事務所通信2012年10月

事務所通信

2012年10月号 『税務調査が変わる』

 皆さんは、『税務調査』を受けたことがありますか。
 初めての時は緊張するでしょうし、何度受けても受けたくない人が大半でしょう。
 この『税務調査』が、平成25年1月から変わるのです。
 そこで、今回は、『税務調査が変わる』について書きたいと思います。

1.税務調査とは?
 所得税法人税・相続税を始めとする国税の多くは、納税者自身が申告を行って税額を確定させ、この税額を自ら納付する申告納税制度が採られています。
 しかし、自身で申告する以上、その内容や税額に誤りが生じたり、虚偽の申告により不当に納税を免れられる恐れがあります。
 よって、誤った申告が横行し、納税者間に課税の不公平感が生じないよう、国税庁及びその管轄組織により、納税義務が適正に果たされていないと認められる納税者に対して、その誤りを正すために行われます。

2.税務調査手続きの改正
 今般、改正が行われますが、基本的には、税務調査が従来と比べて大きく変化することはありません。
 改正の概要は、以下のとおりです。
①税務調査手続の明確化(H25.1.1~)
 税務調査手続について、以下のとおり、現行の運用上の取扱いが法令上明確化されました。

  • 税務調査に先立ち、課税庁が原則として事前通知を行います。ただし、課税の公平確保の観点から、一定の場合には事前通知を行いません。これについては、平成24年10月1日から先行実施しています。
  • 課税庁の説明責任を強化する観点から、調査終了時の手続を整備しました。
  • 納税者から提出された物件の預かりの手続のほか、課税庁が帳簿書類その他の物件の「提示」「提出」を求めることができることを法令上明確化しました。

②更正の請求期間の延長等(H23.12.2~)
 納税者が申告税額の減額を求めることができる「更正の請求」の期間が原則1年から5年に延長されました。
 併せて、課税庁による増額更正の期間が原則3年から5年に延長されました。

③処分の理由附記等(H25.1.1~)
 全ての処分(申請に対する拒否処分及び丌利益処分)について理由附記を実施することとされました。
 ただし、現在記帳・帳簿等保存義務が課されていない個人の白色申告者に対する理由附記については、記帳・帳簿等保存義務の拡大と併せて平成26年1月1日以後に行う処分から実施されます。

3.改正のポイント
 改正の目玉は、事前通知と理由附記です。
 今までも8割以上は事前に通知していましたが、裁量に委ねられていたのが、今後は原則として義務になります。
 また、追徴課税(更正処分)の際に、今までは理由が示されませんでしたが、今後は原則として理由が附記されます。

4.最後に
 従来は、業務に差し支えることもありましたし、今後は、不服がある場合も反論がしやすくなると考えられます。
 今までが裁量に委ねられていたのが不思議ですが、納税者権利憲章は成立しなかった一方、事前通知や理由附記が原則義務化されたことは大きな前進ですね。

2012年10月10日 國村 年

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