事務所通信
2013年4月号 『節税と脱税と租税回避』
最近、自民党議員の迂回寄付の記事が新聞紙上を賑わせています。
議員から政党支部への寄付、政党支部から後援会や資金管理団体への寄付というそれぞれの行為は問題ないかもしれません。
ところが、一連の行為を見ると、議員から後援会や資金管理団体への寄付と考えられ、租税回避行為であると思われます。
そこで、今回は、『節税と脱税と租税回避』について書きたいと思います。
1.政党等寄附金特別控除制度
個人が平成26年12月31日までに支払った政党または政治資金団体に対する政治活動に関する寄附金で一定のものについては、支払った年分の所得控除としての寄附金控除の適用を受けるか、または以下の算式で計算した金額(その年分の所得税額の25%相当額が限度)について税額控除の適用を受けるか、いずれか有利な方を選択することができます。
(その年に支払った政党などに対する寄附金の合計額―2,000円)×30%
ただし、「その年に支払った政党などに対する寄附金の合計額」は、総所得金額等の40%相当額が限度とされています。
ここで、「一定のもの」とは、政治資金規正法に規定する政党及び政治資金団体に対する政治活動に関する寄附(同法の規定に違反することとなるもの及びその寄附をした人に特別の利益が及ぶと認められるものを除く。)で、政治資金規正法の規定による報告書により報告されたものをいいます。
2.節税
合法的に、異常な行為形式を用いず、税負担を軽減することを言います。
使えば得、使わないと損というものです。
税理士にとって、腕の見せ所でしょう。
税金を削減できるものと課税の繰り延べ、キャッシュ・アウトを伴うものとそうでないものの4つの組み合わせがあります。
課税の繰延 | 税金の削減 | |
---|---|---|
キャッシュ・アウトを伴う | ケース1 | ケース2 |
キャッシュ・アウトを伴わない | ケース3 | ケース3 |
3.脱税
違法な方法で税負担の軽減を図ることを言います。
やってはいけないことで、税務調査等で明らかになると、ペナルティが課されます。
税理士は、脱税の手助けはしません。
4.租税回避
法律上、定義があるわけではなく、一般的に、以下のようなものであると言われています。
① | 異常な行為形式を利用し、 |
② | 通常の行為形式を利用するのと同様の経済的効果を得ながら、 |
③ | 税負担を軽減すること |
合法的な行為であり犯罪ではありませんが、これを認めると納税者間で著しく不公平なため、認められないというものです。
実際には、租税回避に該当するかという判断は難しく、税法に具体的に租税回避の例が規定されているわけではなく、結局、租税回避かどうかという判断は、国税局や税務署や裁判所が行うことになります。
拠り所としては、通常行う行為であれば『節税』、通常行わない行為であれば『租税回避』となるでしょう。
5.最後に
記事を見るたび、このような人たちに政治を任せておいて良いのか不安になります。
また、民主党と異なり、税制改正が公な場ではなく、閉ざされた場で検討されており、自分たちに都合の悪い税制改正が行われると思われません。
公な場で議論して欲しいものです。
2013年4月19日 國村 年