事務所通信
2012年3月号 『実地棚卸』
早いもので3月も半分過ぎ、3月決算会社も決算日まであと半月となりました。
3月決算会社の場合、3月末に実地棚卸を行うと思われます。
しかしながら、会社によってはそれほど重要視されていません。
そこで、今回は、『実地棚卸』について書きたいと思います。
1.実地棚卸とは?
実地棚卸とは、実際の在庫の数量を把握することをいいます。
実地棚卸は、コントロールシート、棚卸原票、カウント、棚卸集計表、差異分析が非常に重要です。
2.コントロールシート
コントロールシートとは、棚卸原票の回収など棚卸の作業をコントロールするものです。 会社によって異なりますが、以下のようなものを記載します。
- 実施日
- 実施場所
- エリア
- 担当者
- 配布した棚卸原票のNo.及び枚数
- 回収した棚卸原票のNo.及び枚数
3.棚卸原票
棚卸原票とは、カウントした数量などを記載する用紙のことです。カウント済みであることを示すものでもあります。
記載内容は特に決まっていませんが、一般的には、以下のようなものを記載します。
- 棚卸原票No.
- 実施日
- 実施場所
- エリア
- 棚番
- 棚卸担当者
- 品名コード
- 品名
- 数量
- 単位
4.カウント
いくら棚卸原票がすべて記入されていたとしても、カウントミス、カウント漏れがあったのでは意味がありません。
カウントに関する留意点は以下のとおりです。
- 事前の棚卸除外品との区別
- 当日は原則として入出庫禁止
- 2人1組によるカウント
- 担当者を変えての複数回のカウント
- カウントのルールの明確化
- 棚や箱から出してのカウント
- チャック者の満遍ないテストカウント
5.棚卸集計表
棚卸集計表とは、品目ごとに数量の集計を行うものです。
会社によっては単価や在庫金額も記載します。
会社によって異なり、システム上で集計する会社もありますが、棚卸集計表に記載するのは以下のようなものです。
- 実施日
- 実施場所
- 品名コード
- 品名
- 数量
- 単位
6.差異分析
差異分析とは、帳簿上の在庫の数量とカウントした在庫の数量を比較して、差異があるものについて原因を分析することです。
これにより、帳簿上の在庫の数量またはカウントした在庫の数量の間違いなどが発見され、最終的な在庫の数量を確定することになります。
また、なぜ差異が生じたかが明らかになるため、今後の購買・生産・販売・在庫管理・棚卸などの業務の効率化・適正化に活かすことができます。
7.最後に
棚卸の精度は決算の数値、税金、生産活動、販売活動に影響を及ぼすため、想像以上に重要な作業です。
重要性を再認識のうえ、精度の高い棚卸を実施されてみてはいかがですか?
2012年3月14日 國村 年