事務所通信2012年6月

事務所通信

2012年6月号 『あまり知られていない印紙税

 税務に関して、以前からいくつか疑問に思っていることがあるのですが、そのうちの1つが印紙税です。
 そもそも必要なのかという疑問に加え、先日、ダイエーが税務調査で印紙税に関して多額の追徴課税を受けていましたので、今回は、『あまり知られていない印紙税』について書きたいと思います。

1.印紙税とは?
 皆さんのイメージする印紙税とはどのようなものでしょうか?
 おそらく、何かを買ったり、食べたりした時の領収書に貼られている印紙をイメージする方が多いのではないでしょうか。
 印紙税は、「契約書」「手形」「領収書」など、「印紙税額一覧表」に掲げる文書に対して課される税金です。印紙税は、これらの文書を作成した人が、定められた金額の収入印紙を文書にはり付け、これに消印して納付します。
 一方、その納付すべき印紙税を課税文書の作成の時までに納付しなかった場合には、当初に納付すべき印紙税の額の3倍に相当する過怠税が徴収されることになります。
 ただし、調査を受ける前に自主的に不納付を申し出たときは1.1倍に軽減されます。
 また、「はり付けた」印紙を所定の方法によって消印しなかった場合には、消印されていない印紙の額面に相当する金額の過怠税が徴収されることになります。
 なお、過怠税は、その全額が法人税の損金や所得税の必要経費には算入されません。

2.ダイエーの税務調査
 ダイエーが、大阪国税局の税務調査を受け、2011年9月までの3年間で、計約15万枚分の印紙税約3,000万円の納付漏れを指摘されたようです。
 自転車修理の請負契約の伝票などに印紙を貼っておらず。追徴された過怠税は約3,300万円とみられ、同社は今年2月に全額納付したようです。
 請負に関する契約書の場合、記載された契約金額が1万円以上の場合、印紙を貼る必要があります。例えば、1万円以上100万円以下の場合、200円となります。
 一方、契約金額の記載がない場合、200円印紙を貼る必要があります。
 この件について詳細は分かりませんが、おそらく自転車の修理代金はほとんどが1万円以下であると推測されます。そうであれば、金額を記載しておけば、印紙を貼る必要はありません。
 ダイエーのミスと言われればそれまでかもしれませんが、金額を書いたか書かなかったかで印紙税の金額が変わってくるということ自体おかしいように感じます。

3.印紙税の不平等さ
 印紙税は文書に対して課税されるため、一般的に、電子メールやFAXなどの電子データで送付された電子的契約書に対しては課税されないとされています。
 この点も、文書と電子データで印紙税がかかったり、かからなかったりするのもおかしいように感じます。
 経団連も印紙税廃止を提言しています。

4.最後に
 皆さんは、印紙税のことをあまりご存じでなかったのではないでしょうか。
 金額を書くかどうか、文書か電子データかなどで税額が異なることに対して違和感を感じませんか。

2012年6月11日 國村 年

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