事務所通信2012年5月

事務所通信

2012年5月号 『農地の評価』

 私は香川県に住んでいますが、地方にお住まい場合、農地を所有されている方も多いかと思います。
 固定資産税評価額が低いため、相続税もかからないだろうと考えている方もおられますが、想像以上に相続時における評価額が高くなることがあります。
 そこで、今回は、『農地の評価』について書きたいと思います。

1.農地の評価
 農地については、農地法などにより宅地への転用が制限されており、また、都市計画などにより地価事情も異なるので、これらを考慮し、農地の価額は以下の4種類に区分して評価することになります。

  • 純農地
  • 中間農地
  • 市街地周辺農地
  • 市街地農地

 これは、国税庁の公表している評価倍率表で、どこの地域にあるかを見れば、どれに該当するのかを把握できます。

2.純農地及び中間農地の評価
 純農地及び中間農地の評価は、倍率方式によって評価します。
 倍率方式とは、その農地の固定資産税評価額に、国税局長が定める一定の倍率を乗じて評価する方法をいいます。
 例えば、1.1となっていれば、固定資産税評価額に1.1を乗じたものとなります。

3.市街地周辺農地の評価
 市街地周辺農地の評価は、その農地が4.の市街地農地であるとした場合の価額の80%に相当する金額によって評価します。

4.市街地農地の評価
 市街地農地の評価は、宅地比準方式または倍率方式により評価します。
 宅地比準方式とは、その農地が宅地であるとした場合の価額からその農地を宅地に転用する場合にかかる造成費に相当する金額を控除した金額により評価する方法をいいます。
 これを算式で示すと次のとおりです。  

(その農地が宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額-1㎡当たりの造成費の金額)

 例えば、前者が30,000円、後者が1,000円ですと、29,000円になります。
 上記算式の「その農地が宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額」は、具体的には、路線価方式により評価する地域の場合にはその路線価により、また、倍率地域の場合には評価しようとする農地に最も近接し、かつ、道路からの位置や形状等が最も類似する宅地の評価額(宅地としての固定資産税評価額×宅地としての評価倍率)を基として計算することになります。
 農地としてではなく、宅地としての固定資産税評価額ですので、ご留意下さい。
 また、「1㎡当たりの造成費の金額」は、整地、土盛りまたは土止めに要する費用の額がおおむね同一と認められる地域ごとに、国税局長が定めています。宅地造成費の金額は、国税庁ホームページで閲覧することができます。

5.最後に
 農地は、相続時には、必ずしも固定資産税評価額によって評価するわけではありません。
 相続時にびっくりすることがないように、一度相続税の試算をしてみてはいかがですか?

2012年5月18日 國村 年

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