得した非上場株式等に係る課税価額の80%に対応する額が納税猶予される『相続税の納税猶予制度』と、後継者が納付すべき贈与税のうち、贈与税により取得した非上場株式等に係る課税価額の全額に対応する額が納税猶予される『贈与税の納税猶予制度』とがあります。
 『相続税の納税猶予制度』は、平成20年10月1日以後に開始した相続から、『贈与税の納税猶予制度』は、平成21年4月1日以後の贈与から適用されていますが、それほど利用されていません。
 これは、要件が色々と厳しいことなどが影響していると思われます。
 よって、過去に何度か改正が行われ、徐々に使い勝手が良くなってきていますが、思ったほど利用件数は増えていないのです。

2.相続時精算課税制度の選択
 そのような中、平成29年度税制改正により、事業承継税制の改正がありました。
 個人的には、大きな改正が2つあると考えており、1つめは、相続時精算課税制度に係る贈与を、贈与税の納税猶予制度の適用対象に加えることになったことです。
 相続時精算課税制度との併用が認められることになり、認定が取り消された場合でも税負担は相続税と同額になるため、事業承継税制の利用促進につながるでしょう。

3.雇用要件の見直し
 2つめは、納税猶予の取消事由に係る雇用要件について、相続開始時または贈与時の常時使用従業員数に100分の80を乗じて計算した数に1人に満たない端数があるときは、これを切り捨てることになったことです(従来は、「切り上げ」。)。
 ただし、相続開始時または贈与時の常時使用従業員数が1人の場合には、1人です。
 5名未満(2名から4名)の企業の従業員数が1名減った場合、従来は要件を満たさないことになっていましたが、5名未満の企業の従業員数が1名減った場合でも、雇用要件を満たすことが可能となりました。

4.最後に
 今年からいわゆる団塊世代の方が70歳を迎え始めますので、国としても、事業承継をここ5年くらいで一気に進めたいと考えています。
 今回の改正により、事業承継税制はかなり使いやすくなったと思いますので、最終的に使うかどうかは別にして、一度、検討してみても良いですね。

2017年7月28日 國村 年

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