事務所通信
2014年10月号 『通勤手当の非課税限度額の引上げ』
この度、所得税法施行令の一部改正が行われ、自動車や自転車を使用している給与所得者に支給する通勤手当の非課税限度額が引き上げられました。
そこで、今回は、『通勤手当の非課税限度額の引上げ』について書きたいと思います。
1.改正後の非課税限度額(改正分のみ)
通勤距離(片道) | 改正前 | 改正後 |
---|---|---|
55㎞以上 | 31,600円 | 24,500円 |
45㎞以上55㎞未満 | 28,000円 | |
35㎞以上45㎞未満 | 24,400円 | 20,900円 |
25㎞以上35㎞未満 | 18,700円 | 16,100円 |
15㎞以上25㎞未満 | 12,900円 | 11,300円 |
10㎞以上15㎞未満 | 7,100円 | 6,500円 |
2㎞以上10㎞未満 | 4,200円 | 4,100円 |
2.改正後の非課税規定の適用
以下に掲げるものを除き、改正は、平成26年4月1日以後に支払われるべき通勤手当について遡って適用されます。
(1) | 平成26年3月31日以前に支払われた通勤手当 |
(2) | 平成26年3月31日以前に支払われるべき通勤手当で4月1日以後に支払われるもの |
(3) | (1)または(2)の通勤手当の差額として追加支給されるもの |
3.課税済みの通勤手当についての精算
既に支払われた通勤手当については、改正前の非課税規定を適用したところで所得税及び復興特別所得税の源泉徴収が行われていますが、改正後の非課税規定を適用した場合に過納となる税額は、本年の年末調整の際に精算することになります。
年末調整の際における精算の具体的な手続は、以下のように行います。
イ. | 既に改正前の非課税規定を適用したところで所得税及び復興特別所得税の源泉徴収をした(課税された)通勤手当のうち、改正後の非課税規定によって新たに非課税となった部分の金額を計算します。 |
ロ. | 「平成 26 年分給与所得・退職所得に対する源泉徴収簿」(以下「源泉徴収簿」といいます。)の「年末調整」欄の余白に「非課税となる通勤手当」と表示して、イの計算根拠及び今回の改正により新たに非課税となった部分の金額を記入します。 |
ハ. | 源泉徴収簿の「年末調整」欄の「給料・手当等①」欄には、「給料・手当等」欄の「総支給金額」の「計①」欄の金額からロの新たに非課税となった部分の金額を差し引いた後の金額を記入します。 |
ニ. | 以上により、改正後の非課税規定によって新たに非課税となった部分の金額が、本年の給与総額から一括して差し引かれ、その差引後の給与の総額を基にして年末調整を行います。 |
4.給与所得の源泉徴収票の記入
給与所得の源泉徴収票の「支払金額」欄には、非課税とされる部分の通勤手当の金額を除いた金額を記入します。
5.最後に
期の途中での過去に遡っての改正で、担当者の方は手間が増えますが、忘れすに年末調整の際に精算してくださいね。
2014年10月29日 國村 年